説明

磁気プローブ、同磁気プローブの製造方法および同磁気プローブを備える微粒子配置装置

【課題】極めて小さい微粒子を単体で安定して保持することができるとともに、同保持した微粒子を極めて小さい間隔で配置することが可能な磁気プローブを提供する。
【解決手段】磁気プローブ10は、先端部12が尖った円筒状のプローブ本体11を備えている。プローブ本体11の内周面には鉄による被膜Ciが形成されており、先端部12における被膜Ciは磁性部13を構成する。プローブ本体11の外周面にはパーマロイによる被膜Coが形成されており、先端部12における被膜Coは磁性部14を構成する。磁性部13と磁性部14とは鉄柱15およびワイヤ16を介して磁気的に接続されている。鉄柱15の外周面にはコイル23が配置されている。コイル23に通電させると、磁性部13から磁性部14に向けて磁力線が生じ磁気プローブ10の先端部12に局所的な磁界が形成されて微粒子Pを保持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒体の先端部に磁界を発生させることにより、同先端部に磁性を有する微粒子を保持する磁気プローブ、同磁気プローブの製造方法および同磁気プローブを備えた微粒子配置装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ(10−6)スケールまたはナノ(10−9)スケールの微粒子を一時的に保持して解放するマニピュレータ技術は、マイクロマシン分野、エレクトロニクス分野、医療分野または生体分野などの様々な分野で広く利用されている。例えば、互いに異なる性質の微粒子を接触させて反応性や親和性を検証する実験や、生体組織や微生物に特別な性質を有する微粒子を接触させてその挙動を検証する実験、さらには、不導体基板上に導体の微粒子を連続的に配置して電子基板を製作することなどが行われている。
【0003】
このようなマニピュレータ技術には、物理的に構成された保持器などの物体を微粒子に直接接触させて保持する接触型と、物体を接触させることなく微粒子に吸引力や反発力を与えて保持する非接触型とがある。これらのうち、非接触型は、微粒子に直接触れないため保持する微粒子の汚染・損傷のリスクが少ない点で接触型に比べて有利である。非接触型のマニピュレータ技術の一つとして、下記特許文献1に示すように、局所的に生じさせた磁界によって微粒子を保持するマイクロマグネティックマニピュレータ(Micro Magnetic Manipulator:MMM)技術がある。
【特許文献1】特開2005−349254号公報
【0004】
MMM技術は、磁性を有する素材を針状に形成した磁気プローブの先端部に磁界を生じさせることにより磁性を有する微粒子を保持するものである。この場合、磁気プローブの先端部に生じさせる磁界の強さ・大きさは、磁気プローブの外周面に配置したコイルに流す電流の大きさによって制御される。すなわち、磁気プローブの外周面に配置したコイルに流す電流の大きさに応じて微粒子を保持または解放することができる。
【0005】
しかしながら、上記したMMM技術における磁気プローブにおいては、大きさが数μm以下の極めて小さい微粒子を単体で保持すること、および保持した微粒子を数μmの極めて小さい間隔で配置することが極めて困難である。具体的には、図8に示すように、磁気プローブ1の先端部に形成される磁界の領域が広いため、保持しようとする微粒子P1以外に同領域内または同領域近傍に位置する保持を望まない他の微粒子P2をも保持してしまうことがある。なお、図8においては、磁界を形成する磁力線MLを破線で示している。また、微粒子P1を所定の配置する場合においても、保持した微粒子P1を配置位置に近づけた際に、既に配置された隣接する微粒子P3が磁気プローブ1に吸引されて配置位置がずれることがある。これらのため、微粒子P1のみを保持して配置する作業が極めて煩雑であるとともに、MMM技術の適用範囲が制限されるという問題があった。
【0006】
なお、これらの問題を解消するため、磁気プローブ1の外周面に配置したコイルに流す電流の大きさを小さくして磁気プローブ1の先端部に形成される磁界の領域を狭くすることが考えられる。しかし、コイルに流す電流の大きさを小さくすると磁気プローブ1における微粒子P1を保持する吸引力も小さくなり微粒子P1の保持が不安定となり適当ではない。
【発明の開示】
【0007】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、極めて小さい微粒子を単体で安定して保持することができるとともに、同保持した微粒子を極めて小さい間隔で配置することが可能な磁気プローブ、同磁気プローブの製造方法および同磁気プローブを備える微粒子配置装置を提供することにある。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、棒状に形成されたプローブ本体の先端部に磁界を生じさせることにより、磁性を有する微粒子を前記先端部に保持させる磁気プローブにおいて、前記先端部に互いに異なる2つの磁極を形成するために磁性体からなる磁性部をそれぞれ備え、各磁性部による互いに異なる2つの磁極によって形成される磁界によって微粒子を保持させることにある。
【0009】
この場合、前記磁気プローブにおいて、前記プローブ本体は、例えば、非磁性体により形成された管体の内周面および外周面に、各磁性部として磁性体をそれぞれ配置して構成するとよい。
【0010】
このように構成した本発明の特徴によれば、磁気プローブの先端部に互いに異なる磁極を形成するための磁性部をそれぞれ設けている。これにより、磁気プローブを磁化した際、同磁気プローブの先端部には各磁性部による互いに異なる2つの磁極が形成され、同先端部に局所的な磁界が形成される。この局所的に形成された磁界の大きさは、一つの磁極で構成された従来の磁気プローブの先端部に生じる磁界の大きさより遥かに小さい。すなわち、磁気プローブの先端部に形成する磁界の強さを維持した状態で大きさのみを小さくしている。このため、局所的な磁界が形成された磁気プローブの先端部においては、複数個の微粒子を保持することが困難となる。この結果、極めて小さい微粒子を単体で安定して保持することができるとともに、同保持した微粒子を極めて小さい間隔で配置することが可能となる。
【0011】
また、本発明の他の特徴は、前記磁気プローブの製造方法であって、ガラス管の中に、磁性を有しガラス管より低い融点の磁極用材料を配置する磁極用材料配置工程と、磁極用材料の溶融温度以上、かつガラス管の融点未満の範囲の温度における同ガラス管の塑性変形可能な温度にまでガラス管を加熱する加熱工程と、加熱されたガラス管を同ガラス管の軸線方向に引っ張ることにより、同ガラス管の外径を成形するとともに、溶融した磁極用材料をガラス管の内周面に付着させることにより磁性部の一方を成形する成形工程とを含むことにある。
【0012】
この場合、前記磁気プローブの製造方法において、さらに、成形工程後のガラス管の外周面にパーマロイ(Fe−Ni合金)からなる被膜を形成して前記磁性部の他方を成形する被膜成形工程を含むとよい。この場合、パーマロイによる被膜は、例えば、スパッタ法、真空蒸着法および鍍金法などにより形成することができる。
【0013】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、マイクロ(10−6)スケールまたはナノ(10−9)スケールの微粒子の大きさに対応する極めて小さい磁気プローブの先端部に、互いに異なる2つの磁極を形成するための磁性部を精度良く形成することができる。
【0014】
また、この場合、前記磁気プローブの製造方法において、例えば、磁極用材料配置工程は、ガラス管の内周面に同内周面から突出した凸部がガラス管の軸線方向に沿って形成されたガラス管を用いるとよい。これによれば、溶融した磁極用材料を凸部に沿って付着させることができる。すなわち、ガラス管の先端部における開口部の一部に磁性部の一方を成形することができる。これによれば、磁気プローブの先端部における磁性部が形成された部分に磁力線が集中し、より大きさが小さい局所的な磁界を形成することができる。この結果、極めて小さい微粒子を単体で保持し易くなるとともに、同保持した微粒子をより小さい間隔で配置することが可能となる。また、磁気プローブの先端部を小さく形成することが困難な場合においても、大きさが小さい局所的な磁界を形成することができる。
【0015】
また、本発明の他の特徴は、基材の表面に磁性を有する微粒子を配置するための微粒子配置装置において、前記磁気プローブと、磁気プローブの先端部に磁界を生じさせる磁界発生手段と、基材と磁気プローブとを相対的に変位させる位置変位手段とを備えたことにある。
【0016】
この場合、前記微粒子配置装置において、磁界発生手段は、例えば、磁気プローブの周囲に配置されたコイルと、コイルに電流を流すための電源とを備えるようにするとよい。この場合、電源には、直流電源および交流電源のどちらを用いてもよいが、磁気プローブの先端部における残留磁気を少なくするため、交流電源を用いることが望ましい。また、前記微粒子は、例えば、粒の大きさが1nm〜100μmのナノ粒子またはマイクロ粒子としてもよい。
【0017】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、磁界発生手段により磁気プローブの先端部に局所的な磁界を形成または消滅させることができる。また、位置変位手段により磁気プローブによって保持した微粒子を所望する位置に配置することができる。すなわち、磁気プローブの先端部を所望する微粒子に位置決めして保持するとともに、同補足した微粒子を所望する位置に配置して解放することができる。
【0018】
また、磁界発生手段に前記電源を用いた場合、同電源は、磁気極性を連続的に反転させながら印加電流を漸減させることにより、磁気プローブに生じた磁気を消滅させるようにするとよい。これによれば、精度良く磁気プローブの先端部に生じた磁気を消滅させることができ、磁気プローブの先端部に保持した微粒子を解放し易くなり同微粒子の配置精度を向上させることができる。
【0019】
また、前記微粒子配置装置において、さらに、前記基材の表面を照らすための光源を有し、同光源によって照らされた基材上の微粒子の状態を観察可能とする微粒子観察手段を備えるとよい。これによれば、基材上の微粒子の位置を含む基材上全体の状態を確認しながら微粒子の保持・配置・解放を行うことができ、作業効率、作業精度が向上する。
【0020】
また、前記微粒子配置装置において、前記微粒子は、例えば、液体中に存在させるとよい。この場合、前記液体として純水または蒸留水を用いるとよい。これによれば、複数の微粒子が液体内を均一に浮遊して磁気プローブによる微粒子の保持・配置・解放が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る磁気プローブを備えた微粒子配置装置の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る磁気プローブを備えた微粒子配置装置の構成を模式的に示す全体概略図である。なお、図1は、本発明に係る磁気プローブを備えた微粒子固定装置の構成を模式的に示したものであり、本発明の理解を容易にするため構成要素または各構成要素相互の関係を適宜誇張して示している。この微粒子配置装置は、基材BPの表面に微粒子Pを配置するための装置である。
【0022】
微粒子配置装置は、磁気プローブ10を備えている。磁気プローブ10は、円筒状のガラス管で構成され一方の端部が尖った針状に形成されたプローブ本体11を備えている。プローブ本体11における針状に尖った先端部12の外径は、数μm(本実施形態においては約3.5μm)に形成されている。プローブ本体11の内周面には、図2(A)に示すように、純度の高い鉄(純度約99.5%)による被膜Ciが形成されている。被膜Ciは、プローブ本体11の内周面における一方の端部(先端部12)から他方の端部に亘って略均一に形成されている。プローブ本体11の内周面に形成された被膜Ciのうち、プローブ本体11の先端部12に露出する被膜Ciが、磁界を生じさせる一方の磁極となる磁性部13を構成する。
【0023】
プローブ本体11の外周面には、パーマロイ(Fe−Ni合金)による被膜Coが形成されている。被膜Coは、被膜Ciと同様にプローブ本体11の外周面における一方の端部(先端部12の端面)から他方の端部に亘って略均一に形成されている。プローブ本体11の外周面に形成された被膜Coのうち、プローブ本体11の先端部12の近傍に形成された被膜Coが、磁界を生じさせる他方の磁極となる磁性部14を構成する。
【0024】
プローブ本体11の他方の端部には、同プローブ本体11の内周面に形成された被膜Ciに磁気的に繋がった状態で鉄柱15の一端部が接続されている。鉄柱15は、純度の高い鉄(純度約99.5%)によって構成された棒体である。この鉄柱15の他端部には、ワイヤ16の一端部が磁気的に繋がった状態で接続され磁路を形成している。ワイヤ16は、被膜Ciと同様に、純度の高い鉄(純度約99.5%)によって構成されている。このワイヤ16の他端部は、後述するコイル23の外側を介してプローブ本体11の先端部12の外周面に形成された被膜Coに磁気的に繋がった状態で接続され磁路を形成している。すなわち、プローブ本体11の内周面に形成された被膜Ciと、同プローブ本体11の外周面に形成された被膜Coとは磁気的に一体となっている。
【0025】
この磁気プローブ10は、3軸アクチュエータ21から延びるプローブ保持具21aによって先端部12が図示上側に起立した状態で保持されている。3軸アクチュエータ21は、プローブ保持具21aによって磁気プローブ10を支持するとともに、同磁気プローブ10を3軸方向にそれぞれ微小変位させる変位機構を備えている。ここで、3軸方向とは、水平方向において互いに直交する2つの軸方向(X,Y軸方向)と、同2つの軸方向に直交する1つの垂直軸方向(Z軸)である。
【0026】
3軸アクチュエータ21に内蔵される変位機構は、PZT(チタン酸ジルコ酸鉛)などからなる圧電素子によって構成され、アクチュエータ制御装置22から出力される電圧の大きさおよび極性に応じてプローブ保持具21aを前記3軸方向に微小変位させる。すなわち、この3軸アクチュエータ21は、本発明における位置変位手段に相当する。アクチュエータ制御回路22は、作業者による手動操作によって3軸アクチュエータ21の作動を制御してプローブ保持具21aによって磁気プローブ10を3軸方向にそれぞれ微小変位させるための装置である。
【0027】
3軸アクチュエータ21のプローブ保持具21aに保持された磁気プローブ10の外周面外側には、プローブ本体11の外径よりも大きい内径に形成された螺旋状のコイル23が配置されている。コイル23は、電源装置24による通電により磁気プローブ10を電磁石とするための銅製の電線である。本実施形態においては、コイル23として700巻きの電線を用いる。電源装置24は、作業者による手動操作によってコイル23に所定の電流を流すことにより磁気プローブ10の先端部12に磁界を生じさせるための交流電源であり、本発明に係る磁界発生手段に相当する。
【0028】
磁気プローブ10の上方には、対物レンズ31が設けられている。対物レンズ31は、同対物レンズ31と前記磁気プローブ10との間に配置される基材BP上に光を集光させるための光学部品である。対物レンズ31における図示上側の光軸上には、ビームスプリッタ32、集光レンズ34、ND(Neutral Density)フィルタ35およびCCD素子36がそれぞれ配置されている。ビームスプリッタ32は、入射した光の一部を透過させるとともに、同入射した光の他の一部を入射方向と直交する方向に反射させる光学部品である。このビームスプリッタ32における前記対物レンズ31の光軸に直交(図示右側)する光軸上には、ハロゲンランプ33が配置されている。ハロゲンランプ33は、図示しない電源に接続された照明装置であり、ビームスプリッタ32に向けて光を照射する。すなわち、ビームスプリッタ32は、ハロゲンランプ33から出射された光を入射方向に直交する方向(図示下側)に反射して対物レンズ31に導く。
【0029】
集光レンズ34は入射した光をNDフィルタ35を介してCCD素子36上に集光する光学部品であり、所謂接眼レンズである。NDフィルタ35は、入射した光の光量を適切にするための光学フィルタである。CCD素子36は、集光レンズ34の集光位置に配置され、受光面に結像した像に応じた電気信号をモニタ装置37に出力する撮像器である。モニタ装置37は、CCD素子36によって撮像された像を表示する表示装置である。このモニタ装置36は、微粒子配置装置の図示しない支持部材により、作業者の視認し易い位置に固定されている。これらの対物レンズ31、ビームスプリッタ32、ハロゲンランプ33、集光レンズ34、ND(Neutral Density)フィルタ35、CCD素子36およびモニタ装置37が、本発明に係る微粒子観察手段に相当する。
【0030】
ここで、本発明に係る磁気プローブ10の製造方法について説明する。なお、本説明において示す寸法値は一例を示すに過ぎない。まず、作業者は、外径1.0mm,内径0.7mm,長さ7.5mmの石英材からなるガラス管、および外径0.1mmの純度の高い鉄材(純度約99.5%)からなる鉄線を用意する。次に、作業者は、鉄線をガラス管内に挿入して同鉄線をガラス管内に配置する。次に、作業者は、鉄線が挿入されたガラス管をピペットプラーにセットする。ピペットプラーは、ガラス管を溶融温度付近にまで加熱しながら同ガラス管を軸線方向に引っ張って引き千切ることにより、ガラス管の先端部を先鋭化する装置である。本実施形態においては、Coレーザを用いてガラス管31を加熱するCoレーザピペットプラーを用いる。
【0031】
作業者は、ピペットプラーを操作して鉄線が挿入されたガラス管を先鋭化する加工を行う。具体的には、作業者は、ピペットプラーを操作して鉄線が挿入されたガラス管中央部に局所的にレーザ光を照射することにより同ガラス管を塑性加工可能な温度に加熱するとともに、同ガラス管を軸線方向に引っ張って引き千切る。この場合、鉄線の溶融温度は1535℃であり、ガラス管の溶融温度の1730℃より低い。このため、ピペットプラーがガラス管を軸線方向に引っ張って塑性変形させる際には、ガラス管内の鉄線は液体状に溶融した状態となっている。
【0032】
したがって、ガラス管が先鋭加工された後冷却されることにより、同ガラス管の内周面には溶融した鉄線による被膜Ciが形成される。本実施形態においては、ガラス管の先端部の外径を約3.5μm、同先端部の内径を約2μm、同先端部における内周面に形成された被膜Ciの厚さを約0.5μmに加工する。すなわち、ガラス管を加熱する温度は、被膜Ciを形成する鉄線の溶融温度以上、かつ同ガラス管の融点未満の範囲の温度であって同ガラス管の塑性変形可能な温度である。
【0033】
次に、作業者は、先端部が先鋭化されたガラス管の外周面にパーマロイ(Fe−Ni合金)からなる被膜Coをスパッタ法により形成する。この場合、形成される被膜Ciの厚さは約0.5μmである。これらにより先端部が先鋭化されるとともに、内周面および外周面に被膜Ci,Coがそれぞれ形成されたプローブ本体11が形成される。次に、作業者は、プローブ本体11における先鋭化された先端部とは反対側の端部に外径0.5mm,長さ20mmの純度の高い鉄材(純度約99.5%)からなる丸棒状の鉄柱15の一方の端部を接着剤で接続する。この場合、鉄柱15はプローブ本体11の内周面に形成された被膜Ciと磁気的に繋がった状態で接続される。そして、作業者は、ガラス管に接続した鉄柱15の外周面外側に前記コイル23を配置する。
【0034】
次に、作業者は、鉄柱における他方の端部に前記ワイヤ16の一方の端部を接着剤で接続する。この場合、ワイヤ16は鉄柱15と磁気的に繋がった状態で接続される。そして、作業者は、ワイヤ16における他方の端部を、前記コイル23の外側を介してプローブ本体11の先端部12の外周面に形成された被膜Coに接着剤で接続する。この場合においても、ワイヤ16と被膜Coは磁気に繋がった状態で接続される。これにより、プローブ本体11の内周面に形成した被膜Ciと、同プローブ本体11の外周面に形成した被膜Coとを磁気的に一体としている。これにより、磁気プローブ10が完成する。この磁気プローブ10は、コイル23が電源装置24に電気的に接続された状態で3軸アクチュエータ21のプローブ保持具21aによって支持される。
【0035】
次に、上記のように構成した微粒子配置装置の作動について説明する。まず、作業者は、複数の微粒子Pを含んだ水層Wを配置した基材BPを用意する。具体的には、作業者は、複数の微粒子Pを含んだ蒸留水、基材BP、カバーガラスC、およびシールSをそれぞれ用意する。この場合、微粒子Pは、磁性を有する直径約1〜2μmの所謂フェライト微粒子である。また、基材BPは、微粒子Pの配置の対象となる厚さ約40μmのガラス製の板である。また、カバーガラスCは、基材BPと同様の厚さ約40μmのガラス製の板である。また、シールSは、厚さ約40μmの塩化ビニル製の薄膜である。
【0036】
作業者は、基材BPの表面における水層Wを配置する領域を囲むようにシールSを配置した後、同囲まれた領域に複数の微粒子Pを含む蒸留水を入れる。そして、作業者は、シールSおよび同シールSによって囲まれた蒸留水上にカバーガラスCを配置する。これにより、基材BP、シールSおよびカバーガラスCによって密閉された蒸留水が水層Wを形成し基材BP上に配置される。この場合、基材BPにおける水層W内の微粒子Pは、水層W内において均一に分散した状態で浮遊している。なお、水層Wは表面張力によって基材BPとカバーガラスCとの間に保持されているため、シールSは必ずしも必要ではない。また、基材BP上での水層Wの位置ずれを考慮しなければカバーガラスCも不要である。
【0037】
次に、作業者は、水層Wを配置した基材BPを微粒子配置装置の図示しない支持具上にセットする。そして、作業者は、3軸アクチュエータ21、アクチュエータ制御装置22、電源装置24、CCD素子36およびモニタ装置37の図示しない電源スイッチをそれぞれ投入して作動を開始させるとともに、ハロゲンランプ33を点灯させる。これにより、ハロゲンランプ33から照射された光は、ビームスプリッタ32および対物レンズ31を介して基材BPの水層W内に導かれ、同水層W内を照らす。また、水層Wからの反射光は、対物レンズ31、ビームスプリッタ32、集光レンズ34およびNDフィルタ35を介してCCD素子36上に結像する。CCD素子36は、結像状態に応じた電気信号をモニタ装置37に出力する。モニタ装置37は、CCD素子36から出力された電気信号に応じた画像、すなわち、水層W内の様子を表示する。これにより、作業者は、水層W内を浮遊する微粒子Pの様子や水層Wに対する磁気プローブ10の先端部12の位置を確認することができる。
【0038】
次に、作業者は、配置の対象となる微粒子P1を磁気プローブ10によって保持する。具体的には、作業者は、モニタ装置37の画像を確認しながらアクチュエータ制御装置22を操作することにより磁気プローブ10の先端部12を基材BPに対して変位させることにより、同先端部12を保持の対象となる微粒子P1に接近させる。そして、作業者は、磁気プローブ10の先端部12を保持の対象となる微粒子P1に充分に接近させた状態で電源装置24を操作してコイル23に電流を流す。これにより、磁気プローブ10は磁化され、同磁気プローブ10の先端部12における磁性部13(N極)から磁性部14(S極)に向けて磁力線MLが発生し、同先端部12に局所的な磁界が形成される。そして、磁気プローブ10の先端部12に局所的に形成された磁界内に位置する微粒子P1は同先端部12に引き寄せられて保持される。この場合、磁気プローブ10の先端部12に形成される磁界は、同先端部12のリング状の端面形状に沿って局所的に形成される。このため、磁気プローブ10の先端部12には、複数個の微粒子Pを保持する余地は殆どない。
【0039】
次に、作業者は、モニタ装置37の画像を確認しながらアクチュエータ制御装置22を操作して磁気プローブ10を変位させることにより、同磁気プローブ10の先端部12に保持した微粒子P1を所定の配置位置に位置決めする。そして、作業者は、電源装置24を操作してコイル23に流れる電流の供給を停止させることにより、磁気プローブ10の先端部12に形成した磁界を消滅させる。この場合、電源装置24は、磁気極性を連続的に反転させるとともに印加電流を漸減させることにより、磁気プローブ10に形成した磁界を消滅させる。これにより、磁気プローブ10による微粒子P1の保持が解除され、微粒子P1はファンデルワールス力によって基材BPにおける所定の位置に固定される。
【0040】
次に、作業者は、微粒子P1の保持と同様の操作によって他の微粒子P2を磁気プローブ10の先端部12に保持させて、同微粒子P2を先に配置した微粒子P1の隣に配置する。この場合においても、図2(B)に示すように、磁気プローブ10の先端部12に形成された磁界が局所的であるため、既に配置した微粒子P1の位置をずらすことなく微粒子P2を配置することができる。なお、本発明の発明者によれば、図3に示すように、直径約1μmの微粒子を約2μmの間隔で配置することに成功している。図3においては、複数の微粒子をアルファベットの「S」,「U」に配置した実験例を示している。
【0041】
基材BP上に必要な量の微粒子Pを配置し終えた場合には、作業者は、微粒子配置装置から基材BPを取り外した後、3軸アクチュエータ21、アクチュエータ制御装置22、電源装置24、CCD素子36およびモニタ装置37の図示しない電源スイッチを切って作動をそれぞれ停止させる。これにより、基材BPへの微粒子Pの配置作業が終了する。
【0042】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、磁気プローブ10の先端部12に互いに異なる磁極を形成するための磁性部13,14をそれぞれ設けている。これにより、磁気プローブ10を磁化した際、同磁気プローブ10の先端部12には磁性部13,14による互いに異なる2つの磁極が形成され、同先端部12に局所的な磁界が形成される。この局所的に形成された磁界の大きさは、一つの磁極で構成された従来の磁気プローブの先端部に生じる磁界の大きさより遥かに小さい。すなわち、磁気プローブ10の先端部に形成する磁界の強さを維持した状態で大きさのみを小さくしている。このため、局所的な磁界が形成された磁気プローブ10の先端部においては、複数個の微粒子Pを保持することが困難となる。この結果、極めて小さい微粒子Pを単体で安定して保持することができるとともに、同保持した微粒子Pを極めて小さい間隔で配置することが可能となる。
【0043】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0044】
上記実施形態においては、磁気プローブ10のプローブ本体11における内周面および外周面に被膜Ciおよび被膜Coをそれぞれ形成した。しかし、磁気プローブ10の先端部12に互いに異なる磁極を形成するための磁性部13,14を形成できれば、これに限定されるものではない。すなわち、磁気プローブ10の先端部12にのみ被膜Ci,Coを形成して磁性部13,14としてもよい。また、極論すれば、直径1nm程度の磁性体にて磁性部13,14を構成しプローブ本体11とすれば、ガラス管も不要である。これらの場合、磁性部13,14を磁気的に繋ぐことができるように構成にしておく。これらによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0045】
また、上記実施形態においては、プローブ本体11の内周面に沿って被膜Ciを形成したが、同プローブ本体11の孔内に磁性体を充填した中実状の磁性部13を形成してもよい。すなわち、磁気プローブ10のプローブ本体11における内周面および外周面に被膜Ciおよび被膜Coの厚さも、上記実施形態に限定されるこのではいない。被膜Ciおよび被膜Coの厚さは、保持する微粒子Pの大きさに応じて適宜決定すればよい。具体的には、保持する微粒子Pの大きさの1/2倍程度の厚さが好適である。これらによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0046】
また、上記実施形態においては、磁気プローブ10の先端部12の外径を約3.5μm、同先端部12の内径を約2μmの大きさに形成したが、これに限定されるものではない。これらの磁気プローブ10の先端部12の大きさは、保持する微粒子Pの大きさに応じて適宜決定すればよい。具体的には、保持する微粒子Pの大きさの1.5〜4.0倍程度の大きさが好適である。これらによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0047】
また、上記実施形態においては、磁気プローブ10のプローブ本体11を構成するガラス管の孔形が円形のものを用いた。しかし、これに代えて、図4(A)に示すように、ガラス管40の内周面41上に同内周面41から凸状に突出した芯材42がガラス管40の軸線方向に沿って形成された所謂芯入りガラス管を用いてもよい。これによれば、ピペットプラーによりプローブ本体11を製作する際、ガラス管40内に配置して溶融した磁極用材料(上記実施形態における鉄線)が芯材42に沿って付着する。すなわち、図4(B)に示すように、プローブ本体11を製作した際、プローブ本体11の先端部12における開口部の一部に偏った状態で磁性部43を成形することができる。なお、図5は、芯入りガラス管を用いて実際にプローブ本体11を製作した際のSEM画像である。図5によれば、プローブ本体11の内周面における図示右上部分に偏った状態で磁性部43が形成されている。
【0048】
これによれば、図6に示すように、磁気プローブ10の先端部12における磁性部43が形成された部分に磁力線が集中し、より大きさが小さい局所的な磁界を形成することができる。この結果、極めて小さい微粒子を単体で保持し易くなるとともに、同保持した微粒子をより小さい間隔で配置することが可能となる。また、磁気プローブ10の先端部12を小さく形成することが困難な場合においても、大きさが小さい局所的な磁界を形成することができる。
【0049】
なお、上記実施形態においては、被膜Coをスパッタ法で形成した。しかし、被膜Coを形成する方法は、被膜Coを構成する物質に応じて適宜決定すればよく、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、真空蒸着法、鍍金法、さらには、磁性材料を磁気プローブ10の先端部12の外周面に塗布することにより形成することができる。これらによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0050】
また、上記実施形態においては、磁性部13,14を構成する被膜Ci,Co、鉄柱15、およびワイヤ16の各材料には純度の高い鉄(純度約99.5%)を用いた。しかし、これらを構成する材料は磁性を有する材料であれば、これに限定されるものではない。例えば、酸化鉄、酸化クロム、フェライト、コバルト、ニッケル、またはセラミック磁性体などの材料を単体で、またはこれらを含む合金で用いることができる。また、純度の高い材料は、前記各部品、特に磁性部13,14に残留磁界が形成されることを防止して、微粒子Pの解放を容易にするためである。したがって、本発明を実施する上で必ずしも純度の高い材料を用意する必要はない。
【0051】
また、上記実施形態においては、コイル23に電流を印加する電源24を交流電源としたが、これに限定されるものではない。すなわち、電源24として直流電源を用いることも可能である。ただし、磁気プローブ10の先端部12における残留磁気を少なくするため、交流電源を用いることが望ましい。なお、電源24として直流電源を用いた場合には、コイル23の通電を停止した際、すなわち、微粒子Pを解放する際、磁気プローブ10の先端部12に磁気が残留し易い。このため、コイル23に磁気極性を反転させながら連続的に磁気が減少するように印加電流を正負に変化させながら連続的に減少させることにより、上記実施形態における交流消磁と同様の効果が期待できる。また、気プローブ10の先端部12の消磁は、交流消磁の他に磁気ヒステリシスが追従不能となるまで周波数を上げることによっても実現できる。これらによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0052】
また、本実施形態においては、外径が約1〜2μmの磁性を有する微粒子Pを用いたが、これに限定されるものではない。本発明は、外径が約1nm〜100μmまで微粒子Pに広く適用できるものである。また、微粒子Pが非磁性であっても、非磁性の微粒子Pに磁性を有する物体を付着させるなどにより磁性を備えさせるようにすることもできる。これらによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0053】
また、本実施形態においては、磁気プローブ10を磁化するために電源装置24に接続されたコイル23を用いた。しかし、磁気プローブ10の先端部に磁界を生じせることができる構成であれば、これに限定されるものではない。例えば、図7に示すように、磁性部13と磁性部14との間に永久磁石MGを配置して、同永久磁石MGを磁気的に接続・切断することによって磁気プローブ10の先端部における磁界の形成・消滅を制御するように構成してもよい。これによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0054】
また、本実施形態においては、基材BPの下方に磁気プローブ10を配置して微粒子配置装置を構成した。しかし、磁気プローブ10の配置位置は、微粒子Pを保持・配置・解放できれば、これに限定されるものではない。例えば、基材BPの上方に磁気プローブ10を配置するように構成してもよい。この場合、水層Wに直接磁気プローブ10の先端部12を浸漬して微粒子Pを保持・配置・解放することができる。これによれば、基材BPを介することなく微粒子Pを保持・配置・解放できるため、磁気プローブ10の先端部12に生じる磁界の強さ・大きさを小さくすることができる。すなわち、磁界を形成するためのエネルギーを節約することができる。
【0055】
また、本実施形態においては、微粒子Pを蒸留水中に含ませた状態で保持・配置・解放するように構成した。これは、微粒子Pを液体内に均一に浮遊させることにより磁気プローブ10による微粒子Pの保持・配置・解放が容易とするためである。したがって、微粒子Pを気体中または真空中に配置した状態で磁気プローブ10により保持・配置・解放することも可能である。また、微粒子Pを液体中に含ませる場合においても、蒸留水の外に純水、生理食塩水、アルコールなど、微粒子Pの特性に適合する液体を用いることができる。これらによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0056】
また、上記実施形態においては、対物レンズ31、ビームスプリッタ32、ハロゲンランプ33、集光レンズ34、ND(Neutral Density)フィルタ35、CCD素子36およびモニタ装置37により、基材BP上の液層W内を観察できるように構成した。しかし、液層Wの予め決まった位置で微粒子Pを保持するとともに、同補足した微粒子Pを予め決まった位置に配置する場合など、液層W内や微粒子Pを観察する必要がない場合には、必ずしも、これらの構成、すなわち、微粒子観察手段は必要ではない。
【0057】
また、上記実施形態においては、磁気プローブ10を3軸アクチュエータ21により基材BPに対して変位させるように構成した。しかし、磁気プローブ10が基材BPに対して相対的に変位する構成であれば、これに限定されるものではない。すなわち、位置を固定した磁気プローブ10に対して基材BPを変位させるように構成してもよい。これらによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0058】
また、上記実施形態においては、作業者がアクチュエータ制御装置22および電源装置24を手動操作することにより、磁気プローブ10の位置決め、および同磁気プローブ10による微粒子Pの保持・解放を行う構成とした。しかし、磁気プローブ10の位置決め、および同磁気プローブ10による微粒子Pの保持・解放をコンピュータによって自動化することもできる。例えば、図1において破線で示すように、アクチュエータ制御装置22および電源装置24にコントローラ25を接続する。
【0059】
この場合、コントローラ25は、CPU、ROM、RAMなどからなり、入力装置26からの指示に応じて、アクチュエータ制御装置22および電源装置24の作動をそれぞれ制御する。入力装置26は、複数の押しボタンスイッチからなり、作業者からの指示をコントローラ25に入力する。したがって、作業者は、微粒子Pを保持する位置および解放する位置を予めコントローラ25に入力しておく。これにより、コントローラ25は、予め記憶されているプログラムに従って、作業者から指示された位置に磁気プローブ10を位置決めするとともに同位置で微粒子Pを保持し、同作業者から指示された位置に保持した微粒子Pを位置決めして解放するようにアクチュエータ制御装置22および電源装置24の作動をそれぞれ制御する。これによれば、微粒子Pの保持・配置・解放を効率的、かつ正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態に係る磁気プローブを用いた微粒子配置装置の構成を模式的に示した全体外略図である。
【図2】(A),(B)は、図1に示す磁気プローブによって微粒子を保持する様子を模式的に示した説明図である。
【図3】図1に示す微粒子配置装置によって実際に微粒子を配置した結果を示すSEM画像である。
【図4】(A),(B)は、本発明の変形例に係る磁気プローブの製造方法を示す説明図であり、(A)は芯入りガラス管の先鋭化前の状態を示した平面図であり、(B)は芯入りガラス管を先鋭化した状態を示した平面図である。
【図5】図4(B)に示す芯入りガラス管を実際に先鋭化した結果を示すSEM画像である。
【図6】本発明の変形例に係る磁気プローブによって微粒子を保持する様子を模式的に示した説明図である。
【図7】本発明の他の変形例に係る磁気プローブを模式的に示した説明図である。
【図8】従来例に係る磁気プローブによって微粒子を保持する様子を模式的に示した説明図である。
【符号の説明】
【0061】
BP…基材、P,P1,P2,P3…微粒子、W…水層、S…シール、C…カバーガラス、10…磁気プローブ、11…プローブ本体、12…先端部、13,14…磁性部、15…鉄柱、16…ワイヤ、21…3軸アクチュエータ、21a…プローブ保持具、22…アクチュエータ制御装置、23…コイル、24…電源装置、25…コントローラ、31…対物レンズ、32…ビームスプリッタ、33…ハロゲンランプ、36…CCD素子、37…モニタ装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状に形成されたプローブ本体の先端部に磁界を生じさせることにより、磁性を有する微粒子を前記先端部に保持させる磁気プローブにおいて、
前記先端部に互いに異なる2つの磁極を形成するために磁性体からなる磁性部をそれぞれ備え、前記各磁性部による互いに異なる2つの磁極によって形成される磁界によって前記微粒子を保持させることを特徴とする磁気プローブ。
【請求項2】
請求項1に記載した磁気プローブにおいて、
前記プローブ本体は、非磁性体により形成された管体の内周面および外周面に、前記各磁性部として磁性体をそれぞれ配置して構成された磁気プローブ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載した磁気プローブの製造方法であって、
ガラス管の中に、磁性を有し前記ガラス管より低い融点の磁極用材料を配置する磁極用材料配置工程と、
前記磁極用材料の溶融温度以上、かつ前記ガラス管の融点未満の範囲の温度における同ガラス管の塑性変形可能な温度にまで前記ガラス管を加熱する加熱工程と、
前記加熱されたガラス管を同ガラス管の軸線方向に引っ張ることにより、同ガラス管の外径を成形するとともに、溶融した前記磁極用材料を前記ガラス管の内周面に付着させることにより前記磁性部の一方を成形する成形工程とを含むことを特徴とする磁気プローブの製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載した磁気プローブの製造方法において、さらに、
前記成形工程後のガラス管の外周面にパーマロイ(Fe−Ni合金)からなる被膜を形成して前記磁性部の他方を成形する被膜成形工程を含む磁気プローブの製造方法。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載した磁気プローブの製造方法において、
前記磁極用材料配置工程は、前記ガラス管の内周面に同内周面から突出した凸部が前記ガラス管の軸線方向に沿って形成されたガラス管を用いる磁気プローブの製造方法。
【請求項6】
基材の表面に磁性を有する微粒子を配置するための微粒子配置装置において、
前記請求項1または請求項2に記載した磁気プローブと、
前記磁気プローブの先端部に磁界を生じさせる磁界発生手段と、
前記基材と前記磁気プローブとを相対的に変位させる位置変位手段とを備えたことを特徴とする微粒子配置装置。
【請求項7】
請求項6に記載した微粒子配置装置において、
前記磁界発生手段は、
前記磁気プローブの周囲に配置されたコイルと、
前記コイルに電流を流すための電源とを備える微粒子配置装置。
【請求項8】
請求項7に記載した微粒子配置装置において、
前記磁界発生手段における前記電源は、磁気極性を連続的に反転させながら印加電流を漸減させることにより、前記磁気プローブに生じた磁気を消滅させる微粒子配置装置。
【請求項9】
請求項6ないし請求項8のうちのいずれか1つに記載した微粒子配置装置において、さらに、
前記基材の表面を照らすための光源を有し、同光源によって照らされた前記基材上の前記微粒子の状態を観察可能とする微粒子観察手段を備える微粒子配置装置。
【請求項10】
請求項6ないし請求項9のうちのいずれか1つに記載した微粒子配置装置において、
前記微粒子は液体中に存在する微粒子配置装置。
【請求項11】
請求項6ないし請求項10のうちのいずれか1つに記載した微粒子配置装置において、
前記微粒子は、粒の大きさが1nm〜100μmのナノ粒子またはマイクロ粒子である微粒子配置装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図3】
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【図5】
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