空中写真画像データセットとその作成方法および表示方法
【課題】 空中写真データセットは、専ら撮影中心を利用していたが、撮影画像内に納められた任意の対象物の画像を積極的に利用することが望まれている。
【解決手段】
空中撮影方向と、前記撮影方向に交差する方向(交差方向)で画面を重複させて撮影し、得られた複数の画像の中から、注視点を含んだ重複部分を含む特定枚数の撮影画像を前記撮影方向および/または前記交差方向から選択し、前記撮影画像のそれぞれの前記重複部分から、前記注視点を含む特定範囲の画像部分を選択して選択画像とし、前記撮影方向と前記交差方向をそれぞれのマトリックスの軸として、前記選択画像を並べて画像セットを作成する工程を含むことを特徴とする空中写真データセットの作成方法、得られた前記画像セットおよびその表示が前記課題解決に優れていることを見出した。
【解決手段】
空中撮影方向と、前記撮影方向に交差する方向(交差方向)で画面を重複させて撮影し、得られた複数の画像の中から、注視点を含んだ重複部分を含む特定枚数の撮影画像を前記撮影方向および/または前記交差方向から選択し、前記撮影画像のそれぞれの前記重複部分から、前記注視点を含む特定範囲の画像部分を選択して選択画像とし、前記撮影方向と前記交差方向をそれぞれのマトリックスの軸として、前記選択画像を並べて画像セットを作成する工程を含むことを特徴とする空中写真データセットの作成方法、得られた前記画像セットおよびその表示が前記課題解決に優れていることを見出した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空撮影して得られた空中写真を、特定の方式に従って整理した空中写真に関するデータセットと、その作成方法、およびその表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、航空写真は、写真測量に利用され、地形図作成、工業計測、文化財計測、自然災害計測等々に用いられていて、空中撮影(航空撮影)の際に、或るオーバーラップ率とサイドラップ率で、それぞれの撮影画像が縦横共に一部重複するように撮影されるのが一般的である。撮影抜けの部分が生じるのを避けるために重複させて撮影することが大きな理由であるが、重複した空中写真画像を積極的に活用することも行われ始めている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されたように、撮影方向と前記撮影方向に交差する方向として、直角方向の例があり、これら前記撮影方向と前記直角方向の両方向ともに略60%の重複率で、重複撮影をして、或る撮影中心が含まれる重複画像をすべて取り出し、前記撮影中心を中央に位置する画像の周囲に重複した部分を重複方向に配置することにより、9枚の画像を互いにマトリックス状に配置させて、空中写真画像セットとして構成させる方法が知られている。
【特許文献1】特開2005−156514
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の特許文献1等で知られている画像セットは、それ以前の画像セットに比較し、非常に有用なものであるが、その活用において、応用範囲が限られていることと、視野あるいは精度の点で不満足である等の問題を有していて、更に改良された写真画像データセットが求められていた。
【0005】
例えば、特許文献1等に関しては、前記撮影中心である撮影主点直下以外の任意の地点を注視点として、採用することができないので、限定された用途で使用されていた。またその他の従来法では、空中写真画像データセットの必要とする要求を満たそうとすると空中写真撮影と画像処理に膨大な時間と経費がかかり、事実上不可能であった。また、視認性(見易さ)、取り扱い性が悪い問題もあった。
【0006】
更に、従来法は、撮影対象物として、建物等の建造物の場合、建物等の映像の倒れこみ方向が不安定である、あるいは、建物等の側面の把握が充分できない、あるいは、水平方向に連続した地表面の状況把握ができない等の不満足な状況であった。
【0007】
また、従来法では、撮影位置の重複撮影を飛行コースの飛行時間間隔で管理された空中写真データのセットがあるが、撮影方向(飛行方向)に交差する方向(例えば、直角方向)の管理がされていないものがあって、活用上非常に扱い難いものもあるが、このような従来法で得られている過去のデータの活用も望まれている。あるいは、現在も、不規則な撮影位置の撮影方法があって、この場合でも、扱いやすい空中写真画像データセットとその作成方法が望まれている。更には、これらの空中写真画像データセットが大変な作業の結果に例えできたとしても、その表示方法の工夫が望まれる。見やすい、扱いやすい、種々の測量がしやすい等の表示方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、従来の多数の要求を満たし、改良された写真画像セットを提供しようというもので、空中撮影方向のオーバーラップ率をA(但し、A=1は完全重複を意味し、0≦A<1)として、前記撮影方向に交差する方向(交差方向)のサイドラップ率をB(但し、B=1は完全重複を意味し、0≦B<1)として空中撮影して得られた複数の画像の中から、M×N枚(但し、MおよびNは、それぞれ、1/(1−A)および1/(1−B)以下の正の整数)の撮影画像で、注視点を含んで重複部分を含む撮影画像を前記撮影方向および/または前記交差方向から選択し、前記撮影画像のそれぞれの前記重複部分から、前記注視点を含む特定範囲の画像部分を選択して選択画像とし、前記撮影方向をひとつの軸として、また前記交差方向を他軸として、前記ひとつの軸にM列、前記他軸にN行のマトリックス状で、前記ひとつの軸に前記撮影画像の撮影順番配置で、前記他軸に、前記画像部分を、前記ひとつの軸の撮影位置が前記交差方向になるように撮影順番配置で並べた画像セットを作成する工程を含むことを特徴とする空中写真データセットの作成方法を請求項1とするものである。
【0009】
更に本発明は、前記注視点の空間位置から標定要素に関して修正したバックプロジェクションで前記空間位置が前記画像部分の中心になるように前記画像部分を得る工程を含むことを特徴とする請求項1の空中写真データセットの作成方法を請求項2とし、前記空間位置を一定距離移動させた架空空間位置を新たな注視点として、前記空中写真データセットを作成する方法を繰り返し、更に、前記移動を前記撮影方向と前記交差方向にも前記作成する方法を繰り返し行って、複数の空中写真データセットを作成する工程を含むことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の空中写真データセットの作成方法を請求項3とするものである。
【0010】
また、前記空中写真データセットを最初のセットとし、前記注視点を一定距離でシフトさせて新たな注視点として、前記空中写真データセットの作成を前記新たな注視点に関して繰り返して、新たな空中写真データセットを得て、前記撮影方向の順方向と逆方向の両方向と前記交差方向の順方向と逆方向の両方向に前記シフトを繰り返してそれぞれ別の新たな注視点に関して行い、前記撮影方向のそれぞれ片側にP回、前記交差方向のそれぞれ片側にQ回(PおよびQは正の整数)繰り返し、((2P+1)×(2Q+1)−1)個の前記新たな注視点について、それぞれ空中写真データセットを作成し、得られた(2P+1)×(2Q+1)個(前記最初のセットを含み)の各空中写真データセットに関して、特定の画像をひとつ選択して、前記最初のセットから選択されたものを中央に配置し、前記P回と前記Q回の前記シフトの各シフト方向の前記各空中写真データセットから選択されたものをそれぞれの前記シフトの位置に対応する配置に並べることを特徴とする請求項1または2の空中写真データセットの作成方法を請求項4とするものである。
【0011】
前記特定の画像は、前記各空中写真データセットに関して、それぞれ同一行列から選択されることを特徴とする請求項4の空中写真データセットの作成方法を請求項5とし、P=Q=1であることを特徴とする請求項4または5の空中写真データセットの作成方法を請求項6として、前記注視点の前記空間位置を特定する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の空中写真データセットの作成方法を請求項7とするものである。
【0012】
また、前記画像セットの中から、隣り合う関係のL×L(但し、LはMとNの小さい方以下の整数)枚の前記選択画像を選択し、前記画像セットの並び配置で、L×Lのマトリックス状に並べた特定画像セットを作成する工程を含むことを特徴とする請求項1または2の空中写真データセットの作成方法を請求項8としている。
【0013】
更に、A=Bで、M=Nであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の空中写真データセットの作成方法を請求項9とし、A=Bであり、その値は0.8あるいはほぼ0.8であって、M=N=5であることを特徴とする請求項9の空中写真データセットの作成方法を請求項10とし、前記選択画像が長方形であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の空中写真データセットの作成方法を請求項11として、前記長方形の縦横比は2:1あるいはほぼこれに等しいものであることを特徴とする請求項11の空中写真データセットの作成方法を請求項12としている。
【0014】
また、本発明は、前記空中写真データセットの作成方法で得られた空中写真データセットにも関していて、空中撮影方向のオーバーラップ率をA(但し、A=1は完全重複を意味し、0≦A<1)として、前記撮影方向に交差する方向のサイドラップ率をB(但し、B=1は完全重複を意味し、0≦B<1)として空中撮影して得られた複数の画像の中から、M×N枚(但し、MおよびNは、それぞれ、1/(1−A)および1/(1−B)以下の正の整数)の撮影画像で、注視点を含んで重複部分を含む撮影画像を前記撮影方向および/または前記交差方向から選択し、前記撮影画像のそれぞれの前記重複部分から、前記注視点を含む特定範囲の画像部分を選択して選択画像とし、前記撮影方向をひとつの軸として、また前記交差方向を他軸として、前記ひとつの軸にM列、前記他軸にN行のマトリックス状で、前記ひとつの軸に前記撮影画像の撮影順番配置で、前記他軸に、前記画像部分を、前記ひとつの軸の撮影位置が前記交差方向になるように撮影順番配置で並べた画像セットであることを特徴とする空中写真データセットを請求項13としている。
【0015】
そして、前記注視点の空間位置から標定要素に関して修正したバックプロジェクションで前記空間位置が前記画像部分の中心になるように前記画像部分を得たことを特徴とする請求項13の空中写真データセットを請求項14とし、前記空間位置を一定距離移動させた架空空間位置を新しい注視点として、前記空中写真データセットを作成する方法を繰り返し、前記移動を前記撮影方向と前記交差方向にも前記作成する方法を繰り返し行って、作成された複数の空中写真データセットを含むことを特徴とする請求項13または14の空中写真データセットを請求項15としている。
【0016】
更に、前記空中写真データセットを最初のセットとし、前記注視点を一定距離でシフトさせて新たな注視点として、前記空中写真データセットの作成を前記新たな注視点に関して繰り返して、新たな空中写真データセットを得て、前記撮影方向の順方向と逆方向の両方向と前記交差方向の順方向と逆方向の両方向に前記シフトを繰り返してそれぞれ別の新たな注視点に関して行い、前記撮影方向のそれぞれ片側にP回、前記交差方向のそれぞれ片側にQ回(PおよびQは正の整数)繰り返し、((2P+1)×(2Q+1)−1)個の前記新たな注視点について、それぞれ空中写真データセットを作成し、得られた(2P+1)×(2Q+1)個(前記最初のセットを含み)の各空中写真データセットに関して、特定の画像をひとつ選択して、前記最初のセットから選択されたものを中央に配置し、前記P回と前記Q回の前記シフトの各シフト方向の前記各空中写真データセットから選択されたものをそれぞれの前記シフトの位置に対応する配置に並べたことを特徴とする請求項13または14の空中写真データセットを請求項16としている。
【0017】
また、前記特定の画像は、前記各空中写真データセットに関して、それぞれ同一行列から選択されたものであることを特徴とする請求項16の空中写真データセットを請求項17とし、P=Q=1であることを特徴とする請求項16または17の空中写真データセットを請求項18とし、前記画像セットの中から、隣り合う関係のL×L(但し、LはMとNの小さい方以下の整数)枚の前記選択画像を選択し、前記画像セットの並び配置で、L×Lのマトリックス状に並べた特定画像セットを含むことを特徴とする請求項13または14の空中写真データセットを請求項19として、A=Bで、M=Nであることを特徴とする請求項13乃至19のいずれかに記載の空中写真データセットを請求項20としている。
【0018】
そして、A=B=または≒0.8で、M=N=5であることを特徴とする請求項20の空中写真データセットを請求項21とし、前記特定範囲が長方形であることを特徴とする請求項13乃至21のいずれかに記載の空中写真データセットを請求項22とし、前記長方形の縦横比は2:1あるいはほぼこれに等しいものであることを特徴とする請求項22の空中写真データセットを請求項23としている。
【0019】
また、本発明は、前記空中写真データセットの作成方法と前記作成方法で得られた空中写真データセットに加えて、前記空中写真データセットを表示する方法にも関していて、空中撮影方向のオーバーラップ率をA(但し、A=1は完全重複を意味し、0≦A<1)として、前記撮影方向に交差方向のサイドラップ率をB(但し、B=1は完全重複を意味し、0≦B<1)として空中撮影して得られた複数の画像の中から、M×N枚(但し、MおよびNは、それぞれ、1/(1−A)および1/(1−B)以下の正の整数)の撮影画像で、注視点を含んで重複部分を含む撮影画像を前記撮影方向および/または前記交差方向から選択し、前記撮影画像のそれぞれの前記重複部分から、前記注視点を含む特定範囲の画像部分を選択して選択画像とし、前記撮影方向をひとつの軸として、また前記交差方向を他軸として、前記ひとつの軸にM列、前記他軸にN行のマトリックス状で、前記ひとつの軸に前記撮影画像の撮影順番配置で、前記他軸に、前記画像部分を、前記ひとつの軸の撮影位置が前記交差方向になるように撮影順番配置で並べた画像セットからなる空中写真データセットから所望の縦横枚数を選択し、前記マトリックス状に表示することを特徴とする空中写真データセットの表示方法を請求項24としている。
【0020】
更に、前記空中写真データセットが、前記注視点の空間位置から標定要素に関して修正したバックプロジェクションで前記空間位置が前記画像部分の中心になるように前記画像部分を得た空中写真データセットであることを特徴とする請求項24の空中写真データセットの表示方法を請求項25とし、前記表示される空中写真データセットが、前記空中写真データセットを最初のセットとし、前記注視点を一定距離で移動(シフト)させて新たな注視点として、前記空中写真データセットの作成を前記新たな注視点に関して繰り返して、新たな空中写真データセットを得て、前記撮影方向の順方向と逆方向の両方向と前記交差方向の順方向と逆方向の両方向に前記シフトを繰り返してそれぞれ別の新たな注視点に関して行い、前記撮影方向のそれぞれ片側にP回、前記交差方向のそれぞれ片側にQ回(PおよびQは正の整数)繰り返し、((2P+1)×(2Q+1)−1)個の前記新たな注視点について、それぞれ空中写真データセットを作成し、得られた(2P+1)×(2Q+1)個(前記最初のセットを含み)の各空中写真データセットに関して、特定の画像をひとつ選択して、前記最初のセットから選択されたものを中央に配置し、前記P回と前記Q回の前記シフトの各シフト方向の前記各空中写真データセットから選択されたものをそれぞれの前記シフトの位置に対応する配置に並べたものであることを特徴とする請求項24または25の空中写真データセットの表示方法を請求項26としている。
【0021】
また、前記特定の画像は、前記各空中写真データセットに関して、それぞれ同一行列から選択されたものであることを特徴とする請求項26の空中写真データセットの表示方法を請求項27とし、P=Q=1であることを特徴とする請求項26または27の空中写真データセットの表示方法を請求項28としている。
【0022】
そして、前記表示される空中写真データセットが、前記画像セットの中から、隣り合う関係のL×L(但し、LはMとNの小さい方以下の整数)枚の前記選択画像を選択し、前記画像セットの並び配置で、L×Lのマトリックス状に並べた特定画像セットであることを特徴とする請求項24乃至25のいずれかに記載の空中写真データセットの表示方法を請求項29とし、A=Bで、M=Nであることを特徴とする請求項24または29の空中写真データセットの表示方法を請求項30として、A=B=または≒0.8で、M=N=5であることを特徴とする請求項30の空中写真データセットの表示方法を請求項31としている。
【0023】
また、前記特定範囲が長方形であることを特徴とする請求項24乃至31のいずれかに記載の空中写真データセットの表示方法を請求項32とし、前記長方形の縦横比は2:1あるいはほぼこれに等しいものであることを特徴とする請求項32の空中写真データセットの表示方法を請求項33としている。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、以上のような構成にかかるもので、前記したような従来法の欠点を改良し、好ましい空中写真画像セット、その作成方法、および表示方法を提供できる。例えば、特許文献1はそれ以前の方法を改良して、望ましいものであるが、本発明は、特許文献1に記載された効果に比較して、注視点選択の任意性があって、撮影中心にない対象物を選択し、前記対象物の注目すべき高度を選択できる。従って、任意の点を注視点とすることができる。
【0025】
更には、前記任意の注視点に関して、種々の方位の画像がセットにできるので、例えば建物の場合には、前記建物の倒れこみの方向を揃えた空中写真画像セットも簡単に作成でき、例えば、特許文献1に記載された効果をはるかに凌ぐ使いやすさ、取り扱いのよさ、測量における精度の高さ等が得られる。また、過去のデータからの作成もしやすく、コストが安く、扱いやすい空中写真画像データセットが得られる。
【0026】
また、不規則な撮影計画(例えば、撮影画像のオーバーラップ率および/またはサイドラップ率の重複率が不規則)であっても、意図した空中写真画像データセットが得られる等の効果がある。
【0027】
更には、これら前記各種の本発明にかかる空中写真画像データセットを使って、表示させたときは、周囲の対象物の陰になって見えない前記注視点の遮蔽箇所も見えるようになり、遮蔽によって、見えなかった従来法の欠点を除き、測量、教育等の観点で、優れた表示が可能となり、使用者の希望にあった表示が可能となる。
【0028】
以上、本発明の効果に関して、代表的なものを記載したが、本発明により、空中写真画像の応用範囲を飛躍的に拡大させ、その活用の範囲が広がる大きな利点を有していて、その他の効果は、以下の記載から更に明確にされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明において、オーバーラップ率とは、航空機から一定の高度で、空中写真撮影するときに、航空機の飛行方向に撮影画像を重複して撮影する場合の重複率であり、撮影方向に撮影画像が重複する率であって、撮影画像の約2/3(約67%、A≒0.67)を重複させて撮影するとか(特許文献1参照)あるいは、約4/5(約80%、A≒0.8)を重複させて撮影するとかが一般的に行われている。また、サイドラップ率とは、航空機が同一飛行ルートの撮影を終了後、一般的にはU−ターンをして前記飛行ルートと同一高度で平行して、逆方向の飛行ルートを取り、逆方向に前記オーバーラップ率で、空中撮影を行うが、このとき、撮影画像が隣の飛行ルートの撮影画像と重複する重複率を言う。このとき、前記空中撮影を複数回繰り返して、重複率を高くすることも可能で、前記飛行方向での撮影位置を移動せしめてオーバーラップ率を上げるあるいは前記飛行ルートを隣の飛行ルート側にずらせてサイドラップ率を上げるあるいは両方の組み合わせでオーバーラップ率とサイドラップ率の両方を上げることもできる
【0030】
本発明は、オーバーラップ率とサイドラップ率は、撮影意図あるいは撮影計画とする重複率であるが、実際は、意図あるいは計画と異なる場合および撮影中にやむを得ない理由等で一定の値をとらずに撮影中に変動する場合もあり、これも前記オ−バーラップ率およびサイドラップ率の用語は本発明では含み、有効に活用できる。しかし、多くの場合、一般的には、これらオーバーラップ率とサイドラップ率を予め定めて計画された飛行計画と空中撮影計画に基づいて、航空機が予め定められた飛行ルートに従って、飛行し、前記撮影計画に従って、空中撮影が行われる。前記撮影計画で予定されるそれぞれの重複率は、撮影コース管理の方法、撮影機器の性能あるいはCCD等の撮像素子の大きさ、撮像素子の形状(四角形の場合の縦横比等)等で、決定される。
【0031】
最近、GPS等の計測機器が発達して、高度を含む空中撮影位置の計測が精度よくできるようになってきていて、空中撮影位置情報を撮影ごとに記録あるいは記憶させておくと、各空中撮影画像の撮影位置および高度が精度よく記録あるいは記憶できる。本発明において、何らかの原因で撮影計画通りに撮影できなくても前記空中撮影位置により、各撮影画像の撮影状態が撮影後に分かるようにできる。
【0032】
そのため、撮影した高度が撮影毎に異なっていても、前記空中撮影位置情報を利用して、撮影画像を同一高度で撮影したように補正することができる。本発明にかかる前記オーバーラップ率と前記サイドラップ率の計画と実際の撮影の際のこれらの率が大きく変動した場合は、実際の変動率を利用して、本発明の前記オーバーラップ率と前記サイドラップ率をMとNの値の決定のために利用することもできる。その場合は、前記各重複率は、前記補正がある場合、補正された撮影画像におけるそれぞれの重複率を用いることもできる。
【0033】
本発明において、前記オーバーラップ率と前記サイドラップ率は、それぞれ一定の値を持つことが好ましいが、それに限定されずに空中撮影中に変動する場合があった場合は、それぞれ、一般的には、前記全撮影範囲で、最も小さい値が選択されることが好ましいことが多い。あるいは、少なくとも前記注視点を含む範囲で、最も小さい重複率がそれぞれ選択されることが好ましいことが多い。前記オーバーラップ率と前記サイドラップ率は、望ましくは50%より大きくて一般的には高い方が望ましいが、好ましくは、それぞれ、約60%以上の重複率であり、更に好ましくは、約80%以上の重複率である。この場合、前記AおよびBの値がこの値をとることになる。すなわち、好ましくは、AもBもそれぞれ約0.6以上で、更に好ましくは、AもBも共に約0.8以上である。例えば、縦横比が2:1であって、Aが約0.8で、Bが約0.9であると、それぞれ縦横隣り合う撮影位置間の距離が等しくあるいはほぼ等しくなり、取り扱い上好ましい。
【0034】
しかしながら、過去の空中撮影画像データを用いて、本発明にかかる空中写真データセットを作成する等の場合には、実際のそれぞれの重複率が計画と大きく変動していて、その中には低いものもあるが、やむを得ずに、その全体、少なくとも、前記注視点を含む範囲で、それぞれ最も重複率の小さい値がMとNの値を決定するための重複率として選択されることが好ましい。また、極端に低いものがある場合は、MとNの値が許容できる範囲で、また、少なくとも前記注視点を含む範囲で、全体の重複率で極端に低い重複率のものを低い方から順次削除して残った撮影画像の重複率の低いものを用いて、MとNの値を決定することができる。
【0035】
本発明において、前記空中撮影方向とは、前述から明らかなように、航空機の飛行方向であるが、飛行中に風の影響等で、予定された空中コースとは、異なる動きをする場合がある。この異なる動きが、前記のそれぞれの重複率変動の原因のひとつとなっている。また、前記交差方向とは、前記撮影方向に交差する方向であり、最も多く好ましい例が直角方向であるが、前記撮影方向が実際には、安定しないこともあるので、直角にこだわるものではない。更には、飛行コースを東西方向にとるのが一般的であるが、南北方向もあり、または、これらに斜めの方向の場合も有って、必ずしも、厳格に直角方向にならないこともあるので、ほぼ直角な方向も前記直角方向に含めるが、東西方向、南北方向ではなく、斜めの撮影方向の場合も、前記交差方向に含まれる。
【0036】
本発明において、空中撮影の撮影機器は、好ましくは、デジタル航空カメラが用いられ、画素数の大きいものが精度および映像密度等の点で望ましいが、得られた撮影画像の使用目的等で、画素数、性能が選択され、適切なデジタル航空カメラが選択される。アナログ航空カメラも使用できるが、撮影画像は、撮影後に、アナログ画像からデジタル画像に変換して、用いることになる。
【0037】
また、一般には、スチールカメラのように静止画を撮影する目的のカメラ方式が用いられるが、ムービーカメラのように動画を撮影する目的のカメラ方式のものも用いられる。それぞれの撮影画像を撮影する撮影タイミングは、一般には、動画方式のように一定の時間間隔で撮影されるが、撮影時に航空機が一定速度と一定高度と一定方向で、飛行する場合は、それぞれの重複率は一定になるが、必ずしも、自然の環境で一定しない場合があるので、GPS等の計測機器を用い、後の補正を考慮して、撮影毎の撮影位置、高度、飛行方向(一般的には、撮影機器の向きで、水平に対する回転角度、垂直に対する回転角度、撮影面内での回転角度等)などを記録、あるいは、記憶しておくことも重要である。
【0038】
あるいは、前記撮影タイミングは、GPS等の計測機器に同期させ、一定距離間隔の計測位置で、撮影することもできるが、この場合も、高度が一定にならないこともあるので、空中撮影位置情報等の記録、記憶は大切である。
【0039】
本発明において、前記注視点とは、撮影画像中の注目したい点のことであって、撮影対象物に限られずに、撮影画像に存在する物体等の中で、選択の自由があって、或る目的、例えば、撮影時には、意図しなかった建物等に着目する必要が生じたときは、その建物等を精査したいという目的で、その建物等を対象物と選択し、更には、場合によって、その建物等のどの高度(例えば何階)に注目するということがあると、前記注目点は、前記建物等の特定の高度ということなる。選択された対象物の中心に関する位置と高度で特定された点が注視点である。要するに、注目したい対象物の位置と高度が特定された点が前記注視点である。任意に前記注視点を選択できるのが本発明の特徴のひとつである。
【0040】
前記のように飛行計画および撮影計画に沿って撮影された撮影画像の中には、当初の撮影目的の撮影対象物が存在する撮影画像が一般的に中心である。前記撮影対象物から、或る距離に離れた位置にある注視点を含む撮影画像を選択する場合で、撮影画像領域を撮影位置情報と撮影高度情報等から補正した場合には補正画像領域と注視点の位置との関係を利用することになるが、前記注視点の空間位置(位置と高度)を特定して入力すると、入力された前記注視点の位置と高度から自動的に前記注視点を含む撮影画像を選択(自動選択)させることができる。
【0041】
前記自動選択は、公知の画像処理のソフトに使われて選択ソフトを微小の変更で使用でき、例えば、前記補正画像領域の境界位置情報と前記注視点の入力された前記位置と前記高度の情報とを比較して、前記境界位置内(たとえば、上下左右の境界位置間にあるかどうかをみて前記境界位置間にあるかないかの判断をして)に前記注視点を含むものを選択させる工程を含むようにすることができる。尚、前記注視点を含む前記撮影画像が必要な枚数存在しないときは、その旨の表示を画像処理装置のディスプレイに表示して、使用者に警告することが好ましい。
【0042】
前記重複率は、自動選択できる最大撮影画像枚数に関係し、重複率の高い方が枚数が多くなる。例えば、前記オーバーラップ率と前記サイドラップ率が共に約67%であるときには、前記撮影方向で、3枚、前記直角方向で、3枚が選択できるので、3×3=9枚の撮影画像が一般に最大自動選択される。前記オーバーラップ率と前記サイドラップ率がともに約80%の場合は、同様にして25枚が一般に最大自動選択される。また、前記オーバーラップ率が約80%で、前記サイドラップ率が約67%の場合は、15枚が一般に最大自動選択される。
【0043】
このようにして、前記Mおよび前記Nの最大値は、それぞれ1/(1−A)および1/(1−B)(ただし、AとBは、それぞれ、前記オーバーラップ率と前記サイドラップ率である。)以下の正の整数の最大値となる。本発明は、MおよびNに関して、最大値を使用することもできるが、使用目的に応じて、最大値以下で、自由に選択される。例えば、A≠Bのときに、前記オーバーラップ率と前記サイドラップ率の小さい方(前記L)を選択し、M=Nとすると選択撮影画像を正方形のマトリックス状(L×L)に並べるあるいは配置することができる。
【0044】
前記のように、A≠Bで、M=Nのときの選択も自動的に行うことができるが、前記自動選択された中から、使用目的に一番適した撮影画像を指定すると、選択された撮影画像をマトリックス状に並べたときに、互いに隣接関係にあって、行列ともに重複率が最も高い隣接関係に従って並べた場合にM=Nとなるように、自動的に選択させるソフトにすると良い。この場合も、前記撮影画像領域に関する位置情報と前記注視点に関する位置情報を使用することとなる。
【0045】
従って、本発明に従って、最終的に選択された撮影画像を並べるあるいは配置する配置は、前記したように、マトリックス状に並べたときに、互いに隣接関係にあって、行と列ともに重複率が最も高い隣接関係に従って並べるあるいは配置することになる。すなわち、本発明において、撮影順番配置とは、行ごとに撮影順番が異なり、前記撮影方向の隣り合う行では互いに逆方向に撮影しているために、撮影順番方向は異なっているが、最初の行で、例えば、左から右に撮影しているときには、次の行は、右から左に撮影していることになり、それぞれの行に配置された後の画像を撮影順番でみると、撮影順になっている配置をいう。
【0046】
MとNの値は、一定の値あるいは変数であって、データあるいは表示の配置が、例えば、正方形マトリックス、長方形マトリックス、菱形マトリックスなどのような場合は、行と列で一定の値を持つが、台形マトリックス状のような場合は、列の数が行で異なるものを含み、2個の台形を底辺同士を合わせたようなマトリックス状では、第1行と最終行が同一の最小のN値で、中央の行が最大のNちをもつもの(一般的には、奇数の行と偶数の行で、奇数と偶数あるいは偶数と奇数が交互になるもの)も含む。
【0047】
本発明において、前記特定範囲は、前記空中撮影が前記撮影対象物を中心に撮影されているのが一般的であるので、撮影領域よりも小さく規定され、この規定される範囲は、前記重複率に関係し、前記撮影中心からの前記注視点までの距離に関係する。例えば、前記重複率が約80%以上のように高く、且つ、前記撮影中心に近い距離に前記注視点が存在する場合は、前記特定範囲は、前記撮影領域にほぼ近い領域内に規定される。一方、前記重複率が低く、且つ、前記注視点の位置が前記撮影領域中心からの距離が大きい場合は、前記特定範囲は、小さく規定される。
【0048】
いずれにしろ、前記選択画像は、前記規定された範囲内の領域(規定範囲領域)で、任意に選択されるが、それぞれの撮影画像との関係で、前記規定範囲領域がそれぞれ異なるときは、全体の中で、一般的には、最も小さい規定範囲領域に前記特定範囲が特定され、前記特定範囲内で、前記選択画像が選択される。好ましくは、前記規定範囲領域の最大範囲が前記特定範囲となり、前記選択画像が前記特定範囲で決められた範囲の画像とされるが、前記隣接する2枚の撮影画像で、相互の比較で特定される前記規定範囲領域のうち、前記選択された撮影画像全体に繰り返して得られる規定範囲領域全体の中で、最小のものを自動的に選択すると、前記規定範囲領域の最大のものとなるので、それを一般的には前記特定範囲とし、その範囲の画像を前記選択画像とする。しかし、使用者の希望で、選択画像が行列の周囲で画像全体を占めなくて良い場合も、使用目的では存在するので、前記特定範囲は、前記最も小さい規定範囲領域に限定しなくてもよい。
【0049】
前記選択画像が、充分前記規定範囲領域内であることが自明である場合に、入力で予め指定したときには、前記撮影画像の選択は、指定された選択画像の領域に関して、前記したような選択を行うこともでき、前記撮影画像全体の選択の工程を経ないで済ませることができるために、処理時間の短縮ができ、本発明の好ましい一実施例である。
【0050】
前記選択画像の指定の入力が、自明に前記規定範囲領域外であるときは、前記画像処理装置のディスプレイに、その旨の表示をさせて、前記指定入力の変更を促すようにすることもできる。前記選択画像の指定の入力が、前記規定範囲領域内外が自明でないときは、前記撮影画像の前記重複率が決まって、その決定された重複率で、前記特定範囲内の画像を前記ディスプレイに表示させて、その中から、前記選択画像を指定するように構成させることが好ましい。
【0051】
尚、前記撮影範囲は、縦横比が2:1の前記撮影機器が入手しやすく、画素数も多いので好ましく用いられる。前記撮影機器は、その撮影範囲が、縦横比が2:1に限定されず、正方形のものも知られているし、異なる縦横比のものも知られていて、いずれも、用いることができる。撮影機器としては、望ましくは、画素数が多いものが好ましい。
【0052】
また、前記請求項1および/または2に従って得られた空中写真データセットを最初のセットとし、前記空中写真データセットを、前記注視点を一定距離でシフトさせて新たな空中写真データセットを同様にして得て、このシフトの工程を前記撮影方向と前記交差方向に前記シフトを繰り返して行い、また、空中写真データセットの前記作成方法を繰り返して、複数の空中写真データセットを作成することができるが、例えば、前記撮影方向にP回、前記交差方向にQ回繰り返し、((2P+1)×(2Q+1)−1)個の新たな注視点について、前記空中写真データセットを作成する。
【0053】
ついで、得られた(2P+1)×(2Q+1)個の各空中写真データセットに関して、同一行列のところ(例えば、3行2列)にある画像を選択して、前記最初のセットから選択されたものを中央に配置し、上記P回とQ回の前記シフトのシフト方向にそれぞれの前記空中写真データセットから前記選択された対応画像を対応する位置に並べるあるいは配置させる。
【0054】
このようにして得られた空中写真データセットを、(2P+1)×(2Q+1)の行列で配置させてディスプレイに表示すると、例えば、P=Q=1として、3×3の空中写真データセットを作成し表示させると、同一方向に向いた前記最初の注視点の様子の一覧が異なる撮影位置のものに関して得られ、前記注視点の様子が非常に良く理解でき、測量、監視等々において、従来では不可能であった観察が可能となる。
【0055】
そのためにも、前記注視点を前記空中写真データセット内の各画像の中央に位置させることが好ましく、前記特定領域を決定するときに、前記注視点が中央になるようにして、前記それぞれの工程を経るのが望ましい。
【0056】
また、本発明において、前記同一高度で撮影したような補正、補正画像領域の補正、前記補正後の位置情報等の補正に関しては、いわゆるバックプロジェクションという方法が用いられ、この方法は、前記撮影時の位置情報に含まれる位置(位置に関するX軸と、位置に関するY軸との座標)と高度(位置に関するZ軸の座標)の情報と、前記撮影機器による前記撮影時の前記撮影装置の傾きに関して三軸の角度(水平面に直角な軸周りの回転角度κ、位置に関するX軸周りの回転角度ω、位置に関するY軸周りの回転角度φ)を用いて、前記撮影画像等を修正する方法で、例えば、特許文献1の図2に関して、詳しく記載されている。
【0057】
その理論は、例えば、注視点に着目すると、実際、測量で得られている注視点の空間位置(X軸値、Y軸値およびZ軸値)を基に、撮影時の前記撮影装置の光学系の中心に向かって逆投影(バックプロジェクション)を行って、前記撮影画像の標定画面を想定し、それぞれの標定要素の補正値(X軸値、Y軸値、Z軸値、ω値、φ値、κ値)を導入して前記標定要素について補正された標定画面を想定するのであり、この補正済みの標定画面内に同様に補正された注視点を認識することとなるのであるが、本発明のバックプロジェクションは、これを含むことは勿論、投影面を任意の位置に推定し、前記投影面上に前記撮影画像を投影した状態で、前記標定要素について補正した投影像を撮影画像上に投影しても、同等の効果が得られるので、それも含むものである。
【0058】
本発明で、マトリックス状とは、前記MとNの値について説明したように、行列状のことであって、行列状に画像を並べるあるいは保存するあるいは表示しようとするものであって、一般的には、行と列が直交する縦横のきれいなマトリックスであるが、行と列が斜めに交差ものも含むものである。すなわち、前記ひとつの軸と前記他軸とが直行するマトリックス、あるいは、菱形のように行と列が斜めに交差するマトリックス状のものも前記マトリックス状に含むものである。更には、台形、2個の台形を底辺をあわせた形のマトリックス状も含むものである。
【0059】
一般的には、前記飛行方向が南北の両方向を互い違いで飛行し、東西方向に移動して撮影することになるので、前記撮影方向が南北方向(含む両方向)となり、前記空中写真データセットの行は、前記南北方向にするのが好ましい。また、列は、東西方向になり、結果として、東西南北のマトリックスにすることが好ましい。
【0060】
しかし、前記飛行方向として、南北の両方向を互い違いで、西から東の方向に移動することもあり、色々な状況を勘案し、目的によって、飛行計画が計画される。一方、表示方法も、前記のように、東西南北のマトリックスが好ましいが、前記飛行計画によっては、例えば、南北の飛行の場合には、南北を列とし、東西を行としたマトリックスが好ましい場合もある。また、最終的に表示したいケース等の使い方によっては、縦横のマトリックスではなく、視覚的にあるいは、目的に応じて、千鳥型のマトリックス状(例えば2個の台形の底辺をあわせた形状)にすることも好ましい。
【0061】
特に、従来、保存されているデータで、例えば古いアナログ形式のデータから、本発明にかかる前記空中写真データセットを作成する場合には、行間と列間の重複が必ずしも適切ではなく、重複状態が好ましい状態に並べたときに、縦横のマトリックスにすることが好ましくないこともあって、必ずしも、前記直角方向が直角ではなく、斜め方向にした方が望ましい場合もある。尚、保存する前記空中写真データセットと表示させるマトリックス状は異なることもあり、また、その方が望ましい場合もあって、表示は、視覚的に最も印象的あるいは識別しやすいマトリックス状を設定することが好ましい。
【0062】
また、前記マトリックス状の形状は、正方形のもの、長方形のもの、ひし形のもの、台形のもの等々から目的に応じて、適切に選択される。従って、MとNの値は、目的に応じて、選択されるが、典型的な一般的な場合は、例えば、Aの値とBの値が等しいあるいはほぼ等しくて、0.67あるいは0.8のような従来一般的な重複率の場合で、それぞれM=N=3あるいはM=N=5の正方形のマトリックス状特にマトリックスが好ましく選択される。ただ、後者の場合は、M=5、N=3も選択されて、長方形のマトリックス状にすることもあり得る。
【0063】
前記空中写真データセットおよび/または前記空中写真データセットの作成方法を新たな注視点に関して、繰り返し行って、複数の空中写真データセットを作成する方法で得られた前記複数の空中写真データセットは、記憶装置に保存されるが、必要時にデマンドにより、前記ディスプレイに表示されるが、光通信などの通信手段を介して、前記保存データから遠距離にあるディスプレイ装置からの指示に応じて、表示される。
【0064】
前記ディスプレイ装置で、注視点の空間位置を入力すると、それが記憶装置内に保存された空中写真データセットを検索して、望ましい表示方法で、表示する。勿論、もし、希望の空中写真データセットが存在しない場合は、前記記憶装置に接続された前記画像処理装置を作動させて、元の撮影画像から、必要な空中写真データセットを前記方法に従って、作成し、前記ディスプレイ装置に送信する。このとき、前記記憶装置に、送信した前記空中写真データセットを保存することもできる。
【0065】
前記の表示方法は、縦横直角なマトリックスで、表示する場合が好ましいが、デザイン、好みに応じて、行列が交差する斜めの表示も、あるいは、行と列がスペースを置いて表示するあるいは行と列とものスペースを置いて表示する等の種々の手段が選択でき、目的に応じて、選択される。
【0066】
例えば、測量あるいは図化の工程で使用するような場合は、正確な位置関係が分かるように、撮影時の位置関係あるいはそれに近い関係に配置した表示が好ましく、一般には、縦横直角の表示になることが多い。一方、地図、あるいは、立体地図の注視点を興味から詳しく見たいというときには、デザイン化された配置で表示することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
前記事項で、発明を実施するための最良の形態を色々記載したが、以下、図面を用いて、更に具体的に本発明を説明すると共に、具体的な実施例について説明する。
【0068】
図1は、一実施例で、撮影のための航空機が飛行する工程の概略を示した図で、以降の説明のために縦横90度右回転させた図面で表現してある。1〜8の順で飛行し、最初、南から北に飛行して、折り返して、西に距離を移動し、北から南に飛行することを繰り返している様子を表わしていて、奇数が南から北の方向への飛行路で、偶数がその逆を意味している。1〜8は、それぞれ行を表すものともする。
【0069】
撮影位置は、1−A〜8−Aの位置で、表示され、1−Aが撮影開始位置で、8−Aが撮影終了位置で、途中の附番は省略してある。従って、A〜Fは、列を表すことにもなる。図1の実施例の場合は、撮影方向と交差方向は、直交していて、行と列は、直交している。撮影時のオーバーラップ率とサイドラップ率は、計画では共に同じで、0.8にしてある。飛行環境が良くて、安定な飛行ができ、高度一定、飛行経路も計画通りで、航空機の傾きもないとすると、図2に表示したような、撮影画像(例では、縦横比が2:1)が得られる。
【0070】
図2は、図1の撮影画像を表示する概念図である。9は、撮影画像で、全部で、48枚得られ、撮影画像の位置にあわせて、重複箇所が一致するように48枚の前記撮影画像を重ねた概念図である。1−A〜8−Aまでの48枚の撮影位置(図1と同様、途中の附番は省略)に対応する撮影画像を概念的に表示している。
【0071】
図3は、図2の8−Aと8−Bの撮影位置の2枚の撮影画像9を前記48枚の撮影画像9の中から選択して、8−Bを下にずらせて表示した図である。Hは注視点を表し、前記ずれの分、8−Aでの撮影画像上の位置と8−Bの撮影画像では、ずれが生じている。8−Bの撮影画像9を下にずらさない場合は、8−Aのものと同じ位置に重なるものである。なお、前記注視点はバックプロジェクションで撮影画像上に表示したものである。
【0072】
図4は、図2の撮影画像の重複状態を正確に表示する概念図である。図面が重なって分かりにくいが、図3を参照するとよい。図4では、3枚の撮影画像(7−A、7−B、および8−Aの撮影位置の撮影画像3枚)を説明のために、撮影順番で前記画像を下から重複部分10の画像を一致させて、重ね合わせたものである。Hは、注視点である。(Hは前記説明のとおり、撮影画像上に投影されたものである。)
【0073】
重複部分10の斜線範囲で、前記撮影画像から離れた位置にある前記注視点を画面中央になるように濃い斜線範囲を特定範囲を決め、選択画像11としている。図4の場合は、前記注視点の位置と撮影画像との関係から、この場合、M=N=3が好ましく、L=3が好ましい。従って、6−A、6−B、6−C、7−A、7−B、7−C、8−A、8−B、および、8−Cの9枚が、全48枚の前記撮影画像から、選択され、それぞれの前記撮影画像の中から、選択画像11が選択される。
【0074】
図2からこのように選択された前記撮影画像を、図5に示すように、並べたもので、図5は、本発明にかかる空中写真データセットの一例である。選択された6−A、6−B、6−C、7−A、7−B、7−C、8−A、8−B、および、8−Cの選択画像11を、行は行に、列は列に、行と列が直交するように配置され、それぞれの撮影位置関係で、順番に並べたもので、それぞれ前記注視点Hが画面中央にある。
【0075】
図5の選択画像11は、仮想として、四角錐が注視点にあるとして表現してあり、それぞれ撮影位置の違いから、同じ注視点Hの画像でも、形状が異なって表現されている。6の行は、三角形の頂点が小さい四角形の下辺にあり、その位置も異なっている。7の行は、前記小さい四角形の中央に前記頂点が位置し、その位置が微妙に異なる。また、8の行は、前記頂点が前記小さい四角形の上辺にある。そして、前記列がA→B→Cに移動するにしたがって、三角形の頂点の位置がずれていく。このために、注視点のいろいろな状態が把握できるので、測量、図化、観察等に非常に有効であり、また、任意の注視点が選択できる利点を有し、また、簡便に任意の注視点の異なる角度からの画像が得られる効果を有する。
【0076】
尚、図5では、前記四角錐が中央に向かって倒れこんだようなデータセットになっているので、視覚的に使用者に圧迫感を与えて、一般には、好ましくなく、中央を中心にして点対称に選択画像11を移動させて、図6のように使用するあるいは表示することが望ましい。図6は、図5の選択画像11を撮影位置7−Bのものを中心にそれぞれの選択画像を点対象に移動させたものである。図5で右下にあった撮影位置8−Cの選択画像11が図6では、左上に位置している。その他も前記中心に対して、同様に点対称に図5の選択画像を移動したものであろ。図5と同様、Hは注視点をバックプロジェクションで、選択画像に投影したものである。
【0077】
図6によると、前記四角錐が広がって、倒れこんでいるように見えて、圧迫感がないのと、見易さから、使用あるいは表示に好ましい。従って、本発明の空中写真データセットは、一旦本発明の方法で得られた空中写真データセットを、中央に位置する選択画像を中心に点対象に移動させた空中写真データセットも好ましく、これも本発明にかかる空中写真データセットに含むものである。
【0078】
渋谷上空から実際にオーバーラップ率、サイドラップ率共に約0.8で撮影して得られた実際の画像中の或る建物(H−H)の屋上に着目して(注視点H)、図1〜図6までを実行し、その建物(H−H)を模擬的に表示し、図6に相当するデータセットを図7に表示した。9枚の注視点Hを中央に含む撮影画像が得られている。図6は、M=N=3(L=3)の例で、図8は、前記注視点Hを図7と同一建物で、高さを地面付近に設定したもので、その他は図7と同様に作成したものである。注視点の高度を任意に設定することによって、異なる選択画像が得られる。図8では、注視点は、建物H−Hの下層の中央に位置しているもので、9枚の画像の中心の画像で示されていて、実際には注視点Hは、外から見えないもので、前記中央の位置の画像以外の画像での注視点Hは、高さの位置を表示しているものである。
【0079】
図9は、M=N=5(L=5)とした以外は、図7と同様に作成したものである。従って、注視点Hは、建物H−Hの屋上に設定されている。建物の角度の違いがより増加して、側面等の様子が更に詳しく理解できるようになる。
【0080】
図7、8および9からも分かるように、異なる方向から、異なる角度で、注視点が見られ、例えば注視点が建物の場合は、いろいろな方向に倒れて見えるために、各側面の状態が良く分かり、測量の観点、不動産の様子、現場の様子等々、種々の活用が考えられ、応用、用途が広がって、有意義な空中写真データセットが得られ、その表示の選択で種々の効果が期待できる
【0081】
本発明で、前記注視点を移動させて、複数の対応する空中写真データセットを作成する方法、それにより得られた空中写真データセットとその表示方法の例を図1〜6を基礎としてひとつの実施例として説明する。先ず、最初の空中写真データセットの作成および空中写真データセットは、図1〜6の方法およびそれで得られたものを用いる。図10は、前記移動または前記シフトの様子を表す図であって、撮影画像12〜20は、図1〜6の撮影画像9に相当するものである。Gは、撮影画像中心であり、注視点Hは、図10の撮影画像12では、H1で表示してある。
【0082】
注視点H1(ここではバックプロジェクションで撮影画像上に表示。以下注視点は同義である。)を、図1の撮影方向の順方向に或る定められた距離を移動(シフト)したものが、画像13で、注視点H2である。シフト前の注視点H1を画像13内に点線で示している。また、前記撮影方向の逆方向に注視点H1を同距離シフトしたものが、画像14で、そのときの注視点は、H3である。なお、前記各移動は、ここでは、撮影位置間の距離を選択している。理論的には、各注視点の各移動(シフト)距離は、撮影位置間の距離であるが、実際は、平均値で用いている。以降、各注視点の移動距離は同義である。
【0083】
注視点H1を、前記撮影方向に交差する方向(交差方向)の順方向に同距離シフトして、新たな注視点H7としたものが、撮影画像18内に記載され、最初の注視点H1が点線で示してある。前記交差方向の逆方向に同距離注視点をシフトした新たな注視点H4は、撮影画像15内に、最初の注視点H1の点線表示と共に示してある。図10の場合、前記撮影方向と前記交差方向は、直交している。
【0084】
撮影画像12を中心として、図10の右方向は、前記撮影方向に順方向で、左方向は、前記撮影方向の逆方向へシフトして、それぞれ新たな注視点を想定したもので、下方向は、前記交差方向の順方向へのシフトを意味し、上方向は、前記交差方向の逆方向へのシフトを意味している。
【0085】
結果、例えば、撮影画像20は、撮影画像18の注視点H7を左方向(すなわち、前記撮影方向の逆方向)に同距離シフトした新たな注視点H9を示している。注視点H9は、注視点H3を下方向(前記交差方向の順方向)に、同距離シフトした場合と同じである。元の注視点H1を点線で示している。
【0086】
新たな注視点をH1からH9、それぞれに対応する撮影画像を12から20、撮影中心がGで、シフト前の元の注視点H1を点線で示している。それぞれ各注視点H2からH9に関して、注視点1と同様に、図1から図6の方法を繰り返して、それぞれの注視点に対応する空中写真データセットを作成する。
【0087】
図11は、撮影画像12の注視点H1に関して得られた図6に対応する空中写真データセットで、選択画像12−1から12−9までの9枚の写真データをセットとするものである。同様にして、撮影画像15の注視点H4に関して、図1〜6の方法で作成した空中写真データセットが、図12である。図12では、選択画像15−1から15−9までの9枚の空中写真データからなるセットで、注視点H4が示されている。
【0088】
同様にして、各注視点に関して、それぞれに対応する空中写真データセットを作成すると、9個の注視点に関して、それぞれ9個の選択画像からなる空中写真データセットが作成される。このようにして、注視点のシフト(移動)を行い、それに対応する空中写真データセットを複数作成することができる。
【0089】
図13は、注視点のシフトを行って作成した複数の空中写真データセットの中から、それぞれ、同一行列の画像を選択して、前記シフトに対応する位置に配置した空中写真データセットである。選択画像15−9は、図12の空中写真データセットの3行1列からのもので、選択画像12−9は、図11の空中写真データセットの3行1列から選択されたものである。このようにして、図10の注視点H1からH9に対応するそれぞれ9枚の選択画像から作成されたそれぞれの空中写真データセットのそれぞれに関して3行1列の選択画像を選択し、撮影画像に対応する配置に並べて、画像12−9、13−9、14−9、15−9、16−9、17−9、18−9、19−9、および20−9を配置したものである。
【0090】
このようにして得られた図13の空中写真データセットは、同一方向に倒れこんだ画像が、連続して並んだ状態で見え、選択画像の範囲をそれぞれが僅かに重なりあうようにすると、同一角度から眺めた連続画像で、あたかも連続してつながったように見える画像を作成することができる。従来の方法では、撮影直下の画像の連続を作成していたので、建物の屋上が並んだ状態であったが、本発明では、画像の中の全体の立体像の或る定められた、側面状態を見ることができ、測量の観点のみならず、不動産評価上画像としても有益であり、不動産購入者に対象物の様子を正しく理解されるようになる。また、使用者の興味の観点で、観察ができる等の利点等を有する。
【0091】
図10で、注視点の移動を移動量を撮影位置間距離として説明をしたが、この場合は、別の見方をすると、撮影画像の中心点と注視点の相対的な空間位置関係(3次元位置関係)をそれぞれの撮影画像12〜20について同一にして新しい注視点を発生させるのと同様の結果になる。
【0092】
また、選択画像12−1〜20−9までの、それぞれの注視点H1〜H9についての空中写真データセットは、図1〜図6の方法で得たが、図1〜図5までにすると、最後の図6を作成する工程を省略できる。ただ、図13を作成するときの選択画像の選択位置(行と列)に注意を要し、図5と図6は中心に対して点対称になっていることに注意を要する。
【0093】
さらに、図13は、各空中写真データセットの3行1列を選択した例であるが、他の行列を選択すると、画像の倒れ方が異なる連続画像を作成することができるので、異なる方向から見た連続空中写真が得られ、対象物の種々の測定、判定、調査、観察等ができる効果も有する。
【0094】
図14は、例えば過去に撮影された空中写真の飛行経路を表示している例とかあるいは何らかの理由で、東西南北に飛行できない場合の飛行経路の例で、図面上方を北とすると、東南から東北に飛行し、折り返して、東北から東南に飛行することを繰り返している例である。21−A、21−B等は、撮影地点であって、途中の附番を省略してある。
【0095】
図15は、図14の飛行で、撮影された撮影画像29を、撮影地点21−Aから撮影地点23−Eまでで得られた撮影画像29を撮影画像の重複部を重ねたものであって、図2に相当するものである。行間のずれと列間のずれが生じているものの例である。
【0096】
図16は、図4に相当するもので、撮影地点21−A、21−Bおよび22−Aの撮影画像を抜き出した例であって、東西南北の撮影画像に修正するときには、斜線で表示された重複画像部分10で、濃い斜め斜線で表示された選択画像31を図のように南北にあわせて設定した例である。図4と同様にHは、注視点である。なお、注視点Hは前記のようにバックプロジェクションで撮影画像上に表示したものである。
【0097】
図16の選択画像31から本発明にかかる空中写真データセットを作成する方法は、図1〜図6に記載した方法で作成される。このようにして、過去の空中写真を利用することもできるし、何らかの理由で通常の飛行経路をとれない場合も、東西南北の見やすい空中写真データセットを作成できる。このようにして得られた空中写真データセットは更に図10〜図13に記載された方法で、連続的な空中写真データセットに作成できることもあって、得られた空中写真データセットの表示方法は、図6あるいは図13のようなマトリックスで表示することもできるし、千鳥状に並べて表示する等のいずれ方法も利用できる。
【0098】
図17は、千鳥型のマトリックス状の空中写真データセットあるいは表示の例である。図14の飛行計画で、奇数行(例えば21、23の行)は図14の通りで、偶数行(例えば、22の行)は、図14よりも東北に少しずれた千鳥状の撮影位置(例えば22−A等が少し東北にずれた撮影位置)で、渋谷上空からオーバーラップ率とサイドラップ率ともに約67%で撮影された撮影画像を利用して、或る撮影位置とその東西にひとつと東北、西北、東南、西南からひとつづつの撮影画像を選択し、図7を得た方法と同様に作成した空中写真データセットである。図17のH−Hは、注視点として選んだ建物で、注視点は屋上にあり、Hで表示した。
【0099】
本発明は、以上のように構成され、種々の計測、図化、観察等に有用なもので、注視点の様子が、色々な角度から見ることができ、陰になって見えないところも見えるようになって、細かい観察が可能となるものである。また、表示も空中写真データセットとして保存されたままに表示することも、観察者の希望で、変化させることもできるものである。
【0100】
図18は、図1から図6を別の観点で補足説明しながら、バックプロジェクションを説明する概念図である。撮影方向1、2および3の例で、例えば、撮影位置1−A、1−B、1−C、2−A、2−B、2−C、3−A、3−B、および3−Cで撮影したところを表示している。例えば、枠211、212、213および214で、囲まれた撮影範囲は、撮影画像として枠221、222、223および224で囲まれた領域で撮影される。
【0101】
また、例えば、X軸とY軸方向の枠311、312、313および314で囲まれた撮影範囲は、撮影画像として枠321、322、323および324で囲まれた領域で撮影される。注視点H−1は、前記撮影範囲の撮影対象物中に含まれているが、撮影画像上では、注視点Hとして表示される。なお、前記撮影範囲の高さは、撮影対象物全体を注視点H−1の高さ(Z方向)の水平面(基準面)で切ったものである。
【0102】
注視点Hは、前記撮影対象物中の注視点H−1と各撮影点を結ぶ直線と撮影画像との交点で注視点Hとなる(これをバックプロジェクションという)。そのため、各画像ごとに注視点Hの画像位置が異なるが、これを一致して重なるようにしたものが、図2および図4である。
【0103】
実際の撮影では、撮影位置変化とZ軸、Y軸およびX軸周りの回転角があるので、これらの修正を行って、図17に記載したような撮影位置と撮影対象物との位置関係になるように、画像の修正を行って、前記撮影画像を作成する(バックプロジェクションによる標準要素の修正)。そのときに、撮影位置を中心に修正するのが一般的である。あるいは、前記撮影対象物上で修正してそこから前記撮影画像を作成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】 本発明の1実施例の航空機の飛行経路と撮影地点を表示する概念図である。
【図2】 図1の各撮影地点で撮影された画像の重複部分を重ねた概念図である。
【図3】 図2の撮影画像から選択された画像で、撮影対象と注視点の関係を示す概念図である。
【図4】 図3選択画像の概念図である。
【図5】 本発明にかかる空中写真データセットの例である。
【図6】 図5の空中写真データセットを点対称に移動した例である。
【図7】 本発明にかかる空中写真データセットの例とその表示の例の概念図である。
【図8】 本発明にかかる空中写真データセットの別の例とその表示の例の概念図である。
【図9】 本発明にかかる空中写真データセットの他の例とその表示の例の概念図である。
【図10】 本発明の他の実施例の概念図で、注視点移動の例の概念図である。
【図11】 図7のひとつの注視点に関する空中写真データセットの例である。
【図12】 図7の別の注視点に関する空中写真データセットの例である。
【図13】 図11、図12等の同一行列から選択された新しい空中写真データセットの例である。
【図14】 斜め飛行の空中写真の飛行経路と撮影位置を表示した例の概念図である。
【図15】 図2に相当する図14で得られた撮影画像の概念図である。
【図16】 図4に相当する図15で得られた撮影画像の概念図である。
【図17】 千鳥型のマトリックス状の例の概念図である。
【図18】 図1から図6までの説明の補足図とバックプロジェクションの概念図である。
【符号の説明】
【0105】
1 飛行経路
9 撮影画像
10 撮影画像の重複部分
11 選択画像
G 撮影画像中心
H 注視点
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空撮影して得られた空中写真を、特定の方式に従って整理した空中写真に関するデータセットと、その作成方法、およびその表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、航空写真は、写真測量に利用され、地形図作成、工業計測、文化財計測、自然災害計測等々に用いられていて、空中撮影(航空撮影)の際に、或るオーバーラップ率とサイドラップ率で、それぞれの撮影画像が縦横共に一部重複するように撮影されるのが一般的である。撮影抜けの部分が生じるのを避けるために重複させて撮影することが大きな理由であるが、重複した空中写真画像を積極的に活用することも行われ始めている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されたように、撮影方向と前記撮影方向に交差する方向として、直角方向の例があり、これら前記撮影方向と前記直角方向の両方向ともに略60%の重複率で、重複撮影をして、或る撮影中心が含まれる重複画像をすべて取り出し、前記撮影中心を中央に位置する画像の周囲に重複した部分を重複方向に配置することにより、9枚の画像を互いにマトリックス状に配置させて、空中写真画像セットとして構成させる方法が知られている。
【特許文献1】特開2005−156514
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の特許文献1等で知られている画像セットは、それ以前の画像セットに比較し、非常に有用なものであるが、その活用において、応用範囲が限られていることと、視野あるいは精度の点で不満足である等の問題を有していて、更に改良された写真画像データセットが求められていた。
【0005】
例えば、特許文献1等に関しては、前記撮影中心である撮影主点直下以外の任意の地点を注視点として、採用することができないので、限定された用途で使用されていた。またその他の従来法では、空中写真画像データセットの必要とする要求を満たそうとすると空中写真撮影と画像処理に膨大な時間と経費がかかり、事実上不可能であった。また、視認性(見易さ)、取り扱い性が悪い問題もあった。
【0006】
更に、従来法は、撮影対象物として、建物等の建造物の場合、建物等の映像の倒れこみ方向が不安定である、あるいは、建物等の側面の把握が充分できない、あるいは、水平方向に連続した地表面の状況把握ができない等の不満足な状況であった。
【0007】
また、従来法では、撮影位置の重複撮影を飛行コースの飛行時間間隔で管理された空中写真データのセットがあるが、撮影方向(飛行方向)に交差する方向(例えば、直角方向)の管理がされていないものがあって、活用上非常に扱い難いものもあるが、このような従来法で得られている過去のデータの活用も望まれている。あるいは、現在も、不規則な撮影位置の撮影方法があって、この場合でも、扱いやすい空中写真画像データセットとその作成方法が望まれている。更には、これらの空中写真画像データセットが大変な作業の結果に例えできたとしても、その表示方法の工夫が望まれる。見やすい、扱いやすい、種々の測量がしやすい等の表示方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、従来の多数の要求を満たし、改良された写真画像セットを提供しようというもので、空中撮影方向のオーバーラップ率をA(但し、A=1は完全重複を意味し、0≦A<1)として、前記撮影方向に交差する方向(交差方向)のサイドラップ率をB(但し、B=1は完全重複を意味し、0≦B<1)として空中撮影して得られた複数の画像の中から、M×N枚(但し、MおよびNは、それぞれ、1/(1−A)および1/(1−B)以下の正の整数)の撮影画像で、注視点を含んで重複部分を含む撮影画像を前記撮影方向および/または前記交差方向から選択し、前記撮影画像のそれぞれの前記重複部分から、前記注視点を含む特定範囲の画像部分を選択して選択画像とし、前記撮影方向をひとつの軸として、また前記交差方向を他軸として、前記ひとつの軸にM列、前記他軸にN行のマトリックス状で、前記ひとつの軸に前記撮影画像の撮影順番配置で、前記他軸に、前記画像部分を、前記ひとつの軸の撮影位置が前記交差方向になるように撮影順番配置で並べた画像セットを作成する工程を含むことを特徴とする空中写真データセットの作成方法を請求項1とするものである。
【0009】
更に本発明は、前記注視点の空間位置から標定要素に関して修正したバックプロジェクションで前記空間位置が前記画像部分の中心になるように前記画像部分を得る工程を含むことを特徴とする請求項1の空中写真データセットの作成方法を請求項2とし、前記空間位置を一定距離移動させた架空空間位置を新たな注視点として、前記空中写真データセットを作成する方法を繰り返し、更に、前記移動を前記撮影方向と前記交差方向にも前記作成する方法を繰り返し行って、複数の空中写真データセットを作成する工程を含むことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の空中写真データセットの作成方法を請求項3とするものである。
【0010】
また、前記空中写真データセットを最初のセットとし、前記注視点を一定距離でシフトさせて新たな注視点として、前記空中写真データセットの作成を前記新たな注視点に関して繰り返して、新たな空中写真データセットを得て、前記撮影方向の順方向と逆方向の両方向と前記交差方向の順方向と逆方向の両方向に前記シフトを繰り返してそれぞれ別の新たな注視点に関して行い、前記撮影方向のそれぞれ片側にP回、前記交差方向のそれぞれ片側にQ回(PおよびQは正の整数)繰り返し、((2P+1)×(2Q+1)−1)個の前記新たな注視点について、それぞれ空中写真データセットを作成し、得られた(2P+1)×(2Q+1)個(前記最初のセットを含み)の各空中写真データセットに関して、特定の画像をひとつ選択して、前記最初のセットから選択されたものを中央に配置し、前記P回と前記Q回の前記シフトの各シフト方向の前記各空中写真データセットから選択されたものをそれぞれの前記シフトの位置に対応する配置に並べることを特徴とする請求項1または2の空中写真データセットの作成方法を請求項4とするものである。
【0011】
前記特定の画像は、前記各空中写真データセットに関して、それぞれ同一行列から選択されることを特徴とする請求項4の空中写真データセットの作成方法を請求項5とし、P=Q=1であることを特徴とする請求項4または5の空中写真データセットの作成方法を請求項6として、前記注視点の前記空間位置を特定する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の空中写真データセットの作成方法を請求項7とするものである。
【0012】
また、前記画像セットの中から、隣り合う関係のL×L(但し、LはMとNの小さい方以下の整数)枚の前記選択画像を選択し、前記画像セットの並び配置で、L×Lのマトリックス状に並べた特定画像セットを作成する工程を含むことを特徴とする請求項1または2の空中写真データセットの作成方法を請求項8としている。
【0013】
更に、A=Bで、M=Nであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の空中写真データセットの作成方法を請求項9とし、A=Bであり、その値は0.8あるいはほぼ0.8であって、M=N=5であることを特徴とする請求項9の空中写真データセットの作成方法を請求項10とし、前記選択画像が長方形であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の空中写真データセットの作成方法を請求項11として、前記長方形の縦横比は2:1あるいはほぼこれに等しいものであることを特徴とする請求項11の空中写真データセットの作成方法を請求項12としている。
【0014】
また、本発明は、前記空中写真データセットの作成方法で得られた空中写真データセットにも関していて、空中撮影方向のオーバーラップ率をA(但し、A=1は完全重複を意味し、0≦A<1)として、前記撮影方向に交差する方向のサイドラップ率をB(但し、B=1は完全重複を意味し、0≦B<1)として空中撮影して得られた複数の画像の中から、M×N枚(但し、MおよびNは、それぞれ、1/(1−A)および1/(1−B)以下の正の整数)の撮影画像で、注視点を含んで重複部分を含む撮影画像を前記撮影方向および/または前記交差方向から選択し、前記撮影画像のそれぞれの前記重複部分から、前記注視点を含む特定範囲の画像部分を選択して選択画像とし、前記撮影方向をひとつの軸として、また前記交差方向を他軸として、前記ひとつの軸にM列、前記他軸にN行のマトリックス状で、前記ひとつの軸に前記撮影画像の撮影順番配置で、前記他軸に、前記画像部分を、前記ひとつの軸の撮影位置が前記交差方向になるように撮影順番配置で並べた画像セットであることを特徴とする空中写真データセットを請求項13としている。
【0015】
そして、前記注視点の空間位置から標定要素に関して修正したバックプロジェクションで前記空間位置が前記画像部分の中心になるように前記画像部分を得たことを特徴とする請求項13の空中写真データセットを請求項14とし、前記空間位置を一定距離移動させた架空空間位置を新しい注視点として、前記空中写真データセットを作成する方法を繰り返し、前記移動を前記撮影方向と前記交差方向にも前記作成する方法を繰り返し行って、作成された複数の空中写真データセットを含むことを特徴とする請求項13または14の空中写真データセットを請求項15としている。
【0016】
更に、前記空中写真データセットを最初のセットとし、前記注視点を一定距離でシフトさせて新たな注視点として、前記空中写真データセットの作成を前記新たな注視点に関して繰り返して、新たな空中写真データセットを得て、前記撮影方向の順方向と逆方向の両方向と前記交差方向の順方向と逆方向の両方向に前記シフトを繰り返してそれぞれ別の新たな注視点に関して行い、前記撮影方向のそれぞれ片側にP回、前記交差方向のそれぞれ片側にQ回(PおよびQは正の整数)繰り返し、((2P+1)×(2Q+1)−1)個の前記新たな注視点について、それぞれ空中写真データセットを作成し、得られた(2P+1)×(2Q+1)個(前記最初のセットを含み)の各空中写真データセットに関して、特定の画像をひとつ選択して、前記最初のセットから選択されたものを中央に配置し、前記P回と前記Q回の前記シフトの各シフト方向の前記各空中写真データセットから選択されたものをそれぞれの前記シフトの位置に対応する配置に並べたことを特徴とする請求項13または14の空中写真データセットを請求項16としている。
【0017】
また、前記特定の画像は、前記各空中写真データセットに関して、それぞれ同一行列から選択されたものであることを特徴とする請求項16の空中写真データセットを請求項17とし、P=Q=1であることを特徴とする請求項16または17の空中写真データセットを請求項18とし、前記画像セットの中から、隣り合う関係のL×L(但し、LはMとNの小さい方以下の整数)枚の前記選択画像を選択し、前記画像セットの並び配置で、L×Lのマトリックス状に並べた特定画像セットを含むことを特徴とする請求項13または14の空中写真データセットを請求項19として、A=Bで、M=Nであることを特徴とする請求項13乃至19のいずれかに記載の空中写真データセットを請求項20としている。
【0018】
そして、A=B=または≒0.8で、M=N=5であることを特徴とする請求項20の空中写真データセットを請求項21とし、前記特定範囲が長方形であることを特徴とする請求項13乃至21のいずれかに記載の空中写真データセットを請求項22とし、前記長方形の縦横比は2:1あるいはほぼこれに等しいものであることを特徴とする請求項22の空中写真データセットを請求項23としている。
【0019】
また、本発明は、前記空中写真データセットの作成方法と前記作成方法で得られた空中写真データセットに加えて、前記空中写真データセットを表示する方法にも関していて、空中撮影方向のオーバーラップ率をA(但し、A=1は完全重複を意味し、0≦A<1)として、前記撮影方向に交差方向のサイドラップ率をB(但し、B=1は完全重複を意味し、0≦B<1)として空中撮影して得られた複数の画像の中から、M×N枚(但し、MおよびNは、それぞれ、1/(1−A)および1/(1−B)以下の正の整数)の撮影画像で、注視点を含んで重複部分を含む撮影画像を前記撮影方向および/または前記交差方向から選択し、前記撮影画像のそれぞれの前記重複部分から、前記注視点を含む特定範囲の画像部分を選択して選択画像とし、前記撮影方向をひとつの軸として、また前記交差方向を他軸として、前記ひとつの軸にM列、前記他軸にN行のマトリックス状で、前記ひとつの軸に前記撮影画像の撮影順番配置で、前記他軸に、前記画像部分を、前記ひとつの軸の撮影位置が前記交差方向になるように撮影順番配置で並べた画像セットからなる空中写真データセットから所望の縦横枚数を選択し、前記マトリックス状に表示することを特徴とする空中写真データセットの表示方法を請求項24としている。
【0020】
更に、前記空中写真データセットが、前記注視点の空間位置から標定要素に関して修正したバックプロジェクションで前記空間位置が前記画像部分の中心になるように前記画像部分を得た空中写真データセットであることを特徴とする請求項24の空中写真データセットの表示方法を請求項25とし、前記表示される空中写真データセットが、前記空中写真データセットを最初のセットとし、前記注視点を一定距離で移動(シフト)させて新たな注視点として、前記空中写真データセットの作成を前記新たな注視点に関して繰り返して、新たな空中写真データセットを得て、前記撮影方向の順方向と逆方向の両方向と前記交差方向の順方向と逆方向の両方向に前記シフトを繰り返してそれぞれ別の新たな注視点に関して行い、前記撮影方向のそれぞれ片側にP回、前記交差方向のそれぞれ片側にQ回(PおよびQは正の整数)繰り返し、((2P+1)×(2Q+1)−1)個の前記新たな注視点について、それぞれ空中写真データセットを作成し、得られた(2P+1)×(2Q+1)個(前記最初のセットを含み)の各空中写真データセットに関して、特定の画像をひとつ選択して、前記最初のセットから選択されたものを中央に配置し、前記P回と前記Q回の前記シフトの各シフト方向の前記各空中写真データセットから選択されたものをそれぞれの前記シフトの位置に対応する配置に並べたものであることを特徴とする請求項24または25の空中写真データセットの表示方法を請求項26としている。
【0021】
また、前記特定の画像は、前記各空中写真データセットに関して、それぞれ同一行列から選択されたものであることを特徴とする請求項26の空中写真データセットの表示方法を請求項27とし、P=Q=1であることを特徴とする請求項26または27の空中写真データセットの表示方法を請求項28としている。
【0022】
そして、前記表示される空中写真データセットが、前記画像セットの中から、隣り合う関係のL×L(但し、LはMとNの小さい方以下の整数)枚の前記選択画像を選択し、前記画像セットの並び配置で、L×Lのマトリックス状に並べた特定画像セットであることを特徴とする請求項24乃至25のいずれかに記載の空中写真データセットの表示方法を請求項29とし、A=Bで、M=Nであることを特徴とする請求項24または29の空中写真データセットの表示方法を請求項30として、A=B=または≒0.8で、M=N=5であることを特徴とする請求項30の空中写真データセットの表示方法を請求項31としている。
【0023】
また、前記特定範囲が長方形であることを特徴とする請求項24乃至31のいずれかに記載の空中写真データセットの表示方法を請求項32とし、前記長方形の縦横比は2:1あるいはほぼこれに等しいものであることを特徴とする請求項32の空中写真データセットの表示方法を請求項33としている。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、以上のような構成にかかるもので、前記したような従来法の欠点を改良し、好ましい空中写真画像セット、その作成方法、および表示方法を提供できる。例えば、特許文献1はそれ以前の方法を改良して、望ましいものであるが、本発明は、特許文献1に記載された効果に比較して、注視点選択の任意性があって、撮影中心にない対象物を選択し、前記対象物の注目すべき高度を選択できる。従って、任意の点を注視点とすることができる。
【0025】
更には、前記任意の注視点に関して、種々の方位の画像がセットにできるので、例えば建物の場合には、前記建物の倒れこみの方向を揃えた空中写真画像セットも簡単に作成でき、例えば、特許文献1に記載された効果をはるかに凌ぐ使いやすさ、取り扱いのよさ、測量における精度の高さ等が得られる。また、過去のデータからの作成もしやすく、コストが安く、扱いやすい空中写真画像データセットが得られる。
【0026】
また、不規則な撮影計画(例えば、撮影画像のオーバーラップ率および/またはサイドラップ率の重複率が不規則)であっても、意図した空中写真画像データセットが得られる等の効果がある。
【0027】
更には、これら前記各種の本発明にかかる空中写真画像データセットを使って、表示させたときは、周囲の対象物の陰になって見えない前記注視点の遮蔽箇所も見えるようになり、遮蔽によって、見えなかった従来法の欠点を除き、測量、教育等の観点で、優れた表示が可能となり、使用者の希望にあった表示が可能となる。
【0028】
以上、本発明の効果に関して、代表的なものを記載したが、本発明により、空中写真画像の応用範囲を飛躍的に拡大させ、その活用の範囲が広がる大きな利点を有していて、その他の効果は、以下の記載から更に明確にされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明において、オーバーラップ率とは、航空機から一定の高度で、空中写真撮影するときに、航空機の飛行方向に撮影画像を重複して撮影する場合の重複率であり、撮影方向に撮影画像が重複する率であって、撮影画像の約2/3(約67%、A≒0.67)を重複させて撮影するとか(特許文献1参照)あるいは、約4/5(約80%、A≒0.8)を重複させて撮影するとかが一般的に行われている。また、サイドラップ率とは、航空機が同一飛行ルートの撮影を終了後、一般的にはU−ターンをして前記飛行ルートと同一高度で平行して、逆方向の飛行ルートを取り、逆方向に前記オーバーラップ率で、空中撮影を行うが、このとき、撮影画像が隣の飛行ルートの撮影画像と重複する重複率を言う。このとき、前記空中撮影を複数回繰り返して、重複率を高くすることも可能で、前記飛行方向での撮影位置を移動せしめてオーバーラップ率を上げるあるいは前記飛行ルートを隣の飛行ルート側にずらせてサイドラップ率を上げるあるいは両方の組み合わせでオーバーラップ率とサイドラップ率の両方を上げることもできる
【0030】
本発明は、オーバーラップ率とサイドラップ率は、撮影意図あるいは撮影計画とする重複率であるが、実際は、意図あるいは計画と異なる場合および撮影中にやむを得ない理由等で一定の値をとらずに撮影中に変動する場合もあり、これも前記オ−バーラップ率およびサイドラップ率の用語は本発明では含み、有効に活用できる。しかし、多くの場合、一般的には、これらオーバーラップ率とサイドラップ率を予め定めて計画された飛行計画と空中撮影計画に基づいて、航空機が予め定められた飛行ルートに従って、飛行し、前記撮影計画に従って、空中撮影が行われる。前記撮影計画で予定されるそれぞれの重複率は、撮影コース管理の方法、撮影機器の性能あるいはCCD等の撮像素子の大きさ、撮像素子の形状(四角形の場合の縦横比等)等で、決定される。
【0031】
最近、GPS等の計測機器が発達して、高度を含む空中撮影位置の計測が精度よくできるようになってきていて、空中撮影位置情報を撮影ごとに記録あるいは記憶させておくと、各空中撮影画像の撮影位置および高度が精度よく記録あるいは記憶できる。本発明において、何らかの原因で撮影計画通りに撮影できなくても前記空中撮影位置により、各撮影画像の撮影状態が撮影後に分かるようにできる。
【0032】
そのため、撮影した高度が撮影毎に異なっていても、前記空中撮影位置情報を利用して、撮影画像を同一高度で撮影したように補正することができる。本発明にかかる前記オーバーラップ率と前記サイドラップ率の計画と実際の撮影の際のこれらの率が大きく変動した場合は、実際の変動率を利用して、本発明の前記オーバーラップ率と前記サイドラップ率をMとNの値の決定のために利用することもできる。その場合は、前記各重複率は、前記補正がある場合、補正された撮影画像におけるそれぞれの重複率を用いることもできる。
【0033】
本発明において、前記オーバーラップ率と前記サイドラップ率は、それぞれ一定の値を持つことが好ましいが、それに限定されずに空中撮影中に変動する場合があった場合は、それぞれ、一般的には、前記全撮影範囲で、最も小さい値が選択されることが好ましいことが多い。あるいは、少なくとも前記注視点を含む範囲で、最も小さい重複率がそれぞれ選択されることが好ましいことが多い。前記オーバーラップ率と前記サイドラップ率は、望ましくは50%より大きくて一般的には高い方が望ましいが、好ましくは、それぞれ、約60%以上の重複率であり、更に好ましくは、約80%以上の重複率である。この場合、前記AおよびBの値がこの値をとることになる。すなわち、好ましくは、AもBもそれぞれ約0.6以上で、更に好ましくは、AもBも共に約0.8以上である。例えば、縦横比が2:1であって、Aが約0.8で、Bが約0.9であると、それぞれ縦横隣り合う撮影位置間の距離が等しくあるいはほぼ等しくなり、取り扱い上好ましい。
【0034】
しかしながら、過去の空中撮影画像データを用いて、本発明にかかる空中写真データセットを作成する等の場合には、実際のそれぞれの重複率が計画と大きく変動していて、その中には低いものもあるが、やむを得ずに、その全体、少なくとも、前記注視点を含む範囲で、それぞれ最も重複率の小さい値がMとNの値を決定するための重複率として選択されることが好ましい。また、極端に低いものがある場合は、MとNの値が許容できる範囲で、また、少なくとも前記注視点を含む範囲で、全体の重複率で極端に低い重複率のものを低い方から順次削除して残った撮影画像の重複率の低いものを用いて、MとNの値を決定することができる。
【0035】
本発明において、前記空中撮影方向とは、前述から明らかなように、航空機の飛行方向であるが、飛行中に風の影響等で、予定された空中コースとは、異なる動きをする場合がある。この異なる動きが、前記のそれぞれの重複率変動の原因のひとつとなっている。また、前記交差方向とは、前記撮影方向に交差する方向であり、最も多く好ましい例が直角方向であるが、前記撮影方向が実際には、安定しないこともあるので、直角にこだわるものではない。更には、飛行コースを東西方向にとるのが一般的であるが、南北方向もあり、または、これらに斜めの方向の場合も有って、必ずしも、厳格に直角方向にならないこともあるので、ほぼ直角な方向も前記直角方向に含めるが、東西方向、南北方向ではなく、斜めの撮影方向の場合も、前記交差方向に含まれる。
【0036】
本発明において、空中撮影の撮影機器は、好ましくは、デジタル航空カメラが用いられ、画素数の大きいものが精度および映像密度等の点で望ましいが、得られた撮影画像の使用目的等で、画素数、性能が選択され、適切なデジタル航空カメラが選択される。アナログ航空カメラも使用できるが、撮影画像は、撮影後に、アナログ画像からデジタル画像に変換して、用いることになる。
【0037】
また、一般には、スチールカメラのように静止画を撮影する目的のカメラ方式が用いられるが、ムービーカメラのように動画を撮影する目的のカメラ方式のものも用いられる。それぞれの撮影画像を撮影する撮影タイミングは、一般には、動画方式のように一定の時間間隔で撮影されるが、撮影時に航空機が一定速度と一定高度と一定方向で、飛行する場合は、それぞれの重複率は一定になるが、必ずしも、自然の環境で一定しない場合があるので、GPS等の計測機器を用い、後の補正を考慮して、撮影毎の撮影位置、高度、飛行方向(一般的には、撮影機器の向きで、水平に対する回転角度、垂直に対する回転角度、撮影面内での回転角度等)などを記録、あるいは、記憶しておくことも重要である。
【0038】
あるいは、前記撮影タイミングは、GPS等の計測機器に同期させ、一定距離間隔の計測位置で、撮影することもできるが、この場合も、高度が一定にならないこともあるので、空中撮影位置情報等の記録、記憶は大切である。
【0039】
本発明において、前記注視点とは、撮影画像中の注目したい点のことであって、撮影対象物に限られずに、撮影画像に存在する物体等の中で、選択の自由があって、或る目的、例えば、撮影時には、意図しなかった建物等に着目する必要が生じたときは、その建物等を精査したいという目的で、その建物等を対象物と選択し、更には、場合によって、その建物等のどの高度(例えば何階)に注目するということがあると、前記注目点は、前記建物等の特定の高度ということなる。選択された対象物の中心に関する位置と高度で特定された点が注視点である。要するに、注目したい対象物の位置と高度が特定された点が前記注視点である。任意に前記注視点を選択できるのが本発明の特徴のひとつである。
【0040】
前記のように飛行計画および撮影計画に沿って撮影された撮影画像の中には、当初の撮影目的の撮影対象物が存在する撮影画像が一般的に中心である。前記撮影対象物から、或る距離に離れた位置にある注視点を含む撮影画像を選択する場合で、撮影画像領域を撮影位置情報と撮影高度情報等から補正した場合には補正画像領域と注視点の位置との関係を利用することになるが、前記注視点の空間位置(位置と高度)を特定して入力すると、入力された前記注視点の位置と高度から自動的に前記注視点を含む撮影画像を選択(自動選択)させることができる。
【0041】
前記自動選択は、公知の画像処理のソフトに使われて選択ソフトを微小の変更で使用でき、例えば、前記補正画像領域の境界位置情報と前記注視点の入力された前記位置と前記高度の情報とを比較して、前記境界位置内(たとえば、上下左右の境界位置間にあるかどうかをみて前記境界位置間にあるかないかの判断をして)に前記注視点を含むものを選択させる工程を含むようにすることができる。尚、前記注視点を含む前記撮影画像が必要な枚数存在しないときは、その旨の表示を画像処理装置のディスプレイに表示して、使用者に警告することが好ましい。
【0042】
前記重複率は、自動選択できる最大撮影画像枚数に関係し、重複率の高い方が枚数が多くなる。例えば、前記オーバーラップ率と前記サイドラップ率が共に約67%であるときには、前記撮影方向で、3枚、前記直角方向で、3枚が選択できるので、3×3=9枚の撮影画像が一般に最大自動選択される。前記オーバーラップ率と前記サイドラップ率がともに約80%の場合は、同様にして25枚が一般に最大自動選択される。また、前記オーバーラップ率が約80%で、前記サイドラップ率が約67%の場合は、15枚が一般に最大自動選択される。
【0043】
このようにして、前記Mおよび前記Nの最大値は、それぞれ1/(1−A)および1/(1−B)(ただし、AとBは、それぞれ、前記オーバーラップ率と前記サイドラップ率である。)以下の正の整数の最大値となる。本発明は、MおよびNに関して、最大値を使用することもできるが、使用目的に応じて、最大値以下で、自由に選択される。例えば、A≠Bのときに、前記オーバーラップ率と前記サイドラップ率の小さい方(前記L)を選択し、M=Nとすると選択撮影画像を正方形のマトリックス状(L×L)に並べるあるいは配置することができる。
【0044】
前記のように、A≠Bで、M=Nのときの選択も自動的に行うことができるが、前記自動選択された中から、使用目的に一番適した撮影画像を指定すると、選択された撮影画像をマトリックス状に並べたときに、互いに隣接関係にあって、行列ともに重複率が最も高い隣接関係に従って並べた場合にM=Nとなるように、自動的に選択させるソフトにすると良い。この場合も、前記撮影画像領域に関する位置情報と前記注視点に関する位置情報を使用することとなる。
【0045】
従って、本発明に従って、最終的に選択された撮影画像を並べるあるいは配置する配置は、前記したように、マトリックス状に並べたときに、互いに隣接関係にあって、行と列ともに重複率が最も高い隣接関係に従って並べるあるいは配置することになる。すなわち、本発明において、撮影順番配置とは、行ごとに撮影順番が異なり、前記撮影方向の隣り合う行では互いに逆方向に撮影しているために、撮影順番方向は異なっているが、最初の行で、例えば、左から右に撮影しているときには、次の行は、右から左に撮影していることになり、それぞれの行に配置された後の画像を撮影順番でみると、撮影順になっている配置をいう。
【0046】
MとNの値は、一定の値あるいは変数であって、データあるいは表示の配置が、例えば、正方形マトリックス、長方形マトリックス、菱形マトリックスなどのような場合は、行と列で一定の値を持つが、台形マトリックス状のような場合は、列の数が行で異なるものを含み、2個の台形を底辺同士を合わせたようなマトリックス状では、第1行と最終行が同一の最小のN値で、中央の行が最大のNちをもつもの(一般的には、奇数の行と偶数の行で、奇数と偶数あるいは偶数と奇数が交互になるもの)も含む。
【0047】
本発明において、前記特定範囲は、前記空中撮影が前記撮影対象物を中心に撮影されているのが一般的であるので、撮影領域よりも小さく規定され、この規定される範囲は、前記重複率に関係し、前記撮影中心からの前記注視点までの距離に関係する。例えば、前記重複率が約80%以上のように高く、且つ、前記撮影中心に近い距離に前記注視点が存在する場合は、前記特定範囲は、前記撮影領域にほぼ近い領域内に規定される。一方、前記重複率が低く、且つ、前記注視点の位置が前記撮影領域中心からの距離が大きい場合は、前記特定範囲は、小さく規定される。
【0048】
いずれにしろ、前記選択画像は、前記規定された範囲内の領域(規定範囲領域)で、任意に選択されるが、それぞれの撮影画像との関係で、前記規定範囲領域がそれぞれ異なるときは、全体の中で、一般的には、最も小さい規定範囲領域に前記特定範囲が特定され、前記特定範囲内で、前記選択画像が選択される。好ましくは、前記規定範囲領域の最大範囲が前記特定範囲となり、前記選択画像が前記特定範囲で決められた範囲の画像とされるが、前記隣接する2枚の撮影画像で、相互の比較で特定される前記規定範囲領域のうち、前記選択された撮影画像全体に繰り返して得られる規定範囲領域全体の中で、最小のものを自動的に選択すると、前記規定範囲領域の最大のものとなるので、それを一般的には前記特定範囲とし、その範囲の画像を前記選択画像とする。しかし、使用者の希望で、選択画像が行列の周囲で画像全体を占めなくて良い場合も、使用目的では存在するので、前記特定範囲は、前記最も小さい規定範囲領域に限定しなくてもよい。
【0049】
前記選択画像が、充分前記規定範囲領域内であることが自明である場合に、入力で予め指定したときには、前記撮影画像の選択は、指定された選択画像の領域に関して、前記したような選択を行うこともでき、前記撮影画像全体の選択の工程を経ないで済ませることができるために、処理時間の短縮ができ、本発明の好ましい一実施例である。
【0050】
前記選択画像の指定の入力が、自明に前記規定範囲領域外であるときは、前記画像処理装置のディスプレイに、その旨の表示をさせて、前記指定入力の変更を促すようにすることもできる。前記選択画像の指定の入力が、前記規定範囲領域内外が自明でないときは、前記撮影画像の前記重複率が決まって、その決定された重複率で、前記特定範囲内の画像を前記ディスプレイに表示させて、その中から、前記選択画像を指定するように構成させることが好ましい。
【0051】
尚、前記撮影範囲は、縦横比が2:1の前記撮影機器が入手しやすく、画素数も多いので好ましく用いられる。前記撮影機器は、その撮影範囲が、縦横比が2:1に限定されず、正方形のものも知られているし、異なる縦横比のものも知られていて、いずれも、用いることができる。撮影機器としては、望ましくは、画素数が多いものが好ましい。
【0052】
また、前記請求項1および/または2に従って得られた空中写真データセットを最初のセットとし、前記空中写真データセットを、前記注視点を一定距離でシフトさせて新たな空中写真データセットを同様にして得て、このシフトの工程を前記撮影方向と前記交差方向に前記シフトを繰り返して行い、また、空中写真データセットの前記作成方法を繰り返して、複数の空中写真データセットを作成することができるが、例えば、前記撮影方向にP回、前記交差方向にQ回繰り返し、((2P+1)×(2Q+1)−1)個の新たな注視点について、前記空中写真データセットを作成する。
【0053】
ついで、得られた(2P+1)×(2Q+1)個の各空中写真データセットに関して、同一行列のところ(例えば、3行2列)にある画像を選択して、前記最初のセットから選択されたものを中央に配置し、上記P回とQ回の前記シフトのシフト方向にそれぞれの前記空中写真データセットから前記選択された対応画像を対応する位置に並べるあるいは配置させる。
【0054】
このようにして得られた空中写真データセットを、(2P+1)×(2Q+1)の行列で配置させてディスプレイに表示すると、例えば、P=Q=1として、3×3の空中写真データセットを作成し表示させると、同一方向に向いた前記最初の注視点の様子の一覧が異なる撮影位置のものに関して得られ、前記注視点の様子が非常に良く理解でき、測量、監視等々において、従来では不可能であった観察が可能となる。
【0055】
そのためにも、前記注視点を前記空中写真データセット内の各画像の中央に位置させることが好ましく、前記特定領域を決定するときに、前記注視点が中央になるようにして、前記それぞれの工程を経るのが望ましい。
【0056】
また、本発明において、前記同一高度で撮影したような補正、補正画像領域の補正、前記補正後の位置情報等の補正に関しては、いわゆるバックプロジェクションという方法が用いられ、この方法は、前記撮影時の位置情報に含まれる位置(位置に関するX軸と、位置に関するY軸との座標)と高度(位置に関するZ軸の座標)の情報と、前記撮影機器による前記撮影時の前記撮影装置の傾きに関して三軸の角度(水平面に直角な軸周りの回転角度κ、位置に関するX軸周りの回転角度ω、位置に関するY軸周りの回転角度φ)を用いて、前記撮影画像等を修正する方法で、例えば、特許文献1の図2に関して、詳しく記載されている。
【0057】
その理論は、例えば、注視点に着目すると、実際、測量で得られている注視点の空間位置(X軸値、Y軸値およびZ軸値)を基に、撮影時の前記撮影装置の光学系の中心に向かって逆投影(バックプロジェクション)を行って、前記撮影画像の標定画面を想定し、それぞれの標定要素の補正値(X軸値、Y軸値、Z軸値、ω値、φ値、κ値)を導入して前記標定要素について補正された標定画面を想定するのであり、この補正済みの標定画面内に同様に補正された注視点を認識することとなるのであるが、本発明のバックプロジェクションは、これを含むことは勿論、投影面を任意の位置に推定し、前記投影面上に前記撮影画像を投影した状態で、前記標定要素について補正した投影像を撮影画像上に投影しても、同等の効果が得られるので、それも含むものである。
【0058】
本発明で、マトリックス状とは、前記MとNの値について説明したように、行列状のことであって、行列状に画像を並べるあるいは保存するあるいは表示しようとするものであって、一般的には、行と列が直交する縦横のきれいなマトリックスであるが、行と列が斜めに交差ものも含むものである。すなわち、前記ひとつの軸と前記他軸とが直行するマトリックス、あるいは、菱形のように行と列が斜めに交差するマトリックス状のものも前記マトリックス状に含むものである。更には、台形、2個の台形を底辺をあわせた形のマトリックス状も含むものである。
【0059】
一般的には、前記飛行方向が南北の両方向を互い違いで飛行し、東西方向に移動して撮影することになるので、前記撮影方向が南北方向(含む両方向)となり、前記空中写真データセットの行は、前記南北方向にするのが好ましい。また、列は、東西方向になり、結果として、東西南北のマトリックスにすることが好ましい。
【0060】
しかし、前記飛行方向として、南北の両方向を互い違いで、西から東の方向に移動することもあり、色々な状況を勘案し、目的によって、飛行計画が計画される。一方、表示方法も、前記のように、東西南北のマトリックスが好ましいが、前記飛行計画によっては、例えば、南北の飛行の場合には、南北を列とし、東西を行としたマトリックスが好ましい場合もある。また、最終的に表示したいケース等の使い方によっては、縦横のマトリックスではなく、視覚的にあるいは、目的に応じて、千鳥型のマトリックス状(例えば2個の台形の底辺をあわせた形状)にすることも好ましい。
【0061】
特に、従来、保存されているデータで、例えば古いアナログ形式のデータから、本発明にかかる前記空中写真データセットを作成する場合には、行間と列間の重複が必ずしも適切ではなく、重複状態が好ましい状態に並べたときに、縦横のマトリックスにすることが好ましくないこともあって、必ずしも、前記直角方向が直角ではなく、斜め方向にした方が望ましい場合もある。尚、保存する前記空中写真データセットと表示させるマトリックス状は異なることもあり、また、その方が望ましい場合もあって、表示は、視覚的に最も印象的あるいは識別しやすいマトリックス状を設定することが好ましい。
【0062】
また、前記マトリックス状の形状は、正方形のもの、長方形のもの、ひし形のもの、台形のもの等々から目的に応じて、適切に選択される。従って、MとNの値は、目的に応じて、選択されるが、典型的な一般的な場合は、例えば、Aの値とBの値が等しいあるいはほぼ等しくて、0.67あるいは0.8のような従来一般的な重複率の場合で、それぞれM=N=3あるいはM=N=5の正方形のマトリックス状特にマトリックスが好ましく選択される。ただ、後者の場合は、M=5、N=3も選択されて、長方形のマトリックス状にすることもあり得る。
【0063】
前記空中写真データセットおよび/または前記空中写真データセットの作成方法を新たな注視点に関して、繰り返し行って、複数の空中写真データセットを作成する方法で得られた前記複数の空中写真データセットは、記憶装置に保存されるが、必要時にデマンドにより、前記ディスプレイに表示されるが、光通信などの通信手段を介して、前記保存データから遠距離にあるディスプレイ装置からの指示に応じて、表示される。
【0064】
前記ディスプレイ装置で、注視点の空間位置を入力すると、それが記憶装置内に保存された空中写真データセットを検索して、望ましい表示方法で、表示する。勿論、もし、希望の空中写真データセットが存在しない場合は、前記記憶装置に接続された前記画像処理装置を作動させて、元の撮影画像から、必要な空中写真データセットを前記方法に従って、作成し、前記ディスプレイ装置に送信する。このとき、前記記憶装置に、送信した前記空中写真データセットを保存することもできる。
【0065】
前記の表示方法は、縦横直角なマトリックスで、表示する場合が好ましいが、デザイン、好みに応じて、行列が交差する斜めの表示も、あるいは、行と列がスペースを置いて表示するあるいは行と列とものスペースを置いて表示する等の種々の手段が選択でき、目的に応じて、選択される。
【0066】
例えば、測量あるいは図化の工程で使用するような場合は、正確な位置関係が分かるように、撮影時の位置関係あるいはそれに近い関係に配置した表示が好ましく、一般には、縦横直角の表示になることが多い。一方、地図、あるいは、立体地図の注視点を興味から詳しく見たいというときには、デザイン化された配置で表示することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
前記事項で、発明を実施するための最良の形態を色々記載したが、以下、図面を用いて、更に具体的に本発明を説明すると共に、具体的な実施例について説明する。
【0068】
図1は、一実施例で、撮影のための航空機が飛行する工程の概略を示した図で、以降の説明のために縦横90度右回転させた図面で表現してある。1〜8の順で飛行し、最初、南から北に飛行して、折り返して、西に距離を移動し、北から南に飛行することを繰り返している様子を表わしていて、奇数が南から北の方向への飛行路で、偶数がその逆を意味している。1〜8は、それぞれ行を表すものともする。
【0069】
撮影位置は、1−A〜8−Aの位置で、表示され、1−Aが撮影開始位置で、8−Aが撮影終了位置で、途中の附番は省略してある。従って、A〜Fは、列を表すことにもなる。図1の実施例の場合は、撮影方向と交差方向は、直交していて、行と列は、直交している。撮影時のオーバーラップ率とサイドラップ率は、計画では共に同じで、0.8にしてある。飛行環境が良くて、安定な飛行ができ、高度一定、飛行経路も計画通りで、航空機の傾きもないとすると、図2に表示したような、撮影画像(例では、縦横比が2:1)が得られる。
【0070】
図2は、図1の撮影画像を表示する概念図である。9は、撮影画像で、全部で、48枚得られ、撮影画像の位置にあわせて、重複箇所が一致するように48枚の前記撮影画像を重ねた概念図である。1−A〜8−Aまでの48枚の撮影位置(図1と同様、途中の附番は省略)に対応する撮影画像を概念的に表示している。
【0071】
図3は、図2の8−Aと8−Bの撮影位置の2枚の撮影画像9を前記48枚の撮影画像9の中から選択して、8−Bを下にずらせて表示した図である。Hは注視点を表し、前記ずれの分、8−Aでの撮影画像上の位置と8−Bの撮影画像では、ずれが生じている。8−Bの撮影画像9を下にずらさない場合は、8−Aのものと同じ位置に重なるものである。なお、前記注視点はバックプロジェクションで撮影画像上に表示したものである。
【0072】
図4は、図2の撮影画像の重複状態を正確に表示する概念図である。図面が重なって分かりにくいが、図3を参照するとよい。図4では、3枚の撮影画像(7−A、7−B、および8−Aの撮影位置の撮影画像3枚)を説明のために、撮影順番で前記画像を下から重複部分10の画像を一致させて、重ね合わせたものである。Hは、注視点である。(Hは前記説明のとおり、撮影画像上に投影されたものである。)
【0073】
重複部分10の斜線範囲で、前記撮影画像から離れた位置にある前記注視点を画面中央になるように濃い斜線範囲を特定範囲を決め、選択画像11としている。図4の場合は、前記注視点の位置と撮影画像との関係から、この場合、M=N=3が好ましく、L=3が好ましい。従って、6−A、6−B、6−C、7−A、7−B、7−C、8−A、8−B、および、8−Cの9枚が、全48枚の前記撮影画像から、選択され、それぞれの前記撮影画像の中から、選択画像11が選択される。
【0074】
図2からこのように選択された前記撮影画像を、図5に示すように、並べたもので、図5は、本発明にかかる空中写真データセットの一例である。選択された6−A、6−B、6−C、7−A、7−B、7−C、8−A、8−B、および、8−Cの選択画像11を、行は行に、列は列に、行と列が直交するように配置され、それぞれの撮影位置関係で、順番に並べたもので、それぞれ前記注視点Hが画面中央にある。
【0075】
図5の選択画像11は、仮想として、四角錐が注視点にあるとして表現してあり、それぞれ撮影位置の違いから、同じ注視点Hの画像でも、形状が異なって表現されている。6の行は、三角形の頂点が小さい四角形の下辺にあり、その位置も異なっている。7の行は、前記小さい四角形の中央に前記頂点が位置し、その位置が微妙に異なる。また、8の行は、前記頂点が前記小さい四角形の上辺にある。そして、前記列がA→B→Cに移動するにしたがって、三角形の頂点の位置がずれていく。このために、注視点のいろいろな状態が把握できるので、測量、図化、観察等に非常に有効であり、また、任意の注視点が選択できる利点を有し、また、簡便に任意の注視点の異なる角度からの画像が得られる効果を有する。
【0076】
尚、図5では、前記四角錐が中央に向かって倒れこんだようなデータセットになっているので、視覚的に使用者に圧迫感を与えて、一般には、好ましくなく、中央を中心にして点対称に選択画像11を移動させて、図6のように使用するあるいは表示することが望ましい。図6は、図5の選択画像11を撮影位置7−Bのものを中心にそれぞれの選択画像を点対象に移動させたものである。図5で右下にあった撮影位置8−Cの選択画像11が図6では、左上に位置している。その他も前記中心に対して、同様に点対称に図5の選択画像を移動したものであろ。図5と同様、Hは注視点をバックプロジェクションで、選択画像に投影したものである。
【0077】
図6によると、前記四角錐が広がって、倒れこんでいるように見えて、圧迫感がないのと、見易さから、使用あるいは表示に好ましい。従って、本発明の空中写真データセットは、一旦本発明の方法で得られた空中写真データセットを、中央に位置する選択画像を中心に点対象に移動させた空中写真データセットも好ましく、これも本発明にかかる空中写真データセットに含むものである。
【0078】
渋谷上空から実際にオーバーラップ率、サイドラップ率共に約0.8で撮影して得られた実際の画像中の或る建物(H−H)の屋上に着目して(注視点H)、図1〜図6までを実行し、その建物(H−H)を模擬的に表示し、図6に相当するデータセットを図7に表示した。9枚の注視点Hを中央に含む撮影画像が得られている。図6は、M=N=3(L=3)の例で、図8は、前記注視点Hを図7と同一建物で、高さを地面付近に設定したもので、その他は図7と同様に作成したものである。注視点の高度を任意に設定することによって、異なる選択画像が得られる。図8では、注視点は、建物H−Hの下層の中央に位置しているもので、9枚の画像の中心の画像で示されていて、実際には注視点Hは、外から見えないもので、前記中央の位置の画像以外の画像での注視点Hは、高さの位置を表示しているものである。
【0079】
図9は、M=N=5(L=5)とした以外は、図7と同様に作成したものである。従って、注視点Hは、建物H−Hの屋上に設定されている。建物の角度の違いがより増加して、側面等の様子が更に詳しく理解できるようになる。
【0080】
図7、8および9からも分かるように、異なる方向から、異なる角度で、注視点が見られ、例えば注視点が建物の場合は、いろいろな方向に倒れて見えるために、各側面の状態が良く分かり、測量の観点、不動産の様子、現場の様子等々、種々の活用が考えられ、応用、用途が広がって、有意義な空中写真データセットが得られ、その表示の選択で種々の効果が期待できる
【0081】
本発明で、前記注視点を移動させて、複数の対応する空中写真データセットを作成する方法、それにより得られた空中写真データセットとその表示方法の例を図1〜6を基礎としてひとつの実施例として説明する。先ず、最初の空中写真データセットの作成および空中写真データセットは、図1〜6の方法およびそれで得られたものを用いる。図10は、前記移動または前記シフトの様子を表す図であって、撮影画像12〜20は、図1〜6の撮影画像9に相当するものである。Gは、撮影画像中心であり、注視点Hは、図10の撮影画像12では、H1で表示してある。
【0082】
注視点H1(ここではバックプロジェクションで撮影画像上に表示。以下注視点は同義である。)を、図1の撮影方向の順方向に或る定められた距離を移動(シフト)したものが、画像13で、注視点H2である。シフト前の注視点H1を画像13内に点線で示している。また、前記撮影方向の逆方向に注視点H1を同距離シフトしたものが、画像14で、そのときの注視点は、H3である。なお、前記各移動は、ここでは、撮影位置間の距離を選択している。理論的には、各注視点の各移動(シフト)距離は、撮影位置間の距離であるが、実際は、平均値で用いている。以降、各注視点の移動距離は同義である。
【0083】
注視点H1を、前記撮影方向に交差する方向(交差方向)の順方向に同距離シフトして、新たな注視点H7としたものが、撮影画像18内に記載され、最初の注視点H1が点線で示してある。前記交差方向の逆方向に同距離注視点をシフトした新たな注視点H4は、撮影画像15内に、最初の注視点H1の点線表示と共に示してある。図10の場合、前記撮影方向と前記交差方向は、直交している。
【0084】
撮影画像12を中心として、図10の右方向は、前記撮影方向に順方向で、左方向は、前記撮影方向の逆方向へシフトして、それぞれ新たな注視点を想定したもので、下方向は、前記交差方向の順方向へのシフトを意味し、上方向は、前記交差方向の逆方向へのシフトを意味している。
【0085】
結果、例えば、撮影画像20は、撮影画像18の注視点H7を左方向(すなわち、前記撮影方向の逆方向)に同距離シフトした新たな注視点H9を示している。注視点H9は、注視点H3を下方向(前記交差方向の順方向)に、同距離シフトした場合と同じである。元の注視点H1を点線で示している。
【0086】
新たな注視点をH1からH9、それぞれに対応する撮影画像を12から20、撮影中心がGで、シフト前の元の注視点H1を点線で示している。それぞれ各注視点H2からH9に関して、注視点1と同様に、図1から図6の方法を繰り返して、それぞれの注視点に対応する空中写真データセットを作成する。
【0087】
図11は、撮影画像12の注視点H1に関して得られた図6に対応する空中写真データセットで、選択画像12−1から12−9までの9枚の写真データをセットとするものである。同様にして、撮影画像15の注視点H4に関して、図1〜6の方法で作成した空中写真データセットが、図12である。図12では、選択画像15−1から15−9までの9枚の空中写真データからなるセットで、注視点H4が示されている。
【0088】
同様にして、各注視点に関して、それぞれに対応する空中写真データセットを作成すると、9個の注視点に関して、それぞれ9個の選択画像からなる空中写真データセットが作成される。このようにして、注視点のシフト(移動)を行い、それに対応する空中写真データセットを複数作成することができる。
【0089】
図13は、注視点のシフトを行って作成した複数の空中写真データセットの中から、それぞれ、同一行列の画像を選択して、前記シフトに対応する位置に配置した空中写真データセットである。選択画像15−9は、図12の空中写真データセットの3行1列からのもので、選択画像12−9は、図11の空中写真データセットの3行1列から選択されたものである。このようにして、図10の注視点H1からH9に対応するそれぞれ9枚の選択画像から作成されたそれぞれの空中写真データセットのそれぞれに関して3行1列の選択画像を選択し、撮影画像に対応する配置に並べて、画像12−9、13−9、14−9、15−9、16−9、17−9、18−9、19−9、および20−9を配置したものである。
【0090】
このようにして得られた図13の空中写真データセットは、同一方向に倒れこんだ画像が、連続して並んだ状態で見え、選択画像の範囲をそれぞれが僅かに重なりあうようにすると、同一角度から眺めた連続画像で、あたかも連続してつながったように見える画像を作成することができる。従来の方法では、撮影直下の画像の連続を作成していたので、建物の屋上が並んだ状態であったが、本発明では、画像の中の全体の立体像の或る定められた、側面状態を見ることができ、測量の観点のみならず、不動産評価上画像としても有益であり、不動産購入者に対象物の様子を正しく理解されるようになる。また、使用者の興味の観点で、観察ができる等の利点等を有する。
【0091】
図10で、注視点の移動を移動量を撮影位置間距離として説明をしたが、この場合は、別の見方をすると、撮影画像の中心点と注視点の相対的な空間位置関係(3次元位置関係)をそれぞれの撮影画像12〜20について同一にして新しい注視点を発生させるのと同様の結果になる。
【0092】
また、選択画像12−1〜20−9までの、それぞれの注視点H1〜H9についての空中写真データセットは、図1〜図6の方法で得たが、図1〜図5までにすると、最後の図6を作成する工程を省略できる。ただ、図13を作成するときの選択画像の選択位置(行と列)に注意を要し、図5と図6は中心に対して点対称になっていることに注意を要する。
【0093】
さらに、図13は、各空中写真データセットの3行1列を選択した例であるが、他の行列を選択すると、画像の倒れ方が異なる連続画像を作成することができるので、異なる方向から見た連続空中写真が得られ、対象物の種々の測定、判定、調査、観察等ができる効果も有する。
【0094】
図14は、例えば過去に撮影された空中写真の飛行経路を表示している例とかあるいは何らかの理由で、東西南北に飛行できない場合の飛行経路の例で、図面上方を北とすると、東南から東北に飛行し、折り返して、東北から東南に飛行することを繰り返している例である。21−A、21−B等は、撮影地点であって、途中の附番を省略してある。
【0095】
図15は、図14の飛行で、撮影された撮影画像29を、撮影地点21−Aから撮影地点23−Eまでで得られた撮影画像29を撮影画像の重複部を重ねたものであって、図2に相当するものである。行間のずれと列間のずれが生じているものの例である。
【0096】
図16は、図4に相当するもので、撮影地点21−A、21−Bおよび22−Aの撮影画像を抜き出した例であって、東西南北の撮影画像に修正するときには、斜線で表示された重複画像部分10で、濃い斜め斜線で表示された選択画像31を図のように南北にあわせて設定した例である。図4と同様にHは、注視点である。なお、注視点Hは前記のようにバックプロジェクションで撮影画像上に表示したものである。
【0097】
図16の選択画像31から本発明にかかる空中写真データセットを作成する方法は、図1〜図6に記載した方法で作成される。このようにして、過去の空中写真を利用することもできるし、何らかの理由で通常の飛行経路をとれない場合も、東西南北の見やすい空中写真データセットを作成できる。このようにして得られた空中写真データセットは更に図10〜図13に記載された方法で、連続的な空中写真データセットに作成できることもあって、得られた空中写真データセットの表示方法は、図6あるいは図13のようなマトリックスで表示することもできるし、千鳥状に並べて表示する等のいずれ方法も利用できる。
【0098】
図17は、千鳥型のマトリックス状の空中写真データセットあるいは表示の例である。図14の飛行計画で、奇数行(例えば21、23の行)は図14の通りで、偶数行(例えば、22の行)は、図14よりも東北に少しずれた千鳥状の撮影位置(例えば22−A等が少し東北にずれた撮影位置)で、渋谷上空からオーバーラップ率とサイドラップ率ともに約67%で撮影された撮影画像を利用して、或る撮影位置とその東西にひとつと東北、西北、東南、西南からひとつづつの撮影画像を選択し、図7を得た方法と同様に作成した空中写真データセットである。図17のH−Hは、注視点として選んだ建物で、注視点は屋上にあり、Hで表示した。
【0099】
本発明は、以上のように構成され、種々の計測、図化、観察等に有用なもので、注視点の様子が、色々な角度から見ることができ、陰になって見えないところも見えるようになって、細かい観察が可能となるものである。また、表示も空中写真データセットとして保存されたままに表示することも、観察者の希望で、変化させることもできるものである。
【0100】
図18は、図1から図6を別の観点で補足説明しながら、バックプロジェクションを説明する概念図である。撮影方向1、2および3の例で、例えば、撮影位置1−A、1−B、1−C、2−A、2−B、2−C、3−A、3−B、および3−Cで撮影したところを表示している。例えば、枠211、212、213および214で、囲まれた撮影範囲は、撮影画像として枠221、222、223および224で囲まれた領域で撮影される。
【0101】
また、例えば、X軸とY軸方向の枠311、312、313および314で囲まれた撮影範囲は、撮影画像として枠321、322、323および324で囲まれた領域で撮影される。注視点H−1は、前記撮影範囲の撮影対象物中に含まれているが、撮影画像上では、注視点Hとして表示される。なお、前記撮影範囲の高さは、撮影対象物全体を注視点H−1の高さ(Z方向)の水平面(基準面)で切ったものである。
【0102】
注視点Hは、前記撮影対象物中の注視点H−1と各撮影点を結ぶ直線と撮影画像との交点で注視点Hとなる(これをバックプロジェクションという)。そのため、各画像ごとに注視点Hの画像位置が異なるが、これを一致して重なるようにしたものが、図2および図4である。
【0103】
実際の撮影では、撮影位置変化とZ軸、Y軸およびX軸周りの回転角があるので、これらの修正を行って、図17に記載したような撮影位置と撮影対象物との位置関係になるように、画像の修正を行って、前記撮影画像を作成する(バックプロジェクションによる標準要素の修正)。そのときに、撮影位置を中心に修正するのが一般的である。あるいは、前記撮影対象物上で修正してそこから前記撮影画像を作成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】 本発明の1実施例の航空機の飛行経路と撮影地点を表示する概念図である。
【図2】 図1の各撮影地点で撮影された画像の重複部分を重ねた概念図である。
【図3】 図2の撮影画像から選択された画像で、撮影対象と注視点の関係を示す概念図である。
【図4】 図3選択画像の概念図である。
【図5】 本発明にかかる空中写真データセットの例である。
【図6】 図5の空中写真データセットを点対称に移動した例である。
【図7】 本発明にかかる空中写真データセットの例とその表示の例の概念図である。
【図8】 本発明にかかる空中写真データセットの別の例とその表示の例の概念図である。
【図9】 本発明にかかる空中写真データセットの他の例とその表示の例の概念図である。
【図10】 本発明の他の実施例の概念図で、注視点移動の例の概念図である。
【図11】 図7のひとつの注視点に関する空中写真データセットの例である。
【図12】 図7の別の注視点に関する空中写真データセットの例である。
【図13】 図11、図12等の同一行列から選択された新しい空中写真データセットの例である。
【図14】 斜め飛行の空中写真の飛行経路と撮影位置を表示した例の概念図である。
【図15】 図2に相当する図14で得られた撮影画像の概念図である。
【図16】 図4に相当する図15で得られた撮影画像の概念図である。
【図17】 千鳥型のマトリックス状の例の概念図である。
【図18】 図1から図6までの説明の補足図とバックプロジェクションの概念図である。
【符号の説明】
【0105】
1 飛行経路
9 撮影画像
10 撮影画像の重複部分
11 選択画像
G 撮影画像中心
H 注視点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空中撮影方向のオーバーラップ率をA(但し、A=1は完全重複を意味し、0≦A<1)として、前記撮影方向に交差する方向(交差方向)のサイドラップ率をB(但し、B=1は完全重複を意味し、0≦B<1)として空中撮影して得られた複数の画像の中から、M×N枚(但し、MおよびNは、それぞれ、1/(1−A)および1/(1−B)以下の正の整数)の撮影画像で、注視点を含んで重複部分を含む撮影画像を前記撮影方向および/または前記交差方向から選択し、前記撮影画像のそれぞれの前記重複部分から、前記注視点を含む特定範囲の画像部分を選択して選択画像とし、前記撮影方向をひとつの軸として、また前記交差方向を他軸として、前記ひとつの軸にM列、前記他軸にN行のマトリックス状で、前記ひとつの軸に前記撮影画像の撮影順番配置で、前記他軸に、前記画像部分を、前記ひとつの軸の撮影位置が前記交差方向になるように撮影順番配置で並べた画像セットを作成する工程を含むことを特徴とする空中写真データセットの作成方法。
【請求項2】
前記注視点の空間位置から標定要素に関して修正したバックプロジェクションで前記空間位置が前記画像部分の中心になるように前記画像部分を得る工程を含むことを特徴とする請求項1の空中写真データセットの作成方法。
【請求項3】
前記空間位置を一定距離移動させた架空空間位置を新たな注視点として、前記空中写真データセットを作成する方法を繰り返し、更に、前記移動を前記撮影方向と前記交差方向にも前記作成する方法を繰り返し行って、複数の空中写真データセットを作成する工程を含むことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の空中写真データセットの作成方法。
【請求項4】
前記空中写真データセットを最初のセットとし、前記注視点を一定距離でシフトさせて新たな注視点として、前記空中写真データセットの作成を前記新たな注視点に関して繰り返して、新たな空中写真データセットを得て、前記撮影方向の順方向と逆方向の両方向と前記交差方向の順方向と逆方向の両方向に前記シフトを繰り返してそれぞれ別の新たな注視点に関して行い、前記撮影方向のそれぞれ片側にP回、前記交差方向のそれぞれ片側にQ回(PおよびQは正の整数)繰り返し、((2P+1)×(2Q+1)−1)個の前記新たな注視点について、それぞれ空中写真データセットを作成し、得られた(2P+1)×(2Q+1)個(前記最初のセットを含み)の各空中写真データセットに関して、特定の画像をひとつ選択して、前記最初のセットから選択されたものを中央に配置し、前記P回と前記Q回の前記シフトの各シフト方向の前記各空中写真データセットから選択されたものをそれぞれの前記シフトの位置に対応する配置に並べることを特徴とする請求項1または2の空中写真データセットの作成方法。
【請求項5】
前記特定の画像は、前記各空中写真データセットに関して、それぞれ同一行列から選択されることを特徴とする請求項4の空中写真データセットの作成方法。
【請求項6】
P=Q=1であることを特徴とする請求項4または5の空中写真データセットの作成方法。
【請求項7】
前記注視点の前記空間位置を特定する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の空中写真データセットの作成方法。
【請求項8】
前記画像セットの中から、隣り合う関係のL×L(但し、LはMとNの小さい方以下の整数)枚の前記選択画像を選択し、前記画像セットの並び配置で、L×Lのマトリックス状に並べた特定画像セットを作成する工程を含むことを特徴とする請求項1または2の空中写真データセットの作成方法。
【請求項9】
A=Bで、M=Nであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の空中写真データセットの作成方法。
【請求項10】
A=B=または≒0.8で、M=N=5であることを特徴とする請求項9の空中写真データセットの作成方法。
【請求項11】
前記選択画像が長方形であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の空中写真データセットの作成方法。
【請求項12】
前記長方形の縦横比は2:1あるいはほぼこれに等しいものであることを特徴とする請求項11の空中写真データセットの作成方法
【請求項13】
空中撮影方向のオーバーラップ率をA(但し、A=1は完全重複を意味し、0≦A<1)として、前記撮影方向に交差する方向(交差方向)のサイドラップ率をB(但し、B=1は完全重複を意味し、0≦B<1)として空中撮影して得られた複数の画像の中から、M×N枚(但し、MおよびNは、それぞれ、1/(1−A)および1/(1−B)以下の正の整数)の撮影画像で、注視点を含んで重複部分を含む撮影画像を前記撮影方向および/または前記交差方向から選択し、前記撮影画像のそれぞれの前記重複部分から、前記注視点を含む特定範囲の画像部分を選択して選択画像とし、前記撮影方向をひとつの軸として、また前記交差方向を他軸として、前記ひとつの軸にM列、前記他軸にN行のマトリックス状で、前記ひとつの軸に前記撮影画像の撮影順番配置で、前記他軸に、前記画像部分を、前記ひとつの軸の撮影位置が前記交差方向になるように撮影順番配置で並べた画像セットであることを特徴とする空中写真データセット。
【請求項14】
前記注視点の空間位置から標定要素に関して修正したバックプロジェクションで前記空間位置が前記画像部分の中心になるように前記画像部分を得たことを特徴とする請求項13の空中写真データセット。
【請求項15】
前記空間位置を一定距離移動させた架空空間位置を新しい注視点として、前記空中写真データセットを作成する方法を繰り返し、前記移動を前記撮影方向と前記交差方向にも前記作成する方法を繰り返し行って、作成された複数の空中写真データセットを含むことを特徴とする請求項13または14の空中写真データセット。
【請求項16】
前記空中写真データセットを最初のセットとし、前記注視点を一定距離でシフトさせて新たな注視点として、前記空中写真データセットの作成を前記新たな注視点に関して繰り返して、新たな空中写真データセットを得て、前記撮影方向の順方向と逆方向の両方向と前記交差方向の順方向と逆方向の両方向に前記シフトを繰り返してそれぞれ別の新たな注視点に関して行い、前記撮影方向のそれぞれ片側にP回、前記交差方向のそれぞれ片側にQ回(PおよびQは正の整数)繰り返し、((2P+1)×(2Q+1)−1)個の前記新たな注視点について、それぞれ空中写真データセットを作成し、得られた(2P+1)×(2Q+1)個(前記最初のセットを含み)の各空中写真データセットに関して、特定の画像をひとつ選択して、前記最初のセットから選択されたものを中央に配置し、前記P回と前記Q回の前記シフトの各シフト方向の前記各空中写真データセットから選択されたものをそれぞれの前記シフトの位置に対応する配置に並べたことを特徴とする請求項13または14の空中写真データセット。
【請求項17】
前記特定の画像は、前記各空中写真データセットに関して、それぞれ同一行列から選択されたものであることを特徴とする請求項16の空中写真データセット。
【請求項18】
P=Q=1であることを特徴とする請求項16または17の空中写真データセット。
【請求項19】
前記画像セットの中から、隣り合う関係のL×L(但し、LはMとNの小さい方以下の整数)枚の前記選択画像を選択し、前記画像セットの並び配置で、L×Lのマトリックス状に並べた特定画像セットを含むことを特徴とする請求項13または14の空中写真データセット。
【請求項20】
A=Bで、M=Nであることを特徴とする請求項13乃至19のいずれかに記載の空中写真データセット。
【請求項21】
A=B=または≒0.8で、M=N=5であることを特徴とする請求項20の空中写真データセット。
【請求項22】
前記特定範囲が長方形であることを特徴とする請求項13乃至21のいずれかに記載の空中写真データセット。
【請求項23】
前記長方形の縦横比は2:1あるいはほぼこれに等しいものであることを特徴とする請求項22の空中写真データセット。
【請求項24】
空中撮影方向のオーバーラップ率をA(但し、A=1は完全重複を意味し、0≦A<1)として、前記撮影方向に交差する方向(交差方向)のサイドラップ率をB(但し、B=1は完全重複を意味し、0≦B<1)として空中撮影して得られた複数の画像の中から、M×N枚(但し、MおよびNは、それぞれ、1/(1−A)および1/(1−B)以下の正の整数)の撮影画像で、注視点を含んで重複部分を含む撮影画像を前記撮影方向および/または前記交差方向から選択し、前記撮影画像のそれぞれの前記重複部分から、前記注視点を含む特定範囲の画像部分を選択して選択画像とし、前記撮影方向をひとつの軸として、また前記交差方向を他軸として、前記ひとつの軸にM列、前記他軸にN行のマトリックス状で、前記ひとつの軸に前記撮影画像の撮影順番配置で、前記他軸に、前記画像部分を、前記ひとつの軸の撮影位置が前記交差方向になるように撮影順番配置で並べた画像セットからなる空中写真データセットから所望の縦横枚数を選択し、前記マトリックス状に表示することを特徴とする空中写真データセットの表示方法。
【請求項25】
前記空中写真データセットが、前記注視点の空間位置から標定要素に関して修正したバックプロジェクションで前記空間位置が前記画像部分の中心になるように前記画像部分を得た空中写真データセットであることを特徴とする請求項24の空中写真データセットの表示方法。
【請求項26】
前記表示される空中写真データセットが、前記空中写真データセットを最初のセットとし、前記注視点を一定距離でシフトさせて新たな注視点として、前記空中写真データセットの作成を前記新たな注視点に関して繰り返して、新たな空中写真データセットを得て、前記撮影方向の順方向と逆方向の両方向と前記交差方向の順方向と逆方向の両方向に前記シフトを繰り返してそれぞれ別の新たな注視点に関して行い、前記撮影方向のそれぞれ片側にP回、前記交差方向のそれぞれ片側にQ回(PおよびQは正の整数)繰り返し、((2P+1)×(2Q+1)−1)個の前記新たな注視点について、それぞれ空中写真データセットを作成し、得られた(2P+1)×(2Q+1)個(前記最初のセットを含み)の各空中写真データセットに関して、特定の画像をひとつ選択して、前記最初のセットから選択されたものを中央に配置し、前記P回と前記Q回の前記シフトの各シフト方向の前記各空中写真データセットから選択されたものをそれぞれの前記シフトの位置に対応する配置に並べたものであることを特徴とする請求項24または25の空中写真データセットの表示方法。
【請求項27】
前記特定の画像は、前記各空中写真データセットに関して、それぞれ同一行列から選択されたものであることを特徴とする請求項26の空中写真データセットの表示方法。
【請求項28】
P=Q=1であることを特徴とする請求項26または27の空中写真データセットの表示方法。
【請求項29】
前記表示される空中写真データセットが、前記画像セットの中から、隣り合う関係のL×L(但し、LはMとNの小さい方以下の整数)枚の前記選択画像を選択し、前記画像セットの並び配置で、L×Lのマトリックス状に並べた特定画像セットであることを特徴とする請求項24または25の空中写真データセットの表示方法。
【請求項30】
A=Bで、M=Nであることを特徴とする請求項24乃至29のいずれかに記載の空中写真データセットの表示方法。
【請求項31】
A=B=または≒0.8で、M=N=5であることを特徴とする請求項30の空中写真データセットの表示方法。
【請求項32】
前記特定範囲が長方形であることを特徴とする請求項24乃至31のいずれかに記載の空中写真データセットの表示方法。
【請求項33】
前記長方形の縦横比は2:1あるいはほぼこれに等しいものであることを特徴とする請求項32の空中写真データセットの表示方法。
【請求項1】
空中撮影方向のオーバーラップ率をA(但し、A=1は完全重複を意味し、0≦A<1)として、前記撮影方向に交差する方向(交差方向)のサイドラップ率をB(但し、B=1は完全重複を意味し、0≦B<1)として空中撮影して得られた複数の画像の中から、M×N枚(但し、MおよびNは、それぞれ、1/(1−A)および1/(1−B)以下の正の整数)の撮影画像で、注視点を含んで重複部分を含む撮影画像を前記撮影方向および/または前記交差方向から選択し、前記撮影画像のそれぞれの前記重複部分から、前記注視点を含む特定範囲の画像部分を選択して選択画像とし、前記撮影方向をひとつの軸として、また前記交差方向を他軸として、前記ひとつの軸にM列、前記他軸にN行のマトリックス状で、前記ひとつの軸に前記撮影画像の撮影順番配置で、前記他軸に、前記画像部分を、前記ひとつの軸の撮影位置が前記交差方向になるように撮影順番配置で並べた画像セットを作成する工程を含むことを特徴とする空中写真データセットの作成方法。
【請求項2】
前記注視点の空間位置から標定要素に関して修正したバックプロジェクションで前記空間位置が前記画像部分の中心になるように前記画像部分を得る工程を含むことを特徴とする請求項1の空中写真データセットの作成方法。
【請求項3】
前記空間位置を一定距離移動させた架空空間位置を新たな注視点として、前記空中写真データセットを作成する方法を繰り返し、更に、前記移動を前記撮影方向と前記交差方向にも前記作成する方法を繰り返し行って、複数の空中写真データセットを作成する工程を含むことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の空中写真データセットの作成方法。
【請求項4】
前記空中写真データセットを最初のセットとし、前記注視点を一定距離でシフトさせて新たな注視点として、前記空中写真データセットの作成を前記新たな注視点に関して繰り返して、新たな空中写真データセットを得て、前記撮影方向の順方向と逆方向の両方向と前記交差方向の順方向と逆方向の両方向に前記シフトを繰り返してそれぞれ別の新たな注視点に関して行い、前記撮影方向のそれぞれ片側にP回、前記交差方向のそれぞれ片側にQ回(PおよびQは正の整数)繰り返し、((2P+1)×(2Q+1)−1)個の前記新たな注視点について、それぞれ空中写真データセットを作成し、得られた(2P+1)×(2Q+1)個(前記最初のセットを含み)の各空中写真データセットに関して、特定の画像をひとつ選択して、前記最初のセットから選択されたものを中央に配置し、前記P回と前記Q回の前記シフトの各シフト方向の前記各空中写真データセットから選択されたものをそれぞれの前記シフトの位置に対応する配置に並べることを特徴とする請求項1または2の空中写真データセットの作成方法。
【請求項5】
前記特定の画像は、前記各空中写真データセットに関して、それぞれ同一行列から選択されることを特徴とする請求項4の空中写真データセットの作成方法。
【請求項6】
P=Q=1であることを特徴とする請求項4または5の空中写真データセットの作成方法。
【請求項7】
前記注視点の前記空間位置を特定する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の空中写真データセットの作成方法。
【請求項8】
前記画像セットの中から、隣り合う関係のL×L(但し、LはMとNの小さい方以下の整数)枚の前記選択画像を選択し、前記画像セットの並び配置で、L×Lのマトリックス状に並べた特定画像セットを作成する工程を含むことを特徴とする請求項1または2の空中写真データセットの作成方法。
【請求項9】
A=Bで、M=Nであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の空中写真データセットの作成方法。
【請求項10】
A=B=または≒0.8で、M=N=5であることを特徴とする請求項9の空中写真データセットの作成方法。
【請求項11】
前記選択画像が長方形であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の空中写真データセットの作成方法。
【請求項12】
前記長方形の縦横比は2:1あるいはほぼこれに等しいものであることを特徴とする請求項11の空中写真データセットの作成方法
【請求項13】
空中撮影方向のオーバーラップ率をA(但し、A=1は完全重複を意味し、0≦A<1)として、前記撮影方向に交差する方向(交差方向)のサイドラップ率をB(但し、B=1は完全重複を意味し、0≦B<1)として空中撮影して得られた複数の画像の中から、M×N枚(但し、MおよびNは、それぞれ、1/(1−A)および1/(1−B)以下の正の整数)の撮影画像で、注視点を含んで重複部分を含む撮影画像を前記撮影方向および/または前記交差方向から選択し、前記撮影画像のそれぞれの前記重複部分から、前記注視点を含む特定範囲の画像部分を選択して選択画像とし、前記撮影方向をひとつの軸として、また前記交差方向を他軸として、前記ひとつの軸にM列、前記他軸にN行のマトリックス状で、前記ひとつの軸に前記撮影画像の撮影順番配置で、前記他軸に、前記画像部分を、前記ひとつの軸の撮影位置が前記交差方向になるように撮影順番配置で並べた画像セットであることを特徴とする空中写真データセット。
【請求項14】
前記注視点の空間位置から標定要素に関して修正したバックプロジェクションで前記空間位置が前記画像部分の中心になるように前記画像部分を得たことを特徴とする請求項13の空中写真データセット。
【請求項15】
前記空間位置を一定距離移動させた架空空間位置を新しい注視点として、前記空中写真データセットを作成する方法を繰り返し、前記移動を前記撮影方向と前記交差方向にも前記作成する方法を繰り返し行って、作成された複数の空中写真データセットを含むことを特徴とする請求項13または14の空中写真データセット。
【請求項16】
前記空中写真データセットを最初のセットとし、前記注視点を一定距離でシフトさせて新たな注視点として、前記空中写真データセットの作成を前記新たな注視点に関して繰り返して、新たな空中写真データセットを得て、前記撮影方向の順方向と逆方向の両方向と前記交差方向の順方向と逆方向の両方向に前記シフトを繰り返してそれぞれ別の新たな注視点に関して行い、前記撮影方向のそれぞれ片側にP回、前記交差方向のそれぞれ片側にQ回(PおよびQは正の整数)繰り返し、((2P+1)×(2Q+1)−1)個の前記新たな注視点について、それぞれ空中写真データセットを作成し、得られた(2P+1)×(2Q+1)個(前記最初のセットを含み)の各空中写真データセットに関して、特定の画像をひとつ選択して、前記最初のセットから選択されたものを中央に配置し、前記P回と前記Q回の前記シフトの各シフト方向の前記各空中写真データセットから選択されたものをそれぞれの前記シフトの位置に対応する配置に並べたことを特徴とする請求項13または14の空中写真データセット。
【請求項17】
前記特定の画像は、前記各空中写真データセットに関して、それぞれ同一行列から選択されたものであることを特徴とする請求項16の空中写真データセット。
【請求項18】
P=Q=1であることを特徴とする請求項16または17の空中写真データセット。
【請求項19】
前記画像セットの中から、隣り合う関係のL×L(但し、LはMとNの小さい方以下の整数)枚の前記選択画像を選択し、前記画像セットの並び配置で、L×Lのマトリックス状に並べた特定画像セットを含むことを特徴とする請求項13または14の空中写真データセット。
【請求項20】
A=Bで、M=Nであることを特徴とする請求項13乃至19のいずれかに記載の空中写真データセット。
【請求項21】
A=B=または≒0.8で、M=N=5であることを特徴とする請求項20の空中写真データセット。
【請求項22】
前記特定範囲が長方形であることを特徴とする請求項13乃至21のいずれかに記載の空中写真データセット。
【請求項23】
前記長方形の縦横比は2:1あるいはほぼこれに等しいものであることを特徴とする請求項22の空中写真データセット。
【請求項24】
空中撮影方向のオーバーラップ率をA(但し、A=1は完全重複を意味し、0≦A<1)として、前記撮影方向に交差する方向(交差方向)のサイドラップ率をB(但し、B=1は完全重複を意味し、0≦B<1)として空中撮影して得られた複数の画像の中から、M×N枚(但し、MおよびNは、それぞれ、1/(1−A)および1/(1−B)以下の正の整数)の撮影画像で、注視点を含んで重複部分を含む撮影画像を前記撮影方向および/または前記交差方向から選択し、前記撮影画像のそれぞれの前記重複部分から、前記注視点を含む特定範囲の画像部分を選択して選択画像とし、前記撮影方向をひとつの軸として、また前記交差方向を他軸として、前記ひとつの軸にM列、前記他軸にN行のマトリックス状で、前記ひとつの軸に前記撮影画像の撮影順番配置で、前記他軸に、前記画像部分を、前記ひとつの軸の撮影位置が前記交差方向になるように撮影順番配置で並べた画像セットからなる空中写真データセットから所望の縦横枚数を選択し、前記マトリックス状に表示することを特徴とする空中写真データセットの表示方法。
【請求項25】
前記空中写真データセットが、前記注視点の空間位置から標定要素に関して修正したバックプロジェクションで前記空間位置が前記画像部分の中心になるように前記画像部分を得た空中写真データセットであることを特徴とする請求項24の空中写真データセットの表示方法。
【請求項26】
前記表示される空中写真データセットが、前記空中写真データセットを最初のセットとし、前記注視点を一定距離でシフトさせて新たな注視点として、前記空中写真データセットの作成を前記新たな注視点に関して繰り返して、新たな空中写真データセットを得て、前記撮影方向の順方向と逆方向の両方向と前記交差方向の順方向と逆方向の両方向に前記シフトを繰り返してそれぞれ別の新たな注視点に関して行い、前記撮影方向のそれぞれ片側にP回、前記交差方向のそれぞれ片側にQ回(PおよびQは正の整数)繰り返し、((2P+1)×(2Q+1)−1)個の前記新たな注視点について、それぞれ空中写真データセットを作成し、得られた(2P+1)×(2Q+1)個(前記最初のセットを含み)の各空中写真データセットに関して、特定の画像をひとつ選択して、前記最初のセットから選択されたものを中央に配置し、前記P回と前記Q回の前記シフトの各シフト方向の前記各空中写真データセットから選択されたものをそれぞれの前記シフトの位置に対応する配置に並べたものであることを特徴とする請求項24または25の空中写真データセットの表示方法。
【請求項27】
前記特定の画像は、前記各空中写真データセットに関して、それぞれ同一行列から選択されたものであることを特徴とする請求項26の空中写真データセットの表示方法。
【請求項28】
P=Q=1であることを特徴とする請求項26または27の空中写真データセットの表示方法。
【請求項29】
前記表示される空中写真データセットが、前記画像セットの中から、隣り合う関係のL×L(但し、LはMとNの小さい方以下の整数)枚の前記選択画像を選択し、前記画像セットの並び配置で、L×Lのマトリックス状に並べた特定画像セットであることを特徴とする請求項24または25の空中写真データセットの表示方法。
【請求項30】
A=Bで、M=Nであることを特徴とする請求項24乃至29のいずれかに記載の空中写真データセットの表示方法。
【請求項31】
A=B=または≒0.8で、M=N=5であることを特徴とする請求項30の空中写真データセットの表示方法。
【請求項32】
前記特定範囲が長方形であることを特徴とする請求項24乃至31のいずれかに記載の空中写真データセットの表示方法。
【請求項33】
前記長方形の縦横比は2:1あるいはほぼこれに等しいものであることを特徴とする請求項32の空中写真データセットの表示方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−39753(P2008−39753A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−238238(P2006−238238)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【出願人】(390023249)国際航業株式会社 (55)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【出願人】(390023249)国際航業株式会社 (55)
【Fターム(参考)】
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