説明

磁気記録媒体の真贋判定方法及び磁気記録媒体読み出し/書込装置

【課題】 従来技術の問題点を解消するとともに、偽造や変造が困難な磁気記録媒体読み出し/書き込み装置及び磁気記録媒体の真贋判定方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 基本データを所定の規則に基づいて複数通りの方法で改変して複数の改変データを作成する。そして、その中で真贋判定情報を付加するのに適した改変データを選択し、その一部に、改変データの信号のピークを時間的にずらすという態様で真贋判定情報を付加して、磁気記録媒体の記録領域に磁気的に記録する。このデータの信号を読み取って改変データの信号を復元した後、改変データの信号のうち、ピークシフトが生じておらず、かつ、前記真贋判定情報が付加されていない部分のピークのタイミングに基づいて補間曲線を作成する。そして、真贋判定情報が付加されているピークと、前記補間曲線とを比較して、磁気記録媒体の真贋を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気カード等の磁気記録媒体において真贋を判定する方法、及び磁気記録媒体に対して真贋判定情報の読み取り/書き込みを行う装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キャッシュカード、クレジットカード、プリペイドカード、ポイントカード等、個人情報や金額の度数情報等が記録された各種カードが、広く普及している。偽造や変造等によって、これらのカードが不正使用されることが社会的に大きな問題となっており、それに対する対策が求められている。磁性体に情報を記録する磁気カードにおいては、読み出し/書き込み装置(リーダ/ライタ)の駆動系の機構精度や電気的精度が低い環境下で情報の読み出し/書き込みを行う必要があるので、書き込むことのできる情報量が少なく(一般に数百ビット程度)、応用範囲が限られる上、読み出し/書き込み装置によって容易に情報を書き換えることができるため、不正な書き換えが行われる危険性が高い。
【0003】
このような不正使用に対する対策として、従来から種々な技術が開発され提案されているが、これら技術の多くは、これまでに普及している磁気カードと、製造方法及び運用面において互換性がなく、したがって、これまでに普及しているインフラのもとで使用することのできないものがほとんどであった。
【0004】
そこで、本発明者は、先に、本人以外の不正な使用や記録内容の不正な書き換え等があった場合に直ちにその旨を検出でき、しかも、従来からの磁気カードとの互換性をある程度維持できる磁気カードの認証方法、認証システム、そして、このような方法で認証できる磁気カードを開発し提案した。このような本発明者が提案した技術は、国際公開番号WO03/102925 A1号公報に開示されているように、磁気カードデータに雑音を重畳させて書き込み、読み出し時にモータのふらつきによる波形の乱れを正規化してから信号成分を抜き取り、雑音成分を解析して、データ化するものである。
【0005】
また、磁気データの書き込みにおいては、書き込み信号は正確なクロックから作られる1F及び2F(1Fの2倍の周波数を有する信号)の2波で行なわれるのが普通であるが、読み出した波形は、書き込み時の個々のヘッドの特性、駆動系のばらつき等により、正確な1対2の長さにはならない。これは書き込む度に、微妙に違い、磁気データ固有の特徴になり得るので、これを利用して磁気カードの偽造防止を行なう技術が種々提案されている。例えば、特開平10−149417号公報には、磁気カードに記録された磁気信号のジッタを暗号化して磁気カードに記録しておくことにより、偽造防止効果を達成しようとする技術が開示されている。
【0006】
【特許文献1】国際公開番号WO03/102925 A1号公報
【特許文献2】特開平10−149417号公報
【特許文献3】特願2004−307030
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本発明者が先に提案した技術では、雑音成分の周波数がデータ波形に比べて圧倒的に高いので、従来の読み出し機、及び書き込み機に比べ、より高い周波数の扱える機器が必要になるという問題がある。また、リードヘッド、カードに付着する手垢、汚れ、折れ、曲がり等のリード条件の悪化に対し、データの信頼性より雑音成分の信頼性が低くなってしまうという問題がある。
【0008】
また、特開平10−149417号公報等に開示されたような技術では、高度の読み出し装置や、実際に読出しを行なった際に起こるピークシフト等の影響等、読み出し時の波形の狂いの方が大きく、実用化には至っていない。
【0009】
本発明は、上記のような問題点を解消し、かつ、偽造や変造が困難な磁気記録媒体読み出し/書き込み装置及び磁気記録媒体の真贋判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、複数のトラックからなる記録領域にデータが磁気的に記録される磁気記録媒体の真贋を判定する磁気記録媒体の真贋判定方法であって、前記複数のトラックに記録される基本データのうち少なくとも一方を所定の規則に基づいて複数通りの方法で改変して複数の改変データを作成するとともに、各改変データとそれぞれの改変の方法を結びつけた情報を保存する、改変データ作成ステップと、前記複数の改変データのうち、真贋判定情報を付加するのに適した改変データを選択する改変データ選択ステップと、前記改変データ選択ステップにおいて選択された改変データの一部に、改変データの信号のピークを時間的にずらすという態様で真贋判定情報を付加するとともにどの部分に前記真贋判定情報を付加したかを示す情報を保存する、真贋判定情報付加ステップと、前記真贋判定情報が付加された改変データと、真贋判定情報が付加されていない改変データ又は基本データを、別々のトラックに磁気的に記録する磁気記録ステップと、前記記録領域に磁気的に記録されたデータの信号を読み取って真贋判定情報が付加された改変データと、真贋判定情報が付加されていない改変データ又は基本データを復元するデータ復元ステップと、復元された真贋判定情報が付加されていないデータの信号のうち、ピークシフトが生じていない部分のピークのタイミングに基づいて、補間曲線を作成する補間曲線作成ステップと、前記復元された改変データの信号のうち真贋判定情報が付加されている改変データのピークと、前記補間曲線とを比較することにより、磁気記録媒体の真贋を判定する真贋判定ステップとを含むことを特徴とする。
【0011】
第2の発明は、記録領域にデータが磁気的に記録される磁気記録媒体の真贋を判定する磁気記録媒体の真贋判定方法であって、一つの基本データを所定の規則に基づいて複数通りの方法で改変して複数の改変データを作成するとともに、各改変データとそれぞれの改変の方法を結びつけた情報を保存する、改変データ作成ステップと、前記複数の改変データのうち、真贋判定情報を付加するのに適した改変データを選択する改変データ選択ステップと、前記改変データ選択ステップにおいて選択された改変データの一部に、改変データの信号のピークを時間的にずらすという態様で真贋判定情報を付加するとともにどの部分に前記真贋判定情報を付加したかを示す情報を保存する、真贋判定情報付加ステップと、前記判定情報が付加された改変データを磁気記録媒体の記録領域に磁気的に記録する磁気記録ステップと、前記記録領域に磁気的に記録されたデータの信号を読み取って改変データの信号を復元する改変データ復元ステップと、復元された改変データの信号のうち、ピークシフトが生じておらず、かつ、前記真贋判定情報が付加されていない部分のピークのタイミングに基づいて、補間曲線を作成する補間曲線作成ステップと、前記復元された改変データの信号のうち真贋判定情報が付加されているピークと、前記補間曲線とを比較することにより、磁気記録媒体の真贋を判定する真贋判定ステップとを含むことを特徴とする。
【0012】
前記第1及び第2の発明において、前記改変データ作成ステップにおける前記所定の規則は、M系列乱数生成手法に基づくものとすることができる。また、前記補間曲線は、3次のスプライン曲線とすることができる。
【0013】
第3の発明は、複数のトラックからなる記録領域にデータを磁気的に記録する磁気記録媒体読み出し/書き込み装置であって、前記複数のトラックに記録される基本データのうち少なくとも一方を所定の規則に基づいて複数通りの方法で改変して複数の改変データを作成するとともに、各改変データとそれぞれの改変の方法を結びつけた情報を保存する、改変データ作成手段と、前記複数の改変データのうち、真贋判定情報を付加するのに適した改変データを選択する改変データ選択手段と、前記改変データ選択手段によって選択された改変データの一部に、改変データの信号のピークを時間的にずらすという態様で真贋判定情報を付加するとともにどの部分に前記真贋判定情報を付加したかを示す情報を保存する、真贋判定情報付加手段と、前記真贋判定情報が付加された改変データと、真贋判定情報が付加されていない改変データ又は基本データを、別々のトラックに磁気的に記録する磁気記録手段と、前記記録領域に磁気的に記録されたデータの信号を読み取って真贋判定情報が付加された改変データと、真贋判定情報が付加されていない改変データ又は基本データとを復元するデータ復元手段と、復元された真贋判定情報が付加されていないデータの信号のうち、ピークシフトが生じていない部分のピークのタイミングに基づいて、補間曲線を作成する補間曲線作成手段と、前記復元された改変データの信号のうち真贋判定情報が付加されている改変データのピークと、前記補間曲線とを比較することにより、磁気記録媒体の真贋を判定する真贋判定手段とを含むことを特徴とする。
【0014】
第4の発明は、記録領域にデータが磁気的に記録される磁気記録媒体読み出し/書き込み装置であって、一つの基本データを所定の規則に基づいて複数通りの方法で改変して複数の改変データを作成するとともに、各改変データとそれぞれの改変の方法を結びつけた情報を保存する、改変データ作成手段と、前記複数の改変データのうち、真贋判定情報を付加するのに適した改変データを選択する改変データ選択手段と、前記改変データ選択手段によって選択された改変データの一部に、改変データの信号のピークを時間的にずらすという態様で真贋判定情報を付加するとともにどの部分に前記真贋判定情報を付加したかを示す情報を保存する、真贋判定情報付加手段と、前記判定情報が付加された改変データを磁気記録媒体の記録領域に磁気的に記録する磁気記録手段と、前記記録領域に磁気的に記録されたデータの信号を読み取って改変データの信号を復元する改変データ復元手段と、復元された改変データの信号のうち、ピークシフトが生じておらず、かつ、前記真贋判定情報が付加されていない部分のピークのタイミングに基づいて、補間曲線を作成する補間曲線作成手段と、前記復元された改変データの信号のうち真贋判定情報が付加されているピークと、前記補間曲線とを比較することにより、磁気記録媒体の真贋を判定する真贋判定手段とを含むことを特徴とする。
【0015】
前記第3及び第4の発明において、前記改変データ作成手段における前記所定の規則は、M系列乱数生成手法に基づくものとすることができる。また、前記補間曲線は、3次のスプライン曲線とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
上記本発明によれば、信号のピークを時間的にずらすという態様で真贋判定情報を付加する際に基本データを所定の規則に基づいて複数通りの方法で改変して複数の改変データを作成し、その中で真贋判定情報を付加するのに適した改変データを選択し、その一部に、真贋判定情報を付加するので、改変データを復元した後にピークシフトが生じておらず、かつ、前記真贋判定情報が付加されていない部分のピークのタイミングに基づいて作成された補間曲線が、モータの速度変動をより忠実に反映したものとなり、その結果、真贋判定情報を付加した部分と当該補間曲線とを比較して実行される真贋判定が、正確かつ確実なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
なお、以下では、磁気記録媒体として磁気カードを例に挙げ、本発明の認証情報書き込み方法及びそのための装置について説明するが、本発明を適用できる磁気記録媒体には、磁気カードだけでなく、情報を磁気的に記録する磁気記録媒体であって本人性の確認が必要なもの全般が含まれる。
【0018】
図1は、磁気カード用リーダ/ライタ(磁気カード用の書き込み/読出し装置)に、一般的な磁気カード10が挿入された状態を示した概略図である。磁気カード用リーダ/ライタには磁気ヘッド18が設けられており、これにより磁気カード10の磁気記録領域12に情報が書き込まれ、そして磁気記録領域に記録された情報は同じく磁気ヘッド18によって読み出される。磁気記録領域12は、磁気カード10の基体面に直接塗布された磁性体、或いは磁気カード10の基体面に貼付された、磁性体層が塗布されたフィルム等から形成されている。この例では、磁気記録領域12は三つの磁気トラック12a、12b、12cからなるが、磁気トラックの数はこれには限られない。
【0019】
磁気トラック12a、12b、12cには、この磁気カード本来の機能を果たすための基本データが記録される。この基本データは、読み出し専用であってもよいし、書き換え可能であってもよい。磁気カードの用途が銀行のキャッシュカードやクレジットカードのようなものであれば読み出し専用とされ、基本データとして所有者の名前、銀行等の口座番号、クレジットカード番号、発行年月日等が予め記録される。一方、磁気カードの用途がプリペイドカードのようなものであれば、基本データとして使用金額や使用度数等が記録され、これらの基本データはカードの頒布後に書き換えることができる。
【0020】
ここで、図2を参照して、本実施形態に係る磁気カードの真贋判定についての原理的な説明をする。図2は、いわゆる「F2F方式」と呼ばれる書き込み方式の信号と、本実施形態における真贋判定のための信号を乗せる方法を示した概略波形図である。
【0021】
図2において、(A)は磁気カードに書き込まれる基本データの論理値、(B)は(A)の論理値に対応した基本データの本来の書き込み信号、(C)は(B)の書き込み信号に真贋判定のための情報を付加した信号、(D)は基本データの書き込み動作等を制御する基準クロックを示している。基準クロックの周波数はFであり、基本データの論理値「1」に対応する信号波形及び論理値「0」に対応する信号波形は、(B)に示すように、(D)の基準クロックの波長を逓倍して得られ、ここでは論理値「1」に対応する信号波形の周波数(2F)は、論理値「0」に対応する信号波形の周波数(F)の2倍とされている。すなわち、tで示した一定の期間(基準クロックの周期の2分の1)内に信号レベルの遷移が生じる場合が論理値「1」に対応し、この期間にレベルの遷移が生じない場合が論理値「0」に対応する。この(C)に示す信号が磁気ヘッドに供給されることにより、基本データが磁気カードに磁気的に記録される。
【0022】
図2(B)の本来の書き込み信号を見ると分かるように、基本データのビットとビットの間には、必ず信号レベルの遷移が生じている。そこで本実施形態では、予め決めておいた特定のビット(一つだけでもよいが、一般には数十個程度を決めておくのが望ましい)とその次のビットの間の信号レベルの遷移のタイミングを意図的にずらすという態様で、真贋判定のための信号を付加する。図2(C)の例では、時点t1と時点t2において、遷移のタイミングが所定のタイミングだけ遅れる方向にずらされている。このように、特定のビットと次のビットとの間の信号レベルの遷移のタイミングのずれがあるかないかによって、磁気カードが正規のものであるか偽造等されたものであるかを判定する。
【0023】
なお、このようなタイミングのずらし量は数パーセント程度あれば十分であり、一方、この程度のずれがあっても、基本データの認識に不都合は生じない。また、図2(C)ではタイミングを遅らせる方向にずらしているが、早める方向にずらすことももちろん可能である。
【0024】
ところで、F2F方式に基づいて磁気的に書き込まれた情報を読み取って得られる信号には、図3に示すようないわゆる「ピークシフト」と呼ばれる現象が発生する。図3(C)は、図3(B)に示した書き込み信号(図2(B)と同じであり、真贋判定用の情報は付加されていない)を磁気カードに書き込み、これを読み取ったときの得られる信号波形を示している。ピークシフトとは、図3(C)のPS1〜PS4に示すように、周期の短い部分(周波数の高い部分)と周期の長い部分(周波数の低い部分)の間に存在する信号のピークが、周期の長い部分の側へとずれる現象である。これを(A)の基本データに対応させて考えると、ピークシフトが生じるのは、データが「0」から「1」へ遷移する部分と「1」から「0」へ遷移する部分である。一方、データが「0」から「0」へ遷移する部分や「1」から「1」へ遷移する部分ではピークシフトは起こらない。
【0025】
したがって、このようなピークシフトの生じる部分に、レベル遷移のタイミングをシフトさせる認証情報を乗せることは好ましくなく、認証を乗せる部分は、ピークシフトの生じない部分とするのが望ましい。
【0026】
さらに、前述のように、一般の磁気カード用リーダ/ライタは駆動系の機構精度や電機的精度が低く、磁気カードを搬送するモータの速度はかなり変動する。このような変動は、特に、搬送を開始した初期、搬送の途中、搬送を停止する終期にわたって発生する。したがって、仮に書き込み信号が図3(B)に示すように、基準クロックに基づく本来のタイミングを有していたとしても、このような搬送速度の変動のために、磁気情報は必ずしも磁気記録領域に一様には記録されない。
【0027】
加えて、この磁気情報の読み出し時にもこのような搬送速度の変動は生じるので、磁気情報を読み取って得られる信号のタイミングは、当初のものから見て大きくずれる。このような搬送速度の変動があっても、基本データの書き込みや読み出しについては、支障が生じないように予め仕様が策定されているので問題はない。しかしながら、信号レベルの遷移のタイミングを意図的に僅かにずらすという態様で真贋判定のための信号を付加する場合には、このような搬送速度の変動が真贋判定を行う上で大きな障害となりうる。
【0028】
そこで、本実施形態では、このような搬送速度の変動を補償することにより、真贋判定の情報が付加された位置を見いだす。その方法として、磁気カードから読み取って得られた信号から、ピークシフトが起こらず、かつ、真贋判定のための情報が付加されていない複数のピークを抽出し、これらを用いて補間曲線を求める。こうして得られた補間曲線の形状は、搬送速度の変動に対応したものとなる。したがって、一見タイミングがずれているように見えるピークであっても、この補間曲線に乗っているのであれば、その点ではピークシフトは起こっておらず、かつ、真贋判定のための情報も付加されていないことが分かる。なお、補間曲線の例としてもっとも一般的なのものは、3次のスプライン曲線である。
【0029】
一方、一見タイミングがずれていないように見えるピークであっても、これを補間曲線と比較した結果、補間曲線から離れていることが分かれば、そのピークにはピークシフトが起こっているか或いは真贋判定のための情報が付加されているかのどちらかである。この場合、前述のように、ピークシフトが起こる部分は予め知ることができるので、そのようなピークを排除して考えれば、真贋判定のための情報が付加されているかどうかを識別することができる。
【0030】
さらに、上で述べた搬送速度の補償が可能となるためには、得られた補間曲線が正確であることが前提である。正確な補間曲線を求めるためには、なるべくたくさんの点があることが望ましいが、前述のように、ピークシフトが生じているピークや、真贋判定のための情報を乗せたピークは使用できないから、補間曲線の描画に利用できる点の個数は、基本データの中の論理値「1」と「0」の分布に依存することになる。このため、ピークシフトが生じていないピークの個数が十分でなければ、正確な補間曲線を描くことができず、結果として真贋判定の信頼性にも影響が及ぶ。
【0031】
そこで、本実施形態では、以下に説明する方法でこのような問題を解決する。図4は、本実施形態に係る磁気カードの真贋判定について説明するための信号波形図である。同図において、(A)は基本データの一例を示している。これに対して(B)は、(A)に示した基本データの内容を、後述の基本データ改変部によって改変された改変データの一例を示している。そして、(C)は、(B)に示した改変データのドライバ出力波形、すなわち書き込み信号の波形である。ただし、ここでは(C)の波形に真贋判定用の情報は付加していない。
【0032】
図4(D)は、図4(C)に示した書き込み信号が記録されている磁気カードから磁気情報を読み取って得られる信号波形を示している。ただし、(D)ではピークシフト以外のずれ情報(例えばモータの搬送速度の変化によるずれや、その他の外的要因によるずれ)を含んでいないものとする。図4(C)に示した書き込み信号と図4(D)に示した読み出し信号を比較すると、t1の時点で「1」から「0」へ、t5の時点で「0」から「1」へというデータの遷移があるため、それぞれにおいて矢印で示した方向にピークシフトが発生している。
【0033】
図4(D)に示した読み出し信号においてt1、t2、t3という3つの時点を組にして考えると、t1ではピークシフトが生じてピークがずれており、t2及びt3ではピークシフトはない。ピークシフトの量を正確に把握できない状況においては、t3の時間的な位置が正確であったとしても、t1の位置がシフトしているので、t1とt3の時間的な位置から、t2のあるべき位置を正確に割り出すことはできない。同様にt3、t4、t5という3つの時点を組にして考えると、t5はピークシフトによってピークがずれており、t3及びt4はずれていない。したがって、t3の時間的な位置が正確ではあっても、t5の位置にシフトが生じているので、t3とt5からはt4のあるべき位置を正確に割り出すことはできない。
【0034】
一方、t2、t3、t4という3つの時点を組にして考えると、3点の全てにおいてピークシフトが生じていない。そのため、t2及びt4の時間的な位置から、t3のあるべき位置を正確に割り出すことができる。つまり、t2とt4の読取信号の波形のピークから導き出した補間曲線により、t3の位置を割り出すことができる。このことから、論理値「0」または「1」の同じ値が4個連なっている場合には、2番目の値と3番目の値の間の波形のピークについては正確な位置を把握できることが分かる。もちろん、同じ値が5個以上連なっている場合も同様に考えることができる。
【0035】
このことを踏まえて、1つのトラックにおいて真贋判定を行う例を図5に示す。図5に示した波形図において、(A)及び(B)は図4と同じである。図5(C)は、(B)のデータに、3番目のデータと4番目のデータの境界に対応する信号のピークをずらす処理を行ったことを示している。すなわち、このデータ列の書き込み信号である図5(D)に示すように、3番目のデータの後ろ側の立ち下がりの時点を、意図的にtIDで示す時間だけ4番目のデータの側へ(遅延させる方向へ)意図的にずらしている。そして、このよう信号のずれの有無によって、磁気カード用リーダ/ライタに挿入した磁気カードの真贋を判定し、あるいは当該磁気カードの使用者の認証を行うことができる。
【0036】
図5(E)は、(D)に対応する磁気情報を読み取ったときの信号波形を示している。ここでは、発明の理解のために、モータ等の駆動系の影響や外的な要因による波形のずれを除いた理想的な読み出し信号で説明する。図5(E)の読み出し信号において、ピークシフトはP1とP5において発生することが分かり、そして、真贋判定情報を含む可能性のあるピークは「0」が4個連なっている中のP3であることが分かる。そこで、まず4個のピークP2、P4、P6、P7の時間的位置に基づいて基準となる補間曲線を作成する。そしてこの補間曲線のピークP3に対応する時間的な位置(あるべき位置)と、実際のP3の時間的位置とを比較することによって、所定のずれが生じていれば、その磁気カードは真正なものだと判定することができ、一方、ずれが生じていなければ、その磁気カードは、基本情報だけが単に複製された偽造されたカードだと判定することができる。
【0037】
図6は、上の図5の説明に基づいて、実際に作成される補間曲線の例を示した図である。ここでは、補間曲線としてスプライン曲線を用いている。図6において、横軸は時間を示しており、各縦線P1〜P7は、図5(E)に対応して、得られた信号波形について1周期ごとに波形がピークとなる時点を示している。一方、横軸と平行な線S1〜S7は、補間曲線を求めるために、等しい間隔で引いた基準線である。
【0038】
図6において、縦線P5上の「×」印はピークシフトが発生している点を示している。このようにピークシフトの発生を判定できるのは、図5の(B)及び(C)から、この点において、論理値「0」から「1」への遷移が生じていることが予め分かるからである。このような点は、補間曲線の作成には利用しない。一方、P2、P4、P6、P7上の計四つの「○」印は、ピークシフトが発生しておらず、かつ、真贋情報を含まない点を示している。そして、P3上の「△」印は、前述のようにピークシフトが発生しておらず、かつ、真贋情報を含む可能性のある点を示している。
【0039】
まず、図6に「○」印で示した四つの点を用いて補間曲線(実線)を描く。続いて、「○」印と「△」印で示した五つの点を用いて補間曲線(点線)を描く。そして、これら二つの曲線を比較する。その結果、△の点において大きなずれが生じていると判定されれば、これはこの点に真贋情報が含まれていることによるものである。真贋情報を含ませてあるかどうかは予め分かっているので、真贋情報を含ませてあるはずの点においてP3上の「△」印のようなずれがないと判定されれば、そのカードは偽造又は変造された可能性が高いことが分かる。
【0040】
なお、上記では二つの補間曲線を描いてその曲線同士を比較したが、描く曲線は最初の補間曲線だけとし、予め真贋情報を含ませておいた点がこの補間曲線の上にのっているか否かだけを調べることによってカードの真贋を判定することも可能である。
【0041】
次に、上で説明した方法を実際に適用した磁気カード用リーダ/ライタについて説明する。図7は、本実施形態1に係る磁気カード用リーダ/ライタの全体的なブロック図である。図7に示した磁気カード用リーダ/ライタは、二つのトラックを用いて真贋判定を実行する場合の例である。これら二つのトラックには、一般に異なる基本データが書き込まれる。
【0042】
図7において、外部インターフェース(I/F)21は、外部と通信するための回路であり、基本データの入力や、真贋判定の結果及び読み取ったデータの出力といった信号の入出力を行う。リーダライタ主制御部22は、磁気カード用リーダ/ライタの主な制御をつかさどる部分であり、外部インターフェース21を介して基本データの書き込み/読み出しの要求を受けると、不図示の駆動モータの制御やデータ入出力の制御等を行う。
【0043】
基本データ改変部23は、外部インターフェース21から入力された基本データの内容を改変する。具体的には、M系列と呼ばれる周知の乱数生成手法を利用することができる。すなわち、予め初期値テーブル24に格納されている複数の初期値の中から順番に選ばれる初期値と基本データとを所定の式に代入し、基本データと同数ビットのデータ系列を作成し、これを改変データ格納部25に格納する。いくつの改変データを作成するかはそれぞれの用途に応じて決めることができるが、仮に256個の改変データを作成しても、リーダ/ライタ主制御部の負担はそれほど大きくはならない。ここでは、二つのトラックA、Bに書き込まれる基本データを両方とも改変して、改変データ格納部25に格納する。
【0044】
改変データ格納部25に格納される各改変データには、改変に用いたそれぞれの初期値が、例えば末尾に付加される。この初期値は、改変データを元のデータに戻すときに必要とされる。なお、この初期値を改変データに付加する代わりに、例えば専用のサーバ等にネットワーク経由で格納しておき、改変データを元のデータに戻すときに再びネットワーク経由でこの初期値を読みに行くという形態とすることもできる。
【0045】
最適改変データ選択部26は、改変データ格納部25に格納された複数の改変データを調べ、この中から、真贋判定情報を付加するのに望ましい改変データを選択する。ここで、「真贋判定情報を付加するのに望ましい改変データ」の判定基準としては種々の要素が考えられる。たとえば基本データの全体にわたってピークシフトが少ないものを選ぶとか、或いは図5(E)のピークP3のような真贋判定用の情報を付加できるピークが例えば20ビットにわたって存在しない場合は選択しないとか、さらにはこれらの判定基準を適当に組み合わせるとか、前述の補間曲線が正確に描けるかどうかという観点に基づいて、種々の判定基準を設定することができる。また、すべての改変データを調べて最も適切なものを選択することも可能であるが、補間曲線がある程度正確に描ける一定の基準を満たすものが見つかった場合にはそれを選択するというようにしてもよい。このようにすれば処理時間を短縮することができる。
【0046】
なお、基本データ改変部23において行う処理は、M系列乱数を利用するものだけでなく、現時点においても他の種々の方法が考えられるので、本発明は、M系列乱数を利用するものには限定されない。
【0047】
書込データ作成部27は、トラックAに書き込まれる改変データについては、最適改変データ選択部26によって選択された改変データに真贋判定情報部28が保有する真贋判定用の情報を付加して書込データを作成する。一方、トラックBに書き込まれる改変データについては、真贋判定の情報を付加せずに書き込み信号を作成する。真贋判定用の情報については、前述のように、改変データのピークシフトが生じないことが分かっている部分を所定数だけ抽出し、この部分におけるレベル遷移のタイミングを所定量だけずらすという態様で付加される。なお、ここで付加された真贋判定用の情報(どの部分のタイミングをずらしたか、或いはそのずらし量)は、真贋判定部35に格納され、後の真贋判定処理において用いられる。
【0048】
真贋判定情報部28は、真贋判定用の情報を保持する部分である。真贋判定用の情報としては、例えばピークシフトが生じていないピークのうちの何番と何番と何番のピークについて真贋判定用の情報を付加するかといった情報を保持している。なお、例えば乱数回路等を内蔵させ、改変データのどの部分にどのように何という情報を加えたかを、人為的要素を介することなくランダムに真贋判定用の情報として生成するようにすれば、カード偽造防止効果をより高めることができる。
【0049】
なお、真贋判定情報部28を磁気カード用リーダ/ライタの内部に設ける代わりに、磁気カード用リーダ/ライタとは別体としておき、例えば専用のサーバ等にネットワーク経由でこの別体の真贋判定情報部28に格納し、真贋判定を実行する際に再びネットワーク経由で真贋判定情報部28にアクセスするという形態とすることもできる。
【0050】
ドライバ29A及び29Bは、それぞれ書込データ作成部27において作成された書込データに基づいて、磁気ヘッド18A、18Bを駆動する。磁気ヘッド18A及び18Bは、書き込み時にはドライバ29A、29Bの制御を受けて磁気カード10のトラックA、Bに実際にデータを書き込み、読み出し時には同トラックから読み取った信号を増幅器31A、31Bに出力する。増幅器31A及び31Bは、磁気ヘッド18A、18Bによって磁気カードから読み取られた信号を所定レベルまで増幅するものであるが、本発明に必須のものではない。
【0051】
増幅部31A、31Bで増幅された読み出し信号は、改変データ復元部32A、32Bへ送られ、ここで各ヘッド18A、18Bによって読み取られたそれぞれの波形から図4(B)に示した改変データを復元する。復元された改変データは、ピーク特定部33A、33Bへ送られ、ここで、復元された改変データに基づいて、ピークシフトが生じているピークと、ピークシフトが生じていないピークとがそれぞれ特定される。すなわち、復元された改変データの中で「0」から「1」へ遷移する部分、及び「1」から「0」へ遷移する部分については、ピークシフトが発生している部分と特定し、それ以外の部分についてはピークシフトが発生していない部分と特定する。
【0052】
ピーク特定部33Bによってピークシフトが発生していないと特定されたピークに関する情報は、補間曲線作成部34へ送られ、ここで、例えば3次のスプライン曲線などの補間曲線が作成される。前述のように、トラックBに記録された情報には真贋判定情報は付加されておらず、トラックBから読み取られた信号波形のピークにずれが生じているとしても、それはピークシフトによるものではなく、搬送速度の変動等の外的要因によるものである。補間曲線はこのような外的要因を反映したものである。そして、同じように外的要因によって同様のピークのずれが生じているトラックAからの信号について、この補間曲線を使って、以下のように真贋判定を行うことができる。
【0053】
真贋判定部35は、トラックAから読み取られた信号波形のピークに関する情報をピーク特定部33Aから受け取るとともに、トラックBについての補間曲線に関する情報を補間曲線作成部34から受け取る。真贋判定部25はまた、書込データ作成部27から、真贋判定情報が付加されたピークに関する情報を受け取る。そしてこれらの情報に基づいて、トラックAから読み取られた信号波形のピークのうち、真贋判定情報が付加されたピークが補間曲線に乗っているかどうかを判定する。
【0054】
前述のように、真贋判定情報が付加された部分に対応するピークは意図的にずらされているので、補間曲線の上には乗らないはずである。一方、悪意の使用者が、本来の所有者の有する磁気カードから基本データのみを何らかの方法で読み出し、これを複製したような偽造カード若しくは変造カードであれば、基本データは同一であるものの、そこには真贋判定情報が付加されていないので、その部分のピークのずれは外的要因によるもののみとなり、これは前述のように補間曲線に乗るはずである。もちろん、複数の位置に真贋判定情報を付加し、そのすべてについて所定の条件を満たすときのも真正な磁気カードと判定することも可能であり、そのようにすると、安全性はより高まる。
【0055】
さらに、例えば、銀行ごとに真贋判定情報を付加する位置を変え、リーダ/ライタの方でどこの位置に真贋判定情報が付加されているかを認識することにすれば、そのカードが挿入された時点で、そのカードを発行した銀行がどこであるかを認識することもでき、このような態様で真贋判定情報を利用することもできる。
【0056】
真贋判定部35は、このような方法で、挿入された磁気カードの真贋判定を行い、ここで偽の磁気カードであることが判明した場合は、それ以降の処理を拒絶する。一方、真正な磁気カードであることが判明した場合には、改変データ復元部からその改変データが基本データ復元部36へ送られる。基本データ復元部36は、改変データ格納部25において格納されたときに改変データの末尾に付加された初期値を参照し、これを用いて本来の基本データを復元する。これ以降の処理は、通常の磁気カード用リーダ/ライタと同様である。
【0057】
ここまで説明した実施形態1では、二つのトラックに書き込まれた情報に基づいて真贋判定を行ったが、以下の実施形態2では、同様の考え方を用い、単一のトラックのみに基づいて磁気カードの真贋判定を行う。図8は、実施形態2の磁気カード用リーダ/ライタの全体を示したブロック図である。以下の説明では、図7に示した実施形態と同一の部分についての詳しい説明は省略する。
【0058】
書込データ作成部107は、最適改変データ選択部106によって選択された改変データから、真贋判定用の情報を書き込むことが可能な部分を見つけ、その部分に、真贋判定情報部108が保有する真贋判定用の情報を付加して、書き込みデータを作成する。この真贋判定用の情報は、実施形態1の場合と同様に、信号レベルの遷移のタイミングを意図的にずらすという態様で付加される。ここで付加された真贋判定用の情報は、真贋判定部121に格納される。ここで「書き込み可能な部分」としては、一例として、同じデータ(「0」又は「1」)が4個(ビット)以上連なっている部分とする。
【0059】
改変データ復元部118は、磁気ヘッド18によって読み取られた信号波形から図4(B)に示したような改変データを復元する。復元された改変データは、ピーク特定部119へ送られ、ここで、復元された改変データに基づいて、ピークシフトが生じているピークと、ピークシフトが生じていないピークとをそれぞれ特定する。すなわち、復元された改変データの中で「0」から「1」へ遷移する部分及び「1」から「0」へ遷移する部分については、ピークシフトが発生している部分であると特定し、それ以外の部分についてはピークシフトが発生していない部分であると特定する。
【0060】
ただし、ここで実施形態1と異なるのは、ピーク特定部119は、書き込みデータ作成部107から提供された情報に基づいて、ピークシフトが発生していないピークのうちで、真贋判定情報が付加されたピークも併せて特定するという点である。
【0061】
補間曲線作成部120では、ピーク特定部119によって特定された、ピークシフトが生じていないピークに基づいて、例えば3次のスプライン曲線などの補間曲線が作成される。なお、補間曲線を作成する際に、ピーク特定部119によって真贋判定情報が付加されていると特定されたピークについては予め除いておく。このようなピークは、信号レベルの遷移のタイミングが意図的にずらされているので、補間曲線の作成には使えないからである。こうして得られた補間曲線の形状は、実施形態1の場合と同様に、搬送速度の変動等の外的要因を反映したものとなっている。
【0062】
このような補間曲線が得られたら、真贋判定部121は、ピーク特定部119によってピークシフトが発生していないとされ、かつ、書き込みデータ作成部107から与えられたどのピークに真贋判定情報のずれが付加されているかという情報を用いて、これらのピークが補間曲線に乗っているかどうかを調べるという方法で真贋判定を行う。
【0063】
このように、実施形態2では、単一のトラックのみを用いて、セキュリティの高い真贋判定が可能となるだけでなく、例えば、三つのトラックを有する磁気カードであれば、そのすべてについて、上で説明した実施形態2の真贋判定を適用することができる。このようにすれば、不正な使用や偽造に対する防止効果は、実施形態1の場合よりもさらに高まる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明に係る磁気記録媒体の読み出し/書き込み装置及び磁気記録媒体の真贋判定方法は、銀行で使用されるキャッシュカードやクレジットカード等の読み出し専用の磁気カード、及び宿泊施設のテレビ視聴用のプリペイドカードや遊技場で使用される金額情報を伴うプリペイドカード等の書き換え可能な磁気カード等、情報を磁気的に記録する記録媒体であって記録媒体の特定・認証が必要となるものにおいて利用可能であり、特に偽造や不正な改竄を防止する必要があるものにおいてはさらに有効な利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】磁気カード用リーダ/ライタに一般的な磁気カード10が挿入された状態を示した概略図である。
【図2】いわゆる「F2F方式」と呼ばれる書き込み方式の信号と、真贋判定のための信号を乗せる方法を示した概略波形図である。
【図3】いわゆる「ピークシフト」を説明するための波形図である。
【図4】真贋判定情報を付加するのに適した改変データについて説明するための波形図である。
【図5】改変データと、これに真贋判定情報を付加する方法を示した波形図である。
【図6】実際に作成される補間曲線の例を示した図である。
【図7】本実施形態1に係る磁気カード用リーダ/ライタの全体的なブロック図である。
【図8】実施形態2の磁気カード用リーダ/ライタの全体を示したブロック図である。
【符号の説明】
【0066】
10 磁気カード
12 磁気記録領域
18,18A,18B 磁気ヘッド
21,101 外部I/F
22,102 リーダライタ主制御部
23,103 基本データ改変部
24,104 初期値テーブル部
25,105 改変データ格納部
26,106 快適改変データ選択部
27,107 書込データ作成部
28,108 真贋判定情報部
29A,29B,109 ドライバ
31A,31B,111 増幅器
32A,32B,118 改変データ復元部
33A,33B,119 ピーク特定部
34,120 補間曲線作成部
35,121 真贋判定部
36,122 基本データ復元部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のトラックからなる記録領域にデータが磁気的に記録される磁気記録媒体の真贋を判定する磁気記録媒体の真贋判定方法であって、
前記複数のトラックに記録される基本データのうち少なくとも一方を所定の規則に基づいて複数通りの方法で改変して複数の改変データを作成するとともに、各改変データとそれぞれの改変の方法を結びつけた情報を保存する、改変データ作成ステップと、
前記複数の改変データのうち、真贋判定情報を付加するのに適した改変データを選択する改変データ選択ステップと、
前記改変データ選択ステップにおいて選択された改変データの一部に、改変データの信号のピークを時間的にずらすという態様で真贋判定情報を付加するとともにどの部分に前記真贋判定情報を付加したかを示す情報を保存する、真贋判定情報付加ステップと、
前記真贋判定情報が付加された改変データと、真贋判定情報が付加されていない改変データ又は基本データを、別々のトラックに磁気的に記録する磁気記録ステップと、
前記記録領域に磁気的に記録されたデータの信号を読み取って真贋判定情報が付加された改変データと、真贋判定情報が付加されていない改変データ又は基本データを復元するデータ復元ステップと、
復元された真贋判定情報が付加されていないデータの信号のうち、ピークシフトが生じていない部分のピークのタイミングに基づいて、補間曲線を作成する補間曲線作成ステップと、
前記復元された改変データの信号のうち真贋判定情報が付加されている改変データのピークと、前記補間曲線とを比較することにより、磁気記録媒体の真贋を判定する真贋判定ステップと、
を含むことを特徴とする磁気記録媒体の真贋判定方法。
【請求項2】
前記改変データ作成ステップにおける前記所定の規則は、M系列乱数生成手法に基づくものである請求項1に記載の磁気記録媒体の真贋判定方法。
【請求項3】
前記補間曲線は、3次のスプライン曲線である、請求項1又は2に記載の磁気記録媒体の真贋判定方法。
【請求項4】
記録領域にデータが磁気的に記録される磁気記録媒体の真贋を判定する磁気記録媒体の真贋判定方法であって、
一つの基本データを所定の規則に基づいて複数通りの方法で改変して複数の改変データを作成するとともに、各改変データとそれぞれの改変の方法を結びつけた情報を保存する、改変データ作成ステップと、
前記複数の改変データのうち、真贋判定情報を付加するのに適した改変データを選択する改変データ選択ステップと、
前記改変データ選択ステップにおいて選択された改変データの一部に、改変データの信号のピークを時間的にずらすという態様で真贋判定情報を付加するとともにどの部分に前記真贋判定情報を付加したかを示す情報を保存する、真贋判定情報付加ステップと、
前記判定情報が付加された改変データを磁気記録媒体の記録領域に磁気的に記録する磁気記録ステップと、
前記記録領域に磁気的に記録されたデータの信号を読み取って改変データの信号を復元する改変データ復元ステップと、
復元された改変データの信号のうち、ピークシフトが生じておらず、かつ、前記真贋判定情報が付加されていない部分のピークのタイミングに基づいて、補間曲線を作成する補間曲線作成ステップと、
前記復元された改変データの信号のうち真贋判定情報が付加されているピークと、前記補間曲線とを比較することにより、磁気記録媒体の真贋を判定する真贋判定ステップと、
を含むことを特徴とする磁気記録媒体の真贋判定方法。
【請求項5】
前記改変データ作成ステップにおける前記所定の規則は、M系列乱数生成手法に基づくものである請求項4に記載の磁気記録媒体の真贋判定方法。
【請求項6】
前記補間曲線は、3次のスプライン曲線である、請求項4又は5に記載の磁気記録媒体の真贋判定方法。
【請求項7】
複数のトラックからなる記録領域にデータを磁気的に記録する磁気記録媒体読み出し/書き込み装置であって、
前記複数のトラックに記録される基本データのうち少なくとも一方を所定の規則に基づいて複数通りの方法で改変して複数の改変データを作成するとともに、各改変データとそれぞれの改変の方法を結びつけた情報を保存する、改変データ作成手段と、
前記複数の改変データのうち、真贋判定情報を付加するのに適した改変データを選択する改変データ選択手段と、
前記改変データ選択手段によって選択された改変データの一部に、改変データの信号のピークを時間的にずらすという態様で真贋判定情報を付加するとともにどの部分に前記真贋判定情報を付加したかを示す情報を保存する、真贋判定情報付加手段と、
前記真贋判定情報が付加された改変データと、真贋判定情報が付加されていない改変データ又は基本データを、別々のトラックに磁気的に記録する磁気記録手段と、
前記記録領域に磁気的に記録されたデータの信号を読み取って真贋判定情報が付加された改変データと、真贋判定情報が付加されていない改変データ又は基本データとを復元するデータ復元手段と、
復元された真贋判定情報が付加されていないデータの信号のうち、ピークシフトが生じていない部分のピークのタイミングに基づいて、補間曲線を作成する補間曲線作成手段と、
前記復元された改変データの信号のうち真贋判定情報が付加されている改変データのピークと、前記補間曲線とを比較することにより、磁気記録媒体の真贋を判定する真贋判定手段と、
を含むことを特徴とする磁気記録媒体読み出し/書き込み装置。
【請求項8】
前記改変データ作成手段における前記所定の規則は、M系列乱数生成手法に基づくものである請求項7に記載の磁気記録媒体読み出し/書き込み装置。
【請求項9】
前記補間曲線は、3次のスプライン曲線である、請求項7又は8に記載の磁気記録媒体読み出し/書き込み装置。
【請求項10】
記録領域にデータが磁気的に記録される磁気記録媒体読み出し/書き込み装置であって、
一つの基本データを所定の規則に基づいて複数通りの方法で改変して複数の改変データを作成するとともに、各改変データとそれぞれの改変の方法を結びつけた情報を保存する、改変データ作成手段と、
前記複数の改変データのうち、真贋判定情報を付加するのに適した改変データを選択する改変データ選択手段と、
前記改変データ選択手段によって選択された改変データの一部に、改変データの信号のピークを時間的にずらすという態様で真贋判定情報を付加するとともにどの部分に前記真贋判定情報を付加したかを示す情報を保存する、真贋判定情報付加手段と、
前記判定情報が付加された改変データを磁気記録媒体の記録領域に磁気的に記録する磁気記録手段と、
前記記録領域に磁気的に記録されたデータの信号を読み取って改変データの信号を復元する改変データ復元手段と、
復元された改変データの信号のうち、ピークシフトが生じておらず、かつ、前記真贋判定情報が付加されていない部分のピークのタイミングに基づいて、補間曲線を作成する補間曲線作成手段と、
前記復元された改変データの信号のうち真贋判定情報が付加されているピークと、前記補間曲線とを比較することにより、磁気記録媒体の真贋を判定する真贋判定手段と、
を含むことを特徴とする磁気記録媒体読み出し/書き込み装置。
【請求項11】
前記改変データ作成手段における前記所定の規則は、M系列乱数生成手法に基づくものである請求項10に記載の磁気記録媒体読み出し/書き込み装置。
【請求項12】
前記補間曲線は、3次のスプライン曲線である、請求項10又は11に記載の磁気記録媒体読み出し/書き込み装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−286078(P2006−286078A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−103713(P2005−103713)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(591107481)株式会社エルイーテック (37)
【Fターム(参考)】