説明

磁気共鳴イメージング装置

【課題】被検体の屈曲した部位における複数のスライス位置の設定を短時間で容易に設定可能な磁気共鳴イメージング装置を実現する。
【解決手段】操作者はディスプレイに表示された椎間板601を通るようにガイドライン602をマウス等により描画する。スプライン関数を用いてガイドラインを補正する計算をCPUが行い、滑らかなカーブ603を描く。ガイドライン602と画像との位置から画像上のガイドラインの座標値をCPUが演算し、始点604からの距離が間隔(dis)にあたる位置が第1スライスセットの中心となる。第1スライスセットの間隔(dis)を操作者が決定すると、第2、第3の各スライスセットセット605の互いの中心間隔がdisになるように自動的に設定される。撮像断面の角度は、ガイドライン602のスプライン関数の任意の位置で微分を求め、それに垂直になるように算出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴イメージング装置に係わり、特に、複数枚の断層像を得るマルチスライス撮像の設定機能を有する磁気共鳴イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)は、核磁気共鳴現象(NMR現象)を利用して被検体中の所望の検査部位における原子核スピンの密度分布、緩和時間分布等を計測して、その計測データから被検体の任意断面を画像表示する装置である。
【0003】
上記MRI装置においては、被検体の複数のスライス位置(撮像断面)を設定した後、その断層像を撮像する場合がある。
【0004】
従来の技術における撮像断面の設定手法として、複数のスライスセットを用いる方法がある。スライスセットとは、図23、図24に示すような撮像断面のセット101である。位置決め画像202中に描画されたスライスセット101を、それぞれの中心位置102や角度、枚数を、図24に示すように設定する。そして、設定したスライス位置に従って複数患部を撮像する。
【0005】
なお、MRI装置により複数のスライス画像を得る方法として、特許文献1に記載された技術がある。この特許文献1記載の技術は、複数のスライス画像の解像度、厚みを、それぞれのスライス位置で所望の値に設定可能とする技術である。
【0006】
【特許文献1】米国特許5,438,263号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、複数のスライスセットを用いて被検体を撮像する場合、撮像する被検体の領域が、人体における複数の椎間板が連続するような屈曲している部位に使用されることが多い。
【0008】
屈曲している部位を撮像するためには、図25に示すように、撮像前に、参照画像により、スライスセット302の中心位置の設定、断層面の角度設定を、それぞれの断層画面毎に手動で行う必要がある。
【0009】
しかしながら、スライスセット302の中心位置、断層面の角度を手動で断層画面毎に設定する作業は、煩雑で、操作に長時間を要し、操作者や被検体に大きな負担がかかるばかりでなく、撮像時間の短縮化の妨げとなっていた。
【0010】
本発明の目的は、被検体の屈曲した部位における複数のスライス位置の設定を短時間で容易に設定可能な磁気共鳴イメージング装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は次のように構成される。
(1)静磁場発生手段と、傾斜磁場発生手段と、高周波送受信手段と、画像演算処理手段と、画像表示手段と、画像位置指定手段とを有し、被検体の複数の断層画像を撮像し、表示する磁気共鳴イメージング装置において、上記画像演算処理手段107は、被検体の断層画像の撮像前に、上記被検体の撮像対象部位を画像表示手段122に表示し、上記画像位置指定手段108により指定された複数の撮像点を通過するガイドラインを算出してこのガイドラインに垂直となるように、複数の断層画像予定面を演算して表示する。
【0012】
(2)好ましくは、上記(1)において、上記画像演算処理手段は、上記ガイドラインを表示画面の中央部に表示する。
【0013】
(3)また、好ましくは、上記(1)において、上記画像演算処理手段は、複数の撮像断面を有するスライスセットを、複数個設定し、上記指定された複数の撮像点を、複数のスライスセットのそれぞれの中心位置となるように、演算し、表示する。
【0014】
(4)静磁場発生手段と、傾斜磁場発生手段と、高周波送受信手段と、画像演算処理手段と、画像表示手段と、画像位置指定手段とを有し、被検体の複数の断層画像を撮像し、表示する磁気共鳴イメージング装置において、上記画像演算処理手段は、被検体の断層画像の撮像前に、上記被検体の撮像対象部位を画像表示手段に表示し、上記画像位置指定手段により指定されたガイドラインと、第1の撮像点とに基づいて、複数の断層画像予定位置を算出し、算出した複数の断層画像予定位置のそれぞれに、複数の断層画像面からなる複数のスライスセットを設定するとともに、これら複数の断層画像予定面が上記ガイドラインに垂直となるように、複数の断層画像予定面を演算して表示する。
【0015】
(5)好ましくは、上記(4)において、上記画像演算処理手段は、上記ガイドラインを表示画面の中央部に表示する。
【0016】
(6)また、好ましくは、上記(4)において、上記画像演算処理手段は、上記指定された複数の撮像点を、複数のスライスセットのそれぞれの中心位置となるように、演算し、表示する。
【0017】
(7)また、好ましくは、上記(1)、(4)において、上記演算して表示された複数の断層画像予定面の位置または角度は、上記画像位置指定手段からの変更指令に従って、上記画像演算処理手段によりが変更される。
【0018】
(8)静磁場発生手段と、傾斜磁場発生手段と、高周波送受信手段と、画像演算処理手段と、画像表示手段と、画像位置指定手段とを有する磁気共鳴イメージング装置の、被検体の複数の断層画像を撮像し、表示する断層画像設定方法において、被検体の断層画像の撮像前に、上記被検体の撮像対象部位を画像表示手段に表示し、上記画像位置指定手段により指定された複数の撮像点を通過するガイドラインを算出し、算出したガイドラインに垂直となるように、複数の断層画像予定面を演算して表示する。
【0019】
(9)静磁場発生手段と、傾斜磁場発生手段と、高周波送受信手段と、画像演算処理手段と、画像表示手段と、画像位置指定手段とを有する磁気共鳴イメージング装置の、被検体の複数の断層画像を撮像し、表示するする断層画像設定方法において、被検体の断層画像の撮像前に、上記被検体の撮像対象部位を画像表示手段に表示し、上記画像位置指定手段により指定されたガイドラインと、第1の撮像点とに基づいて、複数の断層画像予定位置を算出し、算出した複数の断層画像予定位置のそれぞれに、複数の断層画像面からなる複数のスライスセットを設定するとともに、これら複数の断層画像予定面が上記ガイドラインに垂直となるように、複数の断層画像予定面を演算して表示する。
【発明の効果】
【0020】
被検体の屈曲した部位における複数のスライス位置の設定を短時間で容易に設定可能な磁気共鳴イメージング装置及び断層画像設定方法を実現することができる。
【0021】
ガイドラインに沿った撮像予定断面の設定は、撮像のたびに、慎重に各スライスセットを移動・回転させて計画断面を設定している負担を軽減させ、反復の多い作業をガイドラインの描画又はスライスセットの中心位置設定という直感的な作業に移行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明が適用されるMRI装置の全体概略構成図である。
【0023】
図1において、MRI装置は、磁気共鳴現象を利用して被検体の断層像を得るためのものであり、静磁場発生手段101と、傾斜磁場発生手段102と、送信系103と、受信系104と、信号処理系105と、静磁場発生手段101等の動作を制御する制御部106と、中央処理装置(画像演算処理手段)107と、操作部108(画像位置指定手段)とを備える。
【0024】
静磁場発生手段101は、被検体108の周りの、ある広がりを持った空間に配置された磁石から、被検体108の周囲にその体軸と直交あるいは平行な方向に均一な静磁場を発生させる。
【0025】
また、傾斜磁場発生手段102は、傾斜磁場電源110と、傾斜磁場コイル109とを備え、X軸、Y軸、Z軸の3軸方向の傾斜磁場を被検体108が配置される撮像空間に発生する。この傾斜磁場の加え方により、被検体108の撮像断面が設定される。
【0026】
送信系103は、高周波発振器111、変調器112、高周波増幅器113及び高周波照射コイル114を備える。この送信系103は、傾斜磁場発生手段102で設定された被検体108の撮像断面の生体組織を構成する原子の原子核を励起して核磁気共鳴を起こさせるために、高周波発振器111から出力された高周波パルスを、変調器112を介して、高周波増幅器113に供給する。そして、高周波増幅器113で増幅した後に、被検体108に近接して設置された高周波照射コイル114に供給して被検体108に高周波パルスを照射する。
【0027】
また、受信系104は、高周波受信コイル115、受信回路116及びアナログ/ディジタル(以下「A/D」という)変換器117を備える。そして、送信系103の高周波照射コイル114から照射された電磁波による被検体108の生体組織の原子核の磁気共鳴によるエコー信号であるNMR信号を、被検体108に近接して配置された高周波受信コイル115で検出する。高周波受信コイル115により検出されたNMR信号は、受信回路116を介してA/D変換器117に入力し、ディジタル信号に変換される。
【0028】
A/D変換器117においては、制御部106からの命令によるタイミングでサンプリングされた収集データとして、その信号を信号処理系105に送る。
【0029】
制御部106は、CPU107の制御により動作し、スライスエンコード、位相エンコード、周波数エンコードの各傾斜磁場および高周波磁場パルスをある所定のパルスシーケンスで繰り返し発生するためのものである。そして、制御部106は、被検体108の断層像のデータ取得に必要な種々の命令を傾斜磁場発生手段102、送信系103および受信系104に送る。
【0030】
また、信号処理系105は、CPU107と、信号処理装置118と、メモリ119と、磁気ディスク120と、光ディスク121と、ディスプレイ(画像表示手段)122とを備える。
【0031】
CPU107は、収集データに対してフーリエ変換およびシーケンサ106の制を行う。また、信号処理装置118は、補正計算や収集データを断層像に再構成するために必要な処理を行う。
【0032】
メモリ119は、経時的な画像解析処理および指定された計測のシーケンスのブログラムやその実行の際に用いられるパラメータ等を記憶し、被検体に対して行った事前の計測で得た計測パラメータや受信系104で検出したNMR信号からの収集データおよび関心領域設定に用いる画像を一時保管すると共にその関心領域を設定するためのパラメータ等を記億する。
【0033】
また、磁気ディスク120及び光ディスク121は、再構成された画像データを記憶するデータ格納部である。ディスプレイ122は、受信系104で検出したNMR信号を用いて画像再構成演算を行うとともに、その画像表示を行う。
【0034】
操作部108は、トラックボールまたはマウス、キーボード等からなり信号処理系105で行う処理の制御情報を入力するためのものである。
【0035】
ディスプレイ122に受信系104で検出したNMR信号を画像再構成した画像を順次表示する。その連続表示されている画像上で次の撮像の位置、角度を操作部108により設定する。設定した情報は、ディスプレイ122に表示する。
【0036】
次に、本発明の一実施形態における被検体の屈曲した部位における複数のスライス位置の設定について、説明する。
【0037】
(A−1)椎間板への適用
まず、椎間板の撮像についての適用を説明する。
図2は、本発明の一実施形態における、被検体の椎間板を含む屈曲した部位を撮像する場合におけるスライスセット(複数の断層画像)の設定動作の説明図である。
【0038】
まず、操作者は、図2の(a)に示すように、ディスプレイ122に表示された椎間板601を通るようにガイドライン602をマウス、キーボード等により描画する。ガイドライン602は屈曲した部位を示すラインであり、フリーハンドで描画する。
【0039】
フリーハンドでガイドライン602を描画すると、ラインの形状が歪になることがあるので、スプライン関数を用いてガイドラインを補正する計算を、CPU107が行い、図2の(b)に示すような滑らかなカーブ603を自動的に描く。そして、ガイドライン603と画像との位置から、画像上のガイドラインの座標値をCPU107が演算して得る。CPU107は、ガイドライン603が画面上の中央となるように画像を移動する。
【0040】
ガイドライン602の始点604からの距離が間隔(dis)にあたる位置が、第1スライスセットの中心(第1の撮像点)となる(図2の(c))。この間隔(dis)は操作者が決定する。この第1スライスセットの間隔(dis)を操作者が決定すると、図2(d)に示すように、第2、第3・・・の各スライスセットセット605の互いの中心位置(複数の断層画像予定位置)の間隔がdisになるように自動的に設定される。
【0041】
撮像断面の角度は、図2の(e)に示すように、ガイドライン602のスプライン関数の任意の位置で微分を求め、それに垂直になるように算出される。
【0042】
スライスセット間の間隔(dis)が上述したように設定された後、部分的に間隔の値を変更したい場合は、操作者が手動にて行うことができる。
【0043】
つまり、図3に示すように、任意のスライスセット605の中心606をガイドライン602上の任意位置となるように移動させる(画像位置指定手段からの変更指令に従って移動)。中心606が任意位置に設定されると、ガイドライン602に垂直になるようにスライスセットが自動的に回転される。
【0044】
(B−1)血管撮像への適用
次に、血管撮像への適用について説明する。
血管を血液の進行方向に垂直に撮像しようとするとき、血管が位置決め画像に対して、左右上下に曲がっているとともに、奥行き方向にも湾曲している場合がある。
【0045】
図4の(a)に示すように、血管MIP像を正面から撮像した画像(COR)と、図4の(b)に示すように、横方向から撮像した画像(SAG)において、血管(701)が存在する場合を例にする。
【0046】
COR像にて、図5の(a)に示すように、操作者がキーボード等によりガイドライン801を描く。図6の(a)に示すように、CPU107によりスライスセット901の中心902がガイドライン801上へ配置され、スライスセット901の角度は、ガイドライン801に垂直に配置される。また、CPU107は、ガイドライン801が画面上の中央となるように画像を移動する。
このとき、奥行き方向は、図6の(b)に示すように、全てのスライスセットは同じ位置にある。
【0047】
次に、SAG像にて、図5の(b)に示すように、ガイドライン802を操作者が描く。COR像と同様な条件で、図7(a)、(b)に示すように、CPU107bによりスライスセット1001が再設定される。
【0048】
(C−1)脳の撮像への適用
次に、脳の撮像への適用を説明する。
図8の(a)に示すように、脳の撮像において、脳1101に対して水平に位置決めするために、被検者の正面から見た画像(COR)に対して、正中線1102を画像から推測する必要がある。
【0049】
正中線1102は、頭蓋上部の静脈1103と、脳の中心を通るような線分で推測することができる。
【0050】
図8(b)に示すように、操作者がガイドライン1104を作成し、図8(c)における上部の静脈(ガイドライン始点1105)と、脳の中心(ガイドライン終点1106)との2点を指定することができる。CPU107は、ガイドラインが画面上の中央となるように画像を移動する。
【0051】
そして、図8(d)のように、ガイドラインの始点1105と終点1106とを結んだ線の中点を撮像断面の中心1107とし、2つの点を結ぶガイドラインに垂直になるように、スライスセット1108の角度をCPU107が決定する。
【0052】
図9は、本発明によるMRI計測方法の演算等を行う機能ブロック図である。
図9において、機能は、中央処理装置(CPU)107と、物理メモリ1202と、論理メモリ1203とを備える。そして、論理メモリ1203は、画像データメモリ1204と、表示データメモリ1205と、撮像断面データメモリ1206と、ガイドラインデータメモリ1207とを備えている。
【0053】
図9に示した機能により、以下に示すデータを用いて演算等が行なわれる。
【0054】
図10は、位置決め画像データを示す図である。図10において、位置決め画像データは、ベクトルRow img1301、Col img1302を通る平面で、その位置はPosimg1303、大きさはFOV img1304である。
【0055】
図11は表示データを示す図である。図11において、表示データは、ベクトルRowdisp1401、Col disp1402を通る平面で、その位置はPosdisp1403、大きさはFOV disp1404とする。
【0056】
図12はスライスセットデータを示す図である。図12において、スライスセットデータは、ベクトルRowplan1501、Colplann1502を通る平面で、その位置はPosplan1503、大きさはFOV plan1504からなるN個の平面である。
【0057】
次に、位置決め画像の表示とガイドライン描画について説明する。
図13は、位置決め画像の表示データ座標系への変換の説明図である。図13において、位置決め画像データ1601を表示データ1602座標系に変換行列(f)1603を用いて変換する。
【0058】
操作者が位置決め画像上に、ガイドラインを描くと、図14に示すように、表示データ1701上に存在するガイドラインデータG1702がメモリ上に確保される。
【0059】
続いて、ガイドラインからスライスセットのアングル算出方法について説明する。
図15に示すように、ガイドラインデータG1801により、距離disにある点を探索し、スライスセットの中心1802とする。各スライスセットのRowplan、 Colplanベクトルは、ガイドラインGに垂直に成るよう算出される。
【0060】
図16に示すように、スライスセット1901に対して、変換行列f-1を用いて、位置決め画像データ1902座標系に変換し、撮像断面1903を得る。
【0061】
図17、図18は、本発明によるスライスセット設定の動作フローチャートである。
図17のステップS1において、スライスセットの数を操作者が設定する。そして、スライスセットの数が1を越えるか否かをCPU107が判断し、1を越えない場合、つまり、1セットのみである場合は、ステップS3に進み、1スライスセットでのガイドラインの設定を行なう。この1スライスセットでのガイドラインの設定は、図18に示した動作フローチャートに従って行なわれるが、その説明は後述する。
【0062】
ステップS2において、スライスセット数が1を超える場合は、ステップS4に進み、操作者がガイドラインを描画する。次に、ステップS5において、操作者が描画したガイドラインをCPU107が補正する。そして、ステップS6で、スライスセット間距離を操作者が入力すると、そのスライスセット間距離に基づいて、CPU107が各スライスセットの位置を設定する。
【0063】
ステップS8において、設定したスライスセット間距離が適正か否かを、操作者が判断し、適切ではない場合は、ステップS6に戻り、スライスセット間距離の設定を変更する。
【0064】
ステップS8において、設定したスライスセット間距離が適正である場合は、ステップS9に進み、各スライスセットのガイドラインに対する角度をCPU107が設定する。
【0065】
そして、ステップS10において、各スライスセットのガイドラインに対する角度が適正か否かを操作者が判断し、適切でなければ、ステップS11で手動にて、上記角度を再設定する。
【0066】
ステップS10において、各スライスセットのガイドラインに対する角度が適正であると操作者が判断すると、角度設定は終了する。
【0067】
次に、ステップS3における1つのスライスセットの場合の角度設定を図18に示したフローチャートに従って説明する。
【0068】
図18のステップS31において、操作者がガイドラインを描画する。次に、ステップS32において、操作者が描画したガイドラインをCPU107が補正する。そして、ステップS33で、操作者がそのスライスセットの位置を設定する。
【0069】
次に、ステップS34において、そのスライスセットのガイドラインに対する角度をCPU107が設定する。そして、ステップS35において、そのスライッスセットの位置決めが適正か否かを操作者が判断し、適正でなければ、ステップS36で手動にて、始点及び終点を変更し、ステップS35に戻る。
【0070】
ステップS35において、そのスライスセットの位置決めが適正であると操作者が判断すると、スライスセットが1組である場合のガイドライン設定は終了する。
【0071】
以上のように、本発明の一実施形態によれば、複数のスライスセットを用いて被検体の屈曲している部位を撮像する場合に、スライスセットの設定において、撮像する屈曲部を指定するガイドラインを操作者が手動にて指定すれば、自動的にそのガイドラインを適切なラインに修正し、スライスセット間隔を操作者が入力すれば、複数のスライスセットのそれぞれの中心位置、及びガイドラインに直交するための角度が自動的に設定される。
【0072】
したがって、被検体の屈曲した部位における複数のスライス位置の設定を短時間で容易に設定可能な磁気共鳴イメージング装置を実現することができる。
【0073】
また、磁気共鳴イメージング装置の、被検体の複数の断層画像を撮像し、表示する断層画像設定方法において、被検体の屈曲した部位における複数のスライス位置の設定を短時間で容易に設定可能な断層画像設定方法を実現することができる。
【0074】
上述した例は、被検体の屈曲した部位にガイドラインを操作者が設定し、入力したスライスセット間隔に従って、各スライスセットの中心位置、角度を自動的に設定する例である。
【0075】
これに上記例に対して、被検体の屈曲した部位に各スライスセットの所望中心位置を操作者が設定すれば、自動的にガイドラインを設定し、各スライスセットの角度を自動的に設定することも可能である。
【0076】
次に、本発明の他の実施形態について、説明する。この他の実施形態は、上述した被検体の屈曲した部位に各スライスセットの所望中心位置を操作者が設定する場合の例である。
【0077】
(A−2)椎間板への適用
図19は、本発明の他の実施形態における、被検体の椎間板を含む屈曲した部位を撮像する場合におけるスライスセットの設定動作の説明図であり、図20は設定動作のフローチャートである。
【0078】
まず、操作者は、図19の(a)に示すように、ディスプレイ122に表示された椎間板601に、スライスセットの所望の中心位置606をマウス、キーボード等により設定する(図20のステップS41)。
【0079】
中心位置606を設定すると、その中心位置の数が一つか否かをCPU107が判断し(ステップS42)、一つであれば、図18に示したフローチャートと同様な動作により一つの中心位置606でのガイドラインが設定される(ステップS43)。
【0080】
ステップS42で中心位置606が複数であれば、CPU107が設定した複数の中心位置606を通過するガイドライン603を算出し描画して、その補正が必要であれば、操作者が補正する(ステップS44、S45、図19の(b))。そして、描画したガイドライン603と画像との位置から、画像上のガイドラインの座標値をCPU107が演算して得る。CPU107は、ガイドラインが画面上の中央となるように画像を移動する。
【0081】
撮像断面の角度は、ガイドラインのスプライン関数の任意の位置で微分を求め、それに垂直になるように算出され、描画される(ステップS46、図19の(c)、(d))。
【0082】
次に、描画されたスライスセットの位置決めが適正か否かを操作者が判断し、適正でなければ、手操作によりスライスセットの位置を移動する(ステップS47、S48)。
【0083】
(B−2)血管撮像への適用
次に、血管撮像への適用について説明する。
COR像にて、図21の(a)に示すように、操作者がキーボード等により血管に、複数のスライスセットの所望の複数の中心位置902をマウス、キーボード等により設定する。
【0084】
複数の中心位置902を設定すると、CPU107が設定した複数の中心位置902を通過するガイドライン801を算出し描画する。そして、描画したガイドライン801と画像との位置から、画像上のガイドラインの座標値をCPU107が演算して得る。CPU107は、ガイドラインが画面上の中央となるように画像を移動する。
【0085】
次に、図21の(c)に示すように、ガイドライン801に直交する複数の撮像断面、つまり、スライスセットを、各中心位置902について算出し、描画する。
【0086】
撮像断面の角度は、ガイドライン801のスプライン関数の任意の位置で微分を求め、それに垂直になるように算出される。
【0087】
次に、SAG像にて、図21の(b)に示すように、複数の中心位置902を操作者が設定する。
【0088】
複数の中心位置902を設定すると、CPU107が設定した複数の中心位置902を通過するガイドライン802を算出し描画する。そして、描画したガイドライン802と画像との位置から、画像上のガイドラインの座標値をCPU107が演算して得る。CPU107は、ガイドラインが画面上の中央となるように画像を移動する。
【0089】
次に、図21の(d)に示すように、ガイドライン802に直交する複数の撮像断面を、各中心位置902について算出し、描画する。
【0090】
そして、COR像と同様な条件で、撮像断面の角度が算出される。
【0091】
この血管撮像においても、設定した中心位置が一つの場合は、図20のステップS42、S43と同様にして、一つの中心位置でのガイドラインが算出され、描画される。
【0092】
また、スライスセットの角度が設定され、描画された後、その位置決めが適正か否かを操作者が判断し、手操作により移動することができる(図20のステップS47、S48と同様)。
【0093】
(C−2)脳の撮像への適用
次に、脳の撮像への適用を説明する。
上述したように、脳の撮像において、脳1101に対して水平に位置決めするために、頭蓋上部の静脈1103と、脳の中心を通るような線分で推測することができる(図22(a))。
【0094】
図22(b)に示すように、操作者が一つめの撮像点と、2つめの撮像点を設定すると、図22(c)に示すように、CPU107が上記2つの撮像点を始点と終点とするガイドラインを描画する。CPU107は、ガイドラインが画面上の中央となるように画像を移動する。
【0095】
そして、図22(d)のように、ガイドラインの始点と終点とを結んだ線の中点を撮像断面の中心1107とし、ガイドラインに垂直になるようにスライスセット1108の角度をCPU107が決定する。
【0096】
以上のように、本発明の他の実施形態によれば、複数のスライスセットを用いて被検体の屈曲している部位を撮像する場合に、スライスセットの設定において、撮像する屈曲部に複数のスライスセットのそれぞれの中心位置を操作者が手動にて指定すれば、自動的に、設定した中心位置を通過するガイドラインを設定し、そのガイドラインに直交するための角度が自動的に設定される。
【0097】
したがって、本発明の他の実施形態においても、一実施形態と同様に、被検体の屈曲した部位における複数のスライス位置の設定を短時間で容易に設定可能な磁気共鳴イメージング装置及び断層画像設定方法を実現することができる。
【0098】
なお、上述した他の実施形態においては、ガイドラインを表示画面に表示する例を示したが、ガイドラインは演算上算出するのみで、算出したガイドラインは表示せず、位置及び角度が算出されたスライスセットを表示することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明が適用されるMRI装置の全体概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態における被検体の椎間板を含む屈曲した部位を撮像する場合におけるスライスセットの設定動作の説明図である。
【図3】任意のスライスセットの中心をガイドライン上の任意位置となるように移動させる設定方法の説明図である。
【図4】本発明の一実施形態における被検体の血管を撮像する場合におけるスライスセットの設定動作の説明図である。
【図5】本発明の一実施形態における被検体の血管を撮像する場合におけるスライスセットの設定動作の説明図である。
【図6】本発明の一実施形態における被検体の血管を撮像する場合におけるスライスセットの設定動作の説明図である。
【図7】本発明の一実施形態における被検体の血管を撮像する場合におけるスライスセットの設定動作の説明図である。
【図8】本発明の一実施形態における被検体の脳を撮像する場合におけるスライスセットの設定動作の説明図である。
【図9】本発明のシステム機能ブロック図である。
【図10】本発明における位置決め画像データの説明図である。
【図11】本発明における表示データの説明図である。
【図12】本発明におけるスライスセットデータの説明図である。
【図13】位置決め画像の表示データ座標系への変換の説明図である。
【図14】表示データへのガイドライン描画の説明図である。
【図15】ガイドラインからの撮像断面算出の説明図である。
【図16】スライスセットの位置決め画像データ座標系へ変換説明図である。
【図17】本発明の一実施形態におけるスライスセット設定の動作フローチャートである。
【図18】本発明の一実施形態におけるスライスセット設定の動作フローチャートである。
【図19】本発明の他の実施形態における被検体の椎間板を含む屈曲した部位を撮像する場合におけるスライスセットの設定動作の説明図である。
【図20】被検体の椎間板を含む屈曲した部位を撮像する場合におけるスライスセットの設定動作のフローチャートである。
【図21】本発明の他の実施形態における被検体の血管を撮像する場合におけるスライスセットの設定動作の説明図である。
【図22】本発明の他の実施形態における被検体の脳を撮像する場合におけるスライスセットの設定動作の説明図である。
【図23】MRI装置におけるスライスセットの説明図である。
【図24】MRI装置におけるスライスセットの説明図である。
【図25】MRI装置におけるスライスセットの角度設定の説明図である。
【符号の説明】
【0100】
101 静磁場発生手段
102 傾斜磁場発生手段
103 送信系
104 受信系
105 信号処理系
106 制御部
107 中央処理装置
108 操作部
601 椎間板
602、603 ガイドライン
604 始点
605 スライスセット
606 撮像点(中心位置)
701 血管
801、802 ガイドライン
901、1001 スライスセット
902 中心位置
1104 ガイドライン
1108 スライスセット
1202 物理メモリ
1203 論理メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静磁場発生手段と、傾斜磁場発生手段と、高周波送受信手段と、画像演算処理手段と、画像表示手段と、画像位置指定手段とを有し、被検体の複数の断層画像を撮像し、表示する磁気共鳴イメージング装置において、
上記画像演算処理手段は、被検体の断層画像の撮像前に、上記被検体の撮像対象部位を画像表示手段に表示し、上記画像位置指定手段により指定された複数の撮像点を通過するガイドラインを算出してこのガイドラインに垂直となるように、複数の断層画像予定面を演算して表示することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置において、上記画像演算処理手段は、上記ガイドラインを表示画面の中央部に表示することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置において、上記画像演算処理手段は、複数の撮像断面を有するスライスセットを、複数個設定し、上記指定された複数の撮像点を、複数のスライスセットのそれぞれの中心位置となるように、演算し、表示することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
静磁場発生手段と、傾斜磁場発生手段と、高周波送受信手段と、画像演算処理手段と、画像表示手段と、画像位置指定手段とを有し、被検体の複数の断層画像を撮像し、表示する磁気共鳴イメージング装置において、
上記画像演算処理手段は、被検体の断層画像の撮像前に、上記被検体の撮像対象部位を画像表示手段に表示し、上記画像位置指定手段により指定されたガイドラインと、第1の撮像点とに基づいて、複数の断層画像予定位置を算出し、算出した複数の断層画像予定位置のそれぞれに、複数の断層画像面からなる複数のスライスセットを設定するとともに、これら複数の断層画像予定面が上記ガイドラインに垂直となるように、複数の断層画像予定面を演算して表示することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
請求項4記載の磁気共鳴イメージング装置において、上記画像演算処理手段は、上記ガイドラインを表示画面の中央部に表示することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
請求項4記載の磁気共鳴イメージング装置において、上記画像演算処理手段は、上記指定された複数の撮像点を、複数のスライスセットのそれぞれの中心位置となるように、演算し、表示することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
請求項1または4記載の磁気共鳴イメージング装置において、上記演算して表示された複数の断層画像予定面の位置または角度は、上記画像位置指定手段からの変更指令に従って、上記画像演算処理手段により変更されることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
静磁場発生手段と、傾斜磁場発生手段と、高周波送受信手段と、画像演算処理手段と、画像表示手段と、画像位置指定手段とを有する磁気共鳴イメージング装置の、被検体の複数の断層画像を撮像し、表示する断層画像設定方法において、
被検体の断層画像の撮像前に、上記被検体の撮像対象部位を画像表示手段に表示し、
上記画像位置指定手段により指定された複数の撮像点を通過するガイドラインを算出し、
算出したガイドラインに垂直となるように、複数の断層画像予定面を演算して表示することを特徴とする断層画像設定方法。
【請求項9】
静磁場発生手段と、傾斜磁場発生手段と、高周波送受信手段と、画像演算処理手段と、画像表示手段と、画像位置指定手段とを有する磁気共鳴イメージング装置の、被検体の複数の断層画像を撮像し、表示するする断層画像設定方法において、
被検体の断層画像の撮像前に、上記被検体の撮像対象部位を画像表示手段に表示し、
上記画像位置指定手段により指定されたガイドラインと、第1の撮像点とに基づいて、複数の断層画像予定位置を算出し、
算出した複数の断層画像予定位置のそれぞれに、複数の断層画像面からなる複数のスライスセットを設定するとともに、これら複数の断層画像予定面が上記ガイドラインに垂直となるように、複数の断層画像予定面を演算して表示することを特徴とする断層画像設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2006−129937(P2006−129937A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−319577(P2004−319577)
【出願日】平成16年11月2日(2004.11.2)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】