説明

積層体

【課題】 光学干渉により発生する干渉縞や虹色を低減することのできる機能膜を有し、各種ディスプレイの前面に使用される機能性部材などとして好適な積層体を提供する。
【解決手段】 基材と、その表面に順に設けられた中間膜および機能膜とを有する積層体であって、基材の屈折率をn、厚みをd(nm)、中間膜の屈折率をn、膜厚をd(nm)および機能膜の屈折率をn、膜厚をd(nm)とした場合、下記の式(1)および式(2)
(n+n)/2−|n−n|×0.3<n<(n+n)/2+|n−n|×0.3 …(1)
400/4/n≦d≦700/4/n …(2)
の関係を満たす積層体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体に関し、さらに詳しくは、光学干渉により発生する干渉縞や虹色を低減することのできる機能膜を有し、各種ディスプレイの前面に使用される機能性部材などとして好適な積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイ(PDP)、ブラウン管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)などの画像表示装置においては、画面に外部から光が入射し、この光が反射して表示画像を見ずらくすることがあり、特に近年、ディスプレイの大型化に伴い、上記問題を解決することが、ますます重要な課題となってきている。
【0003】
このような問題を解決するために、これまで種々のディスプレイに対して、様々な反射防止処置や防眩処置がとられている。その一つとして反射防止フィルムを各種のディスプレイに使用することが行われている。
【0004】
この反射防止フィルムは、従来、蒸着やスパッタリングなどのドライプロセス法により、基材フィルム上に、低屈折率の物質(MgF)を薄膜化する方法や、屈折率の高い物質[ITO(錫ドープ酸化インジウム)、TiOなど]と屈折率の低い物質(MgF、SiO)を交互に積層する方法などで作製されている。しかしながら、このようなドライプロセス法で作製された反射防止フィルムは、製造コストが高くつくのを免れないという問題があった。
そこで、近年、ウエットプロセス法、すなわちコーティングにより反射防止フィルムを作製することが試みられている。
【0005】
ウエットプロセス法による反射防止用途などの光学フィルムは、一般に、光学特性の他にも、耐擦傷性や耐薬品性および耐候性を考慮し、基材表面上に活性エネルギー線硬化型樹脂を用いたハードコート層を設けることが行われている。しかし、この活性エネルギー線硬化によって得られたハードコート層の屈折率は、用いられる基材の屈折率とかけ離れる場合が多いために、ハードコート層表面で反射する光と、ハードコート層と基材の界面で反射する光の干渉のために、虹色のムラ(干渉ムラ)を生じ、ディスプレイの視認性を劣化させ、またディスプレイの美観を損なうなどの問題が生じる。
【0006】
このような光学干渉による問題を解決するために、特許文献1では、透明支持体と、下塗り層と、ハードコート層とを有する積層体において、透明支持体の屈折率と下塗り層の屈折率との差および透明支持体の屈折率とハードコート層の屈折率との差を、いずれも0.1以下にした反射防止膜が開示されている。しかしながら、この方法では、上層の材料の選択自由度が小さくなり、場合によっては本来の機能が低減したり損なわれるおそれがある。
【0007】
また特許文献2では、基材上にハードコート層を形成する際に、屈折率の違いにより発生する干渉ムラを防止するために、基材を溶解若しくは膨潤させる溶剤を用いてハードコート層を塗布しているが、この方法では、塗布方法や条件により基材の溶解、膨潤の程度が異なることが考えられ、再現性が取りにくいことや、耐溶剤性の高い基材の場合や、基材を溶解する溶剤にハードコート成分が不溶の場合などに適用できず、かなり限られた構成体にしか応用できないなどの問題がある。
【0008】
さらに、特許文献3においては、基材とハードコート層の間に、ハードコート層よりも低い屈折率を有する光学的干渉層を設けることにより、前記問題を解決しようとしているが、この構成では外観の干渉縞低減の効果は小さく、また、このためよりハードコート層を厚くする必要があり、材料のコスト面では不利である。
【特許文献1】特開2000−111706号公報
【特許文献2】特開2003−131007号公報
【特許文献3】特開2006−235561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような事情のもとで、光学干渉により発生する干渉縞や虹色を低減することのできる機能膜を有し、各種ディスプレイの前面に使用される機能性部材などとして好適な積層体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、基材と機能膜との間に、上記の基材と機能膜のそれぞれの屈折率に基づき、高度に調整した屈折率と膜厚を有する中間膜を設けることにより、その目的を達成し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、
(1) 基材と、その表面に順に設けられた中間膜および機能膜とを有する積層体であって、基材の屈折率をn、厚みをd(nm)、中間膜の屈折率をn、膜厚をd(nm)および機能膜の屈折率をn、膜厚をd(nm)とした場合、下記の式(1)および式(2)
(n+n)/2−|n−n|×0.3<n<(n+n)/2+|n−n|×0.3 …(1)
400/4/n≦d≦700/4/n …(2)
の関係を満たすことを特徴とする積層体、
(2) 機能膜の膜厚dが、100〜3000nmである上記(1)項に記載の積層体、
(3) 機能膜が、一般式(3)
(m−n)M(OR …(3)
(式中、Rは非加水分解性基、Rは炭素数1〜6のアルキル基、MはSi、Ti、ZrまたはAl、mはMの価数で3または4を示し、nはMがSi、TiまたはZrの場合は1〜4の整数であり、Alの場合は1〜3の整数であり、Rが複数ある場合、各Rはたがいに同一であっても異なっていてもよく、ORが複数ある場合、各ORはたがいに同一であっても異なっていてもよい。)で表されるアルコキシド化合物を、加水分解−縮合反応して得られたM−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物を含むコーティング剤を、基材に設けられた中間膜表面に塗工して形成したものである上記(1)または(2)項に記載の積層体、
(4) コーティング剤が、(X)一般式(3)で表されるアルコキシド化合物を、加水分解−縮合反応して得られたM−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物と、(Y)珪素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、一次平均粒子径が2〜200nmであって、2個以上の粒子が結合した凝集体粒子25質量%以上を含む金属酸化物粒子とを含み、かつ前記(X)成分と(Y)成分との合計量に対する(Y)成分の含有量が、固形分基準で40〜95質量%のものである上記(3)項に記載の積層体、
(5) 機能膜が、(A)分子中に酸素以外の不対電子含有元素を含む官能基を有する金属アルコキシドの加水分解・縮合物と、(B)亜鉛イオンとを含むコーティング剤を、基材に設けられた中間膜表面に塗工して形成したものである上記(1)または(2)項に記載の積層体、
(6) 基材が全光線透過率(Tt)80%以上の透明有機基材またはガラス板であって、機能膜の屈折率が、該基材の屈折率よりも低い上記(1)〜(5)項のいずれか1項に記載の積層体、および
(7) 基材が全光線透過率(Tt)80%以上の透明ポリエステルフィルムである上記(6)項に記載の積層体、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、基材と機能膜との間に、上記の基材と機能膜のそれぞれの屈折率に基づき、高度に調整した屈折率と膜厚を有する中間膜を設けることにより、光学干渉により発生する干渉縞や虹色を低減することのできる機能膜を有し、各種ディスプレイの前面に使用される機能性部材などとして好適な積層体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の積層体は、基材と、その表面に順に設けられた中間膜および機能膜とを有する積層体である。
【0014】
[中間膜]
透明基材に膜厚の薄い機能膜を形成する場合、それらの屈折率の違いにより光学干渉斑が発生する。通常、より厚膜化することで目視観察による干渉斑の低減を実現できるが、コスト面等を鑑みてより薄膜で使用する場合に屈折率の違いから生じる干渉縞が問題となる。本発明においては、基材と機能膜の中間に、屈折率と膜厚が、下記のように高度に制御された薄膜を形成することにより、上記問題を解決することができる。
【0015】
すなわち、基材の屈折率をn、厚みをd(nm)、中間膜の屈折率をn、膜厚をd(nm)および機能膜の屈折率をn、膜厚をd(nm)とした場合、中間膜の屈折率nと膜厚dとが、それぞれ下記の式(1)と式(2)
(n+n)/2−|n−n|×0.3<n<(n+n)/2+|n−n|×0.3 …(1)
400/4/n≦d≦700/4/n …(2)
の関係を満たすことにより、光学干渉により発生する干渉縞や虹色を低減することができる。
中間膜の屈折率nとしては、(n+n)/2=n とすることで、すなわち、nを、nとnの丁度中心値とすることで、最も効果が得られる。
【0016】
一方、中間膜の膜厚dは、[干渉波形を消去したい波長(nm)]/4/nとすることがよく、その波長は、可視光の領域であれば少なくとも効果が得られ、特に視感覚で捉えやすく、500〜600nmに設定することが望ましい。
このような設計とすれば、通常可視光の全領域に渡り観察される干渉波形が設定波長の領域で消去することができ、このため、目視観察による干渉縞が大幅に低減することができる。
【0017】
図1は、反射光スペクトルのシミュレーション光学波形であり、細実線が中間膜を形成しない場合、太実線が中間膜を形成した場合である。
【0018】
本発明では、基材の反対側や機能膜上にさらに他の層を設ける場合でも、その効果は有効であり、この場合に干渉斑をなくす場合には、それらの層固有の光学的な設計をすれば良い。また、基材フィルムに易接着層が設けられている場合には、中間膜形成時に易接着層との混層を生じる場合があるが、この場合では、結果として生じた混層の屈折率、厚みを反映させて、形成する中間膜の屈折率、厚みを設計すれば良い。
【0019】
本発明における中間膜としては、目的とする基材や機能膜に対して、任意に屈折率の制御ができる薄膜を選定することが望ましく、シリコンアルコキシドとチタンアルコキシドとを加水分解−縮合した混合物を使用することが良い。この場合、ケイ素とチタンの比を任意に変化させることができるため、これに応じて任意に屈折率を調整することが可能である。この組み合わせの利点としては他に、シリコンアルコキシドから得られる縮合体は概ね有機物よりも屈折率が低く、機能膜が基材の屈折率より低い場合により広範囲で使用することができる。
【0020】
[機能膜]
本発明の積層体においては、機能膜における機能の種類に特に制限はなく、例えば反射防止膜、防眩膜、ハードコート膜、保護膜、帯電防止膜、防汚膜、(近)赤外線遮蔽膜、紫外線遮蔽膜、インク受容膜などを挙げることができる。
【0021】
通常光学干渉により目視で干渉縞が確認される機能膜の膜厚は100nm〜3000nmであり、本発明はこの膜厚範囲に対して有効であるが、500〜3000nmが好ましく、1000〜2500nmがより好ましく、1000〜1500nmがさらに好ましい。
【0022】
本発明においては、当該機能膜がゾル−ゲル法により形成される薄膜である場合、下記一般式(3)
(m−n)M(OR …(3)
(式中、Rは非加水分解性基、Rは炭素数1〜6のアルキル基、MはSi、Ti、ZrまたはAl、mはMの価数で3または4を示し、nはMがSi、TiまたはZrの場合は1〜4の整数であり、Alの場合は1〜3の整数であり、Rが複数ある場合、各Rはたがいに同一であっても異なっていてもよく、ORが複数ある場合、各ORはたがいに同一であっても異なっていてもよい。)で表されるアルコキシド化合物を、加水分解−縮合反応して得られたM−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物を含むコーティング剤Iを、基材に設けられた中間膜表面に塗工して形成したものであることが好ましい。
【0023】
前記一般式(3)において、Rで表される非加水分解性基としては、例えば炭素数1〜20のアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシ基若しくはエポキシ基を有する炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。ここで、炭素数1〜20のアルキル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、またこのアルキル基は直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。(メタ)アクリロイルオキシ基若しくはエポキシ基を有する炭素数1〜20のアルキル基としては、上記置換基を有する炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、またこのアルキル基は直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。この置換基を有するアルキル基の例としては、γ−アクリロイルオキシプロピル基、γ−メタクリロイルオキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基などが挙げられる。炭素数2〜20のアルケニル基としては、炭素数2〜10のアルケニル基が好ましく、また、このアルケニル基は直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このアルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基などが挙げられる。炭素数6〜20のアリール基としては、炭素数6〜10のものが好ましく、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などが挙げられる。炭素数7〜20のアラルキル基としては、炭素数7〜10のものが好ましく、例えばベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基などが挙げられる。
【0024】
一方、Rは炭素数1〜6のアルキル基であって、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、その例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0025】
MがSi、Ti又はZrで、価数が4である場合、nは1〜4の整数であり、Alで価数が3の場合、nは1〜3の整数である。Rが複数ある場合、各Rはたがいに同一であってもよいし、異なっていてもよく、またORが複数ある場合、各ORはたがいに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0026】
前記一般式(3)で表されるアルコキシド化合物において、Mが4価の珪素、チタン、ジルコニウムであって、mが4で、nが1〜4の整数である場合のアルコキシド化合物の例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシランなど、および前記化合物におけるシランを、チタンまたはジルコニウムに置き換えた化合物を挙げることができる。また、アルコキシシランオリゴマーも用いることができる。
【0027】
また、前記一般式(3)で表されるアルコキシド化合物において、Mが3価のアルミニウムであって、mが3で、nが1〜3の整数である場合のアルコキシド化合物の例としては、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリ−n−プロポキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリ−n−ブトキシアルミニウム、トリイソブトキシアルミニウム、トリ−sec−ブトキシアルミニウム、トリ−tert−ブトキシアルミニウム、メチルジメトキシアルミニウム、メチルジエトキシアルミニウム、メチルジプロポキシアルミニウム、エチルジメトキシアルミニウム、エチルジエトキシアルミニウム、プロピルジエトキシアルミニウムなどを挙げることができる。
【0028】
これらのアルコキシド化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
前記一般式(3)で表されるアルコキシド化合物の加水分解−縮合反応は、アルコール系、セロソルブ系、ケトン系、エーテル系などの適当な極性溶剤中において、該アルコキシド化合物を、塩酸、硫酸、硝酸などの酸、あるいは固体酸としてのカチオン交換樹脂を用い、通常0〜60℃、好ましくは20〜40℃の温度にて加水分解処理し、固体酸を用いた場合には、それを除去したのち、さらに、所望により溶剤を留去または添加することにより行うことができ、上記反応により、M−O(Mは前記と同じである。)の繰り返し単位を主骨格とする縮合物を含む所望のコーティング剤Iを得ることができる。
【0030】
また、前記コーティング剤Iを金属ペーストや金属ナノ粒子を含むインクを印刷する際の下地材として利用する場合、(X)前記一般式(3)で表されるアルコキシド化合物を、加水分解−縮合反応して得られたM−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物と、(Y)珪素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、一次平均粒子径が2〜200nmであって、2個以上の粒子が結合した凝集体粒子25質量%以上を含む金属酸化物粒子とを含み、かつ前記(X)成分と(Y)成分との合計量に対する(Y)成分の含有量が、固形分基準で40〜95質量%のものであることが好ましい。
【0031】
前記(Y)成分の金属酸化物粒子における凝集体粒子を構成する一次粒子の平均粒子径は、2〜200nmであり、5〜100nmが好ましく、10〜80nmがより好ましく、10〜30nmがさらに好ましい。なお、本明細書において、平均粒子径とは、特に断らない限り、走査型電子顕微鏡(SEM)により測定した粒子径の平均値を意味する。凝集体粒子を構成する一次粒子の平均粒径が200nmを超える場合、これら粒子が形成する凝集体粒子の細孔径が大きくなりすぎ、インクとして使用するペーストに含有する金属粒子や金属ナノ粒子が薄膜の内部に浸透し、拡散し易くなり印刷性が悪化するという現象が発生する。また、2nm未満の場合は、逆に細孔径が小さくなりすぎ、インクに含有する溶剤が浸透できなくなり、印刷性が悪化するという問題が発生する。
【0032】
上記凝集体粒子は、上記金属の酸化物からなる一次粒子が2個以上結合してなるものであり、凝集体粒子における一次粒子数は2個以上で多いほど好ましいがインク受容膜形成時における基板の透明性を保持するという観点から、2〜100個が好ましく、3〜100個がより好ましく、5〜50個がさらに好ましい。
【0033】
凝集状態の確認は、分散液を極希釈状態にして乾燥後、電子顕微鏡等により観察するなどの方法によっても確認できる。
【0034】
凝集体粒子の形態としては、一次粒子が数珠状に結合した長鎖構造を有するもの、結合した凝集体粒子が分枝したものおよび/または屈曲したものなどを挙げることができる。このような凝集体粒子は、例えば球状金属酸化物からなる一次粒子を、2価以上の金属イオン、例えばCa2+、Zn2+、Mg2+、Ba2+、Al3+、Ti4+などを介在させて連結することにより得ることができる。
【0035】
(Y)成分における凝集体粒子の含有量は25質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましい。
さらに、(Y)成分の金属酸化物粒子は、単分散一次粒子を含むことができ、該一次粒子の平均粒子径は、凝集体粒子を構成する一次粒子の平均粒子径と同様に2〜200nmであり、5〜100nmが好ましく、10〜80nmがより好ましく、10〜30nmがさらに好ましい。
【0036】
前記(X)成分と(Y)成分との合計量に対する(Y)成分の含有量は、固形分基準で40〜95質量%であることが好ましく、50〜95質量%であることがより好ましく、60〜95質量%であることがさらに好ましい。
【0037】
上記各割合を上述した範囲内に制御することにより、金属ペーストや金属ナノ粒子を含むインクを印刷する際の下地材として利用する場合、インク吸収性や有機基板に対するインク含有物との密着性などの印刷適正のバランスなどを良好な範囲に制御することが可能になる。
【0038】
また、当該機能膜がハードコート膜である場合、(A)分子中に酸素以外の不対電子含有元素を含む官能基を有する金属アルコキシドの加水分解・縮合物と、(B)亜鉛イオンとを含むコーティング剤IIを、基材に設けられた中間膜表面に塗工して形成したものであることが、さらに好ましい。
【0039】
前記(A)成分における金属アルコキシドとしては、アルコキシシランが好ましく、例えば2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリ−n−プロポキシシラン、2−メルカプトエチルトリイソプロポキシシラン、2−メルカプトエチルトリ−n−ブトキシシラン、2−メルカプトエチルトリイソブトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリ−n−プロポキシシラン、3−メルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルトリ−n−ブトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリイソブトキシシラン、2−アミノエチルトリメトキシシラン、2−アミノエチルトリエトキシシラン、2−アミノエチルトリ−n−プロポキシシラン、2−アミノエチルトリイソプロポキシシラン、2−アミノエチルトリ−n−ブトキシシラン、2−アミノエチルトリイソブトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリ−n−プロポキシシラン、3−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、3−アミノプロピルトリ−n−ブトキシシラン、3−アミノプロピルトリイソブトキシシランなどを挙げることができる。これは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
これらの金属アルコキシドを、前述のアルコキシド化合物と同様にして加水分解・縮合させることにより、前記(A)成分が調製される。
【0041】
一方、コーティング剤IIにおいて、(B)成分として含まれる亜鉛はイオンの形態で含まれることが、不対電子含有官能基による配位結合によって形成されるネットワークの形成性の観点から好ましい。亜鉛イオン源としては、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛などの無機酸亜鉛、酢酸亜鉛などの有機酸亜鉛等を用いることが好ましい。
【0042】
当該コーティング剤IIにおいては、亜鉛イオンに対する不対電子含有官能基の含有割合は、該不対電子含有官能基が亜鉛イオンに対して良好な相互作用を有し、かつ所望の物性を有する塗膜を形成し得る観点から、モル基準で0.5〜200倍程度が好ましく、0.8〜100倍がより好ましく、1〜50倍が特に好ましい。
【0043】
また、固形分中の亜鉛イオン濃度は、形成される機能膜の耐擦傷性および他の物性のバランスなどの観点から、Znとして0.1〜40質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
【0044】
当該コーティング剤IIにおける溶媒としては、アルコール系、セロソルブ系、ケトン系、エーテル系などの極性溶剤の中から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
【0045】
[基材]
本発明の積層体における基材としては、全光線透過率(Tt)80%以上の透明有機基材またはガラス板が好適であり、また本発明の効果をよりよく発揮させる上から、前述した機能膜の屈折率が、該基材の屈折率よりも低いことが好ましい。
【0046】
透明有機基材としては、透明なものであればよく、特に制限はないが、従来ハードコート部材の基材として公知のプラスチックフィルムの中から、適宜選択して用いることができる。このようなプラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、シクロオレフィン樹脂フィルム等を挙げることができる。
【0047】
これらの基材フィルムは、全光線透過率(Tt)が80%以上である透明なものであれば、着色されていてもよいし、無着色のものでもよく、用途に応じて適宜選択すればよい。例えば液晶表示体の保護用として用いる場合には、無色透明のフィルムが好適である。
【0048】
本発明における基材としては、全光線透過率(Tt)80%以上の透明ポリエステルフィルムが好適である。
【0049】
これらの基材フィルムの厚さは特に制限はなく、状況に応じて適宜選定されるが、通常15〜300μm、好ましくは30〜200μmの範囲である。また、この基材フィルムは、その表面に設けられる層との密着性を向上させる目的で、所望により片面又は両面に、酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は基材フィルムの種類に応じて適宜選ばれるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から、好ましく用いられる。
【0050】
本発明の積層体は、前記基材表面に、まず中間膜形成用コーティング剤を、従来公知の方法、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などを用いて、コーティングして塗膜を形成させ、乾燥処理して所望の厚さの中間膜を形成し、次いで、その上に、機能膜形成用コーティング剤を、上記と同様にしてコーティングして塗膜を形成させ、乾燥処理して所定の厚さの機能膜を形成させることにより、製造することができる。
【0051】
本発明の積層体は、光学干渉により発生する干渉縞や虹色を低減することのできる機能膜を有し、各種ディスプレイ、例えばPDP、CRT、LCDなどの前面に使用される機能性部材などとして好適である。
【実施例】
【0052】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、機能膜形成用コーティング剤として、以下に示すコーティング剤を用いた。
【0053】
機能膜−1用コート剤:調製例1で調製したもの
機能膜−2用コート剤:調製例5で調製したもの
機能膜−3用コート剤:調製例6で調製したもの
機能膜−4用コート剤:日本合成化学工業社製、商品名「紫光UT−3806」、紫外線硬化型帯電防止用ハードコート剤、屈折率1.52
【0054】
調製例1 機能膜−1用コート剤の調製
メルカプトプロピルトリメトキシシラン(214.57g)、MS−51[三菱化学社製、商品名](71.34g)の混合物にエチルセロソルブ(EC)(403.29g)を添加した。攪拌しながら0.1モル/L硝酸(21.25g)と水(151.52g) ZnCl(37.22g)混合物を添加した。得られた溶液を30℃にて24時間撹拌し無色透明な機能膜−1(ハードコート)用コート剤を得た。
【0055】
調製例2 前駆体−1液の調製
チタンテトライソプロポキシド252.05gをエチレングリコール−t−ブチルエーテル497.40gに溶解させ、これに濃硝酸41.93g、水15.18gおよびエチレングリコール−t−ブチルエーテル193.44gの混合液を滴下したのち、30℃にて4時間反応させて、固形分濃度7質量%の前駆体−1液を調製した。
【0056】
調製例3 前駆体−2液の調製
メチルトリメトキシシラン227.34gとテトラエトキシシラン166.40gをメタノール217.23gに溶解させ、これに0.1モル/L濃度の硝酸30.90g、水265.04gおよびメタノール93.10gの混合液を滴下したのち、30℃にて24時間反応させて、固形分濃度16質量%の前駆体−2液を調製した。
【0057】
調製例4 中間膜形成用コーティング剤(中間膜用コート剤)の調製
エチレングリコール−t−ブチルエーテルに前駆体−1液、及び前駆体−2液を滴下し、室温にて1時間攪拌することにより、固形分濃度2.5質量%の中間膜用コート剤を調製した。なお、屈折率の調整は前駆体−1液及び前駆体−2液を任意の割合で添加することにより調整した。
【0058】
調製例5 機能膜−2用コート剤の調製
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン306.84gとテトラメトキシシランのオリゴマー「三菱化学(株)製、商品名「MS−51」」146.88gをメタノール256.68gに溶解させ、これに0.1モル/L濃度の硝酸31.86g、水221.08gおよびメタノール36.67gの混合液を滴下したのち、30℃にて24時間反応させて、固形分濃度30質量%のバインダー液を調製した。
続いて、2個以上の粒子が結合した、一次平均粒子径が15nmの珪素系酸化物凝集体粒子を30質量%含む珪素系酸化物微粒子を、15質量%含む分散液360g中に、攪拌しながらシクロヘキサノール620g、及び、バインダー液20gを滴下し、室温にて1時間攪拌することにより、コート剤を調製した。
【0059】
調製例6 機能膜−3用コート剤の調製
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン306.84gとテトラメトキシシランのオリゴマー「三菱化学(株)製、商品名「MS−51」」146.88gをエチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル256.68gに溶解させ、これに0.1モル/L濃度の硝酸31.86g、水221.08gおよびエチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル36.67gの混合液を滴下したのち、30℃にて24時間反応させて、固形分濃度30質量%のバインダー液を調製した。
続いて、2個以上の粒子が結合した、一次平均粒子径25nmのアルミナ系酸化物凝集体粒子を20質量%含むアルミナ系酸化物微粒子675g中に、攪拌しながらエチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル275g、及び、バインダー液50gを滴下し、室温にて1時間攪拌することにより、コート剤を調製した。
【0060】
実施例1
基材として厚さ125μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム[東レ社製、商品名「ルミラーT60」、全光線透過率(Tt)88%、屈折率1.61]の片面に、調製例4に従い屈折率を1.57に調整した中間膜用コート剤を100nmの厚さで形成した。次いでその上層に、機能膜−1用コート剤を用いて、機能膜−1を厚さ1.0μmで形成して積層体を作製した。この積層体について分光反射率を測定し、後述の比較例1と比較した。結果を、図2にチャートで示す。また、3波長蛍光灯の下で目視確認したところ、虹色の干渉光が抑制されていた。
【0061】
実施例2
基材として屈折率1.61のPETフィルム(前出)の片面に、調製例4に従い屈折率を1.51に調整した中間膜用コート剤を100nmの厚さで形成した。次いでその上層に、機能膜−2用コート剤を用いて、機能膜−2を厚さ1.5μmで形成して積層体を作製した。この積層体について分光反射率を測定し、後述の比較例2と比較した。結果を、図3にチャートで示す。また、3波長蛍光灯の下で目視確認したところ、虹色の干渉光が抑制されていた。
【0062】
実施例3
基材として屈折率1.61のPETフィルム(前出)の片面に、調製例4に従い屈折率を1.53に調整した中間膜用コート剤を100nmの厚さで形成した。次いでその上層に、機能膜−3用コート剤を用いて、機能膜−3を厚さ1.5μmで形成して積層体を作製した。この積層体について分光反射率を測定し、後述の比較例3と比較した。結果を、図4にチャートで示す。また、3波長蛍光灯の下で目視確認したところ、虹色の干渉光が抑制されていた。
【0063】
実施例4
基材として屈折率1.61のPETフィルム(前出)の片面に、調製例4に従い屈折率を1.57に調整した中間膜用コート剤を100nmの厚さで形成した。次いでその上層に、機能膜−4用コート剤を用いて、機能膜−4を厚さ1.0μmで形成して積層体を作製した。この積層体について分光反射率を測定し、後述の比較例4と比較した。結果を、図5にチャートで示す。また、3波長蛍光灯の下で目視確認したところ、虹色の干渉光が抑制されていた。
【0064】
比較例1
基材として屈折率1.61のPETフィルム(前出)の片面に、機能膜−1用コート剤を用いて、機能膜−1を厚さ1.0μmで形成して積層体を作製した。この積層体について分光反射率を測定し、実施例1と比較した。結果を、図2に示す。また、3波長蛍光灯の下で目視確認したところ、干渉光により虹色に呈していた。
【0065】
比較例2
基材として屈折率1.61のPETフィルム(前出)の片面に、機能膜−2用コート剤を用いて、機能膜−2を厚さ1.5μmで形成して積層体を作製した。この積層体について分光反射率を測定し、実施例2と比較した。結果を、図3に示す。また、3波長蛍光灯の下で目視確認したところ、干渉光により虹色に呈していた。
【0066】
比較例3
基材として屈折率1.61のPETフィルム(前出)の片面に、機能膜−3用コート剤を用いて、機能膜−3を厚さ1.5μmで形成して積層体を作製した。この積層体について分光反射率を測定し、実施例3と比較した。結果を、図4に示す。また、3波長蛍光灯の下で目視確認したところ、干渉光により虹色に呈していた。
【0067】
比較例4
基材として屈折率1.61のPETフィルム(前出)の片面に、機能膜−4用コート剤を用いて、機能膜−4を厚さ1.0μmで形成して積層体を作製した。この積層体について分光反射率を測定し、実施例4と比較した。結果を、図5に示す。また、3波長蛍光灯の下で目視確認したところ、干渉光により虹色に呈していた。
【0068】
前記の実施例1〜4および比較例1〜4における中間膜や機能膜の屈折率と膜厚、並びにそれらの計算値、干渉斑の合格、不合格等を表1に示す。
【0069】
【表1】

なお、基材、中間膜および機能膜の屈折率は、フイルメトリクスを用いて測定した。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の積層体は、光学干渉により発生する干渉縞や虹色を低減することのできる機能膜を有し、各種ディスプレイ、例えばPDP、CRT、LCDなどの前面に使用される機能性部材などとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】中間膜を有するまたは有さない積層体における反射光スペクトルのシミュレーション光学波形である。
【図2】実施例1および比較例1における分光反射率チャートである。
【図3】実施例2および比較例2における分光反射率チャートである。
【図4】実施例3および比較例3における分光反射率チャートである。
【図5】実施例4および比較例4における分光反射率チャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、その表面に順に設けられた中間膜および機能膜とを有する積層体であって、基材の屈折率をn、厚みをd(nm)、中間膜の屈折率をn、膜厚をd(nm)および機能膜の屈折率をn、膜厚をd(nm)とした場合、下記の式(1)および式(2)
(n+n)/2−|n−n|×0.3<n<(n+n)/2+|n−n|×0.3 …(1)
400/4/n≦d≦700/4/n …(2)
の関係を満たすことを特徴とする積層体。
【請求項2】
機能膜の膜厚dが、100〜3000nmである請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
機能膜が、一般式(3)
(m−n)M(OR …(3)
(式中、Rは非加水分解性基、Rは炭素数1〜6のアルキル基、MはSi、Ti、ZrまたはAl、mはMの価数で3または4を示し、nはMがSi、TiまたはZrの場合は1〜4の整数であり、Alの場合は1〜3の整数であり、Rが複数ある場合、各Rはたがいに同一であっても異なっていてもよく、ORが複数ある場合、各ORはたがいに同一であっても異なっていてもよい。)で表されるアルコキシド化合物を、加水分解−縮合反応して得られたM−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物を含むコーティング剤を、基材に設けられた中間膜表面に塗工して形成したものである請求項1または2に記載の積層体。
【請求項4】
コーティング剤が、(X)一般式(3)で表されるアルコキシド化合物を、加水分解−縮合反応して得られたM−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物と、(Y)珪素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、一次平均粒子径が2〜200nmであって、2個以上の粒子が結合した凝集体粒子25質量%以上を含む金属酸化物粒子とを含み、かつ前記(X)成分と(Y)成分との合計量に対する(Y)成分の含有量が、固形分基準で40〜95質量%のものである請求項3に記載の積層体。
【請求項5】
機能膜が、(A)分子中に酸素以外の不対電子含有元素を含む官能基を有する金属アルコキシドの加水分解・縮合物と、(B)亜鉛イオンとを含むコーティング剤を、基材に設けられた中間膜表面に塗工して形成したものである請求項1または2に記載の積層体。
【請求項6】
基材が全光線透過率(Tt)80%以上の透明有機基材またはガラス板であって、機能膜の屈折率が、該基材の屈折率よりも低い請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項7】
基材が全光線透過率(Tt)80%以上の透明ポリエステルフィルムである請求項6に記載の積層体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−113175(P2010−113175A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286119(P2008−286119)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000120010)宇部日東化成株式会社 (203)
【Fターム(参考)】