説明

積層コンデンサ

【課題】広周波帯域においてESRを制御することができる積層コンデンサを提供する.
【解決手段】積層コンデンサ1は、静電容量部10において、誘電体層7を介して対向する内部電極8a,8bが互いに異なる極性として対向して配置されており、ESR制御部11A,11Bにおいて、誘電体層7を介して対向する内部電極8c〜8fが互いに異なる極性として対向して配置されており、静電容量部10とESR制御部11A,11Bとの境界において、外部電極3,4と接続される静電容量部10の内部電極8c,8bと、外部電極3,4と接続されるESR制御部11A,11Bの内部電極8c,8fとは、誘電体層7を介して異なる極性となるように対向して配置されていない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、誘電体層と内部電極とを交互に積層してなる積層体と、積層体の側面において互いに電気的に絶縁された外部電極及び接続導体とを備えた積層コンデンサがある。例えば特許文献1に記載の積層コンデンサでは、3種の内部電極が設けられており、このうちの第1の内部電極は、一方の外部電極及び接続導体に接続されており、第2の内部電極は、他方の内部電極に接続されている。また、第3の内部電極は、接続導体に接続されている。このような積層コンデンサは、ESRを増加することで種々の用途に適用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−168620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のような積層コンデンサは、例えばIC(IntegratedCircuit:集積回路)におけるデカップリングコンデンサとして用いられる。このような積層コンデンサは、ESR(Equivalent SeriesResistance:等価直列抵抗)の制御を広周波帯域において実現することが要求されている。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、広周波帯域においてESRを制御することができる積層コンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る積層コンデンサは、誘電体層を介在させて複数の内部電極が積層された積層体と、積層体の外表面にそれぞれ形成された第1の外部電極及び第2の外部電極と、積層体の外表面に形成された第1の接続導体と、を備え、複数の内部電極は、第1〜第5の内部電極を含み、積層体は、第1の外部電極に接続される第1の内部電極と第2の外部電極に接続される第2の内部電極とを有し、第1の内部電極と第2の内部電極とが誘電体層を介して異なる極性として対向して配置されている静電容量部と、少なくとも第1の外部電極に接続される第3の内部電極と、少なくとも第2の外部電極及び第1の接続導体に接続される第4の内部電極と、少なくとも第1の接続導体に接続される第5の内部電極とを有し、第3〜第5の内部電極のうち、2つの内部電極が誘電体層を介して異なる極性として対向して配置されているESR制御部と、を有し、静電容量部とESR制御部との境界において、静電容量部の第1の内部電極又は第2の内部電極と、ESR制御部の第3の内部電極又は第4の内部電極とは、誘電体層を介して異なる極性となるように対向して配置されていないことを特徴とする。
【0007】
この積層コンデンサでは、静電容量部とESR制御部との境界において、外部電極に接続される静電容量部の内部電極と、外部電極に接続されるESR制御部の内部電極とが誘電体層を介して異なる極性となるように対向して配置されていない。これにより、静電容量部とESR制御部との境界において高周波電流が通過しないため、静電容量部とESR制御部とのコンデンサ成分を結合させずに分離させることができると共に、ESR成分も分離させることができる。このように、静電容量部におけるESR成分(低ESR)とESR制御部におけるESR成分(高ESR)とに分離されるため、高周波帯域側、若しくは低周波帯域側のESRを大きくすることが可能となる。したがって、広周波帯域においてESRを制御することが可能となる。
【0008】
ESR制御部において、第3の内部電極と第4の内部電極とが誘電体層を介して異なる極性として対向して配置されていないことが好ましい。このような構成によれば、静電容量部とESR制御部との境界における高周波電流の通過をより抑制することができるため、コンデンサ成分及びESR成分をより分離させることができる。
【0009】
積層体の外表面に形成された第2の接続導体を更に備え、第3の内部電極は、第1の外部電極及び第2の接続導体に接続されている。また、複数の内部電極は、第6の内部電極を更に含み、ESR制御部は、第2の接続導体に接続される第6の内部電極を有し、第5の内部電極は、第1の接続導体に接続されており、第1の内部電極及び第3の内部電極は第1の極性となり、第2の内部電極及び第4の内部電極は第2の極性となる。
【0010】
静電容量部とESR制御部との境界において、第1の内部電極と第4の内部電極とが誘電体層を介して対向して配置されず、第1の内部電極と第3、第5及び第6の内部電極のいずれかとが誘電体層を介して対向して配置され、第2の内部電極と第3の内部電極とが誘電体層を介して対向して配置されず、第2の内部電極と第4〜6の内部電極のいずれかとが誘電体層を介して対向して配置されていることが好ましい。このような構成によれば、静電容量部とESR制御部との境界において、外部電極に接続される静電容量部の内部電極と外部電極に接続されるESR制御部の内部電極とが、誘電体層を介して異なる極性となるように配置されない。したがって、静電容量部とESR制御部とのコンデンサ成分及びESR成分をより良好に分離させることができる。
【0011】
ESR制御部において、第3の内部電極と第4の内部電極とが誘電体層を介して対向して配置されず、第4の内部電極と第5の内部電極又は第6の内部電極とが誘電体層を介して対向して配置され、第3の内部電極と第5の内部電極又は第6の内部電極とが誘電体層を介して対向して配置され、第5の内部電極と第6の内部電極とが誘電体層を介して対向して配置されていることが好ましい。このような構成によれば、静電容量部とESR制御部との境界における高周波電流の通過をより抑制することができ、コンデンサ成分及びESR成分をより確実に分離させることができる。
【0012】
ESR制御部において、第4の内部電極と第6の内部電極とが誘電体層を介して対向して配置されず、第4の内部電極と第5の内部電極とが誘電体層を介して対向して配置され、第3の内部電極と第4の内部電極とが誘電体層を介して対向して配置されず、第3の内部電極と第6の内部電極とが誘電体層を介して対向して配置されていることが好ましい。このような構成によれば、外部電極及び接続導体に接続される内部電極同士が対向しないため、静電容量部とESR制御部との境界における高周波電流の通過をより抑制することができ、コンデンサ成分及びESR成分をより確実に分離させることができる。
【0013】
静電容量部とESR制御部との境界において、第1の内部電極と第6の内部電極とが誘電体層を介して対向して配置され、第2の内部電極と第5の内部電極とが誘電体層を介して対向して配置されていることが好ましい。このような構成によれば、静電容量部とESR制御部との境界において対向する内部電極が異なる極性となるため、積層コンデンサの静電容量を大きくすることができる。
【0014】
積層体の外表面に形成された第2の接続導体を更に備え、第4の内部電極は、第2の外部電極、第1の接続導体及び第2の接続導体に接続されており、第5の内部電極は、第1の接続導体及び第2の接続導体に接続されている。
【0015】
ESR制御部において、第3の内部電極と第4の内部電極とが誘電体層を介して対向して配置されず、第4の内部電極と第5の内部電極とが誘電体層を介して対向して配置され、第3の内部電極と第5の内部電極とが前記誘電体層を介して対向して配置されていることが好ましい。このような構成によれば、外部電極及び接続導体に接続される内部電極同士が対向しないため、静電容量部とESR制御部との境界における高周波電流の通過をより抑制することができ、コンデンサ成分及びESR成分をより確実に分離させることができる。
【0016】
積層体は、誘電体層の積層方向において静電容量部とESR制御部とが交互に配置されていることが好ましい。このような構成によれば、積層コンデンサの実装方向が一方向に定められないため、実装基板に効率よく実装することができ、作業性の向上を図ることができる。
【0017】
積層体は、積層方向における最外部にESR制御部が配置されていることが好ましい。この場合には、ESL(Equivalent Series Inductance:等価直列インダクタンス)を低くすることができる。
【0018】
ESR制御部において、積層方向における最外部に第3の内部電極又は第4の内部電極が配置されていることが好ましい。この場合には、より一層ESLを低くすることができる。
【0019】
ESR制御部の静電容量は、静電容量部の静電容量よりも小さいことが好ましい。この場合には、高周波帯域におけるESRを高くすることができる。
【0020】
ESR制御部の静電容量は、静電容量部の静電容量よりも大きいことが好ましい。この場合には、低周波帯域におけるESRを高くすることができる。
【0021】
静電容量部とESR制御部との間の間隔は、静電容量部又はESR制御部の内部電極同士の間隔よりも大きいことが好ましい。このような構成によれば、静電容量部とESR制御部との2つのコンデンサ成分をより一層分離することができる。
【0022】
第1の内部電極及び第2の内部電極は、蛇行形状を呈しており、電流の流れる方向が同じであることが好ましい。この場合には、静電容量部における第1及び第2の内部電極を流れる電流の方向がより同方向となるため、静電容量部におけるESLを大きくすることができる。
【0023】
第1及び第2の接続導体は、内部電極の引出導体に対応する位置において、積層方向において離間して複数形成されていることが好ましい。このような構成によれば、例えばESR制御部が静電容量部を挟んで配置されている場合などにおいて、ESR制御部のコンデンサ成分を分離させることができる。
【0024】
また、本発明に係る積層コンデンサは、誘電体層を介在させて複数の内部電極が積層された積層体と、積層体の外表面にそれぞれ形成された第1の外部電極及び第2の外部電極と、積層体の外表面に形成された第1の接続導体と、を備え、複数の内部電極は、第1〜第5の内部電極を含み、積層体は、第1の外部電極に接続される第1の内部電極と第2の外部電極に接続される第2の内部電極とを有し、第1の内部電極と第2の内部電極とが誘電体層を介して異なる極性として対向して配置されている静電容量部と、少なくとも第1の外部電極に接続される第3の内部電極と、少なくとも第2の外部電極及び第1の接続導体に接続される第4の内部電極と、少なくとも第1の接続導体に接続される第5の内部電極とを有し、第3〜第5の内部電極のうち、2つの内部電極が誘電体層を介して異なる極性として対向して配置されているESR制御部と、を有し、静電容量部とESR制御部との境界において、静電容量部の第1の内部電極又は第2の内部電極と、ESR制御部の第3の内部電極又は第4の内部電極とが誘電体層を介して同じ極性となるように配置、もしくは、静電容量部の第1の内部電極又は第2の内部電極と、ESR制御部の第5の内部電極とが誘電体層を介して対向して配置されていることを特徴とする。
【0025】
静電容量部とESR制御部との境界において、静電容量部の第2の内部電極と、ESR制御部の第5の内部電極とが誘電体層を介して対向して配置されていることが好ましい。
【0026】
ESR制御部において、第3の内部電極と第5の内部電極とが誘電体層を介して異なる極性として対向して配置、もしくは、第4の内部電極と第5の内部電極とが誘電体層を介して同じ極性として対向して配置されていることが好ましい。
【0027】
積層体の外表面に形成された第2の接続導体を更に備え、第3の内部電極は、第1の外部電極及び第2の接続導体に接続されている。または、積層体の外表面に形成された第2の接続導体を更に備え、第4の内部電極は、第2の外部電極、第1の接続導体及び第2の接続導体に接続されており、第5の内部電極は、第1の接続導体及び第2の接続導体に接続されている。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、広周波帯域においてESRを制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1実施形態に係る積層コンデンサを示す斜視図である。
【図2】図1に示した積層コンデンサの層構成を示す図である。
【図3】図1に示した積層コンデンサのIII−III線断面図である。
【図4】静電容量部及びESR制御部のESR特性を示す図である。
【図5】積層コンデンサの回路及びESR特性を示す図である。
【図6】第2実施形態に係る積層コンデンサの層構成を示す図である。
【図7】第3実施形態に係る積層コンデンサの層構成を示す図である。
【図8】第4実施形態に係る積層コンデンサの層構成を示す図である。
【図9】第5実施形態に係る積層コンデンサの層構成を示す図である。
【図10】図9に示す積層コンデンサのインピーダンス特性を示す図である。
【図11】内部電極を示す図である。
【図12】第6実施形態に係る積層コンデンサの層構成を示す図である。
【図13】第7実施形態に係る積層コンデンサの層構成を示す図である。
【図14】他の形態の積層コンデンサを示す斜視図である。
【図15】図12に示す積層コンデンサの回路を示す図である。
【図16】他の形態の積層コンデンサを示す斜視図である。
【図17】図14に示す積層コンデンサの回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0031】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る積層コンデンサを示す斜視図である。また、図2は、図1に示した積層コンデンサの層構成を示す図であり、図3は、図1に示した積層コンデンサのIII−III線断面図である。
【0032】
図1に示すように、積層コンデンサ1は、略直方体形状の積層体2と、外部電極3,4と、接続導体5,6とを備えている。
【0033】
積層体2は、互いに対向する一対の端面(外表面)2a,2bと、一対の端面2a,2b間を連結するように伸び且つ互いに対向する一対の側面(外表面)2c,2dと、一対の側面2c,2dを連結するように伸び且つ互いに対向する一対の主面2e,2fとを有する。積層体2は、図2に示すように、誘電体層7の上に異なるパターンの内部電極8a〜8fが形成されてなる複数の複合層9a〜9fと、複合層9a〜9fの最表層に積層され、保護層として機能する誘電体層7とによって形成されている。誘電体層7は、誘電体セラミックを含むセラミックグリーンシートの焼結体からなり、内部電極8a〜8fは、導電性ペーストの焼結体からなる。なお、実際の積層コンデンサ1では、誘電体層7間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0034】
外部電極3,4及び接続導体5,6は、導電性金属粉末及びガラスフリットを含む導電性ペーストを焼き付けることによって形成されている。外部電極3,4は、積層コンデンサ1の実装の際に、所定の極性となる電極である。また、接続導体5,6は、積層体2における後述のESR制御部11A,11Bに属する内部電極8同士を並列に接続する導体であり、実装基板に直接接続されない導体である。
【0035】
外部電極(第1の外部電極)3は、積層コンデンサ1の基板実装の際に例えば−極性(第1の極性)に接続される電極であり、積層体2における長手方向の一端面2aを覆うように形成されている。外部電極(第2の外部電極)4は、積層コンデンサ1の基板実装の際に例えば+極性(第2の極性)に接続される電極であり、積層体2における長手方向の他端面2bを覆うように形成されている。
【0036】
接続導体5は、積層体2の一端面2a及び他端面2bと直交する側面2c,2dのうち、積層方向に沿う一方の側面2cに形成され、接続導体6は、側面2cと対向する他方の側面2dに形成されている。接続導体5,6は、側面2c,2dにおいて上述の積層方向に帯状に延在すると共に、積層体2の主面2e,2fに張り出すパッド部分を有している。外部電極3,4及び接続導体5,6は、所定の間隔をあけて離間した状態となっており、互いに電気的に絶縁されている。
【0037】
積層コンデンサ1の実装に用いる基板100は、陽極ランドパターン101と、陰極ランドパターン102とを有している。陽極ランドパターン101及び陰極ランドパターン102は、例えば外部電極3及び外部電極4の幅方向に沿って帯状に形成され、所定の回路配線に接続されている。
【0038】
積層コンデンサ1の実装構造において、外部電極3は、陰極ランドパターン102に接合され、外部電極4は、陽極ランドパターン101に接合される。また、接続導体5及び接続導体6は、陽極ランドパターン101及び陰極ランドパターン102のいずれにも接合されない。すなわち、積層コンデンサ1の実装構造では、外部電極3及び外部電極4のみが基板100に対して接合された状態となる。
【0039】
次に、積層体2の構成について更に詳細に説明する。
【0040】
図2及び図3に示すように、積層体2は、積層コンデンサの静電容量に主として寄与する静電容量部10と、積層コンデンサ1のESR(Equivalent Series Resistance:等価直列抵抗)を制御するESR制御部11A,11Bとを有している。積層体2では、積層方向(図示上下方向)から見て静電容量部10を挟むようにESR制御部11A,11Bが配置されている。つまり、積層体2は、ESR制御部11A、静電容量部10、ESR制御部11Bがこの順に配置されて構成されている。
【0041】
静電容量部10は、異なる2つの内部電極を有する複合層9a,9bが交互に複数積層されて構成されている。複合層9aは、誘電体層7上に内部電極(第1の内部電極)8aが形成されている。内部電極8aは、矩形状を呈しており、その一端部は、積層体2の端面2aに露出し、外部電極3に接続されている。内部電極8aは、−極性となる。
【0042】
複合層9bは、誘電体層7上に内部電極(第2の内部電極)8bが形成されている。内部電極8bは、矩形状を呈しており、その一端部は、積層体2の端面2bに露出し、外部電極4に接続されている。内部電極8bは、+極性となる。静電容量部10は、内部電極8aと内部電極8bとが誘電体層7を介して異なる極性として対向して配置されている。なお、図2においては、複合層9a及び複合層9bをそれぞれ4層しか図示していないが、複合層9a及び複合層9bの積層数は、コンデンサの設計に合わせて適宜設定される。
【0043】
ESR制御部11A,11Bは、4つの複合層9c〜9fによって構成されている。複合層9cは、誘電体層7上に内部電極(第3の内部電極)8cが形成されている。内部電極8cは、中央部分に形成された矩形状の主電極部8cAと、主電極部8cAの一辺から引き出された帯状の引出導体8cBとを有している。主電極部8cAの一端部は、積層体2の端面2aに露出し、外部電極3に接続されている。引出導体8cBの端部は、積層体2の側面2dに露出し、接続導体6に接続されている。内部電極8cは、−極性となる。
【0044】
複合層9dは、誘電体層7上に内部電極(第6の内部電極)8dが形成されている。内部電極8dは、中央部分に形成された矩形状の主電極部8dAと、主電極部8dAの一辺から引き出された帯状の引出導体8dBとを有している。引出導体8dBの端部は、引出導体8cBとは反対に積層体2の側面2cに露出し、接続導体5に接続されている。
【0045】
複合層9eは、誘電体層7上に内部電極(第5の内部電極)8eが形成されている。内部電極8eは、中央部分に形成された矩形状の主電極部8eAと、主電極部8eAの一辺から引き出された帯状の引出導体8eBとを有している。引出導体8eBの端部は、積層体2の側面2dに露出し、接続導体6に接続されている。
【0046】
複合層9fは、誘電体層7上に内部電極(第4の内部電極)8fが形成されている。内部電極8fは、中央部分に形成された矩形状の主電極部8fAと、主電極部8fAの一辺から引き出された帯状の引出導体8fBとを有している。主電極部8fAの一端部は、内部電極8cとは反対に積層体2の端面2bに露出し、外部電極4に接続されている。引出導体8fBの端部は、積層体2の側面2cに露出し、接続導体5に接続されている。内部電極8fは、+極性となる。
【0047】
ESR制御部11Aは、内部電極8cが形成された複合層9c、内部電極8dが形成された複合層9d、内部電極8eが形成された複合層9e、内部電極8fが形成された複合層9f、内部電極8eが形成された複合層9e、及び内部電極8dが形成された複合層9dがこの順に積層されている。複合層9eの内部電極8eは、接続導体6及び内部電極8cを介して外部電極3に接続され、内部電極8cと同じ−極性となる。複合層9dの内部電極8dは、接続導体5及び内部電極8fを介して外部電極4に接続され、内部電極8fと同じ+極性となる。つまり、誘電体層7を介して対向する内部電極8c,8eと内部電極8d,8fとは、異極性となる。ESR制御部11Aの最上部(最外部)には、内部電極8cが配置されている。
【0048】
また、ESR制御部11Bは、内部電極8eが形成された複合層9e、内部電極8dが形成された複合層9d、内部電極8cが形成された複合層9c、内部電極8dが形成された複合層9d、内部電極8eが形成された複合層9e、内部電極8fが形成された複合層9fがこの順に積層されている。複合層9eの内部電極8eは、接続導体6及び内部電極8cを介して外部電極3に接続され、内部電極8cと同じ−極性となる。複合層9dの内部電極8dは、接続導体5及び内部電極8fを介して外部電極4に接続され、内部電極8fと同じ+極性となる。つまり、誘電体層7を介して対向する内部電極8c,8eと内部電極8d,8fとは、異極性となる。ESR制御部11Bの最下部(最外部)には、内部電極8fが配置されている。
【0049】
ESR制御部11A,11Bにおいては、内部電極8cと内部電極8fとが誘電体層7を介して対向して配置されないように構成されている。つまり、ESR制御部11A,11Bでは、外部電極3,4にそれぞれ接続される主電極部8cA,8fAを有する内部電極8c,8fが誘電体層7を介して対向して配置されない構成となっている。
【0050】
積層体2では、静電容量部10とESR制御部11A,11Bとの境界において、複合層9dの内部電極8dと複合層9aの内部電極8aとが誘電体層7を介して対向して配置されていると共に、複合層9bの内部電極8bと複合層9eの内部電極8eとが誘電体層7を介して対向して配置されている。具体的には、外部電極3に接続されて−極性となる複合層9aの内部電極8aと、接続導体5を介して+極性となる複合層9dの内部電極8dとが誘電体層7を介して対向して配置されている。また、外部電極4に接続されて+極性となる複合層9bの内部電極8bと、接続導体6を介して−極性となる複合層9eの内部電極8eとが誘電体層7を介して対向して配置されている。
【0051】
すなわち、積層体2では、静電容量部10とESR制御部11A,11Bとの境界において、外部電極3に接続される内部電極8a,8cと外部電極4に接続される内部電極8b,8fとが誘電体層7を介して異なる極性となるように配置されていない構成となっている。具体的には、積層体2では、静電容量部10とESR制御部11A,11Bとの境界において、内部電極8aと内部電極8fとが対向して配置されていないと共に、内部電極8bと内部電極8cとが対向して配置されていない。
【0052】
また、図2,3に示すように、積層体2では、静電容量部10とESR制御部11A,11Bとの間の間隔W0は、静電容量部10及びESR制御部11A,11Bにおける内部電極同士の間の間隔W1と等間隔となっている。
【0053】
上述の構成を有する積層コンデンサ1は、静電容量部10とESR制御部11A,11Bとの境界において、内部電極8aと内部電極8d、内部電極8bと内部電極8eとが対向して配置されている。そのため、積層コンデンサ1は、基板100に実装されて電流が流れた際、静電容量部10とESR制御部11A,11Bとの境界、つまり複合層9aと複合層9d、複合層9bと複合層9eとの間において、高周波電流が通過しない構成となっている。
【0054】
続いて、積層コンデンサ1の特性について説明する。図4は、静電容量部及びESR制御部のESR特性を示す図である。図4(a)は、静電容量部10のESR特性を示しており、図4(b)は、ESR制御部11A,11BのESR特性を示している。縦軸はESR[Ω]、横軸は周波数[Hz]を表している。図4(a)及び図4(b)に示すように、静電容量部10は、ESR制御部11A,11Bに比べてESRが低く、言い換えれば、ESR制御部11A,11Bは、静電容量部10に比べてESRが高い特性となっている。
【0055】
図5は、積層コンデンサの回路及びESR特性を示す図である。積層コンデンサ1は、図5(a)に示すように、静電容量部10とESR制御部11A,11Bとのコンデンサ成分(C0,C1)が分離された回路となっている。また、積層コンデンサ1は、ESR成分が分離された構成となっている。このような積層コンデンサ1では、図5(b)に示すように、静電容量部10の静電容量C0をESR制御部11A,11Bの静電容量C1よりも十分に大きく設定した(C0≫C1)場合には、低周波帯域において低ESRとなり、高周波帯域において高ESRとなる。また、図5(c)に示すように、静電容量部10の静電容量C0をESR制御部11A,11Bの静電容量C1よりも十分に小さく(C0≪C1)設定した場合には、低周波帯域において高ESRとなり、高周波帯域において低ESRとなる。静電容量部10の静電容量C0とESR制御部11A,11Bの静電容量C1とは、信号(ノイズ)の性質等によって適宜設定される。
【0056】
以上説明したように、積層コンデンサ1は、静電容量部10とESR制御部11A,11Bとの境界において、外部電極3,4に接続される静電容量部10の内部電極8a,8bと、外部電極3,4に接続されるESR制御部11A,11Bの内部電極8c,8fとが誘電体層7を介して異なる極性となるように配置されていない。これにより、静電容量部10とESR制御部11A,11Bとの境界において高周波電流が通過しないため、静電容量部10とESR制御部11A,11Bとのコンデンサ成分を結合させずに分離させることができると共に、ESR成分も分離させることができる。このように、積層コンデンサ1では、静電容量部10におけるESR成分(低ESR)とESR制御部11A,11BにおけるESR成分(高ESR)とに分離されるため、高周波帯域側、若しくは低周波帯域側のESRを大きくすることができる。したがって、広周波帯域においてESRを制御することができる。
【0057】
また、積層コンデンサ1では、静電容量部10とESR制御部11A,11Bとの境界において、複合層9dの内部電極8dと複合層9aの内部電極8aとが誘電体層7を介して対向して配置され、複合層9bの内部電極8bと複合層9eの内部電極8eとが誘電体層7を介して対向して配置されている。このように、隣接する内部電極が異極性となるため、静電容量を大きくすることができる。
【0058】
また、積層体2は、積層方向において静電容量部10を挟むようにESR制御部11A,11Bが配置されている。これにより、積層コンデンサ1の実装方向性がなくなり、上下どちらに実装しても電気的特性が変わらなくなり、実装方向による特性のばらつきを防止できる。さらに、ESR制御部11A,11Bが上下に配置されており、その最上部に外部電極3に接続される内部電極8c、最下部に外部電極4に接続される内部電極8fが配置されているため、ESL(Equivalent Series Inductance:等価直列インダクタンス)を低くすることができる。
【0059】
また、積層体2では、静電容量部10とESR制御部11A,11Bとの間の間隔W0は、静電容量部10及びESR制御部11A,11Bにおける内部電極同士の間の間隔W1よりも大きくしてもよい。このような構成により、積層コンデンサ1では、静電容量部10とESR制御部11A,11Bとのコンデンサ成分(C0,C1)、及びESR成分の分離をより一層図ることができる。
【0060】
[第2実施形態]
続いて、第2実施形態について説明する。図6は、第2実施形態に係る積層コンデンサの層構成を示す図である。図6に示すように、積層コンデンサ1Aは、複合層9a〜9fの積層構成が第1実施形態と異なっており、外部電極3,4、接続導体5,6及び複合層9a〜9fの構成は第1実施形態と同様である。
【0061】
図6に示すように、積層コンデンサ1Aの積層体2Aでは、積層方向から見てESR制御部20A,20Bが静電容量部10を挟むように配置されている。つまり、積層体2Aは、ESR制御部20A、静電容量部10、ESR制御部20Bがこの順番に配置されて構成されている。静電容量部10は、複合層9a,9bが交互に複数積層されて構成されており、内部電極8aと内部電極8bとが誘電体層7を介して異なる極性として対向して配置されている。なお、図6においては、複合層9a及び複合層9bをそれぞれ2層しか図示していないが、複合層9a及び複合層9bの積層数は、設計に合わせて適宜設定される。
【0062】
ESR制御部20A,20Bのぞれぞれは、内部電極8fが形成された複合層9f、内部電極8dが形成された複合層9d、内部電極8eが形成された複合層9e、内部電極8dが形成された複合層9d、内部電極8eが形成された複合層9e、内部電極8dが形成された複合層9d、内部電極8eが形成された複合層9e、及び内部電極8cが形成された複合層9cがこの順に積層されて構成されている。ESR制御部20Aの最上部には、内部電極8fが配置されており、ESR制御部20Bの最下部には、内部電極8cが配置されている。
【0063】
積層体2Aでは、静電容量部10とESR制御部20A,20Bとの境界において、外部電極3,4に接続される内部電極8a,8bと外部電極3,4に接続される内部電極8c,8fとが誘電体層7を介して異なる極性となるように配置されていない構成となっている。言い換えれば、積層体2Aでは、外部電極3,4に接続される内部電極8a,8bと外部電極3,4に接続される内部電極8c,8fとが誘電体層7を介して同極性となるように配置されている。
【0064】
具体的には、外部電極3に接続される複合層9aの内部電極8aと、外部電極3に接続される複合層9cの内部電極8cとは、いずれも−極性となり、静電容量部10とESR制御部20Aとの境界において、誘電体層7を介して対向して配置されている。また、外部電極4に接続される複合層9bの内部電極8bと、外部電極4に接続される複合層9fの内部電極8fとは、いずれも+極性となり、静電容量部10とESR制御部20Bとの境界において、誘電体層7を介して対向して配置されている。
【0065】
上述の構成を有する積層コンデンサ1Aは、静電容量部10とESR制御部20A,20Bとの境界において、内部電極8aと内部電極8c、内部電極8bと内部電極8fとが対向して配置されている。そのため、積層コンデンサ1Aは、基板100に実装されて電流が流れた際、静電容量部10とESR制御部20A,20Bとの境界、つまり複合層9cと複合層9a、複合層9bと複合層9fとの間において、高周波電流が通過しない構成となっている。
【0066】
以上説明したように、積層コンデンサ1Aは、第1実施形態と同様に、静電容量部10とESR制御部20A,20Bとの境界において、外部電極3,4に接続される静電容量部10の内部電極8a,8bと、外部電極3,4に接続されるESR制御部20A,20Bの内部電極8c,8fとが誘電体層7を介して異なる極性となるように配置されていない。つまり、同極性(−極性)となる内部電極8aと内部電極8cとが誘電体層7を介して対向して配置されていると共に、同極性(+極性)となる内部電極8bと内部電極8fとが誘電体層7を介して対向して配置されている。
【0067】
これにより、静電容量部10とESR制御部20A,20Bとの境界において高周波電流が通過しないため、静電容量部10とESR制御部20A,20Bとのコンデンサ成分を結合させずに分離させることができると共に、ESR成分も分離させることができる。このように、積層コンデンサ1Aでは、静電容量部10におけるESR成分(低ESR)とESR制御部20A,20BにおけるESR成分(高ESR)とに分離されるため、高周波帯域側、若しくは低周波帯域側のESRを大きくすることが可能となる。したがって、広周波帯域においてESRを制御することが可能となる。
【0068】
また、積層体2は、ESR制御部20A,20Bにおいて、複合層9dの内部電極8dと複合層9fの内部電極8fとが対向して配置されていると共に、複合層9cの内部電極8cと複合層9eの内部電極8eとが対向して配置されている。このように、外部電極3,4及び接続導体5,6に接続される異極性の内部電極同士が隣接しないため、高周波電流の通過をより抑制することができる。
【0069】
[第3実施形態]
続いて、第3実施形態について説明する。図7は、第3実施形態に係る積層コンデンサの層構成を示す図である。図7に示すように、積層コンデンサ1Bは、複合層9a〜9fの積層構成が第1実施形態と異なっており、外部電極3,4、接続導体5,6及び複合層9a〜9fの構成は第1実施形態と同様である。
【0070】
図7に示すように、積層コンデンサ1Bの積層体2Bでは、積層方向から見て静電容量部10A,10BがESR制御部30を挟むように配置されている。つまり、積層体2Bは、静電容量部10A、ESR制御部30、静電容量部10Bがこの順番に配置されて構成されている。静電容量部10A,10Bは、複合層9a,9bが交互に複数積層されて構成されており、内部電極8aと内部電極8bとが誘電体層7を介して異なる極性として対向して配置されている。なお、図7においては、複合層9a及び複合層9bをそれぞれ4層しか図示していないが、複合層9a及び複合層9bの積層数は、設計に合わせて適宜設定される。
【0071】
ESR制御部30は、内部電極8eが形成された複合層9e、内部電極8dが形成された複合層9d、内部電極8cが形成された複合層9c、内部電極8dが形成された複合層9d、内部電極8eが形成された複合層9e、内部電極8fが形成された複合層9f、内部電極8eが形成された複合層9e、内部電極8dが形成された複合層9dがこの順に積層されて構成されている。複合層9eの内部電極8eは、接続導体6及び内部電極8cを介して外部電極3に接続されるため、内部電極8cと同じ−極性となる。複合層9dの内部電極8dは、接続導体5及び内部電極8fを介して外部電極4に接続されるため、内部電極8fと同じ+極性となる。つまり、誘電体層7を介して対向する内部電極8c,8eと内部電極8d,8fとは、異極性となる。
【0072】
積層体2Bでは、静電容量部10A,10BとESR制御部30との境界において、複合層9bの内部電極8bと複合層9eの内部電極8eとが誘電体層7を介して対向して配置されていると共に、複合層9dの内部電極8dと複合層9aの内部電極8aとが誘電体層7を介して対向して配置されている。具体的には、外部電極4に接続されて+極性となる複合層9bの内部電極8bと、接続導体6を介して−極性となる複合層9eの内部電極8eとが誘電体層7を介して対向して配置されている。また、接続導体5を介して+極性となる複合層9dの内部電極8dと、外部電極3に接続されて−極性となる複合層9aの内部電極8aとが誘電体層7を介して対向して配置されている。
【0073】
すなわち、積層体2Bでは、静電容量部10A,10BとESR制御部30との境界において、外部電極3に接続される内部電極8a,8cと外部電極4に接続される内部電極8b,8fとが誘電体層7を介して異なる極性となるように配置されていない構成となっている。具体的には、積層体2Bでは、静電容量部10A,10BとESR制御部30との境界において、内部電極8aと内部電極8fとが対向して配置されていないと共に、内部電極8bと内部電極8cとが対向して配置されていない。
【0074】
上述の構成を有する積層コンデンサ1Bは、静電容量部10A,10BとESR制御部30との境界において、内部電極8aと内部電極8d、内部電極8bと内部電極8eとが対向して配置されている。そのため、積層コンデンサ1Bは、基板100に実装されて電流が流れた際、静電容量部10A,10BとESR制御部30との境界、つまり複合層9bと複合層9e、複合層9dと複合層9aとの間において、高周波電流が通過しない構成となっている。
【0075】
以上説明したように、積層コンデンサ1Bは、第1実施形態と同様に、静電容量部10A,10BとESR制御部30との境界において、外部電極3,4に接続される静電容量部10A,10Bの内部電極8a,8bと、外部電極3,4に接続されるESR制御部30の内部電極8c,8fとが誘電体層7を介して異なる極性となるように配置されていない。これにより、静電容量部10A,10BとESR制御部30との境界において高周波電流が通過しないため、静電容量部10A,10BとESR制御部30とのコンデンサ成分を結合させずに分離させることができると共に、ESR成分も分離させることができる。このように、積層コンデンサ1Bでは、静電容量部10A,10BにおけるESR成分(低ESR)とESR制御部30におけるESR成分(高ESR)とに分離されるため、高周波帯域側、若しくは低周波帯域側のESRを大きくすることが可能となる。したがって、広周波帯域においてESRを制御することが可能となる。
【0076】
[第4実施形態]
続いて、第4実施形態について説明する。図8は、第4実施形態に係る積層コンデンサの層構成を示す図である。図8に示すように、積層コンデンサ1Cは、複合層9a〜9fの積層構成が第1実施形態と異なっており、外部電極3,4、接続導体5,6及び複合層9a〜9fの構成は第1実施形態と同様である。
【0077】
図8に示すように、積層コンデンサ1Cの積層体2Cは、ESR制御部50A、静電容量部40A、ESR制御部50B、静電容量部40B、ESR制御部50Cがこの順に配置されて構成されている。静電容量部40A,40Bは、複合層9a,9bが交互に複数積層されて構成されており、内部電極8aと内部電極8bとが誘電体層7を介して異なる極性として対向して配置されている。なお、図8においては、複合層9a及び複合層9bをそれぞれ4層しか図示していないが、複合層9a及び複合層9bの積層数は、設計に合わせて適宜設定される。
【0078】
ESR制御部50A、50Cは、内部電極8fが形成された複合層9f、内部電極8dが形成された複合層9d、内部電極8eが形成された複合層9e、内部電極8dが形成された複合層9d、内部電極8eが形成された複合層9e、内部電極8cが形成された複合層9cがこの順に積層されて構成されている。複合層9eの内部電極8eは、接続導体6及び内部電極8cを介して外部電極3に接続されるため、内部電極8cと同じ−極性となる。複合層9dの内部電極8dは、接続導体5及び内部電極8fを介して外部電極4に接続されるため、内部電極8fと同じ+極性となる。
【0079】
ESR制御部50Bは、内部電極8fが形成された複合層9f、内部電極8dが形成された複合層9d、内部電極8eが形成された複合層9e、内部電極8dが形成された複合層9d、内部電極8eが形成された複合層9e、内部電極8dが形成された複合層9d、内部電極8eが形成された複合層9e、内部電極8cが形成された複合層9cがこの順に積層されて構成されている。複合層9eの内部電極8eは、接続導体6及び内部電極8cを介して外部電極3に接続されるため、内部電極8cと同じ−極性となり、複合層9dの内部電極8dは、接続導体5及び内部電極8fを介して外部電極4に接続されるため、内部電極8fと同じ+極性となる。
【0080】
積層体2Cでは、静電容量部40A,40BとESR制御部50A〜50Cとの境界において、外部電極3,4に接続される内部電極8a,8bと外部電極3,4に接続される内部電極8c,8fとが誘電体層7を介して異なる極性となるように配置されていない構成となっている。言い換えれば、外部電極3,4に接続される内部電極8a,8bと外部電極3,4に接続される内部電極8c,8fとが誘電体層7を介して同極性となるように配置されている。
【0081】
具体的には、外部電極3に接続される複合層9aの内部電極8aと、外部電極4に接続される複合層9cの内部電極8cとは、いずれも−極性となる。また、外部電極3に接続される複合層9bの内部電極8bと、外部電極4に接続される複合層9fの内部電極8fとは、いずれも+極性となる。
【0082】
上述の構成を有する積層コンデンサ1Cは、静電容量部40A,40BとESR制御部50A〜50Cとの境界において、内部電極8aと内部電極8c、内部電極8bと内部電極8fとが対向して配置されている。そのため、積層コンデンサ1Cは、基板100に実装されて電流が流れた際、静電容量部40A,40BとESR制御部50A〜50Cとの境界、つまり複合層9cと複合層9a、複合層9bと複合層9fとの間において、高周波電流が通過しない構成となっている。
【0083】
以上説明したように、積層コンデンサ1Cは、第1実施形態と同様に、静電容量部40A,40BとESR制御部50A〜50Cとの境界において、外部電極3,4に接続される静電容量部40A,40Bの内部電極8a,8bと、外部電極3,4に接続されるESR制御部50A〜50Cの内部電極8c,8fとが誘電体層7を介して異なる極性となるように配置されていない。つまり、同極性(−極性)となる内部電極8aと内部電極8cとが誘電体層7を介して対向して配置されていると共に、同極性(+極性)となる内部電極8bと内部電極8fとが誘電体層7を介して対向して配置されている。
【0084】
これにより、静電容量部40A,40BとESR制御部50A〜50Cとの境界において高周波電流が通過しないため、静電容量部40A,40BとESR制御部50A〜50Cとのコンデンサ成分を結合させずに分離させることができると共に、ESR成分も分離させることができる。このように、積層コンデンサ1Cでは、静電容量部40A,40BにおけるESR成分(低ESR)とESR制御部50A〜50CにおけるESR成分(高ESR)とに分離されるため、高周波帯域側、若しくは低周波帯域側のESRを大きくすることが可能となる。したがって、広周波帯域においてESRを制御することが可能となる。
【0085】
[第5実施形態]
続いて、第5実施形態について説明する。図9は、第5実施形態に係る積層コンデンサの層構成を示す図である。図9に示すように、積層コンデンサ1Dは、静電容量部60を構成する複合層9g,9hの構成が第1実施形態と異なっており、外部電極3,4、接続導体5,6及び複合層9c〜9fの構成は第1実施形態と同様である。
【0086】
図9に示すように、積層コンデンサ1Dの積層体2Dでは、積層方向から見て静電容量部60を挟むようにESR制御部11A,11Bが一対配置されている。つまり、積層体2Dは、ESR制御部11A、静電容量部60、ESR制御部11Bがこの順に配置されて構成されている。ESR制御部11A,11Bは、第1実施形態と同様の構成を有している。
【0087】
静電容量部60は、異なる2つの内部電極を有する複合層9g,9hが交互に複数積層されて構成されている。複合層9gは、誘電体層7上に内部電極8gが形成されている。内部電極8gは、略U字状(蛇行形状)を呈しており、その一端部は、積層体2Dの端面2aに露出し、外部電極3に接続されている。内部電極8gは、−極性となる。
【0088】
複合層9hは、誘電体層7上に内部電極8hが形成されている。内部電極8hは、略U字状を呈しており、その一端部は、積層体2Dの端面2bに露出し、外部電極4に接続されている。内部電極8hは、+極性となる。静電容量部60は、内部電極8gと内部電極8hとが誘電体層7を介して異なる極性として対向して配置されている。なお、図9においては、複合層9g及び複合層9hをそれぞれ4層しか図示していないが、複合層9g及び複合層9hの積層数は、設計に合わせて適宜設定される。
【0089】
積層体2Dでは、静電容量部60とESR制御部11A,11Bとの境界において、複合層9dの内部電極8dと複合層9gの内部電極8gとが対向して配置されていると共に、複合層9hの内部電極8hと複合層9eの内部電極8eとが対向して配置されている。具体的には、接続導体5を介して+極性となる複合層9dの内部電極8dと、外部電極3に接続されて−極性となる複合層9gの内部電極8gとが誘電体層7を介して対向して配置されている。また、外部電極4に接続されて+極性となる複合層9hの内部電極8hと、接続導体6を介して−極性となる複合層9eの内部電極8eとが誘電体層7を介して対向して配置されている。すなわち、積層体2Dでは、静電容量部60とESR制御部11A,11Bとの境界において、外部電極3に接続される内部電極8c,8gと外部電極3,4に接続される内部電極8f,8hとが誘電体層7を介して異なる極性となるように配置されていない構成となっている。
【0090】
上述の構成を有する積層コンデンサ1Dは、基板100に実装されると、静電容量部60における複合層9g,9hの内部電極8g,8hにおいて、流れる電流の方向(図9中の矢印方向)が同じになる。そのため、誘電体層7を介して対向する内部電極8g,8hの相互インダクタンスによりESLを上げることができる。図10は、図9に示す積層コンデンサのインピーダンス特性を示す図である。図10(a)では、実線がESR制御部11A,11Bのインピーダンス特性を示しており、一点鎖線が静電容量部60におけるESLが大きいときのインピーダンス特性(自己共振周波数が低周波側)を示しており、点線が静電容量部60におけるESLが小さいときのインピーダンス特性(自己共振周波数が高周波側)を示している。図10(b)では、静電容量部60のESLが小さいときの総合インピーダンス(静電容量部60のインピーダンスとESR制御部11A,11Bのインピーダンスとの合成インピーダンス)を示している。図10(c)では、静電容量部60のESLが大きいときの総合インピーダンスを示している。
【0091】
静電容量部60の内部電極8g,8hを図9に示すように略U字状(矩形状の電極にスリットを入れた形状)とした場合には、静電容量部60のESLが大きくなり、図10(a)に示すように、静電容量部60による共振周波数が低周波側にシフトする。そのため、静電容量部60の静電容量C0がESR制御部11A,11Bの静電容量C1に比べて十分に大きい場合には(C0≫C1)、図10(c)に示すように、広帯域に渡って総合インピーダンスをフラットできると共に小さくできる。
【0092】
以上説明したように、積層コンデンサ1Dは、第1実施形態と同様に、静電容量部60とESR制御部11A,11Bとの境界において、外部電極3,4に接続される静電容量部60の内部電極8g,8hと、外部電極3,4に接続されるESR制御部11A,11Bの内部電極8c,8fとが誘電体層7を介して異なる極性となるように配置されていない。これにより、静電容量部60とESR制御部11A,11Bとの境界において高周波電流が通過せず、静電容量部60とESR制御部11A,11Bとのコンデンサ成分を結合させずに分離させることができると共に、ESR成分も分離させることができる。このように、積層コンデンサ1Dでは、静電容量部60におけるESR成分(低ESR)とESR制御部11A,11BにおけるESR成分(高ESR)とに分離されるため、高周波帯域側、若しくは低周波帯域側のESRを大きくすることが可能となる。したがって、広周波帯域においてESRを制御することが可能となる。
【0093】
また、内部電極は、図11に示すような構成であってもよい。図11に示すように、複合層9iの内部電極8iは、略S字状を呈している。内部電極8iの一端部は、積層体2の端面2aに露出しており、外部電極3に接続される。複合層9jの内部電極8jは、略S字状を呈している。内部電極8jの一端部は、積層体2の端面2bに露出しており、外部電極4に接続される。このような構成の場合においても、内部電極8g,8hと同様に、対向して配置される複合層9iの内部電極8iと複合層9jの内部電極8jとにおいて同じ方向(図11中の矢印方向)に電流が流れるため、内部電極8i,8jの相互インダクタンスによりESLを上げることができる。
【0094】
[第6実施形態]
続いて、第6実施形態について説明する。図12は、第6実施形態に係る積層コンデンサの層構成を示す図である。図12に示すように、積層コンデンサ1Eは、ESR制御層70A,70Bを構成する複合層9k,9l,9mの構成が第1実施形態と異なっており、外部電極3,4、接続導体5,6及び複合層9a,9b,9d,9eの構成は第1実施形態と同様である。
【0095】
図12に示すように、積層コンデンサ1Eの積層体2Eは、ESR制御部70A、静電容量部10、ESR制御部70Bがこの順に配置されて構成されている。静電容量部10は、複合層9a,9bが交互に複数積層されて構成されており、内部電極8aと内部電極8bとが誘電体層7を介して異なる極性として対向して配置されている。なお、図12においては、複合層9a及び複合層9bをそれぞれ4層しか図示していないが、複合層9a及び複合層9bの積層数は、設計に合わせて適宜設定される。
【0096】
ESR制御部70Aは、異なる3つの内部電極を有する複合層9e,9k,9lが積層されて構成されている。複合層9kは、誘電体層7上に内部電極(第4の内部電極)8kが形成されている。内部電極8kは、中央部分に形成された矩形状の主電極部8kAと、主電極部8kAの一辺から引き出された帯状の引出導体8kBとを有している。主電極部8kAの一端部は、積層体2の端面2bに露出し、外部電極4に接続されている。引出導体8kBの端部は、積層体2の側面2dに露出し、接続導体6に接続されている。内部電極8kは、+極性となる。
【0097】
複合層9lは、誘電体層7上に内部電極(第3の内部電極)8lが形成されている。内部電極8lは、矩形状を呈しており、その一端部は、積層体2の端面2aに露出し、外部電極3に接続されている。内部電極8lは、−極性となる。
【0098】
ESR制御部70Bは、異なる3つの内部電極を有する複合層9d,9l,9mが積層されて構成されている。複合層9mは、誘電体層7上に内部電極(第4の内部電極)8mが形成されている。内部電極8mは、中央部分に形成された矩形状の主電極部8mAと、主電極部8mAの一辺から引き出された帯状の引出導体8mBとを有している。主電極部8mAの一端部は、積層体2の端面2bに露出し、外部電極4に接続されている。引出導体8mBの端部は、積層体2の側面2cに露出し、接続導体5に接続されている。内部電極8mは、+極性となる。
【0099】
ESR制御部70Aは、内部電極8kが形成された複合層9k、内部電極8eが形成された複合層9e、内部電極8lが形成された複合層9l、内部電極8eが形成された複合層9e、内部電極8lが形成された複合層9lがこの順に積層されて構成されている。複合層9eの内部電極8eは、接続導体6及び内部電極8kを介して外部電極4に接続されるため、内部電極8kと同じ+極性となる。
【0100】
ESR制御部70Bは、内部電極8mが形成された複合層9m、内部電極8dが形成された複合層9d、内部電極8lが形成された複合層9l、内部電極8dが形成された複合層9d、内部電極8lが形成された複合層9lがこの順に積層されて構成されている。複合層9dの内部電極8dは、接続導体5及び内部電極8mを介して外部電極4に接続されるため、内部電極8mと同じ+極性となる。
【0101】
積層体2Eでは、静電容量部10とESR制御部70A,70Bとの境界において、複合層9lの内部電極8lと複合層9aの内部電極8aとが対向して配置されていると共に、複合層9bの内部電極8bと複合層9mの内部電極8mとが対向して配置されている。具体的には、外部電極3に接続されて−極性となる複合層9lの内部電極8lと、外部電極3に接続されて−極性となる複合層9aの内部電極8aとが誘電体層7を介して対向して配置されている。また、外部電極4に接続されて+極性となる複合層9bの内部電極8bと、外部電極4に接続されて+極性となる複合層9mの内部電極8mとが誘電体層7を介して対向して配置されている。すなわち、積層体2Eでは、静電容量部10とESR制御部70A,70Bとの境界において、外部電極3に接続される内部電極8a,8lと外部電極4に接続される内部電極8b,8mとが誘電体層7を介して同じ極性となるように配置されている。
【0102】
以上説明したように、積層コンデンサ1Eは、第1実施形態と同様に、静電容量部10とESR制御部70A,70Bとの境界において、外部電極3,4に接続される静電容量部10の内部電極8a,8bと、外部電極3,4に接続されるESR制御部70A,70Bの内部電極8k,8l,8mとが誘電体層7を介して異なる極性となるように配置されていない。つまり、同極性(−極性)となる内部電極8aと内部電極8lとが誘電体層7を介して対向して配置されていると共に、同極性(+極性)となる内部電極8bと内部電極8mとが誘電体層7を介して対向して配置されている。
【0103】
これにより、静電容量部10とESR制御部70A,70Bとの境界において高周波電流が通過せず、静電容量部10とESR制御部70A,70Bとのコンデンサ成分を結合させずに分離させることができると共に、ESR成分も分離させることができる。このように、積層コンデンサ1Eでは、静電容量部10におけるESR成分(低ESR)とESR制御部70A,70BにおけるESR成分(高ESR)とに分離されるため、高周波帯域側、若しくは低周波帯域側のESRを大きくすることが可能となる。したがって、広周波帯域においてESRを制御することが可能となる。
【0104】
[第7実施形態]
続いて、第7実施形態について説明する。図13は、第7実施形態に係る積層コンデンサの層構成を示す図である。図13に示すように、積層コンデンサ1Fは、ESR制御層80A,80Bを構成する複合層9n,9oの構成が第6実施形態と異なっており、外部電極3,4、接続導体5,6及び複合層9a,9b,9lの構成は第6実施形態と同様である。
【0105】
図13に示すように、積層コンデンサ1Fの積層体2Fは、ESR制御部80A、静電容量部10、ESR制御部80Bがこの順に配置されて構成されている。静電容量部10は、複合層9a,9bが交互に複数積層されて構成されており、内部電極8aと内部電極8bとが誘電体層7を介して異なる極性として対向して配置されている。なお、図13においては、複合層9a及び複合層9bをそれぞれ4層しか図示していないが、複合層9a及び複合層9bの積層数は、設計に合わせて適宜設定される。
【0106】
ESR制御部80A,80Bは、異なる3つの内部電極を有する複合層9l,9n,9oが積層されて構成されている。複合層9nは、誘電体層7上に内部電極(第4の内部電極)8nが形成されている。内部電極8nは、中央部分に形成された矩形状の主電極部8nAと、主電極部8nAの一辺から引き出された帯状の引出導体8nBと、主電極部8nAの一辺から引き出された帯状の引出導体8nCとを有している。主電極部8nAの一端部は、積層体2の端面2bに露出し、外部電極4に接続されている。引出導体8nBの端部は、積層体2の側面2cに露出し、接続導体5に接続されている。引出導体8nCの端部は、引出導体8nBとは反対に積層体2の側面2dに露出し、接続導体6に接続されている。内部電極8nは、+極性となる。
【0107】
複合層9oは、誘電体層7上に内部電極(第5の内部電極)8oが形成されている。内部電極8oは、中央部分に形成された矩形状の主電極部8oAと、主電極部8oAの一辺から引き出された帯状の引出導体8oBと、主電極部8nAの一辺から引き出された帯状の引出導体8oCとを有している。引出導体8oBの端部は、積層体2の側面2cに露出し、接続導体5に接続されている。引出導体8oCの端部は、引出導体8oBとは反対に積層体2の側面2dに露出し、接続導体6に接続されている。内部電極8oは、+極性となる。
【0108】
積層体2Fでは、静電容量部10とESR制御部80A,80Bとの境界において、複合層9lの内部電極8lと複合層9aの内部電極8aとが対向して配置されていると共に、複合層9bの内部電極8bと複合層9nの内部電極8nとが対向して配置されている。具体的には、外部電極3に接続されて−極性となる複合層9lの内部電極8lと、外部電極3に接続されて−極性となる複合層9aの内部電極8aとが誘電体層7を介して対向して配置されている。また、外部電極4に接続されて+極性となる複合層9bの内部電極8bと、外部電極4に接続されて+極性となる複合層9nの内部電極8nとが誘電体層7を介して対向して配置されている。すなわち、積層体2Fでは、静電容量部10とESR制御部70A,70Bとの境界において、外部電極3に接続される内部電極8a,8lと外部電極4に接続される内部電極8b,8nとが誘電体層7を介して同じ極性となるように配置されている。
【0109】
以上説明したように、積層コンデンサ1Fは、第1実施形態と同様に、静電容量部10とESR制御部80A,80Bとの境界において、外部電極3,4に接続される静電容量部10の内部電極8a,8bと、外部電極3,4に接続されるESR制御部80A,80Bの内部電極8l,8nとが誘電体層7を介して異なる極性となるように配置されていない。つまり、同極性(−極性)となる内部電極8aと内部電極8lとが誘電体層7を介して対向して配置されていると共に、同極性(+極性)となる内部電極8bと内部電極8nとが誘電体層7を介して対向して配置されている。
【0110】
これにより、静電容量部10とESR制御部80A,80Bとの境界において高周波電流が通過せず、静電容量部10とESR制御部80A,80Bとのコンデンサ成分を結合させずに分離させることができると共に、ESR成分も分離させることができる。このように、積層コンデンサ1Fでは、静電容量部10におけるESR成分(低ESR)とESR制御部80A,80BにおけるESR成分(高ESR)とに分離されるため、高周波帯域側、若しくは低周波帯域側のESRを大きくすることが可能となる。したがって、広周波帯域においてESRを制御することが可能となる。
【0111】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、第1及び第2実施形態においては、接続導体の形状が図14に示すようなものであってもよい。具体的には、図14に示すように、積層コンデンサ1Gの積層体2Gには、接続導体5a,5b,6a,6bが形成されている。接続導体5a,5b,6a,6bは、複合層9c〜9fの内部電極8c〜8fにおける引出導体8cB〜8fBに対応する位置において、積層方向に2箇所に離間して形成されている。このような構成により、図15(a)に示す積層コンデンサ1Gにおいては、静電容量部10、ESR制御部11A、ESR制御部11Bのそれぞれのコンデンサ成分(C0,C1,C2)が分離する。そのため、積層コンデンサ1Gでは、図15(b)に示すような回路となる。
【0112】
また、第4実施形態においては、接続導体の形状が図16に示すようなものであってもよい。具体的には、図16に示すように、積層コンデンサ1Hの積層体2Hには、接続導体5c〜5e,6c〜6eが形成されている。接続導体5c〜5e,6c〜6eは、複合層9c〜9fの内部電極8c〜8fにおける引出導体8cB〜8fBに対応する位置において、積層方向に3箇所に離間して形成されている。このような構成により、図17(a)に示す積層コンデンサ1Hにおいては、静電容量部40A,40B、ESR制御部50A、ESR制御部50B、ESR制御部50Cのそれぞれのコンデンサ成分(C0,C1,C2,C3)が分離する。そのため、積層コンデンサ1Hでは、図17(b)に示すような回路となる。
【0113】
また、内部電極8g〜8jの形状は、第1〜4,6,7実施形態の静電容量部を構成する内部電極に適用してもよい。
【0114】
また、上記実施形態では、外部電極3が−極性となり、外部電極4が+極性となる構成としているが、極性は逆であってもよい。
【0115】
また、内部電極8a〜8fの形状は、上記形状に限定されない。また、内部電極の形状に応じて、外部電極3,4が積層体の側面2c,2dに形成されてもよい。また、ESR制御部の層構成は、上記実施形態に記載の構成に限定されるものではなく、コンデンサの設計に応じて複合層の積層数等を適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0116】
1,1A〜1H…積層コンデンサ、2,2A〜2F…積層体、3,4…外部電極、5,6…接続導体、8a,8g,8i…内部電極(第1の内部電極)、8b,8h,8j…内部電極(第2の内部電極)、8c,8l…内部電極(第3の内部電極)、8d…内部電極(第6の内部電極)、8e…内部電極(第5の内部電極)、8f,8k,8m,8n…内部電極(第4の内部電極)、10,10A,10B,40A,40B,60…静電容量部、11A,11B,20A,20B,30,50A〜50C,70A,70B,80A,80B…ESR制御部、C0…静電容量部の静電容量、C1…ESR制御部の静電容量、W0…静電容量部とESR制御部との間の間隔、W1…静電容量部及びESR制御部における内部電極間の間隔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層を介在させて複数の内部電極が積層された積層体と、
前記積層体の外表面にそれぞれ形成された第1の外部電極及び第2の外部電極と、
前記積層体の前記外表面に形成された第1の接続導体と、を備え、
前記複数の内部電極は、第1〜第5の内部電極を含み、
前記積層体は、
前記第1の外部電極に接続される前記第1の内部電極と前記第2の外部電極に接続される前記第2の内部電極とを有し、前記第1の内部電極と前記第2の内部電極とが前記誘電体層を介して異なる極性として対向して配置されている静電容量部と、
少なくとも前記第1の外部電極に接続される前記第3の内部電極と、少なくとも前記第2の外部電極及び前記第1の接続導体に接続される前記第4の内部電極と、少なくとも前記第1の接続導体に接続される前記第5の内部電極とを有し、前記第3〜第5の内部電極のうち、2つの内部電極が前記誘電体層を介して異なる極性として対向して配置されているESR制御部と、を有し、
前記静電容量部と前記ESR制御部との境界において、前記静電容量部の前記第1の内部電極又は前記第2の内部電極と、前記ESR制御部の前記第3の内部電極又は前記第4の内部電極とは、前記誘電体層を介して異なる極性となるように対向して配置されていないことを特徴とする積層コンデンサ。
【請求項2】
前記ESR制御部において、前記第3の内部電極と前記第4の内部電極とが前記誘電体層を介して異なる極性として対向して配置されていないことを特徴とする請求項1記載の積層コンデンサ。
【請求項3】
前記積層体の前記外表面に形成された第2の接続導体を更に備え、
前記第3の内部電極は、前記第1の外部電極及び前記第2の接続導体に接続されていることを特徴とする請求項1又は2記載の積層コンデンサ。
【請求項4】
前記複数の内部電極は、第6の内部電極を更に含み、
前記ESR制御部は、前記第2の接続導体に接続される前記第6の内部電極を有し、
前記第1の内部電極及び前記第3の内部電極は第1の極性となり、
前記第2の内部電極及び前記第4の内部電極は第2の極性となることを特徴とする請求項3記載の積層コンデンサ。
【請求項5】
前記静電容量部と前記ESR制御部との境界において、
前記第1の内部電極と前記第4の内部電極とが前記誘電体層を介して対向して配置されず、
前記第1の内部電極と前記第3、第5及び第6の内部電極のいずれかとが前記誘電体層を介して対向して配置され、
前記第2の内部電極と前記第3の内部電極とが前記誘電体層を介して対向して配置されず、
前記第2の内部電極と前記第4〜6の内部電極のいずれかとが前記誘電体層を介して対向して配置されていることを特徴とする請求項4記載の積層コンデンサ。
【請求項6】
前記ESR制御部において、
前記第3の内部電極と前記第4の内部電極とが前記誘電体層を介して対向して配置されず、
前記第4の内部電極と前記第5の内部電極又は前記第6の内部電極とが前記誘電体層を介して対向して配置され、
前記第3の内部電極と前記第5の内部電極又は前記第6の内部電極とが前記誘電体層を介して対向して配置され、
前記第5の内部電極と前記第6の内部電極とが前記誘電体層を介して対向して配置されていることを特徴とする請求項4又は5記載の積層コンデンサ。
【請求項7】
前記ESR制御部において、
前記第4の内部電極と前記第6の内部電極とが前記誘電体層を介して対向して配置されず、
前記第4の内部電極と前記第5の内部電極とが前記誘電体層を介して対向して配置され、
前記第3の内部電極と前記第4の内部電極とが前記誘電体層を介して対向して配置されず、
前記第3の内部電極と前記第6の内部電極とが前記誘電体層を介して対向して配置されていることを特徴とする請求項4又は5記載の積層コンデンサ。
【請求項8】
前記静電容量部と前記ESR制御部との境界において、
前記第1の内部電極と前記第6の内部電極とが前記誘電体層を介して対向して配置され、
前記第2の内部電極と前記第5の内部電極とが前記誘電体層を介して対向して配置されていることを特徴とする請求項3〜7のいずれか一項記載の積層コンデンサ。
【請求項9】
前記積層体の前記外表面に形成された第2の接続導体を更に備え、
前記第4の内部電極は、前記第2の外部電極、前記第1の接続導体及び前記第2の接続導体に接続されており、
前記第5の内部電極は、前記第1の接続導体及び前記第2の接続導体に接続されていることを特徴とする請求項1又は2記載の積層コンデンサ。
【請求項10】
前記ESR制御部において、
前記第3の内部電極と前記第4の内部電極とが前記誘電体層を介して対向して配置されず、
前記第4の内部電極と前記第5の内部電極とが前記誘電体層を介して対向して配置され、
前記第3の内部電極と前記第5の内部電極とが前記誘電体層を介して対向して配置されていることを特徴とする請求項9記載の積層コンデンサ。
【請求項11】
前記積層体は、前記誘電体層の積層方向において前記静電容量部と前記ESR制御部とが交互に配置されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項記載の積層コンデンサ。
【請求項12】
前記積層体は、前記積層方向における最外部に前記ESR制御部が配置されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項記載の積層コンデンサ。
【請求項13】
前記ESR制御部において、前記積層方向における最外部に前記第3の内部電極又は前記第4の内部電極が配置されていることを特徴とする請求項12記載の積層コンデンサ。
【請求項14】
前記ESR制御部の静電容量は、前記静電容量部の静電容量よりも小さいことを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項記載の積層コンデンサ。
【請求項15】
前記ESR制御部の静電容量は、前記静電容量部の静電容量よりも大きいことを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項記載の積層コンデンサ。
【請求項16】
前記静電容量部と前記ESR制御部との間の間隔は、前記静電容量部又は前記ESR制御部の内部電極同士の間隔よりも大きいことを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項記載の積層コンデンサ。
【請求項17】
前記第1の内部電極及び前記第2の内部電極は、蛇行形状を呈しており、電流の流れる方向が同じであることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項記載の積層コンデンサ。
【請求項18】
前記第1及び第2の接続導体は、前記内部電極の引出導体に対応する位置において、前記積層方向において離間して複数形成されていることを特徴とする請求項3〜17のいずれか一項記載の積層コンデンサ。
【請求項19】
誘電体層を介在させて複数の内部電極が積層された積層体と、
前記積層体の外表面にそれぞれ形成された第1の外部電極及び第2の外部電極と、
前記積層体の前記外表面に形成された第1の接続導体と、を備え、
前記複数の内部電極は、第1〜第5の内部電極を含み、
前記積層体は、
前記第1の外部電極に接続される前記第1の内部電極と前記第2の外部電極に接続される前記第2の内部電極とを有し、前記第1の内部電極と前記第2の内部電極とが前記誘電体層を介して異なる極性として対向して配置されている静電容量部と、
少なくとも前記第1の外部電極に接続される前記第3の内部電極と、少なくとも前記第2の外部電極及び前記第1の接続導体に接続される前記第4の内部電極と、少なくとも前記第1の接続導体に接続される前記第5の内部電極とを有し、前記第3〜第5の内部電極のうち、2つの内部電極が前記誘電体層を介して異なる極性として対向して配置されているESR制御部と、を有し、
前記静電容量部と前記ESR制御部との境界において、前記静電容量部の前記第1の内部電極又は前記第2の内部電極と、前記ESR制御部の前記第3の内部電極又は前記第4の内部電極とが前記誘電体層を介して同じ極性となるように配置、もしくは、前記静電容量部の前記第1の内部電極又は前記第2の内部電極と、前記ESR制御部の前記第5の内部電極とが前記誘電体層を介して対向して配置されていることを特徴とする積層コンデンサ。
【請求項20】
前記静電容量部と前記ESR制御部との境界において、前記静電容量部の前記第2の内部電極と、前記ESR制御部の前記第5の内部電極とが前記誘電体層を介して対向して配置されていることを特徴とする請求項19記載の積層コンデンサ。
【請求項21】
前記ESR制御部において、前記第3の内部電極と前記第5の内部電極とが前記誘電体層を介して異なる極性として対向して配置、もしくは、前記第4の内部電極と前記第5の内部電極とが前記誘電体層を介して同じ極性として対向して配置されていることを特徴とする請求項19又は20記載の積層コンデンサ。
【請求項22】
前記積層体の前記外表面に形成された第2の接続導体を更に備え、
前記第3の内部電極は、前記第1の外部電極及び前記第2の接続導体に接続されていることを特徴とする請求項19〜21のいずれか一項記載の積層コンデンサ。
【請求項23】
積層体の前記外表面に形成された第2の接続導体を更に備え、
前記第4の内部電極は、前記第2の外部電極、前記第1の接続導体及び前記第2の接続導体に接続されており、
前記第5の内部電極は、前記第1の接続導体及び前記第2の接続導体に接続されていることを特徴とする請求項19〜21のいずれか一項記載の積層コンデンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−138415(P2012−138415A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288422(P2010−288422)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】