説明

積層フィルムの検査方法及び積層フィルムの検査装置

【課題】位相差バラツキを有するセパレータが積層されている積層フィルムの検査を行なうに際して、セパレータの全領域にわたって精度のよい検査を行なうことが可能な積層フィルムの検査方法を提供する。
【解決手段】少なくとも、偏光子14と、セパレータ11とが積層されている積層フィルム1の欠陥検出を行うに際して、検査用光源2を用いて積層フィルム1を照射する工程と、この検査用光源2による透過光像を検査用偏光フィルター4と検査用位相差フィルター3とを介して撮影する工程と、を有し、積層フィルム1の検査領域が複数の小領域1aに分割設定されており、各領域ごとに検査用偏光フィルター4及び検査用位相差フィルター3を位置させる工程と、位置させた検査用位相差フィルター3を回転させて、透過光が最も吸収される回転位置を検出する工程と、検出された回転位置において、当該小領域1aの透過光像を撮影する工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも、偏光子と、位相差層とが積層されている積層フィルムの欠陥検出を行うに際して、検査用光源を用いて積層フィルムを照射する工程と、この検査用光源による透過光像を検査用偏光フィルターと検査用位相差フィルターとを介して撮影する工程と、を有する積層フィルムの検査方法、及び、この方法に適した積層フィルムの欠陥検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
かかる積層フィルムとして、図2(a)に例示するような積層構造を有するものがある。この積層フィルム1は、偏光子14の両側に接着層を介して積層された保護層13からなる偏光板16と、この偏光板16の一方の面に粘着剤層12を介して積層されたセパレータ11(位相差層に相当)とで構成されている。この偏光板16に存在する異物、傷、クニック等の欠陥を検査する場合、偏光板16に対して適宜の光源により光を照射し、その反射光像や透過光像をラインセンサーや2次元TVカメラなどの撮影手段を介して取得し、取得された画像データに基づいて、欠陥検出を行う。また、偏光板16の検査を行う場合には、光源と撮像手段の間の光路中に検査用偏光フィルターを介在させた状態で画像データを取得する。通常、この検査用偏光フィルターの偏光軸(例えば、偏光吸収軸)は、検査対象である偏光板16の偏光軸(例えば、偏光吸収軸)と直交する状態(クロスニコル)となるように配置される。クロスニコルに配置することで、仮に欠陥が存在しなければ撮像手段から全面黒の画像が入力されるが、欠陥が存在すれば、その部分が黒にならない。従って、適宜のしきい値を設定することで、欠陥を検出することができる。
【0003】
しかしながら、偏光板16がセパレータ11を有する積層フィルム1である場合には、セパレータ11が複屈折性(位相差)を有するため、かかる場合には直線偏光を楕円偏光にしてしまい、実質的には偏光板16と検査用偏光フィルターとがクロスニコルの状態にはならない。その結果、積層フィルム1に含まれる偏光板16の欠陥検査を精度よくできないという問題が生じていた。また、積層フィルム1を液晶表示装置などに使用する場合には、セパレータ11は最終的には剥がされて使用されるものであるが、積層フィルム1の検査工程においては、セパレータ11が存在する状態で検査を行なわなければならない。
【0004】
かかる問題を解決した積層フィルムの欠陥検出装置として、下記特許文献1に開示される偏光板検査装置が公知である。この偏光板検査装置は、光源と、この光源からの光を直線偏光にする検査用偏光フィルターを有し、この直線偏光を保護膜(位相差層に相当)付き偏光板に入力させ、その透過光像に基づいて欠陥検出を行う。さらに、光源から保護膜付き偏光板を透過する光路上に、保護膜による光の複屈折を補償する位相差板(検査用位相差フィルター)が配置されている。この位相差板を別途配置することで、保護膜による位相変化をキャンセルして、保護膜による光の複屈折を補償するようにしている。さらに、製品ごとに微妙に異なる保護膜による複屈折を補償するため、電圧により光の位相角が調整可能な可変偏光用光学素子を配置する構成例も開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−9919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記先行技術においても、次のような問題点があった。検査用位相差フィルターを用いることでセパレータの有する位相差をキャンセルすることはできるが、セパレータ自身が有する位相差は、バラツキがあるため、同じ製品内であっても領域によって変動する。従って、ある領域ではキャンセルできたとしても、違う領域ではキャンセルできていないという場合があり、検査結果の確実性という点ではまだ改善の余地があった。また、セパレータの特性により波長分散が起こり、透過光が複数の偏光状態を有し、位相差をキャンセルしきれないという問題点もあった。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、位相差バラツキを有するセパレータが積層されている積層フィルムの検査を行なうに際して、セパレータの全領域にわたって精度のよい検査を行なうことが可能な積層フィルムの検査方法、及び、この方法に適した積層フィルムの欠陥検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明に係る積層フィルムの検査方法は、
少なくとも、偏光子と、位相差層とが積層されている積層フィルムの欠陥検出を行うに際して、
検査用光源を用いて積層フィルムを照射する工程と、この検査用光源による透過光像を検査用偏光フィルターと検査用位相差フィルターとを介して撮影する工程と、を有する積層フィルムの検査方法であって、
積層フィルムの検査領域が複数の小領域に分割設定されており、各領域ごとに検査用偏光フィルター及び検査用位相差フィルターを位置させる工程と、
位置させた検査用位相差フィルターを回転させて、透過光が最も吸収される回転位置を検出する工程と、
検出された回転位置において、当該小領域の透過光像を撮影する工程と、を有することを特徴とするものである。
【0009】
この構成による積層フィルムの検査方法の作用・効果を説明する。検査対象となる積層フィルムは、少なくとも、偏光子と、位相差層とが積層されている。積層フィルムのフィルム面の一方側に検査用光源が配置され、他方側に撮影手段(例えば、エリアセンサーカメラやラインセンサーカメラ)が配置される。また、検査用光源と撮影手段の間の光路中に、検査用偏光フィルターと検査用位相差フィルターが配置される。積層フィルムの偏光子を通過した透過光は、積層フィルムが正常であれば、直線偏光のみが通過し、欠陥部分は直線偏光以外の光も透過する。従って、検査用偏光フィルターを積層フィルムの偏光子に対してクロスニコルに配置すれば、本来、欠陥のない領域の透過光像は黒くなり、欠陥部分は明るく表示される。しかし、実際には、位相差層の存在によりクロスニコルの状態にはならないため、検査用位相差フィルターを介在させることで、位相差層による位相差をキャンセルした状態での、透過光像の取得が可能になる。
【0010】
また、位相差層の位相差は領域によりバラツキを有することを考慮し、積層フィルムの検査領域を複数の小領域に分割設定している。分割された小領域内では、大きな位相差のバラツキはないものと考えられるからである。そして、各領域ごとに検査用偏光フィルターと検査用位相差フィルターを位置させる。この位置で、検査用位相差フィルターを回転させて、透過光が最も吸収される回転位置を検出する。この回転位置に設定することで、クロスニコルに設定した状態での検査を行なうことができる。以上のような、検査用位相差フィルターの回転位置の設定を各小領域について順番に行う。従って、分割された各小領域について、適切な検査用位相差フィルターの設定を行うことで、積層フィルムの全検査領域について、精度のよい欠陥検査を行なうことができる。
【0011】
本発明において、前記検査用位相差フィルターの回転角度範囲が予め設定されていると共に、この角度範囲内で所定角度ピッチずつ移動させながら前記回転位置の検出が行われることが好ましい。
【0012】
積層フィルムの位相差層が有する位相差のバラツキの範囲はある程度の範囲に抑えられていると考えられるので、検査用位相差フィルターの適切な回転位置もある程度の範囲内に入っているものと予想可能である。そこで、検査用位相差フィルターの回転角度範囲は360゜ではなく、それよりも狭い角度範囲に予め設定しておくことで、検査効率を高めることができる。検査用位相差フィルターは、この角度範囲内で所定角度ピッチずつ移動させることで、最も透過光が吸収される位置を効率よく検出することができる。
【0013】
本発明において、前記検査用光源からの照射光は、中心波長が600〜700nmであり、半値幅が50nm以下であることが好ましい。
【0014】
かかる範囲に設定することで、撮影手段により撮影された透過光像をモニターなどに表示させた場合、欠陥部分とその他の正常部分とのコントラストが大きくなり、目視での判断をしやすくなる。また、照射光の中心波長が長波長になるほど、また、波長帯域を狭くするほど、波長分散が生じにくくなり、検査の精度を上げることができる。
【0015】
上記課題を解決するため本発明に係る積層フィルムの検査装置は、
少なくとも、偏光子と、位相差層とが積層されている積層フィルムの欠陥検出を行うに際して、
積層フィルムを照射する検査用光源と、この検査用光源による透過光像を検査用偏光フィルターと検査用位相差フィルターとを介して撮影する撮影手段と、を有する積層フィルムの検査装置であって、
積層フィルムの検査領域が複数の小領域に分割設定されており、各領域ごとに検査用偏光フィルター及び検査用位相差フィルターを位置させるフィルター位置設定手段と、
位置させた検査用位相差フィルターを回転させて、透過光が最も吸収される回転位置を検出するフィルター位置検出手段と、を備え、
検出された回転位置において、当該小領域の透過光像を前記撮影手段により撮影することを特徴とするものである。
【0016】
かかる構成による積層フィルムの検査装置の作用・効果は、既に述べた通りであり、積層フィルムの分割された各小領域について、適切な検査用位相差フィルターの設定を行うことで、積層フィルムの全検査領域について、精度のよい欠陥検査を行なうことができる。
【0017】
上記課題を解決するため本発明に係る別の積層フィルムの検査方法は、
少なくとも、偏光子と、位相差層とが積層されている積層フィルムの欠陥検出を行うに際して、
第1検査用光源を用いて積層フィルムを照射する工程と、この第1検査用光源による透過光像を第1検査用偏光フィルターと第1検査用位相差フィルターとを介して撮影する工程と、を有すると共に、
さらに、第2検査用光源を用いて積層フィルムを照射する工程と、この第2検査用光源による透過光を第2検査用偏光フィルターと第2検査用位相差フィルターとを介して受光する工程と、を有する積層フィルムの検査方法であって、
積層フィルムの検査領域が複数の小領域に分割設定されており、各領域ごとに第2検査用偏光フィルター及び第2検査用位相差フィルターを位置させる工程と、
位置させた第2検査用位相差フィルターを回転させて、透過光が最も吸収される回転位置を検出する工程と、
検出された回転位置を各小領域について記憶する工程と、
各領域ごとに第1検査用偏光フィルター及び第1検査用位相差フィルターを位置させる工程と、
記憶されている回転位置に基づいて、第1検査用位相差フィルターの回転位置を設定する工程と、
第1検査用位相差フィルターを設定した後に、当該小領域の透過光像を撮影する工程と、を有することを特徴とするものである。
【0018】
かかる構成を有する積層フィルムの検査方法の作用・効果を説明する。先ほど説明した検査方法によれば、積層フィルムの検査領域を複数の小領域に分割し、夫々の小領域を順番に移動して、適切な検査用位相差フィルターの回転位置を見つけながら透過光像を撮影して検査を行なうというものであった。これに対して、本検査方法は、最初に検査用位相差フィルターの適切な回転位置を全小領域について検出しておき、その次に、夫々の小領域を順番に移動して検査用位相差フィルターを予め検出しておいた回転位置に設定しながら、透過光像を撮影して検査を行なうというものである。そのために、第2検査用光源と、第2検査用偏光フィルターと、第2検査用位相差フィルターを用意しておき、これらを用いて、適切な検査用位相差フィルターの回転位置を見つけて記憶させておく。実際に欠陥検査を行なう場合には、記憶しておいた回転位置データを読み出して、欠陥検査に用いる第1検査用位相差フィルターを当該回転位置に設定する。この設定された位置において、透過光像の撮影を行うようにする。かかる構成により、積層フィルムの全検査領域について、精度のよい欠陥検査を行なうことができる。
【0019】
本発明において、前記第1検査用光源からの照射光は、中心波長が600〜700nmであり、半値幅が50nm以下であることが好ましい。
【0020】
かかる範囲に設定することで、撮影手段により撮影された透過光像をモニターなどに表示させた場合、欠陥部分とその他の正常部分とのコントラストが大きくなり、目視での判断をしやすくなる。また、照射光の中心波長が長波長になるほど、また、波長帯域を狭くするほど、波長分散が生じにくくなり、検査の精度を上げることができる。
【0021】
本発明において、第2検査用位相差フィルターの回転角度は少なくとも360゜であり、透過光の受光をフォトダイオードで行なうことが好ましい。
【0022】
この構成によると、第2検査用位相差フィルターを連続的に高速回転させながら、適切な検査用位相差フィルターの回転位置を見つけ出すことが可能である。また、透過光の受光をフォトダイオードで行なうことで、処理時間を短縮化することができ、検査時間を抑制しつつ精度のよい欠陥検査を行なうことができる。
【0023】
上記課題を解決するため本発明に係る別の積層フィルムの検査装置は、
少なくとも、偏光子と、位相差層とが積層されている積層フィルムの欠陥検出を行うに際して、
積層フィルムを照射する第1検査用光源と、この第1検査用光源による透過光像を第1検査用偏光フィルターと第1検査用位相差フィルターとを介して撮影する撮影手段と、を有すると共に、
さらに、積層フィルムを照射する第2検査用光源と、この第2検査用光源による透過光を第2検査用偏光フィルターと第2検査用位相差フィルターとを介して受光する受光手段と、を有する積層フィルムの検査装置であって、
積層フィルムの検査領域が複数の小領域に分割設定されており、各領域ごとに第2検査用偏光フィルター及び第2検査用位相差フィルターを位置させる副フィルター位置設定手段と、
位置させた第2検査用位相差フィルターを回転させて、透過光が最も吸収される回転位置を検出するフィルター位置検出手段と、
検出された回転位置を各小領域について記憶する記憶手段と、
各領域ごとに第1検査用偏光フィルター及び第1検査用位相差フィルターを位置させる主フィルター位置設定手段と、
記憶されている回転位置に基づいて、第1検査用位相差フィルターの回転位置を設定するフィルター回転位置制御手段と、を備え、
第1検査用位相差フィルターを設定した後に、当該小領域の透過光像を前記撮影手段により撮影することを特徴とするものである。
【0024】
かかる構成による積層フィルムの検査装置は、既に述べた通りであり、積層フィルムの分割された各小領域について、適切な検査用位相差フィルターの設定を行うことで、積層フィルムの全検査領域について、精度のよい欠陥検査を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明に係る積層フィルムの検査装置及び検査方法の好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1は、検査装置及び検査方法の構成を示す概略図である。検査対象である積層フィルムは、図2(a)(b)に示すような積層構造を有しているものが例示される。図2(a)は、偏光子14の両面に保護層13が設けられ、一方の保護層13の側には粘着剤層12を介してセパレータ11(位相差層に相当)が積層されている。また、他方の保護層13の側には保護フィルム11’が積層されている。図2(b)に示す積層フィルム1は、保護層13と粘着剤層12の間に位相差フィルム15がさらに積層されている構成例である。
【0026】
<第1実施形態にかかる検査方法及び装置>
図1において、積層フィルム1の検査領域は、複数の小領域1aに分割設定されている。図例では32の小領域1aに分割されているが、分割数は適宜設定することができ、これに限定されるものではない。積層フィルム1の下方には、検査用光源2が配置され、積層フィルム1の上方には、検査用位相差フィルター3、検査用偏光フィルター4、撮影カメラ5(撮影手段に相当)の順番に配置されている。撮影カメラ5については、特定のタイプのものに限定されるものではない。セパレータ11の位相差バラツキの影響をできるだけ小さくするためには、エリアセンサーカメラを使用して撮影視野を狭くする方法が好ましいが、視野を狭く設定すると検査時間が長くなるので、ラインセンサーカメラを使用してもよい。
【0027】
検査用偏光フィルター4の吸収軸の角度は、積層フィルム1の偏光子14の吸収軸と直角(クロスニコル)になるように配置する。このような配置にすることで、積層フィルム1に欠陥が存在しなければ、偏光子14により得られる直線偏光は、検査用偏光フィルター4を通過できないため、黒い画像となる。欠陥が存在すれば、その欠陥部分は、直線偏光以外の光も透過するので、欠陥部分(以下、「輝点」という)は明るく表示される。この輝点の存在を検出することで、当該積層フィルム1の欠陥の有無を判定することができる。
【0028】
実際には、セパレータ11(位相差層)の存在によりクロスニコルの状態にはならないため、検査用位相差フィルター3を介在させることで、セパレータ11による位相差をキャンセルするようにしている。検査用位相差フィルター3は、位相差フィルム15の積層構造に応じて、検査用偏光フィルター4との組み合わせで最も透過光が弱くなるものを選定することが好ましい。
【0029】
検査用光源2の種類については、特に限定されるものではないが、波長分散の影響を避けるために波長帯域を限定したものが好ましい。具体的には、照射光の波長が600〜700nmで、半値幅が50nm以下であることが好ましい。波長帯域を限定するためには、LEDやヘリウムネオンレーザーを光源として用いる方法や、適宜の光源とカラーフィルターとを組み合わせて帯域を狭くする方法などがある。
【0030】
図3は、第1実施形態にかかる積層フィルムの検査装置の構成を示す概念図である。架台20の上には、検査対象である積層フィルム1を搭載するための第1ステージ21と第2ステージ22(フィルター位置設定手段に相当)が設けられている。第1ステージ21は、第2ステージ22に設けられた第1スライダー23により、Y方向に移動可能であり、第2ステージ22は、架台20上に設けられた第2スライダー24によりX方向に移動可能である。従って、第1ステージ21は、架台20に対してXY平面内を移動可能であり、これに搭載された積層フィルム1もXY平面内を移動可能になる。
【0031】
検査用光源2は、これら第1・第2ステージ21,22の下方に設けられており、照射光が通過できるように、これらステージ21,22には、光通過穴が形成されている。
【0032】
第1・第2ステージ21,22の上方には、検査用位相差フィルター3と検査用偏光フィルター4がこの順番に配置されており、さらにその上方に撮影カメラ5が設けられる。
【0033】
検査用位相差フィルター3は光軸L(検査用光源2と撮影カメラ5の中心を結ぶ線)を中心として回転可能に支持されている。検査用位相差フィルター3を保持する保持体の外周部分に駆動ギヤを設けておき、モーター25により回転駆動される中間ギヤ26を、駆動ギヤにかみ合わせて配置することで、検査用位相差フィルター3を回転させることができる。
【0034】
コンピュータ30は、モーター25や撮影カメラ5に対する動作の制御や、撮影カメラ5により撮影された画像データの取り込みを行う。
【0035】
<制御機能>
図4は、図3に示す検査装置の制御機能を示すブロック図である。コンピュータ30には、装置全体を統括的に制御するコントローラ31が設けられている。カメラ制御部32は、撮影カメラ5の動作を制御するものであり、積層フィルム1の透過光像の取り込み制御などを行なうことができる。位相差フィルター制御部33(フィルター位置検出手段に相当)は、モーター25に対する指令を与えて、検査用位相差フィルター3の回転制御をする機能を有する。ステージ制御部34は、第1・第2ステージ21,22に対する駆動制御を行う。
【0036】
制御プログラム35には、図3に示す検査装置の制御を行うためのプログラムが格納されている。具体的には、検査用位相差フィルター3の回転制御や、第1・第2ステージ21,22の駆動は、予め格納されているプログラムに基づいて行なわれる。画像処理部36は、撮影カメラ5により取り込んだ積層フィルム1の透過光像を適宜処理して、モニター37に表示させる。オペレータは、モニター37に表示されている画像を見ながら、積層フィルム1の欠陥の有無、良否を判定することができる。
【0037】
明るさ判定部38は、検査用位相差フィルター3を回転させながら取得した透過光像の光量データに基づいて、最も適切な検査用位相差フィルター3の回転位置を判定する機能を有する。具体的には、検査用位相差フィルター3を回転させつつ、透過光が最も吸収された回転位置、すなわち、最も、透過光量が少ないと判断された回転位置を見つけ出す機能を有する。
【0038】
記憶手段39には、撮影カメラ5により取り込まれた透過光像(画像データ)が記憶される。記憶手段39は、大容量のハードディスクなどにより構成することができる。
【0039】
<検査手順>
次に、第1実施形態にかかる検査装置による検査手順を図5及び図6のフローチャートにより説明する。図5は、積層フィルム1の分割された小領域1aを示す図である。この図例では、小領域1aは、4×8の合計32の小領域1aに分割されている。各小領域1aに符号を付しており、検査する順番は矢印で示しているように、A→B→C→・・・・EE→FFで示される。
【0040】
図6のフローチャートに示すように、まず、検査対象である積層フィルム1を第1ステージ21の上に搭載する(S1)。次に、積層フィルム1の小領域Aの中心に光軸Lが位置するように、ステージ21,22を駆動する(S2)。次に、検査用偏光フィルター4をクロスニコルの状態になるように配置する(S3)。次に、検査用位相差フィルター3を所定の角度位置になるように設定する(S4)。検査用偏光フィルター4の位置は、1つの積層フィルム1の検査が終了するまでは固定される。
【0041】
次に、検査用位相差フィルター3を1゜回転し、この回転位置で撮影カメラ5により小領域Aの透過光像を取得する(S5,S6)。この動作を全部で40回繰り返し、40゜(設定された角度範囲に相当)の範囲での透過光像を1゜ステップで取得する。これら得られた透過光像の中で、最も透過光が弱い透過光像を選択し、その回転位置での透過光像を欠陥検査の判定に使用すべき画像データであると決定する(S7,S8)。この透過光像データにおける輝点の有無を判断する(S9)。
【0042】
この判断は、オペレータが目視判断で行なってもよいし、画像処理技術を用いて判定する手法を用いてもよい。判定手法としては、輝点の数をカウントしたり、輝点の面積(個々の面積、総面積など)を求める方法が考えられる。小領域Aにおける輝点情報の収集がすべて取得されると(S10)、次に、第1・第2ステージ21,22を移動させて、小領域Bについての同じ動作を繰り返す(S11)。小領域Bについての情報収集が終了すると、図5に示す矢印の順番の通り、全ての小領域に関する輝点情報の収集を行なう(S12)。
【0043】
<第2実施形態にかかる検査方法及び装置>
次に、第2実施形態に係る検査装置の構成を図7により説明する。図3で説明した第1実施形態と異なる点を中心に説明する。この検査装置は、予め、検査用位相差フィルター3の適切な回転位置を検出するための機構(以下、この機構を副光学系といい、第1実施形態と同じ機構を主光学系という)を別に備えている。すなわち、第2検査用光源2A、第2検査用位相差フィルター3A、第2検査用偏光フィルター4Aを備えており、これらは、第1検査用光源2、第1検査用位相差フィルター3、第1検査用偏光フィルター4と全く同じものが使用される。また、第2検査用位相差フィルター3Aを回転駆動するためのモーター25Aと、中間ギヤ26Aについても、第1検査用位相差フィルター3を駆動するためのモーター25と、中間ギヤ26と全く同じである。
【0044】
副光学系は主光学系とは異なり、撮影カメラ5は備えておらず、代わりにフォトダイオード5A(受光手段に相当)が設けられている。副光学系は、検査用位相差フィルター3Aの回転位置を検出するためであるから、画像データを取り込む必要はなく、明るさのデータのみが取得できればよい。
【0045】
第1・第2ステージ21,22は、主光学系の側と副光学系の側に移動可能に制御され、従って、検査対象である積層フィルム1も主光学系の側と副光学系の側を移動可能に制御される。
【0046】
<制御機能>
図8は、第2実施形態に係る検査装置の制御機能を示すブロック図である。図4で説明したものと異なる点を中心に説明する。FD制御部40は、フォトダイオード5Aの動作を制御するものである。位相差フィルター制御部33(フィルター位置検出手段に相当)は、モーター25Aに対する指令を与えて、第2検査用位相差フィルター3Aの回転制御する機能をも有する。
【0047】
明るさ判定部38は、第2検査用位相差フィルター3を回転させながら取得した透過光の光量データに基づいて、最も適切な検査用位相差フィルター3の回転位置を判定する機能を有する。具体的には、第2検査用位相差フィルター3を回転させつつ、透過光が最も吸収された回転位置、すなわち、最も、透過光量が少ないと判断された回転位置を見つけ出す機能を有する。
【0048】
記憶手段39には、上記のように見つけ出された回転位置と、それに対応する小領域とを対応付けて記憶させる。位相差フィルター制御部33(フィルター回転位置制御手段に相当)は、この記憶されている回転位置データに基づいて、第1検査用位相差フィルター3の回転位置を制御することができる。
【0049】
ステージ21,22及びステージ制御部34は、主フィルター位置設定手段、及び、副フィルター位置設定手段として機能する。
【0050】
<検査手順>
次に、第2実施形態にかかる検査装置による検査手順を図5及び図9のフローチャートにより説明する。積層フィルム1の分割された小領域1aに関しては、図5と同じである。検査する順番は矢印で示しているように、A→B→C→・・・・EE→FFで示される。
【0051】
図9のフローチャートに示すように、まず、検査対象である積層フィルム1を第1ステージ21の上に搭載し、ステージ21,22を副光学系のほうに設定させる(S21)。これにより、積層フィルム1が副光学系の所定の位置にセットされる。
【0052】
次に、積層フィルム1の小領域Aの中心に光軸Lが位置するように、ステージ21,22を駆動する(S22)。次に、第2検査用偏光フィルター4Aをクロスニコルの状態になるように配置する(S23)。第2検査用偏光フィルター4Aの位置は、1つの積層フィルム1の検査が終了するまでは固定される。
【0053】
次に、第2検査用位相差フィルター3Aを360゜回転し、フォトダイオード5Aにより小領域Aの透過光量のデータを取得する(S24)。第2検査用位相差フィルター3Aは少なくとも360゜回転させればよく、連続的に回転させた状態にすることができる。なお、第2検査用位相差フィルター3Aの回転動作に連動して、回転位置を表す信号も取り込むようにする。これにより、回転位置と透過光量とを関連付けた状態でデータを取得することができる。
【0054】
得られた透過光量のデータから、最も透過光が弱い回転位置を明るさ判定部38の機能により判定する(S25)。求められた回転位置は、小領域Aを特定するデータ(識別情報)と関連付けて、記憶手段39に記憶される。次に、第1・第2ステージ21,22を移動させて、小領域Bについての同じ動作を繰り返す(S26)。以下、A→B→C→・・・・EE→FFの順番で、各小領域についての回転位置のデータを取得し、記憶手段39に記憶させる(S27)。
【0055】
次に、第1・第2ステージ21,22を移動させて、積層フィルム1小領域Aの中心に主光学系の光軸Lが位置するようにセットする(S28,S29)。次に、第1検査用偏光フィルター4をクロスニコルの状態になるように設定する(S30)。第1検査用偏光フィルター4の位置は、1つの積層フィルム1の検査が終了するまでは固定される。
【0056】
次に、S27において既に取得しておいたデータのうち、小領域Aについての回転位置データを読み出し、その回転位置に第1検査用位相差フィルター3を設定する(S31)。設定が終了すると、撮影カメラ5により、積層フィルム1の小領域Aについての透過光像を取り込む(S32)。そして、この透過光像データにおける輝点の有無を判断し、小領域Aにおける輝点情報を取得する(S33,S34)。この点については、第1実施形態と同じである。
【0057】
小領域Aにおける輝点情報の収集がすべて取得されると、次に、第1・第2ステージ21,22を移動させて、小領域Bについての同じ動作を繰り返す(S35)。小領域Bについての情報収集が終了すると、図5に示す矢印の順番の通り、全ての小領域に関する輝点情報の収集を行なう(S36)。
【0058】
<実験結果>
次に、本発明による検査方法(小領域に分割して、位相差フィルターを透過光が最も吸収される位置に回転する方法)と、比較例(位相差フィルターを回転しない方法)とを実験で行い、その効果を確認した。実験で使用した検査装置は、図7に示す第2実施形態のものである。
【0059】
まず、試料の積層フィルムについて説明する。積層フィルムとして、日東電工社製のPFILV0012TPZZ(6.5インチ)を90枚使用した。セパレータは、東レ社製のセラピール(品番MDA(PR)厚さ38μm)を使用した。撮影カメラ5として、SONY社製のエリアセンサカメラ(型番XC−75(768×494画素))を使用した。フォトダイオード5Aとして、浜松フォトニクス社製のフォトダイオード(型番S2281)を使用した。検査用光源2,2Aとして、CCS社製のLED照明(HLV24RD−NR)を使用した。この光源の測定波長域は、ピーク波長:640nm 半値幅:25nmであった。
【0060】
副光学系における検査用光源2Aと試料間距離は55mmに設定した。副光学系における試料とフォトダイオード間距離は360mmに設定した。主光学系における検査用光源2と試料間距離は55mmに設定した。主光学系における試料とカメラ間距離は65mmに設定した。主光学系の撮影カメラ5に使用したレンズはMORITEX社製(MML1−65D)を使用した。
【0061】
外観検査員に、セパレータを剥離した試料90枚を暗室にて透過光で目視検査をしてもらい、その結果を真値(100%)として、本発明及び比較例の検査方法による検出率を算出した。すなわち、
検出率 =欠点検出数/検査員の欠点検出数×100%
見逃し率=見逃し数 /検査員の欠点検出数×100%
とした。
【0062】
その結果、比較例における検出率は64.0%、見逃し率は36.0%であったのに対して、本発明による検出率は95.6%、見逃し率は4.4%であった。従って、本発明の検査方法によれば、検出率が大きく改善されることが実験的にも確認することができた。
【0063】
<積層フィルムの具体例>
本発明において扱う積層フィルム1の例として、偏光板16を有するものをあげて説明したが、さらに具体的な構成例について説明する。偏光板は、長い帯状に形成され、フィルム状の偏光板原反から個々の大きさの偏光板を打ち抜きにより得るようにしている。偏光板原反は、例えば、予め製造しておいたPVAフィルム(偏光子)の表裏両面に例えばTACフィルム(保護フィルム)を貼り合わせることで得ることができる。この多層構造とされた偏光板原反Nの表面あるいは内部に存在する欠陥(キズや異物など)を検出する必要がある。
【0064】
偏光板原反Nは、(A)染色、架橋および延伸処理を施したポリビニルアルコール系フィルムを乾燥して偏光子を得る工程、(B)該偏光子の片側または両側に保護層を貼り合わせる工程、(C)貼り合わせた後に加熱処理する工程、を含む製造方法により製造される。
【0065】
ポリビニルアルコール系フィルムの染色、架橋、延伸の各処理は、別々に行う必要はなく同時に行ってもよく、また、各処理の順番も任意でよい。なお、ポリビニルアルコール系フィルムとして、膨潤処理を施したポリビニルアルコール系フィルムを用いてもよい。一般には、ポリビニルアルコール系フィルムを、ヨウ素や二色性色素を含む溶液に浸漬し、ヨウ素や二色性色素を吸着させて染色した後洗浄し、ホウ酸やホウ砂等を含む溶液中で延伸倍率3倍〜7倍で一軸延伸した後、乾燥する。ヨウ素や二色性色素を含む溶液中で延伸した後、ホウ酸やホウ砂等を含む溶液中でさらに延伸(二段階延伸)した後、乾燥することにより、ヨウ素の配向が高くなり、偏光度特性が良くなるため、特に好ましい。
【0066】
上記のポリビニルアルコール系ポリマーとしては、例えば、酢酸ビニルを重合した後にケン化したものや、酢酸ビニルに少量の不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、カチオン性モノマー等の共重合可能なモノマーを共重合したもの、等が挙げられる。ポリビニルアルコール系ポリマーの平均重合度は、特に制限されず任意のものを使用することができるが、1000以上が好ましく、より好ましくは2000〜5000である。また、ポリビニルアルコール系ポリマーのケン化度は85モル%以上が好ましく、より好ましくは98〜100モル%である。
【0067】
製造される偏光子の厚さは、5〜80μmが一般的であるが、これに限定するものではなく、また、偏光子の厚さを調整する方法に関しても、特に限定するものではなく、テンター、ロール延伸や圧延等の通常の方法を用いることができる。
【0068】
偏光子と保護層である偏光子保護フィルムとの接着処理は、特に限定されるものではないが、例えば、ビニルアルコール系ポリマーからなる接着剤、あるいは、ホウ酸やホウ砂、グルタルアルデヒドやメラミン、シュウ酸などのビニルアルコール系ポリマーの水溶性架橋剤から少なくともなる接着剤等を介して行うことができる。かかる接着層は、水溶液の塗布乾燥層等として形成されるが、その水溶液の調製に際しては必要に応じて、他の添加剤や、酸等の触媒も配合することができる。
【0069】
偏光子の片側又は両側に設ける偏光子保護フィルムには、適宜な透明フィルムを用いることができる。中でも、透明性や機械的強度、熱安定性や水分遮蔽性等に優れるポリマーからなるフィルムが好ましく用いられる。そのポリマーとしては、トリアセチルセルロースの如きアセテート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、液晶ポリマー等が挙げられる。フィルムは、キャスティング法、カレンダー法、押出し法のいずれで製造したものでもよい。
【0070】
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、たとえば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。これらのフィルムは位相差が小さく、光弾性係数が小さいため偏光板の歪みによるムラなどの不具合を解消することができ、また透湿度が小さいため、加湿耐久性に優れる。
【0071】
また、偏光子保護フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。したがって、Rth=[(nx+ny)/2−nz]・d(ただし、nx、nyはフィルム平面内の主屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルム厚みである)で表されるフィルム厚み方向の位相差値が−90nm〜+90nmである保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+90nmのものを使用することにより、偏光子保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)をほぼ解消することができる。厚み方向位相差値(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+80nm、特に−70nm〜+70nmが好ましい。
【0072】
偏光特性や耐久性などの点から、トリアセチルセルロースの如きアセテート系樹脂が好ましく、特に表面をアルカリなどでケン化処理したトリアセチルセルロースフィルムが好ましい。なお、偏光子の両側に偏光子保護フィルムを設ける場合、その表裏で異なるポリマーからなる偏光子保護フィルムを用いてもよい。偏光子保護フィルムの厚さは、任意であるが、一般には偏光板の薄型化等を目的に、500μm以下、好ましくは1〜300μm、特に好ましくは5〜200μmとされる。
【0073】
前記偏光板に積層する位相差層としては、位相差を有する光学層であれば良く、位相差層の例としては、ポリマーの塗布乾燥層や、液晶分子の配向固定層および、粘結剤層を介して貼着した、位相差板や仮着フィルムのようなポリマーフィルムがあげられる。本発明は特にフィルム面内で位相差ばらつきの大きい位相差層を積層した積層フィルムの検査に適用することが好ましく、位相差ばらつきの大きな位相差層としては、前記偏光板に粘着剤を介して仮着されるセパレータや、粘着剤と積層されており、偏光板の表面保護のために仮着される偏光板保護フィルムが例示できる。これらの偏光板に仮着されるフィルムは一般に、運搬時に用いられるもので、偏光板の実装時には剥離されるフィルムであるため、フィルム面内の位相差ばらつきはそれほど厳密に制御されるものではない。そのため、このような仮着フィルムを積層した偏光板の欠陥検査は比較的困難なものになっている。
【0074】
前記位相差ばらつきは分子の配向角ばらつきで示すことができる。配向角ばらつきは、位相差層の位相差を制御する分子の所望の配向角度からどの程度ずれているかを表す指標であるが、本発明は、配向角ばらつきが6゜以上ある位相差層を有する積層フィルムにおいても、好ましく適用することができ、精度の良い検査を可能とする。この配向角ばらつきは、例えば、フィルムの幅方向に均等に3〜6点程度の配向角を測定し、この最大値と最小値の差を求めれば良く、前記配向角は市販の位相差測定装置で測定でき、例えば、王子計測機器(株)製のKOBRA−21ADHを用いて測定できる。
【0075】
偏光子保護フィルムには、本発明の目的を損なわない限り、ハードコート処理や反射防止処理、スティッキングの防止や拡散ないしアンチグレア等を目的とした処理等を施したものであってもよい。ハードコート処理は、偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばシリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り性等に優れる硬化皮膜を透明保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。
【0076】
一方、反射防止処理は、偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止は隣接層との密着防止を目的に、アンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止などを目的に施されるものであり、例えばサンドブラスト方式やエンボス加工方式等による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて透明保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。
【0077】
本発明による積層フィルムは、実用に際して各種光学層を積層して光学フィルムとして用いることができる。その光学層については特に限定されるものではないが、例えば、前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面(前記接着剤塗布層を設けない面)に対して、ハードコート処理や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした表面処理を施したり、視角補償等を目的とした配向液晶層を積層する方法があげられる。また、反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板(λ板)を含む)、視角補償フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられる光学フィルムを1層または2層以上貼りあわせたものもあげられる。特にシート状製品が偏光板であれば、反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板、位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板、視角補償層または視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光板、あるいは輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板として好ましく適用される。
【0078】
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて、液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ透明保護層等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式にて行なうことができる。
【0079】
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
【0080】
偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板について説明する。直線偏光を楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える場合に、位相差板などが用いられる。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える位相差板としては、いわゆる1/4波長板(λ/4板とも言う)が用いられる。1/2波長板(λ/2板とも言う)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いられる。
【0081】
楕円偏光板はスーパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じた着色(青又は黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示する場合などに有効に用いられる。更に、三次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)することができて好ましい。円偏光板は、例えば画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有する。
【0082】
位相差板としては、高分子素材を一軸または二軸延伸処理してなる福屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。延伸処理は、例えばロール延伸法、長間隙沿延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法などにより行うことができる。延伸倍率は、一軸延伸の場合には1.1〜3倍程度が一般的である。位相差板の厚さも特に制限されないが、一般的には10〜200μm、好ましくは20〜100μmである。
【0083】
前記高分子材料としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリカーボネイト、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、セルロース系重合体、またはこれらの二元系、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物などがあげられる。これら高分子素材は延伸等により配向物(延伸フィルム)となる。
【0084】
前記液晶ポリマーとしては、例えば、液晶配向性を付与する共役性の直線状原子団(メソゲン)がポリマーの主鎖や側鎖に導入された主鎖型や側鎖型の各種のものなどがあげられる。主鎖型の液晶性ポリマーの具体例としては、屈曲性を付与するスペーサ部でメソゲン基を結合した構造の、例えばネマチック配向性のポリエステル系液晶性ポリマー、ディスコティックポリマーやコレステリックポリマーなどがあげられる。側鎖型の液晶性ポリマーの具体例としては、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレートまたはポリマロネートを主鎖骨格とし、側鎖として共役性の原子団からなるスペーサ部を介してネマチック配向付与性のパラ置換環状化合物単位からなるメソゲン部を有するものなどがあげられる。これら液晶性ポリマーは、例えば、ガラス板上に形成したポリイミドやポリビニルアルコール等の薄膜の表面をラビング処理したもの、酸化ケイ素を斜方蒸着したものなどの配向処理面上に液晶性ポリマーの溶液を展開して熱処理することにより行われる。
【0085】
位相差板は、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであってよく、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御したものなどであってもよい。
【0086】
偏光板と輝度向上フィルムを貼り合わせた偏光板は、通常液晶セルの裏側サイドに設けられて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光を更にその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。
【0087】
また、本発明の積層フィルムは、上記の偏光分離型偏光板の如く、偏光板と2層又は3層以上の光学層とを積層したものからなっていてもよい。従って、上記の反射型偏光板や半透過型偏光板と位相差板を組み合わせた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであってもよい。
【0088】
偏光板に前記光学層を積層した光学フィルムは、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学フィルムとしたものは、品質の安定性や組立作業等に優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着剤層等の適宜な接着手段を用いうる。前記の偏光板と他の光学層の接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
【0089】
本発明による偏光板や、前記の積層光学部材には、液晶セル等の他部材と接着するための粘着層を設けることもできる。その粘着層は、特に限定されるものではないが、アクリル系等の従来に準じた適宜な粘着剤にて形成することができる。吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨脹差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる画像表示装置の形成性等の点により、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層であることが好ましい。また、微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層などとすることができる。粘着層は必要に応じて必要な面に設ければよく、例えば、偏光子と保護フィルムからなる偏光板について言及するならば、必要に応じて、保護フィルムの片面または両面に粘着層を設ければよい。
【0090】
前記粘着層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的にセパレータが仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。セパレータとしては、ポリエステルやポリエチレンテレフタレート等の透光性プラスチックフィルムに、シリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、易剥離性能および透光性能を有する従来に準じた適宜なものを用いうる。また、積層フィルムの粘着剤層を有しない面には、前記のような透光性プラスチックフィルムに粘着剤層が積層された、易剥離型の保護フィルムを仮着し、積層フィルムを保護しても良い。
【0091】
なお本発明において、上記した偏光板を形成する偏光子や透明保護フィルムや光学フィルム等、また粘着層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やべンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
【0092】
本発明による積層フィルムは、液晶表示装置、有機EL表示装置、PDP等の画像表示装置の形成に好ましく用いることができる。
本発明の偏光板または光学フィルムは液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと偏光板または光学フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による偏光板または光学フィルムを用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
【0093】
液晶セルの片側又は両側に偏光板または光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による偏光板または光学フィルムは液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に偏光板または光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
【0094】
次いで有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)について説明する。一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組合せをもった構成が知られている。
【0095】
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
【0096】
位相差板および偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板を1/4波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
【0097】
本発明による積層フィルムは、液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置は、本発明による積層フィルム(例えば偏光板)を液晶セルの片側または両側に配置してなる透過型や反射型、あるいは透過・反射両用型の従来に準じた適宜な構造を有するものとして形成することができる。従って、液晶表示装置を形成する液晶セルは任意であり、例えば薄膜トランジスタ型に代表される単純マトリクス駆動型のものなどの適宜なタイプの液晶セルを用いたものであってもよい。
【0098】
<別実施形態>
本実施形態において、積層フィルム1をステージ21,22によりXY面内を移動させるように構成しているが、積層フィルム1は移動させずに、主光学系や不光学系のほうを移動させるように構成してもよい。いずれの場合も本発明に含まれるものである。
【0099】
積層フィルムの検査領域を小領域に分割し、小領域の検査を行なう順番については、図5に示す順番に限定されるものではなく、種々の変形例が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】検査装置及び検査方法の構成を示す概略図である。
【図2】積層フィルムの構造を示す図
【図3】第1実施形態にかかる積層フィルムの検査装置の構成を示す概念図
【図4】図3に示す検査装置の制御機能を示すブロック図
【図5】積層フィルムの分割された小領域を示す図
【図6】第1実施形態に係る検査方法の手順を示すフローチャート
【図7】第2実施形態にかかる積層フィルムの検査装置の構成を示す概念図
【図8】図7に示す検査装置の制御機能を示すブロック図
【図9】第2実施形態に係る検査方法の手順を示すフローチャート
【符号の説明】
【0101】
1 積層フィルム
1a 小領域
2,2A 検査用光源
3,3A 検査用位相差フィルター
4,4A 検査用偏光フィルター
5 撮影カメラ
5A フォトダイオード
11 セパレータ
12 粘着剤層
13 保護層
14 偏光子
15 位相差フィルム
21 第1ステージ
22 第2ステージ
30 コンピュータ
31 コントローラ
32 カメラ制御部
33 位相差フィルター制御部
34 ステージ制御部
38 明るさ判定部
39 記憶手段
L 光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、偏光子と、位相差層とが積層されている積層フィルムの欠陥検出を行うに際して、
検査用光源を用いて積層フィルムを照射する工程と、この検査用光源による透過光像を検査用偏光フィルターと検査用位相差フィルターとを介して撮影する工程と、を有する積層フィルムの検査方法であって、
積層フィルムの検査領域が複数の小領域に分割設定されており、各領域ごとに検査用偏光フィルター及び検査用位相差フィルターを位置させる工程と、
位置させた検査用位相差フィルターを回転させて、透過光が最も吸収される回転位置を検出する工程と、
検出された回転位置において、当該小領域の透過光像を撮影する工程と、を有する積層フィルムの検査方法。
【請求項2】
前記検査用位相差フィルターの回転角度範囲が予め設定されていると共に、この角度範囲内で所定角度ピッチずつ移動させながら前記回転位置の検出が行われることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルムの検査方法。
【請求項3】
前記検査用光源からの照射光は、中心波長が600〜700nmであり、半値幅が50nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層フィルムの検査方法。
【請求項4】
少なくとも、偏光子と、位相差層とが積層されている積層フィルムの欠陥検出を行うに際して、
積層フィルムを照射する検査用光源と、この検査用光源による透過光像を検査用偏光フィルターと検査用位相差フィルターとを介して撮影する撮影手段と、を有する積層フィルムの検査装置であって、
積層フィルムの検査領域が複数の小領域に分割設定されており、各領域ごとに検査用偏光フィルター及び検査用位相差フィルターを位置させるフィルター位置設定手段と、
位置させた検査用位相差フィルターを回転させて、透過光が最も吸収される回転位置を検出するフィルター位置検出手段と、を備え、
検出された回転位置において、当該小領域の透過光像を前記撮影手段により撮影することを特徴とする積層フィルムの検査装置。
【請求項5】
少なくとも、偏光子と、位相差層とが積層されている積層フィルムの欠陥検出を行うに際して、
第1検査用光源を用いて積層フィルムを照射する工程と、この第1検査用光源による透過光像を第1検査用偏光フィルターと第1検査用位相差フィルターとを介して撮影する工程と、を有すると共に、
さらに、第2検査用光源を用いて積層フィルムを照射する工程と、この第2検査用光源による透過光を第2検査用偏光フィルターと第2検査用位相差フィルターとを介して受光する工程と、を有する積層フィルムの検査方法であって、
積層フィルムの検査領域が複数の小領域に分割設定されており、各領域ごとに第2検査用偏光フィルター及び第2検査用位相差フィルターを位置させる工程と、
位置させた第2検査用位相差フィルターを回転させて、透過光が最も吸収される回転位置を検出する工程と、
検出された回転位置を各小領域について記憶する工程と、
各領域ごとに第1検査用偏光フィルター及び第1検査用位相差フィルターを位置させる工程と、
記憶されている回転位置に基づいて、第1検査用位相差フィルターの回転位置を設定する工程と、
第1検査用位相差フィルターを設定した後に、当該小領域の透過光像を撮影する工程と、を有する積層フィルムの検査方法。
【請求項6】
前記第1検査用光源からの照射光は、中心波長が600〜700nmであり、半値幅が50nm以下であることを特徴とする請求項5に記載の積層フィルムの検査方法。
【請求項7】
第2検査用位相差フィルターの回転角度は少なくとも360゜であり、透過光の受光をフォトダイオードで行なうことを特徴とする請求項5又は6に記載の積層フィルムの検査方法。
【請求項8】
少なくとも、偏光子と、位相差層とが積層されている積層フィルムの欠陥検出を行うに際して、
積層フィルムを照射する第1検査用光源と、この第1検査用光源による透過光像を第1検査用偏光フィルターと第1検査用位相差フィルターとを介して撮影する撮影手段と、を有すると共に、
さらに、積層フィルムを照射する第2検査用光源と、この第2検査用光源による透過光を第2検査用偏光フィルターと第2検査用位相差フィルターとを介して受光する受光手段と、を有する積層フィルムの検査装置であって、
積層フィルムの検査領域が複数の小領域に分割設定されており、各領域ごとに第2検査用偏光フィルター及び第2検査用位相差フィルターを位置させる副フィルター位置設定手段と、
位置させた第2検査用位相差フィルターを回転させて、透過光が最も吸収される回転位置を検出するフィルター位置検出手段と、
検出された回転位置を各小領域について記憶する記憶手段と、
各領域ごとに第1検査用偏光フィルター及び第1検査用位相差フィルターを位置させる主フィルター位置設定手段と、
記憶されている回転位置に基づいて、第1検査用位相差フィルターの回転位置を設定するフィルター回転位置制御手段と、を備え、
第1検査用位相差フィルターを設定した後に、当該小領域の透過光像を前記撮影手段により撮影することを特徴とする積層フィルムの検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−292201(P2008−292201A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−135714(P2007−135714)
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】