説明

磁気記録媒体

【課題】強磁性粉末の分散性が高く、電磁変換特性、走行性、高温下での保存安定性、スチル耐久性に優れた磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】支持体上に、下層介すか直接少なくとも一層の強磁性粉末と結合剤を分散した磁性層を有し、磁性層の結合剤がポリエステルポリオール、鎖延長剤、有機ジイソシアネートを含む原料を反応させて得られたポリウレタンを含み、前記強磁性粉末は、コバルト含有鉄を主成分とし、イットリウム含有する強磁性粉末であり、ポリウレタンは、ポリエステルポリオール中に脂肪族二塩基酸を含み、ジオール成分がアルキル分岐側鎖を有する環状構造を持たない脂肪族ジオール成分からなり、鎖延長剤がアルキル分岐側鎖をもつ脂肪族ジオールからなり、下層の結合剤がポリウレタン中にエーテル基を有するポリオールと環状構造を有するジオールからなる鎖延長剤と有機ジイソシアネートからなる磁気記録媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非磁性支持体上に磁性微粉末または非磁性粉末の少なくともいずれか一方と結合剤とを分散させてなる下層の上に強磁性粉末と結合剤とを分散させてなる少なくとも一層以上の磁性層を設けた磁気記録媒体において、優れた電磁変換特性及び耐久性をもつ磁気記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気記録媒体は、録音用テープ、ビデオテープあるいはフロッピーディスクなどとして広く用いられている。磁気記録媒体は、強磁性粉末が結合剤中に分散された磁性層を非磁性支持体上に積層している。
磁気記録媒体は、電磁変換特性、走行耐久性および走行性能などの諸特性において高いレベルにあることが必要とされる。すなわち、音楽録音再生用のオーディオテープにおいては、より高度の原音再生能力が要求されている。また、ビデオテープについては、原画再生能力が優れているなど電磁変換特性が優れていることが要求されている。
【0003】
このような優れた電磁変換特性を有すると同時に、磁気記録媒体は前述のように良好な走行耐久性を持つことが要求されている。耐久性および電磁変換特性を向上させるためには、磁性層の主成分の一つである結合剤も重要な働きを担っている。従来から用いられている塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等では、磁性層の耐摩耗性が劣り、磁気テープの走行系部材を汚染するという問題があった。
【0004】
磁気ヘッド汚れは電磁変換特性の劣化の原因となっている。とくに、高密度記録用の機器では、磁気ヘッド回転数が上昇しており、デジタルビデオテープレコーダでは、磁気ヘッドの回転数が9600回転/分と、アナログビデオテープレコーダの民生用の1800回転/分、業務用の5000回転/分に比べて格段に高速回転数であり、磁気記録媒体と磁気ヘッドとの摺動する速度が大きくなり、また磁気ヘッドも薄膜ヘッド等のように小型のものが用いられており、磁気記録媒体から生じる成分による磁気ヘッド汚れの改善が求められている。
このような問題を改善する方法として、耐久性の大きく硬い結合剤を用いて磁性層の硬度を上げる方法が行われている。
【0005】
例えば、結合剤として、分岐状グリコールまたは脂環族グリコールからなるポリエステルジオール、芳香族二塩基酸および脂環族二塩基酸を用いたポリウレタンを用いた磁気記録媒体が記載されている(例えば、特許文献1参照)。ところが、合成例に挙げられているポリエステル樹脂は、Tgが8〜30℃のものであり、塗膜全体が柔らかくなるので耐久性が低下する。ポリエステルの酸成分として、芳香族二塩基酸と脂環族二塩基酸を用いているので溶剤溶解性が低下し、分散性が低下し、不充分なものであった。また、ウレタン基濃度2.5mmol/g以上のポリエステルポリウレタンとポリビニルアセタール樹脂を用いた磁気記録媒体が記載されており例えば、特許文献21参照)、また、ウレタン中に0〜5モル%のポリオールを含むポリウレタン中であってウレタン基濃度が高いものが示されているが例えば、特許文献3参照)、何れも分散性が不充分であり、特定の強磁性粉末との組み合わせによって効果が得られることについては記載されていない。
【0006】
また、長い分岐を持たないポリウレタン中のウレタン基濃度を高くすると、極性が高くなりすぎ溶剤溶解性が低下し、磁性体の分散性が不十分となり、塗布液粘度が高くなるので、塗膜の表面粗さが粗くなり、高い電磁変換特性は得られないものであった。
【0007】
また、下層に脂肪族ウレタン、上層に芳香族ウレタンを含有した磁気記録媒体が記載されている例えば、特許文献4参照)。また、分岐を有する多価アルコールを用いたポリエステルジオールからなるポリウレタンが記載されており例えば、特許文献5参照)、また、3−メチル−1,5−ペンタンジオールと脂肪族ジカルボン酸を用いたポリエステルポリオールからなるポリウレタンが記載されている例えば、特許文献6参照)。
しかしながら、これらは、いずれのポリウレタンもTgが低いので塗膜全体や塗膜表面が柔らかくなり、ビデオテープに用いた場合には、回転ヘッドとの摺動により塗膜が流動しやすくなり走行耐久性が低下する欠点がある。また、高温環境で保存すると塗膜表面が柔らかくなり摩擦係数が高くなり走行不良を発生する欠点がある。
【0008】
また、分岐脂肪族グリコールを用いたポリエステルポリオールと3級アミノ基含有鎖延長剤からなる、Tgが30℃以上のウレタンが記載されているが(例えば、特許文献7参照)、ポリエステルポリオールに芳香環を有する化合物を用いているので、溶剤への溶解性が不充分であり、分散性が不充分であった。また、テープを高温高湿下で保存しビデオテープレコーダで走行すると、塗膜強度が低下し、走行不良を起こしやすいという問題点があった。
【0009】
また、ポリエーテルポリオールを10〜50重量%とともに環状構造を有する短鎖ジオールを含有したポリウレタンを用いることが記載されているが(例えば、特許文献8参照)、ポリエーテル系ウレタンを下層に用いているが、ポリエステル系ウレタンを上層に用いた重層テープでは塗膜表面が粗面であり電磁変換特性が不十分であった。
【0010】
また、下層にポリエーテルウレタンを、上層にポリエステルウレタンを用いた磁気記録媒体が記載されているが(例えば、特許文献8参照)、上層に用いているポリエステルウレタンはポリエステルポリオールに芳香族を多く含んでいるので溶剤への溶解性が低く分散性が不十分である。また、下層に用いているポリエーテルウレタンはTgが室温以下の低いものであるので、塗膜全体が柔らかくなるので耐久性も不十分であるという問題点があった。
【0011】
また、最上層に脂肪族ポリエステルウレタンを用いるとともに、最上層以外の磁性層にはビスフェノールAポリプロピレンオキサイドを主鎖に持つウレタンを用いることが記載されているが(例えば、特許文献9参照)、上層に用いている脂肪族ポリエステルポリウレタンはTgが低く塗膜強度が低いので耐久性が不十分であるとともに、下層に用いているウレタンは溶剤への溶解性が低く下層粉体への分散性が不十分である。また、鎖延長剤に関する記載はなく、実施例は分岐炭素数2のネオペンチルグリコールを用いているので分散性が不十分である。
【0012】
また、テレフタル酸およびナフタレンジカルボン酸と2−メチル−1,3−プロパンジオールを用いたポリエステルポリオールからなるウレタン樹脂を結合剤に用いた磁気記録媒体が記載されているが(例えば、特許文献10参照)、ポリエステルのジカルボン酸成分として芳香環やナフタレンを用いているので溶剤への溶解性が低く、分散性が不十分となり、磁気テープを高温保存すると摩擦係数が高くなるという問題点があった。
【0013】
また、イットリウムを含有した強磁性粉末を含む磁気記録媒体が記載されている(例えば、特許文献10,11、12参照)が、特許文献12には、ポリウレタンを用いることを記載しているものの、一般的な結合剤を用いることを記載したのみであり、強磁性粉末粒子間の磁気的エネルギーが大きいので強磁性粉末を分散しにくいという問題があった。
【特許文献1】特開平6−259746号公報
【特許文献2】特開平6−96437号公報
【特許文献3】特開平7−50010号公報
【特許文献4】特開平3−88119号公報
【特許文献5】特開平6−76265号公報
【特許文献6】特開平6−314424号公報
【特許文献7】特開平8−127632号公報
【特許文献8】特開平9−69222号公報
【特許文献9】特開平7−176042号公報
【特許文献10】特開平9−44840号公報
【特許文献11】特開平7−210856号公報
【特許文献12】特開平7−272253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、強磁性粉末の分散性が高く優れた電磁変換特性を持つとともに塗膜表面の強度が高く、走行耐久性にも優れた磁気記録媒体を提供することを課題とするものである。
また、塗膜の平滑性が高く極めて高い電磁変換特性をもつ磁気記録媒体を提供することを課題とするものであり、分散性、分散安定性に優れ、電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を提供することを課題とするものであり、さらに、走行性および高温下での保存安定性に優れた磁気記録媒体を提供することを課題とするものである。
さらに本発明は、スチル耐久性に優れた磁気記録媒体を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、非磁性支持体上に、下層を介して又は下層を介さずに少なくとも一層の強磁性粉末と結合剤を分散した磁性層を有する磁気記録媒体において、前記磁性層および前記下層の少なくともいずれか一層が磁性層の結合剤がポリエステルポリオール、鎖延長剤、および有機ジイソシアネートを含む原料を反応させて得られたポリウレタンを含み、前記強磁性粉末は、コバルト含有の鉄を主成分とし、イットリウムを鉄原子に対して0.5原子%〜20原子%含有する強磁性粉末であり、該ポリウレタンは、そのポリエステルポリオール中の二塩基酸が脂肪族二塩基酸を含み、ジオール成分の70モル%以上がアルキル分岐側鎖を有する環状構造を持たない脂肪族ジオール成分からなり、鎖延長剤が分岐側鎖の炭素数の合計が3以上のアルキル分岐側鎖をもつ脂肪族ジオールからなるウレタン基濃度2.5〜4.5mmol/gであるポリウレタンであり、下層の結合剤がポリウレタン中に1.0〜6.0mmol/gのエーテル基を有するポリオール10〜50重量%と環状構造を有するジオールからなる鎖延長剤15〜50重量%と有機ジイソシアネートからなるポリウレタンである磁気記録媒体である。
前記強磁性粉末は、さらにアルミニウムを含有する鉄を主成分とする強磁性粉末である前記の磁気記録媒体である。
前記強磁性粉末は長軸長が0.05〜0.25μmであるこ前記の磁気記録媒体である。
前記強磁性粉末は結晶子サイズが12〜25nmである前記の磁気記録媒体である。
前記ポリウレタンが下群より選ばれる少なくとも一種の極性基を有するポリウレタンである前記の磁気記録媒体である。
SO3M、SO4M、PO32、OPO32、−NR2
(Mは、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、Rは、炭素数1〜12のアルキル基を示す。)
前記磁性層の乾燥厚みが0.2μm以下であり、前記下層の乾燥厚みが1μm以上である前記の磁気記録媒体である。
前記磁性層および下層の少なくともいずれか一層が、更に下式(1)〜(3)から選ばれる有機リン化合物を含む前記の磁気記録媒体である。
【0016】
【化4】

【0017】
前記下層の結合剤が、下式で示されるポリウレタン中に1.0〜6.0mmol/gのエーテル基を有するポリオールからなる前記の磁気記録媒体である。
HO(R1n−X−(R2mOH
ただし、n、m=4〜40
【0018】
【化5】

【0019】
前記ポリウレタンは、下式で示される環状構造を有するジオールの鎖延長剤からなる前記の磁気記録媒体である。
HO(R1n−X−(R2mOH
ただし、n,m=0〜3
【0020】
【化6】

【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、強磁性粉末粒子間の磁気的エネルギーが強く分散しにくい強磁性粉末であるコバルト含有の鉄を主成分とする強磁性粉末、あるいはさらにイットリウムを含有する強磁性粉末を、分散性に優れた特定の化学構造を有するポリウレタンからなる結合剤を用いて分散することによって、電磁変換特性、走行耐久性に優れた磁気記録媒体を得ることを見いだしたものである。
【0022】
すなわち、テープを高温環境で保存するとポリウレタン分子中の比較的低分子量であり、且つ柔らかい成分が塗膜表面に析出しやすい欠点を、強磁性粉末と炭素数2以上のアルキル分岐側鎖をもつ脂肪族ジオールを導入したポリエステルポリオールから誘導されるポリウレタンを用いることで改良することを見いだした。更に、本発明のポリウレタンは通常よりも高いウレタン基濃度を有することによりTgが高く、耐久性が向上するが、高いウレタン基濃度のために溶剤への溶解性が低下しやすくなる。そのような問題を持たず、かつ炭素数が2以上の分岐側鎖を持つジオールを用いることによって溶剤への溶解性を改良したもので、高い分散性を維持しながら、耐久性を向上したものである。
これによりテープを高温保存しても摩擦係数の上昇がなくなり、ビデオテープレコーダでの走行不良が改善するに至った。
【0023】
また、ポリウレタン(PA3)は、ポリエステルポリオールが脂肪族系の二塩基酸とアルキル分岐側鎖をもつ脂肪族系ジオールからなるものを用いているので芳香環やシクロヘキサン環などの溶剤への溶解性に不利に働く環状構造をポリオールに含まず、ジオールに分岐側鎖を持つのでウレタン結合やエステル結合同士の会合を立体障害的に防止することで分子間相互作用を小さくすることにより溶剤への溶解性が向上でき、特に磁気的エネルギーで凝集しやすい磁性体の分散性を向上することができるものと考えられる。また、一般的にポリエーテル系に比べて熱分解しにくい特徴もあり、特にビデオテープレコーダのヘッドと接触する最上層の磁性層に用いるとヘッドとテープ表面の摺動熱による塗膜強度の低下を防止できる特徴をもつものである。
【0024】
さらに、ポリウレタン(PB1)は適正量のエーテル基を有するので下層粉体の分散性に優れる。これはエーテル基が粉体に吸着しやすいためと考えられる。更に環状構造を有する短鎖ジオールも有するので塗膜強度が向上でき耐久性にも優れる。特にポリウレタン(PA3)のような炭素数の合計が3以上の長鎖アルキル分岐側鎖をもつジオールを鎖延長剤として用いたポリエステルウレタンを上層に用いた磁気記録媒体においてポリウレタン(PB1)を下層に設けると10nm以上の突起を低減させることを見いだした。そしてこれにより特に記録波長の短いデジタル系システムでのスペーシングロスが減るので電磁変換特性が向上できるという特徴を有している。これは同時重層塗布した際の下層バインダーが上層に拡散しにくいために上下層間の塗膜界面が乱れるという現象が生じにくく塗膜表面が平滑にできるためと考えられる。
【0025】
更にポリウレタン(PA3)は一般的に知られているエステル系潤滑剤が相溶しにくいので乾燥工程等で塗膜表面に潤滑剤が出現しやすくなる効果もありポリウレタン(PB1)を用いた分散性の高い磁性層と組み合わせると高い電磁変換特性とより高い走行耐久性を両立させることができる。特にスチル耐久性に優れる。
【0026】
以下に、本発明に用いるポリウレタンについて説明する。
本発明においてポリウレタン(PA0)、ポリウレタン(PA1)、ポリウレタン(PA2)に用いることができる分岐側鎖を持つ脂肪族ジオール、ポリウレタン(PA3)のポリエステルポリオールに用いることのできる分岐脂肪族ジオールとしては、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−エチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−ブチル1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジブチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジブチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジプロピル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジプロピル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−ブチル−3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−プロピル1,3−プロパンジオール、2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−1,5−ペンタンジオール、3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、3ブチル−1,5−ペンタンジオール、3−オクチル−1,5−ペンタンジオール、3−ミリスチル−1,5−ペンタンジオール、3−ステアリル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2−プロピル−1,6−ヘキサンジオール、2−ブチル−1,6−ヘキサンジオール、5−エチル−1,9−ノナンジオール、5−プロピル−1,9−ノナンジオール、5−ブチル−1,9−ノナンジオール等を挙げることができる。
【0027】
なかでもポリウレタン(PA1)に用いられる環状構造をもたない炭素数2以上のアルキル分岐側鎖を有するジオールとして好ましいものは、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールを挙げることができる。
【0028】
ポリウレタン(PA2)に用いられる1分子中の分岐側鎖の炭素数合計が2以上のアルキル分岐側鎖ジオールとして好ましいものは、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,5−ペンタンジオールを挙げることができる。
なかでもポリウレタン(PA3)にに用いられる1分子中の分岐側鎖の炭素数合計が2以上のアルキル分岐側鎖ジオールとして好ましいものは、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールを挙げることができる。
ポリエステルポリオールに用いるジオール中の分岐側鎖を有するジオールの含有量は、80〜100モル%が好ましい。更に好ましくは90〜100モル%である。
【0029】
また、ポリウレタン(PA2)に用いることのできる分子中の分岐側鎖炭素数合計が3以上の分岐脂肪族ジオールとしては、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−エチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジブチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジブチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジプロピル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジプロピル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−ブチル−3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−1,5−ペンタンジオール、3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、3−オクチル−1,5−ペンタンジオール、3−ミリスチル−1,5−ペンタンジオール、3−ステアリル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2−プロピル−1,6−ヘキサンジオール、2−ブチル−1,6−ヘキサンジオール、5−エチル−1,9−ノナンジオール、5−プロピル−1,9−ノナンジオール、5−ブチル−1,9−ノナンジオール等を挙げることができる。
これらのなかでも好ましいものは、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールを挙げることができる。
【0030】
ポリエステルポリオールに用いることのできる脂肪族二塩基酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸等を挙げることができる。
これらのなかでも好ましいものは、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸である。
【0031】
ポリエステルポリオールの全二塩基酸成分のうち脂肪族二塩基酸の含量が70モル%以上が好ましい。70モル%よりも少ない実質的に芳香族二塩基酸などの環状構造を有する二塩基酸成分が増えるので溶剤溶解性が低下し、分散性が低下する。
【0032】
また、ポリウレタン(PB1)に用いることのできる環状構造を有する短鎖ジオールとしては、以下に示すように、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールS、水素化ビスフェノールS、ビスフェノールP、水素化ビスフェノールP及びこれらのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド付加物を挙げることができる。また、これらのなかでも、好ましくは水素化ビスフェノールA及び水素化ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物である。そして、環状構造を有する短鎖ジオール含有量は20〜40重量%が好ましい。20重量%以下では力学強度が低下し、耐久性が低下する。40重量%以上では溶剤への溶解性が低下し、分散性が低下する。
HO(R1n−X−(R2mOH
ただし、n,m=0〜3
【0033】
【化7】

【0034】
ポリウレタン(PB1)に用いることのできるエーテル基を含有するポリオールとしては、以下に示すように、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールS、水素化ビスフェノールS、ビスフェノールP、水素化ビスフェノールP及びこれらのポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド付加物が挙げられ、好ましくは水素化ビスフェノールA及び水素化ビスフェノールAのポリプロピレンオキサイド付加物を挙げることができる。
HO(R1n−X−(R2mOH
ただし、n、m=4〜40
【0035】
【化8】

【0036】
エーテル基を含有するポリオールの含量は20重量%〜45重量%が好ましい。20重量%以下では粉体への吸着がしにくくなり分散性が低下する。45重量%以上では塗膜強度が低下するので耐久性が低下する。
【0037】
また、有機ジイソシアネートには、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、キシレン−1,3−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4.4’−ジイソシアネート、2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添化トリレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等を挙げることができる。
好ましくは芳香族ジイソシアネートであり、さらにこのましくは4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2−トリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートである。
【0038】
本発明のポリウレタンポリウレタンの分子量は、重量平均分子量(Mw)が30000〜70000が好ましい。さらに好ましくは40000〜60000である。
30000未満であると、塗膜強度が低下し、耐久性が低下する。70000以上であると、溶剤への溶解性が低下し、分散性が低下する。
【0039】
本発明のポリウレタンのガラス転移温度(Tg)は、50℃〜150℃であることが好ましく、より好ましくは70℃〜120℃であり、更に好ましくは80℃〜100℃である。
50℃未満では、高温での塗膜強度が低下するので耐久性、保存性が低下する。150℃以上ではカレンダー成型性が低下し、電磁変換特性が低下することとなる。
【0040】
本発明のポリウレタンの極性基としては、−SO3M、−OSO3M、−PO32、−COOMが好ましい。 更に好ましくは−SO3M、−OSO3Mである。極性基の含有量は、1×10-5eq/g〜2×10-4eq/gであることが好ましく、1×10-5未満であると磁性体への吸着が不十分となるので分散性が低下する。2×10-4以上であると溶剤への溶解性が低下するので分散性が低下する。
【0041】
また、本発明のポリウレタンのウレタン基濃度は、ポリウレタン(PA1)および(PA2)にあっては、ウレタン基濃度が3.0meq/g〜4.0meq/gであることが好ましく、より好ましくは3.3mmol/g〜3.7mmol/gである。3.0mmol/gよりも少ないと塗膜のガラス転移温度(Tg)が低下し、耐久性が低下する。4.0mmol/gよりも多いと溶剤への溶解性が低下し、分散性が低下するとともに、必然的にポリオールを含有できなくなるために分子量の調整を行うことが困難となる等の合成上の不都合が生じやすい。
【0042】
また、ポリウレタン(PA3)は、2.5mmol/g〜4.5mmol/gであることが好ましく、更に好ましくは3.0mmol/g〜4.0mmol/gである。2.5mmol/gよりも少ないと塗膜のTgが低下し、耐久性が低下する。4.5mmol/gよりも多いと溶剤溶解性が低下し、分散性が低下するとともに、必然的にポリオールを含有できなくなるために分子量の調製が困難となる等の合成上の不都合が生じやすい。
【0043】
本発明のポリウレタン中のOH基含有量は、1分子当たり2個〜20個であることが好ましく、更に好ましくは1分子当たり3個〜15個である。1分子当たり3個未満では、イソシアネート硬化剤との反応性が低下するために塗膜強度が低下し、耐久性が低下する。一方、1分子当たり15個以上では、溶剤への溶解性が低下するので分散性が低下する。
また、本発明の磁気記録媒体の結合剤中には、下記の有機リン化合物を含有していても良い。
【0044】
【化9】

【0045】
ただし、Rは、置換又は未置換のアルキル基、アルケニル基、又はアリ−ル基を表し、n=1又は2である。
有機リン化合物は、具体的には、(Ph−O)PO(OH)2、(Ph−O)2PO(OH)、(Ph−O)P(OH)2 、(Ph−O)2PO(OH)、Ph−PO(OH)2、(Ph−O)2PO(OH)、C613OPO(OH)2、(C613O)2PO(OH)、C613OP(OH)2、(C613O)2P(OH)、C613PO(OH)2、(C6132PO(OH)、C817OPO(OH)2、 C1021OPO(OH)2、C1225OPO(OH)2、C1429OPO(OH)2、C1633OPO(OH)2、C1837OPO(OH)2、C817PO(OH)2、C1021PO(OH)2、C1225PO(OH)2、C1429PO(OH)2、C1633PO(OH)2、C1837PO(OH)2等を挙げることができる。ただし、Phは、フェニル基を示す。
【0046】
これらのなかでも、(Ph−O)PO(OH)2、(Ph−O)P(OH)2 、Ph−PO(OH)2、 C1021OPO(OH)2、C1225OPO(OH)2、C1429OPO(OH)2、 C1633OPO(OH)2、C1837OPO(OH)2、C1021PO(OH)2、C1225PO(OH)2、C1429PO(OH)2、 C1633PO(OH)2、C1837PO(OH)2 が好ましい。
【0047】
本発明の結合剤を磁性層に用いる場合には、本発明のポリウレタンに塩化ビニル系の合成樹脂を併用しても良い。併用することができる塩化ビニル系樹脂の重合度は200〜600が好ましく、250〜450が特に好ましい。塩化ビニル系樹脂はビニル系モノマー、例えば酢酸ビニル、ビニルアルコール、塩化ビニリデン、アクリロニトリルなどを共重合させたものでもよい。
【0048】
本発明のポリウレタンおよび塩化ビニル系樹脂の他に、各磁性層の形成には各種の合成樹脂を用いることができる。例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ニトロセルロース樹脂などのセルロース誘導体、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂である。これらは、単独でも組み合わせでも使用することができる。
【0049】
他の合成樹脂を併用する場合には、磁性層に含まれるポリウレタンは、結合剤中に10〜90重量%を含有されていることが好ましく、さらに好ましくは20〜80重量%の量である。特に好ましくは25〜60重量%の量である。また塩化ビニル系樹脂は、結合剤中に10〜80重量%含有されていることが好ましく、さらに好ましくは20〜70重量%の量である。特に好ましくは30〜60重量%の量である。
【0050】
また、本発明の結合剤とともに、ポリイソシアネート化合物等の硬化剤を使用することができる。ポリイソシアネート化合物の例としては、トリレンジイソシアネート3モルとトリメチロールプロパン1モルとの反応性生物(例、デスモジュールL−75(バイエル社製))、キシリレンジイソシアネートあるいはヘキサメチレンジイソシアネートなどのジイソシアネート3モルとトリメチロールプロパン1モルとの反応生成物、ヘキサメチレンジイソシアネート3モルとのビューレット付加化合物、トリレンジイソシアネート5モルのイソシアヌレート化合物、トリレンジイソシアネート3モルとヘキサメチレンジイソシアネート2モルのイソシアヌレート付加化合物、イソホロンジイソシアネートおよびジフェニルメタンジイソシアネートのポリマーを挙げることができる。
【0051】
磁性層に含まれるポリイソシアネート化合物は、結合剤中に10〜50重量%の範囲で含有されていることが好ましく、さらに好ましくは20〜40重量%の範囲である。
また、電子線照射による硬化処理を行う場合には、ウレタンアクリレート等のような反応性二重結合を有する化合物を使用することができる。
【0052】
樹脂成分と硬化剤との合計(すなわち結合剤)の重量は、強磁性粉末100重量部に対して、通常15〜40重量部の範囲内にあることが好ましく、さらに好ましくは20〜30重量部である。
【0053】
本発明の磁気記録媒体に使用される強磁性粉末は、コバルト含有強磁性酸化鉄又はコバルト含有強磁性合金粉末でSBET 比表面積が40〜80m2 /g、好ましくは50〜70m2 /gである。結晶子サイズは12〜25nm、好ましくは13〜22nmであり、特に好ましくは14〜20nmである。長軸長は0.05〜0.25μmであり、好ましくは0.07〜0.2μmであり、特に好ましくは0.08〜0.15μmである。強磁性粉末としては、コバルトを含有する鉄、Co−Ni−Feが挙げられ、さらにこれらにイットリウムを含むものでも良い。強磁性粉末中のイットリウム含有量は、鉄原子に対してイットリウム原子の比、Y/Feが0.5原子%〜20原子%が好ましく、更に好ましくは、5〜10原子%である。0.5原子%よりも少ないと強磁性粉末の高σS化できないために磁気特性が低下し、電磁変換特性が低下する。20原子%よりも大きいと鉄の含有量が少なくなるので磁気特性が低下し、電磁変換特性が低下する。さらに、鉄100原子%に対して20原子%以下の範囲内で、アルミニウム、ケイ素、硫黄、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、銅、亜鉛、モリブデン、ロジウム、パラジウム、金、錫、アンチモン、ホウ素、バリウム、タンタル、タングステン、レニウム、鉛、リン、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、テルル、ビスマス等を含むことができる。また、強磁性金属粉末が少量の水、水酸化物または酸化物を含むものなどであってもよい。
【0054】
本発明の、コバルト、イットリウムを導入した鉄を主成分とする強磁性粉末の製造方法の一例を示す。
第一鉄塩とアルカリを混合した水性懸濁液に、酸化性気体を吹き込むことによって得られるオキシ水酸化鉄を出発原料とする例を挙げることができる。
【0055】
このオキシ水酸化鉄の種類としては、α一FeOOHが好ましく、その製法としては、第一鉄塩を水酸化アルカリで中和してFe(OH)2 の水性懸濁液とし、この懸濁液に酸化性ガスを吹き込んで針状のα一FeOOHとする第一の製法がある。一方、第一鉄塩を炭酸アルカリで中和してFeCO3 の水性懸濁液とし、この懸濁液に酸化性気体を吹き込んで紡錘状のα一FeOOHとする第二の製法がある。このようなオキシ水酸化鉄は第一鉄塩水溶液とアルカリ水溶液とを反応させて水酸化第一鉄を含有する水溶液を得て、これを空気酸化等により酸化して得られたものであることが好ましい。この際、第一鉄塩水溶液にNi塩や、Ca塩、Ba塩、Sr塩等のアルカリ土類元素の塩、Cr塩、Zn塩などを共存させても良く、このような塩を適宣選択して用いることによって粒子形状(軸比)などを調製することができる。
【0056】
第一鉄塩としては、塩化第一鉄、硫酸第一鉄等が好ましい。またアルカリとしては水酸化ナトリウム、アンモニア水、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム等が好ましい。また、共存させることができる塩としては、塩化ニッケル、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化ストロンチウム、塩化クロム、塩化亜鉛等の塩化物が好ましい。
【0057】
次いで、硫酸コバルト、塩化コバルト等のコバルト化合物の水溶液を前記のオキシ水酸化鉄のスラリーに撹拌混合してコバルトを導入する。コバルトを含有するオキシ水酸化鉄のスラリーを調製した後、このスラリーにイットリウムの化合物を含有する水溶液を添加し、撹拌混合することによって導入することができる。
【0058】
本発明の強磁性粉末には、イットリウム以外にもネオジム、サマリウム、プラセオジウム、ランタン等を導入することができる。これらは、塩化イットリウム、塩化ネオジム、塩化サマリウム、塩化プラセオジウム、塩化ランタン等の塩化物、硝酸ネオジム、硝酸ガドリニウム等の硝酸塩などを用いて導入することができ、これらは、二種以上を併用しても良い。
【0059】
強磁性粉末の形状に特に制限はないが、通常は針状、粒状、サイコロ状、米粒状および板状のものなどが使用される。とくに針状の強磁性粉末を使用することが好ましい。
【0060】
上記の樹脂成分、硬化剤および強磁性粉末を、通常磁性塗料の調製の際に使用されているメチルエチルケトン、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチル等の溶剤と共に混練分散して磁性塗料とする。混練分散は通常の方法に従って行うことができる。
【0061】
なお、磁性塗料中には、上記成分以外に、α−Al23 、Cr23 等の研磨材、カーボンブラック等の帯電防止剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、シリコーンオイル等の潤滑剤、分散材など通常使用されている添加剤あるいは充填剤を含むものであってもよい。
【0062】
次に本発明が多層構成の場合における下層非磁性層または下層磁性層について説明する。本発明の下層に用いられる無機粉末は、磁性粉末、非磁性粉末を問わない。例えば非磁性粉末の場合、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物、等の無機質化合物から選択することができる。無機化合物としては例えばα化率90〜100%のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、窒化珪素、チタンカ−バイト、酸化チタン、二酸化珪素、酸化すず、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデンなどが単独または組合せで使用される。特に好ましいのは二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウムであり、更に好ましいのは二酸化チタンである。これら非磁性粉末の平均粒径は0.005〜2μmが好ましいが、必要に応じて平均粒径の異なる非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。とりわけ好ましいのは非磁性粉末の平均粒径は0.01μm〜0.2μmである。非磁性粉末のpHは6〜9の間が特に好ましい。非磁性粉末の比表面積は1〜100m2/g、好ましくは5〜50m2/g、更に好ましくは7〜40m2/gである。非磁性粉末の結晶子サイズは0.01μm〜2μmが好ましい。DBPを用いた吸油量は5〜100ml/100g、好ましくは10〜80ml/100g、更に好ましくは20〜60ml/100gである。比重は1〜12、好ましくは3〜6である。形状は針状、球状、多面体状、板状のいずれでも良い。
【0063】
これらの非磁性粉末の表面には、表面処理によってAl2O3、SiO2、TiO2、ZrO2,SnO2,Sb2O3,ZnOが存在することが好ましい。特に分散性に好ましいのはAl2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、であるが、更に好ましいのはAl2O3、SiO2、ZrO2である。これらは組み合わせて使用しても良いし、単独で用いることもできる。また、目的に応じて共沈させた表面処理層を用いても良いし、先ずアルミナで処理した後にその表層をシリカで処理する方法、またはその逆の方法を採ることもできる。また、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、均質で密である方が一般には好ましい。
【0064】
下層にカ−ボンブラックを混合させて公知の効果であるRsを下げることができるとともに、所望のマイクロビッカース硬度を得る事ができる。このためにはゴム用ファ−ネスブラック、ゴム用サ−マルブラック、カラ−用カーボンブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。
【0065】
カ−ボンブラックの比表面積は100〜500m2/g、好ましくは150〜400m2/g、DBP吸油量は20〜400ml/100g、好ましくは30〜200ml/100gである。カ−ボンブラックの平均粒径は5mμ〜80mμ、好ましく10〜50mμ、さらに好ましくは10〜40mμである。カ−ボンブラックのpHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/ml、が好ましい。本発明に用いられるカ−ボンブラックの具体的な例としてはキャボット社製、BLACKPEARLS 2000、1300、1000、900、800,880,700、VULCAN XC−72、三菱化成工業社製、#3050B,3150B,3250B、#3750B、#3950B、#950、#650B,#970B、#850B、MA−600、コロンビアカ−ボン社製、CONDUCTEX SC、RAVEN 8800,8000,7000,5750,5250,3500,2100,2000,1800,1500,1255,1250、アクゾー社製ケッチェンブラックECなどが挙げられる。
【0066】
本発明の下層にはまた、磁性粉末を用いることもできる。磁性粉末としては、γ−Fe23、Co変性γ−Fe23、α−Feを主成分とする合金、CrO2 等が用いられる。特に、Co変性γ−Fe23が好ましい。本発明の下層に用いられる強磁性粉末は上層磁性層に用いられる強磁性粉末と同様な組成、性能が好ましい。ただし、目的に応じて、上下層で性能を変化させることは公知の通りである。例えば、長波長記録特性を向上させるためには、下層磁性層のHcは上層磁性層のそれより低く設定することが望ましく、また、下層磁性層のBrを上層磁性層のそれより高くする事が有効である。それ以外にも、公知の重層構成を採る事による利点を付与させることができる。
【0067】
下層磁性層または下層非磁性層のバインダー、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は磁性層のそれが適用できる。特に、バインダー量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用できる。
【0068】
以上の材料により調製した磁性塗料を非磁性支持体上に塗布して磁性層を形成する。
【0069】
本発明に用いることのできる非磁性支持体としては二軸延伸を行ったポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド、ポリベンズオキシダゾール等の公知のものが使用できる。好ましくはポリエチレンナフタレート、芳香族ポリアミドである。これらの非磁性支持体はあらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、などを行っても良い。また本発明に用いることのできる非磁性支持体は中心線平均表面粗さがカットオフ値0.25mmにおいて0.1〜20nm、好ましくは1〜10nmの範囲という優れた平滑性を有する表面であることが好ましい。また、これらの非磁性支持体は中心線平均表面粗さが小さいだけでなく1μ以上の粗大突起がないことがこのましい。
【0070】
本発明の磁気記録媒体の製造方法は例えば、走行下にある非磁性支持体の表面に磁性層塗布液を好ましくは磁性層の乾燥後の層厚が0.05〜3.0μmの範囲内、より好ましくは0.07〜1.0μmになるように塗布する。ここで複数の磁性塗料を逐次あるいは同時に重層塗布してもよい。
【0071】
上記磁性塗料を塗布する塗布機としては、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、スピンコート等が利用できる。 これらについては例えば株式会社総合技術センター発行の「最新コーティング技術」(昭和58年5月31日)を参考にできる。
【0072】
本発明を二層以上の構成の磁気記録媒体に適用する場合、塗布する装置、方法の例として以下のものを提案できる。
(1)磁性塗料の塗布で一般的に適用されるグラビア、ロール、ブレード、エクストルージョン等の塗布装置により、まず下層を塗布し、下層が未乾燥の状態のうちに特公平1-46186号公報、特開昭60-238179号公報、特開平2-265672号公報等に開示されているような支持体加圧型エクストルージョン塗布装置により、上層を塗布する。
(2)特開昭63-88080号公報、特開平2-17971号公報、特開平2-265672号公報に開示されているような塗布液通液スリットを2個有する一つの塗布ヘッドにより上下層をほぼ同時に塗布する。
【0073】
(3)特開平2-174965号公報に開示されているようなバックアップロール付きのエクストルージョン塗布装置により、上下層をほぼ同時に塗布する。
【0074】
本発明で用いる非磁性支持体の磁性塗料が塗布されていない面にバック層(バッキング層)が設けられていてもよい。通常バック層は、非磁性支持体の磁性塗料が塗布されていない面に、研磨材、帯電防止剤などの粒状成分と結合剤とを有機溶剤に分散したバック層形成塗料を塗布して設けられた層である。
なお、非磁性支持体の磁性塗料およびバックコート層形成塗料の塗布面に接着剤層が設けられいてもよい。
【0075】
塗布された磁性塗料の塗布層は、磁性塗料の塗布層中に含まれる強磁性粉末を磁場配向処理を施した後に乾燥される。
このようにして乾燥された後、塗布層に表面平滑化処理を施す。表面平滑化処理には、たとえばスーパーカレンダーロールなどが利用される。表面平滑化処理を行うことにより、乾燥時の溶剤の除去によって生じた空孔が消滅し磁性層中の強磁性粉末の充填率が向上するので、電磁変換特性の高い磁気記録媒体を得ることができる。
【0076】
カレンダー処理ロールとしてはエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性プラスチックロールを使用する。また金属ロールで処理することもできる。
【0077】
本発明の磁気記録媒体は、表面の中心線平均粗さが、カットオフ値0.25mmにおいて0.1〜4nm、好ましくは1〜3nmの範囲という極めて優れた平滑性を有する表面であることが好ましい。その方法として、例えば上述したように特定の強磁性粉末と結合剤を選んで形成した磁性層を上記カレンダー処理を施すことにより行われる。カレンダー処理条件としては、カレンダーロールの温度を60〜100℃の範囲、好ましくは70〜100℃の範囲、特に好ましくは80〜100℃の範囲であり、圧力は100〜500kg/cm2 の範囲であり、好ましくは200〜450kg/cm2 の範囲であり、特に好ましくは300〜400kg/cm2 の範囲の条件で作動させることによって行われることが好ましい。
このようにして硬化処理された積層体を次に所望の形状に裁断を行う。
【0078】
以上のように、本発明のポリウレタンは、ポリオール成分として、脂肪族の二塩基酸と従来よりも分岐脂肪族ジオールを多く含有しているので溶剤への溶解性が高く、強磁性粉末の分散性にも優れる。更にウレタン基濃度が高いので従来の脂肪族系ウレタンに比べて高Tgが得られるので走行耐久性にも優れる。
【0079】
また、水素結合成分であるウレタン基濃度を増加させることは、乾燥塗膜中での分子間相互作用の向上によりにTgなどの塗膜強度が向上する一方、溶剤溶解性が低下し塗布液粘度が増加する為に分散性が低下してしまうが、本発明のポリウレタンはウレタン基濃度が大であるとともにポリエステルポリオール成分として脂肪族の二塩基酸と分岐脂肪族ジオールを用いているので溶剤溶解性が低下しない特徴を併せ持つ。これは分岐をもつことで塗布液中でのポリウレタン分子間の会合を防止できているためと考えられる。
【実施例】
【0080】
以下に、本発明の実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
以下に記載の「部」は「質量部」を示し、%は質量%を示す。
(ポリウレタンの合成例1)
還流式冷却器、撹拌機を具備し、予め窒素置換した容器に表1に示したポリエステルポリオールと、表2に示した鎖延長剤のジオールとDEIS(スルホイソフタル酸ジメチルエステル)をシクロヘキサノン中にて窒素気流下で60℃で溶解した。表1において、配合量はモル%で示す。また分子量は水酸基価で求めた。 次いで、触媒として、ジ−n−ジブチルスズジラウレート60ppmを加え15分間溶解した。さらに表2に示した量の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を加え90℃にて6時間加熱反応し、ポリウレタン溶液を得た。表2に得られたポリウレタンPA1の重量平均分子量、ガラス転移温度を示す。
【0081】
【表1】

【0082】
【表2】

【0083】
実施例1−1
強磁性合金粉末(組成:Co/Fe5原子%、Y/Fe6原子% Hc2000Oe,結晶子サイズ15nm、BET比表面積59m2/g 、長軸径0.12μm、針状比7、σs150emu/g)100部をオープンニーダーで10分間粉砕し、次いでポリウレタン1A 20部(固形分)、シクロヘキサノン60部で60分間混練し、次いで
研磨剤(Al23 粒子サイズ0.3μm) 2部
カーボンブラック (粒子サイズ 40nm) 2部
メチルエチルケトン/トルエン=1/1 200部
を加えてサンドミルで120分間分散した。これに
ポリイソシアネート 5部
(日本ポリウレタン製 コロネート3041) (固形分)
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
メチルエチルケトン 50部
を加え、さらに20分間撹拌混合したあと、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁性塗料を調製した。
次いで、接着層としてスルホン酸含有ポリエステル樹脂を乾燥後の厚さが0.1μmになるようにコイルバーを用いて厚さ10μmのポリエチレンナフタレート支持体の表面に塗布した。
【0084】
次に、得られた非磁性塗料を2.0μmに、さらにその直後に上層用磁性塗料を乾燥後の厚さが0.1μmになるように、リバースロールを用いて同時重層塗布した。磁性塗料塗布された非磁性支持体を、磁性塗料が未乾燥の状態で3000ガウスの磁石で磁場配向を行ない、さらに乾燥後、金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロールの組み合せによるカレンダー処理を(速度100m/分、線圧300kg/cm、温度90℃)で行なった後、6.35mm幅に裁断し、磁気テープを製造した。
【0085】
実施例1−2〜1−7及び比較例1−1〜1−8
ポリウレタン1Aを表3に示したポリウレタンに変更して、実施例1−1と同様の方法で実施例1−2〜1−7及び比較例1−1〜1−8の磁気テープを作製した。
【0086】
実施例1−8
強磁性合金粉末の組成を、Y/Fe0.5原子%、Co/Fe5原子%とした以外は実施例1−1と同様に磁気テープを作製した。
【0087】
実施例1−9
強磁性合金粉末の組成を、Y/Fe20原子%、Co/Fe5原子%とした以外は実施例1−1と同様に磁気テープを作製した。
【0088】
実施例1−10〜1−14
上層用磁性液…実施例1−1の磁性塗布液
(下層用非磁性液の調整)
α−Fe23(平均粒径0.15μm、BET比表面積52m2/g 、表面処理によりAl23、SiO2が存在、pH6.5〜8.0)85部 をオープンニーダーで10分間粉砕し、次いで塩化ビニル/酢酸ビニル/グリシジルメタクリレート=86/9/5の共重合体にヒドロキシエチルスルホネートナトリウム塩を付加した化合物(SO3Na=6×10-5eq/g、 エポキシ=10-3eq/g、Mw 30,000)を7.5部及び、表3に記載のスルホン酸含有ポリウレタン 10部(固形分)、シクロヘキサノン60部で60分間混練し、次いで
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=6/4 200部
を加えてサンドミルで120分間分散した。これに
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
メチルエチルケトン 50部
を加え、さらに20分間撹拌混合したあと、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、下層用非磁性塗料を調製した。
【0089】
次いで接着層としてスルホン酸含有ポリエステル樹脂を乾燥後の厚さが0.1μmになるようにコイルバーを用いて厚さ10μmのポリエチレンナフタレート支持体の表面に塗布した。
得られた非磁性塗料を2.0μmに、さらにその直後に磁性塗料を乾燥後の厚さが0.1μmになるように、リバースロールを用いて同時重層塗布した。磁性塗料塗布された非磁性支持体を、磁性塗料が未乾燥の状態で3000ガウスの磁石で磁場配向を行ない、さらに乾燥後、金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属 ロール−金属ロール−金属ロールの組み合せによるカレンダー処理を(速度100m/分、線圧300kg/cm、温度90℃)で行なった後、6.35mm幅に裁断してビデオテープを作製した。
【0090】
比較例1−9
強磁性合金粉末の組成を、Co/Fe5原子%とした以外は実施例1−1と同様にビデオテープを作製した。
【0091】
比較例1−10
強磁性合金粉末の組成を、Y/Fe25原子%、Co/Fe5原子%とした以外は実施例1−1と同様にビデオテープを作製した。
【0092】
比較例1−11
ポリウレタン1Aをポリウレタン1Hとした以外は実施例1−10と同様にビデオテープを作製した。
【0093】
比較例1−12
ポリウレタン1Aをポリウレタン1Tとした以外は実施例1−10と同様にビデオテープを作製した。
【0094】
次いで、実施例および比較例のビデオテープの特性を以下の測定方法Aによって測定し、測定結果を表3に示す。
【0095】
測定方法A
a)電磁変換特性:試料テープにデジタルビデオテープレコーダ(松下電器製:NV−BJ1)を用いて記録波長0.5μmの信号を記録し、再生した。基準テープ(比較例1−1)に記録した再生出力を0dBとしたときのテープの相対的な再生出力を測定した。
b)SQ:振動試料型磁束計(東英工業製)を用いてHm:5kOeで測定した。c)繰り返し走行性:60分長のテープをa)のVTRを用いて40℃80%RH環境下で100回連続繰り返し走行させ、ビデオヘッドの汚れを観察し、またビデオ出力を連続して記録し、1回目の出力を0dBとして出力低下を測定した。
ビデオヘッド汚れ 優秀…汚れが観察されなかったもの
不良…汚れが目視で観察されたもの
【0096】
d)ドロップアウト増加
a)の電磁変換特性の測定に用いたデジタルビデオテープレコーダを用いて23℃10%RH環境において、5分間走行を1000パス繰り返した後に15μ秒以上、−10dBよりも大きく出力が低下したドロップアウト個数を調べた。e)高温保存による摩擦係数変化
6.35mm幅テ−プとステンレス(SUS420J)製の直径4mmの棒とを20g(T1)の張力で巻き付け角180度で接触させて、テープを14mm/秒の速度で100mmの長さを100パス走行させたときの張力(T2)を測定し、下式で摩擦係数を求めた。
摩擦係数=1/π・ln(T2/T1)
また、リール状態の60分長テープをシリカゲルを入れた密閉容器に入れて60℃のオーブン内で1週間保存したのちの摩擦係数を測定し、保存前の摩擦係数を100とした割合で求めた。
【0097】
【表3】

【0098】
(ポリウレタンの合成例2)
還流式冷却器、撹拌機を具備し、予め窒素置換した容器に表1に示したポリエステルポリオールと、表4に示した鎖延長剤をシクロヘキサノン中にて窒素気流下で60℃で溶解した。次いで、触媒として、ジ−n−ジブチルスズジラウレート60ppmを加え15分間溶解した。さらに表2に示した量の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を加え90℃にて6時間加熱反応し、ポリウレタン溶液を得た。表4に、得られたポリウレタンの重量平均分子量、ガラス転移温度を示す。
【0099】
【表4】

【0100】
実施例2−1〜2−15および比較例2−1〜2−9
(上層用磁性液の調整)
強磁性合金粉末(組成:Fe89原子%、Co5原子%、Al6原子%、Hc2000Oe、結晶子サイズ15nm、BET比表面積59m2/g、長軸径0.12μm、針状比7、σs150emu/g)100部をオープンニーダーで10分間粉砕し、次いで、表4のポリウレタン 20部(固形分)、シクロヘキサノン60部で60分間混練し、次いで
研磨剤(Al23 粒子サイズ0.3μm) 2部
カーボンブラック (粒子サイズ 40nm) 2部
メチルエチルケトン/トルエン=1/1 200部
を加えてサンドミルで120分間分散した。これに
ポリイソシアネート 5部
(日本ポリウレタン製 コロネート3041) (固形分)
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
メチルエチルケトン 50部
を加え、さらに20分間撹拌混合したあと、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁性塗料を調製した。
【0101】
(下層用非磁性液の調整)
α−Fe23(平均粒径0.15μm、BET比表面積52m2/g 、表面処理Al23、SiO2、pH6.5〜8.0)85部 をオープンニーダーで10分間粉砕し、次いで塩化ビニル/酢酸ビニル/グリシジルメタクリレート=86/9/5の共重合体にヒドロキシエチルスルホネートナトリウム塩を付加した化合物(SO3Na=6×10-5eq/g、エポキシ=10-3eq/g、Mw 30,000)を7.5部及び表4のポリウレタン10部(固形分)、シクロヘキサノン60部で60分間混練し、次いで
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=6/4 200部
を加えてサンドミルで120分間分散した。これに
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
メチルエチルケトン 50部
を加え、さらに20分間撹拌混合したあと、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、下層用非磁性塗料を調製した。
【0102】
次いで接着層としてスルホン酸含有ポリエステル樹脂を乾燥後の厚さが0.1μmになるようにコイルバーを用いて厚さ10μmのポリエチレンナフタレート支持体の表面に塗布した。
次いで得られた非磁性塗料を2.0μmに、さらにその直後に磁性塗料を乾燥後の厚さが0.1μmになるように、リバースロールを用いて同時重層塗布した。磁性塗料塗布された非磁性支持体を、磁性塗料が未乾燥の状態で3000ガウスの磁石で磁場配向を行ない、さらに乾燥後、金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロールの組み合せによるカレンダー処理を(速度100m/分、線圧300kg/cm、温度90℃)で行なった後、6.35mm幅に裁断してビデオテープを作製した。
次いで、実施例2−1ないし2−15および比較例2−1ないし2−9のビデオテープの特性を以下の測定方法Bによって測定し、測定結果を表5に示す。
【0103】
測定方法B
a)表面粗さRa:デジタルオプチカルプロフィメーター(WYKO製)による光干渉法により、カットオフ0.25mmの条件で中心線平均粗さRaとして求めた。
b)電磁変換特性:試料テープにデジタルビデオテープレコーダ(松下電器製:NV−BJ1)を用いて記録波長0.5μmの信号を記録し、再生した。基準テープ(比較例2−2)に記録した再生出力を0dBとしたときのテープの相対的な再生出力を測定した。
c)SQ:振動試料型磁束計(東英工業製)を用いてHm:5kOeで測定した。
【0104】
d)高温保存による摩擦係数変化
6.35mm幅テ−プとステンレス(SUS420J)製の直径4mmの棒とを20g(T1)の張力で巻き付け角180度で接触させて、テープを14mm/秒の速度で100mmの長さを100パス走行させたときの張力(T2)を測定し、下式で摩擦係数を求めた。
摩擦係数=1/π・ln(T2/T1)
e)保存後の摩擦係数
テープをリールに巻き付けた状態で60分長テープを60℃の乾燥環境に1週間保存したのちの摩擦係数を測定した。
【0105】
【表5】

表においてPhは、フェニル基を示す。
【0106】
(ポリウレタンの合成例3)
表6に示した組成のポリエステルポリオールA及びポリエステルポリオールIと2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオールを還流式冷却器、撹拌機を具備し、予め窒素置換した容器に表7に示した組成比でシクロヘキサノン30%溶液に窒素気流下60℃で溶解した。次いで触媒として、ジ−n−ジブチルスズジラウレート60ppmを加え更に15分間溶解した。更に表7あるいは表8に示した量の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を加え90℃にて6時間加熱反応し、ポリウレタン樹脂溶液を得た。表7に、得られたポリウレタン(PA3)の重量平均分子量を示し、表8に得られたポリウレタン(PB1)の重量平均分子量を示す。
【0107】
【表6】

【0108】
【表7】

【0109】
【表8】

【0110】
ただし、表8において、以下を意味する。
HBpA:水素化ビスフェノールA
化合物A:ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物(分子量600)
化合物B:ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物(分子量1000)
MDI:ジフェニルメタンジイソシアネート
実施例3−1
(上層用磁性塗料の調製)
強磁性合金粉末(組成:Fe:89原子%、Co:5原子%、Y:6原子%、Hc:2000(Oe)、結晶子サイズ:15nm、BET比表面積: 59m2/g、長軸径:0.12μm、針状比:7、σs:150emu/g)100部をオープンニーダーで10分間粉砕し、次いで
ポリウレタン3A 20部(固形分)
シクロヘキサノン 60部
で60分間混練し、次いで
研磨剤 (Al23 粒子サイズ0.3μm) 2部
カーボンブラック (粒子サイズ 40nm) 2部
メチルエチルケトン/トルエン=1/1 200部
を加えてサンドミルで120分間分散した。これに
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製 コロネート3041) 5部
(固形分)
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
メチルエチルケトン 50部
を加え、さらに20分間撹拌混合したあと、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、上層用磁性塗料を調製した。
【0111】
(下層用塗料の調製)
α−Fe23(平均粒径0.15μm、SBET52m2/g、表面処理Al23、SiO2 、pH6.5〜8.0)85部をオープンニーダーで10分間粉砕し、次いで塩化ビニル/酢酸ビニル/グリシジルメタクリレート=86/9/5の共重合体にヒドロキシエチルスルホネートナトリウム塩を付加した化合物( SO3Na=6×10-5eq/g、エポキシ=10-3eq/g、重量平均分子量 30,000)を7.5部及びポリウレタン4B 10部(固形分)、シクロヘキサノン60部で60分間混練し、次いで
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=6/4 200部
を加えてサンドミルで120分間分散した。これに
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
メチルエチルケトン 50部
を加え、さらに20分間撹拌混合したあと、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、下層用塗料を調製した。
【0112】
(磁気テープの作製)
次いで、厚さ10μmのポリエチレンナフタレート支持体の表面に接着層としてスルホン酸含有ポリエステル樹脂を乾燥後の厚さが0.1μmになるようにコイルバーを用いて塗布した。
次いで下層用塗料を1.5μmに、さらにその直後に上層磁性塗料を乾燥後の厚さが0.1μmになるように、リバースロールを用いて同時重層塗布した。磁性塗料塗布された非磁性支持体を、磁性塗料が未乾燥の状態で3000ガウスの磁石で磁場配向を行ない、塗布したものを金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロールの組み合せによるカレンダー処理を、速度100m/分、線圧300kg/cm、温度90℃の条件で行なった後3.8mm幅に裁断して磁気テープとした。
作製した磁気テープの特性を以下の評価方法によって測定し、測定結果を表9に示す。
【0113】
実施例3−2〜3−7及び比較例3−1〜3−12
上層磁性層用ポリウレタン3A及び下層用ポリウレタン4Bを表9に示したポリウレタンに変更した点を除き、実施例3−1と同様の方法で実施例3−2〜3−7、比較例3−1〜3−12の磁気テープを作製した。
作製した磁気テープの特性を以下の評価方法によって測定し、測定結果を表9に示す。
【0114】
実施例3−8
下層液のα−Fe23(平均粒径0.15μm、SBET52m2/g、表面処理Al23、SiO2、pH6.5〜8.0)を酸化チタン(平均粒径0.035μm、結晶型ルチル、TiO2 含有量90%以上、表面処理層アルミナ、 SBET35〜42m2/g 、真比重4.1、pH6.5〜8.0)とした以外は実施例3−2の方法と同様に実施例3−8の磁気テープを作製した。
作製した磁気テープの特性を以下の評価方法によって測定し、測定結果を表9に示す。
【0115】
比較例3−13、3−14
上層ポリウレタン及び下層用ポリウレタンを表9に示したポリウレタンに変更した点を除き実施例3−8と同様の方法で比較例3−13、3−14の磁気テープを作製した。 作製した磁気テープの特性を以下の測定方法Cによって測定し、測定結果を表9に示す。
【0116】
測定方法C
a)表面粗さ:Ra
デジタルオプチカルプロフィメーター(WYKO製)を用いたMIRAU法によりカットオフ0.25mmの条件で中心線平均粗さをRaとしてnmで示した。b)10nm以上の突起の個数
デジタルインスツルメント社製ナノスコープIIを用い、トンネル電流10nA、バイアス電流400mVで30μm×30μmの範囲を走査して求めた比較例3−1を100としたときの相対値で示した。
【0117】
c)電磁変換特性
DDS3ドライブ(HP社製 Model C1537)にて4.7MHzの単一周波数信号を最適記録電流で記録し、その再生出力を測定した。比較例3−1の再生出力を100とした相対値で示した。
d)高温高湿保存後の耐久性
60℃90%RH環境下に1週間保存したテープを40℃80%RH環境下で磁性層面をDDS3ドライブに使用されているガイドポールに接触させて荷重10g(T1)を加え、8mm/秒になるように張力(T2)を加えて引っ張りT2/T1よりガイドポールに対する磁性面の摩擦係数を下記式により求めた。
測定は繰り返し500パスまで行い、1パス目と500パス目の摩擦係数を求めた。
摩擦係数=1/π・ln(T2/T1)
測定後のガイドポールの汚れを微分干渉光学顕微鏡で観察し、以下の評価基準で評価した。
優秀:汚れが全くみられない。
良好:汚れが見られるが、汚れのない部分の方が多い。
不良:汚れがない部分よりも汚れがある部分の方が多い。
【0118】
【表9】

【0119】
実施例4−1
(上層用磁性塗料の調製)
強磁性合金粉末(組成:Fe:89原子%、Co:5原子%、Y:6原子%、Hc:2000(Oe)、結晶子サイズ:15nm、BET比表面積:59m2/g 、長軸径:0.12μm、針状比:7、σs:150emu/g)100部をオープンニーダーで10分間粉砕し、次いで表8に記載の
ポリウレタン4A 20部(固形分)
シクロヘキサノン 60部
で60分間混練し、次いで
研磨剤 (Al23 粒子サイズ0.3μm) 2部
カーボンブラック (粒子サイズ 40nm) 2部
メチルエチルケトン/トルエン=1/1 200部
を加えてサンドミルで120分間分散した。これに
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製 コロネート3041) 5部
(固形分)
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
メチルエチルケトン 50部
を加え、さらに20分間撹拌混合したあと、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、上層用磁性塗料を調製した。
【0120】
(下層用塗料の調製)
α−Fe23(平均粒径0.15μm、SBET52m2/g、表面処理Al23、SiO2 、pH6.5〜8.0)85部をオープンニーダーで10分間粉砕し、次いで
塩化ビニル/酢酸ビニル/グリシジルメタクリレート=86/9/5の共重合体にヒドロキシエチルスルホネートナトリウム塩を付加した化合物( SO3Na=6×10-5eq/g、エポキシ=10-3eq/g、重量平均分子量 30,000)を7.5部及び表7に記載のポリウレタン3Bを10部(固形分)、シクロヘキサノン60部で60分間混練し、次いで
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=6/4 200部
を加えてサンドミルで120分間分散した。これに
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
メチルエチルケトン 50部
を加え、さらに20分間撹拌混合したあと、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、下層用塗料を調製した。
【0121】
(磁気テープの作製)
次いで、厚さ10μmのポリエチレンナフタレート支持体の表面に接着層としてスルホン酸含有ポリエステル樹脂を乾燥後の厚さが0.1μmになるようにコイルバーを用いて塗布した。
【0122】
次いで下層用塗料を1.5μmに、さらにその直後に上層磁性塗料を乾燥後の厚さが0.1μmになるように、リバースロールを用いて同時重層塗布した。磁性塗料塗布された非磁性支持体を、磁性塗料が未乾燥の状態で3000ガウスの磁石で磁場配向を行ない、塗布したものを金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロールの組み合せによるカレンダー処理を、速度100m/分、線圧300kg/cm、温度90℃の条件で行なった後3.8mm幅に裁断して磁気テープとした。
作製した磁気テープの特性を以下の評価方法によって測定し、測定結果を表10に示す。
【0123】
実施例4−2〜4−7及び比較例4−1〜4−12
上層磁性層用ポリウレタン4A及び下層用ポリウレタン3Bを表10に示したポリウレタンに変更した点を除き、実施例4−1と同様の方法で実施例4−2〜4−7、比較例4−1〜4−12の磁気テープを作製した。
【0124】
作製した磁気テープの特性を以下の評価方法によって測定し、測定結果を表10に示す。
【0125】
実施例4−8
下層液のα−Fe23(平均粒径0.15μm、SBET52m2/g、表面処理Al23、SiO2、pH6.5〜8.0)を酸化チタン(平均粒径0.035μm、結晶型ルチル、TiO2 含有量90%以上、表面処理層アルミナ、 SBET35〜42m2/g 、真比重4.1、pH6.5〜8.0)とした以外は実施例4−2の方法と同様に実施例4−8の磁気テープを作製した。
作製した磁気テープの特性を以下の評価方法によって測定し、測定結果を表10に示す。
【0126】
比較例4−13、4−14
上層ポリウレタン及び下層用ポリウレタンを表10に示したポリウレタンに変更した点を除き実施例4−8と同様の方法で比較例4−13、4−14の磁気テープを作製した。 作製した磁気テープの特性を以下の測定方法Dによって測定し、測定結果を表10に示す。
【0127】
測定方法D
a)表面粗さ:Ra
デジタルオプチカルプロフィメーター(WYKO製)を用いたMIRAU法によりカットオフ0.25mmの条件で中心線平均粗さをRaとしてnmで示した。b)電磁変換特性
試料テープにドラムテスター(交野製作所製)を用いて記録波長0.5μm、ヘッド速度10m/秒で記録し再生し、その再生出力を測定した。比較例4−1の再生出力を100とした相対値で示した。
【0128】
c)高温高湿保存後の耐久性
(1)出力低下とビデオヘッド汚れ
60℃90%RH環境下に1週間保存した60分長テープを40℃80%RH環境下でデジタルビデオテープレコーダ(松下電器製 NV−BJ1)を用いて、100回繰り返し走行させ、ビデオヘッドの汚れを観察し、1回目の再生出力を0dBとして出力を測定して出力低下とし、またビデオヘッドに汚れが目視で観察されなかったものを優秀とし、また汚れが観察されたものを不良として示した。(2)スチル耐久性
40℃80%RH環境下でデジタルビデオテープレコーダ(松下電器製 NV−BJ1)を用いてスチル状態にし、再生出力が50%になるまでの時間を測定して、スチル耐久性として示した。
【0129】
【表10】

【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明の磁気記録媒体は、高温保存による摩擦係数の上昇がなくなり、また、磁性粉体の分散性が向上し電磁変換特性が向上した。さらに、磁性層の表面強度が高く、繰り返し走行でのヘッド汚れ、出力低下が改良された。また、予期せぬ効果として、テープ型の媒体においてはテープエッジクラックが減ったのでドロップアウト増加が少なくなり、高耐久性の電磁変換特性に優れたものが得られた。また、塗膜の平滑性が高く走行耐久性が向上し、分散性も向上し磁性体の配向性が向上した。さらに、磁性層表面が平滑であるにもかかわらず、摩擦係数が小さくなり、電磁変換特性に優れ、高温下での保存安定性が向上し、安定した走行性を維持することができた。
さらに、下層用の結合剤として分散性が高く平滑な表面が得られ、積層した場合には、界面への泳動量が少ないポリウレタン樹脂を用いるたので、上層磁性層を積層した場合にも積層界面が乱れず、磁性層表面の平滑性が高く、しかも磁性層の耐熱性が大きく高温、高湿環境での耐久性が大きな磁気記録媒体が得られた。また、磁性層表面の平滑性を高めることができたので、電磁変換特性が良好であり、しかも磁性層の耐熱性が大きく高温、高湿環境でのスチル耐久性が向上した磁気記録媒体が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性支持体上に、下層を介して又は下層を介さずに少なくとも一層の強磁性粉末と結合剤を分散した磁性層を有する磁気記録媒体において、前記磁性層の結合剤がポリエステルポリオール、鎖延長剤、および有機ジイソシアネートを含む原料を反応させて得られたポリウレタンを含み、前記強磁性粉末は、コバルト含有の鉄を主成分とし、イットリウムを鉄原子に対して0.5原子%〜20原子%含有する強磁性粉末であり、該ポリウレタンは、そのポリエステルポリオール中の二塩基酸が脂肪族二塩基酸を含み、ジオール成分の70モル%以上がアルキル分岐側鎖を有する環状構造を持たない脂肪族ジオール成分からなり、鎖延長剤が分岐側鎖の炭素数の合計が3以上のアルキル分岐側鎖をもつ脂肪族ジオールからなるウレタン基濃度2.5〜4.5mmol/gであるポリウレタンであり、下層の結合剤がポリウレタン中に1.0〜6.0mmol/gのエーテル基を有するポリオール10〜50重量%と環状構造を有するジオールからなる鎖延長剤15〜50重量%と有機ジイソシアネートからなるポリウレタンであることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項2】
前記強磁性粉末は、さらにアルミニウムを含有する鉄を主成分とする強磁性粉末であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
【請求項3】
前記強磁性粉末は長軸長が0.05〜0.25μmであることを特徴とする請求項1または2記載の磁気記録媒体。
【請求項4】
前記強磁性粉末は結晶子サイズが12〜25nmであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の磁気記録媒体。
【請求項5】
前記ポリウレタンが下群より選ばれる少なくとも一種の極性基を有するポリウレタンであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の磁気記録媒体。
SO3M、SO4M、PO32、OPO32、−NR2
(Mは、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、Rは、炭素数1〜12のアルキル基を示す。)
【請求項6】
前記磁性層の乾燥厚みが0.2μm以下であり、前記下層の乾燥厚みが1μm以上であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項記載の磁気記録媒体。
【請求項7】
前記磁性層および下層の少なくともいずれか一層が、更に下式(1)〜(3)から選ばれる有機リン化合物を含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項記載の磁気記録媒体。
【化1】

【請求項8】
前記下層の結合剤が、下式で示されるポリウレタン中に1.0〜6.0mmol/gのエーテル基を有するポリオールからなることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項記載の磁気記録媒体。
HO(R1n−X−(R2mOH
ただし、n、m=4〜40
【化2】

【請求項9】
前記下層のポリウレタンは、下式で示される環状構造を有するジオールの鎖延長剤からなることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項記載の磁気記録媒体。
HO(R1n−X−(R2mOH
ただし、n,m=0〜3
【化3】


【公開番号】特開2007−42268(P2007−42268A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−225610(P2006−225610)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【分割の表示】特願平10−366888の分割
【原出願日】平成10年12月24日(1998.12.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】