説明

穴内検査装置および穴内検査方法

【課題】短時間で、検査精度の高い検査を行うことができる穴内検査装置を提供する。
【解決手段】穴内検査装置100は、複数の穴2を有する被検査物1の穴2の内部の異物を検査する穴内検査装置100であって、被検査物1の穴2の内部を撮像する撮像部10と、撮像部10を制御する制御部20と、を含み、制御部20は、穴2の内部を撮像部10に撮像させて、第1画像を取得する第1画像取得処理と、第1画像に基づいて異物を検出し、異物の大きさが所与の値よりも大きいか否かを判定して、前記所与の値よりも大きい異物がある穴2を選択する選択処理と、選択処理において選択された穴2の内部を、撮像部10に複数回撮像させて、複数の第2画像を取得する第2画像取得処理と、を行い、複数の前記第2画像は、互いに異なる焦点位置で撮像される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穴内検査装置および穴内検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェットプリンターのヘッドに形成された微小な穴(インクを吐出するためのノズル穴)の内部に異物があるか否かを顕微鏡等によって目視検査していた。近年、この微小な穴の内部の異物をCCD(Charge Coupled Device)カメラによって検査する検査装置が知られるようになった。
【0003】
例えば、特許文献1には、絞り手段によってレーザー光を検査対象となる穴と同じ形状および寸法に絞って当該穴に照射し、当該穴を反射または通過する光をCCDカメラで受光して、穴内の異物の有無を検査する穴内検査装置が開示されている。
【0004】
特許文献1の穴内検査装置では、CCDカメラで受光したレーザー光の強さを、基準となるレーザー光の強さと比較して、強さの差が所定の値よりも大きくなる場合には、穴内に異物があると判定している。基準となるレーザー光の強さは、例えば、異物がない穴を検査した際に受光されたレーザー光の強さである。
【0005】
特許文献1の穴内検査装置では、対物レンズによってCCDカメラを合焦させる必要がないため、検査時間の短縮を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−102011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の穴内検査装置では、上述のように、CCDカメラで受光したレーザー光の強さを、基準となるレーザー光の強さと比較して、穴内の異物の有無を判定している。このような穴内検査装置では、異物の大きさを正確に把握することができないため、検査精度が低いという問題がある。
【0008】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、短時間で、検査精度の高い検査を行うことができる穴内検査装置および穴内検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る穴内検査装置は、
複数の穴を有する被検査物の前記穴の内部の異物を検査する穴内検査装置であって、
前記被検査物の前記穴の内部を撮像する撮像部と、
前記撮像部を制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、
前記穴の内部を前記撮像部に撮像させて、第1画像を取得する第1画像取得処理と、
前記第1画像に基づいて前記異物を検出し、前記異物の大きさが所与の値よりも大きいか否かを判定して、前記所与の値よりも大きい前記異物がある前記穴を選択する選択処理と、
前記選択処理において選択された前記穴の内部を、前記撮像部に複数回撮像させて、複数の第2画像を取得する第2画像取得処理と、
を行い、
複数の前記第2画像は、互いに異なる焦点位置で撮像される。
【0010】
このような穴内検査装置によれば、短時間で、異物に焦点があった画像を得ることができる。異物に焦点があった画像が得られることで、異物の形状や大きさを正確に知ることができるため、精度の高い検査を行うことができる。したがって、短時間で、精度の高い検査を行うことができる。
【0011】
本発明に係る穴内検査装置において、
前記制御部は、さらに、複数の前記第2画像に基づいて、前記異物の大きさが所与の値よりも大きいか否かを判定する判定処理を行ってもよい。
【0012】
このような穴内検査装置によれば、異物に焦点があった画像を用いて、異物の大きさの判定ができる。異物に焦点があった画像では、異物の大きさを正確に知ることができるため、精度の高い判定を行うことができる。
【0013】
本発明に係る穴内検査装置において、
前記判定処理では、複数の前記第2画像から前記異物に焦点があった画像を選択し、前記異物の大きさが所与の値よりも大きいか否かを判定してもよい。
【0014】
このような穴内検査装置によれば、異物に焦点があった画像を用いて、異物の大きさの判定ができる。異物に焦点があった画像では、異物の大きさを正確に知ることができるため、精度の高い判定を行うことができる。
【0015】
本発明に係る穴内検査装置において、
前記判定処理では、複数の前記第2画像から前記穴の内部の三次元画像を生成し、前記異物の大きさが所与の値よりも大きいか否かを判定してもよい。
【0016】
このような穴内検査装置によれば、異物の大きさをより正確に知ることができるため、精度の高い検査を行うことができる。
【0017】
本発明に係る穴内検査方法は、
複数の穴を有する被検査物の前記穴の内部の異物を検査する穴内検方法であって、
前記穴の内部を撮像し、第1画像を取得する第1画像取得工程と、
前記第1画像に基づいて、前記異物の大きさが所与の値よりも大きいか否かを判定し、前記所与の値よりも大きい前記異物がある前記穴を選択する選択工程と、
前記選択工程において選択された前記穴の内部を複数回撮像して、複数の第2画像を取得する第2画像取得工程と、
を有し、
前記第2撮像工程において、複数の前記第2画像を、互いに異なる焦点位置で撮像する。
【0018】
このような穴内検査方法によれば、短時間で、異物に焦点があった画像を得ることができる。異物に焦点があった画像が得られることで、異物の形状や大きさを正確に知ることができるため、精度の高い検査を行うことができる。したがって、短時間で、精度の高い検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態に係る穴内検査装置を説明するための図。
【図2】ノズルプレートを模式的に示す平面図。
【図3】ノズルプレートのノズル穴を模式的に示す平面図。
【図4】ノズルプレートのノズル穴を模式的に示す断面図。
【図5】第1実施形態に係る穴内検査方法の一例を示すフローチャート。
【図6】第1画像取得工程で得られた第1画像を模式的に示す図。
【図7】第2画像取得工程における撮像部の焦点位置を説明するための図。
【図8】第2実施形態に係る穴内検査装置を説明するための図。
【図9】第2実施形態に係る穴内検査方法の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0021】
1. 第1実施形態
1.1. 穴内検査装置の構成
まず、第1実施形態に係る穴内検査装置の構成および被検査物について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る穴内検査装置100を説明するための図である。
【0022】
穴内検査装置100は、複数の穴を有する被検査物の穴の内部の異物を検査する装置である。本実施形態では、穴内検査装置100は、インクジェットプリンターのヘッドに用いられるノズルプレート1のノズル穴2の内部の異物を検査する装置である。すなわち、本実施形態では、被検査物が複数のノズル穴2を有するノズルプレート1である。そこで、まず、被検査物であるノズルプレート1について説明する。
【0023】
図2は、ノズルプレート1を模式的に示す平面図である。図3は、ノズルプレート1のノズル穴2を模式的に示す平面図である。図4は、ノズルプレート1のノズル穴2を模式的に示す断面図である。なお、図4は、図3のIV−IV線断面図である。
【0024】
ノズルプレート1の形状は、例えば、板状である。ノズルプレート1の材質は、例えば、シリコン、ステンレス鋼(SUS)等である。ノズルプレート1は、インクを吐出するためのノズル穴2を複数有している。ノズル穴2は、図示の例では、ノズルプレート1に2列形成されている。ノズルプレート1は、図4に示すように、第1面(図示の例では、上面)4と、第2面(図示の例では、下面)5と、を有している。
【0025】
ノズル穴2は、第1面4から第2面5まで、ノズルプレート1を貫通する貫通穴である。ノズル穴2は、第1面4側の第1穴2aと、第2面5側の第2穴2bと、を含んで構成されている。第1穴2aの直径D2aは、例えば、20μm以上30μm以下である。第2穴2bの直径D2bは、例えば、30μm以上50μm以下である。ノズル穴2の深さL2(ノズルプレート1の厚さ)は、例えば、50μm以上70μm以下である。第1穴2aの深さL2aは、例えば、30μm以上35μm以下である。
【0026】
ノズル穴2の内部には、製造工程において、異物101が付着する。異物101は、例えば、研磨工程において、ノズル穴2の内部に残留した研磨剤である。また、異物101は、例えば、ノズルプレート1のハンドリング時にノズル穴2の内部に付着した有機物や無機物である。
【0027】
次に、本実施形態に係る穴内検査装置100の構成について説明する。
【0028】
穴内検査装置100は、図1に示すように、撮像部10と、撮像部10を制御する制御部20と、を含む。穴内検査装置100は、さらに、ステージ30と、照明部40と、を含むことができる。
【0029】
撮像部10は、ノズルプレート1のノズル穴2の内部を撮像する。撮像部10は、例えば、CCDやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子と、レンズユニットと、を有し、ノズル穴2の内部を撮像できるように構成されている。撮像部10は、例えば、Z軸移動機構(図示しない)をさらに有している。撮像部10は、Z軸移動機構によって上下動し、焦点位置を変えることができる。
【0030】
ステージ30は、ノズルプレート1を保持する。ステージ30は、ノズルプレート1を、第1面4が上方を向くように保持する。ステージ30は、ノズルプレート1をX軸方向に移動させるX軸移動機構(図示しない)と、ノズルプレート1をY軸方向に移動させるY軸移動機構(図示しない)と、を有している。このX軸移動機構およびY軸移動機構により、XY平面内において、ノズルプレート1を移動させることができる。X軸移動機構およびY軸移動機構は、例えば、制御部20によって制御される。ステージ30には、開口が設けられており、この開口を介して、照明部40からの光を、ノズル穴2の内部に照射することができる。
【0031】
照明部40は、ステージ30を挟んで、撮像部10と対向する位置に配置されている。すなわち、照明部40は、撮像部10の直下に配置されている。照明部40は、検査対象となるノズル穴2に対して下方から光を照射する。ノズル穴2の内部を撮像部10で撮像する際には、ステージ30の開口を介して、照明部40によりノズル穴2の内部が照明される。なお、図示はしないが、照明部40は、ノズル穴2に対して上方から光を照射してもよい。また、例えば、照明部40は、ノズル穴2に対して上方および下方の両方から光を照射してもよい。照明部40は、例えば、LED(Light Emitting Diode)を含んで構成されている。
【0032】
制御部20は、撮像部10を制御する。制御部20は、第1画像取得処理を行う第1画像取得処理手段22と、選択処理を行う選択処理手段24と、第2画像取得処理を行う第2画像取得処理手段26と、を有している。
【0033】
第1画像取得処理手段22は、ノズル穴2の内部を撮像部10に撮像させて、第1画像を取得する第1画像取得処理を行う。
【0034】
選択処理手段24は、第1画像に基づいて異物101を検出し、異物101の大きさが所与の値よりも大きいか否かを判定して、所与の値よりも大きい異物101があるノズル穴2を選択する選択処理を行う。
【0035】
第2画像取得処理手段26は、選択処理において選択されたノズル穴2の内部を、撮像部10に複数回撮像させて、複数の第2画像を取得する第2画像取得処理を行う。なお、複数の第2画像は、互いに異なる焦点位置で撮像される。
【0036】
また、制御部20は、例えば、ステージ30を制御する。制御部20は、さらに、ステージ制御処理手段28を有している。ステージ制御処理手段28は、ステージ30のX軸移動機構およびY軸移行機構を制御してステージ30を所定の位置に移動させるステージ制御処理を行う。
【0037】
制御部20は、専用回路により実現して上述した制御や後述する処理の各種制御を行うようにすることもできるが、例えばCPU(Central Processing Unit)が記憶部(図示しない)等に記憶された制御プログラムを実行することによりコンピューターとして機能し、これらの処理の各種制御を行うようにすることもできる。すなわち、図1に示すように、制御部20は、制御プログラムにより、第1画像取得処理を行う第1画像取得処理手段22、選択処理を行う選択処理手段24、第2画像取得処理を行う第2画像取得処理手段26、ステージ制御処理を行うステージ制御処理手段28として機能するように構成してもよい。
【0038】
1.2. 検査方法
次に、本実施形態に係る穴内検査方法について、図面を参照しながら説明する。図5は、本実施形態に係る穴内検査方法の一例を示すフローチャートである。以下、図1〜図4に示す穴内検査装置100およびノズルプレート1、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、本実施形態では、図4に示すノズル穴2の第1穴2aの内部の異物101を検査する場合について説明する。
【0039】
まず、ノズル穴2の内部を撮像し、第1画像を取得する(第1画像取得工程S10)。具体的には、まず、制御部20の第1画像取得処理手段22が、撮像部10に撮像を開始させるための第1画像撮像信号22Sを出力する。第1画像撮像信号22Sは、撮像部10に入力される。撮像部10は、第1画像撮像信号22Sが入力されると、ノズル穴2の内部の撮像を開始する。
【0040】
第1画像取得工程S10では、撮像部10の焦点位置は、図4に示すように、例えば、第1穴2aの深さL2aの半分の位置である焦点位置Fである。すなわち、焦点位置Fとノズルプレート1の第1面4との間の距離は、例えば、L2a/2である。これにより、ノズル穴2の深さ方向(Z軸方向)において、第1穴2aの内部の広い範囲を撮像することができる。例えば、第1穴2aの深さL2aが30μm以上35μm以下である場合、焦点位置Fは、第1面4から−Z軸方向に10〜15μm程度ずらした位置である。撮像部10は、第1面4で焦点を合わせた後、焦点位置を−Z軸方向に所定の距離だけずらすことにより、焦点位置Fに焦点を合わせることができる。
【0041】
なお、工程S10において、撮像部10の焦点位置は、焦点位置Fに限定されず、ノズル穴2の内部を撮像できる焦点位置であればよい。
【0042】
撮像部10は、例えば、ノズル穴2ごとにノズル穴2の内部を撮像する。撮像部10が1つのノズル穴2−1(図2参照)の撮像を終えると、制御部20のステージ制御処理手段28は、次のノズル穴2−2(図2参照)の内部が撮像部10の視野内に収まるように、ステージ30を移動させる。そして、撮像部10は、ノズル穴2−2の内部を撮像する。これを繰り返すことにより、複数のノズル穴2の内部を撮像することができる。すなわち、1つの第1画像には、1つのノズル穴2の内部が撮像されている。
【0043】
なお、撮像部10は、複数のノズル穴2を同時に撮影してもよい。例えば、撮像部10の視野内にノズル穴2−1およびノズル穴2−2が含まれる場合には、2つのノズル穴2−1,2−2の内部を一度に撮像してもよい。すなわち、1つの第1画像に複数のノズル穴2−1,2−2が撮像されていてもよい。これにより、検査時間を短縮できる。
【0044】
撮像部10は、撮像した画像を、画像信号10Sとして出力する。画像信号10Sは、第1画像取得処理手段22に入力される。第1画像取得処理手段22は、この画像信号10Sに基づいて第1画像を生成し、ノズル穴2の内部の画像を含む第1画像を取得する。
【0045】
図6は、第1画像取得工程S10で得られた第1画像I1である。第1画像取得工程S10では、焦点を焦点位置Fに合わせているため、第1画像I1では、第1穴2aの輪郭および焦点位置F以外の位置にある異物101には、焦点があっていない。
【0046】
次に、第1画像I1に基づいて、異物101の大きさが所与の値よりも大きいか否かを判定し、所与の値よりも大きい異物101があるノズル穴2を選択する(選択工程S12)。具体的には、選択処理手段24が、第1画像取得処理手段22が取得した第1画像I1に基づいて異物101を検出し、異物101の大きさが所与の値よりも大きいか否かを判定する。そして、選択処理手段24が、判定結果に基づいて、所与の値よりも大きい異物101があるノズル穴2を選択する。
【0047】
選択処理手段24は、まず、第1画像I1(図6参照)において、第1穴2aの輪郭に対応する円2cを求める。次に、選択処理手段24は、この円2cの円周上の点を選択し、選択された円周上の点と円2cの中心とを結ぶ線(法線)Pに沿って輝度分布を取得する。これにより、異物101の法線方向の大きさ(以下「異物の高さ」ともいう)Hを求める。また、選択処理手段24は、この線Pに垂直な線(図示しない)に沿って輝度分布を求める。これにより、異物101の法線方向と直交する方向の大きさ(以下「異物の幅」ともいう)Wを求める。選択処理手段24は、円周上の複数の点について、異物101の高さHおよび異物101の幅Wを求める。
【0048】
次に、選択処理手段24は、異物101の高さHおよび異物101の幅Wが所与の値よりも大きいか否かを判定する。ここで、所与の値は、任意の値であり、例えば、インクの吐出特性に影響を与える異物の大きさ(高さH,幅W)以下に設定される。所与の値は、例えば、3μmである。選択処理手段24は、異物101の高さHおよび異物101の幅Wのいずれかが所与の値よりも大きい場合、その異物101があるノズル穴2を「不良候補」と判定する。また、異物101の高さHおよび異物101の幅Wのいずれもが所与の値以下である場合、その異物101があるノズル穴2を「良好」と判定する。このようにして、選択処理手段24は、複数のノズル穴2から「不良候補」となるノズル穴2を選択する。
【0049】
次に、選択処理手段24は、この「不良候補」のノズル穴2の位置情報を含む選択信号24Sを出力する。選択信号24Sは、第2画像取得処理手段26に入力される。
【0050】
次に、選択工程S12において選択されたノズル穴2の内部を複数回撮像して、複数の第2画像を取得する(第2画像取得工程S14)。具体的には、第2画像取得処理手段26が、選択工程(選択処理)S12において選択されたノズル穴2の内部を、撮像部10に複数回撮像させて、複数の第2画像を取得する。なお、複数の第2画像は、互いに異なる焦点位置で撮像される。
【0051】
第2画像取得処理手段26は、まず、選択信号24Sに基づいて、ステージ30の位置を制御するための制御信号26Sを出力する。制御信号26Sは、ステージ制御処理手段28に入力される。ステージ制御処理手段28は、制御信号26Sに基づいて、「不良候補」のノズル穴2が撮像部10の視野内に収まるように、ステージ30を移動させる。その後、第2画像取得処理手段26が、撮像部10に撮像を開始させるための第2画像撮像信号26Sdを出力する。第2画像撮像信号26Sdは、撮像部10に入力される。撮像部10は、第2画像撮像信号26Sdが入力されると、「不良候補」のノズル穴2の内部の撮像を開始する。
【0052】
図7は、第2画像取得工程S14における撮像部10の焦点位置を説明するための図である。なお、図7は、図4に対応している。
【0053】
第2画像取得工程S14では、撮像部10は、ノズル穴2の深さ方向(Z軸方向)に沿って焦点位置を変えながら、複数回撮像する。図示の例では、撮像部10は、まず、第1焦点位置F1に焦点を合わせて撮像する。次に、撮像部10は、第2焦点位置F2に焦点を合わせて撮像する。撮像部10は、第3焦点位置F3、第4焦点位置F4、第5焦点位置F5、第6焦点位置F6についても同様に、それぞれの位置で焦点を合わせて撮像する。これにより、1つのノズル穴2に対して、互いに異なる焦点位置で撮像された複数(6つ)の画像を得ることができる。焦点位置F1〜F6の間隔は、例えば、インクの吐出特性に影響を与える異物の大きさに基づいて決めることができる。また、例えば、隣り合う焦点位置F1〜F6の間隔は、例えば、撮像部10の被写界深度程度である。すなわち、焦点位置F1〜F6の間隔は、1つのノズル穴2で撮像された複数の第2画像をみたときに、第1穴1aの内部のすべての箇所が焦点のあった状態で含まれるような間隔である。
【0054】
撮像部10は、撮像した画像を、画像信号10Sdとして出力する。画像信号10Sdは、第2画像取得処理手段26に入力される。第2画像取得処理手段26は、この画像信号10Sdに基づいて第2画像を生成し、ノズル穴2の内部の画像を含む第2画像を取得する。
【0055】
第2画像取得処理手段26は、取得した複数の第2画像の情報を含む画像信号を出力する。この画像信号は、例えば、モニター等の表示手段(図示しない)に入力される。そして、第2画像は、例えば、表示手段に表示される。
【0056】
第2画像取得工程S14では、不良候補のノズル穴2に対して、互いに異なる焦点位置で撮像された複数の第2画像を得ることができる。この互いに異なる焦点位置で撮像された複数の第2画像から異物101に焦点があった画像を選択することで、異物101に焦点があった画像を得ることができる。例えば、焦点位置F2および焦点位置F3(図7参照)で撮影された第2画像を選択することで、異物101に焦点があった画像を得ることができる。
【0057】
制御部20は、検査対象となるノズル穴2をすべて検査するまで、第1画像取得工程S10、選択工程S12、第2画像取得工程S14を繰り返す(工程S16でNoの場合)。そして、制御部20は、検査対象となるノズル穴2をすべて検査すると処理を終了する(工程S16でYesの場合)。
【0058】
なお、制御部20は、検査対象となるすべてのノズル穴2に対して、第1画像取得工程S10を行った後、第1画像取得工程S10で取得されたすべての第1画像I1について選択工程S12を行い、その後、第2画像取得工程S14を行ってもよい。
【0059】
本実施形態に係る穴内検査装置100および穴内検査方法は、例えば、以下の特徴を有する。
【0060】
穴内検査装置100では、制御部20が、第1画像I1を取得する第1画像取得処理と、第1画像I1に基づいて異物101を検出し、異物101の大きさが所与の値よりも大きいか否かを判定して、所与の値よりも大きい異物101があるノズル穴2を選択する選択処理と、選択処理において選択されたノズル穴2の内部を撮像部10に複数回撮像させて、複数の第2画像を取得する第2画像取得処理と、を行う。これにより、短時間で、異物101に焦点があった画像を得ることができる。異物101に焦点があった画像が得られることで、異物の形状や大きさを正確に知ることができるため、精度の高い検査を行うことができる。したがって、穴内検査装置100によれば、短時間で、精度の高い検査を行うことができる。
【0061】
本実施形態に係る穴内検査方法は、上述のように、第1画像処理工程S10と、選択工程S12と、第2画像処理工程S14と、を含む。これにより、上述のように、短時間で、検査精度の高い検査を行うことができる。
【0062】
2. 第2実施形態
2.1. 穴内検査装置の構成
次に、第2実施形態に係る穴内検査装置について、図面を参照しながら説明する。図8は、第2実施形態に係る穴内検査装置200を説明するための図である。以下、本実施形態に係る穴内検査装置200において、穴内検査装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0063】
穴内検査装置200では、制御部20が、複数の第2画像に基づいて、異物101の大きさが所与の値よりも大きいか否かを判定する判定処理を行う。
【0064】
穴内検査装置200では、制御部20は、さらに、判定処理手段210を含む。判定処理手段210は、複数の第2画像から異物101の大きさが所与の値よりも大きいか否かを判定する判定処理を行う。具体的には、判定処理手段210は、複数の第2画像から焦点があった画像を選択し、異物101の大きさが所与の値よりも大きいか否かを判定する。
【0065】
2.2. 穴内検査方法
次に、第2実施形態に係る穴内検査方法について、図面を参照しながら説明する。図9は、第2実施形態に係る穴内検査方法の一例を示すフローチャートである。以下、本実施形態に係る穴内検査方法において、第1実施形態に係る穴内検査方法と同様の工程については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。以下、図8に示す穴内検査装置200、および図9に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0066】
本実施形態に係る穴内検査方法では、第2画像取得工程S14では、第2画像取得処理手段26が、複数の第2画像の情報を含む画像信号262Sを出力する。画像信号262Sは、判定処理手段210に入力される。
【0067】
この第2画像取得工程S14の後に、複数の第2画像に基づいて、異物101の大きさが所与の値よりも大きいか否かを判定する(判定工程S115)。
【0068】
具体的には、まず、判定処理手段210は、画像信号262Sに基づいて、複数の第2画像から異物101に焦点があった画像を選択する。判定処理手段210は、例えば、複数の第2画像の各々について、画像内の隣接する画素の差分の総和を求める。そして、この総和がもっとも大きな値を示す第2画像を、焦点があった第2画像と判定する。
【0069】
次に、判定処理手段210は、上述した選択工程S12と同様の方法によって、異物101に焦点があったと判定された第2画像から、異物101の高さHおよび異物101の幅Wを求める。そして、この異物101の高さHおよび異物101の幅Wが所与の値よりも大きいか否かを判定する。ここで、所与の値は、インクの吐出特性に影響を与える異物の大きさ(高さH、幅W)以下に設定される。所与の値は、例えば、3μmである。判定処理手段210は、異物101の高さHおよび異物101の幅Wのいずれかが所与の値よりも大きい場合、その異物101があるノズル穴2を「不良」と判定する。また、異物101の高さHおよび異物101の幅Wのいずれもが所与の値以下である場合、その異物101があるノズル穴2を「良好」と判定する。このようにして、判定処理手段210は、「不良候補」のノズル穴2に対して、「不良」または「良好」の判定を行う。
【0070】
穴内検査装置200では、上述のように、複数の第2画像のうち、異物101に焦点があった画像を選択し、異物101の大きさが所与の値よりも大きいか否かを判定する。これにより、異物101に焦点があった画像を用いて、異物101の大きさの判定ができる。異物101に焦点があった画像では、異物の高さHおよび幅Wを正確に知ることができるため、精度の高い判定を行うことができる。すなわち、穴内検査装置200では、短時間で、精度の高い検査を行うことができる。
【0071】
本実施形態に係る穴内検査方法は、上述のように、第1画像処理工程S10と、選択工程S12と、第2画像処理工程S14と、判定工程S115と、を含む。これにより、上述のように、短時間で、検査精度の高い判定を行うことができる。
【0072】
2.3. 変形例
次に、第2実施形態の変形例について説明する。
【0073】
穴内検査装置200の例では、判定処理手段210が、複数の第2画像から焦点があった画像を選択し、異物101の大きさが所与の値よりも大きいか否かを判定した。これに対して、判定処理手段210は、複数の第2画像からノズル穴2の内部の三次元画像を生成して、異物101の大きさが所与の値よりも大きいか否かを判定してもよい。これにより、異物101の形状や大きさをより正確に知ることができるため、精度の高い検査を行うことができる。さらに、ノズル穴2の内部を三次元画像として捉えることができるため、ノズル穴2の内部構造解析分野に応用ができる。
【0074】
なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、複数を適宜組み合わせることが可能である。
【0075】
例えば、上述した実施形態では、穴内検査装置100,200が、ノズルプレート1のノズル穴2の内部の異物を検査する装置である場合について説明したが、穴内検査装置100,200は、これに限定されない。穴内検査装置100,200は、複数の穴を有する被検査物の穴の内部の異物を検査する装置であればよい。穴内検査装置100,200は、例えば、インクジェットヘッドのコンプライアンス部に用いられる封止膜の穴(インクの流路)の内部の異物を検査する装置であってもよい。
【0076】
また、穴内検査装置100,200の例では、ステージ30が、X移動機構およびY移動機構を有していたが、撮像部10が、X移動機構およびY移動機構を有していてもよい。すなわち、制御部20が、撮像部10をXY平面内において移動させることにより、撮像対象となるノズル穴2の内部が撮像部10の視野内に収まるようにしてもよい。
【0077】
また、図5に示す第1画像取得工程S10では、撮像部10が焦点位置Fで1回撮影を行ったが、撮像部10は、例えば、焦点位置を変えて、複数回(例えば2回)の撮影を行ってもよい。これにより、選択工程S12での「不良候補」の選択精度を向上できる。なお、工程S10での撮影の回数は、工程S14での撮影回数より、少なく設定される。
【0078】
また、図5に示す選択工程S12では、選択処理手段24が、異物101の高さHおよび幅Wが所与の値よりも大きいか否かを判定することにより、「不良候補」のノズル穴2を選択したが、「不良候補」の選択方法はこれに限定されない。例えば、選択処理手段24は、第1画像I1において、第1穴2aの輪郭の内側の面積に占める異物101の割合が所与の値よりも大きいか否かで判定して、「不良候補」を選択してもよい。
【0079】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0080】
1 ノズルプレート、2 ノズル穴、2a 第1穴、2b 第2穴、4 第1面、
5 第2面、10 撮像部、10S,10Sd 画像信号、20 制御部、
22 第1画像取得処理手段、22S 第1画像撮像信号、24 選択処理手段、
24S 選択信号、26 第2画像取得処理手段、26S 制御信号、
26Sd 第2画像撮像信号、28 ステージ制御処理手段、100 穴内検査装置、
101 異物、200 穴内検査装置、210 判定処理手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の穴を有する被検査物の前記穴の内部の異物を検査する穴内検査装置であって、
前記被検査物の前記穴の内部を撮像する撮像部と、
前記撮像部を制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、
前記穴の内部を前記撮像部に撮像させて、第1画像を取得する第1画像取得処理と、
前記第1画像に基づいて前記異物を検出し、前記異物の大きさが所与の値よりも大きいか否かを判定して、前記所与の値よりも大きい前記異物がある前記穴を選択する選択処理と、
前記選択処理において選択された前記穴の内部を、前記撮像部に複数回撮像させて、複数の第2画像を取得する第2画像取得処理と、
を行い、
複数の前記第2画像は、互いに異なる焦点位置で撮像される、穴内検査装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御部は、さらに、複数の前記第2画像に基づいて、前記異物の大きさが所与の値よりも大きいか否かを判定する判定処理を行う、穴内検査装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記判定処理では、複数の前記第2画像から前記異物に焦点があった画像を選択し、前記異物の大きさが所与の値よりも大きいか否かを判定する、穴内検査装置。
【請求項4】
請求項2において、
前記判定処理では、複数の前記第2画像から前記穴の内部の三次元画像を生成し、前記異物の大きさが所与の値よりも大きいか否かを判定する、穴内検査装置。
【請求項5】
複数の穴を有する被検査物の前記穴の内部の異物を検査する穴内検方法であって、
前記穴の内部を撮像し、第1画像を取得する第1画像取得工程と、
前記第1画像に基づいて、前記異物の大きさが所与の値よりも大きいか否かを判定し、前記所与の値よりも大きい前記異物がある前記穴を選択する選択工程と、
前記選択工程において選択された前記穴の内部を複数回撮像して、複数の第2画像を取得する第2画像取得工程と、
を有し、
前記第2撮像工程において、複数の前記第2画像を、互いに異なる焦点位置で撮像する、穴内検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−181095(P2012−181095A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44080(P2011−44080)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】