説明

移設検知装置および移設検知装置を備えた機器

【課題】機器の移設を確実に検知する取扱性の優れる移設検知装置が望まれている。
【解決手段】ケース10の内部の空間12と空間13に表面に図柄が描かれた被写体円板30が水平に配置される。被写体円板30は、ケース10の内部に充満された透明な液体に浸漬される。被写体円板30は、水平回転方向の振動が加えられたときにケース10に対して相対的に水平回転方向に回転可能である。デジタルカメラ20は、窓11に近接して設けられる。電源が投入されたときにデジタルカメラ20が被写体円板30の表面を撮影する。インターフェース装置2は、撮影された画像データを機器の制御装置3に転送する。白色発光ダイオード40は、窓19に近接して設けられ、ケース10内に照度を与える。制御装置3は、新しい画像データと以前に撮影された画像データを比較して一致しないときは起動しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械や精密測定器のような機器に設けられ、機器が不正に移設されることを検知することができる移設検知装置および移設検知装置を備えた機器に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械や精密測定器のような精密機器は、軍事技術に転用できるおそれのある製品に挙げられており、法律によって特定の外国組織には輸出が禁止されている。また、機器によっては、騒音や電波障害などの理由で設置が禁止されている区域がある。メーカは、社内規定の厳格な運用を行なって輸出規制の対象となっている機器が不正に外国組織に転売されないようにしたり、設置禁止場所に設置されないように監視したりしている。
【0003】
しかしながら、管理体制の確立だけでは不正輸出などを防止することが完全に保障されていないのが現状であることから、機器が設置禁止場所で物理的に稼動できないようにすることが考えられている。また、機器がメーカによって設置された後に、法律で禁止されている場所に移設されて使用されることが考えられるが、このような不正な移設を物理的に防止することが考えられている。
【0004】
特許文献1に開示される振動検出装置および機器の起動制御方法は、機器に振動検出手段を設けて、振動を検出すると機器が起動できないようにされている。そして、予め設定された条件下で起動禁止手段を解除することによって再び起動できるように構成されている。
【0005】
また、特許文献2に開示される工作機械の稼働状況管理システムは、工作機械に位置検出手段を設けて位置情報を無線などで管理装置に送ることで輸出が制限されている国に違法に転売されていないかどうか把握することができるようにしている。位置情報を送信するものとして、例えば、GPS(Global Positioning System)が利用されている。このように、位置情報を管理装置に送り工作機械の設置場所を把握するようにしたシステムや位置情報を利用して機器が使用許可地域外にあるときは作動しないようにした機器は、例えば、特許文献3ないし特許文献5に開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−35595号公報
【特許文献2】特開2005−107646号公報
【特許文献3】特開2005−44162号公報
【特許文献4】特開2005−190068号公報
【特許文献5】特開2006−215951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
振動検出手段によって不正な機器の移設を防止しようとする場合、確実に機器の移設を防止するためには振動検出手段を振動に対してある程度敏感に反応させなければならないことから、機器を移設するとき以外の小さな地震や機器を操作するときに発生してしまう振動によって振動検出手段が作動してしまい、しばしば機器を移設するとき以外でも機器が起動できなくなる事態が発生し、そのたびに機器を再起動できるようにする面倒な処置を行なわなければならない。
【0008】
また、機器を移設するときは機器の電源が遮断されているときであるから、機器に振動が加えられたことを記憶しておく振動履歴記憶手段が要求される。振動履歴記憶手段が機械的に振動の履歴を記憶しておく装置である場合は、振動検出手段が簡単に取り外しにくい位置に設けられる上に、不正に簡単に記憶をリセットできないようにされなければならないから、記憶をリセットする作業が面倒である。また、振動履歴記憶手段が電気的に振動の履歴を記憶しておく装置である場合は、機器の電源が遮断されている間もバッテリなどで振動履歴記憶手段に電力を供給しておく必要があり、バッテリなどには寿命が存在するので、長期間の使用に耐えられない。
【0009】
また、位置情報を無線によって送信して設置場所を把握したり、機器の移設を禁止したりする場合、そもそも電波の届かない場所には機器を設置できないという制約がある。また、電波の届かない場所に機器の設置を許可した場合は、その場所から無線が送受信できない電波の届かない状態で別の電波の届かない場所に機器が移設されるときは、管理することができなくなる。そして、位置情報による機器の管理を行なう場合は、人に頼る部分が大きくなるとともに多数の機器の位置を監視する大掛かりなシステムが要求される。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みて、工作機械や精密測定器のような機器の不正目的の移設をより確実に検知するとともに取扱性に優れる移設検知装置を提供することを目的とする。また、機器の不正目的の移設をより確実に禁止するとともに取扱性に優れる移設検知装置を備えた機器を提供することを目的とする。本発明の移設検知装置および移設検知装置を備えた機器の具体的な構成におけるいくつかの利点は、実施の形態を説明する際にその都度説明する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の移設検知装置は、上記課題を解決するために、機器に固定され少なくとも一部が透明なケース(10)と、表面に図柄が描かれケース(10)内に水平に配置されケース(10)に水平回転方向の振動が加えられたときのみ水平回転移動する円板状の回転体(30)と、ケース(10)の透明な部分に近接して設けられ機器の電源が投入されたときに回転体(30)の表面を撮影する撮像装置(20)と、撮像装置(20)で撮影された画像データを機器の制御装置(3)に転送するインターフェース装置(2)と、を有する。
【0012】
また、本発明の移設検知装置は、機器に固定され少なくとも一部が透明で内部に透明な液体を充満して封入するケース(10)と、表面に図柄が描かれケース(10)内に充満されている透明な液体に浸漬されるように水平に配置され水平回転方向に回転可能な円板状の回転体(30)と、ケースの透明な部分に近接して設けられ機器の電源が投入されたときに回転体(30)の表面を撮影する撮像装置(20)と、撮像装置(20)で撮影された画像データを機器の制御装置(3)に転送するインターフェース装置(2)と、を有する。
【0013】
また、本発明の移設検知装置は、機器に固定され少なくとも一部が透明なケース(10)と、表面に図柄が描かれケース(10)内に水平に配置され水平回転方向に回転可能な円板状の回転体(30)と、回転体(30)を支持する回転軸部材(18)と、回転軸部材(18)の両端を回転軸廻りに回転可能に支持する一対の軸受(60)と、ケース(10)の透明な部分に近接して設けられ機器の電源が投入されたときに回転体(30)の表面を撮影する撮像装置(20)と、撮像装置(20)で撮影された画像データを機器の制御装置(3)に転送するインターフェース装置(2)と、を有する。
【0014】
好ましくは、本発明の移設検知装置は、ケース(10)の透明な部分に近接して設けられケース(10)内に照度を与える光源(40)を有する。
【0015】
本発明の移設検知装置を備えた機器は、電源が投入されたときに表面に図柄が描かれケース(10)内に水平に配置されケース(10)に水平回転方向の振動が加えられたときにのみ水平回転移動する円板状の回転体(30)の表面を撮像装置(20)に撮影させて撮影された画像データと以前に電源が投入されたときに撮像装置(20)によって撮影され記憶装置(4)に記憶されている画像データと比較して一致しないときには正常に起動しないように構成された制御装置(3)を有する。
【0016】
また、本発明の移設検知装置を備えた機器は、機器に固定され少なくとも一部が透明で内部に透明な液体を充満して封入するケース(10)と、表面に図柄が描かれケース(10)内に充満されている透明な液体に浸漬されるように水平に配置され水平回転方向に回転可能な円板状の回転体(30)と、ケース(30)の透明な部分に近接して設けられ機器の電源が投入されたときに回転体(30)の表面を撮影する撮像装置(20)と、撮像装置(20)で撮影された画像データを機器の制御装置(3)に転送するインターフェース装置(2)と、を有する移設検知装置を備え、電源が投入されたときに回転体(30)の表面を撮像装置(20)に撮影させて撮影された画像データと以前に電源が投入されたときに撮像装置(20)によって撮影され記憶装置(4)に記憶されている画像データと比較して一致しないときには正常に起動しないように構成された制御装置(3)を有する。
【0017】
また、本発明の移設検知装置を備えた機器は、機器に固定され少なくとも一部が透明なケース(10)と、表面に図柄が描かれケース(10)内に水平に配置され水平回転方向に回転可能な円板状の回転体(30)と、回転体を支持する回転軸部材(18)と、回転軸部材(18)の両端を回転軸廻りに回転可能に支持する一対の軸受(60)と、ケース(10)の透明な部分に近接して設けられ機器の電源が投入されたときに回転体(30)の表面を撮影する撮像装置(20)と、撮像装置(20)で撮影された画像データを機器の制御装置(3)に転送するインターフェース装置(2)と、を有する移設検知装置を備え、電源が投入されたときに回転体(30)の表面を撮像装置(20)に撮影させて撮影された画像データと以前に電源が投入されたときに撮像装置(20)によって撮影され記憶装置(4)に記憶されている画像データと比較して一致しないときには正常に起動しないように構成された制御装置(3)を有する。
【0018】
なお、符号は説明の便宜上設けたものであって、本発明の移設検知装置および移設検知装置を備えた機器を図面に対応する実施の形態の移設検知装置および移設検知装置を備えた機器と同一の部材に限定するものではない。
【発明の効果】
【0019】
本発明の移設検知装置および移設検知装置を備えた機器は、表面に図柄が描かれ水平回転方向の振動が加えられたときのみ水平回転移動する円板状の回転体の表面を撮影して機器の移動を検知する構成である。機器を搬送するときは、機器に水平回転方向の力を与えることが避けられない。したがって、機器を移動するときは、慣性の法則によりケースに対して回転体が水平回転方向に相対的に回転するため、撮像装置で撮影される図柄が以前に撮影された図柄と異なるので、機器の移動を検知することができる。一方、地震のときのように機器が据え置かれた状態で振動が加えられたときは、水平回転方向の力が加えられる可能性が極めて低いため、回転体が水平回転方向に回転せず、撮像装置で撮影される図柄が以前に撮影された図柄と同じであるので、機器の移設を検知しない。そのため、機器の移設だけを確実に検知することができるので、不必要に再起動の処理が要求されることがない。したがって、より確実に不正な機器の移設を防止できるとともに取扱性に優れる。
【0020】
また、本発明の移設検知装置および移設検知装置を備えた機器は、機器の電源が投入されたときに撮像装置が回転体の表面を撮影してインターフェース装置を通して機器の制御装置に画像データを送信する構成であるから、機器に振動が加えられたことを記憶させておく必要がない。そのため、機器の電源が遮断されている間に振動が加えられたかどうかを記憶させておく記憶手段と記憶手段に記憶させる手段が不要であって、不必要な記憶のリセットの操作が要求されず、あるいはバッテリ切れによって機器の使用期間中に移設検知装置が作動しなくなることがない。したがって、より確実に不正な機器の移設を防止できるとともに取扱性に優れる。
【0021】
また、本発明の移設検知装置および移設検知装置を備えた機器は、撮像装置が撮影した回転体の表面に描かれた図柄によって機器の移設を検知する構成であって電波を使用しないので、電波が届かない場所に設置することができるとともに、電波が届かない場所から電波が届かない状態で別の電波が届かない場所に移設されたときでも、確実に機器の移設を検知できる。したがって、より確実に不正な機器の移設を防止できるとともに取扱性に優れる。また、大掛かりなシステムが要求されず、また人に頼る部分が少なく、許可のない機器の移設を確実に禁止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、本発明の移設検知装置の好ましい実施の形態の構成を示す。図2は、本発明の移設検知装置の好ましい実施の形態の断面を示す。また、図3に、本発明の移設検知装置と機器の制御装置とを接続する形態がブロック図で示される。以下、図1ないし図3を用いて、本発明の移設検知装置および移設検知装置を備えた機器の第1の実施の形態を説明する。
【0023】
移設検知装置は、機器を他の場所に移動するとき以外は動かない機器の固定部位、好ましくは、移設検知装置を取り外し難い部位、例えば、フレームやベッドのような基礎部材の内側に強固に取り付けられる。移設検知装置は、本体1とインターフェース装置2とで構成される。移設検知装置の本体1は、ケース10、撮像装置であるデジタルカメラ20、円板状の回転体である被写体円板30、およびケース10内に必要な照度を与える光源である照明用白色発光ダイオード(LED, Light Emitting Diode)40を有する。
【0024】
ケース10は、機器に取付固定される金属製あるいはプラスチック製の箱体である。ケース10の外形は上面と下面の形状が正方形の直方体にされているが、取り付ける機器の基礎部材の外形に合わせた形状にすることができる。ケース10の一部は透明であり、ケース10は、内部に透明な液体を充満している。具体的には、ケース10の透明部分は窓である。窓は、ケース10に設けられた窓穴部分にその窓穴部分と同じサイズのケース10の本体とは別の透明な部材を隙間なく嵌め込んでケース10の本体と一体化して形成されるか、窓穴部分に透明な樹脂を注入して一体成形される。好ましくは、図1に示されるように、ケース10の本体の一部分を段状に刳り貫いて窓穴部分を形成し、デジタルカメラ20のレンズ22を透明な部材と一体に形成した窓11を下段部分に嵌め込んだ構成とする。
【0025】
ケース10は、上側ケース10Aと下側ケース10Bで成る。上側ケース10Aと下側ケース10Bは、4本の組付ボルト12で4隅が強固に締付固定されて、上側ケース10Aの下面と下側ケース10Bの上面が密着して組み付けられて一体化される。
【0026】
下側ケース10Bに、被写体円板30の直径より大きい円柱形の空間13が形成されている。また、上側ケース10Aに、下側ケース10Bに設けられた円柱形の空間13に対向する同じ直径を有する僅かな深さ、具体的には、被写体円板30の厚さより僅かに大きい深さの円柱形の空間14が設けられている。このとき、上側ケース10Aに必ずしも空間14を形成する必要はなく、上側ケース10Aを下側ケース10Bに対する蓋のような部材とすることができる。上側ケース10Aの中央部位には貫通孔15が設けられていて、組付ボルト12で上側ケース10Aと下側ケース10Bが組み付けられて一体化されたときに、貫通孔15から円柱形の空間13と空間14に透明の液体が注入されて、空間13と空間14は透明の液体で充満される。
【0027】
下側ケース10Bには、円柱形の空間13の外周に沿って環状の溝が形成され、環状の溝に環状のシール部材であるOリング16が嵌め込まれる。そのため、組付ボルト12で上側ケース10Aと下側ケース10Bが組み付けられて一体化されて、空間13と空間14に透明の液体が注入され、封止部材で貫通孔15が塞がれると、空間13と空間14に充満する液体は、完全に密封されて外側に漏出しない。
【0028】
封入される透明の液体は、常温液体で所定の透明度を有する液体であれば限定されず、例えば、不純物がほぼ完全に取り除かれ防腐剤が混入された水やスピンドルオイルのような透明のオイルである。液体は、ケース10に水平方向または水平方向に垂直な方向(鉛直方向)の振動が加えられたときに、回転体である被写体円板30をケース10に対して水平回転方向に微動させない粘性を有しており、ダンパの役割を果たしている。したがって、被写体円板30は、より確実にケース10に水平回転方向の振動が加えられたときのみ水平回転移動する。ただし、通常では考えられない大きな振動が機器に加えられたときまで被写体円板30の水平回転移動を阻止することは要求されない。また、ケース10、Oリング16、被写体円板30などを化学腐食させない液体が好ましい。
【0029】
下側ケース10Bに設けられた円柱形の空間13の中央部分は円形の突出部位17が一体で形成されており、突出部位17に回転軸部材18が固定されている。回転軸部材18は、上側ケース10Aの貫通孔15内に突出して設けられる。回転軸部材18を被写体円板30の中央に設けられた円形の孔に通して被写体円板30が水平回転方向に回転可能に取り付けられるが、回転軸部材18が上側ケース10Aの貫通孔15内に突出して設けられるとともに液中に浸漬して設けられるので、被写体円板30は液体が抵抗となって上下に動くことがなく回転軸部材18から外れない。
【0030】
デジタルカメラ20は、ケース10の透明な部分に近接ないし密接して設けられる。デジタルカメラ20は、機器の電源が投入されたときに被写体円板30の表面の所定領域を撮影して表面に描かれた図柄の画像データを出力する。デジタルカメラ20は、撮像素子にCCDイメージセンサ(Charge Coupled Device)やCMOSイメージセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を用いたカメラ本体21とレンズ22を有する、いわゆるCCDカメラあるいはCMOSカメラである。カメラ本体21は、上側ケース10Aの一部分に段状に刳り貫かれて形成された窓穴部分に嵌め込まれる。また、レンズ22は、窓穴部分の下段部分に窓11と一体で嵌め込まれる。
【0031】
被写体円板30は、表面に図柄が描かれ、図柄が描かれた面を上面としてケース10内に透明の液体に浸漬されるように水平に配置される。図柄は、不規則な模様であるが、絵や文様のような図柄あるいはある規則に従って描かれた模様が採用できる。図柄は、好ましくは黒色であり、後述するように、本発明の移設検知装置が被写体円板30の表面の所定領域を撮影して撮影された所定領域の図柄によって機器の移動を検知する構成であることから、水平回転方向(円周方向)に異なる位置で所定領域の中に同じ形が全く現れないものであることが好ましい。ただし、異なる位置で所定領域の中に同じ形が現れる確率が極めて低いとするならば、移設を禁止する目的で許容できる範囲で、異なる位置で所定領域の中に同じ画像が偶然に現れる図柄までを排除するものではない。
【0032】
好ましくは、被写体円板30は、光をある程度透過する白色ないし半透明乳白色の樹脂材料で形成され、上面に黒の不規則な図柄が描かれる。ケース10内の空間13および空間14に外から光が入らない構成である場合は、照明用白色発光ダイオード40が設けられる。また、被写体円板30が完全に透明である場合は、光源からの光が直接レンズ22に照射される。そこで、上記のように、光をある程度透過する白色あるいは半透明乳白色の被写体円板30を用いる。また、機器の移動を検出する上では、白黒のパターン認識で十分であり撮影された図柄の識別も容易であるので、被写体円板30を白色にして背景を白にするとともに、図柄を黒にすることによって、より鮮明な画像データを得られるようにしている。
【0033】
被写体円板30は、中央に設けられた円形の孔に下側ケース10Bに設けられた回転軸部材18を通すようにして水平回転方向に回転可能に取り付けられる。被写体円板30は、回転軸部材18とケース10に満たされた液体によって水平方向および鉛直方向の移動が規制されていて、水平回転方向にのみ移動することができる。好ましくは、図示しない規制部材を回転軸部材18に嵌め込んで、被写体円板30が鉛直方向に移動しないようにする。被写体円板30と回転軸部材18との間の摩擦抵抗は、ケース10に水平回転方向の振動が加えられたときに被写体円板30の水平回転移動が妨げられない程度である。被写体円板30は、上側ケース10Aと下側ケース10Bで形成される空間13および空間14の中に封入された透明の液体の中に浸漬されるようにしてケース10内に収納される。被写体円板30は、被写体円板30と上側ケース10Aの下面との間に僅かな隙間を有し、その隙間に透明の液体が介在するようにして、水平回転移動が阻害されないようにされる。
【0034】
照明用白色発光ダイオード40は、被写体円板30を挟んでデジタルカメラ20とは反対側の下側ケース10Bの透明な一部分に近接ないし密接して設けられる。照明用の光源は、デジタルカメラ20が被写体円板の上面に描かれた図柄を撮影する際に必要な光を供給するものであり、ケース10がケース10内に自然に外光を導入しない構成のときに設けられる。具体的には、図2に示されるように、下側ケース10Bの一部分に透孔が設けられていて、下側ケース10Bは、透孔に透明な部材が液密に嵌め込まれた窓19を有する。そして、窓19に近接ないしは密接して照明用白色発光ダイオード40が位置するように照明用白色発光ダイオード40が透孔に収納される。または、光源が透明なプラスチックと一体成形された透孔と同サイズの透明な部材を透孔に嵌め込んで光源と窓を兼用させる。
【0035】
照明用白色発光ダイオード40は、デジタルカメラ20のレンズ22と同じように上側ケース10側の透明部分に設けることができる。しかしながら、撮影する方向と同じ方向から被写体を照射すると、光が乱反射するなどして正確な撮影を困難にすることがある。したがって、光を透過する白色の材料で被写体円板20を形成して、撮影する方向とほぼ反対の方向に設けられた光源から光を照射するように構成することが望ましい。
【0036】
移設検知装置のインターフェース装置2は、デジタルカメラ20で撮影された被写体円板30の表面の所定領域の図柄の画像データを機器の制御装置3に転送する。インターフェース装置2は、ケース10に近接して機器の基礎部材に取り付けられる。好ましくは、インターフェース装置2の基板は、専用のケースに収納される。また、ケース10に透明な液体と被写体円板30を封入した空間13および空間14とは別の空間を形成して、その空間にインターフェース装置2の基板を収納し、移設検知装置の本体1と一体にすることができる。
【0037】
機器の制御装置3は、図3に示されるように、ハードディスクのような第1の記憶装置4とRAM(Random Access Memory)のような第2の記憶装置5、および演算装置6を有する。制御装置3は、電源装置を含んでおり、機器の動作を制御する。また、制御装置3には、図示しないキーボード等の制御盤、スイッチ類、表示装置が設けられており、機器を操作したり、監視したりすることができる。したがって、制御装置3が正常に起動しない限り、実質的に機器を稼動させることができない。
【0038】
最初に機器を設置する初期状態では、作業者が電源を投入してから制御装置3の初期のセッティング操作を行なう。制御装置3は、初期のセッティング操作が完了すると、インターフェース装置2を通して移設検知装置の本体1に電力と指令信号を供給して、デジタルカメラ20に被写体円板30の表面の所定領域を撮影させる。そして、制御装置3は、撮影された被写体円板30の表面に描かれた図柄の画像データを記憶装置4に記憶させる。
【0039】
制御装置3は、初期状態以外では、電源が投入されたときに、移設検知装置の本体1に内蔵されているデジタルカメラ20にインターフェース装置2を通して電力と指令信号を供給して、デジタルカメラ20に被写体円板30の表面の所定領域を撮影させる。次に、制御装置3は、デジタルカメラ20によって撮影された被写体円板30の表面の所定領域に描かれた図柄の画像データをインターフェース装置20を通して転送させて記憶装置5に記憶させる。そして、制御装置3は、パターン認識プログラムに従って記憶装置5に記憶されている入力した画像データと以前に電源が投入されたときにデジタルカメラ20によって撮影され記憶装置4に記憶されている画像データとを比較して、画像データが予め定められた識別レベルの範囲で一致しないと判断されるときには正常に起動しないように動作する。
【0040】
制御装置3は、記憶装置5に記憶されている新しく入力した画像データと記憶装置4に記憶されている以前の画像データとが一致していると判断されるときは、記憶装置4に記憶されている以前の画像データをオーバライトして記憶装置5に記憶されている新しく入力した画像データを記憶装置4に記憶させる。機器が移設されていないときは、古い画像データを消去して新しい画像データを記憶装置4に記憶させることによって、長期間継続して使用している間に生じる可能性のある図柄の僅かなずれによる誤認識を回避することができる。
【0041】
制御装置3は、記憶装置5に記憶されている新しく入力した画像データと記憶装置4に記憶されている以前の画像データとが一致していないと判断されるときは、図示しない表示装置にエラーメッセージと解除コード入力画面を表示させる。画像データが入力されないとき、例えば、移設検知装置の本体1やインターフェース装置2が取り外されたり、データ線が切られたりしているときは、新しく入力した画像データと以前の画像データとが一致しないと判断される。
【0042】
解除コードはメーカだけが知り得る暗号コードであるため、記憶装置4に記憶されているコードを読み取って入力しても解除することができない。解除コードが制御装置3に入力され解除コードが記憶装置4に記憶されているコードを暗号化した暗号コードと一致したときは、制御装置3は、再びデジタルカメラ20に被写体円板30の表面の所定領域を撮影させて画像データを転送させ、記憶装置4に記憶されている以前の画像データをオーバライトして記憶装置5に記憶されている新しく入力した画像データを記憶装置4に記憶させてから、正常に起動する。このように制御装置を構成することによって、機器が不正に移設されたときに機器が再起動されるおそれがなく、かつ機器が正当に移設されたときに機器を再起動できるようにする解除操作が簡単であって、より取扱性に優れる。
【0043】
機器の制御装置の典型的な具体例は、工作機械のコンピュータ数値制御装置である。機械は、工場内に一旦据え置かれると、殆ど移動されることがない。本発明の移設検知装置は、その構成上、据え置かれている機械に与えられるであろう振動では機械の移動を検出する可能性が極めて小さいので、機械を移動したとき以外で制御装置が起動しないというおそれが少ない。そして、工場内における機械の配置転換のような正当な理由で機械が移動されることがあっても、解除コードを入力することで機械を稼動させることができるので、機械を稼動できない時間は僅かである。一方、解除コードはメーカだけが知り得るものであり、機械の移動後に機械を稼動させるためには、機械の使用者は、必ずメーカに機械を移動した理由と新しい機械の設置場所を知らせることが要求される。したがって、不正な機械の移設は確実に防止され、かつ取扱性に優れる。
【0044】
次に、本発明の移設検知装置および移設検知装置を備えた機器の動作を説明する。最初に機器を設置するときは、記憶装置4に画像データは記録されていない初期状態にある。制御装置3は、初期状態にあるときは、初期セッティングが完了しないと機器を操作できないようにされている。作業者が初期セッティング作業を完了すると、制御装置3は、デジタルカメラ20に被写体円板30の表面の所定領域を撮影させて、インターフェース装置2を通してデジタルカメラ20が撮影した被写体円板30の表面に描かれた図柄の画像データを転送させ、入力した画像データを記憶装置4に記憶させる。
【0045】
制御装置3は、記憶装置4に画像データを記憶させるときは、パターン認識プログラムに従って入力した画像データを補正して特徴抽出を行ない特徴パターンを画像データとして記憶装置4に記憶させる。このとき、デジタルカメラ20は固定されていて定点で被写体円板30の表面の所定領域に描かれている白黒の図柄を撮影するものである。画像データの補正は、ノイズ除去、平滑化、鮮鋭化、2次元フィルタリング処理、2値化、細線化操作、正規化(拡大・縮小、平行移動、回転移動、濃度変換等)のうちの必要な処理のみを行なう。また、特徴抽出を行ない特徴パターンを得る場合も、同様に必要な処理のみを行なう。
【0046】
初期状態以外のときは、制御装置3は、電源が投入されるとデジタルカメラ20に被写体円板30の表面の所定領域を撮影させて移設検知装置に被写体円板30の所定領域に描かれた図柄の画像データを転送させ、入力された画像データを一旦記憶装置5に記憶させる。制御装置3は、記憶装置5に画像データを記憶させるときは、パターン認識プログラムに従って入力した画像データを補正して特徴抽出を行ない特徴パターンを画像データとして記憶装置5に記憶させる。
【0047】
次に、制御装置3は、記憶装置4から以前に電源が投入されたときに撮影された画像データを読み出して、新しく入力された画像データと以前の画像データを比較する。画像データの比較は、パターン認識プログラムに従って指紋認識などでも利用されているパターンマッチングによって行なう。パターンマッチングの識別レベルは、データの最小単位(画素、ピクセル等)の全体数に対してどの程度の数まで一致したら画像が一致すると識別するのかの割合を予め定めておく。本発明の移設検知装置は、デジタルカメラ20が固定されて被写体円板30の表面の所定領域を定点で撮影するものであり、また、白黒の図柄を撮影するものであるので、比較的高い値に設定しておくとよい。
【0048】
ケース10に充満され封入された透明の液体は、ケース10を動かさない限りケース10と一体となって動くことがないので、ケース10内の空間13および空間14に水平に配置された被写体円板30も回転しない。ケース10に水平方向または鉛直方向に力が加えられたときは、被写体円板30は水平方向および鉛直方向に移動できないように空間13および空間14に充満された液体とともにケース10内に密封して収納されているので、被写体円板30が移動する可能性は極めて低い。したがって、設置されている機器に小さな地震などによって水平方向あるいは鉛直方向に振動が加えられても被写体円板30は移動しない。
【0049】
したがって、機器が移設されていないときは、新しく入力された画像データと以前の画像データは一致する。制御装置3は、新しく入力された画像データと以前の画像データが一致したと判断したときは、古い以前の画像データをオーバライトして消去して新しい画像データを記憶装置4に記憶させて、正常に起動する。制御装置3が正常に起動したら、表示装置上に通常の操作画面が表示されて、機器を稼動させることができる。
【0050】
機器を移設しようとして機器を搬送すると、静かに運搬したとしても機器に水平回転方向の力が加わる。ケース10が水平回転方向に動かされたときは、内部の透明の液体と被写体円板30が慣性の法則により元の位置に留まろうとするため、ケース10側から見た場合にケース10内部の液体はケース10内で回転し、それにともなってケース10に対して相対的に被写体円板30が回転する。
【0051】
したがって、機器が移設されたときは、新しく入力された画像データと以前の画像データは不一致になる。制御装置3は、新しく入力された画像データと以前の画像データが一致しないと判断したときは、正常に起動しない。制御装置3は、正常に起動しないときは、表示装置にエラーメッセージと解除コード入力画面を表示させる。したがって、制御装置3が正常に起動しないと、機器を稼動させることができない。解除コードが入力されたときは、制御装置3が正常に起動する。このとき、制御装置3は、再度移設検知装置のデジタルカメラ20に被写体円板30の表面の所定領域を撮影させて、撮影した画像データを転送させ、入力した画像データに必要な補正処理を施して、古い以前の画像データをオーバライトして新しく入力した画像データを記憶装置4に記憶させる。なお、エラーを解除するための記憶装置5に記憶されているコードも乱数を用いて更新される。
【0052】
図4に、本発明の移設検知装置の別の実施の形態が示される。図1ないし図3に示される移設検知装置と同一の符号が付された部材は、特段の説明がない限り実質的に同一な構成であることを示す。以下に、本発明の移設検知装置の第2の実施の形態を説明する。なお、第2の実施の形態における移設検知装置において、インターフェース装置と機器の制御装置および移設検知装置を備えた機器の構成および動作は、図1ないし図3に示される先に説明された第1の実施の形態と本質的に同じであるので、第1の実施の形態に係る記載を参照するものとして、詳細な説明は省略する。
【0053】
図4に示される実施の形態における移設検知装置は、基本的には、図1ないし図3に示される第1の実施の形態とは、ケース10に水平回転方向の振動が加えられたときのみケース10に対して水平回転移動する回転体である被写体円板30と被写体円板30を支持する回転軸部材18の構成の点で異なる。
【0054】
下側ケース10Bに、被写体円板30の直径より大きい円柱形の空間13が形成されている。また、上側ケース10Aに、下側ケース10Bに設けられた円柱形の空間13に対向する同じ直径を有する下側ケース10Bと同様の深さの円柱形の空間14が設けられている。このとき、この実施の形態では、ケース10内の空間13と空間14に透明の液体が充満される必要がない。したがって、図2に示されるような液体を注入するための貫通孔15と液体の漏出を防止するOリング16は不要であるが、ここではケース10内を密閉するためにOリング16が設けられている。
【0055】
上側ケース10Aの内側空間14の外周縁部分は、下側ケース10Bの空間13に上側ケース10Aが嵌め込まれるように突縁部位51が形成されていて、いわゆるインロー方式(印籠方式)で上側ケース10Aが下側ケース10Bに組み込まれる。したがって、ケース10の外観が突出部分のない箱形になるとともに、上側ケース10Aと下側ケース10Bを同心に配置することができるので、回転軸部材18が回転軸廻りに回転する際に芯振れを起こさないようにすることができる。
【0056】
上側ケース10Aと下側ケース10Bの中心部位にそれぞれ芯部位が設けられていて、芯部位に軸受60が固定されている。軸受60は、ミニチュアボールベアリングでなる軸受で、回転軸部材18の両端を回転軸廻りに回転可能に支持する。軸受60は、振動に対して十分な強度があり、回転軸部材18を滑らかに回転軸廻りに回転させることができる部材が採用される。また、軸受60は、ケース10に水平方向または鉛直方向の振動が加えられたときに、被写体円板30をケース10に対して水平回転方向に微動させない転がり抵抗を有しており、ダンパの役割を果たしている。したがって、被写体円板30は、より確実にケース10に水平回転方向の振動が加えられたときのみ水平回転移動する。
【0057】
回転軸部材18は、回転軸廻りに回転可能な金属性のシャフトであり、被写体円板30を固定して支持する。したがって、第1の実施の形態における回転軸部材18が下側ケース10Bに固定されて被写体円板30を水平回転方向に水平回転可能に支持する構成であるのに対して、この実施の形態の回転軸部材18は、回転軸部材18が回転軸廻りに回転するシャフトであり、被写体円板30とともに回転する点で異なる。回転軸部材18の両端は、振動に対して十分な強度を有する軸受60で支持されていて、回転軸部材18が回転軸廻りにのみ回転するので、被写体円板30は水平方向および鉛直方向の移動が規制され、水平回転方向のみに水平回転移動する。
【0058】
上側ケース10Aには、外側と空間14を貫通する空気孔70が穿設されている。空気孔70の外側開口は、気圧調整用の小穴が設けられたプラグ71で塞がれる。また、空気孔70内には、外部からの粉塵の侵入を防止するフィルタ72が設けられる。したがって、空間13および空間14の気圧が一定に保たれるとともに清浄な状態に維持されるので、デジタルカメラ20の撮影精度を劣化させることがない。なお、ケース10内を透明な液体で充満させるようにした場合は、空気孔70を利用して液体を空間13および空間14に注入して封止部材で空気孔70を塞ぐようにすることができる。
【0059】
回転体である被写体円板30は、光をある程度透過する白色系の材料で形成され、表面に黒色の不規則な図柄が描かれている。被写体円板30は、回転軸部材18に固定されている。好ましくは、被写体円板30は、慣性モーメントの大きい材料、例えば、表面に光をある程度透過する塗装が施された透明のガラス材で形成され、水平回転方向に加えられる振動に対する水平回転移動がより確実に滑らかに行なわれるようにされる。回転軸部材18は両端が軸受60で回転軸廻りに回転可能に設けられているので、被写体円板30は、ケース10に対して回転することができる。
【0060】
すでに述べられている通り、インターフェース装置と機器の制御装置の構成および移設検知装置を備えた機器の構成と動作は、第1の実施の形態におけるインターフェース装置2と機器の制御装置3および移設検知装置を備えた機器の動作と基本的に同じである。
【0061】
このように、この実施の形態では、被写体円板30が回転軸部材18であるシャフトに固定されているとともに、シャフトの両端が振動に対して十分な強度を有し水平方向および鉛直方向の振動では水平回転移動しない転がり抵抗を有する軸受60によって支持されて水平方向や鉛直方向に移動しないように規制されているので、ケース10に水平回転方向に振動が加わったときのみ被写体円板30が水平回転移動する。
【0062】
したがって、ケース10を動かさない限り被写体円板30が水平回転移動することがないことはもちろん、ケース10に水平方向や鉛直方向の振動が加えられても被写体円板30は動かない。そのため、デジタルカメラ20が撮影する被写体円板30の表面の所定領域における図柄の画像データが以前に撮影された画像データと一致して機器の移動を検出しない。そのため、機器を移設しないときに移設検知装置が移動を検出することがなく、制御装置3は正常に起動するので、機器の正当な使用時に機器が稼動できなくなる可能性が極めて低く、取扱性に優れる。
【0063】
一方、機器を移設しようとして機器を搬送すると、静かに運搬したとしても機器に水平回転方向の力が加わる。ケース10に水平回転方向の振動が加えられたときは、被写体円板30が慣性の法則によって元の位置に留まろうとするが、回転軸部材18が軸受60で滑らかに回転できるように構成されているので、被写体円板30がケース10に対して相対的に水平回転移動する。したがって、デジタルカメラ20が撮影する被写体円板30の表面の所定領域における図柄の画像データが以前に撮影された画像データと不一致と判断されて機器の移動を検出する。そのため、機器を移設するときは制御装置3が起動せず機器が稼動できなくなるので、機器の移設を確実に検出して不正な機器の移設を防止することができる。
【0064】
以上に説明される実施の形態は、好ましい実施の形態の一例を具体的に示したものである。したがって、本発明は、実施の形態に限定されるものではなく、すでにいくつかの点で例示したが、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で変形して用いることが可能である。例えば、回転体は、被写体円板30に限らず、水平回転方向のみに移動可能な他の形状の回転体に置き換えて用いることができる。また、実施の形態では、ケース10が上側ケース10Aと下側ケース10Bを組み合わせて成るものであるが、3以上の部品を組み立ててケースを構成するようにできる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、工作機械、精密測定器、半導体製造装置のような輸出禁止対象の機器、設置場所が法律や条令で制限される機器、レンタル契約などで設置場所が限定される機器など許可なく移設が禁止される機器に利用できる。本発明の移設検知装置および移設検知装置を備えた機器は、法律による規制やメーカによる管理だけでは十分に防止できない不正な機器の移設を確実に禁止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の移設検知装置の実施の形態の本体を示す斜視図である。
【図2】本発明の移設検知装置の実施の形態の本体を示す断面図である。
【図3】本発明の移設検知装置と移設検知装置を備えた機器における実施の形態の概略構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の移設検知装置の別の実施の形態の本体を示す断面図である。
【符号の説明】
【0067】
1 移設検知装置の本体
10 ケース
10A 上側ケース
10B 下側ケース
11 窓
12 組付ボルト
13,14 空間
15 貫通孔
16 Oリング
17 突出部位
18 回転軸部材
19 窓
20 デジタルカメラ
21 カメラ本体
22 レンズユニット
30 被写体円板
40 照明用白色発光ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器に固定され少なくとも一部が透明なケースと、表面に図柄が描かれ前記ケース内に水平に配置され前記ケースに水平回転方向の振動が加えられたときのみ水平回転移動する円板状の回転体と、前記ケースの透明な部分に近接して設けられ機器の電源が投入されたときに前記回転体の表面を撮影する撮像装置と、前記撮像装置で撮影された画像データを機器の制御装置に転送するインターフェース装置と、を有する移設検知装置。
【請求項2】
機器に固定され少なくとも一部が透明で内部に透明な液体を充満して封入するケースと、表面に図柄が描かれ前記ケース内に充満されている透明な液体に浸漬されるように水平に配置され水平回転方向に回転可能な円板状の回転体と、前記ケースの透明な部分に近接して設けられ機器の電源が投入されたときに回転体の表面を撮影する撮像装置と、撮像装置で撮影された画像データを機器の制御装置に転送するインターフェース装置と、を有する移設検知装置。
【請求項3】
機器に固定され少なくとも一部が透明なケースと、表面に図柄が描かれ前記ケース内に水平に配置され水平回転方向に回転可能な円板状の回転体と、前記回転体を支持する回転軸部材と、前記回転軸部材の両端を回転軸廻りに回転可能に支持する一対の軸受と、前記ケースの透明な部分に近接して設けられ機器の電源が投入されたときに前記回転体の表面を撮影する撮像装置と、前記撮像装置で撮影された画像データを機器の制御装置に転送するインターフェース装置と、を有する移設検知装置。
【請求項4】
前記ケースの透明な部分に近接して設けられ前記ケース内に照度を与える光源を有する請求項1ないし請求項3に記載の移設検知装置。
【請求項5】
電源が投入されたときに表面に図柄が描かれケース内に水平に配置され前記ケースに水平回転方向の振動が加えられたときにのみ水平回転移動する円板状の回転体の前記表面を撮像装置に撮影させて撮影された画像データと以前に電源が投入されたときに前記撮像装置によって撮影され記憶装置に記憶されている画像データと比較して一致しないときには正常に起動しないように構成された制御装置を有する移設検知装置を備えた機器。
【請求項6】
機器に固定され少なくとも一部が透明で内部に透明な液体を充満して封入するケースと、表面に図柄が描かれ前記ケース内に充満されている透明な液体に浸漬されるように水平に配置され水平回転方向に回転可能な円板状の回転体と、前記ケースの透明な部分に近接して設けられ機器の電源が投入されたときに回転体の表面を撮影する撮像装置と、撮像装置で撮影された画像データを機器の制御装置に転送するインターフェース装置と、を有する移設検知装置を備え、電源が投入されたときに前記回転体の表面を前記撮像装置に撮影させて撮影された画像データと以前に電源が投入されたときに前記撮像装置によって撮影され記憶装置に記憶されている画像データと比較して一致しないときには正常に起動しないように構成された制御装置を有する移設検知装置を備えた機器。
【請求項7】
機器に固定され少なくとも一部が透明なケースと、表面に図柄が描かれ前記ケース内に水平に配置され水平回転方向に回転可能な円板状の回転体と、前記回転体を支持する回転軸部材と、前記回転軸部材の両端を回転軸廻りに回転可能に支持する一対の軸受と、前記ケースの透明な部分に近接して設けられ機器の電源が投入されたときに前記回転体の表面を撮影する撮像装置と、前記撮像装置で撮影された画像データを機器の制御装置に転送するインターフェース装置と、を有する移設検知装置を備え、電源が投入されたときに前記回転体の表面を前記撮像装置に撮影させて撮影された画像データと以前に電源が投入されたときに前記撮像装置によって撮影され記憶装置に記憶されている画像データと比較して一致しないときには正常に起動しないように構成された制御装置を有する移設検知装置を備えた機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−8571(P2009−8571A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−171355(P2007−171355)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000132725)株式会社ソディック (197)
【出願人】(507222354)株式会社ソディックCPC (1)
【Fターム(参考)】