説明

移動端末のハンドオーバ方法

【課題】 従来は、ハンドオーバの成功率が低く、また、移動端末の消費電流が多くなり、無駄な電池消耗が避けられず更に、ユーザの使用用途や地域などの違いに対応できず使用環境に左右される。
【解決手段】 ステップS21における切り戻し処理の設定有無の判定は、予めユーザが設定した検索のリトライ回数達したかどうかを判定し、設定したリトライ回数に達していない場合は、ユーザが予め設定した時間間隔経過した時点でステップS3に戻り、約0.5秒の基地局検索を再度行う。ステップS21で設定したリトライ回数に達していると判定された場合は、ユーザが予め切り戻り処理を行うように設定した場合は、ステップS22の切り戻り処理を行う。ユーザが予め切り戻り処理を行わないように設定したときは通話を終了する。ステップS23では、同期確立をリトライ時間間隔でリトライ回数行ったかどうか判定する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は移動端末のハンドオーバ方法に係り、特に簡易携帯電話機(PHS)が通話中に通話を継続するために通信相手先無線基地局を切り換えるハンドオーバを行う移動端末のハンドオーバ方法に関する。
【0002】
【従来の技術】移動端末におけるハンドオーバとは、移動端末が無線で基地局と通信している場合に、当該基地局からの距離が遠すぎる場合、もしくは妨害波、干渉波により通話品質が劣化した場合に、通話品質を保つために他の基地局に通話を保ちながら接続し直す機能である。
【0003】移動端末であるPHS端末のハンドオーバ方法は、従来は例えば図6のフローチャートに示すように、PHS端末が基地局との間で無線通信し、更にその基地局を介して上位の交換機などを通して相手端末(移動端末又は固定電話機)との間で通話中に、通話品質が劣化したかどうか判定し(ステップS1)、通話品質が劣化していなければそのまま通話中の状態を継続し(ステップS2)、通話品質が劣化した時には別の基地局を約0.5秒間検索する(ステップS3)。ここで、通話品質の劣化は、通話しているチャネルの同期がはずれたのを検出した場合、あるいは基地局からハンドオーバを指示された場合などがある。基地局の検索は、基地局が送出する論理制御チャネルを取得することで行う。
【0004】上記の検索の結果が判定され(ステップS4)、別の基地局を検索できなかったときには、今度は約2秒間、別の基地局の検索をもう一度行う(ステップS5)。その検索の結果が判定され(ステップS6)、それでも別の基地局が検索できなかったときには、元の基地局との通信を確立しようとする、いわゆる切り戻り処理を行う(ステップS7)。元の基地局は、PHS端末がハンドオーバを行って失敗した場合、戻れるように切り戻り信号を10秒間送出し続けている。
【0005】1回目の約0.5秒と短い検索期間中に別の基地局が送出する論理制御チャネルを取得できたときには、その別の基地局との間で同期をとり(ステップS4、S8)、同期が確立したかどうか判定し(ステップS9)、同期が確立したときにはその基地局と通信を確立して(ステップS10)、通話を継続する(ステップS11)。しかし、別の基地局が検索できても同期確立ができなかった場合は、更に他の基地局があるかどうか判定し(ステップS12)、他の基地局がある場合はその基地局と同期をとり(ステップS8)、他の基地局がない場合は、元の基地局へ切り戻り処理を行う(ステップS13)。
【0006】また、2回目の約2秒と長い検索期間中に別の基地局が送出する論理制御チャネルを取得できたときには、その別の基地局との間で同期をとり(ステップS6、S8)、同期が確立したかどうか判定し(ステップS9)、同期が確立したときにはその基地局と通信を確立して(ステップS10)、通話を継続する(ステップS11)。しかし、別の基地局が検索できても同期確立ができなかった場合は、更に他の基地局があるかどうか判定し(ステップS12)、他の基地局がある場合はその基地局と同期をとり(ステップS8)、他の基地局がない場合は、元の基地局へ切り戻り処理を行う(ステップS13)。
【0007】図7は従来のハンドオーバ方法の検索失敗時のシーケンス図を示す。PHS端末はユーザとのインターフェースをとる操作系制御部Aと、ソフトウェアプログラムによる制御を行う無線系制御部Bと、無線部、アンテナその他回路などのハード(ハードウェア)Cから大略構成されている。
【0008】いま、PHS端末が基地局/公衆網#1を介して相手端末と通話中の状態において(ステップP1)、通信品質が劣化すると、無線系制御部Bが操作系制御部Aへ無線切換開始を通知し(ステップP2)、無線系制御部Aがこれにより無線切換開始応答をすると(ステップP3)、無線系制御部BがハードCに対して基地局/公衆網#1とは別の基地局の検索を要求するも検索結果が基地局なしを示しているものとする(ステップP4、P5)。この基地局検索は、図6のステップS3〜S5に示したように、2回行われる。
【0009】基地局検索に失敗すると、図6のステップS6の切り戻り処理が行われる。すなわち、図7において、切り戻り要求が無線系制御部BからハードCに対して行われ(ステップP6)、これによりハードCが切り戻り信号を基地局/公衆網#1の基地局から受信すると(ステップP7)、切り戻り応答信号を送信し(ステップP8)、切り戻り結果を無線系制御部Bに通知する(ステップP9)。これにより、操作系制御部Aに通話継続の通知がなされ(ステップP10)、PHS端末の表示部の画面には”通話中”が表示され、ハンドオーバ開始前の基地局/公衆網#1とを介して相手端末との通話が継続される(ステップP11)。
【0010】図8は従来のハンドオーバ方法の接続失敗時のシーケンス図を示す。同図中、図7と同一処理ステップには同一符号を付し、その説明を省略する。図8において、基地局検索の結果、基地局/公衆網#2の基地局を検索できた場合、無線系制御部BはハードCに同期確立を通知し、基地局/公衆網#2の基地局との間で同期確立を行う(ステップP15、P16:図6のステップS8に相当)。しかし、同期確立が取れない場合(ステップP17)、また、更に他の基地局も検索されないときは、図6のステップS13の切り戻り処理が行われる。
【0011】すなわち、図8において、切り戻り要求が無線系制御部BからハードCに対して行われ(ステップP18)、これによりハードCが切り戻り信号を基地局/公衆網#1の基地局から受信すると(ステップP19)、切り戻り応答信号を送信し(ステップP20)、切り戻り結果を無線系制御部Bに通知する(ステップP21)。これにより、操作系制御部Aに通話継続の通知がなされ(ステップP22)、PHS端末の表示部の画面には”通話中”が表示され、ハンドオーバ開始前の基地局/公衆網#1とを介して相手端末との通話が継続される(ステップP23)。
【0012】このように、従来はハンドオーバを開始しても、他の基地局を検索できない場合、あるいは、他の基地局を検索できても同期確立ができず接続に失敗した場合は、元の基地局との通信に戻る切り戻り処理を行うことにより、通信を継続するようにしている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、上記の従来の移動端末のハンドオーバ方法では、ハンドオーバ開始後に基地局を検索する回数が事業者(サービス提供会社)によって固定値で設定されているため、切替先の基地局が見付かる可能性が低く、ハンドオーバの成功率が低いという問題がある。
【0014】また、従来の移動端末のハンドオーバ方法では、2回目の検索時間が約2秒と比較的に長いため、移動端末の消費電流が多くなり、無駄な電池消耗が避けられないという問題がある。
【0015】更に、従来の移動端末のハンドオーバ方法では、ユーザの使用用途や地域などの違いに対応できないという問題がある。例えば、地方の基地局が充実していない地域と、都市部の基地局が充実した地域とでは、ハンドオーバの接続率は当然異なる。また、通話中にほとんど移動せずに使用する人、頻繁に移動する人、移動しながら使用する人と使用用途は様々で当然その場合でも異なってくる。しかしながら、従来はそのようなユーザの使用用途や地域を考慮しておらず、使用環境に左右されるという問題がある。
【0016】本発明は以上の点に鑑みなされたもので、ハンドオーバの接続率を改善し得る移動端末のハンドオーバ方法を提供することを目的とする。
【0017】また、本発明の他の目的は、無駄な電池消耗を回避し得る移動端末のハンドオーバ方法を提供することにある。
【0018】更に、本発明の他の目的は、使用環境に左右されること無く一定の品質のハンドオーバ機能を実現し得る移動端末のハンドオーバ方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、第1の発明は、無線通信する第1の基地局を介して相手端末と通話中に、第1の基地局との通話品質が劣化したかどうか判定する第1のステップと、第1のステップにより通話品質が劣化したと判定されたときに、第1の基地局とは異なる無線通信可能な第2の基地局を、所定時間内で検索する第2のステップと、第2のステップにより、第2の基地局を検索できないときは、予め設定したリトライ時間間隔経過後に、第2のステップによる検索を行わせると共に、第2のステップにより第2の基地局が検索できるまで、最大で予め設定したリトライ回数繰り返して検索させる第3のステップとを含むことを特徴とする。
【0020】この発明では、ハンドオーバのために第1の基地局とは異なる無線通信可能な第2の基地局を所定時間内で検索することを、第2の基地局が検索できるまで、最大で予め設定したリトライ回数繰り返して検索させるようにしたため、切替先の第2の基地局の検索の可能性を向上することができ、第1の目的を達成することができる。また、この発明では、ハンドオーバのために第1の基地局とは異なる無線通信可能な第2の基地局を所定時間内で検索することを、第2の基地局が検索できるまで、予め設定したリトライ時間間隔で行うようにしたため、再度検索するまでのリトライ時間間隔の間は処理を行わないので、無駄な消費電流を削減でき、第2の目的を達成することができる。
【0021】また、上記の目的を達成するため、第2の発明は、無線通信する第1の基地局を介して相手端末と通話中に、第1の基地局との通話品質が劣化したかどうか判定する第1のステップと、第1のステップにより通話品質が劣化したと判定されたときに、第1の基地局とは異なる無線通信可能な第2の基地局を、所定時間内で検索する第2のステップと、第2のステップにより、第2の基地局を検索できたときは、第2の基地局との間で同期確立をとるようにする第3のステップと、第3のステップにより同期確立ができたときは、第2の基地局を介して通話を継続させる第4のステップと、第3のステップにより同期確立ができないときは、予め設定したリトライ時間間隔経過後に、第3のステップによる同期確立を再度行わせると共に、第3のステップにより第2の基地局との間で同期確立ができるまで、最大で予め設定したリトライ回数繰り返して検索させる第5のステップとを含むことを特徴とする。
【0022】この発明では、ハンドオーバのために、検索した切替先の第2の基地局との間で同期確立がとれないときには、最大で予め設定したリトライ回数繰り返して同期確立を行うようにしたため、切替先の第2の基地局の同期確立の可能性を向上することができ、第1の目的を達成することができる。また、この発明では、ハンドオーバのために検索した切替先の第2の基地局との間で同期確立することを、同期確立できるまで、予め設定したリトライ時間間隔で行うようにしたため、再度同期確立の処理を開始するまでのリトライ時間間隔の間は処理を行わないので、無駄な消費電流を削減でき、第2の目的を達成することができる。
【0023】また、本発明は上記の目的を達成するため、リトライ時間間隔及びリトライ回数は、予め用意された複数のパターンのうち、ユーザにより任意に選択された一つのパターンのリトライ時間間隔及びリトライ回数であることを特徴とする。この発明では、ユーザが使用用途、使用している地域などの使用環境に応じて、リトライ時間間隔及びリトライ回数を任意に設定することができ、第3の目的を達成することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】次に、本発明の一実施の形態について図面と共に説明する。図1は本発明になる移動端末のハンドオーバ方法の一実施の形態のフローチャート、図2は本発明方法が適用されるPHS通信システムの一例の全体構成図を示す。図1中、図6と同一処理ステップには同一符号を付し、その説明を省略する。
【0025】まず、本発明方法の説明に先立ち、図2と共にPHS通信システム(PHS電話網)の概要について説明する。移動端末の一例としてのPHS端末10は基地局111、112、113...のいずれかと無線通信可能である。基地局111及び112はPHS接続装置(PHS交換機)12、市内交換機13をそれぞれ介して市外交換機14に接続されている。また、基地局113はPHS接続装置(PHS交換機)15及び市内交換機16を介して市外交換機17に接続されている。
【0026】更に、市内交換機13及び16はPHSサービス制御局18を介して互いに接続されており、また、PHS接続装置(PHS交換機)15には固定電話19が接続されている。ここで、PHS端末10が基地局111の通話エリアに在圏しており、基地局111を通して相手端末と通話中に移動したものとする。
【0027】PHS端末10は、このとき図1に示すフローチャートに従い動作する。すなわち、通話品質が劣化したかどうか判定し(ステップS1)、通話品質が劣化していなければそのまま通話中の状態を継続し(ステップS2)、通話品質が劣化した時には別の基地局を約0.5秒間検索して(ステップS3)上記の検索の結果を判定する(ステップS4)。
【0028】検索された基地局有りとステップS4で判定されたときは、切替先の基地局と同期をとり、同期確立後に基地局と通信確立して切替先の基地局を通して通話を継続する(ステップS8〜S11)。以上は従来のハンドオーバ方法と同じであるが、本実施の形態では、検索された基地局無しとステップS4で判定された場合に、切り戻し処理を行うように設定されているかどうかの判定をステップS21で行う点に第1の特徴がある。
【0029】このステップS21における切り戻し処理の設定有無の判定は、予めユーザが設定した検索のリトライ回数達したかどうかを判定し、設定したリトライ回数に達していない場合は、ユーザが予め設定した時間間隔経過した時点でステップS3に戻り、約0.5秒の基地局検索を再度行う。ステップS21で設定したリトライ回数に達していると判定された場合は、ユーザが予め切り戻り処理を行うように設定した場合は、ステップS22の切り戻り処理を行う。ユーザが予め切り戻り処理を行わないように設定していた場合は、リトライも失敗したと判断して通話を終了する。
【0030】また、本実施の形態では、ステップS9で同期確立に失敗したと判定され、かつ、検索された他の基地局無しとステップS12で判定された場合に、切り戻し処理を行うように設定されているかどうかの判定をステップS23で行う点に第2の特徴がある。
【0031】このステップS23における切り戻し処理の設定有無の判定は、ステップS21における切り戻し処理の設定有無の判定と同様であり、予めユーザが設定した検索のリトライ回数達したかどうかを判定し、設定したリトライ回数に達していない場合は、ユーザが予め設定した時間間隔経過した時点でステップS8に戻り、切替先の基地局との間で同期を取ることを再度行い、設定したリトライ回数に達していると判定された場合は、ステップS22に進みユーザの設定に従い、切り戻し処理又は通話を終了する。
【0032】次に、本実施の形態の動作について、図3乃至図5のシーケンス図と共に更に詳細に説明する。図3R>3はハンドオーバに成功した通常動作のシーケンス図を示す。同図中、図8と同一処理ステップには同一符号を付し、その説明を省略する。図3において、基地局検索により検索された基地局/公衆網#2の切替先の基地局と同期をとり、切替先の基地局からの同期応答があり(ステップP26)、同期確立が完了すると(ステップP27)、PHS端末の無線系制御部Bと切替先の基地局との間で通信するための無線の設定がハードCを介して行われた後(ステップP28、P29)、無線系制御部Bから操作系制御部Aに対して通話継続の通知がなされ(ステップP30)、引き続き新たな切替先の基地局を介して相手端末と通話中の状態とされる(ステップP31)。この通常動作は、従来と同様である。
【0033】次に、基地局検索に失敗した場合の動作について、図4のシーケンス図と共に説明する。ただし、図4中、図7と同一処理ステップには同一符号を付し、その説明を省略する。図4において、ハンドオーバを開始して最初の基地局検索により切替先の基地局を検索できなかった場合は、本実施の形態では図1のステップS21による切り戻し処理の設定有無の判定を行うようにしているので、予め設定したリトライ時間間隔n秒(例えば、1秒〜10秒の範囲内の設定値)経過した時点で(ステップP34)、基地局検索を無線系制御部BがハードCに対して要求し(ステップP35)、図1のステップS3による約0.5秒間の基地局検索を再度行わせる。なお、リトライ時間間隔n秒はあまり短いと、せっかく再検索を行っても切替先の基地局を検索できない可能性が高いので、適当な値に設定する必要がある。
【0034】上記の基地局の再検索の検索結果は、PHS端末のハードCから無線系制御部Bへ通知される。ここでは、それまで通信していた基地局/公衆網#1の基地局とは別の基地局/公衆網#2の基地局が送出する論理制御チャネルを受信できたとの検索結果が通知されたものとすると、無線系制御部BはハードCに対して同期確立を通知し(ステップP37)、ハードCと切替先の基地局との間で同期をとる(ステップP38)。
【0035】切替先の基地局からの同期応答があり(ステップP39)、同期確立が完了すると(ステップP40)、PHS端末の無線系制御部Bと切替先の基地局との間で通信するための無線の設定がハードCを介して行われた後(ステップP41、P42)、無線系制御部Bから操作系制御部Aに対して通話継続の通知がなされ(ステップP43)、引き続き新たな切替先の基地局を介して相手端末と通話中の状態とされる(ステップP44)。
【0036】次に、切替先の基地局との接続に失敗した場合の動作について、図5のシーケンス図と共に説明する。ただし、図5中、図4又は図8と同一処理ステップには同一符号を付し、その説明を省略する。図5において、ハンドオーバを開始して最初の基地局検索により切替先の基地局を検索できたが、その切替先の基地局からの同期応答が無く(ステップP16)、同期確立に失敗した場合(ステップP17)、本実施の形態では図1のステップS23による切り戻し処理の設定有無の判定を行うようにしているので、予め設定したリトライ時間間隔n秒(例えば、1秒〜10秒の範囲内の設定値)経過した時点で(ステップP34)、基地局検索を無線系制御部BがハードCに対して要求し(ステップP35)、図1のステップS8による切替先の基地局との間で同期をとることを再度行わせる(ステップP46、P47)。
【0037】これにより、切替先の基地局との間で同期が取れた場合は、以降、図4と同一のシーケンスを経て、引き続き切替先の基地局を介して相手端末と通話中の状態とされる(ステップP37〜P44)。
【0038】このように、本実施の形態では、1回目の検索で切替先の基地局が検索できなくても、あるいは、1回目に切替先の基地局との間で同期確立ができなくても、リトライ時間間隔n秒経過後に2回目以降の検索又は同期確立を再度行うことにより切替先の基地局を検索したり、切替先の基地局との同期確立ができ、リトライ回数を多くすることによりハンドオーバの成功率をより一層高めることができる。
【0039】また、検索時間は何回目の検索でも約0.5秒と短く、従来のような約2秒という長い検索時間を用いていないので、PHS端末のハードCで消費する電流を低減することができ、電池の無駄な消耗を抑制することができる。また、設定したリトライ回数だけ検索を行っても、切替先の新たな基地局を検索できなかったときには、前述したように、ユーザの設定に従い、切り戻り処理を行うか、リトライ失敗として通話を終了するようにしているが、いずれの場合も、リトライをリトライ時間間隔毎に間欠的に行うようにしているので、電池の無駄な消耗を抑制することができる。
【0040】また、リトライ失敗時に切り戻り処理を行うようにユーザが設定している場合は、本実施の形態ではリトライ時間間隔の間は送信動作及び受信動作を行っていないので基地局からの切り戻り信号を従来のように約10秒間も継続して受信し続けることが無く、この場合にも電池の無駄な消耗を低減することができる。
【0041】更に、この実施の形態では、リトライ時間間隔及びリトライ回数を任意に設定することができるため、ユーザの使用用途や使用地域に応じて、最適なリトライ時間間隔やリトライ回数を設定することができる。
【0042】なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、例えばリトライ回数とリトライ時間間隔とは、それぞれユーザが上記の実施の形態のように任意の値を設定してもよいが、複数のパターンを予め用意しておき、その複数のパターンからユーザが希望するパターンを選択して設定するようにしてもよい。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、ハンドオーバのために切替先の第2の基地局が検索できるまで、最大で予め設定したリトライ回数繰り返して検索させることにより、また、同期確立できなかった切替先の第2の基地局との間で同期確立ができるまで、最大で予め設定したリトライ回数繰り返して同期確立を行うことにより、切替先の第2の基地局の検索の可能性を向上するようにしたため、従来に比べてハンドオーバの成功率を向上することができる。
【0044】また本発明によれば、ハンドオーバのために切替先の第2の基地局を所定時間内で検索すること、あるいは同期確立をとることを、第2の基地局が検索できるまで、あるいは同期確立できるまで予め設定したリトライ時間間隔の間は処理を行わず、無駄な消費電流を削減できるようにしたため、電池の消耗速度を削減でき従来に比べて電池を長寿命化することができる。また、リトライを失敗した時に切り戻り処理を行うようにユーザが設定している場合にも、リトライ時間間隔の間は切り戻り信号の受信動作を行わないので、基地局からの切り戻り信号のトータルの受信時間を従来に比べて短縮することができ、この場合にも従来に比べて電池を長寿命化することができる。
【0045】更に、本発明によればユーザが使用用途、使用している地域などの使用環境に応じて、リトライ時間間隔及びリトライ回数を任意に設定するようにしたため、従来に比べてユーザの使用環境に左右されずに、一定の品質のハンドオーバのサービスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の一実施の形態のフローチャートである。
【図2】本発明方法が適用されるPHS通信システムの一例の全体構成図である。
【図3】ハンドオーバの通常動作の一例のシーケンス図である。
【図4】本発明方法の一実施の形態の検索失敗時の動作説明用シーケンス図である。
【図5】本発明方法の一実施の形態の接続失敗時の動作説明用シーケンス図である。
【図6】従来方法の一例の動作説明用フローチャートである。
【図7】従来方法の一例の検索失敗時の動作説明用シーケンス図である。
【図8】従来方法の一例の接続失敗時の動作説明用シーケンス図である。
【符号の説明】
S21、S23 切り戻し処理の設定有無の判定ステップ
S22 切り戻り処理ステップ
10 PHS端末
111〜113 基地局

【特許請求の範囲】
【請求項1】 無線通信する第1の基地局を介して相手端末と通話中に、該第1の基地局との通話品質が劣化したかどうか判定する第1のステップと、前記第1のステップにより通話品質が劣化したと判定されたときに、前記第1の基地局とは異なる無線通信可能な第2の基地局を、所定時間内で検索する第2のステップと、前記第2のステップにより、前記第2の基地局を検索できないときは、予め設定したリトライ時間間隔経過後に、前記第2のステップによる検索を行わせると共に、該第2のステップにより前記第2の基地局が検索できるまで、最大で予め設定したリトライ回数繰り返して検索させる第3のステップとを含むことを特徴とする移動端末のハンドオーバ方法。
【請求項2】 前記第3のステップは、前記第2のステップによる前記第2の基地局の検索が前記リトライ回数繰り返してもできないときは、通話の終了又は切り戻し処理を行わせることを特徴とする請求項1記載の移動端末のハンドオーバ方法。
【請求項3】 無線通信する第1の基地局を介して相手端末と通話中に、該第1の基地局との通話品質が劣化したかどうか判定する第1のステップと、前記第1のステップにより通話品質が劣化したと判定されたときに、前記第1の基地局とは異なる無線通信可能な第2の基地局を、所定時間内で検索する第2のステップと、前記第2のステップにより、前記第2の基地局を検索できたときは、該第2の基地局との間で同期確立をとるようにする第3のステップと、前記第3のステップにより同期確立ができたときは、前記第2の基地局を介して通話を継続させる第4のステップと、前記第3のステップにより同期確立ができないときは、予め設定したリトライ時間間隔経過後に、前記第3のステップによる同期確立を再度行わせると共に、該第3のステップにより前記第2の基地局との間で同期確立ができるまで、最大で予め設定したリトライ回数繰り返して検索させる第5のステップとを含むことを特徴とする移動端末のハンドオーバ方法。
【請求項4】 前記第5のステップは、前記第3のステップによる前記第2の基地局との間の同期確立が前記リトライ回数繰り返してもできないときは、通話の終了又は切り戻し処理を行わせることを特徴とする請求項3記載の移動端末のハンドオーバ方法。
【請求項5】 前記リトライ時間間隔及び前記リトライ回数は、予め用意された複数のパターンのうち、ユーザにより任意に選択された一つのパターンのリトライ時間間隔及びリトライ回数であることを特徴とする請求項1又は3記載の移動端末のハンドオーバ方法。
【請求項6】 無線通信する第1の基地局を介して相手端末と通話中に、該第1の基地局との通話品質が劣化したかどうか判定する第1のステップと、前記第1のステップにより通話品質が劣化したと判定されたときに、前記第1の基地局とは異なる無線通信可能な第2の基地局を、所定時間内で検索する第2のステップと、前記第2のステップにより、前記第2の基地局を検索できないときは、予め設定した第1のリトライ時間間隔経過後に、前記第2のステップによる検索を行わせると共に、該第2のステップにより前記第2の基地局が検索できるまで、最大で予め設定した第1のリトライ回数繰り返して検索させる第3のステップと、前記第2のステップにより、前記第2の基地局を検索できたときは、該第2の基地局との間で同期確立をとるようにする第4のステップと、前記第4のステップにより同期確立ができたときは、前記第2の基地局を介して通話を継続させる第5のステップと、前記第4のステップにより同期確立ができないときは、予め設定した第2のリトライ時間間隔経過後に、前記第4のステップによる同期確立を再度行わせると共に、該第4のステップにより前記第2の基地局との間で同期確立ができるまで、最大で予め設定した第2のリトライ回数繰り返して検索させる第6のステップとを含むことを特徴とする移動端末のハンドオーバ方法。
【請求項7】 前記第3のステップは、前記第2のステップによる前記第2の基地局検索が前記第1のリトライ回数繰り返してもできないときは、通話の終了又は切り戻し処理を行わせ、前記第6のステップは、前記第4のステップによる前記第2の基地局との間の同期確立が前記リトライ回数繰り返してもできないときは、通話の終了又は切り戻し処理を行わせることを特徴とする請求項6記載の移動端末のハンドオーバ方法。
【請求項8】 前記第1及び第2のリトライ時間間隔並びに前記第1及び第2の前記リトライ回数は、予め用意された複数のパターンのうち、ユーザにより任意に選択された一つのパターンのリトライ時間間隔及びリトライ回数であることを特徴とする請求項6記載の移動端末のハンドオーバ方法。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate


【図6】
image rotate


【公開番号】特開2002−165247(P2002−165247A)
【公開日】平成14年6月7日(2002.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−358809(P2000−358809)
【出願日】平成12年11月27日(2000.11.27)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(390000974)エヌイーシーモバイリング株式会社 (138)
【Fターム(参考)】