説明

移動体通信端末

【課題】新たなサービスを拡張することができる移動体通信端末及び狭域通信システムを得ることを目的とする。
【解決手段】外部装置に搭載されているアプリケーションが利用可能なデータの種別を示す種別情報を登録または削除する種別情報登録部11を設け、その種別情報登録部11に登録されている種別情報を基地局装置1に送信して、その基地局装置1から外部装置に搭載されているアプリケーションが利用可能なデータを受信し、そのデータを外部装置に転送するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基地局装置からデータを受信して外部装置に転送する移動体通信端末と、アプリケーションが利用可能なデータを送信する基地局装置と、その移動体通信端末と基地局装置が狭域通信を実施する狭域通信システムとに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の狭域通信システムでは、移動体に搭載されている移動局が基地局の通信領域内に進入すると、移動局と基地局が無線通信を実施して、例えば、有料道路の通行料金を自動的に収受するための情報を送受信する。
なお、移動局には、基地局と無線通信を実施して、所定の情報の送受信を可能にするアプリケーションが予め搭載されている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】三菱重工技報 Vol.40 No.3 第184頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の狭域通信システムは以上のように構成されているので、予め移動局にアプリケーションを搭載していれば、基地局と無線通信を実施することにより、所定のサービスを享受することができるようになる。しかし、新たなアプリケーションの追加や搭載アプリケーションの削除を許容する構成がなされていないため、新たなサービスを拡張や所定のサービスを停止することができないなどの課題があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、新たなサービスを拡張することや所定のサービスを停止することができる移動体通信端末を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る移動体通信端末は、少なくとも1つ以上の外部装置が接続され、利用可能な種別情報を基地局装置に送信して、その基地局装置から上記外部装置に搭載されているアプリケーションが利用可能なデータを受信する無線通信手段と、上記無線通信手段により受信されたデータを上記外部装置に転送するデータ転送手段とを備えたものであって、上記外部装置に搭載されているアプリケーションが利用可能なデータの種別を示す識別情報を追加もしくは削除する登録手段を備え、上記データ転送手段は、上記無線通信手段が上記基地局装置から繰り返し送信された同一のデータを複数回受信しても、1回だけ当該データを上記外部装置に転送し、上記登録手段は、上記外部装置に搭載されたアプリケーションが利用可能な識別情報として、上記アプリケーションを示すアプリケーション識別情報と上記アプリケーションが利用可能なコンテンツ識別情報とを追加もしくは削除するように構成したものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、外部装置に搭載されているアプリケーションが利用可能なデータの種別を示す識別情報を追加もしくは削除する登録手段を備え、上記データ転送手段は、上記無線通信手段が上記基地局装置から繰り返し送信された同一のデータを複数回受信しても、1回だけ当該データを上記外部装置に転送し、上記登録手段は、上記外部装置に搭載されたアプリケーションが利用可能な識別情報として、上記アプリケーションを示すアプリケーション識別情報と上記アプリケーションが利用可能なコンテンツ識別情報とを追加もしくは削除するように構成したので、基地局装置が狭域通信領域内の移動体通信端末に対してデータを周期的に同報通信する場合でも、同一のデータを複数回外部装置に転送することなく、1回だけの転送で済むようにできるとともに、登録手段に種別情報を新たに登録すれば、移動体通信端末にアプリケーションを追加することなく、新たなサービスを拡張することができる効果がある。同様に登録手段に既に登録されている種別情報を削除すれば、所定のサービスを停止することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1による狭域通信システムを示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による移動体通信端末を示す構成図である。
【図3】この発明の実施の形態1による基地局装置を示す構成図である。
【図4】この発明の実施の形態1による外部装置を示す構成図である。
【図5】外部装置に搭載されているアプリケーションを識別する識別子を示す説明図である。
【図6】データの種別を識別する識別子を示す説明図(その1)である。
【図7】データの種別を識別する識別子を示す説明図(その2)である。
【図8】この発明の実施の形態1による移動体通信端末の処理内容を示すフローチャートである。
【図9】移動体通信端末と基地局装置間のデータ配信手順を示すシーケンス図である。
【図10】移動体通信端末と基地局装置間のデータ配信手順を示すシーケンス図である。
【図11】種別情報に含まれている情報を示す説明図である。
【図12】基地局装置が送信するデータのデータ構造を示す説明図である。
【図13】基地局装置が送信するデータのデータ構造を示す説明図である。
【図14】基地局装置が送信するデータのデータ構造を示す説明図である。
【図15】移動体通信端末と基地局装置間のデータ配信手順を示すシーケンス図である。
【図16】移動体通信端末と基地局装置間のデータ配信手順を示すシーケンス図である。
【図17】移動体通信端末と基地局装置間のデータ配信手順を示すシーケンス図である。
【図18】再実行要求のデータ構造を示す説明図である。
【図19】移動体通信端末と基地局装置間のデータ配信手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による狭域通信システムを示す構成図であり、図において、基地局装置1は移動体通信端末2と狭域通信を実施して、外部装置に搭載されているアプリケーションが利用可能なデータの種別を示す種別情報を受信すると、その種別情報を参照して、アプリケーションが利用可能なデータを特定し、そのデータを移動体通信端末2に送信する。
移動体通信端末2は例えば車両や人間などの移動体に搭載されている機器(例えば、ETC機器、携帯電話、モバイルPC)であり、移動体通信端末2は基地局装置1の狭域通信領域内に進入すると、予め登録している種別情報を基地局装置1に送信して、その基地局装置1からデータを受信し、そのデータを外部装置に転送する。
【0010】
外部装置である多機能応用装置4はネットワーク3を介して移動体通信端末2と接続され、移動体通信端末2から送信されたデータ(例えば、映像データ、テキストデータ)を受信すると、そのデータにしたがって映像の表示やテキストの表示などを実施する。外部装置である音再生装置5はネットワーク3を介して移動体通信端末2と接続され、移動体通信端末2から送信されたデータ(例えば、音声データ)を受信すると、そのデータにしたがって音声を再生する。
【0011】
外部装置である文字音声変換装置6はネットワーク3を介して移動体通信端末2と接続され、移動体通信端末2から送信されたデータ(例えば、文字データ)を受信すると、そのデータを音声データに変換するなどの処理を実施する。外部装置である交通データ解析装置7はネットワーク3を介して移動体通信端末2と接続され、移動体通信端末2から送信されたデータ(例えば、交通データ)を受信すると、例えば、そのデータを解析するなどの処理を実施する。地図案内装置8は交通データ解析装置7の解析結果を表示するなどの処理を実施する。
なお、図1では、移動体通信端末2が移動体に搭載されているが、多機能応用装置4、音再生装置5、文字音声変換装置6、交通データ解析装置7及び地図案内装置8は移動体に全て搭載されているように図示しているが、外部装置である4〜8は一部のみ搭載された構成も可能である。
【0012】
図2はこの発明の実施の形態1による移動体通信端末を示す構成図であり、図において、種別情報登録部11は例えば多機能応用装置4や音再生装置5などの外部装置に搭載されているアプリケーションが利用可能なデータの種別を示す種別情報の登録を受け付ける機能を備えており、例えば外部IF通信制御部17が多機能応用装置4から送信された種別情報を受信すると、その種別情報を格納する。なお、種別情報登録部11は登録手段を構成している。
【0013】
アプリケーションメモリ12はアプリ実行部13が実行するアプリケーション(例えば、メモリ読出/書込アプリケーション、ID通知アプリケーション、決済アプリケーション、PUSH受信アプリケーション)を格納している。
アプリ実行部13は情報処理機能を有するCPUなどから構成され、例えばアプリケーションメモリ12に格納されているPUSH受信アプリケーションを実行することにより、種別情報登録部11に登録されている種別情報の送信要求を無線通信制御部14に出力し、無線部15が基地局装置1から送信されたデータを受信すると、そのデータをバッファメモリ16に格納する処理を実施する。また、バッファメモリ16に格納したデータの転送要求を外部IF通信制御部17に出力するなどの処理も実施する。
【0014】
無線通信制御部14はアプリ実行部13の指示の下、無線部15を制御する。無線部15は基地局装置1と狭域通信を実施する無線通信機やアンテナから構成され、例えば、種別情報を無線信号である電波に変調して基地局装置1に送信する一方、基地局装置1から送信された電波を受信して、その電波をデータに復調するなどの処理を実施する。なお、アプリ実行部13、無線通信制御部14及び無線部15から無線通信手段が構成されている。
バッファメモリ16は無線部15により受信されたデータを保存するデータ保存手段を構成している。
【0015】
外部IF通信制御部17はネットワーク3に接続して、例えば多機能応用装置4などの外部装置と情報を送受信するインタフェース機能を備えており、例えば多機能応用装置4などの外部装置から送信された種別情報を受信すると、その種別情報を種別情報登録部11に格納する一方、アプリ実行部13からデータの転送要求を受けると、バッファメモリ16に格納されているデータを例えば多機能応用装置4などの外部装置に転送する処理を実施する。なお、アプリ実行部13及び外部IF通信制御部17からデータ転送手段が構成されている。
【0016】
図3はこの発明の実施の形態1による基地局装置を示す構成図であり、図において、コンテンツサーバ21は各種のアプリケーションに対応するコンテンツのデータを保存している。無線通信部22は移動体通信端末2と狭域通信を実施する無線通信機やアンテナなどから構成されている。
無線通信部22の種別情報受信部23は移動体通信端末2から送信された種別情報の受信処理を実施する。なお、種別情報受信部23は種別情報受信手段を構成している。
【0017】
データ特定部24は種別情報受信部23により受信された種別情報を参照して、コンテンツサーバ21に保存されているデータの中から、アプリケーションが利用可能なデータを検索してデータ送信部25に出力する。なお、データ特定部24はデータ特定手段を構成している。
無線通信部22のデータ送信部25はデータ特定部24から出力されたデータを移動体通信端末2に送信する処理を実施する。なお、データ送信部25はデータ送信手段を構成している。
【0018】
図4はこの発明の実施の形態1による外部装置を示す構成図である。ただし、図4の例では、多機能応用装置4の内部構成を示しているが、内蔵しているアプリケーション以外は、他の外部装置(音再生装置5、文字音声変換装置6、交通データ解析装置7)も概ね同様である。あるいは、一部の機能が省略されている。
図において、アプリ記憶部31はアプリ実行部36が実行するアプリケーションを記憶しているメモリである。マンマシンインタフェース部32はユーザの操作を受け付けるマウスやキーボードなどのインタフェースである。
【0019】
アプリ入力部34は例えばディスクドライブなどから構成され、新たなサービスを拡張する際、CD−ROMやDVD−ROMなどのディスク33から新たなアプリケーションを読み込み、そのアプリケーションをアプリ記憶部31に格納する処理を実施する。
外部IF通信制御部35はネットワーク3に接続して、アプリ記憶部31に記憶されているアプリケーションが利用可能なデータの種別を示す種別情報を移動体通信端末2に送信する一方、移動体通信端末2から送信されたデータを受信する処理を実施する。
【0020】
アプリ実行部36は情報処理機能を有するCPUなどから構成され、アプリ記憶部31に記憶されているアプリケーションを実行することにより、外部IF通信制御部35により受信されたデータにしたがって映像の表示やテキストの表示などを実施する。ディスプレイ37はアプリ実行部36の実行結果を表示する表示装置である。音声再生部38はスピーカなどから構成され、例えば音声などを再生する。
【0021】
図5は外部装置(例えば、多機能応用装置4のアプリ記憶部31)に搭載されているアプリケーションを識別する識別子を示す説明図であり、図6及び図7はデータの種別を識別する識別子を示す説明図である。なお、データの種別は、圧縮方法やフォーマットタイプ(例えば、jpeg、tiff、wav、mp3)などから分類される。
図8はこの発明の実施の形態1による移動体通信端末の処理内容を示すフローチャートであり、図9は移動体通信端末と基地局装置間のデータ配信手順を示すシーケンス図である。
【0022】
次に動作について説明する。
外部装置である多機能応用装置4のアプリ記憶部31には、例えば、映像表示アプリなどのアプリケーションが予め記憶されている。
これにより、多機能応用装置4の外部IF通信制御部35が移動体通信端末2から映像データを受信すれば、アプリ実行部36が映像表示アプリを実行することにより、映像をディスプレイ37に表示するサービスを提供することができる。
【0023】
しかし、ユーザが映像を表示するサービスの他に、例えば、文字データを音声データに変換して音声を再生するサービスの追加を希望する場合、このようなサービスを提供する文字音声変換アプリを多機能応用装置4に追加する必要がある。
そこで、ユーザは、多機能応用装置4のマンマシンインタフェース部32を操作して、アプリケーションの追加要求を入力し、文字音声変換アプリを記憶しているディスク33をアプリ入力部34に挿入する。
【0024】
多機能応用装置4のアプリ入力部34は、マンマシンインタフェース部32からアプリケーションの追加要求が入力され、ディスク33が挿入されると、そのディスク33に記憶されている文字音声変換アプリを読み込み、その文字音声変換アプリをアプリ記憶部31に格納する。
ここでは、ディスク33に記憶されている文字音声変換アプリを読み込んで、その文字音声変換アプリをアプリ記憶部31に格納するものについて示したが、例えば、インターネットに接続されているサイトなどから、その文字音声変換アプリをダウンロードしてアプリ記憶部31に格納するようにしてもよい。
【0025】
多機能応用装置4のアプリ実行部36は、新たなアプリケーションがアプリ記憶部31に格納されると、新たなアプリケーションに付加されている識別子を参照して、新たなアプリケーションが如何なるアプリケーションであるかを特定する。
図5の例では、文字音声変換アプリの識別子は“tts”であり、その値は“0x05”である。
【0026】
また、多機能応用装置4のアプリ実行部36は、新たなアプリケーションが文字音声変換アプリであることを特定すると、例えば、アプリケーションとデータの対応関係を示す一覧表を参照して、その文字音声変換アプリが利用可能なデータの種別を特定する。
あるいは、新たなアプリケーションである文字音声変換アプリに付加されている識別子を参照して、その文字音声変換アプリが利用可能なデータの種別を特定する。
なお、文字音声変換アプリが利用可能なデータの種別の特定方法は、これに限るものではなく、例えば、文字音声変換アプリの識別子を他の検索装置に送信して、他の検索装置から利用可能なデータの種別を通知してもらうようにしてもよい。
ここでは、説明の便宜上、文字音声変換アプリが利用可能なデータの種別は、コンテンツタイプが“text/*”のデータであるとする(図6を参照)。
【0027】
多機能応用装置4の外部IF通信制御部35は、アプリ実行部36により文字音声変換アプリが利用可能なデータの種別が“text/*”のデータであると特定されると、ネットワーク3に接続して、文字音声変換アプリが利用可能なデータの種別を示す種別情報を移動体通信端末2に送信する。
移動体通信端末2の種別情報登録部11は、外部IF通信制御部17が多機能応用装置4から送信された種別情報を受信すると、その種別情報の登録を受け付けて格納する(ステップST1)。
なお、種別情報登録部11は、種別情報を登録する際、その種別情報の送信元の外部装置が分かるようにするため、例えば、その種別情報に送信元の外部装置のIDを付加して登録する。
【0028】
移動体通信端末2の無線部15は、無線通信制御部14の指示の下、基地局装置1から送信されるパイロット信号などの電波を常時監視し、移動体通信端末2が基地局装置1の狭域通信領域内に進入して、基地局装置1から送信される電波を受信すると(ステップST2)、その旨を無線通信制御部14に通知する。
移動体通信端末2の無線通信制御部14は、無線部15から電波の受信通知を受けると、無線部15から無線接続用の情報を基地局装置1に送信させて、基地局装置1と無線接続(DSRC接続)を確立する(ステップST3)。
【0029】
移動体通信端末2のアプリ実行部13は、基地局装置1と無線接続が確立すると、アプリケーションメモリ12に格納されているPUSH受信アプリケーションを実行することにより、種別情報登録部11に登録されている種別情報の送信要求を無線通信制御部14に出力する。
移動体通信端末2の無線通信制御部14は、アプリ実行部13から種別情報の送信要求を受けると、図9示すように、無線部15から種別情報登録部11に登録されている種別情報を基地局装置1に送信させる(ステップST4)。
例えば、多機能応用装置4のアプリ記憶部31に映像表示アプリと文字音声変換アプリが記憶されていれば、映像表示アプリと文字音声変換アプリが利用可能なデータの種別を示す種別情報を送信する。
【0030】
基地局装置1の種別情報受信部23は、移動体通信端末2から送信された種別情報の受信処理を実施する。
基地局装置1のデータ特定部24は、種別情報受信部23が種別情報を受信すると、その種別情報を参照して、コンテンツサーバ21に保存されているデータの中から、アプリケーションが利用可能なデータを検索してデータ送信部25に出力する。
例えば、映像表示アプリと文字音声変換アプリが利用可能なデータを検索してデータ送信部25に出力する。
基地局装置1のデータ送信部25は、データ特定部24からデータを受けると、図9に示すように、そのデータを移動体通信端末2に送信する処理を実施する。
【0031】
移動体通信端末2のアプリ実行部13は、無線部15が基地局装置1から送信されたデータを受信すると、そのデータを一時的にバッファメモリ16に格納する(ステップST5)。
移動体通信端末2のアプリ実行部13は、バッファメモリ16に対するデータの格納が完了すると、バッファメモリ16に格納したデータの転送要求を外部IF通信制御部17に出力する。
【0032】
移動体通信端末2の外部IF通信制御部17は、アプリ実行部13からデータの転送要求を受けると、種別情報登録部11に登録されている種別情報を参照して、そのデータの送信先を特定する。
そして、外部IF通信制御部17は、データの送信先が例えば多機能応用装置4であると特定すると、ネットワーク3に接続して、バッファメモリ16に格納されているデータを多機能応用装置4に転送する(ステップST6)。
【0033】
多機能応用装置4の外部IF通信制御部35は、移動体通信端末2から送信されたデータの受信処理を実施する。
多機能応用装置4のアプリ実行部36は、外部IF通信制御部35が移動体通信端末2から送信されたデータを受信すると、そのデータを利用するアプリケーション(例えば、映像表示アプリ、文字音声変換アプリ)を実行する。
【0034】
以上で明らかなように、この実施の形態1の移動体通信端末2は、外部装置に搭載されているアプリケーションが利用可能なデータの種別を示す種別情報を登録する登録手段と、その登録手段に登録されている種別情報を基地局装置1に送信して、その基地局装置1から外部装置に搭載されているアプリケーションが利用可能なデータを受信する無線通信手段と、その無線通信手段により受信されたデータを外部装置に転送するデータ転送手段とを備えたことを特徴としている。
この実施の形態1によれば、外部装置に搭載されているアプリケーションが利用可能なデータの種別を示す種別情報を追加または削除する種別情報登録部11を設け、その種別情報登録部11に登録されている種別情報を基地局装置1に送信して、その基地局装置1から外部装置に搭載されているアプリケーションが利用可能なデータを受信し、そのデータを外部装置に転送するように構成したので、種別情報登録部11に新たな種別情報を登録すれば、移動体通信端末2にアプリケーションを追加することなく、新たなサービスを拡張することができる効果を奏する。
【0035】
また、この実施の形態1の基地局装置1は、移動体通信端末2からアプリケーションが利用可能なデータの種別を示す種別情報を受信する種別情報受信手段と、その種別情報受信手段により受信された種別情報を参照して、アプリケーションが利用可能なデータを特定するデータ特定手段と、そのデータ特定手段により特定されたデータを移動体通信端末2に送信するデータ送信手段とを備えたことを特徴としている。
この実施の形態1によれば、基地局装置1が移動体通信端末2からアプリケーションが利用可能なデータの種別を示す種別情報を受信すると、その種別情報を参照して、アプリケーションが利用可能なデータを特定し、そのデータを移動体通信端末2に送信するように構成したので、外部装置に搭載されているアプリケーションに対応するデータを配信することができる効果を奏する。
【0036】
なお、この実施の形態1では、移動体通信端末2が種別情報を基地局装置1に送信して、移動体通信端末2が基地局装置1からデータを受信するものについて示したが、図10に示すように、移動体通信端末2が基地局装置1からデータを受信すると、そのデータを正常に受信したことを示す確認応答を基地局装置1に返送するようにしてもよい。
また、この実施の形態1では、外部装置である多機能応用装置4にアプリケーションを追加するものについて示したが、これに限るものではなく、他の外部装置である音再生装置5、文字音声変換装置6及び交通データ解析装置7にアプリケーションを追加もしくはアプリケーションを搭載した新たな外部装置をネットワーク3に追加接続してもよい。
【0037】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、外部IF通信制御部17が多機能応用装置4から送信された種別情報を受信すると、種別情報登録部11が種別情報の登録を受け付けて格納するものについて示したが、種別情報登録部11が種別情報の入力を受け付けるマンマシンインタフェース機能(例えば、マウス、キーボード、タッチパネル)を搭載していれば、ユーザがマンマシンインタフェース機能を操作して種別情報を入力または変更したとき、種別情報登録部11がその種別情報を登録または削除するようにしてもよい。
この場合、移動体通信端末2が外部装置から種別情報を受信する受信処理を実施することなく、種別情報を登録または削除することができる効果を奏する。
【0038】
実施の形態3.
上記実施の形態1,2では、アプリケーションが利用可能なデータの種別を示す種別情報を種別情報登録部11に登録または削除するものについて示したが、アプリケーションが利用可能なデータの種別の他に、受信可能なデータサイズなどを含む種別情報を種別情報登録部11に登録し、移動体通信端末2から種別情報登録部11に登録されている種別情報を基地局装置1に送信するようにしてもよい。
この際、基地局装置1のデータ送信手段は、種別情報受信手段により受信された種別情報に受信可能なデータサイズが含まれている場合、その受信可能なデータサイズとデータ特定手段により特定されたデータのデータサイズを比較し、そのデータのデータサイズが受信可能なデータサイズより大きければ、そのデータを受信可能なデータサイズ以下に分割して移動体通信端末2に送信する。
【0039】
具体的には、図11に示すように、受信可能なアプリケーションの種別、受信可能なコンテンツ(データ)の種別、バッファメモリ16のバッファサイズ、受信可能なコンテンツ(データ)の最大サイズ、補足情報など含む種別情報(ClientInformation)を移動体通信端末2の種別情報登録部11に登録する。
【0040】
基地局装置1のデータ特定部24は、種別情報受信部23が移動体通信端末2から種別情報を受信すると、上記実施の形態1と同様にして、コンテンツサーバ21に保存されているデータの中から、アプリケーションが利用可能なデータを検索するが、その際、種別情報に含まれているコンテンツ(データ)の最大サイズを超えていないデータであることを条件とする。
また、コンテンツ(データ)の最大サイズを超えていないデータであっても、そのデータのデータサイズがバッファメモリ16のバッファサイズを越えている場合、移動体通信端末2におけるデータの受信時にオーバーフローが発生する。
【0041】
そこで、基地局装置1のデータ送信部25は、データ特定部24により検索されたデータを受けると、そのデータのデータサイズと種別情報に含まれているバッファメモリ16のバッファサイズを比較し、そのデータのデータサイズがバッファメモリ16のバッファサイズより大きければ、そのデータをバッファメモリ16のバッファサイズ以下に分割して移動体通信端末2に送信する。
図12から図14は基地局装置が送信するデータのデータ構造を示す説明図であり、図から明らかなように、基地局装置1から送信されるデータには、分割して転送しているか否かを示す情報などが含まれている。
なお、図12は移動体通信端末2から確認応答が返信されない場合のデータ構造(図9に対応)、図13は移動体通信端末2から確認応答が返信される場合のデータ構造(図10に対応)、図14はデータが分割された場合のデータ構造を示している。
【0042】
移動体通信端末2のアプリ実行部13は、無線部15が基地局装置1から送信されたデータを受信すると、上記実施の形態1と同様に、そのデータを一時的にバッファメモリ16に格納する。
しかし、アプリ実行部13は、そのデータが分割して転送されたものである場合、外部IF通信制御部17がバッファメモリ16に格納されているデータを多機能応用装置4に転送したことを確認してから、図15に示すように、そのデータを正常に受信したことを示す確認応答の送信要求を無線通信制御部14に出力することにより、その確認応答を基地局装置1に返送する。
【0043】
基地局装置1のデータ送信部25は、移動体通信端末2から確認応答を受信すると、未送信分の分割データが残っていれば、そのデータを移動体通信端末2に送信する。
基地局装置1と移動体通信端末2間のデータ伝送は、すべての分割データの送信が完了するまで繰り返し実施される。
【0044】
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、アプリケーションが利用可能なデータの種別の他に、受信可能なデータサイズなどを含む種別情報を種別情報登録部11に登録し、移動体通信端末2から種別情報登録部11に登録されている種別情報を基地局装置1に送信するように構成したので、送信対象のデータのデータサイズがバッファメモリ16のバッファサイズより大きい場合でも、バッファメモリ16におけるデータ受信時のオーバーフローの発生を防止することができる効果を奏する。
【0045】
実施の形態4.
上記実施の形態1では、移動体通信端末2が基地局装置1からデータを受信すると、そのデータを正常に受信したことを示す確認応答を基地局装置1に返送するものについて示したが、この実施の形態4では、移動体通信端末2の無線通信手段が基地局装置1から送信されたデータの受信時、データ転送手段によるデータの転送時、あるいは、外部装置によるデータの利用完了時にデータの確認応答を基地局装置1に送信する。
基地局装置1のデータ送信手段は、複数のデータを移動体通信端末2に送信する場合、その移動体通信端末2から確認応答を受信する毎に、データを1個づつ移動体通信端末2に送信する
即ち、この実施の形態4では、確認応答の返送タイミングが、基地局装置1から送信されたデータの受信時に限るものではなく、例えば、移動体通信端末2が基地局装置1から受信したデータを外部装置に転送した時、あるいは、外部装置が転送されたデータにしたがってアプリケーションの実行を完了した時に、その確認応答を基地局装置1に返送するようにしてもよい(図16を参照)。
【0046】
基地局装置1のデータ送信部25は、データ特定部24によりアプリケーションが利用可能なデータとして複数のデータが検索された場合、複数のデータを移動体通信端末2に送信する必要があるが、上記のように、基地局装置1から送信されたデータの受信時、外部装置に対するデータの転送時、あるいは、外部装置によるデータの利用完了時に、移動体通信端末2からデータの確認応答を受信すれば、その都度、データを1個づつ移動体通信端末2に送信することができる。
したがって、基地局装置1が複数のデータを移動体通信端末2に送信する場合でも、データの送信順に受信、転送、再生が実施される効果が得られる。
【0047】
実施の形態5.
上記実施の形態1〜4では、特に言及していないが、無線通信手段により受信されたデータを保存するデータ保存手段を設け、データ転送手段は、その無線通信手段が基地局装置1からデータの再実行要求を受信すると、そのデータ保存手段に保存されているデータを外部装置に再転送するようにしてもよい。
即ち、基地局装置1が過去に送信したデータと同一のデータをアプリケーションに提供する必要がある場合、図17に示すように、基地局装置1がデータの再実行要求を移動体通信端末2に送信する。ただし、データの再実行要求には、データの本体が含まれていない。図18は再実行要求のデータ構造を示す説明図である。
【0048】
移動体通信端末2のアプリ実行部13は、無線部15が基地局装置1から送信されたデータの再実行要求を受信すると、バッファメモリ16に既に格納されているデータの再転送要求を外部IF通信制御部17に出力する。
移動体通信端末2の外部IF通信制御部17は、アプリ実行部13からデータの再転送要求を受けると、種別情報登録部11に登録されている種別情報を参照して、そのデータの送信先を特定する。
そして、外部IF通信制御部17は、データの送信先が例えば多機能応用装置4であると特定すると、上記実施の形態1と同様にして、ネットワーク3に接続して、バッファメモリ16に格納されているデータを多機能応用装置4に転送する。
【0049】
以上で明らかなように、この実施の形態5によれば、無線部15により受信されたデータを保存するバッファメモリ16を設け、その後、無線部15が基地局装置1からデータの再実行要求を受信すると、バッファメモリ16に保存されているデータを外部装置に再転送するように構成したので、基地局装置1が同一のデータを繰り返し送信して、移動体通信端末2が同一のデータを繰り返し受信することなく、外部装置が同一のデータにしたがって複数回アプリケーションを実行することができる効果を奏する。
【0050】
実施の形態6.
上記実施の形態1〜5では、移動体通信端末2が基地局装置1の狭域通信領域内に進入して、基地局装置1から送信される電波を受信すると、基地局装置1と無線接続(DSRC接続)を確立して、種別情報やデータの伝送を実施するものについて示したが、基地局装置1が狭域通信領域内の移動体通信端末2に対してデータを周期的に同報通信するようにしてもよい。
【0051】
このように、基地局装置1が狭域通信領域内の移動体通信端末2に対してデータを周期的に同報通信する場合、移動体通信端末2と基地局装置1がDSRC接続を確立することなく(基地局装置1が移動体通信端末2の存在を意識することなく)、同一のデータ(当該データを識別するIDを含む)を複数回送信するので、図19に示すように、移動体通信端末2が基地局装置1の狭域通信領域内の長時間滞在すると、基地局装置1から同一のデータを複数回受信することがある。
【0052】
移動体通信端末2のアプリ実行部13は、無線部15が基地局装置1から送信されたデータを受信すると、そのデータを一時的にバッファメモリ16に格納し、そのデータの転送要求を外部IF通信制御部17に出力する。
しかし、無線部15が基地局装置1から送信されたデータに含まれているIDを確認し、既にバッファメモリ16に格納されているデータのIDと同じである場合には、そのデータを廃棄して、そのデータの転送要求を外部IF通信制御部17に出力しないようにする。
したがって、移動体通信端末2のアプリ実行部13は、無線部15が基地局装置1から同一のデータを複数回受信しても、そのデータの転送要求を複数回出力せず、1回だけになる。
これにより、外部装置には同一のデータが複数回転送されず、1回だけ転送されることになる。
【0053】
以上で明らかなように、この実施の形態6によれば、移動体通信端末2が基地局装置1から繰り返し送信された同一のデータを複数回受信しても、1回だけ当該データを外部装置に転送するように構成したので、基地局装置1が狭域通信領域内の移動体通信端末2に対してデータを周期的に同報通信する場合でも、同一のデータを複数回外部装置に転送することなく、1回だけ転送することができる効果を奏する。
【符号の説明】
【0054】
1 基地局装置、2 移動体通信端末、3 ネットワーク、4 多機能応用装置(外部装置)、5 音再生装置(外部装置)、6 文字音声変換装置(外部装置)、7 交通データ解析装置(外部装置)、8 地図案内装置、11 種別情報登録部(登録手段)、12 アプリケーションメモリ、13 アプリ実行部(無線通信手段、データ転送手段)、14 無線通信制御部(無線通信手段)、15 無線部(無線通信手段)、16 バッファメモリ(データ保存手段)、17 外部IF通信制御部(データ転送手段)、21 コンテンツサーバ、22 無線通信部、23 種別情報受信部(種別情報受信手段)、24 データ特定部(データ特定手段)、25 データ送信部(データ送信手段)、31 アプリ記憶部、32 マンマシンインタフェース部、33 ディスク、34 アプリ入力部、35 外部IF通信制御部、36 アプリ実行部、37 ディスプレイ、38 音声再生部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つ以上の外部装置が接続され、利用可能な種別情報を基地局装置に送信して、その基地局装置から上記外部装置に搭載されているアプリケーションが利用可能なデータを受信する無線通信手段と、上記無線通信手段により受信されたデータを上記外部装置に転送するデータ転送手段とを備えた移動体通信端末において、
上記外部装置に搭載されているアプリケーションが利用可能なデータの種別を示す識別情報を追加もしくは削除する登録手段を備え、
上記データ転送手段は、上記無線通信手段が上記基地局装置から繰り返し送信された同一のデータを複数回受信しても、1回だけ当該データを上記外部装置に転送し、
上記登録手段は、上記外部装置に搭載されたアプリケーションが利用可能な識別情報として、上記アプリケーションを示すアプリケーション識別情報と上記アプリケーションが利用可能なコンテンツ識別情報とを追加もしくは削除することを特徴とする移動体通信端末。
【請求項2】
少なくとも1つ以上の外部装置が接続され、利用可能な種別情報を基地局装置に送信して、その基地局装置から上記外部装置に搭載されているアプリケーションが利用可能なデータを受信する無線通信手段と、上記無線通信手段により受信されたデータを上記外部装置に転送するデータ転送手段とを備えた移動体通信端末において、
上記外部装置に搭載されているアプリケーションが利用可能なデータの種別を示す識別情報を追加もしくは削除する登録手段を備え、
上記データ転送手段は、上記無線通信手段が上記基地局装置から繰り返し送信された同一のデータを複数回受信しても、1回だけ当該データを上記外部装置に転送し、
上記登録手段は、上記外部装置から送信された種別情報を登録することを特徴とする移動体通信端末。
【請求項3】
登録手段は、外部装置から送信された種別情報を登録することを特徴とする請求項1記載の移動体通信端末。
【請求項4】
少なくとも1つ以上の外部装置が接続され、利用可能な種別情報を基地局装置に送信して、その基地局装置から上記外部装置に搭載されているアプリケーションが利用可能なデータを受信する無線通信手段と、上記無線通信手段により受信されたデータを上記外部装置に転送するデータ転送手段とを備えた移動体通信端末において、
上記外部装置に搭載されているアプリケーションが利用可能なデータの種別を示す識別情報を追加もしくは削除する登録手段を備え、
上記データ転送手段は、上記無線通信手段が上記基地局装置から繰り返し送信された同一のデータを複数回受信しても、1回だけ当該データを上記外部装置に転送し、
上記登録手段は、上記種別情報の入力を受け付けるマンマシンインタフェース機能を搭載していることを特徴とする移動体通信端末。
【請求項5】
登録手段は、種別情報の入力を受け付けるマンマシンインタフェース機能を搭載していることを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか1項記載の移動体通信端末。
【請求項6】
登録手段は、外部装置から送信された種別情報を登録する際に送信元の外部装置を示す識別子情報を付与して登録すると共に、
転送手段は、上記識別子情報に基づいて、転送する外部装置を決定することを特徴とする請求項2から5のうちのいずれか1項記載の移動体通信端末。
【請求項7】
少なくとも1つ以上の外部装置が接続され、利用可能な種別情報を基地局装置に送信して、その基地局装置から上記外部装置に搭載されているアプリケーションが利用可能なデータを受信する無線通信手段と、上記無線通信手段により受信されたデータを上記外部装置に転送するデータ転送手段とを備えた移動体通信端末において、
上記外部装置に搭載されているアプリケーションが利用可能なデータの種別を示す識別情報を追加もしくは削除する登録手段を備え、
上記データ転送手段は、上記無線通信手段が上記基地局装置から繰り返し送信された同一のデータを複数回受信しても、1回だけ当該データを上記外部装置に転送することを特徴とする移動体通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−155749(P2012−155749A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−98836(P2012−98836)
【出願日】平成24年4月24日(2012.4.24)
【分割の表示】特願2010−145188(P2010−145188)の分割
【原出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】