説明

磁性塗料

【課題】 磁性塗料の提供。
【解決手段】 基礎塗料中に所定量の磁性材料(例えば、バリウム、ストロンチウム、ルビジウム、コバルト或いはホウ素)及び分散加工助剤(例えば、ゲル化剤、沈殿防止剤、湿潤剤、消泡剤)を加え、並びに十分に攪拌して磁性材料を均一に基礎塗料中に分散させ、磁性塗料を形成し、該磁性塗料を均一に各種基材表面にコーティングし、更に少なくとも一回の励磁(磁区配向)加工を行い、磁性塗料内の磁性材料に磁性を具備させ、基材表面に鉄製物品に対する磁気吸着の特性を具備させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一種の磁性塗料に係り、特に、製造コストが低廉で、加工が容易であり、基材表面にコーティングされて安定して磁化される磁性塗料に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に磁性体の製品には伝統的な磁石があり、それは鉄或いは磁性材料(例えば、バリウム、ストロンチウム、ルビジウム、コバルト或いはホウ素)を含有する金属基材を、磁区配向加工して磁気吸着の特性を具備させたものである。このような金属基材は硬く、湾曲不能で、重量が重く、加工、携帯が容易でなく、このため使用上、極めて大きな制限を受ける。
【0003】
近年、軟性磁石製品が発展し、よく見られるものとしては、酸化鉄粉末を、ゴム、プラスチックを混合した複合材料中に加え、少なくとも一回の励磁(磁区配向)加工を行い、パルス電流に異なる分割磁化エリアを具えた導磁盤を通過させ、これにより複合材料表面に異なる磁性を具えた磁極を形成することで形成された強靱で且つ相互に吸着可能であるか或いは鉄性材料(被吸着物)に吸着可能な軟性磁石がある。それはゴム、プラスチックが基礎材料とされた軟性磁石であり、軟質で湾曲可能で軽量で、加工が容易な特性を有するため、急速に広く消費者に受け入れられた。しかし、上述の酸化鉄粉末をゴム、プラスチックと混合する生産過程は複雑で、且つ酸化鉄粉末をゴム、プラスチック原料内に加えると、ゴム、プラスチックの靱性と強度に影響を与え、軟性磁石製品が断裂、損壊しやすくなり、この磁石を薄型化できなくなり、このため運用時のコストが増す。このため生産フローを簡易化して生産コストを下げることができ、且つ高強度の磁気吸着力を有する物品をいかに提供し、運用コストを節約できるようにするかが、関係業者の共通の課題となっている。
【0004】
また、伝統的な磁石の着色技術は成熟しておらず、製造時に着色が難しく、使用時に塗料が剥離する現象が容易に発生する。このため、一般に磁石は黒色のものが多い。これにより、もし完全な磁石着色方法を提供できれば、製品の外形が単調で外観が悪い欠点を解決できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は一種の磁性塗料を提供することを目的とし、それは、基礎塗料中に磁性材料及び分散加工助剤を加え、並びに十分に攪拌して磁性材料を均一に基礎塗料中に分散させ、磁性塗料を形成し、該磁性塗料を均一に各種基材表面にコーティングし、更に少なくとも一回の励磁(磁区配向)加工を行い、磁性塗料内の磁性材料に磁性を具備させ、基材表面に鉄製物品に対する磁気吸着の特性を具備させられ、これにより物体表面の磁化加工の実施を容易とし、製造コストを下げ且つ十分に基材のもとの強靱な性質により磁性表面に破壊しにくい特性を提供し、物体表面の磁石材部分を十分に薄化できるようにし、製造コストを節約できるものとする。
【0006】
本発明は一種の磁性塗料を提供することを別の目的とし、それは、上述の分散加工助剤が、ゲル化剤、沈殿防止剤、湿潤剤、消泡剤で組成され、これにより磁性材料が均一に全体の基礎塗料中に分布した磁性塗料とされ、物体表面にコーティングされた後、励磁(磁区配向)加工後に、均一で安定した磁性表現を具備するものとする。
【0007】
本発明はまた一種の磁性塗料を提供することを目的とし、それは直接顔料が添加混合されて、磁石の成形製造時に、必要により必要な色の製品が得られ、外観不良の欠点を排除できるものとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、基礎塗料中に所定量の磁性材料を加え、並びに十分に攪拌して磁性材料を均一に基礎塗料中に分散させてなる磁性塗料であって、該磁性塗料を基材表面にコーティングして塗層を形成する時、該塗装に少なくとも一回の励磁加工を行なうことで、塗層内の磁性材料を磁気感応により磁化できるように形成されたことを特徴とする、磁性塗料としている。
請求項2の発明は、請求項1記載の磁性塗料において、磁性塗料中に更に分散加工助剤が含有されて磁性材料と基礎塗料の混合の均一性が増され、全体の塗料の加工特性が向上されたことを特徴とする、磁性塗料としている。
請求項3の発明は、請求項2記載の磁性塗料において、分散加工助剤が、ゲル化剤、沈殿防止剤、湿潤剤、消泡剤のいずれか或いはその組合せとされたことを特徴とする、磁性塗料としている。
請求項4の発明は、請求項1、2、3のいずれかに記載の磁性塗料において、磁性材料がバリウム、ストロンチウム、ルビジウム、コバルト、ホウ素のいずれか或いはその組合せとされたことを特徴とする、磁性塗料としている。
請求項5の発明は、請求項1、2、3のいずれかに記載の磁性塗料において、着色効果を形成するため顔料が更に混合されたことを特徴とする、磁性塗料としている。
請求項6の発明は、請求項4記載の磁性塗料において、着色効果を形成するため顔料が更に混合されたことを特徴とする、磁性塗料としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の磁性塗料は物品表面の磁化を更に容易に行なえ、また表面形態の制限がなく、物体或いは基材の表面の磁性表層の厚さを十分に薄くでき、色の加工は材料中に顔料を加えることで行なわれ、二次塗装作業が不要で、外表の塗料の剥離の問題がなく、大幅に磁石の利用価値を高めることができ、有効に運用のコストを節約でき、これにより、物体の磁化加工のコストを低廉とし、加工を簡易とし且つ磁化表面の均一性と安定性を高めることができる。ゆえに本発明は産業上の利用価値、進歩性及び新規性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の磁性塗料は、基礎塗料1中に、磁性材料2成分が混合されて、磁性特性を有する磁性塗料21が形成される。該磁性材料2は、バリウム、ストロンチウム、ルビジウム、コバルト或いはホウ素等、磁気感応により磁化される元素のうち少なくとも一つ、或いはその組成物とされる。該磁性塗料21内にはまた適量の分散加工助剤3が含有され、該分散加工助剤3は、例えばゲル化剤(例えば接着剤或いは樹脂)、沈殿防止剤(例えばポリエチレンワックス)、湿潤剤(例えば高分子カルボン酸と変性ポリシロキサンの混合物)、消泡剤(例えば非シリコン有機化合物)、顔料分散剤(例えば高分子カルボン酸と変性ポリシロキサンの混合物)とされる。基礎塗料1、磁性塗料2及び分散加工助剤3が分散機械で攪拌4(例えばフォーミング、密閉式分散機、或いはスクリーニングマシン、高速攪拌機を使用)され、前述の磁性材料2が磁性塗料21中に均一に分布させられ、並びに堆積或いは沈殿が有効に防止される。以上により形成された磁性塗料21は、適当な方式で物体或いは基材5の表面にコーティングされ、並びに乾燥して磁性を具えた表層22を形成し、少なくとも一回の励磁(磁区配向)加工により、パルス電流に異なる分割磁化エリアを具えた導磁盤を通過させ、磁気感応により基材5表面の磁性表層22を磁化し、基材5表面に磁石と同じ特性を具備させる。
【0011】
上述の磁性塗料21を基材5の表面にコーティングする加工方式は、コーティング厚さ、塗料の濃淡程度、必要な均一程度、及び色の要求、加工効率、物体或いは基材5の形態等の異なる要求条件により、ブラシコーティング、ローラーコーティング、スプレーコーティング、スクリーン印刷或いはヘラを使用したコーティング等異なる方式が使用される。
【0012】
このほか、本発明の塗料は混合時に、顔料10を添加することができ、これにより本発明は多種類の色の選択が行なえる磁性塗料21とされ、その運用範囲が広く、且つ便利である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の磁性塗料の製造フローチャートである。
【図2】本発明の磁性塗料で基材表面をコーティングする作業表示図である。
【符号の説明】
【0014】
1 基礎塗料
10 顔料
2 磁性材料
21 磁性塗料
22 表層
3 分散加工助剤
4 分散機械で攪拌
5 基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎塗料中に所定量の磁性材料を加え、並びに十分に攪拌して磁性材料を均一に基礎塗料中に分散させてなる磁性塗料であって、該磁性塗料を基材表面にコーティングして塗層を形成する時、該塗装に少なくとも一回の励磁加工を行なうことで、塗層内の磁性材料を磁気感応により磁化できるように形成されたことを特徴とする、磁性塗料。
【請求項2】
請求項1記載の磁性塗料において、磁性塗料中に更に分散加工助剤が含有されて磁性材料と基礎塗料の混合の均一性が増され、全体の塗料の加工特性が向上されたことを特徴とする、磁性塗料。
【請求項3】
請求項2記載の磁性塗料において、分散加工助剤が、ゲル化剤、沈殿防止剤、湿潤剤、消泡剤のいずれか或いはその組合せとされたことを特徴とする、磁性塗料。
【請求項4】
請求項1、2、3のいずれかに記載の磁性塗料において、磁性材料がバリウム、ストロンチウム、ルビジウム、コバルト、ホウ素のいずれか或いはその組合せとされたことを特徴とする、磁性塗料。
【請求項5】
請求項1、2、3のいずれかに記載の磁性塗料において、着色効果を形成するため顔料が更に混合されたことを特徴とする、磁性塗料。
【請求項6】
請求項4記載の磁性塗料において、着色効果を形成するため顔料が更に混合されたことを特徴とする、磁性塗料。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−299083(P2006−299083A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−122530(P2005−122530)
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【出願人】(505148449)
【Fターム(参考)】