説明

空気より軽量のビークル用の減量フレキシブル積層材料

【課題】 良好な強度を有すると共に、軽量である、空気より軽量のビークルのハル用積層材料を提供する。
【解決手段】 本発明の積層材料は、少なくとも1のモノフィラメントヤーン層;前記少なくとも1のモノフィラメントヤーン層に近接し、任意に、補強用繊維又は補強用フィラーを含有する高弾性率フィルム層;及び前記高弾性率バリヤーフィルム層に近接するメタル化コーティングを包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、空気より軽量のビークルに係る。詳しくは、本発明は、空気より軽量のビークルにおいて使用される、改良された布積層構造体に関するものである。特に、本発明は、軽量であり、大きい強度特性を有し、非常に高い高度用の空気より軽量のビークルの開発を可能にする積層構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気より軽量のビークルは、小型飛行船、気球、有人又は無人のバルーン、及び高空飛行船を含み、多くの異なった用途で使用される。空気より軽量の(LTA)ビークルのハル構造は、軟式のフレキシブル積層布から形成される。ハル用積層布は、浮揚用気体を収容するためのバリヤーフィルム層を包含する。層を互いに結合するため、接着剤が使用される。
【0003】
空気より軽量の軟式のビークルは、ハルのドループ又はねじれによる変形を防止するために、特定の最小剪断弾性率を要求する。歴史的には、必要な剪断弾性率は、バイアスプライ層を含むハル用積層布によって達成されていた。バイアスプライ層は、剪断弾性率に寄与し、積層布の引裂き強さを顕著に増大させるが、バイアスプライ層は、ハル用布の質量も増大させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、良好な強度を有すると共に、軽量であるハル用布についての要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記に鑑み、本発明の第1の態様は、空気より軽量のビークル用の減量フレキシブル積層材料を提供することにある。
【0006】
本発明の他の態様は、少なくとも1のモノフィラメントヤーン層、前記少なくとも1のモノフィラメントヤーン層に近接するバリヤーフィルム層(これらの層の間における任意の接着剤)、及びバリヤーフィルム層に近接するメタル化コーティングを含む積層材料であって、バリヤーフィルム層又は接着剤層の少なくとも1つが補強用フィラーを含むことを特徴とする積層材料を提供する。
【0007】
本発明のさらに他の態様(詳細に説明するにつれて、明白になるであろう)は、ストレートプライモノフィラメントヤーン層、前記ストレートプライ層に、第1の接着剤層によって固着されたバイアスプライモノフィラメントヤーン層、前記バイアスプライヤーン層に、第2の接着剤層によって固着されたバリヤーフィルム層、前記バリヤーフィルム層に固着された金属コーティング層、及び前記金属コーティング層に固着された透明フィルムカバー層を包含する積層材料であって、前記第1の接着剤層及び第2の接着剤層の少なくとも1つが補強用フィラーを含有しており、同等の強度を有するが、補強用フィラーを含有しない積層体の質量と比較する際、バイアスプライモノフィラメントヤーン層の質量が低減されていることを特徴とする積層材料によって達成される。
【0008】
本発明のさらに他の態様(詳細に説明するにつれて、明白になるであろう)は、ストレートプライモノフィラメントヤーン層;前記ストレートプライ層に固着され、補強用フィラーを含むバリヤーフィルム層;前記バリヤーフィルム層に固着された金属コーティング層;及び任意に、前記金属コーティング層に固着された透明フィルムカバー層を包含する積層材料によって達成される。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、ハルを有する空気より軽量のビークルであって、前記ハルが、ストレートプライモノフィラメントヤーン層;前記ストレートプライ層に固着され、補強用フィラーを含むバリヤーフィルム層;前記バリヤーフィルム層に固着された金属コーティング層;及び任意に、前記金属コーティング層に固着された透明フィルムカバー層を包含する積層材料を含むものであることを特徴とする空気より軽量のビークルによって達成される。
【0010】
本発明のさらに他の態様(詳細に説明するにつれて、明白になるであろう)は、ハルを有する空気より軽量のビークルであって、前記ハルが、ストレートプライモノフィラメントヤーン層;前記ストレートプライ層に、第1の接着剤層によって固着されたバイアスプライモノフィラメントヤーン層;前記バイアスプライヤーン層に、第2の接着剤層によって固着されたバリヤーフィルム層;前記バリヤーフィルム層に固着された金属コーティング層;及び前記金属コーティング層に固着された透明フィルムカバー層を包含し、前記第1の接着剤層及び第2の接着剤層の少なくとも1つが補強用フィラーを含有しており、同等の強度を有するが、補強用フィラーを含有しない積層体の質量と比較する際、バイアスプライモノフィラメントヤーン層の質量が低減されている積層材料を包含するものであることを特徴とする空気より軽量のビークルによって達成される。
【0011】
本発明のこれらの目的及び他の目的は、存在する従来技術によるものを凌駕する利点(以下の記載から明らかになるであろう)と共に、以下に述べる及び請求の範囲に記載する改良によって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の目的、技術及び構造が完全に理解されるように、下記の詳細な記載及び図面を参照する。
【0013】
添付図面、特に図1を参照すると、本発明による空気より軽量のビークルが、参照符号10で示されていることが認められる。ビークル10は、空気より軽量のビークルではあるが、フレキシブル積層構造体を対象とする本発明の技術は、気球、小型飛行船、飛行船又は各種の係留された又は係留されていない空気より軽量のビークルの如き各種の空気より軽量のビークルに適用されることが理解されるであろう。例えば、本発明は、熱気球、通常のヘリウムバルーン、気象バルーン、帆、パラシュート及びアウトドアの苛酷な環境に耐えると同時に、臨界的な用途のために、軽量、高強度の材料が要求される各種の用途で使用される。いずれにしても、ビークル10は、フィンをもたない又は少なくとも1つの安定化フィン14をもつハル12を包含する。フィンがない場合には、ベクタードファンの如き安定化部材が使用される。ハルに関して長楕円形状が示されているが、各種の形状(球形、楕円形、放物線形、涙形等)を使用できることが理解されるであろう。ビークル10は、有効荷重16(人員、偵察装置、気象監視装置、通信装置、特殊な調査装置等を含む)を担持できる。有効荷重のサイズは、一般に、ビークルのサイズに応じて変動する。有効荷重は、外部的に(図示のように)、内部的に担持されるか、又はレーダー送信/受信用の材料に組み込まれる。
【0014】
ビークル10は、多数の所望の特性を有するエンクロージング材料にて構成される。一般に、これらの所望の特性は、引裂き抵抗性、クリープ抵抗性、高強度、軽量性(有効荷重のサイズの増大を可能にする)、及び極端な温度及び圧力の変化に耐え得る可能性である。広い温度及び圧力の変化に鑑み、材料は、多くの条件においてフレキシブルであることが要求される。また、積層材料はオゾン及び紫外線に対して抵抗性であり、必要な気体透過性を有することも望まれる。弾丸、パンク等によって生ずる引裂きに対する抵抗性も有益である。積層材料が高空能力を有していることが望ましい。ここに示す構造体は、ビークル10が対流圏及び成層圏内の高度で操作されることを可能にするものと考えられる。特定の具体例では、ビークル10のエンクロージング材料は、良好な熱マネージメント及び剪断弾性率を発揮し、静電気を消散させ、発火保護を提供できる。
【0015】
図2において最も良好に理解されるように、本発明による積層材料は、一般的に、符号20で示される。材料20は、内側表面22及びこの内側表面22とは反対側の外側表面24を有する。空気より軽量のビークル用の軽量積層材料は、米国特許第6,979,479号、米国特許出願第11/231,569号に開示されており、それぞれ、引用して、ここに含める。積層材料20の構造を詳細に説明し、材料の各層が提供する各種の特性を詳細に説明する。
【0016】
ストレートプライモノフィラメントヤーン層25が内側表面22を形成する。このストレートプライ層25に、任意の接着剤層30にて、任意のバイアスプレイモノフィラメントヤーン層35を接着できる。任意のバイアスプレイモノフィラメントヤーン層35が存在する場合、フィルム層45がバイアスプレイ層35に接着され、バイアスプレイ層35とフィルム層45との間に接着剤層40が塗布される。1具体例では、フィルム層45はメタル化される。換言すれば、フィルム層45に金属被覆が施され、金属コーティング層50が形成される。1具体例では、金属コーティング層50は、フィルム層45の外側対面表面に接着される。他の具体例では、金属コーティング層50は、フィルム層45の内側表面に接着される。さらに他の具体例では、金属コーティング層50は、フィルム層45の内側及び外側の両表面に接着されてもよい。反射率増大層52が金属コーティング層50に接着されてもよい。任意に、金属コーティング層50又は反射率増大層52に、透明なカバー層55が接着される。カバー層55が外側表面24を形成する。
【0017】
図3に示され、符号20で表示される他の具体例では、バイアスプレイモノフィラメント層35及び接着剤層30が存在しない。この具体例では、ストレートプレイモノフィラメントヤーン層25が外側表面22を形成する。ストレートプレイ層25とバリヤーフィルム層45との間に、接着剤層40が設けられる。
【0018】
両具体例において、層25がストレートプレイとして示されている。「ストレートプレイ」とは、ヤーンが、相互に、約0及び90°で、飛行船ハルの周辺方向及び軸方向に実質的に平行に配向されていることを意味する。特定の具体例では、ストレートプレイ層25は、飛行船の構造に関する主な強度要求を提供する。
【0019】
層25において使用されるモノフィラメントヤーンのタイプは、特に制限されない。市販のモノフィラメントヤーンとしては、ポリアミド、ポリエステル、アラミド、液晶ポリマー、カーボン、ポリベンゾキサゾール、及び超高分子量ポリエチレンがある。特定の具体例では、カーボン、又はM5(登録商標:デュポン)、Vectran(登録商標)、Zylon(登録商標)、Dyneema(登録商標)、及びSpectra(登録商標)として表示される物の如き高靭性ヤーンが使用される。1具体例では、層25の液晶ポリマーとしては、Vectran(登録商標)又は同等の物質がある。
【0020】
1以上の具体例では、ストレートプレイ層25は、布地のように、多数の縦糸及び横糸を有する織物を含む。強くかつ軽量である点で、液晶ポリマー繊維ヤーンが有利である。広範な強度が可能である。実際、1具体例では、ストレートプレイ層25の縦糸方向が、約36−約360 kg/cm(約200−約2000 lb/in)の引っ張り強さを有し、横糸方向が約21.6−約216 kg/cm(約120−約1200 lb/in)の引っ張り強さを有する。液晶ポリマー繊維材料は、優秀なクリープ抵抗性及び屈曲疲れ抵抗性も有する。織りパターンは、積層体の全体質量を低減することを目的として、及び弾丸又は他の発射体によるパンクの際の積層体の引裂きを停止させるために、断続的なギャップ又はヤーン束の定期的な群を提供する。
【0021】
少なくとも1のフィラメントヤーン層は、織布又は不織布である。従って、1具体例では、ストレートプレイ層25は不織布である。例えば、層25の縦糸及び横糸は、層状化及び縫い合わされか、又は一緒に織られるよりもむしろ、一緒に編まれる。
【0022】
任意の層35は、バイアスプレイとして示されている。「バイアスプレイ」とは、縦糸及び横糸が、ストレートプレイ層25の縦糸及び横糸に対して約30−約60°の角度で配向していることを意味する。特定の具体例では、バイアスプレイ層35は、飛行船の構造用の剪断弾性率及び引裂き強さを提供する。
【0023】
バイアスプレイ層35において使用されるモノフィラメントのタイプは、特に制限されず、ストレートプレイ層25についてここに記載した各種のモノフィラメントから選択される。1具体例では、層35には、Vectran(登録商標)又は同等の材料が含まれる。
【0024】
特定の具体例では、バイアスプレイ層35としては、ストレートプレイ層25について記載したように、縦糸及び横糸を有する織布又は不織布が含まれる。1具体例では、バイアスプレイ層35は、接着剤層30に関する必要性を排除するため、ストレートプレイ層25にステッチ結合又は編みつけされる。層25及び35は、質量を最小にすると共に、強度を最大とする各種の縦糸/横糸パターンを利用できることが理解されるであろう。さらに、層25及び35は、各種のキャリヤーに封入又は埋め込まれない(そうでなければ、層において使用されるヤーンのフレキシビリティー、引裂き特性、又は強度を制限することとなる)。
【0025】
バリヤーフィルム層45としては、各種の高弾性率フィルム、例えば、ポリアミド、液晶ポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)及びポリイミドフィルムがある。ポリイミドフィルムの例としては、Kapton(登録商標)又は同等の物がある。一般に、弾性率は、繊維の引っ張りに対する抵抗性の指標又は繊維から捲縮が除かれた後の応力の変化/引っ張りの変化の比である。容易に伸張可能な繊維又はフィルムは低弾性率を有する。特定の具体例では、高弾性率フィルムは、引っ張り弾性率約218,000 psiを発揮し、他の具体例では、引っ張り弾性率は、少なくとも約261,000 psiであり、他の具体例では、引っ張り弾性率は、少なくとも約290,000 psiである。
【0026】
1以上の具体例では、高弾性率フィルム層45は、優秀なバイアス弾性率を提供し、好適な空気より軽量の物質、例えば、ヘリウムをハル構造体内に保持するための優秀なバリヤー材料でもある。1具体例では、高弾性率フィルム層45は、ヘリウム等を保持するためのガスバリヤーとして機能する。
【0027】
バリヤーフィルム層45の厚さは特に制限されない。1具体例では、フィルム層45は、厚さ約7.6−約50.8μm(約0.3−約2ミル)である。
【0028】
本発明の1具体例では、バリヤーフィルム層45は補強用フィラーを含有する。補強用フィラーの例としては、カーボンブラック、ヒュームドシリカ、カーボンナノチューブ、カーボンナノフィラー、ナノクレー等がある。バリヤーフィルムに添加される補強用フィラーの量は、バリヤーフィルム層の弾性率を増加させるに効果的な量であれば、特には制限されない。1具体例では、バリヤーフィルム層45は、バリヤーフィルム層45の総質量基準で、少なくとも約2質量%の量で補強用フィラーを含有する。他の具体例では、バリヤーフィルム層45は、バリヤーフィルム層45の総質量基準で、少なくとも約5質量%の量で補強用フィラーを含有する。特定の具体例では、バリヤーフィルム層は、バリヤーフィルム層45の総質量基準で、少なくとも約20質量%の量で補強用フィラーを含有する。1以上の具体例では、バリヤーフィルム層45は、バリヤーフィルム層45の総質量基準で、少なくとも約2−約10質量%の量で補強用フィラーを含有する。
【0029】
高弾性率フィルム層45の外側表面に、金属コーティング層50を接着する。好適な金属としては、銀、アルミニウム、金及び銅のような高反射率金属がある。1以上の具体例では、金属コーティング層50は、アルミニウムを包含する。アルミニウム被覆ポリイミドフィルムは、Sheldahal Technical Materials(ミネソタ州ノースフィールド)から市販されている。別法では、高弾性率フィルム層45を、当分野において一般的に知られている方法を介して、金属フィルム又は箔にて被覆できる。例えば、真空メタル化及びスパッタリング技術によって、接着剤なしで、Kapton(登録商標)に金属を塗布することが知られている。
【0030】
金属コーティング層50の厚さは、特に制限されないが、太陽放射線の透過を妨げるに充分なものでなければならない。コーティングは、薄い箔、蒸着フィルム又はスパッタリングフィルムの形のものである。1具体例では、薄い箔は、厚さ約5.0−約25.4μm(約0.2−約1ミル)である。1以上の具体例では、金属コーティング層50は、約800−約1200Åの厚さで塗布され、1具体例では、金属コーティング層50は、厚さ約1000Åに塗布される。
【0031】
金属コーティングの1つの目的は、熱管理のため、太陽放射線を反射させることにある。金属コーティングの他の目的は、静電気の蓄積を散逸させ、ヘリウムの透過を低減し、及び落雷による損傷を低減することにある。
【0032】
金属コーティング層50に、反射率増大層52を接着できる。反射率増大層52は、3M光子フィルターフィルムのようなポリマーフィルム、又は二酸化チタン、二酸化ケイ素、又は二酸化ハフニウムのような誘電性物質を包含できる。層52は、反射率を増大させ及び/又は太陽放射線の特定の帯域幅に関するノッチリフレクターを提供できる。使用される際には、ポリマー又は誘電性コーティング52を、1/4波長光学厚さ(QWOT)又はその増加まで塗布できる。QWOT技術は、異なる屈折率の物質の連続層を塗布し、これによって、コーティングの反射率を増大させる方法を包含する。層における物質、層の厚さ、及び層の反射率は、特定の波長範囲内で選択的に太陽放射線を反射するように選択される。
【0033】
任意に、透明なフィルムカバー層55が、金属コーティング層50に接着される。反射率増大層52が存在する場合には、この反射率増大層52に、透明なフィルムカバー層55を接着できる。透明なフィルムカバー層55は、オゾン及び紫外線に対して抵抗性の各種のフィルムを包含できる。有用なフィルムとしては、不織保護材フィルムも含まれる。好適なフィルムの例としては、フッ化ポリビニルデンがある。
【0034】
「透明な」とは、フィルムが、曇った又は白濁した外観を呈する原因となるか、又は金属コーティング層の反射率を低減させることとなるような実質的な量の顔料又は固体物質を含有しないことを意味する。
【0035】
1以上の具体例では、フィルムカバー層55は、さらに、蛍光染料を含む。フィルムに曇り又は白濁を生じさせないか、又はフィルムの特性に対して有害な影響を及ぼさない各種の蛍光染料を使用できる。蛍光染料の例としては、市販の蛍光増白剤がある。1具体例では、蛍光染料は、カバー層における欠陥又は損傷を検出するために、フィルムカバー層55の検査において使用される。例えば、紫外線又はブラックライトを積層体に当てることができる。蛍光を発しない区域は、カバー層におけるギャップ又は不連続部分を表す。
【0036】
フィルムカバー層55は、熱可塑性又は熱硬化性接着剤のような接着剤を使用することによって、金属コーティング層50又は反射率増大層52に接着される。別法では、フィルムカバー層55を、金属コーティング層50又は反射率増大層52の上に、直接、成形できる。従って、1以上の具体例では、フィルムカバー層55と金属コーティング層50又は反射率増大層52との間における接着剤層は不要である。1以上の具体例では、フィルムカバー材料は、優秀な紫外線又はオゾンに対する保護を提供でき、同時に、金属コーティング層50から太陽放射線を反射できる。
【0037】
特定の具体例では、フィルムカバー層55も、ビークルの熱制御を増大させ、その赤外線分光シグニチャーを低減する。換言すれば、金属層50は、太陽スペクトルの紫外線、可視線、及び近赤外線領域において、太陽放射線の約85−95%を反射すると共に、フィルムカバー層55は、織物ハル材料における熱の蓄積を最小とするために、中−遠赤外線領域におけるエミッターとして作用する。
【0038】
1以上の層25、35、45及び55は、接着剤層にて相互に結合される。好適な接着剤としては、熱可塑性又は熱硬化性の接着剤がある。接着剤の特殊な例としては、低温においてフレキシビリティーを保持するポリウレタンがある。
【0039】
接着剤は、層を相互に結合し、存在しうる各種のピンホール又はギャップを埋める。1以上の具体例では、ストレートプレイ又はバイアスプレイ層が、層への接着剤の侵入が最少となり、織物の硬直又は織物の引裂き強さの低減が回避されるに積層される。さらに詳述すれば、接着剤はヤーン層の表面上に設けられ、ヤーン内に埋め込まれない。
【0040】
1以上の接着剤層は、機械特性を増大するため、補強用繊維又は無機フィラーを含有できる。無機フィラーとしては、カーボンブラック、ヒュームドシリカ、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、ナノクレー等がある。有利には、補強用フィラーの添加は、その質量をあまり増大させることなく、積層用接着剤の強さ及び弾性率を増大できる。1以上の具体例では、補強された接着剤層によって与えられたより大きい強さのため、バイアスプレイ層35のモノフィラメントヤーンを低減することができ、その結果、バイアスプレイ層35の質量が低減される。
【0041】
代表的には、LTAビークル用のハル用織物におけるバイアスプレイ層は、約0.053 kg/m2(約1.5oz/yd2)である。有利には、バイアスプレイ層35の質量は、本発明に従って低減される。1具体例では、バイアスプレイ層35の質量は、0−0.035 kg/m2(0−約1oz/yd2)である。1具体例では、バイアスプレイ層35の質量は、約50%、又は約0.026 kg/m2(約0.75 oz/yd2) 以下に低減される。他の具体例では、バイアスプレイ層35の質量は全く排除される。
【0042】
これらの又は他の具体例では、補強された接着剤層及び低減されたバイアスプレイ層を包含する積層織物は、従来のバイアスプレイ層を有するが、接着剤層に補強用フィラーを含有しない積層織物よりも、大きい強さ/質量比を有する。1具体例では、バイアスプレイ層を含み、強さ/質量比約194を有する従来の積層織物を、バリヤー層に補強用フィラーを添加し、バイアスプレイ層の質量を約50%低減することによって変性する。達成される強さ/質量比は約218である。他の具体例では、従来の積層織物を、バイアスプレイ層を排除し、バリヤーフィルム層及びストレートプレイ層とバリヤー層との間の接着剤層に補強用フィラーを添加することによって変性する。達成される強さ/質量比は約259である。特定の具体例では、接着剤層における補強用フィラーは、布層への接着性を改善し、継ぎ目強さを増大し、又は破断又は損傷したヤーンの周囲における負荷のより均等な分散を提供する。
【0043】
バリヤーフィルム層45が補強用フィラーを含むような具体例では、バイアスプレイ層35の質量は低減されるが、良好な強さは保持される。特定の具体例では、バイアスプレイ層35及び接着剤層30は完全に排除され、積層されたハル用織物の質量は約30%(それ以下)低減される。1具体例では、積層されたハル用織物20の質量は、約0.24 kg/m2(約6.75 oz/yd2)以下であり、他の具体例では、積層されたハル用織物20の質量は、約0.18 kg/m2(約5.1oz/yd2)である。1以上の具体例では、ハル用織物20の強さ/質量比は約218−約259である。
【0044】
理解されるように、ハル12及びフィン14は、代表的には、積層材料20のシングルピースで製造されたものではない。従って、積層材料のすべての特性を提供させつつ、材料のストリップ又はパターンを相互に接合させる。1以上の具体例では、出願中の米国特許出願第10/388,772号(参考として、ここに含める)に記載されているような突合せ接合構造が使用される。他の具体例では、縫い合わせ、添え継ぎ、接着テープ等のような他の方法が使用される。
【0045】
上述の記載によれば、本発明の積層構造体の利点は明白である。特に、本発明の構造体は、高強度及び低量特性を提供するものであり、これらの特性のため、空気より軽量のビークルの最大積載質量を可能にすると共に、ビークル10によって支持される積載質量を増大させるように軽量構造体を提供する。実際、好適な積層体又は積層材料は、0.28 kg/m2(8oz/yd2)未満である。積層材の組合せは、空気より軽量の気体を保持するための優秀な透過性を提供する。本発明は、積層材料がフレキシブルであり、−90−+70℃(−130−+158°F)の範囲の広い温度変化に耐えうるものである点でも有利である。特定の具体例では、バリヤー層は、織物積層体の引っ張り弾性率を改善するために強化され、一方、バイアスプレイ層は織物の質量を低下させるために低減又は排除される。他の具体例では、接着剤層が、織物積層体の引っ張りモジュラス及び引裂き強さを改善する補強用フィラーを含む。
【0046】
このように、本発明の目的は、上記の構造及び使用方法によって満足される。この明細書では、最良の形態及び好適な具体例のみを提示し、詳細に説明したが、本発明は、これらに又はこれらによって制限されないことが理解されなければならない。従って、本発明の真の精神及び範囲の認識に関しては、請求の範囲を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明による空気より軽量のビークル示す図である。
【図2】本発明の具体例による積層材料の断面図である。
【図3】本発明の他の具体例による積層材料の断面図である。
【符号の説明】
【0048】
10 ビークル
12 ハル
14 安定化フィン
16 有効荷重
20 積層材料
22 内側表面
24 外側表面
25 ストレートプレイモノフィラメントヤーン層
30,40 接着剤層
35 バイアスプレイモノフィラメントヤーン層
40 フィルム層
50 金属コーティング層
52 反射率増大層
55 カバー層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1のモノフィラメントヤーン層;
前記少なくとも1のモノフィラメントヤーン層に近接する高弾性率フィルム層;
前記物フィラメントヤーン層と前記高弾性率フィルム層との間に配置された接着剤;及び
前記高弾性率バリヤーフィルム層に近接するメタル化コーティング
を包含する積層材料であって、前記接着剤及び前記高弾性率フィルム層の1以上が補強用繊維又は補強用フィラーを含有することを特徴とする、積層材料。
【請求項2】
さらに、メタル化コーティング層に近接する実質的に透明なフィルムカバー層を包含する、請求項1記載の積層材料。
【請求項3】
フィルムカバー層が、フッ化ポリビニルデンを含有するものである、請求項2記載の積層材料。
【請求項4】
モノフィラメントヤーン層が、ストレートプレイヤーン層である、請求項1記載の積層材料。
【請求項5】
さらに、第1プレイヤーン層;及び前記第1プレイヤーン層に対して約30−約60°の角度で配向する第2プレイヤーン層を包含する、請求項1の積層材料。
【請求項6】
さらに、ヤーン層の間に配置された第1の接着剤を包含する、請求項5記載の積層材料。
【請求項7】
さらに、第2プレイヤーン層と高弾性率フィルム層との間に配置された第2の接着剤を包含する、請求項6記載の積層材料。
【請求項8】
接着剤が、熱可塑性接着剤及び熱硬化性接着剤からなる群から選ばれるものである、請求項1記載の積層材料。
【請求項9】
接着剤が、さらに、補強用繊維又は無機フィラーを含有する、請求項1記載の積層材料。
【請求項10】
補強用繊維又は無機フィラーが、カーボンブラック、フュームドシリカ、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、及びナノクレーからなる群から選ばれるものである、請求項1記載の積層材料。
【請求項11】
積層材料であって、
ストレートプレイモノフィラメントヤーン層;
前記ストレートプレイ層に固着された高弾性率フィルム層であって、補強用繊維又は無機フィラーを含有するものであるフィルム層;
高弾性率フィルム層に固着された金属コーティング層;及び
金属コーティング層に固着された透明なフィルムカバー層
を包含することを特徴とする、積層材料。
【請求項12】
ストレートプレイ層が、縦糸及び横糸を有する織布構造体又は不織布構造体を含有するものである、請求項11記載の積層材料。
【請求項13】
ストレートプレイモノフィラメントヤーン層が、ポリアミド、ポリエステル、アラミド、液晶ポリマー繊維、カーボン、ポリベンゾキサゾール、超分子量ポリエチレン又はその混合物を含有する、請求項11記載の積層材料。
【請求項14】
高弾性率フィルムが、ポリイミドを含有するものである、請求項11記載の積層材料。
【請求項15】
補強用繊維又は無機フィラーが、カーボンブラック、ヒュームドシリカ、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、及びナノクレーからなる群から選ばれるものである、請求項11記載の積層材料
【請求項16】
金属コーティング層が、銀、アルミニウム、金及び銅の1以上を含有するものである、請求項11記載の積層材料。
【請求項17】
さらに、金属コーティング層に接着された反射率増大層を含み、前記反射率増大層が、多層のポリマーフィルム又は二酸化チタン、二酸化ケイ素、又は二酸化ハフニウムから選ばれる誘電性フィルムを含有するものであり、前記反射率増大層に、透明なフィルムカバー層が固着されている、請求項11記載の積層材料。
【請求項18】
透明なフィルムカバー層が、フッ化ポリビニリデンを含有するものである、請求項11記載の積層材料。
【請求項19】
少なくとも1のモノフィラメントヤーン層;
前記ヤーン層に、接着剤層にて固着された高弾性率フィルム層であって、前記接着剤層が補強用繊維又は無機フィラーを含有するものである高弾性率フィルム層;
前記高弾性率フィルム層に固着された金属コーティング層;及び
前記金属コーティング層に固着された透明なフィルムカバー層
を包含することを特徴とする、積層材料。
【請求項20】
モノフィラメントヤーン層が、ストレートプレイモノフィラメントヤーン層及び前記ストレートプレイ層に、接着剤層にて固着されたバイアスプレイモノフィラメントヤーン層を包含するものであり、前記接着剤層が補強用繊維又は無機フィラーを含有するものである、請求項19記載の積層材料。
【請求項21】
ハルを包含してなる空気より軽量のビークルであって、前記ハルが、
ストレートプレイモノフィラメントヤーン層;
前記ストレートヤーン層に固着された高弾性率フィルム層;及び
前記高弾性率フィルム層に固着された金属コーティング層
を包含する、少なくとも1ピースの積層材料を含むものであることを特徴とする、空気より軽量のビークル。
【請求項22】
フィルム層が、補強用繊維又は無機フィラーを含有するものである、請求項21記載のビークル。
【請求項23】
積層材料が、さらに、前記ストレートプレイ層と前記高弾性率フィルム層との間に配置されたポリウレタン接着剤を包含するものである、請求項21記載のビークル。
【請求項24】
接着剤が補強用繊維又は無機フィラーを含有するものである、請求項23記載のビークル。
【請求項25】
金属コーティング層が、銀、アルミニウム、金及び銅の少なくとも1つを含有するものである、請求項21記載のビークル。
【請求項26】
ストレートプレイ層が、縦糸及び横糸を有する、織られた、不織の、編まれた又はステッチ結合された構造体である、請求項21記載のビークル。
【請求項27】
高弾性率層が、ポリイミドを含有するものである、請求項21記載のビークル。
【請求項28】
さらに、金属コーティング層に接着された反射率増大層を包含するものである、請求項21記載のビークル。
【請求項29】
さらに、反射率増大層に接着された透明なカバーフィルム層を包含するものである、請求項21記載のビークル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−320313(P2007−320313A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−143768(P2007−143768)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(596134851)ロッキード・マーチン・コーポレーション (30)
【Fターム(参考)】