説明

空き缶・廃ペットボトルの選別方法及び装置

【課題】 低コストにて空き缶と廃ペットボトルとを選別処理する。
【解決手段】 コンベヤ3の搬送経路を横切るように光線を照射する第一の光電センサ14と第二の光電センサ15を備える。第一の光電センサ14は照射した光線が空き缶・廃ペットボトルによって遮断または減衰されて空き缶または廃ペットボトルの通過を検知できる強さの光線を照射するものとし、第二の光電センサ15は照射した光線が廃ペットボトルを透過し、空き缶のみに遮断されて空き缶の通過を検知できる強い光線を照射するものとする。そして、第一の光電センサ14から照射した光線の遮断または減衰によって空き缶または廃ペットボトルの通過を検知し、かつ第二の光電センサ15から照射した光線が遮断されずに透過したときには通過物が廃ペットボトルであると識別し、識別した廃ペットボトルに向けてパルスエアを噴射して吹き飛ばして選別処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混在した状態で回収された空き缶と廃ペットボトルからそれぞれを選別処理する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミ缶・スチール缶の空き缶や廃ペットボトル等の飲料容器は、市町村等の各自治体による回収の他、コンビニエンスストアや自動販売機等からの事業系ルートを通じても回収され、種類別に選別されて再生処理された後、様々な形で再利用が行われている。ところで、このような回収容器は、必ずしも空き缶と廃ペットボトルとにきちんと分別されているとは限らず、両者が混在した状態で回収されてくる場合も少なくなく、専用の選別機によってアルミ缶、スチール缶、廃ペットボトルに選別されている。しかし、最近では、回収容器中に占める廃ペットボトルの割合が多くなりすぎて従来の選別機では廃ペットボトルを選別しきれなくなっており、選別機へと飲料容器を送り込む供給コンベヤの周囲に作業者を配置し、手選別にて廃ペットボトルの全部又は大半を選別除去して前処理を行っているところもあって、作業負担の軽減が望まれている。
【0003】
一方、特許文献1〜3には、原料の異なる各種廃プラスチック容器が混在した回収容器をコンベヤにて搬送しつつ、それらに近赤外光を照射してその吸光度の違いにより原料を高精度で識別し、原料別に自動的に選別処理するようにした選別方法や装置が記載されている。
【特許文献1】特開平8−1101号公報
【特許文献2】特開平9−89768号公報
【特許文献3】特開平9−220532号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記の近赤外光を使用した識別装置は、非常に精密で高価なものであり、小規模の再生処理施設ではコスト的に見合わず、採用は難しいと言う問題点がある。
【0005】
本発明は上記の点に鑑み、低コストにて空き缶と廃ペットボトルとを選別処理することを可能とした空き缶・廃ペットボトルの選別方法及び装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係る請求項1記載の空き缶・廃ペットボトルの選別方法は、空き缶と廃ペットボトルが混在した回収容器からそれぞれを選別する方法であって、回収容器を搬送するコンベヤの搬送経路を横切るように光線を照射する第一の光電センサと第二の光電センサを備え、第一の光電センサは照射した光線が空き缶・廃ペットボトルによって遮断または減衰されて空き缶または廃ペットボトルの通過を検知できる強さの光線を照射するものとし、第二の光電センサは照射した光線が廃ペットボトルを透過し、空き缶のみに遮断されて空き缶の通過を検知できる強い光線を照射するものとし、第一の光電センサから照射した光線の遮断または減衰によって空き缶または廃ペットボトルの通過を検知し、かつ第二の光電センサから照射した光線が遮断されずに透過したときには通過物が廃ペットボトルであると識別し、該識別した廃ペットボトルが光電センサの下流側に備えた分別手段に到達すると識別した廃ペットボトルを分別処理するようにしたことを特徴としている。
【0007】
また、請求項2記載の空き缶・廃ペットボトルの選別方法では、前記分別手段の通過位置には空き缶を検知する近接センサを備え、該近接センサにて空き缶を検知したときには、前記第一、第二の光電センサにて通過物が廃ペットボトルであると識別されていても分別手段による分別処理をしないようにしたことを特徴としている。
【0008】
また、請求項3記載の空き缶・廃ペットボトルの選別方法では、前記分別手段による分別処理は、コンベヤ上の廃ペットボトルに向けてパルスエアを噴射し、廃ペットボトルをコンベヤ外に吹き飛ばして分別処理を行うようにしたことを特徴としている。
【0009】
また、請求項4記載の空き缶・廃ペットボトルの選別装置は、空き缶と廃ペットボトルが混在した回収容器からそれぞれを選別する装置であって、回収容器を所定速度で搬送するコンベヤを配設し、該コンベヤの上位には搬送経路を横切って照射した光線が空き缶・廃ペットボトルによって遮断または減衰されて空き缶または廃ペットボトルの通過を検知できる強さの光線を照射する第一の光電センサと、照射した光線が廃ペットボトルを透過し、空き缶のみに遮断される強い光線を照射する第二の光電センサとを並設すると共に、第一及び第二の光電センサの下流側にはコンベヤ上の廃ペットボトルを分別処理する分別手段を備え、かつ前記第一の光電センサにて検知した通過物が第二の光電センサにて廃ペットボトルであると識別されたときには前記分別手段に所定のタイミングで識別した廃ペットボトルの分別処理を行う指令を出力する制御装置を備えたことを特徴としている。
【0010】
また、請求項5記載の空き缶・廃ペットボトルの選別装置では、前記分別手段の通過位置には空き缶を検知する近接センサを備え、該近接センサにて空き缶を検知したときには、前記第一、第二の光電センサにて通過物が廃ペットボトルであると識別されていても分別手段に分別処理の指令を出力しないように構成したことを特徴としている。
【0011】
また、請求項6記載の空き缶・廃ペットボトルの選別装置では、前記分別手段は、コンベヤ上の廃ペットボトルに向けてパルスエアを噴射して吹き飛ばすエア噴射手段であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る請求項1記載の空き缶・廃ペットボトルの選別方法によれば、回収容器を搬送するコンベヤの搬送経路を横切るように光線を照射する第一の光電センサと第二の光電センサを備え、第一の光電センサは照射した光線が空き缶・廃ペットボトルによって遮断または減衰されて空き缶または廃ペットボトルの通過を検知できる強さの光線を照射するものとし、第二の光電センサは照射した光線が廃ペットボトルを透過し、空き缶のみに遮断されて空き缶の通過を検知できる強い光線を照射するものとし、第一の光電識別したセンサから照射した光線の遮断または減衰によって空き缶または廃ペットボトルの通過を検知し、かつ第二の光電センサから照射した光線が遮断されずに透過したときには通過物が廃ペットボトルであると識別し、該識別した廃ペットボトルが光電センサの下流側に備えた分別手段に到達すると識別した廃ペットボトルを分別処理するようにしたので、照射する光線の強さの異なる二個の安価な光電センサを組み合わせて空き缶と廃ペットボトルを識別することができ、低コストにて空き缶と廃ペットボトルの選別処理ができる。
【0013】
また、請求項2記載の空き缶・廃ペットボトルの選別方法によれば、前記分別手段の通過位置には空き缶を検知する近接センサを備え、該近接センサにて空き缶を検知したときには、前記第一、第二の光電センサにて通過物が廃ペットボトルであると識別されていても分別手段による分別処理をしないようにしたので、空き缶と廃ペットボトルが一部重なった状態でコンベヤ上を流れていて分別が難しいときには分別処理しないため、少なくとも分別回収した廃ペットボトル側には空き缶が混入することがなくて再分別の手間が省け、また廃ペットボトルを大まかに選別除去できて本格的選別機の前処理方法として十分効果がある。
【0014】
また、請求項3記載の空き缶・廃ペットボトルの選別方法によれば、前記分別手段による分別処理は、コンベヤ上の廃ペットボトルに向けてパルスエアを噴射し、廃ペットボトルをコンベヤ外に吹き飛ばして分別処理を行うようにしたので、コンベヤ上を空き缶・廃ペットボトルが連続的に流れていても廃ペットボトルに対してワンポイントにパルスエアを当てることによって廃ペットボトルだけを確実に吹き飛ばして分別回収できる。
【0015】
また、請求項4記載の空き缶・廃ペットボトルの選別装置によれば、回収容器を所定速度で搬送するコンベヤを配設し、該コンベヤの上位には搬送経路を横切って照射した光線が空き缶・廃ペットボトルによって遮断または減衰されて空き缶または廃ペットボトルの通過を検知できる強さの光線を照射する第一の光電センサと、照射した光線が廃ペットボトルを透過し、空き缶のみに遮断される強い光線を照射する第二の光電センサとを並設すると共に、第一及び第二の光電センサの下流側にはコンベヤ上の廃ペットボトルを分別処理する分別手段を備え、かつ前記第一の光電センサにて検知した通過物が第二の光電センサにて廃ペットボトルであると識別されたときには前記分別手段に所定のタイミングで識別した廃ペットボトルの分別処理を行う指令を出力する制御装置を備えたので、安価な光電センサにて空き缶と廃ペットボトルの識別が行え、選別装置が低コストとなって小規模の再生処理施設でも採用できる。
【0016】
また、請求項5記載の空き缶・廃ペットボトルの選別装置によれば、前記分別手段の通過位置には空き缶を検知する近接センサを備え、該近接センサにて空き缶を検知したときには、前記第一、第二の光電センサにて通過物が廃ペットボトルであると識別されていても分別手段に分別処理の指令を出力しないように構成したので、少なくとも分別回収した廃ペットボトル側に空き缶が混入しないようにでき、再分別の手間が省ける。
【0017】
また、請求項6記載の空き缶・廃ペットボトルの選別装置によれば、前記分別手段は、コンベヤ上の廃ペットボトルに向けてパルスエアを噴射して吹き飛ばすエア噴射手段であるので、分別手段が低廉であり、かつ連続的に空き缶・廃ペットボトルが流れていても廃ペットボトルに対してワンポイントにパルスエアを当てることによって廃ペットボトルだけを確実に吹き飛ばして分別回収できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係る空き缶・廃ペットボトルの選別装置にあっては、空き缶と廃ペットボトルが混在した回収容器を一定の速度で搬送するコンベヤを配設し、該コンベヤの上位には搬送経路を横切って照射した光線が空き缶・廃ペットボトルによって遮断または減衰されて空き缶または廃ペットボトルの通過を検知できる強さの光線を照射する第一の光電センサを配設すると共に、該第一の光電センサのコンベヤ搬送上流側直近に、照射した光線が廃ペットボトルを透過し、空き缶のみに遮断されて空き缶を検知する強い光線を照射する第二の光電センサを、少なくとも空き缶や廃ペットボトルの最小径よりも近距離隔てて並設する。また、第一及び第二の光電センサのコンベヤ搬送下流側には、コンベヤ上の廃ペットボトルに向けてパルスエアを噴射して廃ペットボトルを吹き飛ばして分別処理するエア噴射装置を備える。更に、エア噴射装置からパルスエアを噴射する位置のコンベヤ搬送面下位には、近傍に空き缶が存在すればそれを検知することができる近接センサを備える。
【0019】
更に、前記第一の光電センサで検知したコンベヤ上の回収容器が、下流のエア噴射装置位置に到達するのに要する時間を設定入力して記憶させておく記憶部と、第一の光電センサと第二の光電センサによる検知信号に基づいて通過物が廃ペットボトルであると識別したり、その識別した廃ペットボトルがエア噴射装置位置に到達するタイミングでエア噴射装置にパルスエアの噴射を指令する制御部とを有した制御装置を備える。
【0020】
そして、上記構成の空き缶・廃ペットボトルの選別装置にて、空き缶と廃ペットボトルが混在した回収容器からそれぞれを選別処理するときには、先ず、コンベヤ上に回収容器を供給して所定速度にて搬送させる。コンベヤ上の回収容器が第一の光電センサより照射される光線に掛かる位置に到達すると、それが空き缶であったり、濃厚な包装フィルムやラベル等を巻かれた廃ペットボトルの場合には光線が遮断される一方、包装フィルムやラベル等が取り除かれた無色透明な廃ペットボトルの場合においても光量が弱いことによって光線に顕著な減衰が生じ、回収容器の種類や状態等にかかわらず検知する。
【0021】
そして、前記第一の光電センサにて回収容器を検知すると、直ちに上流側直近の第二の光電センサより照射される光線がその回収容器を透過しているかどうかを確認し、光線が透過していればそれが廃ペットボトルであると識別する一方、光線が遮断されていれば空き缶であると識別する。このとき、例え廃ペットボトルに濃厚な包装フィルムやラベル等が巻かれていても、第二の光電センサの光線には光量が非常に強いものを採用しているために遮断されることはなく例外なく透過し、間違って空き缶であると識別してしまうことはない。
【0022】
そして、回収容器が廃ペットボトルであると識別すると、その廃ペットボトルが下流のエア噴射装置位置に到達するタイミングにてエア噴射装置よりパルスエアを噴射するのだが、近接センサにてその近傍に空き缶が存在しないかどうか確認し、無ければパルスエアを噴射して廃ペットボトルを吹き飛ばし、コンベヤ側部に配設した分別ホッパー内に回収する。また、近接センサが空き缶を検知すれば前記識別結果にかかわらずパルスエアの噴射を行わずに素通りさせ、空き缶が分別ホッパー内に混入しないようにする。
【0023】
このように、二個の安価な光電センサの組み合わせで空き缶と廃ペットボトルの識別を行い、廃ペットボトルであると識別したものだけをエア噴射装置にて吹き飛ばして回収するようにしたので、低コストにて空き缶と廃ペットボトルの選別処理が可能となる。
【実施例】
【0024】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1、2中の1は、例えば、コンビニエンスストアや自動販売機等からの事業系ルートを通じて回収される、アルミ缶・スチール缶の空き缶と廃ペットボトルとが混在した回収容器から廃ペットボトルの大半を選別除去する選別装置であって、回収用のゴミ袋を破袋処理作業する作業台2の下流に、破袋したゴミ袋から取り出される回収容器を搬送するコンベヤ3を配設している。
【0026】
前記作業台2は、架台4上に上部を開放し、下部に排出口を有する受けホッパー5を配設すると共に、該受けホッパー5の上部開放部には破袋作業用の台面6を配設している。前記台面6は、複数の平鋼または棒材を空き缶、廃ペットボトルが通り抜けることがない程度の間隔で略平行に配置していると共に、下流のコンベヤ3に向かって若干低くなるように傾斜させており、台面6上で破袋したゴミ袋や回収容器から漏出する残液等を、台面6の隙間より落下させて受けホッパー5を介して下位の残液回収パレット7に回収させる一方、ゴミ袋より取り出した回収容器は台面6の傾斜によって下流のコンベヤ3方向へ転がり易いように図っている。また、作業台2の終端部には供給シュート8を配設しており、該供給シュート8の下端供給口をコンベヤ3の無端ベルト12の搬送面へ臨ませている。
【0027】
コンベヤ3は、本体フレーム9の両端部に回転自在に軸支したヘッドプーリ10とテールプーリ11間に無端ベルト12を巻回しており、該無端ベルト12上に供給される空き缶や廃ペットボトルが混在した回収容器を駆動モータ13の駆動によって所定速度で搬送可能としている。また、コンベヤ3の本体フレーム9上位には、光電センサ14、15を、少なくとも空き缶や廃ペットボトルの最小径よりも短い間隔にて並設している。
【0028】
第一の光電センサ14は回帰反射方式の光電センサ(キーエンス製 LV−H62)を採用しており、図3のように、コンベヤ3の搬送経路である無端ベルト12を挟んで、一方に発光・受光素子14aを、他方に反射板14bを備えており、前記発光・受光素子14aから搬送経路を略直角に横切るように照射される光線Aの遮断または減衰により、通過する回収容器を検知可能としている。ここで、前記第一の光電センサ14には、光線Aの光量が比較的弱いものを採用し、検知対象の回収容器が例え包装フィルムやラベル等の取り除かれた無色透明の廃ペットボトルであっても照射する光線Aに顕著な減衰を生じることで、検知可能としている。
【0029】
一方、前記第一の光電センサ14のコンベヤ搬送上流側直近に位置する第二の光電センサ15は、透過方式の光電センサ(竹中電子工業製 NT50F)を採用しており、無端ベルト12を挟んで、一方に発光素子15aを、他方に受光素子15bを備え、発光素子15aから受光素子15bに向けて空き缶のみに遮断され得る比較的強い光量の光線Bを照射し、光線Bが回収容器を透過することによりその回収容器が廃ペットボトルであると識別可能としている。ここで、前記第二の光電センサ15には、光線Bの光量が比較的強いものを採用し、検知対象の回収容器が例え濃厚な包装フィルムやラベル等が巻かれた廃ペットボトルであっても透過するようにしておく。また、この第二の光電センサ15と第一の光電センサ14との間隔は、空き缶や廃ペットボトルの最小径以下にて設置し、例え検知対象である回収容器が光線A、Bと略平行な向きで搬送されてきたときでも、空き缶か廃ペットボトルかを識別できるようにすると良い。
【0030】
前記第一及び第二の光電センサ14、15のコンベヤ搬送下流側には、無端ベルト12上の廃ペットボトルに向けてパルスエアを噴射して吹き飛ばし、コンベヤ3側部に配設した分別ホッパー16に分別回収させる分別手段としてエア噴射装置17を備えており、本体フレーム9上に固着して無端ベルト12上に臨ませたエア噴射ノズル18と、コンベヤ3近傍に配設したエアコンプレッサ19とをエア供給管20にて連結している。なお、前記分別手段は、前記のようにエア噴射装置に限定されるものではなく、例えば、無端ベルト12上位に流路変更板を出没自在に配設して、ベルト上を廃ペットボトルが流下してきたときに廃ペットボトルの流路を強制的に変更させて、分別ホッパー16内に回収させるように構成したものでも良い。
【0031】
また、エア噴射装置17からパルスエアを噴射する位置の無端ベルト12下位には、近傍にスチール缶やアルミ缶の空き缶が存在すればそれを検知可能な近接センサ(オムロン製 E2EV−X10C)21を、搬送経路と直交方向に所定間隔にて複数配置している。22は前記エア噴射装置17にて分別されずに通過する空き缶や、近傍に存在する空き缶によって分別されなかった廃ペットボトルを次の選別処理工程等に搬送するコンベヤであるが、該コンベヤに代えてホッパー等を配設し、一旦まとめて回収するようにしても良い。
【0032】
また、コンベヤ3の近傍には、前記コンベヤ3やエア噴射装置17の動作制御をしたり、第一及び第二の光電センサ14、15や近接センサ21からの検知信号を受信して、それに対応した各種制御信号を出力する制御装置23を配設しており、該制御装置23には各種演算や制御指令等を行う制御部と、各種センサからの検知信号を受信したり、コンベヤ3の駆動モータ13やエア噴射装置17へ動作指令を出力する入出力部と、第一の光電センサ14にて検知した回収容器が、下流のエア噴射装置17のエア噴射ノズル18位置に到達するのに要する時間を設定入力する設定入力部と、この設定入力した時間を記憶させる記憶部を備えている。
【0033】
次に、図4のフローチャートに基づいて、アルミ缶・スチール缶の空き缶と廃ペットボトルが混在した回収容器を、上記選別装置1にて選別処理する手順について説明する。なお、図中のS1、S2、…は各ステップを表している。
【0034】
先ず、初期設定として、コンベヤ3の搬送速度と、第一の光電センサ14とエア噴射装置17のエア噴射ノズル18との距離に基づいて、第一の光電センサ14にて検知した回収容器が、下流のエア噴射装置17のエア噴射ノズル18位置に到達するのに要する時間を予め求めておき、この求めた時間を制御装置23の設定入力部より設定入力して記憶部に記憶させ(S1)、設定完了かどうか判断し(S2)、これでよければ初期設定を終了する。
【0035】
次いで、選別処理開始時には、エア噴射装置17のエアコンプレッサ19を始動してパルスエアの噴射に備えると共に、駆動モータ13を駆動させてコンベヤ3の運転を開始した後(S3)、作業者は空き缶と廃ペットボトルが混在した回収容器の入ったゴミ袋を作業台2に投入し、このゴミ袋を引き裂いて中から回収容器を取り出してコンベヤ3への供給を開始する(S4)。回収容器の供給中(S5)であれば、第一の光電センサ14から照射される光線Aに掛かる位置に回収容器が到達すると、光線Aに遮断または減衰が生じて検知され(S6)、それに応じて直ちに上流側直近の第二の光電センサ15の光線Bがその回収容器を透過しているかどうか確認し、光線Bが透過していれば廃ペットボトルであると識別する一方、遮断されていれば空き缶であると識別する(S7)。
【0036】
そして、回収容器が廃ペットボトルであると識別されると、該廃ペットボトルがエア噴射ノズル18位置に到達する時間となれば近接センサ21にてその廃ペットボトルの近傍に空き缶が無いかどうか確認し(S8)、無ければエア噴射ノズル18よりパルスエアを噴射して廃ペットボトルを吹き飛ばし、分別ホッパー16に回収する一方(S9)、近接センサ21が空き缶を検知すれば前記識別結果にかかわらずエアパルスの噴射を行わず、分別ホッパー16に回収した廃ペットボトルに空き缶が混入しないようにする。そして、コンベヤ3に供給される回収容器が無くなるまで上記処理(S5)〜(S9)を繰り返し行い、回収容器が無くなればエアコンプレッサ19とコンベヤ3の駆動モータ13とを停止させ(S10)、選別処理を終える。
【0037】
このように、空き缶と廃ペットボトルが混在した回収容器を安価な光電センサ14、15にて識別し、廃ペットボトルであると識別したものだけをエア噴射装置17にて吹き飛ばして回収するようにしたので、低コストにて空き缶と廃ペットボトルを選別処理できる。また、前記光電センサ14、15にて廃ペットボトルと識別しても、近接センサ21にて近傍に空き缶を検知した場合には、エア噴射装置17からエアを噴射しないようにすることで、回収した廃ペットボトルへの空き缶の混入を阻止できる。
【0038】
なお、本実施例においては、光量の強い第二の光電センサ15を光量の弱い第一の光電センサ14のコンベヤ搬送上流側直近に配置して通過物が空き缶か廃ペットボトルかを識別するようにしているが、このような配置関係に限定するものではなく、例えば、第二の光電センサ15を第一の光電センサ14よりも下流側に配置すると共に、第一の光電センサ14位置を通過した通過物が第二の光電センサ15位置に到達するのに要する時間を設定記憶させておき、選別処理時に第一の光電センサ14にて回収容器を検知すれば、所定時間経過後に下流の第二の光電センサ15位置を通過する前記回収容器が空き缶であるか、廃ペットボトルであるかを第二の光電センサ15にて識別するようにしても良い。
【0039】
また、事業系ルートを通じて回収される回収容器には、空き缶や廃ペットボトルの他に、空き瓶も混在している場合がある。空き瓶には、無色透明なものや褐色のもの、或いはラベルが貼られたものがあるが、何れにしても第二の光電センサ15から照射される光量の強い光線Bは廃ペットボトルの場合と同様に例外なく透過してしまうため、光電センサでは空き瓶と廃ペットボトルとは識別することが難しい。そのため、第二の光電センサ15から照射される光線Bが透過する全ての回収容器に対してパルスエアを噴射させる一方、パルスエアの圧力を、廃ペットボトル程度の軽量物であれば吹き飛ばせ、空き瓶程度の重量物であれば吹き飛ばせない程度に予め調整しておくことにより、回収容器に空き瓶が混在している場合でも廃ペットボトルだけを回収することが可能となる。
【0040】
また、コンベヤ3への空き缶・廃ペットボトル供給側に、空き缶・廃ペットボトルを一列に整列させて供給する手段を組み込み、コンベヤ3上の空き缶・廃ペットボトルが一列に整列して搬送されるように工夫すると、本発明方法にて廃ペットボトルのほぼ全てを分別回収することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る、空き缶・廃ペットボトルの選別装置の一実施例を示す、一部切り欠き正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図2の一部を省略した要部拡大図である。
【図4】空き缶と廃ペットボトルの選別処理工程を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0042】
1…空き缶・廃ペットボトルの選別装置
2…作業台 3…コンベヤ
9…本体フレーム 12…無端ベルト
13…駆動モータ 14…第一の光電センサ
15…第二の光電センサ 16…分別ホッパー
17…エア噴射装置(分別手段) 18…エア噴射ノズル
19…エアコンプレッサ 21…近接センサ
23…制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空き缶と廃ペットボトルが混在した回収容器からそれぞれを選別する方法であって、回収容器を搬送するコンベヤの搬送経路を横切るように光線を照射する第一の光電センサと第二の光電センサを備え、第一の光電センサは照射した光線が空き缶・廃ペットボトルによって遮断または減衰されて空き缶または廃ペットボトルの通過を検知できる強さの光線を照射するものとし、第二の光電センサは照射した光線が廃ペットボトルを透過し、空き缶のみに遮断されて空き缶の通過を検知できる強い光線を照射するものとし、第一の光電センサから照射した光線の遮断または減衰によって空き缶または廃ペットボトルの通過を検知し、かつ第二の光電センサから照射した光線が遮断されずに透過したときには通過物が廃ペットボトルであると識別し、該識別した廃ペットボトルが光電センサの下流側に備えた分別手段に到達すると識別した廃ペットボトルを分別処理するようにしたことを特徴とする空き缶・廃ペットボトルの選別方法。
【請求項2】
前記分別手段の通過位置には空き缶を検知する近接センサを備え、該近接センサにて空き缶を検知したときには、前記第一、第二の光電センサにて通過物が廃ペットボトルであると識別されていても分別手段による分別処理をしないようにしたことを特徴とする請求項1記載の空き缶・廃ペットボトルの選別方法。
【請求項3】
前記分別手段による分別処理は、コンベヤ上の廃ペットボトルに向けてパルスエアを噴射し、廃ペットボトルをコンベヤ外に吹き飛ばして分別処理を行うようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の空き缶・廃ペットボトルの選別方法。
【請求項4】
空き缶と廃ペットボトルが混在した回収容器からそれぞれを選別する装置であって、回収容器を所定速度で搬送するコンベヤを配設し、該コンベヤの上位には搬送経路を横切って照射した光線が空き缶・廃ペットボトルによって遮断または減衰されて空き缶または廃ペットボトルの通過を検知できる強さの光線を照射する第一の光電センサと、照射した光線が廃ペットボトルを透過し、空き缶のみに遮断される強い光線を照射する第二の光電センサとを並設すると共に、第一及び第二の光電センサの下流側にはコンベヤ上の廃ペットボトルを分別処理する分別手段を備え、かつ前記第一の光電センサにて検知した通過物が第二の光電センサにて廃ペットボトルであると識別されたときには前記分別手段に所定のタイミングで識別した廃ペットボトルの分別処理を行う指令を出力する制御装置を備えたことを特徴とする空き缶・廃ペットボトルの選別装置。
【請求項5】
前記分別手段の通過位置には空き缶を検知する近接センサを備え、該近接センサにて空き缶を検知したときには、前記第一、第二の光電センサにて通過物が廃ペットボトルであると識別されていても分別手段に分別処理の指令を出力しないように構成したことを特徴とする請求項4記載の空き缶・廃ペットボトルの選別装置。
【請求項6】
前記分別手段は、コンベヤ上の廃ペットボトルに向けてパルスエアを噴射して吹き飛ばすエア噴射手段であることを特徴とする請求項4または5記載の空き缶・廃ペットボトルの選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−268996(P2009−268996A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−122908(P2008−122908)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(000226482)日工株式会社 (177)
【Fターム(参考)】