説明

磁性粉体および磁気部品の製造方法。

【課題】大気中での長期間保存性およびリサイクル時の化学的耐性を両立する、ナノメートルオーダーの粒子サイズを有する被覆磁性金属微粒子の製造方法、および前述の被覆磁性金属微粒子を用いた磁気部品の製造方法の提供。
【解決手段】磁性金属からなる磁性金属微粒子10を形成する工程と、ドライプロセスを用いて該磁性金属微粒子の表面に非磁性被膜20を形成する工程とを含む被覆磁性金属微粒子の製造方法。前述の被覆磁性金属微粒子を圧縮成型する工程を含む磁気部品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性粉体および磁気部品の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、優れた化学的耐性および長期保存性を有する磁性粉体の製造方法に関する。また、本発明は、前述の磁性粉体を用いることによって、得られる形状の自由度の高い磁気部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の脱二酸化炭素依存社会の動きを受け、エネルギーの主役は化石燃料から、二酸化炭素排出量の少ない電気エネルギーへと急速にシフトしている。電気エネルギーと動力エネルギーとの相互変換、さらにその利用・変換効率を向上させる場合、磁性部品の担う役割は非常に大きい。磁性部品は、電気自動車を中心として需要が高まっているモーター、さらには環境負荷軽減という観点から近年脚光を浴びている地熱発電および風力発電向け発電機、ノート型パソコン、小型携帯機器、フラットパネルディスプレイなどの各種電子機器に用いられるスイッチング電源、ブレーカなどの電磁接触器などにおいて利用され、その特性向上が効率向上に寄与している。
【0003】
これらに適用される磁性部品の形状は求められる特性の向上に伴い複雑化している。しかしながら、バルク材を後加工する方法では加工精度などの点で限界を迎えている。近年、この問題に関して、あらかじめ微粒子化した磁性材料の圧粉成型が盛んに検討されている。この方法は、圧粉に用いる型を変更することにより種々の形状の部品の製造に対応できること、微粒子の表面修飾により抵抗率や透磁率を変化させることができることという利点を有している。
【0004】
微粒子の表面修飾方法として、たとえば、化学メッキ、無電解メッキなどの湿式の化学的手法を用いることが提案されている(特許文献1参照)。前述の提案においては、表面修飾の前後における微粒子の磁気特性の変化は検討されていない。しかしながら、酸化しやすい強磁性元素(Fe、CoおよびNi)を含む微粒子を溶液に浸漬した場合、酸化による特性劣化を考慮する必要が発生する。また、化学的手法による表面修飾では、修飾材料に応じた反応剤の選択が重要となる。さらに、反応剤の濃度、反応温度などの表面修飾条件の最適化が重要となる。
【0005】
別法として、金属酸化物粉末と炭素粉末とを非酸化性雰囲気下で加熱して炭素による金属酸化物を金属に還元し、次いで冷却を行って金属中に固溶していた炭素を表面に析出させて、炭素被覆された金属微粒子を製造する方法が提案されている(特許文献2参照)。この提案においては、金属酸化物粉末および炭素粉末の混合物を600℃以上の高温に加熱することによって、前述の還元を行っている。このような高温領域では、金属微粒子が互いに結合し、その粒子サイズが増大することが問題となる。実際、上記の提案で得られる炭素被覆された金属微粒子の粒子サイズはマイクロメートルオーダーである。
【0006】
さらに、絶縁酸化被膜で被覆された軟磁性金属粒子をプレス成型した後に非酸化性雰囲気下で加熱して、被膜中に軟磁性金属を拡散させて所望の特性を有する圧粉磁心の製造方法が提案されている(特許文献3参照)。微粒子のプレス成型によって、表面修飾による抵抗率の増大に起因する高周波特性の向上、および金属微粒子の高い飽和磁束密度の維持の特性を有する圧粉体を形成するためには、圧粉体中の磁性微粒子の占める比率、すなわち充填率を高くする必要がある。微粒子のサイズおよびサイズ分散と充填率との関係に関して、サイズ分散のない単一サイズの微粒子を最密充填する際の充填率は粒子サイズによらず一定であること、およびサイズ分散を有する微粒子を最密充填する際にはサイズ分散が小さいほど充填率が高くなることが知られている(非特許文献1参照)。
【0007】
一方、微粒子から形成される圧粉成型体の磁気特性の向上、特に透磁率の向上においては、個々の微粒子があたかも1つの磁石としての挙動を示す単磁区微粒子の形成が必要となる。単一微粒子における単磁区粒子サイズ臨界値は、材料の交換定数に比例し、異方性エネルギーに反比例することが知られている。磁性微粒子が多数集まった系においては静磁気的な相互作用が働くことを考慮すると、単磁区微粒子として振舞うための粒子サイズは大きくても1000nm程度までとなる。しかしながら、上記の提案で用いている被覆金属粒子はマイクロメートルオーダーの粒子サイズおよび大きなサイズ分散を有し、充填率の向上ならびに圧粉成型体の磁気特性向上においては不利である。
【0008】
充填率の向上に関して、1〜10μmの平均粒子径を有する軟磁性金属粒子と、5〜100nmの平均粒子径を有するナノ金属磁性粒子との混合物を圧粉成型することによる圧粉磁心の製造方法が提案されている(特許文献4参照)。しかしながら、この提案においても、得られる圧粉体(磁心)の磁気特性に対する原料粒子の粒子サイズ分布の影響は無視できない。以上のように、微粒子圧粉体の有する特徴を十分に発揮するためには、さらなる改善が望まれている。
【0009】
ここで、磁性金属微粒子の粒子サイズをナノメートルオーダーまで小さくする場合、微粒子の表面積が増大し、磁性金属の酸化が進行することによる特性劣化が大きな問題となる。磁性金属微粒子を真空下または不活性雰囲気下で保管することによって酸化を防止することはできるが、コストの点で望ましくない。よって、大気中で長期間保管しても磁性金属の酸化が進行しない被覆を設けることが望ましい。また、そのような被覆磁性金属微粒子を簡便な方法で大量に生産できることが望ましい。
【0010】
加えて、資源節約の観点から、磁気部品のリサイクル性を向上させることも重要である。一般的に、磁性金属微粒子を圧粉成型する際には、微粒子間の結合力を高めるために結合剤を添加する。リサイクル時には、磁気部品を粉砕して、磁性金属微粒子に戻すことが必要となる。この際に、磁性金属微粒子から結合剤を除去する必要が発生する。結合剤を完全に除去するためには、化学的手法を用いることが効率的である。したがって、磁性金属微粒子の被覆には、化学的手法による結合剤の除去工程に耐性を有し、磁性金属の化学的劣化を防止することが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−85967号公報
【特許文献2】特開2004−259807号公報
【特許文献3】特開2009−158802号公報
【特許文献4】特開2009−54709号公報
【特許文献5】特開2004−250771号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】"Effect of Size Distribution on Tapping Properties of Fine Powder" M.Suzuki, H.Sato, M.Hasegawa, M.Hirota: Powder Technology, 118, 53-57(2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前述のように、圧粉成型などに用いる磁性金属微粒子には、ナノメートルオーダーの粒子サイズを有すること、大気中で長期間保存してもその特性が劣化しないこと、および成型部品のリサイクルの際にその特性が劣化しないことが求められる。一方、従来技術の磁性微粒子および圧粉成型体の報告では、自然環境下での特性のみが報告されており、長期保存時およびリサイクル時の特性劣化については何らの報告もされていない。したがって、本願発明の目的は、大気中での長期間保存性およびリサイクル時の化学的耐性を両立する、ナノメートルオーダーの粒子サイズを有する被覆磁性金属微粒子の製造方法を提供することである。また、本願発明の別の目的は、前述の被覆磁性金属微粒子を用いた磁気部品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の実施形態である被覆磁性金属微粒子の製造方法は、磁性金属からなる磁性金属微粒子を形成する工程と、該磁性金属微粒子を回転、撹拌または振動させながら、ドライプロセスを用いて該磁性金属微粒子の表面に非磁性被膜を形成する工程とを含むことを特徴とする。ここで、非磁性被膜を形成する工程を、多角柱の軸が水平方向を向いている多角柱形状のチャンバーの側面に磁性金属微粒子を配置し、外部磁界を印加し、かつ多角柱の軸を中心としてチャンバーを回転させながら実施してもよい。この際、外部磁界は、磁性金属微粒子に対して重力とほぼ平行な方向の吸引力を及ぼすことが望ましい。また、ドライプロセスは、スパッタ法、CVD法または蒸着法であってもよい。あるいはまた、ドライプロセスは、磁性金属微粒子の表面酸化であってもよい。また、磁性金属が、Fe、CoまたはNiの少なくとも1種の金属を含んでもよい。さらに、非磁性被膜はPt、PdまたはCの少なくとも1種の材料を含んでもよい。また、非磁性被膜が、2nm以上の膜厚を有してもよい。さらに、本実施形態の方法で得られる被覆磁性金属微粒子が、1〜1000nmの粒子サイズを有してもよい。
【0015】
本発明の第2の実施形態である磁気部品の製造方法は、第1の実施の形態の方法を用いて被覆磁性金属微粒子を製造する工程と、該被覆磁性金属微粒子を圧縮成型して磁気部品を形成する工程とを含むことを特徴とする。ここで、圧縮成型工程を、直圧加圧法または静水圧加圧法によって実施してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の実施形態の方法は、非磁性被膜の材料および膜厚を適切に選択することにより、化学的安定性に優れ、ひいては長期安定性に優れた被覆磁性金属微粒子の製造を可能にする。また、本発明の第1の実施形態の方法により製造される被覆磁性金属微粒子はナノメートルオーダーの粒子サイズを有するため、第2の実施形態である磁気部品の製造にあたって該磁気部品中における被覆磁性金属微粒子の充填率を100%に接近させることを可能とし、それによって、用いる磁性金属と同等の飽和磁束密度を有する部品の製造を可能とする。また、非磁性被膜の電気抵抗値を適切に制御することによって、磁気部品の電気抵抗値を制御することを可能にする。電気抵抗値を適切に制御することによって磁気部品の鉄損を減少させ、ひいては磁気部品の高周波特性を向上させることができる。言い換えると、本発明の第2の実施形態の方法は、MHz帯などの高周波領域においても高い飽和磁束密度と高い透磁率とを有する磁気部品の提供を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の製造方法で得られる被覆磁性金属微粒子の模式的断面図である。
【図2】比較例3における粒子サイズおよび飽和磁束密度の熱処理温度依存性を示すグラフである。
【図3】水溶液への浸漬試験における、水溶液のpHと実施例および比較例で得たサンプルの飽和磁束密度の変化率との関係を示すグラフである。
【図4】酸性水溶液(pH=1)への浸漬試験における、実施例および比較例で得たサンプルの非磁性被膜の膜厚と飽和磁束密度の変化率との関係を示すグラフである。
【図5】中性水溶液(pH=7)への浸漬試験における、実施例および比較例で得たサンプルの非磁性被膜の膜厚と飽和磁束密度の変化率との関係を示すグラフである。
【図6】アルカリ性水溶液(pH=13)への浸漬試験における、実施例および比較例で得たサンプルの非磁性被膜の膜厚と飽和磁束密度の変化率との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1の実施形態である被覆磁性金属微粒子の製造方法は、磁性金属微粒子を提供する工程と、磁性金属微粒子を回転、撹拌または振動させながら非磁性被膜を堆積させる工程とを含む。図1に本実施形態の方法で形成された被覆磁性金属微粒子の模式的断面図を示す。被覆磁性金属微粒子は、磁性金属微粒子10と、磁性金属微粒子10の全表面にわたる非磁性被膜20とを有する。
【0019】
磁性金属微粒子10を提供する工程は、磁性金属の粉砕法、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、不活性ガス中での気相生成法、熱プラズマ法などの従来技術において知られている任意の技術を用いて実施することができる。量産性を考慮すると、本工程は、望ましくは熱プラズマ法を用いて実施される。熱プラズマ法においては、原料粉末がアーク放電または高周波放電により発生させた不活性ガスのプラズマ中で蒸発し、プラズマ末端で金属ガスが冷却されて微粒子が形成される。磁性金属微粒子を構成する磁性金属は、Co、FeおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種を含む。用いることができる磁性金属は、Co、FeおよびNiの単体;パーマロイ(NiFe、NiFeMo、CoNiFeなど)、センダスト(FeSiAl)、CoZrNb、CoTaZrなどの軟磁性合金;CoFe合金(Co30Fe70、Co50Fe50など);CoCr合金;CoPt、CoCrPt、CoCrPtB、CoCrPtTaなどのCoPt合金などを含む。好ましくは、本工程で提供される磁性金属微粒子10は1〜1000nmの粒子サイズを有する。
【0020】
非磁性被膜20を堆積させる工程は、磁性金属微粒子10を回転、撹拌または振動させた状態で実施される。このような状態において、磁性金属微粒子10の被膜形成源(スパッタ法におけるターゲット、CVD法における原料ガスまたは原料プラズマなど)に対向する面が常に変化し、磁性金属微粒子10の全面にわたって均一な膜厚の非磁性被膜20を形成することができる。このような状態は、たとえば、多角柱の軸が水平方向を向いている多角柱形状のチャンバーの側面に磁性金属微粒子10を配置し、該チャンバーを多角柱の軸を中心として回転させること(特許文献5参照)などによって達成することができる。また、外部から磁界を印加して、前述の回転をさらに効率的に実施することもできる。多角柱チャンバーの側面に配置される磁性金属微粒子10の回転は、重力による磁性金属微粒子10の落下、およびチャンバー側面と磁性金属微粒子10との摩擦によって実現されている。磁性金属微粒子10の粒子サイズのナノメートルオーダーに縮小すると、その質量が著しく減少して重力の寄与が小さくなり、磁性金属微粒子10の回転の効率が低下する。そこで、外部磁界によって磁性金属微粒子10に重力とほぼ平行な方向の吸引力を作用させ、重力による落下を補助することで、磁性金属微粒子10の回転を効率的にすることができる。
【0021】
前述の外部磁界は、たとえば、非磁性材料(ガラス、セラミックなど)で形成される多角柱形状チャンバーの鉛直下方に、永久磁石、電磁石などの磁界発生手段を配置することによって、印加することができる。この場合、多角柱形状チャンバーを真空チャンバーとして用いてもよい。あるいはまた、非磁性材料が真空チャンバーに要求される特性(機械的強度など)を満たすのに十分でない場合、別個の真空チャンバー中に多角柱形状チャンバーおよび磁界発生手段を収容してもよい。さらなる別法として、多角柱形状チャンバーの側面のそれぞれに、独立して制御可能な磁界発生手段を設けてもよい。ここで、鉛直下方に位置した側面に設けられた磁界発生手段を動作させることによって、重力を補助する磁気的吸引力を作用させることができる。あるいはまた、それぞれの側面に設けられた磁界発生手段が発生する磁界を連続的に変化させて、それら磁界が磁性金属微粒子10に及ぼす吸引力の合力が重力とほぼ平行な方向に向くようにしてもよい。
【0022】
また、非磁性被膜20の堆積は、スパッタ法、CVD法、蒸着法などのドライプロセスを用いて実施することができる。ターゲットの材料選択の自由度(すなわち、形成される非磁性被膜20の材料選択の自由度)の高さの観点から、スパッタ法を用いることが望ましい。スパッタ法を用いる場合、ターゲットと磁性金属微粒子10との間にシャッターなどの遮蔽手段を設けて、遮蔽手段の開閉および開時間を制御して非磁性被膜20の厚さを調整することができる。また、CVD法を用いる場合、熱CVD法またはプラズマCVD法のいずれを用いてもよい。CVD法を用いる場合には、原料ガスの圧力、供給時間などを制御して非磁性被膜20の膜厚を調整することができる。非磁性被膜20の厚さは、2nm以上、好ましくは2〜100nm、より好ましくは2〜10nmの範囲内である。本実施形態で得られる被覆磁性金属微粒子は、ナノメートルオーダー、すなわち1〜100nmの粒子サイズを有する。
【0023】
非磁性被膜20を形成する材料は、Pt、Pdなどの貴金属、炭素などを含んでもよい。さらに、非磁性被膜20を複数種の材料の混合物から形成することによって、非磁性被膜20の電気抵抗値を制御することが可能となる。複数種の材料の混合物を用いて非磁性被膜20を形成する場合、Pt、Pd、Cなどの前述の材料と、電気抵抗制御剤としてのSiなどの材料との混合物を用いることが望ましい。
【0024】
あるいはまた、非磁性被膜20を形成する材料は、前述の磁性金属の酸化物であってもよい。この場合には、磁性金属微粒子10の全体にわたる酸化を防止するため、たとえば、酸素雰囲気中で磁性金属微粒子10を加熱することによって、磁性金属微粒子の表面に不動態様膜を形成することが望ましい。
【0025】
本発明の第2の実施形態である磁気部品の製造方法は、第1の実施形態の方法によって被覆磁性金属微粒子を製造する工程と、被覆磁性金属微粒子を圧縮成型する工程とを含む。
【0026】
第1の実施形態による被覆磁性金属微粒子の製造において非磁性被膜の電気抵抗値を制御することによって、本実施形態の方法で得られる磁気部品の電気抵抗値を制御することが可能となる。磁気部品の電気抵抗値を適切に制御することは、鉄損の軽減、特にMHz帯などの高周波領域における鉄損の軽減によって、磁気部品の磁気特性(飽和磁束密度、透磁率など)の向上に有効である。
【0027】
被覆磁性金属微粒子を圧縮成型する工程は、直圧加圧法、静水圧加圧法などの当該技術においてよく知られている圧縮成型技術を用いて実施することができる。圧縮成型工程においては、被覆磁性金属微粒子に対して結合剤を添加した混合物を用いることが望ましい。用いることができる結合剤は6,6−ナイロン、12−ナイロンに代表されるナイロン系樹脂、各種のゴムなどを含む。また、加圧と同時に加熱を行って、結合剤による被覆磁性金属微粒子の結合を促進してもよい。用いる結合剤の種類に依存するが、一般的に結合剤の軟化温度以上かつ分解温度以下の50〜400℃の温度まで加熱することが望ましい。
【実施例】
【0028】
<実施例1>
最初に、熱プラズマ法を用いて、Fe70Co30の磁性金属微粒子を形成した。Fe70Co30は、FeCo合金においてその飽和磁束密度が理論上最大となる組成である。製造直後の飽和磁束密度Bを振動試料型磁力計を用いて測定した。Bの測定は、最大印加磁界を1.59×10A/m(20kOe)として、室温において行った。
【0029】
続いて、多角バレルスパッタ装置(特許文献5参照)にFe70Co30微粒子を充填した。多角チャンバーを回転させながら、ターゲットとして白金(Pt)を用い、プロセスガスとして圧力0.3Paのアルゴンを用い、50Wのターゲット供給電力を用いるスパッタ法によって、Ptからなる非磁性被膜を形成して、被覆磁性金属微粒子を得た。本実施例においては、スパッタ装置に設置された膜厚調整用シャッターを用いて、非磁性被膜の厚さを0.5〜10nmの範囲内で変化させたサンプルを製造した。非磁性被膜の厚さはエネルギー分散X線分光法(EDS)をもって測定した。50個程度の微粒子のEDSラインプロファイルを取得し、それぞれのラインプロファイルに関して微粒子の端部からFeおよびCoのエネルギーが観測される位置までの膜厚を求め、その平均値を非磁性被膜の厚さとして採用した。
【0030】
非磁性被膜の厚さが2nmのサンプルを、X線回折法により分析した。その結果、磁性金属微粒子を構成するFe70Co30の結晶構造は体心立方格子であることが明らかとなった。また、Fe70Co30の最密面である(110)面の回折ピークを用いて、下記(1)式に示すSherrerの式
【0031】
【数1】

【0032】
(式中、λは測定に用いたX線の波長(1.54Å)であり、βは回折ピークの半値幅であり、θは回折ピークの角度である)により粒子サイズDを求めた。その結果、非磁性被膜の厚さが2nmの被覆磁性金属微粒子の粒子サイズDは39.2nmであった。
【0033】
<実施例2>
多角バレルスパッタ装置内のターゲットをパラジウム(Pd)に変更したことを除いて実施例1の手順を繰り返して、Pdからなる非磁性被膜をを有する被覆磁性金属微粒子を得た。さらに、実施例1と同様にして、粒子サイズDを求めた。
【0034】
<実施例3>
多角バレルスパッタ装置内のターゲットを炭素(C)に変更したことを除いて実施例1の手順を繰り返して、Cからなる非磁性被膜をを有する被覆磁性金属微粒子を得た。さらに、実施例1と同様にして、粒子サイズDを求めた。
【0035】
<実施例4>
実施例1と同様の手順によって、Fe70Co30の磁性金属微粒子を形成した。続いて、多角チャンバー内に酸素ガスを導入して、磁性金属微粒子を酸素雰囲気に暴露することによって磁性金属微粒子表面を酸化し、酸化膜を形成した。さらに、実施例1と同様にして、粒子サイズDを求めた。
【0036】
<比較例1>
実施例1と同様の手順によって、Fe70Co30の磁性金属微粒子を形成した。さらに、実施例1と同様にして、磁性金属粒子の粒子サイズDを求めた。
【0037】
<比較例2>
実施例1と同様の手順によって、Fe70Co30の磁性金属微粒子を形成した。続いて、湿式法(特許文献1参照)を用いてPdからなる非磁性被膜の形成をおこなった。前述の磁性金属粒子を、塩化パラジウム(0.1g/L)および塩酸(35体積%溶液2mL/L)を主成分とする処理液に5分間にわたって浸漬させ、Pdからなる非磁性被膜を有する被覆磁性金属微粒子を得た。続いて、得られた被覆磁性金属微粒子を水洗し、乾燥させた。さらに、実施例1と同様にして、磁性金属粒子の粒子サイズDを求めた。
【0038】
<比較例3>
実施例1と同様の手順によって、Fe70Co30の磁性金属微粒子を形成した。続いて、熱還元法(特許文献2参照)を用いてCからなる非磁性被膜の形成をおこなった。熱処理炉中で、前述の磁性金属粒子と炭素粉末との混合物を24時間にわたって加熱した。ここで、加熱温度を400〜1000℃の範囲で変化させた。続いて、得られた粒子を、5時間かけて27℃(室温)まで冷却し、Cからなる非磁性被膜を有する被覆磁性金属微粒子を得た。続いて、得られた被覆磁性金属微粒子を水洗し、乾燥させた。さらに、実施例1と同様にして、被覆磁性金属粒子の粒子サイズDを求めた。また、実施例1の製造直後の飽和磁束密度Bの測定と同様の手順により、得られた被覆磁性金属粒子の飽和磁束密度Bを求めた。
【0039】
<評価1>
図2に、比較例3の被覆磁性金属微粒子に関する、非磁性被膜形成時の加熱温度と、非磁性被膜形成前後の飽和磁束密度比B/B、および粒子サイズDとの関係を示す。なお、B/Bおよび粒子サイズのそれぞれにおいて、左端のプロットは非磁性被膜の形成を行わなかったサンプルに相当する。比較例3の方法は、FeCo中に固溶したCが冷却過程において微粒子表面に析出する過程を伴う。ここで、加熱温度が不十分な場合には、FeCo微粒子内部にCが残存し、その飽和磁束密度は、Cの体積残存率に応じて低下する。図2から、加熱温度の上昇に伴い、形成前後の飽和磁束密度比B/Bが増大し、Cの微粒子表面への析出が進行していることが分かる。一方、粒子サイズDは、加熱温度の上昇に伴って単調に増加している。
【0040】
図2から分かるように、比較例3では加熱温度が800℃を超えた場合に、得られた被覆磁性金属微粒子の飽和磁束密度Bが、被覆前の磁性金属微粒子の飽和磁束密度Bと同等となる。しかしながら、得られた被覆磁性金属微粒子は700nmを超える粒子サイズDまで肥大化した。よって、圧粉成型体の粒子充填率を向上させる目的においては、比較例3の肥大化した被覆磁性金属微粒子は適当ではない。
【0041】
一方、実施例1〜4および比較例2で得られた被覆磁性金属微粒子(非磁性被膜の厚さが2nmのサンプル)および比較例1で得られた磁性金属微粒子の粒子サイズDを、以下の第1表に示す。上記の例で得られた被覆磁性金属微粒子および磁性金属微粒子はいずれも、圧粉成型体の粒子充填率の向上の目的に適当な40nm程度の粒子サイズDを有していることが分かる。
【0042】
【表1】

【0043】
<評価2>
実施例1〜4および比較例2で得られた被覆磁性金属微粒子および比較例1で得られた磁性金属微粒子を、種々のpHを有する水溶液中に浸漬させた。ここで、水溶液の温度を室温とし、浸漬時間を1日間とした。また、実施例1〜4および比較例2で得られた被覆磁性金属微粒子については、非磁性被膜の厚さが5nmのサンプルを用いた。浸漬終了後に、実施例1の製造直後の飽和磁束密度Bの測定と同様の手順により、得られた被覆磁性金属粒子の飽和磁束密度Bを求めた。浸漬に用いた水溶液を第2表に示す。なお、第2表に示したpHは、万能pH試験紙を用いて測定した概略値である。
【0044】
【表2】

【0045】
図3に、被覆磁性金属微粒子および磁性金属微粒子のそれぞれに関して、浸漬させた水溶液のpHと、浸漬前後の飽和磁束密度の変化率B/Bとの関係を示す。
【0046】
非磁性被膜を持たない磁性金属微粒子(比較例1)は、中性(pH=7)の水溶液への浸漬においてさえ、B/Bの低下が認められた。B/Bの低下の程度は、水溶液が酸性またはアルカリ性の場合に著しく増大し、非磁性被膜を持たない磁性金属粒子の化学耐性が低いことが分かる。また、大気中には水分が存在することを考慮すると、非磁性被膜を持たない磁性金属粒子に大気中での長期保存性は期待できないことが分かる。
【0047】
一方、PtまたはPdからなる非磁性被膜を有する被覆磁性金属微粒子(実施例1および2)は、強酸性から強塩基性までの広範囲のpHにおいて、作成直後の飽和磁束密度Bを浸漬試験後も維持していることが分かる。
【0048】
また、Cからなる非磁性被膜を有する被覆磁性金属微粒子(実施例3)および酸化膜を有する被覆磁性金属微粒子(実施例4)は、弱酸性(pH=5)から中性(pH=7)までのpHにおいて、作成直後の飽和磁束密度Bを浸漬試験後も維持していることが分かる。しかしながら、両実施例のサンプルともに、酸性水溶液(pH<5)およびアルカリ性水溶液(pH>7)へ浸漬した際に、B/Bの低下が認められた。ここで、酸性水溶液におけるB/Bの低下よりも、アルカリ性水溶液におけるB/Bの低下が顕著である。実施例3については、アルカリ性領域(pH>7)において、非磁性被膜として用いたCとアルカリ水溶液とが反応して非磁性被膜が消失し、さらにFeCoとアルカリ水溶液とが反応することによってB/Bが急激に低下した。一方、実施例4の酸化膜を有する被覆磁性金属微粒子のアルカリ性領域におけるB/Bの低下は、実施例3に比較して若干緩やかであった。
【0049】
一方、Pdからなる非磁性被膜を湿式法により形成した被覆磁性金属微粒子(比較例2)においては、飽和磁束密度Bが作成直後の飽和磁束密度Bの60%程度に減少しているものの、強酸性から強塩基性までの広範囲のpHにおいて飽和磁束密度Bがほぼ一定に維持されていることが分かる。この結果は、湿式法により形成した非磁性被膜がFeCo磁性金属を保護する作用は、スパッタ法などのドライプロセスで形成した非磁性被膜と同等であることを示す。しかしながら、非磁性被膜の湿式形成に用いる塩化パラジウムおよび塩酸を主成分とする処理液のpHが約6であり、各種の溶液に対する浸漬試験開始前のB/Bの値が60%程度となっていたことから、非磁性被膜の形成の際に飽和磁束密度が低下することが分かる。この飽和磁束密度の低下は被覆磁性金属微粒子から形成される圧粉成型体の磁気特性の低下を招くため、スパッタ法などのドライプロセスによる非磁性被膜の形成が、湿式法による形成に比較して優れていることが分かる。
【0050】
<評価3>
次に非磁性被膜の膜厚が被覆磁性金属微粒子の磁気特性に与える影響を検討した。図4〜図6に、酸性水溶液(pH=1)、中性水溶液(pH=7)、アルカリ性水溶液(pH=13)のそれぞれへの浸漬における非磁性被膜の膜厚と浸漬前後の飽和磁束密度の変化率B/Bとの関係を示す。浸漬試験は、実施例1〜4および比較例2のそれぞれにおいて種々の膜厚の非磁性被膜を有する被覆磁性金属微粒子を用いたことを除いて、評価2と同等の手順を用いて実施した。
【0051】
図4〜図6から分かるように、Ptからなる非磁性被膜を有する被覆磁性金属微粒子(実施例1)、およびPdからなる非磁性被膜を有する被覆磁性金属微粒子(実施例2)においては、非磁性被膜の膜厚が2nm以上の場合、酸性、中性およびアルカリ性(pH=1、7および13)のいずれにおいても、B/Bの低下はほとんど見られなかった。また、湿式法で形成したPdからなる非磁性被膜を有する被覆磁性金属微粒子(比較例2)においては、非磁性被膜形成時に飽和磁束密度BがBの約60%に低下するものの、ドライプロセスで非磁性被膜を形成した実施例2と同様に、非磁性被膜の膜厚が2nm以上の場合、酸性、中性およびアルカリ性(pH=1、7および13)のいずれにおいても、B/Bの低下はほとんど見られなかった。
【0052】
一方、Cからなる非磁性被膜を有する被覆磁性金属微粒子(実施例3)、および酸化膜を有する被覆磁性金属微粒子(実施例4)においては、中性(pH=7)においては、非磁性被膜または酸化膜の膜厚を3nm以上とすることによって、B/Bの低下を防止することができた。しかしながら、酸性(pH=1)およびアルカリ性(pH=13)においては、浸漬によるB/Bの低下が顕著に認められる。酸性(pH=1)およびアルカリ性(pH=13)におけるB/Bの低下は、非磁性被膜または酸化膜の膜厚の増大によってある程度まで防止することができる。しかしながら、アルカリ性水溶液に対する耐性が低いCからなる非磁性被膜を有する被覆磁性金属微粒子(実施例3)では、非磁性被膜の膜厚を10nmまで増加させても、飽和磁束密度BがBの約10%まで低下してしまった。
【0053】
以上のことから、非磁性被膜の材料によって、使用に適切なpH領域および膜厚が変化することが分かる。したがって、適切な材料からなり適切な膜厚を有する非磁性被膜をスパッタ法などのドライプロセスにて形成することによって、ナノメートルオーダーの粒子サイズを有し、かつ広範なpH領域で磁気特性が劣化しない、被覆磁性金属微粒子の作成が可能である。
【0054】
<実施例5>
実施例1と同様の手順によって、膜厚1nmのPtからなる非磁性被膜を有する被覆磁性金属微粒子(Fe70Co30)を作成した。実施例1と同様にして求めた粒子サイズDを第3表に示す。続いて、得られた微粒子をリングコア作成用の金型に充填し、60トン/cm(5.88GPa)の圧力を印加して圧粉成型し、リングコアを形成した。得られたリングコアの飽和磁束密度(B)、抵抗値、10MHzにおける透磁率(μ)を測定した。結果を第3表に示す。なお、飽和磁束密度(B)は、母体となるFe70Co30のバルクの飽和磁束密度(BFeCo)との比で示した。
【0055】
<実施例6>
多角バレルスパッタ装置内のターゲットをPt−Si合金に変更したことを除いて実施例1と同様の手順によって、膜厚1nmのPt−Siからなる非磁性被膜を有する被覆磁性金属微粒子(Fe70Co30)を作成した。実施例1と同様にして求めた粒子サイズDを第3表に示す。続いて、実施例5と同様の手順による圧粉成型によって、リングコアを形成した。得られたリングコアの飽和磁束密度(B)、抵抗値、10MHzにおける透磁率(μ)を測定した。結果を第3表に示す。
【0056】
<比較例3>
実施例1と同様の手順によって、未被覆のFe70Co30の磁性金属微粒子を作成した。実施例1と同様にして求めた粒子サイズDを第3表に示す。続いて、実施例5と同様の手順による圧粉成型によって、リングコアを形成した。得られたリングコアの飽和磁束密度(B)、抵抗値、10MHzにおける透磁率(μ)を測定した。結果を第3表に示す。
【0057】
<比較例4>
平均粒径54μmのFe70Co30の磁性金属粒子を用いたことを除いて実施例5と同様の手順による圧粉成型によって、リングコアを形成した。得られたリングコアの飽和磁束密度(B)、抵抗値、10MHzにおける透磁率(μ)を測定した。結果を第3表に示す。
【0058】
【表3】

【0059】
<評価4>
リングコア中の粒子充填率を示す指標として、B/BFeCoを用いた。粒子サイズDがナノメートルオーダーである実施例5および6において、B/BFeCoは90%以上の数値を示し、リングコア中の粒子充填率が高いことが分かる。また、粒子サイズDがナノメートルオーダーである比較例3のB/BFeCoは70%に低下した。この原因の1つは、非磁性被膜を持たないために、微粒子作成直後に大気中で微粒子が酸化されて飽和磁束密度が低下しているためと考えられる。また、粒子サイズDがマイクロメートルオーダーである比較例4のB/BFeCoは53%にまで低下した。この要因は、前述の大気中での粒子の酸化による飽和磁束密度の低下に加えて、粒子サイズDが増大したことによって粒子充填率が低下したことであると考えられる。
【0060】
比較例4のリングコアに比較して、実施例5および比較例3のリングコアは低い抵抗値を示した。これは、粒子充填率の向上によって、微粒子間の空隙が少なくなったためである。一方、Siを添加することによって抵抗率を増大させた非磁性被膜を有する被覆磁性金属微粒子を用いた実施例4のリングコアは、高い粒子充填率(B/BFeCo=91%)にもかかわらず、250Ωという非常に高い抵抗値を示した。このことから、非磁性被膜の抵抗率を制御することによって、被覆磁性金属微粒子から形成される磁気部品の抵抗値を制御できることが分かる。
【0061】
また、比較例4のリングコアは、10MHzにおける透磁率(μ)が非常に小さく、高周波数領域での使用に適していないことが分かる。これは、前述の大気中での粒子の酸化による飽和磁束密度が低下していること、および粒子充填率が低いことに加えて、粒子サイズDがマイクロメートルオーダーであるために、粒子内部に磁区が形成されて磁化機構が磁壁移動型となり拘束スイッチング動作に対応できていないためと考えられる。さらに、比較例3のリングコアは、粒子サイズDがナノメートルオーダーの微粒子を用いていることによって微粒子内部の磁区の形成が抑制され、比較例4のリングコアよりも高い透磁率(μ)を示した。しかしながら、抵抗値が小さいために鉄損の影響を受けて、透磁率(μ)の向上が抑制されていると考えられる。これに対して、実施例5および6のリングコアは非常に高い透磁率(μ)を示した。これは、非磁性被膜を形成することによって微粒子を構成する磁性金属の大気による酸化の影響が低減され、材料本来の高い透磁率が発現したためと考えられる。特に、抵抗率の高いPt−Si非磁性被膜を有する被覆磁性金属微粒子を用いた実施例6においては、抵抗値の増大によって鉄損低減の効果が得られ、非常に優れた透磁率(μ)を有するリングコア(磁気部品)が得られた。
【符号の説明】
【0062】
10 磁性金属微粒子
20 非磁性被膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性金属からなる磁性金属微粒子を形成する工程と、
該磁性金属微粒子を回転、撹拌または振動させながら、ドライプロセスを用いて該磁性金属微粒子の表面に非磁性被膜を形成する工程と
を含むことを特徴とする被覆磁性金属微粒子の製造方法。
【請求項2】
前記非磁性被膜を形成する工程を、多角柱の軸が水平方向を向いている多角柱形状のチャンバーの側面に該磁性金属微粒子を配置し、外部磁界を印加し、かつ多角柱の軸を中心として該チャンバーを回転させながら実施することを特徴とする請求項1に記載の被覆磁性金属微粒子の製造方法。
【請求項3】
該外部磁界が該磁性金属微粒子に対して重力とほぼ平行な方向の吸引力を及ぼすことを特徴とする請求項2に記載の被覆磁性金属微粒子の製造方法。
【請求項4】
該ドライプロセスが、スパッタ法、CVD法、および蒸着法からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の被覆磁性金属微粒子の製造方法。
【請求項5】
該ドライプロセスが、該磁性金属微粒子の表面酸化であることを特徴とする請求項1に記載の被覆磁性金属微粒子の製造方法。
【請求項6】
該磁性金属が、Fe、CoおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含むことを特徴とする請求項1に記載の被覆磁性金属微粒子の製造方法。
【請求項7】
該非磁性被膜がPt、PdおよびCからなる群から選択される少なくとも1種の材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の被覆磁性金属微粒子の製造方法。
【請求項8】
該非磁性被膜が、2nm以上の膜厚を有することを特徴とする請求項1に記載の被覆磁性金属微粒子の製造方法。
【請求項9】
該被覆磁性金属微粒子が、1〜1000nmの粒子サイズを有することを特徴とする請求項1に記載の被覆磁性金属微粒子の製造方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の方法を用いて、被覆磁性金属微粒子を製造する工程と、
該被覆磁性金属微粒子を圧縮成型して磁気部品を形成する工程と
を含むことを特徴とする磁気部品の製造方法。
【請求項11】
該圧縮成型工程を、直圧加圧法および静水圧加圧法からなる群から選択される方法によって実施することを特徴とする請求項10に記載の磁気部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−174721(P2012−174721A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32134(P2011−32134)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】