説明

磁性粒子溶液の攪拌装置

【課題】本発明は、溶液に含まれる磁性粒子の分散が斑なく効率良く混ぜることができる磁性粒子溶液の攪拌装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、磁性粒子を含む溶液を磁性粒子溶液容器内でかき混ぜる攪拌体を備える磁性粒子溶液の攪拌装置において、攪拌体は、攪拌回転軸と、前記攪拌回転軸に設けた放射方向の延びが大きい攪拌翼および同方向の延びが小さな攪拌翼を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
磁性粒子を固相として用いる免疫分析や遺伝子分析等において、磁性粒子を含む溶液の分散性を効率的に向上させるための磁性粒子溶液の攪拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁性粒子を利用する分析方法は医療分野やバイオテクノロジー分野等において広く普及している。このうち例えば医療分野においては血液等を試料として用いる免疫分析があげられる。
【0003】
免疫分析は免疫学的な特異的結合によって標的物質を高感度に測定する方法であり、放射性同位元素を標識物質として用いるRIA(放射免疫測定)、酵素を用いるEIA(酵素免疫測定)、化学発光物質を用いるECLIA(電気化学発光免疫測定)等がある。これらの分析は極微量の標的物質を高感度に検出するために、特異的親和性を有する抗原或いは抗体を磁性粒子の表面に固相化して、免疫学的な特異的結合によって標的物質を固相に結合させて、標的物質以外の物質を含む液相から選択的に磁気的に分離濃縮した後に検出するものが一般的である。
【0004】
また例えばバイオテクノロジー分野においては遺伝子分析がある。遺伝子分析は、遺伝子がグアニジン等のカオトロピック試薬の存在下においてシリカと特異的に結合する特性を利用する方法であり、表面をシリカでコーティングした磁性粒子を、遺伝子とカオトロピック試薬を含む溶液に投入し、遺伝子を磁性粒子の表面に結合させて、遺伝子を単離精製する方法である。
【0005】
そして、これらの分析方法においては、磁性粒子の自然沈降と自己凝集を解消した均一な粒子数と粒子径を有する磁性粒子溶液を反応系に投入することが、磁性粒子と標的物質の反応性を向上させて高精度な分析結果を得るために極めて重要である。従って、磁性粒子を用いる一般的な化学分析装置では、磁性粒子溶液を反応系に投入する直前に、磁性粒子溶液を攪拌棒等によって攪拌する機能を備えている。本発明は、この攪拌する機能を提供する磁性粒子溶液の攪拌装置の改良に係る。
【0006】
【特許文献1】特表平10−504895号公報
【特許文献2】国際公開W097/31105号公報
【特許文献3】特開2008−2959号公報
【特許文献4】特開2007−271411号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
磁性粒子の沈降と凝集を解消するための接触式の攪拌方法としては、スクリュー型、パドル型、タービン型等の攪拌子を備える攪拌棒を磁性粒子溶液に挿入し、これを回転させて溶液を攪拌する磁性粒子溶液の攪拌装置に関連するものは、例えば、特表平10−504895号公報、国際公開W097/31105号公報、特開2008−2959号公報、特開2007−271411号公報に記載されている。
【0008】
しかしながら、本方法においては、(1)分析スループット向上のための攪拌時間短縮、(2)攪拌体に付着する磁性粒子溶液の持ち出し量、および洗浄液の磁性粒子入り溶液への持ち込み量低減のための攪拌子表面積低減、(3)磁性粒子入り溶液の蒸発濃縮抑制と外環境からの汚染物質混入リスク低減のための溶液容器の開口部径低減に伴う攪拌体の長径低減(サイズの径小化)、等の制約の下において、磁性粒子の沈降と凝集を解消し得る十分な攪拌性能を維持することが困難となっている。
【0009】
即ち、攪拌体の表面積と長径(サイズの径大)を維持したままに、磁性粒子を含む溶液の攪拌効率を向上させることが要求されている。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑み、溶液に含まれる磁性粒子の分散が斑なく効率良く混ぜることができる磁性粒子溶液の攪拌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、磁性粒子を含む溶液を磁性粒子溶液容器内でかき混ぜる攪拌体を備える磁性粒子溶液の攪拌装置において、攪拌体は、攪拌回転軸と、前記攪拌回転軸に設けた放射方向の延びが大きい攪拌翼および同方向の延びが小さな攪拌翼を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、磁性粒子を含む溶液を磁性粒子溶液容器内でかき混ぜる攪拌体を備える磁性粒子溶液の攪拌装置において、攪拌体は、攪拌回転軸と、前記攪拌回転軸に設ける攪拌翼を有し、攪拌回転軸は旋回運動をしながら自転回動をすることを特徴とする。
【0013】
更に本発明は、上記攪拌翼において攪拌回転軸の下端側に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、大小の攪拌翼で溶液容器内の中央から外周及ぶ広範囲に亘って攪拌されるので、磁性粒子の分散が斑なく効率良く行われる。
【0015】
また、攪拌回転軸は旋回運動をしながら自転回動するので、攪拌翼で溶液容器内の中央から外周及ぶ広範囲に亘って攪拌されるので、磁性粒子の分散が斑なく効率良く行われる。
【0016】
更に攪拌回転軸の下端側に設けた攪拌翼が溶液容器内の内底側で、攪拌回転して上下方向に流れる循環流を作られるので、磁性粒子の分散が斑なく効率良く行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施例について、以下に図面を引用して詳細に説明する。
【0018】
まず、図1に示すところの本発明に係る溶液の攪拌装置を備えた化学分析装置の概要から述べる。
【0019】
化学分析装置100において、サンプル搬送ライン115ではサンプル103をサンプル分注ピペッタ116の近傍であるサンプル分注位置まで搬送する。
【0020】
サンプル分注チップ・反応容器搬送機構105は、サンプル分注チップ・反応容器廃棄孔101、サンプル分注チップバッファ102、反応液攪拌機構104、サンプル分注チップ・反応容器106、インキュベータディスク107の一部の上部の範囲内をX,Y,Z軸の3軸方向に移動可能であり、サンプル分注チップ・反応容器106から反応容器をインキュベータディスク107へ、サンプル分注チップをサンプル分注チップバッファ102へ移動させる。
【0021】
サンプル分注ピペッタ116はサンプル分注チップが設置されたサンプル分注チップバッファ102の上部に移動して、サンプル分注チップを装着し、サンプル上部に移動してサンプルを吸引し、インキュベータディスク107の反応容器上部に移動し、サンプルを吐出し、サンプル分注チップ・反応容器廃棄孔の上部に移動して、サンプル分注チップを廃棄する。インキュベータディスク107は複数の反応容器を保持可能であり、回転運動によってこれら反応容器を円周上の所定の位置へ移動させる。
【0022】
試薬ディスク112は、磁性粒子溶液容器を含む複数の試薬容器111を載置する。これらの試薬容器111に試薬が保持される。試薬ディスク112の回転運動によってこれら試薬容器111を円周上の所定の位置へ移動させる。
【0023】
試薬分注ピペッタ110は試薬ディスク112における所定の試薬容器111の上部に移動し、所定量の試薬を試薬容器111から吸引し、インキュベータにおける所定の反応容器上部に移動し、試薬を反応容器内に吐出する。
【0024】
水平垂直移動機構の磁性粒子攪拌アーム108(腕部)は試薬ディスク112における所定の磁性粒子溶液容器の上部に移動し、磁性粒子攪拌アーム108に備えられる磁性粒子攪拌子(攪拌体)を下降、回転させて、磁性粒子溶液容器内の磁性粒子溶液を攪拌する。磁性粒子溶液は自然沈降を解消するために分注直前に攪拌する。攪拌後、磁性粒子攪拌アーム108は洗浄水を備える洗浄槽109の上部に移動し、磁性粒子攪拌子を下降、回転させて、攪拌子に付着する磁性粒子を含む磁性粒子溶液を洗浄除去する。磁性粒子溶液に含まれる磁性粒子は、粒径が0.5μm〜10μmである。
【0025】
反応液吸引ノズル113はサンプル及び所定の試薬が分注され、所定の反応時間を経た反応容器中の反応溶液を吸引し、検出部114に送液する。検出部114は反応溶液を分析する。サンプル分注チップ・反応容器搬送機構105は分析後の反応容器をサンプル分注チップ・反応容器廃棄孔の上部に移動して、サンプル分注チップを廃棄する。
【0026】
以上の動作を複合及び反復することにより複数サンプルに対する複数項目の分析が効率的に実施され得る。
【0027】
次に本発明の主要部である磁性粒子溶液の攪拌装置に関して図2〜図6を引用して説明する。
【0028】
まず、図2に沿って攪拌装置の構造から述べる。
【0029】
攪拌装置200は、攪拌体202を回す攪拌体駆動部800と、攪拌体駆動部800を水平方向および水平方向に移動させる水平垂直移動機構部900を有する。攪拌体駆動部800は、攪拌体202を把持するチャック801を有する。
【0030】
また、攪拌体駆動部800は、図6の略図に示すように、公転駆動部802と、自転回転部803と、公転駆動部802に自転回転部803を支持する支持腕804を有する。自転回転部803の自転軸には、攪拌体202を把持するチャック801が設けられので、自転軸の軸心と攪拌体202の軸心は同心になる。
【0031】
公転駆動部802の公転軸は、公転用の駆動モータで回される。自転回転部803の自転軸は、自転用の駆動モータで回される。自転軸の軸心と公転軸の軸心は支持腕804の長さはなれている。攪拌体202は、公転軸から支持腕804の長さ離れた円軌道上を旋回しながら自転軸を中心とする回転動作をする。
【0032】
水平垂直移動機構部900は、図2に示すように、上下移動および回動自在なる上下に延びる枢軸901と、枢軸901を上下移動および回動駆動する上下動回動駆動部902と、枢軸901の上端側に設けられ、枢軸901からラジアル方向に離れた端側に攪拌体回転駆動部800を支持する磁性粒子攪拌アーム108(腕部)を有する。
【0033】
攪拌装置200は、水平垂直移動機構部900を、磁性粒子容器を水平移動させる試薬ディスク112と同期作動させて、磁性粒子攪拌アーム108(腕部)の先に垂下する攪拌体202を磁性粒子容器の開口部上部へ水平移動させる。次いで攪拌体202を垂直下降させることにより磁性粒子容器に攪拌体202を挿入し、攪拌体202を回転駆動させることにより磁性粒子溶液の攪拌を行う。
【0034】
攪拌終了後は、水平垂直移動機構部900を作動させて攪拌体202を垂直上昇させることにより磁性粒子容器から攪拌体202を出す。次いで攪拌体202を攪拌子洗浄槽の上部へ水平移動させ、次いで攪拌体202を垂直下降させることにより攪拌棒を洗浄槽に挿入し、攪拌体202を回転駆動させることにより攪拌体202の洗浄を行う。洗浄後は同様の動作にて水平垂直移動機構部900の磁性粒子攪拌アーム108(腕部)を初期位置に戻す。
【0035】
引き続き、図3を引用して磁性粒子容器と攪拌体について説明する。
【0036】
磁性粒子容器300は、上に開口部350を有する。開口部350はφ11mm、内径はφ18mmである。磁性粒子溶液の蒸発濃縮抑制や外環境からの汚染物質混入リスク低減では溶液容器の開口部径低減が望ましいが、攪拌体の長径低減(サイズの径小化)の面では不都合である。
【0037】
一方、攪拌体202は、攪拌回転軸250と、攪拌回転軸250の下端に設けた大きい攪拌翼302および小さな攪拌翼303を有する。この攪拌翼302、303は対称の位置に設けられているが、大きさでは非対称である。攪拌翼は、3枚または4枚でも良い。大きさは、大きいサイズから小さいサイズに亘って揃えるのが望ましい。攪拌翼は、磁性粒子容器300の内底部に3mm程度まで接近させて置く。
【0038】
この実施例では、放射方向の延びが大きい攪拌翼302は翼長が5.5mm、延びが小さい攪拌翼は翼長が1.5である。攪拌翼302、303に跨る攪拌翼の全長は7mmである。前記開口部350がφ11mmであるので、攪拌体202を磁性粒子容器300に挿入するときには、片側2mm(合計4mm)の隙間が確保させる。この程度の隙間があるので、攪拌体202を開口部350の口縁に触れずに挿入することができる。
【0039】
さて、攪拌体202の回転により、磁性粒子溶液の攪拌が行われる。大きい攪拌翼302および小さな攪拌翼303の形状と磁性粒子溶液の重量が関係して次のような撹拌になる。
【0040】
(1)攪拌体の旋回しながらの回転により効率的に下層と上層の溶液が混合する上下方向に流れる上下循環流を生じ、沈降した磁性粒子が流動して効率よく斑なく全体に分散する。すなわち、攪拌翼の回転で磁性粒子溶液は中心から外周方向に送られるので、磁性粒子容器300の中央では下降する下降流が、外周側では上昇する上昇流が生じて上下循環流になる。また、上下循環流は、攪拌翼を磁性粒子溶液容器の内底部側に置くことにより、上下高さ方向の全体に亘る循環流になり、磁性粒子の分散が上下高さ方向全体に及ぶ。また、放射方向の延びが大きい攪拌翼302と放射方向の延びが小さい攪拌翼で磁性粒子溶液容器内の中央から外周及ぶ広範囲に亘って磁性粒子溶液が攪拌され、磁性粒子の分散が斑なく効率良く行われる。
【0041】
(2)攪拌翼の旋回により最大速度を与えた磁性粒子に対して近接する磁性粒子溶液容器底面及び側面との作用により最大限の速度ベクトル変化を与えて磁性粒子の凝集を効果的に解消する。
【0042】
(3)磁性粒子溶液中での回転時における攪拌棒の軸ぶれを排除し得るよう設計されている。
【0043】
さらに、図4、図5を引用して攪拌体の磁性粒子溶液容器への挿入、および大小攪拌翼302、303を有する攪拌体が旋回しながら回転して撹拌する機能について説明する。
【0044】
発明が解決しようとする課題で述べたように、磁性粒子入り溶液の蒸発濃縮抑制と外環境からの汚染物質混入リスク低減のための溶液容器の開口部径低減に伴う攪拌体の長径低減(サイズの径小化)、等の制約の下において、磁性粒子の沈降と凝集を解消し得る十分な攪拌性能を維持することが困難になる課題がある。
【0045】
この課題に応えるために、大小攪拌翼302、303を有する攪拌体202が旋回しながら回転して撹拌するようにした。
【0046】
図4に示すように、大小攪拌翼302、303を有する攪拌体202の攪拌回転軸250の軸心が磁性粒子溶液容器に設けられた開口部内壁401の中心に対して2.0mm偏芯する位置を保って磁性粒子溶液容器の中底面に近接するまで挿入する。上記2.0mm偏芯をしないで、攪拌回転軸250の軸心を開口部内壁401の中心にすると、大きい攪拌翼302の外周端が開口部内壁401の縁部に接触するなどして磁性粒子溶液容器内に攪拌体202が挿入できなくなる。
【0047】
開口部内壁401の口径を拡大すると、攪拌体202の挿入は可能になるが、口径拡大に伴う磁性粒子入り溶液の蒸発濃縮抑制と外環境からの汚染物質混入リスクを増加する不具合が顕著になる。
【0048】
したがって、大小攪拌翼302、303を有する攪拌体202の攪拌回転軸250の軸心が磁性粒子溶液容器に設けられた開口部内壁401の中心に対して偏芯する位置を保って磁性粒子溶液容器内に挿入するのが、攪拌翼の開口部内壁401への接触や溶液の蒸発濃縮抑制ないし汚染物質混入リスクを回避するのに好適である。
【0049】
引き続き、攪拌体202を、図5に示すように、大攪拌翼302の外周先端が磁性粒子溶液容器の内壁面400に近接し得るように、攪拌回転軸250の軸心が開口部内壁401の中心に対して3.0mm偏芯する位置まで移動させる。図5中の小さい点線円501は、前述した攪拌体駆動部800に備わる公転駆動部802の公転軸の軸心が公転で描く旋回軌道である。大きな点線円500は、攪拌体202の自転回転で大きい攪拌翼302の外周端が描く回動軌跡である。
【0050】
大小攪拌翼302、303は、小さい点線円501の旋回軌道を旋回しながら攪拌回転軸250の軸心を中心として回転する。つまり、大小攪拌翼302、303は、旋回しながら自転回転する。この旋回および自転回転で、大攪拌翼302の外周端は磁性粒子溶液容器の内壁面400に近接したり、離間したりしながら磁性粒子溶液容器内を移動回転して磁性粒子溶液を攪拌する。また、小攪拌翼302は、磁性粒子溶液容器の中央で旋回しながら自転回転して磁性粒子溶液を攪拌する。この大小攪拌翼302、303は、旋回しながら自転回転により、磁性粒子溶液容器内の磁性粒子溶液は、全体に亘って斑なく効率よく攪拌される。
【0051】
このように、放射方向の延びが大きい攪拌翼および同方向の延びが小さな攪拌翼をもつ攪拌体を旋回させながら自転回転させて磁性粒子溶液を攪拌させるようにしたので、溶液容器の開口部内壁の大きくしなくても攪拌体の挿入が行われ、磁性粒子溶液容器内の磁性粒子溶液は、全体に亘って斑なく効率よく攪拌できるのである。
【0052】
水平垂直移動機構部900は攪拌体を磁性粒子溶液容器内に挿入したり、抜き出したりする作動をする。また、水平垂直移動機構部900は、磁性粒子溶液容器内に挿入した攪拌体が旋回しながら自転回転する際に大きい攪拌翼の外周端が磁性粒子溶液容器の内周面に接触しない程度に近接させるように攪拌体を水平方向に運んで調整される。
【0053】
この攪拌体を水平方向に運ぶ調整では、磁性粒子溶液容器が載置された試薬ディスクを回転させて磁性粒子溶液容器を水平移動させる移動運動を組み合わせることにより、磁性粒子溶液容器の内周面に大きい攪拌翼の外周端が近接する適切な位置を調整できる。
【0054】
次に攪拌体、および磁性粒子溶液容器の寸法比について説明する。
【0055】
磁性粒子溶液容器の開口部内壁の口径をaとする。攪拌体は、攪拌回転軸と、この攪拌回転軸から放射方向に延びる大(長)・小(短)二つの攪拌翼を有する。二つの攪拌翼間の長さをbとする。大(長)の攪拌翼の放射方向長さをcとする。小(短)の攪拌翼の放射方向長さをdとする。大(長)・小(短)の攪拌翼の長さは、c≧dである。ただし大(長)の攪拌翼の放射方向長さcは、磁性粒子溶液容器内の半径eと同等以下(e≧c)とする。
【0056】
このような大(長)・小(短)の攪拌翼を備える攪拌体を磁性粒子溶液容器の底面に近接するまで挿入した後、攪拌体が旋回しながら自転回転する時に大(長)の攪拌翼が外周先端が磁性粒子溶液容器内壁に近接し得る位置まで攪拌体を移動させて回転を開始させる。これにより、大(長)の攪拌翼は最大旋回半径cにおいて、磁性粒子溶液容器の内底面及び内側面に近接した状態で回転し、磁性粒子溶液を攪拌する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施例に係るもので、磁性粒子溶液の攪拌装置を備える化学分析装置の全体構成を示す図である。
【図2】本発明の実施例に係るもので、磁性粒子溶液の攪拌装置を示す図である。
【図3】本発明の実施例に係るもので、攪拌体及び磁性粒子溶液容器を示す縦断面である。
【図4】本発明の実施例に係るもので、攪拌体を磁性粒子溶液容器に挿入した状態の上かから見た上面図である。
【図5】本発明の実施例に係るもので、攪拌体を磁性粒子溶液容器に挿入し、攪拌体が旋回しながら自転回転する時に大攪拌翼の外周先端が磁性粒子溶液容器の内壁面に近接し得るように攪拌体を移動させた状態を上から見た上面図である。
【図6】本発明の実施例に係るもので、公転駆動部と自転回転部を含む攪拌体駆動部を簡単に示した略図である。
【符号の説明】
【0058】
100…化学分析装置
101…サンプル分注チップ・反応容器廃棄孔
102…サンプル分注チップバッファ
103…サンプル
104…反応液攪拌機構
105…サンプル分注チップ・反応容器搬送機構
106…サンプル分注チップ・反応容器
107…インキュベータディスク
108…磁性粒子攪拌アーム
109…洗浄槽
110…試薬分注ピペッタ
111…試薬容器
112…試薬ディスク
113…反応液吸引ノズル
114…検出部
115…サンプル搬送ライン
116…サンプル分注ピペッタ
200…攪拌装置
202…攪拌体
250…攪拌回転軸
300…磁性粒子溶液容器
350…磁性粒子溶液容器の開口部
302…大きい攪拌翼
303…小さな攪拌翼
400…磁性粒子溶液容器の内壁面
401…磁性粒子溶液容器の開口部内壁
500…大きな点線円
501…小さい点線円
800…攪拌体駆動部
801…チャック
802…公転駆動部
803…自転回転部
804…支持腕
900…水平垂直移動機構部
901…枢軸
902…上下動回動駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性粒子を含む溶液を磁性粒子溶液容器内でかき混ぜる攪拌体を備える磁性粒子溶液の攪拌装置において、
前記攪拌体は、攪拌回転軸と、前記攪拌回転軸に設けた放射方向の延びが大きい攪拌翼および同方向の延びが小さな攪拌翼を有することを特徴とする磁性粒子溶液の攪拌装置。
【請求項2】
磁性粒子を含む溶液を磁性粒子溶液容器内でかき混ぜる攪拌体を備える磁性粒子溶液の攪拌装置において、
前記攪拌体は、攪拌回転軸と、前記攪拌回転軸に設ける攪拌翼を有し、
前記攪拌回転軸は旋回運動をしながら自転回動をすることを特徴とする磁性粒子溶液の攪拌装置。
【請求項3】
磁性粒子を含む溶液を磁性粒子溶液容器内でかき混ぜる攪拌体を備える磁性粒子溶液の攪拌装置において、
前記攪拌体は、攪拌回転軸と、前記攪拌回転軸に設けた放射方向の延びが大きい攪拌翼および同方向の延びが小さな攪拌翼を有し、
前記攪拌回転軸は旋回運動をしながら自転回動をすることを特徴とする磁性粒子溶液の攪拌装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つに記載された磁性粒子溶液の攪拌装置において、
前記攪拌翼は前記攪拌回転軸の下端側に設けたことを特徴とする磁性粒子溶液の攪拌装置。
【請求項5】
磁性粒子を含む溶液を磁性粒子溶液容器内でかき混ぜる攪拌体と、前記攪拌体を回転駆動する攪拌体回転駆動部と、前記攪拌体を水平方向および垂直移動させる水平垂直移動機構部を備える磁性粒子溶液の攪拌装置において、
前記攪拌体は、攪拌回転軸と、前記攪拌回転軸に設ける攪拌翼を有し、
前記攪拌体回転駆動部は、前記攪拌回転軸を旋回運動させながら自転回動させる攪拌体駆動機構を備えることを特徴とする磁性粒子溶液の攪拌装置。
【請求項6】
請求項5に記載された磁性粒子溶液の攪拌装置において、
前記水平垂直移動機構部は、上下移動および回動自在なる上下に延びる枢軸と、前記枢軸を上下移動および回動駆動する上下動回動駆動部と、前記枢軸の上端側に設けられ、枢軸からラジアル方向に離れた端側に前記攪拌体回転駆動部を支持する腕部を有することを特徴とする磁性粒子溶液の攪拌装置。
【請求項7】
請求項5に記載された磁性粒子溶液の攪拌装置において、
前記攪拌体駆動機構は、公転軸と、自転軸と、前記公転軸に設けられ前記自転軸を支持する支持腕を有し、前記自転軸と前記攪拌体の軸心が同心的であることを特徴とする磁性粒子溶液の攪拌装置。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか一つに記載された磁性粒子溶液の攪拌装置において、
前記攪拌体は、攪拌回転軸と、前記攪拌回転軸に設けた放射方向の延びが大きい攪拌翼および同方向の延びが小さな攪拌翼を有することを特徴とする磁性粒子溶液の攪拌装置。
【請求項9】
請求項5〜7のいずれか一つに記載された磁性粒子溶液の攪拌装置において、
前記攪拌体の攪拌翼は、前記攪拌回転軸の下端に設けたことを特徴とする磁性粒子溶液の攪拌装置。
【請求項10】
請求項5〜9のいずれか一つに記載された磁性粒子溶液の攪拌装置において、
前記攪拌回転軸が旋回運動しながら自転回動する作動では、前記攪拌翼が前記溶液容器の内面に近接離間を繰り返しながら同内面に沿うように移動して溶液のかき混ぜをすることを特徴とする磁性粒子溶液の攪拌装置。
【請求項11】
請求項5〜9のいずれか一つに記載された磁性粒子溶液の攪拌装置において、
前記攪拌回転軸が旋回運動しながら自転回動する作動で前記攪拌体の前記攪拌翼が前記溶液容器の内面に接触したい程度まで近づけるように前記水平垂直移動機構部を水平方向に移動させて前記攪拌体を運ぶことを特徴とする磁性粒子溶液の攪拌装置。
【請求項12】
請求項9に記載された磁性粒子溶液の攪拌装置において、
前記攪拌体の前記攪拌翼が前記溶液容器の内底面に接触したい程度まで近づけるように前記水平垂直移動機構部を下方向に移動させて前記攪拌体を運ぶことを特徴とする磁性粒子溶液の攪拌装置。
【請求項13】
請求項5〜11、および12のいずれか一つに記載された磁性粒子溶液の攪拌装置において、
前記溶液容器を載置して水平方向に移動自在なる溶液容器ディスクを備え、
前記攪拌回転軸が旋回運動しながら自転回動する作動で前記攪拌体の前記攪拌翼が前記溶液容器の内面に接触したい程度まで近づく接近が溶液容器の内周で多く行き渡るように前記水平垂直移動機構部と溶液容器ディスクの水平移動を相互に調整することを特徴とする磁性粒子溶液の攪拌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−101677(P2010−101677A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271690(P2008−271690)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】