説明

磁気共鳴イメージング装置

【課題】複雑な設定が必要なマルチステーション・マルチシーケンス撮像において、合成可能で整合性のとれた複数の画像を得ることができる撮像条件の設定を支援する。
【解決手段】ステーション毎に、全撮像シーケンスの、取得画像の位置、方向および画像サイズを特定するパラメータを同じ値に一括設定可能なGUIを提供する。また、FOVについて設定結果を視覚的に確認できる機能を備える。さらに、一括設定したパラメータを用いて各ステーションで得られた画像の合成の可否を判断する機能を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体をステップ移動させて計測を行う磁気共鳴イメージング技術に関する。特に、撮像条件の設定支援に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、被検体を乗せたベッドをステップ的に移動させながら被検体の全身を撮像するマルチステーション撮像が行われている(例えば、非特許文献1参照。)。このマルチステーション撮像に、複数の種類の画像を取得するマルチシーケンス撮像を組み合わせたマルチステーション・マルチシーケンス撮像も行われている。マルチステーション・マルチシーケンス撮像では、マルチステーション撮像の各ステーションにおいて、複数の異なる画像を得る撮像シーケンスを実行する。例えば、胸部領域を撮像するステーションにおいてTl強調像、T2強調像、STIR像を取得する。次いで、腹部領域を撮像するステーションにベッドを移動した後、前記3種類の画像を取得する。同様の操作を、骨盤領域を撮像するステーション、下肢領域を撮像するステーションについても行い、検査を終了する。それぞれの画像種ごとに各ステーションで取得した画像は合成され、全身画像として示される。
【0003】
一般にマルチシーケンス撮像では、複数の撮像シーケンスの撮像条件を他のシーケンスとの整合性をとりながらそれぞれ設定する必要がある。このようなマルチシーケンス撮像の撮像条件の設定を支援するものがある(例えば、特許文献1参照。)。ここでは、複数の撮像シーケンスの撮像条件の入力画面を同一画面上に設け、画面の切り替え無しに各撮像シーケンスの撮像条件をそれぞれ入力できるようにし、操作性を向上させている。
【0004】
また、マルチステーション撮像で得られた画像に対して、何らかの処理を行う場合、各ステーションで得られた画像に対し、その処理に必要なパラメータを同一に設定する必要がある。例えば、投影処理を行う場合、各ステーションの画像毎に投影処理のパラメータを同一に設定することを支援する技術がある(例えば、特許文献2参照。)
【0005】
【非特許文献1】whoIe−BodyMRI:ASimpleApproachusingAutomaticTable MovementandDedicatedPost−Processing:ISMRM10,(2002)
【特許文献1】特開平11−47109号公報
【特許文献2】特開2007−181659号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マルチステーション・マルチシーケンス撮像では、ステーション毎に各シーケンスの撮像条件を設定する必要があり、設定する撮像条件数が多い。従って、撮像条件の入力を容易にするさらなる工夫が求められている。また、マルチステーション撮像であるため、各ステーションで得られる画像は合成可能でなければならない。一方、マルチシーケンス撮像であるため、各ステーションにおいて、複数の撮像シーケンスの撮像条件を他の撮像シーケンスとの整合性をとりながら設定する必要がある。このような調整の両立は複雑であり、上述のように1画面内で全撮像シーケンスの撮像条件を入力可能にするだけでは、支援しきれない。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、マルチステーション撮像において、合成可能で整合性のとれた複数の画像を得ることができる撮像条件の設定を支援する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ステーション毎に、全撮像シーケンスの、取得画像の位置、方向および画像サイズを特定するパラメータを一括設定可能なGUIを提供する。
【0009】
具体的には、被検体が置かれる空間の一部に静磁場を発生させて撮像領域を形成する静磁場発生手段と、前記被検体を載置する寝台を移動させて前記撮像領域を前記被検体に対して相対的に移動させる寝台移動手段と、複数の撮像シーケンスに従って、それぞれ前記各撮像領域において被検体から発生する核磁気共鳴信号を計測して画像を再構成する計測手段と、を備え、前記計測手段と前記寝台移動手段とを交互に動作させて計測を繰り返す磁気共鳴イメージング装置であって、所定のパラメータ種別についてパラメータ値の入力を受け付け、当該受け付けたパラメータ値を、前記撮像領域毎に実行される全撮像シーケンスの前記パラメータ種別に、それぞれ設定する一括設定手段を備えることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置を提供する。
【0010】
前記所定のパラメータは、例えば、撮像断面、FOV、スライス間隔、スライス数、FOVの矩形率、回転各、位相エンコード方向、オフセンター量等の計測画像の位置、方向およびサイズを特定するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、マルチステーション撮像において、合成可能で整合性のとれた複数の画像を得ることができる撮像条件の設定を支援できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<<第一の実施形態>>
以下、本発明を適用する第一の実施形態を図面を参照して説明する。本実施形態では、マルチステーション・マルチシーケンス撮像の撮像条件の設定において、所定のパラメータ(ステーションパラメータ)については、ステーション毎に全撮像シーケンスにそれぞれ同じ値を一括して設定する。ここで、ステーションパラメータとは、撮像断面、FOV、スライス間隔、スライス数、FOVの矩形率、回転角、位相エンコード方向、オフセンター量など、撮像パラメータの中で、計測画像の位置、方向および画像サイズを特定するために用いられるパラメータ群である。これにより、各ステーションの全シーケンスの撮像面を統一する。
【0013】
上記機能を実現する本実施形態のMRI装置を説明する。図1は、本実施形態のMRI装置の概略構成を説明するためのブロック図である。本実施形態のMRI装置300は、被検体301の周囲に静磁場を発生する磁石302と、静磁場空間に傾斜磁場を発生する傾斜磁場コイル303と、同空間に高周波磁場を発生する高周波磁場照射コイル(RF照射コイル)304と、被検体301が発生するMR信号を検出する受信コイル305と、RF送信部310と、傾斜磁場電源309と、信号検出部306と、信号処理部307と、画像処理部313と、表示部308と、制御部311と、ベッド312と、を備える。以後、本実施形態では、磁石302による静磁場により形成される略均一な静磁場空間を撮像空間と呼ぶ。
【0014】
傾斜磁場コイル303は、X、Y、Zの3方向の3つのコイルで構成され、傾斜磁場電源309からの信号に応じてそれぞれ傾斜磁場を発生する。RF照射コイル304はRF送信部310からの信号に応じて高周波磁場を発生する。受信コイル305で受信した信号は、信号検出部306で検出され、信号処理部307で信号処理されて画像信号に変換される。画像信号は、画像処理部313での演算処理により画像化され表示部308に表示される。制御部311は、予め定められたタイムチャートに従って、傾斜磁場電源309、RF送信部310、信号検出部306それぞれの動作を制御する。このタイムチャートは、一般にパルスシーケンスと呼ばれる。本実施形態では、制御部311と画像処理部313とにより撮像部を構成し、撮像を行う。
【0015】
さらに、本実施形態のMRI装置300は、被検体301が横たわるベッド312を駆動するベッド駆動部314を備える。本実施形態では、被検体のほぼ全身にわたる広い領域の撮像を行うため、被検体の体軸方向(以後、Head−Foot方向)にベッド312をステップ移動させてマルチステーション撮像を行う。すなわち、被検体の所定の長さの第一の領域(第一ステーション)を撮像空間に配置し、撮像を行い、次にベッドを所定量移動させた後、停止させて第一の領域に隣接する第二の領域(第二ステーション)の撮像を行う。所定量のベッドの移動と停止後の撮像とを繰り返し、被検体の連続する広範囲の領域を複数の領域に分けて撮像を行う。この際、取得した各ステーションの画像を良好に合成するため、隣接するステーション間で被検体の撮像領域が一部オーバラップするよう構成する。本実施形態では、ステーション毎に複数のパルスシーケンス(撮像シーケンス)に従って撮像を行う。
【0016】
上記撮像を実現するとともに、ステーション毎に実行される全撮像シーケンスのステーションパラメータにそれぞれ同じ値を一括して設定するため、本実施形態のMRI装置300は、さらに計算機100を備える。計算機100は、ディスプレイ等の表示装置110と、マウス、キーボードなどの入力装置120と、メモリ、ハードディスク等の記憶装置130とを備える。さらに、本実施形態の処理を実現するために、計算機100は、ベッド駆動制御部131と、基本情報取得部133と、位置決め撮像実行部134と、ステーションパラメータ一括設定処理部135と、FOV表示処理部136と、を備える。これらの機能は、計算機100が備えるCPUが、プログラムを実行することにより実現される。
【0017】
なお、表示装置110は、上記表示装置308が兼ねてもよい。また、計算機100が、上記制御部311、画像処理部313および信号処理部307を実現するよう構成してもよい。記憶装置130の一部は外部記憶装置であってもよい。
【0018】
記憶装置130には、本実施形態の各処理を行うために必要な各種のデータが格納される。また、処理中の一時記憶としても用いられる。例えば、撮像プロトコル、各ステーションにおける撮像位置、表示装置110、308に表示させる各種画面を生成するための画面データなどが格納される。なお、撮像プロトコルは、各撮像シーケンスに用いられる一般的なパラメータ群である。
【0019】
ベッド駆動制御部131は、ベッド駆動部314を制御し、ベッド312を移動させる。ここでは、制御部311から各ステーションにおける全撮像シーケンス実行終了の通知を受け取ると、予め定められたステーション毎の撮像位置のデータに基づき、次のステーション撮像位置にベッド312を移動させる。
【0020】
基本情報取得部133は、本実施形態のマルチステーション・マルチシーケンス撮像を実行するために必要な情報を取得する。例えば、患者情報、実行する各撮像シーケンスのパルスシーケンス等を取得する。これらは、オペレータからの入力、または、媒体を介して、取得する。基本情報取得部133は、取得した情報を、記憶装置130に格納する。基本情報取得部133は、取得した情報を記憶装置130に格納後、処理を終了したことを位置決め撮像実行部134に通知する。
【0021】
位置決め撮像実行部134は、マルチステーション位置決め撮像を実行するよう制御部311を制御する。マルチステーション位置決め撮像とは、本撮像の前に、本撮像を行う領域の位置(FOV)を設定するための簡易画像を取得する撮像で、一般に低分解能で高速なパルスシーケンスを用いて撮像される。ここで得られる簡易画像を、位置決め画像と呼ぶ。制御部311は、位置決め撮像実行部134から指示を受け付けると、予め定められた低分解能で高速なパルスシーケンスを実行する。このとき、ベッド駆動制御部131は、定められた撮像条件に従って、ベッド312を移動させるようベッド駆動部314を制御する。また、画像処理部313は、位置決め画像の再構成を終えると、記憶装置130に記憶するとともに、ステーションパラメータ一括設定処理部135にその旨通知する。
【0022】
本実施形態では、位置決め撮像実行部134は、基本情報取得部133から取得した情報を記憶装置130に格納した通知を受け付けると処理を開始する。まず、位置決め撮像処理のための撮像条件を取得する。撮像条件の取得は、例えば、従来から用いられている撮像条件入力のためのGUI画面を介し、オペレータからの入力を受け付ける、予め記憶装置130に格納されている撮像条件を抽出する等により、なされる。そして、取得した撮像条件に従って制御部311を制御し、位置決め撮像を実行する。
【0023】
ステーションパラメータ一括設定処理部135は、ステーション毎に全撮像シーケンスの各ステーションパラメータにそれぞれ同じ値を一括して設定する。設定するパラメータは、表示装置110にステーションパラメータ一括設定画面を表示させ、オペレータからの入力を受け付ける。ステーションパラメータ一括設定処理部135は、実行する各撮像シーケンスの名称等、ステーションパラメータ一括設定画面を表示させるために必要な各種の情報を記憶装置から抽出し、ステーションパラメータ一括設定画面を生成する。そして、ステーションパラメータ一括設定画面を介して入力を受け付けたステーションパラメータの値を、ステーション毎の各撮像シーケンスに設定する。なお、最初にパラメータ一括設定画面を表示する際、デフォルトで設定されているステーションパラメータの値を表示させるよう構成してもよい。
【0024】
ここで、本実施形態のステーションパラメータ一括設定画面200について説明する。図2は、本実施形態のステーションパラメータ一括設定画面200を説明するための図である。本実施形態のステーションパラメータ一括設定画面200は、一括パラメータ設定部210と、位置決め画像表示部220と、個別パラメータ設定部230と、指示ボタン表示部240と、を備える。
【0025】
また、一括パラメータ設定部210は、本実施形態のマルチステーション・マルチシーケンス撮像で実行されるシーケンスが一覧表示されるシーケンス表示部211と、設定するパラメータの名称が表示されるパラメータ名表示部212と、一括設定されるパラメータの値の入力受け付けるとともに、受け付けた値を表示するパラメータ値入力部214と、を備える。
【0026】
シーケンス表示部211には、本実施形態のマルチステーション・マルチシーケンス撮像で実行されるシーケンスの名称が一覧表示される。パラメータ名表示部212には、一括設定するステーションパラメータ名が表示される。パラメータ値入力部214は、パラメータ名表示部212に表示されるパラメータ毎に入力欄が設けられる。初期表示時は、各入力欄に初期値が表示される。オペレータは、入力装置120を介して所望のパラメータに変更する。なお、シーケンス表示部211と、パラメータ値入力部214とは、ステーション毎に設けられる。
【0027】
位置決め画像表示部220は、記憶装置130に記憶されている位置決め画像221を表示する。また、個別パラメータ設定部230は、一括パラメータ設定部230で設定されるパラメータ以外のパラメータについて、シーケンス毎に設定するための領域である。初期状態では、各パラメータの初期値が表示される。オペレータは必要に応じて、表示されている値を変更する。
【0028】
指示ボタン表示部240は、オペレータが入力した内容を受け付ける受付ボタン(APPLY)241と、オペレータが入力した内容を破棄する破棄ボタン(CANCEL)242とを備える。受付ボタン241の押下を受け付けると、ステーションパラメータ一括設定処理部135は、一括パラメータ設定部210および個別パラメータ設定部230とに入力された値を受け付け、各撮像シーケンスに設定する。設定後、ステーションパラメータ一括設定処理部135は、制御部311およびベッド駆動制御部131に処理完了を通知する。
【0029】
なお、指示ボタン表示部240には、さらに、全てのステーションについて、同じ撮像条件を設定することを指示する全ステーション一括設定指示ボタン(ALL)を備えてもよい。この場合、オペレータは、何れか1のステーションにおいて当該ステーションにおける撮像条件を一括設定後、ALLボタンを押下する。ステーションパラメータ一括設定処理部135は、ALLの押下を受け付けると、未入力のステーションの入力欄全てに、入力された値を表示させる。その後、オペレータからの受け付けボタン241または破棄ボタン242の指示を受け付ける。
【0030】
FOV表示処理部136は、ステーションパラメータ一括設定処理部135が、ステーションパラメータ一括設定画面200を介して入力を受け付けたFOVを、スタック222として位置決め画像表示部220に表示させる。
【0031】
FOV表示処理部136は、各ステーションの撮像位置にFOV(スタック)222の体軸方向(Head−Foot方向)の中心がくるようFOV(スタック)222を配置し、位置決め画像表示部220に表示されている位置決め画像221に重畳して表示させる。なお、各ステーションの撮像位置は、各ステーションの撮像空間のHead−Foot方向中心であり、予め記憶装置130に格納されているものとする。
【0032】
制御部311は、ステーションパラメータ一括設定処理部135から通知を受け取ると、または、オペレータから撮像開始の指示を受け付けると、記憶装置130に記憶されたパラメータを用い、各シーケンスを実行する。このとき、ベッド駆動制御部131は、記憶装置130に記憶された移動量に従ってベッド312を移動させるようベッド駆動部314を制御する。なお、移動開始のタイミングは、制御部311から受け取る。
【0033】
以上の機能を有する本実施形態のMRI装置300による撮像の手順について以下に説明する。図3は、本実施形態の撮像の手順を示すフローである。
【0034】
基本情報取得部133は、撮影開始の指示を受け付けると、患者情報の入力を受け付け、記憶装置130に登録する(S1001)。そして、基本情報取得部133は、マルチステーション・マルチシーケンスの撮像プロトコルを記憶装置130から読み込む(S1002)。
【0035】
次に、位置決め撮像実行部134は、位置決め撮像の撮像条件を記憶装置130から取得して設定し(S1003)、位置決め撮像を実行する(S1004)。
【0036】
次に、ステーションパラメータ一括設定処理部135は、位置決め画像等、ステーションパラメータ一括設定画面200を生成するために必要な情報を記憶装置130から読み込み、ステーションパラメータ一括設定画面200を生成する(S1005)。そして、表示装置110に表示させ、オペレータからの入力、指示を待つ(S1006)。
【0037】
ステーションパラメータ一括設定処理部135は、撮像条件の入力を受け付けると(S1007)、FOV表示処理部136に受け付けた条件に従って各ステーションのFOVを表示させ(S1008)、オペレータからの指示を待つ。オペレータから受付ボタン241による指示を受け付けると(S1009)、S1007において受け付けた撮像条件をマルチステーション・マルチシーケンス撮像(本撮像)の各撮像シーケンスに設定する(S1010)。ベッド駆動制御部131および制御部311は、設定された撮像条件に従い撮像を実行する(S1011)。一方、S1009においてオペレータから破棄ボタン242による指示を受け付けると、S1006にもどり、再度の入力、指示を待つ。
【0038】
以上説明したように、本実施形態によれば、各ステーションにおいて、各撮像シーケンスの計測画像の位置、方向、サイズに係る撮像条件を一括設定できる。従って、同一ステーション内で整合性のとれた画像を得ることのできる撮像条件を容易に設定することができる。また、オペレータは一括設定されたFOVを画面上で確認できるため、入力したFOVの適否を視覚的に判断することができる。このため、合成可能な複数の画像を得るための撮像条件の設定も容易に行うことができる。従って、本実施形態によれば、合成可能で整合性のとれた複数の画像を得ることができる撮像条件の設定を支援できる。
【0039】
また、従来手法によれば、各ステーションで個別にオブリークを設定すると、ステーション間でスライスの整合が取れない場合がある。しかし、本実施形態において、ALLボタンを備え、全ステーションの全撮像シーケンスを一括設定する機能を備える場合、そのような不整合は発生しない。
【0040】
なお、ステーションパラメータ値の一括設定だけ行う場合は、FOV表示処理部136は備えなくてもよい。また、本実施形態では、各ステーションにおいて複数の撮像シーケンスによる撮像を行う場合を例にあげて説明したが、撮像シーケンスは1種であってもよい。特に、全ステーションについて一括設定する機能を有する場合、1のステーションにおいてステーションパラメータを設定するのみで全ステーションの設定ができ、操作が簡易になるとともに、確実にステーション間のスライスが整合する。
【0041】
また、本実施形態によれば、操作数を低減することができる。例えば、8ステーション、各ステーションで4シーケンスを実行する場合、従来の手法で撮像条件を設定する場合、ステーションパラメータの設定(入力)に最低でも32回の操作が必要となる。一方、本実施形態の一括設定を用いると、ステーション毎に異なるステーションパラメータを設定する場合、最も少なくて8回で済む。全ステーション同一の撮像条件とするALLボタンを用いれば、1回ですむ。このように、大きな操作数の低減を図ることができる。
【0042】
<<第二の実施形態>>
本発明を適用する第二の実施形態を説明する。本実施形態では、位置決め画像表示部220に表示されているスタック222を移動させることにより、FOVの位置を移動(変更)可能とする。第一の実施形態では、ベッド312の移動量は予め定められている。しかし、本実施形態では、FOVの移動に伴い、ベッド312の移動量をステーション毎に変更する。本実施形態のMRI装置は、基本的に第一の実施形態と同様である。以下、第一の実施形態と異なる構成に主眼をおいて説明する。本実施形態では、主としてFOV表示処理部136およびベッド駆動制御部131の機能が第一の実施形態と異なる。
【0043】
本実施形態のFOV表示処理部136−2(不図示)は、第一の実施形態の機能に加え、オペレータからFOVの位置を移動する指示を受け付ける機能を有する。本実施形態では、位置決め画像表示部220に表示されるスタック222を移動可能とする。オペレータは入力装置120を介して、位置決め画像表示部220上で移動するスタック222を選択し、ドラッグ&ドロップにより移動させる。
【0044】
さらに、FOV表示処理部136−2は、移動後のFOVから、それぞれのFOVのHead−Foot方向の中心位置を計算し、各ステーションの撮像位置として記憶装置130に格納する。
【0045】
本実施形態のベッド駆動制御部131−2は、オペレータから撮像開始の指示を受け付けた場合、記憶装置130に格納された各ステーションの撮像位置の情報に基づいて、ステーション毎のベッド312の移動量を算出する。そして、算出した移動量に従って、ベッド312を移動させるようベッド駆動部314を制御する。
【0046】
なお、ステーションパラメータ一括設定処理部135は、FOVが移動された場合、パラメータ値入力部214内の関連するパラメータ値を変更して表示するよう構成してもよい。
【0047】
以上の機能を有する本実施形態のMRI装置による撮像の手順について以下に説明する。図4は、本実施形態の撮像の手順を示すフローである。
【0048】
基本情報取得部133は、撮影開始の指示を受け付けると、患者情報の入力を受け付け、記憶装置130に登録する(S2001)。そして、基本情報取得部133は、マルチステーション・マルチシーケンスの撮像プロトコルを記憶装置130から読み込む(S2002)。
【0049】
次に、位置決め撮像実行部134は、位置決め撮像の撮像条件を記憶装置130から取得して設定し(S2003)、位置決め撮像を実行する(S2004)。
【0050】
次に、ステーションパラメータ一括設定処理部135は、位置決め画像等、ステーションパラメータ一括設定画面200を生成するために必要な情報を記憶装置130から読み込み、ステーションパラメータ一括設定画面200を生成する(S2005)。そして、表示装置110に表示させ、オペレータからの入力、指示を待つ(S2006)。
【0051】
ステーションパラメータ一括設定処理部135は、撮像条件の入力を受け付けると(S2007)、FOV表示処理部136に受け付けた条件に従って各ステーションのFOVを表示させ(S2008)、オペレータからの指示を待つ。
【0052】
FOV表示処理部136は、オペレータからスタック222によるFOVの移動の指示を受け付けると(S2009)、移動後のFOVの位置を特定可能な情報を記憶装置130に格納するとともに、移動後のFOVの中心位置、すなわち、撮像位置を算出し記憶装置130に格納する(S2010)。
【0053】
オペレータから受付ボタンによる指示を受け付けると(S2011)、S2007において受け付けた撮像条件を本撮像の各撮像シーケンスに設定する(S2012)。ベッド駆動制御部131および制御部311は、設定された撮像条件に従い本撮像を実行する(S2013)。一方、オペレータから破棄ボタンによる指示を受け付けると、S2006にもどり、再度の入力、指示を待つ。
【0054】
以上説明したように、本実施形態によれば、位置決め画像表示部220上でFOVの位置を調整することができる。従って、オペレータは数値を入力し直さなくても、FOVの位置を容易に微調整することができる。このため、合成可能な複数の画像を得るための撮像条件の設定がさらに容易になる。従って、本実施形態によれば、第一の実施形態で得られる効果に加え、さらに容易に所望の撮像条件の設定が可能となる。
【0055】
なお、本実施形態においても、各ステーションで実行する撮像シーケンスは複数でなくてもよく、1種の場合でも適用できる。
【0056】
<<第三の実施形態>>
本発明を適用する第三の実施形態を説明する。本実施形態では、第一の実施形態または第二の実施形態の機能に加え、設定したステーションパラメータで撮像する画像を用いて全身画像の合成の可否を判断し、結果を通知する。本実施形態のMRI装置は、基本的に第一の実施形態と同様である。以下、第一の実施形態と異なる構成に主眼をおいて説明する。
【0057】
上述のように、各ステーションで取得した画像を良好に合成するためには、それぞれ所定量のオーバラップを有する必要がある。また、1枚の全身画像とするため、ステーション毎のスライス面が整合している必要がある。従って、これらを確認するため、本実施形態の計算機100は、第一の実施形態が有する機能に加え、オーバラップ量の適否を判別するオーバラップ量確認処理部138(不図示)とスライス整合確認処理部139(不図示)とを備える。
【0058】
まず、オーバラップ量確認処理部138が行うオーバラップ量確認処理について説明する。説明に先立ち、オーバラップ量について説明する。オーバラップ量とは、隣接するステーション間での、被検体の体軸方向(Head−Foot方向)のFOVの重なり量である。図5は、オーバラップ量について説明するための図である。ここでは、ベッド312に固定された座標系を用いて説明する。Head−Foot方向をz軸、ベッド312の被検体の足側の端点を原点とする。各ステーションの撮像位置は、z軸方向の原点からの距離(z軸方向の座標値)で表す。また、各ステーションの撮像位置は、各ステーションのz軸方向のFOVの中心である。
【0059】
ステーションnにおける撮像位置をZとし、各ステーションのz軸方向のFOVの幅をWとすると、ステーションn−1とステーションnとの間のFOVのオーバラップ量OLn−1は、以下の(式1)で表される。
OLn−1=(Wn−1+W)/2−|Zn−1+Z| (式1)
【0060】
オーバラップ量確認処理部138は、ステーションパラメータ一括設定処理部135が受け付けたステーションパラメータを用いて、(式1)に従って、各ステーション間のオーバラップ量を計算する。そして、予め定められている最低限必要なオーバラップ量(最小値)OLminと比較し、適否を判断する。すなわち、オーバラップ量OLn−1がOLmin未満であれば、不適と判断する。
【0061】
本実施形態では、オーバラップ量確認処理部138は、不適と判断されるオーバラップ量OLn−1があった場合、表示装置110に警告を出力する。警告としては、例えば、「良好な合成画像が得られない可能性がある」等表示する。このとき、どのステーション間でオーバラップ量OLn−1が不足しているかを表示してもよい。一方、不適なオーバラップ量OLn−1がない場合は、表示装置に適切な設定であることを意味する表示を行うか、または、何も表示を行わず、オーバラップ量確認処理を終了する。
【0062】
次に、スライス整合確認処理部139が行うスライス整合確認処理について説明する。スライスの整合とは、撮像スライス面の位置、傾きが隣り合うステーション間で合致していることである。説明に先立ち、撮像スライス面の特定について説明する。撮像スライス面は、以下の(式2)で特定される。撮像スライス面を特定する(式2)は、ステーションパラメータの中の、撮像断面上の任意の異なる3点の座標を用いて算出する。
ax+by+cz+d=0 (式2)
【0063】
スライス整合確認処理部139は、ステーションパラメータ一括設定処理部135が受け付けたステーションパラメータを用いて、(式2)に従って、ステーション毎に撮像スライスの平面の方程式を算出する。次に、隣接するステーションに、同一の平面が含まれるか判別する。本実施形態では、一例として、隣接するステーションの各スライスの1点と、前記算出した平面との距離Dを計算し、距離Dが0に十分近い場合に同一平面とする。前記各スライスの1点には、例えば撮像するFOVの1の角を用いる。
【0064】
スライス整合確認処理部139は、同一平面が含まれる場合、表示装置110に適であることを表示するか、または、何も表示せず、スライス整合確認処理を終了する。一方、含まれない場合は、表示装置110にスライスに不整合がある旨の警告を出力する。警告としては、例えば、「ステーション間でスライスの整合が取れないため、合成はできません。」等表示する。このとき、不整合があるステーションを特定して表示してもよい。
【0065】
なお、判別において、距離Dは、必ずしも0とする必要はない。所定の閾値を設定し、閾値以内であれば、同一の平面が含まれるものと判断し、警告の出力を行わないよう構成してもよい。設定する閾値としては、例えば撮像するスライス厚が考えられる。この場合、距離Dがスライス厚以下であれば、スライス方向に重なりがあるため、同一の平面が含まれるものと判断される。
【0066】
次に、本実施形態のMRI装置による撮像の手順を説明する。図6は、本実施形態の撮像の手順を示すフローである。本実施形態では、ステーションパラメータを一括設定した後、スライスの整合性を確認し、オーバラップ量の適否を判別する。
【0067】
基本情報取得部133は、撮影開始の指示を受け付けると、患者情報の入力を受け付け、記憶装置130に登録する(S3001)。そして、基本情報取得部133は、マルチステーション・マルチシーケンスの撮像プロトコルを記憶装置130から読み込む(S3002)。
【0068】
次に、位置決め撮像実行部134は、位置決め撮像の撮像条件を記憶装置130から取得して設定し(S3003)、位置決め撮像を実行する(S3004)。
【0069】
次に、ステーションパラメータ一括設定処理部135は、位置決め画像等、ステーションパラメータ一括設定画面200を生成するために必要な情報を記憶装置130から読み込み、ステーションパラメータ一括設定画面200を生成する(S3005)。そして、表示装置110に表示させ、オペレータからの入力、指示を待つ(S3006)。
【0070】
ステーションパラメータ一括設定処理部135は、撮像条件の入力を受け付けると(S3007)、FOV表示処理部136に受け付けた条件に従って各ステーションのFOVを表示させ(S3008)、オペレータからの指示を待つ。オペレータから受付ボタンによる指示を受け付けると(S3009)、スライス整合確認処理部139に通知する。
【0071】
スライス整合確認処理部139は、受け付けたステーションパラメータを用い、各ステーション間のスライス整合の有無を確認する(S3010)。全てのステーション間においてスライスの整合性がとれた場合、スライス整合性確認処理部139は、処理をオーバラップ量確認処理部138に受け渡す。一方、不整合がある場合は、警告を表示し(S3011)、S3006に戻る。
【0072】
オーバラップ量確認処理部138は、受け付けたステーションパラメータから各ステーション間のオーバラップ量を計算し、その適否を判断する(S3012)。全てのオーバラップ量が最小値OLmin以上である場合、受け付けたステーションパラメータを各撮像シーケンスに設定し(S3013)、処理をベッド駆動制御部131および制御部311に受け渡す。一方、不適なオーバラップ量がある場合は、警告を表示し(S3011)、S3006にもどる。オペレータは再度ステーションパラメータを入力することができる。
【0073】
スライス整合確認処理部139から処理を受け渡されたベッド駆動制御部131および制御部311は、設定された撮像条件に従い本撮像を実行する(S3014)。
【0074】
上述のように、本実施形態では、スライスが整合しない箇所およびオーバラップ量が不足している箇所がある場合、その旨をオペレータに通知し、ステーションパラメータの再設定をオペレータに促す。このため、オペレータはステーション間のスライスの整合性の有無、画像の合成の可否を知ることができる。従って、本実施形態によれば、第一の実施形態より高い精度で合成可能で整合性のとれた複数の画像を得ることができる撮像条件の設定を支援できる。
【0075】
なお、上記では、第一の実施形態を基礎として説明したが、第二の実施形態と同様の構成を有していてもよい。この場合、オーバラップ量が不足するステーションのFOVについて、オペレータは位置決め画像表示部220上のスタック222を操作することによりその位置を調整することもできる。
【0076】
また、オーバラップ量が不足している場合、計算機100側で適切なオーバラップ量になるよう調整するよう構成してもよい。この場合の構成を以下に説明する。この場合、オーバラップ量が不足している場合の調整を行うため、計算機100は、推奨撮像位置算出処理部137(不図示)を備える。
【0077】
推奨撮像位置算出処理部137は、オーバラップ量が不足している箇所があった場合、その後のステーションの撮像位置をずらし、最低限のオーバラップ量を確保する。例えば、第n−1ステーションと第nステーションとの間のオーバラップ量OLn−1が長さLだけ不足していた場合(L=OLmin―OLn−1)、第nステーション以降の全ステーションの撮像位置をLだけ原点方向に移動させる。推奨撮像位置算出処理部137は、原点に近い不足箇所から順に同様の処理を繰り返す。
【0078】
推奨撮像位置算出処理部137は、撮像位置の移動をFOV表示処理部136に算出結果を通知する。FOV表示処理部136は、変更後の各ステーションの撮像位置にFOVのHead−Foot方向の中心が来るようにFOVを配置し直し、位置決め画像表示部220に表示させる。このとき、オペレータから変更の可否の指示を受け付けるOKボタン、NOボタンを表示させる。
【0079】
OKボタンの押下によりオペレータから了承の指示を受け付けた場合、推奨撮像位置算出処理部137は、変更した撮像位置を記憶装置130に格納する。ベッド駆動制御部131は、ベッド312の移動の制御を、この情報に基づいて行う。
【0080】
一方、NOボタンの押下によりオペレータから否認の指示を受け付けた場合、ステーションパラメータ一括設定処理部135に通知し、再度ステーションパラメータの入力を受け付ける。
【0081】
以上説明したように、推奨撮像位置算出処理部137を備える場合、オペレータは、容易に確実に合成可能な画像を得る撮像条件を設定することができる。
【0082】
上記実施形態では、オーバラップ量確認処理部138とスライス整合確認処理部139の両方を備える場合を例にあげて説明した。しかし、これらはいずれか一方のみ備えるよう構成してもよい。また、全ステーションについて一括設定する場合は、スライスは整合するため、スライス整合確認処理は行わないよう構成してもよい。さらに、設定結果を表示させ、オペレータからスライス整合、オーバラップ量の確認を行うか否かの指示を受け付け、指示された場合のみ確認を行うよう構成してもよい。
【0083】
<<第四の実施形態>>
次に、本発明を適用する第四の実施形態について説明する。本実施形態では、一括設定するステーションパラメータを選択可能とする。本実施形態のMRI装置は基本的に第一の実施形態と同様の構成を有する。以下、第一の実施形態と異なる構成に主眼をおいて説明する。
【0084】
本実施形態では、各ステーションパラメータの設定条件をオペレータが個別に設定できるようにする。すなわち、各ステーションパラメータについて、全ステーション全撮像シーケンスについて同じ値を一括設定する、ステーション毎に全撮像シーケンスについて同じ値を一括設定する、ステーション毎撮像シーケンス毎に個別設定する、のいずれかを選択できるよう構成する。
【0085】
これを実現するために、本実施形態の計算機100は、撮像条件適用範囲設定処理部141(不図示)を備える。撮像条件適用範囲設定処理部141は、撮像条件適用範囲選択フォームを表示装置110に表示させ、オペレータからの選択を受け付ける。なお、撮像条件適用範囲選択フォーム700の画面データは、予め記憶装置130に格納されているものとする。
【0086】
ここで、撮像条件適用範囲選択フォーム700について説明する。図7は、本実施形態の撮像条件適用範囲選択フォーム700を説明するための図である。本実施形態の撮像条件適用範囲選択フォーム700は、設定の対象となるステーションパラメータ名が表示される撮像条件欄701と、各ステーションパラメータそれぞれについて全ステーションおよび全撮像シーケンスについて一括設定する指示を受け付ける全ステーション一括設定指定欄702と、ステーション毎に全撮像シーケンスについて一括設定する指示を受け付けるステーション内一括設定指定欄703と、個別に指定する指示を受け付ける個別設定指定欄704と、指定した条件を確定する指示を受け付けるSAVEボタン711および破棄する指示を受け付けるCANCELボタン712と、を備える。
【0087】
各欄には、それぞれラジオボタン705が表示され、入力装置120を介して選択できるよう構成されている。なお、デフォルトとして、全てステーション内一括設定が選択された状態で表示し、オペレータがその条件を変更したいパラメータについてのみ、指示を行うよう構成してもよい。
【0088】
撮像条件適用範囲設定処理部141は、オペレータからそれぞれのステーションパラメータの設定法についての指示を受け付けると、ステーションパラメータ一括設定処理部135に通知する。ステーションパラメータ一括設定処理部135は、設定に応じて各ステーションパラメータを入力可能なようにステーションパラメータ一括設定画面200を生成し、表示する。例えば、全ステーション一括設定指定欄702およびステーション内一括設定指定欄703で指定を受け付けたステーションパラメータについてのみ、パラメータ値入力部214で入力可能なように構成し、かつ、全ステーション一括設定指定欄702で指定されたステーションパラメータについては、特定のステーションにおいてのみ入力可能なように構成する。そして、個別設定指定欄704で指定されたステーションパラメータについては、個別パラメータ設定部230で入力を受け付けるよう構成する。
【0089】
撮像条件適用範囲設定処理部141は、ステーションパラメータ一括設定処理部135がステーションパラメータ一括設定画面を生成する前に上記処理を行う。以後の処理は上記各実施形態と同様である。
【0090】
また、撮像断面およびFOVが全ステーション一括設定指定欄702およびステーション内一括設定指定欄703のいずれか一方で設定するよう指示を受け付けた場合、第一の実施形態および/または第二の実施形態同様、FOV表示処理部136が、FOVを位置決め画像表示部220に表示させる、または、FOVの移動を受け付けるよう構成してもよい。
【0091】
さらに、撮像断面がステーション内一括設定指定欄703で設定するよう指示を受け、かつ、FOVが全ステーション一括設定指定欄702およびステーション内一括設定指定欄703のいずれか一方で設定するよう指示を受け付けた場合、第三の実施形態同様、スライスの整合およびオーバラップ量の適否を判断するよう構成してもよい。また、撮像断面が全ステーション一括設定指定欄702で設定するよう指示を受け、かつ、FOVが全ステーション一括設定指定欄702およびステーション内一括設定指定欄703のいずれか一方で設定するよう指示を受け付けた場合は、スライスの不整合は発生しないため、オーバラップ量の適否のみ判断するよう構成してもよい。
【0092】
また、最終的に合成するのは、各ステーションで取得した同じ画像種の画像である。従って、実行する各撮像シーケンスを、得られる画像の種類に応じてグループ化した後、各グループ内の撮像シーケンス群について、スライスの整合およびオーバラップ量の適否の判断を行うよう構成してもよい。この場合、計算機100は、さらに、画像種判断処理部142を備える。分類後に判断を行うよう構成することで、画像種毎に異なる撮像条件の設定が可能となり、より汎用的になる。以下、画像種判断処理部142による分類手順について説明する。
【0093】
図8は、分類処理の処理フローである。まず、後処理が必要な画像(計算画像)であるか否かを判断する(S9001)。マルチステーションで計算画像を作成するのは、例えば血管像や拡散強調像(Diffusion Waited Image、以下DWIと表記)である。血管像は血管の閉塞位置を同定する為に腹部〜下肢の領域などで用いられ、DWIは、拡散が抑制された転移性の癌組織を描出する為に全身領域で用いられる。これらの画像は、軸断で撮像した画像を後処理により縦断面、冠状断面に投影する場合が多い。画像種判別処理部142は、パラメータを参照し、当該撮像シーケンスが後処理が必要な画像を取得する撮像シーケンスであるか否かを判別する。
【0094】
計算画像と判別された場合、当該撮像シーケンス計算画像が、血管像か、DWI像かを判断する(S9002)。血管像である場合は、動脈、静脈、動静脈像及び投影面でグループ化を行う(S9003)。一方、DWI像である場合、拡散の強調度合いを示すb値、及び投影面でグループ化を行う(S9004)。
【0095】
S9001において、計算画像で無いと判断された場合、まず、シーケンス種、断面及びそれぞれの脂肪抑制の有無でグループ化を行う(S9011)。以後、各グループ内で以下の処理を行う(S9012)。まず、撮像条件のTEの値で分類を行い(S9021)、50(ms)以上の場合にT2Wグループとする(S9022)。また、50(ms)未満の場合、更にTRの値で分類を行う(S9023)。TRが1000(ms)以上の場合、PD(Proton Density)グループとする(S9024)。一方、TRが1000(ms)未満の場合、T1Wグループとする(S9025)。
【0096】
なお、本図に示す分類フローのTR、TEの閾値は、一例であり、この値に限定するものではない。静磁場強度が変わった場合、図中に示したTR、TEの閾値は変化する。以上の処理により分類したグループ毎に、スライス面の整合性、オーバラップ量の確認を行う。これにより、画像種ごとの合成可/不可の判断が可能になる。
【0097】
以上説明したように、本実施形態によれば、所望のステーションパラメータを一括設定できるため、マルチステーション・マルチシーケンス撮像における撮像条件設定が容易になる。さらに、一括設定するステーションパラメータを選択可能としたため、ステーション毎に検査範囲を変更することができる。例えば、マルチステーション撮像内で、被検体の部位によって局所的な検査を行うよう構成することもでき、検査の自由度が増す。
【0098】
なお、上記実施形態では、撮像条件適用範囲設定処理部141は、撮像条件適用範囲選択フォーム700を介して設定を受け付けるよう構成している。しかし、これに限られない。例えば、ステーションパラメータ一括設定画面200のパラメータ名表示部212に、一括設定の対象とするか否かの支持を受け付けるチェック欄を設けてもよい。これは、それぞれのパラメータについて設け、それぞれ独立に設定可能とする。
【0099】
さらに、各撮像シーケンスについて、一括設定の対象とするか否かの指示を受け付けるチェック欄をシーケンス表示部211に設けてもよい。このチェック欄を設ける場合、オペレータが一括設定の対象とする指示を入力したシーケンスについてのみ、パラメータが一括設定される。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】第一の実施形態のMRI装置の概略構成図である。
【図2】第一の実施形態のステーションパラメータ一括設定画面のイメージ図である。
【図3】第一の実施形態の撮像手順を示すフローである。
【図4】第二の実施形態の撮像手順を示すフローである。
【図5】第二の実施形態のオーバラップ量を説明するための図である。
【図6】第三の実施形態の撮像手順を示すフローである。
【図7】第四の実施形態の撮像条件適用範囲選択フォームの一例を示す図である。
【図8】第四の実施形態の分類処理の処理フローである。
【符号の説明】
【0101】
100:計算機、110:表示装置、120:入力装置、130:記憶装置、131:ベッド駆動制御部、133:基本情報取得部、134:位置決め撮像実行部、135:ステーションパラメータ一括設定処理部、136:FOV表示処理部、137:推奨撮像位置算出処理部、138:オーバラップ量確認処理部、139:スライス整合確認処理部、141:撮像条件適用範囲設定処理部、200:ステーションパラメータ一括設定画面、210:一括パラメータ設定部、211:シーケンス表示部、212:パラメータ名表示部、214:パラメータ値入力部、220:位置決め画像表示部、221:位置決め画像、222:スタック、230:個別パラメータ設定部、240:指示ボタン表示部、241:受付ボタン、242:破棄ボタン、300:MRI装置、301:被検体、302:磁石、303:傾斜磁場コイル、304:RF照射コイル、305:受信コイル、306:信号検出部、307:信号処理部、308:表示部、309:傾斜磁場電源、310:RF送信部、311:制御部、312:ベッド、313:画像処理部、314:ベッド駆動部、700:撮像条件適用範囲選択フォーム、701:撮像条件欄、702:全ステーション一括設定指定欄、703:ステーション内一括設定指定欄、704:個別設定指定欄、705:ラジオボタン、711:SAVEボタン、712:CANCELボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体が置かれる空間の一部に静磁場を発生させて撮像領域を形成する静磁場発生手段と、前記被検体を載置する寝台を移動させて前記撮像領域を前記被検体に対して相対的に移動させる寝台移動手段と、複数の撮像シーケンスに従って、それぞれ前記各撮像領域において被検体から発生する核磁気共鳴信号を計測して画像を再構成する撮像手段と、を備え、前記撮像手段と前記寝台移動手段とを交互に動作させて撮像を繰り返す磁気共鳴イメージング装置であって、
所定のパラメータ種別についてパラメータ値の入力を受け付け、当該受け付けたパラメータ値を、前記撮像領域毎に実行される全撮像シーケンスの前記パラメータ種別に、それぞれ設定する一括設定手段を備えること
を特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
前記一括設定手段は、受け付けた前記パラメータ値を、実行される全撮像領域の前記パラメータ種別にそれぞれ設定すること
を特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
位置決め画像を取得する位置決め画像取得手段をさらに備え、
前記一括設定するパラメータ種別には、FOVが含まれ、
入力を受け付けたFOVを、前記位置決め画像取得手段で取得した位置決め画像に重畳して表示するFOV表示手段を備えること
を特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
請求項3記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
前記FOV表示手段は、FOVの位置の変更を受け付けるFOV設定手段を備え、
前記FOV設定手段は、変更後のFOVの位置に従って前記寝台の移動量を算出し、
前記寝台移動手段は、前記FOV設定手段により算出された移動量に従って、前記寝台を移動させること
を特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
請求項1から4いずれか1項記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
前記撮像領域間の撮像スライス面の整合性を判別し、各撮像領域で得られた画像の合成の可否を判断し、判断結果を通知するスライス整合判別手段を備えること
を特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
請求項1から5いずれか1項記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
前記撮像領域毎のFOVのオーバラップ量の適否を判別し、各撮像領域で得られた画像の合成の可否を判断し、判断結果を通知するオーバラップ量判別手段を備えること
を特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
請求項6記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
前記オーバラップ量判別手段で前記オーバラップ量が不足と判断された場合、オーバラップ量が適切な量となる撮像領域の移動量を算出する算出手段を備え、
前記寝台移動手段は、前記移動量に従って前記寝台を移動させること
を特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
請求項1から7いずれか1項記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
前記一括設定手段で設定するパラメータ種別の選択を受け付ける適用範囲設定手段をさらに備え、
前記一括設定手段は、前記適用範囲設定手段で受け付けたパラメータ種別について、パラメータ値の入力を受け付けること
を特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
請求項8記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
スライス整合性判別手段およびオーバラップ量判別手段の少なくとも一方を備える場合、前記合成の可否の判断の前に、各シーケンスを合成可能な画像種毎にグループ化し、前記グループ毎に合成の可否を判断すること
を特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項10】
請求項1から9いずれか1項記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
前記一括設定手段は、撮像領域毎に、前記所定のパラメータ種別それぞれについて1の入力領域を備えること
を特徴とする磁気共鳴イメージング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−148463(P2009−148463A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−330071(P2007−330071)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】