説明

移動体通信端末および移動体通信端末が有する2次電池の充電方法

【課題】煩雑な手作業を行うことなく、移動体通信端末を駆動する電源を好適に確保することができるようにする。
【解決手段】本発明の移動体通信端末に適用可能なPHS通信端末は、追跡対象物に設けられる移動体通信端末の位置に関する位置情報を取得し、位置情報を管理する情報管理装置に、ネットワークを介して位置情報を送信し、PHS通信端末が有する1はたは複数の太陽電池モジュールは移動体通信端末に照射される光のエネルギーを電力に変換し、PHS通信端末が有する2次電池は移動体通信端末の各部に供給される電力を蓄積し、太陽電池モジュールによって変換される電力を蓄積する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移動体通信端末および移動体通信端末が有する2次電池の充電方法に係り、特に、太陽電池モジュールを用いて2次電池を充電することができるようにした移動体通信端末および移動体通信端末が有する2次電池の充電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、国内の遠隔地の間で様々な物流取引が行われている。このような物流取引においては、貨物などの目的物が目的地まで正しく到達したか否かを管理することが重要となる。そこで、目的物が目的地まで到達したかを管理するために、物流過程における目的物の現在位置を例えばGPS受信機を用いて逐次測位し、このGPS測位に基づく位置情報を用いて目的物の現在位置を追跡し、管理する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。また、近年、インターネットなどのIP技術の普及に伴い、様々な分野で世界的な規模の拡大(グローバル化)が図られている。とりわけ、国際間で行われる物流取引においてグローバル化の流れは顕著である。このように、遠隔地間での物流取引においては、国内外を問わず、貨物の現在位置を取得することにより現在位置を用いて目的物を追跡するサービスが将来急速に普及する可能性を秘めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−213503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
物流取引における目的物の現在位置を例えばGPS測位に基づく位置情報を用いて管理する場合、目的物を輸送する輸送車両や物流機器、あるいは目的物自体などに、少なくともGPS受信機が搭載された移動体通信端末が設けられる。従来においては、この移動体通信端末を駆動するための電源には乾電池が用いられる。そのため、1ヶ月程度に1回、移動体通信端末に格納される乾電池を新たな乾電池と交換する必要がある。目的物の追跡に用いられる移動体通信端末の数が1つだけであれば、このような乾電池の交換はそれほど問題とならないが、複数の目的物を追跡するために複数の移動体通信端末が用いられる場合には、たとえ1ヶ月程度に1回の乾電池の交換作業もユーザにとって負担となりうる。例えば100個の移動体通信端末が目的物の追跡に用いられる場合、1ヶ月程度に1回、ユーザは100回分の乾電池の交換作業を行う必要がある。
【0005】
勿論、目的物を追跡するために用いられる移動体通信端末を駆動するための電源として2次電池が使用されることも考えられるが、たとえ2次電池であったとしても、乾電池の場合と同様に、充電後からいずれかの時間が経過した段階で、ユーザの手作業により再度充電する必要が生じてしまう。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、煩雑な手作業を行うことなく、移動体通信端末を駆動する電源を好適に確保することができる移動体通信端末および移動体通信端末が有する2次電池の充電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の移動体通信端末は、上述した課題を解決するために、追跡対象物に設けられる移動体通信端末の位置に関する位置情報を取得する取得手段と、前記位置情報を管理する情報管理装置に、ネットワークを介して前記位置情報を送信する送信手段と、前記移動体通信端末に照射される光のエネルギーを電力に変換する1はたは複数の太陽電池モジュールと、前記移動体通信端末の各部に供給される電力を蓄積し、前記太陽電池モジュールによって変換される電力を蓄積する2次電池とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の移動体通信端末が有する2次電池の充電方法は、上述した課題を解決するために、移動体通信端末の各部に供給される電力を蓄積する2次電池と、1はたは複数の太陽電池モジュールとを備え、前記移動体通信端末の位置に関する位置情報を前記位置情報を管理する情報管理装置にネットワークを介して送信する移動体通信端末が有する2次電池の充電方法において、前記移動体通信端末に照射される光のエネルギーを1はたは複数の太陽電池モジュールによって電力に変換し、追跡対象物の移動に伴って前記移動体通信端末が屋外で移動する場合に前記太陽電池モジュールによって変換される電力を前記2次電池に順次蓄積することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、煩雑な手作業を行うことなく、移動体通信端末を駆動する電源を好適に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係る情報処理システムの全体の構成を示す図。
【図2】本実施形態に係る移動体通信端末に適用可能なPHS通信端末の内部の構成を示すブロック図。
【図3】PHS通信端末が備える太陽電池モジュール41−1乃至41−nの構成例を示す図。
【図4】PHS通信端末の移動経路を示す図。
【図5】図2のPHS通信端末における2次電池充電処理を説明するフローチャート。
【図6】本実施形態に係る他の情報処理システムの全体の構成を示す図。
【図7】本実施形態に係る移動体通信端末に適用可能なPHS通信端末の他の内部の構成を示すブロック図。
【図8】図7のPHS通信端末における位置情情報送信処理を説明するフローチャート。
【図9】記憶部に記憶される、PHS通信端末の周辺の各基地局3からのRSSI値と基地局IDの対応関係を示す対応関係テーブル。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る情報処理システム1の全体の構成を表している。情報処理システム1には、通信サービスの提供エリアを所望の大きさに分割したセル内にそれぞれ固定無線局である基地局3−1乃至3−nが設置されている。なお、本発明の実施形態の場合、基地局3がn個である場合について記載したが、基地局の数nは1つ以上であればよい。また、基地局3−1乃至3−nは、以下においてそれぞれを個々に区別する必要がない場合、「基地局3」と総称する。
【0012】
これらの基地局3−1乃至3−nには、本実施形態に係る移動体通信端末に適用可能なPHS通信端末2が無線接続される。PHS通信端末2は、輸送車両(物流機器)あるいは貨物などの追跡対象物(目的物)に取り付けられる。従って、PHS通信端末2は、一般的には、追跡対象物の数に応じて複数存在する。PHS通信端末2は、GPS受信部(図2のGPS受信部)を備えており、GPS衛星4−1乃至4−4からのGPS波(GPS情報)をGPS受信部にて受信する。基地局3−1乃至3−nは、有線回線を介して公衆電話回線網としてのPHS網5に接続する。PHS網5には、PHS回線を制御するためのPHS回線制御サーバ(図示せず)が接続され、その後インターネットサービスプロバイダのアクセスサーバ(図示せず)を介してネットワーク6(例えば、インターネット(IP)、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、その他の各種のネットワークを含む)が接続される。ネットワーク6には、通信端末2からPHS網5を介して適宜送信される通信端末2に関する位置情報(GPS情報)を管理するサーバ7が接続される。
【0013】
なお、本実施形態に係る移動体通信端末としてPHS通信端末2を適用するようにしたが、このような場合に限られず、例えば本実施形態に係る移動体通信端末として携帯電話機を用いて携帯電話機用の基地局を介してサーバ7と通信するようにしてもよい。具体的には、PHS通信端末2は、例えばW-CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)と呼ばれる符号分割多元接続方式や、GSM(Global System for Mobile Communications)方式などの種々の無線接続方式によって携帯電話機用の基地局に無線接続される。
【0014】
図2は、本実施形態に係る移動体通信端末に適用可能なPHS通信端末2の内部の構成を表している。図2が示すように、PHS通信端末2は、アンテナ31、無線送受信部32、信号処理部33、制御部34、記憶部35、表示部36、操作部37、GPS用アンテナ38、GPS受信部39、バッテリ39、時計回路40、太陽電池モジュール群41−1乃至41−n、インバータ42、昇圧器43、コンバータ44、2次電池45、および電源回路46を備える。
【0015】
アンテナ31は、基地局3からPHSの通信周波数帯域(1.9GHz帯域)で送信される無線信号を空間から受信する。また、アンテナ31は、基地局3との間で無線通信することができるように空間に、PHSの通信周波数帯域(1.9GHz帯域)で無線信号を放射する。無線送受信部32は、アンテナ31を介して、基地局3との間で無線通信する。無線送受信部32は、信号処理部33にて生成された変調信号に基づいて、制御部34から指示されるキャリア周波数の無線信号を生成する。また、無線送受信部32は、制御部34から指示されるキャリア周波数の無線信号を受信し、受信された無線信号に対して復調処理を施す。そして、無線送受信部32は、復調処理後の受信結果を、信号処理部33と制御部34に出力する。信号処理部33は、DSP(Digital Signal Processor)などにより構成され、無線送受信部32からの信号に対して所定の信号処理を施す。
【0016】
制御部34は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)などからなり、CPUは、ROMに記憶されているプログラムまたは記憶部35からRAMにロードされた、オペレーティングシステム(OS)を含む各種のアプリケーションプログラムや制御プログラムに従って各種の処理を実行するとともに、種々の制御信号を生成し、各部に供給することにより移動無線端末1を統括的に制御する。具体的には、制御部34は、種々の通信処理システムによるデータ通信を実現する制御機能を備えており、無線送受信部32が用いるキャリア周波数を制御し、無線送受信部32での受信結果に基づいて基地局から送信される無線フレームとの同期の確立を行う。RAMは、CPUが各種の処理を実行する上において必要なデータなどを適宜記憶する。
【0017】
記憶部35は、例えば、電気的に書換えや消去が可能な不揮発性メモリであるフラッシュメモリ素子やHDD(Hard Disc Drive)などからなり、制御部34のCPUにより実行される種々のアプリケーションプログラムや種々のデータ群、PHS通信端末2の制御プログラムや制御データ、PHS通信端末2に固有に割り当てられた端末識別情報を格納する。この他にも、記憶部35は、データ通信により取得したデータやダウンロードしたデータを適宜記憶する。表示部36は、例えばLCDや有機ELなどからなる。操作部37は、操作キーやボタンなどからなる。なお、図2の表示部36と操作部37は省略するようにしてもよい。
【0018】
GPS受信部39は、制御部34の制御に従い、GPS衛星4−1乃至4−4からのGPS波(GPS情報)を、GPS用アンテナ38を介して受信する。このGPS情報には、例えばそれぞれのGPS衛星4−1乃至4−4からの発信時刻情報が含まれている。その後、このGPS情報は制御部34に入力される。そして、制御部34は、取得されたGPS情報を用いて、PHS通信端末2の現在地を示す位置情報(緯度経度の情報)を計算し(なお、例えば3つ乃至4つのGPS情報から計算することが望ましい)、PHS通信端末2の現在地を示す位置情報であるGPS測位に基づく位置情報を求める。なお、このGPS情報に基づいて求められる位置情報として緯度経度を取得することが一般的であるが、更に緯度経度に対応した住所情報を取得するようにしてもよい。従って、「GPS測位に基づく位置情報」とは、GPS情報から計算された位置情報(例えば緯度経度情報)や、その情報に対応する住所情報などの情報も含むものとする。PHS通信端末2は、現在の時刻を測定する時計回路(タイマ)40を備える。
【0019】
PHS通信端末2は、光起電力効果を利用して光エネルギーを直接電力に変換する複数の太陽電池モジュール41−1乃至41−nからなる太陽電池モジュール群を備える。太陽電池モジュール41は、p型とn型の半導体を接合した構造を有する太陽電池セルを複数集めて構成される。複数の太陽電池モジュール41は、1次元にアレイ配列または2次元にマトリクス配列されて直並列的に接続される。図3は、PHS通信端末2が備える太陽電池モジュール41−1乃至41−nの構成例を示す。図3が示すように、太陽電池モジュール41−1乃至41−nは、太陽から放射される太陽光を受けることが可能なように外部に露出して設けられる。太陽電池モジュール41−1乃至41−nは、後述するインバータ42と昇圧器43を経由してPHS通信端末本体に有線ケーブルを介して接続される。なお、PHS通信端末本体と太陽電池モジュール41−1乃至41−nなどは、1つの筐体内に格納されるようにしてもよいし、一体的に1つの筐体を形成するようにしてもよい。太陽電池モジュール41−1乃至41−nが生成する電気は直流であり、インバータ(直交変換装置)42によって直流から交流に変換され、その交流の電気は昇圧器43に出力される。
【0020】
昇圧器43は、太陽電池モジュール41−1乃至41−nからの交流電力の電圧の高さを電磁誘導を利用して変換する。特に、昇圧器43は、太陽電池モジュール41−1乃至41−nからの交流電力の電圧の高さを昇圧する。昇圧された交流電流は、PHS通信端末2本体内のコンバータ44に出力される。コンバータ44は、交流電流を直流電流に変換し、変換後の直流電流を2次電池45に出力する。2次電池45は、直流電流を有する電気を蓄積して繰り返し使用することが可能な電池である。電源回路46は、2次電池45の出力を基に所定の動作電源電圧Vccを生成して各回路部に供給する。
【0021】
ここで、本発明の概念について説明する。物流取引における目的物の現在位置を例えばGPS測位に基づく位置情報を用いて管理する場合、輸送車両(物流機器)あるいは貨物などの追跡対象物(目的物)などに、本発明に係る移動体通信端末に適用可能なPHS通信端末2が設けられる。従来においては、このPHS通信端末2を駆動するための電源には乾電池が用いられる。そのため、1ヶ月程度に1回、PHS通信端末2に格納される乾電池を新たな乾電池と交換する必要がある。特に、複数の追跡対象物(目的物)を追跡するために複数のPHS通信端末2が用いられる場合には、たとえ1ヶ月程度に1回の乾電池の交換作業もユーザにとって負担となりうる。例えば100個の移動体通信端末が目的物の追跡に用いられる場合、1ヶ月程度に1回、ユーザは100回分の乾電池の交換作業を行う必要がある。勿論、追跡対象物(目的物)を追跡するために用いられるPHS通信端末2を駆動するための電源として2次電池が使用されることも考えられるが、たとえ2次電池であったとしても、乾電池の場合と同様に、充電後からいずれかの時間が経過した段階で、ユーザの手作業により再度充電する必要が生じてしまう。
【0022】
そこで、本実施形態においては、そもそも追跡対象物が物流取引などに伴って屋外を常時移動するものであることに着目し、屋外においてPHS通信端末2が照射される太陽光のエネルギーを用いてPHS通信端末2内の2次電池45を適宜充電する。例えば図4が示すように、PHS通信端末2が、地点Aから地点Bまで屋外で移動する場合を想定する。例えば地点Aにおいて2次電池45に充電された電力量が最大蓄積電力量に対して70%程度である場合に、PHS通信端末2が地点Aから地点Bに屋外で移動する間に、2次電池45に充電された電力量は、最大蓄積電力量に対して90%程度に充電される。これにより、煩雑な手作業を行うことなく、移動体通信端末に適用可能菜PHS通信端末2を駆動する電源を好適に確保することができる。以下、本実施形態におけるPHS通信端末2の動作について説明する。
【0023】
図5のフリーチャートを参照して、図2のPHS通信端末2における2次電池充電処理について説明する。なお、図5の2次電池充電処理と並行して以下のような位置情報送信処理がPHS通信端末2において実行される。すなわち、PHS通信端末2の制御部34は、GPS受信部39を起動し、GPS衛星4−1乃至4−4からのGPS波(GPS情報)の受信を開始させる。GPS受信部39は、制御部34の制御に従い、GPS衛星4−1乃至4−4からのGPS波(GPS情報)を、GPS用アンテナ38を介して受信する。このGPS情報には、例えばそれぞれのGPS衛星4−1乃至4−4からの発信時刻情報が含まれている。その後、このGPS情報は制御部34に入力される。なお、タイマを用いて定期的にPHS通信端末2に関するGPS測位に基づく位置情報を取得するようにしたが、このような場合に限られず、例えばサーバ7などからの命令(位置情報の取得要求)に従い、PHS通信端末2は、GPS測位に基づく位置情報を取得するようにしてもよい。PHS通信端末2の制御部34のCPUは、常時起床していても良いし、間欠的に起床するようにしてもよい。制御部34のCPUが間欠的に起床する場合、PHS通信端末2において消費される電力を低減することができる。そして、制御部34は、取得されたGPS情報を用いて、PHS通信端末2の現在地を示す位置情報(緯度経度の情報)を計算し、PHS通信端末2の現在地を示す位置情報であるGPS測位に基づく位置情報を求める。このGPS測位に基づく位置情報には、例えば「E122.23.98-N34.32.23 34」などの経度緯度に関する情報が含まれている。制御部34は、基地局3との無線接続が確立されると、無線送受信部32と信号処理部33を制御し、取得されたGPS測位に基づく位置情報をPHS網5やネットワーク6などを介してサーバ7に送信させる。
【0024】
このような位置情報送信処理が並列的に実行される状況下でまず、ステップS1において、太陽電池モジュール41−1乃至41−nは、太陽から放射される太陽光を受け、光エネルギーを電力に変換して電気を生成する。ステップS2において、インバータ(直交変換装置)42は、太陽電池モジュール41−1乃至41−nによって生成された直流を交流に変換し、その交流の電気を昇圧器43に出力する。ステップS3において、昇圧器43は、太陽電池モジュール41−1乃至41−nからの交流電力の電圧の高さを昇圧する。ステップS4において、コンバータ44は、交流電流を直流電流に変換し、変換後の直流電流を2次電池45に出力する。ステップS5において、2次電池45は、コンバータ44を経由して供給される太陽電池モジュール41−1乃至41−nからの電力を順次蓄積する。なお、2次電池45に太陽電池モジュール41−1乃至41−nからの電力を蓄積(充電)する場合、図示せぬ充電回路を用いて充電する。
【0025】
本発明の実施形態においては、移動体通信端末に適用可能なPHS通信端末は、追跡対象物に設けられる移動体通信端末の位置に関する位置情報を取得し、位置情報を管理する情報管理装置に、ネットワークを介して位置情報を送信し、1はたは複数の太陽電池モジュールは移動体通信端末に照射される光のエネルギーを電力に変換し、2次電池は移動体通信端末の各部に供給される電力を蓄積し、太陽電池モジュールによって変換される電力を蓄積する。
【0026】
これにより、追跡対象物の移動に伴うPHS通信端末2の移動に応じてPHS通信端末2の2次電池45を充電することができ、ユーザによる煩雑な手作業を行うことなく、移動体通信端末に適用可能菜PHS通信端末2を駆動する電源を好適に確保することができる。特に、PHS通信端末2の制御部34のCPUが常時起床している場合には、PHS通信端末2における消費電力は、制御部34のCPUが間欠的に起床する場合に比べて(CPUが間欠動作する場合に比べて)多くなるが、たとえこのような場合であっても、太陽電池モジュール41−1乃至41−nにより適宜生成される電気によって2次電池45は充電されるため、従来のようにユーザが2次電池45を自ら充電する必要がなくなる。
【0027】
なお、図1乃至図5の場合、本発明に係る移動体通信端末に適用可能なPHS通信端末2は、GPS受信部39を用いてGPS波を受信し、受信されたGPS波に基づいてPHS通信端末2に関する位置情報を求めてサーバ7に送信するようにしたが、このような場合に限られず、例えばPHS通信端末2は、PHS通信端末2の周辺に存在する基地局3からの受信する信号の電界強度を測定し、その測定結果を基地局を識別するための基地局IDとともに位置計算サーバに送信し、位置計算サーバにてPHS通信端末2の位置を算出するようにしてもよい。この場合における情報処理システム1は、図6に示される。
【0028】
図6は、情報処理システム1の全体の他の構成を表している。PHS通信端末2は、PHS通信端末2と送受信可能な複数(例えば10乃至20箇所程度でもよいし、あるいは10箇所以下でもよい)の基地局3に関する基地局情報(基地局3を識別するための基地局IDなど)を保持しており、また、PHS通信端末3と送受信可能な複数の基地局3からの電波の電界強度に関する情報を保持し、保持される基地局情報と電界強度に関する情報をPHS網5に対して基地局3を介して送信する。PHS網5には、PHS回線を制御するためのPHS回線制御サーバ(図示せず)を介して、PHS通信端末2から適宜送信されるPHS通信端末2に関する位置情報を管理する位置計算サーバ101が接続される。位置計算サーバ101は、PHS通信端末2からをPHS網5を介して受信し、受信されたこれらの情報に基づいて、位置計算サーバ101内の基地局位置データベースを参照して基地局IDによるマッチングをしてPHS通信端末2の周囲の基地局3を特定するとともに、位置計算サーバ101内の測位アルゴリズム(測定アルゴリズム)に関するプログラムを実行して移動体通信端末としてのPHS通信端末2の位置を計算する。
【0029】
位置計算サーバ101には、ネットワーク6が接続される。なお、ネットワーク6には、PHS通信端末2の位置の検出を所望するユーザが管理するパーソナルコンピュータが接続されており、位置計算サーバ101は、例えばパーソナルコンピュータからの取得要求(リクエスト)をネットワーク6を介して受信すると、PHS通信端末2の位置に関する計算結果をパーソナルコンピュータにネットワーク6を介して送信する。
【0030】
ここで、図6におけるPHS通信端末2の構成については、図7に示される。図7の構成は図2の構成と基本的に同様であるが、PHS通信端末2はさらにRSSI測定部102を有する。そして、信号処理部33は、復調処理後の受信結果から、PHS通信端末2の周囲に存在する基地局3を識別するための基地局ID(基地局識別情報)を検出し、検出された基地局IDを制御部34に出力する。RSSI測定部102は、無線送受信部32が基地局3から受信する信号の電界強度を測定し、測定された受信信号のRSSI値(受信信号の電界強度を示す値)に関する情報を制御部34に出力する。
【0031】
なお、図3乃至図5を用いて説明した構成および処理に関しては基本的には同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。また、PHS通信端末2がサーバ7または位置計算サーバ101に送信するGPS測位に基づく位置情報またはPHS通信端末2の周辺の基地局情報および電界強度に関する情報を、「PHS通信端末2に関する位置情報」と定義する。また、PHS通信端末2の周辺の基地局情報および電界強度に関する情報を合わせて「基地局に関する情報」と定義する。
【0032】
ここで、図8のフローチャートを参照して、図7のPHS通信端末2における位置情情報送信処理について説明する。なお、図8の位置情報送信処理の場合、PHS通信端末2の制御部34のCPUは、PHS通信端末2が追跡対象物に取り付けられた後、常時起床してPHS通信端末2に関する位置情報を位置計算サーバ101に送信する常時起床状態にあってもよいし、間欠動作状態にあってもよい。なお、「間欠動作」とは、省電力化を図るために、基地局から送出される信号を必要なときだけCPUを起動させて無線送受信部32および信号処理部33を用いて受信する動作を意味し、CPUの状態が間欠動作状態となると、CPUは所定の間欠周期でスリープ状態から復帰して起床し、所定の処理だけを実行した後、再びスリープ状態に移行する。
【0033】
ステップS51において、制御部34のCPUは、直近にて位置情報送信処理が終了してから予め設定された所定の時間(例えば10分間など)が経過したか否かを判定し、直近にて位置情報送信処理が終了してから予め設定された所定の時間が経過したと判定するまで待機する。ステップS51において制御部34が直近にて位置情報送信処理が終了してから予め設定された所定の時間が経過したと判定した場合、制御部34はステップS52で、無線送受信部32およびRSSI測定部102を制御し、PHS通信端末2の周辺の基地局3(PHS通信端末2が信号を送受信可能な基地局3であり、待ち受けしている基地局3以外の他の複数の基地局3であっても信号が送受信可能であれば含まれる)からの所定の周波数のRSSI値を測定する。すなわち、制御部34は、PHSの通信周波数帯域に存在するキャリア周波数を無線送受信部32に順次割り当て、割り当てられたキャリア周波数を有する信号を無線送受信部32に順次受信させる。無線送受信部32は、制御部34によって割り当てられたキャリア周波数を有する信号を順次受信し、受信信号をRSSI測定部102に出力する。RSSI測定部102は、無線送受信部32からの各周波数の受信信号に関するRSSI値(受信信号の電界強度を示す値)を測定し、測定されたRSSI値に関する情報を制御部34に出力する。また、このとき、無線送受信部32が割り当てられたキャリア周波数を有する信号を受信する場合に、無線送受信部32は、PHS網5に接続される基地局3からの制御チャネル情報を含む信号を受信し、受信された制御チャネル情報を含む信号に対して復調処理を施し、復調処理後の受信結果を制御部34に出力する。制御部34は、受信結果に含まれる制御チャネル情報に基づいて、受信信号がPHS網5に接続される基地局3からの信号であると認識する。
【0034】
ステップS53において、信号処理部33は、制御部34の位置情報送信制御部51の制御に従い、復調処理後の受信結果に対して所定の信号処理を施し、受信結果に含まれる制御チャネル情報から、PHS通信端末2の周囲に存在する基地局3を識別するための基地局ID(基地局識別情報)を順次検出し、検出された基地局IDを順次制御部34に出力する。なお、ステップS52とステップS53の処理は本実施系において時系列的に記載しているが、基本的には並列的な処理である。
【0035】
ステップS54において、制御部34は、ステップS52とステップS53の処理によって順次取得される、PHS通信端末2の周辺の各基地局3からのRSSI値と基地局IDを対応付けて記憶部35に記憶する。図9は、記憶部35に記憶される、PHS通信端末2の周辺の各基地局3からのRSSI値と基地局IDの対応関係を示す対応関係テーブルである。図9が示すように、「基地局ID1」と基地局ID1によって識別される基地局3からの信号のRSSI値「a」とが対応付けられて記憶される。「基地局ID2」と基地局ID1によって識別される基地局3からの信号のRSSI値「b」とが対応付けられて記憶される。その他についても同様である。
【0036】
ステップS55において、制御部34は、記憶部35に記憶される対応関係テーブルを読み出し、無線送受信部32および信号処理部33を制御し、読み出された対応関係テーブルを用いて、PHS通信端末2の周辺の各基地局3からのRSSI値と基地局IDを、PHS通信端末2を識別するための端末識別情報とともに待ち受けている基地局3を介してPHS網5を経由して位置計算サーバ101に送信する。その後、位置計算サーバ101は、以下のような処理を行う。
【0037】
位置計算サーバ101は、PHS通信端末2の周辺の各基地局3からのRSSI値と基地局IDを、PHS通信端末2の端末識別情報とともに受信する。例えば位置計算サーバ101は、図9に示されるような基地局IDとRSSI値とが1対となるデータ群を、PHS通信端末2の端末識別情報とともに受信する。位置計算サーバ101は、PHS通信端末2の端末識別情報に基づいて、位置を検出するPHS通信端末2を特定する。位置計算サーバ101は、測定地点に位置するPHS通信端末2の周辺の各基地局3の基地局IDに基づいて、記憶される基地局位置データベースから、受信された各基地局IDに関する各等値線マップを読み出す。ここで、「等値線マップ」とは、位置計算サーバ101が予め作成する、測定地域内における周辺基地局3からの電波の伝搬特性を示すマップである。
【0038】
位置計算サーバ101は、読み出された各基地局IDにより示される基地局3に関する各等値線マップを重畳する。例えば測定地点に位置するPHS通信端末2の周辺の各基地局3に、基地局ID1乃至基地局ID3により示される基地局3−1乃至3−3が含まれる場合、基地局3−1乃至3−3に関する各等値線マップが重畳される。勿論、位置計算サーバ101は、基地局識別情報により識別される複数の基地局3のうち、PHS通信端末2と通信可能な基地局3からの無線信号に関する電界強度が基準値以上の基地局3に関する複数の等値線マップを重畳するようにしてもよい。位置計算サーバ101は、重畳された等値線マップを用いて、PHS通信端末2の周辺の各基地局3からのRSSI値に基づく各等値線の交点を測定地点候補として抽出する。位置計算サーバ101は、抽出された複数の測定地点候補を用いて、PHS通信端末2が位置する測定地点を決定する。位置計算サーバ101は、決定されたPHS通信端末2の位置の測定結果(経度緯度により表される位置情報)をPHS通信端末2の端末識別情報とともに対応付けて記憶する。
【0039】
このように、GPS受信部39に代わって、基地局に関する情報を用いてPHS通信端末2に関する位置情報を位置計算サーバ101にて算出するようにしたので、PHS通信端末2ではより省電力化を図ることができる。従って、本発明に係る移動体通信端末に適用可能なPHS通信端末2は、PHS通信端末2ではより省電力化を図りつつ、追跡対象物の移動に伴うPHS通信端末2の移動に応じてPHS通信端末2の2次電池45を充電することができ、ユーザによる煩雑な手作業を行うことなく、移動体通信端末に適用可能菜PHS通信端末2を駆動する電源をより好適に確保することができる。
【符号の説明】
【0040】
1…情報処理システム、2…PHS通信端末、3(3−1乃至3−n)…基地局、4(4−1乃至4−4)…GPS衛星、5…PHS網、6…ネットワーク、7…サーバ、31…アンテナ、32…無線送受信部、33…信号処理部、34…制御部、35…記憶部、36…表示部、37…操作部、38…GPS用アンテナ、39…GPS受信部、40…時計回路、41(41−1乃至41−n)…太陽電池モジュール、42…インバータ、43…昇圧器、44…コンバータ、45…2次電池、46…電源回路、101…位置計算サーバ、102…RSSI測定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
追跡対象物に設けられる移動体通信端末の位置に関する位置情報を取得する取得手段と、
前記位置情報を管理する情報管理装置に、ネットワークを介して前記位置情報を送信する送信手段と、
前記移動体通信端末に照射される光のエネルギーを電力に変換する1はたは複数の太陽電池モジュールと、
前記移動体通信端末の各部に供給される電力を蓄積し、前記太陽電池モジュールによって変換される電力を蓄積する2次電池とを備えることを特徴とする移動体通信端末。
【請求項2】
前記2次電池は、追跡対象物の移動に伴って前記移動体通信端末が屋外で移動する場合に前記太陽電池モジュールによって変換される電力を順次蓄積することを特徴とする請求項1に記載の移動体通信端末。
【請求項3】
前記太陽電池モジュールによって変換された直流の電力を交流の電力に変換するインバータと、
前記インバータによって変換された交流の電力の電圧の高さを昇圧する昇圧器と、
前記昇圧器によって昇圧された交流の電力を直流の電力に変換し、変換後の直流の電力を2次電池に出力するコンバータとをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の移動体通信端末。
【請求項4】
予め設定された所定の時間ごとに、または前記情報管理装置からの取得要求に従い、前記取得手段は、前記位置情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の移動体通信端末。
【請求項5】
前記位置情報は、GPS測位に基づく位置情報または基地局に関する情報であることを特徴とする請求項1に記載の移動体通信端末。
【請求項6】
移動体通信端末の各部に供給される電力を蓄積する2次電池と、1はたは複数の太陽電池モジュールとを備え、前記移動体通信端末の位置に関する位置情報を前記位置情報を管理する情報管理装置にネットワークを介して送信する移動体通信端末が有する2次電池の充電方法において、
前記移動体通信端末に照射される光のエネルギーを1はたは複数の太陽電池モジュールによって電力に変換し、
追跡対象物の移動に伴って前記移動体通信端末が屋外で移動する場合に前記太陽電池モジュールによって変換される電力を前記2次電池に順次蓄積することを特徴とする移動体通信端末が有する2次電池の充電方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−211305(P2011−211305A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74626(P2010−74626)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(502369573)ユーピーアール株式会社 (9)
【Fターム(参考)】