説明

移動端末の優先条件を設定又は維持する方法及びデバイス、移動端末に関連付けられた基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事していることを通知するデバイス、並びにその方法のコンピュータプログラム

【課題】移動端末が遠隔の電気通信デバイスとの通信に従事しているときに該移動端末の優先条件を設定又は維持する方法を提供する。
【解決手段】移動端末に関連付けられた基地局BS2がセル間干渉コーディネーション手順に従事しているか否かを判断するステップ、移動端末MT1に関連付けられた基地局がICIC手順に従事している場合において、移動端末MT1が、該移動端末に関連付けられていない基地局BS1を介して通信するときは、移動端末の優先条件を設定するステップ、及び、移動端末に関連付けられた基地局BS2がICIC手順に従事していない場合において、移動端末MT1が、該移動端末に関連付けられていない基地局BS1を介して遠隔の電気通信デバイスCNと通信するときは、移動端末の優先条件を設定しないステップ、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、移動端末が遠隔の電気通信デバイスとの通信に従事しているときに、移動端末の優先条件を設定又は維持する方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
無線セルラー電気通信ネットワークは、大規模に展開されているが、いくつかのエリアは、まだ、無線セルラー電気通信ネットワークの基地局によってカバーされていない。
【0003】
例えば、基地局によって放射された信号が減衰し過ぎる場合、無線セルラー電気通信ネットワークへのアクセスは、建物内に位置する移動端末には可能でない場合がある。
【0004】
今日、解決法が提案されている。ホーム基地局又はフェムト基地局のような特定の基地局が、建物内のカバレッジエリアを提供する。
【0005】
これらのホーム基地局は、それぞれの資源を介して、限られた個数の移動端末が無線セルラー電気通信ネットワークにアクセスすることを可能にする。それは、ホーム基地局によってその移動端末に提供されるサービス品質を維持するか、又はその移動端末に所望のサービスを提供するか、又はそれらの双方を行うためである。ホーム基地局を介してネットワークの資源にアクセスすることを許可される移動端末は、ホーム基地局の所有者、ネットワークの所有者、又はそれらの双方の組み合わせによって決定され得る。
【0006】
所有者は、ここでは、一般的な意味に理解されなければならない。すなわち、所有者は、ホーム基地局のメインユーザのみの場合もあるし、電気通信事業者からホーム基地局を借り受けて事業者のネットワークを使用する人の場合もあるし、自宅又はオフィスにホーム基地局を設置する人の場合もある。
【0007】
例えば、ホーム基地局の所有者及びその家族の移動端末しか、ホーム基地局を介して無線セルラー電気通信ネットワークにアクセスすることができない。これらの移動端末は、ホーム基地局に関連付けられている。
【0008】
移動端末が基地局に関連付けられているとき、その移動端末は、優先条件のもとで遠隔の通信デバイスとの通信を確立するために無線セルラー電気通信ネットワークにアクセスする。この優先条件は、例えば、所与のサービスの優先料金請求ポリシー(a preferential charging policy)、又は優先サービス、又はそれらの双方である。
【0009】
他の移動端末は、ホーム基地局を介して無線セルラー電気通信ネットワークにアクセスすることができない。他の移動端末は、ホーム基地局に関連付けられていない。
【0010】
ホーム基地局に関連付けられていない移動端末がホーム基地局の近くにいるとき、ホーム基地局は、これらの移動端末と、それらの移動端末が関連付けられている基地局又は無線セルラー電気通信ネットワークのマクロ基地局との間に存在するダウンリンクチャネル及び/又はアップリンクチャネルのいずれかにおいて干渉を引き起こす。
【0011】
これらの移動端末についての干渉を削減するための1つの解決法は、ホーム基地局の信号送信電力を削減することである。このような技法は、一般に、ICIC(セル間干渉コーディネーション(Inter Cell Interference Coordination))手順と呼称される。
【0012】
その電力削減によって、ホーム基地局のカバレッジエリアが削減され、このカバレッジの削減によって、サービス品質が低下するおそれがあり、サービス中断、ホーム基地局に関連付けられたアクティブな移動端末の呼びの切断、及びホーム基地局に関連付けられたアイドルな移動端末のサービス利用不能が引き起こされるおそれがある。
【0013】
本発明は、基地局に関連付けられていない移動端末の干渉を引き起こすことなく、基地局に関連付けられた移動端末の優先条件でサービス継続性を保つことを目的とする。
【0014】
このために、本発明は、移動端末が遠隔の電気通信デバイスとの通信に従事しているときに移動端末の優先条件を設定又は維持する方法であって、優先条件は、移動端末が、該移動端末に関連付けられた基地局を介して遠隔の電気通信デバイスと通信するときに移動端末について設定され、該方法は、
移動端末に関連付けられた基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事しているか否かを判断するステップ、
移動端末に関連付けられた基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事している場合において、移動端末が、該移動端末に関連付けられていない基地局を介して遠隔の電気通信デバイスと通信するときは、移動端末の優先条件を設定するステップ、及び
移動端末に関連付けられた基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事していない場合において、移動端末が、該移動端末に関連付けられていない基地局を介して遠隔の電気通信デバイスと通信するときは、移動端末の優先条件を設定しないステップ、
を含むことを特徴とする、方法に関する。
【0015】
本発明はまた、移動端末が遠隔の電気通信デバイスとの通信に従事しているときに該移動端末の優先条件を設定又は維持するデバイスであって、優先条件は、移動端末が、該移動端末に関連付けられた基地局を介して遠隔の電気通信デバイスと通信するときに移動端末について設定され、該優先条件を設定するデバイスは、
移動端末に関連付けられた基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事しているか否かを判断する手段、及び
移動端末に関連付けられた基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事している場合において、移動端末が、該移動端末に関連付けられていない基地局を介して遠隔の電気通信デバイスと通信するときは、移動端末の優先条件を設定する手段であって、該優先条件を設定する手段は、移動端末に関連付けられた基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事していない場合において、移動端末が、該移動端末に関連付けられていない基地局を介して遠隔の電気通信デバイスと通信するときは、移動端末の優先条件を設定しない、優先条件を設定する手段、
を備えることを特徴とする、デバイスにも関する。
【0016】
したがって、移動端末が関連付けられている基地局によって該移動端末がサービス提供されているときに定義された優先条件でのサービス継続性が、基地局に関連付けられていない移動端末の干渉を引き起こすことなく、基地局に関連付けられた移動端末について保持される。
【0017】
優先条件は、移動端末に関連付けられた基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事している場合において、移動端末が、該移動端末に関連付けられていない基地局を介して遠隔の電気通信デバイスと通信するときに、該移動端末について設定されるので、該移動端末が関連付けられている基地局のカバレッジエリアがたとえ削減されても、該移動端末は、依然として優先条件を保持する。
【0018】
一特定の特徴によれば、移動端末に関連付けられた基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事しているときにおいて、移動端末が、該移動端末に関連付けられた基地局のカバレッジエリアに又は該カバレッジエリアの近くにいるときは、優先条件は、移動端末について設定される。
【0019】
したがって、移動端末が関連付けられている基地局のカバレッジエリアの下にいる該移動端末は、該移動端末が関連付けられていない別の基地局の資源を介して通信サービスにアクセスしても、優先条件を保持することができる。
【0020】
一特定の特徴によれば、移動端末に関連付けられた基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事しているときにおいて、移動端末が、該移動端末に関連付けられた基地局のカバレッジエリアにも該カバレッジエリアの近くにもいないときは、優先条件は、移動端末について設定されない。
【0021】
したがって、移動端末に関連付けられた基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事しているときに、該移動端末が関連付けられている基地局のカバレッジの下にいない該移動端末に優先条件を与えないことによって、所与のエリアに対してのみ優先条件の入手権利を制限することが可能である。
【0022】
一特定の特徴によれば、移動端末に関連付けられた基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事しているか否かの判断は、移動端末によって転送されたメッセージの受信を検出することによって行われる。
【0023】
したがって、このメッセージは、移動端末の基地局のカバレッジがセル間干渉コーディネーション手順によって削減されることを該移動端末に知らせ、該移動端末の基地局のカバレッジの下にいるアイドルな移動端末が他の基地局に接続するのに使用することができる。
【0024】
一特定の特徴によれば、該方法は、基地局を備える無線セルラー電気通信ネットワークのコアネットワークデバイスによって実行される。
【0025】
したがって、コアネットワークデバイスは、セル間干渉コーディネーション手順に従事している基地局のカバレッジの下にいる移動端末に、それらの移動端末の基地局のカバレッジが削減されることを知らせることができ、それらの移動端末が接続を許可される対象基地局を示すことができる。この対象基地局は、コアネットワークデバイスの情報又はコアネットワークデバイスによって取得された情報を介して規定することができる。
【0026】
一特定の特徴によれば、移動端末が、該移動端末に関連付けられていない基地局を介して遠隔の電気通信デバイスと通信するときの移動端末の優先条件は、或る継続時間の間設定され、且つ/又は、移動端末に関連付けられた基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事していないときは、移動端末が、該移動端末に関連付けられた基地局のカバレッジエリアに位置しているか又は該カバレッジエリアの近くに位置している限り設定される。
【0027】
したがって、優先条件設定は、時間に制限されるとともに、移動端末に関連付けられた基地局のカバレッジエリアに位置するか又は該カバレッジエリアの近くに位置する該移動端末に制限される。
【0028】
一特定の特徴によれば、優先条件は、所与のサービス又はサービス群の優先料金請求ポリシーである。
【0029】
したがって、優先料金請求ポリシーを与えることによって、ホーム基地局の展開が促進される。
【0030】
本発明はまた、移動端末に関連付けられた基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事していることを通知する方法であって、該方法は、移動端末に関連付けられた基地局によって実行されるステップであって、
基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事していることを通知するメッセージをデバイスから受信するステップ、及び
基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事していることを通知するメッセージを移動端末へ転送するステップ、
を含むことを特徴とする、方法にも関する。
【0031】
本発明はまた、移動端末に関連付けられた基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事していることを通知するデバイスであって、該通知するデバイスは、移動端末に関連付けられた基地局に含まれ、
基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事していることを通知するメッセージをデバイスから受信する手段、及び
基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事していることを通知するメッセージを移動端末へ転送する手段、
を備えることを特徴とする、デバイスにも関する。
【0032】
したがって、基地局は、該基地局が関連付けられているすべての移動端末に通知し、その結果、アクティブな端末は他の基地局にハンドオーバし、それらの移動端末が関連付けられている基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事していることを示す情報を有することになる。優先条件は、その結果、それらの移動端末について維持することができる。アイドルな移動端末は、このメッセージを記憶し、遠隔の通信デバイスとの通信を開始する必要があるときにこのメッセージを使用することになる。
【0033】
本発明はまた、移動端末に関連付けられた基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事していることを通知する方法であって、該方法は、移動端末によって実行されるステップであって、
移動端末に関連付けられた基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事していることを通知するメッセージを、移動端末に関連付けられた基地局から受信するステップ、
受信されたメッセージを記憶するステップ、
移動端末に関連付けられていない基地局を選択するステップ、及び
移動端末に関連付けられた基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事していることを通知するメッセージを、選択された基地局へ転送するステップ、
を含むことを特徴とする、方法にも関する。
【0034】
本発明はまた、移動端末に関連付けられた基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事していることを通知するデバイスであって、該通知するデバイスは、移動端末に含まれ、
移動端末に関連付けられた基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事していることを通知するメッセージを、移動端末に関連付けられた基地局から受信する手段、
受信されたメッセージを記憶する手段、
移動端末に関連付けられていない基地局を選択する手段、及び
移動端末に関連付けられた基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事していることを通知するメッセージを、選択された基地局へ転送する手段、
を備えることを特徴とする、デバイスにも関する。
【0035】
したがって、セル間干渉コーディネーション手順に従事している基地局のカバレッジ内又はカバレッジの近くのアイドルな移動端末は、この通知メッセージを使用して、自身が接続を試みる別の基地局に、接続の原因が、自身が関連付けられている基地局のセル間干渉コーディネーションであることを知らせる。その結果、別の基地局は、移動端末に関連付けられた基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事しているか否かに気付くことが容易になる。
【0036】
さらに別の態様によれば、本発明は、プログラマブルデバイス内に直接ロード可能とすることができるコンピュータプログラムであって、該コンピュータプログラムがプログラマブルデバイス上で実行されると本発明による方法のステップを実施するための命令又はコード部を含む、コンピュータプログラムに関する。
【0037】
コンピュータプログラムに関連する特徴及び利点は、本発明による方法及び装置に関連して上記で述べたものと同じであるので、ここでは繰り返さないことにする。
【0038】
本発明の特徴は、一例の実施形態の以下の説明を読むことによってより明らかになる。該説明は、添付図面を参照して作成されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明が実施される無線セルラー電気通信ネットワークを表す。
【図2】本発明が実施される移動端末のアーキテクチャを表す図である。
【図3】本発明が実施されるコアネットワークデバイスのアーキテクチャを表す図である。
【図4】本発明が実施される基地局のアーキテクチャを表す図である。
【図5a】本発明による移動端末によって実行される第1のアルゴリズムの一例を開示する。
【図5b】本発明による移動端末によって実行される第2のアルゴリズムの一例を開示する。
【図6a】本発明による基地局によって実行される第1のアルゴリズムの一例を開示する。
【図6b】本発明による基地局によって実行される第2のアルゴリズムの一例を開示する。
【図7a】本発明によるコアネットワークデバイスによって実行される第1のアルゴリズムの一例を開示する。
【図7b】本発明によるコアネットワークデバイスによって実行される第2のアルゴリズムの一例を開示する。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、本発明が実施される無線セルラー電気通信ネットワークを表す。
【0041】
図1には、無線セルラー電気通信ネットワークの2つの基地局BS1及びBS2と2つの移動端末MT1及びMT2とが示されている。
【0042】
基地局BS1は、例えば、無線セルラー電気通信ネットワークのマクロ基地局であり、基地局BS2は、例えば、フェムト基地局又はピコ基地局のようなホーム基地局である。基地局BS2は、例えば、ホーム(自宅)内に位置し、基地局BS2に関連付けられた移動端末MTが優先条件で無線セルラー電気通信ネットワークにアクセスすることを可能にすることができる。
【0043】
基地局BSによってカバーされるエリアは、そのエリアに位置する移動端末が、基地局BSによって転送された信号を第1の所定の値よりも高いレベルで受信することができるエリアである。基地局BSによってカバーされるエリアは、基地局BSが、そのエリアに位置する移動端末によって転送された信号を第2の所定の値よりも高いレベルで受信するエリア又は移動端末MTが一定のしきい値を上回る信号対干渉比を測定するエリア又はそれらの双方のエリアである。
【0044】
一変形では、基地局BS1は、フェムト基地局又はピコ基地局のようなホーム基地局である。
【0045】
例えば、移動端末MT2は、基地局BS2に関連付けられているが、基地局BS1に関連付けられていない。移動端末MT1は、基地局BS1及びBS2に関連付けられていない。
【0046】
例えば、基地局BS及び移動端末MTは、基地局BSが移動端末MTの所有者の所有物であるとき、又は基地局BSが移動端末MTの所有者の家族若しくは友人の所有物であるとき、又は移動電気通信サービスプロバイダがBSを移動端末MTの所有者に貸し出しているとき、又はそれらの双方のときに関連付けられる。
【0047】
移動端末MT2が基地局BS2に関連付けられているとき、移動端末MT2は、優先条件のもとで遠隔の通信デバイスとの通信を確立するために、無線セルラー電気通信ネットワークにアクセスすることができる。優先条件は、例えば、移動端末MT2が基地局BS1のようなマクロ基地局を介して無線セルラー電気通信ネットワークにアクセスするときに移動端末MT2に料金請求するのに標準的に使用される、所与のサービス又はサービス群の料金請求ポリシーと比較して、優先的な、所与のサービス又はサービス群の料金請求ポリシーである。
【0048】
遠隔の電気通信デバイスは、例えば、移動電話とすることもできるし、公衆交換電気通信網又は少なくとも1つのサービスプロバイダのサーバのようなサーバにリンクされている電話とすることもできる。
【0049】
一変形では、優先条件は、例えば、移動端末MTが基地局BS1を介して無線セルラー電気通信ネットワークにアクセスするときに、移動端末MTがアクセスすることができない優先サービスへのアクセスとすることができる。
【0050】
基地局BS1は、基地局BS1のカバレッジエリアAR1に位置する移動端末MTによって転送された信号を受信することができる。基地局BS1は、基地局BS1のカバレッジエリアAR1に位置する移動端末MTが受信して処理することができる信号を転送する。
【0051】
基地局BS2がICIC手順に従事していないとき、基地局BS2は、基地局BS2のカバレッジエリアAR2に位置する移動端末MTによって転送された信号を受信することができる。基地局BS2は、基地局BS2のカバレッジエリアAR2に位置する移動端末MTが受信して処理することができる信号を転送する。
【0052】
カバレッジエリアAR2は、カバレッジエリアAR1に少なくとも部分的に含まれる。
【0053】
基地局BS2がICIC手順に従事していないとき、基地局BS2は、基地局BS2のカバレッジエリアAR2’に位置する移動端末MTによって転送された信号を受信することができる。基地局BS2は、基地局BS2のカバレッジエリアAR2’に位置する移動端末MTが受信して処理することができる信号を転送する。
【0054】
基地局BS2がICIC手順に従事しているとき、基地局BS2のカバレッジエリアAR2’は、基地局BS2がICIC手順に従事していないときの基地局BS2のカバレッジエリアAR2と比較して減少される。ここで、カバレッジエリアAR2’がヌルに削減される場合があることに留意しなければならない。
【0055】
移動端末MTは、基地局BS2によって転送された信号を継続的に監視することができ、カバレッジエリアAR2とAR2’との間の相違を推定する。その測定に関連した情報は、コアネットワークデバイスCNへ送信されることができ、コアネットワークデバイスCNは、その情報を使用して、移動端末MTが基地局BS2のカバレッジエリアAR2に位置するか否かを評価する。コアネットワークデバイスCNは、基地局BS2に関連付けられたさまざまな移動端末MTの測定値の統計量に基づいてカバレッジエリアAR2’の値を割り当てることができ、移動端末MTが関連付けられている基地局BS2の近傍に移動端末MTがいるか否かをネットワークが評価することを助けることができるしきい値を割り当てることができる。
【0056】
移動端末MT1及びMT2は、カバレッジエリアAR1及びAR2に位置する。
【0057】
一特定の特徴によれば、移動端末MTがホーム基地局BSに関連付けられていないとき、その移動端末MTは、優先条件があろうとなかろうと、ホーム基地局BSを介した遠隔の電気通信デバイスとの通信の確立も受信も行うことができない。
【0058】
基地局BS2が動作しているとき、基地局BS2は、基地局BS1によって受信又は放射される信号と干渉し得る信号を放射する。
【0059】
本発明によれば、基地局BS2が、基地局BS1によって受信又は放射される信号と干渉し得る信号を放射するとき、基地局BS2の放射信号の送信電力が削減されるか又は基地局BS2がシャットダウンされる。
【0060】
このような場合、基地局BS2のカバレッジエリアAR2は、カバレッジエリアAR2’に削減される。移動端末MT2は、基地局BS2のカバレッジエリアAR2’にもはや位置していない。このような場合、移動端末MT2は、同じ優先条件のもとで遠隔の通信デバイスとの通信を確立するために、あたかも基地局BS2を介して無線セルラー電気通信ネットワークにアクセスするように、基地局BS1を介して無線セルラー電気通信ネットワークにアクセスすることが許可される。
【0061】
ここで、一変形では、基地局BS1の信号送信電力は増加され、基地局BS2の信号送信電力は減少されるか又は基地局BS2がICIC手順に従事していないときのレベルと同じレベルに維持されることに留意しなければならない。
【0062】
各基地局BS1及びBS2は、図1に図示しない電気通信ネットワークを介して無線セルラー電気通信ネットワークのコアネットワークデバイスCNに接続される。
【0063】
基地局BS1は、電気通信ネットワーク上に確立されたリンクS11を介してコアネットワークデバイスCNにリンクされる。
【0064】
基地局BS2は、電気通信ネットワーク上に確立されたリンクS12を介してコアネットワークデバイスCNにリンクされる。
【0065】
基地局BS1は、電気通信ネットワーク上に確立されたリンクX212を介して基地局BS2にリンクされ得る。
【0066】
本発明によれば、優先条件は、移動端末に関連付けられた基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事しているときにおいて、該移動端末が、該移動端末に関連付けられた基地局のカバレッジエリアにいるとき又はカバレッジエリアの近くにいるときに、該移動端末について設定される。
【0067】
本発明によれば、移動端末に関連付けられた基地局BS2がセル間干渉コーディネーション手順に従事していない場合において、該移動端末MTが、該移動端末に関連付けられていないマクロ基地局BS1のような基地局を介して遠隔の電気通信デバイスと通信するとき、又は、基地局BS2がセル間干渉コーディネーション手順に従事しているときにおいて、該移動端末MTが、該移動端末MTに関連付けられた基地局BS2のカバレッジエリアにもその近くにも位置していない場合には、優先条件は該移動端末について設定されない。
【0068】
本発明によれば、移動端末MTに関連付けられた基地局BS2が、セル間干渉コーディネーション手順に従事しているとき、移動端末MTに関連付けられた基地局BS2は、基地局BS2がセル間干渉コーディネーション手順に従事していることを通知するメッセージをデバイスから受信し、基地局BS2がセル間干渉コーディネーション手順に従事していることを通知するメッセージを移動端末MTへ転送する。
【0069】
本発明によれば、移動端末MTに関連付けられた基地局BS2が、セル間干渉コーディネーション手順に従事しているとき、移動端末MTは、
−移動端末MTに関連付けられた基地局BS2がセル間干渉コーディネーション手順に従事していることを通知するメッセージを、移動端末MTに関連付けられた基地局BSから受信し、
−受信されたメッセージを記憶し、
−移動端末MTに関連付けられていない基地局BS1を選択し、
−移動端末MTに関連付けられた基地局BS2がセル間干渉コーディネーション手順に従事していることを通知するメッセージを、選択された基地局BS1へ転送する。
【0070】
図2は、本発明が実施される移動端末のアーキテクチャを表す図である。
【0071】
移動端末MTは、例えば、バス201によって互いに接続されたコンポーネントと、図5に開示するようなプログラムによって制御されるプロセッサ200とからなるアーキテクチャを有する。
【0072】
バス201は、プロセッサ200を、読み出し専用メモリROM202、ランダムアクセスメモリRAM203及び無線インタフェース205にリンクする。
【0073】
メモリ203は、変数と、図5a及び図5bに開示するようなプログラムの命令とを収容するように意図されたレジスタを含む。
【0074】
メモリ203は、本発明によるICICフラグを記憶することができる。
【0075】
プロセッサ200は、無線インタフェース205の動作を制御する。
【0076】
読み出し専用メモリ202は、図5に開示するようなプログラムの命令を含む。これらの命令は、移動端末MTの電源が投入されると、ランダムアクセスメモリ203へ転送される。
【0077】
無線インタフェース205は、移動端末MTが基地局BSへ/から信号又はメッセージを転送及び/又は受信することを可能にする。
【0078】
無線インタフェース205は、基地局BSによって転送された信号を測定又は検出する手段を備える。信号は、基地局BS1によって放射及び/又は転送された信号と干渉する信号の場合がある。
【0079】
移動端末MTは、図2に図示しない全地球測位システムモジュールのような全地球的航法衛星システムモジュールを備えることができる。
【0080】
図3は、本発明が実施されるコアネットワークデバイスのアーキテクチャを表す図である。
【0081】
コアネットワークデバイスCNは、例えば、バス301によって互いに接続されたコンポーネントと、図5に開示するようなプログラムによって制御されるプロセッサ300とからなるアーキテクチャを有する。
【0082】
バス301は、プロセッサ300を、読み出し専用メモリROM302、ランダムアクセスメモリRAM303、及びネットワークインタフェース306にリンクする。
【0083】
メモリ303は、変数と、図7a及び図7bに開示するようなアルゴリズムに関連したプログラムの命令とを収容するように意図されたレジスタを含む。
【0084】
メモリ303は、関連付けられた移動端末MT及び基地局BSの各対を識別する情報を含むことができる。
【0085】
メモリ303は、基地局BSの近傍条件を表すものを含むことができる。
【0086】
プロセッサ300は、ネットワークインタフェース306の動作を制御する。
【0087】
読み出し専用メモリ302は、図7に開示するようなアルゴリズムに関連したプログラムの命令を含む。これらの命令は、コアネットワークデバイスCNの電源が投入されると、ランダムアクセスメモリ303へ転送される。
【0088】
コアネットワークデバイスCNは、ネットワークインタフェース306を介して図1に図示しない電気通信ネットワークに接続することができる。ネットワークインタフェース306は、例えば、DSL(デジタル加入者線)モデム又はISDN(サービス統合デジタル網)インタフェース等である。ネットワークインタフェース306を介して、コアネットワークデバイスCNは、少なくとも1つの基地局BSへ/からメッセージを転送又は受信することができる。
【0089】
メッセージは、電気通信ネットワーク上においてコアネットワークデバイスCNと基地局BSとの間に確立されたリンクS1を介して、転送又は受信される。
【0090】
図4は、本発明が実施される基地局のアーキテクチャを表す図である。
【0091】
基地局BSは、例えば、バス401によって互いに接続されたコンポーネントと、図6a及び図6bに開示するようなプログラムによって制御されるプロセッサ400とからなるアーキテクチャを有する。
【0092】
バス401は、プロセッサ400を、読み出し専用メモリROM402、ランダムアクセスメモリRAM403、無線インタフェース405、及びネットワークインタフェース406にリンクする。
【0093】
メモリ403は、変数と、図6に開示するようなアルゴリズムに関連したプログラムの命令とを収容するように意図されたレジスタを含む。
【0094】
メモリ403は、基地局BSの近傍条件を表すものを含むことができる。
【0095】
プロセッサ400は、ネットワークインタフェース406及び無線インタフェース405の動作を制御する。
【0096】
読み出し専用メモリ402は、図6に開示するようなアルゴリズムに関連したプログラムの命令を含む。これらの命令は、基地局BSの電源が投入されると、ランダムアクセスメモリ403へ転送される。
【0097】
基地局BSは、ネットワークインタフェース406を介して電気通信ネットワークに接続することができる。ネットワークインタフェース406は、例えば、DSL(デジタル加入者線)モデム又はISDN(サービス統合デジタル網)インタフェース等である。ネットワークインタフェース406を介して、基地局BSは、コアネットワークデバイスCN又は他の基地局BSへメッセージを転送することもできるし、他の基地局BS又はコアネットワークデバイスCNからメッセージを受信することもできる。
【0098】
メッセージは、電気通信ネットワーク上において基地局BSとコアネットワークデバイスCNとの間に確立されたリンクS1、又は基地局BSと他の基地局BSとの間に確立されたリンクX2を介して転送される。
【0099】
無線インタフェース405及びネットワークインタフェース406は、移動端末MTが遠隔の電気通信デバイスとの通信を確立又は受信するときに、無線セルラー電気通信ネットワークにアクセスするために移動端末MTによって使用される基地局BSの資源である。
【0100】
無線インタフェース405は、本発明によるICICフラグを転送する手段を備える。
【0101】
より詳細には、ICICフラグは、基地局BSよりブロードキャストチャネルを介して転送することができる。すなわち、ICICフラグは、基地局BSに関連付けられるとともに基地局BSのカバレッジエリアに位置する各移動端末MTへ基地局BSによって転送される。
【0102】
ブロードキャストチャネルは、移動端末に関連付けられた基地局BSから信号を受信するためのチャネルであって、すべての移動端末MT又は少なくとも2つの移動端末MTに共通のチャネルである。
【0103】
図5aは、本発明による移動端末によって実行される第1のアルゴリズムの一例を開示する。
【0104】
より正確には、本アルゴリズムは、各移動端末MTのプロセッサ200によって実行することができる。
【0105】
例えば、本アルゴリズムは、移動端末MT1のプロセッサ200によって、定期的に又は移動端末MT1が測定に取りかかるように要求された時に実行される。
【0106】
ステップS500において、プロセッサ200は、移動端末MT1を取り囲む基地局BSによって転送される信号に対していくつかの測定を実行するように無線インタフェース205に指令する。
【0107】
移動端末MT1は、カバレッジエリアAR1にも位置するし、カバレッジエリアAR2にも位置するので、基地局BS1によって転送された信号及び基地局BS2によって転送された信号が、移動端末MT1によって受信される。
【0108】
さらに、移動端末MT2が、基地局BS2を介して遠隔の電気通信デバイスと通信中である場合、移動端末MT2によって転送された信号は、移動端末MT1及び基地局BS1によっても受信される。
【0109】
これらの受信された信号は、基地局BS1と移動端末MT1との間の通信を妨げるおそれがある干渉信号である。
【0110】
次のステップS501において、プロセッサ200は、基地局BS1へのメッセージの転送を指令する。このメッセージは、ステップS500において実行された測定値、及び基地局BS1とBS2との間のICIC手順の基礎として機能することができる干渉信号の強度のインジケータを含む。
【0111】
一変形では、ステップS501は実行されない。
【0112】
その後、プロセッサ200は本アルゴリズムを中断する。
【0113】
図5bは、本発明による移動端末によって実行される第2のアルゴリズムの一例を開示する。
【0114】
より正確には、本アルゴリズムは、基地局BSに関連付けられた各移動端末MTのプロセッサ200によって実行することができる。
【0115】
例えば、本アルゴリズムは、移動端末MT2が遠隔の電気通信デバイスと通信中であるとき又は移動端末MT2がアイドルモードにあるときに、移動端末MT2のプロセッサ200によって実行される。
【0116】
ステップS510において、プロセッサ200は、移動端末MT2が関連付けられている基地局BS2から、ICICフラグを含むメッセージが受信されるか否かをチェックする。
【0117】
移動端末MT2が関連付けられている基地局BS2から、ICICフラグを含むメッセージが受信される場合、プロセッサ200はステップS511へ移動する。そうでない場合、プロセッサ200は本アルゴリズムを中断する。
【0118】
ICICフラグは、コアネットワークデバイスCNから基地局BS2によって受信されることができ、基地局BS2によって転送されることができる。
【0119】
一変形では、ICICフラグは、基地局BS2に関連付けられた移動端末MTと基地局BS2とによって共有される暗号化鍵で解読される。
【0120】
ステップS511において、プロセッサ200は、RAMメモリ203にICICフラグを記憶する。
【0121】
次のステップS512において、プロセッサ200は、無線インタフェース205によって実行された測定に基づいて新しい基地局BSを選択する。
【0122】
移動端末MT2は、基地局BS1のカバレッジエリアAR1にも位置しているので、基地局BS1によって転送された信号は、高い電力で移動端末MT2によって受信され、プロセッサ200は基地局BS1を選択する。
【0123】
次のステップS513において、移動端末MT2は、ICICフラグを含むメッセージの、選択された基地局BS1への転送を指令する。
【0124】
その後、移動端末MT2は、あたかも基地局BS2を介して無線セルラー電気通信ネットワークにアクセスするように、同じ優先条件のもとで基地局BS1を介して無線セルラー電気通信ネットワークにアクセスすることができる。
【0125】
移動端末MT2が遠隔の電気通信デバイスと通信中である場合、基地局BS1とのハードハンドオーバ又はソフトハンドオーバが実行される。
【0126】
図6aは、本発明による基地局によって実行される第1のアルゴリズムの一例を開示する。
【0127】
より正確には、本アルゴリズムは、各基地局BSのプロセッサ400によって実行される。
【0128】
ステップS600において、プロセッサ400は、干渉信号に対する測定値を含むメッセージの受信を検出する。メッセージは、無線インタフェース405を介して受信され、図5aのステップS501において開示したものと同様である。
【0129】
次のステップS601において、プロセッサ400は、ステップS600において受信されたメッセージのコアネットワークデバイスCNへの転送を指令する。このメッセージは、基地局BSの無線インタフェース405によって測定された干渉信号の測定値をさらに含むことができる。
【0130】
その後、プロセッサ400は本アルゴリズムを中断する。
【0131】
図6bは、本発明による基地局によって実行される第2のアルゴリズムの一例を開示する。
【0132】
より正確には、本アルゴリズムは、各ホーム基地局BSのプロセッサ400によって実行される。図1の例によれば、本アルゴリズムは、基地局BS2によって実行される。
【0133】
ステップS620において、プロセッサ400は、コアネットワークデバイスCNによって転送されたメッセージの受信を検出する。このメッセージは、ネットワークインタフェース406を介して受信され、ICIC手順の開始を表す。
【0134】
次のステップS621において、プロセッサ400は、無線インタフェース405を介したICICフラグの転送を指令する。
【0135】
より詳細には、ICICフラグは、ブロードキャストチャネルを介して転送することができる。すなわち、ICICフラグは、基地局BS2に関連付けられるとともに基地局BS2のカバレッジエリアAR2に位置する各移動端末MTへ基地局BS2によって転送される。
【0136】
一変形では、ICICフラグは、基地局BS2に関連付けられた移動端末MTと基地局BS2とによって共有される暗号化鍵で解読される。
【0137】
ステップS622において、プロセッサ400は、ICIC手順に従って、無線インタフェース405により放射される信号の送信電力を調整するように、無線インタフェース405に指令する。
【0138】
無線インタフェース405によって放射される信号の送信電力は、ステップS620において受信されたメッセージに示された値に削減することもできるし、ヌル値に削減することもできる。
【0139】
ここで、一変形では、基地局BS2によって放射される信号の送信電力は削減されない場合があり、基地局BS2のカバレッジエリアAR2において信号を放射するマクロ基地局BSの送信電力が増加されることに留意しなければならない。
【0140】
その後、プロセッサ400は本アルゴリズムを中断する。
【0141】
図7aは、本発明によるコアネットワークデバイスによって実行される第1のアルゴリズムの一例を開示する。
【0142】
より正確には、本アルゴリズムは、コアネットワークデバイスCNのプロセッサ300によって実行される。
【0143】
ステップS700において、プロセッサ300は、ネットワークインタフェース306を介したメッセージの受信を検出する。このメッセージは、干渉信号に対する測定値を含み、図6aのアルゴリズムのステップS601において基地局BS1により転送されたものと同様である。
【0144】
次のステップS701において、プロセッサ300は、受信されたメッセージを使用して、基地局BSにより転送された信号が互いに干渉するか否かをチェックし、干渉レベルが高い(一定のしきい値を上回る)ことを確認する。
【0145】
一変形では、プロセッサ300は、干渉信号に対する測定値を含むメッセージを受信する代わりに、基地局BSのジオロケーション情報を使用して、基地局BSによって転送された信号が互いに干渉し得るか否かをチェックする。
【0146】
別の変形では、ステップS701は、基地局BSによって実行される。このような場合、プロセッサ300は、干渉信号に対する測定値を含むメッセージを受信する代わりに、基地局BSによって転送された信号が互いに干渉することを示すメッセージを受信する。
【0147】
基地局BSによって転送された信号が互いに干渉しない場合、プロセッサ300は本アルゴリズムを中断する。
【0148】
基地局BSによって転送された信号が互いに干渉する場合、プロセッサ300はステップS702へ移動する。
【0149】
ステップS702において、プロセッサ300は、ネットワークインタフェース306を介したメッセージの転送を指令する。このメッセージは、ICIC手順の確立を表す。
【0150】
このメッセージは、基地局BS1の干渉又は移動端末MT1の干渉を引き起こすホーム基地局BS2へ転送される。このメッセージは、基地局BS2によって放射される信号の新しい電力レベル値を示すこともできるし、基地局BS2によって放射される信号の電力レベルが削減されなければならないことを示すこともできる。
【0151】
一変形では、メッセージは、基地局BS2による干渉を受ける基地局BS1へも転送される。このメッセージは、基地局BS1によって放射される信号の新しい電力レベル値を示すこともできるし、基地局BS2によって放射される信号の電力レベルが増加されなければならないことを示すこともできる。
【0152】
次のステップS703において、プロセッサ300は、タイマを起動する。このタイマは、ICICプロセスの最大継続時間を確定するものである。
【0153】
その後、プロセッサ300は本アルゴリズムを中断する。
【0154】
図7bは、本発明によるコアネットワークデバイスによって実行される第2のアルゴリズムの一例を開示する。
【0155】
より正確には、本アルゴリズムは、コアネットワークデバイスCNのプロセッサ300によって実行される。
【0156】
ステップS720において、プロセッサ300は、ICICフラグを含むメッセージのネットワークインタフェース306を介した受信を検出する。このメッセージは、図5bのステップS513において開示したような移動端末MT2により転送されたICICIフラグを含み、基地局BS1によって転送される。ICICフラグは、ICICフラグを送信した移動端末MT2に関連付けられた基地局BS2がICIC手順に従事していることをコアネットワークデバイスCNに知らせる。
【0157】
このメッセージは、移動端末MT2を識別する情報をさらに含む。
【0158】
次のステップS721において、プロセッサ300は、ICICフラグが受理可能であるか否かをチェックする。
【0159】
ICICフラグは、ステップS720において受信されたメッセージを転送した基地局BS1のカバレッジエリアAR1が、ICICフラグを送信した移動端末MT2に関連付けられた基地局BS2のカバレッジエリアAR2に直接隣接している場合に受理可能である。
【0160】
ICICフラグは、ステップS703において起動されたタイマが満了していない場合に受理可能である。
【0161】
一変形では、ICICフラグを送信した移動端末MT2に関連付けられた基地局BS2がICIC手順に従事している場合には、プロセッサ300は、RAMメモリ302に記憶されたデータベースを読み取ることによってICICフラグが受理可能であるか否かをさらにチェックする。
【0162】
より正確には、ICICフラグは、基地局BS2がICIC手順に従事していないときに、基地局BS1のカバレッジエリアAR1が基地局BS2のカバレッジエリアの少なくとも一部を含む場合には、受理可能である。
【0163】
ICICフラグが受理可能である場合、プロセッサ300はステップS722へ移動する。そうでない場合、プロセッサ300は本アルゴリズムを中断する。優先条件は、移動端末MT2について設定されない。
【0164】
ステップS722において、プロセッサ300は、移動端末MT2が基地局BS2を介して遠隔の電気通信デバイスとの通信を受信又は確立するときに、移動端末MT2について優先条件を設定する。
【0165】
ここで、移動端末MT2が複数の基地局BSを介して遠隔の電気通信デバイスとの通信を受信又は確立し、それらの複数の基地局BSのカバレッジエリアが、関連付けられた基地局BS2のカバレッジエリアAR2をカバーするときに、移動端末MT2について優先条件を設定することができることに留意しなければならない。
【0166】
優先条件は、例えば、所与のサービス又はサービス群の優先料金請求ポリシーである。所与のサービス又はサービス群の優先料金請求ポリシーは、移動端末MTが関連付けられていない基地局BS1のようなマクロ基地局を介して移動端末MT2が無線セルラー電気通信ネットワークにアクセスするときに移動端末MT2に料金請求するのに標準的に使用される所与のサービスの料金請求ポリシーによって提供される請求代金よりも、低い請求代金を提供する。所与のサービス又はサービス群の優先料金請求ポリシーは、通信の継続時間、並びに/又は通信中に移動端末MT2によって転送及び/若しくは受信されるデータの量に依存する場合がある。
【0167】
所与のサービス又はサービス群の優先料金請求ポリシーは、ヌル値に等しくすることができる。
【0168】
優先条件は、例えば、移動端末MT2の優先サービスとすることもできる。
【0169】
次のステップS723において、プロセッサ300は、移動端末MT2が基地局BS2のカバレッジエリアAR2から移動するか否かをチェックする。
【0170】
例えば、プロセッサ300は、移動端末MT2が全地球的航法衛星システムモジュールを備える場合に、移動端末MT2が、移動端末MT2によって提供される移動端末MT2のロケーションを表す情報を使用してカバレッジエリアAR2から移動するか否かをチェックする。
【0171】
例えば、プロセッサ300は、移動端末MT2によって提供される信号に対する測定報告を使用して、移動端末MT2がカバレッジエリアAR2から移動するか否かをチェックする。測定報告が、移動端末MT2に関連付けられた基地局BS2の近傍の基地局でない基地局BSによって転送された信号を識別する場合、これは、端末MT2がカバレッジエリアAR2から移動することを意味する。
【0172】
移動端末MT2が、基地局BS2のカバレッジエリアAR2から移動する場合、プロセッサ300はステップS725へ移動する。そうでない場合、プロセッサ300はステップS724へ移動する。
【0173】
ステップS724において、プロセッサ300は、ステップS703において起動されたタイマが満了していないかをチェックする。
【0174】
ステップS703において起動されたタイマが満了していない場合、プロセッサ300はステップS723へ戻る。そうでない場合、プロセッサ300はステップS725へ移動する。
【0175】
ステップS725において、プロセッサ300は、移動端末MT2が遠隔の電気通信デバイスとの通信を受信又は確立するときにステップS722において移動端末MT2について設定された優先条件を解除する。
【0176】
その後、プロセッサ300は本アルゴリズムを中断する。
【0177】
ここで、移動端末MT2を複数の基地局BSに関連付けることができることに留意しなければならない。
【0178】
本発明は、基地局BSが放射する信号の送信電力を基地局BSがいつ減少又は増加させるのかを説明してきた。
【0179】
同じ方法で、移動端末MTの送信電力も減少又は増加させることができる。
【0180】
当然のことながら、本発明の範囲から逸脱することなく、上述した本発明の実施形態に対して多くの変更を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末が遠隔の電気通信デバイスとの通信に従事しているときに該移動端末の優先条件を設定又は維持する方法であって、前記優先条件は、前記移動端末が、該移動端末に関連付けられた基地局を介して前記遠隔の電気通信デバイスと通信するときに前記移動端末について設定され、該方法は、
前記移動端末に関連付けられた前記基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事しているか否かを判断するステップ、
前記移動端末に関連付けられた前記基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事している場合において、前記移動端末が、該移動端末に関連付けられていない基地局を介して前記遠隔の電気通信デバイスと通信するときは、前記移動端末の前記優先条件を設定するステップ、及び
前記移動端末に関連付けられた前記基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事していない場合において、前記移動端末が、該移動端末に関連付けられていない基地局を介して前記遠隔の電気通信デバイスと通信するときは、前記移動端末の前記優先条件を設定しないステップ、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記移動端末に関連付けられた前記基地局が前記セル間干渉コーディネーション手順に従事しているときにおいて、前記移動端末が、該移動端末に関連付けられた前記基地局のカバレッジエリアに又は該カバレッジエリアの近くにいるときは、前記優先条件は、前記移動端末について設定されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記移動端末に関連付けられた前記基地局が前記セル間干渉コーディネーション手順に従事しているときにおいて、前記移動端末が、該移動端末に関連付けられた前記基地局の前記カバレッジエリアにも該カバレッジエリアの近くにもいないときは、前記優先条件は、前記移動端末について設定されないことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記移動端末に関連付けられた前記基地局が前記セル間干渉コーディネーション手順に従事しているか否かの前記判断は、前記移動端末によって転送されたメッセージの受信を検出することによって行われることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記基地局に接続された無線セルラー電気通信ネットワークのコアネットワークデバイスによって実行されることを特徴とする、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記移動端末が、該移動端末に関連付けられていない前記基地局を介して前記遠隔の電気通信デバイスと通信するときの前記移動端末の前記優先条件は、或る継続時間の間設定され、且つ/又は、前記移動端末に関連付けられた前記基地局が前記セル間干渉コーディネーション手順に従事していないときは、前記移動端末が、該移動端末に関連付けられた前記基地局の前記カバレッジエリアに位置している限り設定されることを特徴とする、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記優先条件は、所与のサービス又はサービス群の優先料金請求ポリシーであることを特徴とする、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
移動端末に関連付けられた基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事していることを通知する方法であって、該方法は、前記移動端末に関連付けられた前記基地局によって実行されるステップであって、
前記基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事していることを通知するメッセージをデバイスから受信するステップ、及び
前記基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事していることを通知するメッセージを前記移動端末へ転送するステップ、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項9】
移動端末に関連付けられた基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事していることを通知する方法であって、該方法は、前記移動端末によって実行されるステップであって、
前記移動端末に関連付けられた前記基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事していることを通知するメッセージを、前記移動端末に関連付けられた前記基地局から受信するステップ、
前記受信されたメッセージを記憶するステップ、
前記移動端末に関連付けられていない基地局を選択するステップ、及び
前記移動端末に関連付けられた前記基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事していることを通知するメッセージを、前記選択された基地局へ転送するステップ、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項10】
移動端末が遠隔の電気通信デバイスとの通信に従事しているときに該移動端末の優先条件を設定又は維持するデバイスであって、前記優先条件は、前記移動端末が、該移動端末に関連付けられた基地局を介して前記遠隔の電気通信デバイスと通信するときに前記移動端末について設定され、該優先条件を設定するデバイスは、
前記移動端末に関連付けられた前記基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事しているか否かを判断する手段、及び
前記移動端末に関連付けられた前記基地局が前記セル間干渉コーディネーション手順に従事している場合において、前記移動端末が、該移動端末に関連付けられていない基地局を介して前記遠隔の電気通信デバイスと通信するときは、前記移動端末の前記優先条件を設定する手段であって、該優先条件を設定する手段は、前記移動端末に関連付けられた前記基地局が前記セル間干渉コーディネーション手順に従事していない場合において、前記移動端末が、該移動端末に関連付けられていない基地局を介して前記遠隔の電気通信デバイスと通信するときは、前記移動端末の前記優先条件を設定しない、前記優先条件を設定する手段、
を備えることを特徴とする、デバイス。
【請求項11】
移動端末に関連付けられた基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事していることを通知するデバイスであって、該通知するデバイスは、前記移動端末に関連付けられた前記基地局に含まれ、
前記基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事していることを通知するメッセージをデバイスから受信する手段、及び
前記基地局が前記セル間干渉コーディネーション手順に従事していることを通知するメッセージを前記移動端末へ転送する手段、
を備えることを特徴とする、デバイス。
【請求項12】
移動端末に関連付けられた基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事していることを通知するデバイスであって、該通知するデバイスは、前記移動端末に含まれ、
前記移動端末に関連付けられた前記基地局がセル間干渉コーディネーション手順に従事していることを通知するメッセージを、前記移動端末に関連付けられた前記基地局から受信する手段、
前記受信されたメッセージを記憶する手段、
前記移動端末に関連付けられていない基地局を選択する手段、及び
前記移動端末に関連付けられた前記基地局が前記セル間干渉コーディネーション手順に従事していることを通知するメッセージを、前記選択された基地局へ転送する手段、
を備えることを特徴とする、デバイス。
【請求項13】
プログラマブルデバイス内に直接ロード可能とすることができるコンピュータプログラムであって、該コンピュータプログラムがプログラマブルデバイス上で実行されると請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の方法の前記ステップを実施するための命令又はコード部を含む、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【公開番号】特開2010−166559(P2010−166559A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−282631(P2009−282631)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(503163527)ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ (175)
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
【Fターム(参考)】