移動棚の棚位置検出装置
【課題】位置検出のため特別な移動をさせることなく常に各単位棚の現在位置を正確に検出することができる設置が簡単な移動棚の棚位置検出装置を供する。
【解決手段】移動する全ての単位棚方向にレーザ光を出射できる位置にレーザスキャナSが設置され、移動する各単位棚A2,A3,…にレーザスキャナSのレーザ光を入射方向に反射するレーザ光反射器R2,R3,…が設置され、レーザスキャナSに対する各レーザ光反射器R2,R3,…は、単位棚とともに移動しても常にレーザスキャナSの走査角度範囲にあって、走査による検出順序が常に同じになるような位置関係に配置され、演算手段11,12,13が、レーザスキャナSにより検出した各レーザ光反射器R2,R3,…のレーザスキャナSからの距離と方位角の少なくも1つを入力して各単位棚A2,A3,…の位置を算出する移動棚の棚位置検出装置。
【解決手段】移動する全ての単位棚方向にレーザ光を出射できる位置にレーザスキャナSが設置され、移動する各単位棚A2,A3,…にレーザスキャナSのレーザ光を入射方向に反射するレーザ光反射器R2,R3,…が設置され、レーザスキャナSに対する各レーザ光反射器R2,R3,…は、単位棚とともに移動しても常にレーザスキャナSの走査角度範囲にあって、走査による検出順序が常に同じになるような位置関係に配置され、演算手段11,12,13が、レーザスキャナSにより検出した各レーザ光反射器R2,R3,…のレーザスキャナSからの距離と方位角の少なくも1つを入力して各単位棚A2,A3,…の位置を算出する移動棚の棚位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種物品を収納できる移動棚に係り、特に単位棚を移動して通路形成を行うために必要となる各単位棚の現在位置を検出する棚位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動棚の各単位棚の現在位置を検出する検出手段として、各単位棚の走行用のモータの駆動軸の回転を減速歯車を介して回転するシャフトの回転数を求めることで、単位棚の現在位置を算出する例がある(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平8−140757号公報
【0004】
同特許文献1の検出手段(散開位置検出手段)は、前記シャフトに嵌着される回転盤と光電センサを備えており、同回転盤の周縁部に多数孔が穿設され、光電センサは、発光部と受光部が回転盤の周縁部を挟んで対向している。
【0005】
走行用モータの駆動により車輪を回転駆動して単位棚が移動すると、同時に回転盤が回転し、回転盤の周縁部の孔を発光部からの光が通過して受光部に達するごとに、1パルス信号が発生するので、このパルス数を計数することで、単位棚の移動量が演算される。
当初、単位棚を基準位置に設定しておけば、パルス数の累積算(走行用モータが逆回転の場合は減算する)が基準位置からの距離すなわち単位棚の位置を示すことになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1の位置検出手段の場合、車輪のスリップが発生すると、正確な位置が検出できなくなる。
スリップが発生したか否かは、容易に知ることはできないので、該位置検出手段により検出された単位棚の位置が正確である保証は常にない状態にある。
そこで、できるだけ正確に位置検出を行うために、移動を始める前に一旦単位棚を基準位置に戻すように制御している。
【0007】
回転盤と光電センサを備える位置検出手段を各単位棚にそれぞれ設けなければならず、光電センサからの電力線および信号線の配線もしなければならないので、棚位置検出装置を簡単に設置することはできず面倒である。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、位置検出のため特別な移動をさせることなく常に各単位棚の現在位置を正確に検出することができる設置が簡単な移動棚の棚位置検出装置を供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、複数の単位棚が棚間口面に直角となるレールに案内されて移動自在に配置され、集束時にそれぞれ相隣る間口面が接し、所要の単位棚を移動して任意の相隣る単位棚間を開いて棚通路を選択的に形成する移動棚の各単位棚の位置を検出する棚位置検出装置において、移動する全ての前記単位棚方向にレーザ光を出射できる位置にレーザスキャナが設置され、移動する各単位棚に前記レーザスキャナのレーザ光を入射方向に反射するレーザ光反射器が設置され、前記レーザスキャナに対する前記各レーザ光反射器は、前記単位棚とともに移動しても常に前記レーザスキャナの走査角度範囲にあって、走査による検出順序が常に同じになるような位置関係に配置され、演算手段が、前記レーザスキャナにより検出した前記各レーザ光反射器の前記レーザスキャナからの距離と方位角を入力して各単位棚の位置を算出する移動棚の棚位置検出装置とした。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の移動棚の棚位置検出装置において、前記レーザスキャナに対する前記各レーザ光反射器は、同レーザ光反射器の移動範囲を前記レーザスキャナが見込む反射有効角度範囲が相互に重ならない位置関係に配置されることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の移動棚の棚位置検出装置において、前記レーザスキャナは、前記固定棚の天板上に水平にレーザ光を走査可能に設置され、前記レーザ光反射器は、前記各単位棚の天板上に設置されることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の移動棚の棚位置検出装置において、前記レーザスキャナは、前記固定棚の天板上に水平にレーザ光を走査可能に設置され、前記レーザ光反射器は、前記各単位棚の天板上の端部の互いに同じ位置に設置されることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の移動棚の棚位置検出装置において、前記レーザスキャナは、前記固定棚の天板上の両端部にそれぞれ水平にレーザ光を走査可能に設置され、前記レーザ光反射器は、前記各単位棚の天板上の両端部の互いに同じ位置に設置され、前記各単位棚の天板上の一方の端部の前記各レーザ光反射器は、前記固定棚の天板上の他方の端部の前記レーザスキャナの走査角度範囲内に常にあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の移動棚の棚位置検出装置によれば、移動する全ての前記単位棚方向にレーザ光を出射できる位置にレーザスキャナが設置され、移動する各単位棚にレーザスキャナのレーザ光を入射方向に反射するレーザ光反射器が設置され、レーザスキャナに対する各レーザ光反射器は、単位棚とともに移動しても常にレーザスキャナの走査角度範囲にあって、走査による検出順序が常に同じになるような位置関係に配置され、演算手段が、レーザスキャナにより検出した各レーザ光反射器のレーザスキャナからの距離と方位角を入力して各単位棚の位置を算出するので、レーザスキャナの走査による検出順序で各単位棚をそれぞれ特定し、レーザスキャナにより検出した各レーザ光反射器のレーザスキャナからの距離と方位角から各単位棚の現在位置を適宜正確に算出することができる。
【0015】
移動する全ての前記単位棚方向にレーザ光を出射できる位置にレーザスキャナを設置し、移動する各単位棚にレーザ光反射器を設置すればよいので、レーザ光反射器からの配線もなく、棚位置検出装置を簡単に設置することができる。
既存の移動棚に後から棚位置検出装置を設置することも容易にできる。
【0016】
請求項2記載の移動棚の棚位置検出装置によれば、レーザスキャナに対する各レーザ光反射器は、同レーザ光反射器の移動範囲をレーザスキャナが見込む反射有効角度範囲が相互に重ならない位置関係に配置されるので、各単位棚を確実に特定し、各単位棚の現在位置を適宜正確に算出することができる。
すなわち、レーザ光反射器に異常があっても、その異常を見出すとともに、他の正常なレーザ光反射器の検出に影響を与えずにその正常なレーザ光反射器を備える単位棚を特定して位置を正確に算出することができる。
【0017】
請求項3記載の移動棚の棚位置検出装置によれば、レーザスキャナは固定棚の天板上に水平にレーザ光を走査可能に設置され、レーザ光反射器は各単位棚の天板上に設置されるので、レーザスキャナとレーザ光反射器ともに設置し易く、邪魔にならずかつ目に付きにくく外観を損じることがない。
【0018】
請求項4記載の移動棚の棚位置検出装置によれば、レーザ光反射器は、各単位棚の天板上の端部の互いに同じ位置に設置されるので、各単位棚をレーザ光反射器の取付けも含め同じ単位棚とし、製造を容易にし、コストの削減を図ることができる。
また、各単位棚のレーザ光反射器は、レーザスキャナから可及的に遠い位置に設置されることになり、レーザスキャナの走査角度範囲を小さくすることができる。
【0019】
請求項5記載の移動棚の棚位置検出装置によれば、レーザスキャナを固定棚の天板上の両端部に、レーザ光反射器を各単位棚の天板上の両端部に配置し、各単位棚の天板上の一方の端部の各レーザ光反射器は、固定棚の天板上の他方の端部のレーザスキャナの走査角度範囲内に常にあるので、各単位棚の天板上の両端部に設置される2つのレーザ光反射器からの反射で得られる各単位棚についての2つの位置情報から各単位棚が斜行状態にあるか否かを常に監視することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る一実施の形態について図1ないし図4に基づいて説明する。
本実施の形態に係る入出管理システムは、移動棚1に適用したもので、該移動棚1は電動式移動棚であって、各駆動単位棚が走行用モータ10の駆動により移動することができる。
【0021】
図1は、該移動棚1の全体斜視図であり、図2は、同正面図である。
移動棚1を正面視して、左から右へ順に1号棚A1,2号棚A2,3号棚A3,4号棚A4,5号棚A5,6号棚A6が並んでおり、左端の1号棚A1が固定単位棚であって、同1号棚A1を除く単位棚A2,A3,A4,A5,A6が駆動単位棚であって、左右方向に指向して敷設されたレール2の上に車輪3を介して走行自在に配設されている。
【0022】
固定単位棚である1号棚A1は、間口面が右側にのみある単式棚で、その間口面の反対側(左側)の背面は背板により閉塞されている。
右端の駆動単位棚である6号棚A6は、間口面が左側にのみある単式棚で、その間口面の反対側(右側)の背面は背板4bにより閉塞されている。
1号棚A1と6号棚A6との間にある駆動単位棚A2,A3,A4,A5は、左右にそれぞれ間口面を有する複式棚である。
【0023】
したがって、駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6は、それぞれ走行用モータ10を搭載して自走可能であり、この5台の駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6が、全て左端の固定単位棚A1側に集束すると、相隣る間口が接し移動棚1内に収容された物品は、周囲を完全に閉塞されて安全に保管される。
【0024】
所要の駆動単位棚を移動して任意の相隣る単位棚間を開いて作業用の棚通路を選択的に形成することができる。
例えば、図1および図2に示す状態は、全棚集束状態から5号棚A5と6号棚A6を同時に右方に移動して、4号棚A4と5号棚A5との間を開いて4号棚A4の右間口面と5号棚A5の左間口面との間に棚通路5を形成している。
【0025】
単位棚A1,A2,A3,A4,A5,A6の正面と反対の奥側は壁に沿っており、そのため、棚通路5には正面側からのみ入出可能となっている。
なお、棚通路5の正面側と奥側の双方で入出可能とし、双方を同じ構成にしてもよい。
【0026】
各単位棚A1,A2,A3,A4,A5,A6の正面側板4aには上下中央位置に制御基板などを含む制御部6が設けられていて、1号棚(固定棚)A1を除く移動する単位棚A2,A3,A4,A5,A6の制御部6の上端面の左側に通路形成を指示する操作ボタン7が配設されている。
【0027】
固定単位棚A1の天板8の中央位置にレーザスキャナSが設置されている。
1号棚A1の天板8上に突設される該レーザスキャナSは、水平方向に投光するレーザ光を垂直軸心を中心として約100度の走査角度で旋回走査する。
【0028】
駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の各天板8には、レーザ光反射器であるリフレクタR2,R3,R4,R5,R6が配設されている。
該リフレクタR2,R3,R4,R5,R6は、駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の各天板8に互いに異なる所定位置に設置され、ある程度移動があってもレーザスキャナSからのレーザ光を入射方向に反射することができる凹面鏡である。
【0029】
リフレクタR2,R3,R4,R5,R6としては、凹面鏡の代わりに2枚の平面鏡を互いに直角に組み合わせたものまたは3枚の平面鏡を互いに直角に組み合わせたコーナキューブ・ミラーでもよい。
【0030】
リフレクタR2,R3,R4,R5,R6を駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の各天板8に配置する各位置は、互いに異なる所定の位置であり、移動棚1の平面図を模式化して示した説明図である図3を用いて説明する。
図3は、5台の駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6が、全て左端の固定単位棚A1側に集束した状態を実線で示し、5台の駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6を全て移動して1号棚A1と2号棚A2との間に棚通路を形成した状態を破線で示している。
【0031】
図3において、固定単位棚A1の天板8の中央に設置されたレーザスキャナSを原点0に、原点0から駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の移動方向をX軸、原点0を通りX軸に垂直にY軸を設定したXY座標を想定する。
レーザスキャナSは、Y軸方向を走査開始方向として走査角度(約100度)時計回り方向に走査したところを走査終了方向に設定している。
【0032】
このレーザスキャナSの走査角度範囲に、リフレクタR2,R3,R4,R5,R6が常に存在するようにする。
移動棚1が集束した状態で、レーザスキャナSが走査開始方向(Y軸方向)から走査したとき、リフレクタR2,R3,R4,R5,R6は、この順番に検出されるように配置されており、各単位棚が移動したとしても直動するので、この検出順序は変わらない。
【0033】
そして、2号棚A2の天板8に設けられるリフレクタR2についてみると、実線で示す棚集束時のリフレクタR2は、Y軸を基準にして角度θ2の方向に位置するように該天板8の端部近傍に設置されている。
2号棚A2が集束状態から走行して破線で示した最大移動した時のリフレクタR2´は、角度θ2´(>θ2)の方向に位置する。
リフレクタR2が、レーザスキャナSからのレーザ光を反射する反射有効角度範囲は、角度θ2以上で角度θ2´以下の角度範囲(θ2≦θ≦θ2´)である。
【0034】
次に、3号棚A3の天板8に設けられるリフレクタR3についてみると、実線で示す棚集束時のリフレクタR3は、Y軸を基準にして角度θ2´より大きい角度θ3の方向に位置するように該天板8の端部より若干中央(X軸)寄りに設置されている。
3号棚A2が最大移動した時のリフレクタR3´は、角度θ3´(>θ3)の方向に位置し、リフレクタR3の反射有効角度範囲は、θ3≦θ≦θ3´である。
【0035】
同様にして、リフレクタR4について反射有効角度範囲がθ4≦θ≦θ4´となる4号棚A4の天板8上のより中央(X軸)に近づいた位置にリフレクタR4が設置され、さらにリフレクタR5について反射有効角度範囲がθ5≦θ≦θ5´となる5号棚A5の天板8上のさらに中央(X軸)に近づいた位置にリフレクタR5が設置される。
そして、本実施の形態にあっては、リフレクタR6は、X軸上(θ6=θ6´=90°)にあるように6号棚A6の中央位置に設置されている。
【0036】
ここに、θ3´<θ4、θ4´<θ5、θ5´<θ6=90°の関係にある。
すなわち、リフレクタR2,R3,R4,R5,R6の各反射有効角度範囲θは、互いに重複しない位置関係にある。
【0037】
このような相対位置関係にある各駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6のリフレクタR2,R3,R4,R5,R6によりレーザスキャナSからのレーザ光が反射されると、レーザスキャナSは反射レーザ光の入射によりレーザ光(レーザパルス)が往復した時間からリフレクタまでの距離dを計測するとともに、反射したレーザ光の走査角度からリフレタの方位角φ(Y軸を基準にした角度)を計測する。
【0038】
移動棚1の走行制御系の概略ブロック図を図4に示す。
固定単位棚A1の制御部6には、マイクロコンピュータからなる主制御盤11が収容されていて、主制御盤11はレーザスキャナSが検出し計測した情報を入力し処理する。
【0039】
主制御盤11は、リフレクタR2,R3,R4,R5,R6の各反射有効角度範囲θを、記憶するメモリを備えており、レーザスキャナSが検出したリフレクタの方位角φがいずれの反射有効角度範囲θ内にあるかを照合してどのリフレクタで反射したものであるかを特定するとともに、特定されたリフレクタの方位角φと距離dから当該リフレクタを備える駆動単位棚の現在位置(駆動単位棚中央のX座標)xを、x=d・sinφの式から演算する。
【0040】
したがって、レーザスキャナSが全走査角度を走査することで、各リフレクタR2,R3,R4,R5,R6からレーザ光がそれぞれ反射して戻ってくるので、各リフレクタR2,R3,R4,R5,R6の方位角φと距離dから各駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の現在位置を算出することができる。
この各駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の現在位置情報は、主制御盤11により集中管理される。
【0041】
駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の各制御部6には、コンピュータである副制御盤12が収納されていて、この副制御盤12は走行用モータ10の駆動制御を行うと同時に、操作ボタン7の検知信号を入力し処理する。
【0042】
1号棚A1の主制御盤11は、各駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の集束時の位置情報(X座標x2,x3,x4,x5,x6)および最大移動時の位置情報(X座標x2´,x3´,x4´,x5´,x6´)を記憶しており、前記管理している各駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の現在位置情報に基づき駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の駆動を集中的に制御する。
【0043】
移動棚1が集束状態にあるときに、レーザスキャナSが走査して、各駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の現在位置を検出すると、正常ならば図3に実線に示す状態にあって、各現在位置(X座標)は、x2,x3,x4,x5,x6を示し、記憶した集束時の位置情報と照合して正常であるか否か確認できる。
【0044】
この状態から、例えば、5号棚A5の制御部6の上端にある操作ボタン7が押されると、5号棚A5の副制御盤12から操作情報が主制御盤11に入力され、主制御盤11は、各駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の現在位置x2,x3,x4,x5,x6を確認の下で、5号棚A5と6号棚A6の副制御盤12に走行指令を出し、5号棚A5と6号棚A6を同時に正面視で右方に走行させて、図1および図2に示すように4号棚A4と5号棚A5と間に棚通路5を形成する。
【0045】
このときも、レーザスキャナSにより検出した5号棚A5と6号棚A6の位置を、記憶していた5号棚A5と6号棚A6の最大移動時の位置情報x5´,x6´と照合して正常に移動したか否か確認できる。
駆動単位棚の停止位置がずれているときは、何らかの異常があることが分かり、その異常がどの単位棚に生じているかも容易に認識できる。
【0046】
また、レーザスキャナSが検出したリフレクタの方位角φがどの反射有効角度範囲θにあるかによって反射したリフレクタを特定しているので、ノイズによる誤認識を防止できるとともに、レーザスキャナSの走査においてある反射有効角度範囲θ内でリフレクタのレーザ反射光がないときは、何らかの異常があると認識でき、どのリフレクタに異常があるかも認識でき、これは他のリフレクタの特定に影響を与えることはなく誤認識を招かない。
【0047】
駆動単位棚に対して移動指示した後の移動距離が逐次認識可能となるため、移動指示があるにもかかわらず検出位置が変化しないようなときは、棚間に人や物が挟まったりするような異常事態であると判断して即停止させることが可能である。
【0048】
また逆に、各駆動単位棚の現在位置が常時認識できるため、移動指示していない駆動単位棚の検出位置が変化するようなことがあると、無理に棚間をこじ開けようとする外力が加わっているおそれがあり、警報を発するなど警報装置と組み合わせてセキュリティ管理が可能である。
【0049】
各駆動単位棚の移動距離が正確に認識できるため、各駆動単位棚毎に移動距離を積算することによりメンテナンス時期の判断や、収納物の平均化等が可能となる。
【0050】
さらに、各駆動単位棚の現在位置が常時認識できるため、移動のための速度制御が必要な場合も特にそのための検出器を必要とせずに速度制御することが可能である。
このため、設備導入等のコスト削減が図れる。
【0051】
次に、レーザ光反射器の配置の変形例を図5に示す。
移動棚は、前記実施の形態の移動棚1と同じであり、駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の各天板8に設けられるリフレクタR2,R3,R4,R5,R6の配置が前記実施の形態と異なるとともに、レーザスキャナSの走査角度が180°であることが異なる。
【0052】
本例のリフレクタR2,R3,R4,R5,R6は、Y軸方向に大きく分散して配置されており、レーザスキャナSの走査により検出されるリフレクタの順序は、R2,R4,R6,R5,R3の順序であり、この検出順序は、駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6が移動しても変わらない。
【0053】
そして、リフレクタR2,R3,R4,R5,R6は、その各反射有効角度範囲θが互いに重複することがなく、かつ反射有効角度範囲θが互いに離れた角度範囲にあるので、より確実にリフレクタを識別することができる。
【0054】
以上のように、本発明は、各駆動単位棚の現在位置を直接絶対値で認識できるため、車輪のスリップや滑りがあったとしても、これに影響されずに、正しい現在位置を求めることができ、正確な通路形成ができる。
【0055】
また一方で、各駆動単位棚の現在位置を直接絶対値で認識できるため、駆動単位棚に対し停止指示した後のスリップ距離を測定することができ、これを考慮した通路形成制御を行うことによって、より正確な通路形成が可能となる。
さらに、滑りの度合いが増加しつつあると判断されたときは、警告を発することも可能となり、故障に至る前の予防保全対応が可能となる。
【0056】
各駆動単位棚の現在位置が常時認識できるため、移動が必要な複数の駆動単位棚を同時に一斉に移動制御することができ、順次移動させるのに比べて大幅に作業時間を短縮することができる。
【0057】
また、各駆動単位棚の現在位置が常時認識できるため、あらゆる通路形成の形態に対応可能となり仕様上の汎用性が向上し、しかもその際、原点合せをする必要がないため運用上の利便性も向上する。
【0058】
次に、以上の棚位置検出装置を用いた別の移動制御の例について図6に基づいて説明する。
本移動棚は、4台の単位棚A1,A2,A3,A4からなり、図6において左端の1号棚A1は固定単位棚であり、その他の2号棚A2,3号棚A3,4号棚A4は駆動単位棚である。
固定単位棚A1にはレーザスキャナS、各駆動単位棚A2,A3,A4にはリフレクタR2,R3,R4が、前記実施の形態と同様に配設されており、常時各駆動単位棚A2,A3,A4の現在位置を認識できるようになっている。
【0059】
右端に壁があり、固定単位棚A1と壁との間に1.5通路分(通常の棚通路幅の1.5倍分)の駆動単位棚A2,A3,A4の移動スペースを有する。
各単位棚A1,A2,A3,A4には当該単位棚の右側に通路を形成すべく指示する操作ボタンPが設けられている。
図6(1)に示す状態は、1号棚A1と2号棚A2との間が半通路(通常の通路幅の半分の0.5通路)開き、4号棚A4と壁との間に1通路(通常の通路幅の棚通路)が形成されて4号棚A4から物品の出し入れがなされる状態である。
【0060】
ここで、2号棚A2の操作ボタンPが押されると、2号棚A2が左方へ半通路分移動すると同時に、3号棚A3と4号棚A4が右方へ半通路分移動して、図6(2)に示すように、2号棚A2と3号棚A3との間に1通路形成している。
2号棚A2と3号棚A3と4号棚A4を、それぞれ所要の方向に同時に半通路分移動させて通路形成を行うので、通路形成時間を大幅に短縮することができる。
【0061】
次に、3号棚A3の操作ボタンPが押されると、同時に2号棚A2が右方へ半通路分移動し、3号棚A3が左方へ半通路分移動し、4号棚A4が右方へ半通路分移動して、図6(3)に示すように、3号棚A3と4号棚A4との間に1通路形成している。
2号棚A2と3号棚A3と4号棚A4を、同時に半通路分移動させて通路形成を行うので、通路形成時間を大幅に短縮している。
【0062】
次に、4号棚A4の操作ボタンPが押されると、4号棚A4のみ左方に1通路分移動して、図6(4)に示すように、4号棚A4と壁との間に1通路形成している。
この場合のみ、4号棚A4が1通路分移動することになる。
【0063】
次に、1号棚A1の操作ボタンPが押されると、2号棚A2,3号棚A3,4号棚A4が一斉に右方へ半通路分移動して、図5に示すように、1号棚A1と2号棚A2との間に1通路形成している。
2号棚A2と3号棚A3と4号棚A4を、一斉に半通路分移動させて通路形成を行うので、通路形成時間を大幅に短縮している。
【0064】
レーザスキャナSの走査により各駆動単位棚A2,A3,A4の現在位置が常時認識できるため、以上のような移動制御を正確に実行することができ、作業時間の短縮を図ることができる。
【0065】
また、図7に示すように、換気などのため、駆動単位棚A2,A3,A4を同時に駆動して互いに等間隔に散開させることも可能である。
かかる散開状態は、駆動単位棚A2,A3,A4がどのような位置にあっても、各駆動単位棚A2,A3,A4がそれぞれ独自に所定位置に向かって同時に移動することができるので、作業時間が短縮される。
【0066】
連ごとに独立した連切れタイプの移動棚においては、連ごとの各ブロック単位にレーザスキャナを設けることにより、全ての駆動移動棚の現在位置をそれぞれ絶対値で認識できるため、誤作動のない、より正確な通路形成が可能となる。
【0067】
次に、レーザスキャナSとレーザ光反射器の配置の変形例を図8および図9に示す。
移動棚は、前記図1ないし図4に図示の実施の形態の移動棚1と同じであり、固定単位棚A1と駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6からなる。
固定単位棚A1の天板8の正面側端部にレーザスキャナSが設置され、駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の各天板8の正面と反対側の奥側端部にそれぞれリフレクタR2,R3,R4,R5,R6が設置されている。
【0068】
リフレクタR2,R3,R4,R5,R6は、2枚の平面鏡を互いに直角に組み合わせたものであり、それぞれ駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の互いに同じ位置に同じ姿勢で配置されている。
固定単位棚A1の天板8上に突設される該レーザスキャナSは、水平方向に投光するレーザ光を垂直軸心を中心として90度未満の走査角度で旋回走査する。
【0069】
各リフレクタR2,R3,R4,R5,R6からの反射レーザ光に基づき前記したように、レーザスキャナSから各リフレクタR2,R3,R4,R5,R6までの距離と方位角を計測し、駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の現在位置を算出することができる。
【0070】
各駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6は、2枚の平面鏡を互いに直角に組み合わせたリフレクタR2,R3,R4,R5,R6が互いに同じ姿勢で同じ位置に取り付けられるので、全く同じ駆動単位棚として製造を容易にし、コストの削減を図ることができる。
【0071】
また、各駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6のリフレクタR2,R3,R4,R5,R6は、各天板の一方の端部にあって1号棚A1の天板の他方の端部にあるレーザスキャナSから可及的に遠い位置に設置されているので、レーザスキャナSの走査角度範囲を90度未満と小さくすることができる。
【0072】
すなわち、図8に示すように5台の駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6が全て左端の固定単位棚A1側に集束した状態においてレーザスキャナSがリフレクタR2,R3,R4,R5,R6を見込む角度範囲と、図9に示すように駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6が移動して固定単位棚A1と2号棚A2との間を開いて棚通路5を形成した状態においてレーザスキャナSがリフレクタR2,R3,R4,R5,R6を見込む角度範囲との双方の角度範囲を包含するようなレーザスキャナSの走査角度範囲は、90度を下回る小さい角度範囲である。
【0073】
次に、レーザスキャナとレーザ光反射器の配置のさらに別の変形例を、図10および図11に示す。
本実施の形態は、上記図8および図9に図示の実施の形態の移動棚1およびレーザスキャナS、リフレクタR2,R3,R4,R5,R6をそのまま残し、新たにレーザスキャナS、リフレクタR2,R3,R4,R5,R6の前後対称な位置にそれぞれ同じ機能を有するレーザスキャナS´、リフレクタR2´,R3´,R4´,R5´,R6´を配置したものである。
【0074】
すなわち、固定単位棚A1の天板8の前端にレーザスキャナS、後端にレーザスキャナS´が前後対称位置に配置され、駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6のそれぞれの前端と後端の前後対称位置にリフレクタR2´,R3´,R4´,R5´,R6´とリフレクタR2,R3,R4,R5,R6が配置されている。
【0075】
図10が、図8に対応して5台の駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6が全て左端の固定単位棚A1側に集束した状態を示し、図11が、図9に対応して駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6が移動して固定単位棚A1と2号棚A2との間を開いて棚通路5を形成した状態を示している。
【0076】
例えば、駆動単位棚A2が移動しているときは、レーザスキャナSがリフレクタR2で反射したレーザ光を受けることで、駆動単位棚A2の現在位置を算出できると同時に、レーザスキャナS´がリフレクタR2´で反射したレーザ光を受けることで、駆動単位棚A2の現在位置を算出できる。
【0077】
この2つの駆動単位棚A2の位置情報は、駆動単位棚A2が正常に走行しているときは、一致することになる。
しかし、この2つの駆動単位棚A2の位置情報が異なる場合は、駆動単位棚A2が斜行(レール2に対して駆動単位棚A2が直角でなく斜めに角度を持った姿勢で走行)していると考えられる。
【0078】
すなわち、駆動単位棚A2が斜行状態にあるか否かを常時監視することができる。
他の駆動単位棚A3,A4,A5,A6についても、同様にして位置情報とともに斜行状態にあるか否かを常時監視することができる。
【0079】
駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6がそれぞれ前後2本のレール2上を転動する前後2つの駆動輪を有し、その前後の駆動輪が2個のモータにより独立して駆動されるものとすると、2個のモータの駆動により正常に走行しているときは、検出される2つの位置情報は一致するが、斜行状態にあると、検出される2つの位置情報は不一致となるので、その場合は2つの位置情報の差をもとに一方のモータを停止させるか速度を変化させて斜行を修正することができる。
【0080】
駆動単位棚の斜行状態を常時監視していることにより斜行の開始を高い精度で認識することができるので、斜行が発生し始めた時に、直ぐに修正することができ、このように細かく斜行を修正することで、モータの駆動力も小さくてよく、よって小型モータを使用することができ、コストの低減を図ることができる。
【0081】
各駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6は、2枚の平面鏡を互いに直角に組み合わせたリフレクタR2,R3,R4,R5,R6およびリフレクタR2´,R3´,R4´,R5´,R6´が互いに同じ姿勢で同じ位置に取り付けられるので、全く同じ駆動単位棚として製造を容易にし、コストの削減を図ることができる。
【0082】
なお、レーザスキャナSは、固定単位棚に設置されていたが、固定単位棚に限らず移動する全ての駆動単位棚方向にレーザ光を出射できる固定位置ならば何処でも設置可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の一実施の形態に係る移動棚の全体斜視図である。
【図2】同移動棚の正面図である。
【図3】同移動棚の平面図を模式化して示した説明図である。
【図4】同移動棚の走行制御系の概略ブロック図である。
【図5】レーザ光反射器の配置の変形例を示す模式図である。
【図6】別の移動制御の例を示す説明図である。
【図7】さらに別の移動制御の例を示す説明図である。
【図8】レーザスキャナとレーザ光反射器の配置の変形例の移動棚の平面図を模式化して示した説明図である。
【図9】別の状態の同説明図である。
【図10】レーザスキャナとレーザ光反射器の配置のさらに別の変形例の移動棚の平面図を模式化して示した説明図である。
【図11】別の状態の同説明図である。
【符号の説明】
【0084】
A1…単位棚(固定棚)、A2,A3,A4,A5,A6…単位棚(駆動単位棚)、
1…移動棚、2…レール、3…車輪、4…背板、4a…正面側板、4b…背板、5…棚通路、6…制御部、7…操作ボタン、10…走行用モータ、
11…主制御盤、12…副制御盤、
S…レーザスキャナ、R2,R3,R4,R5,R6…リフレクタ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種物品を収納できる移動棚に係り、特に単位棚を移動して通路形成を行うために必要となる各単位棚の現在位置を検出する棚位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動棚の各単位棚の現在位置を検出する検出手段として、各単位棚の走行用のモータの駆動軸の回転を減速歯車を介して回転するシャフトの回転数を求めることで、単位棚の現在位置を算出する例がある(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平8−140757号公報
【0004】
同特許文献1の検出手段(散開位置検出手段)は、前記シャフトに嵌着される回転盤と光電センサを備えており、同回転盤の周縁部に多数孔が穿設され、光電センサは、発光部と受光部が回転盤の周縁部を挟んで対向している。
【0005】
走行用モータの駆動により車輪を回転駆動して単位棚が移動すると、同時に回転盤が回転し、回転盤の周縁部の孔を発光部からの光が通過して受光部に達するごとに、1パルス信号が発生するので、このパルス数を計数することで、単位棚の移動量が演算される。
当初、単位棚を基準位置に設定しておけば、パルス数の累積算(走行用モータが逆回転の場合は減算する)が基準位置からの距離すなわち単位棚の位置を示すことになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1の位置検出手段の場合、車輪のスリップが発生すると、正確な位置が検出できなくなる。
スリップが発生したか否かは、容易に知ることはできないので、該位置検出手段により検出された単位棚の位置が正確である保証は常にない状態にある。
そこで、できるだけ正確に位置検出を行うために、移動を始める前に一旦単位棚を基準位置に戻すように制御している。
【0007】
回転盤と光電センサを備える位置検出手段を各単位棚にそれぞれ設けなければならず、光電センサからの電力線および信号線の配線もしなければならないので、棚位置検出装置を簡単に設置することはできず面倒である。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、位置検出のため特別な移動をさせることなく常に各単位棚の現在位置を正確に検出することができる設置が簡単な移動棚の棚位置検出装置を供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、複数の単位棚が棚間口面に直角となるレールに案内されて移動自在に配置され、集束時にそれぞれ相隣る間口面が接し、所要の単位棚を移動して任意の相隣る単位棚間を開いて棚通路を選択的に形成する移動棚の各単位棚の位置を検出する棚位置検出装置において、移動する全ての前記単位棚方向にレーザ光を出射できる位置にレーザスキャナが設置され、移動する各単位棚に前記レーザスキャナのレーザ光を入射方向に反射するレーザ光反射器が設置され、前記レーザスキャナに対する前記各レーザ光反射器は、前記単位棚とともに移動しても常に前記レーザスキャナの走査角度範囲にあって、走査による検出順序が常に同じになるような位置関係に配置され、演算手段が、前記レーザスキャナにより検出した前記各レーザ光反射器の前記レーザスキャナからの距離と方位角を入力して各単位棚の位置を算出する移動棚の棚位置検出装置とした。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の移動棚の棚位置検出装置において、前記レーザスキャナに対する前記各レーザ光反射器は、同レーザ光反射器の移動範囲を前記レーザスキャナが見込む反射有効角度範囲が相互に重ならない位置関係に配置されることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の移動棚の棚位置検出装置において、前記レーザスキャナは、前記固定棚の天板上に水平にレーザ光を走査可能に設置され、前記レーザ光反射器は、前記各単位棚の天板上に設置されることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の移動棚の棚位置検出装置において、前記レーザスキャナは、前記固定棚の天板上に水平にレーザ光を走査可能に設置され、前記レーザ光反射器は、前記各単位棚の天板上の端部の互いに同じ位置に設置されることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の移動棚の棚位置検出装置において、前記レーザスキャナは、前記固定棚の天板上の両端部にそれぞれ水平にレーザ光を走査可能に設置され、前記レーザ光反射器は、前記各単位棚の天板上の両端部の互いに同じ位置に設置され、前記各単位棚の天板上の一方の端部の前記各レーザ光反射器は、前記固定棚の天板上の他方の端部の前記レーザスキャナの走査角度範囲内に常にあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の移動棚の棚位置検出装置によれば、移動する全ての前記単位棚方向にレーザ光を出射できる位置にレーザスキャナが設置され、移動する各単位棚にレーザスキャナのレーザ光を入射方向に反射するレーザ光反射器が設置され、レーザスキャナに対する各レーザ光反射器は、単位棚とともに移動しても常にレーザスキャナの走査角度範囲にあって、走査による検出順序が常に同じになるような位置関係に配置され、演算手段が、レーザスキャナにより検出した各レーザ光反射器のレーザスキャナからの距離と方位角を入力して各単位棚の位置を算出するので、レーザスキャナの走査による検出順序で各単位棚をそれぞれ特定し、レーザスキャナにより検出した各レーザ光反射器のレーザスキャナからの距離と方位角から各単位棚の現在位置を適宜正確に算出することができる。
【0015】
移動する全ての前記単位棚方向にレーザ光を出射できる位置にレーザスキャナを設置し、移動する各単位棚にレーザ光反射器を設置すればよいので、レーザ光反射器からの配線もなく、棚位置検出装置を簡単に設置することができる。
既存の移動棚に後から棚位置検出装置を設置することも容易にできる。
【0016】
請求項2記載の移動棚の棚位置検出装置によれば、レーザスキャナに対する各レーザ光反射器は、同レーザ光反射器の移動範囲をレーザスキャナが見込む反射有効角度範囲が相互に重ならない位置関係に配置されるので、各単位棚を確実に特定し、各単位棚の現在位置を適宜正確に算出することができる。
すなわち、レーザ光反射器に異常があっても、その異常を見出すとともに、他の正常なレーザ光反射器の検出に影響を与えずにその正常なレーザ光反射器を備える単位棚を特定して位置を正確に算出することができる。
【0017】
請求項3記載の移動棚の棚位置検出装置によれば、レーザスキャナは固定棚の天板上に水平にレーザ光を走査可能に設置され、レーザ光反射器は各単位棚の天板上に設置されるので、レーザスキャナとレーザ光反射器ともに設置し易く、邪魔にならずかつ目に付きにくく外観を損じることがない。
【0018】
請求項4記載の移動棚の棚位置検出装置によれば、レーザ光反射器は、各単位棚の天板上の端部の互いに同じ位置に設置されるので、各単位棚をレーザ光反射器の取付けも含め同じ単位棚とし、製造を容易にし、コストの削減を図ることができる。
また、各単位棚のレーザ光反射器は、レーザスキャナから可及的に遠い位置に設置されることになり、レーザスキャナの走査角度範囲を小さくすることができる。
【0019】
請求項5記載の移動棚の棚位置検出装置によれば、レーザスキャナを固定棚の天板上の両端部に、レーザ光反射器を各単位棚の天板上の両端部に配置し、各単位棚の天板上の一方の端部の各レーザ光反射器は、固定棚の天板上の他方の端部のレーザスキャナの走査角度範囲内に常にあるので、各単位棚の天板上の両端部に設置される2つのレーザ光反射器からの反射で得られる各単位棚についての2つの位置情報から各単位棚が斜行状態にあるか否かを常に監視することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る一実施の形態について図1ないし図4に基づいて説明する。
本実施の形態に係る入出管理システムは、移動棚1に適用したもので、該移動棚1は電動式移動棚であって、各駆動単位棚が走行用モータ10の駆動により移動することができる。
【0021】
図1は、該移動棚1の全体斜視図であり、図2は、同正面図である。
移動棚1を正面視して、左から右へ順に1号棚A1,2号棚A2,3号棚A3,4号棚A4,5号棚A5,6号棚A6が並んでおり、左端の1号棚A1が固定単位棚であって、同1号棚A1を除く単位棚A2,A3,A4,A5,A6が駆動単位棚であって、左右方向に指向して敷設されたレール2の上に車輪3を介して走行自在に配設されている。
【0022】
固定単位棚である1号棚A1は、間口面が右側にのみある単式棚で、その間口面の反対側(左側)の背面は背板により閉塞されている。
右端の駆動単位棚である6号棚A6は、間口面が左側にのみある単式棚で、その間口面の反対側(右側)の背面は背板4bにより閉塞されている。
1号棚A1と6号棚A6との間にある駆動単位棚A2,A3,A4,A5は、左右にそれぞれ間口面を有する複式棚である。
【0023】
したがって、駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6は、それぞれ走行用モータ10を搭載して自走可能であり、この5台の駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6が、全て左端の固定単位棚A1側に集束すると、相隣る間口が接し移動棚1内に収容された物品は、周囲を完全に閉塞されて安全に保管される。
【0024】
所要の駆動単位棚を移動して任意の相隣る単位棚間を開いて作業用の棚通路を選択的に形成することができる。
例えば、図1および図2に示す状態は、全棚集束状態から5号棚A5と6号棚A6を同時に右方に移動して、4号棚A4と5号棚A5との間を開いて4号棚A4の右間口面と5号棚A5の左間口面との間に棚通路5を形成している。
【0025】
単位棚A1,A2,A3,A4,A5,A6の正面と反対の奥側は壁に沿っており、そのため、棚通路5には正面側からのみ入出可能となっている。
なお、棚通路5の正面側と奥側の双方で入出可能とし、双方を同じ構成にしてもよい。
【0026】
各単位棚A1,A2,A3,A4,A5,A6の正面側板4aには上下中央位置に制御基板などを含む制御部6が設けられていて、1号棚(固定棚)A1を除く移動する単位棚A2,A3,A4,A5,A6の制御部6の上端面の左側に通路形成を指示する操作ボタン7が配設されている。
【0027】
固定単位棚A1の天板8の中央位置にレーザスキャナSが設置されている。
1号棚A1の天板8上に突設される該レーザスキャナSは、水平方向に投光するレーザ光を垂直軸心を中心として約100度の走査角度で旋回走査する。
【0028】
駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の各天板8には、レーザ光反射器であるリフレクタR2,R3,R4,R5,R6が配設されている。
該リフレクタR2,R3,R4,R5,R6は、駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の各天板8に互いに異なる所定位置に設置され、ある程度移動があってもレーザスキャナSからのレーザ光を入射方向に反射することができる凹面鏡である。
【0029】
リフレクタR2,R3,R4,R5,R6としては、凹面鏡の代わりに2枚の平面鏡を互いに直角に組み合わせたものまたは3枚の平面鏡を互いに直角に組み合わせたコーナキューブ・ミラーでもよい。
【0030】
リフレクタR2,R3,R4,R5,R6を駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の各天板8に配置する各位置は、互いに異なる所定の位置であり、移動棚1の平面図を模式化して示した説明図である図3を用いて説明する。
図3は、5台の駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6が、全て左端の固定単位棚A1側に集束した状態を実線で示し、5台の駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6を全て移動して1号棚A1と2号棚A2との間に棚通路を形成した状態を破線で示している。
【0031】
図3において、固定単位棚A1の天板8の中央に設置されたレーザスキャナSを原点0に、原点0から駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の移動方向をX軸、原点0を通りX軸に垂直にY軸を設定したXY座標を想定する。
レーザスキャナSは、Y軸方向を走査開始方向として走査角度(約100度)時計回り方向に走査したところを走査終了方向に設定している。
【0032】
このレーザスキャナSの走査角度範囲に、リフレクタR2,R3,R4,R5,R6が常に存在するようにする。
移動棚1が集束した状態で、レーザスキャナSが走査開始方向(Y軸方向)から走査したとき、リフレクタR2,R3,R4,R5,R6は、この順番に検出されるように配置されており、各単位棚が移動したとしても直動するので、この検出順序は変わらない。
【0033】
そして、2号棚A2の天板8に設けられるリフレクタR2についてみると、実線で示す棚集束時のリフレクタR2は、Y軸を基準にして角度θ2の方向に位置するように該天板8の端部近傍に設置されている。
2号棚A2が集束状態から走行して破線で示した最大移動した時のリフレクタR2´は、角度θ2´(>θ2)の方向に位置する。
リフレクタR2が、レーザスキャナSからのレーザ光を反射する反射有効角度範囲は、角度θ2以上で角度θ2´以下の角度範囲(θ2≦θ≦θ2´)である。
【0034】
次に、3号棚A3の天板8に設けられるリフレクタR3についてみると、実線で示す棚集束時のリフレクタR3は、Y軸を基準にして角度θ2´より大きい角度θ3の方向に位置するように該天板8の端部より若干中央(X軸)寄りに設置されている。
3号棚A2が最大移動した時のリフレクタR3´は、角度θ3´(>θ3)の方向に位置し、リフレクタR3の反射有効角度範囲は、θ3≦θ≦θ3´である。
【0035】
同様にして、リフレクタR4について反射有効角度範囲がθ4≦θ≦θ4´となる4号棚A4の天板8上のより中央(X軸)に近づいた位置にリフレクタR4が設置され、さらにリフレクタR5について反射有効角度範囲がθ5≦θ≦θ5´となる5号棚A5の天板8上のさらに中央(X軸)に近づいた位置にリフレクタR5が設置される。
そして、本実施の形態にあっては、リフレクタR6は、X軸上(θ6=θ6´=90°)にあるように6号棚A6の中央位置に設置されている。
【0036】
ここに、θ3´<θ4、θ4´<θ5、θ5´<θ6=90°の関係にある。
すなわち、リフレクタR2,R3,R4,R5,R6の各反射有効角度範囲θは、互いに重複しない位置関係にある。
【0037】
このような相対位置関係にある各駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6のリフレクタR2,R3,R4,R5,R6によりレーザスキャナSからのレーザ光が反射されると、レーザスキャナSは反射レーザ光の入射によりレーザ光(レーザパルス)が往復した時間からリフレクタまでの距離dを計測するとともに、反射したレーザ光の走査角度からリフレタの方位角φ(Y軸を基準にした角度)を計測する。
【0038】
移動棚1の走行制御系の概略ブロック図を図4に示す。
固定単位棚A1の制御部6には、マイクロコンピュータからなる主制御盤11が収容されていて、主制御盤11はレーザスキャナSが検出し計測した情報を入力し処理する。
【0039】
主制御盤11は、リフレクタR2,R3,R4,R5,R6の各反射有効角度範囲θを、記憶するメモリを備えており、レーザスキャナSが検出したリフレクタの方位角φがいずれの反射有効角度範囲θ内にあるかを照合してどのリフレクタで反射したものであるかを特定するとともに、特定されたリフレクタの方位角φと距離dから当該リフレクタを備える駆動単位棚の現在位置(駆動単位棚中央のX座標)xを、x=d・sinφの式から演算する。
【0040】
したがって、レーザスキャナSが全走査角度を走査することで、各リフレクタR2,R3,R4,R5,R6からレーザ光がそれぞれ反射して戻ってくるので、各リフレクタR2,R3,R4,R5,R6の方位角φと距離dから各駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の現在位置を算出することができる。
この各駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の現在位置情報は、主制御盤11により集中管理される。
【0041】
駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の各制御部6には、コンピュータである副制御盤12が収納されていて、この副制御盤12は走行用モータ10の駆動制御を行うと同時に、操作ボタン7の検知信号を入力し処理する。
【0042】
1号棚A1の主制御盤11は、各駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の集束時の位置情報(X座標x2,x3,x4,x5,x6)および最大移動時の位置情報(X座標x2´,x3´,x4´,x5´,x6´)を記憶しており、前記管理している各駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の現在位置情報に基づき駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の駆動を集中的に制御する。
【0043】
移動棚1が集束状態にあるときに、レーザスキャナSが走査して、各駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の現在位置を検出すると、正常ならば図3に実線に示す状態にあって、各現在位置(X座標)は、x2,x3,x4,x5,x6を示し、記憶した集束時の位置情報と照合して正常であるか否か確認できる。
【0044】
この状態から、例えば、5号棚A5の制御部6の上端にある操作ボタン7が押されると、5号棚A5の副制御盤12から操作情報が主制御盤11に入力され、主制御盤11は、各駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の現在位置x2,x3,x4,x5,x6を確認の下で、5号棚A5と6号棚A6の副制御盤12に走行指令を出し、5号棚A5と6号棚A6を同時に正面視で右方に走行させて、図1および図2に示すように4号棚A4と5号棚A5と間に棚通路5を形成する。
【0045】
このときも、レーザスキャナSにより検出した5号棚A5と6号棚A6の位置を、記憶していた5号棚A5と6号棚A6の最大移動時の位置情報x5´,x6´と照合して正常に移動したか否か確認できる。
駆動単位棚の停止位置がずれているときは、何らかの異常があることが分かり、その異常がどの単位棚に生じているかも容易に認識できる。
【0046】
また、レーザスキャナSが検出したリフレクタの方位角φがどの反射有効角度範囲θにあるかによって反射したリフレクタを特定しているので、ノイズによる誤認識を防止できるとともに、レーザスキャナSの走査においてある反射有効角度範囲θ内でリフレクタのレーザ反射光がないときは、何らかの異常があると認識でき、どのリフレクタに異常があるかも認識でき、これは他のリフレクタの特定に影響を与えることはなく誤認識を招かない。
【0047】
駆動単位棚に対して移動指示した後の移動距離が逐次認識可能となるため、移動指示があるにもかかわらず検出位置が変化しないようなときは、棚間に人や物が挟まったりするような異常事態であると判断して即停止させることが可能である。
【0048】
また逆に、各駆動単位棚の現在位置が常時認識できるため、移動指示していない駆動単位棚の検出位置が変化するようなことがあると、無理に棚間をこじ開けようとする外力が加わっているおそれがあり、警報を発するなど警報装置と組み合わせてセキュリティ管理が可能である。
【0049】
各駆動単位棚の移動距離が正確に認識できるため、各駆動単位棚毎に移動距離を積算することによりメンテナンス時期の判断や、収納物の平均化等が可能となる。
【0050】
さらに、各駆動単位棚の現在位置が常時認識できるため、移動のための速度制御が必要な場合も特にそのための検出器を必要とせずに速度制御することが可能である。
このため、設備導入等のコスト削減が図れる。
【0051】
次に、レーザ光反射器の配置の変形例を図5に示す。
移動棚は、前記実施の形態の移動棚1と同じであり、駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の各天板8に設けられるリフレクタR2,R3,R4,R5,R6の配置が前記実施の形態と異なるとともに、レーザスキャナSの走査角度が180°であることが異なる。
【0052】
本例のリフレクタR2,R3,R4,R5,R6は、Y軸方向に大きく分散して配置されており、レーザスキャナSの走査により検出されるリフレクタの順序は、R2,R4,R6,R5,R3の順序であり、この検出順序は、駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6が移動しても変わらない。
【0053】
そして、リフレクタR2,R3,R4,R5,R6は、その各反射有効角度範囲θが互いに重複することがなく、かつ反射有効角度範囲θが互いに離れた角度範囲にあるので、より確実にリフレクタを識別することができる。
【0054】
以上のように、本発明は、各駆動単位棚の現在位置を直接絶対値で認識できるため、車輪のスリップや滑りがあったとしても、これに影響されずに、正しい現在位置を求めることができ、正確な通路形成ができる。
【0055】
また一方で、各駆動単位棚の現在位置を直接絶対値で認識できるため、駆動単位棚に対し停止指示した後のスリップ距離を測定することができ、これを考慮した通路形成制御を行うことによって、より正確な通路形成が可能となる。
さらに、滑りの度合いが増加しつつあると判断されたときは、警告を発することも可能となり、故障に至る前の予防保全対応が可能となる。
【0056】
各駆動単位棚の現在位置が常時認識できるため、移動が必要な複数の駆動単位棚を同時に一斉に移動制御することができ、順次移動させるのに比べて大幅に作業時間を短縮することができる。
【0057】
また、各駆動単位棚の現在位置が常時認識できるため、あらゆる通路形成の形態に対応可能となり仕様上の汎用性が向上し、しかもその際、原点合せをする必要がないため運用上の利便性も向上する。
【0058】
次に、以上の棚位置検出装置を用いた別の移動制御の例について図6に基づいて説明する。
本移動棚は、4台の単位棚A1,A2,A3,A4からなり、図6において左端の1号棚A1は固定単位棚であり、その他の2号棚A2,3号棚A3,4号棚A4は駆動単位棚である。
固定単位棚A1にはレーザスキャナS、各駆動単位棚A2,A3,A4にはリフレクタR2,R3,R4が、前記実施の形態と同様に配設されており、常時各駆動単位棚A2,A3,A4の現在位置を認識できるようになっている。
【0059】
右端に壁があり、固定単位棚A1と壁との間に1.5通路分(通常の棚通路幅の1.5倍分)の駆動単位棚A2,A3,A4の移動スペースを有する。
各単位棚A1,A2,A3,A4には当該単位棚の右側に通路を形成すべく指示する操作ボタンPが設けられている。
図6(1)に示す状態は、1号棚A1と2号棚A2との間が半通路(通常の通路幅の半分の0.5通路)開き、4号棚A4と壁との間に1通路(通常の通路幅の棚通路)が形成されて4号棚A4から物品の出し入れがなされる状態である。
【0060】
ここで、2号棚A2の操作ボタンPが押されると、2号棚A2が左方へ半通路分移動すると同時に、3号棚A3と4号棚A4が右方へ半通路分移動して、図6(2)に示すように、2号棚A2と3号棚A3との間に1通路形成している。
2号棚A2と3号棚A3と4号棚A4を、それぞれ所要の方向に同時に半通路分移動させて通路形成を行うので、通路形成時間を大幅に短縮することができる。
【0061】
次に、3号棚A3の操作ボタンPが押されると、同時に2号棚A2が右方へ半通路分移動し、3号棚A3が左方へ半通路分移動し、4号棚A4が右方へ半通路分移動して、図6(3)に示すように、3号棚A3と4号棚A4との間に1通路形成している。
2号棚A2と3号棚A3と4号棚A4を、同時に半通路分移動させて通路形成を行うので、通路形成時間を大幅に短縮している。
【0062】
次に、4号棚A4の操作ボタンPが押されると、4号棚A4のみ左方に1通路分移動して、図6(4)に示すように、4号棚A4と壁との間に1通路形成している。
この場合のみ、4号棚A4が1通路分移動することになる。
【0063】
次に、1号棚A1の操作ボタンPが押されると、2号棚A2,3号棚A3,4号棚A4が一斉に右方へ半通路分移動して、図5に示すように、1号棚A1と2号棚A2との間に1通路形成している。
2号棚A2と3号棚A3と4号棚A4を、一斉に半通路分移動させて通路形成を行うので、通路形成時間を大幅に短縮している。
【0064】
レーザスキャナSの走査により各駆動単位棚A2,A3,A4の現在位置が常時認識できるため、以上のような移動制御を正確に実行することができ、作業時間の短縮を図ることができる。
【0065】
また、図7に示すように、換気などのため、駆動単位棚A2,A3,A4を同時に駆動して互いに等間隔に散開させることも可能である。
かかる散開状態は、駆動単位棚A2,A3,A4がどのような位置にあっても、各駆動単位棚A2,A3,A4がそれぞれ独自に所定位置に向かって同時に移動することができるので、作業時間が短縮される。
【0066】
連ごとに独立した連切れタイプの移動棚においては、連ごとの各ブロック単位にレーザスキャナを設けることにより、全ての駆動移動棚の現在位置をそれぞれ絶対値で認識できるため、誤作動のない、より正確な通路形成が可能となる。
【0067】
次に、レーザスキャナSとレーザ光反射器の配置の変形例を図8および図9に示す。
移動棚は、前記図1ないし図4に図示の実施の形態の移動棚1と同じであり、固定単位棚A1と駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6からなる。
固定単位棚A1の天板8の正面側端部にレーザスキャナSが設置され、駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の各天板8の正面と反対側の奥側端部にそれぞれリフレクタR2,R3,R4,R5,R6が設置されている。
【0068】
リフレクタR2,R3,R4,R5,R6は、2枚の平面鏡を互いに直角に組み合わせたものであり、それぞれ駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の互いに同じ位置に同じ姿勢で配置されている。
固定単位棚A1の天板8上に突設される該レーザスキャナSは、水平方向に投光するレーザ光を垂直軸心を中心として90度未満の走査角度で旋回走査する。
【0069】
各リフレクタR2,R3,R4,R5,R6からの反射レーザ光に基づき前記したように、レーザスキャナSから各リフレクタR2,R3,R4,R5,R6までの距離と方位角を計測し、駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6の現在位置を算出することができる。
【0070】
各駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6は、2枚の平面鏡を互いに直角に組み合わせたリフレクタR2,R3,R4,R5,R6が互いに同じ姿勢で同じ位置に取り付けられるので、全く同じ駆動単位棚として製造を容易にし、コストの削減を図ることができる。
【0071】
また、各駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6のリフレクタR2,R3,R4,R5,R6は、各天板の一方の端部にあって1号棚A1の天板の他方の端部にあるレーザスキャナSから可及的に遠い位置に設置されているので、レーザスキャナSの走査角度範囲を90度未満と小さくすることができる。
【0072】
すなわち、図8に示すように5台の駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6が全て左端の固定単位棚A1側に集束した状態においてレーザスキャナSがリフレクタR2,R3,R4,R5,R6を見込む角度範囲と、図9に示すように駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6が移動して固定単位棚A1と2号棚A2との間を開いて棚通路5を形成した状態においてレーザスキャナSがリフレクタR2,R3,R4,R5,R6を見込む角度範囲との双方の角度範囲を包含するようなレーザスキャナSの走査角度範囲は、90度を下回る小さい角度範囲である。
【0073】
次に、レーザスキャナとレーザ光反射器の配置のさらに別の変形例を、図10および図11に示す。
本実施の形態は、上記図8および図9に図示の実施の形態の移動棚1およびレーザスキャナS、リフレクタR2,R3,R4,R5,R6をそのまま残し、新たにレーザスキャナS、リフレクタR2,R3,R4,R5,R6の前後対称な位置にそれぞれ同じ機能を有するレーザスキャナS´、リフレクタR2´,R3´,R4´,R5´,R6´を配置したものである。
【0074】
すなわち、固定単位棚A1の天板8の前端にレーザスキャナS、後端にレーザスキャナS´が前後対称位置に配置され、駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6のそれぞれの前端と後端の前後対称位置にリフレクタR2´,R3´,R4´,R5´,R6´とリフレクタR2,R3,R4,R5,R6が配置されている。
【0075】
図10が、図8に対応して5台の駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6が全て左端の固定単位棚A1側に集束した状態を示し、図11が、図9に対応して駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6が移動して固定単位棚A1と2号棚A2との間を開いて棚通路5を形成した状態を示している。
【0076】
例えば、駆動単位棚A2が移動しているときは、レーザスキャナSがリフレクタR2で反射したレーザ光を受けることで、駆動単位棚A2の現在位置を算出できると同時に、レーザスキャナS´がリフレクタR2´で反射したレーザ光を受けることで、駆動単位棚A2の現在位置を算出できる。
【0077】
この2つの駆動単位棚A2の位置情報は、駆動単位棚A2が正常に走行しているときは、一致することになる。
しかし、この2つの駆動単位棚A2の位置情報が異なる場合は、駆動単位棚A2が斜行(レール2に対して駆動単位棚A2が直角でなく斜めに角度を持った姿勢で走行)していると考えられる。
【0078】
すなわち、駆動単位棚A2が斜行状態にあるか否かを常時監視することができる。
他の駆動単位棚A3,A4,A5,A6についても、同様にして位置情報とともに斜行状態にあるか否かを常時監視することができる。
【0079】
駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6がそれぞれ前後2本のレール2上を転動する前後2つの駆動輪を有し、その前後の駆動輪が2個のモータにより独立して駆動されるものとすると、2個のモータの駆動により正常に走行しているときは、検出される2つの位置情報は一致するが、斜行状態にあると、検出される2つの位置情報は不一致となるので、その場合は2つの位置情報の差をもとに一方のモータを停止させるか速度を変化させて斜行を修正することができる。
【0080】
駆動単位棚の斜行状態を常時監視していることにより斜行の開始を高い精度で認識することができるので、斜行が発生し始めた時に、直ぐに修正することができ、このように細かく斜行を修正することで、モータの駆動力も小さくてよく、よって小型モータを使用することができ、コストの低減を図ることができる。
【0081】
各駆動単位棚A2,A3,A4,A5,A6は、2枚の平面鏡を互いに直角に組み合わせたリフレクタR2,R3,R4,R5,R6およびリフレクタR2´,R3´,R4´,R5´,R6´が互いに同じ姿勢で同じ位置に取り付けられるので、全く同じ駆動単位棚として製造を容易にし、コストの削減を図ることができる。
【0082】
なお、レーザスキャナSは、固定単位棚に設置されていたが、固定単位棚に限らず移動する全ての駆動単位棚方向にレーザ光を出射できる固定位置ならば何処でも設置可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の一実施の形態に係る移動棚の全体斜視図である。
【図2】同移動棚の正面図である。
【図3】同移動棚の平面図を模式化して示した説明図である。
【図4】同移動棚の走行制御系の概略ブロック図である。
【図5】レーザ光反射器の配置の変形例を示す模式図である。
【図6】別の移動制御の例を示す説明図である。
【図7】さらに別の移動制御の例を示す説明図である。
【図8】レーザスキャナとレーザ光反射器の配置の変形例の移動棚の平面図を模式化して示した説明図である。
【図9】別の状態の同説明図である。
【図10】レーザスキャナとレーザ光反射器の配置のさらに別の変形例の移動棚の平面図を模式化して示した説明図である。
【図11】別の状態の同説明図である。
【符号の説明】
【0084】
A1…単位棚(固定棚)、A2,A3,A4,A5,A6…単位棚(駆動単位棚)、
1…移動棚、2…レール、3…車輪、4…背板、4a…正面側板、4b…背板、5…棚通路、6…制御部、7…操作ボタン、10…走行用モータ、
11…主制御盤、12…副制御盤、
S…レーザスキャナ、R2,R3,R4,R5,R6…リフレクタ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単位棚が棚間口面に直角となるレールに案内されて移動自在に配置され、集束時にそれぞれ相隣る間口面が接し、所要の単位棚を移動して任意の相隣る単位棚間を開いて棚通路を選択的に形成する移動棚の各単位棚の位置を検出する棚位置検出装置において、 移動する全ての前記単位棚方向にレーザ光を出射できる位置にレーザスキャナが設置され、
移動する各単位棚に前記レーザスキャナのレーザ光を入射方向に反射するレーザ光反射器が設置され、
前記レーザスキャナに対する前記各レーザ光反射器は、前記単位棚とともに移動しても常に前記レーザスキャナの走査角度範囲にあって、走査による検出順序が常に同じになるような位置関係に配置され、
演算手段が、前記レーザスキャナにより検出した前記各レーザ光反射器の前記レーザスキャナからの距離と方位角を入力して各単位棚の位置を算出することを特徴とする移動棚の棚位置検出装置。
【請求項2】
前記レーザスキャナに対する前記各レーザ光反射器は、同レーザ光反射器の移動範囲を前記レーザスキャナが見込む反射有効角度範囲が相互に重ならない位置関係に配置されることを特徴とする請求項1記載の移動棚の棚位置検出装置。
【請求項3】
前記レーザスキャナは、前記固定棚の天板上に水平にレーザ光を走査可能に設置され、 前記レーザ光反射器は、前記各単位棚の天板上に設置されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の移動棚の棚位置検出装置。
【請求項4】
前記レーザスキャナは、前記固定棚の天板上に水平にレーザ光を走査可能に設置され、
前記レーザ光反射器は、前記各単位棚の天板上の端部の互いに同じ位置に設置されることを特徴とする請求項1記載の移動棚の棚位置検出装置。
【請求項5】
前記レーザスキャナは、前記固定棚の天板上の両端部にそれぞれ水平にレーザ光を走査可能に設置され、
前記レーザ光反射器は、前記各単位棚の天板上の両端部の互いに同じ位置に設置され、
前記各単位棚の天板上の一方の端部の前記各レーザ光反射器は、前記固定棚の天板上の他方の端部の前記レーザスキャナの走査角度範囲内に常にあることを特徴とする請求項1記載の移動棚の棚位置検出装置。
【請求項1】
複数の単位棚が棚間口面に直角となるレールに案内されて移動自在に配置され、集束時にそれぞれ相隣る間口面が接し、所要の単位棚を移動して任意の相隣る単位棚間を開いて棚通路を選択的に形成する移動棚の各単位棚の位置を検出する棚位置検出装置において、 移動する全ての前記単位棚方向にレーザ光を出射できる位置にレーザスキャナが設置され、
移動する各単位棚に前記レーザスキャナのレーザ光を入射方向に反射するレーザ光反射器が設置され、
前記レーザスキャナに対する前記各レーザ光反射器は、前記単位棚とともに移動しても常に前記レーザスキャナの走査角度範囲にあって、走査による検出順序が常に同じになるような位置関係に配置され、
演算手段が、前記レーザスキャナにより検出した前記各レーザ光反射器の前記レーザスキャナからの距離と方位角を入力して各単位棚の位置を算出することを特徴とする移動棚の棚位置検出装置。
【請求項2】
前記レーザスキャナに対する前記各レーザ光反射器は、同レーザ光反射器の移動範囲を前記レーザスキャナが見込む反射有効角度範囲が相互に重ならない位置関係に配置されることを特徴とする請求項1記載の移動棚の棚位置検出装置。
【請求項3】
前記レーザスキャナは、前記固定棚の天板上に水平にレーザ光を走査可能に設置され、 前記レーザ光反射器は、前記各単位棚の天板上に設置されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の移動棚の棚位置検出装置。
【請求項4】
前記レーザスキャナは、前記固定棚の天板上に水平にレーザ光を走査可能に設置され、
前記レーザ光反射器は、前記各単位棚の天板上の端部の互いに同じ位置に設置されることを特徴とする請求項1記載の移動棚の棚位置検出装置。
【請求項5】
前記レーザスキャナは、前記固定棚の天板上の両端部にそれぞれ水平にレーザ光を走査可能に設置され、
前記レーザ光反射器は、前記各単位棚の天板上の両端部の互いに同じ位置に設置され、
前記各単位棚の天板上の一方の端部の前記各レーザ光反射器は、前記固定棚の天板上の他方の端部の前記レーザスキャナの走査角度範囲内に常にあることを特徴とする請求項1記載の移動棚の棚位置検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−95647(P2009−95647A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−183294(P2008−183294)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【出願人】(000229759)日本ファイリング株式会社 (21)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【出願人】(000229759)日本ファイリング株式会社 (21)
【Fターム(参考)】
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