説明

積層体

【課題】強い干渉色を有し、さらに見る角度により色相の変化が明確な装飾粒子を含む積層体を得る。
【解決手段】着色下地層の上に、干渉色を有する装飾粒子を含む層が積層されてなり、該装飾粒子は、粒径0.1mm以上50mm以下の透明性を有する基体粒子表面に、前記基体粒子よりも粒径が小さく、粒径0.1μm以上1mm以下の薄片状パール顔料が複数固定化されてなり、該パール顔料の面状部位が基体粒子表面の面方向に沿うように固定化されたものであることを特徴とする積層体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、干渉性を有する積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光干渉性、高輝度感を有する材料は、家電・家具や車輌、壁、床、天井などの建材として広範囲に用いられている。
このような材料を、製品の一部、または、全部に用いることによって、彩度が高く、インパクトのある意匠性を表出することができる。
【0003】
このような光干渉性、高輝度感を有する材料としては、金属顔料やパール顔料等の光干渉性顔料が用いられている。このような光干渉顔料は、光の屈折によって誘発されるもので、見る角度により色相や色の濃さ等の見え方が異なるため、意匠性に優れている。例えば、光干渉性薄片顔料と水性エマルションを含む組成物を基材に塗付した建材ボード(例えば、特許文献1)や、パール系顔料を含むガラスや釉薬を基材に塗付した物品(例えば、特許文献2)等がある。しかしながら、樹脂やガラス成分とパール顔料を混合した場合、パール顔料はランダムに存在するため、干渉色は得られにくく、角度による色相変化効果も不十分となるおそれがある。このため、強い干渉色を得ようとすると、多量のパール顔料を混合することが必要となり、不透明で輝度感が強くなりすぎる傾向があり、場合によっては、敬遠されてしまうことがあった。
【0004】
【特許文献1】特開2007−185606号公報
【特許文献2】特開2004−168619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最近では、家電・家具や車輌、壁、床、天井などの建材など幅広い分野において、輝度感を有する材料が要望されるようになっているが、ギラギラした輝度感ではなく、落ち着きのある輝度感が要望されることが多い。
例えば、壁、床、天井などの建材などにおいては、深みのある、落ち着きのある輝度感を有する材料が望まれるようになっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するために、鋭意検討をした結果、着色下地層の上に、干渉色を有する特定の装飾粒子を有する積層体が、深みのある、落ち着きのある輝度感を有するとともに、見る角度により色相が変化し美観性に優れることを見いだし、本発明の完成に至った。
【0007】
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.着色下地層の上に、干渉色を有する装飾粒子を含む層が積層されてなり、
該装飾粒子は、粒径0.1mm以上50mm以下の透明性を有する基体粒子表面に、前記基体粒子よりも粒径が小さく、粒径0.1μm以上1mm以下の薄片状パール顔料が複数固定化されてなり、該パール顔料の面状部位が基体粒子表面の面方向に沿うように固定化されたものであることを特徴とする積層体。2.着色下地層の上に、干渉色を有する装飾粒子を含む層、さらにクリヤー層が積層されてなり、
該装飾粒子は、粒径0.1mm以上50mm以下の透明性を有する基体粒子表面に、前記基体粒子よりも粒径が小さく、粒径0.1μm以上1mm以下の薄片状パール顔料が複数固定化されてなり、該パール顔料の面状部位が基体粒子表面の面方向に沿うように固定化されたものであることを特徴とする積層体。
3.干渉色を有する装飾粒子の基体粒子が、粒径0.1mm以上50mm以下のガラス粒子であることを特徴とする1.または2.に記載の積層体。
4.干渉色を有する装飾粒子は、前記ガラス粒子基体表面に、前記パール顔料が焼結されたものであることを特徴とする3.に記載の積層体。

【発明の効果】
【0008】
本発明の積層体は、深みのある、落ち着きのある輝度感を有するとともに、見る角度により色相が変化し優れた美観性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0010】
本発明の積層体は、着色下地層の上に、干渉色を有する装飾粒子が積層されてなり、該装飾粒子は粒径0.1mm以上50mm以下の透明性を有する基体粒子表面に、前記基体粒子よりも粒径が小さく、粒径0.1μm以上1mm以下の薄片状パール顔料が複数固定化されてなり、該パール顔料の面状部位が基体粒子表面の面方向に沿うように固定化されたものであることを特徴とする。
【0011】
本発明の積層体は、このような干渉色を有する装飾粒子(以下、単に「装飾粒子」ともいう。)を用いて落ち着きのある輝度を有しつつ、見る角度により色相が変化することを特徴とするものである。本発明の装飾粒子は、金属顔料などの光輝性顔料が表出する金属色に比べて、やわらかい、深みのある、落ち着いた輝度感を有しつつ、見る角度によって色相の変化を明確に視認することが可能である。
【0012】
着色下地層は、基材の上に着色されたものであり、基材層としては、特に限定されず、家電・家具や車輌、シート、タイル、壁、床、天井などの建材などに用いられる材料を使用することができる。
このような材料としては、アルミ鋼板、亜鉛鋼板、ステンレス鋼板、銅鋼板等の金属鋼板、プラスチック板、押出成形板、陶磁器、ガラス、焼成タイル、磁器タイル、木材、コンクリート、モルタル、石膏ボード、繊維混入セメント板、珪酸カルシウム板、スラグセメントパーライト板、ALC板、サイディング板等が挙げられる。また、このような材料の表面は、材料自体の色相でもよいが、なんらかの方法で着色していてもよい。
【0013】
このような材料の表面を着色する方法としては、着色材と結合材を含有するコーティング材を用いてコーティングすることにより着色する方法等が挙げられる。
着色材としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、黒色酸化鉄、銅クロムブラック、コバルトブラック、銅マンガン鉄ブラック、モリブデートオレンジ、パーマネントレッド、パーマネントカーミン、アントラキノンレッド、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、酸化第二鉄、黄色酸化鉄、チタンイエロー、ファーストイエロー、クロムグリーン、オーカー、群青、紺青、コバルトグリーン、コバルトブルー等の無機系着色顔料、アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ベンゾイミダゾール系、フタロシアニン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、キノフタロン系等の有機系着色顔料、アルミニウム顔料、パール顔料、蛍光顔料、蓄光顔料、着色マイカ、マイカ、着色珪砂、寒水石などの骨材、染料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。本発明では、干渉色を有する装飾粒子との組み合わせによる色彩効果に優れることから、着色マイカ、マイカ等の鱗片状の着色材が好適に用いられる。
【0014】
結合材としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、酢酸ビニル−バーサチック酸ビニルエステル樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルカプロラクタム樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、セルロース樹脂、アクリル−シリコン樹脂、シリコン樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、塩ビ樹脂、ビニル樹脂等の無溶剤型、溶剤可溶型、NAD型、水可溶型、水分散型等の結合材が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
このような着色材等を適宜設定することにより、着色下地層の色相を選定することができる。
【0015】
色相としては、黒、茶、紫、青、緑、黄、橙、赤、白等特に限定されない。本発明では、下地の色相により装飾粒子が異なる色相を発現し、落ち着きのある輝度感を有しつつ、見る角度により色相が変化し優れた美観性を有することができる。具体的に、濃色系または淡色系の色相に着色された下地層の上にそれぞれ装飾粒子を積層した場合、このような装飾粒子の効果を鮮明に表出することができる。本発明において、濃色系とは、L値が50以下、さらには40以下であることが好ましく、L値が50以下であれば、装飾粒子が鮮明な干渉色を有することができる。また、淡色系とは、L値が51以上、さらには60以上であることが好ましく、L値が51以上であれば、下地層と装飾粒子の色相が馴染みやすく、柔らかな干渉色を有し、見る角度によって装飾粒子の干渉色と下地層の色相が調和し、奥行き感を効果的に表出することもできる。
【0016】
これら着色下地層としては、表面が凹凸構造を有するものであってもよい。凹凸構造を有することにより、装飾粒子が、ある程度の傾きをもって不規則に配列された状態で固定化されるため、得られる積層体は、見る角度、光量等によって、様々な色彩を発するとともに、やわらかい、深みのある、落ち着いた輝度感を表出することができる。
着色下地層表面に凹凸を施す場合、着色下地層自体を、エンボス加工等によって凹凸を施してもよいし、凹凸のある型枠を使用し、型枠内にシート形成成分を流しこみ、硬化後に脱型することにより得られるシート材料を基材として使用することもでき、また、上述した材料の上に、顔料や骨材を含むコーティング材をコーティングすることにより、凹凸を施してもよい。
このような着色下地層は、底部と頂部の差が0.1mm以上50mm以下、さらには0.3mm以上30mm以下である凹凸を有する着色下地層であることが好ましい。このような凹凸を有することにより、様々な色彩を発する、やわらかい、深みのある、落ち着いた色彩を表出することができる。
【0017】
本発明の装飾粒子は、薄片状のパール顔料の面状部位が基体粒子表面の面方向に沿うように、固定化されていることにより、少量のパール顔料であっても、角度による色相変化が明確な強い干渉色を有することができるものである。
【0018】
本発明の装飾粒子は、粒径0.1mm以上50mm以下の透明性を有する基体粒子表面に、前記基体粒子よりも平均粒子径が小さく、粒径0.1μm以上1mm以下の薄片状パール顔料が基材表面の面方向に沿うように複数固定化されたものである。
【0019】
薄片状パール顔料としては、特に限定されず公知のパール顔料を使用することができる。例えば、薄片状の基質に金属酸化物、またはその混合物を平滑に被覆したものである。薄片状基質としては、例えば、天然に産出する雲母を粉砕したものや、工業的に合成された雲母、板状シリカ、板状アルミナ等が挙げられる。また、金属酸化物としては、例えば、二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化クロム、酸化ニッケル等が挙げられる。
【0020】
薄片状パール顔料は、粒径(短径及び長径)が0.1μm以上1mm以下、好ましくは1μm以上500μm以下、さらに好ましくは5μm以上200μm以下である。粒径が0.1μmより小さい場合、製造が難しく、1mm以上の場合、基体粒子に固定化され難いおそれがある。また、パール顔料の厚みは、パール顔料の面状部位が基体粒子表面に面方向に沿うように固定化される程度であればよい。なお、パール顔料の面状部位とは、パール顔料を水平面に安定な状態で置いたときの、上下の2つの面のことをいう。
【0021】
なお、上記パール顔料の粒径は、走査型電子顕微鏡(日本電子製:JSM5301LV)の観察によって測定した値である。
【0022】
また、装飾粒子に使用する薄片状パール顔料の耐熱温度は、基体粒子や被覆される酸化物の種類によるが、通常、300〜900℃であることが好ましい。このような範囲である場合、本発明の効果が得られやすい。なお、耐熱温度とは、安定に干渉色を得ることができる上限温度のことをいう。
【0023】
装飾粒子における基体粒子としては、一般的な着色装飾粒子に使用されるもので、透明性を有するものであれば特に限定されず、硅砂、砕石、寒水石、マイカ、ガラスビーズ、ガラスフレーク、プラスチック片、プラスチックフィルム、樹脂ビーズ等が挙げられる。その形状は、例えば、球状や楕円状、りん片状、板状、円盤状、半球状、星型状、花弁状、リボン状、ヒトデ状、不定形状、多角板状、楕円板状等の扁平状、その他に、棒状、針状、紡錘状等が挙げられる。なお、本発明における透明性とは、下地層に積層した場合、下地層の色相が視認できる程度であればよく、例えば、光透過率が、20%〜95%(好ましくは40%〜90%、さらに好ましくは50%〜88%)程度であることが好ましい。本発明では、基体粒子が透明性を有するため、下地の色相が透け着色下地層との組み合わせによる優れた色彩効果を得ることができる。このような色彩効果としては、例えば、濃色系では下地層が装飾粒子の干渉効果を向上させ鮮明な干渉色を有し、一方、淡色系では下地層と装飾粒子の色相が馴染みやすく、柔らかな落ち着きのある輝度感を得ることができ、見る角度によって装飾粒子の干渉色と下地層の色相が調和し、奥行き感を効果的に表出することもできる。
【0024】
基体粒子の粒子径は、球状の場合は、粒径が0.1mm以上50mm以下、0.3mm以上30mm以下である。扁平状の場合は、粒径(短径及び長径)は0.1mm以上50mm以下、好ましくは0.3mm以上30mm以下である。また、厚みは0.1mm以上10mm以下、好ましくは0.5mm以上5mm以下、程度のものが使用できる。粒径(短径及び長径)が0.1mmより小さすぎる場合、意匠性が発揮されにくく、また粒径が50mmより大きすぎる場合、建築材料等の装飾材としては使用しにくくなるおそれがある。
【0025】
また、本発明の基体粒子としては、上記パール顔料の耐熱温度以下で表面が軟化するものが好ましく、通常、その軟化温度は80〜800℃程度である。本発明では、特に軟化温度が400〜800℃程度の透明性を有するガラスビーズ、ガラスフレーク等のガラス質基体粒子を使用することが好ましく、ガラス質基体粒子に上記パール顔料が焼結された場合、優れた光沢感を得ることができる。
【0026】
本発明の装飾粒子は、上記薄片状パール顔料の面状部位が上記基体粒子表面の面方向に沿うように複数固定化されたものである。パール顔料は、基体粒子表面の少なくとも一部または全体に固定化されていればよい。本発明では、特に、上記基体粒子最表面に、上記薄片状パール顔料の2つの面状部位のうち一面のみが固定化されていることが好ましい。
【0027】
固定化されるパール顔料の数や量は、目的の強さの干渉色が生じるように適宜設定すればよいが、例えば、被覆率が、10〜100%、好ましくは20〜90%であることが好ましい。このような範囲である場合、強い干渉作用を得ることができる。なお、被覆率は、走査型電子顕微鏡(日本電子製:JSM5301LV)の観察によって求めたものである。
【0028】
本発明装飾粒子は、例えば以下の第1工程〜第4工程を含む方法で製造することができる。この方法によれば、目的とする装飾粒子を安定して製造することができ、効果発現の点でも好適である。
(1)第1工程:造粒機内に基体粒子を投入し、樹脂成分を含む溶液を吹きつける。
(2)第2工程:上記樹脂成分が乾燥する前に、パール顔料を投入し、前記基体粒子表面に、該パール顔料を付着させる。
(3)第3工程:パール顔料の耐熱温度よりも低く、前記基体粒子表面が軟化しつつ、形状が維持できる温度以下で焼成する。
(4)第4工程:冷却後、水洗する。
【0029】
上記(1)において、樹脂成分は基体粒子表面にパール顔料を仮止めするものであり、上記(3)の焼成により分解することが好ましい。このような樹脂成分としては、有機樹脂であれば特に限定されないが、例えば、澱粉、変性澱粉、カゼイン、大豆蛋白、セルロース誘導体、グァーガム、ガティガム、トラガントガム、キサンタンガム、プルラン、カシアガム、アラビノガラクタン、スクレロガム、ローカストビーンガム、タラガム、アラビアガム、タマリンドガム、ジェランガム、寒天、ゼラチン、ペクチン、レジン、リグニン、アルギン酸、アルギン酸ソーダ、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。また、樹脂成分を含む溶液(以下、単に「樹脂溶液」ともいう。)中の樹脂固形分は5%以下、好ましくは1%以下とすることが好ましい。このような範囲の場合、パール顔料の面状部位が基体粒子表面の面方向に沿うように固定化され易くなる。
【0030】
上記(3)において、パール顔料の耐熱温度よりも低く、前記基体粒子が軟化しつつ、形状が維持できる温度以下で焼成することにより、基体粒子が結合材として作用し、パール顔料の面状部位が基体粒子表面に沿うように焼結され易くなる。
【0031】
上記(4)において、水洗することにより、パール顔料の面状部位が基体粒子表面に沿わなかったパール顔料を除去することができ、パール顔料が基体粒子表面に沿うように固定化された装飾粒子を得ることができる。ただし、本発明の効果を阻害しない程度であれば、パール顔料の面状部位が基体粒子表面に沿さないものが含まれても良い。
【0032】
本発明の積層体は、上述の装飾粒子を含む層を着色基材層の上に積層したものであれば良い。例えば、装飾粒子を着色下地層の上に積層する方法としては、
(a)着色下地層の上に装飾粒子と結合材を含む組成物を塗付する方法、
(b)着色下地層の上に装飾粒子を配置し、その上に結合材等を塗付する方法、
(c)着色下地層の上に装飾粒子を接着剤等を介して貼着する方法、
等が挙げられる。上記(a)〜(c)において、装飾粒子を含む層とは、装飾粒子と結合材、または装飾粒子と接着剤を含む層のことをいう。
【0033】
上記(a)(b)で用いる結合材としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、酢酸ビニル−バーサチック酸ビニルエステル樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルカプロラクタム樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、セルロース樹脂、アクリル−シリコン樹脂、シリコン樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、塩ビ樹脂、ビニル樹脂等が挙げられ、このような樹脂の無溶剤型、溶剤可溶型、NAD型、水可溶型、水分散型等を使用することができる。
【0034】
また、本発明の効果を損なわない程度に、着色材料を混合することもできる。着色材料を混合することにより、装飾粒子を積層した際に色彩の幅を広げることができる。
【0035】
着色材料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、黒色酸化鉄、銅クロムブラック、コバルトブラック、銅マンガン鉄ブラック、モリブデートオレンジ、パーマネントレッド、パーマネントカーミン、アントラキノンレッド、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、酸化第二鉄、黄色酸化鉄、チタンイエロー、ファーストイエロー、クロムグリーン、オーカー、群青、紺青、コバルトグリーン、コバルトブルー等の無機系着色顔料、アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ベンゾイミダゾール系、フタロシアニン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、キノフタロン系等の有機系着色顔料、アルミニウム顔料、パール顔料、蛍光顔料、蓄光顔料、着色マイカ、マイカ、着色珪砂、寒水石などの骨材、染料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0036】
またこの他に、本発明の効果を損なわない程度に、骨材、染料、体質顔料、繊維、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、触媒、架橋剤等を混合することもできる。
【0037】
上記(a)(b)において、組成物や結合材を塗付する方法では、着色下地層の上に、刷毛、ローラー、スプレー等の塗装器具を用いて塗付すればよく、1回塗り、複数回塗り等特に限定されない。その厚みは、100μm以上2mm以下(200μm以上1mm以下)程度であることが好ましい。
【0038】
このような結合材は、装飾粒子の色相及び着色基材層の色相が認識できる程度の透明性を有しているものである。
透明性としては、光透過率が、20%〜95%(好ましくは40%〜90%、さらに好ましくは50%〜88%)程度であることが好ましい。
光透過率がこのような範囲であることにより、装飾粒子の色彩、輝度感、角度による色相変化を失わずに積層構造体を得ることができる。また、着色下地層の色相を表現することができ、多色、多彩な、積層構造体を得ることができる。
【0039】
なお、光透過率は、JIS K 7105−1981 5.5「光線透過率及び全光線反射率」に規定する測定法Aに準拠し、積分球式光線透過率測定装置(例えば、株式会社島津製作所社製)を用いて測定した全光線透過率の値である(膜厚0.1mm)。
【0040】
本発明では、装飾粒子を含む層の上に、クリヤー層を積層することもできる。クリヤー層を積層することによって、奥行き感、立体感を与え、より深みのある輝度感、美観性を付与するとともに、装飾粒子を含む層を保護する効果もある。
クリヤー層としては、装飾粒子を含む層、着色基材層の色相が認識できる程度の透明性を有しているものである。
クリヤー層の透明性としては、光透過率が、60%〜100%(好ましくは70%〜99%)程度であることが好ましい。
光透過率がこのような範囲であることにより、着色基材の色相及び、装飾粒子を含む層の色相、輝度感、多彩を失わずに積層構造体が得ることができる。また、立体感と深みのある、美観性に優れた構造体を得ることができる。
【0041】
このようなクリヤー層としては、ガラス板、アクリル樹脂板等のクリヤー板、あるいは、結合材を含有するクリヤー塗料から形成されてなるクリヤー塗膜等が挙げられる。
【0042】
例えば、クリヤー塗料で用いる結合材としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、酢酸ビニル−バーサチック酸ビニルエステル樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルカプロラクタム樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、セルロース樹脂、アクリル−シリコン樹脂、シリコン樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、塩ビ樹脂、ビニル樹脂等が挙げられ、このような樹脂の無溶剤型、溶剤可溶型、NAD型、水可溶型、水分散型等を使用することができる。
【0043】
また、クリヤー塗料には、本発明の効果を損なわない程度に、着色材料を混合することもできる。
着色材料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、黒色酸化鉄、銅クロムブラック、コバルトブラック、銅マンガン鉄ブラック、モリブデートオレンジ、パーマネントレッド、パーマネントカーミン、アントラキノンレッド、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、酸化第二鉄、黄色酸化鉄、チタンイエロー、ファーストイエロー、クロムグリーン、オーカー、群青、紺青、コバルトグリーン、コバルトブルー等の無機系着色顔料、アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ベンゾイミダゾール系、フタロシアニン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、キノフタロン系等の有機系着色顔料、アルミニウム顔料、パール顔料、蛍光顔料、蓄光顔料、着色マイカ、マイカ、着色珪砂、寒水石などの骨材、染料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0044】
また、本発明の効果を損なわない程度に、装飾粒子を混合することもできる。クリヤー層に装飾粒子を混合することにより、より多彩な色相感と、落ち着きのある輝度感、美観性に優れた積層体を得ることができる。
【0045】
またこの他に、本発明の効果を損なわない程度に、繊維、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、触媒、架橋剤等を混合することもできる。
【0046】
このようなクリヤー層を、装飾粒子を含む層の上に積層する方法としては、特に限定されない。
積層する方法としては、装飾粒子を含む層の上に、クリヤー塗料を直接塗付して積層することができる。直接塗付する方法では、装飾粒子を含む層の上に、刷毛、ローラー、スプレー等の塗装器具を用いて塗付すればよく、1回塗り、複数回塗り等特に限定されない。
また、クリヤー板や、予めクリヤー塗料をフィルム化(シート化)しておいたクリヤーフィルム(シート)を、カラークリヤー層の上に、接着剤等を介して貼着すればよい。
予めクリヤー塗料をフィルム化(シート化)する方法としては、特に限定されないが、押し出し成形、ロールコーター等公知の方法でフィルム化(シート化)すればよい。
また、押し出し成形法やロールコーター法等によって着色基材層の製造とカラークリヤー層の成形と同時にクリヤー層の成形も行うことが可能である。
【0047】
この様なクリヤー層の膜厚は、特に限定されないが、0.5μm以上5mm以下(10μm以上2mm以下)程度であることが好ましい。
また、クリヤー層の表面は、凹凸構造を有するものであってもよい。
凹凸構造を有することによって、いっそう深みのある色彩を表出することができる。また、家電や家具に適用する場合は滑り止め効果等、タイルや床に適用する場合はスリップ防止効果等も期待できる。凹凸の程度としては、特に限定されないが、底部と頂部の差が0.1mm以上50mm以下、さらには0.3mm以上30mm以下であればよい。
凹凸を施す方法としては、例えば、顔料や骨材を含むクリヤー塗料を、カラークリヤー層の表面に塗付する方法等が挙げられる。
【0048】
このようにして得られた積層体は、家電・家具や車輌、壁、床、天井などの建材など幅広い分野で適用することができ、本発明の積層体は、シート、タイル等の形態で、用いることができる。
【実施例】
【0049】
<干渉色を有する装飾粒子の作製>
(製造例1)
造粒機内に、長径5mm、短径3mm、厚さ0.5mmの扁平状ガラス基体粒子(軟化点630℃)100重量部を投入し、樹脂溶液2重量部を吹きつけた。次いで、粒径10μmから60μmの範囲の薄片状パール顔料(耐熱温度800℃)を0.5重量部投入し、基体表面に薄片状パール顔料を付着させた。23℃下、5分間乾燥後、650℃で10分間焼成、冷却後、水洗して装飾粒子1を得た。
得られた装飾粒子1には強い干渉色が目視でき、見る角度による色相の変化が明確であった。
電子顕微鏡により装飾粒子1の表面を観察したところ(倍率:350倍)、薄片状パール顔料の面状部位が基体粒子表面の面方向に沿うように固定化されていた。
なお、樹脂溶液Aとしては、水100重量部に対して1重量部のカルボキシメチルセルロースを混合したものを使用した。
【0050】
(製造例2)
実施例1の薄片状パール顔料に代えて、粒径5μmから25μmの範囲の薄片状パール顔料(耐熱温度800℃)を使用した以外は、実施例1と同様の方法により装飾粒子2を得た。
得られた装飾粒子2には強い干渉色が目視でき、見る角度による色相の変化が明確であった。
電子顕微鏡により装飾粒子2の表面を観察したところ(倍率:500倍)、薄片状パール顔料の面状部位が基体粒子表面の面方向に沿うように固定化されていた。
【0051】
(製造例3)
実施例1の薄片状パール顔料に代えて、粒径10μmから125μmの範囲薄片状パール顔料(耐熱温度800℃)を0.3重量部使用した以外は、実施例1と同様の方法により装飾粒子3を得た。
得られた装飾粒子3には強い干渉色が目視でき、見る角度による色相の変化が明確であった。
電子顕微鏡により装飾粒子3の表面を観察したところ(倍率:350倍)、薄片状パール顔料の面状部位が基体粒子表面の面方向に沿うように固定化されていた。
【0052】
(製造例4)
造粒機内に、長径5mm、短径3mm、厚さ0.5mmの透明性を有する扁平状ガラス基体粒子(軟化点800℃)100重量部を投入し、水100重量部に対して1重量部のカルボキシメチルセルロースを混合して得られた樹脂溶液2重量部を吹きつけた。次いで、粒径10μmから60μmの範囲の薄片状パール顔料(耐熱温度800℃)を0.5重量部と透明性の釉薬(軟化点700℃)10重量部を混合したパール調釉薬10.5重量部を投入し、基体表面に付着させた。23℃下、5分間乾燥後、750℃で20分間焼成、冷却後、水洗して装飾粒子4を得た。
得られた装飾粒子4には殆ど干渉色が目視できず、装飾粒子としては不適当であった。
電子顕微鏡により装飾粒子4の表面を観察したところ(倍率:350倍)、薄片状パール顔料の面状部位が基体粒子表面の面方向に沿うように固定化されていることは確認できなかった。
【0053】
(製造例5)
製造例4の薄片状パール顔料を5重量部とした以外は、製造例4と同様の方法により、装飾粒子5を得た。
得られた装飾粒子5には強い干渉色が目視できたが、どの角度から見ても同程度の強さの干渉色を示し、角度によって殆ど色相の変化を示さなかった。
【0054】
(製造例6)
造粒機内に、長径5mm、短径3mm、厚さ0.5mmの扁平状のガラス基体粒子(軟化点800℃)100重量部を投入し、粒径10μmから60μmの範囲の薄片状パール顔料(耐熱温度800℃)を0.5重量部、アクリル/スチレン樹脂エマルション10重量部の混合溶液を吹き付け、23℃下、5分間乾燥させ、装飾粒子6を得た。
得られた装飾粒子6には弱い干渉色が目視できたが、どの角度から見ても同程度の強さの干渉色を示し、角度によってあまり色相の変化を示さなかった。
【0055】
<積層体の作製>
(実施例1)
表面を黒色に着色した磁器タイル板(100mm×100mm×6mm、L:25)の上に、エポキシ樹脂(固形分:100重量%)100重量部、製造例1で得られた装飾粒子1を5重量部混合した組成物を、乾燥膜厚が1.0mmとなるように、刷毛で塗布し、温度80℃、相対湿度50%で、24時間乾燥硬化させ、装飾粒子を含む層(装飾粒子含有量:15g/m)を得た。
次に、装飾粒子を含む層の上に、エポキシ樹脂(固形分:100重量%)からなるクリヤー塗料を、wet膜厚が0.1mmとなるように、刷毛で塗布し、温度80℃、相対湿度50%で、24時間乾燥硬化させ、クリヤー層を得、積層体を得た。なおクリヤー塗料から形成されるクリヤー層の光透過率は85%であった。
得られた積層体の表面は、黒地の中に、深みのある、落ち着ついた輝度感を有し、さらに見る角度により鮮明な干渉色を得ることができ、優れた美観性をかもしだしていた。
【0056】
(実施例2)
表面を白色に着色した磁器タイル板(100mm×100mm×6mm、L:85)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、積層体を得た。
得られた積層体の表面は、白地の色相と装飾粒子の色相が組み合わされ、柔らかな落ち着きのある輝度感を得ることができ、見る角度によって装飾粒子の干渉色と下地層の色相が調和し、奥行き感をえることができ、優れた美観性をかもしだしていた。
【0057】
(実施例3)
製造例2で得られた装飾粒子2を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、積層体を得た。
得られた積層体の表面は、黒地の中に、深みのある、落ち着ついた輝度感を有し、さらに見る角度により鮮明な干渉色を得ることができ、優れた美観性をかもしだしていた。
【0058】
(実施例4)
製造例2で得られた装飾粒子2を用いた以外は、実施例2と同様の方法で、積層体を得た。
得られた積層体の表面は、白地の色相と装飾粒子の色相が組み合わされ、柔らかな落ち着きのある輝度感を得ることができ、見る角度によって装飾粒子の干渉色と下地層の色相が調和し、奥行き感をえることができ、優れた美観性をかもしだしていた。
【0059】
(実施例5)
製造例3で得られた装飾粒子3を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、積層体を得た。得られた積層体の表面は、黒地の中に、深みのある、落ち着ついた輝度感を有し、さらに見る角度により鮮明な干渉色を得ることができ、優れた美観性をかもしだしていた。
【0060】
(実施例6)
製造例3で得られた装飾粒子3を用いた以外は、実施例2と同様の方法で、積層体を得た。
得られた積層体の表面は、白地の色相と装飾粒子の色相が組み合わされ、柔らかな落ち着きのある輝度感を得ることができ、見る角度によって装飾粒子の干渉色と下地層の色相が調和し、奥行き感をえることができ、優れた美観性をかもしだしていた。
【0061】
(比較例1)
製造例5で得られた装飾粒子5を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、積層体を得た。
得られた積層体の表面は、黒地の中に、どの角度から見ても一様にギラギラした強い干渉色を有しており、美観性に劣るものであった。
【0062】
(比較例2)
製造例5で得られた装飾粒子5を用いた以外は、実施例2と同様の方法で、積層体を得た。
得られた積層体の表面は、白地の中に、下地層と調和することなく、どの角度から見ても一様にギラギラした強い干渉色を有しており、美観性に劣るものであった。
【0063】
(比較例3)
製造例6で得られた装飾粒子6を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、積層体を得た
得られた積層体の表面は、黒地の中に、輝度感を有するものの、どの角度から見ても一様な干渉色しか示さず、美観性に劣るものであった。
【0064】
(比較例4)
製造例6で得られた装飾粒子6を用いた以外は、実施例2と同様の方法で、積層体を得た。
得られた積層体の表面は、白地の中に、輝度感を有するものの、下地層と調和することなく、どの角度から見ても一様な干渉色しか示さず、美観性に劣るものであった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色下地層の上に、干渉色を有する装飾粒子を含む層が積層されてなり、
該装飾粒子は、粒径0.1mm以上50mm以下の透明性を有する基体粒子表面に、前記基体粒子よりも粒径が小さく、粒径0.1μm以上1mm以下の薄片状パール顔料が複数固定化されてなり、該パール顔料の面状部位が基体粒子表面の面方向に沿うように固定化されたものであることを特徴とする積層体。
【請求項2】
着色下地層の上に、干渉色を有する装飾粒子を含む層、さらにクリヤー層が積層されてなり、
該装飾粒子は、粒径0.1mm以上50mm以下の透明性を有する基体粒子表面に、前記基体粒子よりも粒径が小さく、粒径0.1μm以上1mm以下の薄片状パール顔料が複数固定化されてなり、該パール顔料の面状部位が基体粒子表面の面方向に沿うように固定化されたものであることを特徴とする積層体。
【請求項3】
干渉色を有する装飾粒子の基体粒子が、粒径0.1mm以上50mm以下のガラス粒子であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層体。
【請求項4】
干渉色を有する装飾粒子は、前記ガラス粒子基体表面に、前記パール顔料が焼結されたものであることを特徴とする請求項3に記載の積層体。


【公開番号】特開2009−154474(P2009−154474A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337419(P2007−337419)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(599071496)ベック株式会社 (98)
【Fターム(参考)】