説明

空気より軽量のビークル用のメタル化フレキシブル積層材料

空気より軽量のビークルの積層材料は、少なくとも1のモノフィラメントヤーン層;前記少なくとも1のモノフィラメントヤーン層に近接するポリマーフィルム層;及び前記ポリマーフィルム層に近接するメタル化コーティング層を含んでなる。メタル化コーティング層に対して、透明なフィルムカバー層を接着することができ、透明なフィルム層に1以上の蛍光染料を配合できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国特許出願第11/231,569号(2005年9月21日出願)の一部継続出願であり、当該出願を参照して、ここに含める。
【0002】
本発明は、一般に、空気より軽量のビークルに係る。詳しくは、本発明は、空気より軽量のビークルにおいて使用される、改良された布積層構造体に関するものである。特に、本発明は、軽量であり、大きい強度特性及び改善された反射率を有し、非常に高い高度用の空気より軽量のビークルの開発を可能にする積層構造体に関するものである。
【背景技術】
【0003】
空気より軽量のビークルは、多くの異なった用途で使用される。1つの公知の用途では、企業は、その企業のロゴを空気より軽量のビークル(しばしば、飛行船と称される)に美しく描き、大きなスポーツイベント又は大都市区域の近くでビークルを操作している。このような宣伝広告は、効果的に、セールスの拡大を生じている。空気より軽量のビークルは、通信、気象観測、科学的調査又は軍事的偵察を目的として、高高度用途でも使用される。これには、係留用ロープによって定位置に保持される気球も含まれる。これらの高高度での用途では、ビークルをより高い高度で操作できれば、偵察目的で監視できるエリアがより広くなることが知られている。さらに、ビークルの位置が高いほど、ビークルの検知し、破壊することがより困難である。
【0004】
これら高高度用の空気より軽量のビークルのための公知の材料の多くは、これらが、温度変化の限られた範囲にのみ耐えうるものであるため、制限されている。さらに、高高度ビークルは、オゾン劣化、極度の紫外線露光、概日周期において経験される広い温度変化からの過酷な膨張及び収縮、及び強烈な風力及び気象条件に耐えることが要求される。そして、軍事的目的に使用される空気より軽量のビークルは、高周波検知、レーザー照準脅威等に対して弱い。もちろん、上述の特性は、空気より軽量のビークルについて基本的に要求される特性(軽量であること(最大積載量を増大できる)、及び良好な気体バリヤー特性を有すること(ビークルのより長期間の配備を保障する))と組み合わされる必要がある。空気より軽量のビークル用の軽量積層材料は、米国特許出願第10/388,772号及び第11/443,327号に記載されている(これらを参照して、ここに含める)。しかし、熱マネージメント、剪断弾性率、ヘリウム透過性、静電気散逸、避雷、及び高高度における長期間の耐久性の組み合わされた特性は、これまでには、実証されてはいない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、上記の所望の特性を持つ積層又は布材料を使用し、製造及び所望の形状に形成することが容易である空気より軽量のビークルに関する要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記に鑑み、本発明の第1の態様は、空気より軽量のビークル用のメタル化フレキシブル布積層材料を提供することにある。太陽エネルギーの吸収を低減するために反射性材料を使用し、これによって、空気より軽量のビークルの熱マネージメントを促進する。
【0007】
本発明の他の態様は、少なくとも1のモノフィラメントヤーン層、前記少なくとも1のモノフィラメントヤーン層に近接するポリマーフィルム層、及び前記ポリマーフィルム層に近接するメタル化コーティングを含んでなる積層材料を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の態様(詳細に説明するにつれて、明白になるであろう)は、ストレートプライモノフィラメントヤーン層、前記ストレートプライ層に固着されたバイアスプライモノフィラメントヤーン層、前記バイアスプライヤーン層に固着されたポリマーフィルム層、及び前記ポリマーフィルム層に固着された金属コーティング層を含んでなる積層材料によって達成される。
【0009】
本発明のさらに他の態様(詳細に説明するにつれて、明白になるであろう)は、ストレートプライモノフィラメントヤーン層、前記ストレートプライ層に固着されたバイアスプライモノフィラメントヤーン層、前記バイアスプライヤーン層に固着されたポリマーフィルム層、前記ポリマーフィルム層に固着された金属コーティング層、前記金属コーティングに近接する任意の反射促進層、及び反射促進層(存在する場合)又は金属コーティング層に近接する透明フィルムカバー層(透明フィルムカバー層は蛍光染料を含む)を含んでなる積層材料によって達成される。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、ハルを包含してなる空気より軽量のビークルであって、前記ハルが、ストレートプライモノフィラメントヤーン層;前記ストレートプライ層に固着されたバイアスプライモノフィラメントヤーン層;前記バイアスプライヤーン層に固着されたポリマーフィルム層;及び前記ポリマーフィルム層に固着された金属コーティング層を含んでなる積層材料を含むものである、空気より軽量のビークルによって達成される。
【0011】
本発明のこれらの目的及び他の目的は、存在する従来技術によるものを凌駕する利点(以下の記載から明らかになるであろう)と共に、以下に述べる及び請求の範囲に記載する改良によって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の目的、技術及び構造が完全に理解されるように、下記の詳細な記載及び図面を参照する。
【0013】
添付図面、特に図1を参照すると、本発明による空気より軽量のビークルが、参照符号10で示されていることが認められる。ビークル10は、空気より軽量のビークルではあるが、フレキシブル積層構造体を対象とする本発明の技術は、気球、小型飛行船、飛行船又は各種の係留された又は係留されていない同様の対象物の如き各種の空気より軽量のビークルに適用されることが理解されるであろう。例えば、本発明は、熱気球、通常のヘリウムバルーン、気象バルーン、帆、パラシュート、及びアウトドア環境下での苦難に耐えために、材料として、優れた特性が要求されるような各種の用途で使用される。いずれにしても、ビークル10は、フィンをもたない又は少なくとも1つの安定化フィン14をもつハル12を包含する。フィンがない場合には、ベクタードファンの如き安定化部材が使用されるであろう。ハルに関して長楕円形状が示されているが、各種の形状(球形、楕円形、放物線形、涙形等)を使用できることが理解されるであろう。ビークル10は、有効荷重16(人員、偵察装置、気象監視装置、通信装置、特殊な調査装置等を含む)を担持できる。有効荷重のサイズは、一般に、ビークルのサイズに応じて変動する。有効荷重は、外部的に(図示のように)、内部的に担持されるか、又はレーダー送信/受信用の材料に組み込まれる。
【0014】
ビークル10は、多数の所望の特性を有するエンクロージング材料にて構成される。一般に、これらの所望の特性は、引裂き抵抗性、クリープ抵抗性、高強度、軽量性(有効荷重のサイズの増大を可能にする)、及び極端な温度及び圧力の変化に耐える能力である。広い温度及び圧力の変化に鑑み、材料は、多くの条件においてフレキシブルであることが要求される。また、積層材料はオゾン及び紫外線に対して抵抗性であり、必要な気体透過性を有することも望まれる。弾丸、パンク等によって生ずる引裂きに対する抵抗性も有益である。積層材料が高空能力を有していることが望ましい。ここに示す構造体は、ビークル10が対流圏及び成層圏内の高度で操作されることを可能にするものと考えられる。特定の具体例では、ビークル10のエンクロージング材料は、良好な熱マネージメント及び剪断弾性率を発揮し、静電気を消散させ、発火保護を提供できる。
【0015】
図2において最も良好に理解されるように、本発明の1具体例による積層材料は、一般的に、符号20で示される。材料20は、内側表面22及びこの内側表面22とは反対側の外側表面24を有する。積層材料は、少なくとも1のモノフィラメントヤーン層25、フィルム層45、及び金属コーティング50を含む。積層材料20の構造を詳細に説明し、材料の各層が提供する各種の特性を詳細に説明する。
【0016】
ストレートプライモノフィラメントヤーン層25が内側表面22を形成する。第1のヤーン層25と、第2のヤーンモノフィラメント層35との間に、接着剤層30を塗布する。ヤーン層35とフィルム層45との間には、接着剤層40が塗布される。フィルム層45は、好ましくはメタル化される。換言すると、金属コーティングをフィルム層45に塗布して、金蔵コーティング層50を形成する。金属コーティング層50を、フィルム層45の対面する外側表面に接着し、ヤーン層35を、フィルム層45の内側表面に接着する。金属コーティング層50に、透明なフィルムカバー層55を塗布することができる。カバー層55が、外側表面24を形成することもできる。
【0017】
1以上の具体例では、層25はストレートプレイとして表示されている。「ストレートプレイ」とは、ヤーンが、相互に、約0及び90°で、飛行船ハルの周辺方向及び軸方向に実質的に平行に配向されていることを意味する。特定の具体例では、ストレートプレイ層25は、飛行船の構造に関する主な強度要求を提供する。
【0018】
層25において使用されるモノフィラメントヤーンのタイプは、特に制限されない。市販のモノフィラメントヤーンとしては、ポリアミド、ポリエステル、アラミド、液晶ポリマー、カーボン、ポリベンゾキサゾール、及び超高分子量ポリエチレンがある。特定の具体例では、カーボン、又はM5(Magellan Systems/DuPont)、Vectran(登録商標)、Zylon(登録商標)、Dyneema(登録商標)、及びSpectra(登録商標)として表示されるものの如き高靭性ヤーンが使用される。1具体例では、層25の液晶ポリマーとしては、Vectran(登録商標)又は同等の物質が含まれる。
【0019】
1以上の具体例では、ストレートプレイ層25は、布地のように、縦糸及び横糸を有する織物を含む。強くかつ軽量である点で、液晶ポリマー繊維ヤーンが有利である。広範な強度が可能である。実際、1具体例では、ストレートプレイ層25の縦糸方向が、約36−約360 kg/cm(約200−約2000 lb/in)の引っ張り強さを有し、横糸方向が約21.6−約216 kg/cm(約120−約1200 lb/in)の引っ張り強さを有する。液晶ポリマー繊維材料は、優秀なクリープ抵抗性及び屈曲疲れ抵抗性も有する。織りパターンは、積層体の全体質量を低減することを目的として、及び弾丸又は他の発射体によるパンクの際の積層体の引裂きを停止させるために、断続的なギャップ又はヤーン束の定期的な群を提供する。
【0020】
少なくとも1のフィラメントヤーン層は、織布又は不織布である。従って、1具体例では、ヤーン層25は不織布である。例えば、層25の縦糸及び横糸は、層状化及び縫い合わされか、又は一緒に織られるよりもむしろ、一緒に編まれる。不織層のヤーンは、多軸又はランダム配向を有する。
【0021】
1以上の具体例では、積層材料20はヤーン層35を含む。層35において使用されるモノフィラメントのタイプは特に限定されず、ヤーン層25について、ここに記載した各種のモノフィラメントから選択される。1具体例では、層35には、Vectran(登録商標)又は同等の材料が含まれる。
【0022】
特定の具体例では、ヤーン層35としては、ヤーン層25について記載したように、縦糸及び横糸を有する織布又は不織布が含まれる。1具体例では、ヤーン層35は、接着剤層30に関する必要性を排除するため、ヤーン層25にステッチ結合又は編みつけされる。層25及び35は、質量を最小にすると共に、強度を最大とする各種の縦糸/横糸パターンを利用できることが理解されるであろう。さらに、層25及び35は、各種のキャリヤーに封入又は埋め込まれない(そうでなければ、層において使用されるヤーンのフレキシビリティー、引裂き特性、又は強度を制限することとなる)。
【0023】
1以上の具体例では、層35はバイアスプレイとして示されている。「バイアスプレイ」とは、縦糸及び横糸が、ストレートプレイ層25の縦糸及び横糸に対して約30−約60°の角度で配向していることを意味する。特定の具体例では、バイアスプレイ層35は、飛行船の構造用の剪断弾性率及び引裂き強さを提供する。
【0024】
本発明の1以上の具体例についで記載したように、層25は、ヤーンが多軸又はランダム配向性を有する不織層であるか又はこの不織層を含む。この具体例では、ヤーン層35は任意である。市販の不織ランダム繊維配向材料の例としては、E.I.DupontからのTYVEK(登録商標)及びReemay, Inc.からのREEMAY(登録商標)が含まれる。
【0025】
フィルム層45としては、各種のポリマーフィルムが含まれる。1以上の具体例では、フィルム層45は、高弾性率フィルム、例えば、ポリアミド、液晶ポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)及びポリイミドフィルムがある。ポリイミドフィルムの例としては、Kapton(登録商標)又は同等のものがある。一般に、弾性率は、繊維の引っ張りに対する抵抗性の指標又は繊維から捲縮が除かれた後の応力の変化/引っ張りの変化の比である。容易に伸張可能な繊維又はフィルムは低弾性率を有する。特定の具体例では、高弾性率フィルムは、引っ張り弾性率少なくとも約218,000 psiを発揮し、他の具体例では、引っ張り弾性率は、少なくとも約261,000 psiであり、他の具体例では、引っ張り弾性率は、少なくとも約290,000 psiである。
【0026】
1以上の具体例では、ポリマーフィルム層45は、ヘリウム等を保持するための気体バリヤーとして機能する。特定の具体例では、ポリマーフィルム層45は、高弾性率フィルム層を含み、優秀なバイアス弾性率を提供し、好適な空気より軽量の物質、例えば、ヘリウムをハル構造体内に保持するための優秀な気体バリヤー材料でもある。
【0027】
バリヤーフィルム層45の厚さは特に制限されない。1具体例では、フィルム層45は、厚さ約7.6−約25.4μm(約0.3−約1ミル)である。
【0028】
金属コーティング層50は、ポリマーフィルム層45の外側表面に接着される。好適な金属としては、高度に反射性の金属、例えば、銀及びアルミニウムが含まれる。1以上の具体例では、金属コーティング層50はアルミニウムを含んでなる。アルミニウム被覆ポリイミドフィルムは、Sheldahl Technical Materials(ミネソタ州ノースフィールド)から市販されている。あるいは、ポリマーフィルム層45には、当分野において一般的に知られているプロセスを介して、金属フィルムが被覆されうる。接着剤なしでKapton(登録商標)に金属を塗布するプロセスとしては、例えば、真空金属被覆又はスパッタリング技術が知られている。
【0029】
金属コーティング層50の厚さは、特に制限されないが、太陽放射線の透過を妨げるに充分なものでなければならない。コーティングは、薄い箔又は真空蒸着フィルムの形のものである。1以上の具体例では、金属コーティング層50は、約800−約1200Åの厚さで塗布され、1具体例では、金属コーティング層50は、厚さ約1000Åに塗布される。
【0030】
金属コーティングの1つの目的は、熱マネージメントのため、太陽放射線を反射させることにある。金属コーティングの他の目的は、静電気の蓄積を散逸させ、ヘリウムの透過を低減し、及び落雷による損傷を低減することにある。
【0031】
金属コーティング層50に、反射率増大層52を接着できる。反射率増大層52は、3M 光子フィルターフィルムのようなポリマーフィルム、又は二酸化チタン、二酸化ケイ素、又は二酸化ハフニウムのような誘電性物質を包含できる。層52は、反射率を増大させ及び/又は太陽放射線の特定の帯域幅に関するノッチリフレクターを提供できる。使用される際には、ポリマー又は誘電性コーティング52を、1/4波長光学厚さ(QWOT)又はその増加まで塗布できる。QWOT技術は、異なる屈折率の物質の連続層を塗布し、これによって、コーティングの反射率を増大させる方法を包含する。層における物質、層の厚さ、及び層の反射率は、特定の波長範囲内で選択的に太陽放射線を反射するように選択される。
【0032】
透明なフィルムカバー層55が、金属コーティング層50に接着される。反射率増大層52が存在する場合には、この反射率増大層52に、透明なフィルムカバー層55を接着できる。透明なフィルムカバー層55は、オゾン及び紫外線に対して抵抗性である各種のフィルムを包含できる。有用なフィルムとしては、腐食保護材フィルムも含まれる。好適なフィルムの例としては、ポリフッ化ビニルデンがある。
【0033】
「透明な」とは、フィルムが、曇った又は白濁した外観を呈する原因となるか、又は金属コーティング層の反射率を低減させることとなるような実質的な量の顔料又は固体物質を含有しないことを意味する。
【0034】
1以上の具体例では、フィルムカバー層55は、さらに、蛍光染料を含む。フィルムに曇り又は白濁を生じさせないか、又はフィルムの特性に対して有害な影響を及ぼさない各種の蛍光染料を使用できる。蛍光染料の例としては、市販の蛍光増白剤がある。1具体例では、蛍光染料は、ジスチリルベンゼン、ジスチリルビフェニル、ジビニルスチルベンゼン、及びトリアジニルアミノスチルベンのような炭素環化合物、スチルベニル-2H-ナフト[1,2-d]トリアゾール及びビス(1,2,3-トリアゾール-2-イル)スチルベンのようなスチルベニル-2H-トリアゾール、スチルベニルベンゾキサゾール及びビス(ベンゾキサゾール)のようなベンゾキサゾール、フラン、ビス(ベンゾ[b]フラン-2-イル)ビフェニルのようなベンゾ[b]フラン、カチオニックベンズイミダゾールのようなベンズイミダゾール、1,3-ジフェニル-2-ピラゾリン、クマリン、ナフタルイミド、及び1,3,5-トリアジン-2-イル誘導体からなる群から選ばれる蛍光増白剤を含む。
【0035】
1以上の具体例では、蛍光染料は、透明なフィルムカバー層の総質量基準で、約200−約500 ppmの量で存在する。
【0036】
1具体例では、蛍光染料は、カバー層における欠陥又は損傷を検出するために、フィルムカバー層55の検査において使用される。例えば、紫外線又はブラックライトを積層体に当てることができる。蛍光を発しない区域は、カバー層におけるギャップ又は不連続部分を表す。
【0037】
特定の具体例では、蛍光染料は、フィルムカバー層の反射率、及びメタル化積層材料全体の反射率を増大させる。これに関して、図3を参照する。図3は、波長領域にわたる反射率のグラフである。曲線62は、アルミニウム被覆ポリイミドフィルムの層の反射率を表す。曲線66は、アルミニウム被覆ポリイミド層上にPVDFの層を含有する積層体の反射率を表す。曲線64は、曲線66に関するものと同様ではあるが、PVDF層が蛍光染料を含むものである積層体の反射率を表す。曲線68は、空気質量ゼロ(AM0)における相対的太陽放射度を表す。最大太陽放射度が約450 nmで生ずることが認められる。
【0038】
このデータから、アルミニウム被覆ポリイミドフィルムの反射率が約0.899であることが決定される。PVDF層の追加は、反射率を約0.838に増大させる。PVDFへの蛍光染料の追加は、反射率を約0.865に改善し、これは、染料なしのPVDFに対して約3.2%の増大に相当する。
【0039】
特定の具体例では、フィルムカバー層も、ビークルの熱制御を増大させ、その赤外線分光シグニチャーを低減する。換言すれば、金属コーティング層50は、太陽スペクトルの紫外線、可視線、及び近赤外線領域において、太陽放射線の約85−95%を反射し、一方、フィルムカバー層におけるPVDF又は他のポリマーは、織物ハル材料における熱の蓄積を最小とするために、中−遠赤外線領域におけるエミッターとして作用する。有利には、1以上の蛍光染料は、電磁スペクトルの選択された領域における反射率を増大させるように選択される。例えば、青色染料は450−550 nmの領域における放射線の反射率を増大させるように選択され、緑色染料は500−600 nmの領域における放射線の反射率を増大させるように選択され、赤/オレンジ色染料は550−600 nmの領域における放射線の反射率を増大させるように選択され、また、遠赤色染料は600−700 nmの領域における放射線の反射率を増大させるように選択される。
【0040】
フィルムカバー層55は、熱可塑性又は熱硬化性接着剤のような接着剤を使用することによって、金属コーティング層50又は反射率増大層52に接着される。別法では、フィルムカバー層55を、当分野においてよく知られた手段によって、金属コーティング層50又は反射率増大層52の上に、直接、成形できる。従って、1以上の具体例では、フィルムカバー層55と金属コーティング層50又は反射率増大層52との間における接着剤層は不要である。1以上の具体例では、フィルムカバー材料は、優秀な紫外線又はオゾンに対する保護を提供でき、同時に、金属コーティング層50から太陽放射線を反射できる。
【0041】
1以上の層25、35、45及び55は、接着剤層にて相互に結合される。好適な接着剤としては、熱可塑性又は熱硬化性の接着剤がある。接着剤の特殊な例としては、低温においてフレキシビリティーを保持するポリウレタンがある。機械的特性を増大させるため、接着剤に、強化用ファイバー又は無機フィラーを添加できる。無機フィラーとしては、カーボンブラック、ヒュームドシリカ、及びカーボンナノチューブが含まれる。
【0042】
接着剤は、層を相互に結合し、存在しうる各種のピンホール又はギャップを埋める。1以上の具体例では、ヤーン層は、層への接着剤の侵入が最少となり、織物の硬直又は織物の引裂き強さの低減が回避されるに積層される。さらに詳述すれば、接着剤はヤーン層の表面上に設けられ、ヤーン内に埋め込まれない。
【0043】
理解されるように、ハル12及びフィン14は、代表的には、積層材料20のシングルピースで製造されたものではない。従って、積層材料のすべての特性を提供させつつ、材料のストリップ又はパターン(ゴア)を相互に接合させる。接合の方法は特に制限されない。1以上の具体例では、出願中の米国特許出願第10/388,772号(参照して、ここに含める)に記載されているような突合せ接合構造が使用される。他の具体例では、縫い合わせ、添え継ぎ、接着テープ等のような他の方法が使用される。
【0044】
上述の記載によれば、本発明の積層構造体の利点は明白である。特に、本発明の構造体は、高強度及び低質量特性を提供するものであり、これらの特性のため、空気より軽量のビークルの最大高度を可能にすると共に、ビークル10によって支持される積載質量を増大させるように軽量構造体を提供する。特定の具体例では、透明なフィルムカバー層における蛍光染料の存在により、熱マネージメント及び反射率が改善される際、積層体にかかるストレスが少ないため、ヤーンの質量は低減される。これらの具体例では、積層材料の質量は、0.28 kg/m2(7.5oz/yd2)未満である。
【0045】
実際、1以上の具体例では、積層材料の質量は、0.39 kg/m2(11oz/yd2)未満である。積層材の組合せは、空気より軽量の気体を保持するための優秀な透過性を提供する。本発明は、積層材料がフレキシブルであり、−90−+70℃(−130−+158°F)の範囲の広い温度変化に耐えうるものである点でも有利である。特定の具体例では、メタル化ポリイミドフィルムは、ヘリウムバリヤーを提供し、剪断弾性率を追加し、布層をオゾン及び紫外線から保護する。メタル化フィルムは、熱マネージメント及び剪断弾性率を改善し、一方、バイアスプレイ層も剪断弾性率及び引裂き強さを改善する。
【0046】
このように、本発明の目的は、上記の構造及び使用方法によって満足される。この明細書では、最良の形態及び好適な具体例のみを提示し、詳細に説明したが、本発明は、これらに又はこれらによって制限されないことが理解されなければならない。従って、本発明の真の精神及び範囲の認識に関しては、請求の範囲を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明による空気より軽量のビークル示す図である。
【図2】本発明の具体例による積層材料の断面図である。
【図3】波長領域にわたる各種材料の層の反射率のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1のモノフィラメントヤーン層;
前記少なくとも1のモノフィラメントヤーン層に近接するポリマーフィルム層;及び
前記ポリマーフィルム層に近接するメタル化コーティング
を含んでなることを特徴とする、積層材料。
【請求項2】
さらに、メタル化コーティング層に近接する実質的に透明なフィルムカバー層を包含する、請求項1記載の積層材料。
【請求項3】
フィルムカバー層が、ポリフッ化ビニリデンを含有するものである、請求項2記載の積層材料。
【請求項4】
フィルムカバー層が蛍光染料を含んでなる、請求項2記載の積層材料。
【請求項5】
蛍光染料が、炭素環化合物、スチルベニル-2H-トリアゾール、ベンゾキサゾール、フラン、ベンゾ[b]フラン、ベンズイミダゾール、1,3-ジフェニル-2-ピラゾリン、クマリン、ナフタルイミド、及び1,3,5-トリアジン-2-イル誘導体からなる群から選ばれる蛍光増白剤を含んでなるものである、請求項4記載の積層材料。
【請求項6】
フィルムカバー層が、透明なフィルムカバー層の総質量基準で、蛍光染料約200−約500 ppmを含んでなる、請求項4記載の積層材料。
【請求項7】
さらに、第1プレイヤーン層;及び第2プレイヤーン層を包含する、請求項1の積層材料。
【請求項8】
第1プレイヤーンが、縦糸及び横糸を有する、織られた、不織の、編まれた又はステッチ結合された構造体である、請求項7記載の積層材料。
【請求項9】
第2プレイヤーンが、縦糸及び横糸を有する、織られた、不織の、編まれた又はステッチ結合された構造体である、請求項7記載の積層材料。
【請求項10】
さらに、ヤーン層の間に配置された接着剤を包含する、請求項7記載の積層材料。
【請求項11】
さらに、第2プレイヤーン層とポリマーフィルム層との間に配置された他の接着剤を包含する、請求項7記載の積層材料。
【請求項12】
接着剤が、熱可塑性接着剤及び熱硬化性接着剤からなる群から選ばれるものである、請求項11記載の積層材料。
【請求項13】
接着剤が、さらに、補強用繊維又は無機フィラーを含有する、請求項1記載の積層材料。
【請求項14】
積層材料であって、
ストレートプレイモノフィラメントヤーン層;
前記ストレートプレイ層に固着されたバイアスプレイモノフィラメントヤーン層;
前記バイアスプレイヤーン層に固着されたポリマーフィルム層;
前記ポリマーフィルム層に固着された金属コーティング層;及び
前記金属コーティング層に固着された透明なフィルムカバー層
を包含することを特徴とする、積層材料。
【請求項15】
さらに、ストレートプレイヤーン層とバイアスプレイ層との間、及びバイアスプレイ層とポリマーフィルム層との間に配置された熱可塑性又は熱硬化性の接着剤を包含する、請求項14記載の積層材料。
【請求項16】
接着剤がポリウレタンである、請求項15記載の積層材料。
【請求項17】
ストレートプレイ層が、縦糸及び横糸を有する、織られた、不織の、編まれた又はステッチ結合された構造体を包含する、請求項14記載の積層材料。
【請求項18】
ストレートプレイモノフィラメントヤーン層が、ポリアミド、ポリエステル、アラミド、液晶ポリマー繊維、カーボン、ポリベンゾキサゾール、超分子量ポリエチレン又はその混合物を含有する、請求項14記載の積層材料。
【請求項19】
ストレートモノフィラメントプレイヤーン層が、液晶ポリマー繊維を包含する、請求項14記載の積層材料。
【請求項20】
バイアスプレイモノフィラメントヤーン層が、縦糸及び横糸を有する、織られた構造体を包含する、請求項14記載の積層材料。
【請求項21】
バイアスプレイモノフィラメントヤーン層が、ポリアミド、ポリエステル、アラミド、液晶ポリマー繊維、カーボン、ポリベンゾキサゾール、超分子量ポリエチレン又はその混合物を含有する、請求項14記載の積層材料。
【請求項22】
バイアスプレイ層が、液晶ポリマー繊維を包含する、請求項14記載の積層材料。
【請求項23】
ポリマーフィルムが、ポリイミドを含有するものである、請求項14記載の積層材料。
【請求項24】
金属コーティング層が、銀及びアルミニウムの一方又は両方を含んでなる、請求項14記載の積層材料。
【請求項25】
さらに、金属コーティング層に接着された反射率増大層を含み、前記反射率増大層が、多層のポリマーフィルム又は二酸化チタン、二酸化ケイ素、又は二酸化ハフニウムから選ばれる誘電性フィルムを含有するものであり、前記反射率増大層に、透明なフィルムカバー層が固着されている、請求項14記載の積層材料。
【請求項26】
透明なフィルムカバー層が、ポリフッ化ビニリデンを含有するものである、請求項14記載の積層材料。
【請求項27】
フィルムカバー層が蛍光染料を含んでなる、請求項14記載の積層材料。
【請求項28】
ハルを包含してなる空気より軽量のビークルであって、前記ハルが、
ストレートプレイモノフィラメントヤーン層;
前記ストレートヤーン層に固着されたバイアスプレイモノフィラメントヤーン層;
前記バイアスプレイ層に固着されたポリマーフィルム層;及び
前記ポリマーフィルム層に固着された金属コーティング層
を包含する、少なくとも1ピースの積層材料を含むものであることを特徴とする、空気より軽量のビークル。
【請求項29】
積層材料が、さらに、ストレートプレイヤーン層とバイアスプレイ層との間、及びバイアスプレイ層とポリマーフィルム層との間に配置されたポリウレタン接着剤を包含するものである、請求項28記載のビークル。
【請求項30】
金属コーティング層が、銀及びアルミニウムの一方又は両方を含んでなる、請求項28記載のビークル。
【請求項31】
ストレートプレイ層が、縦糸及び横糸を有する、織られた、不織の、編まれた又はステッチ結合された構造体である、請求項28記載のビークル。
【請求項32】
バイアスプレイ層が、縦糸及び横糸を有する、織られた、不織の、編まれた又はステッチ結合された構造体である、請求項28記載のビークル。
【請求項33】
ポリマーフィルムが、ポリイミドを含有するものである、請求項28記載のビークル。
【請求項34】
さらに、金属コーティング層に接着された反射率増大層を包含するものである、請求項28記載のビークル。
【請求項35】
さらに、反射率増大層に接着された透明なカバーフィルム層を包含するものである、請求項34記載のビークル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−508730(P2009−508730A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532325(P2008−532325)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/036528
【国際公開番号】WO2007/038097
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(596134851)ロッキード・マーチン・コーポレーション (30)
【Fターム(参考)】