説明

移動式傾動坩堝炉

【課題】炉体の傾動時に、坩堝が傾くことがないうえ、坩台が傾動方向に位置ずれすることがないようにする。
【解決手段】内部に溶湯Aを保持し上部に溶湯を排出する注出口を有する坩堝4と、坩堝4を内部に収容する炉体2と、下面61が炉体2の底部2A上に載置され上面62に坩堝4が載置される坩台6と、炉体2を支持するとともに坩堝4内部の溶湯Aが注出口から排出されるよう炉体2を傾動させることが可能な支持体とを備え、炉体2の炉壁2Aと坩台6との間には、炉体2の傾動時に端面が炉壁2Bに突き当たって坩台6の傾動方向への移動を止める位置ずれ防止部材8が介在するとともに、坩台6には、その上面62より突き出て坩堝4の下部外周面に当接し、炉体2の傾動時に坩堝4の前記下部外周面を受けて支持するストッパー9が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄などの金属を溶解、保持、運搬、出湯する傾動式坩堝炉に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばダイキャスト工場においては、溶解炉で溶解したアルミニウムなどの溶湯を取鍋と呼ぶ耐熱容器に受け、工場内の各鋳造設備などに付帯している保持炉に分配している。しかし、このように溶解炉から取鍋に溶湯を注入するように構成すると、溶湯注入時に溶湯の温度低下を招くとともに、空気などと接触することで溶湯表面に酸化物などの反応性不純物が直ぐに生成され、振動や攪拌によって溶湯に溶け込んでしまう結果、鋳造品の品質劣化の原因ともなる。さらに、溶湯の温度維持のため、取鍋に高度の断熱性能も求められる。
【0003】
そこで、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄などの金属を溶解後、溶湯を取鍋などに移し替えることなく、各鋳造設備の保持炉に溶湯を注入することが可能な坩堝炉が提案されている。この種の坩堝炉として、坩堝炉の内部に設置された坩堝に保持されているアルミニウムなどの溶湯を容易に出湯することができるように、傾動式の坩堝炉が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この傾動式の坩堝炉100は、図7に示すように、支持体115に支持された炉体101と、炉体101の内部に収容されて溶湯を保持する坩堝103と、坩堝103を支持する坩台104と、炉体101に取り付けられて坩堝103を加熱するバーナー110と、バーナー110に燃料供給経路107およびブロワ112を介して燃料および空気を供給する燃料用配管部116と、炉体101を昇降させる昇降駆動体114とを備えている。また、炉体101は、回転軸113を回転中心として回転自在に支持されている。
【0005】
このような傾動式の坩堝炉100によれば、バーナー110から炉体101の内部に燃焼ガスを噴出し、坩堝103を加熱することにより、坩堝103内に投入された溶解すべき金属を溶解して溶湯を得る。その後、炉体101を昇降駆動体114によって持ち上げて、回転軸113を中心として回転させて傾けることにより、炉体101の内部に収容されている坩堝103が傾き、坩堝103内に保持された溶湯が注出口から出湯されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−140353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の傾動式の坩堝炉100は、炉体101内部の底面上に設置された坩台104の上面に坩堝103を設けているだけの構成であるから、坩堝103の安定性が悪く、坩堝103内の溶湯を排出するために炉体101を傾けたときに、坩堝102が前方に移動して坩台104に対するその設置位置がずれたり、さらには前傾して坩台104から転落してしまったりするおそれがある。そのうえ、坩台104を炉体101の底面上に固定しないと、炉体101の傾動時に、坩台104も傾動方向である前方に移動してしまって炉体101に対するその設置位置がずれてしまうおそれがある。
【0008】
この発明は、上記した問題に着目してなされたもので、炉体の傾動時に、坩堝が傾くことがないうえ、坩台が傾動方向に位置ずれすることがない傾動式坩堝炉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の前記目的は、内部に溶湯を保持し上部に溶湯を排出する注出口を有する坩堝と、前記坩堝を内部に収容する炉体と、下面が前記炉体の底部上に載置され上面に前記坩堝が載置される坩台と、前記炉体を支持するとともに前記坩堝内部の溶湯が注出口から排出されるよう前記炉体を傾動させることが可能な支持体とを備え、前記炉体の炉壁と坩台との間には、前記炉体の傾動時に端面が炉壁に突き当たって坩台の傾動方向への移動を止める位置ずれ防止部材が介在するとともに、前記坩台には、その上面より突き出て前記坩堝の下部外周面に当接しかつ前記炉体の傾動時に坩堝の前記下部外周面を受けて支持するストッパーが設けられていることを特徴とする傾動式坩堝炉により達成される。
【0010】
また、本発明の傾動式坩堝炉は、前記炉体の炉壁に設置され前記坩堝を加熱するため炉体内に燃焼ガスを噴射するバーナーを有する燃焼装置をさらに備え、前記坩台は中央部に空洞を有する筒状をなし、その上面および下面の少なくとも一方には前記バーナーからの燃焼ガスを前記空洞へと導く溝部が凹設されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の傾動式坩堝炉によれば、従来の取鍋を介さずに金属を溶解して溶湯を得るとともに、溶湯を保持、運搬、出湯できることから、作業を簡素化および効率化(工数低減)を実現できるうえ、溶湯の温度低下や不純物の混入などによる溶湯の品質の低下を極力抑えることができる。そして、炉体の炉壁と坩台との間には、端面が傾動方向側の炉壁に突き当たる位置ずれ防止部材が介在しているので、坩台を炉体内部の所定位置に正しくしかも容易にセットすることができるうえ、溶湯を出湯する際の炉体の傾動時に坩台が傾動方向へ移動することがなく、さらに坩台には、坩堝の傾動方向側の下部外周面を受けて支持するストッパーが設けられているので、炉体の傾動時に坩堝が前傾するおそれもない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例である傾動式坩堝炉の一部を破断した側面図である。
【図2】図1に示す傾動式坩堝炉の正面図である。
【図3】図1に示す傾動式坩堝炉の縦断面図である。
【図4】図1に示す傾動式坩堝炉の横断面図である。
【図5】坩台の平面図である。
【図6】図5のA−A線に沿う断面図である。
【図7】従来例の傾動式の坩堝炉の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例である傾動式坩堝炉1の側面図を、図2は、この傾動式坩堝炉1の正面図を、図3は、この傾動式坩堝炉1の縦断面図を、図4は、この傾動式坩堝炉1の横断面図を、それぞれ示している。
【0014】
この傾動式坩堝炉1は、図1〜図4に示すように、円筒状の炉体2と、炉体2を支持する支持体3と、炉体2の内部に収容される坩堝4と、炉体2の内部を加熱する燃焼装置5と、坩堝4を支持する坩台(以下、「ストッパー付エコ坩台」という。)6とを備えている。なお、図3および図4においては、支持体3は図示を省略している。
【0015】
前記炉体2は、鋼鉄などの金属により形成された上部に開口部23を有するケース20の内面に、断熱材の層(図示せず)を介して耐火材21を内張りすることにより形成されている。前記断熱材としては、例えば、断熱煉瓦、セラミックファイバー質のフェルト、断熱ボードおよびモルタルなどを用いることができる。また、前記耐火材21としては、例えば、耐火煉瓦、キャスタブル耐火物およびプラスチック耐火物などを用いることができる。
【0016】
炉体2内の耐火層21で囲まれた空間が加熱室22であり、この加熱室22内に坩堝4が収容されている。前記坩堝4は、加熱室22の床面(炉体2底部2Aの耐火材21)上に載置された円筒状のストッパー付エコ坩台6上に載置されている。この坩堝4は、有底で上部が開口しており、その内部に溶融金属からなる溶湯Aを収容可能である。坩堝4の素材としては、熱伝導性が良好な材料からなることが好ましく、取り扱う溶融金属に応じて、黒鉛坩堝、アルミナ坩堝、ムライト坩堝、ジルコニア坩堝などを適宜選択して使用することができる。
【0017】
坩堝4の上部には、溶湯Aを注出するための溶湯注出口40が形成されている。この溶湯注出口40により、炉体2ごと坩堝4を傾けて坩堝4から溶湯Aを排出する際においてその作業性を高めることができる。坩堝4の上方は、炉体2の上部に開閉可能に備えられた炉蓋7により覆われている。
【0018】
炉蓋7は、炉体2の上部開口部23を覆う蓋体であり、その中央部には坩堝4内に溶湯を注入するなどの作業に利用される注入口70が形成されている。炉体2と炉蓋7との間には、密閉性を高めるために、例えば、セラミックファイバー製のブランケットなどの耐火断熱材(図示せず)を介在させている。なお、炉蓋7には、注入口70を開閉自在に覆う小蓋(図示せず)を設け、運搬時や注湯時などには、前記小蓋によって注入口70が塞がれるようにすることが好ましい。
【0019】
炉体2の炉壁2B下部には、端面が平面状のブロック部24が突設されている。このブロック部24は、炉体2内部のストッパー付エコ坩台6とほぼ同じ高さ位置となる(ストッパー付エコ坩台6の周囲に位置する)ように設けられており、その端面には炉体2の内外を連通するガス導入口25が形成されている。このガス導入口25に、燃焼ガスを発生可能な燃焼装置5のバーナー50が着脱可能に取り付けられる。
【0020】
燃焼装置5は、ガス燃料を空気と混合して燃焼ガスを供給するバーナー50と、バーナー50にガス燃料を供給する燃料配管系51と、バーナー50に燃焼用の空気を供給するブロワ52とを備えており、燃料配管系51は、炉体2とは別体で設置された図示しない燃料供給源に接続されている。
【0021】
燃焼装置5が炉体2に取り付けられた状態では、バーナー50はガス導入口25に挿入されて炉体2に収容されている。燃焼装置5を作動させることにより、バーナー50から炉体2内部に燃焼ガスが噴出し、この燃焼ガスが炉体2内に行き渡って坩堝4を外周から加熱することにより、坩堝4内の金属が溶解して溶湯Aを得ることができる。
【0022】
ブロック部24の端面には、蓋板26が開閉可能に取り付けられており、燃焼装置5のバーナー50を炉体2から取りはずしたときには、ガス導入口25から外気の進入を防止するために、蓋板26を閉じることでガス導入口25が塞がれるようになっている。この蓋板26を開閉可能とするには種々の態様があるが、例えば、蓋板26を上下に往復動するようスライド可能に取り付けたり、蓋板26の一端をヒンジで止めたりすることが挙げられる。
【0023】
なお、図中、27は煙突であり、バーナー50によって炉体2内に噴射された高温の燃焼ガスは、炉壁2Bに形成された煙突27につながる煙道(図示せず)から煙突27をとおって、外部に排出されるようになっている。
【0024】
炉体2の炉壁2Bには、前記支持体3を構成する左右一対の軸部30,30が一体形成されている。支持体3は、炉体2を吊り上げて直立姿勢で支持するとともに、炉体2を傾動可能に支持するものであり、各軸部30,30と、左右一対の吊り杆31,31と、各吊り杆31,31を連結する連結杆32とを備えている。
【0025】
各吊り杆31の下端部には、軸受け32,32が固定されており、この軸受け32,32に軸部33,33が回動自在に支持されている。また、一方の軸部33上には、減速装置34を介してハンドル35が備えられており、ハンドル35を回動操作することにより、炉体2は軸部33を回動中心として前方に向けて傾動し(図1および図3に示すX方向)、これにより、坩堝4が炉体2とともに前傾する結果、坩堝4内の溶湯Aが溶湯注出部40から排出されるようになっている。
【0026】
また、連結杆32には吊り輪35が形成されている。クレーン車(図示せず)などに取り付けられたフックを吊り輪35に挿入係止することにより、炉体2が支持体3を介してクレーンにより垂直姿勢で吊り下げられる結果、炉体2を鉛直方向に昇降させることができるとともに、炉体2を例えば工場内の各鋳造設備に直接運搬することができる取鍋としての機能も有する。
【0027】
前記ストッパー付エコ坩台6は、図5および図6に示すように、耐熱性に優れ、かつ、酸化しにくい、例えばシリカ(SiO)などにより形成され、中央部に空洞60を有する中空筒状のものであり、その下面61が加熱室22の床面と当接し、その上面62が坩堝4の底面と当接することにより坩堝4を支持している。
【0028】
ストッパー付エコ坩台6の上面62および下面61には、それぞれ等角度位置(図示例では90度毎)に、径方向に沿って延びる複数(図示例では4つ)の溝部63が凹設されている。各溝部63は、前記空洞60とストッパー付エコ坩台6の外部とを連通する連通部として機能しており、燃焼装置5のバーナー50から炉体2内に噴射された高温の燃焼ガスが前記溝部63を通ってストッパー付エコ坩台6内部の空洞60に導入されることにより、坩堝4は外周からだけでなく、その底部からも加熱されるようになる。これにより、溶湯Aを均一に加熱することができるうえ、加熱効率を大幅に向上することができる。
【0029】
ストッパー付エコ坩台6の下部前端面には、外周方向、すなわち、炉体2の傾動方向側の炉壁2Bに向けて張り出す位置ずれ防止部材8が一体に突設されている。この位置ずれ防止部材8は、所定の厚みを有する平板状のものであり、その基端部80がストッパー付エコ坩台6の外周面に沿って湾曲するとともに、張り出された先端部81が炉体2の炉壁2Bの内面に沿って湾曲する形態のものである。
【0030】
ストッパー付エコ坩台6は、炉体2の底部2A上に載置されるときに、この位置ずれ防止部材8が炉体2の炉壁2Bとの間に介在し、炉壁2Bの内面に先端部81の端面が突き当たって当接することにより、炉体2内の所定位置に位置決めされる。そして、炉体2が軸部33回りに前方に傾動した場合でも、前方(炉体2の傾動方向)に向かって移動して位置ずれするのが規制されるようになっている。
【0031】
また、ストッパー付エコ坩台6の上部前端面には、坩堝4を受けて支持するストッパー9が一体形成されている。このストッパー9は、ストッパー付エコ坩台6の外周面に固着された基部90と、基部90上に設けられ、ストッパー付エコ坩台6の上面62から所定の高さ突き出て坩堝4の傾動方向側の下部外周面と接する受部91とを備えている。
【0032】
前記受部91は、その内面91Aが坩堝4と接するように、坩堝4の下部外周面に沿って湾曲しており、これにより、坩堝4はストッパー付エコ坩台6に対して直立した安定な姿勢を保った状態でストッパー付エコ坩台6上に載置されるようになっている。また、炉体2が軸部33回りに前方に傾動して坩堝4が前傾する場合には、受部91の内面91Aが坩堝4の下部外周面を直接受けて支持するので、坩堝4は前方(炉体2の傾動方向)に向かって移動したり、さらには転倒したりすることもなく、ストッパー付エコ坩台6からの転落を防止できる。
【0033】
なお、図中、92は、ストッパー付エコ坩台6の上面62に設けられた一つの溝部63と連通するように、ストッパー9の基部90に形成された貫通孔である。炉体2に導入された燃焼ガスは、この貫通孔92からストッパー付エコ坩台6の前記溝部63を通って空洞60内に導かれるようになっている。
【0034】
次に、上記した構成の傾動式坩堝炉1を用いて溶湯Aを出湯する方法を説明する。まず、炉体2内にストッパー付エコ坩台6を、位置ずれ防止部材8の先端部81が炉体2の前方側(炉体2の傾動方向側)の炉壁2Bの内面と当接するように載置してストッパー付エコ坩台6を位置決めさせる。そして、坩堝4をストッパー付エコ坩台6の上面62上に、ストッパー9の受部91の内面91Aが坩堝4の下部外周面に当接するように載置する。
【0035】
次に、支持体3の吊り杆31を横に倒した状態で、炉蓋7の注入口70から坩堝4内に材料となる金属を注入した後、燃焼装置5のバーナー50を炉体2に取り付けて、燃焼装置5を作動させることにより、バーナー50から炉体2の内部に燃焼ガスを噴出し、坩堝4を加熱する。このとき、坩堝4は、燃焼ガスにより側部から加熱されるとともに、燃焼ガスがストッパー付エコ坩台6の溝部63を通って空洞60内に導入されることにより、その底部からも加熱される。これにより、坩堝4内の金属が溶解して溶湯Aが得られる。
【0036】
次に、バーナー50を炉体2のガス導入口25から引き抜き燃焼装置5を炉体2から退避させて、蓋板26によりガス導入口25を塞いだ後、ハンドル35操作により、炉体2を軸部33を中心として回転させて(図1および図3に示すX方向)傾ける。これにより、炉体2の内部の坩堝4も傾き、溶湯注出口40から溶湯Aが出湯される。
【0037】
この傾動式坩堝炉1では、炉体2の炉壁2Aとストッパー付エコ坩台6との間に、先端部81の端面が炉体2の傾動方向側の炉壁2Bに突き当たる位置ずれ防止部材8が介在しているので、ストッパー付エコ坩台6を炉体2内部の所定位置に正しくしかも容易にセットすることができるうえ、炉体2の傾動時に、ストッパー付エコ坩台6が前方(炉体2の傾動方向)へ移動することがなく、ストッパー付エコ坩台6の載置位置を維持することができる。さらに、ストッパー付エコ坩台6には、坩堝4の下部外周面を直接受けて支持するストッパー9が設けられているので、炉体2の傾動時に、坩堝4がストッパー付エコ坩台6上を前方(炉体2の傾動方向)に向かって移動したり、さらにはストッパー付エコ坩台6から転倒したりすることがなく、坩堝4のストッパー付エコ坩台6に対する載置位置を維持することもできる。
【0038】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明の具体的な態様は、上記実施例に限定されるものではない。例えば、本実施例では、位置ずれ防止部材8はストッパー付エコ坩台6に一体形成されているが、必ずしも一体形成されている必要はなく、ストッパー付エコ坩台6と別体であってもよい。
【0039】
また、ガス導入口25は、必ずしもストッパー付エコ坩台6とほぼ同じ高さ位置に設ける必要はないが、バーナー50の燃焼ガスが坩堝4の周囲を旋回するように、坩堝4の外周面の接線方向に沿うように形成されていることが好ましい。
【符号の説明】
【0040】
1 傾動式坩堝炉
2 炉体
2A 底部
2B 炉壁
3 支持体
4 坩堝
5 燃焼装置
6 ストッパー付エコ坩台
8 位置ずれ防止部材
9 ストッパー
40 注出口
50 バーナー
60 空洞
61 下面
62 上面
63 溝部
A 溶湯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に溶湯を保持し上部に溶湯を排出する注出口を有する坩堝と、前記坩堝を内部に収容する炉体と、下面が前記炉体の底部上に載置され上面に前記坩堝が載置される坩台と、前記炉体を支持するとともに前記坩堝内部の溶湯が注出口から排出されるよう前記炉体を傾動させることが可能な支持体とを備え、
前記炉体の炉壁と坩台との間には、前記炉体の傾動時に端面が炉壁に突き当たって坩台の傾動方向への移動を止める位置ずれ防止部材が介在するとともに、前記坩台には、その上面より突き出て前記坩堝の下部外周面に当接しかつ前記炉体の傾動時に坩堝の前記下部外周面を受けて支持するストッパーが設けられていることを特徴とする傾動式坩堝炉。
【請求項2】
前記炉体の炉壁に設置され前記坩堝を加熱するため炉体内に燃焼ガスを噴射するバーナーを有する燃焼装置をさらに備え、
前記坩台は中央部に空洞を有する筒状をなし、その上面および下面の少なくとも一方には前記バーナーからの燃焼ガスを前記空洞へと導く溝部が凹設されていることを特徴とする請求項1に記載の傾動式坩堝炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−2199(P2011−2199A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147451(P2009−147451)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(592134871)日本坩堝株式会社 (31)
【Fターム(参考)】