説明

移動局及び無線通信システムに使用される方法

【課題】キャリアアグリゲーションが適用される無線通信システムにおいて各種チャネルを同時送信するため、各コンポーネントキャリアに対する移動局の最大送信電力を決定する技術を提供する。
【解決手段】キャリアアグリゲーションを利用する移動局であって、複数のコンポーネントキャリアを用いて当該移動局が同時に送信するよう割り当てられた複数のチャネルを示す制御信号を受信する制御信号受信部と、複数のコンポーネントキャリアに割り当てられた複数のチャネルを送信するための送信電力を算出し、算出された複数のチャネルの送信電力に基づき複数のコンポーネントキャリアを送信するための最大送信電力を算出する最大送信電力算出部とを有し、最大送信電力算出部は、プライマリセルを最も高い優先順位に割り当てたセル優先順位に従って、コンポーネントキャリアのうち優先順位の高いコンポーネントキャリアを送信するための最大送信電力を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に無線通信システムに関し、より詳細には、キャリアアグリゲーション技術を利用する無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)方式では、アップリンク無線アクセス方式として直交周波数分割多重接続(OFDMA:Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式が使用され、ダウンリンク無線アクセス方式としてシングルキャリア周波数分割多重接続(SC−FDMA:Single−Carrier Frequency Division Multiple Access)方式が使用される。
【0003】
OFDMA方式は、周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各サブキャリアによりデータを伝送するマルチキャリア伝送方式である。OFDMA方式によると、サブキャリアを周波数軸上に直交させながら密に配置することによって、高速伝送を実現し、周波数の利用効率を向上させることが可能である。
【0004】
SC−FDMA方式は、周波数帯域を分割し、各移動局に異なる周波数帯域を割当てることによりデータを伝送するシングルキャリア伝送方式である。SC−FDMA方式によると、送信電力の変動を抑えることができるため、移動局の消費電力を低減することが可能である。
【0005】
ところで、現在標準化団体3GPP(3rd Generation Partnership Project)において、LTEの発展型であるLTE−Advanced方式の標準化が進められている。LTE−Advanced方式では、LTE方式とのバックワードコンパチビリティを保持しながら、LTEを上回るスループットを実現するため、キャリアアグリゲーション(CA:Carrier Aggregation)技術が導入される。CAでは、コンポーネントキャリア(CC:Component Carrier)と呼ばれる複数のLTEキャリアを同時に用いて通信が実行される。このため、各CCに割り当てられる送信電力を決定するため、各CCに対する移動局の最大送信電力Pcmax,cが検討されている。
【0006】
また、3GPP Release 10では、複数のCCにおいて各種チャネルを同時送信するための規定が、現在策定されている。具体的には、図1に示されるように、データチャネルであるアップリンク物理共有チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)と、制御チャネルであるアップリンク物理制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)とが同時送信されることが検討されている。さらにPUSCHについては、アップリンク制御情報(UCI:Uplink Control Information)を有するPUSCH(PUSCH w/ UCI)と、UCIを有さないPUSCH(PUSCH w/o UCI)とに細分されて送信されることが検討されている。また、これらのチャネルと共に、チャネル状態を測定するためのアップリンクリファレンス信号であるSRS(Sounding Reference Signal)もまた同時送信することが検討されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】3GPP TS36.101
【非特許文献2】3GPP TS36.213
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、CA技術を用いて複数のCCにより上述したPUCCH、PUSCH及びSRSを同時送信する場合において、各CCに割り当てられる送信電力をどのように決定するかについては検討されていない。このため、複数のCCによりPUCCH、PUSCH及びSRSを同時送信するため、各CCに対して移動局の最大送信電力Pcmax,cを決定するための技術が必要とされる。
【0009】
上記問題点に鑑み、本発明の課題は、CAが適用される無線通信システムにおいて各種チャネルを同時送信するため、各CCに対する移動局の最大送信電力を決定するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の一特徴は、キャリアアグリゲーションを利用する無線通信システムにおいて使用される移動局であって、複数のコンポーネントキャリアを用いて当該移動局が同時に送信するよう割り当てられた複数のチャネルを示す制御信号を受信する制御信号受信部と、前記複数のコンポーネントキャリアに割り当てられた複数のチャネルを送信するための送信電力を算出し、前記算出された複数のチャネルの送信電力に基づき前記複数のコンポーネントキャリアのそれぞれを送信するための最大送信電力を算出する最大送信電力算出部とを有し、前記最大送信電力算出部は、プライマリセルを最も高い優先順位に割り当てた所定のセル優先順位に従って、前記複数のコンポーネントキャリアのうち優先順位の高いコンポーネントキャリアを送信するための送信電力を確保するよう前記最大送信電力を決定する移動局に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、CAが適用される無線通信システムにおいて各種チャネルを同時送信するため、各CCに対する移動局の最大送信電力を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、キャリアアグリゲーションによる各種チャネルのコンポーネントキャリアへの一例となる割当てを示す概略図である。
【図2】図2は、本発明の一実施例による無線通信システムを示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明の一実施例による移動局の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、キャリアアグリゲーションによるSRSのコンポーネントキャリアへの一例となる割当てを示す概略図である。
【図5】図5は、本発明の一実施例による移動局における最大送信電力を決定するための一例となる処理を示すフロー図である。
【図6】図6は、本発明の一実施例による移動局におけるPUCCHの送信電力を決定するための一例となる処理を示すフロー図である。
【図7】図7は、本発明の一実施例による移動局におけるPUCCHの送信電力を決定するための他の例となる処理を示すフロー図である。
【図8】図8は、本発明の一実施例による移動局におけるUCIを有するPUSCHの送信電力を決定するための一例となる処理を示すフロー図である。
【図9】図9は、本発明の一実施例による移動局におけるUCIを有さないPUSCHの送信電力を決定するための一例となる処理を示すフロー図である。
【図10】図10は、本発明の一実施例による移動局におけるSRSの送信電力を決定するための一例となる処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
キャリアアグリゲーション(CA)を利用したLTE−Advanced方式では、各コンポーネントキャリア(CC)に対してアップリンクで送信可能な最大送信電力Pcmax,cが決定され、決定された最大送信電力Pcmax,cを超過しないように各CCの送信電力が制御される。より詳細には、移動局は、各CCの最大送信電力Pcmax,cを決定するため、各CCに対して最大送信電力Pcmax,cの上限値Pcmax,c_Hと下限値Pcmax,c_Lとを所定の計算式に従って算出し、この上限値Pcmax,c_Hと下限値Pcmax,c_Lとにより規定された範囲内で最大送信電力Pcmax,cを決定する。移動局は、決定された最大送信電力Pcmax,cを超過しないように各CCの送信電力を制御する。
【0015】
また、3GPP Release 10では、複数のCCにおいて各種チャネルを同時送信するための規定が、現在策定されている。具体的には、データチャネルであるアップリンク物理共有チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)、制御チャネルであるアップリンク物理制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)及びチャネル状態を測定するためのアップリンクリファレンス信号であるSRS(Sounding Reference Signal)が同時送信されることが検討されている。さらにPUSCHについては、アップリンク制御情報(UCI:Uplink Control Information)を有するPUSCH(PUSCH w/ UCI)と、UCIを有さないPUSCH(PUSCH w/o UCI)とに細分されて送信されることが検討されている。
【0016】
複数のCCにより各種チャネルを同時送信する場合、優先度の高いチャネルの送信電力を優先的に確保するように、CCの送信電力を決定する必要があると考えられる。一般に、制御情報を含むチャネルに高い優先度が設定される必要があり、その送信電力を優先的に確保することが必要であると考えられる。このため、本発明の一実施例では、チャネル種別を考慮して制御情報を含むチャネルを送信するのに必要な送信電力をまず確保し、剰余電力を他のチャネルの送信電力に配分する。
【0017】
一方、CAでは、複数のCCはプライマリセルとセカンダリセルとに大別される。CAでは、これら複数のCCは、移動局と基地局との間で順次設定される。プライマリセルは、基地局と移動局との間で最初に設定されたCCであり、セカンダリセルは、2番目以降に設定されたCCである。一般に、プライマリセルは、セカンダリセルより優先的に送信されることが所望される。このため、本発明の一実施例では、CC又はセル種別を考慮してプライマリセルを送信するのに必要な送信電力をまず確保し、剰余電力をセカンダリセルの送信電力に配分する。
【0018】
なお、後述されるように、チャネル種別とセル種別の双方を考慮して各CCの利用可能な最大送信電力を決定するようにしてもよい。
【0019】
まず、図2を参照して、本発明の一実施例による無線通信システムを説明する。本実施例による無線通信システムは、CA技術を利用して無線通信を行うLTE−Advancedシステムである。CAでは、広帯域伝送を可能にするため複数のCCを同時に用いて通信が実行される。さらに、本実施例による無線通信システムでは、PUCCH、PUSCH w/ UCI、PUSCH w/o UCI及びSRSの異なるタイプのチャネルが複数のCCを用いて同時送信される。しかしながら、本発明は、これに限定されるものでなく、複数のキャリア又はセルを用いて異なるタイプのチャネルを同時送信する他の何れか適切な無線通信システムに適用可能である。
【0020】
図2は、本発明の一実施例による無線通信システムを示すブロック図である。図2に示されるように、無線通信システム10は、基地局50と移動局100とを有する。図示された実施例では、1つの基地局50しか示されていないが、典型的には、無線通信システム10では、当該システムのサービスエリアをカバーするよう複数の基地局50が配置される。基地局50は、ある地理的エリアをカバーし、当該エリアに在圏する移動局100と無線通信することによって、移動局100に各種通信サービスを提供する。なお、以下の実施例では、複数のCCを用いるCA技術を利用したアップリンク通信における各CCに対する送信電力制御処理が説明される。しかしながら、本発明は、これに限定されるものでなく、CA技術を利用したダウンリンク通信にも同様に適用可能である。
【0021】
本実施例による移動局100は、典型的には、携帯電話端末、スマートフォン、パーソナルコンピュータなどのユーザ装置(UE)である。移動局100は、典型的には、補助記憶装置、メモリ装置、CPU、通信装置、表示装置、入力装置などの各種ハードウェアリソースの1以上から構成される。補助記憶装置は、ハードディスクやフラッシュメモリなどから構成され、後述される各種処理を実現するプログラムやデータを格納する。メモリ装置は、RAM(Random Access Memory)などから構成され、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置からプログラムを読み出して格納する。CPUは、情報を処理するプロセッサとして機能し、メモリ装置に格納されたプログラムに従って後述される各種機能を実現する。通信装置は、ネットワークを介しサーバなどの他の装置と通信するために、基地局50と無線接続するための各種通信回路から構成される。表示装置及び入力装置は、移動局100とユーザとの間のユーザインタフェースを提供する。
【0022】
次に、図3〜10を参照して、本発明の一実施例による移動局を説明する。本実施例による移動局100は、基地局50によりPUCCH、PUSCH w/ UCI、PUSCH w/o UCI及びSRSの少なくとも1つのチャネルが割り当てられた各CCについて、チャネル種別及び/又はセル種別を考慮して当該CCにおいて利用可能な最大送信電力Pcmax,cを決定する。そして、移動局100は、決定した最大送信電力Pcmax,cを超過しないように各CCの送信電力を制御して、複数のCCの割り当てられたチャネルを同時送信する。
【0023】
図3は、本発明の一実施例による移動局の構成を示すブロック図である。図3に示されるように、移動局100は、RRCシグナリング受信部110と、スケジューリング情報受信部120と、CA状況判断部130と、Pcmax,c_H計算部140と、Pcmax,c_L計算部150と、Pcmax,c計算部160とを有する。
【0024】
RRCシグナリング受信部110は、基地局50と移動局100との間の無線リソースを制御するための各種メッセージを基地局50から受信する。具体的には、CAが適用される場合、基地局50は、移動局100と接続するCCについて順次RRCコネクションを確立する。最初にRRCコネクションが確立されたCCは、プライマリCC(PCC)又はプライマリセル(Pcell)と呼ばれる。2番目以降にRRCコネクションが確立されたCCは、セカンダリCC(SCC)又はセカンダリセル(Scell)と呼ばれる。さらに、基地局50は、割り当てた各CCに対してセルインデックスを指定し、指定したセルインデックスを移動局100に通知してもよい。このセルインデックスは、移動局毎に個別に指定されてもよい。一般に、セルインデックスは、各移動局のプライマリセルが先頭となり、その後にセカンダリセルが続くよう割り当てられる。RRCシグナリング受信部110は、受信したRRCメッセージをCA状況判断部130に提供する。
【0025】
スケジューリング情報受信部120は、基地局50によって各CCに割り当てられたリソースブロック及びチャネルを示すスケジューリング情報を基地局50から受信する。具体的には、スケジューリング情報は、各CCのサブフレームのリソースブロックに割り当てられる各種チャネルの割当て状態を示す。スケジューリング情報受信部120は、受信したスケジューリング情報をCA状況解析部130に提供する。
【0026】
CA状況判断部130は、RRCシグナリング受信部110からRRCメッセージを受信すると、基地局50によって何れの帯域がCCとして割り当てられ、RRCコネクションが確立されたか判断する。また、基地局50から各CCを識別するセルインデックスを受信した場合、CA状況判断部130は、当該セルインデックスをPcmax,c_L計算部150に通知する。また、CA状況判断部130は、何れのCCにリソースブロックが割り当てられたか通知するため、スケジューリング情報受信部120から提供されたスケジューリング情報をPcmax,c_L計算部150に提供する。
【0027】
cmax,c_H計算部140は、各CCについて移動局100の送信可能な最大送信電力Pcmax,cの範囲の上限値Pcmax,c_Hを算出する。具体的には、Pcmax,c_H計算部140は、各CCについて、
cmax,c_H=Min{PEMAX,PPowerClass
を計算し、各CCに対する移動局100の最大送信電力Pcmax,cの上限値Pcmax,c_Hを算出する。ここで、PEMAXは、基地局50によって許可された各CCにおける移動局100の最大送信電力を表し、PPowerClassは、移動局100が送信可能な最大送信電力(23dBmなど)を表す。なお、本発明はこれに限定されるものでなく、移動局100の送信可能な最大送信電力の上限値は、基地局50によって許可された最大送信電力と移動局100が送信可能な最大送信電力とを超過しない値に設定されさえすればよい。Pcmax,c_H計算部140は、このようにして算出したPcmax,c_HをPcmax,c決定部160に通知する。
【0028】
cmax,c_L計算部150は、各CCについて移動局100の送信可能な最大送信電力Pcmax,cの範囲の下限値Pcmax,c_Lを算出する。具体的には、Pcmax,c_L計算部150は、リソースブロックが割り当てられた各CCについて、
cmax,c_L=Min{PEMAX−ΔT,PPowerClass−(MPR+A-MPR)−ΔT
を計算し、Pcmax,c_Lを算出する。ここで、PEMAXは、基地局50によって許可された各CCにおける移動局100の最大送信電力を表し、ΔTは、帯域の端のリソースブロックを利用する際に許容可能な緩和量を表し、PPowerClassは、移動局100が送信可能な最大送信電力を表し、MPR(Maximum Power Reduction)は、変調方式(QPSKなど)とリソースブロック数により定められる許容可能な緩和量を表し、A-MPR(Additional Maximum Power Reduction)は、隣接する他システムへの干渉を与えないために許容可能な緩和量を表す。Pcmax,c_L計算部150は、このようにして算出したPcmax,c_LをPcmax,c計算部160に通知する。
【0029】
cmax,c計算部160は、Pcmax,c_H計算部140から受信した上限値Pcmax,c_HとPcmax,c_L計算部150から受信した下限値Pcmax,c_Lとにより規定される範囲内で、基地局50により割り当てられた各CCの最大送信電力Pcmax,cを決定する。具体的には、Pcmax,c計算部160は、リソースブロックが割り当てられている各CCに対して、当該CCに割り当てられているチャネル種別、セル種別及びチャネル種別とセル種別の組み合わせに応じて、各CCの最大送信電力Pcmax,cを決定する。
【0030】
まず、Pcmax,c計算部160がチャネル種別に応じて最大送信電力Pcmax,cを決定する実施例について説明する。本実施例では、Pcmax,c計算部160は、各チャネル間の優先順位を規定したチャネル優先順位に従って、各CCの利用可能な最大送信電力Pcmax,cを決定する。上述したように、複数のCCにより各種チャネルを同時送信する場合、優先度の高いチャネルの送信電力を確保することが優先される。一般に、制御情報を含むチャネルに高い優先度が設定される必要があり、その送信電力を確保することが優先される。すなわち、本実施例では、PUCCHの優先度が最も高く設定され、他のチャネルの優先順位は以下のように適宜設定される。
ケース1:PUCCH→PUSCH w/UCI→PUSCH w/o UCI→SRS
ケース2:PUCCH→PUSCH w/UCI→SRS→PUSCH w/o UCI
ケース3:PUCCH→SRS→PUSCH w/UCI→PUSCH w/o UCI
cmax,c計算部160は、所定のチャネル優先順位に従って、優先順位の高いチャネルから順に各チャネルを送信するのに必要な送信電力を算出し、算出した各チャネルの送信電力の合計値と最大送信電力Pcmax,cの上限値Pcmax,c_Hとを比較する。算出したチャネルの送信電力の合計値がPcmax,c_H以下である場合、Pcmax,c計算部160は、次の優先順位のチャネルの送信電力を算出する。他方、算出したチャネルの送信電力の合計値がPcmax,c_Hを超える場合、Pcmax,c計算部160は、Pcmax,c_Hを超えることになった現在チャネルに対して算出した送信電力を何れかの方法によりスケーリングし、スケーリング後の現在チャネルの送信電力と現在チャネルより前の各チャネルの送信電力との合計値が送信電力Pcmax,c_H以下になるようにする。
【0031】
この処理は、以下のように言い換えることもできる。すなわち、Pcmax,c計算部160は、チャネル優先順位に従ってこれまでに算出されたチャネルの送信電力の累積値を上限値Pcmax,c_Hから差し引いた剰余電力と、現在算出されたチャネルの送信電力とを比較して、現在算出されたチャネルの送信電力が剰余電力を超える場合、剰余電力以下になるよう現在算出されたチャネルの送信電力をスケーリングすると表現することもできる。
【0032】
ケース1の優先順位について具体例を説明する。チャネルが割り当てられた各CC又はセルに対して、Pcmax,c計算部160はまず、最も優先度の高いPUCCHを送信するのに必要な送信電力を算出し、算出したPUCCHの送信電力とPcmax,c_Hとを比較する。算出したPUCCHの送信電力がPcmax,c_Hを超える場合、Pcmax,c計算部160は、Pcmax,c_H以下になるようPUCCHの送信電力をスケーリングする。例えば、PUCCHの送信電力に1より小さな乗数(スケーリング係数)を乗算し、Pcmax,c_H以下になるようスケーリングしてもよい。
【0033】
他方、算出したPUCCHの送信電力がPcmax,c_H以下である場合、Pcmax,c計算部160は、次に優先度の高いPUSCH w/UCIを送信するのに必要な送信電力を算出する。その後、Pcmax,c計算部160は、算出したPUSCH w/UCIの送信電力とすでに算出したPUCCHの送信電力との合計値を算出し、算出した送信電力の合計値とPcmax,c_Hとを比較する。算出した送信電力の合計値がPcmax,c_Hを超える場合、Pcmax,c計算部160は、Pcmax,c_H以下になるようPUSCH w/UCIの送信電力をスケーリングする。例えば、PUSCH w/UCIの送信電力に1より小さなスケーリング係数を乗算し、スケーリングされたPUSCH w/UCIの送信電力とPUCCHの送信電力との合計値がPcmax,c_H以下になるようスケーリングしてもよい。あるいは、単にPUSCH w/UCIの送信電力を0に設定し、PUCCHのみを確実に送信するようにしてもよい。
【0034】
他方、算出した送信電力の合計値がPcmax,c_H以下である場合、Pcmax,c計算部160は、次に優先度の高いPUSCH w/o UCIを送信するのに必要な送信電力を算出する。その後、Pcmax,c計算部160は、算出したPUSCH w/o UCIの送信電力とすでに算出したPUCCH及びPUSCH w/UCIの送信電力との合計値を算出し、算出した送信電力の合計値とPcmax,c_Hとを比較する。算出した送信電力の合計値がPcmax,c_Hを超える場合、Pcmax,c計算部160は、Pcmax,c_H以下になるようPUSCH w/o UCIの送信電力をスケーリングする。
【0035】
他方、算出した送信電力の合計値がPcmax,c_H以下である場合、Pcmax,c計算部160は、最も優先度の低いSRSを送信するのに必要な送信電力を算出する。その後、Pcmax,c計算部160は、算出したSRSの送信電力とすでに算出したPUCCH、PUSCH w/UCI及びPUSCH w/o UCIの送信電力との合計値を算出し、算出した送信電力の合計値とPcmax,c_Hとを比較する。算出した送信電力の合計値がPcmax,c_Hを超える場合、Pcmax,c計算部160は、Pcmax,c_H以下になるようSRSの送信電力をスケーリングする。
【0036】
他方、算出した送信電力の合計値がPcmax,c_H以下である場合、Pcmax,c計算部160は、算出した送信電力の合計値を当該CCの最大送信電力Pcmax,cとして決定する。
【0037】
もちろん、算出した送信電力の合計値として決定された当該CCの送信電力は、最大送信電力Pcmax,cの下限値Pcmax,c_L以上であることが要求される。ケース2及び3についても同様にして、CCの最大送信電力Pcmax,cを決定することができることは理解されるであろう。なお、上述したスケーリング処理について、同一チャネル間ではCC間で同一のスケーリング係数を適用するようにしてもよい。
【0038】
ここで、各チャネルを送信するのに必要な送信電力は、LTE Release 8のTS36.213に規定される計算式など、何れか既知の算出方法を用いて算出されてもよい。例えば、PUSCHの送信電力は、LTE Release 8に規定されたPUSCHの計算式を利用して、この計算式を各CCに適用することにより算出されてもよい。PUCCHの送信電力もまた、LTE Release 8に規定されたPUCCHの計算式を利用して、この計算式を各CCに適用することにより算出されてもよい。同様に、SRSの送信電力は、PUSCHの送信電力の算出式にオフセットPSRS_OFFSET,cを加えることにより算出されてもよい。しかしながら、本発明は、これに限定されるものでなく、他の何れか適切なPUCCH、PUSCH及びSRSの算出方法が適用可能である。
【0039】
ここで、SRSの送信については、図4に示されるように、SRSが送信されるときに他のチャネルは未送信とされることがある。一般に、SRSはサブフレームの最後の1シンボルなどで送信されるため、SRSが割り当てられた各CCの最大送信電力Pcmax,cは、以下のように決定されてもよい。すなわち、各種チャネルの多重状況に基づき、Pcmax,c計算部160は、サブフレームに含まれるシンボル単位で最大送信電力Pcmax,cを決定してもよい。具体的には、SRSが割り当てられたCCに対して、Pcmax,c計算部160は、SRSが割り当てられたシンボルを送信するための送信電力と、その他のPUCCHやPUSCHが割り当てられたシンボルを送信するための送信電力とを別々に計算し、シンボル単位で異なる最大送信電力Pcmax,cを設定するようにしてもよい。つまり、PUSCH及びPUCCHに対するPcmax,cとSRSに対するPcmax,cの両方を設定するようにしてもよい。他方、Pcmax,c計算部160は、サブフレーム全体で最大送信電力Pcmax,cを決定してもよい。具体的には、SRSが割り当てられたCCに対して、Pcmax,c計算部160は、SRSが割り当てられたシンボルを送信するための送信電力と、その他のPUCCHやPUSCHが割り当てられたシンボルを送信するための送信電力とを別々に計算し、算出された2つの送信電力のうち大きい値を当該サブフレームの最大送信電力Pcmax,cとして設定するようにしてもよい。また、必要に応じてスケーリングが実行され、スケーリング後の送信電力を最大送信電力Pcmax,cとして設定してもよい。しかしながら、PUCCHの送信電力は、PUCCHを送信するのに不十分な値までスケーリングされることがないよう留意すべきである。
【0040】
次に、Pcmax,c計算部160がセル種別に応じて最大送信電力Pcmax,cを決定する実施例について説明する。本実施例では、Pcmax,c計算部160は、当該CC又はセルがプライマリセル(Pcell)とセカンダリセル(Scell)の何れであるかに応じて、各CCの利用可能な最大送信電力Pcmax,cを決定する。LTE−Advanced方式では、基地局によりリソースブロックが割り当てられた各CCの最大送信電力Pcmax,cを決定する際、各CCの最大送信電力Pcmax,cが移動局の送信可能な最大送信電力PPowerClassを超えないことが要求されている。さらに、リソースブロックが割り当てられたすべてのCCの最大送信電力Pcmax,cの合計値が移動局の送信可能な最大送信電力PPowerClassを超えないことが要求されるケースも想定されている。この場合、移動局の送信可能な最大送信電力PPowerClassを超えない範囲で、各セルの最大送信電力をどのようにして配分するか検討される必要がある。
【0041】
本実施例では、複数のCCのうち最初に接続が確立されたCC又はセルであるプライマリセルに対して、以降に接続が確立されたCC又はセルであるセカンダリセルより優先的に送信電力が配分される。また、基地局が複数のセカンダリセルにリソースブロックを割当てた場合、何れかの優先順位に従ってセカンダリセル間に送信電力を配分する。セカンダリセル間の優先順位として、例えば、RRCシグナリング受信部110を介し基地局50から各セルのセルインデックスを取得している場合、このセルインデックスの順序に従って優先順位が設定されてもよい。また、基地局50と移動局100との間のパスロスの大きさに従って優先順位が設定されてもよい。すなわち、パスロスが小さく、通信状態が良好であるセカンダリセルに対して、より高い優先順位が設定されてもよい。この場合、パスロスが小さく、要求される送信電力が相対的に小さいセカンダリにより送信される信号を確実に送信することが可能となる。他方、パスロスが大きなセカンダリセルに対して、より高い優先順位が設定されてもよい。この場合、パスロスが大きく、要求される送信電力が相対的に大きいセカンダリセルにより送信される信号をより良好に送信することが可能となる。
【0042】
図5は、本発明の一実施例による移動局における最大送信電力を決定するための一例となる処理を示すフロー図である。図示された実施例では、移動局100は、上述したケース1の優先順位に従って、リソースブロックが割り当てられた各CCの送信可能な最大送信電力Pcmax,cを決定する。
【0043】
図5に示されるように、基地局50からリソースブロックを割り当てられると、移動局100は、リソースブロックが割り当てられたCCの最大送信電力Pcmax,cを決定するための処理を開始する。
【0044】
ステップS101において、移動局100は、基地局50から受信したRRCメッセージ及びスケジューリング情報に基づき各CCの利用可能な最大送信電力Pcmax,cを決定するため、最大送信電力Pcmax,cの上限値Pcmax,c_H及び下限値Pcmax,c_Lなどの計算式の各種パラメータを初期化するなど、初期化処理を実行する。
【0045】
ステップS102において、Pcmax,c計算部160は、図6及び7に示されるような処理に従って、最も高い優先度を有するPUCCHの送信電力を算出する。
【0046】
ステップS103において、Pcmax,c計算部160は、図8に示されるような処理に従って、次に高い優先度を有するPUSCH w/ UCIの送信電力を算出する。
【0047】
ステップS104において、Pcmax,c計算部160は、図9に示されるような処理に従って、次に高い優先度を有するPUSCH w/o UCIの送信電力を算出する。
【0048】
ステップS105において、Pcmax,c計算部160は、図10に示されるような処理に従って、最も低い優先度を有するSRSの送信電力を算出する。
【0049】
ステップS106において、Pcmax,c計算部160は、PUCCH、PUSCH w/ UCI、PUSCH w/o UCI及びSRSに対して算出した送信電力に基づき最大送信電力Pcmax,cを決定する。なお、リソースブロックが割り当てられたすべてのCCの最大送信電力Pcmax,cの合計値が移動局の送信可能な最大送信電力を超えないことが要求されるケースでは、決定された最大送信電力Pcmax,cが上限値Pcmax,c_H未満であり、余剰の送信電力があるCCが存在する場合、この余剰送信電力は他のCCに均等に配分するようにしてもよい。
【0050】
次に、図6〜7を参照して、図5のステップS102に対応するPUCCHの送信電力算出処理をより詳細に説明する。
【0051】
図6は、本発明の一実施例による移動局におけるPUCCHの送信電力を決定するための一例となる処理を示すフロー図である。当該処理は、図5のステップS102に相当するものであり、PUCCHがプライマリセルのみに割り当てられるケースに対する処理である。
【0052】
ステップS201において、Pcmax,c計算部160は、基地局50から受信したRRCメッセージ及びスケジューリング情報に基づき初期化処理を実行する。例えば、Pcmax,c計算部160は、受信したRRCメッセージ及びスケジューリング情報に基づきPUCCHの送信電力PPUCCHの計算式の各種パラメータを初期化する。
【0053】
ステップS202において、Pcmax,c計算部160は、受信したスケジューリング情報に基づき、当該プライマリセルにPUCCHが割り当てられているか判断する。当該プライマリセルにPUCCHが割り当てられている場合、当該処理はステップS203に移行し、PUCCHの送信電力を決定するためのさらなる処理が実行される。他方、当該プライマリセルにPUCCHが割り当てられていない場合、当該処理を終了し、図5のステップS103に移行する。
【0054】
ステップS203において、Pcmax,c計算部160は、所定のPUCCHの送信電力を導出するための計算式に従って、当該プライマリセルに割り当てられたPUCCHを送信するのに必要な送信電力PPUCCH_Pcellを計算する。
【0055】
ステップS204において、Pcmax,c計算部160は、算出されたPPUCCH_Pcellが上限値Pcmax,c_H未満であるか判断する。算出されたPPUCCH_Pcellが上限値Pcmax,c_H未満である場合、当該処理はステップS205に移行し、算出されたPPUCCH_Pcellが上限値Pcmax,c_H未満でない場合、当該処理はステップS206に移行する。
【0056】
ステップS205において、Pcmax,c計算部160は、算出されたPPUCCH_Pcellが所定の送信電力要求(Unwanted emission requirements)を充足しているか判断する。この送信電力要求は、例えば、算出されたPPUCCH_Pcellが他のシステムに干渉を与えるおそれがないことを保障する電力レベル以下であるか否かというものであってもよい。算出されたPPUCCH_Pcellが所定の送信電力要求を充足する場合、当該処理はステップS207に移行し、算出されたPPUCCH_Pcellが所定の送信電力要求を充足しない場合、当該処理はステップS206に移行する。
【0057】
ステップS206において、Pcmax,c計算部160は、算出されたPPUCCH_Pcellを移動局100に許容される最大送信電力に設定する。移動局100に許容される最大送信電力は、各CCの最大送信電力Pcmax,cが移動局の送信可能な最大送信電力PPowerClassを超えないことが要求されている場合には、PPowerClassに設定されてもよい。また、リソースブロックが割り当てられたすべてのCCの最大送信電力Pcmax,cの合計値が移動局の送信可能な最大送信電力PPowerClassを超えないことが要求される場合には、移動局100に許容される最大送信電力は、Pcmax,cの合計値が移動局の送信可能な最大送信電力PPowerClassを超えないような何れか適切な値に設定されてもよい。
【0058】
ステップS207において、Pcmax,c計算部160は、算出されたPPUCCH_PcellをPUCCHの送信電力PPUCCHとして設定する。その後、当該処理は終了し、図5のステップS103に移行する。
【0059】
図7は、本発明の一実施例による移動局におけるPUCCHの送信電力を決定するための他の例となる処理を示すフロー図である。当該処理は、図5のステップS102に相当するものであり、PUCCHがプライマリセルだけでなくセカンダリセルにも割り当てられるケースに対する処理である。このケースでは、Pcmax,c計算部160は、チャネル種別だけでなくセル種別も考慮してPUCCHの送信電力PPUCCHを決定する。
【0060】
ステップS301において、Pcmax,c計算部160は、基地局50から受信したRRCメッセージ及びスケジューリング情報に基づき初期化処理を実行する。例えば、Pcmax,c計算部160は、受信したRRCメッセージ及びスケジューリング情報に基づきPUCCHの送信電力PPUCCHを算出するための計算式の各種パラメータを初期化する。
【0061】
ステップS302において、Pcmax,c計算部160は、受信したスケジューリング情報に基づき、当該プライマリセルにPUCCHが割り当てられているか判断する。当該プライマリセルにPUCCHが割り当てられている場合、当該処理はステップS303に移行し、PUCCHの送信電力を決定するためのさらなる処理が実行される。他方、当該プライマリセルにPUCCHが割り当てられていない場合、セカンダリセルにPUCCHが割り当てられているケースを処理するため、ステップS308に移行する。
【0062】
ステップS303において、Pcmax,c計算部160は、所定のPUCCHの送信電力の計算式に従って、当該プライマリセルに割り当てられたPUCCHを送信するのに必要な送信電力PPUCCH_Pcellを計算する。
【0063】
ステップS304において、Pcmax,c計算部160は、算出されたPPUCCH_Pcellが上限値Pcmax,c_H未満であるか判断する。算出されたPPUCCH_Pcellが上限値Pcmax,c_H未満である場合、当該処理はステップS305に移行し、算出されたPPUCCH_Pcellが上限値Pcmax,c_H未満でない場合、当該処理はステップS306に移行する。
【0064】
ステップS305において、Pcmax,c計算部160は、算出されたPPUCCH_Pcellが所定の送信電力要求(Unwanted emission requirements)を充足しているか判断する。この送信電力要求は、例えば、算出されたPPUCCH_Pcellが他のシステムに干渉を与えるおそれがないことを保障する電力レベル以下であるか否かというものであってもよい。算出されたPPUCCH_Pcellが所定の送信電力要求を充足する場合、当該処理はステップS307に移行し、算出されたPPUCCH_Pcellが所定の送信電力要求を充足しない場合、当該処理はステップS306に移行する。
【0065】
ステップS306において、Pcmax,c計算部160は、算出されたPPUCCH_Pcellを移動局100に許容される最大送信電力に設定する。
【0066】
ステップS307において、Pcmax,c計算部160は、算出されたPPUCCH_PcellをPUCCHの送信電力PPUCCHとして設定する。
【0067】
ステップS308において、Pcmax,c計算部160は、1以上のセカンダリセルに割り当てられたPUCCHの送信電力を決定するため、まずセカンダリセルを所定の選択規範に従ってソートする。上述したように、基地局50は、移動局100に割り当てた各CC又はセルを識別するためのセルインデックスをRRCメッセージにより移動局100に通知している。Pcmax,c計算部160は、このセルインデックスの昇順又は降順に従って、リソースブロックが割り当てられているセカンダリセルをソートしてもよい。また、Pcmax,c計算部160は、何れかの方法により取得した基地局50と移動局100との間の各セルのパスロスに基づき、パスロスの昇順又は降順に従ってリソースブロックが割り当てられているセカンダリセルをソートしてもよい。その後、Pcmax,c計算部160は、ソートした各セカンダリセルの総数Nを算出し、セカンダリセルインデックスiを0に初期化する。
【0068】
ステップS309において、Pcmax,c計算部160は、リソースブロックが割り当てられた各セカンダリセルiに対して、所定のPUCCHの送信電力の算出式に従ってPUCCHの送信電力PPUCCH_Scell_iを計算する。
【0069】
ステップS310において、Pcmax,c計算部160は、セカンダリセルインデックスiに対応するセカンダリセル(セカンダリセルiと呼ぶ)にPUCCHが割り当てられているか判断する。セカンダリセルiにPUCCHが割り当てられている場合、当該処理はステップS311に移行し、セカンダリセルiにPUCCHが割り当てられていない場合、当該処理はステップS315に移行する。
【0070】
ステップS311において、Pcmax,c計算部160は、セカンダリセルiの算出されたPUCCHの送信電力PPUCCH_Scell_iが、上限値Pcmax,c_HからステップS307において決定されたプライマリセルに割り当てられたPUCCHの送信電力PPUCCH_Pcellを差し引いた後の剰余電力未満であるか判断する。算出されたPPUCCH_Scell_iが剰余電力未満である場合、当該処理はステップS312に移行し、算出されたPPUCCH_Scell_iが剰余電力未満でない場合、当該処理はステップS313に移行する。
【0071】
ステップS312において、Pcmax,c計算部160は、算出されたPPUCCH_Scell_iが、すでに決定されたプライマリセルに割り当てられたPUCCHの送信電力PPUCCH_Pcellを考慮して所定の送信電力要求(Unwanted emission requirements)を充足しているか判断する。この送信電力要求は、例えば、PPUCCH_Scell_iとPPUCCH_Pcellとの合計送信電力が他のシステムに干渉を与えるおそれがないことを保障する電力レベル以下であるか否かというものであってもよい。算出されたPPUCCH_Scell_iが所定の送信電力要求を充足する場合、当該処理はステップS314に移行し、算出されたPPUCCH_Scell_iが所定の送信電力要求を充足しない場合、当該処理はステップS313に移行する。
【0072】
ステップS313において、Pcmax,c計算部160は、算出されたPPUCCH_Scell_iを移動局100に許容される最大送信電力に設定する。
【0073】
ステップS314において、Pcmax,c計算部160は、セカンダリセルインデックスiを1だけインクリメントする。
【0074】
ステップS315において、Pcmax,c計算部160は、更新されたセカンダリセルインデックスiがリソースブロックが割り当てられたセカンダリセルの総数Nに達したか判断する。更新されたセカンダリセルインデックスiがリソースブロックが割り当てられたセカンダリセルの総数Nに達した場合、Pcmax,c計算部160は、すべてのセカンダリセルに対してPUCCHの送信電力を算出する処理が実行されたと判断し、ステップS316に移行する。他方、更新されたセカンダリセルインデックスiがリソースブロックが割り当てられたセカンダリセルの総数Nに達していない場合、Pcmax,c計算部160は、PUCCHの送信電力を算出する処理が実行されていないセカンダリセルが存在すると判断し、ステップS310に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0075】
ステップS316において、Pcmax,c計算部160は、ステップS307において算出したプライマリセルに割り当てられたPUCCHの送信電力PPUCCH_Pcellと、セカンダリセルiに対して算出したセカンダリセルiに割り当てられたPUCCHの送信電力PPUCCH_Scell_iとの合計値を求め、この合計値が移動局100がアップリンクで送信可能な最大送信電力Pcmaxの上限値Pcmax_Hを超える場合、PPUCCH_Scell_iをスケーリングして、スケーリング後のPPUCCH_Scell_iとPPUCCH_Pcellとの合計値が上限値Pcmax_H以下になるようにする。
【0076】
このスケーリングはいくつかの方法により実行可能である。例えば、リソースブロックが割り当てられたすべてのセカンダリセルに対してPPUCCH_PcellとPPUCCH_Scell_iとの合計値が上限値Pcmax_H以下になるようなPPUCCH_Scell_iのスケーリング係数Xを算出し、すべてのセカンダリセルの最大送信電力PPUCCH_Scell_iに共通のスケーリング係数Xを乗算してスケーリングしてもよい。また、基地局50と移動局100との間のパスロスが大きなセカンダリセルの最大送信電力PPUCCH_Scell_iを0に設定して、PPUCCH_PcellとPPUCCH_Scell_iとの合計値が上限値Pcmax_H以下になるようにしてもよい。他方、基地局50と移動局100との間のパスロスが小さなセカンダリセルの最大送信電力PPUCCH_Scell_iを0に設定して、PPUCCH_PcellとPPUCCH_Scell_iとの合計値が上限値Pcmax_H以下になるようにしてもよい。また、最大送信電力のセルと比較して、この最大送信電力とPPUCCH_Scell_iとの差分が所定の閾値以上であるセカンダリセルの送信電力を0に設定してもよい。あるいは、対象となるセカンダリセルが、これよりも大きくかつ最も近い送信電力のセルと比較して所定の閾値以下の電力である場合、その送信電力を0に設定してもよい。
【0077】
その後、当該処理は終了し、図5のステップS103に移行する。このようにして、本実施例による処理では、PUCCHがプライマリセルとセカンダリセルとに割り当てられた場合、プライマリセルのPUCCHを優先的に送信することが可能となる。
【0078】
次に、図8を参照して、図5のステップS104に対応するPUSCH w/ UCIの送信電力算出処理をより詳細に説明する。
【0079】
ステップS401において、Pcmax,c計算部160は、基地局50から受信したRRCメッセージ及びスケジューリング情報に基づき初期化処理を実行する。例えば、Pcmax,c計算部160は、受信したRRCメッセージ及びスケジューリング情報に基づきPUSCH w/ UCIの送信電力PPUSCH_UCIを算出するための計算式の各種パラメータを初期化する。
【0080】
ステップS402において、Pcmax,c計算部160は、リソースブロックが割り当てられた1以上のセルiのPUSCH w/ UCIの送信電力PPUSCH_UCI_iを決定するため、まずリソースブロックが割り当てられたセルを所定の選択規範に従ってソートする。上述したように、基地局50は、移動局100に割り当てた各CC又はセルを識別するためのセルインデックスをRRCメッセージにより移動局100に通知している。Pcmax,c計算部160は、このセルインデックスの昇順又は降順に従って、リソースブロックが割り当てられているセルをソートしてもよい。また、Pcmax,c計算部160は、何れかの方法により取得した基地局50と移動局100との間の各セルのパスロスに基づき、パスロスの昇順又は降順に従ってリソースブロックが割り当てられているセルをソートしてもよい。Pcmax,c計算部160は、ソートした各セルの総数Nを算出し、セルインデックスiを0に初期化する。
【0081】
ステップS403において、Pcmax,c計算部160は、リソースブロックが割り当てられた各セルiに対して、所定のPUSCHの送信電力の算出式に従ってPUSCH w/ UCIの送信電力PPUSCH_UCI_iを計算する。
【0082】
ステップS404において、Pcmax,c計算部160は、セルインデックスiに対応するセル(セルiと呼ぶ)にPUSCH w/ UCIが割り当てられているか判断する。セルiにPUSCH w/ UCIが割り当てられている場合、当該処理はステップS405に移行し、セルiにPUSCH w/ UCIが割り当てられていない場合、当該処理はステップS409に移行する。
【0083】
ステップS405において、Pcmax,c計算部160は、セルiの算出されたPUSCH w/ UCIの送信電力PPUSCH_UCI_iが、上限値Pcmax,c_Hから図5のステップS102において決定されたPUCCHの送信電力PPUCCHを差し引いた後の剰余電力未満であるか判断する。算出されたPPUSCH_UCI_iが剰余電力未満である場合、当該処理はステップS406に移行し、算出されたPPUSCH_UCI_iが剰余電力未満でない場合、当該処理はステップS407に移行する。
【0084】
ステップS406において、Pcmax,c計算部160は、算出されたPPUSCH_UCI_iが、すでに決定されたPUCCHの送信電力PPUCCHを考慮して所定の送信電力要求(Unwanted emission requirements)を充足しているか判断する。この送信電力要求は、例えば、PPUSCH_UCI_iとPPUCCHとの合計の送信電力が他のシステムに干渉を与えるおそれがないことを保障する電力レベル以下であるという要求であってもよい。算出されたPPUSCH_UCI_iが所定の送信電力要求を充足する場合、当該処理はステップS408に移行し、算出されたPPUSCH_UCI_iが所定の送信電力要求を充足しない場合、当該処理はステップS407に移行する。
【0085】
ステップS407において、Pcmax,c計算部160は、算出されたPPUSCH_UCI_iを移動局100に許容される最大送信電力に設定する。
【0086】
ステップS408において、Pcmax,c計算部160は、セルインデックスiを1だけインクリメントする。
【0087】
ステップS409において、Pcmax,c計算部160は、更新されたセルインデックスiがリソースブロックが割り当てられたセルの総数Nに達したか判断する。更新されたセルインデックスiがリソースブロックが割り当てられたセルの総数Nに達した場合、Pcmax,c計算部160は、すべてのセルに対してPUSCH w/ UCIの送信電力を算出する処理が実行されたと判断し、ステップS410に移行する。他方、更新されたセルインデックスiがリソースブロックが割り当てられたセルの総数Nに達していない場合、Pcmax,c計算部160は、PUSCH w/ UCIの送信電力を算出する処理が実行されていないセルが存在すると判断し、ステップS404に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0088】
ステップS410において、Pcmax,c計算部160は、算出したPUSCH w/ UCIの送信電力PPUSCH_UCI_iの合計値PPUSCH_UCIを求め、図5のステップS102で算出されたPUCCHの送信電力PPUCCHとPPUSCH_UCIとの合計値を求める。PPUCCHとPPUSCH_UCIとの合計値が移動局100がアップリンクで送信可能な最大送信電力Pcmaxの上限値Pcmax_Hを超える場合、PPUSCH_UCIをスケーリングして、スケーリング後のPPUSCH_UCIとPPUCCHとの合計値が上限値Pcmax_H以下になるようにする。
【0089】
このスケーリングはいくつかの方法により実行可能である。例えば、リソースブロックが割り当てられたすべてのセルに対してPPUCCHとPPUSCH_UCIとの合計値が上限値Pcmax_H以下になるようなPPUSCH_UCIのスケーリング係数Xを算出し、すべてのセルの最大送信電力PPUSCH_UCIに共通のスケーリング係数Xを乗算してスケーリングしてもよい。また、基地局50と移動局100との間のパスロスが大きなセルの最大送信電力PPUSCH_UCI_iを0に設定して、PPUCCHとPPUSCH_UCIとの合計値が上限値Pcmax_H以下になるようにしてもよい。他方、基地局50と移動局100との間のパスロスが小さなセカンダリセルの最大送信電力PPUSCH_UCI_iを0に設定して、PPUCCHとPPUSCH_UCIとの合計値が上限値Pcmax_H以下になるようにしてもよい。また、最大送信電力のセルと比較して、この最大送信電力とPPUSCH_UCI_iとの差分が所定の閾値以上であるセルの送信電力を0に設定してもよい。あるいは、対象となるセルが、これよりも大きくかつ最も近い送信電力のセルと比較して所定の閾値以下の電力である場合、その送信電力を0に設定してもよい。
【0090】
その後、当該処理は終了し、図5のステップS104に移行する。このようにして、本実施例による処理では、すでに決定されたPUCCHを優先的に送信しながら、剰余の電力を用いてPUSCH w/ UCIを送信することが可能となる。その後、当該処理は終了し、図5のステップS104に移行する。
【0091】
次に、図9を参照して、図5のステップS104に対応するPUSCH w/o UCIの送信電力算出処理をより詳細に説明する。
【0092】
ステップS501において、Pcmax,c計算部160は、基地局50から受信したRRCメッセージ及びスケジューリング情報に基づき初期化処理を実行する。例えば、Pcmax,c計算部160は、受信したRRCメッセージ及びスケジューリング情報に基づきPUSCH w/o UCIの送信電力PPUSCH_UCI_cellを算出するための計算式の各種パラメータを初期化する。
【0093】
ステップS502において、Pcmax,c計算部160は、リソースブロックが割り当てられた1以上のセルiのPUSCH w/o UCIの送信電力PPUSCH_cell_iを決定するため、まずリソースブロックが割り当てられたセルを所定の選択規範に従ってソートする。上述したように、基地局50は、移動局100に割り当てた各CC又はセルを識別するためのセルインデックスをRRCメッセージにより移動局100に通知している。Pcmax,c計算部160は、このセルインデックスの昇順又は降順に従って、リソースブロックが割り当てられているセルをソートしてもよい。また、Pcmax,c計算部160は、何れかの方法により取得した基地局50と移動局100との間の各セルのパスロスに基づき、パスロスの昇順又は降順に従ってリソースブロックが割り当てられているセルをソートしてもよい。Pcmax,c計算部160は、ソートした各セルの総数Nを算出し、セルインデックスiを0に初期化する。
【0094】
ステップS503において、Pcmax,c計算部160は、リソースブロックが割り当てられた各セルiに対して、所定のPUSCHの送信電力の算出式に従ってPUSCH w/o UCIの送信電力PPUSCH_cell_iを計算する。
【0095】
ステップS504において、Pcmax,c計算部160は、セルインデックスiに対応するセル(セルiと呼ぶ)にPUSCH w/o UCIが割り当てられているか判断する。セルiにPUSCH w/o UCIが割り当てられている場合、当該処理はステップS505に移行し、セルiにPUSCH w/o UCIが割り当てられていない場合、当該処理はステップS509に移行する。
【0096】
ステップS505において、Pcmax,c計算部160は、セルiの算出されたPUSCH w/o UCIの送信電力PPUSCH_cell_iが、上限値Pcmax,c_Hから図5のステップS102において決定されたPUCCHの送信電力PPUCCHとステップS103において決定されたPUSCH w/ UCIの送信電力PPUSCH_UCIとの合計値を差し引いた後の剰余電力未満であるか判断する。算出されたPPUSCH_cell_iが剰余電力未満である場合、当該処理はステップS506に移行し、算出されたPPUSCH_cell_iが剰余電力未満でない場合、当該処理はステップS507に移行する。
【0097】
ステップS506において、Pcmax,c計算部160は、算出されたPPUSCH_cell_iが、すでに決定されたPUCCHの送信電力PPUCCHとPUSCH w/ UCIの送信電力PPUSCH_UCIとの合計値を考慮して所定の送信電力要求(Unwanted emission requirements)を充足しているか判断する。この送信電力要求は、例えば、PPUSCH_cell_i、PPUCCH及びPPUSCH_UCIとの合計の送信電力が他のシステムに干渉を与えるおそれがないことを保障する電力レベル以下であるという要求であってもよい。算出されたPPUSCH_cell_iが所定の送信電力要求を充足する場合、当該処理はステップS508に移行し、算出されたPPUSCH_cell_iが所定の送信電力要求を充足しない場合、当該処理はステップS507に移行する。
【0098】
ステップS507において、Pcmax,c計算部160は、算出されたPPUSCH_cell_iを移動局100に許容される最大送信電力に設定する。
【0099】
ステップS508において、Pcmax,c計算部160は、セルインデックスiを1だけインクリメントする。
【0100】
ステップS509において、Pcmax,c計算部160は、更新されたセルインデックスiがリソースブロックが割り当てられたセルの総数Nに達したか判断する。更新されたセルインデックスiがリソースブロックが割り当てられたセルの総数Nに達した場合、Pcmax,c計算部160は、すべてのセルに対してPUSCH w/o UCIの送信電力を算出する処理が実行されたと判断し、ステップS510に移行する。他方、更新されたセルインデックスiがリソースブロックが割り当てられたセルの総数Nに達していない場合、Pcmax,c計算部160は、PUSCH w/o UCIの送信電力を算出する処理が実行されていないセルが存在すると判断し、ステップS504に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0101】
ステップS510において、Pcmax,c計算部160は、算出したPUSCH w/o UCIの送信電力PPUSCH_cell_iの合計値PPUSCH_cellを求め、図5のステップS102で算出されたPUCCHの送信電力PPUCCH、ステップS103において決定されたPUSCH w/ UCIの送信電力PPUSCH_UCI及びPPUSCH_cellの合計値を求める。この合計値が移動局100がアップリンクで送信可能な最大送信電力Pcmaxの上限値Pcmax_Hを超える場合、PPUSCH_cellをスケーリングして、スケーリング後のPPUSCH_cell、PPUCCH及びPPUSCH_UCIの合計値が上限値Pcmax_H以下になるようにする。このスケーリングは上述したPPUSCH_UCIのスケーリング方法と同様にして実行可能である。
【0102】
このようにして、本実施例による処理では、すでに決定されたPUCCH及びPUSCH w/ UCIを優先的に送信しながら、剰余の電力を用いてPUSCH w/o UCIを送信することが可能となる。その後、当該処理は終了し、図5のステップS105に移行する。
【0103】
次に、図10を参照して、図5のステップS105に対応するSRSの送信電力算出処理をより詳細に説明する。
【0104】
ステップS601において、Pcmax,c計算部160は、基地局50から受信したRRCメッセージ及びスケジューリング情報に基づき初期化処理を実行する。例えば、Pcmax,c計算部160は、受信したRRCメッセージ及びスケジューリング情報に基づきSRSの送信電力PSRS_cellを算出するための計算式の各種パラメータを初期化する。
【0105】
ステップS602において、Pcmax,c計算部160は、リソースブロックが割り当てられた1以上のセルiのSRSの送信電力PSRS_cell_iを決定するため、まずリソースブロックが割り当てられたセルを所定の選択規範に従ってソートする。上述したように、基地局50は、移動局100に割り当てた各CC又はセルを識別するためのセルインデックスをRRCメッセージにより移動局100に通知している。Pcmax,c計算部160は、このセルインデックスの昇順又は降順に従って、リソースブロックが割り当てられているセルをソートしてもよい。また、Pcmax,c計算部160は、何れかの方法により取得した基地局50と移動局100との間の各セルのパスロスに基づき、パスロスの昇順又は降順に従ってリソースブロックが割り当てられているセルをソートしてもよい。Pcmax,c計算部160は、ソートした各セルの総数Nを算出し、セルインデックスiを0に初期化する。
【0106】
ステップS603において、Pcmax,c計算部160は、リソースブロックが割り当てられた各セルiに対して、所定のSRSの送信電力の算出式に従ってSRSの送信電力PSRS_cell_iを計算する。
【0107】
ステップS604において、Pcmax,c計算部160は、セルインデックスiに対応するセル(セルiと呼ぶ)にSRSが割り当てられているか判断する。セルiにSRSが割り当てられている場合、当該処理はステップS605に移行し、セルiにSRSが割り当てられていない場合、当該処理はステップS609に移行する。
【0108】
ステップS605において、Pcmax,c計算部160は、セルiの算出されたSRSの送信電力PSRS_cell_iが、上限値Pcmax,c_Hから図5のステップS102において決定されたPUCCHの送信電力PPUCCH、ステップS103において決定されたPUSCH w/ UCIの送信電力PPUSCH_UCI及びステップS104において決定されたPUSCH w/o UCIの送信電力PPUSCH_cellの合計値を差し引いた後の剰余電力未満であるか判断する。算出されたPSRS_cell_iが剰余電力未満である場合、当該処理はステップS606に移行し、算出されたPSRS_cell_iが剰余電力未満でない場合、当該処理はステップS607に移行する。
【0109】
ステップS606において、Pcmax,c計算部160は、算出されたPSRS_cell_iが、すでに決定されたPUCCHの送信電力PPUCCH、PUSCH w/ UCIの送信電力PPUSCH_UCI及びPUSCH w/o UCIの送信電力PPUSCH_cellの合計値を考慮して所定の送信電力要求(Unwanted emission requirements)を充足しているか判断する。この送信電力要求は、例えば、PSRS_cell_i、PPUCCH、PPUSCH_UCI及びPPUSCH_cellとの合計の送信電力が他のシステムに干渉を与えるおそれがないことを保障する電力レベル以下であるという要求であってもよい。算出されたPSRS_cell_iが所定の送信電力要求を充足する場合、当該処理はステップS608に移行し、算出されたPSRS_cell_iが所定の送信電力要求を充足しない場合、当該処理はステップS607に移行する。
【0110】
ステップS607において、Pcmax,c計算部160は、算出されたPSRS_cell_iを移動局100に許容される最大送信電力に設定する。
【0111】
ステップS608において、Pcmax,c計算部160は、セルインデックスiを1だけインクリメントする。
【0112】
ステップS609において、Pcmax,c計算部160は、更新されたセルインデックスiがリソースブロックが割り当てられたセルの総数Nに達したか判断する。更新されたセルインデックスiがリソースブロックが割り当てられたセルの総数Nに達した場合、Pcmax,c計算部160は、すべてのセルに対してSRSの送信電力を算出する処理が実行されたと判断し、ステップS610に移行する。他方、更新されたセルインデックスiがリソースブロックが割り当てられたセルの総数Nに達していない場合、Pcmax,c計算部160は、SRSの送信電力を算出する処理が実行されていないセルが存在すると判断し、ステップS604に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0113】
ステップS610において、Pcmax,c計算部160は、算出したSRSの送信電力PSRS_cell_iの合計値PSRS_cellを求め、図5のステップS102で算出されたPUCCHの送信電力PPUCCH、ステップS103において決定されたPUSCH w/ UCIの送信電力PPUSCH_UCI、ステップS104において決定されたPUSCH w/o UCIの送信電力PPUSCH_cell及びPSRS_cellの合計値を求める。この合計値が移動局100がアップリンクで送信可能な最大送信電力Pcmaxの上限値Pcmax_Hを超える場合、PSRS_cellをスケーリングして、スケーリング後のPSRS_cell、PPUCCH、PPUSCH_UCI及びPPUSCH_cellの合計値が上限値Pcmax_H以下になるようにする。このスケーリングは上述したPPUSCH_UCI及びPPUSCH_cellのスケーリング方法と同様にして実行可能である。
【0114】
このようにして、本実施例による処理では、すでに決定されたPUCCH、PUSCH w/ UCI及びPUSCH w/o UCIを優先的に送信しながら、剰余の電力を用いてSRSを送信することが可能となる。その後、当該処理は終了し、図5のステップS106に移行する。
【0115】
上述した実施例では、ケース1の優先順位について説明したが、ケース2及び3の優先順位に対する処理も同様にして実行可能であることは、当業者には容易に理解されるであろう。
【0116】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0117】
10 無線通信システム
50 基地局
100 移動局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアアグリゲーションを利用する無線通信システムにおいて使用される移動局であって、
複数のコンポーネントキャリアを用いて当該移動局が同時に送信するよう割り当てられた複数のチャネルを示す制御信号を受信する制御信号受信部と、
前記複数のコンポーネントキャリアに割り当てられた複数のチャネルを送信するための送信電力を算出し、前記算出された複数のチャネルの送信電力に基づき前記複数のコンポーネントキャリアのそれぞれを送信するための最大送信電力を算出する最大送信電力算出部と、
を有し、
前記最大送信電力算出部は、プライマリセルを最も高い優先順位に割り当てた所定のセル優先順位に従って、前記複数のコンポーネントキャリアのうち優先順位の高いコンポーネントキャリアを送信するための送信電力を確保するよう前記最大送信電力を決定する移動局。
【請求項2】
前記最大送信電力算出部は、前記所定のセル優先順位に従って前記複数のチャネルを送信するための送信電力を順次算出し、前記算出された送信電力の累積値が前記最大送信電力の上限値を超えると、前記上限値以下になるようセル優先順位の低いコンポーネントキャリアに対して算出された送信電力をスケーリングする、請求項1記載の移動局。
【請求項3】
前記制御信号受信部は、前記受信した制御信号から前記複数のコンポーネントキャリアを識別するためのセルインデックスを抽出し、
前記最大送信電力算出部は、前記セルインデックスの順序に従って、前記複数のコンポーネントキャリアのうち優先順位の高いコンポーネントキャリアを送信するための送信電力を確保するよう前記最大送信電力を決定する、請求項1又は2記載の移動局。
【請求項4】
前記最大送信電力算出部は、前記基地局と当該移動局との間のパスロスの大きさに従って、前記複数のコンポーネントキャリアのうち優先順位の高いコンポーネントキャリアを送信するための送信電力を確保するよう前記最大送信電力を決定する、請求項1又は2記載の移動局。
【請求項5】
キャリアアグリゲーションを利用する無線通信システムにおいて使用される方法であって、
基地局が、複数のコンポーネントキャリアを用いて移動局が同時に送信するよう割り当てた複数のチャネルを示す制御信号を送信するステップと、
前記移動局が、前記制御信号を受信するステップと、
前記移動局が、前記複数のコンポーネントキャリアに割り当てられた複数のチャネルを送信するための送信電力を算出するステップと、
前記移動局が、前記算出された複数のチャネルの送信電力に基づき前記複数のコンポーネントキャリアのそれぞれを送信するための最大送信電力を算出するステップと、
を有し、
前記最大送信電力を算出するステップは、プライマリセルを最も高い優先順位に割り当てた所定のセル優先順位に従って、前記複数のコンポーネントキャリアのうち優先順位の高いコンポーネントキャリアを送信するための送信電力を確保するよう前記最大送信電力を決定する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−216969(P2012−216969A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80201(P2011−80201)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】