移動通信用基地局アンテナ
【課題】相関係数の低いMIMO用アレイアンテナを実現する。
【解決手段】複数のアンテナ素子a,bが直交に配置されて偏波ダイバーシチアンテナ素子cが構成され、該偏波ダイバーシチアンテナ素子cが複数並べられて偏波ダイバーシチアンテナブロックdが構成され、該偏波ダイバーシチアンテナブロックdが複数設けられた移動通信用基地局アンテナにおいて、ある偏波ダイバーシチアンテナブロックd(111)の偏波ダイバーシチアンテナ素子c(113)の間に、別の偏波ダイバーシチアンテナブロックd(112)の偏波ダイバーシチアンテナ素子c(114)が挿入配置され、且つ、各々の偏波ダイバーシチアンテナブロックd(111,112)の垂直面内チルト角度が異なる。
【解決手段】複数のアンテナ素子a,bが直交に配置されて偏波ダイバーシチアンテナ素子cが構成され、該偏波ダイバーシチアンテナ素子cが複数並べられて偏波ダイバーシチアンテナブロックdが構成され、該偏波ダイバーシチアンテナブロックdが複数設けられた移動通信用基地局アンテナにおいて、ある偏波ダイバーシチアンテナブロックd(111)の偏波ダイバーシチアンテナ素子c(113)の間に、別の偏波ダイバーシチアンテナブロックd(112)の偏波ダイバーシチアンテナ素子c(114)が挿入配置され、且つ、各々の偏波ダイバーシチアンテナブロックd(111,112)の垂直面内チルト角度が異なる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏波共用アンテナおよびアレイアンテナに係わり、特に、空間分割多重アクセスを実現する移動通信用基地局アンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動通信用基地局アンテナは、他セルへの干渉を抑制するために、図15に示すような鋭い垂直面内指向性を持つのが一般的である。図15の移動通信用基地局アンテナ940は、アンテナの主ビーム方向942が水平方向に対して垂直面内チルト角度941をなす。
【0003】
移動体通信、特に携帯電話通信においてMIMO(Multiple Input Multiple Output)の普及が進みつつある。MIMO通信では送信アンテナ、受信アンテナでそれぞれ複数本のアンテナを使用することにより、データ伝送効率を高めることができる。送信アンテナ1本、受信アンテナ1本を使用する場合の通信速度と比較して、送信アンテナ2本、受信アンテナ2本を使用する場合の通信速度は理論上2倍、送信アンテナ4本、受信アンテナ4本を使用する場合の通信速度は理論上4倍となる。
【0004】
MIMO通信では、各々の送信アンテナから受信アンテナまでの信号の相関が重要となる。特に、送信アンテナであれば各々の送信アンテナの間の相関係数が、受信アンテナであれば各々の受信アンテナの間の相関係数によりその通信容量が影響を及ぼす。例えば送信アンテナ4本、受信アンテナ4本を使用する4×4MIMO通信の場合、相関係数が0に近い無相関になれば、通信速度は理論上の4倍に近づき、相関係数が1に近づくとMIMOとしての効果が期待できなくなる。実用上、アンテナ間の相関係数は0.7以下が望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−203841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
相関係数を低下させるためには、アンテナを空間的もしくは電気的に分離すればよい。携帯電話基地局用アンテナで使用されている特許文献1に示されるような偏波ダイバーシチアンテナ素子は、偏波で分離した2系統のアンテナであるので、そのままアレイアンテナにすれば2×2MIMO用基地局アンテナに転用可能である。
【0007】
例えば4×4MIMO通信の場合、2本のアンテナ間の距離を離して設置すればするほど相関係数は低下するので、図16又は図17に示すように、並列又は縦列に設置した2本の偏波ダイバーシチアンテナブロック1001,1001間の距離はできるだけ離したいという要求がある。しかしながら、2本のアンテナ間の距離を離しすぎると、アンテナ設置に要する体積が増加するため、2本の偏波ダイバーシチアンテナブロック1001,1001間の距離はできるだけ接近させたいという、先ほどとは相反する要求もある。
【0008】
本発明の目的は、移動通信用基地局アンテナにおいて、アンテナブロックの垂直面内チルト角度を変える事により、各アンテナブロックの間の相関係数を低下させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、複数のアンテナ素子が直交に配置されて偏波ダイバーシチアンテナ素子が構成され、該偏波ダイバーシチアンテナ素子が複数並べられて偏波ダイバーシチアンテナブロックが構成され、該偏波ダイバーシチアンテナブロックが複数設けられた移動通信用基地局アンテナにおいて、ある偏波ダイバーシチアンテナブロックの偏波ダイバーシチアンテナ素子の間に、別の偏波ダイバーシチアンテナブロックの偏波ダイバーシチアンテナ素子が挿入配置され、且つ、各々の偏波ダイバーシチアンテナブロックの垂直面内チルト角度が異なるものである。
【0010】
前記移動通信用基地局アンテナにおいて、複数の前記偏波ダイバーシチアンテナブロックは、縦積みされ、各々の前記偏波ダイバーシチアンテナブロックの垂直面内チルト角度が、前記偏波ダイバーシチアンテナブロックの間の相関係数が0.7以下となるように設定されていてもよい。
【0011】
前記移動通信用基地局アンテナにおいて、前記偏波ダイバーシチアンテナ素子の垂直面内チルト角度は、該偏波ダイバーシチアンテナ素子の方向を機械的に変えることにより任意に設定できてもよい。
【0012】
前記移動通信用基地局アンテナにおいて、前記偏波ダイバーシチアンテナ素子の垂直面内チルト角度は、移相器により信号の位相を変えることにより任意に設定できてもよい。
【0013】
前記移動通信用基地局アンテナにおいて、前記移相器は、信号の位相の変化量が固定された不変タイプの移相器であってもよい。
【0014】
前記移動通信用基地局アンテナにおいて、前記移相器は、信号の位相の変化量が自由に設定可能な可変タイプの移相器であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0016】
(1)アンテナブロック間の相関係数が低い。
【0017】
(2)アンテナ設置に要する体積の増加を抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態を示す移動通信用基地局アンテナの立面図である。
【図2】図1の移動通信用基地局アンテナの斜視図である。
【図3】図1の移動通信用基地局アンテナにおいて、偏波ダイバーシチアンテナブロックdの構造について説明した図(正面図及び側面図)である。
【図4】図1の移動通信用基地局アンテナにおいて、偏波ダイバーシチアンテナブロックdの構造について説明した図(斜視図)である。
【図5】本発明の他の実施形態を示す移動通信用基地局アンテナの立面図である。
【図6】図5の移動通信用基地局アンテナの斜視図である。
【図7】本発明の他の実施形態を示す移動通信用基地局アンテナの立面図である。
【図8】図7の移動通信用基地局アンテナの斜視図である。
【図9】本発明の移動通信用基地局アンテナの垂直面内指向性を示す側面図である。
【図10】(a)は、図1の移動通信用基地局アンテナの立面図、(b)〜(e)は、図1の移動通信用基地局アンテナを各ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック毎に要素分解した立面図である。
【図11】(a)は、図1の移動通信用基地局アンテナの斜視図、(b)〜(e)は、図1の移動通信用基地局アンテナを各ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック毎に要素分解した斜視図である。
【図12】各ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックが垂直面内チルト角度3度のときの相関係数を示すグラフである。
【図13】第1ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックと第2ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックが垂直面内チルト角度3度、第3ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックと第4ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックが垂直面内チルト角度6度のときの相関係数を示すグラフである。
【図14】第1ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックと第4ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックが垂直面内チルト角度3度、第2ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックと第3ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックが垂直面内チルト角度6度のときの相関係数を示すグラフである。
【図15】従来の携帯電話基地局アンテナの垂直面内指向性を示す側面図である。
【図16】従来の4×4MIMOアンテナ(並列)の立面図である。
【図17】従来の4×4MIMOアンテナ(縦列)の立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0020】
本発明では、ある偏波ダイバーシチアンテナブロック内にある偏波ダイバーシチアンテナ素子の間に、別の偏波ダイバーシチアンテナブロックを構成している偏波ダイバーシチアンテナ素子を複数段交互にオーバーラップ配置した。これにより、長さ方向の短縮が図られ、アンテナ設置に要する体積の増加が緩和される。
【0021】
このように、別ブロック同士の偏波ダイバーシチアンテナ素子が一部オーバーラップした構成のアンテナブロック(偏波ダイバーシチアンテナブロック)においても、各々のアンテナブロックの垂直面内チルト角度を変えることにより、各アンテナブロック間の相関係数を小さくすることが期待できる。言い換えれば、鋭い垂直面内指向性を持つ移動通信用基地局アンテナにおいて、直交配置したアンテナ素子を複数並べて構成される各々のアンテナブロックの垂直面内チルト角度を異なる角度に設定し、各々のアンテナブロックの指向性に差を持たせることにより、各アンテナブロック間の相関係数を小さくする。
【0022】
尚、垂直面内チルト角度は、固定の場合と可変の場合がある。垂直面内チルト角度は、アンテナブロックの方向を機械的に変えること、又は、各アンテナ素子に給電する位相を制御することにより、任意の角度に設定することが可能である。移相器を用いる場合、信号の位相の変化量が固定された不変タイプの移相器、又は、信号の位相の変化量が自由に設定可能な可変タイプの移相器などがある。
【0023】
図1に示されるように、本発明に係る移動通信用基地局アンテナ100は、アンテナ素子a,bが直交に配置されて偏波ダイバーシチアンテナ素子cが構成され、該偏波ダイバーシチアンテナ素子cが複数並べられて偏波ダイバーシチアンテナブロックdが構成され、該偏波ダイバーシチアンテナブロックdが複数設けられた移動通信用基地局アンテナにおいて、ある偏波ダイバーシチアンテナブロックd(111)の偏波ダイバーシチアンテナ素子c(113)(実線の「×」で図示)の間に、別の偏波ダイバーシチアンテナブロックd(112)の偏波ダイバーシチアンテナ素子c(114)(点線の「×」で図示)が挿入配置され、且つ、各々の偏波ダイバーシチアンテナブロックd(111,112)の垂直面内チルト角度が異なるものである(なお、図1の「・・・」は、1つ又は複数の偏波ダイバーシチアンテナ素子の図示を省略したことを示す。以下、図5,図7,図10において同じ)。
【0024】
図1の移動通信用基地局アンテナ100は、偏波ダイバーシチアンテナブロックdの2ブロック(ブロックU、ブロックL)が縦積みにして組み合わされている。
【0025】
各偏波ダイバーシチアンテナブロックdにおいて、複数の偏波ダイバーシチアンテナ素子cが垂直方向に所定ピッチで配置されている。オーバーラップ配置の部分では、偏波ダイバーシチアンテナブロック111の偏波ダイバーシチアンテナ素子113のピッチ間に、偏波ダイバーシチアンテナブロック112の偏波ダイバーシチアンテナ素子114が配置される。
【0026】
図1の移動通信用基地局アンテナ100の偏波ダイバーシチアンテナ素子cの組み合わせは、+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチである。それぞれの偏波ダイバーシチアンテナブロック111,112が偏波ダイバーシチであるので、図1の移動通信用基地局アンテナ100は、偏波・空間で分離したアンテナブロックが4本入っていることになり、4×4MIMO用アレイアンテナとして利用できる。
【0027】
図2は、図1の移動通信用基地局アンテナ100の斜視図である。複数の偏波ダイバーシチアンテナ素子cが垂直方向に所定ピッチで配置されている。オーバーラップ配置の部分115では、偏波ダイバーシチアンテナブロック111を構成する+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子113のピッチ間に、偏波ダイバーシチアンテナブロック112を構成する+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子114が配置される。なお、図2では、+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子113と+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子114とを区別し易くするために、+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子113の一部を黒く塗りつぶしているが、実際には、+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子113と+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子114とでこのような外観上の差異は無い。
【0028】
図3は、図1の移動通信用基地局アンテナ100における偏波ダイバーシチアンテナブロックdの構造について説明した図であり、(a)は偏波ダイバーシチアンテナブロックdの正面図、(b)は偏波ダイバーシチアンテナブロックdの側面図である。また、図4は、図3の斜視図である。
【0029】
図3及び図4に示したように、偏波ダイバーシチアンテナブロックdは、複数の偏波ダイバーシチアンテナ素子cを反射板9の長手方向に沿ってアレイ状に配置した構造となっている。偏波ダイバーシチアンテナ素子cは、金属や金属及び誘電体などからなるアンテナ素子パターン(図示せず)をアンテナ素子基板10の表面に形成することにより構成されたアンテナ素子a,bを、断面が十字形状となるように組み合わせることにより構成される。偏波ダイバーシチアンテナ素子cにより、+45度偏波される電波及び−45度偏波される電波を共用して送受信することができる。アンテナ素子a,bは給電線(図示せず)を介して、それぞれ異なるポート(図示せず)に接続される。
【0030】
本発明は、アンテナ素子a,bの配置を変えたり、偏波ダイバーシチアンテナ素子cの組み合わせを変えることができる。図1の移動通信用基地局アンテナ100では、+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチの組み合わせとしたが、図5の移動通信用基地局アンテナ200では、垂直偏波・水平偏波ダイバーシチである。なお、図5では、実線の「+」で図示したものが垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子213であり、点線の「+」で図示したものが垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子214である。複数の垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子213と複数の垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子214とにより、それぞれ異なる偏波ダイバーシチアンテナブロックが構成される。
【0031】
図6は、図5の移動通信用基地局アンテナ200の斜視図である。複数の偏波ダイバーシチアンテナ素子cが垂直方向に所定ピッチで配置されている。オーバーラップ配置の部分215では、偏波ダイバーシチアンテナブロック211を構成する垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子213のピッチ間に、偏波ダイバーシチアンテナブロック212を構成する垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子214が配置される。なお、図6では、垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子213と垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子214とを区別し易くするために、垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子213の一部を黒く塗りつぶしているが、実際には、垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子213と垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子214とでこのような外観上の差異は無い。
【0032】
図7の移動通信用基地局アンテナ300では、+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子と垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子を組み合わせた。直線偏波を放射する素子の組み合わせであれば、素子形状は問わない。なお、図7では、実線の「×」で図示したものが+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子313であり、点線の「+」で図示したものが垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子314である。複数の+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子313と複数の垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子314とにより、それぞれ異なる偏波ダイバーシチアンテナブロックが構成される。
【0033】
図8は、図7の移動通信用基地局アンテナ300の斜視図である。複数の偏波ダイバーシチアンテナ素子cが垂直方向に所定ピッチで配置されている。オーバーラップ配置の部分315では、偏波ダイバーシチアンテナブロック311を構成する+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子313のピッチ間に、偏波ダイバーシチアンテナブロック312を構成する垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子314が配置される。なお、図8では、+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子313と垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子314とを区別し易くするために、+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子313の一部を黒く塗りつぶしているが、実際には、+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子313と垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子314とでこのような外観上の差異は無い。
【0034】
図1の移動通信用基地局アンテナ100は、各々の偏波ダイバーシチアンテナブロックdで偏波ダイバーシチアンテナ素子cが非常に接近しているため、目標とするアンテナブロック間の相関係数を0.7以下にするためは、本発明の垂直面内チルト角度を変える必要がある。
【0035】
そこで、本発明では、図9に示すように、同じ偏波特性を有する、第1ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック451と第3ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック452の垂直面内チルト角度に差をつける。ここで、第1ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック451及び第3ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック452は、それぞれアンテナ素子a(図1参照)の集合であり、第2ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック及び第4ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックは、それぞれアンテナ素子b(図1参照)の集合である。例えば、第1ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック451の垂直面内チルト角度を3度、第3ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック452の垂直面内チルト角度を6度にする。尚、図の簡略化のため第2ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックと第4ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックは図示していない。
【0036】
図9に示されるように、本発明の移動通信用基地局アンテナであるMIMO基地局アンテナ450は、偏波ダイバーシチアンテナブロック111(図1参照)の第1ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック451における垂直面内チルト角度453がA度であり、偏波ダイバーシチアンテナブロック112(図1参照)の第3ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック452における垂直面内チルト角度454がB度であり、A度<B度である。
【0037】
図1のように各々の偏波ダイバーシチアンテナブロック111,112が縦積みされており、図9のように各々の偏波ダイバーシチアンテナブロック111(第1ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック451),112(第3ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック452)の垂直面内チルト角度が異なることにより、各偏波ダイバーシチアンテナブロック111,112間の相関係数を小さくすることができる。
【0038】
携帯電話の基地局アンテナは、先に述べたように、鋭い垂直面内指向性を有するので、垂直面内チルト角度を変えると三次元的な指向性、特に主ビームの指向性が大きく変化する。従って、垂直面内チルト角度に差をつけることにより指向性の重なりが少なくなり、相関係数を大幅に変化させることができる。
【0039】
同様に、同じ偏波特性を有する、(偏波ダイバーシチアンテナブロック111の構成要素である)第2ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックと(偏波ダイバーシチアンテナブロック112の構成要素である)第4ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックでも、垂直面内チルト角度に差をつけることによりアンテナブロック間の相関係数を小さくすることが可能である。偏波特性の異なるポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック間においても同様である。
【0040】
本発明の効果をシミュレーション計算により検討する。
【0041】
図10(a)、図11(a)に示した図1の移動通信用基地局アンテナは、図10(b)と図11(b)、図10(c)と図11(c)、図10(d)と図11(d)、図10(e)と図11(e)にそれぞれ示されるように、第1ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック、第3ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック、第2ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック、第4ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック毎に要素分解して示すことができる。
【0042】
シミュレーション計算の結果を図12、図13、図14の各グラフに示す。各グラフとも縦軸は図10に示す各ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック間の相関係数ρの絶対値を、横軸は基地局のセル半径を示す。
【0043】
アンテナブロック間で垂直面内チルト角度に差がないとき(第1ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック,第2ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック,第3ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック,第4ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックの垂直面内チルト角度がすべて3度)を図12に、アンテナブロック間で垂直面内チルト角度に差があるときを図13(第1ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック,第2ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックの垂直面内チルト角度が3度、第3ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック,第4ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックの垂直面内チルト角度が6度)、図14(第1ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック,第3ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックの垂直面内チルト角度が3度、第2ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック,第4ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックの垂直面内チルト角度が6度)に示す。ここで垂直面内チルト角度が3度のアンテナブロックにおいては、セルエッジ(セル半径のエッジ;なお、セル半径とは、信号の到達範囲の半径のこと)にメインビームを向けている。また、垂直面内チルト角度が3度のアンテナブロック以外においては、他セルに干渉を与えないように大きめの角度(6度)に垂直面内チルト角度を設定している。各図において、ρ12のような添え字は、相関係数を求めた2つのポートの番号を表す。例えばρ12は第1ポートに接続されたアンテナブロックと第2ポートに接続されたアンテナブロック間の相関係数を示す。
【0044】
このように、指向性を直交するように(ビームが互いに干渉しないように)ビームの垂直面内チルト角度を調整することでアンテナブロック間の相関係数を低くでき、全てのポートの指向性でヌル点になることがなくなるため性能向上が期待できる。
【0045】
さらに図14ではメインビーム方向以外(セル半径400m以内)でアンテナブロック間の相関係数を0.7以下を達成できることを示している。
【0046】
以上説明したように、本発明のように偏波ダイバーシチアンテナブロック111,112のアンテナ素子a,bを移動通信用基地局アンテナ100の中央でオーバーラップさせることにより、移動通信用基地局アンテナの長さを短縮することが可能であり、垂直面内のビームチルト角度(垂直面内チルト角度)を上下の偏波ダイバーシチアンテナブロック111,112で変化させることにより、各ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック間の相関係数を改善することができる。
【0047】
垂直面内のビームチルト角度(垂直面内チルト角度)を上下の偏波ダイバーシチアンテナブロック111,112で変えることにより指向性を変化させることができ、これによって、偏波ダイバーシチアンテナブロック111,112間の相関係数を低くできる。また、偏波ダイバーシチアンテナブロック111,112間の相関係数を低くすることによりMIMOの空間多重効果がより有効になり、データ伝送効率を高めることができる。
【0048】
なお、図12、図13、図14においては、図1の移動通信用基地局アンテナ100におけるシミュレーション計算の結果についてのみ示したが、図5、図7の移動通信用基地局アンテナ200,300におけるシミュレーション計算のおいても、図12、図13、図14と同様な傾向が得られた。
【0049】
つまり、偏波ダイバーシチアンテナブロック211,212のアンテナ素子a,bを移動通信用基地局アンテナ200の中央でオーバーラップさせることにより、移動通信用基地局アンテナ200の長さを短縮することが可能であり、垂直面内のビームチルト角度(垂直面内チルト角度)を上下の偏波ダイバーシチアンテナブロック211,212で変化させることにより、各ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック211,212間の相関係数を改善することができる。
【0050】
垂直面内のビームチルト角度(垂直面内チルト角度)を上下の偏波ダイバーシチアンテナブロック211,212で変えることにより指向性を変化させることができ、これによって、偏波ダイバーシチアンテナブロック211,212間の相関係数を低くできる。また、偏波ダイバーシチアンテナブロック211,212間の相関係数を低くすることによりMIMOの空間多重効果がより有効になり、データ伝送効率を高めることができる。
【0051】
また、偏波ダイバーシチアンテナブロック311,312のアンテナ素子a,bを移動通信用基地局アンテナ300の中央でオーバーラップさせることにより、移動通信用基地局アンテナ300の長さを短縮することが可能であり、垂直面内のビームチルト角度(垂直面内チルト角度)を上下の偏波ダイバーシチアンテナブロック311,312で変化させることにより、各ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック311,312間の相関係数を改善することができる。
【0052】
垂直面内のビームチルト角度(垂直面内チルト角度)を上下の偏波ダイバーシチアンテナブロック311,312で変えることにより指向性を変化させることができ、これによって、偏波ダイバーシチアンテナブロック311,312間の相関係数を低くできる。また、偏波ダイバーシチアンテナブロック311,312間の相関係数を低くすることによりMIMOの空間多重効果がより有効になり、データ伝送効率を高めることができる。
【符号の説明】
【0053】
a,b アンテナ素子
c 偏波ダイバーシチアンテナ素子
d 偏波ダイバーシチアンテナブロック
9 反射板
10 アンテナ素子基板
111 偏波ダイバーシチアンテナブロック1(ブロックU)
112 偏波ダイバーシチアンテナブロック2(ブロックL)
113,114 +45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子
115 オーバーラップ配置の部分
213,214 垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子
215 オーバーラップ配置の部分
313 +45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子
314 垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子
315 オーバーラップ配置の部分
450 MIMO基地局アンテナ(移動通信用基地局アンテナ)
451 第1ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック
452 第3ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック
453 第1ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックの垂直面内チルト角度
454 第3ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックの垂直面内チルト角度
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏波共用アンテナおよびアレイアンテナに係わり、特に、空間分割多重アクセスを実現する移動通信用基地局アンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動通信用基地局アンテナは、他セルへの干渉を抑制するために、図15に示すような鋭い垂直面内指向性を持つのが一般的である。図15の移動通信用基地局アンテナ940は、アンテナの主ビーム方向942が水平方向に対して垂直面内チルト角度941をなす。
【0003】
移動体通信、特に携帯電話通信においてMIMO(Multiple Input Multiple Output)の普及が進みつつある。MIMO通信では送信アンテナ、受信アンテナでそれぞれ複数本のアンテナを使用することにより、データ伝送効率を高めることができる。送信アンテナ1本、受信アンテナ1本を使用する場合の通信速度と比較して、送信アンテナ2本、受信アンテナ2本を使用する場合の通信速度は理論上2倍、送信アンテナ4本、受信アンテナ4本を使用する場合の通信速度は理論上4倍となる。
【0004】
MIMO通信では、各々の送信アンテナから受信アンテナまでの信号の相関が重要となる。特に、送信アンテナであれば各々の送信アンテナの間の相関係数が、受信アンテナであれば各々の受信アンテナの間の相関係数によりその通信容量が影響を及ぼす。例えば送信アンテナ4本、受信アンテナ4本を使用する4×4MIMO通信の場合、相関係数が0に近い無相関になれば、通信速度は理論上の4倍に近づき、相関係数が1に近づくとMIMOとしての効果が期待できなくなる。実用上、アンテナ間の相関係数は0.7以下が望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−203841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
相関係数を低下させるためには、アンテナを空間的もしくは電気的に分離すればよい。携帯電話基地局用アンテナで使用されている特許文献1に示されるような偏波ダイバーシチアンテナ素子は、偏波で分離した2系統のアンテナであるので、そのままアレイアンテナにすれば2×2MIMO用基地局アンテナに転用可能である。
【0007】
例えば4×4MIMO通信の場合、2本のアンテナ間の距離を離して設置すればするほど相関係数は低下するので、図16又は図17に示すように、並列又は縦列に設置した2本の偏波ダイバーシチアンテナブロック1001,1001間の距離はできるだけ離したいという要求がある。しかしながら、2本のアンテナ間の距離を離しすぎると、アンテナ設置に要する体積が増加するため、2本の偏波ダイバーシチアンテナブロック1001,1001間の距離はできるだけ接近させたいという、先ほどとは相反する要求もある。
【0008】
本発明の目的は、移動通信用基地局アンテナにおいて、アンテナブロックの垂直面内チルト角度を変える事により、各アンテナブロックの間の相関係数を低下させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、複数のアンテナ素子が直交に配置されて偏波ダイバーシチアンテナ素子が構成され、該偏波ダイバーシチアンテナ素子が複数並べられて偏波ダイバーシチアンテナブロックが構成され、該偏波ダイバーシチアンテナブロックが複数設けられた移動通信用基地局アンテナにおいて、ある偏波ダイバーシチアンテナブロックの偏波ダイバーシチアンテナ素子の間に、別の偏波ダイバーシチアンテナブロックの偏波ダイバーシチアンテナ素子が挿入配置され、且つ、各々の偏波ダイバーシチアンテナブロックの垂直面内チルト角度が異なるものである。
【0010】
前記移動通信用基地局アンテナにおいて、複数の前記偏波ダイバーシチアンテナブロックは、縦積みされ、各々の前記偏波ダイバーシチアンテナブロックの垂直面内チルト角度が、前記偏波ダイバーシチアンテナブロックの間の相関係数が0.7以下となるように設定されていてもよい。
【0011】
前記移動通信用基地局アンテナにおいて、前記偏波ダイバーシチアンテナ素子の垂直面内チルト角度は、該偏波ダイバーシチアンテナ素子の方向を機械的に変えることにより任意に設定できてもよい。
【0012】
前記移動通信用基地局アンテナにおいて、前記偏波ダイバーシチアンテナ素子の垂直面内チルト角度は、移相器により信号の位相を変えることにより任意に設定できてもよい。
【0013】
前記移動通信用基地局アンテナにおいて、前記移相器は、信号の位相の変化量が固定された不変タイプの移相器であってもよい。
【0014】
前記移動通信用基地局アンテナにおいて、前記移相器は、信号の位相の変化量が自由に設定可能な可変タイプの移相器であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0016】
(1)アンテナブロック間の相関係数が低い。
【0017】
(2)アンテナ設置に要する体積の増加を抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態を示す移動通信用基地局アンテナの立面図である。
【図2】図1の移動通信用基地局アンテナの斜視図である。
【図3】図1の移動通信用基地局アンテナにおいて、偏波ダイバーシチアンテナブロックdの構造について説明した図(正面図及び側面図)である。
【図4】図1の移動通信用基地局アンテナにおいて、偏波ダイバーシチアンテナブロックdの構造について説明した図(斜視図)である。
【図5】本発明の他の実施形態を示す移動通信用基地局アンテナの立面図である。
【図6】図5の移動通信用基地局アンテナの斜視図である。
【図7】本発明の他の実施形態を示す移動通信用基地局アンテナの立面図である。
【図8】図7の移動通信用基地局アンテナの斜視図である。
【図9】本発明の移動通信用基地局アンテナの垂直面内指向性を示す側面図である。
【図10】(a)は、図1の移動通信用基地局アンテナの立面図、(b)〜(e)は、図1の移動通信用基地局アンテナを各ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック毎に要素分解した立面図である。
【図11】(a)は、図1の移動通信用基地局アンテナの斜視図、(b)〜(e)は、図1の移動通信用基地局アンテナを各ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック毎に要素分解した斜視図である。
【図12】各ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックが垂直面内チルト角度3度のときの相関係数を示すグラフである。
【図13】第1ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックと第2ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックが垂直面内チルト角度3度、第3ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックと第4ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックが垂直面内チルト角度6度のときの相関係数を示すグラフである。
【図14】第1ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックと第4ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックが垂直面内チルト角度3度、第2ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックと第3ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックが垂直面内チルト角度6度のときの相関係数を示すグラフである。
【図15】従来の携帯電話基地局アンテナの垂直面内指向性を示す側面図である。
【図16】従来の4×4MIMOアンテナ(並列)の立面図である。
【図17】従来の4×4MIMOアンテナ(縦列)の立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0020】
本発明では、ある偏波ダイバーシチアンテナブロック内にある偏波ダイバーシチアンテナ素子の間に、別の偏波ダイバーシチアンテナブロックを構成している偏波ダイバーシチアンテナ素子を複数段交互にオーバーラップ配置した。これにより、長さ方向の短縮が図られ、アンテナ設置に要する体積の増加が緩和される。
【0021】
このように、別ブロック同士の偏波ダイバーシチアンテナ素子が一部オーバーラップした構成のアンテナブロック(偏波ダイバーシチアンテナブロック)においても、各々のアンテナブロックの垂直面内チルト角度を変えることにより、各アンテナブロック間の相関係数を小さくすることが期待できる。言い換えれば、鋭い垂直面内指向性を持つ移動通信用基地局アンテナにおいて、直交配置したアンテナ素子を複数並べて構成される各々のアンテナブロックの垂直面内チルト角度を異なる角度に設定し、各々のアンテナブロックの指向性に差を持たせることにより、各アンテナブロック間の相関係数を小さくする。
【0022】
尚、垂直面内チルト角度は、固定の場合と可変の場合がある。垂直面内チルト角度は、アンテナブロックの方向を機械的に変えること、又は、各アンテナ素子に給電する位相を制御することにより、任意の角度に設定することが可能である。移相器を用いる場合、信号の位相の変化量が固定された不変タイプの移相器、又は、信号の位相の変化量が自由に設定可能な可変タイプの移相器などがある。
【0023】
図1に示されるように、本発明に係る移動通信用基地局アンテナ100は、アンテナ素子a,bが直交に配置されて偏波ダイバーシチアンテナ素子cが構成され、該偏波ダイバーシチアンテナ素子cが複数並べられて偏波ダイバーシチアンテナブロックdが構成され、該偏波ダイバーシチアンテナブロックdが複数設けられた移動通信用基地局アンテナにおいて、ある偏波ダイバーシチアンテナブロックd(111)の偏波ダイバーシチアンテナ素子c(113)(実線の「×」で図示)の間に、別の偏波ダイバーシチアンテナブロックd(112)の偏波ダイバーシチアンテナ素子c(114)(点線の「×」で図示)が挿入配置され、且つ、各々の偏波ダイバーシチアンテナブロックd(111,112)の垂直面内チルト角度が異なるものである(なお、図1の「・・・」は、1つ又は複数の偏波ダイバーシチアンテナ素子の図示を省略したことを示す。以下、図5,図7,図10において同じ)。
【0024】
図1の移動通信用基地局アンテナ100は、偏波ダイバーシチアンテナブロックdの2ブロック(ブロックU、ブロックL)が縦積みにして組み合わされている。
【0025】
各偏波ダイバーシチアンテナブロックdにおいて、複数の偏波ダイバーシチアンテナ素子cが垂直方向に所定ピッチで配置されている。オーバーラップ配置の部分では、偏波ダイバーシチアンテナブロック111の偏波ダイバーシチアンテナ素子113のピッチ間に、偏波ダイバーシチアンテナブロック112の偏波ダイバーシチアンテナ素子114が配置される。
【0026】
図1の移動通信用基地局アンテナ100の偏波ダイバーシチアンテナ素子cの組み合わせは、+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチである。それぞれの偏波ダイバーシチアンテナブロック111,112が偏波ダイバーシチであるので、図1の移動通信用基地局アンテナ100は、偏波・空間で分離したアンテナブロックが4本入っていることになり、4×4MIMO用アレイアンテナとして利用できる。
【0027】
図2は、図1の移動通信用基地局アンテナ100の斜視図である。複数の偏波ダイバーシチアンテナ素子cが垂直方向に所定ピッチで配置されている。オーバーラップ配置の部分115では、偏波ダイバーシチアンテナブロック111を構成する+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子113のピッチ間に、偏波ダイバーシチアンテナブロック112を構成する+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子114が配置される。なお、図2では、+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子113と+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子114とを区別し易くするために、+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子113の一部を黒く塗りつぶしているが、実際には、+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子113と+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子114とでこのような外観上の差異は無い。
【0028】
図3は、図1の移動通信用基地局アンテナ100における偏波ダイバーシチアンテナブロックdの構造について説明した図であり、(a)は偏波ダイバーシチアンテナブロックdの正面図、(b)は偏波ダイバーシチアンテナブロックdの側面図である。また、図4は、図3の斜視図である。
【0029】
図3及び図4に示したように、偏波ダイバーシチアンテナブロックdは、複数の偏波ダイバーシチアンテナ素子cを反射板9の長手方向に沿ってアレイ状に配置した構造となっている。偏波ダイバーシチアンテナ素子cは、金属や金属及び誘電体などからなるアンテナ素子パターン(図示せず)をアンテナ素子基板10の表面に形成することにより構成されたアンテナ素子a,bを、断面が十字形状となるように組み合わせることにより構成される。偏波ダイバーシチアンテナ素子cにより、+45度偏波される電波及び−45度偏波される電波を共用して送受信することができる。アンテナ素子a,bは給電線(図示せず)を介して、それぞれ異なるポート(図示せず)に接続される。
【0030】
本発明は、アンテナ素子a,bの配置を変えたり、偏波ダイバーシチアンテナ素子cの組み合わせを変えることができる。図1の移動通信用基地局アンテナ100では、+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチの組み合わせとしたが、図5の移動通信用基地局アンテナ200では、垂直偏波・水平偏波ダイバーシチである。なお、図5では、実線の「+」で図示したものが垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子213であり、点線の「+」で図示したものが垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子214である。複数の垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子213と複数の垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子214とにより、それぞれ異なる偏波ダイバーシチアンテナブロックが構成される。
【0031】
図6は、図5の移動通信用基地局アンテナ200の斜視図である。複数の偏波ダイバーシチアンテナ素子cが垂直方向に所定ピッチで配置されている。オーバーラップ配置の部分215では、偏波ダイバーシチアンテナブロック211を構成する垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子213のピッチ間に、偏波ダイバーシチアンテナブロック212を構成する垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子214が配置される。なお、図6では、垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子213と垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子214とを区別し易くするために、垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子213の一部を黒く塗りつぶしているが、実際には、垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子213と垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子214とでこのような外観上の差異は無い。
【0032】
図7の移動通信用基地局アンテナ300では、+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子と垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子を組み合わせた。直線偏波を放射する素子の組み合わせであれば、素子形状は問わない。なお、図7では、実線の「×」で図示したものが+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子313であり、点線の「+」で図示したものが垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子314である。複数の+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子313と複数の垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子314とにより、それぞれ異なる偏波ダイバーシチアンテナブロックが構成される。
【0033】
図8は、図7の移動通信用基地局アンテナ300の斜視図である。複数の偏波ダイバーシチアンテナ素子cが垂直方向に所定ピッチで配置されている。オーバーラップ配置の部分315では、偏波ダイバーシチアンテナブロック311を構成する+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子313のピッチ間に、偏波ダイバーシチアンテナブロック312を構成する垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子314が配置される。なお、図8では、+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子313と垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子314とを区別し易くするために、+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子313の一部を黒く塗りつぶしているが、実際には、+45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子313と垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子314とでこのような外観上の差異は無い。
【0034】
図1の移動通信用基地局アンテナ100は、各々の偏波ダイバーシチアンテナブロックdで偏波ダイバーシチアンテナ素子cが非常に接近しているため、目標とするアンテナブロック間の相関係数を0.7以下にするためは、本発明の垂直面内チルト角度を変える必要がある。
【0035】
そこで、本発明では、図9に示すように、同じ偏波特性を有する、第1ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック451と第3ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック452の垂直面内チルト角度に差をつける。ここで、第1ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック451及び第3ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック452は、それぞれアンテナ素子a(図1参照)の集合であり、第2ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック及び第4ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックは、それぞれアンテナ素子b(図1参照)の集合である。例えば、第1ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック451の垂直面内チルト角度を3度、第3ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック452の垂直面内チルト角度を6度にする。尚、図の簡略化のため第2ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックと第4ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックは図示していない。
【0036】
図9に示されるように、本発明の移動通信用基地局アンテナであるMIMO基地局アンテナ450は、偏波ダイバーシチアンテナブロック111(図1参照)の第1ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック451における垂直面内チルト角度453がA度であり、偏波ダイバーシチアンテナブロック112(図1参照)の第3ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック452における垂直面内チルト角度454がB度であり、A度<B度である。
【0037】
図1のように各々の偏波ダイバーシチアンテナブロック111,112が縦積みされており、図9のように各々の偏波ダイバーシチアンテナブロック111(第1ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック451),112(第3ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック452)の垂直面内チルト角度が異なることにより、各偏波ダイバーシチアンテナブロック111,112間の相関係数を小さくすることができる。
【0038】
携帯電話の基地局アンテナは、先に述べたように、鋭い垂直面内指向性を有するので、垂直面内チルト角度を変えると三次元的な指向性、特に主ビームの指向性が大きく変化する。従って、垂直面内チルト角度に差をつけることにより指向性の重なりが少なくなり、相関係数を大幅に変化させることができる。
【0039】
同様に、同じ偏波特性を有する、(偏波ダイバーシチアンテナブロック111の構成要素である)第2ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックと(偏波ダイバーシチアンテナブロック112の構成要素である)第4ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックでも、垂直面内チルト角度に差をつけることによりアンテナブロック間の相関係数を小さくすることが可能である。偏波特性の異なるポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック間においても同様である。
【0040】
本発明の効果をシミュレーション計算により検討する。
【0041】
図10(a)、図11(a)に示した図1の移動通信用基地局アンテナは、図10(b)と図11(b)、図10(c)と図11(c)、図10(d)と図11(d)、図10(e)と図11(e)にそれぞれ示されるように、第1ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック、第3ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック、第2ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック、第4ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック毎に要素分解して示すことができる。
【0042】
シミュレーション計算の結果を図12、図13、図14の各グラフに示す。各グラフとも縦軸は図10に示す各ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック間の相関係数ρの絶対値を、横軸は基地局のセル半径を示す。
【0043】
アンテナブロック間で垂直面内チルト角度に差がないとき(第1ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック,第2ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック,第3ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック,第4ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックの垂直面内チルト角度がすべて3度)を図12に、アンテナブロック間で垂直面内チルト角度に差があるときを図13(第1ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック,第2ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックの垂直面内チルト角度が3度、第3ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック,第4ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックの垂直面内チルト角度が6度)、図14(第1ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック,第3ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックの垂直面内チルト角度が3度、第2ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック,第4ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックの垂直面内チルト角度が6度)に示す。ここで垂直面内チルト角度が3度のアンテナブロックにおいては、セルエッジ(セル半径のエッジ;なお、セル半径とは、信号の到達範囲の半径のこと)にメインビームを向けている。また、垂直面内チルト角度が3度のアンテナブロック以外においては、他セルに干渉を与えないように大きめの角度(6度)に垂直面内チルト角度を設定している。各図において、ρ12のような添え字は、相関係数を求めた2つのポートの番号を表す。例えばρ12は第1ポートに接続されたアンテナブロックと第2ポートに接続されたアンテナブロック間の相関係数を示す。
【0044】
このように、指向性を直交するように(ビームが互いに干渉しないように)ビームの垂直面内チルト角度を調整することでアンテナブロック間の相関係数を低くでき、全てのポートの指向性でヌル点になることがなくなるため性能向上が期待できる。
【0045】
さらに図14ではメインビーム方向以外(セル半径400m以内)でアンテナブロック間の相関係数を0.7以下を達成できることを示している。
【0046】
以上説明したように、本発明のように偏波ダイバーシチアンテナブロック111,112のアンテナ素子a,bを移動通信用基地局アンテナ100の中央でオーバーラップさせることにより、移動通信用基地局アンテナの長さを短縮することが可能であり、垂直面内のビームチルト角度(垂直面内チルト角度)を上下の偏波ダイバーシチアンテナブロック111,112で変化させることにより、各ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック間の相関係数を改善することができる。
【0047】
垂直面内のビームチルト角度(垂直面内チルト角度)を上下の偏波ダイバーシチアンテナブロック111,112で変えることにより指向性を変化させることができ、これによって、偏波ダイバーシチアンテナブロック111,112間の相関係数を低くできる。また、偏波ダイバーシチアンテナブロック111,112間の相関係数を低くすることによりMIMOの空間多重効果がより有効になり、データ伝送効率を高めることができる。
【0048】
なお、図12、図13、図14においては、図1の移動通信用基地局アンテナ100におけるシミュレーション計算の結果についてのみ示したが、図5、図7の移動通信用基地局アンテナ200,300におけるシミュレーション計算のおいても、図12、図13、図14と同様な傾向が得られた。
【0049】
つまり、偏波ダイバーシチアンテナブロック211,212のアンテナ素子a,bを移動通信用基地局アンテナ200の中央でオーバーラップさせることにより、移動通信用基地局アンテナ200の長さを短縮することが可能であり、垂直面内のビームチルト角度(垂直面内チルト角度)を上下の偏波ダイバーシチアンテナブロック211,212で変化させることにより、各ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック211,212間の相関係数を改善することができる。
【0050】
垂直面内のビームチルト角度(垂直面内チルト角度)を上下の偏波ダイバーシチアンテナブロック211,212で変えることにより指向性を変化させることができ、これによって、偏波ダイバーシチアンテナブロック211,212間の相関係数を低くできる。また、偏波ダイバーシチアンテナブロック211,212間の相関係数を低くすることによりMIMOの空間多重効果がより有効になり、データ伝送効率を高めることができる。
【0051】
また、偏波ダイバーシチアンテナブロック311,312のアンテナ素子a,bを移動通信用基地局アンテナ300の中央でオーバーラップさせることにより、移動通信用基地局アンテナ300の長さを短縮することが可能であり、垂直面内のビームチルト角度(垂直面内チルト角度)を上下の偏波ダイバーシチアンテナブロック311,312で変化させることにより、各ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック311,312間の相関係数を改善することができる。
【0052】
垂直面内のビームチルト角度(垂直面内チルト角度)を上下の偏波ダイバーシチアンテナブロック311,312で変えることにより指向性を変化させることができ、これによって、偏波ダイバーシチアンテナブロック311,312間の相関係数を低くできる。また、偏波ダイバーシチアンテナブロック311,312間の相関係数を低くすることによりMIMOの空間多重効果がより有効になり、データ伝送効率を高めることができる。
【符号の説明】
【0053】
a,b アンテナ素子
c 偏波ダイバーシチアンテナ素子
d 偏波ダイバーシチアンテナブロック
9 反射板
10 アンテナ素子基板
111 偏波ダイバーシチアンテナブロック1(ブロックU)
112 偏波ダイバーシチアンテナブロック2(ブロックL)
113,114 +45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子
115 オーバーラップ配置の部分
213,214 垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子
215 オーバーラップ配置の部分
313 +45度偏波・−45度偏波ダイバーシチアンテナ素子
314 垂直偏波・水平偏波ダイバーシチアンテナ素子
315 オーバーラップ配置の部分
450 MIMO基地局アンテナ(移動通信用基地局アンテナ)
451 第1ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック
452 第3ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロック
453 第1ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックの垂直面内チルト角度
454 第3ポートに接続されたアンテナ素子からなるアンテナブロックの垂直面内チルト角度
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナ素子が直交に配置されて偏波ダイバーシチアンテナ素子が構成され、該偏波ダイバーシチアンテナ素子が複数並べられて偏波ダイバーシチアンテナブロックが構成され、該偏波ダイバーシチアンテナブロックが複数設けられた移動通信用基地局アンテナにおいて、
ある偏波ダイバーシチアンテナブロックの偏波ダイバーシチアンテナ素子の間に、別の偏波ダイバーシチアンテナブロックの偏波ダイバーシチアンテナ素子が挿入配置され、且つ、各々の偏波ダイバーシチアンテナブロックの垂直面内チルト角度が異なることを特徴とする移動通信用基地局アンテナ。
【請求項2】
請求項1記載の移動通信用基地局アンテナにおいて、
複数の前記偏波ダイバーシチアンテナブロックは、縦積みされ、
各々の前記偏波ダイバーシチアンテナブロックの垂直面内チルト角度が、前記偏波ダイバーシチアンテナブロックの間の相関係数が0.7以下となるように設定されていることを特徴とする移動通信用基地局アンテナ。
【請求項3】
請求項1記載の移動通信用基地局アンテナにおいて、
前記偏波ダイバーシチアンテナ素子の垂直面内チルト角度は、該偏波ダイバーシチアンテナ素子の方向を機械的に変えることにより任意に設定できることを特徴とする移動通信用基地局アンテナ。
【請求項4】
請求項1記載の移動通信用基地局アンテナにおいて、
前記偏波ダイバーシチアンテナ素子の垂直面内チルト角度は、移相器により信号の位相を変えることにより任意に設定できることを特徴とする移動通信用基地局アンテナ。
【請求項5】
請求項4記載の移動通信用基地局アンテナにおいて、
前記移相器は、信号の位相の変化量が固定された不変タイプの移相器であることを特徴とする移動通信用基地局アンテナ。
【請求項6】
請求項4記載の移動通信用基地局アンテナにおいて、
前記移相器は、信号の位相の変化量が自由に設定可能な可変タイプの移相器であることを特徴とする移動通信用基地局アンテナ。
【請求項1】
複数のアンテナ素子が直交に配置されて偏波ダイバーシチアンテナ素子が構成され、該偏波ダイバーシチアンテナ素子が複数並べられて偏波ダイバーシチアンテナブロックが構成され、該偏波ダイバーシチアンテナブロックが複数設けられた移動通信用基地局アンテナにおいて、
ある偏波ダイバーシチアンテナブロックの偏波ダイバーシチアンテナ素子の間に、別の偏波ダイバーシチアンテナブロックの偏波ダイバーシチアンテナ素子が挿入配置され、且つ、各々の偏波ダイバーシチアンテナブロックの垂直面内チルト角度が異なることを特徴とする移動通信用基地局アンテナ。
【請求項2】
請求項1記載の移動通信用基地局アンテナにおいて、
複数の前記偏波ダイバーシチアンテナブロックは、縦積みされ、
各々の前記偏波ダイバーシチアンテナブロックの垂直面内チルト角度が、前記偏波ダイバーシチアンテナブロックの間の相関係数が0.7以下となるように設定されていることを特徴とする移動通信用基地局アンテナ。
【請求項3】
請求項1記載の移動通信用基地局アンテナにおいて、
前記偏波ダイバーシチアンテナ素子の垂直面内チルト角度は、該偏波ダイバーシチアンテナ素子の方向を機械的に変えることにより任意に設定できることを特徴とする移動通信用基地局アンテナ。
【請求項4】
請求項1記載の移動通信用基地局アンテナにおいて、
前記偏波ダイバーシチアンテナ素子の垂直面内チルト角度は、移相器により信号の位相を変えることにより任意に設定できることを特徴とする移動通信用基地局アンテナ。
【請求項5】
請求項4記載の移動通信用基地局アンテナにおいて、
前記移相器は、信号の位相の変化量が固定された不変タイプの移相器であることを特徴とする移動通信用基地局アンテナ。
【請求項6】
請求項4記載の移動通信用基地局アンテナにおいて、
前記移相器は、信号の位相の変化量が自由に設定可能な可変タイプの移相器であることを特徴とする移動通信用基地局アンテナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−233215(P2010−233215A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−45511(P2010−45511)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】
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