積層管製造装置及びその方法
本発明に係る積層管製造装置及びその方法は、円筒構造を有する巻き取り機及びこれを回転駆動させる駆動手段と;上記巻き取り機に積層管の内層及び外層を形成するために樹脂材をシート状に押出する内層押出機及び外層押出機と;中間層を形成するために溶融状態の物質を一対の引出しローラを利用してシート構造に引き出す中間投入機と;上記巻き取り機の側面に位置され上記巻き取り機に多層構造に積層されたシートを押さえて圧着させる圧着ローラと;を備えて構成されるので、内圧強度及び外圧強度に優れ、熱衝撃にも十分な剛性を有するようにして耐久性及び信頼性が向上された積層管を製造することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合合成樹脂材からなる多重積層管を製造するための積層管製造装置及びその方法に係るもので、特に、内圧強度及び外圧強度が向上されて気密性にも優れた積層管を製作し得る積層管製造装置及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1及び図2は特許文献1に開示された図で、この公告発明には「三重管、三重管製造装置及びその方法」が掲示されている。
【0003】
図面を参考しながら公告発明の主な内容を説明すると次の通りである。
【0004】
図1に示された三重管1は、帯状に押出されて一方側が重なるように巻回された内皮2と、上記内皮2上に一方側が重なるように巻回され、重なった部分は圧着された中間層3と、上記中間層3上に一方側が重なるように巻回され、重なった部分が圧着された外皮4と、により構成され、上記内皮2、中間層3及び外皮4が熱融着されて形成された構造である。
【0005】
ここで、上記外皮4及び内皮2にはPEが使用され、上記中間層3にはリサイクル材が使用されて構成されている。
【0006】
このような公告発明の三重管の製造方法に対し、図2を参照して説明すると次の通りである。
【0007】
一つのノズル(未図示)から帯状に押出された内皮2は、巻き取り機のローラ(未図示)の上面で巻回され、この時、図2の(イ)のように一側部分が互いに重なって巻かれる。
【0008】
上記巻き取り機の上面に内皮2が巻かれると、その上面に他のノズルから帯状に押出された中間層3が一方側が互いに重なるようにして図2の(ロ)のように巻かれる。上記中間層3がノズル13から排出されて内皮2の上面に巻回されると、内皮2と中間層3及び中間層3同士は熱融着され、冷却装置からの散水により冷却される。
【0009】
この時、上記中間層3の重なる部分と上記内皮2の重なる部分とは互いにくい違うように配置される。
【0010】
上記中間層3に対する巻回が終了すると、図2の(ロ)のようにローラ30を利用して上記中間層3の重なる部分を内側に圧着させて、図2の(ハ)のように上記中間層3の外側をある程度平らにする。
【0011】
上記中間層3に対するローラ30圧着が終了すると、さらに別のノズルから帯状に押出された外皮4が一方側が互いに重なるようにして上記中間層3の上面に巻回される。この時も上記外皮4の重なる部分は、上記中間層3の重なる部分と互いにくい違うようにして図2の(ニ)のように巻かれる。
【0012】
さらに別のノズルから排出された上記外皮4は、まだ冷却されてない上記中間層3の外側に巻回されながら熱融着されるとともに冷却装置により冷却される。
【0013】
上記外皮4の巻回が終了すると、図2の(ニ)のようにローラ31を上記外皮4の重なる部分に接させ圧着させて、三重管1の最終断面形態が図2の(ホ)のように形成されるようにして最終的な冷却を行う。
【0014】
以上のような方法により製造される三重管1は、巻き取り機の補助作業台を経由しながら長く製造され
、このように製造された三重管は所望の長さに切断して出荷される。
【0015】
しかし、上記公告発明に掲示された三重管は、それぞれの層が巻回される時、互いに重なった構造だけで形成されるのでより強力な外部衝撃に十分に対応することができず、また、内圧強度及び引張強さを向上させるにも限界があるという問題点があった。
【0016】
特に、上記三重管は、隣接した各層が互いに異なる素材により形成された場合に、互いの結合剛性が脆弱になり、そのため内外から熱衝撃などが加えられる場合に異なる素材により形成された各層が相互分離されたり亀裂されて積層管の強度が著しく低下する恐れもある問題点があった。
【0017】
さらに、上記公告発明は、それぞれの層がほぼ一列に巻回されて一部だけが重なった構造に形成されるため、何れ一つの層、例えば、中間層3の膜厚を相当な程度まで大きくするには限界があり、公告発明に記載された通り中間層3を所定以上の膜厚に形成するためには一つの層を二重または三重に分離排出しながら巻回させるべきであるという問題点もあった。
【0018】
また、上記公告発明を包含する従来の積層管製造装置及び方法は、複合廃プラスチック素材を適当な膜厚で絶えずに持続的に供給することが困難で、中間層の膜厚調節や溶融状態の調節も容易ではないため、生産性が低下して、積層管の品質も低下する問題点があった。
【特許文献1】大韓民国公告特許10-0290302号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、内圧強度及び外圧強度に優れて、熱衝撃に対しても十分な剛性を持つようにして管の耐久性及び信頼性を向上させる積層管を製造し得る、積層管製造装置及びその方法を提供することを目的とする。
【0020】
そして、本発明は、内層及び外層のシートは押出方式により供給し、中間層はローラを用いた引出し方式により供給するように構成することで、リサイクル素材により構成された中間層素材が絶えることなく円滑に供給され、中間層素材の膜厚調節や溶融状態の調節が簡便で、管の製造が容易で管の品質向上に寄与することができる積層管製造装置及びその方法を提供することを目的とする。
【0021】
また、本発明は、積層管を形成する時、既に積層されたシートに冷却水を供給してある程度冷却させた後、その上に圧縮空気を噴射して水分を除去して新しいシートを積層するように構成することによって各層間の結合力を高めて完成された管の強度及び密度を増加させ、より優れた品質の積層管を製造することができる積層管製造装置及びその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題を実現するため本発明に係る積層管製造装置は、円筒構造を有する巻き取り機及びこれを回転駆動させる駆動手段と;上記巻き取り機に積層管の内層及び外層を形成するために樹脂材をシート状に押出する内層押出機及び外層押出機と;中間層を形成するために溶融状態の物質を一対の引出しローラを利用してシート構造に引き出す中間投入機と;上記巻き取り機の側面に位置され上記巻き取り機に多層構造に積層されたシートを押さえて圧着させる圧着ローラと;を包含することを特徴とする。
【0023】
この時、上記積層管製造装置は、上記巻き取り機の周辺に配置されて上記巻き取り機にそれぞれの樹脂材シートが巻回される時に冷却水を噴射する冷却水噴射機構を更に含んで構成されることが好ましい。
【0024】
また、上記積層管製造装置は、上記巻き取り機の回転方向に上記冷却水噴射機構の裏側に位置されて、巻回された部分の表面に存在する水気を除去する水分除去機構を更に含んで構成されることが好ましい。
【0025】
ここで、上記水分除去機構は、圧縮空気を噴射できる構造を有することが好ましい。
【0026】
そして、上記冷却水噴射機構は、上記巻き取り機の下部側から巻回された樹脂材に冷却水を噴射し得るように配置されて、上記水分除去機構は、上記巻き取り機の上部側から巻回された樹脂材に圧縮空気を噴射し得るように構成されることが好ましい。
【0027】
この時、上記水分除去機構は、上記巻回された樹脂材の表面に対して傾斜した方向から圧縮空気を噴射するように構成されることができる。
【0028】
上記中間投入機は、中間層を形成するための溶融状態の物質が貯蔵される投入桶と、上記投入桶の下部に位置され、駆動手段により回転駆動されながら溶融状態の物質を引き出す一対の引出しローラと、上記一対の引出しローラ間の間隔を調節し得る間隔調節装置と、を包含して構成されることが好ましい。
【0029】
上記引出しローラは、その内部に引出される溶融物質を冷却させるように冷却水が通過するように構成されることが好ましい。
【0030】
また、上記課題を実現するため本発明に係る積層管の製造方法は、複数の廃プラスチックを回収し紙、金属、ガラス、布などの非プラスチック成分を除去して、純粋なプラスチック成分だけを選別する廃プラスチック選別段階と;上記廃プラスチック選別過程で選別されたプラスチックを所定サイズ以下に粉砕する複合廃プラスチックの粉砕段階と;上記粉砕された複合廃プラスチックを2軸スクリュー溶融機に投入し熱を加えて一定温度で一定状態まで溶融させながら混合する溶融及びミキシング段階と;上記溶融及びミキシング段階を経由した複合廃プラスチックを一対の引出しローラを用いた中間層投入機により所定の膜厚及び幅を有するシート状に形成して引き出す中間層シート形成段階と;上記中間層を形成するシートと共に内層押出機及び外層押出機を利用して積層管の内層及び外層を形成するための樹脂材シートを押出し巻き取り機からスパイラル方式で連続的に巻回させて円筒形の管状を成形する積層管形成段階と;上記段階で形成された積層管に冷却水を噴射して冷却し、所望の長さに積層管を切断して完成する積層管の冷却及び完成段階と;を順次行うことを特徴とする。
【0031】
上記溶融及びミキシング段階は、粉砕された複合廃プラスチックを1次及び2、3次過程を経由して溶融しミキシングするものの、1次溶融過程における加熱温度は240℃〜280℃とし、2、3次過程における加熱温度は上記1次溶融過程の温度よりも低い180℃〜220℃に設定することが好ましい。
【0032】
また、上記中間層シート形成段階において、シートの供給は二つの引出しローラを通して引出される中間層シートを上から下に自然落下する方式で供給することが好ましい。
【0033】
上記積層管形成段階において、それぞれの層を形成するシートが巻かれる時、層と層の間または各層の表面に冷却水を直接噴射して瞬間冷却させることが好ましい。この時、上記瞬間冷却温度は、100℃〜150℃に設定することができる。
【0034】
上記冷却水を噴射して冷却されると、冷却された各層の表面に新しい層が巻かれる直前に圧縮空気を集中噴射して水分を除去することが好ましい。
【0035】
また、上記課題を実現するため本発明に係る積層管の製造方法においては、積層管の中間層を形成するシートと共に積層管の内層及び外層を形成するための樹脂材シートを巻き取り機に供給しながら、スパイラル方式で連続的に巻回させて円筒形の管状に成形して積層管を形成するものの、それぞれの層を形成するシートが巻かれる時、層と層の間または各層の表面に冷却水を直接噴射して瞬間冷却させた後、この冷却された層の表面に新しい層が巻かれる直前に圧縮空気を集中噴射して水分を除去することを特徴とする。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係る積層管製造装置及びその方法は、内圧強度及び外圧強度に優れ、熱衝撃に対しても十分な剛性を有するようにして管の耐久性及び信頼性を向上し得る積層管を製造することができる利点がある。
【0037】
特に、本発明は、内層及び外層のシートは押出方式により供給し、中間層はローラを用いた引出し方式により供給して積層管を製造するので、廃プラスチックなどリサイクル素材からなる中間層素材が絶えることなく円滑に供給され、これに伴い積層管の製造が容易になり、また中間層の供給過程で二つのローラを利用して素材の膜厚及び溶融状態を容易に調節して所望のサイズの積層管を效果的に生産することができる利点がある。
【0038】
また、本発明は、積層管を形成する時、積層されたシートに冷却水を供給してある程度冷却した後、圧縮空気を噴射して水分を除去し、その上に新しいシートが積層されるように構成されるため、積層される各層間の結合力を高めて積層管の強度及び密度を増加させることが可能で、全体的に管の品質向上に寄与することができる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明に係る積層管の製造装置においては、円筒構造を有する巻き取り機及びこれを回転駆動させる駆動手段と;上記巻き取り機に積層管の内層及び外層を形成するために樹脂材をシート状に押出する内層押出機及び外層押出機と;中間層を形成するために溶融状態の物質を一対の引出しローラを利用してシート構造に引き出す中間投入機と;上記巻き取り機の側面に位置され上記巻き取り機に多層構造に積層されたシートを押さえて圧着させる圧着ローラと;を包含して構成される。
【0040】
そして、本発明に係る積層管の製造方法においては、複数の廃プラスチックを回収し紙、金属、ガラス、布などの非プラスチック成分を除去して、純粋なプラスチック成分だけを選別する廃プラスチック選別段階と;上記廃プラスチック選別過程で選別されたプラスチックを所定サイズ以下に粉砕する複合廃プラスチックの粉砕段階と;上記粉砕された複合廃プラスチックを2軸スクリュー溶融機に投入し熱を加えて一定温度で一定の状態まで溶融させながら混合する溶融及びミキシング段階と;上記溶融及びミキシング段階を経由した複合廃プラスチックを一対の引出しローラを用いた中間層投入機により所定の膜厚及び幅を有するシート状に形成して引き出す中間層シート形成段階と;上記中間層を形成するシートと共に内層押出機及び外層押出機を利用して積層管の内層及び外層を形成するための樹脂材シートを押出し巻き取り機からスパイラル方式で連続的に巻回させて円筒の管状を成形する積層管形成段階と;上記段階で形成された積層管に冷却水を噴射して冷却し、所望の長さに積層管を切断して完成する積層管の冷却及び完成段階と;を順次行う。
【0041】
また、本発明に係る積層管の製造方法においては、積層管の中間層を形成するシートと共に積層管の内層及び外層を形成するための樹脂材シートを巻き取り機に供給しながら、スパイラル方式で連続的に巻回させて円筒の管状に成形して積層管を形成するものの、それぞれの層を形成するシートが巻かれる時、層と層の間または各層の表面に冷却水を直接噴射して瞬間冷却させた後、この冷却された層の表面に新しい層が巻かれる直前に圧縮空気を集中噴射して水分を除去するように構成される。
【実施例】
【0042】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施例を説明すると次の通りである。
【0043】
本発明の実施例では3重管を製造する装置及び方法に関して主に説明するが、これに限定されず、実施条件によっては2重管または4重管を包含するその以上の多重管を製造するにも適用することができる。
【0044】
図3は、本発明の一実施例に係る積層管が示された一部切開図及び切り欠きされた部分の要部拡大図で、図4は、図3のA−A線方向の断面図である。
【0045】
図示されたように、本発明の一実施例に係る積層管50は、内層51、中間層52及び外層53の三つの層が相互積層されて構成され、それぞれの層51、52、53を構成する素材はPEのような合成樹脂材からなることが好ましい。
【0046】
ここで、上記中間層52は、複合廃プラスチック原料を用いたリサイクル材を溶融させて構成することが好ましい。中間層のより詳しい原料比率などは後述する。
【0047】
上記各層51、52、53は、溶融された合成樹脂材などが所定の幅を有した長いシート状に押出されながら螺旋構造に巻回されて相互融着硬化されることにより形成される。
【0048】
特に本発明では、それぞれの層を形成するためにシート形状を巻回させる時、ある一つの層を形成するためのシートの一方端部が、その内側に形成される層またはその外側に形成される層が巻回される時、巻回された部分の間に挟まれた状態で巻回されて形成される。
【0049】
即ち、図3を参照すれば、外層53は一部分53aが中間層52の間に挟まれた状態で形成され、上記内層51は一部分51aが中間層52の間に挟まれた状態で形成される。
【0050】
本発明の一実施例では三つの層51、52、53の全てが相互挟まれて結合された構成を例示しているが、実施条件によっては外層53だけが中間層52に挟まれたり、または中間層52だけが内層51に挟まれるように構成することもできる。
【0051】
また、上記三つの層51、52、53は、それぞれ自分の層を形成する巻回部分が互いに重なった状態で巻回されながら一つの層を形成するように構成される。
【0052】
上述したように三つの層51、52、53がそれぞれ互いに重なって巻回されると共に隣接した他の層の間に挟まれた状態で巻回されて積層管が形成されると、各層51、52、53間の結合強度が大幅に増大して、圧縮強度及び引張強さが向上されると同時に内、外部からの熱衝撃に対する耐久性も高まるようになる。
【0053】
更に、本発明は、上記三つの層51、52、53中、相対的に膜厚の厚い層を巻回させる時、管の長手方向に対して傾斜した方向で相互重なるように巻回させて形成することが好ましい。本実施例では中間層52を管の長手方向に対して傾斜した方向で相互重なるように巻回させた構造を例示した。
【0054】
このような構成される本発明に係る積層管の巻回積層構造に対し、図5及び図6を参照して詳しく説明する。
【0055】
図5は、本発明に係る積層管の製造装置を利用して、一実施例の積層管を製造する時の巻回状態を示した図で、図6は、本発明に係る一実施例の積層管を製造する時の巻回部分を示した詳細断面図である。
【0056】
図示したように、本発明の積層管50は、後述する押出機及び投入機から押出された各層51、52、53を形成する各シート51P、52P、53Pが巻き取り機60に巻かれながら相互積層されると共に熱融着され、その後冷却硬化されることによって形成される。
【0057】
ここで、上述したように本発明の積層管50が、外層53の一部分が中間層52に挟まれこの中間層52は内層51の間に挟まれた状態(積層後の形態は内層が中間層に挟まれた状態になる)に製作されるために、図5に示したように外層53を形成するシート53Pの一側端部53a(図面の左側部分)が中間層52を形成するシート52Pの下部に位置するように配置され、中間層52を形成するシート52Pの一側端部52aは内層51を形成するシート51Pの下部に位置するように配置される。
【0058】
この時、上記中間層のシート52Pと重なる外層及び内層のシート53P、51Pの幅は、中間層を形成するシート52Pの重なった部分の間に挟まれる程度の幅であれば十分で、外層及び内層のシート53P、51Pで挟まれてない部分の幅は、その前に巻かれた自分のシート上に重なる程度の大きさを持つ幅に形成されることが好ましい。
【0059】
図6はこのように積層される構造が詳しく示され、図5に示したように内層51、中間層52、外層53を形成する各シート51P、52P、53Pの一部が互いに重なった状態で巻き取り機60に巻回される場合、図6と同様に管の長手方向に対して傾斜して巻回される中間層52のシートとシート間に外層53のシートの一部が挿入された状態で巻回され、中間層52を形成するシートも内層51を形成するシートの間に挿入された状態で巻かれながら多層構造を有するようになる。
【0060】
このようにして外層53まで巻回された後、圧着ローラ65で加圧して外層53を押さえると、硬化されてない溶融状態のそれぞれの層51、52、53が相互熱融着されながら圧着されて、多層構造を有する積層管を形成するようになる。
【0061】
また、上記中間層52は傾斜した方向で重なりながら巻回されるので、内層51と外層53に比べてかなり厚く形成することができる。
【0062】
次に、上述したような本発明の積層管を製造するための積層管の製造装置を説明する。
【0063】
図7は、本発明に係る積層管の製造装置を示した側面構成図、図8は、本発明に係る積層管の製造装置を示した正面構成図、図9は、図8のC−C線方向から見た中間投入機を示した図、である。
【0064】
本発明に係る積層管の製造装置においては、図7及び図8に示したように、複数の巻回ローラ61が円筒構造に配列された巻き取り機60と、この巻き取り機60を回転駆動させる駆動手段の巻回モータ63と、上記巻き取り機60に内層51及び外層53を形成するための樹脂材をシート形状に押出する内層押出機71及び外層押出機73と、中間層52を形成するために溶融状態のシートを投入する中間投入機72と、上記巻き取り機60の側面に位置され上記巻き取り機60に多層構造に積層されたシートを押さえて圧着させる圧着ローラ65と、上記巻き取り機60の周辺に配置されて上記巻き取り機にそれぞれの樹脂材シートが巻回される時冷却水を噴射する冷却水噴射機構67と、上記巻き取り機60の回転方向から上記冷却水噴射機構67の裏側に位置されて巻回された部分の表面に存在する水気を除去する水分除去機構68と、を備えて構成されている。
【0065】
ここで、上記中間投入機72、内層押出機71及び外層押出機73は上述したようにそれぞれの層51、52、53を形成するためのシート51P、52P、53Pが相互重なった状態で上記巻き取り機60に巻かれるように配置されて構成される。
【0066】
参考に、図7及び図8において内層押出機71及び外層押出機73は溶融樹脂物が押出されるようにスロットが形成された台だけを図示しているが、通常の押出機のように溶融樹脂物を供給する装置と連結して構成することも可能で、それらの位置も上述したようにそれぞれの層51、52、53が積層される時隣接した層の間に挟まれるように押出することができる構造であれば、実施条件に応じて多様に位置を変更することができる。
【0067】
図7において、内層押出機71の台は外層押出機73の下部に位置する構成になっているが、これは一つの実施例による配置構成であり、その他に内層押出機71の台を中間投入機72の左側に位置させて配置する構成も可能である。
【0068】
一方、図10に示したように、それぞれの層51、52、53が積層される時隣接した層の間に挟まれない構造で積層管を製造することも可能で、その時にはそれに適合するように上記各押出機71、73及び中間投入機72の位置を設けることができる。
【0069】
次に、上記中間投入機72の構成に関し詳しく説明する。
【0070】
上記中間投入機72は、溶融状態の物質が貯蔵される投入通72Aを備え、この投入通72
A の下部には溶融状態の物質を排出させるためにモータ72Cにより駆動される一対の引出しローラ72Bが構成される。
【0071】
これを図9を参照して詳細に説明すると、間隔調節装置85により間隔調整が行われる二つの引出しローラ72Bが並んで配置され、それら二つの引出しローラ72Bはモータ72Cにより回転駆動されながら中間層を形成するためのシート52Pを排出する。
【0072】
ここで、上記間隔調節装置85は、二つの引出しローラ72Bの間隔を調節することによってその間から排出される中間層のシート52Pの膜厚を調節できる。図面符号86は、上記間隔調節装置85の間隔を調節するための膜厚調節用ハンドルを示す。
【0073】
上記間隔調節装置85は、二つのローラ72Bを軸持する軸受89などの軸持構造物90の位置を変更することによって上記二つのローラ72B間の間隔を調節するように構成することができる。
【0074】
即ち、上記二つのローラ72Bは各軸88を中心に回転するが、それら軸88は軸持構造物90に軸受89を介して軸持される。従って、上記間隔調節装置85は、軸受89を軸持する軸持構造物90間の間隔を調節することによって上記二つのローラ72B間の間隔を調節することが可能で、上記膜厚調節用ハンドル86は軸持構造物90にターンバックル方式のねじ結合などで連結され上記二つのローラ72B間の間隔を調節するように構成することができる。
【0075】
また、上記二つの引出しローラ72Bはそれらの内部に冷却水が通過するように構成され、これは中間層52を形成するための溶融物質が上記二つのローラ72B間を通過しながら引出される時、若干固まった状態、即ち、適切に硬化されて溶融された状態で所定膜厚を有する形状で連続して引き出されるように構成されたものである。従って、上記二つの引出しローラ72Bは、その内部に冷却水が通過し得るように円筒形構造に形成され、一方側に冷却水投入口81、他方側に冷却水排出口83がそれぞれ位置される。
【0076】
この時、両方側の上記冷却水投入口81及び冷却水排出口83は、上記引出しローラ72Bの軸88に結合される構成を有することが好ましく、この場合、管型構造を有する上記冷却水投入口81及び冷却水排出口83が回転体の引出しローラ72Bの軸88の内部に挿入された構成を有することが好ましい。
【0077】
もちろん、上記冷却水投入口81及び冷却水排出口83を形成する管体と上記ローラの軸88との間には冷却水の漏水を防止する通常のシーリング部材が設けられることが好ましい。
【0078】
一方、上記中間層52を複合廃プラスチックを用いたリサイクル素材でなく一般溶融樹脂を利用して製造する場合に、上述したように構成される中間投入機72を利用せず、上記内層押出機71及び外層押出機73と同様または類似の押出機を利用して積層管を製造することも可能である。
【0079】
次に、上記冷却水噴射機構67及び水分除去機構68に関して説明する。
【0080】
上記冷却水噴射機構67は、図5及び図7に示したように、一つまたは複数(好ましくは3〜5ケ)のノズルが配置されて、上記巻き取り機60の下部側から巻回された樹脂材に冷却水を噴射できるように配置される。
【0081】
この時、上記冷却水噴射機構67は、上記巻き取り機60の両側面下部にそれぞれ配置することが好ましい。
【0082】
上記水分除去機構68は、圧縮空気を噴射し得るノズル構造を有することが好ましく、上記冷却水噴射機構67が上記巻き取り機60の下部側に位置される反面、上記水分除去機構68は上記巻き取り機60の上部側から巻回された樹脂材に圧縮空気を噴射できるように配置される。
【0083】
また、図5に示したように上記水分除去機構68は、樹脂材の表面に残存する水気、即ち水分をより容易に除去できるように、巻回された樹脂材の表面に対して傾斜した方向から圧縮空気を噴射するように構成されることが好ましい。
【0084】
一方、本発明に係る積層管の製造装置は、上記巻き取り機60に巻回されて形状が完成された積層管を完全に硬化させるために冷却装置を備えて構成され、この冷却装置は、上記巻き取り機60の内側や外側から上記積層管50に冷却水を噴射できるように構成される。このような冷却装置の構成は公知の構成であるためここでは詳しい説明は省略する。
【0085】
以上のような本発明に係る積層管の製造装置を利用して本発明の一実施例に係る積層管の製造過程を簡単に説明すると次の通りである。
【0086】
図8に示したように、巻回モータ63が回転すると巻き取り機60が回転され、このような状態で内層押出機71、外層押出機73及び中間層投入機72が作動してそれぞれの層を形成するためのシート51P、52P、53Pを排出する。
【0087】
そして、このように排出されたそれぞれのシート51P、52P、53Pは上記回転する巻き取り機60に巻かれながら積層され、この時、図6に示したように外層を形成するシート53Pの一部が中間層を形成するシート52Pの一部に重なり、同時に中間層を形成するシート52Pの一部が内層を形成するシート51Pの一部に重なって上記巻き取り機60に巻かれる。
【0088】
図6において、点線部分は上記巻き取り機60に巻かれる直前の状態を示し、実線部分は上記巻き取り機60に巻かれた後、圧着ローラ65の加圧により互いに融着された状態を示す。
【0089】
このようにしてそれぞれの層51、52、53が積層されると、図3及び図6に示したように、内層51と外層53の一部が中間層52に挟まれた状態で積層されて形成される。
【0090】
次いで、冷却装置(未図示)を利用して上述したように積層された管の内側または外側から冷却水を噴射すると、互いに熱融着された積層部分が硬化されながら3重積層管を形成するようになる。
【0091】
上述した一実施例の積層管を含む本発明に係る積層管の製造方法に関し、具体的に説明すれば次の通りである。
【0092】
本発明に係る積層管の製造方法は、積層管50の中間層52Pを複合合成樹脂、即ち、複合廃プラスチックにより製造する場合を中心に説明する。
【0093】
本発明に係る積層管の製造方法においては、一種類以上の廃プラスチックを回収して紙、金属、ガラス、布などの非プラスチック成分を除去し、純粋なプラスチック成分だけを選別する廃プラスチック選別段階と;上記廃プラスチック選別過程で選別されたプラスチックを所定サイズ以下に粉砕する複合廃プラスチックの粉砕段階と;上記粉砕された複合廃プラスチックを2軸スクリュー溶融機に投入し熱を加えて所定温度で一定状態まで溶融させながら混合する溶融及びミキシング段階と;上記溶融及びミキシング段階を経由した複合廃プラスチックを一対の引出しローラ72Bを用いた中間層投入機72を通し一定の膜厚及び幅を有するシート状に形成して引き出す中間層シート形成段階と;上記中間層52を形成するシートと共に内層押出機71及び外層押出機73を利用して積層管の内層51及び外層53を形成するための樹脂材シートを押出して巻き取り機60からスパイラル方式により連続的に巻回させて円筒形の管形状を成形する積層管形成段階と;上記段階で形成された積層管に冷却水を噴射して冷却し、所望の長さに積層管を切断して完成する積層管冷却及び完成段階と;を順次行う。
【0094】
上記のような積層管の製造方法の各段階に対して詳細に説明する。
【0095】
先ず、上記複合廃プラスチックの選別段階は、多様な種類の廃プラスチックを回収して紙、金属、ガラス、布などの非プラスチック成分を除去し、純粋なプラスチック成分だけを選別する。これは複合廃プラスチック素材に金属成分などの異質物が混合されると、積層管の成形が不可能になったり、品質が低下するからである。
【0096】
ここで、複合廃プラスチックを粉砕加工する前に必ずプラスチックの種類別比率を一定にしなければならない。これは上記した中間層投入機72を利用して積層管を製造する時、シート状に成形及び管形状に成形するためには一定の程度の引張り力及び応力が必ず必要で、そのために原料の配合が重要になる。
【0097】
複合廃プラスチックの好ましい使用原料比率を説明すれば次の通りである。
【0098】
PE素材50%以上、PP素材10%以内、PET素材10%以内、PS素材10%以内、PA素材10%以内、その他の素材(PC、ABS、PMMA、PBT等)5%以内とするがPVCは除外、有機物(アルミニウム及び土等)、強化剤(補強剤5%未満)の割合で造成することが好ましい。
【0099】
もちろん、このような原料の比率は実施条件に応じて適切な範囲内で調節することができる。即ち、一つの廃プラスチック原料だけを使用することも可能で、2種類以上の廃プラスチック原料を使用することも可能である。但し、最も好ましい組成比としては上述した組成比を有することが好ましい。
【0100】
次に、上記複合廃プラスチックの粉砕段階は、公知の粉砕機内で行われ、粉砕機内で上記多様な種類のプラスチックを所定サイズ以下に粉砕しながら均一に混合する。この段階で細かく粉砕した原料は以後の溶融過程で少熱源を利用しても容易に溶融されるので、エネルギーの節約はもちろん機械の老朽化を予防することもできる。
【0101】
次に、上記溶融及びミキシング段階は、1次溶融及びミキシング過程と、2、3次溶融及びミキシング過程と、に構成される。
【0102】
1次溶融及びミキシング過程は、上記粉砕段階で粉砕された複合廃プラスチックを2軸スクリュー溶融機に投入し熱を加えて所定温度で一定状態まで溶融させる。この時、粉砕された複合廃プラスチックは均一に混合されて溶融される。
【0103】
ここで、2軸スクリュー溶融機は、二つのスクリューが並んで配置されて互いに反対方向に回転しながら粉砕された複合廃プラスチック原料を強制的に投入して混合する公知の機器であって、所望の吐き出し量を調整するために速度可変方式を利用することが好ましい。
【0104】
また、上記2軸スクリュー溶融機に提供される熱源としては、ガス、軽油、電気などを利用するバーナーが挙げられ、この中から実施条件に応じて選択的に利用すればよい。この時、上記2軸スクリュー溶融機の加熱温度は所定範囲内を維持することが好ましく、好ましい加熱温度は240℃〜280℃の間が適当である。
【0105】
加熱温度が280℃を越えると、複合廃プラスチック原料中、相対的に溶融温度の低いPEなどが燃焼したり物性が変わるようになり、また、240℃よりも低くなると、複合廃プラスチック原料中相対的に溶融温度の高いPETなどの溶融状態が悪くなって圧力が発生して排出速度が遅くなり、シート成形あるいは積層管の成形が不可能になるという問題が発生する。
【0106】
2次、3次溶融及びミキシング過程は、上記1次溶融及びミキシング過程後で吐き出される溶融原料を2次あるいは必要な場合3次溶融機に供給して再度溶融及びミキシングを実施する。
【0107】
このような2次、3次溶融及びミキシング過程は、上記1次溶融過程を通過した原料をさらに細かくて緻密な構造に形成すると共に互いに異なる物性同士が完壁に混合されるようにして、中間層52を構成する材料の物性をより強く堅固にするためのものである。
【0108】
また、2次、3次溶融及びミキシング過程で水分及びガスを排出させて原料の内部に気孔(気泡)が生じることを防止することで、材料の強度及び密度を増加させることが可能で、これは積層管の品質向上に寄与する。
【0109】
2次、3次溶融及びミキシング過程で用いられる熱源は、上記1次溶融及びミキシング過程で使われたものと同様のバーナーなどを利用することができる。
【0110】
この時の加熱温度は、上記1次溶融及びミキシング過程の温度よりも低い180℃〜220℃の間が適切で、加熱方式は2次、3次溶融機の外部を加熱してスクリューの温度を所定範囲内に維持する方式とする。
【0111】
ここで、2次、3次溶融温度を1次溶融温度よりも低くする理由は、1次溶融過程で中間層52を構成する素材が溶融された状態にあるので、相対的に低い温度で加熱して溶融状態を維持しながらも、原料の物性が低下したり、硬化されて排出する速度が遅くなることを防止することができるからである。
【0112】
2次、3次溶融及びミキシング過程は実施条件によっては省略することもできるが、品質向上のためには1次溶融及びミキシング過程後に実施することが好ましく、必要な場合は3次以上の溶融及びミキシング過程を進行することもできる。
【0113】
次に、上記中間層シート成形段階においては、上記中間層投入機72に原料が供給されると、図7に示したように中間層投入機72を介して所定膜厚及び幅を有するシートに形成されながら、中間層を構成するシート52Pが供給される。
【0114】
この時、中間層52を形成するシート52Pの膜厚及び幅は積層管の管径によって変化され、好ましくは、膜厚は4mm〜10mm、幅は100mm〜500mm程度に供給することが好ましく、このような膜厚及び幅は二つの引出しローラ72Bを通して形成される。
【0115】
引出しローラ72Bにより引出されるシート52Pは、上から下へ自然落下する方式により自然に流れて供給されるので、シート供給過程で絶えず連続的に供給されて生産性向上に寄与することができる。
【0116】
この時、中間層を形成するシート52Pは流れながら周辺空気により10%〜20%ほどの温度が冷却される。これはシートの一定した物性、即ち、ある程度の引張り力及び密度そして温度が維持されてこそ成形が可能になるが、上記した複合廃プラスチックの選別過程、粉砕過程、溶融及びミキシング過程を経由しながら異質物及び気泡が除去され、その後中間層投入機72を通して供給する過程である程度冷却されることによって中間層を形成するシート52Pが供給過程で切断されたり、管を形成するとき形状が不規則になったりするという問題を解決することができる。
【0117】
次に、上記積層管を形成する段階は、図7及び図8に示したように巻き取り機60に上記中間層投入機72、内層押出機71及び外層押出機73により供給されたそれぞれのシート51P、52P、53Pを巻き取り機60からスパイラル方式により連続的に巻回させて円筒形の管を成形する。
【0118】
この時、内層押出機71及び外層押出機73から押出される素材は、リサイクル素材でなく新しいPE素材を利用することが好ましい。
【0119】
このような過程を経由して生産される積層管は、図3乃至図5を中心に説明した積層管のように形成されるか、または、図10に示したように中間層シート52Pと内層及び外層のシート51P、53Pとが互いに挟まれてない積層管に製作することができる。即ち、積層管の構造は中間層52と、内層51及び外層53に構成され、中間層52は複合廃プラスチックのシートを通常3層〜6層の重畳された構造の形状に巻いて形成して、内層51及び外層53は新素材PEを1層〜2層に重畳されるように重ねて接合し、全体的に4層〜8層に重畳された構造に接合させて製作する。
【0120】
ここで、上記中間層52はシートの幅が広くなるほど重なる数が増えるので、相対的に膜厚の厚い管を生産する時、シート52Pの幅を大きくすることで中間層52の層数を大きくして厚い管を容易に生産することができる。
【0121】
また、上述したように内層51、中間層52及び外層53の素材となるシートを互いに重ねながら巻回する時、ある程度冷却が行われてこそ層間結合が完璧になる。
【0122】
そのために、それぞれの層51、52、53を形成するシートが巻かれる時、層と層との間及び各層の表面に上記冷却水噴射機構67を利用して冷却水を直接噴射して100℃〜150℃程度に瞬間冷却をさせる。
【0123】
以後、このように冷却された各層の表面に新しい層が巻かれる直前に水分除去機構68を利用して圧縮空気を集中噴射して水分を除去する。これは巻回された層の表面に瞬間冷却のために冷却水が噴射された状態でそのまま新しい層が巻かれる場合、水分により層間剥離現象が発生する恐れがあるので、圧縮空気を噴射して水分を除去することで層間剥離現象を防止するためである。
【0124】
そして、各層のシートが積層されると、圧着ローラ65を利用して各層間の結合が完全になるように圧力を加えて圧着させる。
【0125】
従って、冷却水噴射過程を経由することで加熱された各層を所定温度以内に冷却させることによって積層管の成形が容易になると共に形状にも優れて、生産時間も大幅に短縮することができる。また、圧縮空気を利用して冷却水により発生した水分を除去することで層間分離現象を防止することができる。特に、このような冷却及び水分除去過程とともに各層に残っている残熱(100℃〜120℃程度)が相互作用するので層間接着が非常に堅固になり、層間の区別がつかないほど一体型の構造を有するようになって、全体的に剛性が増大して品質に優れた積層管の生産が可能になる。
【0126】
次に、積層管を冷却水により直接冷却する段階は、積層管の成形後に冷却水を管の内部及び外部に投入して流せることで成形された管を持続的に冷却させる過程である。このように積層管が所定長さに形成されるまで持続的に冷却することで生産量を増大させることが可能で、積層管の成形時に発生する変形やゆがみを防止し得ると共に内、外面を滑らかにすることができる。
【0127】
次に、積層管を切断して完成する段階は、生産、冷却された積層管を所望の長さに切断して完成品に製造する。
【産業上の利用可能性】
【0128】
上述したような本発明に係る積層管の製造装置及び方法は、内圧強度及び外圧強度に優れ、熱衝撃にも十分な剛性を持つようにして管の耐久性及び信頼性を向上し得るという効果がある。
【0129】
特に、本発明は、内層及び外層のシートは押出方式により供給し、中間層はローラを用いた引出し方式により供給して積層管を製造するため、廃プラスチックなどのリサイクル素材を利用した中間層素材を絶えずに円滑に供給することが可能で、そのため積層管の製造が容易になり、また、中間層供給過程で二つのローラを利用して素材の膜厚及び溶融状態を容易に調節することができるので所望の大きさの積層管を效果的に生産し得るという効果がある。
【0130】
また、本発明は、積層管を形成する時、積層されたシートに冷却水を供給して一定程度冷却した後、圧縮空気を噴射して水分を除去し、その上に新しいシートが積層されるように構成されるため、相互積層される各層間の結合力を高めて積層管の強度及び密度を増加させ、全体的に管の品質向上に寄与することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】従来積層管が示された図である。
【図2】従来積層管の製造方法が示された図である。
【図3】本発明の一実施例に係る積層管が示された図及びその要部拡大図である。
【図4】図3のA−A線方向からの断面図である。
【図5】本発明に係る積層管の製造装置を利用して積層管を製造する時の巻回状態を示した図である。
【図6】図5のB−B線方向から見た積層管の巻回部分を示した詳細断面図である。
【図7】本発明に係る積層管製造装置を示した側面構成図である。
【図8】本発明に係る積層管製造装置を示した正面構成図である。
【図9】図8のC−C線方向から見た中間投入機を示した図である。
【図10】本発明の他の実施例に係る積層管の巻回部分を示した詳細断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合合成樹脂材からなる多重積層管を製造するための積層管製造装置及びその方法に係るもので、特に、内圧強度及び外圧強度が向上されて気密性にも優れた積層管を製作し得る積層管製造装置及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1及び図2は特許文献1に開示された図で、この公告発明には「三重管、三重管製造装置及びその方法」が掲示されている。
【0003】
図面を参考しながら公告発明の主な内容を説明すると次の通りである。
【0004】
図1に示された三重管1は、帯状に押出されて一方側が重なるように巻回された内皮2と、上記内皮2上に一方側が重なるように巻回され、重なった部分は圧着された中間層3と、上記中間層3上に一方側が重なるように巻回され、重なった部分が圧着された外皮4と、により構成され、上記内皮2、中間層3及び外皮4が熱融着されて形成された構造である。
【0005】
ここで、上記外皮4及び内皮2にはPEが使用され、上記中間層3にはリサイクル材が使用されて構成されている。
【0006】
このような公告発明の三重管の製造方法に対し、図2を参照して説明すると次の通りである。
【0007】
一つのノズル(未図示)から帯状に押出された内皮2は、巻き取り機のローラ(未図示)の上面で巻回され、この時、図2の(イ)のように一側部分が互いに重なって巻かれる。
【0008】
上記巻き取り機の上面に内皮2が巻かれると、その上面に他のノズルから帯状に押出された中間層3が一方側が互いに重なるようにして図2の(ロ)のように巻かれる。上記中間層3がノズル13から排出されて内皮2の上面に巻回されると、内皮2と中間層3及び中間層3同士は熱融着され、冷却装置からの散水により冷却される。
【0009】
この時、上記中間層3の重なる部分と上記内皮2の重なる部分とは互いにくい違うように配置される。
【0010】
上記中間層3に対する巻回が終了すると、図2の(ロ)のようにローラ30を利用して上記中間層3の重なる部分を内側に圧着させて、図2の(ハ)のように上記中間層3の外側をある程度平らにする。
【0011】
上記中間層3に対するローラ30圧着が終了すると、さらに別のノズルから帯状に押出された外皮4が一方側が互いに重なるようにして上記中間層3の上面に巻回される。この時も上記外皮4の重なる部分は、上記中間層3の重なる部分と互いにくい違うようにして図2の(ニ)のように巻かれる。
【0012】
さらに別のノズルから排出された上記外皮4は、まだ冷却されてない上記中間層3の外側に巻回されながら熱融着されるとともに冷却装置により冷却される。
【0013】
上記外皮4の巻回が終了すると、図2の(ニ)のようにローラ31を上記外皮4の重なる部分に接させ圧着させて、三重管1の最終断面形態が図2の(ホ)のように形成されるようにして最終的な冷却を行う。
【0014】
以上のような方法により製造される三重管1は、巻き取り機の補助作業台を経由しながら長く製造され
、このように製造された三重管は所望の長さに切断して出荷される。
【0015】
しかし、上記公告発明に掲示された三重管は、それぞれの層が巻回される時、互いに重なった構造だけで形成されるのでより強力な外部衝撃に十分に対応することができず、また、内圧強度及び引張強さを向上させるにも限界があるという問題点があった。
【0016】
特に、上記三重管は、隣接した各層が互いに異なる素材により形成された場合に、互いの結合剛性が脆弱になり、そのため内外から熱衝撃などが加えられる場合に異なる素材により形成された各層が相互分離されたり亀裂されて積層管の強度が著しく低下する恐れもある問題点があった。
【0017】
さらに、上記公告発明は、それぞれの層がほぼ一列に巻回されて一部だけが重なった構造に形成されるため、何れ一つの層、例えば、中間層3の膜厚を相当な程度まで大きくするには限界があり、公告発明に記載された通り中間層3を所定以上の膜厚に形成するためには一つの層を二重または三重に分離排出しながら巻回させるべきであるという問題点もあった。
【0018】
また、上記公告発明を包含する従来の積層管製造装置及び方法は、複合廃プラスチック素材を適当な膜厚で絶えずに持続的に供給することが困難で、中間層の膜厚調節や溶融状態の調節も容易ではないため、生産性が低下して、積層管の品質も低下する問題点があった。
【特許文献1】大韓民国公告特許10-0290302号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、内圧強度及び外圧強度に優れて、熱衝撃に対しても十分な剛性を持つようにして管の耐久性及び信頼性を向上させる積層管を製造し得る、積層管製造装置及びその方法を提供することを目的とする。
【0020】
そして、本発明は、内層及び外層のシートは押出方式により供給し、中間層はローラを用いた引出し方式により供給するように構成することで、リサイクル素材により構成された中間層素材が絶えることなく円滑に供給され、中間層素材の膜厚調節や溶融状態の調節が簡便で、管の製造が容易で管の品質向上に寄与することができる積層管製造装置及びその方法を提供することを目的とする。
【0021】
また、本発明は、積層管を形成する時、既に積層されたシートに冷却水を供給してある程度冷却させた後、その上に圧縮空気を噴射して水分を除去して新しいシートを積層するように構成することによって各層間の結合力を高めて完成された管の強度及び密度を増加させ、より優れた品質の積層管を製造することができる積層管製造装置及びその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題を実現するため本発明に係る積層管製造装置は、円筒構造を有する巻き取り機及びこれを回転駆動させる駆動手段と;上記巻き取り機に積層管の内層及び外層を形成するために樹脂材をシート状に押出する内層押出機及び外層押出機と;中間層を形成するために溶融状態の物質を一対の引出しローラを利用してシート構造に引き出す中間投入機と;上記巻き取り機の側面に位置され上記巻き取り機に多層構造に積層されたシートを押さえて圧着させる圧着ローラと;を包含することを特徴とする。
【0023】
この時、上記積層管製造装置は、上記巻き取り機の周辺に配置されて上記巻き取り機にそれぞれの樹脂材シートが巻回される時に冷却水を噴射する冷却水噴射機構を更に含んで構成されることが好ましい。
【0024】
また、上記積層管製造装置は、上記巻き取り機の回転方向に上記冷却水噴射機構の裏側に位置されて、巻回された部分の表面に存在する水気を除去する水分除去機構を更に含んで構成されることが好ましい。
【0025】
ここで、上記水分除去機構は、圧縮空気を噴射できる構造を有することが好ましい。
【0026】
そして、上記冷却水噴射機構は、上記巻き取り機の下部側から巻回された樹脂材に冷却水を噴射し得るように配置されて、上記水分除去機構は、上記巻き取り機の上部側から巻回された樹脂材に圧縮空気を噴射し得るように構成されることが好ましい。
【0027】
この時、上記水分除去機構は、上記巻回された樹脂材の表面に対して傾斜した方向から圧縮空気を噴射するように構成されることができる。
【0028】
上記中間投入機は、中間層を形成するための溶融状態の物質が貯蔵される投入桶と、上記投入桶の下部に位置され、駆動手段により回転駆動されながら溶融状態の物質を引き出す一対の引出しローラと、上記一対の引出しローラ間の間隔を調節し得る間隔調節装置と、を包含して構成されることが好ましい。
【0029】
上記引出しローラは、その内部に引出される溶融物質を冷却させるように冷却水が通過するように構成されることが好ましい。
【0030】
また、上記課題を実現するため本発明に係る積層管の製造方法は、複数の廃プラスチックを回収し紙、金属、ガラス、布などの非プラスチック成分を除去して、純粋なプラスチック成分だけを選別する廃プラスチック選別段階と;上記廃プラスチック選別過程で選別されたプラスチックを所定サイズ以下に粉砕する複合廃プラスチックの粉砕段階と;上記粉砕された複合廃プラスチックを2軸スクリュー溶融機に投入し熱を加えて一定温度で一定状態まで溶融させながら混合する溶融及びミキシング段階と;上記溶融及びミキシング段階を経由した複合廃プラスチックを一対の引出しローラを用いた中間層投入機により所定の膜厚及び幅を有するシート状に形成して引き出す中間層シート形成段階と;上記中間層を形成するシートと共に内層押出機及び外層押出機を利用して積層管の内層及び外層を形成するための樹脂材シートを押出し巻き取り機からスパイラル方式で連続的に巻回させて円筒形の管状を成形する積層管形成段階と;上記段階で形成された積層管に冷却水を噴射して冷却し、所望の長さに積層管を切断して完成する積層管の冷却及び完成段階と;を順次行うことを特徴とする。
【0031】
上記溶融及びミキシング段階は、粉砕された複合廃プラスチックを1次及び2、3次過程を経由して溶融しミキシングするものの、1次溶融過程における加熱温度は240℃〜280℃とし、2、3次過程における加熱温度は上記1次溶融過程の温度よりも低い180℃〜220℃に設定することが好ましい。
【0032】
また、上記中間層シート形成段階において、シートの供給は二つの引出しローラを通して引出される中間層シートを上から下に自然落下する方式で供給することが好ましい。
【0033】
上記積層管形成段階において、それぞれの層を形成するシートが巻かれる時、層と層の間または各層の表面に冷却水を直接噴射して瞬間冷却させることが好ましい。この時、上記瞬間冷却温度は、100℃〜150℃に設定することができる。
【0034】
上記冷却水を噴射して冷却されると、冷却された各層の表面に新しい層が巻かれる直前に圧縮空気を集中噴射して水分を除去することが好ましい。
【0035】
また、上記課題を実現するため本発明に係る積層管の製造方法においては、積層管の中間層を形成するシートと共に積層管の内層及び外層を形成するための樹脂材シートを巻き取り機に供給しながら、スパイラル方式で連続的に巻回させて円筒形の管状に成形して積層管を形成するものの、それぞれの層を形成するシートが巻かれる時、層と層の間または各層の表面に冷却水を直接噴射して瞬間冷却させた後、この冷却された層の表面に新しい層が巻かれる直前に圧縮空気を集中噴射して水分を除去することを特徴とする。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係る積層管製造装置及びその方法は、内圧強度及び外圧強度に優れ、熱衝撃に対しても十分な剛性を有するようにして管の耐久性及び信頼性を向上し得る積層管を製造することができる利点がある。
【0037】
特に、本発明は、内層及び外層のシートは押出方式により供給し、中間層はローラを用いた引出し方式により供給して積層管を製造するので、廃プラスチックなどリサイクル素材からなる中間層素材が絶えることなく円滑に供給され、これに伴い積層管の製造が容易になり、また中間層の供給過程で二つのローラを利用して素材の膜厚及び溶融状態を容易に調節して所望のサイズの積層管を效果的に生産することができる利点がある。
【0038】
また、本発明は、積層管を形成する時、積層されたシートに冷却水を供給してある程度冷却した後、圧縮空気を噴射して水分を除去し、その上に新しいシートが積層されるように構成されるため、積層される各層間の結合力を高めて積層管の強度及び密度を増加させることが可能で、全体的に管の品質向上に寄与することができる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明に係る積層管の製造装置においては、円筒構造を有する巻き取り機及びこれを回転駆動させる駆動手段と;上記巻き取り機に積層管の内層及び外層を形成するために樹脂材をシート状に押出する内層押出機及び外層押出機と;中間層を形成するために溶融状態の物質を一対の引出しローラを利用してシート構造に引き出す中間投入機と;上記巻き取り機の側面に位置され上記巻き取り機に多層構造に積層されたシートを押さえて圧着させる圧着ローラと;を包含して構成される。
【0040】
そして、本発明に係る積層管の製造方法においては、複数の廃プラスチックを回収し紙、金属、ガラス、布などの非プラスチック成分を除去して、純粋なプラスチック成分だけを選別する廃プラスチック選別段階と;上記廃プラスチック選別過程で選別されたプラスチックを所定サイズ以下に粉砕する複合廃プラスチックの粉砕段階と;上記粉砕された複合廃プラスチックを2軸スクリュー溶融機に投入し熱を加えて一定温度で一定の状態まで溶融させながら混合する溶融及びミキシング段階と;上記溶融及びミキシング段階を経由した複合廃プラスチックを一対の引出しローラを用いた中間層投入機により所定の膜厚及び幅を有するシート状に形成して引き出す中間層シート形成段階と;上記中間層を形成するシートと共に内層押出機及び外層押出機を利用して積層管の内層及び外層を形成するための樹脂材シートを押出し巻き取り機からスパイラル方式で連続的に巻回させて円筒の管状を成形する積層管形成段階と;上記段階で形成された積層管に冷却水を噴射して冷却し、所望の長さに積層管を切断して完成する積層管の冷却及び完成段階と;を順次行う。
【0041】
また、本発明に係る積層管の製造方法においては、積層管の中間層を形成するシートと共に積層管の内層及び外層を形成するための樹脂材シートを巻き取り機に供給しながら、スパイラル方式で連続的に巻回させて円筒の管状に成形して積層管を形成するものの、それぞれの層を形成するシートが巻かれる時、層と層の間または各層の表面に冷却水を直接噴射して瞬間冷却させた後、この冷却された層の表面に新しい層が巻かれる直前に圧縮空気を集中噴射して水分を除去するように構成される。
【実施例】
【0042】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施例を説明すると次の通りである。
【0043】
本発明の実施例では3重管を製造する装置及び方法に関して主に説明するが、これに限定されず、実施条件によっては2重管または4重管を包含するその以上の多重管を製造するにも適用することができる。
【0044】
図3は、本発明の一実施例に係る積層管が示された一部切開図及び切り欠きされた部分の要部拡大図で、図4は、図3のA−A線方向の断面図である。
【0045】
図示されたように、本発明の一実施例に係る積層管50は、内層51、中間層52及び外層53の三つの層が相互積層されて構成され、それぞれの層51、52、53を構成する素材はPEのような合成樹脂材からなることが好ましい。
【0046】
ここで、上記中間層52は、複合廃プラスチック原料を用いたリサイクル材を溶融させて構成することが好ましい。中間層のより詳しい原料比率などは後述する。
【0047】
上記各層51、52、53は、溶融された合成樹脂材などが所定の幅を有した長いシート状に押出されながら螺旋構造に巻回されて相互融着硬化されることにより形成される。
【0048】
特に本発明では、それぞれの層を形成するためにシート形状を巻回させる時、ある一つの層を形成するためのシートの一方端部が、その内側に形成される層またはその外側に形成される層が巻回される時、巻回された部分の間に挟まれた状態で巻回されて形成される。
【0049】
即ち、図3を参照すれば、外層53は一部分53aが中間層52の間に挟まれた状態で形成され、上記内層51は一部分51aが中間層52の間に挟まれた状態で形成される。
【0050】
本発明の一実施例では三つの層51、52、53の全てが相互挟まれて結合された構成を例示しているが、実施条件によっては外層53だけが中間層52に挟まれたり、または中間層52だけが内層51に挟まれるように構成することもできる。
【0051】
また、上記三つの層51、52、53は、それぞれ自分の層を形成する巻回部分が互いに重なった状態で巻回されながら一つの層を形成するように構成される。
【0052】
上述したように三つの層51、52、53がそれぞれ互いに重なって巻回されると共に隣接した他の層の間に挟まれた状態で巻回されて積層管が形成されると、各層51、52、53間の結合強度が大幅に増大して、圧縮強度及び引張強さが向上されると同時に内、外部からの熱衝撃に対する耐久性も高まるようになる。
【0053】
更に、本発明は、上記三つの層51、52、53中、相対的に膜厚の厚い層を巻回させる時、管の長手方向に対して傾斜した方向で相互重なるように巻回させて形成することが好ましい。本実施例では中間層52を管の長手方向に対して傾斜した方向で相互重なるように巻回させた構造を例示した。
【0054】
このような構成される本発明に係る積層管の巻回積層構造に対し、図5及び図6を参照して詳しく説明する。
【0055】
図5は、本発明に係る積層管の製造装置を利用して、一実施例の積層管を製造する時の巻回状態を示した図で、図6は、本発明に係る一実施例の積層管を製造する時の巻回部分を示した詳細断面図である。
【0056】
図示したように、本発明の積層管50は、後述する押出機及び投入機から押出された各層51、52、53を形成する各シート51P、52P、53Pが巻き取り機60に巻かれながら相互積層されると共に熱融着され、その後冷却硬化されることによって形成される。
【0057】
ここで、上述したように本発明の積層管50が、外層53の一部分が中間層52に挟まれこの中間層52は内層51の間に挟まれた状態(積層後の形態は内層が中間層に挟まれた状態になる)に製作されるために、図5に示したように外層53を形成するシート53Pの一側端部53a(図面の左側部分)が中間層52を形成するシート52Pの下部に位置するように配置され、中間層52を形成するシート52Pの一側端部52aは内層51を形成するシート51Pの下部に位置するように配置される。
【0058】
この時、上記中間層のシート52Pと重なる外層及び内層のシート53P、51Pの幅は、中間層を形成するシート52Pの重なった部分の間に挟まれる程度の幅であれば十分で、外層及び内層のシート53P、51Pで挟まれてない部分の幅は、その前に巻かれた自分のシート上に重なる程度の大きさを持つ幅に形成されることが好ましい。
【0059】
図6はこのように積層される構造が詳しく示され、図5に示したように内層51、中間層52、外層53を形成する各シート51P、52P、53Pの一部が互いに重なった状態で巻き取り機60に巻回される場合、図6と同様に管の長手方向に対して傾斜して巻回される中間層52のシートとシート間に外層53のシートの一部が挿入された状態で巻回され、中間層52を形成するシートも内層51を形成するシートの間に挿入された状態で巻かれながら多層構造を有するようになる。
【0060】
このようにして外層53まで巻回された後、圧着ローラ65で加圧して外層53を押さえると、硬化されてない溶融状態のそれぞれの層51、52、53が相互熱融着されながら圧着されて、多層構造を有する積層管を形成するようになる。
【0061】
また、上記中間層52は傾斜した方向で重なりながら巻回されるので、内層51と外層53に比べてかなり厚く形成することができる。
【0062】
次に、上述したような本発明の積層管を製造するための積層管の製造装置を説明する。
【0063】
図7は、本発明に係る積層管の製造装置を示した側面構成図、図8は、本発明に係る積層管の製造装置を示した正面構成図、図9は、図8のC−C線方向から見た中間投入機を示した図、である。
【0064】
本発明に係る積層管の製造装置においては、図7及び図8に示したように、複数の巻回ローラ61が円筒構造に配列された巻き取り機60と、この巻き取り機60を回転駆動させる駆動手段の巻回モータ63と、上記巻き取り機60に内層51及び外層53を形成するための樹脂材をシート形状に押出する内層押出機71及び外層押出機73と、中間層52を形成するために溶融状態のシートを投入する中間投入機72と、上記巻き取り機60の側面に位置され上記巻き取り機60に多層構造に積層されたシートを押さえて圧着させる圧着ローラ65と、上記巻き取り機60の周辺に配置されて上記巻き取り機にそれぞれの樹脂材シートが巻回される時冷却水を噴射する冷却水噴射機構67と、上記巻き取り機60の回転方向から上記冷却水噴射機構67の裏側に位置されて巻回された部分の表面に存在する水気を除去する水分除去機構68と、を備えて構成されている。
【0065】
ここで、上記中間投入機72、内層押出機71及び外層押出機73は上述したようにそれぞれの層51、52、53を形成するためのシート51P、52P、53Pが相互重なった状態で上記巻き取り機60に巻かれるように配置されて構成される。
【0066】
参考に、図7及び図8において内層押出機71及び外層押出機73は溶融樹脂物が押出されるようにスロットが形成された台だけを図示しているが、通常の押出機のように溶融樹脂物を供給する装置と連結して構成することも可能で、それらの位置も上述したようにそれぞれの層51、52、53が積層される時隣接した層の間に挟まれるように押出することができる構造であれば、実施条件に応じて多様に位置を変更することができる。
【0067】
図7において、内層押出機71の台は外層押出機73の下部に位置する構成になっているが、これは一つの実施例による配置構成であり、その他に内層押出機71の台を中間投入機72の左側に位置させて配置する構成も可能である。
【0068】
一方、図10に示したように、それぞれの層51、52、53が積層される時隣接した層の間に挟まれない構造で積層管を製造することも可能で、その時にはそれに適合するように上記各押出機71、73及び中間投入機72の位置を設けることができる。
【0069】
次に、上記中間投入機72の構成に関し詳しく説明する。
【0070】
上記中間投入機72は、溶融状態の物質が貯蔵される投入通72Aを備え、この投入通72
A の下部には溶融状態の物質を排出させるためにモータ72Cにより駆動される一対の引出しローラ72Bが構成される。
【0071】
これを図9を参照して詳細に説明すると、間隔調節装置85により間隔調整が行われる二つの引出しローラ72Bが並んで配置され、それら二つの引出しローラ72Bはモータ72Cにより回転駆動されながら中間層を形成するためのシート52Pを排出する。
【0072】
ここで、上記間隔調節装置85は、二つの引出しローラ72Bの間隔を調節することによってその間から排出される中間層のシート52Pの膜厚を調節できる。図面符号86は、上記間隔調節装置85の間隔を調節するための膜厚調節用ハンドルを示す。
【0073】
上記間隔調節装置85は、二つのローラ72Bを軸持する軸受89などの軸持構造物90の位置を変更することによって上記二つのローラ72B間の間隔を調節するように構成することができる。
【0074】
即ち、上記二つのローラ72Bは各軸88を中心に回転するが、それら軸88は軸持構造物90に軸受89を介して軸持される。従って、上記間隔調節装置85は、軸受89を軸持する軸持構造物90間の間隔を調節することによって上記二つのローラ72B間の間隔を調節することが可能で、上記膜厚調節用ハンドル86は軸持構造物90にターンバックル方式のねじ結合などで連結され上記二つのローラ72B間の間隔を調節するように構成することができる。
【0075】
また、上記二つの引出しローラ72Bはそれらの内部に冷却水が通過するように構成され、これは中間層52を形成するための溶融物質が上記二つのローラ72B間を通過しながら引出される時、若干固まった状態、即ち、適切に硬化されて溶融された状態で所定膜厚を有する形状で連続して引き出されるように構成されたものである。従って、上記二つの引出しローラ72Bは、その内部に冷却水が通過し得るように円筒形構造に形成され、一方側に冷却水投入口81、他方側に冷却水排出口83がそれぞれ位置される。
【0076】
この時、両方側の上記冷却水投入口81及び冷却水排出口83は、上記引出しローラ72Bの軸88に結合される構成を有することが好ましく、この場合、管型構造を有する上記冷却水投入口81及び冷却水排出口83が回転体の引出しローラ72Bの軸88の内部に挿入された構成を有することが好ましい。
【0077】
もちろん、上記冷却水投入口81及び冷却水排出口83を形成する管体と上記ローラの軸88との間には冷却水の漏水を防止する通常のシーリング部材が設けられることが好ましい。
【0078】
一方、上記中間層52を複合廃プラスチックを用いたリサイクル素材でなく一般溶融樹脂を利用して製造する場合に、上述したように構成される中間投入機72を利用せず、上記内層押出機71及び外層押出機73と同様または類似の押出機を利用して積層管を製造することも可能である。
【0079】
次に、上記冷却水噴射機構67及び水分除去機構68に関して説明する。
【0080】
上記冷却水噴射機構67は、図5及び図7に示したように、一つまたは複数(好ましくは3〜5ケ)のノズルが配置されて、上記巻き取り機60の下部側から巻回された樹脂材に冷却水を噴射できるように配置される。
【0081】
この時、上記冷却水噴射機構67は、上記巻き取り機60の両側面下部にそれぞれ配置することが好ましい。
【0082】
上記水分除去機構68は、圧縮空気を噴射し得るノズル構造を有することが好ましく、上記冷却水噴射機構67が上記巻き取り機60の下部側に位置される反面、上記水分除去機構68は上記巻き取り機60の上部側から巻回された樹脂材に圧縮空気を噴射できるように配置される。
【0083】
また、図5に示したように上記水分除去機構68は、樹脂材の表面に残存する水気、即ち水分をより容易に除去できるように、巻回された樹脂材の表面に対して傾斜した方向から圧縮空気を噴射するように構成されることが好ましい。
【0084】
一方、本発明に係る積層管の製造装置は、上記巻き取り機60に巻回されて形状が完成された積層管を完全に硬化させるために冷却装置を備えて構成され、この冷却装置は、上記巻き取り機60の内側や外側から上記積層管50に冷却水を噴射できるように構成される。このような冷却装置の構成は公知の構成であるためここでは詳しい説明は省略する。
【0085】
以上のような本発明に係る積層管の製造装置を利用して本発明の一実施例に係る積層管の製造過程を簡単に説明すると次の通りである。
【0086】
図8に示したように、巻回モータ63が回転すると巻き取り機60が回転され、このような状態で内層押出機71、外層押出機73及び中間層投入機72が作動してそれぞれの層を形成するためのシート51P、52P、53Pを排出する。
【0087】
そして、このように排出されたそれぞれのシート51P、52P、53Pは上記回転する巻き取り機60に巻かれながら積層され、この時、図6に示したように外層を形成するシート53Pの一部が中間層を形成するシート52Pの一部に重なり、同時に中間層を形成するシート52Pの一部が内層を形成するシート51Pの一部に重なって上記巻き取り機60に巻かれる。
【0088】
図6において、点線部分は上記巻き取り機60に巻かれる直前の状態を示し、実線部分は上記巻き取り機60に巻かれた後、圧着ローラ65の加圧により互いに融着された状態を示す。
【0089】
このようにしてそれぞれの層51、52、53が積層されると、図3及び図6に示したように、内層51と外層53の一部が中間層52に挟まれた状態で積層されて形成される。
【0090】
次いで、冷却装置(未図示)を利用して上述したように積層された管の内側または外側から冷却水を噴射すると、互いに熱融着された積層部分が硬化されながら3重積層管を形成するようになる。
【0091】
上述した一実施例の積層管を含む本発明に係る積層管の製造方法に関し、具体的に説明すれば次の通りである。
【0092】
本発明に係る積層管の製造方法は、積層管50の中間層52Pを複合合成樹脂、即ち、複合廃プラスチックにより製造する場合を中心に説明する。
【0093】
本発明に係る積層管の製造方法においては、一種類以上の廃プラスチックを回収して紙、金属、ガラス、布などの非プラスチック成分を除去し、純粋なプラスチック成分だけを選別する廃プラスチック選別段階と;上記廃プラスチック選別過程で選別されたプラスチックを所定サイズ以下に粉砕する複合廃プラスチックの粉砕段階と;上記粉砕された複合廃プラスチックを2軸スクリュー溶融機に投入し熱を加えて所定温度で一定状態まで溶融させながら混合する溶融及びミキシング段階と;上記溶融及びミキシング段階を経由した複合廃プラスチックを一対の引出しローラ72Bを用いた中間層投入機72を通し一定の膜厚及び幅を有するシート状に形成して引き出す中間層シート形成段階と;上記中間層52を形成するシートと共に内層押出機71及び外層押出機73を利用して積層管の内層51及び外層53を形成するための樹脂材シートを押出して巻き取り機60からスパイラル方式により連続的に巻回させて円筒形の管形状を成形する積層管形成段階と;上記段階で形成された積層管に冷却水を噴射して冷却し、所望の長さに積層管を切断して完成する積層管冷却及び完成段階と;を順次行う。
【0094】
上記のような積層管の製造方法の各段階に対して詳細に説明する。
【0095】
先ず、上記複合廃プラスチックの選別段階は、多様な種類の廃プラスチックを回収して紙、金属、ガラス、布などの非プラスチック成分を除去し、純粋なプラスチック成分だけを選別する。これは複合廃プラスチック素材に金属成分などの異質物が混合されると、積層管の成形が不可能になったり、品質が低下するからである。
【0096】
ここで、複合廃プラスチックを粉砕加工する前に必ずプラスチックの種類別比率を一定にしなければならない。これは上記した中間層投入機72を利用して積層管を製造する時、シート状に成形及び管形状に成形するためには一定の程度の引張り力及び応力が必ず必要で、そのために原料の配合が重要になる。
【0097】
複合廃プラスチックの好ましい使用原料比率を説明すれば次の通りである。
【0098】
PE素材50%以上、PP素材10%以内、PET素材10%以内、PS素材10%以内、PA素材10%以内、その他の素材(PC、ABS、PMMA、PBT等)5%以内とするがPVCは除外、有機物(アルミニウム及び土等)、強化剤(補強剤5%未満)の割合で造成することが好ましい。
【0099】
もちろん、このような原料の比率は実施条件に応じて適切な範囲内で調節することができる。即ち、一つの廃プラスチック原料だけを使用することも可能で、2種類以上の廃プラスチック原料を使用することも可能である。但し、最も好ましい組成比としては上述した組成比を有することが好ましい。
【0100】
次に、上記複合廃プラスチックの粉砕段階は、公知の粉砕機内で行われ、粉砕機内で上記多様な種類のプラスチックを所定サイズ以下に粉砕しながら均一に混合する。この段階で細かく粉砕した原料は以後の溶融過程で少熱源を利用しても容易に溶融されるので、エネルギーの節約はもちろん機械の老朽化を予防することもできる。
【0101】
次に、上記溶融及びミキシング段階は、1次溶融及びミキシング過程と、2、3次溶融及びミキシング過程と、に構成される。
【0102】
1次溶融及びミキシング過程は、上記粉砕段階で粉砕された複合廃プラスチックを2軸スクリュー溶融機に投入し熱を加えて所定温度で一定状態まで溶融させる。この時、粉砕された複合廃プラスチックは均一に混合されて溶融される。
【0103】
ここで、2軸スクリュー溶融機は、二つのスクリューが並んで配置されて互いに反対方向に回転しながら粉砕された複合廃プラスチック原料を強制的に投入して混合する公知の機器であって、所望の吐き出し量を調整するために速度可変方式を利用することが好ましい。
【0104】
また、上記2軸スクリュー溶融機に提供される熱源としては、ガス、軽油、電気などを利用するバーナーが挙げられ、この中から実施条件に応じて選択的に利用すればよい。この時、上記2軸スクリュー溶融機の加熱温度は所定範囲内を維持することが好ましく、好ましい加熱温度は240℃〜280℃の間が適当である。
【0105】
加熱温度が280℃を越えると、複合廃プラスチック原料中、相対的に溶融温度の低いPEなどが燃焼したり物性が変わるようになり、また、240℃よりも低くなると、複合廃プラスチック原料中相対的に溶融温度の高いPETなどの溶融状態が悪くなって圧力が発生して排出速度が遅くなり、シート成形あるいは積層管の成形が不可能になるという問題が発生する。
【0106】
2次、3次溶融及びミキシング過程は、上記1次溶融及びミキシング過程後で吐き出される溶融原料を2次あるいは必要な場合3次溶融機に供給して再度溶融及びミキシングを実施する。
【0107】
このような2次、3次溶融及びミキシング過程は、上記1次溶融過程を通過した原料をさらに細かくて緻密な構造に形成すると共に互いに異なる物性同士が完壁に混合されるようにして、中間層52を構成する材料の物性をより強く堅固にするためのものである。
【0108】
また、2次、3次溶融及びミキシング過程で水分及びガスを排出させて原料の内部に気孔(気泡)が生じることを防止することで、材料の強度及び密度を増加させることが可能で、これは積層管の品質向上に寄与する。
【0109】
2次、3次溶融及びミキシング過程で用いられる熱源は、上記1次溶融及びミキシング過程で使われたものと同様のバーナーなどを利用することができる。
【0110】
この時の加熱温度は、上記1次溶融及びミキシング過程の温度よりも低い180℃〜220℃の間が適切で、加熱方式は2次、3次溶融機の外部を加熱してスクリューの温度を所定範囲内に維持する方式とする。
【0111】
ここで、2次、3次溶融温度を1次溶融温度よりも低くする理由は、1次溶融過程で中間層52を構成する素材が溶融された状態にあるので、相対的に低い温度で加熱して溶融状態を維持しながらも、原料の物性が低下したり、硬化されて排出する速度が遅くなることを防止することができるからである。
【0112】
2次、3次溶融及びミキシング過程は実施条件によっては省略することもできるが、品質向上のためには1次溶融及びミキシング過程後に実施することが好ましく、必要な場合は3次以上の溶融及びミキシング過程を進行することもできる。
【0113】
次に、上記中間層シート成形段階においては、上記中間層投入機72に原料が供給されると、図7に示したように中間層投入機72を介して所定膜厚及び幅を有するシートに形成されながら、中間層を構成するシート52Pが供給される。
【0114】
この時、中間層52を形成するシート52Pの膜厚及び幅は積層管の管径によって変化され、好ましくは、膜厚は4mm〜10mm、幅は100mm〜500mm程度に供給することが好ましく、このような膜厚及び幅は二つの引出しローラ72Bを通して形成される。
【0115】
引出しローラ72Bにより引出されるシート52Pは、上から下へ自然落下する方式により自然に流れて供給されるので、シート供給過程で絶えず連続的に供給されて生産性向上に寄与することができる。
【0116】
この時、中間層を形成するシート52Pは流れながら周辺空気により10%〜20%ほどの温度が冷却される。これはシートの一定した物性、即ち、ある程度の引張り力及び密度そして温度が維持されてこそ成形が可能になるが、上記した複合廃プラスチックの選別過程、粉砕過程、溶融及びミキシング過程を経由しながら異質物及び気泡が除去され、その後中間層投入機72を通して供給する過程である程度冷却されることによって中間層を形成するシート52Pが供給過程で切断されたり、管を形成するとき形状が不規則になったりするという問題を解決することができる。
【0117】
次に、上記積層管を形成する段階は、図7及び図8に示したように巻き取り機60に上記中間層投入機72、内層押出機71及び外層押出機73により供給されたそれぞれのシート51P、52P、53Pを巻き取り機60からスパイラル方式により連続的に巻回させて円筒形の管を成形する。
【0118】
この時、内層押出機71及び外層押出機73から押出される素材は、リサイクル素材でなく新しいPE素材を利用することが好ましい。
【0119】
このような過程を経由して生産される積層管は、図3乃至図5を中心に説明した積層管のように形成されるか、または、図10に示したように中間層シート52Pと内層及び外層のシート51P、53Pとが互いに挟まれてない積層管に製作することができる。即ち、積層管の構造は中間層52と、内層51及び外層53に構成され、中間層52は複合廃プラスチックのシートを通常3層〜6層の重畳された構造の形状に巻いて形成して、内層51及び外層53は新素材PEを1層〜2層に重畳されるように重ねて接合し、全体的に4層〜8層に重畳された構造に接合させて製作する。
【0120】
ここで、上記中間層52はシートの幅が広くなるほど重なる数が増えるので、相対的に膜厚の厚い管を生産する時、シート52Pの幅を大きくすることで中間層52の層数を大きくして厚い管を容易に生産することができる。
【0121】
また、上述したように内層51、中間層52及び外層53の素材となるシートを互いに重ねながら巻回する時、ある程度冷却が行われてこそ層間結合が完璧になる。
【0122】
そのために、それぞれの層51、52、53を形成するシートが巻かれる時、層と層との間及び各層の表面に上記冷却水噴射機構67を利用して冷却水を直接噴射して100℃〜150℃程度に瞬間冷却をさせる。
【0123】
以後、このように冷却された各層の表面に新しい層が巻かれる直前に水分除去機構68を利用して圧縮空気を集中噴射して水分を除去する。これは巻回された層の表面に瞬間冷却のために冷却水が噴射された状態でそのまま新しい層が巻かれる場合、水分により層間剥離現象が発生する恐れがあるので、圧縮空気を噴射して水分を除去することで層間剥離現象を防止するためである。
【0124】
そして、各層のシートが積層されると、圧着ローラ65を利用して各層間の結合が完全になるように圧力を加えて圧着させる。
【0125】
従って、冷却水噴射過程を経由することで加熱された各層を所定温度以内に冷却させることによって積層管の成形が容易になると共に形状にも優れて、生産時間も大幅に短縮することができる。また、圧縮空気を利用して冷却水により発生した水分を除去することで層間分離現象を防止することができる。特に、このような冷却及び水分除去過程とともに各層に残っている残熱(100℃〜120℃程度)が相互作用するので層間接着が非常に堅固になり、層間の区別がつかないほど一体型の構造を有するようになって、全体的に剛性が増大して品質に優れた積層管の生産が可能になる。
【0126】
次に、積層管を冷却水により直接冷却する段階は、積層管の成形後に冷却水を管の内部及び外部に投入して流せることで成形された管を持続的に冷却させる過程である。このように積層管が所定長さに形成されるまで持続的に冷却することで生産量を増大させることが可能で、積層管の成形時に発生する変形やゆがみを防止し得ると共に内、外面を滑らかにすることができる。
【0127】
次に、積層管を切断して完成する段階は、生産、冷却された積層管を所望の長さに切断して完成品に製造する。
【産業上の利用可能性】
【0128】
上述したような本発明に係る積層管の製造装置及び方法は、内圧強度及び外圧強度に優れ、熱衝撃にも十分な剛性を持つようにして管の耐久性及び信頼性を向上し得るという効果がある。
【0129】
特に、本発明は、内層及び外層のシートは押出方式により供給し、中間層はローラを用いた引出し方式により供給して積層管を製造するため、廃プラスチックなどのリサイクル素材を利用した中間層素材を絶えずに円滑に供給することが可能で、そのため積層管の製造が容易になり、また、中間層供給過程で二つのローラを利用して素材の膜厚及び溶融状態を容易に調節することができるので所望の大きさの積層管を效果的に生産し得るという効果がある。
【0130】
また、本発明は、積層管を形成する時、積層されたシートに冷却水を供給して一定程度冷却した後、圧縮空気を噴射して水分を除去し、その上に新しいシートが積層されるように構成されるため、相互積層される各層間の結合力を高めて積層管の強度及び密度を増加させ、全体的に管の品質向上に寄与することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】従来積層管が示された図である。
【図2】従来積層管の製造方法が示された図である。
【図3】本発明の一実施例に係る積層管が示された図及びその要部拡大図である。
【図4】図3のA−A線方向からの断面図である。
【図5】本発明に係る積層管の製造装置を利用して積層管を製造する時の巻回状態を示した図である。
【図6】図5のB−B線方向から見た積層管の巻回部分を示した詳細断面図である。
【図7】本発明に係る積層管製造装置を示した側面構成図である。
【図8】本発明に係る積層管製造装置を示した正面構成図である。
【図9】図8のC−C線方向から見た中間投入機を示した図である。
【図10】本発明の他の実施例に係る積層管の巻回部分を示した詳細断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒構造を有する巻き取り機及びこれを回転駆動させる駆動手段と、
上記巻き取り機に積層管の内層及び外層を形成するために樹脂材をシート状に押出する内層押出機及び外層押出機と、
中間層を形成するために溶融状態の物質を一対の引出しローラを利用してシート構造に引き出す中間投入機と、
上記巻き取り機の側面に位置され上記巻き取り機に多層構造に積層されたシートを押さえて圧着させる圧着ローラと、を包含することを特徴とする積層管製造装置。
【請求項2】
上記積層管製造装置は、上記巻き取り機の周辺に配置されて上記巻き取り機にそれぞれの樹脂材シートが巻回される時に冷却水を噴射する冷却水噴射機構を更に含んで構成されることを特徴とする請求項1記載の積層管製造装置。
【請求項3】
上記積層管製造装置は、上記巻き取り機の回転方向に上記冷却水噴射機構の裏側に位置されて、巻回された部分の表面に存在する水気を除去する水分除去機構を更に含んで構成されることを特徴とする請求項2記載の積層管製造装置。
【請求項4】
上記水分除去機構は、圧縮空気を噴射できる構造を有することを特徴とする請求項3記載の積層管製造装置。
【請求項5】
上記冷却水噴射機構は、上記巻き取り機の下部側から巻回された樹脂材に冷却水を噴射し得るように配置されて、上記水分除去機構は、上記巻き取り機の上部側から巻回された樹脂材に圧縮空気を噴射し得るように構成されることを特徴とする請求項4記載の積層管製造装置。
【請求項6】
上記水分除去機構は、上記巻回された樹脂材の表面に対して傾斜した方向から圧縮空気を噴射するように構成されることを特徴とする請求項5記載の積層管製造装置。
【請求項7】
上記中間投入機は、中間層を形成するための溶融状態の物質が貯蔵される投入桶と、上記投入桶の下部に位置され、駆動手段により回転駆動されながら溶融状態の物質を引き出す一対の引出しローラと、上記一対の引出しローラ間の間隔を調節し得る間隔調節装置と、を包含して構成されることを特徴とする請求項1記載の積層管製造装置。
【請求項8】
上記引出しローラは、その内部に引出される溶融物質を冷却させるように冷却水が通過するように構成されることを特徴とする請求項7記載の積層管製造装置。
【請求項9】
複数の廃プラスチックを回収し紙、金属、ガラス、布などの非プラスチック成分を除去して、純粋なプラスチック成分だけを選別する廃プラスチック選別段階と、
上記廃プラスチック選別過程で選別されたプラスチックを所定サイズ以下に粉砕する複合廃プラスチックの粉砕段階と、
上記粉砕された複合廃プラスチックを2軸スクリュー溶融機に投入し熱を加えて一定温度で一定の状態まで溶融させながら混合する溶融及びミキシング段階と、
上記溶融及びミキシング段階を経由した複合廃プラスチックを一対の引出しローラを用いた中間層投入機により所定の膜厚及び幅を有するシート状に形成して引き出す中間層シート形成段階と、
上記中間層を形成するシートと共に内層押出機及び外層押出機を利用して積層管の内層及び外層を形成するための樹脂材シートを押出し巻き取り機からスパイラル方式で連続的に巻回させて円筒形の管状を成形する積層管形成段階と、
上記段階で形成された積層管に冷却水を噴射して冷却し、所望の長さに積層管を切断して完成する積層管の冷却及び完成段階と、を順次行うことを特徴とする積層管の製造方法
。
【請求項10】
上記溶融及びミキシング段階は、粉砕された複合廃プラスチックを1次及び2、3次過程を経由して溶融しミキシングするものの、1次溶融過程における加熱温度は240℃〜280℃とし、2、3次過程における加熱温度は上記1次溶融過程の温度よりも低い180℃〜220℃に設定することを特徴とする請求項9記載の積層管の製造方法。
【請求項11】
上記中間層シート形成段階において、シートの供給は二つの引出しローラを通して引出される中間層シートを上から下に自然落下する方式で供給することを特徴とする請求項9記載の積層管の製造方法。
【請求項12】
上記積層管形成段階において、それぞれの層を形成するシートが巻かれる時、層と層の間または各層の表面に冷却水を直接噴射して瞬間冷却させることを特徴とする請求項9記載の積層管の製造方法。
【請求項13】
上記瞬間冷却温度は、100℃〜150℃であることを特徴とする請求項12記載の積層管の製造方法。
【請求項14】
上記冷却水を噴射して冷却されると、冷却された各層の表面に新しい層が巻かれる直前に圧縮空気を集中噴射して水分を除去することを特徴とする請求項13記載の積層管の製造方法。
【請求項15】
積層管の中間層を形成するシートと共に積層管の内層及び外層を形成するための樹脂材シートを巻き取り機に供給しながら、スパイラル方式で連続的に巻回させて円筒形の管状に成形して積層管を形成するものの、それぞれの層を形成するシートが巻かれる時、層と層の間または各層の表面に冷却水を直接噴射して瞬間冷却させた後、この冷却された層の表面に新しい層が巻かれる直前に圧縮空気を集中噴射して水分を除去する、ことを特徴とする積層管の製造方法
。
【請求項1】
円筒構造を有する巻き取り機及びこれを回転駆動させる駆動手段と、
上記巻き取り機に積層管の内層及び外層を形成するために樹脂材をシート状に押出する内層押出機及び外層押出機と、
中間層を形成するために溶融状態の物質を一対の引出しローラを利用してシート構造に引き出す中間投入機と、
上記巻き取り機の側面に位置され上記巻き取り機に多層構造に積層されたシートを押さえて圧着させる圧着ローラと、を包含することを特徴とする積層管製造装置。
【請求項2】
上記積層管製造装置は、上記巻き取り機の周辺に配置されて上記巻き取り機にそれぞれの樹脂材シートが巻回される時に冷却水を噴射する冷却水噴射機構を更に含んで構成されることを特徴とする請求項1記載の積層管製造装置。
【請求項3】
上記積層管製造装置は、上記巻き取り機の回転方向に上記冷却水噴射機構の裏側に位置されて、巻回された部分の表面に存在する水気を除去する水分除去機構を更に含んで構成されることを特徴とする請求項2記載の積層管製造装置。
【請求項4】
上記水分除去機構は、圧縮空気を噴射できる構造を有することを特徴とする請求項3記載の積層管製造装置。
【請求項5】
上記冷却水噴射機構は、上記巻き取り機の下部側から巻回された樹脂材に冷却水を噴射し得るように配置されて、上記水分除去機構は、上記巻き取り機の上部側から巻回された樹脂材に圧縮空気を噴射し得るように構成されることを特徴とする請求項4記載の積層管製造装置。
【請求項6】
上記水分除去機構は、上記巻回された樹脂材の表面に対して傾斜した方向から圧縮空気を噴射するように構成されることを特徴とする請求項5記載の積層管製造装置。
【請求項7】
上記中間投入機は、中間層を形成するための溶融状態の物質が貯蔵される投入桶と、上記投入桶の下部に位置され、駆動手段により回転駆動されながら溶融状態の物質を引き出す一対の引出しローラと、上記一対の引出しローラ間の間隔を調節し得る間隔調節装置と、を包含して構成されることを特徴とする請求項1記載の積層管製造装置。
【請求項8】
上記引出しローラは、その内部に引出される溶融物質を冷却させるように冷却水が通過するように構成されることを特徴とする請求項7記載の積層管製造装置。
【請求項9】
複数の廃プラスチックを回収し紙、金属、ガラス、布などの非プラスチック成分を除去して、純粋なプラスチック成分だけを選別する廃プラスチック選別段階と、
上記廃プラスチック選別過程で選別されたプラスチックを所定サイズ以下に粉砕する複合廃プラスチックの粉砕段階と、
上記粉砕された複合廃プラスチックを2軸スクリュー溶融機に投入し熱を加えて一定温度で一定の状態まで溶融させながら混合する溶融及びミキシング段階と、
上記溶融及びミキシング段階を経由した複合廃プラスチックを一対の引出しローラを用いた中間層投入機により所定の膜厚及び幅を有するシート状に形成して引き出す中間層シート形成段階と、
上記中間層を形成するシートと共に内層押出機及び外層押出機を利用して積層管の内層及び外層を形成するための樹脂材シートを押出し巻き取り機からスパイラル方式で連続的に巻回させて円筒形の管状を成形する積層管形成段階と、
上記段階で形成された積層管に冷却水を噴射して冷却し、所望の長さに積層管を切断して完成する積層管の冷却及び完成段階と、を順次行うことを特徴とする積層管の製造方法
。
【請求項10】
上記溶融及びミキシング段階は、粉砕された複合廃プラスチックを1次及び2、3次過程を経由して溶融しミキシングするものの、1次溶融過程における加熱温度は240℃〜280℃とし、2、3次過程における加熱温度は上記1次溶融過程の温度よりも低い180℃〜220℃に設定することを特徴とする請求項9記載の積層管の製造方法。
【請求項11】
上記中間層シート形成段階において、シートの供給は二つの引出しローラを通して引出される中間層シートを上から下に自然落下する方式で供給することを特徴とする請求項9記載の積層管の製造方法。
【請求項12】
上記積層管形成段階において、それぞれの層を形成するシートが巻かれる時、層と層の間または各層の表面に冷却水を直接噴射して瞬間冷却させることを特徴とする請求項9記載の積層管の製造方法。
【請求項13】
上記瞬間冷却温度は、100℃〜150℃であることを特徴とする請求項12記載の積層管の製造方法。
【請求項14】
上記冷却水を噴射して冷却されると、冷却された各層の表面に新しい層が巻かれる直前に圧縮空気を集中噴射して水分を除去することを特徴とする請求項13記載の積層管の製造方法。
【請求項15】
積層管の中間層を形成するシートと共に積層管の内層及び外層を形成するための樹脂材シートを巻き取り機に供給しながら、スパイラル方式で連続的に巻回させて円筒形の管状に成形して積層管を形成するものの、それぞれの層を形成するシートが巻かれる時、層と層の間または各層の表面に冷却水を直接噴射して瞬間冷却させた後、この冷却された層の表面に新しい層が巻かれる直前に圧縮空気を集中噴射して水分を除去する、ことを特徴とする積層管の製造方法
。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2009−526675(P2009−526675A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555158(P2008−555158)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際出願番号】PCT/KR2007/000824
【国際公開番号】WO2007/094629
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(508232736)グリーン ポリテック カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際出願番号】PCT/KR2007/000824
【国際公開番号】WO2007/094629
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(508232736)グリーン ポリテック カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]