説明

磁気センシング方法、原子磁気センサ、及び磁気共鳴イメージング装置

【課題】 原子磁気センサの測定周波数帯域を広げる。
【解決手段】 セル内に包含されている原子群に対して、円偏光成分を有するポンプ光と直線偏光成分とを有するプローブ光とが交差領域を有するように照射し、前記セルを通過する前後での前記プローブ光の偏光面の回転角を利用した磁気センシング方法を改良する。前記ポンプ光が前記交差領域に入射する方向の磁場に勾配を付与した状態で、前記ポンプ光と前記プローブ光を照射して、前記セルを通過する前後での該プローブ光の偏光面の回転角に関する情報を取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気センシング方法、原子磁気センサ、及び磁気共鳴イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アルカリ金属蒸気のスピンを利用した原子磁気センサが提案されている。
【0003】
特許文献1では、円偏光用光源とプローブ光用光源とを備えた、高感度な原子磁気センサが提案されている。また、非特許文献1において、共鳴現象を利用して核磁気共鳴(NMR)信号やRF信号を検出する原子磁気センサが示されている。更にまた、特許文献2では、遠隔検出技術と一光路型の原子磁気センサを用いた磁気共鳴イメージング(MRI)装置が提案されている。
【特許文献1】米国特許第7,038,450号明細書
【非特許文献1】Phys.Rev.Lett.94、123001(2005)
【特許文献2】米国特許第7,061,237号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の共鳴現象を利用している共鳴型原子磁気センサは、磁場信号の変化に対して大きなファラデー角の変化を得ることができる一方で、測定帯域が共鳴のバンド幅程度に狭いという問題がある。
【0005】
特に、最適な感度に対応した測定帯域は1kHz程度であり、いわゆるB磁場が1.5T程度の通常の磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)に使用される測定帯域(32kHz)に比べ、極端に狭い。
【0006】
磁気センサとしての測定周波数帯域が狭く、周波数エンコーディングに使用し得る周波数帯域が狭いと、化学シフトアーチファクトによって、画像が乱れるなどして、良好な画質が得られなくなることが考えられる。なお、この化学シフトアーチフェクトは、水と脂肪族とにおける夫々のプロトンの周波数シフトの差に起因するといわれている。
【0007】
そこで、本発明は、従来よりも測定周波数帯域を広げることができる磁気センシング方法、当該磁気センシングを行うための原子磁気センサ、及び磁気共鳴イメージング装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明に係る磁気センシング方法は、
セル内に包含されている原子群に対して、円偏光成分を有するポンプ光と直線偏光成分とを有するプローブ光とが交差領域を有するように照射し、前記セルを通過する前後での前記プローブ光の偏光面の回転角の変化を利用した磁気センシング方法であって、
前記ポンプ光が前記交差領域に入射する方向の磁場に勾配を付与した状態で、前記ポンプ光と前記プローブ光を照射して、前記セルを通過する前後での該プローブ光の偏光面の回転角の変化に関する情報を取得することを特徴とする。
【0009】
第2の本発明に係る磁気共鳴イメージング装置は、前記磁気センシング方法を行う原子磁気センサと、前記交差領域に前記勾配を付与するための磁場とは異なる傾斜磁場を与える傾斜磁場発生用コイルと、静磁場発生用コイルと、被検査物に電磁波を照射するためのRFコイルとを有することを特徴とする。
【0010】
第3の本発明に係る原子磁気センサは、
セルと、該セルに包含されている原子群と、円偏光成分を有するポンプ光を出力する為の光源と、直線偏光成分を有するプローブ光とを出力するための光源とを含み構成される原子磁気センサであって、
hをプランク定数、gをg因子、Rをポンピングレート、RSDをスピン緩和レート、μをボーア磁子とするときに、
4h(RSD+R)/(gμ)以上の磁場強度差のある磁場勾配を、前記ポンプ光と前記プローブ光との交差領域に印加するための磁場印加手段を有することを特徴とする。
【0011】
第4の本発明に係る磁気共鳴イメージング装置は、前記原子磁気センサを受信センサとして用いることを特徴とする。
【0012】
また、別の本発明は、円偏光用光源とプローブ光用光源と、アルカリ金属蒸気とを用いた原子磁気センサであって、アルカリ金属蒸気と該アルカリ金属蒸気を封入したセルと該セルに磁場勾配を印加する手段とを有する。そして、hをプランク定数、gをg因子、Rをポンピングレート、RSDをスピン緩和レート、μをボーア磁子とするときに、円偏光とプローブ光との交差体積にわたって、4h(RSD+R)/(gμ)以上の磁場強度差のある磁場勾配を印加することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上述の本発明は、原子磁気センサに印加されるバイアス磁場強度を空間的に変化させて、原子磁気センサの共鳴中心周波数が当該バイアス磁場により変化する現象を利用する。当該現象の利用により、原子磁気センサとしての測定帯域を広げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
共鳴型の原子磁気センサの中心周波数fは、通常、図1のz軸に印加するバイアス磁場をB[T]とした場合に、f=gμB/(Qh)で表されることが知られている。
【0015】
本発明者らは、測定周波数帯域の拡大を目指して鋭意検討を進めていた。そして、上記式の全微分を行うと、df=gμdB/(Qh)となるのであるから、dBなる磁場強度差のある磁場勾配を作れば、測定周波数帯域を拡大できるという認識に初めて至った。
【0016】
そして、以下の実施形態に代表される本発明を成すに至っている。以下、磁気センシング方法、原子磁気センサ、及び磁気共鳴イメージング装置に分けて、それぞれ説明する。
【0017】
(第1の実施形態:磁気センシング方法)
本実施形態に係る磁気センシングに関する発明は、以下の特徴を有する。
【0018】
具体的には、セル内に包含されている原子群(原子集団)に対して、円偏光成分を有するポンプ光と直線偏光成分とを有するプローブ光とが交差領域(あるいは交差幅)を有するように照射する。そして、前記セルを通過する前後での前記プローブ光の偏光面の回転角の変化(偏光方向の回転角の変化ともいえる。)を利用した磁気センシングを行う。ここで、前記ポンプ光が前記交差領域に入射する方向の磁場に勾配を付与した状態で、前記ポンプ光と前記プローブ光を照射して、前記セルを通過する前後での該プローブ光の偏光面の回転角の変化に関する情報を取得する。
【0019】
A:セル
セルはガラスやプラスチックなどプローブ光やポンプ光を透過し得る材料から構成される。当該セル内には、原子群あるいは原子集団として、アルカリ金属(KやRbなど)がガス状態で包含される。勿論、センシングの際にガス状態(蒸気)となるのであれば、センシングを行なっていない時には、必ずしもガス状態となっている必要はない。例えば、ガラスセルにカリウム金属を入れておき、180℃程度に加熱することで、同ガラスセル内に、カリウム金属の蒸気を充満させることができる。
【0020】
また、セル内に包含される原子群としては、アルカリ金属原子に限らず、上記したセンシング方法を行うことができれば特に材料も限定されない。更に、セル内には、前記原子群の他にバッファーとなるガスを封入しておくこともできる。また、原子群として、K、Rbのほか、これらの原子とスピン交換をし得るXeなども混入させることができる。
【0021】
B:ポンプ光
ポンプ光は、円偏光光自体、即ち実質的に円偏光光だけからなることが望ましいが、本実施形態に係る発明においては、当該円偏光成分を有していれば他の偏光成分を含有していることを除外するものではない。
【0022】
このポンプ光は、原子群を構成する各原子の不対電子のスピンの向きを揃えるために用いられる。具体的には、円偏光ポンピングと呼ばれる現象を用いて、原子のスピンの向きを揃えることができ、右円偏光のポンプ光を用いると、それぞれランダムな向きを持った原子のスピンの向きをポンプ光の進行方向に揃えることができる。なお、左円偏光のポンプ光では、ポンプ光の逆方向に原子のスピンの向きを揃えることができる。
【0023】
このようにスピンの向きを揃えることができるのは、円偏光の光は角運動量を持つため、角運動量保存により、光を吸収しないスピンの向きが存在するからである。一旦励起された原子は、自然放出によりランダムな偏光状態の光を放出し、互いに異なる基底状態を取り得るが、このポンピングを繰り返すことにより、最終的には原子群を構成するそれぞれの原子のスピンの向きを揃えることが可能となる。
【0024】
C:プローブ光
プローブ光は、不必要はポンピングを避けるために、原子の共鳴周波数から離調してあることが望ましい。また、プローブ光は、直線偏光、即ち実質的に直線光光だけからなることが望ましいが、本実施形態に係る発明においては、当該直線偏光成分を有していれば他の偏光成分を含有していることを除外するものではない。
【0025】
そして、このプローブ光と前記ポンプ光とが交差して交差領域を構成するように、両光を照射する。前記プローブ光と前記ポンプ光とは交差すれば特に制限されるものではないが、一般的には、両光が直交するように構成される。
【0026】
偏極している原子群に、直線偏光の光を入射させると、常磁性ファラデー回転と呼ばれる作用により、偏光面が回転することが知られている。具体的には、入射方向に沿って進行しているプローブ光は、測定磁場(ポンプ光(x方向)とプローブ光(z方向)との両方に直交する方向(y方向)の磁場成分)によってトルクを受けてxz面内で回転する。そして、この回転角が原子群のスピンの大きさに比例することが知られている。
【0027】
本実施形態に係る発明においても、前述のポンプ光によって、偏極原子群を形成し、前記セル内の当該原子群に直線偏光のプローブ光を入射させ、セルを通過する前後で、前記プローブ光の偏光面の回転角に関する情報を取得する。例えば、前記プローブ光の偏光面の回転角を測定する。
【0028】
光源に関しては、ポンプ光とプローブ光のそれぞれ個別の光源を用いてもよいし、光源は共通させて、偏光板等を利用することで、円偏光のポンプ光と直線偏光のプローブ光とを作り出すこともできる。なお、ポンプ光とプローブ光を出力するための光源としては、レーザ光源を用いることができる。例えば、セル内の原子群あるいは原子集団としてカリウムを使用する場合には、0.02nmから1nmの範囲で互いに離調された波長が約770nmのレーザ光源を利用できる。
【0029】
D:プローブ光の偏光面の回転角に関する情報の取得
偏光面(あるいは偏光方向)の回転角に関する情報は、例えば、前記セルを通過したプローブ光を偏光板を介してフォトダイオード列で検出することで取得することができる。勿論、偏光面の回転角に関する情報を取得することができるであれば、前記フォトダイオード列による検出手段以外の方法も適宜採用することができる。
【0030】
E:勾配を有する磁場の印加
本実施形態に係る発明においては、前記ポンプ光が前記交差領域に入射する方向の磁場に勾配を付与した状態で、前記ポンプ光と前記プローブ光を照射する。このような磁場勾配を利用することで、共鳴型原子磁気センサの中心周波数f自体にも、勾配をつくることができ、結果として、測定周波数帯域を広げることができることになる。
【0031】
すなわち、本実施形態に係る発明においては、以下のように構成するのがよい。即ち、前記ポンプ光が前記交差領域に入射する方向の磁場に付与される勾配は、当該勾配が付与されていない場合に比べて測定周波数帯域が拡がるように勾配を付与する。例えば、前記ポンプ光が前記交差領域に入射する方向の磁場に付与される勾配は、該勾配が付与されていない場合に比べて測定周波数帯域が2倍以上、好ましくは10倍以上に拡がるように付与することができる。
【0032】
磁気共鳴イメージング装置においては、位置情報をエンコーディングする為に傾斜磁場を用いられる。この傾斜磁場とは異なり、前記ポンプ光が前記交差領域に入射する方向の磁場に付与する勾配は前記セルあるいは前記交差領域に選択的に付与されるものである。つまり、本実施形態における勾配を有する磁場と、磁気共鳴イメージング装置でいうところの傾斜磁場とは相違する。より詳細には、本実施形態における勾配の付与は、ポンプ光が前記交差領域に入射する方向(z方法)の磁場に対して、勾配を付与するものである。そして、この勾配付与の方向は特に制限されるものでない。
【0033】
すなわち、前記ポンプ光が前記交差領域に入射する方向の磁場に付与される勾配は、該ポンプ光が該交差領域へ入射する方向の磁場勾配であってもよい。あるいは、前記プローブ光が前記交差領域へ入射する方向の磁場勾配であってもよい。
【0034】
また、前記ポンプ光と前記プローブ光とが前記交差領域へ入射する方向との両方に垂直な方向の磁場勾配であってもよい。
【0035】
特に、ポンプ光が前記交差領域に入射する方向(z方法)の磁場(バイアス磁場といわれる場合がある。)に対して、当該z方向の勾配を付与する場合は、上記MRI装置における傾斜磁場とは明確に相違する。該MRI装置における傾斜磁場の印加方向は、測定磁場方向であるy方向への磁場印加であるからである。勿論、MRI装置における傾斜磁場のため、あるいは他の目的のために、結果的に前記セルに対して、磁場勾配が付与され、当該勾配が付与されていない場合に比べて、測定周波数帯域が拡大している場合は、本発明に包含される。なお、前記ポンプ光が前記交差領域に入射する方向の磁場に付与される勾配としては、少なくとも以下の3つのパターン、あるいはこれらの組み合わせがあり得る。第1は、該ポンプ光が該交差領域へ入射する方向に磁場勾配を付与する場合である。第2は、前記プローブ光が前記交差領域へ入射する方向に磁場勾配を付与する場合である。第3は、前記ポンプ光と前記プローブ光とが前記交差領域へ入射する方向との両方に垂直な方向に磁場勾配を付与する場合である。
【0036】
前記ポンプ光が前記交差領域に入射する方向に勾配を有する前記磁場は、被検査物には実質的には印加されないことが望ましい。
【0037】
測定周波数を拡大するために印加される前記磁場は、hをプランク定数、gをg因子、Rをポンピングレート、RSDをスピン緩和レート、μをボーア磁子とするときに、前記交差領域に、
4h(RSD+R)/(gμ)以上の磁場強度差のある磁場勾配を付与することが望ましい。
【0038】
また、前記ポンプ光が前記交差領域へ入射する方向の磁場に付与される勾配は、線形状、ステップ状、あるいは曲線状の磁場勾配とすることができる。
【0039】
なお、勾配を有する磁場の印加は、例えば逆ヘルムホルツコイルを利用することで実現することができ、その詳細は、実施例において示している。
【0040】
以上、説明したように、例えば、前記セル内に、前記原子群としてのアルカリ金属原子が包含されておき、そして、円偏光状態の前記ポンプ光と、直線偏光状態の前記プローブ光とは前記交差領域で直交するように入射させる。そして、前記ポンプ光と前記プローブ光との両方に直交する方向の被検査物に基づく磁気成分を、前記プローブ光の偏光面の回転角として測定することにより、磁気センシング方法を実際に行うことができる。
【0041】
(第2の実施形態:原子磁気センサ)
本実施形態に係る原子磁気センサは、セルと、該セルに包含されている原子群と、円偏光成分を有するポンプ光を出力する為の光源と、直線偏光成分を有するプローブ光とを出力するための光源とを含み構成される。
【0042】
そして、hをプランク定数、gをg因子、Rをポンピングレート、RSDをスピン緩和レート、μをボーア磁子とするときに、
4h(RSD+R)/(gμ)[T]以上の磁場強度差のある磁場勾配を、前記ポンプ光と前記プローブ光との交差領域に印加するための磁場印加手段を有することが特徴である。
【0043】
更に、前記セル内に包含されている前記原子群に対して、前記ポンプ光と前記プローブ光とが交差領域を有するように照射して、前記セルを通過する前後での前記プローブ光の偏光面の回転角を測定するための回転角測定手段を組み込むことができる。
【0044】
前記磁場勾配は、前記ポンプ光が前記交差領域に入射する方向の磁場に勾配を付与することができる。特に、前記磁場勾配は、前記交差領域にわたって勾配を有するように構成するのが望ましい。
【0045】
前記原子群としては、アルカリ金属蒸気を用いることができる。
【0046】
磁場勾配における磁場強度差を、前述のように、4h(RSD+R)/(gμ)[テスラ]以上にすれば、原子磁気センサの測定領域を2倍以上にすることができるが、その詳細については、実施例において説明する。
【0047】
なお、本実施形態に係る原子磁気センサにおいては、上述の実施形態1に係る発明において説明した技術事項のすべてが、特に矛盾しない限り、適用することができることはいうまでもない。
【0048】
(第3の実施形態:磁気共鳴イメージング装置)
本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置に関する発明は、以下の構成要素を有することを特徴とする。
【0049】
具体的には、前記第1の実施形態に係る発明において説明した磁気センシング方法を行う原子磁気センサ有する。そして、前記交差領域に磁場勾配を付与するための前記磁場とは異なる傾斜磁場を与える傾斜磁場発生用コイルと、静磁場発生用コイルとを有する。更に、被検査物に電磁波を照射するためのRFコイルとを含み構成される。
【0050】
RF信号を受信するための検出装置(受信センサ)として前述した共鳴型の原子磁気センサを用いること以外は、通常の磁気共鳴イメージング装置を構成する構成要素を適宜利用することができる。
【0051】
傾斜磁場発生用コイルとは、例えば、プロトンに空間的な位置情報をエンコーディングするためのものであり、3軸方向(x軸、y軸、z軸)にそれぞれ一つずつ設けることができる。
【0052】
RFコイルは、例えば、RFパルスを照射するために用いられる。
【0053】
磁気共鳴イメージング装置としては、必要に応じて、ベッド、シールドなどが構成要素として含まれる。特に、既述の原子磁気センサを用いる場合は、バックグラウンド磁場を小さくしておいた方が好ましいので、磁気シールドによる、バックグラウンド磁場は、例えば100nTよりも十分小さくして使用するのが好ましい。
【0054】
また、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、前記ポンプ光と同一の方向に磁束密度Bの磁場を印加する手段を有する。そして、前記交差領域にわたって、略(N/256)×213000BQh/(gμ)[T]の磁場強度差がある前記磁場勾配が印加されるように構成するのがよい。ここで、Nは周波数エンコーディングを施す画素数であり(Nは例えば、128、256、512、1024などである。)、Qはスローダウンファクターである。略213000BQh/(gμ)[テスラ]の磁場強度差があるようにした方がよい理由は、後述の実施例において説明している。
【0055】
なお、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置には、上述の実施形態1及び2に係る発明において説明した技術事項のすべてが、特に矛盾しない限り、適用することができる。
【実施例】
【0056】
(実施例1:原子磁気センサ)
図1は、本発明の実施例1の特徴を示す図である。
【0057】
同図において、1は円偏光用光源からの円偏向レーザー光、2はプローブ用光源からの直線偏光プローブ光となるレーザー光である。3はアルカリ金属蒸気を電子スピンの歳差運動として模式的に示したものであり、4は該アルカリ金属蒸気を封入したセルである。5a、5bは当該セルに磁場勾配を印加する手段であるところの逆ヘルムホルツコイルである。また、6a、6b、7a、7bは、セル4内に略均一なバイアス磁場を印加するための順ヘルムホルツコイルであり、x軸方向の順ヘルムホルツコイルは省略しているが、x、y、z方向の3軸順ヘルムホルツコイルを模式的に示す図である。8は、円偏光1とプローブ光2のz方向の交差幅△zを示し、9は、アルカリ金属セル4の温度を一定に保持するための恒温槽である。
【0058】
本実施例では、セル4に磁場勾配を印加する手段5a、5bを用いて、円偏光1とプローブ光2との交差幅△zにわたって、4h(RSD+R)/(gμ)なるバイアス差以上のバイアス差がある磁場勾配を印加することを特徴とする。
【0059】
斯かる特徴を有する原子磁気センサにより、測定帯域の広い共鳴型原子磁気センサを提供するものである。
【0060】
以下の説明において登場する、Qはスローダウンファクター、hはプランク定数(=6.6256x10−27 J s)、gはg因子(〜2)である。μはボーア磁子(=9.2732x10−24 A m)、Rはポンピングレート、RSDはスピン緩和レートである。
【0061】
本実施例では、特に、アルカリ金属としてカリウム(原子記号:K)を用い、恒温槽9を190℃に保持することによりカリウムの飽和蒸気とし、アルカリ金属蒸気に円偏光レーザー光1を照射する。こうして、円偏光励起することにより、アルカリ金属蒸気の分極Pを略1とする。このとき、スローダウンファクターQは略4となる。
【0062】
非特許文献(I.M.Savukov,S.J.Seltzer,M.V.Romalis,and K.L.Sauer,Phys.Rev.Lett.95,063004(2005))に緩和時間について記載がある。具体的には、原子磁気センサの横緩和時間T2aは、
1/T2a=R/4 +GRSESD/R (1)
と表される。ただし、RSDはスピン交換レート、Gはおよそ定数とみなせ、G〜1/5である。
【0063】
式(1)より、T2aはR=2(GRSESD0.5の時、最大値、T2amax=(RSESD/5)‐0.5となり、原子磁気センサの感度も最適化される。具体的には、RSE=105kHz、RSD=55kHzとすると、R=2150HzでT2aは最大値T2amax=0.93secとなり、原子磁気センサの感度は最適化される。
【0064】
また、共鳴型原子磁気センサの測定帯域BW原子センサは、通常、
BW原子磁気センサ=2(RSD+R )/Q (2)
と表され、感度を最適とするときは1kHz程度となる。
【0065】
一方、共鳴型原子磁気センサの中心周波数fは、通常、1図のz軸方向に印加するバイアス磁場をB[T]とすると、
=gμB/(Qh) (3)
で表せる。また、式(2)の全微分をとると、
df=gμdB/(Qh) (4)
を得る。すなわち、dBa[T]なる磁場強度差のある磁場勾配を作れば、df=gμdB/(Qh)なる測定帯域を得ることができる。
【0066】
したがって、
dBa=4h(RSD+R)/(gμ)[T] (5)
以上の磁場強度差がある磁場勾配を作れば、式(2)(4)より、従来の原子磁気センサ測定帯域を、2倍以上にも広げることができる。より具体的には、dBaを0.286μT以上とすれば、従来、1kHz程度だった測定帯域を2kHz以上に広げることができる効果がある。なお、既述のように、磁場勾配を付与する対象としての磁場は、ポンプ光が前述の交差領域に入射する方向である。但し、磁場勾配を付与あるいは形成する方法は、以下のように任意の方向で構わない。即ち、バイアス磁場をBzとした場合に、本発明においては、δBz/δx、δBz/δy、あるいはδBz/δzを考慮した場合に、少なくともこの三者のいずれの方向に勾配を有すればよい。
【0067】
また、図2は、図2(a)のように従来の原子磁気センサの狭い帯域が、図2(b)のようにセルに磁場勾配を付与する本発明によって広いセンサ帯域の原子センサとなることを模式的に示す図である。
【0068】
また、図1において、順ヘルムホルツコイル6aと6bの中心間距離を2b、半径をa、巻き数をN、電流をI、真空の透磁率をμIとすると、z軸方向の磁束密度はB(z)=0.5μIa((a+(b−z)1.5+(a+(b+z)1.5
となる。そして、b:a=1:2とすることにより中央部で略均一な磁場を得ることができる。例えば、a=20cm、b=10cm、N=100、I=0.1Aとすると、45μTの略均一な磁場を中央部に得ることができ、電流を微調することで、地磁気等をキャンセルすると共に、原子磁気センサのラーモア周波数の中心周波数を調整することができる。
【0069】
一方、図1において、逆ヘルムホルツコイル5aと5bの中心間距離を2b、半径をa、巻き数をN、電流をI、真空の透磁率をμIとすると、z軸方向の磁束密度はB(z)=0.5μIa((a+(b−z)1.5−(a+(b+z)1.5
となり、必要な磁場勾配を形成できる。
【0070】
より具体的には、例えば、a=15cm、b=7.5cm、N=1、I=0.1Aとすると、0.0481μT/cmの磁場勾配を中央部に得ることができ、電流を微調することにより所望の周波数帯域に調整することができる。特に、△z=5.9cm、I=0.1Aとすれば、dBaを0.286μT以上の磁場強度差とできる。
【0071】
(実施例2:磁気共鳴イメージング装置)
図3は、本発明の実施例2を説明する図である。
【0072】
同図において、21はMRI用のB(電)磁石であり、22はx、y、z方向に磁場勾配(傾斜磁場)を印加できる勾配コイルを模式的に示す図である。27はラジオ周波数波(RF波)を送信するRFコイルユニット部であり、23は人体、24は人体内プロトンの核スピンの歳差運動を模式的に示す図であり、25はプロトンからのMRI信号を示す。また、26は実施例1で示した原子磁気センサとほぼ同様である。
【0073】
本実施例では、B電磁石21によって、z軸方向にB[T]の磁場を印加した状態で、RFコイルユニット27を用いてRF波を人体に照射する。そして、プロトンの核スピン24をxy面内に倒し、元の状態に緩和していくときのMRI信号(FID信号、またはスピンエコー信号)を磁場勾配付き原子磁気センサをRF受信センサとしたMRI装置である。
【0074】
ここでは、従来のMRイメージングと同様に勾配コイル22を用いて、MRI信号は周波数エンコーディング操作、及び、位相エンコーディング操作により、周波数とz軸座標位置、及び、位相と(x、y)座標位置が関係付けられている。そして、いわゆる、k空間データの取得後のフーリエ変換処理により、実画像を形成できることになる。
【0075】
また、本実施例における原子磁気センサ26は、特に、4h(RSD+R)/(gμ)以上の磁場強度差のある磁場勾配、望ましくは、略213000BQh/(gμ)[T]なる磁場強度差がある磁場勾配を有するセル4を用いる。これにより、B磁石での画像化に好ましい帯域性能となる。
【0076】
すなわち、本実施例では磁束密度Bを備えたB磁石21とアルカリ金属蒸気3と該アルカリ金属蒸気を封入したセル4と該セル4に磁場勾配を印加する手段5a、5bを有する。Qをスローダウンファクター、hをプランク定数、gをg因子、Rをポンピングレート、RSDをスピン緩和レート、μをボーア磁子とする。
【0077】
このとき、円偏向光1とプローブ光2の交差体積にわたって、4h(RSD+R)/(gμ)以上の磁場強度差のある磁場勾配を付与した原子磁気センサ26を受信センサとする。なお、望ましくは、略213000BQh/(gμ)[T]なる磁場強度差がある磁場勾配を印加した原子磁気センサ26を受信センサとする。このような受信センサを用いたMRI装置とすることによって、周波数帯域を利用した画像形成を良好にすることができる。なお、略213000BQh/(gμ)[T]とは、213000BQh/(gμ)[T]に比して、20%以内の差、好ましくは10%以内の差、更に好ましくは、5%以内の差を包含するものである。より好適には、213000BQh/(gμ)[T]から2%以内の差となるように磁場勾配を設定するのがよい。
【0078】
以下、さらに詳しく説明する。
【0079】
通常、256程度の画素数のMRIイメージングに関して、B磁場1.5T程度のMRI装置に使用される測定帯域は32kHz程度が望ましいとされている。
【0080】
また、水と脂肪族におけるそれぞれのプロトンの周波数シフトの差はBに比例して増加する。このため、プロトンの周波数シフトの差に起因する画像の乱れ(化学シフトアーチファクト)を防ぐには、B[T]なるB磁石に対しては、BWMRI=213000B[Hz] (6)
程度の帯域が望ましい。
【0081】
それゆえ、式(4)(6)より、
dB=213000BQh/(gμ)[T] (7)
程度の磁場強度差がある磁場勾配を作れば、従来の原子磁気センサ測定帯域を、MRI望ましい測定帯域BWMRI=21300B[Hz]程度に広げることができる。
【0082】
より具体的には、B=1.5TのMRI装置に対する好ましい原子磁気センサとして、dBを4.57μT程度とすれば、従来、1kHz程度だった測定帯域を32kHz程度に広げることができる。なお、上記の考え方は、N(自然数)を周波数エンコーディングを施す画素数とし、Qをスローダウンファクターとした場合に、以下の式により一般化することができる。即ち、前記交差領域にわたって、略(N/256)×213000BQh/(gμ)[T]にするのである。Nは、256であったり、128、512、1024、2048等から適宜選択される。
【0083】
また、B=0.1T、0.2T、0.5TのMRI装置に対する好ましい原子磁気センサとして、dBを0.304μT、0.608μT、1.52μT程度とする。こうすれば、従来、1kHz程度だった最適化時の原子磁気センサの測定帯域をそれぞれ、2.13KHz、4.26kHz、10.65kHzに拡大できる。
【0084】
また、
dB=4h(RSD+R)/(gμ) (8)
以上の磁場強度差のある磁場勾配にできれば、帯域の問題が特に顕著となるB=0.1T以上の原子磁気センサMRI装置の画像劣化を抑制できる。
【0085】
(実施例3:磁気共鳴イメージング方法)
図4は、本発明の実施例2を説明する模式図であり、41はビームスプリッタと一対の光電変換センサからなるポラリメータを示す。
【0086】
実施例3は、特に、
前記ポンプ光が前記交差領域に入射する方向の磁場に付与される勾配によって、前記セル内の磁気センシング位置を周波数と対応づけて特定することを特徴とする磁気センシング方法であることを除いて実施例1と同様である。
【0087】
図4に示したように、x方向に付与したBzの磁場勾配により、アルカリ金属セル内には、
位置xに応じて、Bz、x1,….Bz、xi,….Bz、xnなる磁場が形成され、
各磁場の強度に応じて、fx1,….fxi,….fxnなる異なる共鳴周波数で磁場が検出される。
【0088】
斯かる構成により、アルカリ金属セル内の磁気センシング位置と周波数を対応付けて特定でき、センサ数を増やさずにセンサ上での1次元分の位置エンコードが可能となる効果がある。
【0089】
また、図5はx−z方向の2次元位置を特定する、勾配付き原子磁気センサの例であり、51はz方向の1次元のポラリメータを示す。すなわち、本発明では、セルを増やさずに2次元位置での磁場情報を、高感度に同時計測できる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0090】
上述した原子磁気センサは、例えば磁気共鳴イメージング装置に利用することができ、生体の三次元情報を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明に係る原子磁気センサを説明するための模式図である。
【図2】測定周波数帯域が本発明により拡大することを説明するための概念図である。
【図3】本発明に係る磁気共鳴イメージング装置を説明するための模式図である。
【図4】本発明を説明するための模式図である。
【図5】本発明を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0092】
1 円偏光成分を有するポンプ光(円偏光励起光)、
2 プローブ光
3 原子群の電子スピン
4 セル
5 逆ヘルムホルツコイル(5a、5b)
6 3軸順ヘルムホルツコイル(6a、6b、7a、7b)
7 レーザ交差幅
9 恒温槽
21 B(電)磁石、
22 3軸磁場勾配コイルユニット
23 被検査物(人体)
24 核スピン
25 MRI信号
26 磁場勾配機構付き原子磁気センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セル内に包含されている原子群に対して、
円偏光成分を有するポンプ光と直線偏光成分とを有するプローブ光とが交差領域を有するように照射し、
前記セルを通過する前後での前記プローブ光の偏光面の回転角を利用した磁気センシング方法であって、
前記ポンプ光が前記交差領域に入射する方向の磁場に勾配を付与した状態で、前記ポンプ光と前記プローブ光を照射して、前記セルを通過する前後での該プローブ光の偏光面の回転角の変化に関する情報を取得することを特徴とする磁気センシング方法。
【請求項2】
前記ポンプ光が前記交差領域に入射する方向の磁場に付与される勾配は、該勾配が付与されていない場合に比べて測定周波数帯域が拡がるように付与されていることを特徴とする請求項1記載の磁気センシング方法。
【請求項3】
前記ポンプ光が前記交差領域に入射する方向の磁場に付与される勾配は、該勾配が付与されていない場合に比べて測定周波数帯域が2倍以上に拡がるように付与されていることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の磁気センシング方法。
【請求項4】
前記ポンプ光が前記交差領域に入射する方向の磁場に付与される勾配は、
前記セルあるいは前記交差領域に選択的に付与されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の磁気センシング方法。
【請求項5】
前記ポンプ光が前記交差領域に入射する方向の磁場に付与される勾配は、
該ポンプ光が該交差領域へ入射する方向の磁場勾配か、
前記プローブ光が前記交差領域へ入射する方向の磁場勾配か、あるいは、
前記ポンプ光と前記プローブ光とが前記交差領域へ入射する方向との両方に垂直な方向の磁場勾配であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の磁気センシング方法。
【請求項6】
前記磁場は、hをプランク定数、gをg因子、Rをポンピングレート、RSDをスピン緩和レート、μをボーア磁子とするときに、前記交差領域に、
4h(RSD+R)/(gμ)以上の磁場強度差のある磁場勾配を付与することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の磁気センシング方法。
【請求項7】
前記ポンプ光が前記交差領域へ入射する方向の磁場に付与される勾配は、線形状、ステップ状、あるいは曲線状の磁場勾配を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の磁気センシング方法。
【請求項8】
前記セル内には、前記原子群としてのアルカリ金属原子が包含されており、円偏光状態の前記ポンプ光と、直線偏光状態の前記プローブ光とは前記交差領域で直交しており、前記ポンプ光と前記プローブ光との両方に直交する方向の被検査物に基づく磁気成分を、前記プローブ光の偏光面の回転角として測定することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の磁気センシング方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の磁気センシング方法を行う原子磁気センサと、前記交差領域に前記勾配を付与するための磁場とは異なる傾斜磁場を与える傾斜磁場発生用コイルと、静磁場発生用コイルと、被検査物に電磁波を照射するためのRFコイルとを有することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項10】
セルと、該セルに包含されている原子群と、円偏光成分を有するポンプ光を出力する為の光源と、直線偏光成分を有するプローブ光とを出力するための光源とを含み構成される原子磁気センサであって、
hをプランク定数、gをg因子、Rをポンピングレート、RSDをスピン緩和レート、μをボーア磁子とするときに、
4h(RSD+R)/(gμ)以上の磁場強度差のある磁場勾配を、前記ポンプ光と前記プローブ光との交差領域に印加するための磁場印加手段を有することを特徴とする原子磁気センサ。
【請求項11】
前記セル内に包含されている前記原子群に対して、前記ポンプ光と前記プローブ光とが交差領域を有するように照射して、前記セルを通過する前後での前記プローブ光の偏光面の回転角を測定するための回転角測定手段を有することを特徴とする請求項10記載の原子磁気センサ。
【請求項12】
前記磁場勾配は、前記ポンプ光が前記交差領域に入射する方向の磁場に勾配を付与することを特徴とする請求項10あるいは11に記載の原子磁気センサ。
【請求項13】
前記磁場勾配は、前記交差領域にわたって勾配を有することを特徴とする請求項11あるいは12に記載の原子磁気センサ。
【請求項14】
前記原子群として、アルカリ金属蒸気が用いられていることを特徴とする請求項11から13のいずれか1項に記載の原子磁気センサ。
【請求項15】
請求項11から14のいずれか1項に記載の原子磁気センサを受信センサとして用いることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項16】
前記ポンプ光と同一の方向に磁束密度Bの磁場を印加する手段を有し、前記原子磁気センサには、N(自然数)を周波数エンコーディングを施す画素数とし、Qをスローダウンファクターとした場合に、前記交差領域にわたって、略(N/256)×213000BQh/(gμ)[T]の磁場強度差がある前記磁場勾配が印加されることを特徴とする請求項15に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項17】
前記ポンプ光が前記交差領域に入射する方向の磁場に付与される勾配によって、前記セル内の磁気センシング位置を周波数と対応づけて特定することを特徴とする請求項1記載の磁気センシング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−14708(P2009−14708A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−138056(P2008−138056)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】