説明

神経変性障害の治療のためのチアジアゾール−アミン化合物

本発明は、式(I)の化合物に関し、ここでR1、R3、R5、R7、X、Y及びUは定義される通りである。式(I)の化合物は、Aβ−ペプチドの生成を阻害する活性を有する。本発明はまた、式(I)の化合物を含み、哺乳動物における疾患及び障害、例えば神経変性障害及び/又は神経障害、例えばアルツハイマー病を治療するための医薬組成物及び方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2004年4月1日に出願された米国仮出願シリアル番号60/558,777の利益を請求する。
【0002】
発明の分野
本発明は、ヒトを含む哺乳動物における神経変性障害及び/又は神経障害、例えばアルツハイマー病の治療に関する。本発明はまた、ヒトを含む哺乳動物において、アミロイドタンパク質の神経学的沈着物の形成に寄与する可能性のあるAβ−ペプチドの生成を阻害することに関する。より詳細には、本発明は、チアジアゾール−アミン化合物、そのような化合物を含む医薬組成物、及びそのような化合物を用いる方法に関し、即ちAβ−ペプチド生成と関連する神経変性障害及び/又は神経障害、例えばアルツハイマー病を治療するための前記医薬組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
痴呆は、多種多様な特有の病理学的過程の結果として生じる。痴呆を引き起こす最も一般的な病理学的過程は、アルツハイマー病(AD)、脳アミロイド血管障害(CAA)及びプリオンが仲介する疾患である。85歳を過ぎた全ての人々の約半分がADに冒され、この年齢層は、アメリカ合衆国の人口の最も急速に増えている部分である。当然そのようなものとして、アメリカ合衆国におけるADの患者数は、次世紀の中程までには約4百万人から約1千4百万人まで増加することが予想される。
【0004】
ADの治療は、典型的には、付添家族によって提供される支援である。定期的な刺激による記憶訓練は、記憶の喪失を停止はさせないが、遅延させることが示されている。いくつかの薬剤、例えばアリセプト(Aricept)(商標)は、ADの治療を援助する。
【0005】
ADの特徴は、アミロイドプラークと呼ばれる細胞外の不溶性沈着物の脳内蓄積及び神経原線維変化と呼ばれる神経細胞内の異常病変である。プラーク形成の増加は、ADの危険度の増加と関係がある。実は、アミロイドプラークの存在は、神経原線維変化と並んで、ADの決定的な病理学的診断の基礎となる。
【0006】
アミロイドプラークの主成分は、Aβ−ペプチドとも呼ばれるアミロイドAβ−ペプチドであり、Aβ1-38、Aβ1-40、Aβ1-42及びAβ1-43ペプチドと称する、それぞれ38個、40個、42個又は43個のアミノ酸を含むいくつかのタンパク質からなる。Aβ−ペプチドは、部分的には、それらがインビトロ及びインビボでニューロンに対して毒性があるため、神経細胞の破壊を引き起こすと考えられる。
【0007】
これらのAβペプチドは、APP695、APP714、APP751及びAPP771と称する、それぞれ695個、714個、751個又は771個のアミノ酸を含有する4種のタンパク質からなる、より大きなアミロイド前駆体タンパク質(APPタンパク質)から誘導される。プロテアーゼ(複数)が、様々なAPPタンパク質内の特定のアミノ酸配列を切断することによってAβペプチドを生成すると信じられている。プロテアーゼは、それらによって生成されるAβ−ペプチドが細胞によって細胞外環境へ分泌されるために、「セクレターゼ」と命名される。これらのセクレターゼは、Aβペプチドを生成するたにそれらが作製する切断物(複数)に従って、それぞれ命名される。Aβ−ペプチドのアミノ末端を形成するセクレターゼは、ベータ−セクレターゼと呼ばれる。Aβ−ペプチドのカルボキシル末端を形成するセクレターゼは、ガンマー−セクレターゼと呼ばれる。
【発明の開示】
【0008】
本発明は、Aβ−ペプチド生成を阻害する新規化合物、そのような化合物を含む医薬組成物、及び神経変性障害及び/又は神経障害を治療するためのそのような化合物を用いる方法に関する。
【0009】
発明の概要
本発明は、式I:
【化1】

[式中、X、Y及びUを含有する5員環は、芳香族環であり、下記の式I−AないしI−F:
【化2】

において記述されるように、X、Y及びUの1つは、S又はOであり、かつ、X、Y及びUのその他の2つは、Nであり、
1は、−C1−C20アルキル、−C2−C20アルケニル、−C2−C20アルキニル、−C3−C20シクロアルキル、−C4−C20シクロアルケニル、−(C7−C20)ビ−若しくはトリシクロアルキル、−(C7−C20)ビ−若しくはトリシクロアルケニル、−(3−20員)ヘテロシクロアルキル、−(7−11員)ヘテロビシクロアルキル、−C6−C20アリール及び−(5−20員)ヘテロアリールから選択され;
ここで、R1が、−C1−C20アルキル、−C2−C20アルケニル又は−C2−C20アルキニルである場合、R1は、場合により、独立して、1ないし6個の−F、又は基R1aから独立に選択される1ないし3個の置換基で置換され;
【0010】
そして、R1が、−C3−C20シクロアルキル、−C4−C20シクロアルケニル、−(C7−C20)ビ−若しくはトリシクロアルキル、−(C7−C20)ビ−若しくはトリシクロアルケニル、−(3−20員)ヘテロシクロアルキル、−(7−11員)ヘテロビシクロアルキル、−C6−C20アリール又は(5−20員)ヘテロアリールである場合、R1は、場合により、独立して、基R1bから独立に選択される1ないし3個の置換基で置換され;
1aは、それぞれの場合において、独立して、−OH、−C1−C12アルキル、−C2−C12アルケニル、−C2−C12アルキニル、−C1−C6アルコキシ、−C2−C6アルケノキシ、−C2−C6アルキノキシ、−Cl、−Br、−I、−CN、−NO2、−NR910、−C(=O)NR910、−C(=O)R11、−C(=O)OR12、−SO2−NR910、−S(O)n−R11、−C3−C15シクロアルキル、−C4−C15シクロアルケニル、−(C5−C11)ビ−若しくはトリシクロアルキル、−(C7−C11)ビ−若しくはトリシクロアルケニル、−(4−20員)ヘテロシクロアルキル、−C6−C15アリール、−(5−15員)ヘテロアリール、−C6−C15アリールオキシ及び−(5−15員)ヘテロアリールオキシから選択され、ここで、前記R1aのアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケノキシ及びアルキノキシは、それぞれ、場合により、独立して、−F、−Cl、−Br、及び−Iから独立に選択される1ないし3個の置換基で置換され、そして、前記R1aのシクロアルキル、シクロアルケニル、ビ−若しくはトリシクロアルキル、ビ−若しくはトリシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ及びヘテロアリールオキシは、それぞれ、場合により、独立して、基R1bから独立に選択される1ないし3個の置換基で置換され;
【0011】
1bは、それぞれの場合において、独立して、−OH、−C1−C6アルキル、−C2−C6アルケニル、−C2−C6アルキニル、−C1−C6アルコキシ、−C2−C6アルケノキシ、−C2−C6アルキノキシ、−C1−C6ヒドロキシアルキル、−F、−Cl、−Br、−I、−CN、−NO2、−NR910、−C(=O)NR910、−C(=O)R11、−SO2NR910、−S(O)n−R11、−C6−C15アリールオキシ及び−(5−15員)ヘテロアリールオキシから選択され、ここで、前記R1bのアルキル、アルケニル及びアルキニルは、それぞれ、場合により、独立して、1ないし6個の−F、又は−C1−C4アルコキシから独立に選択される1ないし2個の置換基、又は−OHで置換され;
【0012】
9及びR10は、それぞれの場合において、それぞれ独立して、−H、−C1−C12アルキル、−C2−C12アルケニル、−C2−C12アルキニル、−CF3、−C(=O)R11、−C(=O)NR1112、−C(=O)OR12、−S(O)n−R11、−SO2−NR1112、−(Cゼロ−C4アルキレン)−(C3−C20シクロアルキル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−(C4−C8シクロアルケニル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−((C5−C11)ビ−若しくはトリシクロアルキル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−((C7−C11)ビ−若しくはトリシクロアルケニル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−((5−10員)ヘテロシクロアルキル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−(C6−C10アリール)及び−(Cゼロ−C4アルキレン)−((5−10員)ヘテロアリール)から選択され、ここで、前記R9及びR10のアルキル、アルケニル及びアルキニルは、それぞれ、場合により、独立して、1ないし6個の−F、又は−C1−C4アルコキシから独立に選択される1ないし2個の置換基、又は−OHで置換され、そして、前記R9及びR10のシクロアルキル、シクロアルケニル、ビ−若しくはトリシクロアルキル、ビ−若しくはトリシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリールは、それぞれ、場合により、独立して、−OH、−C1−C12アルキル、−C2−C12アルケニル、−C2−C12アルキニル、−C1−C6アルコキシ、−C2−C6アルケノキシ、−C2−C6アルキノキシ、−C1−C6ヒドロキシアルキル、−F、−Cl、−Br、−I、−CN、−NO2、−CF3、−NH2、−C(=O)NH2、−C(=O)H、−C(=O)OH及び−SO2−NH2から独立に選択される1ないし3個の置換基で置換され、ここで、前記R9及びR10のアルキル、アルケニル及びアルキニル置換基は、それぞれ、場合により、独立して、1ないし6個の−F、又は−C1−C4アルコキシから独立に選択される1ないし2個の置換基、又は−OHでさらに置換され;
【0013】
又は、NR910は、それぞれの場合において、独立して、場合により、−(4−10員)ヘテロシクロアルキル又は−(4−10員)ヘテロシクロアルケニルを形成してもよく、ここで、前記ヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルケニルは、それぞれ、場合により、N、O及びSから独立に選択される1ないし2個の更なるヘテロ原子を含有し、そして、ここで、NR910のヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルケニル部分の炭素原子は、場合により、独立して、−OH、−C1−C12アルキル、−C2−C12アルケニル、−C2−C12アルキニル、−C1−C6アルコキシ、−C2−C6アルケノキシ、−C2−C6アルキノキシ、−F、−Cl、−Br、−I、−CF3、−NH2、−C(=O)NH2、−C(=O)R11、−SO2−NH2、−S(O)n−R11、−(Cゼロ−C4アルキレン)−(C6−C10シクロアルキル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−((5−10員)ヘテロシクロアルキル、−(Cゼロ−C4アルキレン)−(C6−C10アリール)及び−(Cゼロ−C4アルキレン)−((5−10員)ヘテロアリール)から独立に選択される1ないし3個の置換基で置換され、そして、ここで、前記NR910の−(4−10員)ヘテロシクロアルキル及び−(4−10員)ヘテロシクロアルケニルの窒素原子は、それぞれ、場合により、独立して、−C1−C12アルキル、−C2−C12アルケニル、−C2−C12アルキニル、−C(=O)NH2、−C(=O)R11、−SO2−NH2、−S(O)n−R11、−(Cゼロ−C4アルキレン)−(C6−C10シクロアルキル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−((5−10員)ヘテロシクロアルキル、−(Cゼロ−C4アルキレン)−(C6−C10アリール)及び−(Cゼロ−C4アルキレン)−((5−10員)ヘテロアリール)から独立に選択される1個の置換基で置換され、そして、ここで、前記NR910のアルキル、アルケニル及びアルキニル置換基は、それぞれ、場合により、独立して、1ないし6個の−F、又は−C1−C4アルコキシから独立に選択される1ないし2個の置換基、又はOHでさらに置換され;
【0014】
11及びR12は、それぞれの場合において、独立して、−C1−C15アルキル、−C2−C6アルケニル、−C2−C6アルキニル、−(Cゼロ−C4アルキレン)−(C3−C15シクロアルキル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−(C4−C8シクロアルケニル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−((C5−C11)ビ−若しくはトリシクロアルキル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−((C7−C11)ビ−若しくはトリシクロアルケニル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−((5−15員)ヘテロシクロアルキル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−(C6−C15アリール)及び−(Cゼロ−C4アルキレン)−((5−10員)ヘテロアリール)から選択され;
ここで、R11及びR12は、それぞれ、場合により、独立して、−OH、−C1−C12アルキル、−C2−C12アルケニル、−C2−C12アルキニル、−C1−C6アルコキシ、−C2−C6アルケノキシ、−C2−C6アルキノキシ、−C1−C6ヒドロキシアルキル、−F、−Cl、−Br、−I、−CN、−NO2、−CF3、−NR1415、−(C=O)NR1415、−C(=O)H、−C(=O)OH、−C(=O)O(C1−C6アルキル)及び−SO2NR1415から独立に選択される1ないし3個の置換基で置換され、ここで、前記R11及びR12のアルキル、アルケニル及びアルキニル置換基は、それぞれ、場合により、独立して、1ないし6個の−F、又は−C1−C4アルコキシから独立に選択される1ないし2個の置換基、又は−OHでさらに置換され;
3は、−C1−C3アルキル、−C2−C6アルケニル、−C2−C6アルキニル及び−(Cゼロ−C4アルキレン)−(C3−C6シクロアルキル)から選択され、ここで、前記R3のアルキル、アルケニル及びアルキニルは、それぞれ、場合により、独立して、−C1−C4アルコキシ、−OH及び−S(C1−C4アルキル)から独立に選択される置換基で置換され;
【0015】
5は、−H、−C1−C4アルキル、−C2−C4アルケニル、−C2−C4アルキニル、−C6−C10アリール及び−(5−20員)ヘテロアリールから選択され;
7は、−H、−C1−C20アルキル、−C2−C20アルケニル、−C2−C20アルキニル、−C1−C20アルコキシ、−C2−C20アルケノキシ、−C2−C20アルキノキシ、−F、−Cl、−Br、−I、−CN、−NO2、−OH、−CF3、−NR910、−C(=O)NR910、−C(=O)R11、−CHO、−C(=O)OR12、−S(O)n−R11、−(Cゼロ−C4アルキレン)−(C3−C20シクロアルキル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−(C4−C20シクロアルケニル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−((C10−C20)ビ−若しくはトリシクロアルキル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−((C10−C20)ビ−若しくはトリシクロアルケニル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−((3−20員)ヘテロシクロアルキル、−(Cゼロ−C4アルキレン)−((5−20員)ヘテロシクロアルケニル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−((5−20員)ヘテロシクロアルキニル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−(C6−C15アリール)及び−(Cゼロ−C4アルキレン)−((5−15員)ヘテロアリール)から選択され;
【0016】
ここで、R7は、場合により、独立して、1ないし6個の−F、又は基R1aから独立に選択される1ないし3個の置換基で置換され;そして、
nは、それぞれの場合において、0、1及び2から独立に選択される整数である]
の化合物、又はそのような化合物の薬学的に許容される塩に関する。
【0017】
式Iの化合物は、光心を有することができ、したがって、異なった鏡像配置及びジアステレオ配置で存在することができる。本発明は、そのような式Iの化合物の全ての鏡像異性体、ジアステレオマー、及び他の立体異性体、並びにラセミ化合物及びラセミ混合物及びその他の立体異性体の混合物を含む。
【0018】
式Iの化合物の薬学的に許容される塩は、その酸付加塩及び塩基性塩を含む。
適した酸付加塩は、非毒性塩を形成する酸から形成される。例は、限定されないが、酢酸、アジピン酸、アスパラギン酸、安息香酸、ベシル酸、重炭酸/炭酸、重硫酸/硫酸、ホウ酸、カムシル酸、クエン酸、シクラミン酸、エジシル酸、エシル酸、ギ酸、フマル酸、グルセプテート、グルコン酸、グルクロン酸、ヘキサフルオロリン酸、ヒベンズ酸、塩酸/塩化物、臭化水素酸/臭化物、ヨウ化水素酸/ヨウ化物、イセチオン酸、乳酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、メシル酸、メチル硫酸、ナフチル酸、2−ナプシル酸、ニコチン酸、硝酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸/一水素、リン酸/二水素、リン酸、ピログルタミン酸、サリチル酸、サッカレート、ステアリン酸、コハク酸、スルホン酸、スズ酸、酒石酸、トシル酸、トリフルオロ酢酸及びキノホエート(xinofoate)の塩を含む。
【0019】
適した塩基性塩は、非毒性塩を形成する塩基から形成される。例は、限定されないが、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオラミン、グリシン、リジン、マグネシウム、メグルミン、オラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミン及び亜鉛の塩を含む。
【0020】
酸及び塩基のヘミ塩(hemisalt)はまた、形成されることができ、例えば、ヘミ硫酸及びヘミカルシウムの塩である。
適した塩に関する概要については、Stahl及びWermuthによるHandbook of Pharmaceutical Salts: Properties,Selection,and Use(Wiley−VCH,2002)を参照されたい。
【0021】
式Iの化合物の薬学的に許容される塩は、3つの方法:
(i)式Iの化合物と所望の酸又は塩基とを反応させることによって;
(ii)式Iの化合物の適した前駆体から酸若しくは塩基に不安定な保護基を除去することによって、又は適した環状前駆体、例えばラクトン又はラクタムを所望の酸若しくは塩基を用いて開環することによって;又は
(iii)適切な酸若しくは塩基との反応により、又は適したイオン交換カラムの手段により、式Iの化合物の1つの塩を別の塩に変換することによって
の1又はそれ以上によって調製することができる。
【0022】
3つ全ての反応は、典型的には、溶液中で実行される。得られた塩は沈殿し、ろ過によって回収するか、又は溶媒の減圧蒸留によって回収することができる。得られた塩におけるイオン化の程度は、完全にイオン化されたものからほとんどイオン化されていないものまで変化してもよい。
【0023】
本発明の化合物は、完全非結晶から完全結晶までの範囲の固体状態が一体となって存在することができる。用語「非結晶の」は、物質が分子レベルで長距離秩序を欠如し、温度に依存して、固体又は液体の物理的特性を提示することができる状態を意味する。典型的には、そのような物質は、特徴的なX線回折パターンを与えないが、一方で、固体の特性を提示し、より形式的には液体として表される。加熱により、固体から液体の特性へと変化が生じ、状態の変化、典型的には2次(「ガラス転移」)によって特徴付けられる。用語「結晶の」は、物質が分子レベルで規則正しい秩序ある内部構造を有し、明確なピークをもつ特徴的なX線回折パターンを与える固体相を意味する。そのような物質は、十分に加熱された場合、同時に液体の特性をも提示するであろうが、しかし、固体から液体への変化は、相変化、典型的には1次(「融点」)によって特徴付けられる。
【0024】
本発明の化合物はまた、未溶媒和形態及び溶媒和形態で存在することができる。用語「溶媒和」は、本明細書において、本発明の化合物と1又はそれ以上の薬学的に許容される溶媒分子、例えばエタノールを含む分子複合体を記述するために使用される。用語「水和」は、前記溶媒が水である場合に使用する。
【0025】
有機水和物について現在容認されている分類システムは、単離された部位、チャネル、又は金属イオンを配位した水和物を定義するものである−K.R.MorrisによるPolymorphism in Pharmaceutical Solids(H.G.Brittain,Marcel Dekker編集,1995)を参照されたい。単離された部位水和物は、有機分子を介入することによって、互いに直接接触から水分子が単離されるものである。チャネル水和物では、水分子が、他の水分子に隣接する格子チャネルに位置する。金属イオンを配位した水和物では、水分子は金属イオンと結合する。
【0026】
溶媒又は水が強固に結合している場合、複合体は、湿気とは無関係な明確に定義された化学量論を有するであろう。しかしながら、溶媒又は水が弱く結合している場合、チャネル溶媒和物及び吸湿性化合物において見られるように、水/溶媒成分は湿気及び乾燥条件に依存するであろう。そのような場合、非化学量論が基準となるであろう。
【0027】
本発明の化合物はまた、適した条件にさらされた場合、中間状態(中間相又は液晶)で存在することができる。中間状態は、真の結晶状態と真の液体状態(溶解物又は液体のいずれか)との間の中間である。温度変化の結果として起こる化学量論は、「屈熱性」として記述され、そして、第2成分、例えば水又は別の溶媒の付加に起因するものは、「離液性」として記述される。離液性中間相を形成する潜在能力を有する化合物は、「両親媒性」として記述され、イオン(−COO-Na+、−COO-+、若しくは−SO3-Na+のような)又は非イオン(−N-+(CH33のような)極性頭部基を有する分子からなる。詳細な情報については、N.H.Hartshorne及びA.StuartによるCrystals and the Polarizing Microscope,第4版(Edward Arnold,1970)。
【0028】
以下、式Iの化合物についての全ての言及は、その塩、溶媒和物、複数成分の複合体及び液晶への言及、そして、その塩の溶媒和物、複数成分の複合体及び液晶への言及を含む。
【0029】
本発明の化合物は、前記で定義される式Iの化合物を含み、その全ての多形体及び晶癖、以下に定義されるそのプロドラッグ及び異性体(光学異性体、幾何異性体及び互変異性体を含む)、及び同位体で標識した式Iの化合物を含む。
【0030】
他に示さない限り、本明細書で使用される用語「ハロゲン」及び「ハロ」は、F、Cl、Br、及びIを含む。
他に示さない限り、本明細書で使用される用語「アルキル」は、直線状または分枝部分を有する飽和一価炭化水素基を含む。アルキル基の例は、限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピルメチレン(−CH2−シクロプロピル)及びt−ブチルを含む。
【0031】
他に示さない限り、本明細書で使用される用語「アルケニル」は、アルキルが上記で定義される場合、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有するアルキル部分を含む。アルキニルの例は、限定されないが、エテニル及びプロペニルを含む。
他に示さない限り、本明細書で使用される用語「アルキニル」は、アルキルが上記で定義される場合、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有するアルキル部分を含む。アルケニルの例は、限定されないが、エチニル及び2−プロピニルを含む。
【0032】
他に示さない限り、本明細書で使用される用語「アルコキシ」は、「アルキル」が上記で定義される場合、「アルキル−O−」を意味する。「アルコキシ」基の例は、限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ及びアリルオキシを含む。
【0033】
他に示さない限り、本明細書で使用される用語「アルケノキシ」は、「アルキル」が上記で定義される場合、「アルケニル−O−」を意味する。
【0034】
他に示さない限り、本明細書で使用される用語「アルキノキシ」は、「アルキル」が上記で定義される場合、「アルキニル−O−」を意味する。
【0035】
他に示さない限り、本明細書で使用される用語「シクロアルキル」は、アルキルが上記で定義される場合、非芳香族飽和環状アルキル部分を含む。シクロアルキルの例は、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルを含む。「ビシクロアルキル」及び「トリシクロアルキル」基は、少なくとも1個の炭素原子を共有するそれぞれ2又は3個の環からなる非芳香族飽和環状アルキルである。「ビシクロアルキル」及び「トリシクロアルキル」基はまた、1つの環がアリール又はヘテロアリールであり、かつ、2つの炭素原子を共有するそれぞれ2又は3個の環からなる環状部分を含む。本発明の目的のために、そして、別の指示がない限り、ビシクロアルキル基は、スピロ基及び縮合環基を含む。ビシクロアルキル基の例は、限定されないが、ビシクロ−[3.1.0]−ヘキシル、ビシクロ−[2.2.1]−ヘプト−1−イル、ノルボルニル、スピロ[4.5]デシル、スピロ[4.4]ノニル、スピロ[4.3]オクチル、スピロ[4.2]ヘプチル、インダン、テラレン(teralene)、(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン)及び6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテンを含む。トリシクロアルキル基の例は、アダマンタニルである。
【0036】
他のシクロアルキル、ビシクロアルキル、及びトリシクロアルキル基が当該技術分野において知られ、そのような基は、本明細書において、定義「シクロアルキル」、「ビシクロアルキル」、及び「トリシクロアルキル」に包含される。「シクロアルケニル」、「ビシクロアルケニル」、及び「トリシクロアルケニル」は、炭素環構成員を連結させる1又はそれ以上の炭素−炭素二重結合(「環内」二重結合)及び/又は炭素環構成員と隣接する非環状炭素を連結させる1又はそれ以上の炭素−炭素二重結合(「環外」二重結合)をそれぞれ含むことを除き、上記で定義されるような、各々、非芳香族シクロアルキル、ビシクロアルキル、及びトリシクロアルキル部分を意味する。シクロアルケニル基の例は、限定されないが、シクロペンテニル、シクロブテニル、及びシクロヘキセニルを含む。ビシクロアルケニル基の限定されない例は、ノルボルネニルである。シクロアルキル、シクロアルケニル、ビシクロアルキル、及びビシクロアルケニル基はまた、1又はそれ以上のオキソ部分で置換される基を含む。オキソ部分を有するそのような基の例は、オキソシクロペンチル、オキソシクロブチル、オキソシクロペンテニル、及びノルカンホリルである。他のシクロアルケニル、ビシクロアルケニル、及びトリシクロアルケニル基は、当該技術分野において知られ、そのような基は、本明細書において、定義「シクロアルケニル」、「ビシクロアルケニル」及び「トリシクロアルケニル」に含まれる。
【0037】
他に示さない限り、本明細書で使用される用語「アリール」は、1個の水素の除去によって芳香族炭化水素から誘導される有機基、例えばフェニル(Ph)、ナフチル、インデニル、インダニル及びフルオレニルなどの有機基を含む。「アリール」は、少なくとも1個の環が芳香族である縮合環基を包含する。
【0038】
他に示さない限り、本明細書で使用される用語「ヘテロサイクリック」及び「ヘテロシクロアルキル」は、各々O、S及びNから選択される1又はそれ以上のヘテロ原子、好ましくは1ないし4個のヘテロ原子を含有する非芳香族環式基を意味する。「ヘテロビシクロアルキル」基は、環が1又は2個の原子を共有し、かつ、その環の少なくとも1つがヘテロ原子(O、S、又はN)を含有する非芳香族二環状環式基である。「ヘテロビシクロアルキル」基はまた、環の1つが1又は2個の原子を共有し、かつ、その環の少なくとも1つがヘテロ原子(O、S、又はN)を含有する二環状環式基を含む。他に示さない限り、本発明の目的のために、ヘテロビシクロアルキル基は、スピロ基及び縮合環基を含む。一態様において、ヘテロビシクロアルキル中の各環は、4個までのヘテロ原子(即ち、少なくとも1つの環が少なくとも1個のヘテロ原子を含有するという条件で、0ないし4個のヘテロ原子)を含有する。本発明のヘテロサイクリック基はまた、1又はそれ以上のオキソ部分で置換される環系を含むことが可能である。非芳香族ヘテロ環式基の例は、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼピニル、ピペラジニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリノ、チオモルホリノ、チオキサニル、ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1, 3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、キノリジニル、キヌクリジニル、1,4−ジオキサスピロ[4.5]デシル、1,4−ジオキサスピロ[4.4]ノニル、1,4−ジオキサスピロ[4.3]オクチル、及び1,4−ジオキサスピロ[4.2]ヘプチルである。
【0039】
他に示さない限り、本明細書で使用される用語「ヘテロアリール」は、O、S及びNから選択される、1又はそれ以上のヘテロ原子、好ましくは1ないし4個のヘテロ原子を含有する芳香族基を意味する。該基の少なくとも1つの環が芳香族である場合の1又はそれ以上のヘテロ原子を含有する多環式基は、「ヘテロアリール」基である。本発明のヘテロアリール基はまた、1又はそれ以上のオキソ部分で置換される環系を含むことができる。ヘテロアリール基の例は、ピリジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、キノリル、イソキノリル、1,2,3,4−テトラヒドロギノリル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、トリアジニル、1,2,4−トリアジニル、1,3,5−トリアジニル、イソインドリル、1−オキソイソインドリル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノオキサリニル、ナフチリジニル、ジヒドロキノリル、テトラヒドロキノリル、ジヒドロイソキノリル、テトラヒドロイソキノリル、ベンゾフリル、フロピリジニル、ピロロピリミジニル、及びアザインドリルである。
【0040】
他に示さない限り、本明細書で使用される用語「シクロアルコキシ」は、「シクロアルキル−O−」を意味し、ここで、「シクロアルキル」は上記で定義される通りである。
他に示さない限り、本明細書で使用される用語「アリールオキシ」は、「アリール−O−」を意味し、ここで、「アリール」は上記で定義される通りである。
他に示さない限り、本明細書で使用される用語「ヘテロシクロアルコキシ」は、「ヘテロシクロアルキル−O−」を意味し、ここで、「ヘテロシクロアルキル」は上記で定義される通りである。
【0041】
他に示さない限り、本明細書で使用される用語「ヘテロアリールオキシ」は、「ヘテロアリール−O−」を意味し、ここで、「ヘテロアリール」は上記で定義される通りである。
前述の基は、上記で列挙した化合物から誘導されるように、そのようなことが可能であれば、C結合であってもN結合であってもよい。例えば、ピロールから誘導される基は、ピロール−1−イル(N結合)又はピロール−3−イル(C結合)であることができる。該基に言及する用語はまた、全ての可能な互変異性体を包含する。
【0042】
1つの側面において、本発明は、式Iの化合物に関し、ここで、R1は、−C3−C12アルキル、−C3−C12アルケニル、−C3−C8シクロアルキル、−C5−C8シクロアルケニル、−(C7−C11)ビ−若しくはトリシクロアルキル、−(C7−C11)ビ−若しくはトリシクロアルケニル、−(3−8員)ヘテロシクロアルキル、−(7−11員)ヘテロビシクロアルキル、−C6−C14アリール及び−(5−10員)ヘテロアリールから選択され、そして、R1は、上記で定義した通り、場合により、独立して置換される。
【0043】
別の側面において、R1は、R1aで置換された−C1−C4アルキルであり、ここで、R1aは、C6−C10アリール又は−(5−10員)ヘテロアリールである。
別の側面において、R1は、−C3−C10アルキル、−C3−C10アルケニル、−C5−C10シクロアルキル及び−(5−11員)ヘテロビシクロアルキルから選択され、ここで、R1は、場合により、独立して、−C1−C4アルキル、−C1−C4アルコキシ、−F、−Cl、−Br、−CF3、フェニル及びフェノキシから独立に選択される1ないし2個の置換基で置換される。
【0044】
別の側面において、 は、−C3−C10アルキル、−C3−C10アルケニル及び−C5−C8シクロアルキルから選択され、ここで、R1は、場合により、独立して、すぐ上で定義されるように置換される。
【0045】
別の側面において、R1は、直鎖−C4−C10アルキル又は分枝鎖−C4−C10アルキルであり、ここで、R1は、場合により、独立して、すぐ上で定義されるように置換される。
別の側面において、 は、−(C7−C11)ビ−若しくはトリシクロアルキル及び−(7−11員)ヘテロビシクロアルキルから選択され、ここで、R1は、場合により、独立して、上記で定義されるように置換される。
【0046】
別の側面において、R1は、1ないし3個のフッ素原子又は塩素原子で場合により置換される1,2,3,4−テトラヒドロナフタレニル又はインダニルである。
別の側面において、本発明は、式Iの化合物に関し、ここで、R3は、−C1−C4アルキル、−C2−C4アルケニル及び−CH2CH2SCH3から選択され、ここで、R3は、場合により、独立して、上記で定義されるように置換される。
【0047】
別の側面において、本発明は、式Iの化合物に関し、ここで、R5は、−Hである。
別の側面において、本発明は、式Iの化合物に関し、ここで、R7は、−H、−C1−C12アルキル、−C2−C12アルケニル、−C1−C20アルコキシ、−F、−Cl、−Br、−I、−CN、−NO2、−C3−C15シクロアルキル、−(3−15員)ヘテロシクロアルキル、−C6−C15アリール、−(5−15員)ヘテロアリール、−CHO、−C(=O)(C1−C15アルキル)、−C(=O)((5−15員)ヘテロシクロアルキル)、−C(=O)((5−15員)ヘテロアリール)、−C(=O)O(C1−C8アルキル)、−C(=O)N(C1−C10アルキル)(C1−C10アルキル)、−S(O)n−(C1−C15アルキル)、−S(O)n−(C3−C15シクロアルキル)、−S(O)n−(C6−C15アリール)及び−S(O)n−((5ないし14員)ヘテロアリール)から選択され、そして、前記R7のアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリールは、それぞれ、場合により、独立して、−F、−Cl、−Br、−I、−OH、−C1−C6アルコキシ、−C2−C6アルケノキシ、−C2−C6アルキノキシ、−NR910、−C(=O)NR910、−C(=O)R11、−C(=O)OR12、−S(O)nNR910、−S(O)n11、−C3−C15シクロアルキル、−(4−15員)ヘテロシクロアルキル、−C6−C15アリール、−(5−15員)ヘテロアリール、−(5−15員)ヘテロシクロアルコキシ、−C6−C12アリールオキシ及び(6−12員)ヘテロアリールオキシから独立に選択される1ないし3個の置換基で置換される。
【0048】
別の側面において、R7は、−C1−C12アルキル、−C2−C12アルケニル、−C2−C12アルキニル、−(Cゼロ−C4アルキレン)−((C3−C15シクロアルキル))及び−(Cゼロ−C4アルキレン)−((4−15員)ヘテロシクロアルキル)から選択され、ここで、前記R7のアルキル、アルケニル、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルは、それぞれ、場合により、独立して、−OH、−C1−C6アルコキシ、−C2−C6アルケノキシ、−C2−C6アルキノキシ及び−NR910から独立に選択される1ないし3個の置換基で置換される。
【0049】
別の側面において、R7は、−C1−C12アルキル、−C2−C12アルケニル、−C3−C15シクロアルキル及び−(4−15員)ヘテロシクロアルキルから選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルは、それぞれ、場合により、独立して、−OH、−C1−C6アルコキシ、−C2−C6アルケノキシ及び−C2−C6アルキノキシから独立に選択される1ないし3個の置換基で置換される。
【0050】
別の側面において、R7は、−C1−C12アルキル、−C2−C12アルケニル及び−C3−C15シクロアルキルから選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル及びシクロアルキルは、それぞれ、場合により、独立して、1ないし3個の置換基NR910で置換される。
【0051】
別の側面において、R7は、−(4−15員)ヘテロシクロアルキルであり、ここで、前記ヘテロシクロアルキルは、場合により、独立して、−OH、−C1−C6アルキル、−C2−C6アルケニル、−C2−C6アルキニル、−C1−C6アルコキシ、−C2−C6アルケノキシ、−C2−C6アルキノキシ、−(C6−C10アリール)及び−(5−15員)ヘテロアリールから独立に選択される1ないし3個の置換基で置換される。
【0052】
別の側面において、R7は、−NR910、モルホリノ、ピロリジニル又はピペリジニルで置換される−C1−C12アルキルである。
別の側面において、式Iの化合物は、式1−A、1−B及び1−Cから選ばれ、そして、好ましくは1−Aである。
【0053】
別の側面において、式Iの化合物は、下記の構造:
【化3】

を有する。
【0054】
本発明の特定の態様は、式Iの下記の化合物:
2−(S)−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(1,1−ジメチル−ブト−3−エニル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド;
2−(S)−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(2−ベンジルオキシ−1,1−ジメチル−エチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド;
2−(S)−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチル−エチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド;
2−(S)−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(1,1−ジメチル−2−オキソ−エチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド;
2−(S)−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(1,1−ジメチル−2−モルホリン−4−イル−エチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド;
2−(S)−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(1,1−ジメチル−ブチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド;
2−(S)−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸(5−tert−ブチル−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル)−アミド;
2−(S)−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸(5−シクロプロピル−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル)−アミド;
【0055】
2−(S)−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−N−[5−(1,1−ジメチル−ブト−3−エニル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−ブチルアミド;
2−(S)−(1−エチル−プロピルアミノ)−ペンタン酸[5−(1,1−ジメチル−ブチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド;
2−(S)−sec−ブチルアミノ−ペンタン酸[5−(1,1−ジメチル−ブチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド;
2−(S)−(1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(1,1−ジメチル−ブチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド;
【0056】
2−(S)−(7−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(1,1−ジメチル−ブチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド;
2−(S)−(フェネチルアミノ−ペンタン酸[5−(1,1−ジメチル−ブチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド;そして、
2−(S)−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(1−エチル−ペンチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド、
その全ての薬学的に許容される塩、その複合体、及び投与に応じて薬学的に活性な化合物に変換するその誘導体を含む。
【0057】
指示される通り、式Iの化合物のいわゆる「プロドラッグ」はまた、本発明の範囲内である。つまり、それ自体では薬理学的活性がほとんどないか、又は全くなくてもよい式Iの化合物のある種の誘導体は、体内に又は体表に投与された場合、例えば、加水分解による切断によって、所望の活性を有する式Iの化合物へと変換されることが可能である。そのような誘導体は、「プロドラッグ」と呼ばれる。プロドラッグの使用に関する詳細な情報は、Pro−drugs as Novel Delivery Systems,Vol.14,ACS Symposium Series(T.Higuchi及びW.Stella)及びBioreversible Carriers in Drug Design,Pergamon Press,1987(E.B.Roche編集、American Pharmaceutical Association)に見出すことができる。
【0058】
本発明に従って、プロドラッグは、例えば、式Iの化合物に存在する適切な官能基を、例えばH.BundgaardによるDesign of Prodrugs(Elsevier,1985)に記載される「前駆部分(pro−moiety)」として当業者に知られたある種の部分と置換することによって製造することができる。
【0059】
本発明に従って、プロドラッグのいくつかの例は、限定されないが、
(i)式Iの化合物がカルボン酸官能基(−COOH)を含有する場合、そのエステル、例えば、式(I)の化合物のカルボン酸官能基の水素が(C1−C6)アルキルによって置換される化合物;
(ii)式Iの化合物がアルコール官能基(−OH)を含有する場合、そのエーテル、例えば、式Iの化合物のアルコール官能基の水素が(C1−C6)アルカノイルオキシメチルによって置換される化合物;そして、
(iii)式Iの化合物が第一級又は第二級アミノ官能基(−NH2又は−NHR、この場合、RはHでない)を含有する場合、そのアミド、例えば、場合によっては、式Iの化合物のアミノ官能基の1つ又は両方の水素が(C1−C10)アルカノイルによって置換される化合物
を含む。
【0060】
前述の例及び他のプロドラッグ型の例に従って置換する基の更なる例は、後述の参考文献に見出すことができる。
さらに、式Iのある種の化合物は、それ自体、式Iの他の化合物のプロドラッグとして振舞うことができる。
【0061】
同時に、式Iの化合物の代謝産物、つまり、薬物の投与に応じてインビボで形成される化合物は、本発明の範囲内に含まれる。本発明に従って、代謝産物のいくつかの例は、限定されないが、
(i)式Iの化合物がメチル基を含有する場合、そのヒドロキシメチル誘導体(−CH3−>−CH2OH);
(ii)式Iの化合物がアルコキシ基を含有する場合、そのヒドロキシ誘導体(−OR−>−OH);
(iii)式Iの化合物が第三級アミノ基を含有する場合、その第二級アミノ誘導体(−NR12−>−NHR1又は−NHR2);
(iv)式Iの化合物が第二級アミノ基を含有する場合、その第一級誘導体(−NHR1−>−NH2);
(v)式Iの化合物がフェニル部分を含有する場合、そのフェノール誘導体(−Ph−>−PhOH);そして、
(vi)式Iの化合物がアミド基を含有する場合、そのカルボン酸誘導体(−CONH2−>−COOH)
を含む。
【0062】
1又はそれ以上の不斉炭素原子を含有する式Iの化合物は、2又はそれ以上の立体異性体として存在することができる。式Iの化合物がアルケニル基又はアルケニレン基を含有する場合、幾何シス/トランス(又はZ/E)異性体が可能である。構造異性体が低エネルギー障壁を介して相互変換可能である場合、互変異性(「互変異性(tautomerism)」が生じうる。これは、例えば、イミノ、ケト、若しくはオキシム基を含有する化合物Iにおけるプロトン互変異性の形態、又は芳香族部分を含有する化合物におけるいわゆる原子価互変異性の形態を取りうる。ただ1つの化合物が1より多くの異性型を提示できるという結果になる。
【0063】
1より多くの異性型を提示する化合物を含む式Iの化合物の全ての立体異性体、幾何異性体及び互変形態は、本発明の範囲内に含まれる。酸付加塩又は塩基性塩もまた含まれ、ここで、対イオンは、光学的に活性(例えば、d−乳酸塩若しくはl−リジン)であり、又はラセミ(例えば、dl−酒石酸塩若しくはdl−アルギニン)である。
【0064】
シス/トランス異性体は、当業者に周知な慣用的手法、例えばクロマトグラフィー及び分別晶出によって分離することができる。
個々の鏡像異性体の調製/単離のための慣用的手法は、適した光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、又は、例えば、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いるラセミ体(又はラセミ体の塩若しくは誘導体)の分解を含む。
【0065】
その代わりに、ラセミ体又はラセミ混合物(又はラセミ前駆体)は、適した光学的に活性な化合物、例えばアルコールと、又は、式Iの化合物が酸性部分若しくは塩基性部分を含有する場合には、1−フェニルエチルアミン若しくは酒石酸のような塩若しくは酸と反応させることができる。得られるジアステレオマー混合物は、クロマトグラフィー及び/又は分別晶出によって分離することができ、そして、ジアステレオマーの1つ又は両方は、当業者に周知な手段によって対応する純粋な鏡像異性体に変換することができる。
【0066】
本発明のキラル化合物(及びそのキラル前駆体)は、クロマトグラフィー、典型的にはHPLCを使用して、イソプロパノールの体積で0ないし50%、典型的には2%ないし20%、及びアルキルアミンの体積で0ないし5%、典型的には0.1%ジエチルアミンを含有する、炭化水素、典型的にはヘプタン又はヘキサンからなる移動相を用いて、不斉樹脂上で鏡像異性的に濃縮された形態で得ることができる。溶出液の濃縮は濃縮された混合物を提供する。
【0067】
いずれかのラセミ体が結晶化する場合、2種の異なる型の結晶体が可能である。第一の型は、上記で言及されるラセミ化合物(真のラセミ体)であり、ここで、等モル量で両者の鏡像異性体を含有する結晶体の1つの均質な形態が製造される。第二の型は、ラセミ混合物又は集合物であり、ここで、等モル量で、各々ただ1つの鏡像異性体を含む結晶体の2種の形態が製造される。
【0068】
ラセミ混合物に存在する両者の結晶形態は、同一の物理的特性を有するが、それらは、真のラセミ体と比較して異なる物理的特性を有していてもよい。ラセミ混合物は、当業者に既知の慣用的手法によって分離することができる−例えば、E.L.Eliel及びS.H.WilenによるStereochemistry of Organic Compounds(Wiley,1994)を参照されたい。
【0069】
本発明は、薬学的に許容される同位元素で標識した式Iの化合物を全て含み、ここで、1個又はそれ以上の原子が同じ原子番号を有する原子によって置換されるが、原子質量即ち質量数が天然に優位である原子質量即ち質量数とは異なる。
【0070】
本発明の化合物への取り込みに適した同位元素の例は、限定されないが、水素の同位体、例えば2H及び3H、炭素の同位体、例えば11C、13C及び14C、塩素の同位体、例えば36Cl、フッ素の同位体、例えば18F、ヨウ素の同位体、例えば123Iおよび125I、窒素の同位体、例えば13N及び15N、酸素の同位体、例えば15O、17O及び18O、リンの同位体、例えば32P、及び硫黄の同位体、例えば35Sを含む。
【0071】
ある種の同位元素で標識した式Iの化合物は、例えば、放射性同位元素を取り込んでいるものであり、薬剤及び/又は基質の組織分布検定に有用である。放射性同位元素のトリチウム、即ち3H、及び炭素−14、即ち14Cは、それらの取り込みの容易さ及び検出に即座に使える手段ということを考慮して、本目的に特に有用である。
【0072】
重水素、即ち2Hのようなより重い同位元素による置換は、より大きな代謝安定性によって生じるある種の治療的利点、例えばインビボでの半減期の増加又は投与要件の減少を与えることができ、したがって、ある状況下では好ましいかもしれない。
【0073】
11C、18F、15O及び13Nのような陽電子放出同位元素による置換は、基質受容体占有を調べるための陽電子放出断層撮影(Positron Emission Topography)(PET)による検定に有用でありうる。
【0074】
同位元素で標識した式Iは、当業者に既知の慣用的手法によって、又は予め使用した非標識の試薬に換えて適切な同位元素で標識した試薬を用いて、添付の実施例及び製造例に記載される手法に類似の方法によって、一般的に調製することができる。
【0075】
本発明に従って、薬学的に許容される溶媒和物は、結晶化の溶媒が同位元素的に置換されていてもよい溶媒和物、例えばD2O、d6−アセトン、d6−DMSOを含む。
上記で定義される式IIの中間体化合物、その全ての塩、溶媒和物及び複合体、及び式Iの化合物について上記で定義されるその塩の全ての溶媒和物及び複合体もまた、本発明の範囲内である。本発明は、後述する種類及びその晶癖の全ての多形体を含む。
【0076】
本発明に従って式Iの化合物を調製する場合、当業者にとって、この目的のために特徴の最良の組み合わせを提供する式IIの化合物の形態を普通に選択することは、公然としている。そのような特徴は、限定されないが、中間体の形態の融点、安定性、処理性及び収率、及び単離に際して生産物を精製することができる結果の容易さを含む。
【0077】
本発明の式Iの化合物、及びそれらの薬学的に許容される塩は、有用な薬学的及び医薬的特性を有する。式Iの化合物、及びそれらの薬学的に許容される塩は、ヒトを含む哺乳動物におけるAβ−ペプチドの生産(つまり、ガンマー−セクレターゼ活性)を阻害する。式Iの化合物、及びそれらの薬学的に許容される塩は、したがって、ヒトを含む、罹患している哺乳動物における神経変性障害及び/又は神経障害、及び下記に列挙された疾患、例えばアルツハイマー病の治療において、治療剤として機能することができる。
【0078】
本発明は、ヒトを含む哺乳動物におけるアルツハイマー病、アミロイドーシスによる遺伝性脳出血、脳アミロイド血管障害、プリオンが仲介する疾患、封入体筋炎、卒中、多発性硬化症及びダウン症候群からなる群から選択される疾患又は症状を治療するための医薬組成物に関し、該医薬組成物は、Aβ−ペプチド生成を阻害するのに有効な量の式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩、及び薬学的に許容される担体を含む。
【0079】
本発明はまた、ヒトを含む哺乳動物におけるアルツハイマー病及びダウン症候群からなる群から選択される疾患又は症状を治療するための医薬組成物に関し、該医薬組成物は、Aβ−ペプチド生成を阻害するのに有効な量の式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩、及び薬学的に許容される担体を含む。
【0080】
本発明はまた、ヒトを含む哺乳動物におけるアルツハイマー病、アミロイドーシスによる遺伝性脳出血、脳アミロイド血管障害、プリオンが仲介する疾患、封入体筋炎、卒中、多発性硬化症及びダウン症候群からなる群から選択される疾患又は症状を治療するための医薬組成物に関し、該医薬組成物は、そのような疾患又は症状を治療するのに有効な量の式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩、及び薬学的に許容される担体を含む。
【0081】
本発明はまた、ヒトを含む哺乳動物におけるアルツハイマー病及びダウン症候群からなる群から選択される疾患又は症状を治療するための医薬組成物に関し、該医薬組成物は、そのような疾患又は症状を治療するのに有効な量の式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩、及び薬学的に許容される担体を含む。
【0082】
本発明はまた、ヒトを含む哺乳動物におけるアルツハイマー病、アミロイドーシスによる遺伝性脳出血、脳アミロイド血管障害、プリオンが仲介する疾患、封入体筋炎、卒中、多発性硬化症及びダウン症候群から選択される疾患又は症状を治療するための方法に関し、該方法は、Aβ−生成を阻害するのに有効な量の式Iの化合物、又は薬学的に許容されるその塩を前記哺乳動物に投与することを含む。
【0083】
本発明はまた、ヒトを含む哺乳動物におけるアルツハイマー病及びダウン症候群から選択される疾患又は症状を治療するための方法に関し、該方法は、Aβ−生成を阻害するのに有効な量の式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩を前記哺乳動物に投与することを含む。
【0084】
本発明はまた、ヒトを含む哺乳動物におけるアルツハイマー病、アミロイドーシスによる遺伝性脳出血、脳アミロイド血管障害、プリオンが仲介する疾患、封入体筋炎、卒中、多発性硬化症及びダウン症候群から選択される疾患又は症状を治療するための方法に関し、該方法は、そのような症状を治療するのに有効な量の式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩を前記哺乳動物に投与することを含む。
【0085】
本発明はまた、ヒトを含む哺乳動物におけるアルツハイマー病及びダウン症候群から選択される疾患又は症状を治療するための方法に関し、該方法は、そのような症状を治療するのに有効な量の式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩を前記哺乳動物に投与することを含む。
【0086】
式Iの化合物は、単独で使用され又は任意の他の薬剤と併用して使用されることができ、前記薬剤は、限定されないが、任意の記憶増強剤、例えばアリセプト(Aricept)(商標);抗うつ薬、例えばゾロフト(Zoloft)(商標);抗不安薬;抗精神病薬、例えばジオドン(Geodon)(商標);睡眠障害薬;抗炎症薬、例えばセレブレックス(Celebrex)(商標)、ベクストラ(Bextra)(商標)等;抗酸化剤;コレステロール調節薬(例えば、LDLを低下又はHDLを上昇させる薬剤)、例えばリピター(Lipitor)(商標)等;又は、抗高血圧薬を含む。したがって、本発明はまた、他の薬剤、例えば上記で記載した型の薬剤と併用して式Iの化合物を含む下記の医薬組成物、及び治療のための方法に関する。
【0087】
本発明はまた、ヒトを含む哺乳動物におけるAβ−ペプチド生成と関連した疾患又は症状を治療するための医薬組成物に関し、該医薬組成物は、(a)式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩;(b)記憶増強剤、抗うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬、睡眠障害薬;抗炎症薬、抗酸化剤、コレステロール調節薬又は抗高血圧薬;及び、(c)薬学的に許容される担体を含み、ここで、上述の活性剤(a)及び(b)は、そのような疾患又は症状を治療するのに有効な組成物を提供する量で存在する。
【0088】
本発明はまた、ヒトを含む哺乳動物におけるアルツハイマー病、アミロイドーシスによる遺伝性脳出血、脳アミロイド血管障害、プリオンが仲介する疾患、封入体筋炎、卒中、多発性硬化症及びダウン症候群からなる群から選択される疾患又は症状を治療するための医薬組成物に関し、該医薬組成物は、(a)式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩;(b)記憶増強剤、抗うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬、睡眠障害薬、抗炎症薬、抗酸化剤、コレステロール調節薬又は抗高血圧薬;及び、(c)薬学的に許容される担体を含み、ここで、上述の活性剤(a)及び(b)は、そのような疾患又は症状を治療するのに有効な組成物を提供する量で存在する。
【0089】
本発明はまた、ヒトを含む哺乳動物におけるアルツハイマー病及びダウン症候群からなる群から選択される疾患又は症状を治療するための医薬組成物に関し、該医薬組成物は、(a)式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩;(b)記憶増強剤、抗うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬、睡眠障害薬、抗炎症薬、抗酸化剤、コレステロール調節薬又は抗高血圧薬;及び、(c)薬学的に許容される担体を含み、ここで、上述の活性剤(a)及び(b)は、そのような疾患又は症状を治療するのに有効な組成物を提供する量で存在する。
【0090】
本発明はまた、ヒトを含む哺乳動物におけるAβ−ペプチド生成と関連する疾患又は症状を治療するための方法に関し、該方法は、(a)式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩;及び、(b)記憶増強剤、抗うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬、睡眠障害薬;抗炎症薬、抗酸化剤、コレステロール調節薬又は抗高血圧薬を前記哺乳動物に投与することを含み;ここで、上述の活性剤(a)及び(b)は、そのような疾患又は症状を治療するのに有効な組成物を提供する量で存在する。
【0091】
本発明はまた、ヒトを含む哺乳動物におけるアルツハイマー病、アミロイドーシスによる遺伝性脳出血、脳アミロイド血管障害、プリオンが仲介する疾患、封入体筋炎、卒中、多発性硬化症及びダウン症候群からなる群から選択される疾患又は症状を治療するための方法に関し、該方法は、(a)式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩;及び、(b)記憶増強剤、抗うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬、睡眠障害薬、抗炎症薬、抗酸化剤、コレステロール調節薬又は抗高血圧薬を前記哺乳動物に投与することを含み;ここで、上述の活性剤(a)及び(b)は、そのような疾患又は症状を治療するのに有効な組成物を提供する量で存在する。
【0092】
本発明はまた、ヒトを含む哺乳動物におけるアルツハイマー病及びダウン症候群からなる群から選択される疾患又は症状を治療するための方法に関し、該方法は、(a)式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩;及び、(b)記憶増強剤、抗うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬、睡眠障害薬、抗炎症薬、抗酸化剤、コレステロール調節薬又は抗高血圧薬を前記哺乳動物に投与することを含み;ここで、上述の活性剤(a)及び(b)は、そのような疾患又は症状を治療するのに有効な組成物を提供する量で存在する。
【0093】
式Iの化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩はまた、ヒトを含む生物におけるNotchシグナリング経路を調節し、又は阻害するために使用することができる。Notchシグナリング経路は、虫からヒトまでの範囲の生物によって利用される進化的に保存されたメカニズムであり、様々な細胞系統の運命決定を制御する。Notchは、上皮細胞増殖因子様のホメオティック遺伝子のファミリーに属し、細胞外ドメインに数が様々な上皮細胞増殖因子様リピートを有する膜貫通タンパク質をコードする。ヒトの疾患においてNotch経路の役割について証拠が増えている。その経路の成分の全てが同定されているわけではないが、今日まで同定されたものの中には、互いにそれらの相互作用に影響を及ぼす突然変異が様々な症候群及び病理学的な症状へと導く可能性がある。
【0094】
例えば、Notchシグナリングは、典型的には、細胞運命決定と関連がある。Notch活性が毛細血管伸長を刺激するという発見は、Notch受容体がこの過程を生じさせうるために活性化されなければならないことを示唆する。したがって、Notch調節は、血管形成を制御する方法を提供する。具体的には、Notchシグナリングの調節は、血管形成を調節するために使用することができる(例えば、Notchシグナリングを遮断することによって血管形成を遮断する)。インビボにおける血管形成の阻害は、限定されないが、癌、糖尿病網膜症、リウマチ様関節炎、様々な疾患、乾癬、炎症性腸疾患及び動脈硬化症を含む様々な疾患を治療するための治療手段として使用することができる。
【0095】
Notch経路はまた、Radtke,F.ら、Immunity 10:547−558,1999に記載されるように、T細胞の成長及び成熟に関連する。したがって、式Iの化合物及びその薬学的に許容される塩は、炎症、喘息、移植片拒絶、移植片対宿主病、自己免疫疾患及び移植拒絶を含む、免疫システムを調節するための有用な候補である。
【0096】
加えて、2002年と2004年との間に公表された数多くの研究は、Notchシグナリングが、頻繁に、様々なヒトの腫瘍(限定されないが、乳房、前立腺、膵臓及びT細胞急性リンパ芽球性白血病を含む)において増大するという説得力のある証拠を提供してきた。1つの鍵となる研究が、重要な腫瘍型におけるNotchの役割に強力な遺伝的連関を与える。具体的には、Weijzenらは、NotchシグナリングがヒトのRasをトランスフォームした細胞において腫瘍性表現型を維持することを示した。Weizenら、(2002)Nature Med 8:979。ヒトの悪性腫瘍の30%が、Rasの3つ異性体の少なくとも1つに活性化突然変異を持っている可能性があるので、この発見は、Notch阻害剤が抗癌療法に加えて強力であろうという可能性を高める。別の研究での発見は、ヒトのT細胞急性リンパ芽球性白血病/リンパ腫の発病において異常なNotchシグナリングに対して中心的な役割を支持する。Pearら、Current Opinion in Hematology(2004),11(6),426−433。
【0097】
したがって、式Iの化合物、及びそれらの薬学的に許容される塩は、癌、動脈硬化症、糖尿病網膜症、リウマチ様関節炎、乾癬、炎症性腸疾患、炎症、喘息、移植片拒絶、移植片対宿主病、自己免疫疾患及び移植拒絶からなる群から選択される疾患又は症状を治療するために有用でありうる。
【0098】
式Iの化合物、又は先行する段落において記載された任意の併用剤は、場合によっては、ベラパミルのような既知のP−糖タンパク質阻害剤と併せて使用してもよい。
【0099】
本明細書において、「Aβ−ペプチド生成と関連した」疾患及び症状への言及は、少なくとも部分的には、Aβ−ペプチド及び/又はその生産物によって引き起こされる疾患又は症状に関連する。つまり、Aβ−ペプチドは、「Aβ−ペプチド生成と関連した疾患又は症状」に対する原因因子であるが、必ずしも唯一の原因因子ではない。
【0100】
本明細書で使用される用語「治療すること」は、そのような用語があてはまる、疾患、障害若しくは症状の進行、又はそのような疾患、障害若しくは症状の1若しくはそれ以上の症候群を反転すること、軽減すること又は阻害することを意味する。本明細書で使用される用語「治療すること」はまた、未処置の対照群と比較して、又は処置前の同じ哺乳動物と比較して、哺乳動物における疾患、障害又は症状の発生の確率又は発症率を低下させることを意味する。例えば、本明細書で使用される「治療すること」は、疾患、障害若しくは症状を予防することを意味してもよく、そして、疾患、障害若しくは症状の開始を遅延させること若しくは妨げることを、又は疾患、障害若しくは症状と関連した症候群を遅延させること若しくは妨げることを意味してもよい。本明細書で使用される「治療すること」はまた、疾患、障害若しくは症状による哺乳動物の苦痛に先立って、疾患、障害若しくは症状又はそのような疾患、障害若しくは症状と関連した症候群の重症度を減少することを意味してもよい。苦痛に先立つ疾患、障害若しくは症状の重症度の予防又は減少は、本明細書で記載されるように、その疾患、障害若しくは症状で悩まされている、投与の時期にない患者への本発明の組成物の投与に関連する。本明細書で使用される「治療すること」はまた、疾患、障害若しくは症状又はそのような疾患、障害若しくは症状と関連した1若しくはそれ以上の症候群の再発を予防することを意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0101】
発明の詳細な説明
式Iの化合物、及びそれらの薬学的に許容される塩は、下記の反応スキーム及び考察において記載されるように調製することができる。他に示さない限り、後述する反応スキーム及び考察に言及されるように、R1、R1a、R1b、R3、R5、R7、R9、R10、R11、R12、X、Y、U及びnは、上記で定義される通りである。
【0102】
式Iの化合物は、不斉炭素原子を有することができ、したがって、ラセミ混合物、ジアステレオ異性体として、又は個々の光学異性体として存在することができる。
式Iの化合物の異性体の混合物を単一の異性体に分離することは、当該技術分野において既知の慣用的方法に従って達成することができる。鏡像異性体又はジアステレオ異性体は、キラルカラムクロマトグラフィーによって分離することができ、又は適切なキラル酸又は塩基の添加によって調製した対応する塩の再結晶を通して分離することができる。
【0103】
式Iの化合物は、下記に記載した方法、並びに有機化学の技術分野において知られている合成方法、又は当業者に親しい改良及び誘導体化によって調製することができる。好ましい方法は、限定されないが、下記に記載した方法を含む。
【0104】
下記に記載した反応は、使用される試薬及び物質に適切な溶媒、及び記載した反応において使用に適した溶媒中で行われる。下記に記載した合成方法の記述において、溶媒の選択、反応温度、反応継続時間、反応圧力、及び他の反応条件(例えば、無水条件、アルゴン下、窒素下等)、及び検査法を含む、実際のものか又は提案されるものであろうとなかろうと、全ての反応条件は、その反応について標準化されている条件であることは、理解されることでもあり、当業者に容易に理解されるであろう。代替の方法もまた使用することができる。
【0105】
【化4】

スキームIに言及すると、式Iの化合物(ここで、R1は、−C1−C20アルキル、−C2−C20アルケニル、−C2−C20アルキニル、−C3−C8シクロアルキル、−C5−C8シクロアルケニル、−(C5−C11)ビ−若しくはトリシクロアルキル、−(C7−C11)ビ−若しくはトリシクロアルケニル、−(3−8員)ヘテロシクロアルキル、−(5−11員)ヘテロビシクロアルキル又はR5はC1−C6アルキルである)は、式IIにおける化合物と、酸触媒(例えば、酢酸)/酢酸アンモニウム/乾燥試薬(例えば、無水Na2SO4又はMgSO4)を用いて又は用いないで適切なアミンをもつケトン若しくはアルデヒド、及び還元試薬、例えばトリアセトキシホウ化水素ナトリウム(NaBH(OAc)3)、シアノホウ化水素ナトリウム(NaCNBH3)、ホウ化水素ナトリウム、又は対応するポリマー結合−NaBH4、ポリマー結合−NaCNBH3、ポリマー結合−NaBH(OAc)3、又は、対応するアミンに結合したイミンを還元するために文献的に知られている任意の還元試薬(例えば、水素化)とを、適切な溶媒、例えば、ジクロロエタン、クロロホルム、THF、MeOH、エタノール、およそのイソプロパノール、t−ブタノール若しくはトルエン中で、室温から還流温度までの間の温度、好ましくはおよそ室温から約65℃までの温度で反応させることによる十分に確立した還元アミノ化法を用いて調製することができる。(概要については、Baxter,Ellen W.;Reitz,Allen B.Organic Reactions(New York)(2002),59 1−714;Tarasevich,Vladimir A.;Kozlov,Nikolai G.Russian Chemical Revies(1999),68(1),55−72を参照されたい。)その代わりに、式IIの化合物とアルキル−L1(ここで、L1は脱離基であり、例えばハロゲン化物(I、Br、Cl)又はトシラート(OTs)、メシラート(OMs)、トリフィラート(OTf)である)とを、第三級アミン(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジメチルアミノピリジン、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム)から選択される適切な塩基の存在下で、C1−C4アルコール、THF、塩化メチレン、ジクロロエタン、ジメチルホルムアミド、DMSO、ピリジン、N−メチルピロリドン、トルエン、キシレン、アセトニトリル、アセトン、プロピオニトリルから選択される適切な溶媒中で、室温から還流温度までの適切な温度で反応させることによる十分に確立したアルキル化法によって調製することができる。式Iの化合物は、R1が、−C6−C14アリール及び−(5−15員)ヘテロアリールであり、式IIの化合物とアリール−L1若しくはヘテロアリール−L1(ここで、L1は脱離基、例えばハロゲン化物(I、Br、Cl)又はトシラート(OTs)、メシラート(OMs)、トリフィラート(OTf)である)とを、第第三級アミン(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン)、ジメチルアミノピリジン、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、カリウムアルコキシド若しくはナトリウムアルコキシド(t−ブトキシド、メトキシド)、ハロゲン化カリウム若しくはハロゲン化ナトリウムから選択する適した塩基の存在下で、有機金属(例えば、Pd(OAc)2、Pd(dba)2、Pd(PPh34、及びPPh3、BINAP、PPh3PCy3、P(t−Bu)3のようなリガンド、及び文献に知られている関連したリガンド)を用いて又は用いないで、C1−C4アルコール、THF、塩化メチレン、ジクロロエタン、ジメチルホルムアミド、DMSO、N−メチルピロリドン、キシレン、トルエン、アセトニトリル、ピリジン、アセトン、プロピオニトリルから選択する適切な溶媒中で、室温から還流温度までの適切な温度で反応させることによって、即ち、十分に確立したPd触媒によるアミノ化(参考文献:J.Org.Chem.,2000,65,1158)によって調製することができる。
【0106】
式IIの化合物は、順に、2−アミノ−1,3−チアジゾール(III)とN保護したアミノ酸とを標準的なカップリング方法、例えば、カルボジイミド、即ち、1,3−ジクロロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1,3−ジイソプロピルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDCI又はEDAC)、テトラフルオロホウ酸O−(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピリジル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム(TPTU)、N−シクロヘキシルカルボジイミド、又はN’−メチルポリスチレンを用いて、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール(HOBt)の存在又は不存在において、適した溶媒、例えば、ジクロロメタン(CH2Cl2)、クロロホルム(CHCl3)、テトラヒドフラン(THF)、ジエチルエーテル(Et2O)、1,4−ジオキサン、アセトニトリル(CH3CN)、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中で反応させることによって合成することができる。次いで、式IIの化合物(R5=H)は、N保護基を除去することによって(t−ブトキシカルボニルの場合には強酸、又はカルボベンジルオキシカルボニルの場合には水素化分解を通して)得ることができる。式IIの化合物は(R5は水素ではない)は、式IIの化合物(R5=H)をスキームIに記載した方法を用いて反応することによって調製することができる。
【0107】
2−アミノ−1,3−チアジアゾール(III)は、文献(参考文献:Acta Universitatis Palackianae Olomucensis,Facultas Rerum Naturalium,Chemica(2001);Journal of Medicinal Chemistry(2003),46(3),427−440.European Journal of Medicinal Chemistry(2002),37(8),689−697.Phosphorus,Sulfur and Silicon and the Related Elements(2002),177(4),863−875.Chemistry of Heterocyclic Compounds(New York,NY,United States)(Translation of Khimiya Geterotsiklicheskikh Soedinenii)(2001),37(9),1102−1106.Journal of the Institution of Chemists(India)(2001),73(3),108−110.Russian Journal of General Chemistry(Translation of Zhurnal Obshchei Khimii)(2000),70(11),1801−1803.Indian Journal of Chemistry,Section B:Organic Chemistry Including Medicinal Chemistry(1989),28B(1),78−80.Indian Journal of Chemistry,Section B: Organic Chemistry Including Medicinal Chemistry(1981),20B(6),518−20.Khimiya Geterotsiklicheskikh Soedinenii,(10),1416−19;1986.Journal of the Institution of Chemists(India),61(2),54−6;1989 Journal of the Institution of Chemists(India),73(5),193−195;2001.Chimica Acta Turcica(1984),12(2),305−14.Journal of Heterocyclic Chemistry,21(6),1689−98;1984.Journal of Heterocyclic Chemistry(1980),17(3),607−8.Journal of Heterocyclic Chemistry(1969),6(6),835−40.Huaxue Shijie(2002),43(7),366−368.
【0108】
Indian Journal of Chemistry(1970),8(6),509−13.Ber.(1942),75B 87−93.ournal of Medicinal Chemistry(1970),13(5),1015−17.Farmaco,Edizione Scientifica(1971),26(1),19−28.Journal of the Indian Chemical Society(1989),66(2),118−19.Journal of Heterocyclic Chemistry,12(3),581−3;1975 European Journal of Medicinal Chemistry,10(2),121−4;1975.Journal of Heterocyclic Chemistry(1977),14(5),853−5.Zhurnal Obshchei Khimii(1980),50(4),860−3.European Journal of Medicinal Chemistry(1996),31(7−8),597−606.Journal of Heterocyclic Chemistry(1980),17(3),607−8.Journal fuer Praktische Chemie(Leipzig),332(1),55−64;1990)に類似した方法を用いて調製することができる。例えば、アミノ−チアジアゾール(III)は、式VII−IXとチオセミカルバジドとを、水、C1−C4アルコールのような適した溶媒中で、酸、好ましくはHCl、H3PO4、ポリリン酸、硫酸、MeSO3OH等の存在化で反応させることによって得ることができる。
【0109】
【化5】

アミノ−チアジアゾール(III)はまた、式Xの化合物とFeCl3とを上記で引用した参考文献(Journal of Heterocyclic Chemistry,12(3),581−3;1975;Pharm.Pharmacol.Commun.2000,6,31−33;Russian J.Org.Chem.Vol 33,1997,pp567−568;Eur.J.Med.Chem(1996)31,597−606)に記載されるように反応させることによって得ることができる。上記スキームの手順で使用される出発物質は、上記で記載されていない合成物であるが、商業的に入手することができ、当該技術分野において知られており、又は当業者に明白であろう方法を用いて既知の化合物から容易に入手できる。(出願PCT/US04/26854を参照されたい。)
【0110】
その代わりに、式Iの化合物は、スキームIに記載したものに類似する方法を用いて、スキームIIに示されるように左から右へと調製することができる。
【化6】

式Iの化合物、及び上記の反応スキームに示される中間体は、慣用的方法、例えば再結晶又はクロマトグラフィーによる分離、例えばシリカゲル上で、酢酸エチル/ヘキサン溶出勾配、塩化メチレン/メタノール溶出勾配、又はクロロホルム/メタノール溶出勾配を用いて単離及び精製することができる。その代わりに、逆相分取用HPLC又はキラルHPLC分離手法を使用することができる。
【0111】
上記で検討し又は説明した反応のそれぞれにおいて、他に示さない限り、圧力は重要ではない。約0.5気圧から約5気圧の圧力が一般的に受け入れられ、そして、周囲圧力、即ち約1気圧は、便宜上好ましい。
【0112】
式Iの化合物の薬学的に許容される塩は、慣用的なやり方で、対応する遊離塩基又は遊離酸の溶液又は懸濁液を1化学当量の薬学的に許容される酸又は塩基で処理することによって調製することができる。慣用的な濃縮又は結晶化の手法は、その塩を単離するために使用することができる。適切な酸は、限定されないが、酢酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、安息香酸、ケイ皮酸、フマル酸、硫酸、リン酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、スルファミン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸のようなスルホン酸、及び関連する酸を含む。適した塩基は、限定されないが、ナトリウム、カリウム及びカルシウムを含む。
【0113】
本発明の式Iの化合物は、経口、非経口(例えば、皮下、静脈内、筋肉内、胸骨内及び輸液手法)、直腸、鼻腔内、局所的又は経皮(例えば、パッチの使用を通して)の経路のいずれかを介して哺乳動物に投与することができる。一般的に、これらの化合物は、1日当たり約0.1mgないし約1000mgの範囲の投与量で、1回又は分割した投薬(即ち、1日当たり1ないし4回の投薬)で最も望ましく投与されるが、変更は、治療を受けるべき患者の種、体重、年齢及び状態、並びに選択された投与の特定の経路に応じて、必然的に生じるであろう。しかしながら、1日当たり体重に対して約0.1mg/kgないし約5gm/kg、好ましくは1日当たり体重に対して約0.1mg/kgないし約100mg/kgの範囲にある投与量レベルは、最も望ましく使用される。それにもかかわらず、変更は、治療されるべき動物の種、及び当該薬物に対する個々の応答、並びに選択された医薬製剤の型、及びそのような投与が実行される期間及び間隔に応じて生じるかもしれない。いくつかの例では、前述の範囲の下限値に満たない投与量レベルは、十分以上であるかもしれないが、一方、他の場合では、さらに多い投与量は、ただし、そのようなより高い投与量レベルが1日を通して投与のためにいくつかの小さな投与量にまず分割されるという条件で、有害な副作用を引き起こすことなく使用することができる。
【0114】
本発明の式Iの化合物は、単独で、又は薬学的に許容される担体若しくは希釈剤と組み合わせて、前記で示したいずれかの経路で投与することができ、そして、そのような投与は、1回又は複数回の投薬で実行することができる。適した薬学的担体は、固体希釈剤若しくは充填剤、無菌の水性媒体及び様々な非毒性有機溶媒等を含む。次いで、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩を薬学的に許容される不活性な担体と組み合わせることによって形成される医薬組成物は、様々な投与形態、例えば、錠剤、カプセル、ロゼンジ、トローチ、ハードキャンディー、粉剤、噴霧薬、クリーム、軟膏(salve)、坐薬、ゼリー、ゲル、ペースト、ローション、軟膏(ointment)水性懸濁液、注射剤、エリキシル剤、シロップなどで容易に投与することができる。さらに、経口の医薬組成物は、適した甘味及び/又は芳香付けしてもよい。
【0115】
経口投与に対しては、様々な賦形剤、例えば、微結晶性セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸ジカルシウム及びグリシンを含有する錠剤は、様々な崩壊剤、例えば、澱粉(好ましくは、トウモロコシ、ジャガイモ又はタピオカ澱粉)、メチルセルロース、アルギン酸及びある種の複合ケイ酸塩と一緒に、粒状結合剤、例えば、ポリビニルピロリドン、ショ糖、ゼラチン及びアラビアゴムと伴に使用することができる。加えて、潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルクは、しばしば錠剤の目的に有用である。同様の型の固体組成物はまた、ゼラチンカプセル中で充填剤として使用することができる。これに関連して好ましい物質は、ラクトース又は乳糖、並びに高分子量ポリエチレングリコールを含む。水性懸濁剤及び/又はエリキシル剤が経口投与に望ましい場合、活性成分は、様々な甘味剤若しくは芳香剤、着色物質若しくは染料、及び、とても望まれるならば、乳化剤及び/又は懸濁剤、さらに、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン及びそれらの様々な組み合わせのような希釈剤と一緒に組み合わせることができる。
【0116】
非経口投与に対しては、ゴマ油若しくはピーナッツ油、又は水性プロピレングリコール中の本発明の式Iの化合物を含有する溶液を使用することができる。水溶液は、必要であれば、適切に緩衝(好ましくは8より大きいpH)され、そして液体の希釈剤は、まず十分な生理的食塩水又はグルコースで等張にするべきである。これらの溶液は、静脈内注射の目的に適している。油性溶液は、関節内、筋肉内及び皮下注射の目的に適している。無菌条件下でのこれら全ての溶液の調製は、当業者に周知な標準的な製薬手法によって容易に達成される。
【0117】
本発明の式Iの化合物は、哺乳動物においてAβ−ペプチド生成(つまり、ガンマー−セクレターゼ活性)を阻害することに有用であり、したがって、それらは罹患している哺乳動物において後述する疾患及び障害の治療に療法剤として機能することができる。
Aβ−ペプチド生成(つまり、ガンマー−セクレターゼ活性)を阻害する本発明の式Iの化合物、及びそれらの薬学的に許容される塩の能力は、当業者に既知の生物学的アッセイ、例えば下記に記載されるアッセイを用いて決定することができる。
【0118】
ガンマー−セクレターゼ活性を阻害する本発明の式Iの化合物の能力は、可溶化膜標本において、一般的には、McLendonら、Cell−free assays for γ−secretase activity,The FASEB Journal(Vol.14,December 2000,pp.2383−2386)に示された記載に従って決定可能である。本発明の化合物は、約100μMより低いガンマー−セクレターゼ活性を阻害するIC50活性を有することが判明した。
【0119】
下記の実施例は、本発明を例示する。しかしながら、本明細書に十分に記載され、特許請求の範囲に引用されるように、本発明が、下記の実施例の詳細によって限定されることを意図するものではないことは理解されることである。
【実施例】
【0120】
実験手法
還元アミノ化の一般的手法:
a)トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム
ジクロロメタン、ジクロロエタン又はTHF中のアミン(1−4当量)をジクロロメタン、ジクロロエタン又はTHF中のケトン又はアルデヒド(1当量)、NaBH(OAc)3(1−3当量)及び酢酸(1−3当量)の溶液に添加した。生成物の形成又は出発物質の消失まで混合物を室温で攪拌した。混合物を希釈した塩基で反応を止め、塩化メチレン又はクロロホルム若しくは酢酸エチルのような他の適した溶媒で抽出した。有機層を分離し、乾燥させ、そして濃縮することによって、所望のアミンを得た。精製は必然的であるかもしれない。
【0121】
b)シアノ水素化ホウ素ナトリウム
ケトン又はアルデヒド(1当量)、アミン(1−4当量)、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(1−5当量)をメタノール又はTHFのような適切な溶媒中の塩化亜鉛の触媒量とともに、生成物の形成又は出発物質の消失まで、室温ないし60℃で攪拌した。混合物を希釈した塩基で反応を止め、塩化メチレン又はクロロホルム若しくは酢酸エチルのような他の適切な溶媒で抽出した。有機層を分離し、乾燥させ、そして濃縮することによって、所望のアミンを得た。精製は必然的であるかもしれない。
【0122】
実施例1
2−(S)−(1−エチル−プロピルアミノ)−ペンタン酸[5−(1,1−ジメチル−ブチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド
1.0mLの無水ジクロロメタン及び1ml DMF中のペンタン−3−オン(0.3mmol)、2−アミノ−ペンタン酸[5−(1,1−ジメチル−ブチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド(0.3mmol)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.3mmol)の混合物を室温(rt)で一晩攪拌した。反応は完結しなかった。混合物をNaBH3CN(40mg)で処理し、45℃で4時間加熱した。全ての出発物質が消費された。粗製の溶液を希釈NaOHで希釈し、塩化メチレンで抽出した。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、ろ過し、そして減圧下で濃縮した。粗生成物をShimazu HPLCを通して精製し、2−(1−エチル−プロピルアミノ)−ペンタン酸[5−(1,1−ジメチル−ブチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミドを得た。LC−MS(保持時間、M+1):1.70分,355.3[M+1]。
表1中の下記実施例は、実施例1の合成について上記で記載したものに類似した方法によって合成した。
【0123】
【表1】

【0124】
実施例6
2−(S)−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(1,1−ジメチル−ブト−3−エニル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド
7.0mLの無水ジクロロメタン及び2mlのDMF中の6,8−ジフルオロ−3,4−ジヒドロ−1H−ナフタレン−2−オン(182mg、1mmol)、2−アミノ−ペンタン酸[5−(1,1−ジメチル−ブチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド・HCl(318mg、1.2mmol)、95%純度のトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(335mg、1.5mmol)の混合物を室温で一晩攪拌した。反応は完結しなかった。混合物をNaBH3CN(140mg)で処理し、室温で15時間攪拌した。全ての出発物質及びイミン中間体が消費された。粗製の溶液を希釈NaOHで希釈し、そして演歌メチレンで抽出した。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、ろ過し、そして減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製し、表題化合物を得た。LC−MS、RT=2.2分、M+1=449.0。対応するHCl塩はベージュの固形物として調製された。
【0125】
実施例7
2−(S)−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−N−[5−(1,1−ジメチル−ブト−3−エニル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−ブチルアミド
塩化メチレン中の6,8−ジフルオロ−3,4−ジヒドロ−1H−ナフタレン−2−オン(182mg、1mmol)、2−アミノ−N−[5−(1,1−ジメチル−ブト−3−エニル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−ブチルアミド・HCl(305mg、1.0mmol)、NEt3(0.14ml)、酢酸(0.27ml、4mmol)、硫酸ナトリウムの混合物を室温で1時間攪拌した。95%純度のトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(424mg、2.0mmol)を添加し、その混合物を室温で一晩攪拌した。混合物を希釈水、pH7−7.5まで飽和重炭酸ナトリウムで希釈し、塩化メチレンで抽出した。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、ろ過し、そして減圧下で濃縮した。粗生成物を溶出液として塩化メチレンから塩化メチレン中の10%メタノールを用いてシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製し、表題化合物を黄色油状物として得た。LC−MS、RT=2.1分、M+1=435.3。対応するHCl塩はベージュの固形物として調製された。
【0126】
実施例8
2−(S)−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(2−ベンジルオキシ−1,1−ジメチル−エチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド
塩化メチレン(25mL)中の6,8−ジフルオロ−3,4−ジヒドロ−1H−ナフタレン−2−オン(521mg、2.86mmol)、2−アミノ−ペンタン酸[5−(2−ベンジルオキシ−1,1−ジメチル−エチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド・HCl(1140mg、2.86mmol)の混合物をトリエチルアミン(0.4mL)、次いで酢酸(0.7mL)及び硫酸ナトリウムで処置した。攪拌15分後、95%純度のトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(767mg、3.4mmol)を添加し、そして、得られた混合物を室温で一晩攪拌した。混合物を希釈水で反応を止め、pH3まで酸性にし、塩化メチレンで2回抽出した。有機層をpH7まで希釈水酸化ナトリウムで洗浄し、分離し、乾燥させ、そして濃縮し、濃褐色の油状物を得た。その油状物を溶出液として塩化メチレン中の1%メタノールを用いてシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製し、2−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(2−ベンジルオキシ−1,1−ジメチル−エチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド(578mg)を茶色の油状物質として得た。LC−MS、RT=2.6分、M+1=529.1。対応するHCl塩は、ヘキサンを用いて粉末にした後、薄いピンク色の固形物として調製された。
【0127】
実施例9
2−(S)−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチル−エチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド
酢酸エチル(20mL)中の2−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(2−ベンジルオキシ−1,1−ジメチル−エチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド(300mg)の混合物を10%Pd/C(50%水)の600mgで処理し、一晩、45psiで水素化した。混合物をセライトを通してろ過し、酢酸エチルで洗浄した。合わせたろ過物を乾燥するまで濃縮し、エタノール(10mL)、酢酸エチル(10mL)及びクロロホルム(5mL)を添加し、そして、1.4gの10%Pd/C(50%水)で処理し、一晩、50psiで水素化した。混合物をセライトを通してろ過し、メタノール及びクロロホルムの混合物で洗浄した。ろ過物を濃縮して薄い黄色の油状物を得た。その油状物を5:1のヘキサン:クロロホルムで粉末にし、2−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチル−エチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミドをオフホワイト色の固形物として得た。LC−MS RT=1.8分、M+1=439.0。
【0128】
実施例10
2−(S)−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(1,1−ジメチル−2−オキソ−エチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド
塩化メチレン(1mL)及びDMSO(1mL)中の2−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチル−エチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド(60mg)及びデス・マーチン酸化試薬(100mg)の混合物を室温で4時間攪拌した。混合物を水で反応を停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、そして濃縮した。残渣を溶出液としてヘキサン中の20%ないし50%の酢酸エチルを用いてシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製し、2−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(1,1−ジメチル−2−オキソ−エチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミドを茶色の油状物として得た。LC−MS RT=2.1分、M+1=436.9.0。
【0129】
実施例11
2−(S)−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(1,1−ジメチル−2−モルホリン−4−イル−エチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド
塩化メチレン(2mL)中の2−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(1,1−ジメチル−2−オキソ−エチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド(12mg)の混合物をモルホリン(0.05mL)、酢酸(0.02mL)、硫酸ナトリウム及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(20mg)で処理し、そして室温で一晩攪拌した。混合物を水で反応を停止させ、重炭酸ナトリウムで希釈し、そして塩化メチレンで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ、そしてろ過した。ろ過物を乾燥するまで濃縮し、13mgの祖物質を得た。祖物質を溶出液として塩化メチレンから塩化メチレン中の3%エタノールを用いてシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製し、2−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(1,1−ジメチル−2−モルホリン−4−イル−エチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミドをガラス泡状物質として得た。LC−MS、RT=1.7分、M+1=508.1。対応するHCl塩はベージュの固形物として調製された。
【0130】
実施例12
2−(S)−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(1,1−ジメチル−ブチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド
塩化メチレン(25mL)中の6,8−ジフルオロ−3,4−ジヒドロ−1H−ナフタレン−2−オン(182mg、1.0mmol)、2−アミノ−ペンタン酸[5−(1,1−ジメチル−ブチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド・HCl(321mg、1.0mmol)の混合物をトリエチルアミン(0.14mL)、次いで酢酸(0.27mL)及び硫酸ナトリウムで処理した。攪拌15分後、95%純度のトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(424mg、2.0mmol)を添加して、そして得られた混合物を室温で一晩攪拌した。混合物を希釈水で反応を停止させ、塩化メチレンで抽出した。有機層を希釈重炭酸ナトリウムでpH8まで洗浄し、分離し、乾燥させ、そして濃縮して、394mgの表題化合物を黄色のガラス泡状物質として得た。LC−MS、RT=2.6分、M+1=451.0。ガラス泡状物質をHPLCで精製して、表題化合物のトリフルオロ酢酸塩を固形物として得た。
【0131】
実施例13
2−(S)−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−tert−ブチル−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド
塩化メチレン(25mL)中の6,8−ジフルオロ−3,4−ジヒドロ−1H−ナフタレン−2−オン(182mg、1.0mmol)、2−アミノ−ペンタン酸[5−tert−ブチル−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド・HCl(293mg、1.0mmol)の混合物をトリエチルアミン(0.14mL)、次いで酢酸(0.27mL)及び硫酸ナトリウムで処理した。攪拌15分後、95%純度のトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(424mg、2.0mmol)を添加し、そして得られた混合物を室温で一晩攪拌した。混合物を希釈水で反応を停止させ、塩化メチレンで抽出した。有機層を希釈重炭酸ナトリウムでpH8まで洗浄し、分離し、乾燥させ、そして濃縮し、322mgの表題化合物を黄色のガラス泡状物質として得た。LC−MS、RT=2.2分、M+1=423.0。ガラス泡状物質をHPLCで精製し、表題化合物のトリフルオロ酢酸塩を茶色の固形物として得た。LC−MS、RT=2.3分、M+1=423.0。
【0132】
実施例14
2−(S)−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸(5−シクロプロピル−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド
塩化メチレン(25mL)中の6,8−ジフルオロ−3,4−ジヒドロ−1H−ナフタレン−2−オン(182mg、1.0mmol)、2−アミノ−ペンタン酸(5−シクロプロピル−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド・HCl(277mg、1.0mmol)の混合物をトリエチルアミン(0.14mL)、次いで酢酸(0.27mL)及び硫酸ナトリウムで処理した。攪拌15分後、95%純度のトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(424mg、2.0mmol)を添加し、そして得られた混合物を室温で一晩攪拌した。混合物を希釈水で反応を停止させ、塩化メチレンで抽出した。有機層を希釈重炭酸ナトリウムでpH8まで洗浄し、分離し、乾燥させ、そして濃縮し、306mgの表題化合物を黄色のガラス泡状物質として得た。LC−MS、RT=1.9分、M+1=407.0。ガラス泡状物質をHPLCで精製し、表題化合物のトリフルオロ酢酸塩をベージュの固形物として得た。LC−MS、RT=2.1分、M+1=407.0。
【0133】
実施例15
2−(S)−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(1−エチル−ペンチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド
DMF(1ml)中の2−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸(28mg)、5−(1−エチル−ペンチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イルアミン(20mg)、テトラフルオロホウ素酸O−(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピリジル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム(30mg)、ジイソプロピルエチルアミン(0.04ml)の混合物をシェーカー中で一晩振とうした。混合物を水で反応を停止させ、飽和重炭酸ナトリウムで塩基性にし、そして酢酸エチルで2回抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして濃縮し、粗製の物質を得た。粗製の物質を塩化メチレンから塩化メチレン中の3%メタノールを用いてバイオタージ(biotage)のシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製し、表題化合物をガラス泡状物質として得た。LC−MS RT=2.5分、M+1=465.0、M−1=463.2。対応するHCl塩をオフホワイト色の固形物として調製した。
【0134】
本明細書に記載され、請求された発明は、本明細書で開示した特定の態様による範囲に限定されるべきでなく、これはこれらの態様が本発明のいくつかの側面の例示として意図されるためである。任意の均等な態様は、本発明の範囲内にあるべきと意図される。実際には、本明細書に示され記載された発明に加えて、発明の様々な修飾は、前述の記載から当業者に明白となるであろう。そのような修飾はまた、添付した特許請求の範囲内に含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、X、Y及びUを含有する環は、芳香族環であり、下記の式I−AないしI−F:
【化2】

において示されるように、X、Y及びUの1つは、S又はOであり、かつ、X、Y及びUのその他の2つは、Nであり、
1は、−C1−C20アルキル、−C2−C20アルケニル、−C2−C20アルキニル、−C3−C20シクロアルキル、−C4−C20シクロアルケニル、−(C7−C20)ビ−若しくはトリシクロアルキル、−(C7−C20)ビ−若しくはトリシクロアルケニル、−(3−20員)ヘテロシクロアルキル、−C6−C20アリール及び−(5−20員)ヘテロアリールから選択され;
ここで、R1が、−C1−C20アルキル、−C2−C20アルケニル又は−C2−C20アルキニルである場合、R1は、場合により、独立して、1ないし6個の−F、又は基R1aから独立に選択される1ないし3個の置換基で置換され;
そして、R1が、−C3−C20シクロアルキル、−C4−C20シクロアルケニル、−(C10−C20)ビ−若しくはトリシクロアルキル、−(C10−C20)ビ−若しくはトリシクロアルケニル、−(4−20員)ヘテロシクロアルキル、−C6−C20アリール又は(5−20員)ヘテロアリールである場合、R1は、場合により、独立して、基R1bから独立に選択される1ないし3個の置換基で置換され;
1aは、それぞれの場合において、独立して、−OH、−C1−C12アルキル、−C2−C12アルケニル、−C2−C12アルキニル、−C1−C6アルコキシ、−C2−C6アルケノキシ、−C2−C6アルキノキシ、−Cl、−Br、−I、−CN、−NO2、−NR910、−C(=O)NR910、−C(=O)R11、−C(=O)OR12、−SO2−NR910、−S(O)n−R11、−C3−C15シクロアルキル、−C4−C15シクロアルケニル、−(C5−C11)ビ−若しくはトリシクロアルキル、−(C7−C11)ビ−若しくはトリシクロアルケニル、−(4−20員)ヘテロシクロアルキル、−C6−C15アリール、−(5−15員)ヘテロアリール、−C6−C15アリールオキシ及び−(5−15員)ヘテロアリールオキシから選択され、ここで、前記R1aのアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケノキシ及びアルキノキシは、それぞれ、場合により、独立して、−F、−Cl、−Br、及び−Iから独立に選択される1ないし3個の置換基で置換され、そして、前記R1aのシクロアルキル、シクロアルケニル、ビ−若しくはトリシクロアルキル、ビ−若しくはトリシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ及びヘテロアリールオキシは、それぞれ、場合により、独立して、基R1bから独立に選択される1ないし3個の置換基で置換され;
1bは、それぞれの場合において、独立して、−OH、−C1−C6アルキル、−C2−C6アルケニル、−C2−C6アルキニル、−C1−C6アルコキシ、−C2−C6アルケノキシ、−C2−C6アルキノキシ、−C1−C6ヒドロキシアルキル、−F、−Cl、−Br、−I、−CN、−NO2、−NR910、−C(=O)NR910、−C(=O)R11、−SO2NR910、−S(O)n−R11、−C6−C15アリールオキシ及び−(5−15員)ヘテロアリールオキシから選択され、ここで、前記R1bのアルキル、アルケニル及びアルキニルは、それぞれ、場合により、独立して、1ないし6個の−F、又は−C1−C4アルコキシから独立に選択される1ないし2個の置換基、又は−OHで置換され;
9及びR10は、それぞれの場合において、それぞれ独立して、−H、−C1−C12アルキル、−C2−C12アルケニル、−C2−C12アルキニル、−CF3、−C(=O)R11、−C(=O)NR1112、−C(=O)OR12、−S(O)n−R11、−SO2−NR1112、−(Cゼロ−C4アルキレン)−(C3−C20シクロアルキル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−(C4−C8シクロアルケニル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−((C5−C11)ビ−若しくはトリシクロアルキル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−((C7−C11)ビ−若しくはトリシクロアルケニル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−((5−10員)ヘテロシクロアルキル、−(Cゼロ−C4アルキレン)−(C6−C10アリール)及び−(Cゼロ−C4アルキレン)−((5−10員)ヘテロアリール)から選択され、ここで、前記R9及びR10のアルキル、アルケニル及びアルキニルは、それぞれ、場合により、独立して、1ないし6個の−F、又は−C1−C4アルコキシから独立に選択される1ないし2個の置換基、又は−OHで置換され、そして、前記R9及びR10のシクロアルキル、シクロアルケニル、ビ−若しくはトリシクロアルキル、ビ−若しくはトリシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリールは、それぞれ、場合により、独立して、−OH、−C1−C12アルキル、−C2−C12アルケニル、−C2−C12アルキニル、−C1−C6アルコキシ、−C2−C6アルケノキシ、−C2−C6アルキノキシ、−C1−C6ヒドロキシアルキル、−F、−Cl、−Br、−I、−CN、−NO2、−CF3、−NH2、−C(=O)NH2、−C(=O)H、−C(=O)OH及び−SO2−NH2から独立に選択される1ないし3個の置換基で置換され、ここで、前記R9及びR10のアルキル、アルケニル及びアルキニル置換基は、それぞれ、場合により、独立して、1ないし6個の−F、又は−C1−C4アルコキシから独立に選択される1ないし2個の置換基、又は−OHでさらに置換され;
又は、NR910は、それぞれの場合において、独立して、場合により、−(4−10員)ヘテロシクロアルキル又は−(4−10員)ヘテロシクロアルケニルを形成してもよく、ここで、前記ヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルケニルは、それぞれ、場合により、N、O及びSから独立に選択される1ないし2個の更なるヘテロ原子を含有し、そして、ここで、NR910のヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルケニル部分の炭素原子は、場合により、独立して、−OH、−C1−C12アルキル、−C2−C12アルケニル、−C2−C12アルキニル、−C1−C6アルコキシ、−C2−C6アルケノキシ、−C2−C6アルキノキシ、−F、−Cl、−Br、−I、−CF3、−NH2、−C(=O)NH2、−C(=O)R11、−SO2−NH2、−S(O)n−R11、−(Cゼロ−C4アルキレン)−(C6−C10シクロアルキル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−((5−10員)ヘテロシクロアルキル、−(Cゼロ−C4アルキレン)−(C6−C10アリール)及び−(Cゼロ−C4アルキレン)−((5−10員)ヘテロアリール)から独立に選択される1ないし3個の置換基で置換され、そして、ここで、前記NR910の−(4−10員)ヘテロシクロアルキル及び−(4−10員)ヘテロシクロアルケニルは、それぞれ、場合により、独立して、−C1−C12アルキル、−C2−C12アルケニル、−C2−C12アルキニル、−C(=O)NH2、−C(=O)R11、−SO2−NH2、−S(O)n−NR11、−(Cゼロ−C4アルキレン)−(C6−C10シクロアルキル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−((5−10員)ヘテロシクロアルキル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−(C6−C10アリール)及び−(Cゼロ−C4アルキレン)−((5−10員)ヘテロアリール)から独立に選択される1個の置換基で置換され、そして、ここで、前記NR910のアルキル、アルケニル及びアルキニル置換基は、それぞれ、場合により、独立して、1ないし6個の−F、又は−C1−C4アルコキシから独立に選択される1ないし2個の置換基、又はOHでさらに置換され;
11及びR12は、それぞれの場合において、独立して、−C1−C15アルキル、−C2−C6アルケニル、−C2−C6アルキニル、−(Cゼロ−C4アルキレン)−(C3−C15シクロアルキル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−(C4−C8シクロアルケニル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−((C5−C11)ビ−若しくはトリシクロアルキル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−((C7−C11)ビ−若しくはトリシクロアルケニル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−((5−15員)ヘテロシクロアルキル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−(C6−C10アリール)及び−(Cゼロ−C4アルキレン)−((5−10員)ヘテロアリール)から選択され;
ここで、R11及びR12は、それぞれ、場合により、独立して、−OH、−C1−C12アルキル、−C2−C12アルケニル、−C2−C12アルキニル、−C1−C6アルコキシ、−C2−C6アルケノキシ、−C2−C6アルキノキシ、−C1−C6ヒドロキシアルキル、−F、−Cl、−Br、−I、−CN、−NO2、−CF3、−NR1415、−(C=O)NR1415、−C(=O)H、−C(=O)OH、−C(=O)O(C1−C6アルキル)及び−SO2NR1415から選択され、ここで、前記R11及びR12のアルキル、アルケニル及びアルキニル置換基は、それぞれ、場合により、独立して、1ないし6個の−F、又は−C1−C4アルコキシから独立に選択される1ないし2個の置換基、又は−OHでさらに置換され;
3は、−C1−C3アルキル、−C2−C6アルケニル、−C2−C6アルキニル及び−(Cゼロ−C4アルキレン)−(C3−C6シクロアルキル)から選択され、ここで、前記R3のアルキル、アルケニル及びアルキニルは、それぞれ、場合により、独立して、−C1−C4アルコキシ、−OH及び−S(C1−C4アルキル)から独立して選択される置換基で置換され;
5は、−H、−C1−C4アルキル、−C2−C4アルケニル、−C2−C4アルキニル、−C6−C10アリール及び−(5−20員)ヘテロアリールから選択され;
7は、−H、−C1−C20アルキル、−C2−C20アルケニル、−C2−C20アルキニル、−C1−C20アルコキシ、−C2−C20アルケノキシ、−C2−C20アルキノキシ、−F、−Cl、−Br、−I、−CN、−NO2、−OH、−CF3、−NR910、−C(=O)NR910、−C(=O)R11、−CHO、−C(=O)OR12、−S(O)n−R11、−(Cゼロ−C4アルキレン)−(C3−C20シクロアルキル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−(C4−C20シクロアルケニル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−((C10−C20)ビ−若しくはトリシクロアルキル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−((C10−C20)ビ−若しくはトリシクロアルケニル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−((3−20員)ヘテロシクロアルキル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−((5−20員)ヘテロシクロアルケニル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−((5−20員)ヘテロシクロアルキニル)、−(Cゼロ−C4アルキレン)−(C6−C15アリール)及び−(Cゼロ−C4アルキレン)−((5−10員)ヘテロアリール)から選択され;
ここで、R7は、場合により、独立して、1ないし6個の−F、又は基R1aから独立に選択される1ないし3個の置換基で置換され;そして、
nは、それぞれの場合において、0、1及び2から独立に選択される整数である]
の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
1が、−C3−C12アルキル、−C3−C12アルケニル、−C3−C8シクロアルキル、−C5−C8シクロアルケニル、−(C7−C11)ビ−若しくはトリシクロアルキル、−(C7−C11)ビ−若しくはトリシクロアルケニル、−(3−8員)ヘテロシクロアルキル、−(7−11員)ヘテロビシクロアルキル、−C6−C14アリール及び−(5−15員)ヘテロアリールから選択され、そして、R1は、場合によって、独立して、上記の請求項1に従って置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1が、−(C7−C11)ビ−若しくはトリシクロアルキル及び−(7−11員)ヘテロビシクロアルキルから選択され、そして、R1は、場合によって、独立して、上記の請求項2に従って置換される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
1が、1ないし3個のフッ素原子若しくは塩素原子で場合により置換される1,2,3,4−テトラヒドロナフタレニル又はインダニルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
7が、−NR910、モルホリノ、ピロリジニル又はピペリジニルで置換される−C1−C12アルキルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
3が、−C1−C4アルキル、−C2−C4アルケニル及び−CH2CH2SCH3から選択され、そして、R3が、場合によって、独立して、上記の請求項1に従って置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
7が、−C1−C12アルキル、−C2−C12アルケニル、−C2−C12アルキニル、−(Cゼロ−C4アルキレン)−((C3−C15シクロアルキル))及び−(Cゼロ−C4アルキレン)−((4−15員)ヘテロシクロアルキル)から選択され、ここで、前記R7のアルキル、アルケニル、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルは、それぞれ、場合によって、独立して、−OH、−C1−C6アルコキシ、−C2−C6アルケノキシ、−C2−C6アルキノキシ及び−NR910から独立して選択される1ないし3個の置換基で置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
化合物が、式1−A、1−B及び1−Cから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
1が、R1aで置換される−C1−C4アルキルであり、ここで、R1aが、C6−C10アリール又は−(5−10員)ヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
式1−Aの化合物が、構造:
【化3】

を有する立体異性体である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
2−(S)−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(1,1−ジメチル−ブト−3−エニル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド;
2−(S)−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(2−ベンジルオキシ−1,1−ジメチル−エチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド;
2−(S)−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチル−エチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド;
2−(S)−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(1,1−ジメチル−2−オキソ−エチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド;
2−(S)−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(1,1−ジメチル−2−モルホリン−4−イル−エチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド;
2−(S)−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(1,1−ジメチル−ブチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド;
2−(S)−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸(5−tert−ブチル−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル)−アミド;
2−(S)−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸(5−シクロプロピル−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル)−アミド;
2−(S)−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−N−[5−(1,1−ジメチル−ブト−3−エニル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−ブチルアミド;
2−(S)−(1−エチル−プロピルアミノ)−ペンタン酸[5−(1,1−ジメチル−ブチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド;
2−(S)−sec−ブチルアミノ−ペンタン酸[5−(1,1−ジメチル−ブチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド;
2−(S)−(1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(1,1−ジメチル−ブチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド;
2−(S)−(7−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(1,1−ジメチル−ブチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド;
2−(S)−(フェネチルアミノ−ペンタン酸[5−(1,1−ジメチル−ブチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド;そして、
2−(S)−(6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−ペンタン酸[5−(1−エチル−ペンチル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル]−アミド
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項12】
哺乳動物におけるアルツハイマー病、アミロイドーシスによる遺伝性脳出血、脳アミロイド血管障害、プリオンが仲介する疾患、封入体筋炎、卒中、多発性硬化症、頭部外傷、軽度認知障害及びダウン症候群からなる群から選択される疾患又は症状を治療するための医薬組成物であって、Aβ−ペプチド生成を阻害し、あるいはそのような疾患又は症状を治療するのに有効な量の請求項1に記載の化合物、及び薬学的に許容される担体を含む、前記医薬組成物。
【請求項13】
哺乳動物におけるAβ−ペプチド生成を阻害する方法であって、Aβ−生成を阻害するのに有効な量の請求項1に記載の化合物を前記哺乳動物に投与することを含む、前記方法。
【請求項14】
Notchシグナリング経路の変更と関連がある疾患又は症状を治療するための医薬組成物であって、請求項1に記載の式Iの化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩を含む、前記医薬組成物。
【請求項15】
疾患又は症状が、癌、動脈硬化症、糖尿病網膜症、リウマチ様関節炎、乾癬、炎症性腸疾患、炎症、喘息、移植片拒絶、移植片対宿主病、自己免疫疾患及び移植拒絶からなる群から選択される、請求項14に記載の組成物。

【公表番号】特表2007−530661(P2007−530661A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505657(P2007−505657)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【国際出願番号】PCT/IB2005/000801
【国際公開番号】WO2005/095368
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】