説明

磁気駆動装置を備えた磁気浮上フライホイールエネルギー貯蔵システム

磁気軸受および/または磁気駆動装置を含むフライホイールエネルギー貯蔵デバイスのための技術が一般的に開示される。いくつかの例示的な磁気軸受は、フライホイール磁石および回転するフライホイールを磁気浮上させるように配置された支持磁石を含むことができる。いくつかの例示的な磁気駆動装置は、フライホイールにトルクを与えるように、フライホイールに関連付けられた反磁性体に磁気的に係合するように配置された少なくとも1つの駆動磁石を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はフライホイールエネルギー貯蔵デバイスに関し、より詳細には、磁気軸受および/または磁気駆動装置を含むフライホイールエネルギー貯蔵デバイスに関する。
【発明の概要】
【0002】
磁気軸受および/または磁気駆動装置を含むフライホイールエネルギー貯蔵デバイスのための技術が一般的に開示されている。いくつかの例示的な磁気軸受は、回転するフライホイールを磁気浮上させるように配置されたフライホイール磁石および支持磁石を含むことができる。いくつかの例示的な磁気駆動装置は、フライホイールにトルクを与えるように、フライホイールに関連付けられた反磁性体に磁気的に係合するように配置された少なくとも1つの駆動磁石を含むことができる。
【0003】
いくつかの実施形態では、フライホイール、磁気軸受、および/または磁気駆動装置を含むことができるフライホイールエネルギー貯蔵デバイスが一般的に説明される。フライホイールは、エネルギーを回転運動エネルギーとして貯蔵するように構成することができる。磁気軸受は、フライホイールの回転を可能にしながら、フライホイールを浮上させるように構成することができる。磁気駆動装置は、エネルギーをフライホイールに供給し、および/またはフライホイールから取り出すために、フライホイールに選択的に磁気的に係合するように構成することができる。
【0004】
いくつかの別の実施形態では、フライホイール、1つまたは複数の支持磁石、および/または1つまたは複数の回転可能な駆動磁石を含むことができるフライホイールエネルギー貯蔵デバイスが一般的に説明される。フライホイールは、エネルギーを回転運動エネルギーとして貯蔵するように構成することができ、フライホイールはフライホイール磁石および反磁性体を含む。1つまたは複数の支持磁石は、フライホイールを磁気浮上させるように、フライホイール磁石と磁気的に相互作用するように構成することができる。1つまたは複数の回転可能な駆動磁石は、駆動磁石と反磁性体の間の磁気結合を変化させるように、フライホイールに対して可動に配置することができる。
【0005】
フライホイールエネルギー貯蔵デバイスを操作する方法が一般的に説明される。いくつかの例示的な方法は、磁気軸受によって浮上するフライホイールの回転速度と異なる回転速度で、駆動磁石を回転することを含むことができる。いくつかの例示的な実施形態はさらに、駆動磁石をフライホイールに向かって移動することによって、駆動磁石と反磁性体の間の磁気結合を増大することを含むことができる。いくつかの例示的な実施形態はさらに、駆動磁石を使用して、フライホイールにトルクを与えることを含むことができる。
【0006】
上記の概要は例示にすぎず、どのようにも制限するものではない。図面および以下の詳細な説明を参照することによって、上記の例示的な態様、実施形態、および特徴に加えて、他の態様、実施形態、および特徴も明らかになるであろう。
【0007】
添付の図面と併せて以下の説明および添付の特許請求の範囲を読めば、本開示の上記および他の特徴がさらに十分に明らかになるであろう。これらの図面は本開示によるいくつかの実施形態を示しているにすぎず、したがって本開示の範囲を制限すると見なされるものではないことを理解しながら、本開示は、添付の図面を使用して、さらなる専門性および詳細と共に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本開示の少なくともいくつかの実施形態に従って配置された、例示的なフライホイールエネルギー貯蔵デバイスのブロック図である。
【図2】本開示の少なくともいくつかの実施形態に従って配置された、例示的なフライホイールエネルギー貯蔵デバイスの断面斜視図である。
【図3】本開示の少なくともいくつかの実施形態に従って配置された、例示的なフライホイールサブアセンブリの斜視図である。
【図4】本開示の少なくともいくつかの実施形態に従って配置された、例示的な筐体サブアセンブリの断面斜視図である。
【図5】本開示の少なくともいくつかの実施形態に従って配置された、例示的な駆動サブアセンブリの斜視図である。
【図6】本開示の少なくともいくつかの実施形態に従って配置された、フライホイールエネルギー貯蔵デバイスを使用する例示的な方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明において、その一部を形成する添付の図面を参照する。図面では、他に記載のない限り、同様の記号は一般に同様の構成部品を示す。詳細な説明、図面、および特許請求の範囲に記載された例示的な実施形態は、制限的な意味を持つものではない。本明細書に記載された主題の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の実施形態を使用することができ、他の変更を行うこともできる。本明細書で一般的に説明され、図示された本開示の態様は、多種多様な異なる構成に配置し、置換し、組み合わせ、設計することができ、それらはすべて明確に企図され、本開示の一部を形成することが容易に理解されよう。
【0010】
本開示は、とりわけ、フライホイールエネルギー貯蔵に関する方法、システム、デバイス、および/または装置、より詳細には、1つまたは複数の磁気軸受および/または1つまたは複数の磁気駆動装置を含むフライホイールエネルギー貯蔵デバイスについて説明される。
【0011】
図1は、本明細書で説明される少なくともいくつかの実施形態に従って配置された、例示的なフライホイールエネルギー貯蔵デバイスのブロック図である。例示的なフライホイールエネルギー貯蔵(FES)デバイス10は、磁気軸受14によって浮上させることができ、および/またはエネルギーを回転運動エネルギーとして貯蔵するように適合することができる回転式または回転可能なフライホイール12を含むことができる。原動機/発電機などの入力/出力デバイス18と動作可能に結合することができる磁気駆動装置16によって、エネルギーをフライホイール12に供給し、またはフライホイール12から取り出すことができる。入力/出力デバイス18は、エネルギー源20(例えば、太陽電池パネル、風力タービンなど)および/またはエネルギー消費機器22(例えば、電灯、コンピュータなど)と動作可能に結合することができる。
【0012】
いくつかのFESデバイスは、フライホイールを高回転数に加速することによって、エネルギーを回転運動エネルギーの形で貯蔵するように適合することができる。いくつかのFESデバイスでは、フライホイールを減速することによって、および/またはフライホイールの回転運動エネルギーを電気エネルギーなど別の形のエネルギーに変換することによって、エネルギーをシステムから抽出することができる。
【0013】
フライホイールがエネルギーをエネルギー消費用途に供給していないときであっても、フライホイールと1つまたは複数の機械的軸受との摩擦によって、FESデバイスがエネルギーを損失することがある(例えば、摩擦によって)。いくつかのFESデバイスでは、外部電源が摩擦によって損失したエネルギーを回復することができる。しかし、これはFESデバイスの運転費用を増加させることがある。
【0014】
本開示は、磁気軸受によって支持されるフライホイールをFESデバイスでの使用に適合させることができ、磁気軸受を含むFESデバイスの操作を、機械的軸受を含むFESデバイスより効率的および/または低コストとすることができることを企図している。特に、機械的軸受の代わりに磁気軸受を使用することによって、摩擦によるエネルギー損失を低減することができる。例えば、一部の磁気軸受におけるエネルギー損失は、一部の機械的軸受より、約100分の1の小さいものとすることができる。さらに、これらは何らかの機械的な力を受けなくてもよいため、一部の磁気軸受は、一部の機械的軸受より、保守の必要が少なく、および/または長く使用することができる。また、一部の磁気軸受は、一部の機械的軸受より、回転速度が高く、回転速度がより高いことによって、いくつかのFESデバイスのエネルギー貯蔵密度を増加することができる。
【0015】
図2は、本明細書で説明される少なくともいくつかの実施形態に従って構成された、例示的なフライホイールエネルギー貯蔵デバイスの断面斜視図である。本開示による例示的なFES100は、フライホイールサブアセンブリ200、筐体サブアセンブリ300、および/または駆動サブアセンブリ400を含むことができる。フライホイールサブアセンブリ200は(例えば、軸201の周りで)回転可能とすることができ、および/またはフライホイールサブアセンブリ200の少なくとも一部を筐体サブアセンブリ300内に磁気的に支持するように、筐体サブアセンブリ300の支持磁石302と相互作用することができるフライホイール磁石202を含むことができる。フライホイールサブアセンブリ200は、少なくとも一部が、フライホイールサブアセンブリ200の少なくとも一部分を覆うことができるジャケット208を含むことができる。
【0016】
例示的なフライホイールサブアセンブリ200の少なくとも一部は、エネルギーを回転運動エネルギーの形で貯蔵することができるフライホイールサブアセンブリ200にエネルギーを入力し、および/またはフライホイールサブアセンブリ200からエネルギーを取り出すように、駆動サブアセンブリ400の駆動磁石402と相互作用することができる反磁性体(例えば、銅)から作製することができる。駆動サブアセンブリ400は、軸201に実質的に垂直および/または実質的に平行とすることができる全体的に矢印401によって示す方向で、フライホイールサブアセンブリ200に対して可動とすることができる。
【0017】
図3は、本明細書で説明される少なくともいくつかの実施形態に従って構成された、例示的なフライホイールサブアセンブリの斜視図である。図示されるように、例示的なフライホイールサブアセンブリ200は、全体的に円筒形のフライホイール磁石202、(全体的に円筒形とすることができる)ディスク204、および/または全体的に円筒形の支柱206を含むことができる。フライホイール磁石202、ディスク204、および/または支柱206は、フライホイールサブアセンブリ200が回転することができる軸201の周りに実質的に同軸および/または対称的に配置することができる。フライホイール磁石202は、例えばディスクおよび/またはリングに形成することができる、セラミックおよび/または希土類(例えば、ネオジムおよび/またはサマリウム−コバルト)磁石など、1つまたは複数の高強度磁石を含むことができる。図示されるように、いくつかの例示的なフライホイールサブアセンブリ200は、フライホイール磁石202の少なくとも一部がディスク204の下にくるように、および/または支柱206がディスク204から全体的に上向きに延びることができるように、作製することができる。いくつかの例示的な実施形態では、ジャケット208は、反磁性体を含むことができ、少なくとも一部がディスク204を覆うことができる。
【0018】
図4は、本明細書で説明される少なくともいくつかの実施形態に従って配置された、例示的な筐体サブアセンブリの断面斜視図である。例示的な筐体サブアセンブリ300は、リングおよび/またはドーナツ形の支持磁石302および/または円筒形および/または実質的に中空とすることができる筐体本体304を含むことができる。いくつかの例示的な実施形態では、支持磁石302および/または筐体本体304を、軸201の周りに実質的に同軸および/または対称的に配置することができる。筐体本体304は、フライホイールサブアセンブリ200の少なくとも一部分を中に受けることができる。支持磁石302は、例えばリングおよび/またはディスクに形成することができる、セラミックおよび/または希土類(例えば、ネオジムおよび/またはサマリウム−コバルト)磁石など、1つまたは複数の高強度磁石を含むことができる。
【0019】
いくつかの例示的な実施形態では、フライホイール磁石202および/または支持磁石302は、少なくとも一部がフライホイールサブアセンブリ200を浮上させることができる磁気軸受を形成することができる。フライホイール磁石202および/または支持磁石302は、それぞれの極が互いに反対になるように向けることができる。例えば、フライホイール磁石202のN極を全体的に下向きに向けることができ、および/または支持磁石302のN極を全体的に上向きに向けることができる。いくつかの例示的な実施形態では、フライホイール磁石202および/または支持磁石302のそれぞれのS極を、互いに反対になるようにすることができる。いくつかの例示的な実施形態では、フライホイールサブアセンブリ200を、機械的軸受を使用することなく、筐体サブアセンブリ300内で磁気浮上させることができる。
【0020】
いくつかの例示的な実施形態では、筐体本体304の少なくとも一部を、実質的に非磁性材料から作製することができる。例えば、筐体本体304は、少なくとも一部を、KEVLAR(登録商標)(軽量、強度なパラアラミド合成繊維)および/または他の非導電性、非磁性材料から作製することができる。いくつかの例示的な筐体本体304は、フライホイールサブアセンブリ200の突発的故障時に、少なくともいくつかの断片保護を提供する材料から作製することができる。
【0021】
図5は、本明細書で説明される少なくともいくつかの実施形態に従って構成された、例示的な駆動サブアセンブリの斜視図である。例示的な駆動サブアセンブリ400は、全体的に環状の駆動磁石402および/または歯車404(および/または駆動磁石402を入力/出力デバイス18と結合するように適合されたいくつかの他の適切なエネルギー伝達部品)を含むことができる。いくつかの例示的な実施形態では、駆動磁石402および/または歯車404は、軸201の周りに実質的に同軸および/または対称的に配置することができる。いくつかの例示的な実施形態では、駆動磁石402および/または歯車404は、フライホイールサブアセンブリ200の支柱206の少なくとも一部分の周りに配置することができる。したがって、いくつかの例示的な実施形態では、フライホイールサブアセンブリ200の少なくとも一部を、(全体的にフライホイールサブアセンブリ200の下にある)支持磁石302と(全体的にフライホイールサブアセンブリ200のディスク204の上にある)駆動磁石402の間に配置することができる。
【0022】
いくつかの例示的な実施形態では、駆動磁石402は、全体的に環状構成に配置することができる、セラミックおよび/または希土類(例えば、ネオジムおよび/またはサマリウム−コバルト)磁石など、1つまたは複数の高強度磁石を含むことができる。駆動磁石402は、駆動磁石402および歯車404が一体で回転するように、歯車404に結合することができる。歯車404は、入力/出力デバイス18からフライホイールサブアセンブリ200へ、および/またはフライホイールサブアセンブリ200から入力/出力デバイス18へ、エネルギーの伝達を可能にするように、入力/出力デバイス18に動作可能に結合することができる。より詳細には、いくつかの例示的な実施形態では、歯車404は、入力/出力デバイス18に関連付けられた歯車に係合するように適合することができ、歯車404の回転によってエネルギーを入力/出力デバイス18へ、および/または入力/出力デバイス18から、伝達することができるようになっている。例えば、歯車404は、原動機/発電機のシャフトに関連付けられた歯車に係合するように適合することができ、それにより、歯車404および電動機/発電機を動作可能に結合する。
【0023】
いくつかの例示的な実施形態では、フライホイール磁石202および/または支持磁石302を含む磁気軸受は、フライホイールサブアセンブリ200がさまざまな回転速度ωで回転するとき、フライホイールサブアセンブリ200を安定的に支持するように適合することができる。いくつかの例示的な実施形態では、フライホイールサブアセンブリ200を、少なくとも約ωlowから3*ωlowの範囲で回転しながら、安定的に支持することができる。フライホイールの貯蔵されたエネルギー(例えば、その回転運動エネルギー、Krotation)は、その回転速度の二乗に比例することができるので、ωlowから3*ωlowの範囲の安定した回転速度は、少なくともKrotation(ωlow)から9*Krotation(ωlow)の安定したエネルギー貯蔵をもたらすことができる。
【0024】
いくつかの例示的な実施形態では、駆動サブアセンブリ400は、フライホイールからエネルギーを追加および/または除去するように適合させることができる。上記の通り、いくつかの例示的な実施形態では、ディスク204の少なくとも一部を反磁性体から作製することができ、および/または駆動磁石402の少なくとも一部を磁性材料から作製することができる。いくつかの例示的な実施形態は、駆動サブアセンブリ400(例えば、駆動磁石402)および/またはフライホイールサブアセンブリ200(例えば、ディスク204)の間に力を加えるように、電磁誘導を使用することができる。例えば、駆動磁石402は、ディスク204に関連付けられた反磁性体を通って実質的に接線となり得る磁力(a magnetic force that may be substantially tangential)を加えるように構成することができ、したがってその力に実質的に垂直な電流を誘導することができ、実質的な回転磁場を形成する。いくつかの例示的な実施形態は、単一部品の駆動磁石402を含むことができ、および/またはいくつかの例示的な実施形態は、互いに接するように構成することができる複数の磁石を含む駆動磁石402を含むことができる。いくつかの例示的な実施形態では、複数の磁石を含む駆動磁石402は、単一部品の駆動磁石402より安価に作製することができる。
【0025】
いくつかの例示的な実施形態では、駆動磁石402および/またはディスク204に関連付けられた反磁性体(例えば、反磁性ジャケット208)は、磁気誘導駆動装置を含むことができる。いくつかの例示的な実施形態では、フライホイールサブアセンブリ200に対する駆動サブアセンブリ400の位置は調整可能とすることができる。特に、駆動磁石402を、フライホイールサブアセンブリ200の反磁性体(例えば、反磁性ジャケット208)に磁気的に係合するように、軸方向に下げることができる。駆動アセンブリ400とフライホイールサブアセンブリ200の磁気結合の程度を、介在する距離を増加または減少することによって、調整することができる。例えば、フライホイールサブアセンブリ200と駆動磁石402との間の磁気結合を増大するために、駆動磁石402をフライホイールサブアセンブリ200のディスク204に近付けるように動かすことができる。同様に、駆動磁石402をフライホイールサブアセンブリ200のディスク204から遠ざけることによって、磁気結合を低減することができる。いくつかの例示的な実施形態では、駆動サブアセンブリ400とフライホイールサブアセンブリ200との間の磁気結合を増大および/または低減することによって、駆動サブアセンブリ400に関連付けられたトルクを変化させることができる。いくつかの例示的な実施形態では、駆動サブアセンブリ400を、フライホイールサブアセンブリ200に機械的に係合することなく、フライホイールサブアセンブリ200に磁気的に係合することができ、および/または駆動サブアセンブリ400は、フライホイールサブアセンブリ200と異なる回転速度で動作することができる。いくつかの例示的な実施形態では、駆動磁石402とフライホイールサブアセンブリ200との磁気結合を変化させることによって、駆動サブアセンブリ400とフライホイールサブアセンブリ200との間に与えられるトルクを変化させることができる。
【0026】
例示的な磁気駆動装置を使用して、エネルギーを回転するフライホイールサブアセンブリ200へ入力し、および/またはフライホイールサブアセンブリ200から取り出すことができる。例えば、エネルギーを入力することは、フライホイールサブアセンブリ200の回転速度より大きい回転速度で駆動磁石402を回転することを含むことができる。駆動磁石402は、磁気結合を増大するために、フライホイールサブアセンブリ200に近付けることができる。駆動磁石402は、フライホイールサブアセンブリ200にトルクを与えることができ、および/またはフライホイールサブアセンブリ200の回転速度を増加することができる。フライホイールサブアセンブリ200の回転速度は、駆動磁石402の回転速度と実質的に等しくなるまで、増加することができる。本開示は、フライホイールサブアセンブリ200の回転速度が駆動磁石402の回転速度と実質的に等しい場合であっても、誘導磁気駆動装置に固有となり得るスリップによって、回転速度が正確に等しくないこともあることを企図している。
【0027】
いくつかの例示的な実施形態からエネルギーを取り出すことは、上記と同様の方法で達成することができる。フライホイールサブアセンブリ200の回転速度より小さい回転速度を有することがあり得る駆動磁石402は、磁気結合を増大するために、フライホイールサブアセンブリ200に向かって移動することができる。フライホイールサブアセンブリ200は、(駆動磁石402を介して)駆動サブアセンブリ400にトルクを与えることができ、入力/出力デバイス18に伝達することができる。
【0028】
いくつかの例示的な実施形態は、いくつかの動作条件で、フライホイールサブアセンブリ200と他の構成部品を機械的に結合することなく、動作させるように構成することができる。言い換えると、FESデバイス100は、自由浮動フライホイール設計とすることができる。そのような設計は、機械的軸受および/または駆動機構とフライホイールとの機械的結合を含むことがある、他のFESデバイスに存在する機械的抗力を低減し、または排除することができる。いくつかの例示的な実施形態では、磁気軸受がフライホイールサブアセンブリ200を安定的に支持しない回転速度でフライホイールサブアセンブリ200が動作されるとき、アクティブサスペンション(機械的軸受を含むことができる)を使用することができる。
【0029】
本開示は、フライホイールの貯蔵された運動エネルギーが質量に比例し、半径の二乗に比例し、および/または回転速度の二乗に比例することができることを企図している。求心力は、回転速度の二乗に比例し、および/または半径に比例することができる。フライホイールの半径を2倍にすることによって、貯蔵されるエネルギーを4倍にすることができ、一方、フライホイールへの求心力は2倍になるだけである。対照的に、同じフライホイールで、速度を2倍にすると、エネルギーは同じく4倍になるが、求心力も4倍になり得る。したがって、フライホイールの半径を2倍にすることによって、フライホイールの速度を2倍にするのと同じエネルギー貯蔵を、より小さいフライホイール内の力(例えば、求心力)で、提供することができる。
【0030】
本開示は、比較的低い回転速度で動作するFESデバイスが、比較的高い回転速度で動作するFESデバイスに対して、他の利点ももたらすことができることを企図している。いくつかの状況では、回転の遅いデバイスでは許容可能な公差が比較的大きくなり得るので、例えば、大きく、回転の遅いアセンブリはより簡単に作製することができる。また、より回転速度の高いデバイスより、回転の遅いデバイスのほうが、空気抗力が実質的に小さくなり得る。いくつかの例示的な実施形態では、フライホイールの縁部付近の渦は実質的に排除することができる。
【0031】
本開示によるいくつかの例示的なFESデバイスは、非常に大きい直径(したがって、速度の二乗ではなく、半径の二乗によるエネルギースケールの特性を使用する)および/または重いフライホイールを含むことができる。例えば、本開示によるいくつかのフライホイールは、直径約1〜50メートル、直径約1〜20メートル、および/または直径約5〜15メートルとすることができる。本開示によるいくつかのフライホイールは、質量約500〜50,000メートルトン、約5,000〜15,000メートルトン、および/または約10,000〜35,000メートルトンを有することができる。いくつかの例示的な実施形態は、風力および/または太陽熱発電所など、間欠的および/または遅い/少量の電源からのピーク/過剰エネルギー出力を貯蔵するために使用することができる。
【0032】
本開示による例示的なFES100は、直径約40mおよび/または厚さ約10mのディスク204(例えば、図3参照)を含む、フライホイールサブアセンブリ200を含むことができる。ディスク204は、厚さ約5cmの銅ジャケット208などの反磁性体を含む、ジャケット208(例えば、図2参照)を含むことができる。そのような例示的なフライホイールサブアセンブリ200は、約91メガワット時間の回転運動エネルギーを有することができる約3600RPMで回転することができる。91メガワット時間のエネルギーは、1時間あたり2000ワットの米国世帯の消費率を約7年間持続することができる。
【0033】
いくつかの例示的なフライホイールサブアセンブリは、鉄筋強化コンクリートから作製することができ、求心力が鉄筋の引張強度を超えないようにすることができる。いくつかの例示的なフライホイールサブアセンブリは、鋳鉄、劣化ウラン、および/または1つまたは複数の金属(アルミニウム、鋳鉄、鋼鉄など)および/または1つまたは複数の非金属(炭素繊維、ガラス繊維、麻などのエポキシド天然繊維)などの製品の組合せなど、他の材料から作製することができる。いくつかの例示的なフライホイールサブアセンブリは、砂、土、および/または水などの不活性材料を含むハウジングを含むことができる。
【0034】
図6は、本開示の少なくともいくつかの実施形態によるフライホイールエネルギー貯蔵デバイスを使用する例示的な方法500を示すフローチャートである。方法500は、ブロック502、504および/または506によって示すように、1つまたは複数の動作、作用または機能を含むことができる。ブロック502は、磁気軸受によって浮上するフライホイールの回転速度と異なることができる回転速度で駆動磁石を回転することを含むことができる。ブロック502には、ブロック504を続けることができる。ブロック504は、駆動磁石をフライホイールに向かって移動することによって、駆動磁石とフライホイールとの間の磁気結合を増大させることを含むことができる。ブロック504には、ブロック506を続けることができる。ブロック506は、駆動磁石を使用してフライホイールにトルクを与えることを含むことができる。
【0035】
本明細書に記載された主題は、さまざまなコンポーネントをしばしば例示しており、これらのコンポーネントは、他のさまざまなコンポーネントに包含されるか、または他のさまざまなコンポーネントに結合される。そのように図示されたアーキテクチャは、単に例にすぎず、実際には、同じ機能を実現する多くの他のアーキテクチャが実装可能であることが理解されよう。概念的な意味で、同じ機能を実現するコンポーネントの任意の構成は、所望の機能が実現されるように効果的に「関連付け」される。したがって、特定の機能を実現するために組み合わされた、本明細書における任意の2つのコンポーネントは、アーキテクチャまたは中間のコンポーネントにかかわらず、所望の機能が実現されるように、お互いに「関連付け」されていると見ることができる。同様に、そのように関連付けされた任意の2つのコンポーネントは、所望の機能を実現するために、互いに「動作可能に接続」または「動作可能に結合」されていると見なすこともでき、そのように関連付け可能な任意の2つのコンポーネントは、所望の機能を実現するために、互いに「動作可能に結合できる」と見なすこともできる。動作可能に結合できる場合の具体例には、物理的にかみ合わせ可能な、および/もしくは物理的に相互作用するコンポーネント、ならびに/またはワイヤレスに相互作用可能な、および/もしくはワイヤレスに相互作用するコンポーネント、ならびに/または論理的に相互作用する、および/もしくは論理的に相互作用可能なコンポーネントが含まれるが、それらに限定されない。
【0036】
本明細書における実質的にすべての複数形および/または単数形の用語の使用に対して、当業者は、状況および/または用途に適切なように、複数形から単数形に、および/または単数形から複数形に変換することができる。さまざまな単数形/複数形の置き換えは、理解しやすいように、本明細書で明確に説明することができる。
【0037】
通常、本明細書において、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本体部)において使用される用語は、全体を通じて「オープンな(open)」用語として意図されていることが、当業者には理解されよう(例えば、用語「含む(including)」は、「含むがそれに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、用語「有する(having)」は、「少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、用語「含む(includes)」は、「含むがそれに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきである、など)。導入される請求項で具体的な数の記載が意図される場合、そのような意図は、当該請求項において明示的に記載されることになり、そのような記載がない場合、そのような意図は存在しないことが、当業者にはさらに理解されよう。例えば、理解の一助として、添付の特許請求の範囲は、導入句「少なくとも1つの(at least one)」および「1つまたは複数の(one or more)」を使用して請求項の記載を導くことを含む場合がある。しかし、そのような句の使用は、同一の請求項が、導入句「1つまたは複数の」または「少なくとも1つの」および「a」または「an」などの不定冠詞を含む場合であっても、不定冠詞「a」または「an」による請求項の記載の導入が、そのように導入される請求項の記載を含む任意の特定の請求項を、単に1つのそのような記載を含む発明に限定する、ということを示唆していると解釈されるべきではない(例えば、「a」および/または「an」は、通常、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味すると解釈されるべきである)。同じことが、請求項の記載を導入するのに使用される定冠詞の使用にも当てはまる。また、導入される請求項の記載で具体的な数が明示的に記載されている場合でも、そのような記載は、通常、少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきであることが、当業者には理解されよう(例えば、他の修飾語なしでの「2つの記載(two recitations)」の単なる記載は、通常、少なくとも2つの記載、または2つ以上の記載を意味する)。さらに、「A、BおよびC、などの少なくとも1つ」に類似の慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、およびCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、ならびに/またはA、B、およびCを共に、などを有するシステムを含むが、それに限定されない)。「A、B、またはC、などの少なくとも1つ」に類似の慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、またはCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、ならびに/またはA、B、およびCを共に、などを有するシステムを含むが、それに限定されない)。2つ以上の代替用語を提示する事実上いかなる離接する語および/または句も、明細書、特許請求の範囲、または図面のどこにあっても、当該用語の一方(one of the terms)、当該用語のいずれか(either of the terms)、または両方の用語(both terms)を含む可能性を企図すると理解されるべきであることが、当業者にはさらに理解されよう。例えば、句「AまたはB」は、「A」または「B」あるいは「AおよびB」の可能性を含むことが理解されよう。
【0038】
以上、さまざまな態様および実施形態を本明細書で開示したが、他の態様および実施形態も、当業者には明らかであろう。本明細書で開示されたさまざまな態様および実施形態は、例示のためのものにすぎず、添付の特許請求の範囲によって示される真の範囲および趣旨を制限するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギーを回転運動エネルギーとして貯蔵するように構成されたフライホイールと、
前記フライホイールの回転を可能にしながら、前記フライホイールを浮上させるように構成された磁気軸受と、
エネルギーの前記フライホイールへの供給、および/または前記フライホイールからの取出しの一方または両方のために、前記フライホイールに選択的に磁気的に係合するように構成された磁気駆動装置とを含む、フライホイールエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項2】
前記磁気軸受が、前記フライホイールに取り付けられたフライホイール磁石および筐体に取り付けられた支持磁石を含み、
前記フライホイール磁石および前記支持磁石が、前記フライホイールの回転を可能にしながら、前記フライホイールを磁気浮上させるように相互作用するように構成されている、請求項1に記載のフライホイールエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項3】
前記磁気駆動装置が、前記フライホイールの回転速度に影響を与えるように、前記フライホイールに選択的に磁気的に係合するように適合された回転可能な駆動磁石を含む、請求項1に記載のフライホイールエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項4】
前記フライホイールの少なくとも一部が反磁性体から作製され、
前記駆動磁石と前記反磁性体との磁気結合の強さが調整可能となるように、前記駆動磁石が前記フライホイールに対して位置変更可能であるように構成されている、請求項3に記載のフライホイールエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項5】
前記フライホイールが実質的に垂直な軸の周りで回転可能となるように適合され、
前記駆動磁石が前記垂直軸に実質的に平行な方向に位置変更可能であるように構成されている、請求項4に記載のフライホイールエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項6】
前記駆動磁石が駆動歯車に機械的に結合され、前記駆動歯車が原動機および/または発電機の一方または両方に動作可能に結合される、請求項5に記載のフライホイールエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項7】
前記筐体磁石以外の前記筐体が、実質的に非磁性材料から作製される、請求項1に記載のフライホイールエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項8】
エネルギーを回転運動エネルギーとして貯蔵するように構成され、フライホイール磁石および反磁性体を含むフライホイールと、
前記フライホイールを磁気浮上させるように、前記フライホイール磁石と磁気的に相互作用するように構成された1つまたは複数の支持磁石と、
1つまたは複数の回転可能な駆動磁石であって、前記駆動磁石と前記反磁性体との間の磁気結合を変化させるように、前記フライホイールに対して可動に配置された駆動磁石とを含む、フライホイールエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項9】
前記フライホイールおよび前記1つまたは複数の支持磁石が、実質的に非磁性の筐体内に取り付けられている、請求項8に記載のフライホイールエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項10】
前記フライホイールが、実質的に垂直な軸の周りで回転可能となるように構成され、
前記駆動磁石と前記反磁性体との間の磁気結合を変化させるように、前記駆動磁石が、前記垂直軸に実質的に平行な方向に位置変更可能であるように構成されている、請求項8に記載のフライホイールエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項11】
前記フライホイール磁石および前記1つまたは複数の支持磁石が、互いに反発するように向けられている、請求項8に記載のフライホイールエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項12】
前記1つまたは複数の支持磁石が輪形磁石を含む、請求項8に記載のフライホイールエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項13】
前記1つまたは複数の回転可能な駆動磁石が、実質的に環状構成に配置された複数の駆動磁石を含む、請求項8に記載のフライホイールエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項14】
前記1つまたは複数の支持磁石が複数の支持磁石を含む、請求項8に記載のフライホイールエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項15】
フライホイールエネルギー貯蔵デバイスを操作する方法であって、
磁気軸受によって浮上するフライホイールの回転速度と異なる回転速度で駆動磁石を回転することと、
前記駆動磁石を前記フライホイールに向かって移動することによって、前記駆動磁石と前記フライホイールとの間の磁気結合を増大することと、
前記駆動磁石を使用して、前記フライホイールにトルクを与えることとを含む方法。
【請求項16】
前記駆動磁石と前記フライホイールとの間の磁気結合を増大することが、前記駆動磁石を前記フライホイールに関連付けられた反磁性体に向かって移動することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記駆動磁石に関連付けられた回転速度が前記フライホイールの回転速度より大きく、
前記フライホイールにトルクを与えることが、前記フライホイールの回転運動エネルギーを増加することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記駆動磁石に動作可能に結合された入力/出力デバイスを使用して、電気エネルギーを前記フライホイールの回転運動エネルギーに変換することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記駆動磁石に関連付けられた回転速度が前記フライホイールの回転速度より小さく、
前記フライホイールにトルクを与えることが、前記フライホイールの回転運動エネルギーを減少することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記駆動磁石に動作可能に結合された入力/出力デバイスを使用して、前記フライホイールの回転運動エネルギーを電気エネルギーに変換することをさらに含む、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−514054(P2013−514054A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544506(P2012−544506)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/054379
【国際公開番号】WO2011/075223
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(509348786)エンパイア テクノロジー ディベロップメント エルエルシー (117)
【Fターム(参考)】