説明

移動体とインフラストラクチャの間の相互作用のための運転補助システム

【課題】革新的な運転補助システムであって、特にインフラストラクチャ上または中に堆積された磁化可能な粒子からなる磁気マーキングを含み、この粒子が高価でなく、この帯の中に暗号化されたデータを簡単に再プログラムできるシステム等を提供すること。
【解決手段】インフラストラクチャ10上を走行する車両20へ情報を供給する運転補助システムは、インフラストラクチャの上に形成され、車両宛の情報を暗号化するのに適した磁気マーキングであって、情報が変更可能である磁気マーキング30、40と、車両に搭載され、磁気マーキングによって生成された磁界を含む全磁界を検出し、全磁界に対応する信号を作成する複数の磁気センサ45と、対応する信号を処理し、一方では車両と磁気マーキングとの間の第一の距離を決定し、他方では磁気マーキングに暗号化された情報を解読するように適合された処理ユニット50とを含む検出デバイスと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にインフラストラクチャ上を走行する移動体のための運転補助システムとも呼ばれる情報及びガイドシステムに関し、特に磁界を使用したシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
道路安全との関連で、例えば、多数の致命的な事故が道路からの車両の脱落が原因で引き起こされている。従って、環境又は気候条件にかかわらず、車両の位置を継続して認識しておくことが重要である。道路脱落の防止は、インフラストラクチャの情報(信号、曲率半径、反りなど)が車両に供給されれば、更に強化できる。
【0003】
既に多数のガイダンス及び情報伝達システムが存在する。これらのうち、磁界検出システムの選択は多数の有利な点を生んでいる。これは物質の磁気的性質が雨、霧、明るさなどの外部の天候条件によってほとんど変化されないからである。磁性に基づいた移動体とインフラストラクチャとの間の通信システムは、トンネル、谷などの形状の外部環境からも独立し、影響を受けない。
【0004】
永久磁石の形状の磁気マーキングを使用する、磁気的方法に基づいた既知の情報システムが存在する。この場合、磁石は一般に位置の基準としてのみ役立つ。情報を暗号化するためのそれらの使用は限られている可能性がある。これは情報が固定され、ある極性を持った磁石を異なった極性の他の磁石で置き換えることによってのみ修正可能だからである。従って恒久的な素子で暗号化された情報を修正するコストは高い。車両に備え付けられた磁気検出システムは永久磁石と磁気センサの距離の3乗に比例して減少する磁界を検出する必要がある。その結果、送信機と受信機との距離が増加すると磁界は非常に弱くなり、位置システムの性能が劣化する。
【0005】
インフラストラクチャ上又は中に堆積された磁気帯の形状の磁気マークの使用は有効な代替である。これは磁界が、個々の永久磁石の場合のように3乗に逆比例するのではなく、磁気帯と車上センサの間の距離の2乗に逆比例するからである。
【0006】
米国特許第6,289,269.B1号は、インフラストラクチャ上の車両をガイドするシステムであって、インフラストラクチャの表面上に適用された磁気帯の形状の連続的なガイドを含むシステムを開示している。2重で垂直な磁気センサが、その下部で磁気帯の磁界及び周囲磁界を測定し、磁気帯からより離れた上部で周囲磁界だけを測定するために使用されている。これら2つの測定された磁界の差から、車両の位置が導出される。しかしながら、この方法では、インフラストラクチャ上の車両の位置の正確な値を提供できない。これは、提案されている2重のセンサが周囲磁界の変化又は金属の車体の影響を考慮していないからである。更に、磁気帯は車両をガイドするためだけに使用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、革新的な運転補助システムであって、特にインフラストラクチャ上又は中に堆積された磁化可能な粒子からなる磁気マーキングを含み、この粒子が高価でなく、この帯の中に暗号化されたデータを簡単に再プログラムすることを可能にするシステムを提案することである。本発明の目的は、その上又は中に磁気マーキングが形成されたインフラストラクチャのみならず、この運転補助システムのための検出装置にも関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、本発明は、インフラストラクチャ上を走行する車両へ情報を供給する運転補助システムであって、
インフラストラクチャの上又は中に形成され、車両宛の情報を暗号化するのに適した磁気マーキングであって、情報が変更可能である磁気マーキングと、
車両に搭載され、磁気マーキングによって生成された磁界を含む全磁界を検出し、全磁界に対応する信号を作成する複数の磁気センサと、対応する信号を処理し、一方では車両と磁気マーキングとの間の第一の距離を決定し、他方では磁気マーキングに暗号化された情報を解読するように適合された処理ユニットとを含む検出装置と、を備えるシステムを提案することである。
【0009】
これにより、磁気マーキングによって発信される磁界は、車両の位置を計算し、暗号化された情報に基づいて運転者に通知するために使用でき、情報が時間とともに変化し得るため、再度暗号化してよい。
【0010】
1つの補足の態様では、磁気マーキングは道路信号向けのマーキング複合体の堆積によって形成され、1つ又はそれ以上の粒子形状の磁性材料が追加され、これらの粒子はその保持磁気励起磁界を越える磁界を受けたときに残留磁化を受けることができ、これら粒子の残留磁化は車両向けの情報を暗号化するように適合されている。
【0011】
磁気マーキングは既知の道路信号法を使用する。磁気粒子を単に追加するだけで、情報を暗号化でき、粒子にその保持励起磁界よりも大きな磁界を印加することによって再プログラムすることができる。
【0012】
有利な態様では、少なくとも2つの異なる種類の磁性材料が磁気マーカの中にあり、各々が異なる保持磁気励起磁界を有し、これにより、車両向けの情報が異なった安全レベルで暗号化でき、最も重要な情報が最も高い保持磁気励起磁界を有する磁性材料で暗号化される。
【0013】
これにより、異なったレベルの情報を提供できる。より重要度の低い情報のプログラミングに誤りがあっても、より重要な情報は消去されない。
【0014】
有利には、磁気マーカは磁気帯の形状で実質上連続的に堆積され、情報は磁気帯の長さ方向に沿って略一定の基本区間で暗号化され、各基本区間は独自の多方向性磁界を有する。
【0015】
別の態様では、磁気マーカは略一定の基本間隔で形成された不連続な磁気帯の形状で堆積され、情報は略一定の基本区間で暗号化され、各基本区間は独自の多方向性磁界を有する。
【0016】
このように、これら2つの態様では、各区間が、変更可能な磁化を備える帯の一部に対応し、複数ビットの情報を暗号化できる。
【0017】
多方向磁界は、帯の方向に略垂直な方向且つ同一平面内である方向に少なくとも第一成分を含んでいる。
【0018】
この第一成分は、情報を暗号化するだけでなく、インフラストラクチャ上の移動体のための位置の基準を定義するためにも使用できる。
【0019】
本発明は、道路インフラストラクチャ上の車両の運転補助システムであって、複数の磁気センサが少なくとも3つの磁気センサを含み、処理ユニットが磁気センサからの対応信号に基づいて全磁界から周囲磁界を消去するように適合されたシステムにも関する。
【0020】
これにより、運転補助システムは、インフラストラクチャ内の車両の位置をより高い精度で見つけるために環境ノイズを考慮できる。
【0021】
好ましい態様では、運転補助システムは、少なくとも第四の磁気センサを含み、処理ユニットは磁気センサからの対応信号に基づいて、周囲磁界の変化によるバイアス、特に金属ボディの分布によるバイアスを考慮するように適合されている。
【0022】
他の態様では、磁気センサは車両の軸に対して略垂直な第一軸に整列され、少なくとも1つの補助磁気センサが利用可能で、第一軸とは異なる第二軸に配置され、処理ユニットが車両と磁気帯との間の第二の距離を決定し、処理ユニットが第一及び第二の距離に基づいてインフラストラクチャ上の移動方向に対する車両の方向を決定する。
【0023】
本発明は、上記運転補助システムの検出装置であって、車両に搭載され、インフラストラクチャ上又はその中に形成された磁気マーキングによって生成された磁界を含む全磁界を検出し、全磁界に対応する信号を生成する複数の磁気センサと、対応する信号を処理し、車両と磁気マーカとの間の第一の距離を決定するように適合された処理ユニットとを備え、複数の磁気センサは、少なくとも3つの磁気センサを含み、処理ユニットは対応する信号に基づいて全磁界から周囲磁界を消去するように適合された検出装置にも関する。
【0024】
検出装置の他の1つの態様では、複数の磁気センサは第四の磁気センサを含み、処理ユニットは磁気センサからの対応信号に基づいて、周囲磁界の変化によるバイアス、特に金属ボディの分布によるバイアスを考慮するように適合されている。
【0025】
検出装置の1つの補足態様では、処理ユニットは磁気マーキング中で暗号化されている情報を解読するように適合されている。
【0026】
本発明は、上記運転補助システムのためのインフラストラクチャであって、インフラストラクチャ上又は中に形成され、このインフラストラクチャ上を走行する車両向けの情報を暗号化するように適合された磁気マーキングを備え、磁気マーキングは道路信号向けのマーキング複合物の堆積によって形成され、1つ又はそれ以上の粒子形状の磁性材料が追加され、これらの粒子がその保持磁気励起磁界よりも大きな磁界を受けたときに残留磁化を受けることができ、磁気マーキングの残留磁化は上記車両向けの情報を暗号化するように適合されたインフラストラクチャにも関する。
【0027】
インフラストラクチャの有利な態様では、少なくとも2つの異なる種類の磁性材料が磁気マーカ中にあり、各々が異なる保持磁気励起磁界を有し、これにより、車両向けの情報が異なる安全レベルで暗号化でき、最も重要な情報は最も高い保持磁気励起磁界を有する磁性材料で暗号化される。
【0028】
本発明は、このインフラストラクチャ上を走行でき上記検出装置を備える車両であって、この装置は少なくとも車両と磁気マーキングとの間の第一の距離を決定し、磁気マーキングに暗号化されている情報を解読するために使用される車両にも関する。
【0029】
最後に、本発明は、インフラストラクチャ上又は中に形成され車両向けの情報を暗号化するように適合された磁気マーキングを備えるインフラストラクチャ上を走行する車両であって、車両に搭載され、磁気マーキングによって生成された磁界を含む全磁界を検出し、全磁界に対応する信号を生成する複数の磁気センサと、対応する信号のための処理ユニットとを備える検出装置を有する車両の運転補助方法であって、
a)複数の磁気センサを使用して全磁界を測定するステップと、
b)処理ユニットを使用して、対応する信号に基づき、磁気マーキング中に暗号化された情報を決定するステップと、
c)処理ユニットを使用して、対応する信号に基づき、車両と磁気マーカとの間の第一の距離を決定するステップと、
d)暗号化された情報及び第一の距離を、車両の運転者とのインタフェースを形成するモジュールへ送信するステップと、を含む方法にも関する。
【0030】
本発明の他の特徴及び利点は以下の説明によって明らかになるであろう。この説明は純粋に例示的なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明に係る磁気マーキング及び運転補助システムは、図1の概略図に示されている。
【0032】
図1の点線で示される道路10で表されたインフラストラクチャ上を車両20が走行している。「道路インフラストラクチャ」という用語は、移動体の移動のために使用されるネットワークのすべての車道を表す。これらはもちろん道路を含み、工業地や建物の中の交通路のような小規模のネットワークも含み得る。連続する磁気帯30の形で示される磁気マーキングは道路10の中央に堆積されている。この磁気帯は、異なる特徴を備えた固有の磁界を有する区間(31,32)のシーケンスによって形成されている。磁気マーキングは、各々が異なる特徴を備えた固有の磁界を有する不連続な区間のシーケンスを含む磁気帯の形をとってもよい。以下に説明されるように、異なる磁界のシーケンスは、磁気マーキングに沿って各種重要な情報を暗号化することを可能にする。車両20の前部には、一方では磁気帯30に関する車両20の位置を計算することで、インフラストラクチャ10に対する車両20の位置を計算するため、他方では磁気帯30の中に暗号化された情報を読み取るために、一式の車載磁気センサ33が配置されている。
【0033】
図1の概略図において、磁気マーキングは車両20が走行するレーン10の中央に配置されている。この場合、車両の理想的な位置は、車両20の主軸と磁気帯30との水平距離がゼロに相当する。しかし、帯が、例えば道路横の白線上又は図1の中心位置を外れた他の位置に配置された場合も予想される。この説明の残りでは、説明を簡単にするために磁気帯が中央位置にあると仮定している。
【0034】
図2は、本発明の運転補助システムに使用される検出装置の態様の図を示す。デバイスは、(図示しない)車両に取付けされた支持部60を含む検出部を備える。支持部60は好ましくは車両の主軸と垂直な方向に置かれる。車両の主軸は車両の移動方向に置かれる。支持部60は少なくとも3つの車載の磁気センサ45を備え、例えば車両の下に配置されており、この支持部60と、ここでは磁気帯40の形で表されている磁気マーキングとの間の高さhは、数十センチメートルである。十分な振幅の磁界の読取を可能にするため、その高さは好ましくは約20〜30cmであり、この振幅は磁気帯とセンサとの間の距離の2乗に従って変化する。磁気センサ45は支持部60上に整列され、検出装置の中に含まれる処理ユニット50に接続されている。この処理ユニット50は、磁気センサ45の信号を分析し、磁気帯に暗号化されているいかなる情報をも読んで解読するのみならず、特に磁気帯40と車両との間の距離を決定するように適合されている。センサ45は、好ましくは車両の主軸に垂直な1つの直線上に整列される。
【0035】
磁気センサは、例えば道路、即ち磁気帯から約25cmの高さに配置される車両のバンパの中に収納できる。磁気センサは全磁界を読み取る。磁気センサは、高速(車両の速度)下で非常に弱い磁界を測定できなければならず、従って、低ノイズ且つ高速な応答時間を有する高感度センサを選択する必要がある。磁気センサは車両の中で利用可能な電圧で提供される電源によって動作できなければならず、消費電力が小さい必要がある。ホール効果センサ及び磁気抵抗センサのような既知の磁気センサはこれらの特徴を備えている。電流ループセンサも使用できる。
【0036】
以下の表1は既知のセンサの各種のタイプの特徴の例である。
【表1】

【0037】
センサは、方向指示性、換言すれば、磁気帯に平行又は垂直な方向以外の方向に非ゼロ成分を有する磁界の方向を検出できてよい。
【0038】
処理ユニット50で決定された距離は、解読された情報と共にモジュール55へ送信され、モジュール55は、データの結合、解読された情報の使用、車両位置の運転者への送信、磁気帯から読み取られる各種レベルの情報の運転者への送信などのいくつかの機能を実行する。後述するように、車両の軸が磁気帯から過剰に外れたこと、又は磁気帯の中に暗号化された(厳しいコーナへの接近、減速などの)重要な情報などに運転者の注意を引きつけるために警告メッセージを提供できる。例えば、運転者の注意を引くために、磁気帯に対する車両の位置を走行しているレーンの中央に表示したり、その他の適切な表示の手段を考えたりすることが可能であり、その結果、運転者が車両とレーンの間の距離を知り、必要に応じて修正動作を取ることができる。
【0039】
センサの数は、磁気帯上に記録された情報の解読と共に、車両とインフラストラクチャとの間の距離の決定精度に対する決定的な要因である。既知の誘導デバイスとの関連で指摘されるように、近傍の環境ノイズ及び金属ボディの影響を考慮して、2つのセンサの使用では不十分である。これは、磁気センサからの信号が特に磁気帯からの磁界及び周囲磁界(地球磁場など)を組み込んだ全磁界に関連するためである。それらの磁界は近傍の各種金属ボディによっても影響を受ける。
【0040】
本発明に係る運転補助システムは、検出装置と共に、少なくとも3つの磁気センサを有し、センサからの信号の処理時における周囲磁界を考慮する。実際、磁気センサの数は車両と磁気帯との間の距離測定の希望精度に従って選択される。第四の磁気センサを使用することによって、磁気センサからの信号値上で、例えば近傍の各種金属ボディの影響による周囲磁界の変化を考慮できる。
【0041】
インフラストラクチャ上に設置された磁気帯に対する車両の位置を推定するために、処理ユニットは、各センサからの応答を標準の応答と比較するが、標準の応答は特に所定位置に所定の磁化された帯及び周囲磁界の存在による全磁界の存在時にセンサが供給するであろう理論的応答に近似する。測定に最も適合するセンサの標準応答のパラメータが、処理の結果であると考えられる。
【0042】
距離推定を例示するために、インフラストラクチャ上又は中に形成された磁気マーキングが連続した磁気帯の形をとり、帯の方向と同一平面内で且つ垂直な一方向性磁界を生成していると仮定する。また、センサは車両の主軸と垂直な支持部上で整列していると考える。すると、磁界は次式で表される。
【数1】

式中、
aは、周囲磁界、特に地球磁場を考慮する定数であり、
bは、例えば近傍の金属ボディによる周囲磁界の変化によるバイアスであり、
cは、帯の1方向磁界の振幅である。この振幅は、車両向けの情報の暗号化を可能にする。従ってこれを決定することによって、ある基本区間から次の区間(図1の31及び32とマークされた位置)への変化から、帯の中に暗号化された情報を推定できる。
xiは、支持部に沿った異なるセンサの位置である。
hは、磁気帯とセンサとの間の垂直方向の距離であり、
dは、磁気センサのセットの中心と磁気帯との間の水平方向に測定された距離である。この距離を知ることで、車両の連続的な位置を知ることが可能になる。
【0043】
以下の方法の説明において、磁気センサの数は5であり、それらは等間隔で、距離dは中央のセンサ(3番目のセンサ)と磁気帯との間の水平距離であると仮定されている。
【0044】
以後fxiと記述する値f(xi,d)に基づいて、補足の関数gxi及びhxiを導入し、周囲磁界及びその変化による各種未知の定数a及びbを方程式(1)から消去する。
gxi=fxi+1−fxiであり、fxiの値に基づいている。
式中、i∈[1,4]であり、aを消去する。
hxi=gxi+1−gxiであり、gxiの値に基づいている。
式中、i∈[1,3]であり、bを消去する。
【0045】
これらfxi、gxi、及びhxiの値は、推定されるべき距離d、及び帯の中の情報を暗号化する磁界の振幅cの関数であり、上記で記述された標準応答の値を形成している。磁界の形状(1)並びにgxi及びhxiの値は、周囲磁界(パラメータa)の消去が希望される場合には少なくとも3つのセンサを有するシステムが有効であることを示し、近傍の金属ボディの存在(パラメータb)の考慮が希望される場合には第四のセンサが有効であることを明らかに示す。これは、少なくとも異なるパラメータの数と同程度に多数の独立した測定値を有することが必要だからである。
【0046】
位置xiで磁気センサによって測定された磁界の測定値Mfxiに基づいて、値gxi、hxi及びkxiと同じ関係に従って計算された値Mgxi及びMhxiを導入することも可能である。これにより、次式が得られる。
Mgxi=Mfxi+1−Mfxi、測定値Mfxiに基づく。
Mhxi=Mhxi+1−Mhxi、値Mgxiに基づく。
【0047】
上記の種々の値に対して最小自乗法を適用し、帯の位置を可能な限り正確に推定できる。
【0048】
Jfを値fxiの最小自乗関数とする。
【数2】

【0049】
この関数Jfは、特にd及びcに依存する。その最小値は5個の磁気センサによる測定値に基づいてd及びcの推定値を得るために使用できる。最小自乗法はgxi及びhxiの値に適用し、d及びc、言い換えるとa及びbを推定するために不必要なパラメータを消去できる。
【0050】
2重推定関数として知られている関数として、最小自乗法が標準応答の値hxiに適用されて次式が成立する。
【数3】

hxi=c.h’xi、i∈[1,3]を導入し、h’xiはdだけの関数であるとすると、方程式(3)は次式のようになる。
【数4】

ここで方程式(3’)中のcは定数である。
【0051】
【数5】

は以下の新しい関係式を生成する。
【数6】

【0052】
cの推定は、磁気帯中に記憶された情報を提供し、Jhをdのみの関数にすることを可能にし、その最小値は、5個のセンサから得られた各測定値Mfxiのための距離dの推定に使用できる。
【0053】
図3aは、2重推定関数Jhによって提供される距離dと実際の距離との比較を示している。
【0054】
1重推定関数として知られる関数のために、標準応答の値gxiに対して最小自乗法が適用され、b=0言い換えると周囲磁界が空間的に変化しないと仮定される。これによって次式が成立する。
【数7】

式中、方程式(4)中のcは定数である。
【0055】
【数8】

は以下の新しい関係式を生成する。
【数9】

cの推定は、磁気帯中に記憶された情報を提供し、Jgをdのみの関数にすることを可能にし、その最小値は、5個のセンサから得られた各測定値Mfxiのための距離dの推定に使用できる。
【0056】
図3bは、1重推定関数Jgによって提供される距離dと実際の距離との比較を示している。
【0057】
テスト結果によれば、磁気帯と中央センサとの距離dの推定は、2重推定関数を使用した方がよく、測定レンジ(−60cm、60cm)に亘って誤差は±0.2cmであり、そこでは5個のセンサが地上から25cmの高さで横方向に25cmごとに配置され、各センサの測定ノイズは測定ダイナミックレンジの約20%であった。1重推定関数の場合、誤差レンジは±5.0cmになるが、これは周囲磁界の変化が無視されるためである。
【0058】
2重推定関数が使用された場合、運転補助システム及び検出装置は、4個のセンサだけを有してよい。しかし、センサの1つが動作に失敗したときに備え、1個の予備のセンサを有することが有用である。本発明の有利な1つの態様では、運転補助システム及び検出装置は、図4に示されるような校正システムを含んでよく、この校正システムは、磁気センサの動作状態を検証するため、及びセンサによって測定された信号に基づく所望の磁界に対するセンサの応答における差異を消去するために使用できる。
【0059】
これは、上記で説明された車両位置の推定が、センサの応答における差異を考慮しないからである。図4は、61〜65と番号を付した5個の磁気センサを示し、これらセンサは車両の主軸に垂直な方向に並ぶ軸上に整列されている。誘導コイルを持った2つの電磁石71及び72の各々は、一方では第二及び第三のセンサの間に配置され、他方では第三及び第四のセンサの間に配置されている。電磁石は、要求に応じ、それゆえ指定された値の磁界を生成できるので有用である。種々なセンサで測定することによって、処理ユニットはセンサ間の応答の差異を消去できる。
【0060】
センサが磁気帯上のセンサの高さhとほぼ等しい距離だけ互いに引き離され、地球磁界だけが測定に干渉できる場合、距離dを推定するために別タイプのアルゴリズムを使用でき、帯によって生成された磁界の特徴、特に、磁界の最大振幅の両側で高さhに距離をおいて配置されたゼロ位置、及びゼロ位置を越えた距離では磁界の変化がゆっくりしているという特徴を使用する。
【0061】
第一段階では、ベースレベルNBが測定の中央値によって決定されるが、これは磁気帯から遠く離れたセンサの数が磁気帯に近いセンサの数よりも多いからである。
【0062】
第二段階では、中央値NBから最も遠く離れたレベルN、言い換えると最大の|N−NB|を有するセンサCNが検出され、これが磁気帯に最も近いセンサに対応する。
【0063】
第三段階では、Nに最も近いレベルNA、言い換えると|NA−N|の最小値を有するセンサCNに隣接するセンサCAが決定される。
【0064】
最後の帯の距離dは、センサCNの位置xCN及びセンサCAの位置xCAに基づいて、次式で推定される。
d=(xCN*(NA−NB)+xCA*(N−NB)/(N+NA−2*NB)
【0065】
磁気帯の中に暗号化された情報cに関しては、次式で与えられる。
c=(N+NA−2*NB)
【0066】
この単純化されたアルゴリズムは、測定ノイズが十分に低いと仮定すると、満足できる精度で距離dを決定するために必要な計算数を、かなりの程度まで低減する。
【0067】
約300mの長さに亘って磁気帯をはめ込んだトラック上で、地上15cmの高さに5個のセンサを搭載した車両を使用したテストを実行した。単純化アルゴリズムを使用して、距離dを、+250mmと−250mmの距離レンジに亘って約±1mmの精度で、特に磁気帯の上をジグザグ(車両が帯の両側へ振動する)運転するときに計算できた。
【0068】
図4の例では、5個の磁気センサを含み、検出装置の対称性を利用できたならば、2つの電磁石だけで十分であるが、これは、図4のセンサと電磁石との間の矢印で示されているように、第一電磁石71が一方ではセンサ62及び63上で、他方ではセンサ61及び64上で等価な効果を持ち、これに対して第二電磁石72が一方ではセンサ63及び64上で、他方ではセンサ62及び65上で等価な効果を持っているからである。例えば、センサ63を基準としてとると、電磁石71は、第一段階で活性化されてセンサ62を修正し、センサ64に関してセンサ61の応答を見つける。第二段階で、電磁石72が活性化されてセンサ64を、その結果として第一段階で決定されたこれら2つのセンサの関係を使用してセンサ61も修正し、第一段階で修正されたセンサ62でセンサ65を修正する。1つ又は両方の電磁石が活性化されたときに、センサの信号が変化しない、又は十分に変化しない場合には、欠陥のあるセンサとして検出される。
【0069】
図5は、図4で示される磁気センサによるデータ取得のシーケンスを示している。データの取得は、同期化されている。言い換えると、5個のセンサは磁界を同時に測定する。
【0070】
シーケンスの全体の継続時間はT0であり、5つの時間区間に分割されている。最初の4つの時間区間の各々は時間T1を有し、T1は4T1<T0を満足するように選択され、第五の時間区間を提供し、その間に処理ユニットが処理を実行し、データを転送できるように選択される。
【0071】
通常動作のとき、最初の4つの時間区間は同一であり、2つの電磁石は磁界を生成しない。これら4つの段階の間に、センサは環境及びインフラストラクチャ上又は中に堆積された磁気帯によって生成された磁界を記録する。これら各々の段階の間に取得された大量のデータは、信号/ノイズ比を改良することを可能にし、測定継続中の磁界の平均値の計算を許容する。
【0072】
校正モード中の動作では、2つの電磁石は第一段階では磁界を生成せず、一方の電磁石が第二段階で磁界を生成し、2つの電磁石は第三段階で磁界を生成せず、第四段階で他方の電磁石が磁界を生成する。これら4段階中、センサは一方では電磁石によって、他方では環境及びインフラストラクチャ上又は中に堆積された磁気帯によって生成された磁界を記録する。第一及び第二段階の間のセンサ信号の変化は1番目に活性化された電磁石に対する各センサの応答を決定するために使用でき、第三及び第四段階の間のセンサ信号の変化は各センサの2番目に活性化された電磁石に対する応答を決定するために使用できる。センサは、一方のセンサと他方のセンサとの測定値の差に従って校正できる。これら各々の段階の間に取得された大量のデータは、信号/ノイズ比を改良することを可能にし、測定継続中の磁界の平均値の計算を許容する。更に第一及び第三段階中の測定は、通常動作中に関して磁気帯に含まれている距離と情報を推定するために直接使用できる。
【0073】
金属ボディによるバイアス及び磁気センサの固有ノイズによるバイアスが同時に考慮される場合、上記例の垂直な一方向性磁界に対しては2重推定関数が使用でき、センサが地上から25cmの位置で間隔25cmのとき、距離の推定は、「−50cm、50cm」のレンジに亘って精度0.2cmと推定され、「−60cm、60cm」のレンジに亘って精度0.4cmと推定される。
【0074】
校正システムも使用でき、全センサが正常に動作しているかどうかを連続的にチェックする。必要であれば、センサの1つに(例えば処理ユニットにプログラムされた基準に従って)欠陥があるとき、処理ユニットはそれを無効にし、且つ/又は測定された磁界を考慮することを停止して、距離の計算及び/又は暗号化された情報の読取を誤らないようにする。上記で説明された5個のセンサを備えたシステムは、検出装置と連動して、たとえセンサの1つが故障の結果として無効にされても、運転補助システムが連続して動作することを可能にする。
【0075】
運転補助システム及び検出装置の1つの変形は、車両の主軸に垂直な第二の支持部の上で上記のセンサとはオフセットして整列された、1つ又はそれ以上の磁気センサの導入を含む。追加のセンサは、例えば、車両の後部バンパ上に整列できる。このようにして、以前に計算された距離の知識は、追加のセンサと磁気帯との間の第二の水平距離の知識と組み合わせて、道路に対する車両の軸の向きを決定するために使用できる。この情報は例えばスキッド防止制御のために非常に有用となり得る。
【0076】
図2に示されるように、位置データ(距離d)及び磁気帯の磁化上のデータ(情報の暗号化を可能にする磁界cの振幅)は、その後にフォーマットされ、特に位置及び暗号化されたデータに関する有用な情報を車両に供給することを意図するモジュールへと送信される。
【0077】
このようにしてインフラストラクチャ上又は中に堆積された磁気マーキングは、インフラストラクチャ中の車両の位置基準を規定し、情報キャリアとしても行動する。
【0078】
磁気マーキングを形成するために使用される材料は、硬質磁性材料と呼ばれるものである。これらの材料では、磁化曲線が図6に示されるようなヒステレシスサイクルを有し、その残留磁界Brの値及び保持磁気励起磁界Hcの値で特徴付けられる。硬質磁性材料は、それらに外部励起磁界を印加することによって磁化される。この励起磁界の印加が停止されると、材料の磁化は残留磁界Brに等しくなる。この磁界Brの値は、車両のセンサによって検出されるために十分な値でなければならない。この磁界Brの値は、異なる磁界を印加することによって変更できるが、保持磁界Hcより大きな値である必要がある。距離1mの位置で生成された磁界が現在の通常のセンサで適切に検出されることを保証するためには、残留磁化Brが1000ガウスより大きくなければならない。
【0079】
硬質磁性材料は、粒子形状、特に粉、ビーズ又はチップの形状で提供されてよい。
【0080】
粒子のサイズは、数ナノメートルから1又は2ミリメートル以上の間で変化してよい。保持磁界Hcは、約1〜20000エルステッドで変化してよく、好ましくは5〜5000エルステッドである。保持磁界が5エルステッド未満の粒子はあまりにも容易に消磁されてしまう一方、保持力が5000エルステッドよりも大きい粒子はその磁化に非常に特別且つ高価な装置を必要とする。
【0081】
好ましくは、硬質磁性材料は、磁性フェライトとしても知られる安定した酸化物磁性材料クラスである。最も一般的に使用されているものは、バリウムヘキサフェライトBaFe1219及びストロンチウムヘキサフェライトSrFe1219である。ストロンチウム及びバリウムは鉛で置換できる。その他、例えばマグネタイトFe30及びガンマ酸化第二鉄gamma−Feのような伸張した針の形状を取ることができる立方体フェライトのような硬質磁性材料も使用できる。これら磁性フェライトは、大量に生産され、屋外で保存したときに安定している。
【0082】
その他の使用できる硬質磁性材料は、二酸化クロム及びアルニコ(アルミニウム−ニッケル−コバルト−鉄の合金)、鉄系合金、鉄−カーボン、鉄−コバルト、鉄−コバルト−クロム、鉄−コバルト−モリブデン、銅−ニッケル−鉄、マンガン−アルミニウム、コバルト−白金などの合金である。
【0083】
硬質磁性材料の残留磁束密度は、粒子形状では指向性を備えていない。このフォーマットによって、道路や高速道路のマーキング化合物への組み込みが容易となる。これらの道路信号を意図した化合物は、溶融した物質の形で堆積される熱溶解物質であってよい。また、例えば高分子化できるモノマー系の、ポリマー調製溶液の形で塗布される低温塗装物質も知られている。また、道路及び高速道路マーキング塗料も知られ、一般的に有機溶剤に溶融された樹脂又は水性ポリマー分散系であり、一般に水性塗料の遅い乾燥速度を加速するために必要な各種の添加物が添加されている。流体複合物と同様に、成形された帯を堆積させる公知の方法であって、予備的な帯製造で作成し、道路に適用する際に、巻戻す方法がある。従って、インフラストラクチャ上又は中に堆積された磁気マーキングは、種々の形をとることができる。
【0084】
これら各種タイプの複合物は、一般に充填材及び染料を含んでいる。
【0085】
インフラストラクチャ上の磁気マーキングが信号帯とは別で、その可視性を制限する必要があるときには、任意に複合物に染料を添加してよい。帯を人間の目に完全に見えないようにするため、染料を添加してもよい。
【0086】
そのような複合物に組み込まれた硬質磁性材料は、帯の形で例えば米国特許第6,505,995号及び第4,401,265号に記述されているスプレー装置のような通常のデバイスを使用して、インフラストラクチャ上に連続又は不連続の形で堆積される。この場合、本発明に係るインフラストラクチャの磁気マーキングは、連続又は不連続の磁気帯の形をとる。不連続な磁気帯の場合には、マーキング化合物は一定又は非一定の間隔で堆積される。
【0087】
この目的のため、帯は、浅いくぼみを設けることでインフラストラクチャ中に堆積でき、別の材料で被覆してくぼみを充填することで塗料をマスクし、磁気帯の寿命を長くする。
【0088】
このようにして堆積された磁気帯は、各部分に割り当てられた可変且つ多方向性の磁化を有する帯の連続部分又は基礎区間を形成することによって、情報キャリアの役割を果たすことができる。部分又は区間は、互いに接触していてもよいし(連続的に堆積された帯)、接触していなくてもよい(不連続な帯)。これらの区画は、図1の概略図(符号31及び32)のように磁気帯の長さ方向に沿って一定に分布されてよい。1つの特定の態様では、基礎区画は、その磁気帯と車載の磁気センサとの間の平均高さの1〜4倍の長さを備え、好ましくは平均高さの1〜2倍の長さを備えている。
【0089】
ある区画から次の区画への磁界の変化は、磁気帯が連続であるか否かにかかわらず、一方向性磁界の場合には1回だけの方向の変化を含むことができ、このようにして情報の2進法暗号化のために示される論理状態「0」及び「1」のシーケンスを可能にする。磁界に複数成分が許容される場合には、暗号化はより複雑になり得る。振幅を変化させることもできる。
【0090】
情報の記録又は修正は、保持力よりも大きな外部磁界を印加して残留磁化を残すか、既存の磁化を変更することによって実行される。この操作は、帯上に特定の移動体を通過させることによって実行できる。使用される硬質磁性材料の保持力Hcは、浮遊磁界(地球磁場等)が暗号化された情報を修正しないよう、十分に大きな値でなければならない。
【0091】
この帯の中に暗号化された情報は、次のような色々の種類であってよい。
インフラストラクチャ信号に関する注意(制限速度、進入禁止など)、
インフラストラクチャの地形的データ(傾斜、コーナの曲率半径など)、
臨時情報(道路工事、進路変更など)、
商業的情報(臨時の文化イベント、近くの休憩所、燃料価格、近くの観光地など)。
【0092】
この情報は、明らかに、時間の経過とともに変更する必要がある。しかし、必ずしも更新の間隔が同一である必要はない。更に、情報がすべて同一の重要度を有する訳ではなく、いくつかは単に商業的又は文化的なものである一方で、他の情報は車両の安全にかかわっている。情報を階層的にランク付けできなければならない。
【0093】
これが、同一の塗料に複数の硬質磁性材料(少なくとも2つ)を導入して、異なる安全レベルを備えた異なる種類の情報の暗号化を可能とするのが有用な理由である。これにより、最も重要な情報(信号、地形データなど)は磁性が最も硬い材料(最高のHc>200エルステッドを持つ)で暗号化され、より重要でない情報(文化的イベント、燃料の価格など)はより磁性が硬くない材料(最も小さいHc>エルステッド)で暗号化される。より重要度が低い情報を修正できる移動体は、インフラストラクチャ上を他の移動体と同一の速度で走行できる軽量の車両である。情報暗号化の階層化のもう1つの利点は、非常に重要な情報は非常に磁性が硬い材料の保持力よりも大きな磁界を生成するために、金属ボディが必要なので、大きくて、特定の目的の車両によってのみ修正可能であるという点である。このようにして、より重要度が低いメッセージのプログラミングに誤りがあっても非常に重要なメッセージは消去できない。
【0094】
本システムは車両のユーザ向けに記録された商業的メッセージを使用して財政的に独立できることである。
【0095】
本発明の磁気マーキングのもう1つの利点は、磁気帯の部分的な劣化が生じた場合、検出装置は情報の限られたビットだけしか失わないだけである。運転補助システムはそれゆえ、そのような場合でも動作を継続する。また、たとえば、各間隔で多方向性を備えた磁界を使用して、重要な情報を数回繰り返すことによって、情報の中でも特に重要な情報に冗長度を設けることを考慮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明に係る運転補助システムの概略図である。
【図2】本発明に係る運転補助システム及び磁気センサを含む検出装置の態様の図である。
【図3a】磁気帯に対する車両位置を推定する2重関数と実際の位置との差を示す図である。
【図3b】磁気帯に対する車両位置を推定する1重関数と実際の位置との差を示す図である。
【図4】本発明に係る校正システムの概略図である。
【図5】本発明に係る運転補助システム及び磁気デバイスの磁気センサによるデータ取得の2つのシーケンス、即ち通常モード及び校正モードを示す図である。
【図6】本発明に係る磁気帯の生成に使用される磁性フェライトの代表的な磁化曲線を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インフラストラクチャ(19)上を走行する車両(20)へ情報を供給する運転補助システムであって、
前記インフラストラクチャの上又は中に形成され、前記車両宛の情報を暗号化するのに適した磁気マーキングであって、前記情報は変更可能である磁気マーキング(30、40)と、
前記車両に搭載され、前記磁気マーキングによって生成された磁界を含む全磁界を検出し、この全磁界の対応信号を作成する複数の磁気センサ(45)と、前記対応信号を処理し、一方では前記車両と前記磁気マーキングとの間の第一の距離を決定し、他方では前記磁気マーキングに暗号化された情報を解読するように適合された処理ユニット(50)とを含む検出デバイスと、を備える運転補助システム。
【請求項2】
請求項1記載の運転補助システムにおいて、
前記磁気マーキングは、道路信号向けのマーキング複合体の堆積によって形成され、1又は複数種の粒子状の磁性材料が添加され、これら粒子はその保持磁気励起磁界を越える磁界を受けたときに残留磁化を受けることができ、前記粒子の残留磁化は車両向けの情報を暗号化するように適合されている運転補助システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の運転補助システムにおいて、
少なくとも2種の異なる磁性材料が磁気マーカ中にあり、前記磁性材料の各々は異なる保持磁気励起磁界を有し、これにより、前記車両向けの情報が異なる安全レベルで暗号化でき、最も重要な情報が最も高い保持磁気励起磁界を有する磁性材料で暗号化される運転補助システム。
【請求項4】
請求項1から3いずれか記載の運転補助システムにおいて、
磁気マーカは、磁気帯の形状で実質的に連続して堆積され、
前記情報は、磁気帯の長さ方向に沿って略一定の基本区間(31、32)で暗号化され、これら基本区間の各々は独自の多方向性磁界を有する運転補助システム。
【請求項5】
請求項1から3いずれか記載の運転補助システムにおいて、
磁気マーカは、略一定の基本間隔で形成された不連続な磁気帯の形状で堆積され、
前記情報は、前記基本区間の各々において暗号化され、前記基本区間の各々は独自の多方向性磁界を有する運転補助システム。
【請求項6】
請求項4又は5記載の運転補助システムにおいて、
前記基本区間は、前記磁気帯と車載の前記磁気センサとの間の平均高さの1〜2倍の長さを有する運転補助システム。
【請求項7】
請求項4から6いずれか記載の運転補助システムにおいて、
前記多方向性磁界は、前記磁気帯の方向に略垂直な方向且つ同一平面内である方向に少なくとも第一成分を含む運転補助システム。
【請求項8】
請求項2から7いずれか記載の運転補助システムにおいて、
前記磁性材料の粒子は樹脂に結合されている運転補助システム。
【請求項9】
請求項2から8いずれか記載の運転補助システムにおいて、
前記磁性材料は、磁性フェライトである運転補助システム。
【請求項10】
請求項2から9いずれか記載の運転補助システムにおいて、
前記磁性材料は、直径10nm以上2mm以下の粉、ビーズ、又はチップの形状である運転補助システム。
【請求項11】
請求項2から10いずれか記載の運転補助システムにおいて、
前記道路信号向けのマーキング複合体は、好ましくは水系の塗料である運転補助システム。
【請求項12】
請求項2から11いずれか記載の運転補助システムにおいて、
複数の前記磁気センサは、少なくとも3つの磁気センサを備え、
前記処理ユニットは、前記磁気センサからの前記対応信号に基づいて、前記全磁界から周囲磁界を消去するように適合された運転補助システム。
【請求項13】
請求項12記載の運転補助システムにおいて、
少なくとも第四の磁気センサを備え、
前記処理ユニットは、前記磁気センサからの前記対応信号に基づいて、前記周囲磁界の変化によるバイアスを考慮するように適合された運転補助システム。
【請求項14】
請求項13記載の運転補助システムにおいて、
前記磁気センサは、前記車両の軸に対して略垂直な第一軸(60)上に整列される運転補助システム。
【請求項15】
請求項14記載の運転補助システムにおいて、
前記第一軸とは異なる第二軸に位置する少なくとも1つの補助磁気センサを備え、
前記処理ユニットが、前記車両と前記磁気帯との間の第二の距離を決定し、前記第一及び第二の距離に基づいて前記インフラストラクチャ上の移動方向に対する前記車両の方向を決定する運転補助システム。
【請求項16】
請求項12から15のいずれか記載の運転補助システムにおいて、
前記磁気センサの校正装置(71、72)を更に備え、これら装置は、特定値の補足磁界を生成でき、
前記処理ユニットは、前記磁気センサの動作状態を検証し、前記磁気センサによって測定された信号に基づく前記磁気センサの応答における差異を消去するように適合された運転補助システム。
【請求項17】
請求項16記載の運転補助システムにおいて、
前記校正装置は、電磁石を備える運転補助システム。
【請求項18】
請求項12から17いずれか記載の運転補助システムにおいて、
前記磁気センサは、磁気抵抗センサ、ホール効果センサ、又は電流ループセンサである運転補助システム。
【請求項19】
請求項12から18いずれか記載の運転補助システムにおいて、
前記第一及び第二の距離の少なくとも一方、並びに前記磁気帯中に暗号化された前記情報は、前記磁気センサの各々で読み取られ前記磁気センサの各位置(xi)における全磁場の関数である値(Mfxi、Mgxi、Mhxi)を最小自乗基準で比較することを含む推定関数に基づいて、前記処理ユニットによって決定され、前記距離及び情報の推定値は前記読み取られた値に最も適する運転補助システム。
【請求項20】
請求項12から18いずれか記載の運転補助システムにおいて、
前記第一及び第二の距離の少なくとも一方(d)、並びに前記磁気帯中に暗号化された前記情報(c)は、前記磁気センサの各々で読み取られる値(Mfxi)と、
前記読み取られる値の中央値であるNBと、
前記中央値から最も遠く離れた値に相当し、位置xCNにあるセンサCNで読み取られるNと、
前記中央値から最も近い値に相当し、位置xCAにあるセンサCAで読み取られるNAと、に基づき、以下の数式から計算される運転補助システム。
d=(xCN*(NA−NB)+xCA*(N−NB)/(N+NA−2*NB)
c=(N+NA−2*NB)
【請求項21】
請求項1から20記載の運転補助システムのための検出装置であって、
車両(20)に搭載され、インフラストラクチャ上又は中に形成された磁気マーキング(30、40)によって生成された磁界を含む全磁界を検出し、この全磁界の対応信号を生成する複数の磁気センサ(45)と、
前記対応信号を処理し、前記車両と磁気マーカとの間の第一の距離(d)を決定するように適合された処理ユニット(50)とを備え、
複数の前記磁気センサは、少なくとも3つの磁気センサを含み、
前記処理ユニットは、前記対応信号に基づいて前記全磁界から周囲磁界を消去するように適合された検出装置。
【請求項22】
請求項21記載の検出装置において、
少なくとも第四の磁気センサを備え、
前記処理ユニットは、前記磁気センサからの対応信号に基づいて、前記周囲磁界の変化によるバイアスを考慮するように適合された検出装置。
【請求項23】
請求項22記載の検出装置において、
前記磁気センサは、前記車両の軸に対して略垂直な第一軸(60)上に整列される検出装置。
【請求項24】
請求項23記載の検出装置において、
前記第一軸とは異なる第二軸に位置する少なくとも1つの補助磁気センサを備え、
前記処理ユニットが、前記車両と前記磁気帯との間の第二の距離を決定し、前記第一及び第二の距離に基づいて前記インフラストラクチャ上の移動方向に対する前記車両の方向を決定する検出装置。
【請求項25】
請求項21から24いずれか記載の検出装置において、
前記磁気センサの校正装置(71、72)を更に備え、これら装置は、特定値の補足磁界を生成でき、
前記処理ユニットは、前記磁気センサの動作状態を検証し、前記磁気センサによって測定された信号に基づく前記磁気センサの応答における差異を消去するように適合された検出装置。
【請求項26】
請求項25記載の検出装置において、
前記校正装置は、電磁石を備える検出装置。
【請求項27】
請求項21から26いずれか記載の検出装置において、
前記磁気センサは、磁気抵抗センサ、ホール効果センサ、又は電流ループセンサである検出装置。
【請求項28】
請求項21から27いずれか記載の検出装置において、
前記処理ユニットは、前記磁気マーキングにおいて暗号化された情報を解読するように適合された検出装置。
【請求項29】
請求項21から28いずれか記載の検出装置において、
前記第一及び第二の距離の少なくとも一方、並びに前記磁気帯中に暗号化された前記情報は、前記磁気センサの各々で読み取られ前記磁気センサの各位置(xi)における全磁場の関数である値(Mfxi、Mgxi、Mhxi)を最小自乗基準で比較することを含む推定関数に基づいて、前記処理ユニットによって決定され、前記距離及び情報の推定値は前記読み取られた値に最も適する検出装置。
【請求項30】
請求項21から28いずれか記載の検出装置において、
前記第一及び第二の距離の少なくとも一方(d)、並びに前記磁気帯中に暗号化された前記情報(c)は、前記磁気センサの各々で読み取られる値(Mfxi)と、
前記読み取られる値の中央値であるNBと、
前記中央値から最も遠く離れた値に相当し、位置xCNにあるセンサCNで読み取られるNと、
前記中央値から最も近い値に相当し、位置xCAにあるセンサCAで読み取られるNAと、に基づき、以下の数式から計算される検出装置。
d=(xCN*(NA−NB)+xCA*(N−NB)/(N+NA−2*NB)
c=(N+NA−2*NB)
【請求項31】
インフラストラクチャ(10)上を走行できる車両(20)であって、
前記インフラストラクチャ上又は中に形成され、車両向けの情報の暗号化に適合された磁気マーキング(30、40)を備え、請求項21から30いずれか記載の検出装置が搭載され、
前記装置は、少なくとも前記車両と前記磁気マーキングとの間の第一の距離(d)を決定し、前記磁気マーキング中に暗号化された情報の解読を可能とする車両。
【請求項32】
請求項1から20いずれか記載の運転補助システムのためのインフラストラクチャ(10)であって、
前記インフラストラクチャ上又は中に形成され、前記インフラストラクチャ上を走行する車両(20)向けの情報を暗号化するように適合された磁気マーキング(30、40)を備え、この磁気マーキングは道路信号向けのマーキング複合物の堆積によって形成され、1種又はそれ以上の粒子形状の磁性材料が添加され、これら粒子がその保持磁気励起磁界(Hc)よりも大きな磁界を受けたときに残留磁化を受けることができ、前記磁気マーキングの残留磁化は前記車両向けの情報を暗号化するように適合されたインフラストラクチャ。
【請求項33】
請求項32記載のインフラストラクチャにおいて、
少なくとも2種の異なる磁性材料が磁気マーカ中にあり、前記磁性材料の各々は異なる保持磁気励起磁界を有し、これにより、前記車両向けの情報が異なる安全レベルで暗号化でき、最も重要な情報が最も高い保持磁気励起磁界を有する磁性材料で暗号化されるインフラストラクチャ。
【請求項34】
請求項32又は33記載のインフラストラクチャにおいて、
磁気マーカは、磁気帯の形状で実質的に連続して堆積され、
前記情報は、磁気帯の長さ方向に沿って略一定の基本区間(31、32)で暗号化され、これら基本区間の各々は独自の多方向性磁界を有するインフラストラクチャ。
【請求項35】
請求項32又は33記載のインフラストラクチャにおいて、
磁気マーカは、略一定の基本間隔で形成された不連続な磁気帯の形状で堆積され、
前記情報は、前記基本区間の各々において暗号化され、前記基本区間の各々は独自の多方向性磁界を有するインフラストラクチャ。
【請求項36】
請求項32から35いずれか記載のインフラストラクチャにおいて、
前記多方向性磁界は、前記磁気帯の方向に略垂直な方向且つ同一平面内である方向に少なくとも第一成分を含むインフラストラクチャ。
【請求項37】
請求項32から36いずれか記載のインフラストラクチャにおいて、
前記磁性材料の粒子は樹脂に結合されているインフラストラクチャ。
【請求項38】
請求項32から37いずれか記載のインフラストラクチャにおいて、
前記磁性材料は、磁性フェライトであるインフラストラクチャ。
【請求項39】
請求項32から38いずれか記載のインフラストラクチャにおいて、
前記磁性材料は、直径10nm以上2mm以下の粉、ビーズ、又はチップの形状であるインフラストラクチャ。
【請求項40】
請求項32から39いずれか記載のインフラストラクチャにおいて、
前記道路信号向けのマーキング複合体は、好ましくは水系の塗料であるインフラストラクチャ。
【請求項41】
インフラストラクチャ上又は中に形成され車両向けの情報を暗号化するように適合された磁気マーキングを備えるインフラストラクチャ(10)上を走行する車両(20)であって、前記車両に搭載され、前記磁気マーキングによって生成された磁界を含む全磁界を検出し、この全磁界の対応信号を生成する複数の磁気センサと、前記対応信号のための処理ユニットとを備える検出装置を有する車両の運転補助方法であって、
a)複数の前記磁気センサを使用して前記全磁界を測定するステップと、
b)前記処理ユニットを使用して、前記対応信号に基づき、前記磁気マーキング中に暗号化された情報を決定するステップと、
c)前記処理ユニットを使用して、前記対応信号に基づき、前記車両と前記磁気マーカとの間の第一の距離を決定するステップと、
d)暗号化された情報及び前記第一の距離を、前記車両の運転者とのインタフェースを形成するモジュールへ送信するステップと、を含む運転補助方法。
【請求項42】
請求項41記載の運転補助方法において、
複数の前記磁気センサは、少なくとも3つの磁気センサを備え、
前記処理ユニットは、前記磁気センサからの前記対応信号に基づいて、前記全磁界から周囲磁界を消去するように適合された運転補助方法。
【請求項43】
請求項42記載の運転補助方法において、
少なくとも第四の磁気センサを備え、
前記処理ユニットは、前記磁気センサからの前記対応信号に基づいて、前記周囲磁界の変化によるバイアスを考慮するように適合された運転補助方法。
【請求項44】
請求項43記載の運転補助方法において、
前記磁気センサは、前記車両の軸に対して略垂直な第一軸(60)上に整列される運転補助方法。
【請求項45】
請求項44記載の運転補助方法において、
前記第一軸とは異なる第二軸に位置する少なくとも1つの補助磁気センサを備え、
前記処理ユニットが、前記車両と前記磁気帯との間の第二の距離を決定し、前記第一及び第二の距離に基づいて前記インフラストラクチャ上の移動方向に対する前記車両の方向を決定する運転補助方法。
【請求項46】
請求項42から45いずれか記載の運転補助方法において、
前記磁気マーキングは道路信号向けのマーキング複合物の堆積によって形成され、1種又はそれ以上の粒子形状の磁性材料が添加され、これら粒子がその保持磁気励起磁界(Hc)よりも大きな磁界を受けたときに残留磁化を受けることができ、前記磁気マーキングの残留磁化は前記車両向けの情報を暗号化するように適合された運転補助方法。
【請求項47】
請求項46記載の運転補助方法において、
少なくとも2種の異なる磁性材料が磁気マーカ中にあり、前記磁性材料の各々は異なる保持磁気励起磁界を有し、これにより、前記車両向けの情報が異なる安全レベルで暗号化でき、最も重要な情報が最も高い保持磁気励起磁界を有する磁性材料で暗号化される運転補助方法。
【請求項48】
請求項47記載の運転補助方法において、
前記第一及び第二の距離の少なくとも一方、並びに前記磁気帯中に暗号化された前記情報は、前記磁気センサの各々で読み取られ前記磁気センサの各位置(xi)における全磁場の関数である値(Mfxi、Mgxi、Mhxi)を最小自乗基準で比較することを含む推定関数に基づいて、前記処理ユニットによって決定され、前記距離及び情報の推定値は前記読み取られた値に最も適する運転補助方法。
【請求項49】
請求項47記載の運転補助方法において、
前記第一及び第二の距離の少なくとも一方(d)、並びに前記磁気帯中に暗号化された前記情報(c)は、前記磁気センサの各々で読み取られる値(Mfxi)と、
前記読み取られる値の中央値であるNBと、
前記中央値から最も遠く離れた値に相当し、位置xCNにあるセンサCNで読み取られるNと、
前記中央値から最も近い値に相当し、位置xCAにあるセンサCAで読み取られるNAと、に基づき、以下の数式から計算される運転補助方法。
d=(xCN*(NA−NB)+xCA*(N−NB)/(N+NA−2*NB)
c=(N+NA−2*NB)

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−502041(P2008−502041A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−514027(P2007−514027)
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【国際出願番号】PCT/FR2005/001351
【国際公開番号】WO2006/000690
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(505351201)セントレ ナシオナル デ ラ ルシェルシェ シエンティフィーク セエヌエールエス (14)
【出願人】(503220093)ユニヴェルシテ ピエール エ マリ キュリ (6)
【Fターム(参考)】