説明

積載物移動装置

【課題】積載の連続処理を可能とし、オペレータが積載用紙の取り除きを開始するのを待機している間、装置が休止する時間を最小限とする。
【解決手段】積載移動装置100において、ラック102は、積載位置とラック移動位置の間で上下移動可能あり、複数のラックリブ104を含み、ラックリブの上面が積載表面を画定し、カート106は、カート移動位置と積載用紙取り除き位置の間を水平移動可能であり、複数のカートリブ108を含み、カートリブの上面が荷台表面を画定し、ラックリブ104とカートリブ108が互いに差し挟まれるように位置決めされる。ラック102は、装置100内を上下移動するエレベータシステム110に取り付けられる。移動の必要性を検知すると、エレベータシステム110は、ラック102を積載位置からラック移動位置へ下降させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、生産環境において製品を移動するための方法及びシステムに係り、より詳細には、製品を装置から他の場所へ移動することに関する。
【背景技術】
【0002】
以下に開示されている実施の形態は、用紙(紙、ダンボールなどを含む用紙材料)が流れ作業において処理され、プロセスやマシン(システム)の最終段階で、一般に、スタックの最上位に載置されるにつれて下降するコンベヤ装置に関する。しかしながら、積層が終了した時又はコンベア装置が満杯になった時には、載置された用紙を取り除く必要があり、その作業には一般にオペレータの介入を必要としていた。オペレータがいない場合、装置は、オペレータが応対するまで、休止する必要があった。
【0003】
複写機、プリンタ、又はファックスなどの画像形成装置に用いられる仕上げ装置(以下、フィニッシャ)の例を想定する。フィニッシャは、予め定められたせん孔、ステープラ留めなどの任意数の処理を実行することができる。高速であり、大量生産のプリンタ又は複写機において、複数のプリントジョブのセットは、出力積層トレイから用紙を頻繁に取り除く必要があった。また、このような大量生産の複製(再生)装置は、一般的に、高い生産性を求める多数の様々なユーザから複数のプリントジョブを受け取る共通利用又はコピーセンターマシンである。このように、ジョブが完了するか又は出力積層トレイが満杯になると、フィニッシャは、オペレータが応対するまで、休止するため、生産性の損失が生じるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−76893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、大量生産型の顧客に対して、装置に用紙が連続的に積載され、当該積載された用紙を自動的に取り除く能力を提供するために、相対的に簡単で経費の掛からない装置を提供することが切望されている。これを解決することによって、顧客は、対応するオペレータの数が最低限でも、ほぼ休むことなく装置の運転を維持することでき、最大生産量が確実とされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様によれば、積載物を移動するための装置が提供されている。この装置はラックを用いており、ラックは、積載位置とラック移動位置の間で上下移動可能である。ラックは、リブ付き構造を有し、ラックリブの上面が積載表面を画定する。また、装置内で水平移動可能なカートは、カート移動位置と積載用紙取り除き位置の間を水平移動する。ラック同様、カートも、上面が荷台表面を画定する多数のリブを含むリブ付き構造である。ラックリブとカートリブは、それぞれのラック移動位置とカート移動位置において、互いに差し込まれるように位置決めされる。また、装置は、カート移動位置から積載用紙取り除き位置まで、カートを移動させるためのプッシャー(移動装置)を有している。
【0007】
以上説明した内容をより詳細に説明すると、積載物移動装置は、積載された物を移動するための装置であって、積載位置と該載置位置から所定距離下降した位置であるラック移動位置の間で上下移動可能である複数のラックリブを含むラックであって、該複数のラックリブ各々が、直方体の部材であり、長手方向が所定方向に一致するように、他のラックリブと間隔を開けて並んで配置され、上面が所定平面に位置することにより、前記物を積載するための面である積載表面を画定する、該ラックと、前記ラックが前記上下移動することにより前記積載表面が移動する空間内に位置するカート移動位置と該カート移動位置から前記所定方向にかつ水平方向に所定距離離間した位置である積載物取り除き位置の間を水平移動可能である複数のカートリブを含むカートであって、該複数のカートリブ各々が、直方体の部材であり、長手方向が前記所定方向に一致するように、他のカートリブと間隔を開けて並んで配置され、上面が所定平面に位置することにより、前記載置表面に積載された載置物を載置するための面である荷台表面を画定する、該カートと、前記カートを前記カート移動位置から前記積載物取り除き位置まで移動させる移動装置と、を含み、前記ラックリブと前記カートリブがそれぞれの前記ラック移動位置と前記カート移動位置に位置する場合、各カートリブは隣り合う2つのラックリブの間に位置しかつ前記積載表面の位置は前記荷台表面の位置より下方に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】例示的な実施の形態による積載物移動装置を示す図である。
【図2】ラックとカートが共にそれぞれの移動位置にある時の装置を示す図である。
【図3】図2の平面X−Yに沿って切断された其々の移動位置にあるラックとカートを示す断面図である。
【図4】オペレータによる回収に利用可能な用紙スタックを取り除くために配置された装置を示す図である。
【図5】初期のジョブの終了の後、第2のジョブを開始するための位置にある装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の態様によれば、積載物移動装置が記載されている。装置は、積載位置とラック移動位置の間で上下移動可能なラックを用いている。ラックは、リブ付き構造を有しており、ラックリブの上面が積載表面を画定する。また、装置の水平方向に移動可能なカートは、二つの位置、即ち、ラックの真下に配置されたカート移動位置と、適切な取り除きのために位置決めされた積載用紙取り除き位置と、の間を移動することができる。ラック同様、カートは、上面が荷台表面を画定する多数のリブを含むリブ付き構造である。ラックリブとカートリブは、それぞれのラックとカートの移動位置へ互いに差し込まれるように位置決めされる。また、装置は、移動位置から積載用紙取り除き位置までカートを移動させるための移動装置を含む。装置は、積載用紙の取り除きの連続処理を可能とし、オペレータが積載用紙の取り除きを開始するのを待機している間、装置が休止する時間を最小限とするように設計されている。
【0010】
以下に説明されている例示的な実施の形態は、フィニッシャ内の用紙媒体に対していくつかの処理を実行して、それらを積層して出力する。しかしながら、様々な他の実施の形態は、製造装置の回収領域から、無人操作による積載用紙の取り除きと装置の連続動作を可能となるような多数の様々なシステム又は応用に取り組むことが期待されている。
【0011】
図1は、例示的な実施の形態による、積載用紙を移動するための装置100を示している。本明細書中に示されている装置100は、フィニッシャの積載用紙取り除き機能を実行する要素を配列している。
【0012】
本実施の形態において、装置100は用紙の流れに沿って処理を実行し、用紙は、所定位置に排出され積層される。装置100は、デジタル複写機、製本機、ファクシミリ装置、多機能装置などの任意の画像形成装置に関連付けられ、任意の用途に対してプリント出力機能を実行する。更に、装置100は、画像形成装置によって画像が形成される用紙などの各媒体に対して、所定の穿孔、ステープラ留め、又は同様の動作を含む任意数の処理を実行することができる。
【0013】
本明細書を通して使用されている用語「シート(用紙)」又は「ドキュメント」とは、予めカットされたものか、最初は巻き取り収容された状態から引き出されてカットされたものかは別として、紙、プラスチック、又は他の好適な基板を含む物理的な用紙のことである。「ジョブ」は、特定のユーザ又は関連ユーザによって、一般に、関連用紙のセット、通常、一組の原稿ドキュメント用紙か、又は電子ドキュメントのページ画像から複写される丁合コピーのセットである。本明細書中に詳述されている概念は、紙などの相対的に小型用紙を取扱う装置のみならず、段ボール材料などの大判の用紙材料を取り扱う装置の両方に用いることができることが理解されよう。
【0014】
装置100は、ラックリブ104と呼ばれる複数のリブ(直方体の部材)を有する上下移動可能なラック102を含む。用紙(図1に示されていない)は、ラック102に積層され、ラック102は、装置100内を上下移動し、積載位置とラック移動位置を行ったり来たりする。用紙は、ラック102の上面へ排出されて積層され、ラック102の上面が用紙の積載面を画定する。大部分の用途において、用紙が連続的に排出されて積層されるにつれて、ラック102が下降する。つまり、用紙の流れは、排出の方向から下降方向に変更される。ラック102が満杯になるか又はジョブが完了すると、積層された用紙(用紙スタック)は、カート106まで下降し、ラック102の下方のフロアまで下降する。水平移動が可能であることから、カート106は、移動可能なラック102の真下において、この要素(ラック)から離間して、カート移動位置と積載用紙取り除き位置のそれぞれを行ったり来たりして、移動することができる。ラック102と同様、カート106は、複数のカートリブ(直方体の部材)108を含み、これらの上面が荷台の表面を画定する。ラック102及びカート106などのフィニッシャ構成品は、金属、プラスチック、又は弾性材料から作ることができる。例えば、段ボールなどを扱う大型アセンブリの場合、よりロバスト(堅牢)な構造が必要とされる。
【0015】
図2は、ラック102とカート106の両方がそれぞれの移動位置にある時の装置100を示している。図2から分かるように、カートリブ108は、ラックリブ104間に差し挟まれるように、位置決めされる。ラック102は、装置100内を上下移動するエレベータシステム110に取り付けられる。(ジョブが完了した、又は、ラック102が満杯であるなどの事象による)移動の必要性を検知すると、エレベータシステム110は、ラック102を積載位置からラック移動位置へ下降させる。
【0016】
図3を参照すると、一実施の形態による、ラック102とカート106がそれぞれの移動位置にある時の図2のX−Y平面に沿って切断された断面図が示されている。ラックリブ104の上面によって形成された、ラック102の積載面は、カート106上のカートリブ108の上面(又は荷台表面)より下へ降下し、これにより用紙スタック(明確にするために、図3に示されていない)はカート16へ移動する。これは、スタックカート106への円滑な移動を確実とし、カート106が再配置される時は、スタック全体が一緒に搬送され、用紙の滑落や横滑りの発生が防止される。他の実施の形態によるシステムにおいて、積載用紙が比較的軽いか又は材料が滑り易い状況に対して有用なことは、ラックリブ104とカートリブ108が同じ高さに配置され、カート106が再配置される時に移動が発生することである。ここで、移動を容易にするために、荷台面がラックリブ104の上面より高い摩擦係数を有している。また、スタック全体が正確に運搬されていることを確認するために、スタックの最下位の用紙を識別する検知装置が提供されている。
【0017】
図4は、オペレータが用紙スタックを取り除いて回収する際の装置100の状態を示している。装置100は、押板112、モータ114、タイミングベルト116、摺動ロッド118、及び図示しないスイッチを含む移動装置111を備えている。用紙スタックを取り除いて回収する必要が生じた場合、装置100の図示しない手前のドアが開き、移動装置111が、装置100の外側の積載用紙取り除き位置にカート106を移動(押し出し)する。即ち、スイッチがオンしてモータ114が駆動し、タイミングベルト116と摺動ロッド118と連動して、図1及び図2ではモータ114の近くにあった押板112が図4に示すように、当該モータ114から遠ざかるように、摺動ロッド118に沿って移動し、これにより押板112がカートを前方(図4の左側に向かって)へ移動(押し出し)する。
【0018】
図5は、初期のジョブの完了に続いて、第2のジョブを開始する位置にある装置100を示している。カート106が装置100から出た後、正面ドアが押板112の真上で閉じられる。この時点で空っぽになったラック102は、無人操作によって、新しいジョブを開始するための積載位置まで戻る。また、モータ114が上記とは逆に回転し、押板112を図4に示す位置から初期の位置(図1、2、5参照)に戻される。(押板112、モータ114、タイミングベルト116、及び摺動ロッド118を含む)移動装置111と(ラックリブ104を含む)ラック102の設計は、カート106上の積載用紙の大きさ又は重さに合わせて、拡大縮小される。
【0019】
用紙スタックが装置100から押し出される時、押し出された用紙スタックに注意する必要があることはオペレータに目に見えて明らかである。オペレータは、用紙スタックを回収し、装置100へカート106を手動でスライドさせ、次のジョブのためにカート106を使用可能にすることができる。或いは、押板112とカード106を連結させておき、用紙スタックが回収され、カート106に設置された重量センサが当該用紙スタックの回収完了を検知した場合や、オペレータが所定のスイッチをオンして、カート106を自動的にスライドさせて、カート移動位置へ戻すことができる。
【0020】
装置100は、積載用紙の移動を取り扱う任意の公知の画像形成装置に利用することができ、無人の積載用紙の取り除きや他の用紙の順次積載を可能とする。
【符号の説明】
【0021】
100:積載物移動装置
102:ラック
104:ラックリブ
106:カート
108:カートリブ
110:エレベータシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載された物である載置物を移動するための装置であって、
積載位置とラック移動位置の間で上下移動可能であり、上面が積載表面を画定する複数のラックリブを含むラックと、
カート移動位置と積載物取り除き位置の間を水平移動可能であり、上面が荷台表面を画定する複数のカートリブを含むカートであって、前記ラックリブと前記カートリブがそれぞれのラック移動位置とカート移動位置において互いに差し込まれるように位置決めされる、カートと、
前記カートを前記カート移動位置から前記積載物取り除き位置まで移動させる移動装置と、
を含む積載物移動装置。
【請求項2】
前記ラック移動位置は、前記載置位置から所定距離下降した位置であり、
前記載置表面は、前記物を積載するための面であり、
前記荷台表面は、前記載置表面に積載された載置物を載置するための面であり、
前記複数のラックリブ各々は、直方体の部材であり、長手方向が所定方向に一致するように、他のラックリブと間隔を開けて並んで配置され、上面が所定平面に位置することにより前記積載表面を画定し、
前記複数のカートリブ各々は、直方体の部材であり、長手方向が前記所定方向に一致するように、他のカートリブと間隔を開けて並んで配置され、上面が所定平面に位置することにより前記荷台表面を画定し、
前記カート移動位置は、前記ラックが前記上下移動することにより前記積載表面が移動する空間内に位置し、
前記積載物取り除き位置は、前記カート移動位置から前記所定方向にかつ水平方向に所定距離離間した位置に位置し、
前記ラックリブと前記カートリブがそれぞれの前記ラック移動位置と前記カート移動位置に位置する場合、各カートリブは隣り合う2つのラックリブの間に位置しかつ前記積載表面の位置は前記荷台表面の位置より下方に位置する、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記積載物取り除き位置と前記ラック移動位置の間で前記ラックを上下移動するためのエレベータシステムを更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記積載表面が、前記積載物を移動するための前記荷台表面より下へ下降する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記カート移動位置から前記積載物取り除き位置まで前記カートを移動した後、前記移動装置は、前記積載物取り除き位置から前記カート移動位置まで前記カートを移動する、請求項1に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−22574(P2011−22574A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157917(P2010−157917)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】