移動端末と移動端末の移動通信ネットワークへの登録方法
【課題】 MME(Mobility Management Entity)の再開後の移動局への着信の到来に対して即時に通信サービスの復帰を可能とする移動端末と登録方法を提供する。
【解決手段】 MME(Mobility Management Entity)とS−GW(Serving Gateway)とを含む移動通信ネットワークに用いられる移動端末(UE)であって、前記移動端末は、前記MMEが再開した場合に、前記S−GWがオペレータポリシーに基づく特定のS5/S8ベアラーを保持し、それ以外のベアラーを削除する前記移動通信ネットワークから前記移動端末に対する着信に基づきページングを受ける手段と、前記着信を受けた前記移動端末は、前記移動通信ネットワークに再登録(再アタッチ)する手段と、を有する。
【解決手段】 MME(Mobility Management Entity)とS−GW(Serving Gateway)とを含む移動通信ネットワークに用いられる移動端末(UE)であって、前記移動端末は、前記MMEが再開した場合に、前記S−GWがオペレータポリシーに基づく特定のS5/S8ベアラーを保持し、それ以外のベアラーを削除する前記移動通信ネットワークから前記移動端末に対する着信に基づきページングを受ける手段と、前記着信を受けた前記移動端末は、前記移動通信ネットワークに再登録(再アタッチ)する手段と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願についての記載)
本発明は、日本国特許出願:特願2010−102166号(2010年4月27日出願)の優先権主張に基づく国際出願:PCT/JP2011/060215(2011年4月27日)の分割出願であり、これら出願の全記載内容は引用をもって本書に組み込み記載されているものとする。
【0002】
本発明は、通信ネットワークに関し、特に、次世代モバイルネットワークシステムEPC(Evolved Packet Core)に適用して好適な移動端末とその移動通信ネットワークへの登録方法に関する。
【0003】
本明細書で用いられる略語のいくつかを以下に例示する。
【0004】
CS:Circuit Switched;
CSFB:Circuit Switched Fall Back
eNodeB(eNB):evolved NodeB;
G−MSC:Gateway Mobile Switching Center
GPRS:General Packet Radio Service
GTP−C(GPRS Tunneling Protocol Control Plane)
GTP−U(GPRS Tunneling Protocol User Plane)
P−MIP:Proxy Mobile Internet Protocol;
HSS:Home Subscriber Server;
IMS:IP Multimedia Subsystem;
IMSI:International Mobile−Station Subscription Identifier;
ISR:Idlemode Signalling Reduction;
LTE:Long Term Evolution;
MME:Mobility Management Entity;
MSC:Mobile Switching Center;
MTC:Machine type communication;
P−GW(PGWあるいはPDN−GW): Packet Data Network Gateway;
PDN:Packet Data Network;
QCI:QoS Class Identifier;
RAI:Routing Area Identity;
RNC:Radio Network Controller;
S−GW(あるいはSGW): Serving Gateway;
SGSN:Serving GPRS Support Node;
SMS:Short Message Service
SCTP:Stream Control Transmission Protocol;
TA List:Tracking Area List;
TAU:Tracking Area Update;
TEID:Tunnel Endpoint Identifier;
GRE Key:Generic Routing Encapsulation Key;
UE:User Equipment;
UMTS:Universal Mobile Telecommunications System;
VLR:Visited Location Register;
3G:Third Generation;
3GPP:3rd Generation Partnership Project
【背景技術】
【0005】
次世代モバイルネットワークシステムEPCは、3G(第3世代携帯電話通信方式)、LTE等を1つのネットワークに収容するネットワーク・アーキテクチャである。以下、ネットワークノードのいくつかについて概説する。
【0006】
MMEは、移動管理ノードである。MMEは、LTE無線アクセスにおいて、アイドルモードの移動局UE(「ユーザ装置」、「移動端末」、あるいは単に「端末」ともいう)のトラッキング等の移動管理(モビリティ制御)、認証、S−GWと、基地局eNodeB間におけるユーザデータ転送経路の設定を担う。MMEは、アイドルモードのUEのトラッキング、ページング、ベアラーのアクティベート/ディアクティベートプロセスに関わる。MMEは、UEのLTE内ハンドオーバー時にS−GWの選択を行う。MMEは、HSSとともに、ユーザ認証を行う。なお、ベアラーは、eNodeB、S−GW/P−GW間等で設定される論理的なパケット伝達経路をいう。
【0007】
SGSNは、3Gコアネットワークにおける移動管理ノードである。SGSNは、移動局の移動管理等(在圏加入者管理、在圏加入者移動管理、発着信制御、トンネリング制御、課金制御、QoS(Quality of Service)制御等)を行うパケット交換機である。
【0008】
なお、LTEコアネットワークにおいて、移動端末(UE)が電源節約状態のアイドル状態(LTE−Idle)では、複数のセルからなるトラッキングエリアリスト(TA List)の精度で移動局(UE)の識別が行われる(MMEはアップデートされた最新のTA Listを保持する)。移動局への着信時、最後に登録されたTA Listでページングが行われる。一方、3GコアネットワークのSGSNは、RA(Routing Area)でページングを行う。
【0009】
S−GWは、ユーザデータ・パケットをルーティングして転送する。S−GWは、移動局UEのコンテキスト(IPベアラー・サービスのパラメータ等)を管理するベアラー管理ノードである。S−GWは、移動局UEのアタッチ要求を受けたMMEからのベアラー設定要求により、P−GWに対する経路設定要求、eNode方向のベアラー等を設定する。また、S−GWは、ダウンリンク(DL)データが端末に到着したときにページングをトリガーする。
【0010】
P−GWは、パケットデータネットワーク(サービスネットワーク:Web閲覧サービスやIMS等の外部網)への移動局(UE、ユーザ装置、移動端末ともいう)の接続を行う。
【0011】
以下、MME/SGSNの再開について説明する。
【0012】
なお、「再開」、あるいは、「MME/SGSNの再開」とは、障害によるサービス停止、又は、保守等を理由とした意図的なサービス停止等により、MME/SGSNにおいて初期設定動作が行われ、その結果、MME/SGSNの動作に必要な加入者情報、ベアラー情報が喪失することを意味する。
【0013】
非特許文献2(3GPP TS 23.007)には、MME/SGSNの再開をS−GWが検知した場合、S−GWは、再開が発生したMME/SGSNに登録されている移動局UEのベアラーコンテキストを解放することが規定されている。すなわち、非特許文献2の記載によれば、例えばMMEのフェイル後のリスタート時、MMEでは、該リスタートで影響受けるベアラーコンテキストを全て削除する。S−GWでMMEの再開検出時、S−GWは、再開したMMEに対応するPDNコネクションテーブル/ベアラーコンテキストを削除し、PDNコネクションに関連するS−GW内部リソースを解放する。
【0014】
S−GWが非特許文献2に規定される上記仕様に従って動作している場合において、MMEが再開した場合、移動局UE自身による発信、あるいは定期的に実施する周期位置登録(Attach/TAU Request等)をMMEに対して行うまで、S−GWにおいて、移動局UEに対してのパケット着信動作は不可能となる。
【0015】
移動局UEに対して着信があると、ネットワークは、例えば該移動局UEが位置登録しているエリア(トラッキングエリア)に対応する全セルで一斉呼び出し(ページング)を行う。呼び出された移動局UEは、在圏するセルにアクセスし、呼が確立されることになる。しかしながら、非特許文献2に規定される上記仕様によれば、MME再開後のS−GWでは、再開したMMEに対応する全てのベアラー情報、リソース等を既に削除・解放してしまっている。すなわち、S−GWでは、当該S−GWからeNodeB方向の無線アクセスベアラー、MME間のセッション情報も削除・解放してしまっており、移動局UEに対しての着信パケット・データを受け取っても、どうすることもできない。
【0016】
この状態のS−GWには、当該S−GWとP−GW間のトランスポート・プロトコルをなすトンネル(GTP−U、またはP−MIP)の識別情報であるTEID、またはGRE Keyも削除されている。このため、S−GWにおいて、着信データはリジェクト(reject:拒否)される。S−GWからの着信パケットデータの拒否(reject)に応答して、P−GWでも、関連リソースを削除する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】3GPP TS 23.203 V9.4.0(2010−03)3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Services and System Aspects; Policy and charging control architecture(Release 9)、第31頁、Table 6.1.7:Standardized QCI characteristics
【非特許文献2】3GPP TS 23.007 V9.3.0(2010−03)3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Core Network and Terminals;Restoration procedures(Release 9)、第27−28頁
【非特許文献3】3GPP TS 23.272 V9.3.0(2010−03)3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Services and System Aspect;Circuit Switched(CS)fallback In Evolved Packet System(EPS);Stage2(Release 9)第26−27頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上記非特許文献1、2、3の開示は引用をもって本書に繰り込まれる。以下に関連技術の分析を与える。
【0019】
上記したように、S−GWが非特許文献2の上記仕様に従って動作する場合、移動管理ノードMME/SGSNの再開を検知したS−GWでは、再開が発生したMME/SGSNに登録されている移動局UEの全てのベアラーを解放する。
【0020】
このため、移動管理ノードMME/SGSNの再開後に発生した移動局UEへの着信は、当該移動局UEにおいてネットワークに登録するためのアタッチ動作が行われるまで、当該移動局UEに対して通知することが出来ない。すなわち、MME/SGSNの再開後、移動局UE自身による発信又は移動局UEによる周期位置登録を契機としたアタッチ動作が完了するまでの期間、当該移動局UEに対して通信サービスの着信があっても、移動局UEは、当該通信サービスを受けることが出来ない。例えば、移動局UEは、MME/SGSNの再開後、最大、周期位置登録(TAU Request)の時間間隔(例えば45分)の間、UE宛の着信パケットデータは当該UEには届かない。
【0021】
つまり、パケット通信サービスが停止される状況になる。このことは、EPSネットワーク上でIMSが利用される場合において、社会インフラとしての通信サービス等が一定期間受けられなくなることであり、重大な問題である。
【0022】
したがって、本発明の目的は、MMEの再開後の移動端末に対する通信サービスの復帰を速めることを可能とする移動端末と移動端末の移動通信ネットワークへの登録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の1つの側面によれば、MME(Mobility Management Entity)とS−GW(Serving Gateway)とを含む移動通信ネットワークに用いられる移動端末(UE)であって、
前記移動端末は、前記MMEが再開した場合に、前記S−GWがオペレータポリシーに基づく特定のS5/S8ベアラーを保持し、それ以外のベアラーを削除する前記移動通信ネットワークから前記移動端末に対する着信に基づきページングを受ける手段と、
前記着信を受けた前記移動端末は、前記移動通信ネットワークに再登録(再アタッチ)する手段と、を有することを特徴とする移動端末が提供される。
本発明の別の側面によれば、MME(Mobility Management Entity)とS−GW(Serving Gateway)とを含む移動通信ネットワークに用いられる移動端末(UE)の移動通信ネットワークへの登録方法であって、
前記MMEが再開した場合に、前記S−GWがオペレータポリシーに基づく特定のS5/S8ベアラーを保持し、それ以外のベアラーを削除する前記移動通信ネットワークから前記UEに対する着信に基づきページングを受け、前記着信を受けた前記移動端末を前記移動通信ネットワークに再登録(再アタッチ)する、ことを特徴とする移動端末の移動通信ネットワークへの登録方法が提供される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、MMEの再開後の移動端末に対する通信サービスの復帰を速めることを可能としている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一態様の動作を説明する図である。
【図2】本発明の一態様の動作を説明する図である。
【図3】本発明の一態様の動作を説明する図である。
【図4】本発明の一態様の動作を説明する図である。
【図5】本発明の一態様の動作を説明する図である。
【図6】LTEを収容したパケット通信ネットワークを説明する図である。
【図7】2G/3Gを収容したパケット通信ネットワークを説明する図である。
【図8】LTE及び2G/3Gを収容したパケット通信ネットワークを説明する図である。
【図9】CSFB(Circuit Switch Fall Back)を説明する図である。
【図10】本発明の第1の実施形態のシーケンスの一例を説明する図である。
【図11】本発明の第1の実施形態のシーケンスの一例を説明する図である。
【図12】本発明の第1の実施形態のシーケンスの一例を説明する図である。
【図13】本発明の第2の実施形態の動作シーケンスの一例を説明する図である。
【図14】本発明の第2の実施形態の動作シーケンスの一例を説明する図である。
【図15】本発明の第2の実施形態の動作シーケンスの一例を説明する図である。
【図16】本発明の第3の実施形態の動作シーケンスの一例を説明する図である。
【図17】本発明の第3の実施形態の動作シーケンスの一例を説明する図である。
【図18】本発明の第4の実施形態の動作シーケンスの一例を説明する図である。
【図19】本発明の第4の実施形態の動作シーケンスの一例を説明する図である。
【図20】本発明の第4の実施形態の動作シーケンスの一例を説明する図である。
【図21】本発明の第5の実施形態の動作シーケンスの一例を説明する図である。
【図22】本発明の第5の実施形態の動作シーケンスの一例を説明する図である。
【図23】本発明の第5の実施形態の動作シーケンスの一例を説明する図である。
【図24】本発明の一態様の動作シーケンスの一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の好ましい態様の一つにおいて、移動管理ノード(例えばMME/SGSN)が再開した場合、ベアラー管理ノード(S−GW)では、移動管理ノード(MME/SGSN)に関連するベアラーの全てを解放することはしない。ベアラー管理ノード(S−GW)では、該ベアラーの少なくとも1部又は/全てを保持することで、パケット着信サービスを継続する。すなわち、ベアラー管理ノード(例えばS−GW)は、移動体管理ノード(MME/SGSN)の再開を検出すると、移動局(UE)が移動体管理ノード(MME/SGSN)に収容されていることを確認する。ベアラー管理ノード(例えばS−GW)は、移動体管理ノード(MME/SGSN)に収容されている移動局(UE)に関して、ベアラー管理ノード(S−GW)から外部網(例えばPDN)方向に設定されているベアラーのうちの少なくとも1つを保持する。これにより、外部網(PDN)側からの移動局(UE)に対するパケット着信をトリガーとして、当該移動局(UE)をネットワークにアタッチすることを可能とし、移動局(UE)に対する通信サービスの復帰を速めることを可能としている。このように、本発明の好ましい態様の一つにおいては、ベアラー管理ノード(例えばS−GW)は通信サービスを復帰させるための特定のベアラーを維持し、それ以外のベアラーを削除する。そして、本発明の好ましい態様の一つにおいては、前記ベアラー管理ノードは、前記特定のベアラーを維持する場合、タイマをスタートさせ、前記タイマが満了すると、前記維持されていたベアラー資源を削除する構成としてもよい。
【0027】
また、本発明の好ましい態様の1つにおいては、移動管理ノード(MME/SGSN)の再開後に、高信頼性の求められるサービスを選択的にベアラー選択対象とすることを可能としている。この結果、ベアラー管理ノード(S−GW)のリソース消費を抑制すると共に、位置登録が集中することによる輻輳を回避する。
【0028】
また、本発明の好ましい態様の1つにおいては、ベアラー管理ノード(S−GW)にて、移動管理ノード(MME/SGSN)から通知された、
移動端末(UE)の位置登録エリア情報(TA list/RAI)と、
前記移動端末に関連付けされた識別情報(IMSI)と、
を保持する。前記移動管理ノード(MME/SGSN)の再開後に、前記移動端末(UE)への着信データ受信時、前記ベアラー管理ノード(S−GW)から、前記移動管理ノード(MME/SGSN)に対して、前記位置登録エリア情報(TA list/RAI)と前記識別情報(IMSI)を通知し、前記移動管理ノード(MME/SGSN)により、前記位置登録エリア情報(TA list/RAI)に対応するエリアに対してのみ、前記識別情報(IMSI)を用いた一斉呼び出し(page)が行うようにしてもよい。このようにすることで、基地局による呼び出しが行われるエリアを絞ることができる。
【0029】
図1は、本発明の態様の一つを説明する図である。移動局UEの登録情報を管理する移動体管理ノードMME/SGSNは、移動局UEの位置登録情報を事前に、S−GWに通知する。S−GWは、移動局UEの位置登録情報を保持する。またS−GWは、S−GWとP−GW間の各ベアラーを保持する。
【0030】
移動体管理ノードMME/SGSNに再開が発生する。
【0031】
S−GWは、ヘルスチェック等により移動体管理ノードMME/SGSNの再開を検出した場合、S−GWとP−GW間で設定されている各ベアラーを解放せずに保持する。この場合、安定したシステム復旧と通信サービスの可用性(availability)の向上の両立を考慮し、S−GWは、高信頼性通信が要求されるサービス、例えば、オペレータポリシー等に従い、高い可用性を求められるような通信、例えば、IMSにより提供される音声サービス等を提供するベアラーだけを解放せずに、保持し続けるようにし、それ以外のベアラーは削除するようにしてもよい(例えばS−GWは、ネットワーク側から開示されるサービスの復帰に適切な、S−GWとP−GW間の特定のS5/S8ベアラーだけを解放せずに維持し、その他のS5/S8ベアラーは削除するようにしてもよい)。
【0032】
図2に示す例では、S−GWはヘルスチェック(GTP−echo)等により移動体管理ノードMME/SGSNの再開を検出した場合、S−GWは、当該S−GWとP−GW間に設定されているベアラーのうちIMS制御用ベアラー・サービス以外は解放し、IMS制御用ベアラーのみを保持する。このように、特定のサービスのみに適用することにより、システム全体に対する過負荷を回避しながら,MME/SGSNを徐々に復旧させることも可能となる。
【0033】
図3は、本発明をIMSサービスに適用した場合の動作を説明する図である。S−GWに保持されたベアラーを用いてパケットデータが届いた際に、UEを特定するIDであるIMSIと、事前にS−GWに登録していた位置登録エリア情報と共に、再開が発生したMME/SGSNへパケット着信を通知する。これにより、MME/SGSNは、IMSIと位置登録エリア情報を用いてUEを呼び出す(ページング)ことができる。IMSIを用いてページングされた移動局UEは、MME/SGSNに再登録(アタッチ)することにより、必要なベアラーを再度確立することで全てのパケット通信サービスを受けることができる。このようにして、本発明の態様によれば、MME/SGSNが再開した場合でも、サービスの着信を移動局UEに通知し、MMEへのアタッチを促すことで、通信サービスの可用性を向上できる。
【0034】
本発明の態様によれば、MME/SGSNの再開後、UEに対するパケット着信をトリガーにUEをネットワークにアタッチすることを可能とする。着信パケットの到来によりサービスが起動されたUEに対して即時にパケット通信サービスを復帰することができる。
【0035】
また、本発明の態様によれば、MME/SGSN再開後に、高信頼性の求められるサービスのみを、本発明によるベアラー保持対象とすることを可能としている。これは、S−GWのリソース消費を抑制すると共に、位置登録が集中することによる輻輳を回避する。この動作は、特に、MTC等、定期的にパケット通信が発生するようなUEを収容した場合に、不可欠な機能となる。つまり、この場合、MME/SGSNの再開後に多くのUEに対してパケット通信が発生するため、そのパケット通信をトリガーとして加入者の復旧作業がバースト的に発生し、結果的に、システム全体の輻輳を招く可能性があるためである。
【0036】
図4、図5は、本発明をCSFBに適用した例を示す図である。CSFB機能は、LTE上でVoIPサービスが提供されない場合においても、3G−CSドメインの機能を用いた音声サービスを提供するため、音声発着信を3Gに切り替えるものである。CSFB機能は、非特許文献3(Figure7.2−1 Mobile Terminating Call in idle mode)が参照される。
【0037】
図4に示すように、MMEはUEの位置登録情報をMSCに事前に通知する。MMEに再開が発生すると、MSCはヘルスチェック等でMMEの再開を検出する。図5に示すように、発信側のG−MSCから呼が着信(CS着信)すると、MSCはIMSIと位置登録エリアをMMEに通知する。MMEは、IMSIと位置登録エリア情報を用いてUEを呼び出す(ページング)ことができる。
【0038】
以下、本発明の例示的な実施形態を説明する。本発明が適用されるネットワークを図6、図7、図8、及び図9に示す。
【0039】
<実施形態1>
図6は、本発明の例示的な第1の実施形態のネットワーク構成を示す図である。図6には、LTEを収容したパケット通信ネットワークが示されている、図6に示すように、移動局(UE)101と、基地局(eNodeB)102と、MME103と、HSS106と、S−GW104と、P−GW105と、外部網(PDN)108と、IMS109を備えている。IMS109は、回線交換(CS)、パケット交換で提供される通信サービスをSIP(Session Initiation Protocol)で統合しマルチメディアサービスを実現する通信方式である。
【0040】
MME103は、S1−MMEインタフェースによるeNodeB102を収容し、UEの移動管理、認証、ユーザ転送経路の設定を行う。MME103はS6aインタフェースにより、加入者情報を管理するデータベースであるHSS106を参照して、認証等を行う。MME103は、S1−MME、S11インタフェースを介して制御信号を送信受信し、eNodeBとS−GW間のS1−Uインタフェースにおけるユーザ転送経路の設定・解放を行う。S1−Uインタフェース上のトランスポートプロトコルはGTP−Uである。
【0041】
S5/S8インタフェース107は、S−GWとP−GW間のインタフェース(ユーザプレーン)であり、トランスポートプロトコルとしてトンネリングプロトコル(GTP−U)、またはプロクシー・モバイルアイピープロトコル(P−MIP)が設定される。
【0042】
S−GW104は、eNodeB102との間でユーザデータの送受信を行い、P−GWと、S5/S8インタフェース107を介して、外部PDN単位の通信経路の設定・解放を行う。P−GW105は、SGiインタフェースを介して外部網(PDN)108と接続する。以下、MME再開時の動作を説明する。
【0043】
<第一段階>
図10は、第一段階として、S−GWに、移動局UEの位置登録エリア情報を登録する段階を説明するシーケンス図である。図10では、図6の基地局(eNodeB)102は省略されている。前提として、移動局UE1は、eNodeBとの間で無線制御リンクを設定しているものとする。図10の各ステップを以下に説明する。
【0044】
図10のステップ1において、移動局UE1は、MME1に対して位置登録要求(Attach RequestあるいはTAU Request等)を送信する。なお、LTEにおいてアイドルモード(待ち受け)の移動局UEの位置は、位置登録エリア情報(トラッキングエリア)という単位で管理される。トラッキングエリアは、3G/UMTSにおけるローケーションエリア(Location Area)又はルーティングエリア(Routing Area)に対応し、1つ又は複数のセルからなる。各セルでは、自セルが属するトラッキングエリアの識別子が報知される。アイドルモードの移動局は、在圏するトラッキングエリアに対して位置登録しており、現在位置登録しているトラッキングエリアの識別子を記憶している。移動局UEは、セルを移動するとき、報知されているトラッキングエリアの識別子を受信し、報知されているトラッキングエリアの識別子が自装置に現在登録されているトラッキングエリアの識別子と異なる場合、位置登録の更新を行う。この位置登録の更新要求を「TAU Request」という。
【0045】
図10のステップ2において、MME1は、移動局UE1に対して、新たに位置登録エリア情報(TA List)を割当てる。
【0046】
図10のステップ3において、MME1は、S−GW1に、S11インタフェースを介して、移動局UE1のTA Listを通知する。S−GW1は、MME1から通知されたTA Listを、移動局UE1の登録情報として、S−GW1内部の記憶部(メモリ)に保持する。
【0047】
なお、図10のステップ1、2の位置登録動作それ自体は、公知であり、また、本発明の主題とは直接関係しないことから、その詳細は省略する。
【0048】
<第二段階>
図11は、第二段階として、ベアラーを保持する段階を説明するシーケンス図である。図11のステップ1において、移動局UE1は、MME1にアタッチ済み(アタッチ要求発行済み)であり、S−GW1、P−GW1を用いて、各種ベアラーを確立済みである。
【0049】
図11のステップ2において、MME1に再開が発生し、MME1において、アタッチ済みのUE1の登録情報が消去される。
【0050】
図11のステップ3において、GTP Echo処理によるヘルスチェック等の処理から、S−GW1は、MME1の再開を検出する。
【0051】
図11のステップ4において、S−GW1は、MME1にアタッチしている全ての移動局UEを認識する(UE1がMME1に収容されていることが確認される)。
【0052】
全てのサービスに対して、本発明を提供する場合、図11のステップ5において、移動局UE1に関するS−GW1から外部網IMS1側方向の全てのベアラーが保持される。
【0053】
図11のステップ6、7は、図11のステップ5のように、移動局UE1に関わる全てのサービスに対して本発明によるベアラー保持機能は提供せず、特定のサービス(音声サービスなどを提供するIMSサービス)についてのみベアラー(IMS制御用ベアラ)を保持する。
【0054】
図11のステップ4において、移動局UE1がMME1に収容されていることが確認された後、更に、図11のステップ6において、S−GW1は、移動局UE1の持つベアラーうちIMSを提供するベアラー(IMSの制御に用いられるベアラー)があるか否かを確認する。その際、IMS制御用ベアラーの判断には、各ベアラーが持つ情報要素の1つであるQCI(QoS Class Identifier)値等が用いてもよい。QCI値を用いた場合の例として、例えば、QCI値が「5」の場合、非特許文献1(3GPP TS23.203)の表6.1.7に従い、IMS制御用(IMS Signaling)と判断し、音声サービス提供のために用いられる制御用のベアラーであると判断することができる。
【0055】
S−GW1で管理される移動局UE1に関するベアラーのうちIMS制御用ベアラーがあった場合、該当ベアラーだけを保持し、それ以外のベアラーについては、非特許文献2(3GPP TS23.007)の動作に従い、ローカルに解放する。
【0056】
また、S−GW1は、IMS制御用ベアラー(特定のベアラー)を保持する場合には、移動局UE1が、既に別のS−GWに再アタッチしている場合を考慮して、満了時(タイムアウト時)に、該当ベアラー資源の解放(削除)を行うためのタイマをスタートさせる。このタイマは、S−GW1において前記特定ベアラーを保持する場合の保持期間を制御するものであり、保持したベアラーの解放漏れを防ぐために必要となる。このタイマに、移動局UE1の持つ周期位置登録タイマと同等の時間を設定することで、UE1が次に周期位置登録要求をあげてくるであろう、最低限必要な時間だけ、音声サービスの着信を、S−GW1にて待つことができる。また、このとき、S−GW1の内部の記憶部(メモリ)に、移動局UE1がMME1において未登録状態であることを記憶しておく。
【0057】
図11のステップ7において、MME1では、移動局UE1が未登録状態であり、S−GW1とP−GW1ではIMS制御用ベアラーのみが保持される状態となる。以上で、第二段階は終了である。
【0058】
このあと、図12で示す第三段階が実行されなかった場合、図11のステップ6にてスタートしたタイマが満了した時点(タイムアウト発生時)で、S−GW1は、移動局UE1に関して保持していた全ベアラー(IMS制御用ベアラー資源)を削除する。
【0059】
<第三段階>
図12は、第三段階として、第二段階の状態で、IMS等のPDNより着信が行われた場合の動作のシーケンス図である。以下に各ステップを説明する。
【0060】
図12のステップ1において、IMS1より移動局UE1に対する音声サービスの着信通知がS−GW1まで届く。
【0061】
図12のステップ2において、S−GW1は、移動局UE1がMME1の再開により未登録状態であることを記憶しているため、IMSIと事前に登録していたTA Listを含めたダウンリンク・データ・ノーティフィケーション(Downlink Data Notification)をMME1へ送信し、着信を通知する。
【0062】
図12のステップ3において、通知されたIMSIを持つ移動局UE1がアタッチしていない場合、MME1は、受信したTA Listに対して、IMSIを用いて移動局UE1のページングを行う。ただし、ステップ3を実行する上で、移動局UE1が、既に(他のS−GWを選択し)、MME1にアタッチ動作が実施済みである場合がある。その場合、MME1は、S−GW1に移動局UE1に関する全ベアラーの解放を促すために、アタッチ済みの原因を示すダウンリンク・データ・ノーティフィケーション肯定応答(Downlink Data Notification Acknowledge)を返信する。
【0063】
図12のステップ4において、IMSIを用いたページングを受信した移動局UE1は、アタッチ動作を行う。
【0064】
図12のステップ4の移動局UEのアタッチ動作は、当業者にとってよく知られており、また本発明とは直接関係しないことから、その詳細な構成は省略する。
【0065】
なお、S−GWがMMEの再開検出時、eNodeBとS−GW間のS1−Uインタフェース上のトンネル(GTP−U)がアクティブの場合、S−GWは当該トンネルを解放する。
【0066】
<実施形態2>
次に本発明の例示的な第2の実施形態として、図7のネットワーク構成において、SGSN再開時の動作として以下に説明する。第2の実施形態は、基本的に、前記第1の実施形態におけるMME再開時の動作と同等である。図7の例は、2G/3Gを収容した構成であり、図6のeNodeB102とMME103を、2G/3G無線制御装置(NodeBとRNC)110とSGSN111で置き換えたものである。2G/3G無線制御装置(NodeBとRNC)110とSGSN111間はIuインタフェース、2G/3G無線制御装置(NodeBとRNC)110とS−GW104間はS12インタフェース、SGSNとS−GW間はS4インタフェース、SGSN111とHSS106間はS6d/Grインタフェースである。
【0067】
本実施形態の動作は、大きく分けて3つの段階を持つ。
【0068】
<第一段階>
図13は、第一段階として、S−GW1に移動局UEの位置登録エリア情報を登録する段階のシーケンス図である。以下に各ステップを説明する。
【0069】
図13のステップ1において、移動局UE1がSGSN1に、位置登録要求(Attach Request/Routing Area Update Request等)を出す。ルーティングエリア更新要求(Routing Area Update Request)はSGSNへの位置登録更新要求である。
【0070】
図13のステップ2において、SGSN1が移動局UE1に新たに位置登録エリア情報(RAI)を割り当てる。
【0071】
図12のステップ3において、SGSN1がS−GW1に、移動局UE1のRAIを通知し、S−GW1は通知されたRAIを移動局UE1の登録情報として保持する。
【0072】
なお、図12の位置登録動作は、当業者にとってよく知られており、また本発明の主題とは直接関係しないことから、その詳細な構成は省略する。
【0073】
<第二段階>
図14は、第二段階として、ベアラーを保持する段階のシーケンス図である。以下に各ステップを説明する。
【0074】
図14のステップ1において、移動局UE1はSGSN1にアタッチ済みであり、S−GW1、P−GW1を用いて各種ベアラーを確立済みである。
【0075】
図14のステップ2において、SGSN1に再開処理等が発生し、アタッチ済みの移動局UE1の登録情報が消去される。
【0076】
図14のステップ3において、GTP Echo処理によるヘルスチェック等の処理から、S−GW1はSGSN1の再開を検出する。
【0077】
図14のステップ4において、S−GW1は、SGSN1にアタッチしている全ての移動局UEを認識する(移動局UE1がSGSN1に収容されていることが確認される)。
【0078】
全てのサービスに対して本発明を適用する場合は、図14のステップ5において、全てのベアラーが保持される。
【0079】
図14のステップ6、7は、図11のステップ5のように、全てのサービスに対してベアラーを保持することはせずに、特定のサービス(以下の例では、音声サービスなどを提供するIMSサービス。)に関するベアラーのみ保持するようにしている。
【0080】
図14のステップ4において、移動局UE1がSGSN1に収容されていることが確認された後、更に、図14のステップ6において、S−GW1は、移動局UE1の持つベアラーのなかでIMSを提供するベアラー(IMSの制御に用いられるベアラー)があるかを確認する。その際、IMS制御用ベアラーの判断には、各ベアラーが持つ情報要素の1つであるQCI(QoS Class Identifier)値等を用いてもよい。例えば、QCI値が「5」の場合、非特許文献1(3PP TS23.203)の表6.1.7に従い、IMS制御用(IMS signaling)と判断し、音声サービス提供のために用いられる制御用のベアラーであると判断できる。IMS制御用ベアラーが有った場合、S−GW1は、該当ベアラーだけを保持し、それ以外のベアラーについては、非特許文献1(3GPP TS23.007)の動作に従い、ローカルに解放(削除)する。
【0081】
また、IMS制御用ベアラーを保持する場合には、移動局UE1が既に別のS−GW1に再アタッチしている場合を考慮し、満了時に、該当ベアラーの解放を行うタイマをスタートする。このタイマは、保持したベアラーの解放漏れを防ぐために必要となる。
【0082】
このタイマは、移動局UE1の持つ周期位置登録タイマと同等の時間を設定することで、移動局UE1が次に周期位置登録要求をあげてくるであろう、最低限必要な時間だけ、音声サービスの着信を、S−GW1にて待つことができる。また、このとき、S−GW1では、移動局UE1がSGSN1において未登録状態である、ことを記憶しておく。
【0083】
図14のステップ7において、SGSN1は、移動局UE未登録状態、S−GW1とP−GW1では、IMS制御用ベアラーのみが保持される状態となる。
【0084】
このあと、図15で示す第三段階が実行されなかった場合、図14のステップ6にてスタートしたタイマが満了した時点で、S−GW1は、移動局UE1に関して保持されていた全ベアラー(IMS制御用ベアラー資源)を削除する。
【0085】
<第三段階>
図15は、第三段階として、第二段階の状態で、IMS等のPDNより着信が行われた場合の動作のシーケンス図である。
【0086】
図15のステップ1において、IMS1より移動局UE1に対する音声サービスの着信通知がS−GW1まで届く。
【0087】
図15のステップ2において、S−GW1は、移動局UE1がSGSN1の再開により未登録状態であることを記憶しているため、IMSIと、事前に登録していたRAIを含めたダウンリンク・データ・ノーティフィケーション(Downlink Data Notification)をMME1へ送信し、着信を通知する。
【0088】
図15のステップ3において、通知されたIMSIを持つ移動局UE1がアタッチしていない場合、SGSN1は、受信したRAIに対して、IMSIを用いて移動局UE1のページングを行う。ただし、図15のステップ3を実行する上で、移動局UE1が既に他のS−GWを選択し、SGSN1にアタッチ動作が実施済みである場合がある。その場合、SGSN1は、S−GW1に、移動局UE1に関する全ベアラーの解放を促すため、アタッチ済みの原因(Cause)を示すダウンリンク・データ・ノーティフィケーション肯定応答(Downlink Data Notification Acknowledge)を返信する。
【0089】
図15のステップ4において、IMSIを用いたページングを受信した移動局UE1はアタッチ動作を行う。図15のステップ4の移動局UEのアタッチ動作は、当業者にとってよく知られており、また本発明の主題とは直接関係しないことから、その詳細な構成は省略する。
【0090】
<実施形態3>
次に本発明の例示的な第3の実施形態として、図8のネットワーク構成の元でのISR機能(LTE/3G位置登録省略機能)を用いた場合の動作を以下に説明する。ISRでは、MMEとSGSNの両方に移動局UEが位置登録を行う。LTE、2G/3Gで無線アクセスシステムを切り替えた場合、LTEと2GE/3Gで以前に登録した位置登録エリアから変更がない限り、UEの位置登録は省略される。図8は、LTE及び2G/3Gを収容するパケット通信ネットワーク構成を示す図である。この構成は、移動局UE101に接続する2G/3G無線制御装置110とSGSN111を、図1の構成に追加した構成とされる。MME103とSGSN111は、S3インタフェースで接続され、MME103とSGSN111はそれぞれS6a,S6d/GrインタフェースでHSS106に接続される。S−GW104はS4、S11インタフェースでSGSN111、MME103に接続される。
【0091】
<第一段階>
第一段階として、2G/3GからのUE1の位置登録処理は、図13に示した通りである。LTEからの位置登録処理については図10が適用される。これら2つの動作により、S−GW1は、位置登録エリア情報としてRAI、及びTA Listを保持する。なお、ISR動作時の位置登録処理自体は、当業者にとってよく知られており、また本発明の主題とは直接関係しないことから、その詳細な構成は省略する。
【0092】
<第二段階>
第二段階として、図16は、図8のMME1が再開した場合の動作としてシーケンスの一例を示す図である。図17は、図8のSGSN1が再開した場合の動作としてシーケンスの一例を示す図である。
【0093】
図16のステップ1において、移動局UE1はMME1に位置登録済みであり、S−GW1、P−GW1を用いて各種ベアラーを確立済みである。
【0094】
図16のステップ2において、MME1に再開が発生し、MME1において位置登録済み移動局UE1の登録情報が消去される。
【0095】
図16のステップ3において、GTP Echo処理によるヘルスチェック等の処理から、S−GW1はMME1の再開を検出する。
【0096】
図16のステップ4において、S−GW1は、MME1にアタッチしている移動局UE1がSGSN1とISR機能を用いて登録済みであることを知っているため、ベアラーの解放は行わない。また、このとき、S−GW1の内部で、移動局UE1がMME1において未登録状態であることを記憶しておく。ただし、SGSN1が既に再開していた場合には、図11の処理と同様に、本発明による処理(移動局UE1に関わるベアラーの保持)を動作させる。
【0097】
以下、図8のSGSN1が再開した場合の動作を説明する。
【0098】
図17のステップ1において、移動局UE1はSGSN1に位置登録済みであり、S−GW1、P−GW1を用いて各種ベアラーを確立済みである。
【0099】
図17のステップ2において、SGSN1に再開処理等が発生し、位置登録済みの移動局UE1の登録情報が消去される。
【0100】
図17のステップ3において、GTP Echo処理によるヘルスチェック等の処理から、S−GW1は、SGSN1の再開を検出する。
【0101】
図17のステップ4において、S−GW1は、SGSN1にアタッチしている移動局UE1がMME1とISR機能を用いて登録済みであることを知っているため、ベアラーの解放は行わない。また、このとき、S−GW1の内部で、移動局UE1がSGSN1において未登録状態であることを記憶しておく。ただし、MME1が既に再開していた場合には、図14の処理と同様に、本発明による処理(移動局UE1に関するベアラーの保持を動作させる。
【0102】
<第三段階>
次に第三段階として、図18は、図8のMME1が再開した状況でのPDNより着信が行われた場合の動作をシーケンスの一例を示す図である。図19は、図8のSGSN1が再開した状況でのPDNより着信が行われた場合の動作をシーケンスの一例を示す図である。図20は、図8のMME1とSGSN1が共に再開した状況でのPDNより着信が行われた場合の動作シーケンスの一例を示す図である。
【0103】
MME1が再開した状況でのPDNより着信が行われた場合、図18のステップ1において、PDN1より移動局UE1に対する通信サービスの着信通知がS−GW1まで届く。
【0104】
図18のステップ2において、S−GW1は、SGSN1に通常のダウンリンクデータノーティフィケーション(Downlink Data Notification)を送信し、着信を通知する。
【0105】
図18のステップ3において、S−GW1は、移動局UE1がMME1の再開により、未登録状態であることを記憶しているため、IMSIと事前に登録していたTA Listを含めたダウンリンク・データ・ノーティフィケーション(DownlinkData Notification)をMME1へ送信し、着信を通知する。
【0106】
図18のステップ4において、SGSN1は、通常のページング(着信に対する移動局の呼び出し)を行う。
【0107】
図18のステップ5において、通知されたIMSIを持つ移動局UE1がアタッチしていない場合、MME1は、受信したTA Listに対してIMSIを用いて移動局UE1のページングを行う。
【0108】
図18のステップ6において、IMSIを用いたページングをLTEで受信した場合、移動局UE1はアタッチ動作を行う。
【0109】
以下、SGSNが再開した状況でのPDNより着信が行われた場合を説明する。
【0110】
図19のステップ1において、PDN1より移動局UE1に対する通信サービスの着信通知がS−GW1まで届く。
【0111】
図19のステップ2において、S−GW1は、MME1に通常のダウンリンクデータノーティフィケーション(Downlink Data Notification)を送信し、着信を通知する。
【0112】
図19のステップ3において、S−GW1は、移動局UE1がSGSN1の再開により未登録状態であることを記憶しているため、IMSIと事前に登録していたRAIを含めたダウンリンク・データ・ノーティフィケーション(Downlink Data Notification)をSGSN1へ送信し、着信を通知する。
【0113】
図19のステップ4において、MME1は通常のページングを行う。
【0114】
図19のステップ5において、通知されたIMSIを持つ移動局UE1がアタッチしていない場合、SGSN1は、受信したRAIに対して、IMSIを用いて移動局UE1のページングを行う。
【0115】
図19のステップ6において、IMSIを用いたページングを2G/3Gで受信した場合、移動局UE1はアタッチ動作を行う。
【0116】
以下では、MME、SGSNが共に再開した状況でのPDNより着信が行われた場合の動作を説明する。
【0117】
図20のステップ1において、PDN1より移動局UE1に対する通信サービスの着信通知がS−GW1まで届く。
【0118】
図20のステップ2において、S−GW1は、移動局UE1がMME1の再開により未登録状態であることを記憶しているため、IMSIと事前に登録していたTA Listを含めたダウンリンク・データ・ノーティフィケーションをMME1へ送信し、着信を通知する。
【0119】
図20のステップ3において、S−GW1は、UE1がSGSN1の再開により未登録状態であることを記憶しているため、IMSIと事前に登録していたRAIを含めたダウンリンク・データ・ノーティフィケーションをSGSN1へ送信し、着信を通知する。
【0120】
図20のステップ4において、通知されたIMSIを持つ移動局UE1がアタッチしていない場合、MME1は、受信したTA Listに対して、IMSIを用いて移動局UE1のページングを行う。
【0121】
図20のステップ5において、通知されたIMSIを持つUE1がアタッチしていない場合、SGSN1は、受信したRAIに対して、IMSIを用いて移動局UE1のページングを行う。
【0122】
図20のステップ6では、IMSIを用いたページングを受信した場合、移動局UE1はアタッチ動作を行う。
【0123】
なお、図11、図12、及び図13におけるステップ6の移動局UEのアタッチ動作は、当業者にとってよく知られており、また本発明の主題とは直接関係しないことから、その詳細な構成は省略する。
【0124】
<実施形態4>
図9は、本発明の例示的な第4の実施形態のネットワーク構成を示す図である。図9には、CSFB(CS Fallback)アーキテクチャが示されている。図9を参照すると、移動局(UE)101、基地局(eNodeB)102、MME103、HSS106、MSC/VLR112と、CS網113、G−MSC(関門移動交換局)114を備えている。図9において、発信元のG−MSC114から移動局(UE)101への音声着信動作を説明する。
【0125】
発信元のG−MSC114からCS網113を介してMSC/VLR112に、着信があることを伝える信号が送信される。MSC/VLR112では、着信情報から対応するMME103を特定し、一斉呼び出し信号(Paging−Request−message)をMME103に送信する。MME103は、一斉呼び出し信号を在圏移動局に送信する。この一斉呼び出し信号(ページング信号)には、CSサービスの呼び出しであることを示す情報が含まれている。移動局UE101は、この情報(CSサービスの呼び出しであること)を認識し、MME103に対してCSサービス要求信号を送信する。MME103はハンドオーバー命令をUE1に送信する。移動局UE101は、ハンドオーバ手順を実行するとともに3Gに切り替える。3Gへ切り替えた移動局UE101は、MSC/VLR112に対して、一斉呼び出し応答を送信する。その結果、当該音声着信に対する移動局の音声通話が開示される。MME再開時の動作として以下に説明する。
【0126】
本発明の動作は大きく分けて3つの段階を持つ。
【0127】
<第一段階>
図21は、第一段階として、MSCに、移動局UEの位置登録エリア情報を登録する段階のシーケンス図である。以下に各ステップを説明する。
【0128】
図21のステップ1において、移動局UE1がMME1に、CSFB用位置登録要求(Attach Request、TAU Request等)を出す。
【0129】
図21のステップ2において、MME1が、移動局UE1に対して、新たに位置登録エリア情報TA List)を割当てる(払い出す)。
【0130】
図21のステップ3において、MME1がMSC1に、移動局UE1のTA Listを通知する。MSC1は、MME1から通知されたTA Listを移動局UE1の登録情報として保持する。
【0131】
なお、図21の位置登録動作は、当業者にとってよく知られており、また本発明の主題とは直接関係しないことから、その詳細な構成は省略する。
【0132】
<第二段階>
図22は、第二段階として、ベアラーを保持する段階のシーケンス図である。以下に各ステップを説明する。
【0133】
図22のステップ1において、移動局UE1はMME1にアタッチ済みである。
【0134】
図22のステップ2において、MME1に再開処理等が発生し、アタッチ済みの移動局UE1の登録情報が消去される。
【0135】
図22のステップ3において、SCTPによるヘルスチェック等の処理から、MSC1はMME1の再開を検出する。
【0136】
図22のステップ4において、MSC1はMME1にアタッチしている全ての移動局UEを認識する(移動局UE1がMME1に収容されている事が確認される)。以上が第二段階である。
【0137】
<第三段階>
次に第三段階として、図23に、第二段階の状態で、CSドメイン経由での着信(音声着信、あるいはSMS等)が行われた場合の動作シーケンスの一例を示す。以下、各ステップを説明する。
【0138】
図23のステップ1において、G−MSCなどより移動局UE1に対する着信通知がMSC1まで届く。
【0139】
図23のステップ2において、MSC1は、移動局UE1がMME1の再開により未登録状態であることを記憶しているため、IMSIと事前に登録していたTA Listを含めたページング要求メッセージ(SGsAP−PAGING−REQUEST message)をMME1へ送信し、着信を通知する。
【0140】
図23のステップ3において、通知されたIMSIを持つUE1がアタッチしていない場合、MME1は、受信したTA Listに対して、IMSIを用いて移動局UE1のページングを行う。
【0141】
ただし、図23のステップ3を実行する上で、移動局UE1が既に(他のMSCを選択し)MME1にアタッチ動作が実施済みである場合がある。
【0142】
その場合、MME1は、MSC1に対して、移動局UE1に関する全ベアラーの解放を促すため、アタッチ済みの原因(Cause)を示すページング拒否メッセージ(SGsAP−PAGING−REJECT message)を返信する。
【0143】
図23のステップ4において、IMSIを用いたページングを受信した移動局UE1はアタッチ動作を行う。図23のステップ4における移動局UEのアタッチ動作は、当業者にとってよく知られており、また本発明の主題とは直接関係しないことから、その詳細な構成は省略する。
【0144】
上記実施形態の図面では、説明の簡単のため、P−GWはP−GW1の1つしか示していないが、P−GW2、P−GW3、P−GWN等の複数のP−GWを用いた場合でも同様である。
【0145】
次に本発明の態様の一つについて図24を参照して説明する。図24は図10等を補足するものであリ、ネットワークトリガー型のサービスリクエストによる加入者データのリインスタレーション(Subscriber data re−installation by Network Triggered Service Request)を説明する図である。なお、図24にはeNodeBは省略されている。
【0146】
S1)MMEは最新のTAリスト(latest TA−list)を対応するS−GWに転送する。すなわち、MMEは、モビリティイベント発生毎に、UE単位のTAリストを、1つ又は複数のS−GWに通知する(MME informs the latest TA−list per UE to S−GWs in every mobility event)。この情報(TAリスト)は、MME障害等の場合に、重要である。それは、MMEの全体のカバレッジに対してIMSIをページングすることが回避できるためである。1つのMMEには多数のeNodeBが収容されているため、全カバレッジにページングすることは、EPSシステムにおいて、負担が極めて大きいためである。
【0147】
S2)MMEがリスタートする。
【0148】
S3)リスタートカウンタを1つ増やした状態でGTP Echoメッセージ(GTP−V2 Echo response message)が全ての関連するS−GWに送られる。
【0149】
S4)関連するS−GWでは、このGTP echoメカニズムでMME障害(MME failure)を検出する。S−GWは、全ての/又は選択したベアラーと、IMSI、TAリストを維持することができる。オペレータは、トップランクのサービス(IMS)(service on top(IMS))に基づき、ベアラーを選択することができる。その結果、ベアラーの維持は、重要なサービスについてのみ、選択することが可能となる。その他(選択されたベアラー)については、現行のMME再開機構が適用される。S−GWがベアラー資源、ISMI、TAリストを維持する場合、S−GWは、当該ベアラー資源等の維持期間を制御するタイマ−をスタートさせる。タイマのタイムアウト時、維持されたベアラー資源等は削除される。この処置は、UEがネットワークに再アタッチしたときに、当該S−GWが選択されない場合に必要とされる(すなわち、当該S−GWでタイマのタイムアウト時、当該UEが当該S−GWとは別のS−GWを介してネットワークに再アタッチしたものとして、前記維持されたベアラー資源(例えば維持された特定のベアラーであるS5/S8ベアラー)等は削除される。)。
【0150】
S5)P−GWに外部網(PDN)からDLデータが届く。
【0151】
S6)S−GWがP−GWからDLデータを得る。
【0152】
S7)S−GWは、IMSI、TAリストを含むダウンリンク・データ・ノーティフィケーションメッセージ(DL data notification (IMSI,TA list))をMMEに送る。
【0153】
S8)MMEはS−GWから受信したTAリストの全てのTAに対してIMSIページ((Page(IMSI)to TAs specified In TA list)を開始する。
【0154】
S9)移動局UEは、IMSIページを受け取ると、移動局UEは、アタッチ(ATTACH)手順を開示する。
【0155】
S10)MMEはUEからのアタッチ(ATTACH)要求を受け、HSSに位置情報更新要求を送る。
【0156】
S11)HSSは、位置情報更新承認をMMEに送る。
【0157】
S12)MMEは、eNodeBを介して、移動局UEにATTACH受理を送信する。
【0158】
S−GWは、MMEの再開を検出した場合に、ベアラーやIMSIやTAリストを維持する。これにより、MMEの再開後に、PDN側からのUEに対するDLデータ着信後に、通信サービスを即時に復帰させることができる。
【0159】
また、本発明の一態様によれば、選択したベアラーだけを維持するようにした場合、S−GWのリソースの消費を抑制できる。さらに、重要なサービスに関するベアラーを選択して維持することで、重要度の高いサービス(例えば音声通信など)に対して、MMEの再開後、移動局への着信の到来に対して即時に通信サービスの復帰を可能としている。
【0160】
さらに、本発明の一態様によれば、ベアラー、又は、ベアラーとIMSI及びTAリストを維持する場合に、その維持期間をタイマーで管理する。そして、該タイマーのタイムアウト時に、該維持していたベアラー、IMSI及びTAリストを解放する。このようにすることで、MME再開後、移動局UEの移動に伴い、当該ベアラーを維持している当該S−GWとは別のS−GWに接続したような場合に、当該S−GWが必要以上にベアラーを維持し続けることを回避することができる。
【0161】
以上説明したように、本発明においては、以下に記載するような効果を奏する。
【0162】
再開が発生したMME/SGSNに登録されているUEの再登録契機として、パケット着信が加わることによって、UEの通信サービスの可用性が向上する。
【0163】
本発明を全てのサービスに適用した場合、全てのパケット着信をUEのネットワークへの復帰契機と出来る。ただしその場合、S−GW側のリソースを多く使用する事となると同時に、位置登録が集中する事が考えられる。S−GW1は、TA listを保持し、TA listを利用したPage処理を行う事を可能としているが、TA ListがMME1より受信できなかった場合、MME1配下の全エリアに対してページングを行うこともできる。ただしその場合、無線側のリソースを多く使用することとなる。
【0164】
本発明によれば、S−GWは、RAIを保持し、RAIを利用したPage処理を行う事を可能としているが、RAIがSGSN1より受信できなかった場合、SGSN配下の全エリアに対してページングを行うこともできる。ただしその場合、無線側のリソースを多く使用することとなる。
【0165】
なお、上記の非特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施形態の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0166】
101 UE
102 eNodeB
103 MME
104 S−GW
105 P−GW
106 HSS
107 S5/S8
108 外部網
109 IMS
110 2G/3G 無線制御装置(NodeB/RNC)
111 SGSN
112 MSC/VLR
113 CS網
114 G−MSC(関門移動交換局)
【技術分野】
【0001】
(関連出願についての記載)
本発明は、日本国特許出願:特願2010−102166号(2010年4月27日出願)の優先権主張に基づく国際出願:PCT/JP2011/060215(2011年4月27日)の分割出願であり、これら出願の全記載内容は引用をもって本書に組み込み記載されているものとする。
【0002】
本発明は、通信ネットワークに関し、特に、次世代モバイルネットワークシステムEPC(Evolved Packet Core)に適用して好適な移動端末とその移動通信ネットワークへの登録方法に関する。
【0003】
本明細書で用いられる略語のいくつかを以下に例示する。
【0004】
CS:Circuit Switched;
CSFB:Circuit Switched Fall Back
eNodeB(eNB):evolved NodeB;
G−MSC:Gateway Mobile Switching Center
GPRS:General Packet Radio Service
GTP−C(GPRS Tunneling Protocol Control Plane)
GTP−U(GPRS Tunneling Protocol User Plane)
P−MIP:Proxy Mobile Internet Protocol;
HSS:Home Subscriber Server;
IMS:IP Multimedia Subsystem;
IMSI:International Mobile−Station Subscription Identifier;
ISR:Idlemode Signalling Reduction;
LTE:Long Term Evolution;
MME:Mobility Management Entity;
MSC:Mobile Switching Center;
MTC:Machine type communication;
P−GW(PGWあるいはPDN−GW): Packet Data Network Gateway;
PDN:Packet Data Network;
QCI:QoS Class Identifier;
RAI:Routing Area Identity;
RNC:Radio Network Controller;
S−GW(あるいはSGW): Serving Gateway;
SGSN:Serving GPRS Support Node;
SMS:Short Message Service
SCTP:Stream Control Transmission Protocol;
TA List:Tracking Area List;
TAU:Tracking Area Update;
TEID:Tunnel Endpoint Identifier;
GRE Key:Generic Routing Encapsulation Key;
UE:User Equipment;
UMTS:Universal Mobile Telecommunications System;
VLR:Visited Location Register;
3G:Third Generation;
3GPP:3rd Generation Partnership Project
【背景技術】
【0005】
次世代モバイルネットワークシステムEPCは、3G(第3世代携帯電話通信方式)、LTE等を1つのネットワークに収容するネットワーク・アーキテクチャである。以下、ネットワークノードのいくつかについて概説する。
【0006】
MMEは、移動管理ノードである。MMEは、LTE無線アクセスにおいて、アイドルモードの移動局UE(「ユーザ装置」、「移動端末」、あるいは単に「端末」ともいう)のトラッキング等の移動管理(モビリティ制御)、認証、S−GWと、基地局eNodeB間におけるユーザデータ転送経路の設定を担う。MMEは、アイドルモードのUEのトラッキング、ページング、ベアラーのアクティベート/ディアクティベートプロセスに関わる。MMEは、UEのLTE内ハンドオーバー時にS−GWの選択を行う。MMEは、HSSとともに、ユーザ認証を行う。なお、ベアラーは、eNodeB、S−GW/P−GW間等で設定される論理的なパケット伝達経路をいう。
【0007】
SGSNは、3Gコアネットワークにおける移動管理ノードである。SGSNは、移動局の移動管理等(在圏加入者管理、在圏加入者移動管理、発着信制御、トンネリング制御、課金制御、QoS(Quality of Service)制御等)を行うパケット交換機である。
【0008】
なお、LTEコアネットワークにおいて、移動端末(UE)が電源節約状態のアイドル状態(LTE−Idle)では、複数のセルからなるトラッキングエリアリスト(TA List)の精度で移動局(UE)の識別が行われる(MMEはアップデートされた最新のTA Listを保持する)。移動局への着信時、最後に登録されたTA Listでページングが行われる。一方、3GコアネットワークのSGSNは、RA(Routing Area)でページングを行う。
【0009】
S−GWは、ユーザデータ・パケットをルーティングして転送する。S−GWは、移動局UEのコンテキスト(IPベアラー・サービスのパラメータ等)を管理するベアラー管理ノードである。S−GWは、移動局UEのアタッチ要求を受けたMMEからのベアラー設定要求により、P−GWに対する経路設定要求、eNode方向のベアラー等を設定する。また、S−GWは、ダウンリンク(DL)データが端末に到着したときにページングをトリガーする。
【0010】
P−GWは、パケットデータネットワーク(サービスネットワーク:Web閲覧サービスやIMS等の外部網)への移動局(UE、ユーザ装置、移動端末ともいう)の接続を行う。
【0011】
以下、MME/SGSNの再開について説明する。
【0012】
なお、「再開」、あるいは、「MME/SGSNの再開」とは、障害によるサービス停止、又は、保守等を理由とした意図的なサービス停止等により、MME/SGSNにおいて初期設定動作が行われ、その結果、MME/SGSNの動作に必要な加入者情報、ベアラー情報が喪失することを意味する。
【0013】
非特許文献2(3GPP TS 23.007)には、MME/SGSNの再開をS−GWが検知した場合、S−GWは、再開が発生したMME/SGSNに登録されている移動局UEのベアラーコンテキストを解放することが規定されている。すなわち、非特許文献2の記載によれば、例えばMMEのフェイル後のリスタート時、MMEでは、該リスタートで影響受けるベアラーコンテキストを全て削除する。S−GWでMMEの再開検出時、S−GWは、再開したMMEに対応するPDNコネクションテーブル/ベアラーコンテキストを削除し、PDNコネクションに関連するS−GW内部リソースを解放する。
【0014】
S−GWが非特許文献2に規定される上記仕様に従って動作している場合において、MMEが再開した場合、移動局UE自身による発信、あるいは定期的に実施する周期位置登録(Attach/TAU Request等)をMMEに対して行うまで、S−GWにおいて、移動局UEに対してのパケット着信動作は不可能となる。
【0015】
移動局UEに対して着信があると、ネットワークは、例えば該移動局UEが位置登録しているエリア(トラッキングエリア)に対応する全セルで一斉呼び出し(ページング)を行う。呼び出された移動局UEは、在圏するセルにアクセスし、呼が確立されることになる。しかしながら、非特許文献2に規定される上記仕様によれば、MME再開後のS−GWでは、再開したMMEに対応する全てのベアラー情報、リソース等を既に削除・解放してしまっている。すなわち、S−GWでは、当該S−GWからeNodeB方向の無線アクセスベアラー、MME間のセッション情報も削除・解放してしまっており、移動局UEに対しての着信パケット・データを受け取っても、どうすることもできない。
【0016】
この状態のS−GWには、当該S−GWとP−GW間のトランスポート・プロトコルをなすトンネル(GTP−U、またはP−MIP)の識別情報であるTEID、またはGRE Keyも削除されている。このため、S−GWにおいて、着信データはリジェクト(reject:拒否)される。S−GWからの着信パケットデータの拒否(reject)に応答して、P−GWでも、関連リソースを削除する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】3GPP TS 23.203 V9.4.0(2010−03)3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Services and System Aspects; Policy and charging control architecture(Release 9)、第31頁、Table 6.1.7:Standardized QCI characteristics
【非特許文献2】3GPP TS 23.007 V9.3.0(2010−03)3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Core Network and Terminals;Restoration procedures(Release 9)、第27−28頁
【非特許文献3】3GPP TS 23.272 V9.3.0(2010−03)3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Services and System Aspect;Circuit Switched(CS)fallback In Evolved Packet System(EPS);Stage2(Release 9)第26−27頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上記非特許文献1、2、3の開示は引用をもって本書に繰り込まれる。以下に関連技術の分析を与える。
【0019】
上記したように、S−GWが非特許文献2の上記仕様に従って動作する場合、移動管理ノードMME/SGSNの再開を検知したS−GWでは、再開が発生したMME/SGSNに登録されている移動局UEの全てのベアラーを解放する。
【0020】
このため、移動管理ノードMME/SGSNの再開後に発生した移動局UEへの着信は、当該移動局UEにおいてネットワークに登録するためのアタッチ動作が行われるまで、当該移動局UEに対して通知することが出来ない。すなわち、MME/SGSNの再開後、移動局UE自身による発信又は移動局UEによる周期位置登録を契機としたアタッチ動作が完了するまでの期間、当該移動局UEに対して通信サービスの着信があっても、移動局UEは、当該通信サービスを受けることが出来ない。例えば、移動局UEは、MME/SGSNの再開後、最大、周期位置登録(TAU Request)の時間間隔(例えば45分)の間、UE宛の着信パケットデータは当該UEには届かない。
【0021】
つまり、パケット通信サービスが停止される状況になる。このことは、EPSネットワーク上でIMSが利用される場合において、社会インフラとしての通信サービス等が一定期間受けられなくなることであり、重大な問題である。
【0022】
したがって、本発明の目的は、MMEの再開後の移動端末に対する通信サービスの復帰を速めることを可能とする移動端末と移動端末の移動通信ネットワークへの登録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の1つの側面によれば、MME(Mobility Management Entity)とS−GW(Serving Gateway)とを含む移動通信ネットワークに用いられる移動端末(UE)であって、
前記移動端末は、前記MMEが再開した場合に、前記S−GWがオペレータポリシーに基づく特定のS5/S8ベアラーを保持し、それ以外のベアラーを削除する前記移動通信ネットワークから前記移動端末に対する着信に基づきページングを受ける手段と、
前記着信を受けた前記移動端末は、前記移動通信ネットワークに再登録(再アタッチ)する手段と、を有することを特徴とする移動端末が提供される。
本発明の別の側面によれば、MME(Mobility Management Entity)とS−GW(Serving Gateway)とを含む移動通信ネットワークに用いられる移動端末(UE)の移動通信ネットワークへの登録方法であって、
前記MMEが再開した場合に、前記S−GWがオペレータポリシーに基づく特定のS5/S8ベアラーを保持し、それ以外のベアラーを削除する前記移動通信ネットワークから前記UEに対する着信に基づきページングを受け、前記着信を受けた前記移動端末を前記移動通信ネットワークに再登録(再アタッチ)する、ことを特徴とする移動端末の移動通信ネットワークへの登録方法が提供される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、MMEの再開後の移動端末に対する通信サービスの復帰を速めることを可能としている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一態様の動作を説明する図である。
【図2】本発明の一態様の動作を説明する図である。
【図3】本発明の一態様の動作を説明する図である。
【図4】本発明の一態様の動作を説明する図である。
【図5】本発明の一態様の動作を説明する図である。
【図6】LTEを収容したパケット通信ネットワークを説明する図である。
【図7】2G/3Gを収容したパケット通信ネットワークを説明する図である。
【図8】LTE及び2G/3Gを収容したパケット通信ネットワークを説明する図である。
【図9】CSFB(Circuit Switch Fall Back)を説明する図である。
【図10】本発明の第1の実施形態のシーケンスの一例を説明する図である。
【図11】本発明の第1の実施形態のシーケンスの一例を説明する図である。
【図12】本発明の第1の実施形態のシーケンスの一例を説明する図である。
【図13】本発明の第2の実施形態の動作シーケンスの一例を説明する図である。
【図14】本発明の第2の実施形態の動作シーケンスの一例を説明する図である。
【図15】本発明の第2の実施形態の動作シーケンスの一例を説明する図である。
【図16】本発明の第3の実施形態の動作シーケンスの一例を説明する図である。
【図17】本発明の第3の実施形態の動作シーケンスの一例を説明する図である。
【図18】本発明の第4の実施形態の動作シーケンスの一例を説明する図である。
【図19】本発明の第4の実施形態の動作シーケンスの一例を説明する図である。
【図20】本発明の第4の実施形態の動作シーケンスの一例を説明する図である。
【図21】本発明の第5の実施形態の動作シーケンスの一例を説明する図である。
【図22】本発明の第5の実施形態の動作シーケンスの一例を説明する図である。
【図23】本発明の第5の実施形態の動作シーケンスの一例を説明する図である。
【図24】本発明の一態様の動作シーケンスの一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の好ましい態様の一つにおいて、移動管理ノード(例えばMME/SGSN)が再開した場合、ベアラー管理ノード(S−GW)では、移動管理ノード(MME/SGSN)に関連するベアラーの全てを解放することはしない。ベアラー管理ノード(S−GW)では、該ベアラーの少なくとも1部又は/全てを保持することで、パケット着信サービスを継続する。すなわち、ベアラー管理ノード(例えばS−GW)は、移動体管理ノード(MME/SGSN)の再開を検出すると、移動局(UE)が移動体管理ノード(MME/SGSN)に収容されていることを確認する。ベアラー管理ノード(例えばS−GW)は、移動体管理ノード(MME/SGSN)に収容されている移動局(UE)に関して、ベアラー管理ノード(S−GW)から外部網(例えばPDN)方向に設定されているベアラーのうちの少なくとも1つを保持する。これにより、外部網(PDN)側からの移動局(UE)に対するパケット着信をトリガーとして、当該移動局(UE)をネットワークにアタッチすることを可能とし、移動局(UE)に対する通信サービスの復帰を速めることを可能としている。このように、本発明の好ましい態様の一つにおいては、ベアラー管理ノード(例えばS−GW)は通信サービスを復帰させるための特定のベアラーを維持し、それ以外のベアラーを削除する。そして、本発明の好ましい態様の一つにおいては、前記ベアラー管理ノードは、前記特定のベアラーを維持する場合、タイマをスタートさせ、前記タイマが満了すると、前記維持されていたベアラー資源を削除する構成としてもよい。
【0027】
また、本発明の好ましい態様の1つにおいては、移動管理ノード(MME/SGSN)の再開後に、高信頼性の求められるサービスを選択的にベアラー選択対象とすることを可能としている。この結果、ベアラー管理ノード(S−GW)のリソース消費を抑制すると共に、位置登録が集中することによる輻輳を回避する。
【0028】
また、本発明の好ましい態様の1つにおいては、ベアラー管理ノード(S−GW)にて、移動管理ノード(MME/SGSN)から通知された、
移動端末(UE)の位置登録エリア情報(TA list/RAI)と、
前記移動端末に関連付けされた識別情報(IMSI)と、
を保持する。前記移動管理ノード(MME/SGSN)の再開後に、前記移動端末(UE)への着信データ受信時、前記ベアラー管理ノード(S−GW)から、前記移動管理ノード(MME/SGSN)に対して、前記位置登録エリア情報(TA list/RAI)と前記識別情報(IMSI)を通知し、前記移動管理ノード(MME/SGSN)により、前記位置登録エリア情報(TA list/RAI)に対応するエリアに対してのみ、前記識別情報(IMSI)を用いた一斉呼び出し(page)が行うようにしてもよい。このようにすることで、基地局による呼び出しが行われるエリアを絞ることができる。
【0029】
図1は、本発明の態様の一つを説明する図である。移動局UEの登録情報を管理する移動体管理ノードMME/SGSNは、移動局UEの位置登録情報を事前に、S−GWに通知する。S−GWは、移動局UEの位置登録情報を保持する。またS−GWは、S−GWとP−GW間の各ベアラーを保持する。
【0030】
移動体管理ノードMME/SGSNに再開が発生する。
【0031】
S−GWは、ヘルスチェック等により移動体管理ノードMME/SGSNの再開を検出した場合、S−GWとP−GW間で設定されている各ベアラーを解放せずに保持する。この場合、安定したシステム復旧と通信サービスの可用性(availability)の向上の両立を考慮し、S−GWは、高信頼性通信が要求されるサービス、例えば、オペレータポリシー等に従い、高い可用性を求められるような通信、例えば、IMSにより提供される音声サービス等を提供するベアラーだけを解放せずに、保持し続けるようにし、それ以外のベアラーは削除するようにしてもよい(例えばS−GWは、ネットワーク側から開示されるサービスの復帰に適切な、S−GWとP−GW間の特定のS5/S8ベアラーだけを解放せずに維持し、その他のS5/S8ベアラーは削除するようにしてもよい)。
【0032】
図2に示す例では、S−GWはヘルスチェック(GTP−echo)等により移動体管理ノードMME/SGSNの再開を検出した場合、S−GWは、当該S−GWとP−GW間に設定されているベアラーのうちIMS制御用ベアラー・サービス以外は解放し、IMS制御用ベアラーのみを保持する。このように、特定のサービスのみに適用することにより、システム全体に対する過負荷を回避しながら,MME/SGSNを徐々に復旧させることも可能となる。
【0033】
図3は、本発明をIMSサービスに適用した場合の動作を説明する図である。S−GWに保持されたベアラーを用いてパケットデータが届いた際に、UEを特定するIDであるIMSIと、事前にS−GWに登録していた位置登録エリア情報と共に、再開が発生したMME/SGSNへパケット着信を通知する。これにより、MME/SGSNは、IMSIと位置登録エリア情報を用いてUEを呼び出す(ページング)ことができる。IMSIを用いてページングされた移動局UEは、MME/SGSNに再登録(アタッチ)することにより、必要なベアラーを再度確立することで全てのパケット通信サービスを受けることができる。このようにして、本発明の態様によれば、MME/SGSNが再開した場合でも、サービスの着信を移動局UEに通知し、MMEへのアタッチを促すことで、通信サービスの可用性を向上できる。
【0034】
本発明の態様によれば、MME/SGSNの再開後、UEに対するパケット着信をトリガーにUEをネットワークにアタッチすることを可能とする。着信パケットの到来によりサービスが起動されたUEに対して即時にパケット通信サービスを復帰することができる。
【0035】
また、本発明の態様によれば、MME/SGSN再開後に、高信頼性の求められるサービスのみを、本発明によるベアラー保持対象とすることを可能としている。これは、S−GWのリソース消費を抑制すると共に、位置登録が集中することによる輻輳を回避する。この動作は、特に、MTC等、定期的にパケット通信が発生するようなUEを収容した場合に、不可欠な機能となる。つまり、この場合、MME/SGSNの再開後に多くのUEに対してパケット通信が発生するため、そのパケット通信をトリガーとして加入者の復旧作業がバースト的に発生し、結果的に、システム全体の輻輳を招く可能性があるためである。
【0036】
図4、図5は、本発明をCSFBに適用した例を示す図である。CSFB機能は、LTE上でVoIPサービスが提供されない場合においても、3G−CSドメインの機能を用いた音声サービスを提供するため、音声発着信を3Gに切り替えるものである。CSFB機能は、非特許文献3(Figure7.2−1 Mobile Terminating Call in idle mode)が参照される。
【0037】
図4に示すように、MMEはUEの位置登録情報をMSCに事前に通知する。MMEに再開が発生すると、MSCはヘルスチェック等でMMEの再開を検出する。図5に示すように、発信側のG−MSCから呼が着信(CS着信)すると、MSCはIMSIと位置登録エリアをMMEに通知する。MMEは、IMSIと位置登録エリア情報を用いてUEを呼び出す(ページング)ことができる。
【0038】
以下、本発明の例示的な実施形態を説明する。本発明が適用されるネットワークを図6、図7、図8、及び図9に示す。
【0039】
<実施形態1>
図6は、本発明の例示的な第1の実施形態のネットワーク構成を示す図である。図6には、LTEを収容したパケット通信ネットワークが示されている、図6に示すように、移動局(UE)101と、基地局(eNodeB)102と、MME103と、HSS106と、S−GW104と、P−GW105と、外部網(PDN)108と、IMS109を備えている。IMS109は、回線交換(CS)、パケット交換で提供される通信サービスをSIP(Session Initiation Protocol)で統合しマルチメディアサービスを実現する通信方式である。
【0040】
MME103は、S1−MMEインタフェースによるeNodeB102を収容し、UEの移動管理、認証、ユーザ転送経路の設定を行う。MME103はS6aインタフェースにより、加入者情報を管理するデータベースであるHSS106を参照して、認証等を行う。MME103は、S1−MME、S11インタフェースを介して制御信号を送信受信し、eNodeBとS−GW間のS1−Uインタフェースにおけるユーザ転送経路の設定・解放を行う。S1−Uインタフェース上のトランスポートプロトコルはGTP−Uである。
【0041】
S5/S8インタフェース107は、S−GWとP−GW間のインタフェース(ユーザプレーン)であり、トランスポートプロトコルとしてトンネリングプロトコル(GTP−U)、またはプロクシー・モバイルアイピープロトコル(P−MIP)が設定される。
【0042】
S−GW104は、eNodeB102との間でユーザデータの送受信を行い、P−GWと、S5/S8インタフェース107を介して、外部PDN単位の通信経路の設定・解放を行う。P−GW105は、SGiインタフェースを介して外部網(PDN)108と接続する。以下、MME再開時の動作を説明する。
【0043】
<第一段階>
図10は、第一段階として、S−GWに、移動局UEの位置登録エリア情報を登録する段階を説明するシーケンス図である。図10では、図6の基地局(eNodeB)102は省略されている。前提として、移動局UE1は、eNodeBとの間で無線制御リンクを設定しているものとする。図10の各ステップを以下に説明する。
【0044】
図10のステップ1において、移動局UE1は、MME1に対して位置登録要求(Attach RequestあるいはTAU Request等)を送信する。なお、LTEにおいてアイドルモード(待ち受け)の移動局UEの位置は、位置登録エリア情報(トラッキングエリア)という単位で管理される。トラッキングエリアは、3G/UMTSにおけるローケーションエリア(Location Area)又はルーティングエリア(Routing Area)に対応し、1つ又は複数のセルからなる。各セルでは、自セルが属するトラッキングエリアの識別子が報知される。アイドルモードの移動局は、在圏するトラッキングエリアに対して位置登録しており、現在位置登録しているトラッキングエリアの識別子を記憶している。移動局UEは、セルを移動するとき、報知されているトラッキングエリアの識別子を受信し、報知されているトラッキングエリアの識別子が自装置に現在登録されているトラッキングエリアの識別子と異なる場合、位置登録の更新を行う。この位置登録の更新要求を「TAU Request」という。
【0045】
図10のステップ2において、MME1は、移動局UE1に対して、新たに位置登録エリア情報(TA List)を割当てる。
【0046】
図10のステップ3において、MME1は、S−GW1に、S11インタフェースを介して、移動局UE1のTA Listを通知する。S−GW1は、MME1から通知されたTA Listを、移動局UE1の登録情報として、S−GW1内部の記憶部(メモリ)に保持する。
【0047】
なお、図10のステップ1、2の位置登録動作それ自体は、公知であり、また、本発明の主題とは直接関係しないことから、その詳細は省略する。
【0048】
<第二段階>
図11は、第二段階として、ベアラーを保持する段階を説明するシーケンス図である。図11のステップ1において、移動局UE1は、MME1にアタッチ済み(アタッチ要求発行済み)であり、S−GW1、P−GW1を用いて、各種ベアラーを確立済みである。
【0049】
図11のステップ2において、MME1に再開が発生し、MME1において、アタッチ済みのUE1の登録情報が消去される。
【0050】
図11のステップ3において、GTP Echo処理によるヘルスチェック等の処理から、S−GW1は、MME1の再開を検出する。
【0051】
図11のステップ4において、S−GW1は、MME1にアタッチしている全ての移動局UEを認識する(UE1がMME1に収容されていることが確認される)。
【0052】
全てのサービスに対して、本発明を提供する場合、図11のステップ5において、移動局UE1に関するS−GW1から外部網IMS1側方向の全てのベアラーが保持される。
【0053】
図11のステップ6、7は、図11のステップ5のように、移動局UE1に関わる全てのサービスに対して本発明によるベアラー保持機能は提供せず、特定のサービス(音声サービスなどを提供するIMSサービス)についてのみベアラー(IMS制御用ベアラ)を保持する。
【0054】
図11のステップ4において、移動局UE1がMME1に収容されていることが確認された後、更に、図11のステップ6において、S−GW1は、移動局UE1の持つベアラーうちIMSを提供するベアラー(IMSの制御に用いられるベアラー)があるか否かを確認する。その際、IMS制御用ベアラーの判断には、各ベアラーが持つ情報要素の1つであるQCI(QoS Class Identifier)値等が用いてもよい。QCI値を用いた場合の例として、例えば、QCI値が「5」の場合、非特許文献1(3GPP TS23.203)の表6.1.7に従い、IMS制御用(IMS Signaling)と判断し、音声サービス提供のために用いられる制御用のベアラーであると判断することができる。
【0055】
S−GW1で管理される移動局UE1に関するベアラーのうちIMS制御用ベアラーがあった場合、該当ベアラーだけを保持し、それ以外のベアラーについては、非特許文献2(3GPP TS23.007)の動作に従い、ローカルに解放する。
【0056】
また、S−GW1は、IMS制御用ベアラー(特定のベアラー)を保持する場合には、移動局UE1が、既に別のS−GWに再アタッチしている場合を考慮して、満了時(タイムアウト時)に、該当ベアラー資源の解放(削除)を行うためのタイマをスタートさせる。このタイマは、S−GW1において前記特定ベアラーを保持する場合の保持期間を制御するものであり、保持したベアラーの解放漏れを防ぐために必要となる。このタイマに、移動局UE1の持つ周期位置登録タイマと同等の時間を設定することで、UE1が次に周期位置登録要求をあげてくるであろう、最低限必要な時間だけ、音声サービスの着信を、S−GW1にて待つことができる。また、このとき、S−GW1の内部の記憶部(メモリ)に、移動局UE1がMME1において未登録状態であることを記憶しておく。
【0057】
図11のステップ7において、MME1では、移動局UE1が未登録状態であり、S−GW1とP−GW1ではIMS制御用ベアラーのみが保持される状態となる。以上で、第二段階は終了である。
【0058】
このあと、図12で示す第三段階が実行されなかった場合、図11のステップ6にてスタートしたタイマが満了した時点(タイムアウト発生時)で、S−GW1は、移動局UE1に関して保持していた全ベアラー(IMS制御用ベアラー資源)を削除する。
【0059】
<第三段階>
図12は、第三段階として、第二段階の状態で、IMS等のPDNより着信が行われた場合の動作のシーケンス図である。以下に各ステップを説明する。
【0060】
図12のステップ1において、IMS1より移動局UE1に対する音声サービスの着信通知がS−GW1まで届く。
【0061】
図12のステップ2において、S−GW1は、移動局UE1がMME1の再開により未登録状態であることを記憶しているため、IMSIと事前に登録していたTA Listを含めたダウンリンク・データ・ノーティフィケーション(Downlink Data Notification)をMME1へ送信し、着信を通知する。
【0062】
図12のステップ3において、通知されたIMSIを持つ移動局UE1がアタッチしていない場合、MME1は、受信したTA Listに対して、IMSIを用いて移動局UE1のページングを行う。ただし、ステップ3を実行する上で、移動局UE1が、既に(他のS−GWを選択し)、MME1にアタッチ動作が実施済みである場合がある。その場合、MME1は、S−GW1に移動局UE1に関する全ベアラーの解放を促すために、アタッチ済みの原因を示すダウンリンク・データ・ノーティフィケーション肯定応答(Downlink Data Notification Acknowledge)を返信する。
【0063】
図12のステップ4において、IMSIを用いたページングを受信した移動局UE1は、アタッチ動作を行う。
【0064】
図12のステップ4の移動局UEのアタッチ動作は、当業者にとってよく知られており、また本発明とは直接関係しないことから、その詳細な構成は省略する。
【0065】
なお、S−GWがMMEの再開検出時、eNodeBとS−GW間のS1−Uインタフェース上のトンネル(GTP−U)がアクティブの場合、S−GWは当該トンネルを解放する。
【0066】
<実施形態2>
次に本発明の例示的な第2の実施形態として、図7のネットワーク構成において、SGSN再開時の動作として以下に説明する。第2の実施形態は、基本的に、前記第1の実施形態におけるMME再開時の動作と同等である。図7の例は、2G/3Gを収容した構成であり、図6のeNodeB102とMME103を、2G/3G無線制御装置(NodeBとRNC)110とSGSN111で置き換えたものである。2G/3G無線制御装置(NodeBとRNC)110とSGSN111間はIuインタフェース、2G/3G無線制御装置(NodeBとRNC)110とS−GW104間はS12インタフェース、SGSNとS−GW間はS4インタフェース、SGSN111とHSS106間はS6d/Grインタフェースである。
【0067】
本実施形態の動作は、大きく分けて3つの段階を持つ。
【0068】
<第一段階>
図13は、第一段階として、S−GW1に移動局UEの位置登録エリア情報を登録する段階のシーケンス図である。以下に各ステップを説明する。
【0069】
図13のステップ1において、移動局UE1がSGSN1に、位置登録要求(Attach Request/Routing Area Update Request等)を出す。ルーティングエリア更新要求(Routing Area Update Request)はSGSNへの位置登録更新要求である。
【0070】
図13のステップ2において、SGSN1が移動局UE1に新たに位置登録エリア情報(RAI)を割り当てる。
【0071】
図12のステップ3において、SGSN1がS−GW1に、移動局UE1のRAIを通知し、S−GW1は通知されたRAIを移動局UE1の登録情報として保持する。
【0072】
なお、図12の位置登録動作は、当業者にとってよく知られており、また本発明の主題とは直接関係しないことから、その詳細な構成は省略する。
【0073】
<第二段階>
図14は、第二段階として、ベアラーを保持する段階のシーケンス図である。以下に各ステップを説明する。
【0074】
図14のステップ1において、移動局UE1はSGSN1にアタッチ済みであり、S−GW1、P−GW1を用いて各種ベアラーを確立済みである。
【0075】
図14のステップ2において、SGSN1に再開処理等が発生し、アタッチ済みの移動局UE1の登録情報が消去される。
【0076】
図14のステップ3において、GTP Echo処理によるヘルスチェック等の処理から、S−GW1はSGSN1の再開を検出する。
【0077】
図14のステップ4において、S−GW1は、SGSN1にアタッチしている全ての移動局UEを認識する(移動局UE1がSGSN1に収容されていることが確認される)。
【0078】
全てのサービスに対して本発明を適用する場合は、図14のステップ5において、全てのベアラーが保持される。
【0079】
図14のステップ6、7は、図11のステップ5のように、全てのサービスに対してベアラーを保持することはせずに、特定のサービス(以下の例では、音声サービスなどを提供するIMSサービス。)に関するベアラーのみ保持するようにしている。
【0080】
図14のステップ4において、移動局UE1がSGSN1に収容されていることが確認された後、更に、図14のステップ6において、S−GW1は、移動局UE1の持つベアラーのなかでIMSを提供するベアラー(IMSの制御に用いられるベアラー)があるかを確認する。その際、IMS制御用ベアラーの判断には、各ベアラーが持つ情報要素の1つであるQCI(QoS Class Identifier)値等を用いてもよい。例えば、QCI値が「5」の場合、非特許文献1(3PP TS23.203)の表6.1.7に従い、IMS制御用(IMS signaling)と判断し、音声サービス提供のために用いられる制御用のベアラーであると判断できる。IMS制御用ベアラーが有った場合、S−GW1は、該当ベアラーだけを保持し、それ以外のベアラーについては、非特許文献1(3GPP TS23.007)の動作に従い、ローカルに解放(削除)する。
【0081】
また、IMS制御用ベアラーを保持する場合には、移動局UE1が既に別のS−GW1に再アタッチしている場合を考慮し、満了時に、該当ベアラーの解放を行うタイマをスタートする。このタイマは、保持したベアラーの解放漏れを防ぐために必要となる。
【0082】
このタイマは、移動局UE1の持つ周期位置登録タイマと同等の時間を設定することで、移動局UE1が次に周期位置登録要求をあげてくるであろう、最低限必要な時間だけ、音声サービスの着信を、S−GW1にて待つことができる。また、このとき、S−GW1では、移動局UE1がSGSN1において未登録状態である、ことを記憶しておく。
【0083】
図14のステップ7において、SGSN1は、移動局UE未登録状態、S−GW1とP−GW1では、IMS制御用ベアラーのみが保持される状態となる。
【0084】
このあと、図15で示す第三段階が実行されなかった場合、図14のステップ6にてスタートしたタイマが満了した時点で、S−GW1は、移動局UE1に関して保持されていた全ベアラー(IMS制御用ベアラー資源)を削除する。
【0085】
<第三段階>
図15は、第三段階として、第二段階の状態で、IMS等のPDNより着信が行われた場合の動作のシーケンス図である。
【0086】
図15のステップ1において、IMS1より移動局UE1に対する音声サービスの着信通知がS−GW1まで届く。
【0087】
図15のステップ2において、S−GW1は、移動局UE1がSGSN1の再開により未登録状態であることを記憶しているため、IMSIと、事前に登録していたRAIを含めたダウンリンク・データ・ノーティフィケーション(Downlink Data Notification)をMME1へ送信し、着信を通知する。
【0088】
図15のステップ3において、通知されたIMSIを持つ移動局UE1がアタッチしていない場合、SGSN1は、受信したRAIに対して、IMSIを用いて移動局UE1のページングを行う。ただし、図15のステップ3を実行する上で、移動局UE1が既に他のS−GWを選択し、SGSN1にアタッチ動作が実施済みである場合がある。その場合、SGSN1は、S−GW1に、移動局UE1に関する全ベアラーの解放を促すため、アタッチ済みの原因(Cause)を示すダウンリンク・データ・ノーティフィケーション肯定応答(Downlink Data Notification Acknowledge)を返信する。
【0089】
図15のステップ4において、IMSIを用いたページングを受信した移動局UE1はアタッチ動作を行う。図15のステップ4の移動局UEのアタッチ動作は、当業者にとってよく知られており、また本発明の主題とは直接関係しないことから、その詳細な構成は省略する。
【0090】
<実施形態3>
次に本発明の例示的な第3の実施形態として、図8のネットワーク構成の元でのISR機能(LTE/3G位置登録省略機能)を用いた場合の動作を以下に説明する。ISRでは、MMEとSGSNの両方に移動局UEが位置登録を行う。LTE、2G/3Gで無線アクセスシステムを切り替えた場合、LTEと2GE/3Gで以前に登録した位置登録エリアから変更がない限り、UEの位置登録は省略される。図8は、LTE及び2G/3Gを収容するパケット通信ネットワーク構成を示す図である。この構成は、移動局UE101に接続する2G/3G無線制御装置110とSGSN111を、図1の構成に追加した構成とされる。MME103とSGSN111は、S3インタフェースで接続され、MME103とSGSN111はそれぞれS6a,S6d/GrインタフェースでHSS106に接続される。S−GW104はS4、S11インタフェースでSGSN111、MME103に接続される。
【0091】
<第一段階>
第一段階として、2G/3GからのUE1の位置登録処理は、図13に示した通りである。LTEからの位置登録処理については図10が適用される。これら2つの動作により、S−GW1は、位置登録エリア情報としてRAI、及びTA Listを保持する。なお、ISR動作時の位置登録処理自体は、当業者にとってよく知られており、また本発明の主題とは直接関係しないことから、その詳細な構成は省略する。
【0092】
<第二段階>
第二段階として、図16は、図8のMME1が再開した場合の動作としてシーケンスの一例を示す図である。図17は、図8のSGSN1が再開した場合の動作としてシーケンスの一例を示す図である。
【0093】
図16のステップ1において、移動局UE1はMME1に位置登録済みであり、S−GW1、P−GW1を用いて各種ベアラーを確立済みである。
【0094】
図16のステップ2において、MME1に再開が発生し、MME1において位置登録済み移動局UE1の登録情報が消去される。
【0095】
図16のステップ3において、GTP Echo処理によるヘルスチェック等の処理から、S−GW1はMME1の再開を検出する。
【0096】
図16のステップ4において、S−GW1は、MME1にアタッチしている移動局UE1がSGSN1とISR機能を用いて登録済みであることを知っているため、ベアラーの解放は行わない。また、このとき、S−GW1の内部で、移動局UE1がMME1において未登録状態であることを記憶しておく。ただし、SGSN1が既に再開していた場合には、図11の処理と同様に、本発明による処理(移動局UE1に関わるベアラーの保持)を動作させる。
【0097】
以下、図8のSGSN1が再開した場合の動作を説明する。
【0098】
図17のステップ1において、移動局UE1はSGSN1に位置登録済みであり、S−GW1、P−GW1を用いて各種ベアラーを確立済みである。
【0099】
図17のステップ2において、SGSN1に再開処理等が発生し、位置登録済みの移動局UE1の登録情報が消去される。
【0100】
図17のステップ3において、GTP Echo処理によるヘルスチェック等の処理から、S−GW1は、SGSN1の再開を検出する。
【0101】
図17のステップ4において、S−GW1は、SGSN1にアタッチしている移動局UE1がMME1とISR機能を用いて登録済みであることを知っているため、ベアラーの解放は行わない。また、このとき、S−GW1の内部で、移動局UE1がSGSN1において未登録状態であることを記憶しておく。ただし、MME1が既に再開していた場合には、図14の処理と同様に、本発明による処理(移動局UE1に関するベアラーの保持を動作させる。
【0102】
<第三段階>
次に第三段階として、図18は、図8のMME1が再開した状況でのPDNより着信が行われた場合の動作をシーケンスの一例を示す図である。図19は、図8のSGSN1が再開した状況でのPDNより着信が行われた場合の動作をシーケンスの一例を示す図である。図20は、図8のMME1とSGSN1が共に再開した状況でのPDNより着信が行われた場合の動作シーケンスの一例を示す図である。
【0103】
MME1が再開した状況でのPDNより着信が行われた場合、図18のステップ1において、PDN1より移動局UE1に対する通信サービスの着信通知がS−GW1まで届く。
【0104】
図18のステップ2において、S−GW1は、SGSN1に通常のダウンリンクデータノーティフィケーション(Downlink Data Notification)を送信し、着信を通知する。
【0105】
図18のステップ3において、S−GW1は、移動局UE1がMME1の再開により、未登録状態であることを記憶しているため、IMSIと事前に登録していたTA Listを含めたダウンリンク・データ・ノーティフィケーション(DownlinkData Notification)をMME1へ送信し、着信を通知する。
【0106】
図18のステップ4において、SGSN1は、通常のページング(着信に対する移動局の呼び出し)を行う。
【0107】
図18のステップ5において、通知されたIMSIを持つ移動局UE1がアタッチしていない場合、MME1は、受信したTA Listに対してIMSIを用いて移動局UE1のページングを行う。
【0108】
図18のステップ6において、IMSIを用いたページングをLTEで受信した場合、移動局UE1はアタッチ動作を行う。
【0109】
以下、SGSNが再開した状況でのPDNより着信が行われた場合を説明する。
【0110】
図19のステップ1において、PDN1より移動局UE1に対する通信サービスの着信通知がS−GW1まで届く。
【0111】
図19のステップ2において、S−GW1は、MME1に通常のダウンリンクデータノーティフィケーション(Downlink Data Notification)を送信し、着信を通知する。
【0112】
図19のステップ3において、S−GW1は、移動局UE1がSGSN1の再開により未登録状態であることを記憶しているため、IMSIと事前に登録していたRAIを含めたダウンリンク・データ・ノーティフィケーション(Downlink Data Notification)をSGSN1へ送信し、着信を通知する。
【0113】
図19のステップ4において、MME1は通常のページングを行う。
【0114】
図19のステップ5において、通知されたIMSIを持つ移動局UE1がアタッチしていない場合、SGSN1は、受信したRAIに対して、IMSIを用いて移動局UE1のページングを行う。
【0115】
図19のステップ6において、IMSIを用いたページングを2G/3Gで受信した場合、移動局UE1はアタッチ動作を行う。
【0116】
以下では、MME、SGSNが共に再開した状況でのPDNより着信が行われた場合の動作を説明する。
【0117】
図20のステップ1において、PDN1より移動局UE1に対する通信サービスの着信通知がS−GW1まで届く。
【0118】
図20のステップ2において、S−GW1は、移動局UE1がMME1の再開により未登録状態であることを記憶しているため、IMSIと事前に登録していたTA Listを含めたダウンリンク・データ・ノーティフィケーションをMME1へ送信し、着信を通知する。
【0119】
図20のステップ3において、S−GW1は、UE1がSGSN1の再開により未登録状態であることを記憶しているため、IMSIと事前に登録していたRAIを含めたダウンリンク・データ・ノーティフィケーションをSGSN1へ送信し、着信を通知する。
【0120】
図20のステップ4において、通知されたIMSIを持つ移動局UE1がアタッチしていない場合、MME1は、受信したTA Listに対して、IMSIを用いて移動局UE1のページングを行う。
【0121】
図20のステップ5において、通知されたIMSIを持つUE1がアタッチしていない場合、SGSN1は、受信したRAIに対して、IMSIを用いて移動局UE1のページングを行う。
【0122】
図20のステップ6では、IMSIを用いたページングを受信した場合、移動局UE1はアタッチ動作を行う。
【0123】
なお、図11、図12、及び図13におけるステップ6の移動局UEのアタッチ動作は、当業者にとってよく知られており、また本発明の主題とは直接関係しないことから、その詳細な構成は省略する。
【0124】
<実施形態4>
図9は、本発明の例示的な第4の実施形態のネットワーク構成を示す図である。図9には、CSFB(CS Fallback)アーキテクチャが示されている。図9を参照すると、移動局(UE)101、基地局(eNodeB)102、MME103、HSS106、MSC/VLR112と、CS網113、G−MSC(関門移動交換局)114を備えている。図9において、発信元のG−MSC114から移動局(UE)101への音声着信動作を説明する。
【0125】
発信元のG−MSC114からCS網113を介してMSC/VLR112に、着信があることを伝える信号が送信される。MSC/VLR112では、着信情報から対応するMME103を特定し、一斉呼び出し信号(Paging−Request−message)をMME103に送信する。MME103は、一斉呼び出し信号を在圏移動局に送信する。この一斉呼び出し信号(ページング信号)には、CSサービスの呼び出しであることを示す情報が含まれている。移動局UE101は、この情報(CSサービスの呼び出しであること)を認識し、MME103に対してCSサービス要求信号を送信する。MME103はハンドオーバー命令をUE1に送信する。移動局UE101は、ハンドオーバ手順を実行するとともに3Gに切り替える。3Gへ切り替えた移動局UE101は、MSC/VLR112に対して、一斉呼び出し応答を送信する。その結果、当該音声着信に対する移動局の音声通話が開示される。MME再開時の動作として以下に説明する。
【0126】
本発明の動作は大きく分けて3つの段階を持つ。
【0127】
<第一段階>
図21は、第一段階として、MSCに、移動局UEの位置登録エリア情報を登録する段階のシーケンス図である。以下に各ステップを説明する。
【0128】
図21のステップ1において、移動局UE1がMME1に、CSFB用位置登録要求(Attach Request、TAU Request等)を出す。
【0129】
図21のステップ2において、MME1が、移動局UE1に対して、新たに位置登録エリア情報TA List)を割当てる(払い出す)。
【0130】
図21のステップ3において、MME1がMSC1に、移動局UE1のTA Listを通知する。MSC1は、MME1から通知されたTA Listを移動局UE1の登録情報として保持する。
【0131】
なお、図21の位置登録動作は、当業者にとってよく知られており、また本発明の主題とは直接関係しないことから、その詳細な構成は省略する。
【0132】
<第二段階>
図22は、第二段階として、ベアラーを保持する段階のシーケンス図である。以下に各ステップを説明する。
【0133】
図22のステップ1において、移動局UE1はMME1にアタッチ済みである。
【0134】
図22のステップ2において、MME1に再開処理等が発生し、アタッチ済みの移動局UE1の登録情報が消去される。
【0135】
図22のステップ3において、SCTPによるヘルスチェック等の処理から、MSC1はMME1の再開を検出する。
【0136】
図22のステップ4において、MSC1はMME1にアタッチしている全ての移動局UEを認識する(移動局UE1がMME1に収容されている事が確認される)。以上が第二段階である。
【0137】
<第三段階>
次に第三段階として、図23に、第二段階の状態で、CSドメイン経由での着信(音声着信、あるいはSMS等)が行われた場合の動作シーケンスの一例を示す。以下、各ステップを説明する。
【0138】
図23のステップ1において、G−MSCなどより移動局UE1に対する着信通知がMSC1まで届く。
【0139】
図23のステップ2において、MSC1は、移動局UE1がMME1の再開により未登録状態であることを記憶しているため、IMSIと事前に登録していたTA Listを含めたページング要求メッセージ(SGsAP−PAGING−REQUEST message)をMME1へ送信し、着信を通知する。
【0140】
図23のステップ3において、通知されたIMSIを持つUE1がアタッチしていない場合、MME1は、受信したTA Listに対して、IMSIを用いて移動局UE1のページングを行う。
【0141】
ただし、図23のステップ3を実行する上で、移動局UE1が既に(他のMSCを選択し)MME1にアタッチ動作が実施済みである場合がある。
【0142】
その場合、MME1は、MSC1に対して、移動局UE1に関する全ベアラーの解放を促すため、アタッチ済みの原因(Cause)を示すページング拒否メッセージ(SGsAP−PAGING−REJECT message)を返信する。
【0143】
図23のステップ4において、IMSIを用いたページングを受信した移動局UE1はアタッチ動作を行う。図23のステップ4における移動局UEのアタッチ動作は、当業者にとってよく知られており、また本発明の主題とは直接関係しないことから、その詳細な構成は省略する。
【0144】
上記実施形態の図面では、説明の簡単のため、P−GWはP−GW1の1つしか示していないが、P−GW2、P−GW3、P−GWN等の複数のP−GWを用いた場合でも同様である。
【0145】
次に本発明の態様の一つについて図24を参照して説明する。図24は図10等を補足するものであリ、ネットワークトリガー型のサービスリクエストによる加入者データのリインスタレーション(Subscriber data re−installation by Network Triggered Service Request)を説明する図である。なお、図24にはeNodeBは省略されている。
【0146】
S1)MMEは最新のTAリスト(latest TA−list)を対応するS−GWに転送する。すなわち、MMEは、モビリティイベント発生毎に、UE単位のTAリストを、1つ又は複数のS−GWに通知する(MME informs the latest TA−list per UE to S−GWs in every mobility event)。この情報(TAリスト)は、MME障害等の場合に、重要である。それは、MMEの全体のカバレッジに対してIMSIをページングすることが回避できるためである。1つのMMEには多数のeNodeBが収容されているため、全カバレッジにページングすることは、EPSシステムにおいて、負担が極めて大きいためである。
【0147】
S2)MMEがリスタートする。
【0148】
S3)リスタートカウンタを1つ増やした状態でGTP Echoメッセージ(GTP−V2 Echo response message)が全ての関連するS−GWに送られる。
【0149】
S4)関連するS−GWでは、このGTP echoメカニズムでMME障害(MME failure)を検出する。S−GWは、全ての/又は選択したベアラーと、IMSI、TAリストを維持することができる。オペレータは、トップランクのサービス(IMS)(service on top(IMS))に基づき、ベアラーを選択することができる。その結果、ベアラーの維持は、重要なサービスについてのみ、選択することが可能となる。その他(選択されたベアラー)については、現行のMME再開機構が適用される。S−GWがベアラー資源、ISMI、TAリストを維持する場合、S−GWは、当該ベアラー資源等の維持期間を制御するタイマ−をスタートさせる。タイマのタイムアウト時、維持されたベアラー資源等は削除される。この処置は、UEがネットワークに再アタッチしたときに、当該S−GWが選択されない場合に必要とされる(すなわち、当該S−GWでタイマのタイムアウト時、当該UEが当該S−GWとは別のS−GWを介してネットワークに再アタッチしたものとして、前記維持されたベアラー資源(例えば維持された特定のベアラーであるS5/S8ベアラー)等は削除される。)。
【0150】
S5)P−GWに外部網(PDN)からDLデータが届く。
【0151】
S6)S−GWがP−GWからDLデータを得る。
【0152】
S7)S−GWは、IMSI、TAリストを含むダウンリンク・データ・ノーティフィケーションメッセージ(DL data notification (IMSI,TA list))をMMEに送る。
【0153】
S8)MMEはS−GWから受信したTAリストの全てのTAに対してIMSIページ((Page(IMSI)to TAs specified In TA list)を開始する。
【0154】
S9)移動局UEは、IMSIページを受け取ると、移動局UEは、アタッチ(ATTACH)手順を開示する。
【0155】
S10)MMEはUEからのアタッチ(ATTACH)要求を受け、HSSに位置情報更新要求を送る。
【0156】
S11)HSSは、位置情報更新承認をMMEに送る。
【0157】
S12)MMEは、eNodeBを介して、移動局UEにATTACH受理を送信する。
【0158】
S−GWは、MMEの再開を検出した場合に、ベアラーやIMSIやTAリストを維持する。これにより、MMEの再開後に、PDN側からのUEに対するDLデータ着信後に、通信サービスを即時に復帰させることができる。
【0159】
また、本発明の一態様によれば、選択したベアラーだけを維持するようにした場合、S−GWのリソースの消費を抑制できる。さらに、重要なサービスに関するベアラーを選択して維持することで、重要度の高いサービス(例えば音声通信など)に対して、MMEの再開後、移動局への着信の到来に対して即時に通信サービスの復帰を可能としている。
【0160】
さらに、本発明の一態様によれば、ベアラー、又は、ベアラーとIMSI及びTAリストを維持する場合に、その維持期間をタイマーで管理する。そして、該タイマーのタイムアウト時に、該維持していたベアラー、IMSI及びTAリストを解放する。このようにすることで、MME再開後、移動局UEの移動に伴い、当該ベアラーを維持している当該S−GWとは別のS−GWに接続したような場合に、当該S−GWが必要以上にベアラーを維持し続けることを回避することができる。
【0161】
以上説明したように、本発明においては、以下に記載するような効果を奏する。
【0162】
再開が発生したMME/SGSNに登録されているUEの再登録契機として、パケット着信が加わることによって、UEの通信サービスの可用性が向上する。
【0163】
本発明を全てのサービスに適用した場合、全てのパケット着信をUEのネットワークへの復帰契機と出来る。ただしその場合、S−GW側のリソースを多く使用する事となると同時に、位置登録が集中する事が考えられる。S−GW1は、TA listを保持し、TA listを利用したPage処理を行う事を可能としているが、TA ListがMME1より受信できなかった場合、MME1配下の全エリアに対してページングを行うこともできる。ただしその場合、無線側のリソースを多く使用することとなる。
【0164】
本発明によれば、S−GWは、RAIを保持し、RAIを利用したPage処理を行う事を可能としているが、RAIがSGSN1より受信できなかった場合、SGSN配下の全エリアに対してページングを行うこともできる。ただしその場合、無線側のリソースを多く使用することとなる。
【0165】
なお、上記の非特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施形態の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0166】
101 UE
102 eNodeB
103 MME
104 S−GW
105 P−GW
106 HSS
107 S5/S8
108 外部網
109 IMS
110 2G/3G 無線制御装置(NodeB/RNC)
111 SGSN
112 MSC/VLR
113 CS網
114 G−MSC(関門移動交換局)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MME(Mobility Management Entity)とS−GW(Serving Gateway)とを含む移動通信ネットワークに用いられる移動端末(UE)であって、
前記MMEが再開した場合に、前記S−GWがオペレータポリシーに基づく特定のS5/S8ベアラーを保持し、それ以外のベアラーを削除する前記移動通信ネットワークから前記移動端末に対する着信に基づきページングを受ける手段と、
前記着信を受け、前記移動通信ネットワークに再登録(再アタッチ)する手段と、
を有することを特徴とする移動端末。
【請求項2】
MME(Mobility Management Entity)とS−GW(Serving Gateway)とを含む移動通信ネットワークに用いられる移動端末(UE)の移動通信ネットワークへの登録方法であって、
前記MMEが再開した場合に、前記S−GWがオペレータポリシーに基づく特定のS5/S8ベアラーを保持し、それ以外のベアラーを削除する前記移動通信ネットワークから前記移動端末に対する着信に基づきページングを受け、前記着信を受けた前記移動端末は、前記移動通信ネットワークに再登録(再アタッチ)する、ことを特徴とする移動端末の移動通信ネットワークへの登録方法。
【請求項1】
MME(Mobility Management Entity)とS−GW(Serving Gateway)とを含む移動通信ネットワークに用いられる移動端末(UE)であって、
前記MMEが再開した場合に、前記S−GWがオペレータポリシーに基づく特定のS5/S8ベアラーを保持し、それ以外のベアラーを削除する前記移動通信ネットワークから前記移動端末に対する着信に基づきページングを受ける手段と、
前記着信を受け、前記移動通信ネットワークに再登録(再アタッチ)する手段と、
を有することを特徴とする移動端末。
【請求項2】
MME(Mobility Management Entity)とS−GW(Serving Gateway)とを含む移動通信ネットワークに用いられる移動端末(UE)の移動通信ネットワークへの登録方法であって、
前記MMEが再開した場合に、前記S−GWがオペレータポリシーに基づく特定のS5/S8ベアラーを保持し、それ以外のベアラーを削除する前記移動通信ネットワークから前記移動端末に対する着信に基づきページングを受け、前記着信を受けた前記移動端末は、前記移動通信ネットワークに再登録(再アタッチ)する、ことを特徴とする移動端末の移動通信ネットワークへの登録方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−80573(P2012−80573A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−274499(P2011−274499)
【出願日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【分割の表示】特願2011−552269(P2011−552269)の分割
【原出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【分割の表示】特願2011−552269(P2011−552269)の分割
【原出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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