説明

積層体

【課題】 リチウム電池本体の正極および負極の各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で挟持して熱接着して密封するタイプのリチウム電池用の積層体であって、耐電解液性、耐腐蝕性等の物性において優れた積層体を提供することである。
【解決手段】 基材層、アルミニウム箔、化成処理層、フッ素系接着剤層、熱接着性樹脂層が少なくとも順に積層された積層体において、前記フッ素系接着剤層が水酸基を含有するフッ素含有共重合体と、該フッ素含有共重合体の水酸基と反応する硬化剤と、カルボジイミド基を分子中に有する改質剤とからなる接着剤であることを特徴とする積層体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池、特に電解質(液体や固体電解質)を有するリチウム電池の外装体として使用される積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウム電池とは、リチウム二次電池ともいわれ、電解質として固体高分子、ゲル状高分子、液体などからなり、リチウムイオンの移動で起電する電池であって、正極・負極活物質が高分子ポリマーからなるものを含むものである。リチウム二次電池の構成は、正極集電材(アルミニウム、ニッケル)/正極活性物質層(金属酸化物、カーボンブラック、金属硫化物、電解液、ポリアクリロニトリル等の高分子正極材料)/電解質(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、炭酸ジメチル、エチレンメチルカーボネート等のカーボネート系電解液、リチウム塩からなる無機固体電解質、ゲル電解質)/負極活性物質層(リチウム金属、合金、カーボン、電解液、ポリアクリロニトリルなどの高分子負極材料)/負極集電材(銅、ニッケル、ステンレス)からなるリチウム電池本体およびそれらを包装する外装等からなる。リチウム二次電池は、その高い体積効率、重量効率から電子機器、電子部品、特に携帯電話、ノート型パソコン、ビデオカメラなどに広く用いられている。
【0003】
前記リチウム電池の外装としては、金属端子の取出し易さや密封のし易さ、あるいは、柔軟性を有するために電子機器や電子部品の適当な空間に合わせた形状とすることができ、電子機器や電子部品自体の形状をある程度自由に設計することができるために、小型化、軽量化を図りやすい等の理由から、プラスチックフィルムやアルミニウム等の金属箔を積層した包装材が用いられるようになってきた。
【0004】
そして、前記包装材には、リチウム電池として求められる物性、すなわち、防湿性、密封性、耐突刺し性、絶縁性、耐熱・耐寒性、耐電解質性(耐電解液性)、耐腐蝕性(電解質の劣化や加水分解により発生するフッ酸に対する耐性)等が必要不可欠なものとして求められるために、前記包装材としては耐突刺し性や外部との通電を阻止するための基材層、防湿性を確保するためのアルミニウム等の金属箔からなるバリアー層、金属端子との接着性に優れると共に密封性を確保するための内層で構成される積層体が一般的には用いられる。
【0005】
外装として包装材を用いたリチウム電池の形態としては、包装材を筒状に加工し、リチウム電池本体および正極および負極との各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で収納し、開口部を熱接着して密封した袋タイプ(たとえば、特許文献1参照)と包装材を容器状に成形し、この容器内にリチウム電池本体および正極および負極との各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で収納し、平板状の包装材ないし容器状の成形した包装材で被覆すると共に四周縁を熱接着して密封した成形タイプ(たとえば、特許文献2参照)が知られている。
【0006】
上記したいずれのタイプも、リチウム電池本体を包装材で密封する際に、リチウム電池本体の正極および負極の各々に接続された金属端子を外部に突出させると共に包装材で前記金属端子を挟持した状態で熱接着することにより密封する必要がある。このために、前記包装材の内層を金属と良好な接着性を有する熱接着性樹脂、たとえば、不飽和カルボン酸でグラフト変性した酸変性オレフィン樹脂を用いて熱接着して密封する、あるいは、前記内層を金属との接着性に劣る一般的なオレフィン系樹脂(炭素と水素とからなる直鎖状あるいは分枝鎖状のオレフィン系樹脂)を用い、金属と良好な接着性を有する上記した酸変性オレフィン樹脂からなる金属端子部密封用接着性フィルムを前記金属端子と前記内層との間に介在させて熱接着して密封する方法が一般的に採られている。
【0007】
いずれの密封方法を採るにしても、包装材のアルミニウム等の金属箔からなるバリアー層とこれより内側の内層とは、電池とした際の端面からの水分透過量を可能な限り抑える意味から、ポリエステル系等の周知のドライラミネーション用接着剤を用いて行うドライラミネーション法(たとえば、特許文献3参照)による積層方法を採用することなく、サーマルラミネーション法(たとえば、特許文献4参照)による積層方法が通常は採用されている。この理由としては、接着剤層から水分が透過し、電解液(6フッ化リン酸リチウム溶液)と反応してフッ酸を生成し、これがアルミニウム等の金属箔からなるバリアー層と内層との接着を低下させて剥離を生じさせ、電池寿命を短いものにするからである。しかしながら、サーマルラミネーション法は、ドライラミネーション法と比較して生産性(加工)が劣るという問題がある。
【0008】
そして、特許文献1に記載された袋タイプからなる二次電池に比べて特許文献2に記載された成形タイプの二次電池は、リチウム電池本体等をタイト(ぴったりとした状態)に収納することができるために、体積エネルギー密度を向上させることができるという利点があると共にリチウム電池本体等の収納がし易いなどの利点があり、成形タイプが主流となっている反面、成形タイプは上記した剥離の問題が袋タイプよりも一層顕著に現れるという問題がある。
【特許文献1】特開平9−213285号公報
【特許文献2】特開2001−229888号公報
【特許文献3】特公平7−19589号公報
【特許文献4】特公平4−58146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、リチウム電池本体の正極および負極の各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で挟持して熱接着して密封する袋タイプおよび成形タイプのいずれにも適用することができるリチウム電池用の積層体であって、生産性よく製造することができ、かつ、電池とした際の端面からの水分透過量をサーマルラミネーション法で製造した積層体と遜色ない程度に少なくすることができ、密封性、耐突刺し性、絶縁性等の電池として要求される諸物性は元より特に耐電解液性、耐腐蝕性等の物性において優れた積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を達成するために請求項1記載の本発明は、基材層、アルミニウム箔、化成処理層、フッ素系接着剤層、熱接着性樹脂層が少なくとも順に積層された積層体において、前記フッ素系接着剤層が水酸基を含有するフッ素含有共重合体と、該フッ素含有共重合体の水酸基と反応する硬化剤と、カルボジイミド基を分子中に有する改質剤とからなる接着剤であることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項2記載の本発明は、請求項1記載の積層体において、前記改質剤が式(1)で表わされる構造を含有するポリカルボジイミドであることを特徴とするものである。
【化5】

〔nは1以上の整数〕
【0012】
また、請求項3記載の本発明は、請求項1記載の積層体において、前記改質剤が式(2)で表わされる構造を含有するポリカルボジイミドであることを特徴とするものである。
【化6】

〔nは1以上の整数〕
【0013】
また、請求項4記載の本発明は、請求項1記載の積層体において、前記改質剤が式(3)で表わされる構造を含有するポリカルボジイミドであることを特徴とするものである。
【化7】

〔nは1以上の整数〕
【0014】
また、請求項5記載の本発明は、請求項4記載のポリカルボジイミドが式(4)で表わされるテトラメチルキシリレンジイソシアネートと、末端封止剤として脂肪族系モノイソシアネートとよりカルボジイミド化触媒の存在下に、無溶媒で重合させるようにして製造したものであることを特徴とするものである。
【化8】

【0015】
また、請求項6記載の本発明は、請求項1記載の積層体において、前記硬化剤がイソホロンジイソシアネートのヌレート体であることを特徴とするものである。
【0016】
また、請求項7記載の本発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の積層体において、前記改質剤の配合量が前記フッ素含有共重合体中の水酸基1当量に対してカルボジイミド基として0.15〜0.50当量であることを特徴とするものである。
【0017】
また、請求項8記載の本発明は、請求項1、6のいずれかに記載の積層体において、前記硬化剤の配合量が前記フッ素含有共重合体中の水酸基1当量に対してイソシアネート基として0.5〜2.0当量であることを特徴とする。
【0018】
また、請求項9記載の本発明は、請求項1記載の積層体において、前記化成処理層がアミノ化フェノール重合体、三価クロム化合物、および、リン化合物を含有する化成処理液により形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の積層体は、アルミニウム箔の化成処理層面と熱接着性樹脂層との間が水分透過量の小さいフッ素系接着剤にカルボジイミド基を分子中に有する改質剤が配合されているフッ素系接着剤層とすることにより、電池とした際の端面からの水分透過量を小さいものとすることができるためにフッ酸の生成を抑制することができ、経時的に安定した層間接着強度を確保することができて電池寿命を設計通りのものとすることができる。さらにまた、アルミニウム箔の化成処理層面と熱接着性樹脂層とをフッ素系接着剤を用いてドライラミネーション法で積層するために生産性においても優れた積層体とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
上記の本発明について、図面等を用いてさらに詳しく説明する。
図1は本発明にかかる積層体の一実施例の層構成を図解的に示す図であって、積層体1は基材層2、アルミニウム箔3、化成処理層4、フッ素系接着剤層5、熱接着性樹脂層6を順に積層したものである。
【0021】
前記基材層2としては、外力からアルミニウム箔3を保護すると共に、特に外部からの突き刺しに対する耐突き刺し性を向上させる目的で設けるものであり、機械的強度に優れる点から2軸方向に延伸したポリエステルフィルムやポリアミドフィルム、あるいは、これらの積層体を挙げることができる。ポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート等からなるフィルムを挙げることができ、また、ポリアミドフィルムとしては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10等からなるフィルムを挙げることができる。前記基材層2の厚さとしては6μm以上が適当である。この理由としては、6μmより厚さが薄いと、それ自体にピンホールが存在する可能性があると共に外力に対するアルミニウム箔3の保護効果が減少し、特に成形タイプの場合にはアルミニウム箔3にピンホールや破断が発生し易く成形不良を起こし易いからであり、より好ましくは12μm以上である。また、前記基材層2が上記したフィルムの単層であれ、複層であれ、25μmより厚い場合は外力に対するアルミニウム箔3の保護という点で顕著な効果が認められず、体積および重量エネルギー密度を低下させると共に、費用対効果の面からも使用しない方が望ましい。また、上記したポリエステルフィルムやポリアミドフィルムは必要な面にコロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理等の易接着処理を施してもよいものである。
【0022】
また、前記アルミニウム箔3としては、外部から電池内部に特に水蒸気が浸入するのを防止するために設けられるものであって、水蒸気バリアー性の確保と加工時の加工適性を考慮すると、20〜100μmの厚さのものが適当である。20μmより厚さが薄い場合は、アルミニウム箔単体のピンホールが危惧され、水蒸気の浸入の危険性が高くなり、100μmより厚さが厚い場合は、アルミニウム箔のピンホールに顕著な効果が認められず、水蒸気バリアー性の更なる向上が期待できず、逆に体積および重量エネルギー密度を低下させると共に費用対効果の面からも使用しない方が望ましい。
【0023】
また、前記アルミニウム箔3は鉄分を0.3〜9.0重量%、好ましくは0.7〜2.0重量%含有したものが鉄分を含有しないものと比較して延展性に優れると共に折り曲げに対するピンホールの発生が少なく、特にプレス成形時に偏肉のない均一な成形品が得られるために成形タイプとする場合の積層体1に鉄分を含有したアルミニウム箔を用いるのが好ましい。なお、鉄含有量が0.3重量%未満ではピンホール発生の防止や延展性において効果が認められず、鉄含有量が9.0重量%超ではアルミニウム箔としての柔軟性が阻害されるために成形適性が低下する。
【0024】
また、前記アルミニウム箔3は冷間圧延で製造されるが、焼きなまし(いわゆる焼鈍処理)条件でその柔軟性、腰の強さ、硬さが変化するが、本発明に用いるアルミニウム箔は焼きなましをしていない硬質処理品よりも多少ないし完全に焼きなまし処理をした軟質傾向にあるアルミニウム箔がよい。また、柔軟性、腰の強さ、硬さを決めるアルミニウム箔の焼きなまし条件は、積層体1を袋タイプとして用いるのか、成形タイプとして用いるのかにより適宜決めればよいものである。
【0025】
前記化成処理層4は前記アルミニウム箔3を電解液や電解液の加水分解により発生するフッ酸による腐蝕を防止すると共に電解液や電解液の加水分解により発生するフッ酸による前記アルミニウム箔3と前記化成処理層4との間でのデラミネーションを防止し、さらに前記化成処理層4上に積層するフッ素系接着剤層5との間を強固に接着させ、電解液や電解液の加水分解により発生するフッ酸によるこれら層間からのデラミネーションを防止するために設けるものである。また、成形タイプの電池にあっては、プレス成形時の層間でのデラミネーションを防止するために設けるものである。前記化成処理層4は、クロム酸クロメート処理、リン酸クロメート処理、塗布型クロメート処理等のクロム系化成処理、あるいは、ジルコニウム、チタン、リン酸亜鉛等の非クロム系(塗布型)化成処理等により前記アルミニウム箔3面に形成されるものであるが、連続処理が可能であると共に水洗工程が不要で処理コストを安価にすることができるなどから塗布型化成処理が適当である。処理液としては、従来公知の六価クロム化合物を含有したクロメート処理液で処理してもよいものであるが、環境に優しく、時間経過に伴う層間の接着強度の低下を来たし難い処理液、具体的にはアミノ化フェノール重合体、三価クロム化合物、および、リン化合物を含有する処理液を用いて形成するのが好ましい。
【0026】
まず、アミノ化フェノール重合体について説明する。アミノ化フェノール重合体としては、公知のものを広く使用することができ、たとえば、式(5)、(6)、(7)、(8)で表される繰り返し単位からなるアミノ化フェノール重合体を挙げることができる。なお、式中のXは水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリル基ないしベンジル基を示す。また、R1、R2はヒドロキシル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基を示し、同じ基であってもよいし、異なる基であってもよいものである。
【0027】
式(5)〜(8)において、X、R1、R2で示されるアルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖または分枝鎖状アルキル基を挙げることができる。また、X、R1、R2で示されるヒドロキシアルキル基としては、たとえば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等のヒドロキシ基が1個置換された炭素数1〜4の直鎖ないし分枝鎖状アルキル基を挙げることができる。なお、式(5)〜(8)におけるXは水素原子、ヒドロキシル基、および、ヒドロキシアルキル基のいずれかであるのが好ましい。
【0028】
また、式(5)、(7)で表されるアミノ化フェノール重合体は、繰り返し単位を約80モル%以下、好ましくは繰り返し単位を約25〜約55モル%の割合で含むアミノ化フェノール重合体である。また、アミノ化フェノール重合体の数平均分子量は、好ましくは約500〜約100万、より好ましくは約1000〜約2万である。アミノ化フェノール重合体は、たとえば、フェノール化合物ないしナフトール化合物とホルムアルデヒドとを重縮合して式(5)ないし(7)で表される繰り返し単位からなる重合体を製造し、次いで、この重合体にホルムアルデヒドおよびアミン(R12NH)を用いて水溶性官能基(−CH2NR12)を導入することにより製造される。アミノ化フェノール重合体は、1種ないし2種以上混合して用いることができる。
【0029】
【化9】

【0030】
【化10】

【0031】
【化11】

【0032】
【化12】

【0033】
次に、三価クロム化合物について説明する。三価クロム化合物としては、公知のものを広く使用することができ、たとえば、硝酸クロム、フッ化クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、蓚酸クロム、重リン酸クロム、クロム酸アセチルアセテート、塩化クロム、硫酸カリウムクロム等を挙げることができ、好ましくは硝酸クロム、フッ化クロムである。
【0034】
次に、リン化合物について説明する。リン化合物としては、公知のものを広く使用することができ、たとえば、リン酸、ポリリン酸等の縮合リン酸およびこれらの塩等を挙げることができる。ここで、前記塩としては、たとえば、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩を挙げることができる。
【0035】
そして、アミノ化フェノール重合体、三価クロム化合物、および、リン化合物を含有する処理液を用いて形成する前記化成処理層4としては、1m2当たり、アミノ化フェノール重合体が約1〜約200mg、三価クロム化合物がクロム換算で約0.5〜約50mg、および、リン化合物がリン換算で約0.5〜約50mgの割合で含有されているのが適当であり、アミノ化フェノール重合体が約5.0〜150mg、三価クロム化合物がクロム換算で約1.0〜約40mg、および、リン化合物がリン換算で約1.0〜約40mgの割合で含有されているのがより好ましい。この場合の乾燥温度としては、150〜250℃、好ましくは170〜250℃で、加熱処理(焼付け処理)するのが適当である。
【0036】
また、前記化成処理層4の形成方法としては、前記処理液をバーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、浸漬法等の周知の塗布法を適宜選択して形成すればよいものである。また、前記化成処理層4を形成する前に前記アルミニウム箔3面に、予め、たとえば、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法、酸活性化法等の周知の脱脂処理法で処理を施しておく方が、前記化成処理層4の機能を最大限に発現させると共に、長期間維持することができる点から好ましい。
【0037】
次に、前記フッ素系接着剤層5について説明する。前記フッ素系接着剤層5に用いるフッ素系樹脂としては、水酸基を含有するフッ素含有共重合体と該フッ素含有共重合体と反応する硬化剤とにより形成される層である。前記水酸基を含有するフッ素含有共重合体としては、有機溶剤可溶型で分子中に架橋部位を有するものであり、架橋部位としてはアルコール性水酸基(OH基)などである。このようなフッ素含有共重合体としては、たとえば、式(9):CF2=CFX〔式中、Xはフッ素原子、水素原子ないしトリフルオロメチル基である〕で表されるフルオロオレフィン単量体、式(10):CH2=CR(CH3)〔式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基である〕で表されるβ−メチル置換α−オレフィン単量体、式(11):CH2=CHR1〔式中、R1は−OR2ないし−CH2OR2(但し、R2は水酸基を有するアルキル基)である〕で表される水酸基含有単量体、および、(12)架橋性官能基を有さず、かつ、式(9)、式(10)、式(11)で表わされる前記単量体と共重合体し得る他の単量体から導かれるフッ素含有共重合体を挙げることができる。
【0038】
前記フルオロオレフィン単量体としては、たとえば、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンなどを挙げることができる。また、前記β−メチル置換α−オレフィン単量体としては、たとえば、イソブチレン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセンなどを上げることができる。また、水酸基含有単量体としては、たとえば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテルなどを挙げることができる。また、前記フルオロオレフィン単量体、前記β−メチル置換α−オレフィン単量体、水酸基含有単量体と共重合体し得る他の単量体としては、たとえば、酢酸ビニル,プロピオン酸ビニル(イソ)酪酸ビニル,カプロン酸ビニル,ラウリン酸ビニル,ステアリン酸ビニル,安息香酸ビニル,キサフルオロプロピオン酸ビニル,リフルオロ酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類、マレイン酸ないしフマル酸のジメチル,ジエチル,ジプロピル,ジブチル,ジトリフルオロメチル,ジトリフルオロメチル,ジヘキサフルオロプロピルなどのマレイン酸ないしフマル酸のジエステル、メチルビニルエーテル,エチルビニルエーテル,n−プロピルビニルエーテル,iso−ブチルビニルエーテル,tert−ブチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、シクロペンチルビニルエーテル,シクロヘキシルビニルエーテルなどのシクロアルキルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテルなどの芳香族基を有するビニルエーテル類、あるいは、パーフルオロエチルビニルエーテル,パーフルオロプロピルビニルエーテルなどのフルオロアルキルビニルエーテル類などの他に、クロトン酸、ビニル酢酸、マレイン酸、スチレンなどを挙げることができる。
【0039】
前記水酸基を有するフッ素含有共重合体は、式(9)〜(12)の単量体を乳化重合、溶液重合、懸濁重合などの周知の方法で共重合することにより得ることができる。前記水酸基を有するフッ素含有共重合体はGPCで測定する数平均分子量が1000〜500000、好ましくは、3000〜100000のものである。
【0040】
次に、硬化剤について説明する。硬化剤としては、フッ素含有共重合体の水酸基と架橋するものであり、有機ポリイソシアネート化合物が適当であり、たとえば、2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと呼称する)、リジンメチルエステルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと呼称する)、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネート、および、これらの三量体、これらのアダクト体やビューレット体、あるいは、これらの重合体で2個以上のイソシアネート基を有するもの、さらに、ブロック化されたイソシアネート類などを挙げることができ、前記フッ素含有共重合体および前記硬化剤は、たとえば、酢酸エステル類、ケトン類、エーテル類、芳香族炭化水素等の1ないし2種以上を混合した溶媒に溶解し、前記フッ素含有共重合体中の水酸基(−OH基)1当量に対して0.3当量以上、好ましくは0.5〜2.0当量となるように配合するのが適当である。0.3当量未満の場合はラミネート強度が得られず、また、2.0当量超の場合は未反応のイソシアネート基が多量に残存し、ラミネート強度が低下する虞がある。
【0041】
次に、改質剤について説明する。改質剤としては、ポリカルボジイミド樹脂が適当であり、硬化反応後にフッ素系接着剤層中に一部未反応な状態で残存するものが好ましい。
【0042】
ポリカルボジイミド樹脂としては、一般的には芳香族系ないし脂肪族系ジイソシアネートを末端封止剤の存在下または非存在下でカルボジイミド化触媒の存在下で脱二酸化炭素を伴う縮合反応により製造されるものであるが、脂肪族系ジイソシアネートを末端封止剤の存在下または非存在下でカルボジイミド化触媒の存在下で脱二酸化炭素を伴う縮合反応により製造される式(1)、(2)で示されるポリカルボジイミド樹脂が適当であり、より好ましくは式(4)で表わされるテトラメチルキシリレンジイソシアネートと、末端封止剤として脂肪族系モノイソシアネートとよりカルボジイミド化触媒の存在下に、無溶媒で重合させるようにして製造した式(3)で表わされるポリカルボジイミド樹脂である。
【0043】
式(3)で表わされるカルボジイミド樹脂は、具体的には、式(4)で表わされるテトラメチルキシリレンジイソシアネートを使用し、末端封止剤として、たとえば、n−ブチルイソシアネート、tert−ブチルイソシアネート、iso−ブチルイソシアネート、エチルイソシアネート、n−プロピルイソシアネート、iso−プロピルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、n−オクタデシルイソシアネート等の脂肪族系モノイソシアネートから選ばれる1種、好ましくは、n−ブチルイソシアネートを用いると共に、触媒として、たとえば、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドあるいはこれらの3−ホスホレン異性体等のホスホレンオキシドから選ばれる1種、好ましくは、反応の面からは3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドを用いて、特開平6−56950号公報に示されている無溶媒で重合させるようにして製造された下記式(4)で示される樹脂である。式(3)で表わされるポリカルボジイミド樹脂は、数平均分子量が約800であり、無溶媒で重合させていることにより、低沸点から高沸点、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、クロロホルム、四塩化炭素、メチレンクロライド、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジメチルホルムアミド等の溶媒に溶解させることができる。
【0044】
前記改質剤は、耐電解液性の向上に大きく寄与する。その理由としては、第1に極性基であるイソシアネート基の含有量が増大するために接着性が向上するものと考えられる。また、フッ素系接着剤層中にイソシアネート基が未反応な状態で残存し、端面から透過してくる水分を改質剤のイソシアネート基が捕捉する機能を果たすと考えられる。また、たとえば、式(3)で示される樹脂の場合には、架橋性官能基(N=C=N)がフッ素含有共重合体がもつ他の官能基、たとえば、カルボキシル基と反応してさらに架橋する可能性があり、またさらに、水分と電解液が反応して生成するフッ酸により、架橋・硬化したウレタン結合が分解されたとしても、分子中に存在するカルボジイミド基(N=C=N)が寄与して元のウレタン結合の状態に修復すると考えられる。なお、改質剤の配合量は、フッ素含有共重合体中の水酸基(−OH基)1当量に対してカルボジイミド基として0.1〜1.0当量が適当であり、好ましくは0.15当量以上、さらに好ましくは0.30〜0.50当量である。0.1当量未満では接着性および耐内容物性に対する効果が十分ではなく、1.0当量超では水分透過性が極端に悪化する虞がある。また、前記改質剤として、式(1)〜(4)で示されるものを例示したが、前記改質剤としてはこれに限るものではなく、分子中にカルボジイミド基(N=C=N)を有し、末端をイソシアネート基で封止した分子構造からなる種々の樹脂を用いることができるし、あるいは、分子中にカルボジイミド基(N=C=N)を有し、末端を封止しない種々の樹脂、あるいは、分子中にカルボキシイミド基(N=C=N)を有し、末端をNH2(アミノ基)、COONH2(カルボキシルアミノ基)等のカチオン基で封止した樹脂なども適宜用いることができる。
【0045】
次に、前記熱接着性樹脂層6について説明する。前記熱接着性樹脂層6としては、リチウム電池本体の正極および負極の各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で挟持して熱接着して密封する際に前記熱接着性樹脂層6と金属端子との間に金属端子部密封用接着性フィルムを介在させるか否かで樹脂種が異なるものである。金属端子部密封用接着性フィルムを介在させる場合には、低密度ポリエチレン,中密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,線状低密度ポリエチレン,エチレン−ブテン共重合体等のエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン,エチレン−プロピレン共重合体,エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等のプロピレン系樹脂の単体ないし混合物等からなるフィルムを適宜選択して用いればよく、また、金属端子部密封用接着性フィルムを介在させない場合には、たとえば、不飽和カルボン酸でグラフト変性した酸変性オレフィン樹脂からなるフィルムを用いればよいものである。前記熱接着性樹脂層6の厚さとしては、20〜80μm、好ましくは30〜70μmであり、20μm未満では十分な電池としたときのヒートシール強度を得ることができず、80μm超では端面からの水分透過が多くなり、電池としての性能を低下させる虞があるからである。
【0046】
なお、図示はしなかったが、前記基材層2と前記アルミニウム箔3との積層は、たとえば、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系等の周知のドライラミネーション用接着剤を用いて、周知のドライラミネーション法で積層すればよいものである。また、前記積層体1を成型タイプに用いる場合にあっては前記アルミニウム箔3の前記基材層2を積層する側の面に、上記で説明した化成処理層4を設けるのが好ましい。この理由としては、プレス成型時の前記アルミニウム箔3と前記外層2とのデラミネーションを防止することができるからであり、袋タイプにあっては、敢えて設けなくてもよいものである。また、前記積層体1を成形タイプとする場合にあっては、プレス成形時に金型に対して前記積層体1が部分的に密着するのを防止して厚みムラ(厚みバラツキ)のない均一なプレス成形品を得る目的(プレス成形時の成形性を向上させる目的)で、たとえば、前記基材層2の表面に流動パラフィンなどの炭化水素系、ステアリン酸、エルカ酸などの脂肪酸系、ステアリルアミド、エルカ酸アマイドなどの脂肪酸アミド系、金属石鹸、天然ワックス、シリコーンなどの滑剤を適当な溶媒で溶液化するなどの塗布可能な状態にして、たとえば、グラビアコート法、ロールコート法、あるいは、パターン状に形成する場合にはグラビア印刷法等の周知の塗布法で滑剤層を形成してもよいものである。
【0047】
次に、本発明について、以下に実施例を挙げて詳述する。
まず、予め、アミノ化フェノール重合体、三価クロム化合物、および、リン化合物を含有する化成処理液で両面を化成処理して化成処理層を両面に形成したアルミニウム箔(40μm厚さ)の一方の面と25μm厚さの二軸延伸ナイロンフィルムとを2液硬化型ポリウレタン系接着剤を介して積層して中間積層体を作成した。
【実施例1】
【0048】
前記中間積層体の化成処理層面に表1に示す処方Aの配合のフッ素系接着剤を乾燥後に3.0g/m2となるように塗布・乾燥すると共に30μm厚さの未延伸ポリプロピレンフィルムを前記フッ素系樹脂層面に加熱圧着して後に、熱乾熟成して本発明の積層体を作製した。
【実施例2】
【0049】
表1に示す処方Aに代えて処方Bの配合のフッ素系接着剤を用いた以外は実施例1と同様にして本発明の積層体を作製した。
【実施例3】
【0050】
表1に示す処方Aに代えて処方Cの配合のフッ素系接着剤を用いた以外は実施例1と同様にして本発明の積層体を作製した。
【実施例4】
【0051】
表1に示す処方Aに代えて処方Dの配合のフッ素系接着剤を用いた以外は実施例1と同様にして本発明の積層体を作製した。
【実施例5】
【0052】
表1に示す処方Aに代えて処方Eの配合のフッ素系接着剤を用いた以外は実施例1と同様にして本発明の積層体を作製した。
【実施例6】
【0053】
表1に示す処方Aに代えて処方Fの配合のフッ素系接着剤を用いた以外は実施例1と同様にして本発明の積層体を作製した。
【実施例7】
【0054】
表1に示す処方Aに代えて処方Gの配合のフッ素系接着剤を用いた以外は実施例1と同様にして本発明の積層体を作製した。
【実施例8】
【0055】
表1に示す処方Aに代えて処方Hの配合のフッ素系接着剤を用いた以外は実施例1と同様にして本発明の積層体を作製した。
【実施例9】
【0056】
表1に示す処方Aに代えて処方Iの配合のフッ素系接着剤を用いた以外は実施例1と同様にして本発明の積層体を作製した。
【実施例10】
【0057】
表1に示す処方Aに代えて処方Jの配合のフッ素系接着剤を用いた以外は実施例1と同様にして本発明の積層体を作製した。
【実施例11】
【0058】
表1に示す処方Aに代えて処方Kの配合のフッ素系接着剤を用いた以外は実施例1と同様にして本発明の積層体を作製した。
【実施例12】
【0059】
表1に示す処方Aに代えて処方Lの配合のフッ素系接着剤を用いた以外は実施例1と同様にして本発明の積層体を作製した。
【実施例13】
【0060】
表1に示す処方Aに代えて処方Mの配合のフッ素系接着剤を用いた以外は実施例1と同様にして本発明の積層体を作製した。
【0061】
【表1】

【0062】
上記で作製した実施例1〜13の積層体について、耐電解液性、水蒸気バリアー性について下記評価方法で評価し、その結果を表2に纏めて示した。
【0063】
【表2】

【0064】
耐電解液性評価方法:
30×100mm角の積層体を裁断し、これを電解液〔6フッ化リン酸リチウムを混合液〔エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1/1(容積比)に溶解し、1モル/リットルの6フッ化リン酸リチウム溶液としたもの〕に85℃で7日間ドブ漬けしたものを約10分間流水で水洗した後に、ペーパーワイパーで水を十分に拭き取った後に十分に乾燥し、両端を裁断して15×100mm角としたものをアルミニウム箔とこれより内側の層との間で剥離し、これを島津製オートグラフ(タイプ:AGS−50D)の引張り試験機で50mm/分の速度で引張り、層間強度を測定し、5つのサンプルの平均値を示した。なお、層間強度はN/15mm幅であらわした。
【0065】
水蒸気バリアー性評価方法:
積層体を裁断して100×100mmの短冊片を作製し、該短冊片を二つ折りして短辺側の一方を10mm巾に、長辺側を3mm巾にヒートシールして他方の短辺側が開口した100×50mmの外寸からなる袋を作製すると共に、ドライルーム(露点−50℃)中において前記袋に3gの溶媒〔エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1/1(容積比)〕を注入し、開口部を10mm巾でヒートシールした水蒸気バリアー性評価サンプルを作製した。この水蒸気バリアー性評価サンプルを60℃、90%RHの恒温恒湿槽に168時間保存し、サンプル内部の水分の増加量をカールフィッシャー法で測定した。なお、短辺側のヒートシール条件は190℃、2.0MPa、3.0秒であり、長辺側のヒートシール条件は190℃、1.0MPa、3.0秒で行なった。単位は168時間当たりの水分透過量(ppm)である。
【0066】
表2からも明らかなように、実施例1〜13の積層体はいずれも水蒸気バリアー性において優れた物性(水分透過が極めて少ない物性)を示したが、実施例1、2、5、9、10、13の積層体は耐電解液性において劣る結果となった。また、改質剤の配合当量が増大するにしたがって水蒸気バリアー性が劣る方向(水分透過量が増大する方向)になる結果を示した。具体的には、式(1)のカルボジイミド基からなる改質剤を用いた実施例1〜4においては改質剤の配合量(フッ素含有共重合体の水酸基1当量に対するカルボジイミド基の配合当量)が0.2当量以下では耐電解液性に劣り、0.5当量超では水蒸気バリアー性が悪くなる虞がある結果となり、また、式(2)のカルボジイミド基からなる改質剤を用いた実施例9〜12においては改質剤の配合量(フッ素含有共重合体の水酸基1当量に対するカルボジイミド基の配合当量)が0.2当量未満では耐電解液性に劣る虞があり、0.5当量超では水蒸気バリアー性が悪くなる虞がある結果となり、また、式(3)のカルボジイミド基からなる改質剤を用いた実施例5〜8においては改質剤の配合量(フッ素含有共重合体の水酸基1当量に対するカルボジイミド基の配合当量)が0.2当量以下では耐電解液性に劣る虞があり、0.5当量超では水蒸気バリアー性が悪くなる虞がある結果となり、フッ素含有共重合体の水酸基1当量に対するカルボジイミド基の好ましい配合当量としては0.15〜1.0当量、さらに好ましくは0.3〜0.5当量である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明にかかる積層体の一実施例の層構成を図解的に示す図である。
【符号の説明】
【0068】
1 積層体
2 基材層
3 アルミニウム箔
4 化成処理層
5 フッ素系接着剤層
6 熱接着性樹脂層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層、アルミニウム箔、化成処理層、フッ素系接着剤層、熱接着性樹脂層が少なくとも順に積層された積層体において、前記フッ素系接着剤層が水酸基を含有するフッ素含有共重合体と、該フッ素含有共重合体の水酸基と反応する硬化剤と、カルボジイミド基を分子中に有する改質剤とからなる接着剤であることを特徴とする積層体。
【請求項2】
前記改質剤が式(1)で表わされる構造を含有するポリカルボジイミドであることを特徴とする請求項1記載の積層体。
【化1】

〔nは1以上の整数〕
【請求項3】
前記改質剤が式(2)で表わされる構造を含有するポリカルボジイミドであることを特徴とする請求項1記載の積層体。
【化2】

〔nは1以上の整数〕
【請求項4】
前記改質剤が式(3)で表わされる構造を含有するポリカルボジイミドであることを特徴とする請求項1記載の積層体。
【化3】

〔nは1以上の整数〕
【請求項5】
請求項4記載のポリカルボジイミドが式(4)で表わされるテトラメチルキシリレンジイソシアネートと、末端封止剤として脂肪族系モノイソシアネートとよりカルボジイミド化触媒の存在下に、無溶媒で重合させるようにして製造したものであることを特徴とする積層体。
【化4】

【請求項6】
前記硬化剤がイソホロンジイソシアネートのヌレート体であることを特徴とする請求項1記載の積層体。
【請求項7】
前記改質剤の配合量が前記フッ素含有共重合体中の水酸基1当量に対してカルボジイミド基として0.15〜0.50当量であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
【請求項8】
前記硬化剤の配合量が前記フッ素含有共重合体中の水酸基1当量に対してイソシアネート基として0.5〜2.0当量であることを特徴とする請求項1、6のいずれかに記載の積層体。
【請求項9】
前記化成処理層がアミノ化フェノール重合体、三価クロム化合物、および、リン化合物を含有する化成処理液により形成されていることを特徴とする請求項1記載の積層体。


【図1】
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【公開番号】特開2006−281613(P2006−281613A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−104757(P2005−104757)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】