説明

移行中栓付き容器と該容器のリーク検査方法

【課題】確実なリーク検査が行える移行中栓付き容器とそのリーク検査方法を提供する。
【解決手段】容器体2内へ一部を挿入させて起立する注出筒1内から弱化部11を介して起立する筒状栓体10と、頂壁21から垂下した嵌合筒22を前記筒状栓体10へ抜出し不能にかつ回動自在に嵌合させると共に、前記頂壁21周縁から螺筒23を垂下して、該螺筒23を前記注出筒1外面へ螺合させ、さらに該注出筒1より上方の螺筒23部分を、締込み方向への回動が空転可能な歯車機構Mを介して前記筒状栓体10へ連結させたキャップ20とを備えた移行中栓付き容器において、前記弱化部11の破断前に前記螺筒23の歯車機構Mと前記注出筒1の上端面との間に間隙Gが形成可能に前記キャップ20のねじ込み量を規制可能な規制手段と、前記弱化部11の破断前には前記間隙Gを介して前記注出筒1を外気へ連通させると共に、開封による弱化部の破断後における再栓時には前記注出筒1の外気への連通を遮断する連通開閉手段とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移行中栓付き容器と、該中栓の弱化部の欠陥を検出可能なリーク検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
開封時に、キャップへの移行が可能な中栓を容器体内から起立する注出筒の注出口に設けた中栓付き容器が従来技術として知られており、このような容器では開封時に中栓を分離させるための弱化部が設けられているが、成形時、弱化部にピンホールが発生することがあるため、リーク検査が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−052810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リーク検査は容器ないし注出筒内に検査空気を供給して弱化部から空気が漏洩するか否かを確認するためのものであるが、口元とキャップとの間には再栓時の水密性を保持するためのシール部が設けられているため、ピンホールから空気が漏洩しても外部へ流出することはなく、したがって検査の確実性に問題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、確実なリーク検査が行える移行中栓付き容器と弱化部のリーク検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、容器体2内へ一部を挿入させて起立する注出筒1内から弱化部11を介して起立する筒状栓体10と、
頂壁21から垂下した嵌合筒22を前記筒状栓体10へ抜出し不能にかつ回動自在に嵌合させると共に、前記頂壁21周縁から螺筒23を垂下して、該螺筒23を前記注出筒1外面へ螺合させ、さらに該注出筒1より上方の螺筒23部分を、締込み方向への回動が空転可能な歯車機構Mを介して前記筒状栓体10へ連結させたキャップ20とを備えた移行中栓付き容器において、
前記弱化部11の破断前に空気通路Gが形成可能に前記キャップ20のねじ込み量を規制可能な規制手段と、
前記弱化部11の破断前には前記注出筒1を外気へ連通させると共に、開封による弱化部の破断後における再栓時には前記注出筒1の外気への連通を遮断する連通開閉手段とを設けたことを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、容器体2内へ一部を挿入させて起立する注出筒1内から弱化部11を介して起立する筒状栓体10と、
頂壁21から垂下した嵌合筒22を前記筒状栓体10へ抜出し不能にかつ回動自在に嵌合させると共に、前記頂壁21周縁から螺筒23を垂下して、該螺筒23を前記注出筒1外面へ螺合させ、さらに該注出筒1より上方の螺筒23部分を、締込み方向への回動が空転可能な歯車機構Mを介して前記筒状栓体10へ連結させたキャップ20とを備えた移行中栓付き容器において、
前記注出筒1の外面と前記螺筒23の内面とのいずれか一方に空気路28aを形成すると共に、前記キャップ20のねじ込み量を規制可能な規制手段を設け、
前記弱化部11の破断前には、前記規制手段により前記螺筒23の歯車機構Mと前記注出筒1の上端面との間に空気通路Gが形成可能に設けると共に、前記空気路28aと外気とを連通可能に設けることで、前記空気通路Gと前記空気路28aとを介して前記注出筒1が外気と連通可能に設け、
前記弱化部11の開封による破断後の再栓時には、前記螺筒23が下降して前記空気路28aと外気との連通を遮断可能に設けたことを特徴とする。
【0007】
さらに、本発明は、開封前に、キャップ20をさらに締込み方向へ回動させることで、歯車機構Mの外側の爪25を締込み方向側の内側の爪14へ当接ないし近接可能に設けて、前記螺筒23を下降させることで前記空気路28aと外気との連通を遮断可能に設けたことを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明は、前記注出筒1の外面と前記螺筒23の内面とのいずれか他方にシール部30を形成し、前記空気路28aを凹部で構成すると共に、前記シール部30を周方向へ延びる突部で構成し、前記弱化部の破断前には該突部と前記凹部との間に空気の流通を許容する隙間が形成可能に、また再栓時には前記突部が前記凹部から下方へ離間して前記注出筒(1)の外面へ気密に接触可能に設けたことを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明は、前記弱化部11の破断前における前記キャップ20の締込み方向への回動時には前記キャップ20は下降可能に、
開封時における該キャップ20の開栓方向への回動時には、前記歯車機構Mを介して前記筒状栓体10が前記キャップ20と共に回動して前記弱化部11が破断することで前記注出筒1から分離して前記キャップ20へ移行可能に設け、
再栓時における前記キャップ20の締込み方向への回動で前記筒状栓体10が前記注出筒1内へ嵌合可能に設けたことを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明は、前記キャップ20の螺筒23下端に破断部41を介してバージンリング40を設けると共に、前記注出筒1に第2フランジ6を形成し、
前記弱化部11の破断前における前記キャップ20の締込み方向への回動時に、前記バージンリング40が下降して前記第2フランジ6へ係合可能に、かつ開封時における前記キャップ20の開栓方向への回動時に前記破断部41に上方への引張力が作用することで該破断部41が破断してバージンリング40が前記螺筒23から分離可能に設けたことを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明は、前記キャップ20の螺筒23下端に破断部61を介してバージンリング60を設けると共に、前記注出筒1に第1フランジ5及び第2フランジ6を形成し、
前記破断部61を前記螺筒23の下端とバージンリング60の上端とのそれぞれに形成した突部62と、上下に対向する一対の前記突部62どうしを連結する連結帯63で形成し、
前記弱化部11の破断前における前記キャップ20の締込み方向への回動時に、前記バージンリング60が下降して前記第2フランジ6を強制乗越をえして前記第1フランジ5へ当接すると共に前記連結帯63が圧潰することにより前記キャップ20の下降を停止可能に設け、
開封時における前記キャップ20の開栓方向への回動時に、前記第2フランジ6へ係合保持された前記バージンリング60の前記破断部61の連結帯63が破断して該バージンリング60が前記螺筒23から分離可能に設け、
再栓時における前記キャップ20の締込み方向への回動時に、前記螺筒23の突部62が前記バージンリング60の隣接する突部62間のバージンリング部分の上端へ当接可能に形成することで、前記キャップ20の前記下降停止位置よりさらに該キャップ20の下降を許容可能にして、前記空気路28aと外気との連通を遮断可能に設けたことを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明は、容器体2内へ一部を挿入させて起立する注出筒1内から弱化部11を介して起立する筒状栓体10と、
頂壁21から垂下した嵌合筒22を前記筒状栓体10へ抜出し不能にかつ回動自在に嵌合させると共に、前記頂壁21周縁から螺筒23を垂下して、該螺筒23を前記注出筒1外面へ螺合させ、さらに該注出筒1より上方の螺筒23部分を、締込み方向への回動が空転可能な歯車機構Mを介して前記筒状栓体10へ連結させたキャップ20と、
前記弱化部11の破断前に前記螺筒23の歯車機構Mと前記注出筒1の上端面との間に空気通路Gが形成可能に前記キャップ20のねじ込み量を規制可能な規制手段と、
前記弱化部11の破断前には前記空気通路Gを介して前記注出筒1を外気へ連通させると共に、開封による弱化部11の破断後における再栓時には前記注出筒1の外気への連通を遮断する連通開閉手段28a、30とを設けておき、
前記弱化部11の破断前に、前記注出筒1内へ検査空気を供給して、成形時に前記弱化部11に発生することがある欠陥部から注出筒1内の検査空気が筒状栓体10の下部外面と注出筒1の上端部内面との隙間、前記空気通路Gおよび前記連通開閉手段28a、30を介して流出する空気を検出して前記弱化部における欠陥部の有無を判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、弱化部11の破断前に空気通路Gを介して注出筒1を外気へ連通させる連通開閉手段28a、30を備えているので、弱化部11のピンホール等の欠陥部から漏出した空気が注出筒の外部へ流出可能であり、したがって確実な漏洩検査を行うことができる。
【0014】
また、本発明は、開封前に、キャップ20をさらに締込み方向へ回動させることで、歯車機構Mの外側の爪25を締込み方向側の内側の爪14へ当接ないし近接させることができるためさらに螺筒23を下降させることができる。これによりシール部30を空気路28aより下方の注出筒1部分外面へ気密に接触させて空気路28aと外気との連通を遮断させることができ、こうすることでリーク検査後、注出筒1に対する筒状栓体10のシールは弱化部11で、また空気路28aと外気との連通の遮断はシール部30で達成することができ、これにより2箇所のシールが確保されるため、より安全な気密性を保持できる。
【0015】
さらに、本発明は、バージンリングを利用してキャップの下降を停止可能に設けたので、螺筒23の歯車機構Mと注出筒1の上端面との間に空気通路Gを形成させるための特別な手段を要しない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a) 図(b)のA−A線に沿う断面図である。 (b) 本発明に係る容器の一部断面図である。
【図2】シール前の要部拡大図である。
【図3】シール後の図2相当図である。
【図4】(a) 作用説明図で、図1(a)相当図である。 (b) 作用説明図で、図1(b)相当図である。
【図5】(a) 図(b)のB−B線に沿う断面図である。 (b) 他の実施形態の一部断面図である。
【図6】(a) 作用説明図で、図1(a)相当図である。 (b) 作用説明図で、図1(b)相当図である。
【図7】(a) 他の実施形態を示すもので、図1(a)相当図である。(b) 他の実施形態を示すもので、図1(b)相当図である。
【図8】(a) 作用説明図で、図1(a)相当図である。 (b) 作用説明図で、図1(b)相当図である。
【図9】(a) 作用説明図で、図1(a)相当図である。 (b) 作用説明図で、図1(b)相当図である。
【図10】(a) 作用説明図で、図1(a)相当図である。 (b) 作用説明図で、図1(b)相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1において、1は注出筒で、下部を容器体2内へ挿入させて起立する筒体3に溶着用フランジ4を付設して、該フランジ4を容器体2の注出口へ溶着させると共に、該フランジ4より上方に第1フランジ5を、第1フランジ5より上方に円錐台状の第2フランジ6を、さらに第2フランジ6より上方に雄ねじを、それぞれ形成する。
【0019】
10は筒状栓体で、注出筒1の上部から内向きフランジ状の弱化部11を介して上面閉塞の第1周壁12を起立すると共に、第1周壁12上端から第2周壁13を起立し、さらに第2周壁13外面に複数の爪14を形成する。
【0020】
20はキャップで、頂壁21の中央部から垂下した嵌合筒22を筒状栓体10の第2周壁13内へ凹凸の係合手段を介して抜出し不能に、かつ回動自在に嵌合させると共に、頂壁21周縁から雌ねじとしての螺筒23を垂設して、螺筒23を注出筒1の雄ねじへ螺合させる。
【0021】
注出筒1より上方のキャップ螺筒23部分内面を縮径して小内径部24を形成すると共に、小内径部24に複数の爪25を形成して、該爪25と第2周壁13外面の爪14と小内径部24とで歯車機構Mとしてのラチェットを構成する。
【0022】
図2および図3に詳細に示すようにキャップ螺筒23の小内径部24より下方の螺筒部分内面は、小内径部24より大内径にして大内径部26を形成すると共に、該大内径部26にシール部としての突部30を周設する。一方、注出筒1の上端部外面に凹部としての縦溝からなる空気路28aを周方向へ所定の間隔をおいて複数縦設して、図2に示すようにシール用突部30を縦溝外面(注出筒1の上端部外面)へ摺動自在に接触させる。図3に示すようにシール用突部30は再栓時に縦溝より下方へ移動して、該縦溝より下方の注出筒1部分外面へ気密に接触することで縦溝と外気との連通を遮断する。かくしてシール用突部30と空気路(縦溝)28aは注出筒1を外気へ連通させ、またはその連通を遮断する連通開閉手段を構成する。なお、上記では空気路28aを縦溝で構成したが、これに限定されることなく、例えば注出筒1の上端部外面を縮径して小外径部に形成して、該小外径部で空気路28aを構成することもできる。また、空気路28aを大内径部26に、シール部としての突部30を注出筒1の上端部外面に設けることも可能である。この場合にはシール用突部30は、再栓時にキャップ螺筒23の下降で該縦溝より上方の注出筒1部分外面へ気密に接触することで縦溝と外気との連通を遮断する。さらに、シール部は突部に限らず単なる注出筒外面または大内径部26内面で構成することも可能である。
【0023】
40はバージンリングで、キャップ螺筒23下端から破断部41を介して垂下される。
【0024】
51は注出筒1内へ検査空気を供給する供給装置、52は小内径部24の下面24aと注出筒1上面との空気通路Gおよび空気路(縦溝)28aを介して流出する空気を検出可能な検出装置である。
【0025】
次に作用について説明する。
キャップ20を注出筒1へ組付けるには、キャップ20周面に突設された一対の把持板20aを介してキャップ20を締込み方向へ回動させればよい。すると雄ねじと雌ねじとの螺合によりキャップ20は下降する。その間、歯車機構Mとしてのラチェットは空回りするからキャップ20の回転力は筒状栓体10に伝わることがなく、したがって筒状栓体10の弱化部11は破断することがない。
【0026】
キャップ20の締込みは、図1および図2に示すようにキャップ螺筒23の小内径部24下面が注出筒1上面へ当接する前に、すなわちキャップ螺筒23の小内径部24下面と注出筒1上面との間に空気通路Gが存在する状態で停止させる。停止はキャップ20をねじ込むために使用される装置を制御することで行われる。この装置はキャップ20のねじ込み量を規制可能な規制手段を構成する。
【0027】
このように空気通路Gを形成する理由は、成形時に発生することのある筒状栓体10の弱化部11のピンホール等の欠陥の有無を検査するためである。検査は、注出筒1または容器体2内へ供給装置51を介して検査空気を供給する。弱化部11に欠陥がある場合には、欠陥を介して注出筒1内の検査空気が筒状栓体10の第1周壁12外面と注出筒1の上端部内面との隙間、キャップ20の内径部24下面と注出筒1上面との空気通路Gおよび空気路(縦溝)28aを介して流出する。こうして漏洩する空気は検出装置52により検出される。
【0028】
開封するには、キャップ20を開栓方向へ回動させればよい。するとキャップ20は上昇し、その間、歯車機構Mとしてのラチェットが噛合ってキャップ20の回転力が筒状栓体10に伝わるため、筒状栓体10の弱化部11が破断する。このため筒状栓体10は注出筒1から上方へ分離してキャップ20へ移行する。同時に第2フランジ6下面に回動自在に係合したバージンリング40はキャップ20の上昇により破断部41が破断してキャップ20から分離する。
【0029】
再栓するには、キャップ20を締込み方向へ回動させればよい。するとキャップ20が下降して、図3および図4に示すようにシール用突部30が空気路(縦溝)28aから下方へ離間して注出筒1の外面へ気密に接触して空気路28aと外気との連通を遮断すると共に、キャップ螺筒23の小内径部24の下面24aは注出筒1上面へ当接する。
【0030】
図5および図6は他の実施形態を示す。
本実施形態では、キャップ螺筒23の下端から垂下するバージンリング60の破断部61は、螺筒23の下端に突設された突部62と、バージンリング60の上端に突設された突部62と、上下に対向する一対の突部62どうしを連結する連結帯63とにより構成される。
【0031】
弱化部11の破断前におけるキャップ20の締込み方向への回動時に、バージンリング60が下降することで第2フランジ6を強制乗越えをして第1フランジ5へバージンリング60下面が当接すると共に連結帯63が圧潰することによりキャップ20の下降が停止する。この時点で図5に示すようにキャップ螺筒23の小内径部24の下面と注出筒1上面との間に空気通路Gが形成される。したがって、このバージンリング60はキャップ20のねじ込み量を規制可能な規制手段を構成する。
【0032】
開封時におけるキャップ20の開栓方向への回動時には、第2フランジ6へ係合保持されたバージンリング60に上方への引張力が作用するため、連結帯63が破断して該バージンリング60が螺筒23から分離する。破断後のバージンリング60は第2フランジ6に係合保持された状態を維持する。
【0033】
再栓時におけるキャップ20の締込み方向への回動時には、上下の突部62は対向状態にはなく互いにずれた状態にあるから、螺筒23の突部62がバージンリングの隣接する突部62間のバージンリング部分の上端へ当接可能であり、したがってキャップ20の前記下降停止位置よりさらにキャップ20は下降可能であり、このためシール用突部30が下降して空気路28aより下方の注出筒1部分外面へ気密に接触することで空気路28aと外気との連通を遮断する。
【0034】
再栓時におけるキャップ20の締込み方向への回動時には螺筒23の突部62がバージンリングの隣接する突部62間のバージンリング部分の上端へ当接可能であるが、キャップ20の回動時に突部62どうしが当接してキャップの回動が円滑にいかないことがある。そこで突部62どうしが当接した場合に突部62の一方が他方を強制乗越えを可能な形状、例えば弯曲状ないし台形状にすることが好ましい。その他の構成は第1実施形態と同一であるから説明を省略する。
【0035】
図7から図10はさらなる他の実施形態を示す。
前記のようにキャップ20を注出筒1へ組付ける際には、キャップ20を締込み方向へ回動させるが、その際リーク検査のために、キャップ螺筒23の小内径部24下面と注出筒1上面との間に空気通路Gが存在する状態でキャップ20の締込みを停止させる。第1および第2実施形態ではリーク検査後、空気通路Gが存在する状態で流通過程に乗せられるが、本実施形態ではリーク検査後、さらにキャップ20を締込む点で第1及び第2実施形態と相違する。
【0036】
以下、これら相違点について詳述する。図7はリーク検査時の状態を示すもので、この状態ではキャップ20の内径部24下面と注出筒1上面との間に空気通路Gが形成されていると共に、シール用の突部30は縦溝28aの外面に位置して縦溝28aを外気と連通させている。一方、ラチェットの外側の爪25は内側の一対の爪14の中間に位置している。すなわち空気通路Gを形成するためのキャップ20の回動角度は、ラチェットの外側の爪25が内側の一対の爪14の中間に位置する角度である。
【0037】
第1および第2実施形態では図7に示す状態で流通過程に乗せられ、この状態でキャップ20が開栓方向へ回動されて弱化部11が破断されることで開封される。本実施形態ではリーク検査後、流通過程に乗る前に図8に示すようにさらにキャップ20を締込み方向(ラチェット空転)へ回動させる。
【0038】
この回動角度はラチェットの外側の爪25が締込み方向側の内側の爪14へ当接ないし近接する角度とする。開封時にキャップ20を開栓方向へ回動させると、ラチェットの外側の爪25が開栓方向側の内側の爪14へ当接してラチェットが噛合うことにより筒状栓体10が回動して弱化部11が破断する。
【0039】
ところでリーク検査後、流通過程に乗る前にキャップ20をさらに締込む理由は、ラチェットの外側の爪25は内側の一対の爪14の中間に位置しているからキャップ20をさらに締込み方向へ回動させることで、外側の爪25を締込み方向側の内側の爪14へ当接ないし近接させることができ、これにより螺筒23を下降させることでシール部30を空気路28aより下方の注出筒1部分外面へ気密に接触させて空気路28aと外気との連通を遮断させることができるためである。こうすることでリーク検査後、注出筒1に対する筒状栓体10のシールは弱化部11で達成することができ、また空気路28aと外気との連通の遮断はシール部30により達成可能であり、これにより2箇所のシールが確保されるため、より安全な気密性を保持できる。
【0040】
このようにシール部30によるシールを確保するのは、弱化部11にピンホール等の欠陥が存在しない場合において、リーク検査後になんらかの原因で弱化部11に欠陥が発生したとしても、容器体内容物がキャップ20の内径部24の下面24aと注出筒1上面との隙間および縦溝28aを介して外部へ漏出することを防止できると共に、歯車機構Mの形成空間内への外部からの空気や液体等の浸入を防止することができるためである。
【0041】
図9は開封時に、キャップ20を開栓方向へ回動させた場合の状態を示すもので、第1及び第2実施形態と同様にラチェットが噛合するとともに、バージンリング40、60の破断部が破断してバージンリングがキャップ螺筒23から分離し、次いで図10に示すようにさらにキャップ20を開栓方向へ回動させると筒状栓体10の弱化部11が破断する。
【0042】
なお、本実施形態ではラチェットの歯数は4枚で、第1および第2実施形態の場合は6枚であるが、これに限定されることなく、歯数が比較的少ない場合に本実施形態を適用する。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、移行中栓を備えた容器の分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 注出筒
5 第1フランジ
6 第2フランジ
10 筒状栓体
11 弱化部
14 爪
20 キャップ
21 頂壁
22 嵌合筒
23 螺筒
24 小内径部
25 爪
28a 空気路
30 シール部
40 バージンリング
51 供給装置
52 検出装置
60 バージンリング
62 突部
63 連結帯
G 空気通路
M 歯車機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体(2)内へ一部を挿入させて起立する注出筒(1)内から弱化部(11)を介して起立する筒状栓体(10)と、
頂壁(21)から垂下した嵌合筒(22)を前記筒状栓体(10)へ抜出し不能にかつ回動自在に嵌合させると共に、前記頂壁(21)周縁から螺筒(23)を垂下して、該螺筒(23)を前記注出筒1外面へ螺合させ、さらに該注出筒(1)より上方の螺筒(23)部分を、締込み方向への回動が空転可能な歯車機構(M)を介して前記筒状栓体(10)へ連結させたキャップ(20)とを備えた移行中栓付き容器において、
前記弱化部(11)の破断前に空気通路(G)が形成可能に前記キャップ(20)のねじ込み量を規制可能な規制手段と、
前記弱化部(11)の破断前には前記注出筒(1)を外気へ連通させると共に、開封による弱化部の破断後における再栓時には前記注出筒(1)の外気への連通を遮断する連通開閉手段と
を設けたことを特徴とする移行中栓付き容器。
【請求項2】
容器体(2)内へ一部を挿入させて起立する注出筒(1)内から弱化部(11)を介して起立する筒状栓体(10)と、
頂壁(21)から垂下した嵌合筒(22)を前記筒状栓体(10)へ抜出し不能にかつ回動自在に嵌合させると共に、前記頂壁(21)周縁から螺筒(23)を垂下して、該螺筒(23)を前記注出筒(1)外面へ螺合させ、さらに該注出筒(1)より上方の螺筒(23)部分を、締込み方向への回動が空転可能な歯車機構(M)を介して前記筒状栓体(10)へ連結させたキャップ(20)とを備えた移行中栓付き容器において、
前記注出筒(1)の外面と前記螺筒(23)の内面とのいずれか一方に空気路(28a)を形成すると共に、前記キャップ(20)のねじ込み量を規制可能な規制手段を設け、
前記弱化部(11)の破断前には、前記規制手段により前記螺筒(23)の歯車機構(M)と前記注出筒(1)の上端面との間に空気通路(G)が形成可能に設けると共に、前記空気路(28a)と外気とを連通可能に設けることで、前記空気通路(G)と前記空気路(28a)とを介して前記注出筒(1)が外気と連通可能に設け、
前記弱化部(11)の開封による破断後の再栓時には、前記螺筒(23)が下降して前記空気路(28a)と外気との連通を遮断可能に設けた
ことを特徴とする移行中栓付き容器。
【請求項3】
開封前に、キャップ(20)をさらに締込み方向へ回動させることで、歯車機構(M)の外側の爪(25)を締込み方向側の内側の爪(14)へ当接ないし近接可能に設けて、前記螺筒(23)を下降させることで前記空気路(28a)と外気との連通を遮断可能に設けたことを特徴とする請求項2記載の移行中栓付き容器。
【請求項4】
前記注出筒(1)の外面と前記螺筒(23)の内面とのいずれか他方にシール部(30)を形成し、前記空気路(28a)を凹部で構成すると共に、前記シール部(30)を周方向へ延びる突部で構成し、前記弱化部の破断前には該突部と前記凹部との間に空気の流通を許容する隙間が形成可能に、また再栓時には前記突部が前記凹部から下方へ離間して前記注出筒(1)の外面へ気密に接触可能に設けたことを特徴とする請求項2又は3記載の移行中栓付き容器。
【請求項5】
前記弱化部(11)の破断前における前記キャップ(20)の締込み方向への回動時には前記キャップ(20)は下降可能に、
開封時における該キャップ(20)の開栓方向への回動時には、前記歯車機構Mを介して前記筒状栓体(10)が前記キャップ(20)と共に回動して前記弱化部(11)が破断することで前記注出筒1から分離して前記キャップ(20)へ移行可能に設け、
再栓時における前記キャップ(20)の締込み方向への回動で前記筒状栓体(10)が前記注出筒1内へ嵌合可能に設けたことを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の移行中栓付き容器。
【請求項6】
前記キャップ(20)の螺筒23下端に破断部(41)を介してバージンリング(40)を設けると共に、前記注出筒1に第2フランジ(6)を形成し、
前記弱化部(11)の破断前における前記キャップ(20)の締込み方向への回動時に、前記バージンリング(40)が下降して前記第2フランジ6へ係合可能に、かつ開封時における前記キャップ(20)の開栓方向への回動時に前記破断部(41)に上方への引張力が作用することで該破断部(41)が破断してバージンリング(40)が前記螺筒(23)から分離可能に設けたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の移行中栓付き容器。
【請求項7】
前記キャップ(20)の螺筒(23)下端に破断部(61)を介してバージンリング(60)を設けると共に、前記注出筒(1)に第1フランジ5及び第2フランジ(6)を形成し、
前記破断部(61)を前記螺筒(23)の下端とバージンリング(60)の上端とのそれぞれに形成した突部(62)と、上下に対向する一対の前記突部(62)どうしを連結する連結帯(63)で形成し、
前記弱化部(11)の破断前における前記キャップ(20)の締込み方向への回動時に、前記バージンリング(60)が下降して前記第2フランジ6を強制乗越えをして前記第1フランジ(5)へ当接すると共に前記連結帯(63)が圧潰することにより前記キャップ(20)の下降を停止可能に設け、
開封時における前記キャップ(20)の開栓方向への回動時に、前記第2フランジ(6)へ係合保持された前記バージンリング(60)の前記破断部(61)の連結帯(63)が破断して該バージンリング(60)が前記螺筒23から分離可能に設け、
再栓時における前記キャップ(20)の締込み方向への回動時に、前記螺筒(23)の突部(62)が前記バージンリング(60)の隣接する突部(62)間のバージンリング部分の上端へ当接可能に形成することで、前記キャップ(20)の前記下降停止位置よりさらに該キャップ(20)の下降を許容可能にして、前記空気路(28a)と外気との連通を遮断可能に設けたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の移行中栓付き容器。
【請求項8】
容器体(2)内へ一部を挿入させて起立する注出筒(1)内から弱化部(11)を介して起立する筒状栓体(10)と、
頂壁(21)から垂下した嵌合筒(22)を前記筒状栓体(10)へ抜出し不能にかつ回動自在に嵌合させると共に、前記頂壁(21)周縁から螺筒(23)を垂下して、該螺筒(23)を前記注出筒1外面へ螺合させ、さらに該注出筒(1)より上方の螺筒(23)部分を、締込み方向への回動が空転可能な歯車機構(M)を介して前記筒状栓体(10)へ連結させたキャップ(20)と
前記弱化部(11)の破断前に前記螺筒23の歯車機構Mと前記注出筒1の上端面との間に空気通路(G)が形成可能に前記キャップ(20)のねじ込み量を規制可能な規制手段と、
前記弱化部(11)の破断前には前記空気通路Gを介して前記注出筒(1)を外気へ連通させると共に、開封による弱化部(11)の破断後における再栓時には前記注出筒(1)の外気への連通を遮断する連通開閉手段(28a、30)とを設けておき、
前記弱化部(11)の破断前に、前記注出筒(1)内へ検査空気を供給して、成形時に前記弱化部(11)に発生することがある欠陥部から注出筒(1)内の検査空気が筒状栓体(10)の下部外面と注出筒(1)の上端部内面との隙間、前記空気通路(G)および前記連通開閉手段(28a、30)を介して流出する空気を検出して前記弱化部における欠陥部の有無を判断することを特徴とする弱化部のリーク検査方法。













【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−76785(P2012−76785A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223047(P2010−223047)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】