説明

穀類及び豆類、野菜、魚介類等の殺菌方法

【課題】穀類及び豆類、野菜、魚介類等の食品素材に付着する微生物を、食味及び風味を損なわずに、低減させる方法を開発することにある。
【解決手段】pH12.0以上の焼成カルシウム水溶液に、オゾンガスまたは酸素ガスを混入して、殺菌効果を有するOHラジカルを積極的に増加させた水を製造し、この水溶液にて、穀類及び豆類、野菜、魚介類等の食品素材を流水処理することで、これらに付着する微生物を、食味および風味を損なわずに低減させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀類及び豆類、野菜、魚介類等の食品素材に付着する微生物を水溶液下、かつ非加熱で殺菌する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水溶液下、かつ非加熱によって殺菌する方法として、次亜塩素酸、オゾン水、有機酸、電解水等を利用する方法が知られている。このうち、オゾン水による殺菌機構は、酸性域ではオゾンそのものが主体となり、アルカリ性域ではオゾンが分解する際に生成するOHラジカルが主体となって微生物の細胞壁を破壊し、死滅させる。このオゾンのアルカリ性域での特性を利用して、pH7.5〜11.0の範囲のアルカリ性水とオゾン水を利用した穀類の洗浄技術(特許文献1参照)があるが、pH12.0以上の強アルカリ性の水溶液に、オゾンガスや酸素ガスを混入して、積極的に殺菌効果を有するOHラジカルを生成し、この水にて食品素材を殺菌する方法の事例はない。(非特許文献1、非特許文献2,非特許文献3参照)
【特許文献1】特開2000−189067
【非特許文献1】殺菌・除菌実用便覧、サイエンスフォーラム、1996
【非特許文献2】洗浄殺菌の科学と技術、サイエンスフォーラム、2000
【非特許文献3】食品の非加熱殺菌応用ハンドブック、サイエンスフォーラム、2001
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
次亜塩素酸やオゾン水、有機酸、電解水を利用する方法は、遊離している微生物には優れた殺菌効果を発揮するが、食品素材に付着した微生物に対しては、食品素材表面に存在する油脂及び蛋白質や、食品素材から溶出する有機物等により、微生物と殺菌効果を有する成分の接触阻害をうけ、殺菌効果が低下する。
【0004】
また、次亜塩素酸やオゾン水、有機酸を利用する方法では、食品素材本来の食味や風味を損なうという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
焼成カルシウム水溶液に、オゾンガスまたは酸素ガスを混入して、殺菌効果を有する活性酸素種の一種であるOHラジカルを積極的に増加させ、かつ、Ca++の特性(吸着性及び凝集性、沈降性)を持った水を製造し、この水溶液にて、穀類及び豆類、野菜、魚介類等の食品素材を流水処理することで、これらに付着する微生物を殺菌および除菌する。
【発明の効果】
【0006】
pH12.0以上の焼成カルシウム水溶液に、オゾンガスまたは酸素ガスを混入し、この水溶液にて、穀類及び豆類、野菜、魚介類等の食品素材を流水処理することで、食味や風味を損なわず、かつ、これらに付着する微生物を低減させることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、この発明を実施するための好適な状態を説明すると、pH12.0以上の焼成カルシウム水溶液に、オゾン濃度が1ppm以上になるようオゾンガスを混入し、この水溶液で、穀類及び豆類、野菜、魚介類等の食品素材を流水処理することを特徴とする。
【0008】
また、pH12.0以上の焼成カルシウム水溶液に、酸素濃度が20ppm以上(大気圧下無気泡状態にて)になるよう酸素ガスを混入し、この水溶液で、穀類及び豆類、野菜、魚介類等の食品素材を流水処理することを特徴とする。
【実施例1】
【0009】
0.2%の焼成カルシウムを添加した水(pH12.4)に、気液混合装置とオゾンガス生成装置にて、オゾン濃度が5ppmになるようにオゾンガスを混入した水を製造した。この水を処理槽内に流速1L/分で連続的に給水し、この中で1kgの玄米を1時間処理した。この処理した玄米を一旦、滅菌水にて洗浄した後、無菌的に採取し、一般生菌数の検査を実施した。対照として、水道水で処理した区と、5ppmオゾン水で処理した区、0.2%の焼成カルシウムを添加した水で処理した区を設けた。
これらの結果を表1に示す。
【0010】
【表1】

【実施例2】
【0011】
0.2%の焼成カルシウムを添加した水(pH12.4)に、気液混合装置とオゾンガス生成装置にて、オゾン濃度が5ppmになるようにオゾンガスを混入した水と、酸素濃度が20ppmになるように酸素ガスを混入した水を製造した。これらの水を処理槽内に流速2L/分で連続的に給水し、この中で10gのスプラウトを3分間処理した。この処理したスプラウトを一旦、滅菌水にて洗浄した後、無菌的に採取し、一般生菌数の検査を実施した。対照として、水道水で処理した区と、0.2%の焼成カルシウムを添加した水で処理した区を設けた。これらの結果を表2に示す。
【0012】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
pH12.0以上の焼成カルシウム水溶液にオゾンガスを混入し、この水溶液で流水処理することを特徴とする穀類及び豆類、野菜、魚介類等の食品素材の殺菌方法
【請求項2】
pH12.0以上の焼成カルシウム水溶液に酸素ガスを混入し、この水溶液で流水処理することを特徴とする穀類及び豆類、野菜、魚介類等の食品素材の殺菌方法

【公開番号】特開2008−99653(P2008−99653A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−312197(P2006−312197)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(506385438)気水エンバイロシステム株式会社 (1)
【出願人】(592214830)食協株式会社 (5)
【Fターム(参考)】