説明

積層型インダクタ、及び積層型インダクタの製造方法

【課題】導体パターン同士の間の絶縁体層にクラックが生じることを防止し、信頼性を向上させることのできる積層型インダクタを提供する。
【解決手段】第一部分26の端面31の幅方向における連結端41A,41Bは、積層方向から見て第二部分27の側面27A,27Bと重なっていない。連結端41A,41Bが、応力集中領域WA,WB以外の位置に配置されている。すなわち、磁性体層A3〜A10または非磁性体層B1,B2と側面27A,27Bとの間には、応力が集中し易い第一部分26の連結端41A,41Bに代えて、積層体12の磁性体膜F1〜F10が配置される。従って、第二部分27の側面27A,27Bからの応力は、磁性体膜F1〜F10によって緩和される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型インダクタ、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の積層型インダクタとして、複数の絶縁体層が積層されて構成された積層体と、積層体内で導体パターンが互いに接続されることによって構成されるコイルを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この積層型インダクタの導体パターンは、複数の内部電極層を積層することによって厚く構成されている。具体的には、同一のパターンの内部電極層が形成されているグリーンシートを複数用意し、それらを積層させることによって、一つの厚い導体パターンが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−358018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述のような構成を有する積層型インダクタを製造する方法の一つとして、ベースとなる絶縁体シート上に内部電極層を構成する導電塗膜と絶縁体層を構成する絶縁体塗膜を塗布して乾燥させ、更にその上に導電塗膜及び絶縁体塗膜を塗布し乾燥させる工程を繰り返し、焼成して内部電極層及び絶縁体層を形成する方法が考えられる。しかしながら、このような製造方法を採用した場合、次のような問題が生じる可能性がある。すなわち、製造時の乾燥・収縮によって内部電極層と絶縁体層との間で引張応力が発生するが、上述の積層型インダクタでは、複数の内部電極層を積層することによって一つの導体パターンを形成しているため、このような製造方法を採用した場合、乾燥・収縮が内部電極層ごとに繰り返し行われる。従って、導体パターンと導体パターンとの間に配置される絶縁体シート(内部電極層を構成する導電塗膜と絶縁体層を構成する絶縁体塗膜を塗布する際のベースとなるシートである)に応力が集中してしまう可能性があった。絶縁体シートに応力が集中した場合、当該絶縁体シートにクラックが生じ、導体パターン同士が積層方向にショートしてしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、導体パターン同士の間の絶縁体層にクラックが生じることを防止し、信頼性を向上させることのできる積層型インダクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る積層型インダクタは、複数の絶縁体層が積層されて構成された積層体と、帯状の複数の導体パターンが互いに電気的に接続されて構成され、積層体の内部に配置されたコイルと、を備える積層型インダクタであって、導体パターンは、積層体の積層方向に複数の内部電極層が積層されて構成され、積層方向における一方側に配置される第一部分と、積層方向における他方側に配置される第二部分と、を有し、第一部分は、複数の内部電極層のうち積層方向において最も一方側に配置される第一内部電極層を少なくとも有し、第二部分は、導体パターンの幅方向において積層体と接触する側面を有し、第一部分は、積層方向の一方側において積層体と接触する端面を有し、端面の幅方向における端は、積層方向から見て側面と重ならないことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る積層型インダクタでは、導体パターンが、複数の内部電極層を積層することによって厚く構成されている。導体パターンは、積層方向における一方側に第一部分を有し、他方側に第二部分を有している。第一部分は、積層方向における最も一方側に配置される第一内部電極を有している。すなわち、第一部分は、他の導体パターンとの間に配置される絶縁体層(以下、絶縁体シートと称する)と接触する部分となる。第一部分は、積層方向の一方側で積層体と接触する端面を有しているが、この端面は、絶縁体シートと接触する面となる。ここで、第二部分は、導体パターンの幅方向において積層体と接触する側面を有している。当該側面では、製造時に、内部電極層と絶縁体層との間で乾燥・収縮が行われる。ここで、製造時においては導体パターンを構成する内部電極層ごとに乾燥・収縮が繰り返し行われる。従って、第二部分が、同一パターンで形成された複数の内部電極層を積層することで構成されていた場合、第二部分の側面と積層方向に重なる領域では、応力が集中し易くなる。また、第一部分の端面の幅方向における端も、内部電極層と絶縁体シートとの境界部であるため、応力が集中し易くなる。しかしながら、第一部分の端面の幅方向における端は、積層方向から見て第二部分の側面と重なっていない。すなわち、積層方向においた、絶縁体シートと第二部分の側面との間には、応力が集中し易い第一部分の端に代えて、絶縁体層や内部電極層が配置される。従って、第二部分の側面からの応力は、絶縁体層や内部電極層によって分散され、緩和される。以上によって、導体パターン同士の間の絶縁体層にクラックが生じることを防止し、信頼性を向上させることができる。
【0008】
また、本発明に係る積層型インダクタは、第二部分の側面が凹凸形状をなしているタイプの導体パターンであっても、側面が平面状をなしているタイプの導体パターンであっても、いずれもクラックの発生を防止することができる。
【0009】
また、本発明に係る積層型インダクタにおいて、第一部分は、幅方向において積層体と接触すると共に、端面に連結される周面を有し、周面は、導体パターン側に入り込むように湾曲し、端面の幅方向における端は、側面よりも幅方向の内側に配置されていることが好ましい。このような第一部分は、製造時において、導電塗膜を絶縁体シートに形成する前に、幅狭の露出部分が形成されるように絶縁体シート上に絶縁体塗膜を形成し、その上から導電塗膜を形成することによって構成される。すなわち、幅狭の露出部分が存在することで、導電塗膜の大きさや形状に関わらず、第一部分の端を第二部分の側面よりも幅方向の内側に配置することが可能となる。このような構造によれば、第一部分を構成するための導電塗膜を形成する際に、第二部分で用いるものと同じ大きさの印刷製版を用いたとしても、所望の形状を得ることができる。また、第一部分の幅方向の大きさが第二部分よりも大きい場合や、第一部分の幅方向の位置が第二部分に対してずれていた場合は、コイル内径が狭くなり、磁路が狭くなる可能性がある。しかしながら、第一部分の端が第二部分の側面よりも幅方向の内側に配置されているため、コイルの特性を維持することができる。以上によって、コイル設計上の制約を受けることなく本発明に係る構造を適用することができる。
【0010】
本発明に係る積層型インダクタの製造方法は、複数の絶縁体層が積層されて構成された積層体と、帯状の複数の導体パターンが互いに電気的に接続されて構成され、積層体の内部に配置されたコイルと、を備え、導体パターンは、積層体の積層方向に複数の内部電極層が積層されて構成され、積層方向における一方側に配置される第一部分と、積層方向における他方側に配置される第二部分と、を有する積層型インダクタの製造方法であって、絶縁体層を構成するシート上に、第一部分における内部電極層を構成する第一導電塗膜、及び絶縁体層を構成する第一絶縁体塗膜を形成することによって、第一部分を形成する工程と、第二部分における内部電極層を構成する第二導電塗膜、及び絶縁体層を構成する第二絶縁体塗膜を形成することによって、第二部分を形成する工程と、を備え、第二導電塗膜は、導体パターンの幅方向において第二絶縁体塗膜と接触する側面を有し、第一導電塗膜は、シートと接触する端面を有し、端面の幅方向における端は、積層方向から見て側面と重ならないことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る積層型インダクタの製造方法では、複数の内部電極層を積層することによって導体パターンを厚く構成することができる。ここで、第二部分を構成する第二導電塗膜は、導体パターンの幅方向において積層体の絶縁体層を構成する第二絶縁体塗膜と接触する側面を有している。当該側面では、第二導電塗膜と第二絶縁体塗膜との間で乾燥・収縮が行われる。ここで、複数の導電塗膜を用いて導体ペーストを形成する場合、導電塗膜ごとに乾燥・収縮が繰り返し行われる。従って、第二部分が、同一パターンで形成された複数の第二導電塗膜を積層することで構成されていた場合、第二導電塗膜の側面と積層方向に重なる領域では、応力が集中し易くなる。また、第一部分を構成する第一導電塗膜の端面の幅方向における端も、第一導電塗膜と絶縁体シートとの境界部であるため、応力が集中し易くなる。しかしながら、第一部分を構成する第一導電塗膜の端面の幅方向における端は、積層方向から見て第二導電塗膜の側面と重なっていない。すなわち、積層方向において、絶縁体シートと第二導電塗膜の側面との間には、応力が集中し易い第一導電塗膜の端に代えて、第一絶縁体塗膜や第一導電塗膜が配置される。従って、第二導電塗膜の側面からの応力は、第一絶縁体塗膜や第一導電塗膜によって緩和される。また、このように製造することによって、焼成して積層型インダクタが完成した後は、第二部分の側面からの応力が、絶縁体層や内部電極層によって分散され、緩和される。以上によって、導体パターン同士の間の絶縁体層にクラックが生じることを防止し、積層型インダクタの信頼性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、導体パターン同士の間の絶縁体層にクラックが生じることを防止し、信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係る積層型インダクタを示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係る積層型インダクタが備える積層体の構成を説明するための分解斜視図である。
【図3】図2の一部を拡大してしめす分解斜視図である。
【図4】積層体を図2に示すIV−IV線に沿って切断した断面図である。
【図5】図4のWVに示す部分を拡大した拡大断面図である。
【図6】本実施形態に係る積層型インダクタの製造方法の一工程を示す図である。
【図7】比較例に係る積層型インダクタの導体パターンを示す拡大断面図である。
【図8】変形例に係る積層型インダクタの導体パターンを示す拡大断面図である。
【図9】変形例に係る積層型インダクタの導体パターンを示す拡大断面図である。
【図10】変形例に係る積層型インダクタの導体パターンを示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0015】
(積層型インダクタの構成)
まず、図1〜図5を参照して、本実施形態に係る積層型インダクタ10の構成について説明する。積層型インダクタ10は、図1及び図2に示されるように、略直方体形状の積層体12と、積層体12の長手方向の両側面にそれぞれ形成された一対の外部電極14,16と、積層体12の内部において導体パターンC1〜C12がそれぞれ互いに電気的に接続されてなるコイルLとを備える。
【0016】
積層体12は、互いに略平行となるように対向する一対の主面12a,12bを有している。主面12a,12bのうちの一方は、積層型インダクタ10が外部基板(図示せず)に実装されたときに、当該外部基板に対向する面である。
【0017】
積層体12は、図2に示されるように、磁性体層A1〜A4、非磁性体層B1、磁性体層A5〜A7、非磁性体層B2及び磁性体層A8〜A12がこの順に積層されることで構成される。すなわち、磁性体層A1の上面が積層体12の主面12aを構成し、磁性体層A12の下面が積層体12の主面12bを構成することとなり(図2参照)、主面12a,12bの対向方向(以下、対向方向と称する)は本実施形態において積層体12(磁性体層A1〜A12及び非磁性体層B1,B2)の積層方向(以下、積層方向と称する)と一致する。
【0018】
磁性体層A1〜A12、非磁性体層B1,B2及び後述する磁性体膜F1〜F10は、電気絶縁性を有する絶縁体として機能する。磁性体層A1〜A12及び磁性体膜F1〜F10は、例えば、Ni−Cu−Zn系フェライト、Cu−Zn系フェライト又はNi−Cu−Zn−Mg系フェライト等のフェライトを用いて形成することができる。非磁性体層B1,B2は、例えば、Cu−Zn系非磁性フェライト等の非磁性フェライトを用いて形成することができる。実際の積層型インダクタ1では、磁性体層A1〜A12、非磁性体層B1,B2及び磁性体膜F1〜F10の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0019】
磁性体層A2の表面には、導体パターンC1及び引き出し導体D1が形成されている。導体パターンC1は、コイルLの一端に位置するように配置されている。導体パターンC1の一端には、引き出し導体D1が一体的に形成されている。引き出し導体D1は、磁性体層A2の外部電極14が形成される側の縁に引き出され、その端部が磁性体層A2の端面に露出している。このため、導体パターンC1は、引き出し導体D1を介して、外部電極12と電気的に接続される。導体パターンC1の他端は、磁性体層A2を厚み方向に貫通して形成された(すなわち、積層方向に沿って延びる)円柱状のスルーホール導体E1と電気的に接続される。このため、導体パターンC1は、積層された状態で、スルーホール導体E1及び接続導体G1を介して、対応する導体パターンC2と電気的に接続される。
【0020】
磁性体層A3の表面には導体パターンC2及び磁性体膜F1が形成されている。導体パターンC2は、帯状を呈しており、コイルLの略1ターンに相当し、磁性体層A3上でスパイラル状に巻回されている。導体パターンC2の一端には、その表面に接続導体G1が設けられており、この接続導体G1は、積層された状態で、スルーホール導体E1と接続されている。つまり、導体パターンC2は、接続導体G1を介してスルーホール導体E1と接続される端部を有している。導体パターンC2の他端は、磁性体層A3を厚み方向に貫通して形成された(すなわち、積層方向に沿って延びる)円柱状のスルーホール導体E2と電気的に接続される。このため、導体パターンC2は、積層された状態で、スルーホール導体E2及び接続導体G2を介して、対応する導体パターンC3と電気的に接続される。
【0021】
磁性体層A4の表面には導体パターンC3及び磁性体膜F2が形成されている。導体パターンC3は、帯状を呈しており、コイルLの略1ターンに相当し、磁性体層A4上でスパイラル状に巻回されている。導体パターンC3の一端には、その表面に接続導体G2が設けられており、この接続導体G2は、積層された状態で、スルーホール導体E2と接続されている。つまり、導体パターンC3は、接続導体G2を介してスルーホール導体E2と接続される端部を有している。導体パターンC3の他端は、磁性体層A4を厚み方向に貫通して形成された(すなわち、積層方向に沿って延びる)円柱状のスルーホール導体E3と電気的に接続される。このため、導体パターンC3は、積層された状態で、スルーホール導体E3及び接続導体G3を介して、対応する導体パターンC4と電気的に接続される。
【0022】
非磁性体層B1の表面には導体パターンC4及び磁性体膜F3が形成されている。導体パターンC4は、帯状を呈しており、コイルLの略1ターンに相当し、非磁性体層B1上でスパイラル状に巻回されている。導体パターンC4の一端には、その表面に接続導体G3が設けられており、この接続導体G3は、積層された状態で、スルーホール導体E3と接続されている。つまり、導体パターンC4は、接続導体G3を介してスルーホール導体E3と接続される端部を有している。導体パターンC4の他端は、非磁性体層B1を厚み方向に貫通して形成された(すなわち、積層方向に沿って延びる)円柱状のスルーホール導体E4と電気的に接続される。このため、導体パターンC4は、積層された状態で、スルーホール導体E4及び接続導体G4を介して、対応する導体パターンC5と電気的に接続される。
【0023】
磁性体層A5の表面には導体パターンC5及び磁性体膜F4が形成されている。導体パターンC5は、帯状を呈しており、コイルLの略1ターンに相当し、磁性体層A5上でスパイラル状に巻回されている。導体パターンC5の一端には、その表面に接続導体G4が設けられており、この接続導体G4は、積層された状態で、スルーホール導体E4と接続されている。つまり、導体パターンC5は、接続導体G4を介してスルーホール導体E4と接続される端部を有している。導体パターンC5の他端は、磁性体層A5を厚み方向に貫通して形成された(すなわち、積層方向に沿って延びる)円柱状のスルーホール導体E5と電気的に接続される。このため、導体パターンC5は、積層された状態で、スルーホール導体E5及び接続導体G5を介して、対応する導体パターンC6と電気的に接続される。
【0024】
磁性体層A6の表面には導体パターンC6及び磁性体膜F5が形成されている。導体パターンC6は、帯状を呈しており、コイルLの略1ターンに相当し、磁性体層A6上でスパイラル状に巻回されている。導体パターンC6の一端には、その表面に接続導体G5が設けられており、この接続導体G5は、積層された状態で、スルーホール導体E5と接続されている。つまり、導体パターンC6は、接続導体G5を介してスルーホール導体E5と接続される端部を有している。導体パターンC6の他端は、磁性体層A6を厚み方向に貫通して形成された(すなわち、積層方向に沿って延びる)円柱状のスルーホール導体E6と電気的に接続される。このため、導体パターンC6は、積層された状態で、スルーホール導体E6及び接続導体G6を介して、対応する導体パターンC7と電気的に接続される。
【0025】
磁性体層A7の表面には導体パターンC7及び磁性体膜F6が形成されている。導体パターンC7は、帯状を呈しており、コイルLの略1ターンに相当し、磁性体層A7上でスパイラル状に巻回されている。導体パターンC7の一端には、その表面に接続導体G6が設けられており、この接続導体G6は、積層された状態で、スルーホール導体E6と接続されている。つまり、導体パターンC7は、接続導体G6を介してスルーホール導体E6と接続される端部を有している。導体パターンC7の他端は、磁性体層A7を厚み方向に貫通して形成された(すなわち、積層方向に沿って延びる)円柱状のスルーホール導体E7と電気的に接続される。このため、導体パターンC7は、積層された状態で、スルーホール導体E7及び接続導体G7を介して、対応する導体パターンC8と電気的に接続される。
【0026】
非磁性体層B2の表面には導体パターンC8及び磁性体膜F7が形成されている。導体パターンC8は、帯状を呈しており、コイルLの略1ターンに相当し、非磁性体層B2上でスパイラル状に巻回されている。導体パターンC8の一端には、その表面に接続導体G7が設けられており、この接続導体G7は、積層された状態で、スルーホール導体E7と接続されている。つまり、導体パターンC8は、接続導体G7を介してスルーホール導体E7と接続される端部を有している。導体パターンC8の他端は、非磁性体層B2を厚み方向に貫通して形成された(すなわち、積層方向に沿って延びる)円柱状のスルーホール導体E8と電気的に接続される。このため、導体パターンC8は、積層された状態で、スルーホール導体E8及び接続導体G8を介して、対応する導体パターンC9と電気的に接続される。
【0027】
磁性体層A8の表面には導体パターンC9及び磁性体膜F8が形成されている。導体パターンC9は、帯状を呈しており、コイルLの略1ターンに相当し、磁性体層A8上でスパイラル状に巻回されている。導体パターンC9の一端には、その表面に接続導体G8が設けられており、この接続導体G8は、積層された状態で、スルーホール導体E8と接続されている。つまり、導体パターンC9は、接続導体G8を介してスルーホール導体E8と接続される端部を有している。導体パターンC9の他端は、磁性体層A8を厚み方向に貫通して形成された(すなわち、積層方向に沿って延びる)円柱状のスルーホール導体E9と電気的に接続される。このため、導体パターンC9は、積層された状態で、スルーホール導体E9及び接続導体G9を介して、対応する導体パターンC10と電気的に接続される。
【0028】
磁性体層A9の表面には導体パターンC10及び磁性体膜F9が形成されている。導体パターンC10は、帯状を呈しており、コイルLの略1ターンに相当し、磁性体層A9上でスパイラル状に巻回されている。導体パターンC10の一端には、その表面に接続導体G9が設けられており、この接続導体G9は、積層された状態で、スルーホール導体E9と接続されている。つまり、導体パターンC10は、接続導体G9を介してスルーホール導体E9と接続される端部を有している。導体パターンC10の他端は、磁性体層A9を厚み方向に貫通して形成された(すなわち、積層方向に沿って延びる)円柱状のスルーホール導体E10と電気的に接続される。このため、導体パターンC10は、積層された状態で、スルーホール導体E10及び接続導体G10を介して、対応する導体パターンC11と電気的に接続される。
【0029】
磁性体層A10の表面には導体パターンC11及び磁性体膜F10が形成されている。導体パターンC11は、帯状を呈しており、コイルLの略3/8ターンに相当し、磁性体層A10上でL字状に形成されている。導体パターンC11の一端には、その表面に接続導体G10が設けられており、この接続導体G10は、積層された状態で、スルーホール導体E10と接続されている。つまり、導体パターンC11は、接続導体G10を介してスルーホール導体E10と接続される端部を有している。導体パターンC11の他端は、磁性体層A10を厚み方向に貫通して形成された(すなわち、積層方向に沿って延びる)円柱状のスルーホール導体E11と電気的に接続される。このため、導体パターンC11は、積層された状態で、スルーホール導体E11を介して、対応する導体パターンC12と電気的に接続される。
【0030】
磁性体層A11の表面には、導体パターンC12及び引き出し導体D2が形成されている。導体パターンC12の一端には、積層された状態でスルーホール導体E11と電気的に接続される領域が含まれている。導体パターンC12の他端には、引き出し導体D2が一体的に形成されている。引き出し導体D2は、磁性体層A11の外部電極14が形成される側の縁に引き出され、その端部が磁性体層A11の端面に露出している。このため、導体パターンC12は、引き出し導体D2を介して、外部電極14と電気的に接続される。
【0031】
次に、図5を参照して、導体パターンC2〜C11の構成についてより詳しく説明する。図5は、図4中のWVで示す部分の拡大断面図である。なお、図5では、帯状の導体パターンC6の一辺を幅方向に切断した断面形状のみが示されているが、他の3辺も同様の構成を有している。また、他の導体パターンC2〜C5,C7〜C11も同様の構成を有している。
【0032】
導体パターンC2〜C11は、その厚さが20μm以上となるように設定されており、その厚さが40μm〜80μm程度となるように設定されていると好ましい。導体パターンC2〜C11の厚さが20μm未満となると、導体パターンC2〜C11の断面積が相対的に小さくなり、積層型インダクタ10の直流抵抗値が大きくなる傾向にあり、このような積層型インダクタ10は大電流用途として好適でない。
【0033】
図5に示すように、導体パターンC6は、第一内部電極層21、第二内部電極層22、第三内部電極層23、及び第四内部電極層24が積層されることによって構成されている。各内部電極層は、主面12b側(積層方向における一方側)から主面12a側(積層方向における他方側)に向かって、第一内部電極層21、第二内部電極層22、第三内部電極層23、及び第四内部電極層24の順番で積層されている。すなわち、第一内部電極層21は、積層方向における最も主面12b側に配置される。第二内部電極層22、第三内部電極層23、及び第四内部電極層24は、それぞれ同じ断面形状を有している。第一内部電極層21は、第二内部電極層22、第三内部電極層23、及び第四内部電極層24と異なる断面形状を有している。導体パターンC6のうち、第一内部電極層21で構成される部分を第一部分26とし、第二内部電極層22、第三内部電極層23、及び第四内部電極層24で構成される部分を第二部分27とする。すなわち、導体パターンC6は、積層方向における主面12b側に配置される第一部分26と、積層方向における主面12a側に配置される第二部分27とを有する。
【0034】
第一内部電極層21は、積層方向の主面12b側において積層体12(すなわち、磁性体層あるいは非磁性体層)と接触する端面31を有する。また、第一内部電極層21は、幅方向において積層体12と接触する周面32A,32B及び周面33A,33Bを有する。周面32A,32Bは、端面31と連結されており、導体パターンC6側へ入り込むように湾曲している。周面33A,33Bは、周面32A,32Bとそれぞれ連結されており、積層体12側へ張り出すように湾曲している。第二内部電極層22は、幅方向において積層体12と接触する周面34A,34B及び周面35A,35Bを有する。周面34A,34Bは、周面33A,33Bとそれぞれ連結されており、導体パターンC6側へ入り込むように湾曲している。周面35A,35Bは、周面34A,34Bとそれぞれ連結されており、積層体12側へ張り出すように湾曲している。第三内部電極層23は、幅方向において積層体12と接触する周面36A,36B及び周面37A,37Bを有する。周面36A,36Bは、周面35A,35Bとそれぞれ連結されており、導体パターンC6側へ入り込むように湾曲している。周面37A,37Bは、周面36A,36Bとそれぞれ連結されており、積層体12側へ張り出すように湾曲している。第四内部電極層24は、幅方向において積層体12と接触する周面38A,38Bを有する。周面38A,38Bは、周面37A,37Bとそれぞれ連結されており、導体パターンC6側へ入り込むように湾曲している。また、第四内部電極層24は、積層方向の主面12b側の端面39を有する。端面39は、スルーホール導体E5と接続されている。
【0035】
従って、導体パターン6Cは、端面31と周面32A,32Bとをそれぞれ連結する連結端41A,41B、周面32A,32Bと周面33A,33Bとをそれぞれ連結する連結端42A,42B、周面33A,33Bと周面34A,34Bとをそれぞれ連結する連結端43A,43B、周面34A,34Bと周面35A,35Bとをそれぞれ連結する連結端44A,44B、周面35A,35Bと周面36A,36Bとをそれぞれ連結する連結端45A,45B、周面36A,36Bと周面37A,37Bとをそれぞれ連結する連結端46A,46B、周面37A,37Bと周面38A,38Bとをそれぞれ連結する連結端47A,47B、周面38A,38Bと端面39とをそれぞれ連結する連結端48A,48Bを備えている。
【0036】
第二部分27を構成する内部電極層22,23,24は、同様な断面形状に構成されており、幅方向における位置も同一となるように配置されている。これによって、周面34A,35A,36A,37A,38Aは、一定パターンの凹凸形状を構成する。従って、連結端44A,46A,48Aは、幅方向における位置が一致しており、積層方向から見て互いに重なっている。また、連結端43A,45A,47Aは、幅方向における位置が一致しており、積層方向から見て互いに重なっている。また、周面34B,35B,36B,37B,38Bは、一定パターンの凹凸形状を構成する。連結端44B,46B,48Bは、幅方向における位置が一致しており、積層方向から見て互いに重なっている。また、連結端43B,45B,47Bは、幅方向における位置が一致しており、積層方向から見て互いに重なっている。本実施形態では、第一内部電極層21は、他の内部電極層22,23,24と同じ印刷整版を用いて形成される。従って、連結端43Aは連結端45A,47Aと幅方向における位置が一致し、連結端43Bは連結端45B,47Bと幅方向における位置が一致している。ただし、第一部分26と接触する周面34A,34Bの形状は、第一部分26の大きさや形状に従って適宜変更されるため、一定パターンの凹凸形状を構成しない場合もある。従って、連結端43A,43Bの位置も適宜変更され、一致しない場合もある。
【0037】
このような構成により、導体パターン6Cの第一部分26は、積層方向における主面12b側の端面31と、幅方向の周面32A,32B及び周面33A,33Bを有する。また、導体パターン6Cの第二部分27は、積層方向における主面12a側の端面39と、幅方向の周面34A〜38A,34B〜38Bと、を有する。このうち、周面35A,36A,37A,38Aは、第二部分27の側面27Aを構成する。また、周面35B,36B,37B,38Bは、第二部分27の側面27Bを構成する。第二部分27の側面27A,27Bは、第二部分27を構成する内部電極層22,23,24によって、同一パターンで凹凸形状を形成する周面によって構成されている。周面34A,34Bは、側面27A,27Bから除かれている。周面34A,34Bの形状は、第一部分26の大きさや形状に従って、適宜変更されるため、他の第二部分27の周面と異なり、同一パターンの凹凸形状を形成しない場合があるからである。
【0038】
図5には、積層方向から見た場合において側面27Aと重なる領域がWAで示されている。また、積層方向から見た場合において側面27Bと重なる領域がWBで示されている。これらの領域では、製造時において乾燥・収縮を繰り返すことによって内部電極層と絶縁体層との間で引っ張り応力が生じやすい。従って、これらの領域を、応力集中領域WA,WBとして以下の説明を行う。応力集中領域WA,WBの幅方向における外側の境界位置は、連結端44A,46A,48A及び連結端44B,46B,48Bによって規定される。応力集中領域WA,WBの幅方向における内側の境界位置は、連結端45A,47A及び連結端45B,47Bによって規定される。
【0039】
第一部分26を構成する第一内部電極層21は、第二部分27に係る内部電極層22,23,24とは異なる形状に形成され、あるいは異なる位置に配置される。本実施形態では、積層体12が、第一内部電極層21の周面32A,32Bに対して幅方向の内側に入り込む構成となっている。これによって、端面31の幅方向における端は、積層方向から見て側面27A,27Bと重ならない。具体的には、端面31の幅方向における端である連結端41Aは、積層方向から見て側面27A,27Bと重ならない位置に配置される。すなわち、連結端41Aが、応力集中領域WA,WB以外の場所に配置される。また、端面31の幅方向における端である連結端41Bは、積層方向から見て側面27A,27Bと重ならない位置に配置される。すなわち、連結端41Bが、応力集中領域WA,WB以外の場所に配置される。本実施形態では、連結端41Aは、応力集中領域WAよりも幅方向の内側に配置され、連結端41Bは、応力集中領域WBよりも幅方向の内側に配置される。
【0040】
なお、上述した導体パターンC1〜C12及び引き出し導体D1,D2は、例えば、Ag等の金属材料を用いて形成することができる。また、上述した導体パターンC1,C12及び引き出し導体D1,D2は、その厚さを10μm〜25μm程度に設定することができ、上述した導体パターンC1,C12は、その幅を200μm〜300μm程度に設定することができる。
【0041】
(積層型インダクタの製造方法)
続いて、図6を参照して、本実施形態に係る積層型インダクタ10の製造方法について説明する。なお、図6では後述する磁性体グリーンシートGS1又は非磁性体グリーンシートGS2のうち一部のみを示しているが、磁性体グリーンシートGS1上又は非磁性体グリーンシートGS2上に後述する導電塗膜H1〜H4及び磁性体塗膜I1〜I4を形成する工程はいずれも共通している。
【0042】
まず、磁性体スラリー、非磁性体スラリー、導体ペースト及び接続用導体ペーストを用意する。具体的には、磁性体スラリーは、例えば、Ni−Cu−Zn系フェライト粉末、Cu−Zn系フェライト粉末又はNi−Cu−Zn−Mg系フェライト粉末等の磁性体粉末を、バインダ及び溶剤と共に混練することによって得られる。非磁性体スラリーは、例えば、Cu−Zn系非磁性フェライト粉末等の非磁性体粉末を、バインダ及び溶剤と共に混練することによって得られる。導体ペースト及び接続用導体ペーストは、例えば、導体粉末をバインダ及び有機溶剤と共に所定の比率で配合した後、混練することによって作成される。導体粉末としては、通常、Ag、Ag合金、Cu、Cu合金等を用いることができるが、抵抗率の小さいAgを用いるとより好ましい。なお、混練には、三本ロール、ホモジナイザー、サンドミル等を用いることができる。また、接続用導体ペーストの焼成後縮率が導体ペーストの焼成後縮率よりも低くなるようにするため、導体ペーストと接続用導体ペーストとで、例えば、バインダ及び溶剤の種類、量を変えている。
【0043】
続いて、例えばドクターブレード法や印刷法を用いて、磁性体スラリーをPETフィルム等の支持体上に塗布し、磁性体層A1〜A12となる磁性体グリーンシートGS1(図6参照)を形成する。また、例えばドクターブレード法や印刷法を用いて、非磁性体スラリーをPETフィルム等の支持体上に塗布し、非磁性体層B1,B2となる非磁性体グリーンシートGS2(図6参照)を形成する。これらの磁性体グリーンシートGS1及び非磁性体グリーンシートGS2の厚さは、例えば10μm〜30μm程度に設定することができる。そして、レーザ加工等によって、磁性体グリーンシートGS1及び非磁性体グリーンシートGS2を厚み方向に貫通するスルーホールを所定位置に形成し、このスルーホールに導体ペーストを充填する。
【0044】
続いて、磁性体層A2となる磁性体グリーンシートGS1上に導体ペーストを所定のパターンにて塗布し、40℃〜80℃程度にて1時間未満乾燥することで、導体パターンC1及び引き出し導体D1となる帯状の導電塗膜を形成する。同様に、磁性体層A11となる磁性体グリーンシートGS1上に導体ペーストを所定のパターンにて塗布して乾燥することで、導体パターンC12及び引き出し導体D2となる帯状の導電塗膜を形成する。これらの導体パターンC1,C12及び引き出し導体D1,D2となる導電塗膜は、その厚さを10μm〜25μm程度に設定することができ、これらの導体パターンC1,C12となる導電塗膜は、その幅を200μm〜300μm程度に設定することができる。
【0045】
続いて、磁性体層A3〜A10となる磁性体グリーンシートGS1上及び非磁性体層B1,B2となる非磁性体グリーンシートGS2上に、導体パターンC2〜C11となる導電塗膜及び磁性体膜F1〜F10となる磁性体塗膜をそれぞれ形成する。
【0046】
まず、図6に示されるように磁性体層A3〜A10となる磁性体グリーンシートGS1上または非磁性体層B1,B2となる非磁性体グリーンシートGS2上に、磁性体スラリーを塗布する。それぞれ導体パターンの露出部分R1が形成されるように磁性体スラリーを塗布し、40℃〜80℃程度にて1時間未満乾燥することで、磁性体塗膜I1を形成する。この磁性体塗膜I1によって形成される露出部分R1は、形成すべき導体パターンの形状に沿って形成されるが、幅方向における大きさは、対象となる導体パターンの幅方向の大きさよりも小さく設定される。この磁性体塗膜I1を形成する工程は、第一部分26を形成する第一部分形成工程の一部を構成する。なお、第一部分形成工程とは、焼成前の第一部分の形状を作成する工程であり、焼成工程は含んでいない。
【0047】
次に、磁性体グリーンシートGS1(または非磁性体グリーンシートGS2)上の露出部分R1、及び磁性体塗膜I1上に、導体ペーストを導体パターンの形状に沿って塗布し、40℃〜80℃程度にて1時間未満乾燥することで、帯状の導電塗膜H1を形成する。導電塗膜H1は、印刷製版を用いて、磁性体塗膜I1の縁部を覆うように形成される。この導電塗膜H1は、焼成後に第一内部電極層21、すなわち第一部分26を構成する。また、この導電塗膜H1を形成する工程は、第一部分26の形状を作成する第一部分形成工程の一部を構成する。
【0048】
次に、導電塗膜H1及び磁性体塗膜I1上に磁性体スラリーを塗布し、40℃〜80℃程度にて1時間未満乾燥することで、磁性体塗膜I2を形成する。磁性体塗膜I2は、導電塗膜H1の縁部を覆うと共に、導電塗膜H1の縁部以外の上面が露出するように露出部分R2を形成する。露出部分R2の幅方向における大きさW2は、露出部分R1の幅方向における大きさW1よりも大きい。この磁性体塗膜I2を形成する工程は、第二部分27の形状を作成する第二部分形成工程の一部を構成する。なお、第二部分形成工程とは、焼成前の第二部分の形状を作成する工程であり、焼成工程は含んでいない。
【0049】
次に、導電塗膜H1の露出部分R2、及び磁性体塗膜I2上に、導体ペーストを導体パターンの形状に沿って塗布し、40℃〜80℃程度にて1時間未満乾燥することで、帯状の導電塗膜H2を形成する。導電塗膜H2は、導電塗膜H1のものと同じ印刷製版を用いて、磁性体塗膜I2の縁部を覆うように形成される。この導電塗膜H2は、焼成後に第二内部電極層22、すなわち第二部分27の一部を構成する。また、この導電塗膜H2を形成する工程は、第二部分27の形状を作成する第二部分形成工程の一部を構成する。
【0050】
次に、導電塗膜H2及び磁性体塗膜I2上に磁性体スラリーを塗布し、40℃〜80℃程度にて1時間未満乾燥することで、磁性体塗膜I3を形成する。磁性体塗膜I3は、導電塗膜H2の縁部を覆うと共に、導電塗膜H2の縁部以外の上面が露出するように露出部分R3を形成する。露出部分R3の幅方向における大きさW2は、露出部分R1の幅方向における大きさW1よりも大きい。この磁性体塗膜I3を形成する工程は、第二部分27の形状を作成する第二部分形成工程の一部を構成する。
【0051】
次に、導電塗膜H2の露出部分R3、及び磁性体塗膜I3上に、導体ペーストを導体パターンの形状に沿って塗布し、40℃〜80℃程度にて1時間未満乾燥することで、帯状の導電塗膜H3を形成する。導電塗膜H3は、導電塗膜H1,H2のものと同じ印刷製版を用いて、磁性体塗膜I3の縁部を覆うように形成される。この導電塗膜H3は、焼成後に第三内部電極層23、すなわち第二部分27の一部を構成する。また、この導電塗膜H3を形成する工程は、第二部分27の形状を作成する第二部分形成工程の一部を構成する。
【0052】
次に、導電塗膜H3及び磁性体塗膜I3上に磁性体スラリーを塗布し、40℃〜80℃程度にて1時間未満乾燥することで、磁性体塗膜I4を形成する。磁性体塗膜I4は、導電塗膜H3の縁部を覆うと共に、導電塗膜H3の縁部以外の上面が露出するように露出部分R4を形成する。露出部分R4の幅方向における大きさW2は、露出部分R1の幅方向における大きさW1よりも大きい。この磁性体塗膜I4を形成する工程は、第二部分27の形状を作成する第二部分形成工程の一部を構成する。
【0053】
次に、導電塗膜H3の露出部分R4、及び磁性体塗膜I4上に、導体ペーストを導体パターンの形状に沿って塗布し、40℃〜80℃程度にて1時間未満乾燥することで、帯状の導電塗膜H4を形成する。導電塗膜H4は、導電塗膜H1,H2,H3のものと同じ印刷製版を用いて、磁性体塗膜I4の縁部を覆うように形成される。この導電塗膜H4は、焼成後に内部電極層24、すなわち第二部分27の一部を構成する。また、この導電塗膜H4を形成する工程は、第二部分27の形状を作成する第二部分形成工程の一部を構成する。
【0054】
このとき、第二部分27を構成する導電塗膜である導電塗膜H2,H3,H4は、幅方向において磁性体塗膜I3,I4のいずれかと接触する側面H27A,H27Bを有する。側面H27A,H27Bは、一定パターンの凹凸形状を構成する。導電塗膜H2の周面34A,34Bは、第一部分26の形状によっては一定パターンの凹凸形状を構成しない場合があるため、ここでは側面H27A,H27Bには該当しない。第一部分26を構成する導電塗膜H1は、磁性体グリーンシートGS1(または非磁性体グリーンシートGS2)と接触する端面H31を有する。このとき、端面H31の幅方向における端である連結端H41A,H41Bは、積層方向から見て、側面H27A,H27Bと重ならない。
【0055】
続いて、導電塗膜H1〜H4のうち最も上方に位置する導電塗膜H4の露出面上に、半球状となるように接続用導体ペーストを塗布し、40℃〜80℃程度にて1時間未満乾燥することで、接続用導電塗膜を形成する。この接続用導電塗膜は、スルーホール導体を構成する。
【0056】
続いて、磁性体層A1〜A12となる磁性体グリーンシートGS1及び非磁性体層B1,B2となる非磁性体グリーンシートGS2を図2に示される順序で積層して、積層方向に圧力を加えて圧着し、グリーンシート積層体(図示せず)を形成する。このとき、接続用導電塗膜が積層方向に隣り合う他のグリーンシートによって押しつぶされ、接続用導電塗膜と、当該他のグリーンシートにおける導電塗膜H1のうち当該他のグリーンシートのスルーホール内に充填された部分とが接続されることとなる。
【0057】
続いて、グリーンシート積層体をチップ単位に切断した後に、850℃〜900℃程度にて10時間以上焼成し、積層体12を生成する。積層体12は、例えば、焼成後における長手方向の長さが2.5mm程度、幅が2.0mm程度、高さが1.0mm程度となるようにする。これにより、磁性体グリーンシートGS1が各磁性体層A1〜A12となり、非磁性体グリーンシートGS2が各非磁性体層B1,B2となり、導電塗膜H1〜H4が各導体パターンC2〜C11となり、磁性体塗膜I1〜I4が各磁性体膜F1〜F10となり、接続用導電塗膜が各接続導体G1〜G10となる。なお、導電塗膜の焼成時における収縮率は例えば15%〜25%程度に設定されており、各グリーンシートGS1,GS2及び磁性体塗膜の焼成時における収縮率は例えば10%〜20%程度に設定されている。また、導体ペーストと接続用導体ペーストとが上記のように相違していることにより、接続用導電塗膜H5の焼成時における収縮率は、導電塗膜の焼成時における収縮率よりも小さくなっている。
【0058】
続いて、この積層体12に外部電極14,16を形成する。これにより、積層型インダクタ10が形成されることとなる。外部電極14,16は、積層体12の長手方向の両側面にAg、Cu又はNiを主成分とする導体ペーストをそれぞれ転写した後に所定温度(例えば、700〜800℃)にて焼き付け、更に電気めっきを施すことにより形成される。電気めっきには、例えばCu、Ni及びSnを用いることができる。
【0059】
(作用)
本実施形態に係る積層型インダクタ10及びその製造方法の作用・効果について、図5、図6及び図7を参照して説明する。本実施形態に係る積層型インダクタ10では、導体パターンC2〜C11が、複数の内部電極層を積層することによって厚く構成されている。図5に示すように、導体パターンC2〜C11は、積層方向における一方の主面2b側に第一部分26を有し、他方の主面2a側に第二部分27を有している。第一部分26は、第一内部電極層21を有しており、他の導体パターンとの間に配置される磁性体層A3〜A10または非磁性体層B1,B2と接触する部分となる。第一部分26は、積層方向の一方の主面2b側で積層体12と接触する端面31を有しているが、この端面31は、磁性体層A3〜A10または非磁性体層B1,B2と接触する面となる。ここで、第二部分27は、導体パターンC2〜C11の幅方向において積層体12と接触する側面27A,27Bを有している。当該側面27A,27Bでは、製造時に、内部電極層22,23,24と磁性体膜F1〜F10との間で乾燥・収縮が行われる。第二部分27は、複数の内部電極層22,23,24を積層することで構成されているため、製造時においては内部電極層22,23,24ごとに乾燥・収縮が繰り返し行われる。従って、内部電極層22,23,24が同一パターンで形成されているため、第二部分27の側面27A,27Bと積層方向に重なる応力集中領域WA,WBでは、応力が集中し易くなる。また、第一部分26の端面31の幅方向における連結端41A,41Bも、第一内部電極層21と磁性体層A3〜A10または非磁性体層B1,B2との境界部であるため、応力が集中し易くなる。例えば、図7に示す導体パターン100では、第一部分126の端面131における幅方向の連結端141A,141Bが、第二部分127の側面127A,127Bによる応力集中領域WA,WBと重なっている。従って、応力集中領域WA,WB周辺において応力が集中し、磁性体層AにクラックCRが生じる可能性がある。
【0060】
しかしながら、本実施形態に係る積層型インダクタ10では、図5に示すように、第一部分26の端面31の幅方向における連結端41A,41Bは、積層方向から見て第二部分27の側面27A,27Bと重なっていない。すなわち、連結端41A,41Bが、応力集中領域WA,WB以外の位置に配置されている。すなわち、磁性体層A3〜A10または非磁性体層B1,B2と側面27A,27Bとの間には、応力が集中し易い第一部分26の連結端41A,41Bに代えて、積層体12の磁性体膜F1〜F10が配置される。従って、第二部分27の側面27A,27Bからの応力は、磁性体膜F1〜F10によって分散され、緩和される。以上によって、導体パターン同士の間の絶縁体層である磁性体層A3〜A10や非磁性体層B1,B2にクラックが生じることを防止し、積層型インダクタ10の信頼性を向上させることができる。
【0061】
また、本実施形態に係る積層型インダクタ10の製造方法では、図6に示すように、第一部分26を構成する導電塗膜H1の端面H31の幅方向における連結端H41A,H41Bは、積層方向から見て導電塗膜H2,H3,H4の側面H27A,H27Bと重なっていない。すなわち、連結端H41A,H41Bが、応力集中領域WA,WB以外の位置に配置されている。すなわち、積層方向から見て、グリーンシートGS1,GS2と導電塗膜H2,H3,H4の側面H27A,H27Bとの間には、応力が集中し易い導電塗膜H1の連結端H41A,H41Bに代えて、磁性体塗膜I1が配置される。従って、導電塗膜H2,H3,H4の側面H27A,H27Bからの応力は、磁性体塗膜I1によって分散され、緩和される。また、このように製造することによって、焼成して積層型インダクタ10が完成した後は、第二部分27の側面27A,27Bからの応力が、磁性体膜F1〜F10によって分散され、緩和される。以上によって、以上によって、導体パターン同士の間の絶縁体層である磁性体層A3〜A10や非磁性体層B1,B2、あるいはグリーンシートGS1,GS2にクラックが生じることを防止し、積層型インダクタ10の信頼性を向上させることができる。
【0062】
なお、本実施形態においては、図5に示すように、導体パターンC2〜C11が有する各周面が、凹部と凸部とが積層方向に沿って交互に並んだ凹凸面とされており、この周面の凹部に積層体12の一部が入り込んでいる。そのため、いわゆるアンカー効果によって、積層体12がこの凹凸状の各周面から極めて剥離し難くなっている。その結果、導体パターンC2〜C11の厚みが大きい(20μm以上)場合であっても、積層体12のうち積層方向において隣り合う導体パターンの間に位置している部分にクラックが極めて発生し難くなっている。従って、マイグレーション現象によって隣り合う導体パターン同士が短絡してしまう虞が大きく低減されている。
【0063】
また、本実施形態に係る積層型インダクタ10において、第一部分26は、幅方向において積層体12と接触すると共に、端面31に連結される周面32A,32Bを有している。この周面32A,32Bは、導体パターン側に入り込むように湾曲し、端面31の幅方向における連結端41A,41Bは、側面27A,27Bよりも幅方向の内側に配置されている。このような第一部分26は、製造時において、導電塗膜H1をグリーンシートGS1,GS2に形成する前に、幅狭の露出部分R1が形成されるようにグリーンシートGS1,GS2上に磁性体塗膜I1を形成し、その上から導電塗膜H1を形成することによって構成される(図6参照)。すなわち、幅狭の露出部分R1が存在することで、導電塗膜H1の大きさや形状に関わらず、第一部分26の連結端41A,41Bを第二部分27の側面27A,27Bよりも幅方向の内側に配置することが可能となる。このような構造によれば、第一部分26を構成するための導電塗膜H1を形成する際に、第二部分27で用いるものと同じ大きさの印刷製版を用いたとしても、所望の形状を得ることができる。また、第一部分の幅方向の大きさが第二部分よりも大きい場合(例えば図9(a)を参照)や、第一部分の幅方向の位置が第二部分に対してずれていた場合(例えば図8(b)を参照)は、コイル内径が狭くなり、磁路が狭くなる可能性がある。しかしながら、第一部分26の連結端41A,41Bが第二部分27の側面27A,27Bよりも幅方向の内側に配置されているため、コイルLの特性を維持することができる。以上によって、コイル設計上の制約を受けることなく本発明に係る構造を適用することができる。
【0064】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。
【0065】
例えば、導体パターンの断面形状は、第一部分の端面の端が積層方向から見て第二部分の側面と重ならないものであれば特に限定されず、図8、図9及び図10に示すような導体パターン200,300,400,500,600,700を採用してもよい。図8(a)に示す導体パターン200は、グリーンシートに幅狭の導電塗膜を形成した後、磁性体塗膜を形成している。導体パターン200は、第一内部電極層221によって構成される第一部分226を有している。第一内部電極層221は、第二部分227を構成する内部電極層よりも小さい印刷製版を用いて形成される。これによって、第一部分226の端面231の幅方向の連結端241A,241Bは、積層方向から見て第二部分227の側面227A,227Bと重ならず、幅方向内側に配置される。すなわち、連結端241A,241Bが、応力集中領域WA,WBよりも幅方向内側に配置される。なお、他の周面と一定パターンの凹凸形状を構成しない周面232A,232Bは、第二部分227の側面227A,227Bには含まれない。
【0066】
図8(b)に示す導体パターン300は、第一部分326を構成する第一内部電極層321を第二部分327の内部電極層に対して幅方向にずらすことによって構成されている。第一内部電極層321は、第二部分327を構成する内部電極層と同じ印刷製版を用いて形成される。第一部分326を構成する導電塗膜及び磁性体塗膜をグリーンシートに形成した後、幅方向にずれた位置に第二部分327を構成するための導電塗膜及び磁性体塗膜を形成する。これによって、第一部分326の端面331の幅方向の連結端341Aは、積層方向から見て第二部分327の側面327Aと重ならず、幅方向内側に配置される。すなわち、連結端341Aが、応力集中領域WAよりも幅方向内側に配置される。また、第一部分326の端面331の幅方向の連結端341Bは、積層方向から見て第二部分327の側面327Bと重ならず、幅方向外側に配置される。すなわち、連結端341Bが、応力集中領域WBよりも幅方向外側に配置される。なお、他の周面と一定パターンの凹凸形状を構成しない周面332A,332Bは、第二部分327の側面327A,327Bには含まれない。
【0067】
図9(a)に示す導体パターン400は、第一部分426を構成する第一内部電極層421を第二部分427の内部電極層に対して幅方向に大きくすることによって構成されている。第一内部電極層421は、第二部分427を構成する内部電極層より大きな印刷製版を用いて形成される。第一部分426を構成する導電塗膜をグリーンシートに形成した後、磁性体塗膜を形成する。これによって、第一部分426の端面431の幅方向の連結端441A,441Bは、積層方向から見て第二部分427の側面427A,427Bと重ならず、幅方向外側に配置される。すなわち、連結端441A,441Bが、応力集中領域WA,WBよりも幅方向外側に配置される。なお、周面432A,432Bは、他の周面と一定パターンの凹凸形状を構成しない場合があるため、第二部分427の側面427A,427Bには含まれない。
【0068】
図9(b)に示す導体パターン500は、第一部分526及び第二部分527の側面が積層方向と平行をなしており平面状に構成されている。また、第一部分526を構成する第一内部電極層521は、第二部分527を構成する内部電極層よりも幅方向の大きさが小さくされている。これによって、第一部分526の端面531の幅方向の連結端541A,541Bは、積層方向から見て第二部分527の側面527A,527Bと重ならず、幅方向内側に配置される。すなわち、連結端541A,541Bが、応力集中領域WA,WBよりも幅方向内側に配置される。
【0069】
図10(a)に示す導体パターン600は、第一部分626及び第二部分627の側面が積層方向と平行をなしており平面状に構成されている。また、第一部分626を構成する第一内部電極層621は、第二部分627を構成する内部電極層よりも幅方向の大きさが大きくされている。これによって、第一部分626の端面631の幅方向の連結端641A,641Bは、積層方向から見て第二部分627の側面627A,627Bと重ならず、幅方向外側に配置される。すなわち、連結端641A,641Bが、応力集中領域WA,WBよりも幅方向外側に配置される。以上のように、導体パターンの側面が凹凸形状をなすことなく、平面上に構成されるものであってもよい。
【0070】
図10(b)に示す導体パターン700は、第一部分726及び第二部分727の側面が積層方向と平行をなしており平面状に構成されている。導体パターン700は、第一部分726を構成する第一内部電極層721を第二部分727の内部電極層に対して幅方向にずらすことによって構成されている。第一内部電極層721は、第二部分727を構成する内部電極層と同じ印刷製版を用いて形成される。これによって、第一部分726の端面731の幅方向の連結端741Aは、積層方向から見て第二部分727の側面727Aと重ならず、幅方向内側に配置される。すなわち、連結端741Aが、応力集中領域WAよりも幅方向内側に配置される。また、第一部分726の端面731の幅方向の連結端741Bは、積層方向から見て第二部分727の側面727Bと重ならず、幅方向外側に配置される。すなわち、連結端741Bが、応力集中領域WBよりも幅方向外側に配置される。
【0071】
また、上述の実施形態では積層体12が磁性体層A1〜A12及び非磁性体層B1,B2によって構成されていたが、これに限られず、全体が磁性材料によって構成されていてもよく、全体が非磁性材料によって構成されていてもよい。ただし、磁気飽和を抑制し、大電流を流した場合におけるインダクタンス値の低下を抑えることで、直流重畳特性の一層の改善を図るという観点から、本実施形態のように、磁性体層A4と磁性体層A5との間に非磁性体層B1が介在し、磁性体層A7と磁性体層A8との間に非磁性体層B2が介在した状態にて積層体12が構成されていると好ましい。
【0072】
また、上述の実施形態では、導体パターンを構成する内部電極層が四層ある場合について説明したが、内部電極層の数は特に限定されない。また、第一部分は、少なくとも、積層方向における最も主面2b側の第一内部電極層(すなわち、製造時にグリーンシートGS1,GS2と接触する内部電極層)を含んでいればよく、複数の内部電極層によって構成されていてもよい。
【0073】
また、上述の実施形態及び変形例では、第二部分の側面が先鋭化された先細形状による凹凸面となり、あるいは完全な平面状の面とされていたが特に限定されず、緩やかな凹凸面であってもよい。
【0074】
なお、上述の実施形態及び変形例では、第二部分を構成する内部電極層が完全に同一パターンであり、第二部分の側面を構成する各周面が積層方向に完全に重なり合っているもの(すなわち、連結端の位置が積層方向に完全に一致している)を例に説明したが、応力集中が生じ得る構成であれば、完全に重なりあっていなくともよい。製造時の誤差などにより、第二部分の側面を構成する各周面の位置が互いにずれていてもよい。
【符号の説明】
【0075】
10…積層型インダクタ、12…積層体、21,22,23,24…内部電極層、21,221,321,421,521,621,721…第一内部電極層、26,226,326,426,526,626,726…第一部分、27,227,327,427,527,627,727…第二部分、27A,27B,227A,227B,327A,327B,427A,427B,527A,527B,627A,627B,727A,727B…側面、31,231,331,431,531,631,731…端面、41A,41B,241A,241B,341A,341B,441A,441B,541A,541B,641A,641B,741A,741B…連結端(端)、A1〜A12…磁性体層(絶縁体層)、B1,B2…非磁性体層(絶縁体層)、C1〜C12…導体パターン、F1〜F10…磁性体膜(絶縁体層)、H1…導電塗膜(第一導電塗膜)、H2〜H4…導電塗膜(第二導電塗膜)、I1…磁性体塗膜(第一絶縁体塗膜)、I2〜I4…磁性体塗膜(第二絶縁体塗膜)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の絶縁体層が積層されて構成された積層体と、
帯状の複数の導体パターンが互いに電気的に接続されて構成され、前記積層体の内部に配置されたコイルと、を備える積層型インダクタであって、
前記導体パターンは、前記積層体の積層方向に複数の内部電極層が積層されて構成され、前記積層方向における一方側に配置される第一部分と、前記積層方向における他方側に配置される第二部分と、を有し、
前記第一部分は、前記複数の内部電極層のうち前記積層方向において最も一方側に配置される第一内部電極層を少なくとも有し、
前記第二部分は、前記導体パターンの幅方向において前記積層体と接触する側面を有し、
前記第一部分は、前記積層方向の一方側において前記積層体と接触する端面を有し、
前記端面の前記幅方向における端は、前記積層方向から見て前記側面と重ならないことを特徴とする積層型インダクタ。
【請求項2】
前記側面が凹凸形状をなしていることを特徴とする請求項1記載の積層型インダクタ。
【請求項3】
前記側面が平面状をなしていることを特徴とする請求項1記載の積層型インダクタ。
【請求項4】
前記第一部分は、前記幅方向において前記積層体と接触すると共に前記端面に連結される周面を有し、
前記周面は、前記導体パターン側に入り込むように湾曲し、
前記端面の前記幅方向における前記端は、前記側面よりも前記幅方向の内側に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の積層型インダクタ。
【請求項5】
複数の絶縁体層が積層されて構成された積層体と、
帯状の複数の導体パターンが互いに電気的に接続されて構成され、前記積層体の内部に配置されたコイルと、を備え、
前記導体パターンは、前記積層体の積層方向に複数の内部電極層が積層されて構成され、前記積層方向における一方側に配置される第一部分と、前記積層方向における他方側に配置される第二部分と、を有する積層型インダクタの製造方法であって、
前記絶縁体層を構成する絶縁体シート上に、前記第一部分における前記内部電極層を構成する第一導電塗膜、及び前記絶縁体層を構成する第一絶縁体塗膜を形成することによって、前記第一部分を形成する工程と、
前記第二部分における前記内部電極層を構成する第二導電塗膜、及び前記絶縁体層を構成する第二絶縁体塗膜を形成することによって、前記第二部分を形成する工程と、を備え、
前記第二導電塗膜は、前記導体パターンの幅方向において前記第二絶縁体塗膜と接触する側面を有し、
前記第一導電塗膜は、前記絶縁体シートと接触する端面を有し、
前記端面の前記幅方向における端は、前記積層方向から見て前記側面と重ならないことを特徴とする積層型インダクタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−204899(P2011−204899A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70579(P2010−70579)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】