説明

移動端末装置、無線基地局装置、無線通信方法及び無線通信システム

【課題】MIMO技術及びCoMP技術を共に適用したときに、両技術の効果を十分に発揮させることができる移動端末装置、無線基地局装置及び無線通信方法を提供すること。
【解決手段】移動端末装置において、複数セルからの下りリンク信号にそれぞれ含まれる参照信号を用いて下りリンクのチャネル状態を推定し、複数セルのチャネル状態から、各セルのPMIとセル間位相差情報との組み合わせが最適となるように、各セル用のPMI及びセル間位相差情報を決定し、決定されたPMI及びセル間位相差情報から、チャネル品質を測定し、各セル用のPMI、セル間位相差情報及びチャネル品質情報を無線基地局装置に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、次世代移動通信システムにおける移動端末装置、無線基地局装置、無線通信方法及び無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)ネットワークにおいては、周波数利用効率の向上、データレートの向上を目的として、HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)やHSUPA(High Speed Uplink Packet Access)を採用することにより、W−CDMA(Wideband‐Code Division Multiple Access)をベースとしたシステムの特徴を最大限に引き出すことが行われている。このUMTSネットワークについては、更なる高速データレート、低遅延などを目的としてLTE(Long Term Evolution)が検討されている(非特許文献1)。
【0003】
LTE方式のシステムにおいては、複数のアンテナでデータを送受信することにより、データレート(周波数利用効率)を向上させるMIMO(Multi Input Multi Output)システムが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。MIMO伝送においては、受信機は、送信機のアンテナに設定すべき位相・振幅制御量(プリコーディング行列(プリコーディングウェイト))と、プリコーディング行列に対応づけられるPMI(Precoding Matrix Indicator)とをランク毎に複数定めたコードブックから最適なPMIを選択して送信機にフィードバックする。また、受信機は、最適なランクを示すRI(Rank Indicator)を選択して送信機にフィードバックする。送信機は、受信機からフィードバックされたPMI、RIに基づいて各送信アンテナに対するプリコーディングウェイトを特定し、プリコーディングを行って送信情報系列を送信する。
【0004】
また、LTE方式のシステムにおいて、時間領域・周波数領域・空間領域のスケジューリングは、下りリンクのチャネル状況に依存する。このため、送信機が最適なスケジューリングを行うために、受信機はチャネル状態を報告している。このチャネル状態を報告するパラメータとして、上記PMIや、適応変復調及び符号化処理(AMC:Adaptive Modulation and Coding scheme)に用いるための下りリンクの品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)がある。このようなPMIやCQI(チャネル状態情報:CSI(Channel State Information)あるいはフィードバック情報)を受信機から送信機にフィードバックすることにより、スケジューリングを行っている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP, TR25.912 (V7.1.0), "Feasibility study for Evolved UTRA and UTRAN", Sept. 2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第3世代のシステムは、概して5MHzの固定帯域を用いて、下り回線で最大2Mbps程度の伝送レートを実現できる。一方、LTE方式のシステムでは、1.4MHz〜20MHzの可変帯域を用いて、下り回線で最大300Mbps及び上り回線で75Mbps程度の伝送レートを実現できる。また、UMTSネットワークにおいては、更なる広帯域化及び高速化を目的として、LTEの後継のシステムも検討されている(例えば、LTEアドバンスト(LTE−A)システム)。
【0007】
Rel−8 LTEシステムに対してさらにシステム性能を向上させるための有望な技術の一つとして、セル間直交化がある。Rel−10以降のLTEシステム(LTE−Aシステム)では、上下リンクとも直交マルチアクセスによりセル内の直交化が実現されている。すなわち、下りリンクでは、周波数領域において移動端末装置(UE:User Equipment)間で直交化されている。しかしながら、セル間はW−CDMAと同様、1セル周波数繰り返しによる干渉ランダム化が基本である。
【0008】
3GPP(3rd Generation Partnership Project)では、セル間直交化を実現するための技術として、協調マルチポイント送受信(CoMP:Coordinated Multiple Point Transmission/Reception)が検討されている。CoMP送受信では、1つあるいは複数のUEに対して複数のセルが協調して送受信の信号処理を行う。具体的には、下りリンク伝送では、プリコーディングを適用する複数セル同時送信、協調スケジューリング/ビームフォーミングなどが検討されている。
【0009】
また、CoMP送受信においても、AMCを用いるためのCQIが下りリンク伝送で使用される。そのため、MIMO技術及びCoMP技術を共に適用する場合に、PMI、CQI等のフィードバック情報を高い精度で受信機から送信機にフィードバックし、両技術の効果を十分に発揮させることが望まれる。
【0010】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、MIMO技術及びCoMP技術を共に適用したときに、両技術の効果を十分に発揮させることができる移動端末装置、無線基地局装置、無線通信方法及び無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の移動端末装置は、複数セルからの下りリンク信号にそれぞれ含まれる参照信号を用いて複数セルのチャネル状態を推定する推定部と、前記複数セルのチャネル状態から、各セルのPMIとセル間位相差情報との組み合わせが最適となるように、前記各セルのPMI及び前記セル間位相差情報をそれぞれ決定する決定部と、前記決定部で決定されたPMI及びセル間位相差情報から、チャネル品質を測定する測定部と、前記各セルのPMI、前記セル間位相差情報及びチャネル品質の情報を無線基地局に送信する送信部と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の無線基地局装置は、PMI及びセル間位相差情報を含む上りリンク信号を受信する受信部と、前記PMIのプリコーディングウェイトを送信信号に乗算する乗算部と、前記セル間位相差情報を用いて、セル間の位相差を調整する位相差調整部と、前記送信信号を協調マルチポイント送信する送信部と、を具備し、前記PMI及び前記セル間位相差情報は、前記協調マルチポイント送信を行う複数セルのチャネル状態から、各セルのPMIとセル間位相差情報との組み合わせが最適となるように決定された情報であることを特徴とする。
【0013】
本発明の無線通信方法は、前記移動端末装置において、複数セルからの下りリンク信号にそれぞれ含まれる参照信号を用いて下りリンクのチャネル状態を推定する工程と、前記複数セルのチャネル状態から、各セルのPMI(Precoding Matrix Indicator)とセル間位相差情報との組み合わせが最適となるように、前記各セルのPMI及び前記セル間位相差情報を決定する工程と、決定されたPMI及びセル間位相差情報から、チャネル品質を測定する工程と、各セルのPMI、セル間位相差情報及びチャネル品質情報を無線基地局に送信する工程と、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の無線通信システムは、移動端末装置に対して、送信信号を複数セルの無線基地局装置から送信する無線通信システムであって、前記移動端末装置は、複数セルからの下りリンク信号にそれぞれ含まれる参照信号を用いて複数セルのチャネル状態を推定し、前記複数セルのチャネル状態から、各セルのPMI(Precoding Matrix Indicator)とセル間位相差情報との組み合わせが最適となるように、前記各セルのPMI及び前記セル間位相差情報をそれぞれ決定し、前記決定部で決定されたPMI及びセル間位相差情報から、チャネル品質を測定し、前記各セルのPMI、前記セル間位相差情報及びチャネル品質の情報を無線基地局に送信し、前記複数セルの無線基地局装置は、前記移動端末装置から送信された各セルのPMI、セル間位相差情報及びチャネル品質情報に基づいて送信信号を生成し、前記移動端末装置に対して前記送信信号を送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、移動端末装置において、複数セルの下りリンクのチャネル状態から、各セルのPMIとセル間位相差情報との組み合わせが最適となるように、各セルのPMI及びセル間位相差情報を決定するため、PMI、セル間位相差情報及びチャネル品質情報を高い精度で決定することができる。これにより、MIMO技術及びCoMP技術を共に適用したときに、両技術の効果を十分に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】協調マルチポイント送信を説明するための図である。
【図2】無線基地局装置の構成を説明するための図である。
【図3】MIMO技術を説明するための図である。
【図4】PMI、セル間位相差情報及びCQIを決定する方法(参考例)を説明するための図である。
【図5】第1の態様に係る、PMI、セル間位相差情報及びCQIを決定する方法を説明するための図である。
【図6】第2の態様に係る、PMI、セル間位相差情報及びCQIを決定する方法を説明するための図である。
【図7】第3の態様に係る、PMI、セル間位相差情報及びCQIを決定する方法を説明するための図である。
【図8】無線通信システムのシステム構成を説明するための図である。
【図9】無線基地局装置の全体構成を説明するための図である。
【図10】移動端末装置の全体構成を説明するための図である。
【図11】移動端末装置のベースバンド処理部に対応した機能ブロック図である。
【図12】集中制御型無線基地局装置のベースバンド処理部に対応した機能ブロック図である。
【図13】自律分散制御型無線基地局装置のベースバンド処理部に対応した機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
まず、下りリンクのCoMP送信について説明する。下りリンクのCoMP送信としては、Coordinated scheduling/Coordinated beamformingと、Joint processingとがある。Coordinated scheduling/Coordinated beamformingは、1UEに対して1セルからのみ送信する方法であり、他セルからの干渉や他セルへの干渉を考慮して周波数/空間領域における無線リソースの割り当てを行う方法である。一方、Joint processingは、プリコーディングを適用する複数セル同時送信であり、図1Aに示すような、1UEに対して複数のセルから送信するJoint transmissionと、図1Bに示すような、瞬時にセルを選択するDynamic Cell Selectionとがある。
【0018】
CoMP送受信を実現する構成としては、図2Aに示すような、無線基地局装置(無線基地局装置eNB)と、この無線基地局装置eNBと光張り出し構成(光ファイバ)で接続された複数の遠隔無線装置(RRE:Remote Radio Equipment)とを含む構成(遠隔無線装置構成に基づく集中制御)がある。他にも、図2Bに示すような、無線基地局装置(無線基地局装置eNB)の構成(独立基地局構成に基づく自律分散制御)がある。
【0019】
図2Aに示す構成(RRE構成)においては、遠隔無線装置RRE1、RRE2を無線基地局装置eNBで集中的に制御する。RRE構成では、複数のRREのベースバンド信号処理及び制御を行う無線基地局装置eNB(集中基地局)と各セルすなわちRREとの間が光ファイバを用いたベースバンド信号で接続されるため、セル間の無線リソース制御を集中基地局において一括して行うことができる。
【0020】
一方、図2Bに示す構成においては、複数の無線基地局装置eNB(又はRRE)でそれぞれスケジューリングなどの無線リソース割り当て制御を行う。この場合、無線基地局装置eNB1〜eNB3間のX2インターフェースを利用することにより、必要に応じてタイミング情報やスケジューリングなどの無線リソース割り当て情報をいずれかの無線基地局装置に送信し、セル間の協調を行う。
【0021】
次に、MIMO技術について説明する。図3に示すMIMOシステムの下りリンクMIMO伝送におけるプリコーディングでは、移動端末装置UEは、各アンテナからの受信信号を用いてチャネル変動量(チャネル状態)を測定する。次に、測定したチャネル変動量に基づいて、無線基地局装置eNBの各送信アンテナからの送信データを合成した後のスループット(又は受信SINR(Signal to Interference and Noise Ratio))が最大となる位相・振幅制御量(プリコーディングウェイト)に応じたPMI(Precoding Matrix Indicator)及びRI(Rank Indicator)を選択する。そして、この選択したPMI及びRIを、チャネル品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)とともに上りリンクで無線基地局装置eNBにフィードバックする。
【0022】
無線基地局装置eNBは、送信信号をチャネル符号化及びデータ変調し(AMC:Adaptive Modulation and Coding)、移動端末装置UEからフィードバックされたPMI及びRIに基づいて送信データにプリコーディングを行う。これにより、送信アンテナ毎に位相・振幅をそれぞれ制御(シフト)する。その後、位相・振幅シフトされた送信データを各アンテナから送信する。
【0023】
ところで、上述したMIMO技術及びCoMP技術を共に適用する場合、移動端末装置UEは、各セルに対応するPMIに加えて、CoMP送受信を行う複数のセル間の位相差情報等を含む情報(inter-cell information)を無線基地局装置eNBに対してフィードバックすることが好ましい。また、移動端末装置UEは、チャネル品質情報に関しても、帰属先セル(サービングセル)に対応したCQI(Single cell CQI)に加えて、CoMP送受信適用時に通信を行う複数セルに対応したCQI(CoMP CQI)を測定して、無線基地局装置に送信することが好ましい。CoMP送受信の適用時に必要となるセル間の位相差等の情報(以下、「セル間位相差情報」とも記す)や複数セルに対応したチャネル品質情報についても、無線基地局装置に対してフィードバックすることにより、通信品質を向上することができる。
【0024】
なお、セル間位相差情報は、サービングセルとその他のセルとの間の位相差情報等を指し、セル毎のPMI又はチャネル状態から位相差分情報を計算することにより求めることができる。また、セル間位相差情報には、セル間の位相差の情報に加えて振幅に関する情報等を含めることができる。
【0025】
このように、無線基地局装置に対して、各セルに対するPMI、セル間位相差情報、サービングセルに対するCQI及び複数セルに対するCQIをフィードバックする場合、移動端末装置UEにおいて、下記の式(1)〜(4)を用いて各種情報を決定する方法が検討されている(図4参照)。
【0026】
<各セルのPMIの選択>
まず、移動端末装置UEは、複数セルからの下りリンク信号にそれぞれ含まれる参照信号を用いて複数セルのチャネル状態を推定する。そして、移動端末装置UEは、以下の式(1)を用いて、各セルのチャネル状態から各セルのPMIを決定する(ステップST101)。この場合、移動端末装置UEは、PMIをランク毎に複数定めたコードブックを用いて、セル毎に最適なPMIを選択する。これにより、各セルに対するPMIが量子化される。
【0027】
【数1】

【0028】
<セル間位相差情報Wの決定>
次に、移動端末装置UEは、セル間位相差情報を計算する。具体的には、式(1)を用いて選択した各セルのPMIを用いて、下記の式(2)からセル間位相差情報を決定する(ステップST102)。式(2)では、複数セルに対応したチャネル状態から、上記式(1)で量子化された各セルのPMIと、セル間位相差情報との組み合わせ(Joint selection)を考慮して、セル間位相差情報Wを計算する。セル間位相差情報Wは、サービングセル(図2BにおけるeNB1)と他セル(図2BにおけるeNB2、3)間の位相差情報等であり、例えば、Wは、eNB1とeNB2間の位相差情報等に相当する。
【0029】
【数2】

【0030】
<Single cell CQIの測定>
次に、式(1)から得られたサービングセルのPMIを用いて、下記の式(3)からサービングセルのCQI(Single cell CQI)を測定する(ステップST103)。
【0031】
【数3】

【0032】
<CoMP CQIの測定>
また、式(1)及び式(2)から得られた各セルのPMI及びセル間位相差情報を用いて、下記の式(4)から複数セルに対応するCQI(CoMP CQI)を測定する(ステップST104)。
【0033】
【数4】

【0034】
しかし、上述した方法では、式(2)を用いてセル間位相差情報を決定する際、式(1)を用いて各セルのチャネル状態に基づいてそれぞれ量子化されたPMIを用いることとなる。そのため、CoMP送受信を想定する場合には、上記式(1)及び式(2)を用いて決定される各セルのPMI、セル間位相差情報の精度が不十分となる(最適な選択とならない)おそれがある。
【0035】
さらに、式(1)及び式(2)を用いて決定された各セル用のPMI及びセル間位相差情報を用いて、複数セルのCQI(CoMP CQI)を測定する場合(式(4))には、得られるCQIの精度も低下するおそれがある。
【0036】
本発明者らは、上記問題を解決するために、セル間位相差情報及びPMIを決定する際に、複数セルに対応したチャネル状態から、セル間位相差情報と各セルのPMIとの組み合わせ(Joint selection)が最適となるように、セル間位相差情報及び各セル用のPMIを決定することによって、量子化された各セル用のPMIを用いてセル間位相差情報を決定する場合と比較して、PMI及びセル間位相差情報の精度を向上できる(より最適な選択ができる)ことを見出した。また、このように決定されたPMI及びセル間位相差情報を用いて複数セルのCQI(CoMP CQI)を測定することにより、得られるCQIの精度を向上し、MIMO技術及びCoMP技術を共に適用する場合の通信品質を向上できることを見出した。
【0037】
本発明の一態様は、移動端末装置において、複数セルからの下りリンク信号にそれぞれ含まれる参照信号を用いて下りリンクのチャネル状態を推定し、複数セルに対応したチャネル状態から、各セルのPMIとセル間位相差情報との組み合わせが最適となるように、各セルのPMI及びセル間位相差情報をそれぞれ決定し、決定されたPMI及びセル間位相差情報から、チャネル品質を測定し、各セルのPMI、セル間位相差情報及びチャネル品質情報を無線基地局装置に送信する。
【0038】
なお、各セルのPMIとセル間位相差情報との組み合わせが最適となるように、各セルのPMI及びセル間位相差情報を決定するとは、複数セルのチャネル状態に基づいて、スループット(又は受信SINR)が最大となるように、PMIとセル間位相差情報を選択する。PMIの選択は、PMIをランク毎に複数定めたコードブックを用いて行い、セル間位相差情報の選択は、セル間位相差情報がビット情報として規定された情報を用いて行うことができる。
【0039】
以下に、各セルに対応するPMI、セル間位相差情報及びチャネル品質情報の決定方法について詳細に説明する。
【0040】
(第1の態様)
第1の態様では、移動端末装置UEは、サービングセルのチャネル状態からコードブックを用いて、サービングセルのPMIを選択的に決定する。また、サービングセル以外の他セルについては、複数セルのチャネル状態から、他セルのPMIとセル間位相差情報との組み合わせが最適となるように、各セルのPMI及びセル間位相差情報をそれぞれ決定する。そして、得られた各セルのPMIと、セル間位相差情報に基づいて、CQI(Single cell CQI、CoMP CQI)を測定する。具体的に、移動端末装置UEは、下記の式を用いて各種情報を決定することができる(図5参照)。
【0041】
<サービングセルのPMIの選択>
まず、移動端末装置UEは、複数セルからの下りリンク信号にそれぞれ含まれる参照信号を用いて下りリンクのチャネル状態を推定する。そして、移動端末装置UEは、以下の式(5)を用いて、サービングセルのチャネル状態(CSI)からサービングセルのPMIを選択する(ステップST201)。この場合、移動端末装置UEは、PMIをランク毎に複数定めたコードブックを用いて、最適なPMIを選択する。これにより、サービングセルのPMIが量子化される。
【0042】
【数5】

【0043】
<他セルのPMI、セル間位相差情報Wの決定>
次に、移動端末装置UEは、サービングセル以外の他セルのPMI及びセル間位相差情報を決定する。具体的には、下記の式(6)を用いて、式(5)から得られたサービングセルのPMI、複数セルのチャネル状態から他セルのPMI及びセル間位相差情報Wを決定する(ステップST202)。
【0044】
【数6】

【0045】
式(6)では、他セルのPMIとセル間位相差情報との組み合わせ(Joint selection)が最適となるように計算し、コードブックを用いて他セルのPMIをそれぞれ決定すると共にセル間位相差情報をそれぞれ決定する。
【0046】
つまり、式(6)では、上記式(2)のように、あらかじめ量子化された各セルのPMIを用いて、セル間位相差情報Wを決定するのでなく、他セルのPMIとセル間位相差情報Wとの組み合わせが最適となるように、他セルのPMIとセル間位相差情報Wをそれぞれ決定している。そのため、上記式(1)、(2)で決定される他セルのPMIやセル間位相差情報と比較して、他セルのPMI及びセル間位相差情報高い精度で決定すること(より最適な選択)が可能となる。
【0047】
<Single cell CQIの測定>
次に、式(5)から得られたサービングセル用のPMIを用いて、下記の式(3)からサービングセルに対応するCQI(Single cell CQI)を測定する(ステップST203)。
【0048】
【数7】

【0049】
ここでは、式(5)を用いて選択したサービングセルのPMIを用いて、サービングセルのCQIを決定するため、シングルセルCQIの精度を向上することができる。
【0050】
<CoMP CQIの測定>
また、式(5)及び式(6)から得られた各セルのPMI及びセル間位相差情報を用いて、下記の式(4)から複数セルのCQI(CoMP CQI)を計算する(ステップST204)。
【0051】
【数8】

【0052】
ここでは、CoMP送受信を想定して、複数セルのチャネル状態を用いて上記(6)式から決定した他セルのPMI及びセル間位相差情報に基づいて、CQIを測定しているため、複数セルのCQI(CoMP CQI)を高い精度で求めることが可能となる。
【0053】
(第2の態様)
第2の態様では、移動端末装置UEは、サービングセルを含めたCoMP送信に含まれる全てのセルについて、複数セルのチャネル状態から、各セル用のPMIとセル間位相差情報との組み合わせが最適となるように計算する。これにより、各セルのPMI及びセル間位相差情報をそれぞれ決定する。また、得られた各セルのPMIと、セル間位相差情報を用いて、CQI(Single cell CQI、CoMP CQI)を測定する。具体的に、移動端末装置UEは、下記の式を用いて各種情報を決定することができる(図6参照)。
【0054】
<全セルに対応するPMI、セル間位相差情報Wの決定>
まず、移動端末装置UEは、複数セルからの下りリンク信号にそれぞれ含まれる参照信号を用いて下りリンクのチャネル状態を推定する。そして、移動端末装置UEは、サービングセルを含めた全てのセルのPMIと、セル間位相差情報について、下記の式(7)を用いて、複数セルのチャネル状態から決定する(ステップST301)。
【0055】
【数9】

【0056】
式(7)では、複数セルのチャネル状態を用いて、サービングセル用のPMIを決定すると共に、他セル用のPMIとセル間位相差情報との組み合わせ(Joint selection)が最適となるように、他セルのPMIとセル間位相差情報Wを決定する(ステップST301)。
【0057】
つまり、式(7)では、上記式(2)のように、あらかじめ量子化された各セルのPMIを用いて、セル間位相差情報Wを決定するのでなく、複数セルのチャネル状態から、各セルのPMIとセル間位相差情報Wを決定している。そのため、上記式(1)、(2)で決定される他セルのPMIやセル間位相差情報と比較して、他セルのPMI及びセル間位相差情報高い精度で決定すること(より最適な選択)が可能となる。
【0058】
<Single cell CQIの測定>
次に、式(7)から得られたサービングセルのPMIを用いて、下記の式(3)からサービングセルのCQI(Single cell CQI)を測定する(ステップST302)。
【0059】
【数10】

【0060】
<CoMP CQIの測定>
また、式(7)から得られた各セルのPMI及びセル間位相差情報を用いて、下記の式(4)から複数セルのCQI(CoMP CQI)を計算する(ステップST303)。
【0061】
【数11】

【0062】
ここでは、CoMP送受信を前提として、複数セルのチャネル状態から上記(7)式を用いて各セルのPMI及びセル間位相差情報を決定し、当該各セルのPMI及びセル間位相差情報に基づいて、複数セルのCQI(CoMP CQI)を測定している。したがって、CoMP CQIを高い精度で求めることが可能となる。
【0063】
また、上記第1の態様では、CoMP CQIの計算において、サービングセルのチャネル状態から量子化したサービングセルのPMIを用いているが、第2の態様では、サービングセルのPMIについても、複数のセルのチャネル状態から求めている。そのため、第2の態様は、第1の態様と比較してCoMP CQIをより高い精度で求めることができる。また、第2の態様では、サービングセルのチャネル状態から、サービングセルのPMIを決定して無線基地局装置にフィードバックする工程を省略することができる。
【0064】
(第3の態様)
第3の態様では、移動端末装置UEは、上記第2の態様と同様に、サービングセルを含めたCoMP送信に含まれる全てのセルについて、複数セルのチャネル状態から、各セルのPMIとセル間位相差情報との組み合わせが最適となるように計算する。さらに、第3の態様では、サービングセルのチャネル状態からコードブックを用いてサービングセルのPMIを決定し、当該サービングセルのPMIをSingle cell CQIの測定に適用する。具体的に、移動端末装置UEは、下記の式を用いて各種情報を決定することができる(図7参照)。
【0065】
<全セルのPMI、セル間位相差情報Wの決定>
まず、移動端末装置UEは、複数セルからの下りリンク信号にそれぞれ含まれる参照信号を用いて下りリンクのチャネル状態を推定する。そして、移動端末装置UEは、上記第2の態様と同様に、サービングセルを含めた全てのセルのPMIと、セル間位相差情報について、下記の式(7)を用いて、複数セルのチャネル状態から決定する(ステップST401)。
【0066】
【数12】

【0067】
<サービングセルのPMIの選択>
また、移動端末装置UEは、サービングセルのチャネル状態(CSI)を用いて、以下の式(8)からサービングセルのPMIを選択する(ステップST402)。この場合、移動端末装置UEは、PMIをランク毎に複数定めたコードブックを用いて、最適なPMIを選択する。これにより、サービングセルのPMIが量子化される。
【0068】
【数13】

【0069】
<Single cell CQIの測定>
次に、式(8)から得られたサービングセルのPMIを用いて、下記の式(9)からサービングセルのCQI(Single cell CQI)を測定する(ステップST403)。
【0070】
【数14】

【0071】
第3の態様では、Single cell CQIの測定において、サービングセルのチャネル状態から決定したサービングセルのPMIを適用する。そのため、第2の態様と比較して、Single cell CQIの測定精度を高めることができる。
【0072】
<CoMP CQIの測定>
また、式(7)から得られた各セルのPMI及びセル間位相差情報を用いて、下記の式(4)から複数セルのCQI(CoMP CQI)を測定する(ステップST404)。
【0073】
【数15】

【0074】
第3の態様においても、第2の態様と同様に、複数セルのチャネル状態から上記(7)式を用いて各セルに対応するPMI及びセル間位相差情報を決定し、当該各セルのPMI及びセル間位相差情報に基づいて、複数セルのCQI(CoMP CQI)を測定している。したがって、CoMP CQIを高い精度で求めることが可能となる。
【0075】
(実施例)
次に、移動端末装置UEが、上述した第1の態様〜第3の態様を用いて、各セルのPMI、セル間位相差情報及びチャネル品質情報(Single cell CQI、CoMP CQI)を決定した場合の評価結果の一例を説明する。
【0076】
ここでは、2セルのCoMP送信を想定し、各セルの無線基地局装置eNBのアンテナ数を2、移動端末装置UEのアンテナ数を1と仮定した。また、各セルのPMIをそれぞれ選択するためのコードブックとして、Rel−8 LTEシステムの2送信アンテナ用のコードブック(2ビット)を用いた。また、セル間位相差情報は、2ビット(1,−1,j,−j)からなる位相差情報と仮定した。また、移動端末装置UEが推定した下りリンクのチャネル状態Hを以下の通り設定した。
【0077】
【数16】

【0078】
以上の条件に基づいて、上述した第1の態様〜第3の態様を適用して、PMI、セル間位相差情報、CQIを決定した。結果を表1に示す。なお、参考例として、上記式(1)及び式(2)を用いてPMI及びセル間位相差情報を決定し、上記式(3)及び式(4)を用いてCQIを測定した場合の結果についても表1に示す。
【0079】
【表1】

【0080】
表1の結果より、参考例、第1の態様〜第3の態様間において、異なるPMI、セル間位相差情報が選択された。また、第1の態様〜第3の態様を用いることにより、参考例と比較してCoMP SINRを最適化できた。特に、CoMP CQIの計算において、サービングセルのPMIについて、複数のセルのチャネル状態から求められたPMIを適用する第2の態様及び第3の態様で、CoMP SINRを高い精度で得ることができた。
【0081】
以下に、本発明の実施の形態に係る無線通信システムについて詳細に説明する。図8は、本実施の形態に係る無線通信システムのシステム構成の説明図である。なお、図8に示す無線通信システムは、例えば、LTEシステム或いは、SUPER 3Gが包含されるシステムである。この無線通信システムでは、LTEシステムのシステム帯域を一単位とする複数の基本周波数ブロックを一体としたキャリアアグリゲーションが用いられている。また、この無線通信システムは、IMT−Advancedと呼ばれても良く、4Gと呼ばれても良い。
【0082】
図8に示すように、無線通信システム1は、無線基地局装置20A,20Bと、この無線基地局装置20A,20Bと通信する複数の第1、第2の移動端末装置10A,10Bとを含んで構成されている。無線基地局装置20A,20Bは、上位局装置30と接続され、この上位局装置30は、コアネットワーク40と接続される。また、無線基地局装置20A,20Bは、有線接続又は無線接続により相互に接続されている。第1、第2の移動端末装置10A,10Bは、セルC1,C2において無線基地局装置20A,20Bと通信を行うことができる。なお、上位局装置30には、例えば、アクセスゲートウェイ装置、無線ネットワークコントローラ(RNC)、モビリティマネジメントエンティティ(MME)などが含まれるが、これに限定されない。
【0083】
第1、第2の移動端末装置10A,10Bは、LTE端末及びLTE−A端末を含むが、以下においては、特段の断りがない限り第1、第2の移動端末装置として説明を進める。また、説明の便宜上、無線基地局装置20A,20Bと無線通信するのは第1、第2の移動端末装置10A,10Bであるものとして説明するが、より一般的には移動端末装置も固定端末装置も含むユーザ装置(UE)でよい。
【0084】
無線通信システム1においては、無線アクセス方式として、下りリンクについてはOFDMA(直交周波数分割多元接続)が、上りリンクについてはSC−FDMA(シングルキャリア−周波数分割多元接続)が適用されるが、上りリンクの無線アクセス方式はこれに限定されない。OFDMAは、周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各サブキャリアにデータをマッピングして通信を行うマルチキャリア伝送方式である。SC−FDMAは、システム帯域を端末毎に1つ又は連続したリソースブロックからなる帯域に分割し、複数の端末が互いに異なる帯域を用いることで、端末間の干渉を低減するシングルキャリア伝送方式である。
【0085】
下りリンクの通信チャネルは、第1、第2の移動端末装置10A,10Bで共有される下りデータチャネルとしてのPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)と、下りL1/L2制御チャネル(PDCCH、PCFICH、PHICH)とを有する。PDSCHにより、送信データ及び上位制御情報が伝送される。PDCCH(Physical Downlink Control Channel)により、PDSCHおよびPUSCHのスケジューリング情報等が伝送される。PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)により、PDCCHに用いるOFDMシンボル数が伝送される。PHICH(Physical Hybrid-ARQ Indicator Channel)により、PUSCHに対するHARQのACK/NACKが伝送される。
【0086】
上りリンクの通信チャネルは、各移動端末装置で共有される上りデータチャネルとしてのPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)と、上りリンクの制御チャネルであるPUCCH(Physical Uplink Control Channel)とを有する。このPUSCHにより、送信データや上位制御情報が伝送される。また、PUCCHにより、下りリンクのチャネル品質情報(CQI)、ACK/NACKなどが伝送される。
【0087】
図9を参照しながら、本実施の形態に係る無線基地局装置の全体構成について説明する。なお、無線基地局装置20A,20Bは、同様な構成であるため、無線基地局装置20として説明する。また、第1、第2の移動端末装置10A,10Bも、同様な構成であるため、移動端末装置10として説明する。無線基地局装置20は、送受信アンテナ201と、アンプ部202と、送受信部(通知部)203と、ベースバンド信号処理部204と、呼処理部205と、伝送路インターフェース206とを備えている。下りリンクにより無線基地局装置20から移動端末装置に送信される送信データは、上位局装置30から伝送路インターフェース206を介してベースバンド信号処理部204に入力される。
【0088】
ベースバンド信号処理部204において、下りデータチャネルの信号は、PDCPレイヤの処理、送信データの分割・結合、RLC(Radio Link Control)再送制御の送信処理などのRLCレイヤの送信処理、MAC(Medium Access Control)再送制御、例えば、HARQの送信処理、スケジューリング、伝送フォーマット選択、チャネル符号化、逆高速フーリエ変換(IFFT)処理、プリコーディング処理が行われる。また、下りリンク制御チャネルである物理下りリンク制御チャネルの信号に関しても、チャネル符号化や逆高速フーリエ変換等の送信処理が行われる。
【0089】
また、ベースバンド信号処理部204は、報知チャネルにより、同一セルに接続する移動端末装置10に対して、各移動端末装置10が無線基地局装置20との無線通信するための制御情報を通知する。当該セルにおける通信のための情報には、例えば、上りリンク又は下りリンクにおけるシステム帯域幅や、PRACH(Physical Random Access Channel)におけるランダムアクセスプリアンブルの信号を生成するためのルート系列の識別情報(Root Sequence Index)などが含まれる。
【0090】
送受信部203は、ベースバンド信号処理部204から出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換する。アンプ部202は周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ201へ出力する。なお、送受信部203は、複数セル間の位相差の情報及びPMIを含む上りリンク信号を受信する受信手段、及び送信信号を協調マルチポイント送信する送信手段を構成する。
【0091】
一方、上りリンクにより移動端末装置10から無線基地局装置20に送信される信号については、送受信アンテナ201で受信された無線周波数信号がアンプ部202で増幅され、送受信部203で周波数変換されてベースバンド信号に変換され、ベースバンド信号処理部204に入力される。
【0092】
ベースバンド信号処理部204は、上りリンクで受信したベースバンド信号に含まれる送信データに対して、FFT処理、IDFT処理、誤り訂正復号、MAC再送制御の受信処理、RLCレイヤ、PDCPレイヤの受信処理を行う。復号された信号は伝送路インターフェース206を介して上位局装置30に転送される。
【0093】
呼処理部205は、通信チャネルの設定や解放等の呼処理や、無線基地局装置20の状態管理や、無線リソースの管理を行う。
【0094】
次に、図10を参照しながら、本実施の形態に係る移動端末装置の全体構成について説明する。LTE端末もLTE-A端末もハードウエアの主要部構成は同じであるので、区別せずに説明する。移動端末装置10は、送受信アンテナ101と、アンプ部102と、送受信部(受信部)103と、ベースバンド信号処理部104と、アプリケーション部105とを備えている。
【0095】
下りリンクのデータについては、送受信アンテナ101で受信された無線周波数信号がアンプ部102で増幅され、送受信部103で周波数変換されてベースバンド信号に変換される。このベースバンド信号は、ベースバンド信号処理部104でFFT処理や、誤り訂正復号、再送制御の受信処理等がなされる。この下りリンクのデータの内、下りリンクの送信データは、アプリケーション部105に転送される。アプリケーション部105は、物理レイヤやMACレイヤより上位のレイヤに関する処理等を行う。また、下りリンクのデータの内、報知情報も、アプリケーション部105に転送される。
【0096】
一方、上りリンクの送信データは、アプリケーション部105からベースバンド信号処理部104に入力される。ベースバンド信号処理部104においては、マッピング処理、再送制御(HARQ)の送信処理や、チャネル符号化、DFT処理、IFFT処理を行う。送受信部103は、ベースバンド信号処理部104から出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換する。その後、アンプ部102は、周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ101より送信する。なお、送受信部103は、位相差の情報、接続セルの情報、選択されたPMIなどを複数セルの無線基地局装置eNBに送信する送信手段、及び下りリンク信号を受信する受信手段を構成する。
【0097】
図11を参照して、移動端末装置の機能ブロックについて説明する。なお、図11の各機能ブロックは、主にベースバンド処理部の処理内容である。また、図11に示す機能ブロックは、本発明を説明するために簡略化したものであり、ベースバンド処理部において通常備える構成は備えるものとする。
【0098】
移動端末装置UEの受信部は、CP除去部1101と、FFT部1102と、下りチャネル分離部1103と、下り制御情報受信部1104と、下り送信データ受信部1105と、チャネル推定部1106と、CQI測定部1107と、PMI/セル間位相差情報決定部1108とを備えている。
【0099】
無線基地局装置eNBから送出された送信信号は、アンテナにより受信され、CP除去部1101に出力される。CP除去部1101は、受信信号からCPを除去し、FFT(Fast Fourier Transform)1102に出力する。FFT部1102は、CP除去後の信号をフーリエ変換し、時系列の信号から周波数領域の信号に変換する。FFT部1102は、周波数領域の信号に変換された信号を下りチャネル分離部1103に出力する。下りチャネル分離部1103は、下りチャネル信号を、下り制御情報、下り送信データ、下り参照信号に分離する。下りチャネル分離部1103は、下り制御情報を下り制御情報受信部1104に出力し、下り送信データを下り送信データ受信部1105に出力し、下り参照信号をチャネル推定部1106に出力する。
【0100】
下り制御情報受信部1104は、下り制御情報を復調し、復調した制御情報を下り送信データ受信部1105に出力する。下り送信データ受信部1105は、制御情報を用いて下り送信データを復調する。
【0101】
チャネル推定部1106は、下りリンク信号に含まれる参照信号を用いてチャネル状態を推定し、推定したチャネル状態をCQI測定部1107、PMI/セル間位相差情報決定部1108に出力する。複数のセルから参照信号が送信される場合には、複数セルからの下りリンク信号にそれぞれ含まれる参照信号を用いて下りリンクのチャネル状態を推定する。
【0102】
PMI/セル間位相差情報決定部1108は、複数セルのチャネル状態から、各セルのPMIとセル間位相差情報との組み合わせの最適値をそれぞれ計算し、各セルのPMI及びセル間位相差情報を決定する。決定されたPMI及びセル間位相差情報は、CQI測定部1107に出力されると共に、フィードバック情報として無線基地局装置eNBに通知される。
【0103】
より具体的には、PMI/セル間位相差情報決定部1108は、チャネル推定部1106で得られたチャネル状態から、上述した式(5)〜(8)を用いて、各セルのPMIとセル間位相差情報を決定することができる。
【0104】
例えば、第1の態様においては、PMI/セル間位相差情報決定部1108は、上記式(5)を用いて、サービングセルのチャネル状態(CSI)からサービングセルのPMIを選択する。そして、上記式(6)を用いて、式(5)から得られたサービングセルのPMI、複数セルのチャネル状態から他セルのPMI及びセル間位相差情報を決定する。これにより、上記式(1)、(2)で決定される他セルのPMIやセル間位相差情報と比較して、他セルのPMI及びセル間位相差情報高い精度で決定すること(より最適な選択)が可能となる。
【0105】
第2の態様においては、PMI/セル間位相差情報決定部1108は、上記式(7)から各セルのPMI及びセル間位相差情報を決定する。また、第3の態様においては、PMI/セル間位相差情報決定部1108は、上記式(7)から各セルのPMI及びセル間位相差情報を決定すると共に、サービングセルのチャネル状態を用いて、上記式(8)からサービングセルのPMIを選択する。
【0106】
CQI測定部1107は、チャネル推定部1106から通知されたチャネル状態、PMI/セル間位相差情報決定部1108から通知された各セルのPMI及びセル間位相差情報を用いてCQIを測定する。CQIとしては、サービングセルのCQI(Single cell CQI)に加えて、CoMP送受信を行う複数セルのCQI(CoMP CQI)を測定する。測定されたCQIは、フィードバック情報として無線基地局装置eNBに通知される。
【0107】
より具体的には、CQI測定部1107は、チャネル推定部1106、PMI/セル間位相差情報決定部1108から通知された情報から、上述した式(3)、(4)、(9)を用いて、各セルのPMIとセル間位相差情報をそれぞれ決定することができる。
【0108】
例えば、第1の態様及び第2の態様においては、CQI測定部1107は、上記式(3)を用いてサービングセルのCQI(Single cell CQI)を測定し、上記式(4)を用いて複数セルのCQI(CoMP CQI)を測定する。また、第3の態様においては、CQI測定部1107は、上記式(9)を用いてサービングセルのCQI(Single cell CQI)を測定し、上記式(4)を用いて複数セルのCQI(CoMP CQI)を測定する。このように、CoMP送受信を想定して、複数セルのチャネル状態から各セルのPMI及びセル間位相差情報を決定し、当該各セルのPMI及びセル間位相差情報に基づいて、複数セルのCQI(CoMP CQI)を測定することにより、CoMP CQIを高い精度で求めることが可能となる。
【0109】
次に、図12を参照して、無線基地局装置の機能ブロックについて説明する。図12に示す無線基地局装置は、集中制御型の無線基地局構成を有する。集中制御の場合、ある無線基地局装置eNB(集中無線基地局装置eNB、図12においてセル#1)で一括してスケジューリングなどの無線リソース割り当て制御を行い、配下のセル(図12においてセル#2)は集中無線基地局装置eNBの無線リソース割り当て結果に従う。この場合、フィードバックされた位相差情報は、集中無線基地局装置eNBのユーザスケジューリング制御部において、複数セル間の無線リソース割り当てを行うために必要な情報として使われる。
【0110】
なお、図12の各機能ブロックは、主にベースバンド処理部の処理内容である。また、図12の機能ブロック図は、簡略化したものであり、ベースバンド処理部において通常備える構成を備えるものとする。
【0111】
集中無線基地局装置eNB(セル#1)側の送信部は、下り制御情報生成部901と、下り制御情報符号化・変調部902と、下り参照信号生成部903と、下り送信データ生成部904と、下り送信データ符号化・変調部905と、プリコーディング乗算部906と、プリコーディングウェイト生成部907と、下りチャネル多重部908と、IFFT部909a,909bと、CP付加部910a,910bと、送信アンプ911a,911bと、送信アンテナ912a,912bと、ユーザスケジューリング制御部925とを備えている。
【0112】
一方、配下セルの無線基地局装置eNB(セル#2)側の送信部は、下り制御情報生成部913と、下り制御情報符号化・変調部914と、下り参照信号生成部915と、下り送信データ生成部916と、下り送信データ符号化・変調部917と、プリコーディング乗算部918と、プリコーディングウェイト生成部919と、下りチャネル多重部920と、IFFT部921a,921bと、CP付加部922a,922bと、送信アンプ923a,923bと、送信アンテナ924a,924bとを備えている。集中無線基地局装置eNBと配下セルの無線基地局装置eNBとは光ファイバで接続されている。
【0113】
下り制御情報生成部901,913は、下りリンクの制御情報を生成し、その下り制御情報を下り制御情報符号化・変調部902,914にそれぞれ出力する。下り制御情報符号化・変調部902,914は、下り制御情報に対してチャネル符号化及びデータ変調を行い、プリコーディング乗算部906,918にそれぞれ出力する。
【0114】
下り参照信号生成部903,915は、下り参照信号(CRS(Common Reference Signal)、CSI−RS(Channel Information State-Reference Signal)、DM−RS(Demodulation-Reference Signal))を生成し、その下り参照信号をプリコーディング乗算部906,918にそれぞれ出力する。
【0115】
下り送信データ生成部904,916は、下りリンクの送信データを生成し、その下り送信データを下り送信データ符号化・変調部905,917にそれぞれ出力する。下り送信データ符号化・変調部905,917は、下り送信データに対してチャネル符号化及びデータ変調を行い、プリコーディング乗算部906,918にそれぞれ出力する。
【0116】
下り制御情報生成部901,913は、それぞれユーザスケジューリング制御部925の制御により下り制御情報を生成する。このとき、ユーザスケジューリング制御部925は、移動端末装置UEからのCQI及びセル間の位相差情報を用いて下り制御情報のスケジューリング制御を行う。すなわち、ユーザスケジューリング制御部925は、セル間の位相差情報を用いてセル間の位相差を調整して、セル#1及びセル#2でCoMP送信できるように(他セルの無線基地局装置eNBとの間でCoMP送信するように)下り制御情報のスケジューリング制御を行う。
【0117】
上記と同様に、下り送信データ生成部904,916は、それぞれユーザスケジューリング制御部925の制御により下り送信データを生成する。このとき、ユーザスケジューリング制御部925は、移動端末装置UEからのCQI及びセル間の位相差情報を用いて下り送信データのスケジューリング制御を行う。すなわち、ユーザスケジューリング制御部925は、セル間の位相差情報を用いてセル間の位相差を調整して、セル#1及びセル#2でCoMP送信できるように(他セルの無線基地局装置eNBとの間でCoMP送信するように)下り送信データのスケジューリング制御を行う。
【0118】
このように、ユーザスケジューリング制御部925は、セル間の位相差情報を用いてセル間の位相差を調整する位相差調整手段の役割を果たす。セル間の位相差を調整することにより、MIMO技術を適用したとしても、Joint transmission型のCoMP送信の効果を十分に発揮させることができる。
【0119】
プリコーディングウェイト生成部907,919は、移動端末装置UEからフィードバックされたPMIに基づいてコードブックを用いてプリコーディングウェイトを生成する。プリコーディングウェイト生成部907,919は、プリコーディングウェイトをプリコーディング乗算部906,918にそれぞれ出力する。
【0120】
プリコーディングウェイト生成部907,919は、それぞれコードブックを備えており、コードブックからPMIに対応するプリコーディングウェイトを選択する。ここで、複数セルの無線基地局装置eNBの合計アンテナ数がコードブックの対応アンテナ数よりも多い場合には、コードブックの対応アンテナ数よりも多い対応アンテナ数のコードブックを用いる。例えば、2つの無線基地局装置eNBの送信アンテナ数がどちらも2本だった場合には、4送信アンテナのPMIをフィードバックする。
【0121】
プリコーディング乗算部906,918は、PMIに対応するプリコーディングウェイトを送信信号に乗算する。すなわち、プリコーディング乗算部906,918は、プリコーディングウェイト生成部907,919から与えられるプリコーディングウェイトに基づいて、送信アンテナ912a,912b、送信アンテナ924a,924b毎に送信信号(下り制御情報、下り参照信号、下り送信データ)に対して位相シフト及び/又は振幅シフトする(プリコーディングによる送信アンテナの重み付け)。プリコーディング乗算部906,918は、位相シフト及び/又は振幅シフトされた送信信号を下りチャネル多重部908,920にそれぞれ出力する。
【0122】
下りチャネル多重部908,920は、位相シフト及び/又は振幅シフトされた下り制御情報と、下り参照信号と、下り送信データとを合成し、送信アンテナ912a,912b、送信アンテナ924a,924b毎の送信信号を生成する。下りチャネル多重部908,920は、この送信信号をIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部909a,909b、IFFT部921a,921bにそれぞれ出力する。
【0123】
IFFT部909a,909b、IFFT部921a,921bは、送信信号にIFFTして、IFFT後の送信信号をCP付加部910a,910b、CP付加部922a,922bに出力する。CP付加部910a,910b、CP付加部922a,922bは、IFFT後の送信信号にCP(Cyclic Prefix)を付加して、CP付加後の送信信号を送信アンプ911a,911b、送信アンプ923a,923bにそれぞれ出力する。
【0124】
送信アンプ911a,911b、送信アンプ923a,923bは、CP付加後の送信信号を増幅する。増幅後の送信信号は、送信アンテナ912a,912b、送信アンテナ924a,924bからそれぞれ下りリンクで移動端末装置UEに送出される。
【0125】
次に、図13を参照して、無線基地局装置の機能ブロックについて説明する。図13に示す無線基地局装置は、自律分散制御型の無線基地局構成を有する。自律分散制御の場合、複数の無線基地局装置eNB(又はRRE)で、それぞれスケジューリングなどの無線リソース割り当て制御が行われる。この場合、フィードバックされた位相差情報は、複数の無線基地局装置eNBにおけるユーザスケジューリング制御部において、それぞれ無線リソース割り当てを行うために必要な情報として使われる。
【0126】
なお、図13の各機能ブロックは、主にベースバンド処理部の処理内容である。また、図13の機能ブロック図は、簡略化したものであり、ベースバンド処理部において通常備える構成を備えるものとする。また、図13において図12と同じ処理部については図12と同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0127】
セル#1側の送信部は、下り制御情報生成部901と、下り制御情報符号化・変調部902と、下り参照信号生成部903と、下り送信データ生成部904と、下り送信データ符号化・変調部905と、プリコーディング乗算部906と、プリコーディングウェイト生成部907と、下りチャネル多重部908と、IFFT部909a,909bと、CP付加部910a,910bと、送信アンプ911a,911bと、送信アンテナ912a,912bと、ユーザスケジューリング制御部925aと、セル間制御情報送受信部926aとを備えている。
【0128】
一方、セル#2側の送信部は、下り制御情報生成部913と、下り制御情報符号化・変調部914と、下り参照信号生成部915と、下り送信データ生成部916と、下り送信データ符号化・変調部917と、プリコーディング乗算部918と、プリコーディングウェイト生成部919と、下りチャネル多重部920と、IFFT部921a,921bと、CP付加部922a,922bと、送信アンプ923a,923bと、送信アンテナ924a,924bと、ユーザスケジューリング制御部925bと、セル間制御情報送受信部926bとを備えている。
【0129】
セル間制御情報送受信部926a,926bは、X2インターフェースで接続されている。このように接続されて、セル間制御情報を送受信できることにより、複数セル間で協調することができる。X2インターフェースで送受信される制御情報としては、タイミング情報や、スケジューリングなどの無線リソース割り当て情報が挙げられる。
【0130】
下り制御情報生成部901,913は、それぞれユーザスケジューリング制御部925a,925bの制御により下り制御情報を生成する。このとき、ユーザスケジューリング制御部925a,925bは、移動端末装置UEからのCQI及びセル間の位相差情報を用いて下り制御情報のスケジューリング制御を行う。すなわち、ユーザスケジューリング制御部925a,925bは、セル間の位相差情報を用いてセル間の位相差を調整して、セル#1及びセル#2でCoMP送信できるように(セル#2の無線基地局装置eNBとの間でCoMP送信するように)下り制御情報のスケジューリング制御を行う。
【0131】
上記と同様に、下り送信データ生成部904,916は、それぞれユーザスケジューリング制御部925a,925bの制御により下り送信データを生成する。このとき、ユーザスケジューリング制御部925a,925bは、移動端末装置UEからのCQI及びセル間の位相差情報を用いて下り送信データのスケジューリング制御を行う。すなわち、ユーザスケジューリング制御部925a,925bは、セル間の位相差情報を用いてセル間の位相差を調整して、セル#1及びセル#2でCoMP送信できるように(セル#1の無線基地局装置eNBとの間でCoMP送信するように)下り送信データのスケジューリング制御を行う。
【0132】
このように、ユーザスケジューリング制御部925a,925bは、セル間の位相差情報を用いてセル間の位相差を調整する位相差調整手段の役割を果たす。このようにセル間の位相差を調整することにより、MIMO技術を適用したとしても、Joint transmission型のCoMP送信の効果を十分に発揮させることができる。
【0133】
上記構成の無線通信システムにおいては、まず、移動端末装置UEのチャネル推定部1106が、複数セルからの下りリンク信号にそれぞれ含まれる参照信号を用いて複数チャネル状態を推定する。次に、PMI/セル間位相差情報決定部1108が、チャネル推定部1106で推定されたチャネル状態から、各セルのPMIとセル間位相差情報との組み合わせの最適値をそれぞれ計算し、各セルのPMI及びセル間位相差情報を決定する。次に、CQI測定部1107が、チャネル推定部1106で推定されたチャネル状態、PMI/セル間位相差情報決定部1108で決定されたPMI及びセル間位相差情報から、チャネル品質を測定する。移動端末装置UEは、PMI/セル間位相差情報決定部1108で得られた各セルのPMI及びセル間位相差情報と、CQI測定部1107で得られたCQI(Single cell CQI、CoMP CQI)を無線基地局装置にフィードバックする。
【0134】
また、無線基地局装置において、PMI及びセル間位相差情報を含む上りリンク信号を受信する。次に、プリコーディング乗算部906,918が、PMIに対応するプリコーディングウェイトを送信信号に乗算する。次に、ユーザスケジューリング制御部925,925a,925bが、セル間位相差情報を用いて、セル間の位相差を調整して、他セルの無線基地局装置との間で送信信号を協調マルチポイント送信できるようにスケジューリング制御する。このような無線通信方法により、MIMO技術及びCoMP技術を共に適用したときに、両技術の効果を十分に発揮させることができる。
【0135】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0136】
1 無線通信システム
10 移動端末装置
20 無線基地局装置
101 送受信アンテナ
102 アンプ部
103 送受信部(受信部)
104 ベースバンド信号処理部
105 アプリケーション部
201 送受信アンテナ
202 アンプ部
203 送受信部(通知部)
204 ベースバンド信号処理部
205 呼処理部
206 伝送路インターフェース
901,913 下り制御情報生成部
902,914 下り制御情報符号化・変調部
903,915 下り参照信号生成部
904,916 下り送信データ生成部
905,917 下り送信データ符号化・変調部
906,918 プリコーディング乗算部
907,919 プリコーディングウェイト生成部
908,920 下りチャネル多重部
909a,909b,921a,921b IFFT部
910a,910b,922a,922b CP付加部
911a,911b,923a,923b 送信アンプ
912a,912b,924a,924b 送信アンテナ
925,925a,925b ユーザスケジューリング制御部
926a,926b セル間制御情報送受信部
1101 CP除去部
1102 FFT部
1103 下りチャネル分離部
1104 下り制御情報受信部
1105 下り送信データ受信部
1106 チャネル推定部
1107 CQI測定部
1108 PMI/セル間位相差情報決定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数セルからの下りリンク信号にそれぞれ含まれる参照信号を用いて複数セルのチャネル状態を推定する推定部と、
前記複数セルのチャネル状態から、各セルのPMI(Precoding Matrix Indicator)とセル間位相差情報との組み合わせが最適となるように、前記各セルのPMI及び前記セル間位相差情報をそれぞれ決定する決定部と、
前記決定部で決定されたPMI及びセル間位相差情報から、チャネル品質を測定する測定部と、
前記各セルのPMI、前記セル間位相差情報及び前記チャネル品質の情報を無線基地局に送信する送信部と、を有することを特徴とする移動端末装置。
【請求項2】
前記決定部は、サービングセルのPMIについて、前記サービングセルのチャネル状態からコードブックを用いて決定することを特徴とする請求項1に記載の移動端末装置。
【請求項3】
前記決定部は、前記サービングセル以外の他セルのPMI及びセル間位相差情報について、前記複数セルのチャネル状態と、前記サービングセルのPMIとから決定することを特徴とする請求項2に記載の移動端末装置。
【請求項4】
前記測定部は、サービングセルのチャネル品質について、前記サービングセルのPMI及び前記サービングセルのチャネル状態から測定し、複数セルのチャネル品質について、前記他セルのPMI、前記セル間位相差情報及び前記複数セルのチャネル状態から測定することを特徴とする請求項3に記載の移動端末装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記サービングセルのPMIを以下の式(10)を用いて決定し、前記他セルのPMI及び前記セル間位相差情報を以下の式(11)を用いて決定することを特徴とする請求項3に記載の移動端末装置。
【数1】

【数2】

【請求項6】
前記測定部は、前記サービングセルのチャネル品質を以下の式(12)を用いて決定し、前記複数セルのチャネル品質を以下の式(13)を用いて決定することを特徴とする請求項5に記載の移動端末装置。
【数3】

【数4】

【請求項7】
前記決定部は、前記複数セルのPMI及び前記セル間位相差情報を以下の式(14)を用いて決定することを特徴とする請求項1に記載の移動端末装置。
【数5】

【請求項8】
前記測定部は、前記複数セルのチャネル品質について、前記複数セルのPMI、前記セル間位相差情報及び前記複数セルのチャネル状態から測定することを特徴とする請求項7に記載の移動端末装置。
【請求項9】
前記測定部は、サービングセルのチャネル品質を以下の式(15)を用いて決定し、前記複数セルのチャネル品質を以下の式(16)を用いて決定することを特徴とする請求項8に記載の移動端末装置。
【数6】

【数7】

【請求項10】
前記決定部は、前記サービングセルのPMIを以下の式(17)を用いてさらに計算することを特徴とする請求項7に記載の移動端末装置。

【数8】

【請求項11】
前記測定部は、前記サービングセルのチャネル品質を以下の式(18)を用いて決定し、前記複数セルのチャネル品質を以下の式(19)を用いて決定することを特徴とする請求項10に記載の移動端末装置。
【数9】

【数10】

【請求項12】
PMI及びセル間位相差情報を含む上りリンク信号を受信する受信部と、前記PMIのプリコーディングウェイトを送信信号に乗算する乗算部と、前記セル間位相差情報を用いて、セル間の位相差を調整する位相差調整部と、前記送信信号を協調マルチポイント送信する送信部と、を具備し、
前記PMI及び前記セル間位相差情報は、前記協調マルチポイント送信を行う複数セルのチャネル状態から、各セルのPMI(Precoding Matrix Indicator)とセル間位相差情報との組み合わせが最適となるように決定された情報であることを特徴とする無線基地局装置。
【請求項13】
前記移動端末装置において、複数セルからの下りリンク信号にそれぞれ含まれる参照信号を用いて下りリンクのチャネル状態を推定する工程と、前記複数セルのチャネル状態から、各セルのPMI(Precoding Matrix Indicator)とセル間位相差情報との組み合わせが最適となるように、前記各セルのPMI及び前記セル間位相差情報を決定する工程と、決定されたPMI及びセル間位相差情報から、チャネル品質を測定する工程と、各セルのPMI、セル間位相差情報及びチャネル品質情報を無線基地局に送信する工程と、を有することを特徴とする無線通信方法。
【請求項14】
前記無線基地局装置において、PMI及びセル間位相差情報を含む上りリンク信号を受信する工程と、前記PMIのプリコーディングウェイトを送信信号に乗算する工程と、前記セル間位相差情報を用いて、セル間の位相差を調整する工程と、他セルの無線基地局装置との間で前記送信信号を協調マルチポイント送信する工程と、を具備することを特徴とする請求項13に記載の無線通信方法。
【請求項15】
移動端末装置に対して、送信信号を複数セルの無線基地局装置から送信する無線通信システムであって、
前記移動端末装置は、複数セルからの下りリンク信号にそれぞれ含まれる参照信号を用いて複数セルのチャネル状態を推定し、前記複数セルのチャネル状態から、各セルのPMI(Precoding Matrix Indicator)とセル間位相差情報との組み合わせが最適となるように、前記各セルのPMI及び前記セル間位相差情報をそれぞれ決定し、前記決定部で決定されたPMI及びセル間位相差情報から、チャネル品質を測定し、前記各セルのPMI、前記セル間位相差情報及びチャネル品質の情報を無線基地局に送信し、
前記複数セルの無線基地局装置は、前記移動端末装置から送信された各セルのPMI、セル間位相差情報及びチャネル品質情報に基づいて送信信号を生成し、前記移動端末装置に対して前記送信信号を送信することを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−227620(P2012−227620A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91452(P2011−91452)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】