説明

積層電子部品の製造方法

【課題】 内部に形成された電極の位置精度が高い積層電子部品の製造方法を提供する。
【解決手段】 まず、複数の電極2と1対の基準マーク3が印刷された基準となるグリーンシート1の上に、基準マーク3に対応する部分に予め1対の切欠き4aが形成されたグリーンシート4を積層し、圧着する。次に、グリーンシート4に、切欠き4aから露出された基準マーク3を基準にして、複数の電極5を印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層電子部品の製造方法に関し、更に詳しくは、内部に形成された電極の位置精度が高い積層電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気分野、電子分野などにおいて、積層コンデンサ、積層コイル、積層複合部品、積層基板などの積層電子部品は、優れた特性を有し、かつ、小型、軽量、大量生産に適するなどの長所を有するため、幅広く利用されている。
【0003】
かかる積層電子部品において、内部に形成される電極の位置精度は非常に重要である。なぜなら、内部電極の形成位置がずれることにより、適正な電気的特性を得ることができない、あるいは断線、若しくは、短絡を起こして不良品になってしまうといった場合があるからである。例えば、積層コンデンサであれば、電極の形成位置がずれることにより、所望の容量値を得ることができない場合がある。
【0004】
そこで、積層電子部品の内部に形成される電極の位置精度を高める技術が、種々開発されている。例えば、特許文献1(特開平5‐175064号公報)には、支持具や基準マークを活用して電極の位置精度を高めた、積層電子部品の製造方法が開示されている。
【0005】
図10〜図12に、特許文献1に開示された積層電子部品の製造方法を示す。
【0006】
まず、図10(A)に示すように、複数のグリーンシート101を、所定の間隔を開けて、第1の支持具102aに固定する。グリーンシート101には、図示しないが、必要な導電ビアが形成されている。
【0007】
また、これと並行して、図10(B)に示すように、それぞれ電極103と基準マーク104が印刷された複数の転写用フィルム105を、所定の間隔を開けて、第2の支持具102bに固定する。このとき、第2の支持具102bに対する各電極103の位置合わせを、基準マーク104により行う。すなわち、電極103と基準マーク104は同時に印刷され、両者間は高い位置精度が保たれているため、基準マーク104を第2の支持具102bに対して位置合わせすることにより、電極103を第2の支持具102bに対して位置合わせすることができる。
【0008】
次に、図11(C)に示すように、第1の支持具102aに固定された複数のグリーンシート101と、第2の支持具102bに固定された複数の転写用フィルム105を、交互に配置する。
【0009】
次に、図11(D)に示すように、交互に配置された、複数のグリーンシート101と複数の転写用フィルム105の間隔を狭め、両者を接触させ、かつ両者に軽い圧力を加え、転写用フィルム105に印刷された電極103をグリーンシート101に転写する。
【0010】
次に、図12(E)に示すように、複数のグリーンシート101を第1の支持具102aから取り外し、かつ第2の支持具102bに固定された複数の転写用フィルム105を抜き取り、更に全体に圧力を加え、層間に電極103を介在させて複数枚のグリーンシート101が積層された、未焼成のセラミック積層体106を得る。
【0011】
次に、図12(F)に示すように、未焼成のセラミック積層体106の上下に、それぞれ、保護層用の複数のグリーンシート101を積層する。
【0012】
次に、図12(G)に示すように、更に全体に圧力を加え、層間に電極103を介在させて複数枚のグリーンシート101が積層された、未焼成のセラミック積層体107を得る。
【0013】
そして、図示しないが、未焼成のセラミック積層体107を所定のプロファイルで焼成し、更に外部電極を形成することにより、積層電子部品は完成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平5‐175064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述した従来の積層電子部品の製造方法は、基準マーク104を活用することにより、一応、電極103の位置精度は高められている。しかしながら、この方法によっても、まだ、電極103の位置精度は完全ではなかった。
【0016】
すなわち、まず、図10(B)に示すように、基準マーク104により位置合わせをして、転写用フィルム105を第2の支持具102bに固定するが、生産性を高めるためには、多数の転写用フィルム105を高速で第2の支持具102bに固定しなければならず、支持具102bに対してずれた状態で固定される転写用フィルム105が発生してしまうことがあった。この場合には、ずれた状態で固定された転写用フィルム105に印刷されていた電極103は、セラミック積層体106の内部において形成位置がずれてしまう。
【0017】
また、図11(D)〜図12(E)に示すように、電極103をグリーンシート101に転写した後に、セラミック積層体106から転写用フィルム105を抜き取る際に、電極103が転写用フィルム105に引っ張られてずれてしまうことがあった。この場合にも、電極103は、セラミック積層体106の内部において形成位置がずれてしまう。
【0018】
更に、図12(F)〜図12(G)に示すように、未焼成のセラミック積層体106の上下に保護層用の複数のグリーンシート101を積層し、全体に圧力を加えて、未焼成のセラミック積層体107を得る際に、電極103の位置がずれてしまうことがあった。すなわち、全体に圧力を加える際に、セラミック積層体106の内部のグリーンシート101のうちの一部のものが水平方向にずれてしまうことがあった。この場合にも、そのグリーンシート101に転写された電極103は、セラミック積層体107(106)の内部において形成位置がずれてしまう。
【0019】
このように、上述した従来の積層電子部品の製造方法は、電極103の形成位置がずれてしまう原因が複数あり、電極103の位置精度は完全ではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、上述した従来の問題点を解決するためになされたものであり、その手段として本発明の電子部品の製造方法は、複数枚のグリーンシートを、所定の層間に電極を介在させて積層し、焼成してセラミック積層体を形成するにあたり、 基準となるグリーンシートの主面に、電極と基準マークを印刷する電極及び基準マーク印刷工程と、基準となるグリーンシートの主面に、基準マークに対応する部分に切欠きが形成されたグリーンシートを、そのグリーンシートの切欠きと基準マークで位置合わせを行って積層するグリーンシート積層工程と、切欠きが形成されたグリーンシートを、基準となるグリーンシートに対して圧着するグリーンシート圧着工程と、切欠きが形成されたグリーンシートの主面に、電極を、基準マークを基準にして印刷する電極印刷工程を順に備えるようにした。
【0021】
なお、電極印刷工程の後に、更に、次のグリーンシート積層工程と、次のグリーンシート圧着工程と、次の電極印刷工程を、順に、所望の回数、繰り返すようにしても良い。この場合には、セラミック積層体の内部に間隔をあけて積層される電極の層数を増やすことができる。
【0022】
また、セラミック積層体の内部に形成される全ての電極を、電極及び基準マーク印刷工程、又は、グリーンシート積層工程とグリーンシート圧着工程と電極印刷工程からなる一連の工程により形成するようにしても良い。この場合には、セラミック積層体の内部の全ての電極を、高い位置精度で形成することができる。
【0023】
あるいは、セラミック積層体の内部に形成される一部の電極を、電極及び基準マーク印刷工程、又は、グリーンシート積層工程とグリーンシート圧着工程と電極印刷工程からなる一連の工程により形成し、残りの電極は、予め主面に電極が印刷されたグリーンシートを積層する工程により形成するようにしても良い。この場合には、例えば、コンデンサの対向する1対の電極のように、位置ずれを起こすと特性の劣化を招く電極は高い位置精度で形成し、特性に影響を与えない電極は、予め主面に電極が印刷されたグリーンシートを積層することにより、高速で形成することができ、生産性を高めることができる。
【0024】
また、それぞれ、電極及び基準マーク印刷工程と、グリーンシート積層工程と、グリーンシート圧着工程と、電極印刷工程を経て形成された、複数の未焼成のセラミック積層体を、相互に積層する工程を更に備えるようにしても良い。この場合には、製造される積層電子部品の種類の多様化を図ることができるなどの利点がある。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、切欠きが形成されたグリーンシートの主面に、電極を、基準となるグリーンシートの主面に形成された基準マークを基準にして印刷することができるため、積層電子部品の内部に形成される電極の位置精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1(A)〜(C)は、本発明の第1実施形態にかかる積層電子部品の製造方法において適用される工程を示す斜視図である。
【図2】図2(D)〜(F)は、図1の続きである。
【図3】図3(G)〜(I)は、図2の続きである。
【図4】図4(J)、(K)は、図3の続きである。
【図5】図5(A)〜(C)は、本発明の第2実施形態にかかる積層電子部品の製造方法において適用される工程を示す斜視図である。
【図6】図6(D)〜(F)は、図5の続きである。
【図7】図7(G)〜(I)は、図6の続きである。
【図8】図8(J)、(K)は、図7の続きである。
【図9】図9(A)、(B)は、本発明の第3実施形態にかかる積層電子部品の製造方法において適用される工程を示す斜視図である。
【図10】図10(A)、(B)は、従来の積層電子部品の製造方法において適用される工程を示す断面図である。
【図11】図11(C)、(D)は、図10の続きである。
【図12】図12(E)〜(G)は、図11の続きである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面とともに、本発明を実施するための形態について説明する。
【0028】
[第1実施形態]
図1(A)〜図4(K)に、本発明の第1実施形態にかかる積層電子部品の製造方法を示す。ただし、図1(A)〜図4(K)の各図は、第1実施形態にかかる積層電子部品の製造方法において適用される工程を示す斜視図である。
【0029】
第1実施形態においては、製造される電子部品の種類は限定されない。例えば、積層コンデンサ、積層コイル、積層複合部品、積層基板など、種々の積層電子部品を製造することができる。
【0030】
第1実施形態にかかる積層電子部品の製造方法においては、まず、図1(A)に示すように、最下層に積層されるグリーンシート1を用意する。グリーンシート1は、セラミックスを主成分とするが、セラミックスの種類は限定されない。例えば、製造される電子部品が積層コンデンサの場合は、チタン酸バリウムなどの誘電体セラミックスを主成分に用いる。なお、グリーンシート1には、必要に応じて、両主面間を貫通して導電ビアを形成する(以下に説明するグリーンシートにおいても同じ)。
【0031】
次に、図1(B)に示すように、最下層のグリーンシート1の上に、製造される積層電子部品において保護層となる、必要な枚数のグリーンシート1を積層し、圧着する。積層されるグリーンシート1が複数枚である場合は、1枚ごとに積層、圧着しても良いし、複数枚を積層した後に、まとめて圧着しても良い。なお、最下層のグリーンシート1が1枚で十分な場合は、この工程は省略することができる。
【0032】
次に、図1(C)に示すように、電極及び基準マーク印刷工程として、この時点で最上層に積層され、圧着された、基準となるグリーンシート1の主面に、複数の電極2と1対の基準マーク3を印刷する。電極2と基準マーク3は同時に印刷されるため、各電極2は、各基準マーク3に対し、所定の方向に所定の距離を設けて、正確な位置関係を備えて印刷される。電極2と基準マーク3の印刷には、スクリーン印刷法、グラビア印刷法など、種々の印刷法を用いることができる。なお、基準マーク3の個数は1対(2個)には限定されず、1個であっても良いし、3個以上であっても良い。また、基準マーク3の形状は、例えば三角形とすることができるが、これには限定されず、円形、四角形などであっても良い。
【0033】
次に、図2(D)に示すように、複数の電極2と1対の基準マーク3が印刷された基準となるグリーンシート1の上に積層するために、基準マーク3に対応する部分に予め1対の切欠き4aが形成されたグリーンシート4を用意する。切欠き4aは、グリーンシート4をカットする際に、同時に形成することができる。
【0034】
次に、図2(E)に示すように、グリーンシート積層工程として、グリーンシート4を基準となるグリーンシート1の上に積層する。グリーンシート4の積層は、グリーンシート1に印刷された基準マーク3とグリーンシート4に形成された切欠き4aを位置合わせして行う。従って、グリーンシート4は、グリーンシート1に対して正確な位置関係を備える。続いて、グリーンシート圧着工程として、グリーンシート4に圧力を加え、グリーンシート4を基準となるグリーンシート1に圧着する。
【0035】
次に、図2(F)に示すように、電極印刷工程として、グリーンシート4の主面に電極5を印刷する。電極5の印刷は、グリーンシート4の切欠き4aから露出された、基準となるグリーンシート1に形成された基準マーク3を基準にして行う。印刷方法は、グリーンシート1に電極2と基準マーク3を印刷した方法と同じ方法を用いる。
【0036】
上述した通り、電極2と基準マーク3はグリーンシート1に同時に印刷されるため、電極2と基準マーク3は相互に正確な位置関係を備える。また、グリーンシート4は、グリーンシート1に印刷された基準マーク3とグリーンシート4に形成された切欠き4aを位置合わせしてグリーンシート1の上に積層されるため、グリーンシート4と基準マーク3も相互に正確な位置関係を備える。さらに、電極5は、基準マーク3を基準にしてグリーンシート4に印刷されるため、電極5と基準マーク3も相互に正確な位置関係を備える。この結果、基準マーク3を基準にして、基準マーク3と電極2とグリーンシート4と電極5は、それぞれ相互に正確な位置関係を備える。
【0037】
この後、必要に応じて、図3(G)に示すように、次のグリーンシート4を用意し、図3(H)に示すように、次のグリーンシート4を積層、圧着し、図3(I)に示すように、次のグリーンシート4へ電極5を印刷する。(「次のグリーンシート」は、特許請求の範囲の「別のグリーンシート」に該当する。)なお、これらの工程は、必要がなければ省略することができる。逆に、必要があれば、これらの工程を、複数回、繰り返す。
【0038】
次に、図4(J)に示すように、最上層のグリーンシート4の上に積層され、製造される積層電子部品において保護層となる、必要な枚数のグリーンシート1を用意する。このグリーンシート1は、1枚であっても良いし、複数枚であっても良い。
【0039】
次に、図4(K)に示すように、最上層のグリーンシート4の上に、グリーンシート1を積層し、圧着する。積層されるグリーンシート1が複数枚である場合は、1枚ごとに積層、圧着しても良いし、複数枚を積層した後に、まとめて圧着しても良い。この結果、未焼成のセラミック積層体6が形成される。
【0040】
次に、図示しないが、セラミック積層体6を、所定のプロファイルで焼成する。
【0041】
そして、図示しないが、焼成されたセラミック積層体6の表面に、導電ペーストを焼付けるなどの方法により、外部電極を形成し、本実施形態にかかる製造方法により積層電子部品が完成する。
【0042】
以上、第1実施形態にかかる積層電子部品の製造方法について説明した。しかしながら、本発明が上述の内容に限定されることはなく、発明の主旨に沿って、種々の変更をなすことができる。
【0043】
例えば、積層されるグリーンシート1、4の枚数は任意であり、上述の内容には限定されない。
【0044】
また、電極2、5の形状や個数も任意であり、上述の内容には限定されない。
【0045】
また、本発明により、個々の積層電子部品を1つずつ製造するのではなく、複数個分のグリーンシートを含んだマザーグリーンシートを用意し、上述した工程により、複数個分の積層電子部品用のセラミック積層体を含んだマザーセラミック積層体を形成するようにしても良い。この場合、マザーセラミック積層体は、未焼成の段階で個々の積層電子部品用のセラミック積層体に分割しても良いし、焼成後に個々の積層電子部品用のセラミック積層体に分割しても良い。
【0046】
なお、上述した本実施形態においては、まず保護層を積層し、その上に電極を備えた層を形成し、更にその上に保護層を形成してセラミック積層体を形成しているが、それらの部分を別々のセラミック積層体として形成しておき、最後にそれらの3つの部分を積層して、1つのセラミック積層体を形成するようにしても良い。
【0047】
[第2実施形態]
図5(A)〜図8(K)に、本発明の第2実施形態にかかる積層電子部品の製造方法を示す。ただし、図5(A)〜図8(K)の各図は、第2実施形態にかかる積層電子部品の製造方法において適用される工程を示す斜視図である。
【0048】
第2実施形態にかかる積層電子部品の製造方法においては、まず、図5(A)に示すように、保護層となる複数のグリーンシート11を積層する。グリーンシート11は、積層するごとに圧着しても良いし、後からまとめて圧着しても良い。
【0049】
次に、図5(B)に示すように、最上層のグリーンシート11の上に、予め電極22が印刷されたグリーンシート21を用意し、積層する。
【0050】
次に、図5(C)に示すように、グリーンシート21の上に、予め電極32が印刷されたグリーンシート31を用意し、積層する。
【0051】
すなわち、図5(B)及び図5(C)は、予め電極が印刷されたグリーンシートを積層する工程を示す。積層されるグリーンシートの枚数は任意であり、本実施形態のようにグリーンシート21、31の2枚であっても良いし、1枚、あるいは3枚以上であっても良い。また、1個のセラミック積層体の中に、複数か所に分けて積層するようにしても良い。更に、印刷される電極22、32の形状、個数も任意である。
【0052】
次に、図6(D)に示すように、グリーンシート31の上に、電極の形成されていないグリーンシート11を用意し、積層する。
【0053】
次に、図6(E)に示すように、この時点で最上層に積層されたグリーンシート11を押圧し、全体を圧着する。
【0054】
次に、図6(F)に示すように、この時点で最上層に積層され、圧着されたグリーンシート11の主面に、複数の電極12と1対の基準マーク13を印刷する。
【0055】
次に、図7(G)に示すように、複数の電極12と1対の基準マーク13が印刷されたグリーンシート11の上に積層するために、基準マーク13に対応する部分に予め1対の切欠き14aが形成されたグリーンシート14を用意する。
【0056】
次に、図7(H)に示すように、グリーンシート14をグリーンシート11の上に積層する。グリーンシート14の積層は、グリーンシート11に印刷された基準マーク13とグリーンシート14に形成された切欠き14aを位置合わせして行う。続いて、グリーンシート14に圧力を加え、グリーンシート14を最上層のグリーンシート11に圧着する。
【0057】
次に、図7(I)に示すように、グリーンシート14の主面に電極15を印刷する。
【0058】
そして、必要に応じて、図7(G)〜図7(I)に示した、切欠き14aが形成されたグリーンシート14の用意、積層、圧着、電極の印刷を繰り返す。なお、印刷される電極の形状、個数は任意であり、上述した電極15の形状、個数には限定されない。
【0059】
次に、図8(J)に示すように、最上層のグリーンシート14の上に積層され、製造される積層電子部品において保護層となる、必要な枚数のグリーンシート11を用意する。このグリーンシート11は、1枚であっても良いし、複数枚であっても良い。
【0060】
次に、図8(K)に示すように、最上層のグリーンシート14の上に、グリーンシート11を積層し、圧着する。積層されるグリーンシート11が複数枚である場合は、1枚ごとに積層、圧着しても良いし、複数枚を積層した後に、まとめて圧着しても良い。この結果、未焼成のセラミック積層体16が形成される。
【0061】
次に、図示しないが、セラミック積層体16を、所定のプロファイルで焼成する。
【0062】
そして、図示しないが、焼成されたセラミック積層体16の表面に、導電ペーストを焼付けるなどの方法により、外部電極を形成し、本実施形態にかかる製造方法により積層電子部品が完成する。
【0063】
以上の内容からなる、第2実施形態にかかる積層電子部品の製造方法おいては、電極を形成する方法として、本発明において特徴的な、電極及び基準マーク印刷工程、グリーンシート積層工程、グリーンシート圧着工程、電極印刷工程からなる一連の工程による方法と、予め電極12、22が印刷されたグリーンシート21、31を積層する方法の2種類の方法を含む。すなわち、例えばコンデンサの対向電極のように、特に高い位置精度が要求される電極を形成する場合には、本発明において特徴的な、電極及び基準マーク印刷工程、グリーンシート積層工程、グリーンシート圧着工程、電極印刷工程による方法によった。そして、それ以外の電極を形成する場合には、予め電極12、22が印刷されたグリーンシート21、31を積層する、比較的、短い時間で処理できる方法によった。すなわち、第2実施形態にかかる積層電子部品の製造方法は、高い位置精度が要求される電極を正確に形成することと、生産性の維持の両立を図ったものである。
【0064】
なお、上述した本実施形態においては、予め電極が印刷されたグリーンシートを積層した層を形成し、その上に、本発明において特徴的な、電極及び基準マーク印刷工程、グリーンシート積層工程、グリーンシート圧着工程、電極印刷工程による電極を備えた層を形成し、更にその上に保護層を形成してセラミック積層体を形成しているが、それらの部分を別々のセラミック積層体として形成しておき、最後にそれらを積層して、1つのセラミック積層体を形成するようにしても良い。この場合においても、第2実施形態にかかる積層電子部品の製造方法により形成されるものと同様に、高い位置精度が要求される電極を正確に形成することと、生産性の維持の両立を図ることができる。
【0065】
[第3実施形態]
図9(A)及び図9(B)に、本発明の第3実施形態にかかる積層電子部品の製造方法を示す。ただし、図9(A)、図9(B)の各図は、第3実施形態にかかる積層電子部品の製造方法において適用される工程を示す斜視図である。
【0066】
まず、第3実施形態にかかる積層電子部品の製造方法においては、図9(A)に示すように、第1実施形態にかかる積層電子部品の製造方法により形成された未焼成のセラミック積層体6(図4(K)参照)を2個用意する。
【0067】
次に、図9(B)に示すように、2個の未焼成のセラミック積層体6を積層し、圧着して、新たに、未焼成のセラミック積層体26を形成する。
【0068】
次に、図示しないが、セラミック積層体26を、所定のプロファイルで焼成する。
【0069】
そして、図示しないが、焼成されたセラミック積層体26の表面に、導電ペーストを焼付けるなどの方法により、外部電極を形成し、本実施形態にかかる製造方法により積層電子部品が完成する。
【0070】
第3実施形態においては、本発明の工程により形成された、複数の、未焼成のセラミック積層体を、相互に積層、圧着し、別の未焼成のセラミック積層体を形成するようにした。本実施形態によれば、構造の異なる複数種類の積層電子部品において、共通するセラミック積層体部分を大量に形成するとともに、共通しないセラミック積層体部分はそれぞれ個別に形成し、両者を組み合わせることができるため、製造される積層電子部品の種類の多様化を図ることができるなどの利点を有する。
【符号の説明】
【0071】
1、4、11、14、21、31:グリーンシート
4a、14a:切欠き
2、5、 12、15、22、32:電極
3、13:基準マーク
6、16、26:セラミック積層体(未焼成)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のグリーンシートを、所定の層間に電極を介在させて積層し、焼成してセラミック積層体を形成する積層電子部品の製造方法であって、
基準となるグリーンシートの主面に、電極と基準マークを印刷する電極及び基準マーク印刷工程と、
前記基準となるグリーンシートの主面に、前記基準マークに対応する部分に切欠きが形成されたグリーンシートを、当該グリーンシートの前記切欠きと前記基準マークで位置合わせを行って積層するグリーンシート積層工程と、
前記切欠きが形成されたグリーンシートを、前記基準となるグリーンシートに対して圧着するグリーンシート圧着工程と、
前記切欠きが形成されたグリーンシートの主面に、電極を、前記基準マークを基準にして印刷する電極印刷工程を順に備えてなる積層電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記電極印刷工程の後に、更に、
前記切欠きが形成されたグリーンシートの主面に、前記基準マークに対応する部分に切欠きが形成された別のグリーンシートを、当該別のグリーンシートの前記切欠きと前記基準マークで位置合わせを行って積層するグリーンシート積層工程と、
前記切欠きが形成された別のグリーンシートを、前記切欠きが形成されたグリーンシートに対して圧着するグリーンシート圧着工程と、
前記切欠きが形成された別のグリーンシートの主面に、電極を、前記基準マークを基準にして印刷する電極印刷工程を、順に、1回又は複数回備えてなる、請求項1に記載された積層電子部品の製造方法。
【請求項3】
グリーンシートの層間に介在される全ての電極が、前記電極及び基準マーク印刷工程、又は、前記グリーンシート積層工程と前記グリーンシート圧着工程と前記電極印刷工程からなる一連の工程により形成される、請求項1又は2に記載された積層電子部品の製造方法。
【請求項4】
グリーンシートの層間に介在される一部の電極が、前記電極及び基準マーク印刷工程、又は、前記グリーンシート積層工程と前記グリーンシート圧着工程と前記電極印刷工程からなる一連の工程により形成され、
残りの電極が、予め主面に電極が印刷されたグリーンシートを積層する工程により形成される、請求項1又は2に記載された積層電子部品の製造方法。
【請求項5】
それぞれ、前記電極及び基準マーク印刷工程と、前記グリーンシート積層工程と、前記グリーンシート圧着工程と、前記電極印刷工程を経て形成された、複数の未焼成のセラミック積層体を、相互に積層する工程を更に備えてなる、請求項1ないし4のいずれか1項に記載された積層電子部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−216568(P2012−216568A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78986(P2011−78986)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】