移動体に搭載される運行管理装置、携帯情報端末、運行管理サーバ、コンピュータプログラム
【課題】運行管理機能を有する携帯情報端末と連動する運行管理装置を提供する。
【解決手段】運行管理機能を有する携帯情報端末20を装着するためのホルダ10aが凹状に形成されており、このホルダ10aと電子機器部品を収容する収容筐体10cとをアーム10bで連結してクレードル10を構成する。ディスプレイは携帯情報端末20のものを用いる。収容筐体10cには、携帯情報端末20に含まれない計測器あるいは携帯情報端末20よりも精度の高い計測器から成るセンサ部と、このセンサ部の検出結果を、運行管理のための補完用情報として携帯情報端末20へ近距離無線通信により伝達するデータ通信インタフェース等の通信手段を備えている。
【解決手段】運行管理機能を有する携帯情報端末20を装着するためのホルダ10aが凹状に形成されており、このホルダ10aと電子機器部品を収容する収容筐体10cとをアーム10bで連結してクレードル10を構成する。ディスプレイは携帯情報端末20のものを用いる。収容筐体10cには、携帯情報端末20に含まれない計測器あるいは携帯情報端末20よりも精度の高い計測器から成るセンサ部と、このセンサ部の検出結果を、運行管理のための補完用情報として携帯情報端末20へ近距離無線通信により伝達するデータ通信インタフェース等の通信手段を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば移動体の挙動(動態)を検出して当該移動体の運行管理を行う運行管理装置、この運行管理装置と連動する携帯情報端末、及び、コンピュータ装置に運行管理機能を形成するためのコンピュータプログラムに関する。ここで、「移動体」とは、車両、二輪車、船舶、航空機のようなものをいい、「運行管理」とは移動体の運行によって生じる挙動の検出や運行情報の解析、当該運行情報を入手するための各種設定,その他当該運行に関わる情報の内容を処理することをいう。
【背景技術】
【0002】
車両が運転されることにより生じる運行情報を収集し、収集した運行情報の内容を解析するドライブレコーダが知られている。ドライブレコーダで収集される運行情報は、例えばロール、ピッチ、ヨーの角速度データ、二次元または三次元の加速度データ、緯度・経度・速度・方位を表すGPS(グローバル・ポジショニング・システム)データ、車両計器からの車速パルスを入力とする車速データ等である。
このような運行情報を解析することで、交通事故が発生した場合の事故原因の特定や、運転者による車両の操作傾向、例えば、急加速が多い、ブレーキをかけ始めるのが遅い、ふらつきがある等、何度も繰り返される当該運転者特有の癖等を把握することが可能となり、運転者に安全運転を促したりすることができる。
【0003】
しかし、事故原因の特定や車両の操作傾向の把握の信頼性を高めるには、運行情報を高精度に計測する計測器が必要となるため、専用のドライブレコーダは高価格なものとなる。また、ドライブレコーダで収集した運行情報の解析は、パーソナルコンピュータを使用して行われるため、一般ユーザからすると不便なものとなっている。
【0004】
そこで、近年、情報処理装置を有する携帯情報端末に、加速度計のようなセンサを搭載するとともに、ドライブレコーダと同様の機能をソフトウエアで実現した携帯情報端末が登場してきている。
例えば、特許文献1に開示された携帯情報端末は、ビデオ録画機能を内蔵している携帯情報端末を専用設置台に搭載させて常に録画状態を維持させ、突然起る交通事故の衝撃をセンサで感知して、その衝撃の発生前後一定時間の映像を記録する。これにより、事故原因の解明や保険交渉の判定に貢献している。
【0005】
また、特許文献2に開示されたドライブレコーダは、車両の運転状況データを継続的に収集するデータ収集部と、運転状況データを不揮発的に格納する記憶部と、携帯情報端末との間で有線または無線による相互通信を行う通信部と、これらの各機能部を統括的に制御する制御部とを有し、携帯情報端末との間で運転状況データや動作設定データを送受信する。これにより、ドライブレコーダで行うべき各種設定を容易にしたり、運転状況データを携帯情報端末のディスプレイで閲覧したり、通信機能を利用してそのまま所定のサーバ等へ送信することで、利便性の高いドライブレコーダを実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−300150号公報
【特許文献2】特開2010−238214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1にはセンサに関する記述は存在しないが、この種の携帯情報端末は、本来的には人間が操作して使用するものであるため、センサを備えるとしても、感度の低い簡易な加速度計のようなセンサとなるのが一般的である。そのため、それを専用設置台を介して車両に固定したとしても、十分な精度の運行情報を収集することができず、事故原因の特定や運転者による車両の操作傾向の把握には十分でないという課題が残る。
また、特許文献2に開示されているドライブレコーダでは、車両の運行状況はこのドライブレコーダで収集され、携帯情報端末が備える通信機能やディスプレイを利用するにとどまるため、ドライブレコーダ自体のコスト削減に寄与しないという課題が残る。
【0008】
本発明は、例えば上記のようなドライブレコーダの機能を低コストで実現するとともに携帯情報端末の運行管理機能の補完も可能にする技術を提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、携帯情報端末、移動体に搭載される運行管理装置、運行管理サーバ、並びに、コンピュータプログラムを提供する。
本発明の携帯情報端末は、移動体の挙動、並びに、当該挙動の発生時の時刻、位置、映像を含む当該移動体の運行情報を検出する第1センサ部と、前記移動体の挙動を前記第1センサ部よりも高精度に検出する第2センサ部を備えた運行管理装置との間で、近距離無線通信を行う近距離通信手段と、前記第2センサ部の検出結果を前記近距離通信手段を通じて前記運行管理装置より取得する情報取得手段と、前記第1センサ部の検出結果を、取得した前記第2センサ部の検出結果で補完し、補完された運行情報が所定の条件に適合するかどうかを判別し、適合する場合は当該補完された運行情報をイベント情報として所定の記録領域に記録する運行管理手段と、を有する携帯情報端末である。
このように構成される携帯情報端末では、挙動に関しては、第1センサ部ではなく、より精度の高い第2センサ部の検出結果を用いるので、条件に適合するかどうかの判別が、より正確なものとなる。
【0010】
ある実施の態様では、この携帯情報端末は、公衆通信を行う公衆通信手段と、前記記録領域に記録されているイベント情報を前記公衆通信手段を通じて指定された通信相手先へ伝達する通信制御手段と、をさらに有する。これにより、イベント情報の外部への伝達が容易となる。
【0011】
ある実施の態様では、この携帯情報端末は、ディスプレイを備えており、前記運行管理手段は、前記携帯情報端末の動作に影響を与える環境情報を前記近距離通信手段を通じて前記運行管理装置より取得し、取得した当該環境情報が予め設定された許容範囲内かどうかを判別し、許容範囲を逸脱する場合は警告情報を生成し、当該警告情報を前記ディスプレイに出力する。これにより、携帯情報端末(ディスプレイ)を表示手段として利用し、運転者(操作者)に迅速な対応を促すことができる。
【0012】
本発明の運行管理装置は、移動体の挙動、並びに、当該挙動の発生時の時刻、位置、映像を含む当該移動体の運行情報を検出する第1センサ部を備え、当該移動体の運行管理を行う携帯情報端末を、当該移動体の所定部位に固定するためのホルダと、前記携帯情報端末との間で、近距離無線通信を可能にする近距離通信手段と、前記移動体の挙動を前記第1センサ部よりも高精度に検出する第2センサ部と、前記第2センサ部の検出結果を前記携帯情報端末へ前記近距離通信手段を通じて伝達し、これにより当該携帯情報端末による前記運行管理の補完を可能にする情報伝達手段と、前記第2センサ部の検出結果を前記移動体毎又は前記移動体を運転する運転者毎に分類されたメモリ媒体に記録するための情報記録手段と、前記メモリ媒体を収容するための媒体収容機構とを有する、移動体に搭載される運行管理装置である。
このように構成される運行管理装置は、携帯情報端末における第1センサ部の検出結果、特に移動体の挙動の検出結果の精度を高めることができる。また、メモリ媒体に第2センサ部の検出結果が記録されるため、運行終了後の運行解析が可能になる。
【0013】
ある実施の態様では、前記情報記録手段は、暗号化情報により特定された暗号ロジックに従い前記第2センサ部の検出結果を前記移動体の保有者又は運転者が解読できないデータ構造に変換するとともに、変換した情報を前記メモリ媒体に記録する。
これにより、メモリ媒体に記録される情報の前記移動体の保有者又は運転者による改竄等を抑制することができる。さらに、例えば車両が加入している自動車損害賠償保険会社毎に指定された暗号ロジックが異なり、この車両を運転する運転者も固定化されていない場合や、一人の運転者が運転する車両が一日に何回も変わる場合であっても、使用する暗号ロジックの切り替えが柔軟かつ迅速にできる。
【0014】
また、ある実施の態様では、前記第2センサ部は、前記ホルダに固定された前記携帯情報端末の設置環境を計測するための環境検出センサを備えており、前記情報伝達手段は、前記環境検出センサによる計測値を前記携帯情報端末の動作に影響を与える環境情報として前記近距離通信手段を通じて前記携帯情報端末へ伝達する。
これにより、携帯情報端末が正常に動作できる環境か否かを判別することができる。
【0015】
本発明の運行管理サーバは、本発明の運行管理装置と近距離無線通信を行う本発明の携帯情報端末(ディスプレイ付)が公衆通信を通じて閲覧可能な共有アクセス領域を有する運行管理サーバであって、各携帯情報端末から前記運行情報を取得する情報取得手段と、取得した運行情報を運行環境毎に分類し、分類した運行情報のランキング評価を行う評価手段と、前記ランキング評価の結果情報を前記共有アクセス領域に掲載する管理手段と、を備えて構成されるものである。
【0016】
本発明が提供するコンピュータプログラムは、移動体の挙動、並びに、当該挙動の発生時の時刻、位置、映像を含む当該移動体の運行情報を検出する第1センサ部と、通信相手と近距離無線通信を行う通信機能と、コンピュータとを有する携帯情報端末が読み取り可能なコンピュータプログラムであって、前記コンピュータを、前記移動体の挙動を前記第1センサ部よりも高精度に検出する第2センサ部を備えた運行管理装置から当該第2センサ部の検出結果を近距離無線通信により取得する情報取得手段、前記第1センサ部の検出結果を、取得した前記第2センサ部の検出結果で補完し、補完された運行情報が所定の条件に適合するかどうかを判別し、適合する場合は当該補完された運行情報をイベント情報として所定の記録領域に記録する運行管理手段、として機能させる、コンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の携帯情報端末によれば、第1センサ部の検出精度、特に移動体の挙動の検出精度が仮に高くなくとも、運行管理装置の第2センサ部による高精度の検出結果でそれを補うことができるので、条件との適合性判別がより正確なものとすることができる。また、携帯情報端末と運行管理装置とが近距離無線通信を通じて情報の受け渡しを行うので、両者をケーブル等で接続する必要もなく、非常に扱いやすいばかりでなく、覆域が狭いので、例えば社外から情報のスキミングが行われる危険性も少ない。
本発明の運行管理装置は、上記のように携帯情報端末と連動して運行管理機能を実現することができる。そのため、例えばドライブレコーダとして動作させる上で必要な機能や構成部品のうち、携帯情報端末が備えるものについては、省略することができ、コスト上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態例の全体構成の概要図。
【図2】本発明を適用したクレードルの機能構成図。
【図3】メモリ媒体に記録される運行情報の内容説明図。
【図4】クレードルの外観図。
【図5】携帯情報端末の機能構成図。
【図6】携帯情報端末の記録領域に記録されるイベント情報の内容説明図。
【図7】(a)、(b)は運行管理における運行解析結果の出力内容例。
【図8】基本情報の入力画面例。
【図9】各種条件の設定画面例。
【図10】クレードルにおける処理手順説明図。
【図11】携帯情報端末における処理手順説明図。
【図12】警告情報出力画面例。
【図13】運行管理サーバの機能構成図。
【図14】本発明の応用例となるランキング評価内容を示した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の運行管理装置を、車両に搭載するクレードル(cradle)に適用するとともに、本発明の携帯情報端末を、近年普及している多機能携帯電話で実現した場合の実施の形態例を説明する。「クレードル」は、携帯情報端末を車両の所定部位で保持するための保持器具である。多機能携帯電話は、公衆通信(電話)機能のほか、ディスプレイと、コンピュータ及びメモリと、加速度計、GPSレシーバ、集音マイク、カメラ等の計器類が備えられている情報端末である。このような多機能携帯電話に、本発明のコンピュータプログラムをインストールすることにより、本発明の特徴的な機能を実現している。
【0020】
本実施形態例の全体構成の概要を図1に示す。図1に示す車両には、携帯情報端末固定ホルダ、第2センサ部、媒体収容機構などを含んで構成されるクレードル10が搭載され、この携帯情報端末固定ホルダに、ディスプレイ、第1センサ部、運行管理部などを含んで構成される携帯情報端末20が設置されて当該車両の運行管理を実現している。また、媒体収容機構に装着されたメモリ媒体40には、第2センサ部の検出結果を含む、運行終了後に運行解析をするための各種情報が記録される。クレードル10と携帯情報端末20は近距離無線通信により双方向に情報の伝達が行え、さらに携帯情報端末20は、公衆通信網を介し、例えば車両を運転する運転者が所属する会社や、自動車損害賠償保険会社等が運営する運行管理サーバ30と双方向に情報の伝達も行えるように構成されている。以下、それぞれの機能構成を詳細に説明する。
【0021】
<クレードルの機能構成等>
図2は、本実施形態によるクレードルの機能構成図である。
クレードル10は、センサ部11(図1では第2センサ部)と、データ通信I/F(インタフェース)12、情報送信部13、情報受信部14、媒体収容機構15、主制御部16を主として備え、携帯情報端末20と連動するドライブレコーダの構成部品として動作する。
【0022】
情報送信部13、情報受信部14、主制御部16は、クレードル10に内蔵されているプロセッサ及び内部メモリを有するコンピュータ装置のハードウエア資源と所定のコンピュータプログラムとの協働により実現される。このコンピュータ装置は、年月日を表す時刻データと制御動作の同期クロックとを出力するRTC(Real Time Clock)モジュールを備えたものである。
【0023】
データ通信I/F12は、携帯情報端末20との近距離無線通信を可能にするインタフェースであり、主制御部16と協働することで、通信制御手段として機能する。近距離無線通信とは、有線ケーブルを引き回したり、電気接点同士を接触させたりすることなく、数十cm〜数m以内の狭い覆域内で携帯情報端末20との情報伝達を可能にする、良く知られた通信形態をいう。このような近距離無線通信は、例えば,公知のBluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)を利用することで実現することができる。
【0024】
情報送信部13は、データ通信I/F12と協働して、携帯情報端末20へ情報送信を可能にする。情報受信部14は、データ通信I/F12と協働して、携帯情報端末20から送信された情報の受信を可能にする。主制御部16は、クレードル10の全体処理動作を統括的に制御するとともに、情報送信部13、データ通信I/F12と協働して情報伝達手段としても機能する。
また、主制御部16は、近距離無線通信を行う携帯情報端末20の通信設定情報や個人情報をメモリ媒体40に設定し通信環境を整えたり、携帯情報端末20との近距離無線通信のタイミング等を制御したりする。この設定及びその変更は、後述する携帯情報端末20から近距離無線通信を通じて行うことができる。さらに、主制御部16は、情報記録手段としてメモリ媒体40への各種情報の記録を制御したりする。
【0025】
センサ部11は、後述する携帯情報端末20のセンサ部21よりも高精度のもので、角速度計101、加速度計102、GPS(Global Positioning System)レシーバ103、環境検出センサ104、外部スイッチ105のほか、アナログデータをデジタルデータに変換する公知のデータ変換部と、角速度計101の出力からオフセット成分及びドリフト成分の除去処理等を施すデータ補正部とを含んで構成される。データ補正部については、例えば特開平10−132849号公報の記載を参考にすることができる。
【0026】
角速度計101は、車両における三次元軸線回り(ロール、ピッチ、ヨー)の角速度を検出し、この検出結果を積分した角速度データにより、車両の旋回やふらつき等の挙動を検出することができる。
加速度計102は、車両の前後・横・上下方向の加速度(アクセル加速度、ブレーキ加速度、旋回の横加速度等)を検出する。これにより得られる加速度データにより、衝撃やブレーキ/アクセル操作時における車両の挙動を検出することができる。
GPSレシーバ103は、車両の現在の緯度・経度・速度・方位・時刻等を表すGPSデータを受信する。
環境検出センサ104は、クレードル10が設置された環境、すなわち、携帯情報端末20が設置された環境がどのような状態にあるか、例えば携帯情報端末20が設置された付近の周辺温度を検出するものである。より簡易な構成にするには、上記周辺温度を検出するための既存の温度計を用いることができる。検出された結果は環境情報として携帯情報端末20に伝達される。
外部スイッチ105は、例えば運転者によりON(オン)操作されることで、運行情報の強制的な記録を指示するデータを出力する。
【0027】
なお、センサ部11は、角速度計101、加速度計102、GPSレシーバ103、環境検出センサ104、外部スイッチ105のすべてを備えなければならないものではなく、一部だけであっても良い。また、角速度計101で計測すべきデータを1又は複数の加速度計で代用しても良い。さらに、より高機能にする観点からは、車両の所定部位に設置された、図示しない車載カメラからの撮像信号を受信するためのレシーバ、集音機構からの音声信号を受信するためのレシーバ、車両に搭載されたCAN(Controller Area
Network)通信網と接続して車両の移動速度や燃料消費量などのデータを外部から受信するためのレシーバ等を備え、これらにより検出された情報を運行情報の一部として用いても良い。
【0028】
媒体収容機構16は、メモリ媒体40を離脱自在に収容するものであり、メモリ媒体40が収容されているときは、クレードル10の各部との間のデータ読み出しやデータ書き込みを可能にする。メモリ媒体40は、不揮発性の半導体メモリをカード媒体又はスティック媒体に搭載したものである。半導体メモリには、管理データ記録領域と検出データ領域とが形成されている。
【0029】
管理データ領域には、携帯情報端末20の識別情報、運行管理サーバ30の送信アドレス、挙動条件(詳細は後述する)その他の管理データが記録される。検出データ記録領域には、運行終了後に運行解析を可能にするため、センサ部11で検出された挙動を含む全ての情報が常時記録される。携帯情報端末20から後述するイベント情報のバックアップが指示された場合には、そのイベント情報も検出データ記録領域に記録される。
【0030】
なお、メモリ媒体40への記録に際しては、その読み取りが許容される者のセキュリティレベルを併せて設定することができる。
セキュリティレベルは、デフォルトでは0レベル、すなわち誰もが読み取り可能なレベルである。あるセキュリティレベルでは、メモリ媒体40を発行する者が鍵を持つ暗号ロジック等によって、記録される情報を車両の保有者又は運転者が解読できないデータ構造に変換する。以下、このデータ構造の変換を本明細書では「暗号化」と称することがある。これにより、車両を運転する運転者、並びに、車両の保有者(例えば運転者の管理者)等による情報の改竄を防止することができる。
また、車両毎又は運転者毎に異なる暗号ロジック等を適用させることもできる。この場合、例えばメモリ媒体40を発行する者は、使用する特定の暗号ロジック等をメモリ媒体40の管理データ領域にそれぞれ記録させておいたり、予め複数の暗号ロジック等をメモリ媒体40の管理データ領域に記録させておき、暗号化情報で使用する暗号ロジックを車両毎又は運転者毎に特定したりする。
【0031】
図3は、メモリ媒体40の検出データ領域に常時記録される情報の一例を示した図である。図3において「前後加速度」、「横加速度」、「上下加速度」は、第2センサ部11の加速度計102の検出結果である。「ロール角速度」、「ピッチ角速度」、「方位角速度」は第2センサ部11の角速度計101の検出結果である。「位置(緯度)」、「位置(経度)」は第2センサ部11のGPSレシーバ103が受信したGPSデータに基づいて導出される。「日時」は上述したRTCモジュールから得られる現在時刻データである。
【0032】
<クレードルの形状等>
次に、クレードル10の外観、並びに、形状の例について、図4を用いて説明する。
図4(a)は、クレードル10の正面図、図4(b)は、その側面図であり、それぞれ携帯情報端末20を保持している状態を示している。クレードル10には、携帯情報端末20を装着するためのホルダ10aが凹状に形成されており、このホルダ10aと、上述したコンピュータ装置等の電子機器部品を収容する収容筐体10cとを連結するアーム10bを含んだ構成となっている。
【0033】
運転者は、メモリ媒体40を媒体収容機構16に挿入し、あるいは離脱させるだけで、クレードル10についての操作を行う必要がない。必要な操作は、すべて携帯情報端末20の表示領域20aに表示されるタッチボタンおよびボタン操作部20bを通じて行い、その結果が近距離無線通信によりクレードル10に伝達されることとなる。そのため、アーム10bは、表示領域20aの向きを調整できることは勿論、しっかりと固定できるように、例えば自由雲台のような構造を持つものとする。
【0034】
クレードル10への電力供給は、車両の電源系統との電気的接続により行われるが、収容筐体10c内に二次電池及び充電機構(図示省略)を設けることで、車両の電源系統異常時にも対応することができる。
【0035】
<携帯情報端末の機能構成等>
次に、携帯情報端末20について詳細に説明する。携帯情報端末20には、上述した多機能携帯電話を用いることができる。この多機能携帯電話に本発明のコンピュータプログラムをインストールし、且つ、この多機能携帯電話に標準的に備えられている計器類、コンピュータ装置及びメモリ、通信機構、ディスプレイを用いて、クレードル10と連動してドライブレコーダの機能を実現する場合の例を説明する。
【0036】
図5は、この携帯情報端末20の機能構成図である。図5を参照すると、携帯情報端末20は、センサ部21(図1では第1センサ部)、データ通信I/F(インタフェース)22、情報送信部23、情報受信部24、運行管理部25、不揮発性のメモリ26、主制御部27、不揮発性のバッファ28及びディスプレイ29を含んで構成されている。バッファ28は、データ書き込み位置を示すポインタが最終位置の次に最初の位置に戻る循環式のリングバッファであることが望ましいが、そのようなものでなければならないというものではない。ディスプレイ29は、上述したように、タッチボタンのようなタッチ入力ができるものである。なお、テンキー等については、省略してある。
【0037】
センサ部21は、多機能携帯電話が備える加速度計201、GPSレシーバ202、集音マイク203、カメラ204及びこれらのインタフェースにより構成されるが、クレードル10のセンサ部11がそれを代用できる場合は、多機能携帯電話の方でこれらのすべてが存在しなくとも良い。逆に、外付けできる場合は、必要な計器を追加して用いることになる。
【0038】
加速度計201は、車両の前後・横方向の加速度(アクセル加速度、ブレーキ加速度、旋回加速度等)等、事故挙動や運転の粗さ等の特徴(傾向)を検出する。
GPSレシーバ202は、車両の現在の緯度・経度・速度・方位等を検出する。
集音マイク203は、携帯情報端末20の周囲の音を収集する。
カメラ204は、車両の前方の様子を撮影する。このような計器等により、運行により生じる車両の挙動などの運行情報を検出することができる。
但し、加速度計201とGPSレシーバ202で検出されるデータは、携帯情報端末20単独でドライブレコーダとして機能させる場合に用いられ、本実施形態のようにクレードル10を装備する場合には、クレードル10の精度の高いセンサ部11で検出された情報で補完される。情報の補完については後述詳細に説明する。
【0039】
センサ部21もまた、クレードル10のセンサ部11と同様、必要に応じてアナログデータをデジタルデータに変換するためのデータ変換部を備えている。センサ部21から出力された情報は、現在時刻データと関連付けて、バッファ28に記録される。
【0040】
データ通信I/F(インタフェース)22は、公衆通信網N(運行管理サーバ30等)及びクレードル10との近距離無線通信をそれぞれ可能にするインタフェースであり、主制御部27と協働することで、通信制御手段として機能するものである。クレードル10との通信には、例えばBluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)のうち、クレードル10に組み込まれているものを利用することになる。
【0041】
情報送信部23は、データ通信I/F22と協働して、クレードル10又は公衆通信網N(運行管理サーバ30等)への情報送信を可能にするものであり、情報受信部24は、データ通信I/F22と協働して、クレードル10又は公衆通信網N(運行管理サーバ30等)からの情報受信を可能にするものである。
【0042】
運行管理部25は、車両の運行情報を管理する。具体的には、以下の処理を行う。
(1)通信環境及び自端末への各種情報の設定
近距離無線通信を行う相手となるクレードル10の通信情報や個人情報の設定のほか、車両の挙動を特定挙動と判定するための挙動条件を含む各種条件設定を行う。この設定はディスプレイ29(タッチパネル)を通じて行う。設定された情報は、メモリ26に記録される。
【0043】
(2)通信相手となるクレードル10への各種設定
クレードル10と近距離無線通信のための通信路を確立した後、ディスプレイ29(タッチパネル)を用いて、クレードル10に設定すべき各種情報を、その保存先(クレードル10に装着されたメモリ媒体40の管理データ領域)を指定して設定する。設定した内容の確認や変更についても同様である。
【0044】
(3)情報の補完
情報の補完とは、不十分な部分を補って、より完全な情報にすることをいう。例えば、クレードル10の角速度計101や環境検出センサ104の検出結果を用いることにより、センサ部21に角速度計等を備えなくとも、あたかも備えているように扱うことができる。また、センサ部21の加速度計201に代えて、より高精度のセンサ部11の加速度計101の検出結果を用い、その検出結果と角速度計の検出結果とを併用することで、検出精度をセンサ部21単体の場合よりも格段に高めることができる。このように、補完された運行情報により携帯情報端末20における運行管理をより緻密且つ正確に行うことができる。
また、GPSレシーバ103,202を併用して双方の検出結果にずれがあるときには、確認を促す警告情報を出力するような処理も、この情報の補完によって可能となる。
【0045】
(4)イベント検出
運行管理部25は、補完された運行情報が所定の条件に適合するかどうかを常時判別する。ここで「イベント」なる用語は、本明細書では、例えば検出したい特定の挙動として定めた事象という意味で使用している。「条件」は、そのようなイベントが発生したかどうかを判別するための挙動条件である。本例では、目的に応じて,以下の「一般挙動」、「危険挙動」、「事故挙動」の3種に分類するが、特定の挙動は、必ずしもこのような分類に限定されるものではない。
【0046】
「一般挙動」は、車両の挙動のうち、例えば日常的に行われている運転、すなわち、危険の度合いが比較的少ない運転における交差点での旋回時、交差点での停止時、ブレーキ操作時、バックギア操作時の挙動、速度等をいい、このような一般挙動の特徴に適合すると判別するための挙動条件は、例えば車両の発進、停止、旋回、加速、減速の際に発生する、第1閾値(0以上)以上第2閾値(第1閾値を超える閾値)以下の加速度データ、角速度データ、速度を表すデータの少なくとも一つ又はこれらの所定の組合せである。
【0047】
「危険挙動」は、日常的に行われている運転のレベルを超えて、事故を起こしそうな危険域に達している挙動をいい、このような危険挙動の特徴に適合すると判別するための挙動条件は、例えば所定時間内に第2閾値を超える加速度データ、角速度データ、速度を表すデータの少なくとも一つ又はこれらの所定の組合せである。
【0048】
「事故挙動」は、実際に事故を起こしたり、事故に巻き込まれたりしたときの挙動をいい、このような事故挙動の特徴に適合すると判別するための挙動条件は、第3閾値(第2閾値を超える閾値)を超える角速度データ、速度を表すデータの少なくとも一つ又はこれらの所定の組合せである。
【0049】
(4)イベント情報の生成
運行管理部25は、補完された運行情報が上述した挙動条件に適合すると判別した場合は、当該イベントの発生時の補完された運行情報をイベント情報として生成する。イベント情報は、イベントの種別及び当該イベントの発生に関わる情報をいう。イベントの種別は、例えば当該イベントがどのような種類の挙動かを識別するための識別情報であり、ファイル名に付される文字や記号等で区別される。イベントの発生に関わる情報は、例えば発生日時、発生場所(位置情報)、発生時の運行情報(映像/音声を含む)である。
【0050】
(5)イベント情報の記録と伝達
イベント情報は、メモリ26に記録されると共に、メモリ26に記録されたイベント情報は、その記録指示と共に、バックアップのためにクレードル10にも伝達され、メモリ媒体40の検出データ領域に記録される。また、必要に応じて、運行管理サーバ30へも伝達される。運行管理サーバ30に伝達するための送信アドレスは、例えばメモリ媒体40の管理データ領域に事前に記録される。この送信アドレスを使用した自動送信により、イベントが発生したことを、運行管理サーバ30の運営者等にいち早く通知することができる。
【0051】
その際、運転者(携帯情報端末20の操作者)による改竄を防止する観点から、イベント情報は、それを読み取る権限を有する者だけが解読可能な暗号ロジックで暗号化した後に伝達するようにしても良い。また、この伝達は、車両の保有者又は運転者に秘匿したタイミング、すなわち、いつ伝達されたのかを運転者等が知り得ないように通信路を確立させ、イベント情報を伝達するようにしても良い。
【0052】
図6は、メモリ26及びメモリ媒体40に記録されるイベント情報の内容例を示した図である。「日時」はイベントの発生日時、「位置情報」はイベントの発生場所、「角速度」、「加速度」」「速度」のはイベント発生前後の角速度データ、加速度データ、車速等の内容である。「記録サイズ」は設定によって定められた以下のファイルサイズである。「走行距離」は、イベント発生後の走行距離等の情報である。「映像ファイル」、「音声ファイル」は、イベント発生前後の映像、並びに、音声のファイルである。
【0053】
(6)イベント情報の再生及び運行解析
運行管理部25は、メモリ26に記録されたイベント情報の再生及び運行解析を行う。運行解析は、具体的には、運転者による車両の操作傾向の解析等である。操作傾向は、例えば、その運転者は急加速が多い、ブレーキをかけ始めるのが遅い、ふらつきがある等、何度も繰り返される当該運転者特有の癖や傾向をいい、その解析は、例えば、イベントとそのようなイベントを生じさせた運転者の操作(運転)がどのような内容であったかを、グラフ表示や、イベント毎に分類された発生回数、基準情報との相対比較等を通じて数値化することをいう。後者は、運転診断表という名称で帳票出力される場合がある。予め定めた優良パターンとの比較により点数やランキング評価することも、操作傾向の解析の一種である。
【0054】
なお、操作傾向を解析する上で、一般挙動、危険挙動、事故挙動は、特に区別する必要がない。どのようなイベントの発生時にも車両の運転に特徴的な操作傾向が見られる。例えば急発進のイベントが発生したときのグラフは、発進時の加速度の上昇カーブが急であり、全体の形状になめらかさ(スムーズさ)が無いことは、当業者ならずとも広く認識されていることである。そのため、高い精度である時間内の運行情報の変化を数値化することができれば、挙動の種類を格別問題にする必要はない。
【0055】
(7)解析結果等の表示
運行管理部25は、携帯情報端末20の操作者の選択により、車両の操作傾向の解析その他の運行管理の結果を携帯情報端末20の表示領域20aに表示させる。例えば、図7(a)、(b)は、運転者の操作傾向を表す運転診断表であり、携帯情報端末20の表示領域20aの画面を切り替えて表示することができる。
【0056】
図7(a)に示す運転診断表の右側に例示されているレーダーチャートは、運転操作の各要素毎に集計を行い、評点評価を行ったものである。
図中、「ブレーキ」の要素は、速度が0になる直前の挙動がブレーキであるとして、加速度データの解析により判明する減速の開始後、速度が0になるまでに要した時間を基準時間との比較で定量化したものである。この時間が短いほど急ブレーキであり、ブレーキをかけるタイミングが適切でない傾向があるということになる。
「ハンドル」は、角速度データの解析により判明するハンドル操作のうち、一定時間内のふらつきの回数およびその度合いを基準情報との比較で定量化したものである。
「停止」は、定速走行後、速度が0になるまでの間に加速度データの変化(減速)がどの程度あったかを定量化し、これにより、例えばポンピングブレーキをどの位行う傾向があるかを表すようにしたものである。
「右左折」は、角速度データにより明らかになる左折又は右折の際の速度がどの程度であったかを基準速度との比較によって定量化したものである。
「スムーズ」は、加速度データから明らかになる所定加速の開始後定速になるまでの時間、あるいは、定速後所定の減速になるまでの時間が基準時間との比較によって定量化したものである。
【0057】
例えば、スピードが出ている状態で、右折、又は、左折をすると、大きく車両の姿勢が変化して交通事故を引き起こす原因となり、さらに、タイヤをはじめとして車両を構成する機器にも大きな負荷がかかり、危険であることは周知である。そのため、交通事故を未然に防ぐためにも、上記のような運転診断表を用いることで、運転者に操作傾向の改善を促すことが可能になる。これらの各要素毎の解析の結果と、予め記録されている優良運転者のデータとの比較に基づき、運転診断表の左側に示されている「総合得点」が算出され、表示領域20aに表示される。
【0058】
図7(b)に示す運転診断表は、運転者が運転を開始してから運転を終了するまでの間の、車両の速度変化の様子を縦軸、時間の経過を横軸に示したグラフである。この運転診断表の中で、例えば、17時30分を中心にその前後の時間帯は低車速であることから、渋滞の中を走行していたことが推定されるが、この時間帯の中で、車速が急上昇、急下降している箇所が見受けられる。これは、運転者が急発進・急加速を行い、間をおかずに急減速を行ったもので、一般的には危険な操作であったと考えられる。これらの運転診断表を運転者に提示することで、自身の運転の操作傾向を自覚し、安全運転を心掛けてもらうことが期待される。
【0059】
(8)警告情報の出力
運行管理部25は、携帯情報端末20の動作に影響を与える環境情報を近距離無線通信によってクレードル10から取得し、取得した環境情報が予め設定された許容範囲内かどうかを判別し、許容範囲を逸脱する場合は、その都度、警告情報を生成し、この警告情報をディスプレイ29に出力する。ここにいう「環境情報」とは、クレードル10のセンサ部11が有する環境検出センサ104の検出結果である。環境検出センサ104が温度計の場合は温度データであり、環境情報は、クレードル10の周辺温度、すなわち、ホルダ10aに設置された携帯情報端末20の周辺温度がどの位の値であるかを表すものとなる。この許容範囲は、携帯情報端末20の使用環境として推奨されている範囲である。また、この生成された警告情報の出力は、運転者が認識可能なものであれば音や点滅光などであっても良い。
さらに、例えば携帯情報端末20の使用環境として推奨されている範囲を超えていれば、本来であればイベントが発生していないにも関わらず、携帯情報端末20の誤動作によりイベント情報が生成されてしまうおそれもある。この不正確なイベント情報の利用を防ぐため、運行管理部25は、クレードル10から伝達された温度データが、予め定めた許容範囲を逸脱している状態であれば、運行管理サーバ30に向けた自動送信の設定を解除したり、メモリ26、メモリ媒体40へのイベント情報の記録を制限したりすることもできる。
【0060】
なお、ある周期で温度データを受領し、直近周期の温度データと今周期の温度データとが共に許容範囲を逸脱した場合に、その都度、警告情報を生成し、この警告情報をディスプレイ29に出力するようにしても良い。また、タイマ等によって規定時間が経過したことを検知する度に、温度データを受領するようにしても良い。これにより、急激な温度変化が起きないような環境であれば、携帯情報端末20の処理の負荷を軽減させることができる。
【0061】
<運用形態例>
次に、上記のように構成されるクレードル10及び携帯情報端末20をドライブレコーダとして動作させる場合の運用形態例を説明する。運用に際しては、まず、携帯情報端末20への基本情報、挙動条件、環境情報の許容範囲、運行管理サーバ30の送信アドレス、クレードル10との通信環境その他の設定を行う。
【0062】
図8は、基本情報の設定用の画面例を示している。携帯情報端末20の運行管理部25は、運行管理に用いられる基本情報、すなわち運転者の個人情報を設定するための画面20aをディスプレイ29に表示させる。
画面20aには、運転者の「氏名」を入力する入力領域111、運転手の部署等の「所属」先を入力する入力領域112、運転者の「住所」を入力する入力領域113、運転者の連絡先である「電話番号」を入力する入力領域114、運転者の「メールアドレス」を入力する入力領域115がそれぞれのフィールドに設けられている。また、運転者の緊急連絡先(例えば、家族宛や会社宛のメールアドレス)を入力する「連絡先1」(116)、「連絡先2」(117)の各入力領域がそれぞれのフィールドに設けられている。さらに、クレードル10を搭載した車両が加入している自動車損害賠償保険の「保険会社名」を入力する入力領域118、この車両が加入している保険の「契約番号」を入力する入力領域119、保険会社の連絡先となる電話番号やメールアドレス等の「送信アドレス」を入力する入力領域120、携帯情報端末20を一意に判別できる固有の「識別情報」を入力する入力領域121が、それぞれのフィールドに設けられている。
各入力領域111〜121にデータが入力されたときは、「保存」を選択することにより、その記録先を指定することができる。本例では、メモリ26とする。これにより、メモリ26に個人情報が記録される。このとき、クレードル10との近距離無線通信による通信環境の設定を終えていれば、メモリ媒体40の管理データ領域をも指定することで、上記の入力情報をメモリ媒体40にも記録することができる。
【0063】
次いで各種条件等を設定する。図9は、挙動条件等の設定用の画面例である。図示の例では、画面20aに、設定条件を個性化するためのユーザ情報の入力領域131と、キャプチャ設定、すなわち運行情報の収集条件である画像サイズの入力領域132及びフレームレートの入力領域133とが設けられている。
また、挙動条件として、危険挙動の発生を検出するためのトリガ設定閾値X(車両の横方向の加速度の閾値)の入力領域134、トリガ設定閾値Y(車両の前後方向の加速度の閾値)の入力領域135、トリガ設定閾値Z(車両の上下方向の加速度の閾値)の入力領域136と、危険挙動まではいかないが警報を出力するための警報閾値X(車両の横方向の加速度の閾値、トリガ設定閾値X未満)の入力領域137及び警報閾値Y(車両の前後方向の加速度の閾値、トリガ設定閾値Y未満)の入力領域138、・・・がそれぞれのフィールドに設けられている。一般挙動の発生を検出するための閾値のセットや、事故信号の発生を検出するための閾値のセットも同様にして、入力領域が設けられる。
なお、事故挙動の発生の検出には、外部からの事故信号の入力を契機にすることを設定するようにしても良い。
さらに、メモリ媒体40へ記録する際に使用される暗号ロジックを特定するための暗号化情報の入力領域139が設けられている。
【0064】
入力領域131には、基本情報における識別情報の入力領域121の入力情報が転記される。その他の入力領域132〜139・・・にデータが入力されたときは、「保存」を選択することにより、その記録先を指定することができる。本例では、メモリ26とメモリ媒体40の管理データ領域とを指定し、上記の入力情報をメモリ媒体40にも記録する。これにより、例えばメモリ媒体40を発行した者が運行終了後にメモリ媒体40を回収し、設定された各種条件に基づいて運行解析を行うことや、クレードル10を搭載した車両が加入している自動車損害賠償保険会社がメモリ媒体40を回収し、設定された各種条件等に基づいて運行解析を行うことが可能になる。なお、基本情報と同様に、メモリ26のみを指定することもできる。
【0065】
運転者は、車両の運転に際し、車両に搭載されたクレードル10の媒体収容機構16にメモリ媒体40を挿入するとともに、各種条件がメモリ26に記録された携帯情報端末20をクレードル10のホルダ10aにセットする。
運転者が車両のエンジンを始動すると、車両からクレードル10に電力が供給され、この電力の供給を契機に、クレードル10のセンサ部11と携帯情報端末20のセンサ部21による挙動の検出が開始する。
【0066】
[クレードルの主たる動作手順]
クレードル10は、例えば図10に示す手順で動作する。すなわち、電力の供給開始を契機に(ステップS100)、データ通信I/F12を通じて、携帯情報端末20との近距離無線通信を開始するとともに、通信状態を常時監視する(ステップS101)。また、センサ部11の検出結果である運行情報の読み込みを開始する(ステップS102)。角速度計101等の各センサの記録周期、例えば1秒周期の終期に達したかどうかを判断し、達したときは(ステップS103:Yes)、ステップS104に進む。終期に達していなければ(ステップS103:No)、ステップS106に進む。
【0067】
ステップS104では、終期に達した時点で読み込んだ運行情報を暗号化してメモリ媒体40に記録する。また、この運行情報を携帯情報端末20へ伝達する(ステップS105)。クレードル10は、携帯情報端末20からイベント情報を取得した場合(ステップS106:Yes)、このイベント情報を暗号化してメモリ媒体40に記録する(ステップS107)。
【0068】
クレードル10の電源がオン(ON)となっている間(ステップS108:Yes)、運行情報の読み込み(ステップS102)以降の手順を繰り返す。電源オフ(OFF)になると(ステップS108:No)、携帯情報端末20との近距離無線通信を終了し(ステップS109)、運行情報の監視を終了する(ステップS110)。
【0069】
ここで、携帯情報端末20との通信が不能であった場合には、運行情報に未送信フラグを立ててメモリ媒体40に記録させることもできる。これにより、携帯情報端末20との近距離無線通信が可能な状態に復帰したことを検知した時点で、未送信の運行情報だけを携帯情報端末20へ伝達させることもできる。
【0070】
[携帯情報端末の主たる動作手順]
次に、図11を参照して、携帯情報端末20の主たる動作手順について説明する。前提として、運転者(操作者)が携帯情報端末20の運行管理機能を起動させているものとする(ステップS200)。その際、センサ部21の加速度計201及びGPSレシーバ202に代えて、より高精度のセンサ部11の角速度計101、加速度計102及びGPSレシーバ103を補完用情報の出力元センサとして用いることを、予め設定しておく。
【0071】
携帯情報端末20は、センサ部21による車両の挙動等の検出結果に基づく運行情報監視を開始する(ステップS201)とともに、データ通信I/F22を通じて、クレードル10との近距離無線通信を開始する(ステップS202)。
【0072】
センサ部21のカメラ204から出力される映像データ、並びに、集音マイク203から出力される音声データの読み込みを開始し(ステップS203)、これらのデータが各センサの記録周期の終期に達したかどうかを判断する(ステップS204)。達していれば、ステップS205に進み(ステップS204:Yes)、達していなければステップS206に進む(ステップS204:No)。ステップS205では、記録周期の終期に達した時点の映像データ、並びに、音声データをバッファ28に記録する。ステップS206では、クレードル10から補完用情報を取得しているかどうかを判断する。
【0073】
補完用情報を取得した場合(ステップS206:Yes)、携帯情報端末20は、すでにバッファ28に記録されている情報と新たに取得した補完用情報との時刻の同期をとりながら合算することで、携帯情報端末20側の検出情報を補完し(ステップS207)、補完後の検出情報をバッファ28に記録する(ステップS208)。そして、バッファ28に記録された検出情報と挙動条件とを比較し、適合する検出情報があるかどうかを判断する(ステップS209)。挙動条件に適合する検出情報がある場合、例えば加速度データが、上述したトリガ設定閾値X、トリガ設定閾値Y、トリガ設定閾値Zのいずれかを超えている場合は(ステップS209:Yes)、危険挙動を表すイベントの種別を付したイベント情報を生成し、このイベント情報をメモリ26に記録する(ステップS210)とともに、クレードル10に伝達し、メモリ媒体40に記録させる(ステップS211)。送信アドレスへの自動送信が設定されている場合は、イベント情報を暗号化して運行管理サーバ30にも伝達する。
【0074】
以上の動作を携帯情報端末20の運行管理機能が起動されている間繰り返し(ステップS212:No)、起動解除されたときは(ステップS212:Yes)、クレードル10との近距離無線通信を終了し(ステップS213)、運行情報監視を終了する(ステップS214)。
【0075】
携帯情報端末20は、上記の運行情報監視の過程で、クレードル10から伝達された環境情報、例えば温度データが、予め設定されている許容範囲を超えたことを検知したときは、その都度、警告情報を生成し、これをディスプレイ29に表示したりする。図12は、ディスプレイ29に表示される警告情報の一例である。このような警告情報を表示することで、運転者(操作者)は、携帯情報端末20が危険な状態にあると認識し、電源OFFにする等、適切な措置をとることができる。
【0076】
このように、本実施形態では、車両の挙動、並びに、挙動発生時の時刻、位置、映像を含む運行情報を検出するセンサ部21と、車両の挙動をセンサ部21よりも高精度に検出するセンサ部11を備えたクレードル10との間で、近距離無線通信を行わせて運行情報の補完を可能にし、携帯情報端末20では、補完された運行情報が挙動条件に適合するかどうかを判別し、適合する場合は当該挙動発生時の補完された運行情報をイベント情報としてメモリ26やクレードル10のメモリ媒体40に記録するようにしたので、挙動条件に適合するかどうかの判別をより正確に行うことができる。
そのため、基本的に人間が操作することを目的とするために比較的精度や感度が低いものが選択されているセンサ部21を有する携帯情報端末20を用いた場合であっても、クレードル10と連動させることにより、高精度の運行管理機能、例えばドライブレコーダ機能を実現することができる。
クレードル10についてみれば、ドライブレコーダ機能を実現する上で必要となる構成部品や機能部分を携帯情報端末20に多く持たせることで、自らの製造コストを低くすることができるようになる。
【0077】
また、メモリ媒体40には第2センサ部の検出結果が記録されるため、携帯情報端末20をホルダ10aに設置し忘れた場合や、携帯情報端末20の故障や紛失があった場合でも運行終了後に運行解析を行うことができる。さらに、メモリ媒体40の管理データ領域には挙動条件等の設定内容が記録されるため、この設定された各種条件に基づく運行解析を行うこともできる。
【0078】
また、クレードル10と携帯情報端末20とが数十cm〜数mの覆域となる近距離無線通信によって情報の伝達を行うことから、車内での有線ケーブルの引き回しが不要になるとともに車外への情報の漏れや悪意の者によるスキミングが抑制され、利便性の高い運用が可能となる。また、携帯情報端末20が、イベント情報を公衆通信によって運行管理サーバ30へ伝達するようにしたので、イベント情報の外部(運行管理サーバ30の運営者等)への迅速な伝達も容易となる。
【0079】
また、暗号化情報により使用する暗号ロジックを特定することができるため、例えば車両が加入している自動車損害賠償保険会社毎に指定された暗号ロジックが異なり、この車両を運転する運転者も固定化されていない場合や、一人の運転者が運転する車両が一日に何回も変わる場合でも、使用する暗号ロジックの切り替えが柔軟かつ迅速にできる。
【0080】
また、本実施形態では、携帯情報端末20の情報処理結果の精度に影響を与える環境情報を近距離通信手段を通じてクレードル10より取得し、取得した環境情報が予め設定された許容範囲内かどうかを判別し、その都度、警報情報を生成してディスプレイ29に出力するようにしたので、運転者(操作者)に迅速な対応を促すことができる。
【0081】
また、本実施形態では、携帯情報端末20が通信不能の期間は未送信フラグを立てて運行情報がメモリ媒体40に記録され、携帯情報端末20が通信可能な状態に復帰したことを契機に補完用情報として伝達されるようにしたので、運転者は運転に集中でき、交通事故の発生の未然防止に貢献することができる。
【0082】
<変形例>
本実施形態は以上の通りであるが、本発明は上述した実施の形態例に限ることなく、種々の形態での実施が可能である。例えば、本実施形態では、図3に示した外観、形状のクレードル10を例に挙げて説明したが、クレードル10のホルダ10aは、収容筺体10cと一体であっても良い。この場合、アーム10bは不要となる。
【0083】
また、本実施形態では、クレードル10から携帯情報端末20へ補完用情報を伝達する場合の例を中心に説明したが、逆に、携帯情報端末20で検出した情報を補完用情報としてクレードル10に伝達するようにしても良い。これは、クレードル10のセンサ部11が保有しない計測器を携帯情報端末20のセンサ部21が保有する場合に有効となる。
【0084】
また、本実施形態では、運行管理装置としてクレードル10の例を示したが、運行管理装置は、携帯情報端末20による運行管理機能を補完できる装置であれば良いので、必ずしもクレードル10である必要はなく、携帯情報端末20と近距離無線通信が可能で、クレードル10で実現できる機能を有するモジュールを車両に標準的に装置したものであっても良い。
【0085】
<応用例>
クレードル10及び携帯情報端末20は、上記のようにドライブレコーダとして使用することができるものであるが、携帯情報端末20の公衆通信機能を活かして、運行管理サーバ30を運転者間のコミュニケーションシステムとして実施することもできる。
すなわち、図13に示すように、運行管理サーバ30に、携帯情報端末20が有するものと同様のデータ通信I/F31、情報送信部32、情報受信部33の機能と、評価部34の機能とを形成するとともに、この運行管理サーバ30に大容量記憶装置を設置し、この大容量記憶装置に、運行情報/診断結果情報DB(データベースの略、以下同じ)36と、評価結果情報DB37とを構築する。データ通信I/F31,情報受信部33及び主制御部35により、情報取得手段を構成する。
【0086】
主制御部35は各部の動作を統括的に制御するとともに、大容量記憶装置の一部を、複数の携帯情報端末20の操作者が情報をアップロードすることができ、且つ、アップロードされた情報を携帯情報端末20の各々が閲覧できる共有アクセス領域に設定し、この共有アクセス領域への情報の掲載、削除等を管理する管理手段としても機能する。また、データ通信I/F31を通じて情報提供元の識別情報と共に取得した車両の運行内容を表す運行情報(映像、音等)とそれに基づいて生成された診断結果情報(図6(a)、(b)で示したような運転診断表)を、その情報発信元の識別情報と関連付けて運行情報/診断結果情報DB36に蓄積するための制御も行う。
【0087】
評価部34は、運行情報/診断結果情報DB36に蓄積されている運行情報を運行環境毎に分類し、分類した運行情報のランキング評価を行うとともに、このランキング評価を評価結果情報DB37に蓄積する。
【0088】
各携帯情報端末20は、クレードル10より取得した補完用情報に基づいてセンサ部21の検出結果を補完し、補完後の情報に基づいて、運行情報や診断結果情報を生成して上記コミュニティサイトにアップロードする。
診断結果情報の場合は、その評価基準を標準化するため、携帯情報端末20の操作者は、運行環境を表す分類コード、すなわち、クレードル10を用いて情報を補完したかどうかを識別するための識別コード、車両の運行時間帯を表す時間帯コード、運行地域を表す地域コードその他の分類コードを添えてアップロードする。
【0089】
運行管理サーバ30は、アップロードされたこれらの情報を一定期間毎に集計し、運行情報については特定の領域に順次掲載する。他方、診断結果情報については、共通する分類コード毎に分類して、「総合得点」のランキング評価を行う。
アップロードした携帯情報端末20の操作者は、随時、共有アクセス領域にアクセスして、これらの情報を随時閲覧することができる。
【0090】
これにより、例えば複数の運転者間で同じ運行条件下でどれだけ燃費の良い運転、車両の挙動変化の小さいなめらかな運転等を行ったかを相対的に比較し合い、安全運転の奨励や交通事故の発生の抑止につなげることができる。
【0091】
図14は、共有アクセス領域に掲載される良い運転ランキング結果を表示した画面50の内容例である。この画面50において「安全太郎」と表示されている表示欄51には、運転者のニックネーム等が表示される。「東京都港区」と表示されている表示欄52には、「総合得点」を得た際に運転者が運転した範囲を表す地域が分類コードやGPSデータ等から翻訳されて表示される。「ポイント50」と表示されている表示欄53には、今回の「良い運転ランキング結果」のランキングに連動して、コミュニティサイト運営者から運転者に付与されるポイントが表示されている。ランキングの高くなるほど大きなポイントが付与され、運転者毎に蓄積される。これにより、さらに、安全運転の奨励や交通事故の発生の抑止につなげることができる。
【符号の説明】
【0092】
10・・・クレードル、10a・・・ホルダ、10b・・・アーム、10c・・・収容筺体、11・・・センサ部、12・・・データ通信I/F、13・・・情報送信部、14・・・情報受信部、15・・・媒体収容機構、16・・・主制御部、20・・・携帯情報端末、20a・・・表示領域、20b・・・ボタン操作部、21・・・センサ部、22・・・データ通信I/F、23・・・情報送信部、24・・・情報受信部、25・・・運行管理部、26・・・メモリ、27・・・主制御部、28・・・バッファ、29・・・ディスプレイ、30・・・運行管理サーバ、40・・・メモリ媒体、101・・・角速度計、102・・・加速度計、103・・・GPSレシーバ、104・・・環境検出センサ、105・・・外部スイッチ、201・・・加速度計、202・・・GPSレシーバ、203・・・集音マイク、204・・・カメラ、N・・・公衆通信網。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば移動体の挙動(動態)を検出して当該移動体の運行管理を行う運行管理装置、この運行管理装置と連動する携帯情報端末、及び、コンピュータ装置に運行管理機能を形成するためのコンピュータプログラムに関する。ここで、「移動体」とは、車両、二輪車、船舶、航空機のようなものをいい、「運行管理」とは移動体の運行によって生じる挙動の検出や運行情報の解析、当該運行情報を入手するための各種設定,その他当該運行に関わる情報の内容を処理することをいう。
【背景技術】
【0002】
車両が運転されることにより生じる運行情報を収集し、収集した運行情報の内容を解析するドライブレコーダが知られている。ドライブレコーダで収集される運行情報は、例えばロール、ピッチ、ヨーの角速度データ、二次元または三次元の加速度データ、緯度・経度・速度・方位を表すGPS(グローバル・ポジショニング・システム)データ、車両計器からの車速パルスを入力とする車速データ等である。
このような運行情報を解析することで、交通事故が発生した場合の事故原因の特定や、運転者による車両の操作傾向、例えば、急加速が多い、ブレーキをかけ始めるのが遅い、ふらつきがある等、何度も繰り返される当該運転者特有の癖等を把握することが可能となり、運転者に安全運転を促したりすることができる。
【0003】
しかし、事故原因の特定や車両の操作傾向の把握の信頼性を高めるには、運行情報を高精度に計測する計測器が必要となるため、専用のドライブレコーダは高価格なものとなる。また、ドライブレコーダで収集した運行情報の解析は、パーソナルコンピュータを使用して行われるため、一般ユーザからすると不便なものとなっている。
【0004】
そこで、近年、情報処理装置を有する携帯情報端末に、加速度計のようなセンサを搭載するとともに、ドライブレコーダと同様の機能をソフトウエアで実現した携帯情報端末が登場してきている。
例えば、特許文献1に開示された携帯情報端末は、ビデオ録画機能を内蔵している携帯情報端末を専用設置台に搭載させて常に録画状態を維持させ、突然起る交通事故の衝撃をセンサで感知して、その衝撃の発生前後一定時間の映像を記録する。これにより、事故原因の解明や保険交渉の判定に貢献している。
【0005】
また、特許文献2に開示されたドライブレコーダは、車両の運転状況データを継続的に収集するデータ収集部と、運転状況データを不揮発的に格納する記憶部と、携帯情報端末との間で有線または無線による相互通信を行う通信部と、これらの各機能部を統括的に制御する制御部とを有し、携帯情報端末との間で運転状況データや動作設定データを送受信する。これにより、ドライブレコーダで行うべき各種設定を容易にしたり、運転状況データを携帯情報端末のディスプレイで閲覧したり、通信機能を利用してそのまま所定のサーバ等へ送信することで、利便性の高いドライブレコーダを実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−300150号公報
【特許文献2】特開2010−238214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1にはセンサに関する記述は存在しないが、この種の携帯情報端末は、本来的には人間が操作して使用するものであるため、センサを備えるとしても、感度の低い簡易な加速度計のようなセンサとなるのが一般的である。そのため、それを専用設置台を介して車両に固定したとしても、十分な精度の運行情報を収集することができず、事故原因の特定や運転者による車両の操作傾向の把握には十分でないという課題が残る。
また、特許文献2に開示されているドライブレコーダでは、車両の運行状況はこのドライブレコーダで収集され、携帯情報端末が備える通信機能やディスプレイを利用するにとどまるため、ドライブレコーダ自体のコスト削減に寄与しないという課題が残る。
【0008】
本発明は、例えば上記のようなドライブレコーダの機能を低コストで実現するとともに携帯情報端末の運行管理機能の補完も可能にする技術を提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、携帯情報端末、移動体に搭載される運行管理装置、運行管理サーバ、並びに、コンピュータプログラムを提供する。
本発明の携帯情報端末は、移動体の挙動、並びに、当該挙動の発生時の時刻、位置、映像を含む当該移動体の運行情報を検出する第1センサ部と、前記移動体の挙動を前記第1センサ部よりも高精度に検出する第2センサ部を備えた運行管理装置との間で、近距離無線通信を行う近距離通信手段と、前記第2センサ部の検出結果を前記近距離通信手段を通じて前記運行管理装置より取得する情報取得手段と、前記第1センサ部の検出結果を、取得した前記第2センサ部の検出結果で補完し、補完された運行情報が所定の条件に適合するかどうかを判別し、適合する場合は当該補完された運行情報をイベント情報として所定の記録領域に記録する運行管理手段と、を有する携帯情報端末である。
このように構成される携帯情報端末では、挙動に関しては、第1センサ部ではなく、より精度の高い第2センサ部の検出結果を用いるので、条件に適合するかどうかの判別が、より正確なものとなる。
【0010】
ある実施の態様では、この携帯情報端末は、公衆通信を行う公衆通信手段と、前記記録領域に記録されているイベント情報を前記公衆通信手段を通じて指定された通信相手先へ伝達する通信制御手段と、をさらに有する。これにより、イベント情報の外部への伝達が容易となる。
【0011】
ある実施の態様では、この携帯情報端末は、ディスプレイを備えており、前記運行管理手段は、前記携帯情報端末の動作に影響を与える環境情報を前記近距離通信手段を通じて前記運行管理装置より取得し、取得した当該環境情報が予め設定された許容範囲内かどうかを判別し、許容範囲を逸脱する場合は警告情報を生成し、当該警告情報を前記ディスプレイに出力する。これにより、携帯情報端末(ディスプレイ)を表示手段として利用し、運転者(操作者)に迅速な対応を促すことができる。
【0012】
本発明の運行管理装置は、移動体の挙動、並びに、当該挙動の発生時の時刻、位置、映像を含む当該移動体の運行情報を検出する第1センサ部を備え、当該移動体の運行管理を行う携帯情報端末を、当該移動体の所定部位に固定するためのホルダと、前記携帯情報端末との間で、近距離無線通信を可能にする近距離通信手段と、前記移動体の挙動を前記第1センサ部よりも高精度に検出する第2センサ部と、前記第2センサ部の検出結果を前記携帯情報端末へ前記近距離通信手段を通じて伝達し、これにより当該携帯情報端末による前記運行管理の補完を可能にする情報伝達手段と、前記第2センサ部の検出結果を前記移動体毎又は前記移動体を運転する運転者毎に分類されたメモリ媒体に記録するための情報記録手段と、前記メモリ媒体を収容するための媒体収容機構とを有する、移動体に搭載される運行管理装置である。
このように構成される運行管理装置は、携帯情報端末における第1センサ部の検出結果、特に移動体の挙動の検出結果の精度を高めることができる。また、メモリ媒体に第2センサ部の検出結果が記録されるため、運行終了後の運行解析が可能になる。
【0013】
ある実施の態様では、前記情報記録手段は、暗号化情報により特定された暗号ロジックに従い前記第2センサ部の検出結果を前記移動体の保有者又は運転者が解読できないデータ構造に変換するとともに、変換した情報を前記メモリ媒体に記録する。
これにより、メモリ媒体に記録される情報の前記移動体の保有者又は運転者による改竄等を抑制することができる。さらに、例えば車両が加入している自動車損害賠償保険会社毎に指定された暗号ロジックが異なり、この車両を運転する運転者も固定化されていない場合や、一人の運転者が運転する車両が一日に何回も変わる場合であっても、使用する暗号ロジックの切り替えが柔軟かつ迅速にできる。
【0014】
また、ある実施の態様では、前記第2センサ部は、前記ホルダに固定された前記携帯情報端末の設置環境を計測するための環境検出センサを備えており、前記情報伝達手段は、前記環境検出センサによる計測値を前記携帯情報端末の動作に影響を与える環境情報として前記近距離通信手段を通じて前記携帯情報端末へ伝達する。
これにより、携帯情報端末が正常に動作できる環境か否かを判別することができる。
【0015】
本発明の運行管理サーバは、本発明の運行管理装置と近距離無線通信を行う本発明の携帯情報端末(ディスプレイ付)が公衆通信を通じて閲覧可能な共有アクセス領域を有する運行管理サーバであって、各携帯情報端末から前記運行情報を取得する情報取得手段と、取得した運行情報を運行環境毎に分類し、分類した運行情報のランキング評価を行う評価手段と、前記ランキング評価の結果情報を前記共有アクセス領域に掲載する管理手段と、を備えて構成されるものである。
【0016】
本発明が提供するコンピュータプログラムは、移動体の挙動、並びに、当該挙動の発生時の時刻、位置、映像を含む当該移動体の運行情報を検出する第1センサ部と、通信相手と近距離無線通信を行う通信機能と、コンピュータとを有する携帯情報端末が読み取り可能なコンピュータプログラムであって、前記コンピュータを、前記移動体の挙動を前記第1センサ部よりも高精度に検出する第2センサ部を備えた運行管理装置から当該第2センサ部の検出結果を近距離無線通信により取得する情報取得手段、前記第1センサ部の検出結果を、取得した前記第2センサ部の検出結果で補完し、補完された運行情報が所定の条件に適合するかどうかを判別し、適合する場合は当該補完された運行情報をイベント情報として所定の記録領域に記録する運行管理手段、として機能させる、コンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の携帯情報端末によれば、第1センサ部の検出精度、特に移動体の挙動の検出精度が仮に高くなくとも、運行管理装置の第2センサ部による高精度の検出結果でそれを補うことができるので、条件との適合性判別がより正確なものとすることができる。また、携帯情報端末と運行管理装置とが近距離無線通信を通じて情報の受け渡しを行うので、両者をケーブル等で接続する必要もなく、非常に扱いやすいばかりでなく、覆域が狭いので、例えば社外から情報のスキミングが行われる危険性も少ない。
本発明の運行管理装置は、上記のように携帯情報端末と連動して運行管理機能を実現することができる。そのため、例えばドライブレコーダとして動作させる上で必要な機能や構成部品のうち、携帯情報端末が備えるものについては、省略することができ、コスト上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態例の全体構成の概要図。
【図2】本発明を適用したクレードルの機能構成図。
【図3】メモリ媒体に記録される運行情報の内容説明図。
【図4】クレードルの外観図。
【図5】携帯情報端末の機能構成図。
【図6】携帯情報端末の記録領域に記録されるイベント情報の内容説明図。
【図7】(a)、(b)は運行管理における運行解析結果の出力内容例。
【図8】基本情報の入力画面例。
【図9】各種条件の設定画面例。
【図10】クレードルにおける処理手順説明図。
【図11】携帯情報端末における処理手順説明図。
【図12】警告情報出力画面例。
【図13】運行管理サーバの機能構成図。
【図14】本発明の応用例となるランキング評価内容を示した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の運行管理装置を、車両に搭載するクレードル(cradle)に適用するとともに、本発明の携帯情報端末を、近年普及している多機能携帯電話で実現した場合の実施の形態例を説明する。「クレードル」は、携帯情報端末を車両の所定部位で保持するための保持器具である。多機能携帯電話は、公衆通信(電話)機能のほか、ディスプレイと、コンピュータ及びメモリと、加速度計、GPSレシーバ、集音マイク、カメラ等の計器類が備えられている情報端末である。このような多機能携帯電話に、本発明のコンピュータプログラムをインストールすることにより、本発明の特徴的な機能を実現している。
【0020】
本実施形態例の全体構成の概要を図1に示す。図1に示す車両には、携帯情報端末固定ホルダ、第2センサ部、媒体収容機構などを含んで構成されるクレードル10が搭載され、この携帯情報端末固定ホルダに、ディスプレイ、第1センサ部、運行管理部などを含んで構成される携帯情報端末20が設置されて当該車両の運行管理を実現している。また、媒体収容機構に装着されたメモリ媒体40には、第2センサ部の検出結果を含む、運行終了後に運行解析をするための各種情報が記録される。クレードル10と携帯情報端末20は近距離無線通信により双方向に情報の伝達が行え、さらに携帯情報端末20は、公衆通信網を介し、例えば車両を運転する運転者が所属する会社や、自動車損害賠償保険会社等が運営する運行管理サーバ30と双方向に情報の伝達も行えるように構成されている。以下、それぞれの機能構成を詳細に説明する。
【0021】
<クレードルの機能構成等>
図2は、本実施形態によるクレードルの機能構成図である。
クレードル10は、センサ部11(図1では第2センサ部)と、データ通信I/F(インタフェース)12、情報送信部13、情報受信部14、媒体収容機構15、主制御部16を主として備え、携帯情報端末20と連動するドライブレコーダの構成部品として動作する。
【0022】
情報送信部13、情報受信部14、主制御部16は、クレードル10に内蔵されているプロセッサ及び内部メモリを有するコンピュータ装置のハードウエア資源と所定のコンピュータプログラムとの協働により実現される。このコンピュータ装置は、年月日を表す時刻データと制御動作の同期クロックとを出力するRTC(Real Time Clock)モジュールを備えたものである。
【0023】
データ通信I/F12は、携帯情報端末20との近距離無線通信を可能にするインタフェースであり、主制御部16と協働することで、通信制御手段として機能する。近距離無線通信とは、有線ケーブルを引き回したり、電気接点同士を接触させたりすることなく、数十cm〜数m以内の狭い覆域内で携帯情報端末20との情報伝達を可能にする、良く知られた通信形態をいう。このような近距離無線通信は、例えば,公知のBluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)を利用することで実現することができる。
【0024】
情報送信部13は、データ通信I/F12と協働して、携帯情報端末20へ情報送信を可能にする。情報受信部14は、データ通信I/F12と協働して、携帯情報端末20から送信された情報の受信を可能にする。主制御部16は、クレードル10の全体処理動作を統括的に制御するとともに、情報送信部13、データ通信I/F12と協働して情報伝達手段としても機能する。
また、主制御部16は、近距離無線通信を行う携帯情報端末20の通信設定情報や個人情報をメモリ媒体40に設定し通信環境を整えたり、携帯情報端末20との近距離無線通信のタイミング等を制御したりする。この設定及びその変更は、後述する携帯情報端末20から近距離無線通信を通じて行うことができる。さらに、主制御部16は、情報記録手段としてメモリ媒体40への各種情報の記録を制御したりする。
【0025】
センサ部11は、後述する携帯情報端末20のセンサ部21よりも高精度のもので、角速度計101、加速度計102、GPS(Global Positioning System)レシーバ103、環境検出センサ104、外部スイッチ105のほか、アナログデータをデジタルデータに変換する公知のデータ変換部と、角速度計101の出力からオフセット成分及びドリフト成分の除去処理等を施すデータ補正部とを含んで構成される。データ補正部については、例えば特開平10−132849号公報の記載を参考にすることができる。
【0026】
角速度計101は、車両における三次元軸線回り(ロール、ピッチ、ヨー)の角速度を検出し、この検出結果を積分した角速度データにより、車両の旋回やふらつき等の挙動を検出することができる。
加速度計102は、車両の前後・横・上下方向の加速度(アクセル加速度、ブレーキ加速度、旋回の横加速度等)を検出する。これにより得られる加速度データにより、衝撃やブレーキ/アクセル操作時における車両の挙動を検出することができる。
GPSレシーバ103は、車両の現在の緯度・経度・速度・方位・時刻等を表すGPSデータを受信する。
環境検出センサ104は、クレードル10が設置された環境、すなわち、携帯情報端末20が設置された環境がどのような状態にあるか、例えば携帯情報端末20が設置された付近の周辺温度を検出するものである。より簡易な構成にするには、上記周辺温度を検出するための既存の温度計を用いることができる。検出された結果は環境情報として携帯情報端末20に伝達される。
外部スイッチ105は、例えば運転者によりON(オン)操作されることで、運行情報の強制的な記録を指示するデータを出力する。
【0027】
なお、センサ部11は、角速度計101、加速度計102、GPSレシーバ103、環境検出センサ104、外部スイッチ105のすべてを備えなければならないものではなく、一部だけであっても良い。また、角速度計101で計測すべきデータを1又は複数の加速度計で代用しても良い。さらに、より高機能にする観点からは、車両の所定部位に設置された、図示しない車載カメラからの撮像信号を受信するためのレシーバ、集音機構からの音声信号を受信するためのレシーバ、車両に搭載されたCAN(Controller Area
Network)通信網と接続して車両の移動速度や燃料消費量などのデータを外部から受信するためのレシーバ等を備え、これらにより検出された情報を運行情報の一部として用いても良い。
【0028】
媒体収容機構16は、メモリ媒体40を離脱自在に収容するものであり、メモリ媒体40が収容されているときは、クレードル10の各部との間のデータ読み出しやデータ書き込みを可能にする。メモリ媒体40は、不揮発性の半導体メモリをカード媒体又はスティック媒体に搭載したものである。半導体メモリには、管理データ記録領域と検出データ領域とが形成されている。
【0029】
管理データ領域には、携帯情報端末20の識別情報、運行管理サーバ30の送信アドレス、挙動条件(詳細は後述する)その他の管理データが記録される。検出データ記録領域には、運行終了後に運行解析を可能にするため、センサ部11で検出された挙動を含む全ての情報が常時記録される。携帯情報端末20から後述するイベント情報のバックアップが指示された場合には、そのイベント情報も検出データ記録領域に記録される。
【0030】
なお、メモリ媒体40への記録に際しては、その読み取りが許容される者のセキュリティレベルを併せて設定することができる。
セキュリティレベルは、デフォルトでは0レベル、すなわち誰もが読み取り可能なレベルである。あるセキュリティレベルでは、メモリ媒体40を発行する者が鍵を持つ暗号ロジック等によって、記録される情報を車両の保有者又は運転者が解読できないデータ構造に変換する。以下、このデータ構造の変換を本明細書では「暗号化」と称することがある。これにより、車両を運転する運転者、並びに、車両の保有者(例えば運転者の管理者)等による情報の改竄を防止することができる。
また、車両毎又は運転者毎に異なる暗号ロジック等を適用させることもできる。この場合、例えばメモリ媒体40を発行する者は、使用する特定の暗号ロジック等をメモリ媒体40の管理データ領域にそれぞれ記録させておいたり、予め複数の暗号ロジック等をメモリ媒体40の管理データ領域に記録させておき、暗号化情報で使用する暗号ロジックを車両毎又は運転者毎に特定したりする。
【0031】
図3は、メモリ媒体40の検出データ領域に常時記録される情報の一例を示した図である。図3において「前後加速度」、「横加速度」、「上下加速度」は、第2センサ部11の加速度計102の検出結果である。「ロール角速度」、「ピッチ角速度」、「方位角速度」は第2センサ部11の角速度計101の検出結果である。「位置(緯度)」、「位置(経度)」は第2センサ部11のGPSレシーバ103が受信したGPSデータに基づいて導出される。「日時」は上述したRTCモジュールから得られる現在時刻データである。
【0032】
<クレードルの形状等>
次に、クレードル10の外観、並びに、形状の例について、図4を用いて説明する。
図4(a)は、クレードル10の正面図、図4(b)は、その側面図であり、それぞれ携帯情報端末20を保持している状態を示している。クレードル10には、携帯情報端末20を装着するためのホルダ10aが凹状に形成されており、このホルダ10aと、上述したコンピュータ装置等の電子機器部品を収容する収容筐体10cとを連結するアーム10bを含んだ構成となっている。
【0033】
運転者は、メモリ媒体40を媒体収容機構16に挿入し、あるいは離脱させるだけで、クレードル10についての操作を行う必要がない。必要な操作は、すべて携帯情報端末20の表示領域20aに表示されるタッチボタンおよびボタン操作部20bを通じて行い、その結果が近距離無線通信によりクレードル10に伝達されることとなる。そのため、アーム10bは、表示領域20aの向きを調整できることは勿論、しっかりと固定できるように、例えば自由雲台のような構造を持つものとする。
【0034】
クレードル10への電力供給は、車両の電源系統との電気的接続により行われるが、収容筐体10c内に二次電池及び充電機構(図示省略)を設けることで、車両の電源系統異常時にも対応することができる。
【0035】
<携帯情報端末の機能構成等>
次に、携帯情報端末20について詳細に説明する。携帯情報端末20には、上述した多機能携帯電話を用いることができる。この多機能携帯電話に本発明のコンピュータプログラムをインストールし、且つ、この多機能携帯電話に標準的に備えられている計器類、コンピュータ装置及びメモリ、通信機構、ディスプレイを用いて、クレードル10と連動してドライブレコーダの機能を実現する場合の例を説明する。
【0036】
図5は、この携帯情報端末20の機能構成図である。図5を参照すると、携帯情報端末20は、センサ部21(図1では第1センサ部)、データ通信I/F(インタフェース)22、情報送信部23、情報受信部24、運行管理部25、不揮発性のメモリ26、主制御部27、不揮発性のバッファ28及びディスプレイ29を含んで構成されている。バッファ28は、データ書き込み位置を示すポインタが最終位置の次に最初の位置に戻る循環式のリングバッファであることが望ましいが、そのようなものでなければならないというものではない。ディスプレイ29は、上述したように、タッチボタンのようなタッチ入力ができるものである。なお、テンキー等については、省略してある。
【0037】
センサ部21は、多機能携帯電話が備える加速度計201、GPSレシーバ202、集音マイク203、カメラ204及びこれらのインタフェースにより構成されるが、クレードル10のセンサ部11がそれを代用できる場合は、多機能携帯電話の方でこれらのすべてが存在しなくとも良い。逆に、外付けできる場合は、必要な計器を追加して用いることになる。
【0038】
加速度計201は、車両の前後・横方向の加速度(アクセル加速度、ブレーキ加速度、旋回加速度等)等、事故挙動や運転の粗さ等の特徴(傾向)を検出する。
GPSレシーバ202は、車両の現在の緯度・経度・速度・方位等を検出する。
集音マイク203は、携帯情報端末20の周囲の音を収集する。
カメラ204は、車両の前方の様子を撮影する。このような計器等により、運行により生じる車両の挙動などの運行情報を検出することができる。
但し、加速度計201とGPSレシーバ202で検出されるデータは、携帯情報端末20単独でドライブレコーダとして機能させる場合に用いられ、本実施形態のようにクレードル10を装備する場合には、クレードル10の精度の高いセンサ部11で検出された情報で補完される。情報の補完については後述詳細に説明する。
【0039】
センサ部21もまた、クレードル10のセンサ部11と同様、必要に応じてアナログデータをデジタルデータに変換するためのデータ変換部を備えている。センサ部21から出力された情報は、現在時刻データと関連付けて、バッファ28に記録される。
【0040】
データ通信I/F(インタフェース)22は、公衆通信網N(運行管理サーバ30等)及びクレードル10との近距離無線通信をそれぞれ可能にするインタフェースであり、主制御部27と協働することで、通信制御手段として機能するものである。クレードル10との通信には、例えばBluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)のうち、クレードル10に組み込まれているものを利用することになる。
【0041】
情報送信部23は、データ通信I/F22と協働して、クレードル10又は公衆通信網N(運行管理サーバ30等)への情報送信を可能にするものであり、情報受信部24は、データ通信I/F22と協働して、クレードル10又は公衆通信網N(運行管理サーバ30等)からの情報受信を可能にするものである。
【0042】
運行管理部25は、車両の運行情報を管理する。具体的には、以下の処理を行う。
(1)通信環境及び自端末への各種情報の設定
近距離無線通信を行う相手となるクレードル10の通信情報や個人情報の設定のほか、車両の挙動を特定挙動と判定するための挙動条件を含む各種条件設定を行う。この設定はディスプレイ29(タッチパネル)を通じて行う。設定された情報は、メモリ26に記録される。
【0043】
(2)通信相手となるクレードル10への各種設定
クレードル10と近距離無線通信のための通信路を確立した後、ディスプレイ29(タッチパネル)を用いて、クレードル10に設定すべき各種情報を、その保存先(クレードル10に装着されたメモリ媒体40の管理データ領域)を指定して設定する。設定した内容の確認や変更についても同様である。
【0044】
(3)情報の補完
情報の補完とは、不十分な部分を補って、より完全な情報にすることをいう。例えば、クレードル10の角速度計101や環境検出センサ104の検出結果を用いることにより、センサ部21に角速度計等を備えなくとも、あたかも備えているように扱うことができる。また、センサ部21の加速度計201に代えて、より高精度のセンサ部11の加速度計101の検出結果を用い、その検出結果と角速度計の検出結果とを併用することで、検出精度をセンサ部21単体の場合よりも格段に高めることができる。このように、補完された運行情報により携帯情報端末20における運行管理をより緻密且つ正確に行うことができる。
また、GPSレシーバ103,202を併用して双方の検出結果にずれがあるときには、確認を促す警告情報を出力するような処理も、この情報の補完によって可能となる。
【0045】
(4)イベント検出
運行管理部25は、補完された運行情報が所定の条件に適合するかどうかを常時判別する。ここで「イベント」なる用語は、本明細書では、例えば検出したい特定の挙動として定めた事象という意味で使用している。「条件」は、そのようなイベントが発生したかどうかを判別するための挙動条件である。本例では、目的に応じて,以下の「一般挙動」、「危険挙動」、「事故挙動」の3種に分類するが、特定の挙動は、必ずしもこのような分類に限定されるものではない。
【0046】
「一般挙動」は、車両の挙動のうち、例えば日常的に行われている運転、すなわち、危険の度合いが比較的少ない運転における交差点での旋回時、交差点での停止時、ブレーキ操作時、バックギア操作時の挙動、速度等をいい、このような一般挙動の特徴に適合すると判別するための挙動条件は、例えば車両の発進、停止、旋回、加速、減速の際に発生する、第1閾値(0以上)以上第2閾値(第1閾値を超える閾値)以下の加速度データ、角速度データ、速度を表すデータの少なくとも一つ又はこれらの所定の組合せである。
【0047】
「危険挙動」は、日常的に行われている運転のレベルを超えて、事故を起こしそうな危険域に達している挙動をいい、このような危険挙動の特徴に適合すると判別するための挙動条件は、例えば所定時間内に第2閾値を超える加速度データ、角速度データ、速度を表すデータの少なくとも一つ又はこれらの所定の組合せである。
【0048】
「事故挙動」は、実際に事故を起こしたり、事故に巻き込まれたりしたときの挙動をいい、このような事故挙動の特徴に適合すると判別するための挙動条件は、第3閾値(第2閾値を超える閾値)を超える角速度データ、速度を表すデータの少なくとも一つ又はこれらの所定の組合せである。
【0049】
(4)イベント情報の生成
運行管理部25は、補完された運行情報が上述した挙動条件に適合すると判別した場合は、当該イベントの発生時の補完された運行情報をイベント情報として生成する。イベント情報は、イベントの種別及び当該イベントの発生に関わる情報をいう。イベントの種別は、例えば当該イベントがどのような種類の挙動かを識別するための識別情報であり、ファイル名に付される文字や記号等で区別される。イベントの発生に関わる情報は、例えば発生日時、発生場所(位置情報)、発生時の運行情報(映像/音声を含む)である。
【0050】
(5)イベント情報の記録と伝達
イベント情報は、メモリ26に記録されると共に、メモリ26に記録されたイベント情報は、その記録指示と共に、バックアップのためにクレードル10にも伝達され、メモリ媒体40の検出データ領域に記録される。また、必要に応じて、運行管理サーバ30へも伝達される。運行管理サーバ30に伝達するための送信アドレスは、例えばメモリ媒体40の管理データ領域に事前に記録される。この送信アドレスを使用した自動送信により、イベントが発生したことを、運行管理サーバ30の運営者等にいち早く通知することができる。
【0051】
その際、運転者(携帯情報端末20の操作者)による改竄を防止する観点から、イベント情報は、それを読み取る権限を有する者だけが解読可能な暗号ロジックで暗号化した後に伝達するようにしても良い。また、この伝達は、車両の保有者又は運転者に秘匿したタイミング、すなわち、いつ伝達されたのかを運転者等が知り得ないように通信路を確立させ、イベント情報を伝達するようにしても良い。
【0052】
図6は、メモリ26及びメモリ媒体40に記録されるイベント情報の内容例を示した図である。「日時」はイベントの発生日時、「位置情報」はイベントの発生場所、「角速度」、「加速度」」「速度」のはイベント発生前後の角速度データ、加速度データ、車速等の内容である。「記録サイズ」は設定によって定められた以下のファイルサイズである。「走行距離」は、イベント発生後の走行距離等の情報である。「映像ファイル」、「音声ファイル」は、イベント発生前後の映像、並びに、音声のファイルである。
【0053】
(6)イベント情報の再生及び運行解析
運行管理部25は、メモリ26に記録されたイベント情報の再生及び運行解析を行う。運行解析は、具体的には、運転者による車両の操作傾向の解析等である。操作傾向は、例えば、その運転者は急加速が多い、ブレーキをかけ始めるのが遅い、ふらつきがある等、何度も繰り返される当該運転者特有の癖や傾向をいい、その解析は、例えば、イベントとそのようなイベントを生じさせた運転者の操作(運転)がどのような内容であったかを、グラフ表示や、イベント毎に分類された発生回数、基準情報との相対比較等を通じて数値化することをいう。後者は、運転診断表という名称で帳票出力される場合がある。予め定めた優良パターンとの比較により点数やランキング評価することも、操作傾向の解析の一種である。
【0054】
なお、操作傾向を解析する上で、一般挙動、危険挙動、事故挙動は、特に区別する必要がない。どのようなイベントの発生時にも車両の運転に特徴的な操作傾向が見られる。例えば急発進のイベントが発生したときのグラフは、発進時の加速度の上昇カーブが急であり、全体の形状になめらかさ(スムーズさ)が無いことは、当業者ならずとも広く認識されていることである。そのため、高い精度である時間内の運行情報の変化を数値化することができれば、挙動の種類を格別問題にする必要はない。
【0055】
(7)解析結果等の表示
運行管理部25は、携帯情報端末20の操作者の選択により、車両の操作傾向の解析その他の運行管理の結果を携帯情報端末20の表示領域20aに表示させる。例えば、図7(a)、(b)は、運転者の操作傾向を表す運転診断表であり、携帯情報端末20の表示領域20aの画面を切り替えて表示することができる。
【0056】
図7(a)に示す運転診断表の右側に例示されているレーダーチャートは、運転操作の各要素毎に集計を行い、評点評価を行ったものである。
図中、「ブレーキ」の要素は、速度が0になる直前の挙動がブレーキであるとして、加速度データの解析により判明する減速の開始後、速度が0になるまでに要した時間を基準時間との比較で定量化したものである。この時間が短いほど急ブレーキであり、ブレーキをかけるタイミングが適切でない傾向があるということになる。
「ハンドル」は、角速度データの解析により判明するハンドル操作のうち、一定時間内のふらつきの回数およびその度合いを基準情報との比較で定量化したものである。
「停止」は、定速走行後、速度が0になるまでの間に加速度データの変化(減速)がどの程度あったかを定量化し、これにより、例えばポンピングブレーキをどの位行う傾向があるかを表すようにしたものである。
「右左折」は、角速度データにより明らかになる左折又は右折の際の速度がどの程度であったかを基準速度との比較によって定量化したものである。
「スムーズ」は、加速度データから明らかになる所定加速の開始後定速になるまでの時間、あるいは、定速後所定の減速になるまでの時間が基準時間との比較によって定量化したものである。
【0057】
例えば、スピードが出ている状態で、右折、又は、左折をすると、大きく車両の姿勢が変化して交通事故を引き起こす原因となり、さらに、タイヤをはじめとして車両を構成する機器にも大きな負荷がかかり、危険であることは周知である。そのため、交通事故を未然に防ぐためにも、上記のような運転診断表を用いることで、運転者に操作傾向の改善を促すことが可能になる。これらの各要素毎の解析の結果と、予め記録されている優良運転者のデータとの比較に基づき、運転診断表の左側に示されている「総合得点」が算出され、表示領域20aに表示される。
【0058】
図7(b)に示す運転診断表は、運転者が運転を開始してから運転を終了するまでの間の、車両の速度変化の様子を縦軸、時間の経過を横軸に示したグラフである。この運転診断表の中で、例えば、17時30分を中心にその前後の時間帯は低車速であることから、渋滞の中を走行していたことが推定されるが、この時間帯の中で、車速が急上昇、急下降している箇所が見受けられる。これは、運転者が急発進・急加速を行い、間をおかずに急減速を行ったもので、一般的には危険な操作であったと考えられる。これらの運転診断表を運転者に提示することで、自身の運転の操作傾向を自覚し、安全運転を心掛けてもらうことが期待される。
【0059】
(8)警告情報の出力
運行管理部25は、携帯情報端末20の動作に影響を与える環境情報を近距離無線通信によってクレードル10から取得し、取得した環境情報が予め設定された許容範囲内かどうかを判別し、許容範囲を逸脱する場合は、その都度、警告情報を生成し、この警告情報をディスプレイ29に出力する。ここにいう「環境情報」とは、クレードル10のセンサ部11が有する環境検出センサ104の検出結果である。環境検出センサ104が温度計の場合は温度データであり、環境情報は、クレードル10の周辺温度、すなわち、ホルダ10aに設置された携帯情報端末20の周辺温度がどの位の値であるかを表すものとなる。この許容範囲は、携帯情報端末20の使用環境として推奨されている範囲である。また、この生成された警告情報の出力は、運転者が認識可能なものであれば音や点滅光などであっても良い。
さらに、例えば携帯情報端末20の使用環境として推奨されている範囲を超えていれば、本来であればイベントが発生していないにも関わらず、携帯情報端末20の誤動作によりイベント情報が生成されてしまうおそれもある。この不正確なイベント情報の利用を防ぐため、運行管理部25は、クレードル10から伝達された温度データが、予め定めた許容範囲を逸脱している状態であれば、運行管理サーバ30に向けた自動送信の設定を解除したり、メモリ26、メモリ媒体40へのイベント情報の記録を制限したりすることもできる。
【0060】
なお、ある周期で温度データを受領し、直近周期の温度データと今周期の温度データとが共に許容範囲を逸脱した場合に、その都度、警告情報を生成し、この警告情報をディスプレイ29に出力するようにしても良い。また、タイマ等によって規定時間が経過したことを検知する度に、温度データを受領するようにしても良い。これにより、急激な温度変化が起きないような環境であれば、携帯情報端末20の処理の負荷を軽減させることができる。
【0061】
<運用形態例>
次に、上記のように構成されるクレードル10及び携帯情報端末20をドライブレコーダとして動作させる場合の運用形態例を説明する。運用に際しては、まず、携帯情報端末20への基本情報、挙動条件、環境情報の許容範囲、運行管理サーバ30の送信アドレス、クレードル10との通信環境その他の設定を行う。
【0062】
図8は、基本情報の設定用の画面例を示している。携帯情報端末20の運行管理部25は、運行管理に用いられる基本情報、すなわち運転者の個人情報を設定するための画面20aをディスプレイ29に表示させる。
画面20aには、運転者の「氏名」を入力する入力領域111、運転手の部署等の「所属」先を入力する入力領域112、運転者の「住所」を入力する入力領域113、運転者の連絡先である「電話番号」を入力する入力領域114、運転者の「メールアドレス」を入力する入力領域115がそれぞれのフィールドに設けられている。また、運転者の緊急連絡先(例えば、家族宛や会社宛のメールアドレス)を入力する「連絡先1」(116)、「連絡先2」(117)の各入力領域がそれぞれのフィールドに設けられている。さらに、クレードル10を搭載した車両が加入している自動車損害賠償保険の「保険会社名」を入力する入力領域118、この車両が加入している保険の「契約番号」を入力する入力領域119、保険会社の連絡先となる電話番号やメールアドレス等の「送信アドレス」を入力する入力領域120、携帯情報端末20を一意に判別できる固有の「識別情報」を入力する入力領域121が、それぞれのフィールドに設けられている。
各入力領域111〜121にデータが入力されたときは、「保存」を選択することにより、その記録先を指定することができる。本例では、メモリ26とする。これにより、メモリ26に個人情報が記録される。このとき、クレードル10との近距離無線通信による通信環境の設定を終えていれば、メモリ媒体40の管理データ領域をも指定することで、上記の入力情報をメモリ媒体40にも記録することができる。
【0063】
次いで各種条件等を設定する。図9は、挙動条件等の設定用の画面例である。図示の例では、画面20aに、設定条件を個性化するためのユーザ情報の入力領域131と、キャプチャ設定、すなわち運行情報の収集条件である画像サイズの入力領域132及びフレームレートの入力領域133とが設けられている。
また、挙動条件として、危険挙動の発生を検出するためのトリガ設定閾値X(車両の横方向の加速度の閾値)の入力領域134、トリガ設定閾値Y(車両の前後方向の加速度の閾値)の入力領域135、トリガ設定閾値Z(車両の上下方向の加速度の閾値)の入力領域136と、危険挙動まではいかないが警報を出力するための警報閾値X(車両の横方向の加速度の閾値、トリガ設定閾値X未満)の入力領域137及び警報閾値Y(車両の前後方向の加速度の閾値、トリガ設定閾値Y未満)の入力領域138、・・・がそれぞれのフィールドに設けられている。一般挙動の発生を検出するための閾値のセットや、事故信号の発生を検出するための閾値のセットも同様にして、入力領域が設けられる。
なお、事故挙動の発生の検出には、外部からの事故信号の入力を契機にすることを設定するようにしても良い。
さらに、メモリ媒体40へ記録する際に使用される暗号ロジックを特定するための暗号化情報の入力領域139が設けられている。
【0064】
入力領域131には、基本情報における識別情報の入力領域121の入力情報が転記される。その他の入力領域132〜139・・・にデータが入力されたときは、「保存」を選択することにより、その記録先を指定することができる。本例では、メモリ26とメモリ媒体40の管理データ領域とを指定し、上記の入力情報をメモリ媒体40にも記録する。これにより、例えばメモリ媒体40を発行した者が運行終了後にメモリ媒体40を回収し、設定された各種条件に基づいて運行解析を行うことや、クレードル10を搭載した車両が加入している自動車損害賠償保険会社がメモリ媒体40を回収し、設定された各種条件等に基づいて運行解析を行うことが可能になる。なお、基本情報と同様に、メモリ26のみを指定することもできる。
【0065】
運転者は、車両の運転に際し、車両に搭載されたクレードル10の媒体収容機構16にメモリ媒体40を挿入するとともに、各種条件がメモリ26に記録された携帯情報端末20をクレードル10のホルダ10aにセットする。
運転者が車両のエンジンを始動すると、車両からクレードル10に電力が供給され、この電力の供給を契機に、クレードル10のセンサ部11と携帯情報端末20のセンサ部21による挙動の検出が開始する。
【0066】
[クレードルの主たる動作手順]
クレードル10は、例えば図10に示す手順で動作する。すなわち、電力の供給開始を契機に(ステップS100)、データ通信I/F12を通じて、携帯情報端末20との近距離無線通信を開始するとともに、通信状態を常時監視する(ステップS101)。また、センサ部11の検出結果である運行情報の読み込みを開始する(ステップS102)。角速度計101等の各センサの記録周期、例えば1秒周期の終期に達したかどうかを判断し、達したときは(ステップS103:Yes)、ステップS104に進む。終期に達していなければ(ステップS103:No)、ステップS106に進む。
【0067】
ステップS104では、終期に達した時点で読み込んだ運行情報を暗号化してメモリ媒体40に記録する。また、この運行情報を携帯情報端末20へ伝達する(ステップS105)。クレードル10は、携帯情報端末20からイベント情報を取得した場合(ステップS106:Yes)、このイベント情報を暗号化してメモリ媒体40に記録する(ステップS107)。
【0068】
クレードル10の電源がオン(ON)となっている間(ステップS108:Yes)、運行情報の読み込み(ステップS102)以降の手順を繰り返す。電源オフ(OFF)になると(ステップS108:No)、携帯情報端末20との近距離無線通信を終了し(ステップS109)、運行情報の監視を終了する(ステップS110)。
【0069】
ここで、携帯情報端末20との通信が不能であった場合には、運行情報に未送信フラグを立ててメモリ媒体40に記録させることもできる。これにより、携帯情報端末20との近距離無線通信が可能な状態に復帰したことを検知した時点で、未送信の運行情報だけを携帯情報端末20へ伝達させることもできる。
【0070】
[携帯情報端末の主たる動作手順]
次に、図11を参照して、携帯情報端末20の主たる動作手順について説明する。前提として、運転者(操作者)が携帯情報端末20の運行管理機能を起動させているものとする(ステップS200)。その際、センサ部21の加速度計201及びGPSレシーバ202に代えて、より高精度のセンサ部11の角速度計101、加速度計102及びGPSレシーバ103を補完用情報の出力元センサとして用いることを、予め設定しておく。
【0071】
携帯情報端末20は、センサ部21による車両の挙動等の検出結果に基づく運行情報監視を開始する(ステップS201)とともに、データ通信I/F22を通じて、クレードル10との近距離無線通信を開始する(ステップS202)。
【0072】
センサ部21のカメラ204から出力される映像データ、並びに、集音マイク203から出力される音声データの読み込みを開始し(ステップS203)、これらのデータが各センサの記録周期の終期に達したかどうかを判断する(ステップS204)。達していれば、ステップS205に進み(ステップS204:Yes)、達していなければステップS206に進む(ステップS204:No)。ステップS205では、記録周期の終期に達した時点の映像データ、並びに、音声データをバッファ28に記録する。ステップS206では、クレードル10から補完用情報を取得しているかどうかを判断する。
【0073】
補完用情報を取得した場合(ステップS206:Yes)、携帯情報端末20は、すでにバッファ28に記録されている情報と新たに取得した補完用情報との時刻の同期をとりながら合算することで、携帯情報端末20側の検出情報を補完し(ステップS207)、補完後の検出情報をバッファ28に記録する(ステップS208)。そして、バッファ28に記録された検出情報と挙動条件とを比較し、適合する検出情報があるかどうかを判断する(ステップS209)。挙動条件に適合する検出情報がある場合、例えば加速度データが、上述したトリガ設定閾値X、トリガ設定閾値Y、トリガ設定閾値Zのいずれかを超えている場合は(ステップS209:Yes)、危険挙動を表すイベントの種別を付したイベント情報を生成し、このイベント情報をメモリ26に記録する(ステップS210)とともに、クレードル10に伝達し、メモリ媒体40に記録させる(ステップS211)。送信アドレスへの自動送信が設定されている場合は、イベント情報を暗号化して運行管理サーバ30にも伝達する。
【0074】
以上の動作を携帯情報端末20の運行管理機能が起動されている間繰り返し(ステップS212:No)、起動解除されたときは(ステップS212:Yes)、クレードル10との近距離無線通信を終了し(ステップS213)、運行情報監視を終了する(ステップS214)。
【0075】
携帯情報端末20は、上記の運行情報監視の過程で、クレードル10から伝達された環境情報、例えば温度データが、予め設定されている許容範囲を超えたことを検知したときは、その都度、警告情報を生成し、これをディスプレイ29に表示したりする。図12は、ディスプレイ29に表示される警告情報の一例である。このような警告情報を表示することで、運転者(操作者)は、携帯情報端末20が危険な状態にあると認識し、電源OFFにする等、適切な措置をとることができる。
【0076】
このように、本実施形態では、車両の挙動、並びに、挙動発生時の時刻、位置、映像を含む運行情報を検出するセンサ部21と、車両の挙動をセンサ部21よりも高精度に検出するセンサ部11を備えたクレードル10との間で、近距離無線通信を行わせて運行情報の補完を可能にし、携帯情報端末20では、補完された運行情報が挙動条件に適合するかどうかを判別し、適合する場合は当該挙動発生時の補完された運行情報をイベント情報としてメモリ26やクレードル10のメモリ媒体40に記録するようにしたので、挙動条件に適合するかどうかの判別をより正確に行うことができる。
そのため、基本的に人間が操作することを目的とするために比較的精度や感度が低いものが選択されているセンサ部21を有する携帯情報端末20を用いた場合であっても、クレードル10と連動させることにより、高精度の運行管理機能、例えばドライブレコーダ機能を実現することができる。
クレードル10についてみれば、ドライブレコーダ機能を実現する上で必要となる構成部品や機能部分を携帯情報端末20に多く持たせることで、自らの製造コストを低くすることができるようになる。
【0077】
また、メモリ媒体40には第2センサ部の検出結果が記録されるため、携帯情報端末20をホルダ10aに設置し忘れた場合や、携帯情報端末20の故障や紛失があった場合でも運行終了後に運行解析を行うことができる。さらに、メモリ媒体40の管理データ領域には挙動条件等の設定内容が記録されるため、この設定された各種条件に基づく運行解析を行うこともできる。
【0078】
また、クレードル10と携帯情報端末20とが数十cm〜数mの覆域となる近距離無線通信によって情報の伝達を行うことから、車内での有線ケーブルの引き回しが不要になるとともに車外への情報の漏れや悪意の者によるスキミングが抑制され、利便性の高い運用が可能となる。また、携帯情報端末20が、イベント情報を公衆通信によって運行管理サーバ30へ伝達するようにしたので、イベント情報の外部(運行管理サーバ30の運営者等)への迅速な伝達も容易となる。
【0079】
また、暗号化情報により使用する暗号ロジックを特定することができるため、例えば車両が加入している自動車損害賠償保険会社毎に指定された暗号ロジックが異なり、この車両を運転する運転者も固定化されていない場合や、一人の運転者が運転する車両が一日に何回も変わる場合でも、使用する暗号ロジックの切り替えが柔軟かつ迅速にできる。
【0080】
また、本実施形態では、携帯情報端末20の情報処理結果の精度に影響を与える環境情報を近距離通信手段を通じてクレードル10より取得し、取得した環境情報が予め設定された許容範囲内かどうかを判別し、その都度、警報情報を生成してディスプレイ29に出力するようにしたので、運転者(操作者)に迅速な対応を促すことができる。
【0081】
また、本実施形態では、携帯情報端末20が通信不能の期間は未送信フラグを立てて運行情報がメモリ媒体40に記録され、携帯情報端末20が通信可能な状態に復帰したことを契機に補完用情報として伝達されるようにしたので、運転者は運転に集中でき、交通事故の発生の未然防止に貢献することができる。
【0082】
<変形例>
本実施形態は以上の通りであるが、本発明は上述した実施の形態例に限ることなく、種々の形態での実施が可能である。例えば、本実施形態では、図3に示した外観、形状のクレードル10を例に挙げて説明したが、クレードル10のホルダ10aは、収容筺体10cと一体であっても良い。この場合、アーム10bは不要となる。
【0083】
また、本実施形態では、クレードル10から携帯情報端末20へ補完用情報を伝達する場合の例を中心に説明したが、逆に、携帯情報端末20で検出した情報を補完用情報としてクレードル10に伝達するようにしても良い。これは、クレードル10のセンサ部11が保有しない計測器を携帯情報端末20のセンサ部21が保有する場合に有効となる。
【0084】
また、本実施形態では、運行管理装置としてクレードル10の例を示したが、運行管理装置は、携帯情報端末20による運行管理機能を補完できる装置であれば良いので、必ずしもクレードル10である必要はなく、携帯情報端末20と近距離無線通信が可能で、クレードル10で実現できる機能を有するモジュールを車両に標準的に装置したものであっても良い。
【0085】
<応用例>
クレードル10及び携帯情報端末20は、上記のようにドライブレコーダとして使用することができるものであるが、携帯情報端末20の公衆通信機能を活かして、運行管理サーバ30を運転者間のコミュニケーションシステムとして実施することもできる。
すなわち、図13に示すように、運行管理サーバ30に、携帯情報端末20が有するものと同様のデータ通信I/F31、情報送信部32、情報受信部33の機能と、評価部34の機能とを形成するとともに、この運行管理サーバ30に大容量記憶装置を設置し、この大容量記憶装置に、運行情報/診断結果情報DB(データベースの略、以下同じ)36と、評価結果情報DB37とを構築する。データ通信I/F31,情報受信部33及び主制御部35により、情報取得手段を構成する。
【0086】
主制御部35は各部の動作を統括的に制御するとともに、大容量記憶装置の一部を、複数の携帯情報端末20の操作者が情報をアップロードすることができ、且つ、アップロードされた情報を携帯情報端末20の各々が閲覧できる共有アクセス領域に設定し、この共有アクセス領域への情報の掲載、削除等を管理する管理手段としても機能する。また、データ通信I/F31を通じて情報提供元の識別情報と共に取得した車両の運行内容を表す運行情報(映像、音等)とそれに基づいて生成された診断結果情報(図6(a)、(b)で示したような運転診断表)を、その情報発信元の識別情報と関連付けて運行情報/診断結果情報DB36に蓄積するための制御も行う。
【0087】
評価部34は、運行情報/診断結果情報DB36に蓄積されている運行情報を運行環境毎に分類し、分類した運行情報のランキング評価を行うとともに、このランキング評価を評価結果情報DB37に蓄積する。
【0088】
各携帯情報端末20は、クレードル10より取得した補完用情報に基づいてセンサ部21の検出結果を補完し、補完後の情報に基づいて、運行情報や診断結果情報を生成して上記コミュニティサイトにアップロードする。
診断結果情報の場合は、その評価基準を標準化するため、携帯情報端末20の操作者は、運行環境を表す分類コード、すなわち、クレードル10を用いて情報を補完したかどうかを識別するための識別コード、車両の運行時間帯を表す時間帯コード、運行地域を表す地域コードその他の分類コードを添えてアップロードする。
【0089】
運行管理サーバ30は、アップロードされたこれらの情報を一定期間毎に集計し、運行情報については特定の領域に順次掲載する。他方、診断結果情報については、共通する分類コード毎に分類して、「総合得点」のランキング評価を行う。
アップロードした携帯情報端末20の操作者は、随時、共有アクセス領域にアクセスして、これらの情報を随時閲覧することができる。
【0090】
これにより、例えば複数の運転者間で同じ運行条件下でどれだけ燃費の良い運転、車両の挙動変化の小さいなめらかな運転等を行ったかを相対的に比較し合い、安全運転の奨励や交通事故の発生の抑止につなげることができる。
【0091】
図14は、共有アクセス領域に掲載される良い運転ランキング結果を表示した画面50の内容例である。この画面50において「安全太郎」と表示されている表示欄51には、運転者のニックネーム等が表示される。「東京都港区」と表示されている表示欄52には、「総合得点」を得た際に運転者が運転した範囲を表す地域が分類コードやGPSデータ等から翻訳されて表示される。「ポイント50」と表示されている表示欄53には、今回の「良い運転ランキング結果」のランキングに連動して、コミュニティサイト運営者から運転者に付与されるポイントが表示されている。ランキングの高くなるほど大きなポイントが付与され、運転者毎に蓄積される。これにより、さらに、安全運転の奨励や交通事故の発生の抑止につなげることができる。
【符号の説明】
【0092】
10・・・クレードル、10a・・・ホルダ、10b・・・アーム、10c・・・収容筺体、11・・・センサ部、12・・・データ通信I/F、13・・・情報送信部、14・・・情報受信部、15・・・媒体収容機構、16・・・主制御部、20・・・携帯情報端末、20a・・・表示領域、20b・・・ボタン操作部、21・・・センサ部、22・・・データ通信I/F、23・・・情報送信部、24・・・情報受信部、25・・・運行管理部、26・・・メモリ、27・・・主制御部、28・・・バッファ、29・・・ディスプレイ、30・・・運行管理サーバ、40・・・メモリ媒体、101・・・角速度計、102・・・加速度計、103・・・GPSレシーバ、104・・・環境検出センサ、105・・・外部スイッチ、201・・・加速度計、202・・・GPSレシーバ、203・・・集音マイク、204・・・カメラ、N・・・公衆通信網。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の挙動、並びに、当該挙動の発生時の時刻、位置、映像を含む当該移動体の運行情報を検出する第1センサ部と、
前記移動体の挙動を前記第1センサ部よりも高精度に検出する第2センサ部を備えた運行管理装置との間で、近距離無線通信を行う近距離通信手段と、
前記第2センサ部の検出結果を前記近距離通信手段を通じて前記運行管理装置より取得する情報取得手段と、
前記第1センサ部の検出結果を、取得した前記第2センサ部の検出結果で補完し、補完された運行情報が所定の条件に適合するかどうかを判別し、適合する場合は当該補完された運行情報をイベント情報として所定の記録領域に記録する運行管理手段と、
を有する携帯情報端末。
【請求項2】
公衆通信を行う公衆通信手段と、
前記記録領域に記録されているイベント情報を前記公衆通信手段を通じて指定された通信相手先へ伝達する通信制御手段と、をさらに有する、
請求項1記載の携帯情報端末。
【請求項3】
ディスプレイを備えており、
前記運行管理手段は、前記携帯情報端末の動作に影響を与える環境情報を前記近距離通信手段を通じて前記運行管理装置より取得し、取得した当該環境情報が予め設定された許容範囲内かどうかを判別し、許容範囲を逸脱する場合は警告情報を生成し、当該警告情報を前記ディスプレイに出力する、
請求項1又は2記載の携帯情報端末。
【請求項4】
移動体の挙動、並びに、当該挙動の発生時の時刻、位置、映像を含む当該移動体の運行情報を検出する第1センサ部を備え、当該移動体の運行管理を行う携帯情報端末を、当該移動体の所定部位に固定するためのホルダと、
前記携帯情報端末との間で、近距離無線通信を可能にする近距離通信手段と、
前記移動体の挙動を前記第1センサ部よりも高精度に検出する第2センサ部と、
前記第2センサ部の検出結果を前記携帯情報端末へ前記近距離通信手段を通じて伝達し、これにより当該携帯情報端末による前記運行管理の補完を可能にする情報伝達手段と、
前記第2センサ部の検出結果を前記移動体毎又は前記移動体を運転する運転者毎に分類されたメモリ媒体に記録するための情報記録手段と、
前記メモリ媒体を収容するための媒体収容機構と、
を有する、移動体に搭載される運行管理装置。
【請求項5】
前記情報記録手段は、暗号化情報により特定された暗号ロジックに従い前記第2センサ部の検出結果を前記移動体の保有者又は運転者が解読できないデータ構造に変換するとともに、変換した情報を前記メモリ媒体に記録する、
請求項4記載の運行管理装置。
【請求項6】
前記第2センサ部は、前記ホルダに固定された前記携帯情報端末の設置環境を計測するための環境検出センサを備えており、
前記情報伝達手段は、前記環境検出センサによる計測値を環境情報として前記近距離通信手段を通じて前記携帯情報端末へ伝達する、
請求項4又は5記載の運行管理装置。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれかの項記載の運行管理装置と近距離無線通信を行う請求項3記載の携帯情報端末が公衆通信を通じて閲覧可能な共有アクセス領域を有する運行管理サーバであって、
各携帯情報端末から前記運行情報を取得する情報取得手段と、
取得した運行情報を運行環境毎に分類し、分類した運行情報のランキング評価を行う評価手段と、
前記ランキング評価の結果情報を前記共有アクセス領域に掲載する管理手段と、
を備えて成る、
運行管理サーバ。
【請求項8】
移動体の挙動、並びに、当該挙動の発生時の時刻、位置、映像を含む当該移動体の運行情報を検出する第1センサ部と、通信相手と近距離無線通信を行う通信機能と、コンピュータとを有する携帯情報端末が読み取り可能なコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記移動体の挙動を前記第1センサ部よりも高精度に検出する第2センサ部を備えた運行管理装置から当該第2センサ部の検出結果を近距離無線通信により取得する情報取得手段、
前記第1センサ部の検出結果を、取得した前記第2センサ部の検出結果で補完し、補完された運行情報が所定の条件に適合するかどうかを判別し、適合する場合は当該補完された運行情報をイベント情報として所定の記録領域に記録する運行管理手段、
として機能させる、コンピュータプログラム。
【請求項1】
移動体の挙動、並びに、当該挙動の発生時の時刻、位置、映像を含む当該移動体の運行情報を検出する第1センサ部と、
前記移動体の挙動を前記第1センサ部よりも高精度に検出する第2センサ部を備えた運行管理装置との間で、近距離無線通信を行う近距離通信手段と、
前記第2センサ部の検出結果を前記近距離通信手段を通じて前記運行管理装置より取得する情報取得手段と、
前記第1センサ部の検出結果を、取得した前記第2センサ部の検出結果で補完し、補完された運行情報が所定の条件に適合するかどうかを判別し、適合する場合は当該補完された運行情報をイベント情報として所定の記録領域に記録する運行管理手段と、
を有する携帯情報端末。
【請求項2】
公衆通信を行う公衆通信手段と、
前記記録領域に記録されているイベント情報を前記公衆通信手段を通じて指定された通信相手先へ伝達する通信制御手段と、をさらに有する、
請求項1記載の携帯情報端末。
【請求項3】
ディスプレイを備えており、
前記運行管理手段は、前記携帯情報端末の動作に影響を与える環境情報を前記近距離通信手段を通じて前記運行管理装置より取得し、取得した当該環境情報が予め設定された許容範囲内かどうかを判別し、許容範囲を逸脱する場合は警告情報を生成し、当該警告情報を前記ディスプレイに出力する、
請求項1又は2記載の携帯情報端末。
【請求項4】
移動体の挙動、並びに、当該挙動の発生時の時刻、位置、映像を含む当該移動体の運行情報を検出する第1センサ部を備え、当該移動体の運行管理を行う携帯情報端末を、当該移動体の所定部位に固定するためのホルダと、
前記携帯情報端末との間で、近距離無線通信を可能にする近距離通信手段と、
前記移動体の挙動を前記第1センサ部よりも高精度に検出する第2センサ部と、
前記第2センサ部の検出結果を前記携帯情報端末へ前記近距離通信手段を通じて伝達し、これにより当該携帯情報端末による前記運行管理の補完を可能にする情報伝達手段と、
前記第2センサ部の検出結果を前記移動体毎又は前記移動体を運転する運転者毎に分類されたメモリ媒体に記録するための情報記録手段と、
前記メモリ媒体を収容するための媒体収容機構と、
を有する、移動体に搭載される運行管理装置。
【請求項5】
前記情報記録手段は、暗号化情報により特定された暗号ロジックに従い前記第2センサ部の検出結果を前記移動体の保有者又は運転者が解読できないデータ構造に変換するとともに、変換した情報を前記メモリ媒体に記録する、
請求項4記載の運行管理装置。
【請求項6】
前記第2センサ部は、前記ホルダに固定された前記携帯情報端末の設置環境を計測するための環境検出センサを備えており、
前記情報伝達手段は、前記環境検出センサによる計測値を環境情報として前記近距離通信手段を通じて前記携帯情報端末へ伝達する、
請求項4又は5記載の運行管理装置。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれかの項記載の運行管理装置と近距離無線通信を行う請求項3記載の携帯情報端末が公衆通信を通じて閲覧可能な共有アクセス領域を有する運行管理サーバであって、
各携帯情報端末から前記運行情報を取得する情報取得手段と、
取得した運行情報を運行環境毎に分類し、分類した運行情報のランキング評価を行う評価手段と、
前記ランキング評価の結果情報を前記共有アクセス領域に掲載する管理手段と、
を備えて成る、
運行管理サーバ。
【請求項8】
移動体の挙動、並びに、当該挙動の発生時の時刻、位置、映像を含む当該移動体の運行情報を検出する第1センサ部と、通信相手と近距離無線通信を行う通信機能と、コンピュータとを有する携帯情報端末が読み取り可能なコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記移動体の挙動を前記第1センサ部よりも高精度に検出する第2センサ部を備えた運行管理装置から当該第2センサ部の検出結果を近距離無線通信により取得する情報取得手段、
前記第1センサ部の検出結果を、取得した前記第2センサ部の検出結果で補完し、補完された運行情報が所定の条件に適合するかどうかを判別し、適合する場合は当該補完された運行情報をイベント情報として所定の記録領域に記録する運行管理手段、
として機能させる、コンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−185537(P2012−185537A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46357(P2011−46357)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【特許番号】特許第4729137号(P4729137)
【特許公報発行日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(594013044)株式会社データ・テック (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【特許番号】特許第4729137号(P4729137)
【特許公報発行日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(594013044)株式会社データ・テック (7)
【Fターム(参考)】
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