説明

移動通信システム及びその通信制御方法並びにそれに用いる移動局

【課題】 無線方式毎の位置登録やペーシング処理を統一化することにより、移動局の消費電力削減を可能とした移動通信システムを得る。
【解決手段】 2種以上の無線方式に接続可能な移動局100において、移動通信システムで実行されている位置登録処理を、どちらか一方の無線方式(通信網101か111)に対してのみ実行することで移動局100の省電力化を実現する。また、移動通信システムで実行されている一斉呼び出し(ページング)処理を、どちらか一方の無線方式(通信網101か111)に対してのみ待受けることで移動局の省電力化を実現する。更に、移動局100でページングを受信したとき、より安価な無線方式(図1では111)を選択して無線回線の接続要求や認証処理や音声・データ等のU-plane 導通を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移動通信システム及びその通信制御方法並びにそれに用いる移動局に関し、特に複数種類の無線通信方式に接続可能な移動局を含む移動通信システムの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話に代表される移動通信システムにおいては、その利便性により大幅に利用者が増加しており、移動通信システムに使用される通信方式についても、各種の方式が提案され実用化されている。この場合、携帯通信端末である移動局として、1台の移動局で複数種類の通信方式に対応可能な、いわゆるデュアルモードの移動局があり、特許文献1〜4に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−205217号公報
【特許文献2】特開2004−032337号公報
【特許文献3】特開2004−297459号公報
【特許文献4】特開2004−297490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかるデュアルモード移動局を用いた従来の移動通信システムにおいては、複数の無線方式を待受け状態とするためには、それぞれの無線方式毎に位置登録を実施し、ページングメッセージの間欠受信を行う必要がある。そのために、複数の無線方式を待受ける場合には、一つの無線方式を待受ける場合に比べて、大きな消費電力を必要とし、待受け時間が短いという欠点がある。
【0005】
本発明の目的は、無線方式毎の位置登録やペーシング処理を統一化することにより、移動局の消費電力削減を可能とした移動通信システム及びその通信制御方法並びにそれに用いる移動局を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による移動通信システムは、
移動局と、第一の交換局と第一の無線基地局とを含む第一の通信網と、第二の交換局と第二の無線基地局とを含む第二の通信網とを有する移動通信システムであって、
前記第一及び第二の無線基地局のうち、前記第一の無線基地局のみがページングを送信する場合、
前記第二の交換局は、音声着信を受けると、前記第一の通信網へ端末呼び出しメッセージを送信し、
前記第一の交換局は、前記端末呼び出しメッセージを受信すると、前記第一の無線基地局へ、前記ページングの送信要求を送信し、
前記第一の無線基地局は、前記ページングの送信要求を受信すると、前記ページングを前記移動局に送信し、
前記移動局は、前記ページングを受信したとき、前記第二の交換局との間の無線回線を確立することを特徴とする。
【0007】
本発明による通信制御方法は、
移動局と、第一の交換局と第一の無線基地局とを含む第一の通信網と、第二の交換局と第二の無線基地局とを含む第二の通信網と、を有する移動通信システムにおける通信制御方法であって、
前記第一及び第二の無線基地局のうち、前記第一の無線基地局のみがページングを送信する場合、
音声着信を受けた前記第二の交換局が、前記第一の通信網へ端末呼び出しメッセージを送信する工程と、
前記第一の交換局が、前記端末呼び出しメッセージを受信すると、前記第一の無線基地局へ、前記ページングの送信要求を行う工程と、
前記第一の無線基地局が、前記ページングの送信要求を受信すると、前記ページングを前記移動局に送信する工程と、
前記移動局が、前記ページングを受信したとき、前記第二の交換局との間の無線回線を確立する工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明による移動局は、
第一の交換局と第一の無線基地局とを含む第一の通信網と、第二の交換局と第二の無線基地局とを含む第二の通信網と、を有する移動通信システムにおける、前記第一の通信網及び前記第二の通信網と接続するための移動局であって、
前記第一及び第二の無線基地局のうち、前記第一の無線基地局のみがページングを送信する場合において、音声着信を受けた前記第二の交換局が送信する端末呼び出しメッセージを受信した前記第一の交換局から前記ページングの送信要求を受信した、前記第一の無線基地局から送信される、前記ページングを受信する受信手段と、
前記ページングを受信したとき、前記第二の交換局との間の無線回線を確立する手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、以下のような効果を奏する。第1の効果は、2種類以上の無線方式に接続可能な移動局において、移動通信システムで通常実行されている位置登録処理と一斉呼び出し( ページング:paging)受信処理を、どちらか一方の無線方式に対してのみ実行しているので、移動局の省電力化を実現できることである。
【0010】
第2の効果は、2種類以上の無線方式に接続可能な移動局にてページングを受信したとき、より安価な無線方式を選択して無線回線の接続要求や認証処理や音声・データ等のU−plane導通を行っているので、発信者にとって最も安価な通信方式を使用できることである。
【0011】
第3の効果は、ある無線方式のネットワークが移動通信システムで通常実行されている位置登録処理と一斉呼び出し処理を別の無線方式網に委託しているので、其の無線方式で移動通信ネットワーク構築の際に位置登録処理と一斉呼び出し処理を盛り込まずに安価な設備でネットワークを構築できることである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態が適用されるシステムの一例を示す図である。
【図2】図1において、他網121から発信された呼が通信網111の無線回線を使用して移動局100と接続される動作を示すシーケンス図である。
【図3】図1において、移動局100が通信網111のエリア内にいないため、他網121から発信された呼が、通信網101の無線回線を使用して移動局100と接続される動作を示すシーケンス図である。
【図4】図1において、通信網111からから発信された呼が、通信網111の無線回線を使用して移動局100と接続される動作を示すシーケンス図である。
【図5】図1において、通信網101から発信された呼が、通信網111の無線回線を使用して移動局100と接続される動作を示すシーケンス図である。
【図6】本発明の他の実施の形態が適用されるシステムの一例を示す図である。
【図7】図6において、他網121から発信された呼が他の無線方式網111の無線回線を使用して移動局100と接続される動作を示すシーケンス図である。
【図8】通信網101と111のサービスエリアの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態のシステムブロック図である。図1において、101はデュアルモードの移動局であり、通信網101,111は異種の通信方式の通信網であり、通信網100は移動制御である位置登録やページング処理を行う機能を有するネットワークであれば良く、現状の移動通信システムであるW−CDMA、cdma2000、cdmaOne、GSM(登録商標)、AMPS、PDC、PHS等が考えられる。
【0014】
通信網111は無線制御機能を有するネットワークであれば良く、現状のW−LAN、コードレス電話等や、移動通信システムであるW−CDMA、cdma2000、cdmaOne、GSM(登録商標)、PDC、PHS等が考えられる。また、通信網101,111は、いずれも次世代で考えられる新無線方式であっても良い。
【0015】
通信網101は、無線基地局102と、交換局103と、加入者情報蓄積装置104と、ゲートウェイ(GW)105とを有している。また、通信網111は、無線基地局112と、交換局113と、加入者情報蓄積装置114と、ゲートウェイ(GW)115とを有している。ゲートウェイ105,115を介して、通信網101と111とが接続されている他、他通信網(他網)121にも接続されているものとする。
【0016】
デュアルモード状態の移動局100は、通信網101に対して位置登録処理を実施するが、通信網111に対しては位置登録処理を実施しない。更に、移動局100は通信網101からのページングを待受ける状態となり、通信網111からのページングは待受け状態としない。移動局100は、通信網101からのページングを受信後、通信網111へ無線回線接続を要求し認証処理後、ユーザデータ(音声やデータ)の送受信を行う。しかしながら、移動局100は通信網111の圏外であった場合、通信網101へ無線回線接続を要求し認証処理後、音声やデータの送受信を行う。
【0017】
通信網101は予め実施されている位置登録の内容に基づいて、通信網111からの呼び出し要求に応じて、移動局100に対してページング送信を行う。通信網111は移動局100から無線回線接続の要求があれば、無線回線を準備して認証処理後、ユーザデータの送受信を行う。通信網111としては、ページング送信はしないが、ページング以外の処理は現行の処理と同等である。
【0018】
移動局100はデュアルモード時に通信網111への位置登録処理とページング待ち状態としないことで、待受け時の消費電力を削減しつつ、通信網111を使用した着信通信を実現している。ページング信号を待受けるだけで、複数の通信網からの着信を受付けることを可能とすることにより、移動局100は、デュアルモード時においても、シングルモードと同様の消費電力で待受け状態を維持することができることになる。
【0019】
以下に、図1を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1において、移動局100は通信網101に対して位置登録処理を行う機能と、通信網101からのページング信号を待受ける機能と、ページング受信後に最適な通信網を選択する機能と、選択した通信網111に対して、無線回線を張って認証処理等のネゴシエーションを実施し、ユーザデータを送受信する機能を有する。更に、移動局100は、ページング受信後に選択した通信網の圏外であった場合、別の通信網に対して無線回線を張る機能を有する。
【0020】
移動局100は2つの通信網を使用できるデュアルモードを想定しているが、3つ4つ等2つ以上の通信網を使用することも可能であり、上記と同様に一つの通信網に対する位置登録処理の機能と、ページング信号待受け機能とを有することにより、複数の通信網に対する待受けを行うことが可能となる。
【0021】
通信網101の交換局103は、通信網111から送信される端末呼び出しメッセージを受信すると、移動局の位置登録エリアを加入者情報蓄積装置104へ問い合わせる機能と、確認した位置登録エリアの無線基地局102へページングを送信する要求を行う機能と、ページング送信要求した旨を通信網111へ報告する機能とを有する。
【0022】
更に、交換局103はページング送信要求後、無線回線接続要求メッセージを受信した場合、其のメッセージを受信した旨を通信網111へ報告する機能と、発信先の通信網から送信される回線接続要求を受け付けて応答する機能と、移動局100間との無線回線を準備し認証処理を行う機能と、End to End(エンドトゥエンド)のシグナリングメッセージとユーザデータの伝送を行う機能を有する。但し、本交換局103の機能は通信網101内の他のノードにあっても良いし、機能を分離して複数ノードとしても良い。
【0023】
通信網111の交換局113は、他網121からの端末呼び出しメッセージを受信すると、加入者情報蓄積装置114へ該当端末の呼び出し先の通信網を問い合わせる機能と、確認した通信網101へ端末呼び出しメッセージを送信する機能と、無線回線接続要求メッセージを受信した場合、移動局100との間の無線回線を準備し認証処理を行う機能と、End to Endのシグナリングメッセージとユーザデータの伝送を行う機能とを有する。
【0024】
更に、交換局113は、通信網101から無線回線接続要求の受信通知を受けた場合、発信先の通信網へ接続先ゲートウェイの変更を依頼する機能とを有する。但し、本交換局113の機能は通信網111内の他のノードにあっても良いし、機能を分離して複数ノードとしても良い。
【0025】
なお、無線基地局102及び112と、加入者情報蓄積装置104及び114と、ゲートウェイ105及び115とは、当業者にとってよく知られており、また本発明とは直接関係しないので、その詳細な説明は省略する。
【0026】
次に、本発明の実施の形態の動作について、他網121から発信された呼が通信網111の無線回線を使用して移動局100と接続される動作を、図2のシーケンス図を使用して説明する。
【0027】
図2において、他網121は発信時の回線準備と認証処理(ステップS100)が完了後、通信網111へ端末呼び出しメッセージを送信する(ステップS101)。通信網111では、呼び出し対象の加入者情報から端末へのページング処理の依頼先を通信網101であることを確認し(ステップS102)、通信網101へ端末呼び出しメッセージを送信する(ステップS103)。通信網101では、呼び出し対象の移動局の位置登録エリアを確認後(ステップS104)、対象エリアの移動局100へページングメッセージを送信する(ステップS105)と同時に、通信網111へ端末呼び出しを実行した旨を通知(ステップS106)し、通信網101は処理を終了する(ステップS107)。
【0028】
移動局100はページングメッセージを受信後、通信網101よりも通信料金が安い通信網111に対して無線回線接続要求を行う(ステップS108)。この場合、移動局100では、予めどちらの通信網の通信料金が安いかを示す情報をメモリなどに記憶しておくものとする。
【0029】
通信網111からの応答後(ステップS109)、移動局100と通信網111間で無線回線の準備と認証処理を行う(ステップS110)。その後、移動局100から発信先である他網121に対して呼び出し中である旨を通知し(ステップS111)、発信端末にて呼び出し音を確認する(ステップS113)。移動局100にてオフフック(ステップS112)後、回線接続メッセージを送信し(ステップS114)、回線接続応答後(ステップS115)、移動局100と発信端末間でEnd to Endの接続が確立され、ユーザデータの導通が行われる(ステップS116)。
【0030】
次に、移動局100が通信網111のエリア内にいないため、他網121から発信された呼が、通信網101の無線回線を使用して移動局100と接続される動作を、図3のシーケンス図を使用して説明する。
【0031】
図3において、他網121は発信時の回線準備と認証処理(ステップS200)が完了後、通信網111へ端末呼び出しメッセージを送信する(ステップS201)。通信網111では、呼び出し対象の加入者情報から端末へのページング処理の依頼先を通信網101であることを確認し(ステップS202)、通信網101へ端末呼び出しメッセージを送信する(ステップS203)。通信網101では、呼び出し対象の移動局の位置登録エリアを確認(ステップS204)後、対象エリアの移動局100へページングメッセージを送信する(ステップS205)と同時に、通信網111へ端末呼び出しを実行した旨を通知する(ステップS206)。
【0032】
ここまでは、図2の動作と同様だが、移動局100はページングメッセージ受信後、通信網111へ無線回線接続要求メッセージを送信するが、移動局100は通信網111のエリア内にはいないので、応答が無く再送を繰り返す(ステップS207)。移動局100は規定回数分を再送後、通信網111との接続は断念し、通信網101に対して無線回線接続要求を行い(ステップS208)、通信網101からの応答(ステップS210)後、移動局100と通信網101間で無線回線の準備と認証処理を行う(ステップS214)。
【0033】
一方、通信網101は無線回線接続要求メッセージを受信した旨を通信網111へ通知し(ステップS209)、通信網111は他網121に対して接続先ゲートウェイの変更要求を行い(ステップS211)、他網121は接続先ゲートウェイ変更要求応答(ステップS212)後、通信網101へ回線接続要求を行い(ステップS215)、回線接続要求応答を受ける(ステップS216)ことにより、接続先の変更を行う。
【0034】
ステップS214とS215,S216の処理の間に順序性は無く、S214とS216が完了後、移動局100から発信先である他網121に対して呼び出し中である旨を通知し(ステップS217)、発信端末にて呼び出し音を確認する(ステップS218)。移動局100にてオフフック(ステップS219)後、回線接続メッセージを送信し(ステップS220)、回線接続応答(ステップS221)後、移動局100と発信端末間でEnd to Endの接続が確立され、ユーザデータの導通が行われる(ステップS222)。
【0035】
なお、通信網101と他網121間の回線接続処理(ステップS215,S216)が完了する前に、呼び出し通知メッセージ(ステップS217)が移動局100から送信された場合、通信網101にて呼び出し通知メッセージを転送せずに保存しておき、回線接続処理(ステップS215,S216)が完了後、呼び出し通知メッセージを転送する。
【0036】
次に、通信網111から発信された呼が、通信網111の無線回線を使用して移動局100と接続される動作を、図4のシーケンス図を使用して説明する。図4において、通信網111にて発信時の回線準備と認証処理(ステップS300)後、着信側の加入者情報からデュアル端末か否かの確認(ステップS301)と、ページング処理の依頼先を通信網101であることを確認し(ステップS302)、通信網101へ端末呼び出しメッセージを送信する(ステップS303)。
【0037】
通信網101では、呼び出し対象の移動局の位置登録エリアを確認(ステップS304)後、対象エリアの移動局100へページングメッセージを送信する(ステップS305)と同時に、通信網111へ端末呼び出しを実行した旨を通知し(ステップS306)、通信網101は処理を終了する(ステップS307)。
【0038】
移動局100はページングメッセージを受信後、通信網101よりも通信料金が安い通信網111に対して無線回線接続要求を行い(ステップS308)、通信網111からの応答(ステップS309)後、移動局100と通信網111間で無線回線の準備と認証処理を行う(ステップS110)。その後、移動局100から発信先である通信網111に対して呼び出し中である旨を通知し(ステップS311)、発信端末にて呼び出し音を確認する(ステップS313)。
【0039】
移動局100にてオフフック(ステップS312)後、回線接続メッセージを送信し(ステップS314)、回線接続応答(ステップS315)後、移動局100と発信端末間でEnd to Endの接続が確立され、ユーザデータの導通が行われる(ステップS316)。
【0040】
なお、デュアル端末か否かの確認処理(ステップS301)で、デュアル端末でないと確認された場合は、通信網111の加入者ではないので、該当する通信網へ端末呼び出しを行った後、着信移動局100からの無線回線接続要求(ステップS308)を待受ける必要が無くなり、通常の着信処理となる。
【0041】
次に、通信網101から発信された呼が、通信網111の無線回線を使用して移動局100と接続される動作を、図5のシーケンス図を使用して説明する。図5において、通信網101にて発信時の回線準備と認証処理(ステップS400)後、着信側の加入者情報からデュアル端末か否かの確認を行い(ステップS401)、デュアル端末であれば通信網111へ端末呼び出しを行う(ステップS402)。なお、デュアル端末か否かの確認(ステップS401)で、デュアル端末でなければ、通信網101による通常の着信処理を行う。
【0042】
端末呼び出しを受けた通信網111は、加入者情報からページング処理の依頼先を通信網101であることを確認し(ステップS403)、通信網101へ端末呼び出しメッセージを送信する(ステップS404)。通信網101では、呼び出し対象の移動局の位置登録エリアを確認(ステップS405)後、対象エリアの移動局100へページングメッセージを送信する(ステップS406)と同時に、通信網111へ端末呼び出しを実行した旨を通知する(ステップS407)。
【0043】
移動局100はページングメッセージを受信後、通信網101よりも通信料金が安い通信網111に対して無線回線接続要求を行い(ステップS408)、通信網111からの応答(ステップS409)後、移動局100と通信網111間で無線回線の準備と認証処理を行う(ステップS410)。その後、移動局100から発信先である通信網101に対して呼び出し中である旨を通知し(ステップS411)、発信端末にて呼び出し音を確認する(ステップS413)。
【0044】
移動局100にてオフフック(ステップS412)後、回線接続メッセージを送信し(ステップS414)、回線接続応答(ステップS415)後、移動局100と発信端末間でEnd to Endの接続が確立され、ユーザデータの導通が行われる(ステップS416)。
【0045】
ここで、端末呼び出し処理がステップS402とS404で往復しており、一見不要に思われるが、通信網111に対してどこの通信網へ呼び出し処理を依頼するかを確認する必要があるので、本シーケンスの往復処理が必要となる。
【0046】
本発明の他の実施の形態として、その基本的な構成は上記の通りであるが、構成について更に工夫したものを図6に示す。図6において、図1と同等部分は同一符号により示している。図6を参照すると、他の無線方式網111内の無線基地局112が交換局103に直結し、他のノードを省くことで簡素化している。前述の図1の通信網101と通信網111とは別の事業者を想定しているが、図6の通信網101と他の無線方式網111とは同一の事業者内で複数の無線方式を使用する場合を想定している。なお、116は制御局であり、その機能は後述する。
【0047】
図6の構成において、他網121から発信された呼が他の無線方式網111の無線回線を使用して移動局100と接続される動作を、図7のシーケンス図を使用して説明する。
【0048】
図7を参照すると、他網121は発信時の回線準備と認証処理(ステップS500)が完了後、ゲートウェイ105を経由して交換局103へ端末呼び出しメッセージを送信する(ステップS501)。交換局103では、呼び出し対象の加入者情報からページング送信する無線方式と位置登録エリアの無線基地局を確認し(ステップS502)、無線基地局102へ端末呼び出しメッセージを送信する(ステップS503)。無線基地局102は移動局100へページングメッセージを送信し(ステップS504)、処理を終了する(ステップS505)。
【0049】
移動局100はページングメッセージを受信後、無線基地局102よりも通信料金が安い無線基地局112を経由して交換局103に対して無線回線接続要求を行い(ステップS506)、交換局103からの応答(ステップS507)後、無線基地局112の無線方式を使用して移動局100と交換局103間で無線回線の準備と認証処理を行う(ステップS508)。その後、移動局100から発信先である他網121に対して呼び出し中である旨を通知し(ステップS509)、発信端末にて呼び出し音を確認する(ステップS511)。
【0050】
移動局100にてオフフック(ステップS510)後、回線接続メッセージを送信し(ステップS512)、回線接続応答(ステップS513)後、移動局100と発信端末間でEnd to Endの接続が確立され、ユーザデータの導通が行われる(ステップS514)。
【0051】
更に、図1で示した実施の形態では、図8(a)に示すように、通信網101のサービスエリア300は通信網111のサービスエリア301,302を含むことを想定している。しかし、図8(b)におけるエリア300とエリア303の関係のように、エリア300がエリア303を含まない場合を想定すると、エリア303にて着信を可能とするためには、エリア303内でも位置登録とページング待ち受けを行う必要がある。
【0052】
そこで、図6に示す制御局116を追加して、この制御局116は無線基地局112の設置場所によって位置登録を実施してページング送信を実施するか否かの制御を、無線基地局112に対して行う機能を持つ。無線基地局112は制御局116からの指示に従って、位置登録実施の有無とページング受信の有無を移動局100に対して通知する機能を有する。
【0053】
このように本例では、通信網101のサービスエリア外でも、他の無線方式網111のサービスエリア内であれば、着信を受けることが可能になる。逆に、他の無線方式網111のサービスエリア内であっても、図書館や喫茶店等公共の静かな場所では着信を受けたくないので、位置登録やページング受信を制限することが可能となる。
【0054】
上述した各実施の形態における動作は、予めその動作手順をプログラムとして記録媒体に格納しておき、これをコンピュータに読み取らせて実行させるように構成できることは明らかである。
【符号の説明】
【0055】
100 移動局
101,111,121 通信網
102,112 無線基地局
103,113 交換局
104,114 加入者情報蓄積装置
105,115 ゲートウェイ
116 制御局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局と、第一の交換局と第一の無線基地局とを含む第一の通信網と、第二の交換局と第二の無線基地局とを含む第二の通信網とを有する移動通信システムであって、
前記第一及び第二の無線基地局のうち、前記第一の無線基地局のみがページングを送信する場合、
前記第二の交換局は、音声着信を受けると、前記第一の通信網へ端末呼び出しメッセージを送信し、
前記第一の交換局は、前記端末呼び出しメッセージを受信すると、前記第一の無線基地局へ、前記ページングの送信要求を送信し、
前記第一の無線基地局は、前記ページングの送信要求を受信すると、前記ページングを前記移動局に送信し、
前記移動局は、前記ページングを受信したとき、前記第二の交換局との間の無線回線を確立する、移動通信システム。
【請求項2】
前記第二の通信網の通信方式はW−CDMAである、請求項1に記載の移動通信シスム。
【請求項3】
移動局と、第一の交換局と第一の無線基地局とを含む第一の通信網と、第二の交換局と第二の無線基地局とを含む第二の通信網と、を有する移動通信システムにおける通信制御方法であって、
前記第一及び第二の無線基地局のうち、前記第一の無線基地局のみがページングを送信する場合、
音声着信を受けた前記第二の交換局が、前記第一の通信網へ端末呼び出しメッセージを送信する工程と、
前記第一の交換局が、前記端末呼び出しメッセージを受信すると、前記第一の無線基地局へ、前記ページングの送信要求を行う工程と、
前記第一の無線基地局が、前記ページングの送信要求を受信すると、前記ページングを前記移動局に送信する工程と、
前記移動局が、前記ページングを受信したとき、前記第二の交換局との間の無線回線を確立する工程と、を有する通信制御方法。
【請求項4】
前記第二の通信網の通信方式は、W−CDMAである、請求項3に記載の通信制御方法。
【請求項5】
第一の交換局と第一の無線基地局とを含む第一の通信網と、第二の交換局と第二の無線基地局とを含む第二の通信網と、を有する移動通信システムにおける、前記第一の通信網及び前記第二の通信網と接続するための移動局であって、
前記第一及び第二の無線基地局のうち、前記第一の無線基地局のみがページングを送信する場合において、音声着信を受けた前記第二の交換局が送信する端末呼び出しメッセージを受信した前記第一の交換局から前記ページングの送信要求を受信した、前記第一の無線基地局から送信される、前記ページングを受信する受信手段と、
前記ページングを受信したとき、前記第二の交換局との間の無線回線を確立する手段と、を有する、移動局。
【請求項6】
前記第二の通信網の通信方式は、W−CDMAである、請求項5に記載の移動局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−130054(P2012−130054A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−27909(P2012−27909)
【出願日】平成24年2月13日(2012.2.13)
【分割の表示】特願2008−18450(P2008−18450)の分割
【原出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】