説明

磁気流体処理装置

【課題】燃料等を磁気処理し、燃焼効率の改善及び有害な汚染物質の放出を低減する。
【解決手段】少なくとも1個の流路13を備える磁気流体処理装置6であって、該または各流路は少なくとも2個の周囲に配置された磁石10を有しており、装置は、使用中に、流路内を流れる流体が磁界にさらされるように流体供給コンジットと協働するように適応されており、ここにおいて、少なくとも2個の磁石は、該または各々の流路の両側に配置されており、約90mm未満の分離を有する。さらに、少なくとも1個の流路を備える磁気流体処理装置であって、該または各流路は少なくとも1個の周囲に配置された磁石を有しており、ここにおいて、少なくとも1個の磁石は装置の本体区画に脱着可能に受け入れられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼用装置のバーナに供給される前の燃料等を磁気処理するための磁気流体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料燃焼効率を改善するための燃焼以前の燃料の磁気処理は、すでに知られている。化石燃料を磁化するための多くの単純な装置機械が存在し、その場合、磁石が例えば90℃といった種々の角分離で燃料管の周りに固定される。
【0003】
磁石が燃料管内に保持されている別の装置が開示されている(例えば欧州特許第0976682A2号)。この装置は、磁石が燃料管の外部に固定されているより単純な装置についての上述の不利益の一部を克服する。しかし、燃料を磁化する際の機構および結果として生じる燃焼効率の増大の理解の不足のために、そのような装置は関与する種々のファクタに関して最適化されなかった。
【0004】
これまでの装置は、ストレートインライン形に設置されるか、燃料の複雑な流路を使用する複雑な特注品であるかのどちらかであった。ストレートインライン形装置は比較的低コストとして知られているが、それらは広範囲の燃焼システムにわたる著しい燃料効率の向上を未だに示していない。他の装置は、効果的ではあるが、増大した燃料効率から得られるコスト節減に比べて過度に高額であることがわかっている。
【0005】
化学的見地からすれば、燃焼は、一酸化炭素または二酸化炭素への炭素の酸化を伴う燃料の急激な高温発火である。一酸化炭素の放出レベルは、それが炭素燃料の不完全な酸化の結果であるので、燃焼プロセスの効率を広範に示すことが知られている。
【0006】
燃料中に存在するいずれかの硫黄は条件に応じて二酸化物または三酸化物の形態に酸化するのに対し、窒素は、存在する場合、未反応のままであるか、または酸化窒素に転化する。ほとんどの燃焼反応は、固体燃料中の固定炭素の燃焼を除き、気相で生じる。
【0007】
磁化の利益は、燃料が燃焼前に磁界中を通された時に燃焼の向上が認められたというファンデルワールス博士による発見後1世紀以上にわたり知られてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、少なくとも1個の流路を備える磁気流体処理装置であって、該または各流路は少なくとも2個の周囲に配置された磁石を有しており、装置は、使用中に、流路内を流れる流体が磁界にさらされるように流体供給コンジットと協働するように適応されており、ここにおいて、少なくとも2個の磁石は、該または各々の流路の両側に配置されており、約90mm未満の分離を有する。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、少なくとも1個の流路を備える磁気流体処理装置が提供され、該または各流路は少なくとも1個の周囲に配置された磁石を有しており、装置は、使用中に、流路内を流れる流体が磁界にさらされるように流体供給コンジットと協働するように適応されており、流体供給コンジットの断面積と該流路または全部の流路の全断面積の比率は1:1.1〜1:2.8の範囲にある。
【0010】
本発明の第3の態様によれば、少なくとも1個の流路を備える磁気流体処理装置であっ
て、該または各流路は少なくとも1個の周囲に配置された磁石を有しており、装置は、使用中に、流路内を流れる流体が磁界にさらされるように流体供給コンジットと協働するように適応されており、ここにおいて、少なくとも1個の流体供給コンジットの幅と少なくとも1個の磁石が延在する少なくとも1個の流路の区間の長さとの比率はほぼ1:20〜1:40の範囲にある。
【0011】
本発明の第4の態様によれば、少なくとも1個の流路を備える磁気流体処理装置であって、該または各流路は少なくとも1個の周囲に配置された磁石を有しており、装置は、使用中に、流路内を流れる流体が磁界にさらされるように流体供給コンジットと協働するように適応されており、ここにおいて、少なくとも1個の磁石が延在する少なくとも1個の流路の区間における磁界の強さは0.02Tないし1.0Tである。
【0012】
上記の態様のいずれについても、以下は好ましい特徴である。
【0013】
流体は燃料であるとしてよい。流体は、微粉炭、ガスおよび油といった流体特性を有する物質を含み得る。
【0014】
流体供給コンジットの断面積と該または全部の流路の全断面積との比率は、1:1.2〜1:2.4、好ましくは1:1.6〜1:2.4、より好ましくは1:1.8〜1:2.2の範囲にあるとしてよい。
【0015】
少なくとも2個の磁石が該または各流路の両側に設けられる場合、分離は、約80mm未満、好ましくは約75mm未満、より好ましくは60mmにほぼ等しいかまたはそれ未満としてよい。
【0016】
少なくとも1個の流体供給コンジットの幅と少なくとも1個の磁石が延在する少なくとも1個の流路の区間の長さとの比率は、ほぼ1:22〜1:30の範囲、好ましくは約1:24〜1:26、そして最も好ましくは約1:24であるとしてよい。
【0017】
少なくとも1個の磁石が延在する少なくとも1個の流路の区間における磁界の強さは、約0.025Tないし0.5T、そしてより好ましくは0.1Tないし0.5Tであるとしてよい。
【0018】
本発明の第5の態様によれば、磁気流体処理装置は、少なくとも1個の流路を備えており、該または各流路は少なくとも1個の周囲に配置された磁石を有しており、ここにおいて、少なくとも1個の磁石は装置の本体区画に脱着可能に受け入れられている。
【0019】
本体区画は好ましくは非鉄金属である。本体区画はフェライト鋼または電炉鋼で作られているとしてよい。
【0020】
装置は、流路内に少なくとも1個の内部磁石を組み入れてもよい。前記少なくとも1個の内部磁石は流路からシールされた区画に配置され得る。少なくとも1個の内部磁石は本体区画の非磁性区間に収容され得る。
【0021】
脱着可能な磁石の備えは、装置の特性を変更するために磁石が容易に再構成または交換できるので、有利である。
【0022】
装置は既存の流体供給コンジット内に嵌着され得る。
【0023】
装置は、例えば、鋼、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、銅ニッケル合金、プラスチッ
クまたは炭素繊維といった非磁性材料から作られ得る。
【0024】
装置は、内部交換可能磁石カートリッジ(単数または複数)を組み入れてもよい。
【0025】
装置の長さは10cm〜400cmとしてよい。内部脱着可能磁石カートリッジ(単数または複数)は5cm〜350cmの長さを有し得る。
【0026】
内部交換可能磁石カートリッジ(単数または複数)は、脱着可能磁石カートリッジ(単数または複数)が嵌入し得る保持手段によって装置内部で適位置に保持され得る。
【0027】
内部交換可能磁石カートリッジは、流路を副次流路(単数または複数)に分割し得る。
【0028】
装置および/またはその流路(単数または複数)の流体流動面積と流体供給コンジットの燃料流動面積との比率は、1:1.1〜1:25、好ましくは1:2であるとしてよい。
【0029】
内部脱着可能磁石カートリッジ(単数または複数)は、隣接する副次流路(単数または複数)間に少なくとも1個の導流器を含み得る。
【0030】
内部交換磁石カートリッジ(単数または複数)は、例えば±10%広いかまたは狭いか、流路とほぼ同じ幅であるとしてよい。
【0031】
内部磁石カートリッジ(単数または複数)は、少なくとも1個の磁石を含み得る。
【0032】
内部磁石カートリッジ(単数または複数)は、非磁性材料といった磁石を絶縁し、かつ/または収容する材料で作られたコンジットを形成し得る。
【0033】
内部磁石カートリッジ(単数または複数)は、カートリッジ(単数または複数)内に磁石を絶縁する金属で作られた分離板を有することができ、その金属はフェライト鋼または電炉鋼であるとしてよい。
【0034】
該または各流路は、装置の外部に配置された外部脱着可能磁石カートリッジ(単数または複数)を有し得る。
【0035】
外部脱着可能磁石カートリッジは外部ハウジング内に配置され得る。外部ハウジングは複数の区画を含むかもしれず、それらが一緒に固定され得るように構成され得る。
【0036】
外部ハウジングは、装置の残部の周りに配置され得て、装置の保持手段によって保持され得る。
【0037】
外部ハウジングは、外部脱着可能磁石カートリッジ(単数または複数)が取付または取り外しできるようにするために脱着可能であるとしてよい。
【0038】
外部ハウジングは、フェライト鋼または電炉鋼のものとしてよい。
【0039】
外部交換磁石カートリッジ(単数または複数)は、好ましくは±10%で、流路とほぼ同じ幅であるとしてよい。
【0040】
外部磁石カートリッジ(単数または複数)は、少なくとも1個の磁石を含み得る。
【0041】
外部磁石カートリッジ(単数または複数)は、非磁性材料といった磁石を絶縁し、かつ/または収容する材料で作られたコンジットであるとしてよい。
【0042】
内部磁石カートリッジおよび外部磁石カートリッジの内部の磁石は、カートリッジ(単数または複数)の磁界を通過し得る燃料および、流路の幅と少なくとも1個の磁石が延在する流体供給コンジットの区間の長さとの比率(ドウェル長さ比)に応じて別様に構成され得る。
【0043】
本発明のいずれかの態様における使用に適格な磁石は、例えば、焼結フェライト磁石、希土類磁石、サマリウムコバルト磁石、焼結ネオジム−鉄−ボロン磁石、アルニコ磁石およびニッケル磁石を含む。
【0044】
外部磁石カートリッジ(単数または複数)および/または内部磁石カートリッジ(単数または複数)の内部の磁石の数は、流体供給コンジットの幅と少なくとも1個の磁石が延在する少なくとも1個の流路の区間の長さとの比率(ドウェル長さ比)に依存して異なり得る。
【0045】
内部磁石カートリッジ(単数または複数)および外部磁石カートリッジ(単数または複数)の内部の磁石の極性の配列は、燃料の種別および品質、燃料温度、燃料圧力、磁化と燃焼との間の時間および装置の所要のドウェル長さ比に従って変化し得る。
【0046】
好ましくは、磁界(単数または複数)は燃料の流れにほぼ直角に適用される。
【0047】
装置の少なくとも一端には、装置が取り付けられ得る管製品の寸法までコンジットの寸法を縮小し得る円錐体に取り付けられ得る。
【0048】
装置の少なくとも一端はアクセスフランジに取り付けられ得る。
【0049】
アクセスフランジは、内部脱着可能磁石カートリッジ(単数または複数)を流路に装着または取り外しが可能な寸法のものとしてよい。
【0050】
流路の少なくとも一端には、装置が取り付けられ得る管製品の寸法まで流路の寸法を縮小し得る円錐体に取り付けられた第2のアクセスフランジを有し得る。
【0051】
2つのアクセスフランジは、流路の継続部を形成するために相互に取り付けられ得る。
【0052】
フランジおよび/またはねじ山が端円錐体に取り付けられ得て、それによりユニットが嵌着され得る管製品にユニットが設置されるのを可能にし得る。
【0053】
本発明の別の態様によれば、少なくとも1個以上の装置が、効率節減が達成されるのを保証するために要求されるドウェル長さ比を維持するために既存の管製品に嵌着され得る。
【0054】
コンジット分岐が、1個以上の装置が装置の群に設置されるのを可能にするために使用され得る。
【0055】
ここに記載された特徴の全部は、上記の態様のいずれかと、あらゆる組合せにおいて結合され得る。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1a】実証実験の期間中の燃料流量および圧力のグラフを示す。
【図1b】実証実験の期間中の燃料流量および圧力のグラフを示す。
【図1c】実証実験の期間中の燃料流量および圧力のグラフを示す。
【図2a】実証実験の期間中のバーナ先端およびバーナの上流の地点における燃料温度のグラフを示す。
【図2b】実証実験の期間中のバーナ先端およびバーナの上流の地点における燃料温度のグラフを示す。
【図2c】実証実験の期間中のバーナ先端およびバーナの上流の地点における燃料温度のグラフを示す。
【図3a】実証実験の期間中のウインドボックス温度のグラフを示す。
【図3b】実証実験の期間中のウインドボックス温度のグラフを示す。
【図3c】実証実験の期間中のウインドボックス温度のグラフを示す。
【図4a】実証実験の期間中のバーナの合計空気流量のグラフを示す。
【図4b】実証実験の期間中のバーナの合計空気流量のグラフを示す。
【図4c】実証実験の期間中のバーナの合計空気流量のグラフを示す。
【図5a】実証実験の期間中の一次、二次および三次燃料比のグラフを示す。
【図5b】実証実験の期間中の一次、二次および三次燃料比のグラフを示す。
【図5c】実証実験の期間中の一次、二次および三次燃料比のグラフを示す。
【図6a】実証実験の期間中の燃焼室温度のグラフを示す。
【図6b】実証実験の期間中の燃焼室温度のグラフを示す。
【図6c】実証実験の期間中の燃焼室温度のグラフを示す。
【図7a】実証実験の期間中の燃料ガスダクト温度プロフィールのグラフを示す。
【図7b】実証実験の期間中の燃料ガスダクト温度プロフィールのグラフを示す。
【図7c】実証実験の期間中の燃料ガスダクト温度プロフィールのグラフを示す。
【図8a】実証実験の期間中のスタック酸素排出物レベルのグラフを示す。
【図8b】実証実験の期間中のスタック酸素排出物レベルのグラフを示す。
【図8c】実証実験の期間中のスタック酸素排出物レベルのグラフを示す。
【図9a】実証実験の期間中の二酸化炭素排出物レベルのグラフを示す。
【図9b】実証実験の期間中の二酸化炭素排出物レベルのグラフを示す。
【図9c】実証実験の期間中の二酸化炭素排出物レベルのグラフを示す。
【図10a】実証実験の期間中の一酸化炭素排出物レベルのグラフを示す。
【図10b】実証実験の期間中の一酸化炭素排出物レベルのグラフを示す。
【図11a】磁気強化装置の使用(または使用しない場合)によって差異が認められた一酸化炭素対スタック酸素のグラフを示す。
【図11b】磁気強化装置の使用(または使用しない場合)によって差異が認められた一酸化炭素対スタック酸素のグラフを示す。
【図12】実証実験の第2日の二次:三次空気比の関数としての一酸化炭素レベルのグラフを示す。
【図13a】実証実験の期間中にU字管出口で測定されたSOレベルのグラフを示す。
【図13b】実証実験の期間中にU字管出口で測定されたSOレベルのグラフを示す。
【図13c】実証実験の期間中にU字管出口で測定されたSOレベルのグラフを示す。
【図14a】実証実験の期間中のNOレベルのグラフを示す。
【図14b】実証実験の期間中のNOレベルのグラフを示す。
【図14c】実証実験の期間中のNOレベルのグラフを示す。
【図15a】実証実験の期間中のスタック酸素レベルに対する一酸化窒素レベルのグラフを示す。
【図15b】実証実験の期間中のスタック酸素レベルに対する一酸化窒素レベルのグラフを示す。
【図16a】実証実験の期間中の一酸化窒素レベル対二次:三次空気比のグラフを示す。
【図16b】実証実験の期間中の一酸化窒素レベル対二次:三次空気比のグラフを示す。
【図17a】実証実験の経過中の温度の基本的変動のグラフを示す。
【図17b】実証実験の経過中の温度の基本的変動のグラフを示す。
【図17c】実証実験の経過中の温度の基本的変動のグラフを示す。
【図18a】実証実験の期間中に差異が認められた磁石およびダミーユニット結果によるスタック酸素含量の関数としての燃焼室温度データを示す。
【図19a】実証実験の期間中の二次:三次空気流量比対スタック酸素レベルのグラフを示す。
【図19b】実証実験の期間中の二次:三次空気流量比対スタック酸素レベルのグラフを示す。
【図20】実証実験の第2日の間の熱入力および回収された熱のグラフを示す。
【図21】磁気流体処理装置の第1の実施形態の略側面断面図を示す。
【図22】磁気流体処理装置を横切る断面図を示す。
【図23】外部磁石カートリッジの側面断面図を示す。
【図24】内部磁石カートリッジの側面断面図を示す。
【図25】複式磁気流体処理装置の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明のより良好な理解のために、またその実施形態がいかにして実施され得るかを示すために、例証として、添付図面に言及する。
【0058】
図21において、燃料処理装置6は、既存の燃料供給管7に嵌着されるように構成されており、複数の外部磁石カートリッジ10がそれぞれ挿入される2つの周囲箱形区画8および9を備える。燃料処理装置6はまた、指定の磁界間隙を伴い複数の燃料流路13を形成するコンジット12の内部に挿入される内部磁石カートリッジ11を備える。装置はまた、新規プラント施設におけるような新規の配管に嵌着されるかもしれない。流体供給コンジットの断面積に対する流体流路13の全断面積の比率は、約1:1.5〜1:2.5である。磁石カートリッジ10および11間の距離は約10〜60mmである。磁石カートリッジ10、11が延在する流路13の区間の長さに対する流体供給管7の幅の比率は、1:30〜1:40の範囲にある。
【0059】
燃料燃焼地点までの途中で流路13を通じて燃料処理装置6中を流れる燃料等(図示せず)は、内部磁石カートリッジ11および外部磁石カートリッジ10内の磁石28、29、30(図23、24)の磁界によって影響を受ける。それは、後述の通り、より効率的な燃焼プロセスをもたらす。
【0060】
燃料処理は、油およびガスといった化石燃料または等価な燃料種別とすることができる。
【0061】
さらに詳細には、燃料処理装置6は、ボルト14によってコンジット12の周囲で一体に固定される脱着可能な箱形区画を形成する2つの部分8および9(図22参照)を備える。部分8および9はまた、外部磁石カートリッジ10を適位置に固定し、それらをコンジット12と平行に保持する。内部磁石カートリッジ11は、コンジット12の内部で上下の取付具15、16間に適位置に固定され、それらは必要な時に内部磁石カートリッジを滑らかに出し入れすることを可能にする。
【0062】
コンジット12は、非フェライト鋼または非電炉鋼で作られているとしてよく、一般に非磁性管と呼ばれ、それは、経時的に磁化することなく、外部磁石カートリッジ10または内部磁石カートリッジ11によって生成される磁界の磁気特性を変えないことから選択される。類似の特性を有する材料もまた使用できるであろう。
【0063】
図21に戻って、内部磁石カートリッジ11は、燃料処理装置6内を流れる燃料を流路13に向かわせ、燃料の滑らかな流れを保証する働きをするバッフルと一般に呼ばれる先頭および後尾導流器17を有する。
【0064】
コンジット12の一端にはフランジ18が取り付けられており、これは、内部磁石カートリッジ11を燃料処理装置6に滑らかに出し入れするのを可能にするためにコンジット12と同じ内径の開口を有する。またやはりコンジット12と同じ内径の開口を有する第2のフランジ19が、コンジット20に取り付けられており、これは燃料供給管7の寸法までコンジット12を縮小させる円錐体の形状をしているかもしれない。コンジット20は、燃料供給7との嵌合のために要求される構成に応じて、第2のフランジ21が取り付けられるか、またはねじが切られるかもしれない(図示せず)。フランジ18および19は、ボルト31を用いて一体に取り付けられ得る。
【0065】
コンジット12の他方の端には、コンジット12を燃料供給管7の寸法まで縮小させる円錐体の形状をしているかもしれないコンジット22が取り付けられている。コンジット22は、燃料供給7との嵌合のために要求される構成に応じて、フランジ23が取り付けられるか、またはねじが切られるかもしれない(図示せず)。
【0066】
フランジ18、フランジ19、コンジット20、フランジ21、コンジット22およびフランジ23は、非フェライト鋼または非電炉鋼(一般に非磁性と言われる)で作られているとしてよく、それは、経時的に磁化することなく、外部磁石カートリッジ10および内部磁石カートリッジ11によって生成された磁界を既存の供給管7を伝って消散させないことから選択される。それはまた、燃料に対する磁気効果も消散させないであろう。
【0067】
燃料処理装置6のドウェル長さ24は、供給管7の流動面積、磁界間隙および磁化と燃焼との間の時間によって決定されるであろうし、また、燃料流量、燃料圧力および燃料種別も考慮されるかもしれない。
【0068】
流路13の流動面積および幅は、供給管7の流動面積、磁界間隙および磁化と燃焼との間の時間によって決定されるであろうし、また、燃料流量、燃料圧力および燃料種別も考慮されるかもしれない。
【0069】
図22は、燃料処理装置6の横断面を示している。外部磁石カートリッジ10は、複数の磁石28、29、30(図23)が挿入されるコンジットより構成される。コンジット32は、一般に非磁性と言われる非フェライト鋼または非電炉鋼で作られているとしてよい。
【0070】
内部磁石カートリッジ11は、上部および下部の周囲箱形区画25および26、ならびに分離板27を備える。上部および下部の周囲箱形区画は、複数の磁石28、29、30(図24)が挿入される2つのコンジットを形成するために分離板27に取り付けられている。上部および下部箱形区画25および26は、一般に非磁性と言われる非フェライト鋼または非電炉鋼で作られているとしてよい。分離板27は、一般に磁性と言われるフェライト鋼または電炉鋼で作られているとしてよい。
【0071】
燃料処理装置6の第2の実施形態が図25に示されており、燃料処理装置6は、マトリ
ックスと呼ばれる群に装着された複数の燃料処理装置6が存在し得ること以外、類似の方式で構成されている。図25は、マトリックスにおける2個の燃料処理装置6を図示している。コンジット33は、燃料供給管7と同じ直径である1つのコンジット直径から燃料処理装置6のコンジット直径と同じである2つのコンジット直径へと分岐している。コンジット33の一端はフランジ35に取り付けられており、それは転じて燃料供給管7のフランジ34にボルト37で締結され得る。両端は各々、転じて燃料処理装置6にボルト37で締結され得るコンジット33に取り付けられたフランジ36を有する。
【0072】
コンジット33、フランジ35およびフランジ36は、一般に非磁性と言われる非フェライト鋼または非電炉鋼で作られているとしてよい。
【0073】
図25は、燃料処理装置6の二重マトリックスを図示しているが、3、4、5、6、…の分岐またはマトリックスにおいて設置された多数の装置が存在し得る。燃料処理装置6の数は、燃料供給管7の燃料流動面積、磁界間隙、ドウェル長さ、燃料の種別および品質、磁化と燃焼との間の時間に依存するであろう。
【0074】
ファクタを変えた多くの磁気流体処理装置の広範にわたる試験は、以前の装置に比べて特に有利な燃料効率を付与する装置の製造を可能にした。
【0075】
従来の装置は、燃料管の一部分を横切って及ぶだけにすぎない磁界に起因する不均一な磁化をもたらしていた。磁石が90°の角分離で燃料管の周りに固定されている磁気流体処理装置の場合、5cmを超える直径の管について不利益が認められた。これは、磁界の減衰のためにより少ない燃料の部分を通過する磁界に起因している。磁石はまた、種々の角分離で管の周りに固定されるかもしれない。
【0076】
得られる燃料効率のレベルを調節するうえで重要な役割を果たすとわかったファクタは、磁界の強さ、磁界間隙、磁石の極の構成および整列、ドウェル時間(燃料が磁界にさらされる時間)、磁化と燃焼との間の時間、燃料圧力、および装置内での燃料流路の全体形状を含む。特に、燃料がその中を流れる磁界の均一性は、特に関連が深いとわかった。
【0077】
磁気流体処理装置の効果を測定するために、英国ノッティンガムシア州ラトクリフのパワージェン(Powergen)燃焼試験施設で一連の試験が行われた。
【0078】
試験は、燃焼室内で水平方向に燃焼する単一バーナで燃焼される重質燃料油(Heavy Fuel Oil)を使用し、1MW(th)試験施設において磁気流体処理装置で行われた。
【0079】
この種の全部の燃焼試験と同様に、バーナの品質、その設置および設定は極めて高品質なものであり、燃焼効率は磁気流体処理装置がその最大の適用可能性を見出すはずである典型的な産業用途を十分に上回っている。より代表的な燃焼条件を付与するために効果的にバーナの定格を低下させる手順が確立された。
【0080】
バーナ特性を確定してから、多様な試験が、初めにバーナのベースライン性能を確立した後、後述の通り、全体性能への磁気流体処理装置の影響を調査することに着手するために行われた。
【0081】
パワージェンのラトクリフ研究所の1MW(th)燃焼試験施設は、発電業で使用されるような大型の水管ボイラにおいて見られる火炎状態、炉滞留時間および温度プロフィールを再現するために設計されている。
【0082】
試験装置は、サンプリングおよび測定を可能にする多様なアクセスポートを備えている
。全自動データロギング機能が設けられている。
【0083】
試験装置は、重質燃料油で燃焼する水平単一Yジェット形ツイン流体噴霧器バーナ(horizontal single Y jet twin fluid atomiser burner)が装備されていた。
【0084】
システムは、燃焼室への一次、二次および三次空気流量の完全な独立制御を可能にした。標準構成において、燃焼空気は予熱され、三次:二次空気分割は3.5:1である。
【0085】
初期試験結果は、その機器構成が極めて低いCOレベルにより極めて効率的であることを示した。CO値の増加が認められる絶対値および過剰酸素の両方とも、典型的な産業用バーナに比べて極めて低い。
【0086】
典型的な産業用ボイラのより現実的な提示を提供しようと試みるために、バーナは、全CO濃度を増大させCO破過点を高めるように調整がずらされた。これらの効果は、(予熱した燃焼空気ではなくむしろ)燃焼用空気周囲温度を使用して達成された。
【0087】
これらの変更は全体の燃焼性能に影響を及ぼした。主要な影響は、約0.2%酸素から約0.6%に移行したCO破過点に対してであった。約1%超の酸素濃度では、これらの変更はまったく影響がなかった。
【0088】
バーナの設定および有効な基準条件の確立の問題全体は、磁気流体処理装置の実証実験を常に悩ませた。燃焼強化装置は、典型的な産業用途に適用された場合に最も大きい利益を付与することが最も見込めそうであることが常に認められた。
【0089】
正しく設置、設定、操作および維持された新しいバーナが、極めて高い効率および低いCO排出をもたらすであろう。典型的な産業用バーナは、相対的に不満足な設定および保守、それに対応してより高い排出量によって特徴づけられる。
【0090】
バーナはより高いCO量を与えCO破過点を低減するように調整がずらされたが、結果は、典型的なスタック酸素レベルが約3〜8%(乾燥)、そしてCOレベルが20〜50ppmである典型的な産業用バーナに比べて、依然として極めて良好であった。
【0091】
性能を低下させたバーナのベースライン測定値が、0.3、0.6および0.9%のスタック酸素レベルについてダミーユニット内を流れる燃料により得られた。
【0092】
測定値は、熱流束、燃料ガスダクト下方の段における温度、COレベル、CO破過点および微粒子填量を含んでいた。
【0093】
図1a、1bおよび1cは、実証実験の期間中の燃料流量および圧力を示している。見てわかるように、初期始動の間は別として、流量および圧力は極めて安定していた。従って、注目されたあらゆる以降の変化もこれらのパラメータのどちらとも関連がないと結論づけることができる。
【0094】
図2a、2bおよび2cは、バーナ先端およびバーナの上流の供給管路における地点の燃料温度を示している。
【0095】
一部のごくわずかな変化(約1℃)が明瞭であるが、これらはシステムの全体的な熱勘定または性能に対する影響の点ではまったく重要ではない。
【0096】
図3a、3bおよび3cは、ウインドボックス温度を示している。燃料温度と同様に、
若干の変動はあるが、システムの全体的な熱勘定または性能に著しく影響を及ぼすには不十分である。
【0097】
図4a、4bおよび4cはバーナへの合計空気流量(一次、二次および三次)を示しており、一旦システムが設定されて安定すると、種々の過剰酸素レベルを実現するために要求される合計空気流量の変動を除いては、空気流量は極めて一貫していることがわかる。
【0098】
図5aは、約3:1の一次:二次空気比によるバーナの初期設定を実証している。これはその後、試験手順の一部として約1:1まで引き下げられた。
【0099】
図6a、6bおよび6cに示された燃焼室温度は、主に測定装置の正確な位置決定および較正の問題のために、正確に測定することが周知の通り困難である。
【0100】
図からわかるように、(平均値に関して約±20℃で)信号に若干のノイズがあるが、これは予想されたものであり、火炎に関係する一般的なノイズおよび変動を反映している。
【0101】
多数の熱電対が燃料ガスダクトの長さの下方に配置され、燃料ガスの温度を測定するために使用されている。熱は、典型的な発電所ボイラのそれを反映していると言われるプロフィールにより燃料ガスダクトから除去される。
【0102】
図7a、bおよびcは、実証実験の期間中の温度プロフィールを示している。見てわかるように、出口温度は約740℃に低減しており、それは典型的ボイラにおける燃料ガスからの合計熱回収の小部分を表しているにすぎない。しかし、伝熱面積は一定であり、種々の作業条件下での燃焼室からの出口とユニットからの出口との間の温度降下のいずれかの差は、全伝熱効率の変化を表しているとみなすことができる。
【0103】
図8a〜8cはスタック酸素を示している。ある程度の“ノイズ”は予想されるものとしてこれらの図から明らかであるが、全体の制御は良好である。全体として、異なる運転状況が、0.3、0.6および0.9%のスタック酸素レベルに対応して見ることができる。
【0104】
これらのスタック酸素レベルが典型的な産業用ボイラ設備で通常見られるはずのそれらよりも著しく低いことを強調することは重要である。
【0105】
図9a〜9cは、試験の期間中の対応するCOレベルを示している。
【0106】
図9bは比較のためにスタック酸素レベルを含み、予想通り、CO濃度はスタック酸素が希釈因数の変化と同調して減少するにつれて増大することがわかる。
【0107】
図10a、10bおよび10cは、スタック酸素に対してグラフ化されたCOの全体結果を示している。予想通り、約1%を超える酸素レベルについて、COレベルはほぼ30ppmで無視できる。
【0108】
スタック酸素レベルが0.3〜0.6%まで低減すると、COレベルは予想されたように増大する。低スタック酸素レベルで運転した場合に結果の極めて広い広がりが顕著である。
【0109】
図11aおよびbは、磁気強化装置の使用(または使用しない場合)によって差異が認められるスタック酸素に対するCOを例示している。
【0110】
図11aから、磁気装置が稼動した時にCOレベルの明らかなまたは著しい変化が存在しないことは明瞭である。図11b(第2日および第3日の結果)は、ダミーユニットに切り換えて戻した時点で測定されたCOレベルの著しい低減を示しており、それは、その間に何らかの他の作用が存在していない限り経験にそぐわない。
【0111】
潜在的な作用は、供給配管の活性化をもたらした遅延期間、または二次:三次空気比の変化の結果を含む。
【0112】
図12は、第2日(当該データが入手可能な唯一の日)の間の二次:三次空気比の関数としてのCOレベルを示している。最小示度は不変のままであるが磁石が作用している時にCO示度の範囲の増大の何らかの証拠が存在することがわかる。典型的な産業用途と比較した時に絶対レベルは磁石の有無の両方での運転について極めて低いままであることに留意しなければならない。また、二次:三次空気比が減少するにつれてCOレベルの全体的な増加が存在することにも留意しなければならない。
【0113】
図13a、13bおよび13cは、U字管出口で測定されたSOレベルをグラフ化している。SOレベルは、供給燃料油の硫黄分によって事実上決定される。第2日の間におけるSOレベルの急激な増加は、以下の燃料分析テーブルから明白に示されるようにサンプル2および3の間での燃料油組成の変化に帰せられる。
【0114】
【表1】

表1−燃料分析
【0115】
NO排出は多くの複雑な形成機構に起因するので、従ってNOレベルは多くのファクタによって影響される。
【0116】
図14a、14bおよび14cは、試験の期間中のNOレベルをグラフ化している。図14aは、配備および設定作業の間におけるNOレベルの相当の変動を示しているが、運転が確立されるとレベルはある程度安定することも示している。
【0117】
図14b(第2日)はNOレベルの全般的な上昇傾向を示しており、14c(第3日)は運転停止シーケンスが開始されるまでの著しく安定した運転を示している。
【0118】
第1日および第2日は、それらが過剰空気および二次:三次空気比に関して多くの異なる作業条件での運転を含むことから、特に興味深い。
【0119】
NO形成に影響する種々のファクタを区別する試みとして、その結果はスタック酸素レベルおよび二次:三次空気流量に対してグラフ化し直された。
【0120】
図15aおよびbは、スタック酸素レベルに対するNOレベルをグラフ化しており、これらの図から、磁気装置がNOレベルにいかなる重大な作用も及ぼしていないことは明白である。
【0121】
同様に、図16aおよび16bは、二次:三次空気比の変化の結果としてNOレベルにいかなる重大な変動も示していないが、NOレベルの小さな変動を示唆するある種の証拠が存在する。
【0122】
多数の温度測定値が実験装備内の各地点で入手可能である。ガス温度は、ガス温度の信頼できる示度を付与するためにガス流中の十分奥に配置された多数のセラミックシーズ付き熱電対と一緒にキュークロープス単色赤外高温計を用いて測定される。
【0123】
温度データは実験作業の3日間にわたり図17a、17bおよび17cにグラフ化されており、それは試験の経過中の温度の基本的変動を示している。
【0124】
図18aおよび18bは、差異が認められた磁石およびダミーユニット結果によりスタック酸素含量の関数としてグラフ化し直された燃焼室温度データを示している。
【0125】
第1日(図18a)について、比較データは0.6%のスタック酸素含量に関連しており、磁石を用いた火炎温度がダミーユニットのそれよりも高いことは検査によって明白である。
【0126】
この結論は結果の統計分析によって裏付けられており、それは99%の信頼水準において(すなわち、結論が無効であるという1%の確率が存在する)、磁石を備えるシステムの平均火炎温度がダミーユニットで運転するシステムの場合よりも大きい(この場合約15℃)ことを実証している(表1参照)。
【0127】
磁石をまったく備えないダミーハウジング内を燃料が流れるシステムのベースライン性能を確立してから、磁気流体処理装置の“作動状態の”調節ユニット(装置1および装置2)が試験された。
【0128】
試験継続期間は表1に要約されている。
【0129】
【表2】

表2−ダミーおよび装置1(第1日)の燃焼室温度の比較
【0130】
平均(磁石)−平均(ダミー)=0(すなわち、母集団は同じである)という帰無仮説について2母集団推論試験を適用すると、99%の信頼水準で、母集団の平均値の差は事際には15.25〜15.35であることが示される。帰無仮説値(0)がこの範囲外にあるので、2つの母集団の平均値は異なるということが99%の信頼水準で結論づけることができる。従って、磁気燃料前処理装置の適用によって火炎温度が高められるという証拠が存在する。
【0131】
第2日の対応するデータは逆の作用、すなわち、火炎温度が表2に示すように磁気ユニ
ットよりもむしろダミーによる運転の場合について同じであるか、またはたぶんわずかに高いことを示している。
【0132】
【表3】

表3−ダミーおよび磁石(装置1)(第2日)の燃焼室温度の比較
【0133】
さらなる分析は、システムからの完全な潜在的結果を実現する試みとして着手されたスタック酸素レベルおよび二次:三次空気レベルの変更により、磁石条件についての一貫した作業データの不足のために磁石/非磁石条件間の有意な比較を行うことができないことを示す。スタック酸素レベルおよび二次:三次空気流量の変動は図20に示されている。
【0134】
一定の伝熱面積を備える試験施設のようなシステムについては、比較のための全熱効率の大ざっぱな尺度が次のように定義され得る。
効率=回収された熱/熱入力
ここで、熱入力は、燃料流量に燃料の発熱量を掛けたものとして定義され得る。
【0135】
この定義は、入力空気流量および温度の変化の影響を除外しているが、この場合、入口空気温度の変化は取るに足りないものであり、一定の燃料流量およびスタック酸素レベルに基づき行われた効率の比較には、これらの影響が無視できることが示された。
【0136】
回収された熱はこの比較のために次のように定義される。
回収された熱=燃料ガス質量流量×燃料ガスの平均比熱容量×温度差(燃焼室−スタック)
【0137】
定義によって、いずれの空気漏れもない場合、合計燃料ガス流量は、燃料質量流量と合計空気流量(両方とも直接測定したもの)との和である。
【0138】
燃料ガスの比熱容量は温度により異なるが、スタック放出温度の差が絶対値に比べて小さいので、比較のために燃料ガスの比熱容量の一定の平均値を使用することは許される。
【0139】
燃料ガス温度差は、燃焼室温度と出口温度の平均との差として定義される。
【0140】
上記の計算は試験ユニットの熱効率の絶対的な決定を表していないが、それは、システム内の別の場所での作業条件の類似性を保証するために大きな配慮(産業用ボイラ設備では一般に見られない事柄)がなされる限り、種々の条件下での性能の比較のための適切な基礎を提供する。
【0141】
2つの期間が比較のために以下の通り選定され、装置1(第1日)および装置2(第2日)を反映している。
【0142】
【表4】

表4−磁気流体処理装置の効率、第1日−装置1
【0143】
効率の小さな増加が装置1の適用の結果としてこれらの結果から明らかであることは、明白である。
【0144】
平均効率(装置1)−平均効率(ダミー)=0(すなわち、母集団は同じである)という帰無仮説について2母集団推論試験を適用すると、99%の信頼水準で、母集団の平均値の差は実際には0.10〜0.497であることが示される。帰無仮説値(0)がこの範囲外にあるので、2つの母集団の平均値は異なるということが99%の信頼水準で結論づけることができる。
【0145】
従って、磁気燃料処理装置の適用が効率に有益な影響を及ぼしたという証拠が存在する。
【0146】
【表5】

表5−磁気流体処理装置の効率、第2日(装置2)
【0147】
これらの結果は、装置2の適用による効率の極めてわずかな低下を示しており、その結論は(ちょうど)99%の信頼水準に当てはまることが確認される。しかし、その時点で着手されているシステムの他の変更のために、装置2の条件について入手可能な定常状態データは相対的にほとんどなかった。また、全効率が第1日の場合よりも著しく低いことも明白である。
【0148】
図20の分析は、総熱入力がかなり相当に一定のままであるが、回収される熱はこれらの結果が収集された日の最後の期間に著しく変化していることを示す。図5bの参照により、これが、外部/内部空気比が調整されていた(二次:三次空気比)期間と強く合致することが示されるであろう。
【0149】
全燃焼効率および(相対的に)小規模の変化を測定しようとする試みは、結果に影響し得る種々のファクタの数のために周知の通り困難であることが知られている。
【0150】
燃料の試験が行われた試験装置は、燃焼効率に影響を及ぼす種々のパラメータがそれらによって評価および定量化され得る例外的範囲の施設を代表している。
【0151】
全部の実験室試験と同様に、バーナの条件および設定、ならびに現場において一般的に見られるものと類似の作業条件を確立するという問題は、解決されないままである。この場合、試験のためにバーナ性能の定格を低下させたにもかかわらず、それは典型的な産業用務において出会いそうなあらゆるオイルバーナよりも桁違いに良好なままである。従って、試験装置の性能のあらゆる改良の範囲は、産業用務における典型的なバーナによるよりもはるかに限定される。
【0152】
全体として、故意に導入された変更は別として、試験装置の性能は極めて一貫していた。
【0153】
燃料を装置1に通すことにより、それ以外は、静的条件下で全燃焼効率の統計的に有意な増加をもたらしたという統計的に有意な証拠が存在する。
【0154】
作業条件のあらゆる他の変化に関連しない装置1または装置2の使用の結果としてのCOレベルの変化についていかなる有意な証拠も存在しないが、やはり再度、観察されたCOレベルが典型的な産業用ボイラ設備で観察されるどれよりも極めて著しく低いということを強調しなければならない。
【0155】
従って、これらの結果に基づき、磁気装置1および2が表4に示す通り燃焼効率を0.3%ポイント(全体として約1.7%)改善したということを99%の確信度で言うことが可能である。
【0156】
従って、磁気流体処理装置は、燃料の磁気処理に現在使用可能な装置に優るいくつかの利点を有する。磁気流体処理装置は、ユニットの範囲にわたって燃焼を強化する単純で費用効率の高いストレートインライン形装置である。
【0157】
試験において実証された増大した効率は、同じ熱量が他の磁気流体処理装置または装置を使用しない場合よりも少ない燃料で、達成できるので、コスト節減を提供する。磁気流体処理装置は、そのいっそう改善された効率のために、燃焼装置のより少ない保守をもたらすよりきれいな燃焼を付与する。
【0158】
よりきれいな燃焼とともに低減した燃料使用量は、燃焼プロセスからの二酸化炭素のような有害な汚染物質の放出を低減する効果を有する。
【0159】
磁気流体処理装置はまた、その容易な設置により有利である。装置は、既存の燃料管への挿入および取り出しを可能にする特殊設計のハウジング内に収容される。
【0160】
従って、磁気流体処理装置は、燃料の磁気処理に現在使用可能な装置に優るいくつかの利点を有する。磁気流体処理装置は、ユニットの範囲にわたって燃焼を強化する単純で費用効率の高いストレートインライン形装置である。
【0161】
実証試験において実証された増大した効率は、同じ熱量が他の磁気流体処理装置または装置を使用しない場合よりも少ない燃料で、達成できるので、コスト節減を提供する。磁気流体処理装置は、5%を超える燃料コスト節減を達成することができ、それは設置および保守に関係するコストを当然上回るはずである。
【0162】
磁気流体処理装置は、そのいっそう改善された効率のために、燃焼装置のより少ない保守をもたらすよりきれいな燃焼を付与する。これは、燃焼装置のより少ない休止時間に、従って効率の増大につながる。
【0163】
よりきれいな燃焼とともに低減した燃料使用量は、燃焼プロセスからの二酸化炭素のような有害な汚染物質の放出を低減する効果を有する。
【0164】
磁気流体処理装置はまた、その容易な設置により有利である。装置は、既存のまたは新規の燃料管への挿入および取り出しを可能にする特殊設計のハウジング内に収容される。磁気流体処理装置は、燃焼装置のコスト節減およびより大きい効率という利益を生み出すために改善された燃焼可能性を提供する。
【0165】
他の実施形態において、図21に図示された実施形態の流体供給管7および流路10、11の相対寸法は、上述の利益を有する装置を提供するために上述した本発明に従って変更することができる。
【0166】
読者の注意は、この出願に関連するこの明細書と同時または以前に出願され、この明細書により公の精査に公開されている、全部の書類および文書に向けられており、全部のそのような書類および文書の内容は参照によってここに採り入れられる。
【0167】
この明細書(あらゆる添付のクレーム、要約および図面を含む)に開示された特徴の全部、および/またはそうして開示されたあらゆる方法またはプロセスのステップの全部は、そのような特徴および/またはステップの少なくとも一部が相互に排他的である組合せを除き、あらゆる組合せにおいて結合され得る。
【0168】
この明細書(あらゆる添付のクレーム、要約および図面を含む)に開示された各々の特徴は、別段に明白に記載されていない限り、同一、等価または類似の目的を果たす代替的な特徴と取り替えられ得る。従って、別段に明白に記載されていない限り、開示された各々の特徴は、一般的な一連の等価または類似の特徴の1例にすぎない。
【0169】
本発明は、前述の実施形態(単数または複数)の詳細に制限されない。本発明は、この明細書(あらゆる添付のクレーム、要約および図面を含む)に開示された特徴のいずれかの新規な一つ、またはいずれかの新規な組合せ、またはそうして開示されたあらゆる方法またはプロセスのステップのいずれかの新規な一つ、またはいずれかの新規な組合せに及ぶ。
【符号の説明】
【0170】
6 燃料処理装置
7 燃料供給管
8、9 周囲箱形区画
10 外部磁石カートリッジ
11 内部磁石カートリッジ
12 コンジット
13 流体流路
14 ボルト
15、16 取付具
17 導流器
18、19 フランジ
20 コンジット
21 フランジ
22 コンジット
23 フランジ
25、26 箱形区画
27 分離板
28、29、30 磁石
31 ボルト
32、33 コンジット
34、35、36 フランジ
37 ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個の流路を備える磁気流体処理装置であって、前記流路は少なくとも1個の周囲に配置された磁石である外部磁石を有しており、前記外部磁石は前記磁気流体処理装置の本体に脱着可能に取り付けられていることを特徴とする磁気流体処理装置。
【請求項2】
前記本体区画は非鉄金属であることを特徴とする請求項1に記載の磁気流体処理装置。
【請求項3】
前記流路内に少なくとも1個の内部磁石をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気流体処理装置。
【請求項4】
前記磁気流体処理装置は、既存の流体供給管に嵌着されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気流体処理装置。
【請求項5】
前記磁気流体処理装置は、磁石カートリッジを脱着可能に保持する保持手段によって装置内部で適位置に保持される1個以上の内部交換可能磁石カートリッジを備えており、前記内部交換可能磁石カートリッジは前記流路を副次流路に分割することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気流体処理装置。
【請求項6】
前記磁気流体処理装置および/またはその流路の流体流動面積と前記磁気流体処理装置が取り付けられる流体供給管の流体流動面積との比率は、ほぼ1:1.2〜1:2.5であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気流体処理装置。
【請求項7】
前記内部磁石カートリッジおよび/または外部磁石カートリッジの内部の磁石は、前記カートリッジの磁界を通過する燃料、および装置が取り付けられる流体供給管の径と少なくとも1個の磁石が延在する流路の区間の長さとの比率に応じて別様に構成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気流体処理装置。
【請求項8】
前記内部磁石カートリッジおよび/または外部磁石カートリッジの内部の磁石の極性の配列は、燃料の種別および品質、燃料温度、燃料圧力、磁化と燃焼との間の時間および/または装置の所要のドウェル長さ比に従って変化することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気流体処理装置。
【請求項9】
前記磁界は流体の流れにほぼ直角に形成されることを特徴とする請求項7または8に記
載の磁気流体処理装置。

【図1a】
image rotate

【図1b】
image rotate

【図1c】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図2c】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図3c】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate

【図4c】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図5c】
image rotate

【図6a】
image rotate

【図6b】
image rotate

【図6c】
image rotate

【図7a】
image rotate

【図7b】
image rotate

【図7c】
image rotate

【図8a】
image rotate

【図8b】
image rotate

【図8c】
image rotate

【図9a】
image rotate

【図9b】
image rotate

【図9c】
image rotate

【図10a】
image rotate

【図10b】
image rotate

【図11a】
image rotate

【図11b】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13a】
image rotate

【図13b】
image rotate

【図13c】
image rotate

【図14a】
image rotate

【図14b】
image rotate

【図14c】
image rotate

【図15a】
image rotate

【図15b】
image rotate

【図16a】
image rotate

【図16b】
image rotate

【図17a】
image rotate

【図17b】
image rotate

【図17c】
image rotate

【図18a】
image rotate

【図19a】
image rotate

【図19b】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate


【公開番号】特開2010−60277(P2010−60277A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−238400(P2009−238400)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【分割の表示】特願2006−540578(P2006−540578)の分割
【原出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(506174441)マクシス リミテッド (2)
【Fターム(参考)】