空気汚染センサシステム
本発明は筐体(E)に内蔵された大気汚染センサシステム(1)に関する。該筐体は空気ダクト(2)内部に空気処理システムを有し、該空気ダクトは該筐体内部の空気と該筐体外部の空気とのやり取りを可能にする。空気ダクトは、空気を受け取る空気吸入口、及び前記筐体内部の処理された空気を放出する空気排出口を有する。大気汚染センサシステムは、前記筐体内部に存在する、約5nmから500nm範囲の直径を有するすす粒子を検出し、かつ前記すす粒子の検出に応じて汚染情報信号(P)を供することが可能なすす粒子センサ(21)を少なくとも1つ有する。本発明はさらに、様々な種類のすす粒子センサ及び空気処理システムにも関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は大気汚染センサシステムに関する。本発明はさらに、そのような大気汚染センサシステムに設置可能なセンサユニット及び空気処理システムにも関する。
【背景技術】
【0002】
空気中に浮遊する、燃焼に関係する超微粒子(UFPs)は蓄積されやすく、かつ肺組織内で濃縮されやすいため、人体に重大な健康被害を与えることが過去10年の間で次第に明らかになってきた。
【0003】
このことは、燃焼しなかった元素の炭素を有する、又は主として燃焼しなかった元素の炭素から構成される、これらのUFPsについて特に当てはまる。そのようなUFPsはすす粒子として一般に知られている。すす粒子は一般的には5nmから500nmの直径を有し、通常は発癌性の多環式芳香族炭化水素(PAHs)及び他の揮発性有機化合物(VOCs)によって少なくとも部分的に覆われている。すす粒子は、たとえば自動車のモーターのような燃焼発生源の排出ガスから大気へ放出され、かつ不完全燃焼の結果として生成される。特に、ディーゼルモーターは多量のすす粒子及び他のUFPsを大気へ放出することで悪名が高い。
【0004】
産業用の燃焼発生源及び他の固定燃焼発生源の近くは別として、西側世界では、燃焼に関係するUFPs、以降では簡単にすす粒子と呼ぶ、の濃度は一般に、主となる交通手段が自動車であるような場所又はその近くで最高となる。特に換気及び/又は風速が限られているような条件下での、トンネル、交差点、及び/又は車などが列をなしているようなところでは、局所的に非常に高濃度のUFPsに直面するだろう。しかし、ビル、休養用の簡易宿泊施設、簡易住居、家、船舶、飛行機、宇宙船(の部屋)、並びに、自動車の運転室、休養用の簡易宿泊施設、簡易住居、家、ビル、船舶、飛行機、及び宇宙船内部の部屋でも、健康被害を及ぼすほど高濃度のすす粒子に直面するだろう。
【0005】
特に自動車の運転者及び乗員はすぐに高濃度のすす粒子及び他の排出汚染物質に曝される。その理由は、自動車の空気処理システム(それはたとえば、加熱、換気及び空調システム、又は基本的な加熱/換気システムのいずれかであって良い)が連続的に、他の自動車の排気口から放出される排出気体及び粒子によって汚染されている外気を自動車の運転室内に送り込むからである。従って、快適な温度及び湿度のレベルを保ちながら自動車の乗員の大気汚染物質への曝露を最小にするため、空気清浄ユニットの手段によって空気中に浮遊する様々な汚染物質の外気を、少なくとも部分的には清浄にし、外気に関する条件、とりわけ湿度、温度及び汚染レベルに応じて自動車の空気処理システムの設定を自動的に制御することが可能であることが望ましい。
【0006】
特許文献1で説明されているように、自動車の空気処理システムの動作モードは、空気処理システムに付随する車内の空気の吸気口と外気の吸気口との間に設けられている切り換え調節弁素子を回転させ、かつその回転を制御する電気制御によって制御されて良い。切り換え調節弁素子は、入力モード動作では車内の空気吸気口を十分に閉じ、かつ外気吸気口を十分に開く一方で、再循環モード動作では車内の空気吸気口を十分に開き、かつ外気吸気口を十分に閉じる。混合動作モードでは、制御された量の再循環する車内の空気及び制御された量の外気が同時に空気処理システムに流入できるように、切り換え調節弁素子は、車内の空気吸気口と外気吸気口の両方が部分的に開いている、一連の中間位置をとって良い。
【特許文献1】米国特許第5775415号明細書
【特許文献2】米国特許第4574004号明細書
【特許文献3】米国特許第4837440号明細書
【特許文献4】米国特許第5431714号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、空気処理システムを有する筐体の空気汚染センサシステムの提供である。その大気汚染センサシステムは、すす粒子による前記筐体内部の空気の汚染に関する情報を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のため、請求項1で定義されるような空気汚染センサシステムが供される。
【0009】
空気汚染センサシステムのすす粒子センサを利用することで、筐体内部において、すす粒子、又は煙粒子のようなすす状粒子による汚染に関する特定の情報が得られる。空気中に浮遊するすす粒子を吸入することは、一般的な排出気体を吸入するよりも、より人体に有害であるため、空気中に浮遊するすす粒子の濃度を、空気汚染レベルへの重要な因子と考えることが重要である。この点では、空気汚染センサシステムがすす粒子センサを有する一方で、空気処理システムは、大気が筐体内部に放出される前に、すす粒子及びすす状粒子を大気から除去するのに特に適するような特性を有して良い。
【0010】
請求項2で定義される実施例は、すす粒子に対する空気清浄ユニットの性能を評価することが可能であるという利点を供する。少なくとも筐体内部に汚染源が存在しない場合には、たとえば筐体内部の空気汚染レベルと筐体外部の汚染レベルとの差異は大抵の場合、空気処理システムにおける空気清浄ユニットの効率によって直接決定される。
【0011】
請求項3で定義された本発明の実施例は、空気ダクトを介して筐体に流入しないすす粒子及びすす状粒子の汚染源の寄与を考慮できるという利点を供する。例には、たとえばたばこを吸う乗員、香を楽しむこと、開いている窓を介して筐体へ入り込むすす粒子のような筐体内部の燃焼型汚染源の存在、覆いのない状態で燃やされている火の存在及び電気を使用しない調理用コンロの存在が含まれる。
【0012】
請求項4で定義された実施例は、空気ダクトを介して筐体へ入り込むすす粒子の濃度、及び筐体内部であって空気ダクトから離れた場所に存在するすす粒子の濃度の両方を、互いに独立に検出できるという利点を供し、空気ダクトを介して筐体へ入り込むすす粒子の濃度、及び、筐体内部にいる人が実際に吸入する、空気ダクトから離れた筐体内部に存在するすす粒子の濃度の両方に関する情報を供することが可能である。この実施例は、筐体内部の空気汚染源の存在を明確に検出するのに特に有用である。
【0013】
請求項5で定義された本発明の実施例は、検出されたすす粒子、たとえばすす粒子の濃度の関数として、空気清浄ユニットの動作を自動的に変化させることを可能にするという利点を供する。筐体内部及び/又は前記空気清浄ユニット下流の汚染レベルが、たとえばある閾値を超えて増大する場合、汚染情報信号は、筐体内部の人が吸入する、空気中のすす粒子濃度が受容可能なレベルに戻るように、空気清浄ユニットを制御してすす粒子に対する清浄動作を改善することが可能である。
【0014】
請求項6で定義された本発明の実施例は、空気ダクトを介する空気流を制御するという利点を供する。空気清浄効率は、単位時間に空気処理システムによって置換される空気の量に依存するだろう。その理由は、このような空気の量が空気清浄ユニットを介する気流の速度を決定するからである。
【0015】
請求項7で定義された本発明の実施例は、空気中に浮遊するすす粒子の帯電が、すす粒子帯電部の下流に設けられている濾過部におけるすす粒子の濾過効率を著しく増大させることのできる有効な手段であることを見いだす効果を供する。
【0016】
上述の実施例、又はその態様は組み合わせて良いということは認められるべきである。
【0017】
発明のさらに別な目的は、すす粒子を適切に検出するセンサユニットを供することである。
【0018】
この目的のため、空気中に浮遊するすす粒子を検出する、請求項8で定義されるセンサユニットが供される。
【0019】
空気中に浮遊するすす粒子で正味の(正の)電荷の発生させることによって、適切でかつ信頼性の高いこれらの空気中に浮遊するすす粒子の検出が可能となることが分かった。空気流から、すす粒子及びすす状粒子を検出及び/又は剥離するためには、紫外光の照射が、光電的帯電機構を介してすす粒子及びすす状粒子を帯電させる有効な手段であることが分かっている。
【0020】
本発明の好適実施例では、すす粒子沈殿部は2つの電極表面を有し、その電極表面間では高電場を発生させることが可能である。そのような沈殿部は、適切でかつ信頼性の高い、すす粒子の検出を可能にすることが分かっている。請求項9で定義された本発明の実施例は、空気がすす粒子沈殿部内部の流導管を通過するとき、平行板が引き起こす、すす粒子沈殿部全体での空気圧力の減少は、無視できる程度であるという利点を供する。
【0021】
請求項10で定義された本発明の実施例は、すす粒子を検出する他の適切な手段を有する。センサユニットを通過する空気から帯電したすす粒子を捕獲するために、(高感度の電流計を介して地電位と接続する)ファラデー箱内部の繊維質ほこりフィルタを使用する利点は、電圧によって誘起される容量性電流の存在を回避する沈殿部に電圧差を設ける必要がないため、沈殿部に付随するファラデー箱内部に帯電した空気中に浮遊するすす粒子が堆積することに起因して生じる小さな電流の正確な測定がかなり容易に実現できるようになるところにある。
【0022】
請求項11で定義された本発明の実施例は、制御された空気流をすすセンサを縦に通り抜けるように引き込む熱的煙突効果を誘起するために、紫外光源によって発生した熱を用いることができるという利点を供する。煙突効果を有効にするため、センサユニットは縦に設けられ、かつ沈殿部は発光部より実質的に上方に設けられることが好ましい。センサ内部にあるランプから発生する熱もまた、すす粒子から水分を脱離するので有利である。その水分は脱離されなければ光電子放出過程を抑制してしまう恐れがある。結局のところ、煙突効果によってすすセンサを介して空気を引き込むためのポンプ又はファンが必要なくなるので、煙突効果はコストの点から見ても有利である。
【0023】
本発明のさらに他の目的は、空気流から空気中に浮遊するUFPsを除去する能力を有する空気処理ユニットを供することである。
【0024】
この目的のため、請求項12で定義されるような空気処理ユニットが供される。
【0025】
すす粒子を帯電させることは、空気流からすす粒子の少なくとも一部を除去することを促進及び改善する上で非常に有効な手段を供することが分かった。
【0026】
請求項13で定義された本発明の実施例は、濾過部においてすす粒子を除去するためにこれらの粒子を帯電させるための有効な手段の利点を供する。請求項14で定義された本発明の実施例は、異なる種類のUFPsの帯電に有効である。
【0027】
請求項で定義された本発明の実施例は、たとえば石英でできた紫外ランプから発生するオゾン気体がセンサユニットから出るのを防ぐという利点を供する。
【0028】
請求項16から20で定義された本発明の実施例は、有効に空気からすす粒子を除去する能力を有する、制御可能な濾過部を供する。
【0029】
上述の実施例、又はその態様は組み合わせて良いということは認められるべきである。
【0030】
本発明の好適実施例を概略的に図示している、添付図を参照しながらさらに詳細に本発明を説明する。本発明がこれら特定の好適実施例に決して限定されないことは理解されるべきである。
【実施例】
【0031】
本発明は、図1から図5に図示されている、筐体Eに組み込まれた空気汚染システム1について開示している。筐体Eは空気ダクト2内部に空気処理システムHを有し、該空気ダクト2は、前記筐体E内部の空気と前記筐体E外部の空気とのやり取りを可能にする。空気ダクト2は、空気Iを受ける吸気口、及び前記筐体E内部に存在する処理された空気Rを放出する排気口を有する。
【0032】
筐体Eは、自動車の運転室、休養用の簡易宿泊施設、簡易住居、家、ビル、船舶、飛行機、宇宙船、及び、前記の自動車の運転室、休養用の簡易宿泊施設、簡易住居、家、ビル、船舶、飛行機、宇宙船内部の個々の区画すなわち部屋を含む如何なる種類の住宅/居住施設であって良い。以降では、自動車の運転室筐体を具体例として、より詳細に説明するが、他に上述した筐体のすべてについて、同様の説明が完全に当てはまることに留意すべきである。さらに、空気処理システムHが加熱手段及び/又は冷却手段を有しても良いし、又有さなくても良いことにも留意すべきである。HVACシステム(よって形式的には加熱手段及び冷却手段を有する)として実施される空気処理システムについて言及するとしても、加熱手段及び/又は冷却手段を有していない通常の空気処理システムとして実施される空気処理システムが除外されるわけではない。“HVAC”という語は、空気処理手段及び/又は空気冷却手段が必要であることを意味しない。“すす”又は“すす粒子”という語は、たとえば燃焼過程によって生じる煙粒子のようなすす状粒子をも有することを理解すべきである。
【0033】
空気処理システムHはたとえば、前記空気ダクト2を介して換気するHVAC換気装置11、及び/又は通過する空気を清浄にする空気清浄ユニット13を有して良い。空気汚染センサシステムは、たとえばHVAC制御ユニット12及び空気清浄制御ユニット14を含む制御電子機器を有して良い。HVAC制御ユニット12は、通気速度を調節し、かつHVACの動作モードを選択する。そのHVACの動作モードは、通常の吸気モード動作、再循環モード動作又は混合モード動作を有する。
【0034】
約5nmから500nmの範囲の直径を有するすす粒子の検出が可能なすす粒子センサ21が少なくとも1つ供される。すす粒子を検出すると、センサ21は汚染情報信号Pを供する。
【0035】
空気清浄ユニット13及び/又はセンサ21からの出力信号の評価は、それぞれ空気清浄評価ユニット23及び空気汚染評価ユニット22によって繰り返し行われる。空気汚染表示ユニット24は、筐体Eの内部にいる人たちに汚染情報を供するために存在することが好ましい。
【0036】
図1は、自動車のHVACシステム内部にある、空気清浄ユニットを有してない、単一のすすセンサ21を有する実施例を図示している。換気装置11の上流にある粗いプレフィルタ(図示されていない)が空気から大きな残骸を除去するために存在して良い。センサ21から得られる、すす粒子による空気汚染情報信号Pは、空気汚染評価ユニット22によって評価され、空気汚染表示/警告ユニット24によって視覚化される。
【0037】
吸入モード動作では、外気のすす粒子汚染のみが記録され、この汚染も、まさに自動車の運転室Eに入り込む。通常の吸入モード動作の間、喫煙行動、又は運転室の窓が開いていることを検出することができない(窓が開いていることを電子的に検出することはもちろん可能である)。運転室に入り込むすす粒子の測定汚染レベルが所与の閾値を超える場合、連続して大量の汚染物質が運転室Eへ流入するのを避けるため、空気汚染評価ユニット22は、HVAC制御装置22の動作モードを通常の吸入モード動作から再循環モード動作へ切り換える。再循環によって空気ダクト2及び運転室内部Eの様々な壁に粒子が堆積するため、徐々にすす粒子の濃度が減少する。再循環は、限られた期間でのみ続けられ(運転室内部の二酸化炭素濃度及び/又は水蒸気濃度を安全でかつ快適な限界内に保持するため)、その後空気処理システムHを吸入モード動作に戻すことによって、外部の空気Iは、少なくとも最小期間の間に自動車の運転室Eへ再度流入可能となる。その後、外気中のすす粒子汚染が高すぎる場合には、空気処理システムを再度再循環モード動作に切り換えることが可能である。
【0038】
図1の実施例では、通常の吸入モード動作の際に、開いている窓を介する、煙又はすす状汚染物質の侵入を検出することができない。もちろん、窓が開いていることは電子的に検出可能であって、かつそのような情報は常に、特に外気の汚染が吸入モード動作から再循環モード動作への変化を引き起こすほど十分に高いときに、自動車の乗員への警告として伝えられることが可能である。再循環モード動作でかつ窓が閉じられている場合、時間経過とともに、記録される粒子汚染が増大するときに喫煙行動は検出される。その理由は運転室の再循環によって煙粒子がセンサ21と接触するからである(純粋なすす粒子よりも少量であるにもかかわらず、たばこの煙粒子もまた、十分な短波長を有するUV光照射によって起こる光電的帯電を介して帯電可能である)。このことを、空気汚染表示/警告ユニット24の警告信号として、煙が検出され、かつ直面している空気汚染は人体の健康を脅かすものであると自動車乗員へ知らせることが可能である。同時に、運転室Eから煙粒子をできるだけ迅速に除去するため、少なくとも最小設定期間、煙が検出されるのを期として、運転室を介する通気速度を増大させる一方でシステムは吸入モード動作へ戻る。その期間後、検出された(外気の)すす粒子の汚染レベルが依然として、再度少なくとも一時的に再循環モード動作への切り換えを引き起こすほど高いレベルにあるか否か、そして前述した一連の事象が繰り返されて良いのか否かを察知する。図1の実施例では、外気からの粒子汚染物質への曝露に対する個人の防護は限られた程度しか実現されていない。
【0039】
図2は、空気ダクト2内ではなく、筐体E内に設けられている粒子センサ21を有する実施例を図示している。空気清浄ユニットは存在しない。図1の実施例とは対照的に、筐体E内にいる人が吸入する空気のすす粒子汚染レベルが直接的に感知される。通常の吸入モード動作中では、特に煙及び/又は開いている窓から導入される、筐体内部のすす又はすす状粒子での存在を検出することはできず、筐体E内における実際のすす粒子汚染レベルのみが記録され、かつこれは空気汚染表示ユニット24によって可視化可能である。記録されたすす粒子汚染レベルが、設定された閾値すす汚染レベルを超える場合、トリガ信号が制御ユニット12へ送られ、その制御ユニット12は、設定された最長期間を限度として、再循環モード動作に切り替わる。窓が閉じられていて、かつ煙が存在しない場合、この手段によって記録されたすす粒子汚染レベルは徐々に減少する。記録されたすす粒子汚染レベルが第2設定汚染レベルを下回るとき、そのシステムは通常吸入モード動作に戻る。あるいはその代わりに、再循環モード動作が持続する第1設定最長期間の後、少なくとも設定最小期間だけ吸入モード動作に戻る。運転室内での喫煙行動の場合、再循環モード動作の間では、記録されたすす状汚染レベルは顕著に増大せず、これが設定された再循環期間の間で記録されるときには、筐体から煙を除去するため、好適にはより速い通気速度で、少なくとも設定最小期間だけ吸入モード動作に切り替わる。一般に運転室内部でのたばこの煙によって、自動車内部のすす状粒子汚染レベルは、自動車外部に存在するすす粒子汚染レベルよりも高くなることに留意すべきである。記録された喫煙行動を、実際に記録された、自動車の乗員が曝されているすす粒子汚染レベル、及びその記録された粒子汚染レベルの人体の健康への相対的な危険性とともに、警告メッセージとして知らせることが可能である。
【0040】
又この実施例は、微粒子状汚染物質への曝露から人体の健康を保護するのにも有効であるが、有効性には限界があり、せいぜい喫煙行動が行われておらず、かつ窓が閉じられているときに有効な程度である。喫煙行動は、図1の実施例よりもすぐに検出される。しかし依然として喫煙行動は、窓が開いていることが他の電子検出手段から既知であるという条件下での再循環モード動作の間において明確に記録できるにすぎない。
【0041】
図3は、空気ダクト内及び運転室E内の両方にすす粒子センサ21を有するより好適な実施例を図示している。両すすセンサ21からの電子出力情報信号Pは、両信号を相互に比較する空気汚染評価/比較ユニット22へ送られる。空気汚染評価/比較ユニット22から、適切な電子フィードバック信号をHVAC制御装置ユニット12へ送ること、及び電子情報信号を空気汚染表示器ユニット24へ送ることが可能である。煙が発生しない場合、両センサ21の読み取りは、如何なるHVAC動作モードにおいても実質的に同一で、かつ運転室の窓が開いているか閉じているのか無関係である。しかし、窓が開いているか閉じているのかは、再循環モード動作中に記録された空気汚染レベルには影響を与えうる。またここで、窓が開いていることは、独立した電子手段によって感知され、自動車の乗員への警告メッセージとして伝えられることが可能である。通常吸入動作モード中では、(実質的に)空気ダクト2内のセンサ21による測定よりも高い、運転室E内のセンサ21による測定を介することで、喫煙行動が明らかになる。これは、空気汚染表示器ユニット24への警告として伝えられることが可能である。運転室のセンサ読み取りが、空気ダクト2内のセンサ読み取りよりも高い限り、空気ダクト2内のセンサ21によって実際に記録された外部のすす状粒子汚染レベルに関係なく、通常吸入モード動作が維持されて良い。喫煙行動が起こっておらず(センサ21の読み取りは両方とも同一である)、かつ空気ダクト2内のセンサ21によって記録されたすす汚染レベルが、ある設定汚染レベルを超えるときにのみ、再循環モード動作への切り替えが生じる。設定最大期間を最長として、又はセンサ21の読み取りが設定汚染レベル未満にまで落ち、その後少なくとも設定最小期間だけ通常吸入モード動作が選択されるまで、再循環が起こる。また再循環モード動作によって、ダクト2を介して、自動車運転室への(非常に)限られた量の外気の導入が可能となることに留意すべきである。
【0042】
図3の実施例は、人体の健康を保護する上で、改善された実施例を供する。その主たる理由は、図1及び図2で図示された実施例と比較して、たばこの煙、又は燃焼及び/若しくは煙の発生を含む他の行為に対して、より広範囲の検出が可能となったことである。
【0043】
図4に図示された実施例は、受動空気洗浄ユニット13を別にすれば図1から図3に図示された実施例のそれぞれと類似している。空気清浄ユニットは、たとえば繊維質の(エレクトレット)フィルタ、及び場合によっては空気から汚染気体を除去する付加的な濾過手段を有して良い。空気清浄ユニット13は、図1から図3を参照しながら説明した、再循環モード動作中に、すす粒子汚染レベルを含む全体の粒子汚染レベルをより迅速に減少させることを可能にする。
【0044】
図5に図示された本発明の実施例は、粒子帯電部と一緒になっている静電的に増大した粒子フィルタを有する空気清浄ユニット13が供されため、より好適な実施例である。静電的に増大した粒子フィルタは、空気からの粒子の除去が実際に起こる濾過領域内で意図的に印加された電場の存在によってそれらのフィルタの粒子濾過効率が増大するという一般的特性を有する。この意図的に印加された電場はまた、電場誘起漏れ電流をフィルタ内部に発生させる恐れがある。そして、そのような漏れ電流を少なくとも部分的に小さくするために一般的に行われている方法は、相互に異なる電位を有するように設定されている材料同士が(物理的に)接続しなければならない場所に、導電性材料を存在させないことである。電子フィードバック信号は、空気汚染評価ユニット22から空気清浄制御装置14へ伝達されることが可能である。そしてたとえば、空気清浄ユニットを通過する空気の相対湿度を考慮しながら、静電的に増大した粒子フィルタ内部に発生する全ての漏れ電流を記録することによって、フィルタの寿命に到達したか否かを知覚することが可能である。また、フィルタの寿命が終わったという情報は、自動車乗員へのメッセージとして伝えられることが可能である。空気清浄は、そのほとんどが空気清浄ユニット13の内部で起こる。通常吸入モード動作はほとんどの期間で維持可能なため、より健康的な大気環境が可能となる。
【0045】
図6から図10は、本発明の実施例に従ったすす粒子センサユニット21の概略図を示している。空気中のすす粒子を測定するという一般的な目的のためのすす粒子センサのデザインルールは従来技術から既知である(特許文献2、特許文献3及び特許文献4参照のこと)。本願用にこれらのデザインルールを特別に設計することは好都合である。
【0046】
一の好適実施例に従うと、このすす粒子センサ21は、以降で図6から図10を参照しながらより詳述するように、吸入部、主として紫外(UV)光源213を有する発光部201、及び粒子沈殿部202を有する。その吸入部は任意で粗粒子プレフィルタ211と共に供され、そのプレフィルタは、空気中に浮遊する1μmより大きい粒径を有する比較的大きな粒子を、前記吸入部を通過する流入空気流から除去する機能を有する。紫外光源213から放出される放射線は、すすセンサ中を移動する空気中のすす粒子の光電的帯電を誘起するように機能する。粒子沈殿部202内では、帯電したすす粒子は、高感度電流計を介して地電位と接続する高感度電流計を介して地電位と接続する電極表面上に静電的に沈殿する、又は所謂導電性ファラデー箱内部に入っている濾過ユニットの手段によって、空気から濾過される(各々の場合において、空気中に浮遊する帯電したすす粒子の量に比例する大きさの電流が発生する)。
【0047】
より正確には、自動車の運転室の空気中のすすを検出する、本発明の本実施例では、図6に図示されているようなすす粒子センサユニット21が有利に用いられる。前記センサ21は、吸入部、発光部及び粒子沈殿部を有する。
【0048】
吸入部は、荷電粒子及び非荷電粒子を有する冷たい流入空気流を受けるための吸入ポート210を有することが好ましい。その吸入ポートは、粗粒子プレフィルタ211、及び任意で、流入する空気流からの荷電粒子及びイオンを捕獲する静電エアゾルフィルタ212を有することが好ましい。プレフィルタ211は、空気中に浮遊する、約1μmより大きな粒径を有する、大きなほこり粒子の少なくとも一部が発光部へ入り込める前に、そのようなほこり粒子を流入空気流から機械的に除去することを可能にする。そうすることによって、すすの蓄積によるすすセンサ21内部がすぐに汚れてしまうのを防ぐ(前記の空気中に浮遊する大きなほこり粒子は大抵の場合、空気中に浮遊する粒子の質量のほとんどを有する。)。すす粒子は一般に、前記の空気中に浮遊する粒子よりもはるかに小さく、したがってすす粒子は、前記粗粒子プレフィルタによっては、発光部に入り込む空気から実質的に除去されない。
【0049】
発光部201は、たとえば、平板状低圧UVランプのような、260nm未満の波長を有する放射線を放出するUVランプ213を有する。消毒殺菌目的で一般に使用されるような通常の低圧UVランプは、水銀蒸気を有するガス充填物とともに供される。これらのUVランプはピーク波長253.7nmの光を放出し、そしてUVランプが(合成された)石英ランプとして実施される場合には、付加的ピーク波長184.9nmの光を放出する。あるいはその代わりに、UVランプはUVエキシマランプであって良く、その発光波長は、波長170nmから260nmの間で調節可能で、エキシマランプ内部の充填ガスの性質及び組成に依存する。
【0050】
発光部201は、UVランプ213と、センサ筐体における外部筐体215の内部(反射性)壁との間に流導管214をさらに有する。その際、その流導管を通り抜ける空気流が発生する。PAH材料のコーティングによって少なくとも部分的に被覆されているすす粒子が260nm未満の波長ピークを有するUV光で照射されるとき、このことは通常すべてのすす粒子について当てはまる、そのすす粒子は、1個以上の電子の光電子放出を起こす。これにより、これらのすす粒子は正に帯電する。UVランプ213の周囲に多孔性の保護用導電性ガーゼ(protective conducting gauze)216を設けることによって、ランプが、すすセンサを通り抜ける空気流に直接曝露されるのを防ぐ。それによって、ランプ表面が空気からUFPが堆積することによって徐々に汚染されるのを防ぐ。この汚染を防止しなければ、ある時間経過することによってランプからの出力は減少する。
【0051】
それに加えて、小さな静電場が流導管214にわたって存在するように、U0=約5−10[V]の小さな直流又は交流電圧をガーゼ216に印加し、かつセンサ筐体215の内部導電性壁を接地することは好都合である。この電場は、空気から、光電子放出された電子及び負イオンの迅速な除去を促進する一方で、流導管214を通り抜ける、正に帯電したすす粒子の遷移にはほとんど影響を及ぼさない(電子及びイオンの電気泳動移動度がかなり大きいため)。帯電した(及び残りの帯電していない)すす粒子は引き続いてセンサ21の沈殿部202へ入り込む。
【0052】
粒子沈殿部202は第2流導管217を有する。第2流導管217は、2つの平行電極表面218及び219の間に存在する(図6−図9)(これらの電極間では、内側電極218と接続する高電圧供給部222が高電場を発生させ、その電場によって、帯電したすす粒子すべてのうちの少なくとも一部が、高感度電流計221を介して地電位と接続する電極219上に蓄積される。)
又は、第2流導管217は所謂ファラデー箱61内部に設けられた繊維質ほこりフィルタ62を貫通(図10)し、それによって帯電したすす粒子すべてのうちの少なくとも一部を、前記ファラデー箱内部のほこりフィルタの繊維上に堆積させる。前記ファラデー箱は、高感度電流計を介して地電位に接続する。すべての場合で、単位時間あたりに蓄積された電荷は、前記電流計221での電流として計測される。計測された電流は、校正因子を介して、空気中に浮遊するすす粒子の量に比例する。センサ筐体215に対して、電極219は、絶縁素子224の手段によって、電気的に隔離されている。
【0053】
すすセンサ21を通り抜ける空気流は、通常わずか数[l/min]に制限され、換気装置又はポンプ(図示していない)によって作り出すことが可能である。換気装置又はポンプは、すすセンサの空気出口220と接続していることが好ましい。この出口は被覆キャップ223の下に設けられ、ランプで加熱された排出空気を受ける。本出願では、すすセンサ21を縦方向に通り抜ける、制御された空気流を引き込む熱的煙突効果を誘起するためにUVランプ213から発生した熱を利用することは好都合である。空気流はまた、センサ内部にある1つ以上の空気流の障害物(図示していない)の手段によっても制御可能で、それは有限の圧力低下をもたらす(たとえば、様々な流導管内の障害物、又はファラデー箱61内にある繊維質ほこりフィルタ62によって生じる圧力低下、並びに/又は粗粒子プレフィルタ211によって、及び/若しくはすすセンサ吸入部内の静電エアゾルフィルタ212によって生じる圧力低下を介してもたらされる)。
【0054】
煙突効果を有効にするため、センサユニットは垂直に設けられ、かつ沈殿部は発光部より実質的に上方に設けられることが好ましい。センサ内部にあるランプから発生する熱もまた、すす粒子から、脱離されなければ光電子放出過程を抑制してしまう恐れがある水分を脱離するので有利である。結局のところ、煙突効果によってすすセンサを介して空気を引き込むためのポンプ又はファンが必要なくなるので、煙突効果はコストの点から見ても有利である。すすセンサ上流に設けられている、集積された空気清浄ユニットを通り抜ける全空気流は、最大で10[m3/min]に達することが可能で、すすセンサユニットを通り抜ける空気流よりも何桁も大きいことに留意することは重要である。
【0055】
図6−図10のすすセンサ21は、空気排出口の形状が修正されている同心円筒形状の荷電粒子沈降分離装置(図8)、前記の修正された空気排出口の形状を有する平行板荷電粒子沈降分離装置(図9)又はファラデー箱型の粒子フィルタを有する荷電粒子沈降分離装置(図10)を図示している。
【0056】
すす粒子センサの有利な実施例が図7に図示されている。付加的な白色の拡散反射性材料、たとえば、UV反射性の白色粉末31、又は、Al2O3、MgO、SiO2、ピロリン酸塩カルシウム又はBaSO4粉末/色素粒子を有する色素/結合剤コーティング層が、センサ筐体215の内側導電性壁と、UVランプ213と向かい合っているUV透過ガラス又は石英窓32との間に設けられている。このようにすることで、UV光の吸収が減少してUV光の反射が増大し、流導管214内部でUV強度が高くなることで、より効率的な光電子過程が実現する。そのようなより効率的な光電子過程によって、空気流がより高速にセンサを通り抜けることが可能となり、よってセンサ応答時間も高速になることが可能となる。センサ発光部内の流導管を通過する空気流に対してUV透過窓32が直接曝露されないように、UVランプ213と向かい合っているUV透過窓32の面上に多孔性の保護用導電性ガーゼ216もまた供される。多孔性の保護用導電性ガーゼ216が供されることによって、窓32上に空気中に浮遊する汚染が徐々に蓄積されるのを防ぐ、又は少なくともその蓄積を遅らせる。小さな静電場がセンサ発光部内の流導管にわたって存在するように、約5−10[V]の小さな直流又は交流電圧差U0が、UVランプの周囲に供されるガーゼ216とUV透過窓32上に供されるガーゼとの間に設定される。この電場は、空気から、光電子放出された電子及び負イオンの迅速な除去を促進する一方で、流導管214を通り抜ける、正に帯電したすす粒子の遷移にはほとんど影響を及ぼさない(電子及びイオンの電気泳動移動度がかなり大きいため)。
【0057】
図6−図10のガーゼ216の表面は、非金属材料の薄いコーティングによって被覆されていることが好ましい。前記コーティングは、前記のガーゼ216表面が前記UVランプ213から放出されるUV光で照射されるときに前記表面からの光電子放出電子を抑制するのに十分なほどに厚く、前記コーティングにわたって有限の伝導率が得られるほど十分に薄い。ガーゼ216表面からの光電子放出電子は抑制されるのが望ましい。なぜなら、そのような放出された電子は、少なくとも複数の光帯電した空気中に浮遊するすす粒子を中性化する能力を有するからである。それによって、流導管214を通過する間のすす粒子の全帯電効率は減少する。
【0058】
同一の理由により、UVランプ213と向かい合っている他の金属表面もまた、前記他の金属表面がUV光照射に対して曝露されるときに電子が光電子放出されるのを防止するために非金属材料の薄いコーティングによって被覆されることが好ましい。
【0059】
図8は、沈殿部202内に、図6及び図7で図示されたものと同一の、同心円筒形状の荷電粒子沈降分離装置217、218、219、及びすすセンサ21のキャップの下に設けられる、それぞれ異なる形状を有する空気排出口420とともにすすセンサ21が備えられている実施例を図示している。図9は、図7で図示された実施例と類似する別な実施例を図示している。図9で図示された実施例では、沈殿部202は、流導管517の周囲に、2つの電極518、519を有する平行板荷電粒子沈降分離装置を有する。図10は、沈殿部202がファラデー箱61、及び該ファラデー箱内部に多孔性粒子フィルタ62を有する実施例を図示している。
【0060】
空気処理システム又は空気清浄サブシステム、これらもまた以降で図11−図15を参照しながら詳述される、は、自動車の空気処理システムによって流れる空気中に浮遊する粒子で、特に空気中に浮遊するすす粒子を静電的に帯電させる粒子帯電部801、及び空気から荷電粒子を除去する濾過部802を有する。
【0061】
自動車の空気処理システムによって流れる空気中に浮遊するすす粒子を静電的に帯電する粒子帯電部801は、紫外線を利用する光電的粒子帯電手段、又は浮遊するすす粒子を含む空気を正又は負に帯電した小さなイオン流に曝露する電場/拡散帯電手段を有する。もちろん両手段を組み合わせても良い。
【0062】
自動車の空気処理システムによって流れる空気から荷電粒子の少なくとも一部を除去するために供されている濾過部802は、すす粒子を捕獲するため、大きな双極性の電荷が高分子ファイバ上で恒久的に存在するエレクトレットフィルタ、又は電位が印加される2つの多孔質導電性ガーゼの間に挟まれている繊維質フィルタ材料として実装される、静電的に増大したフィルタのいずれかを有する。また、平行板型フィルタを使用しても良い。
【0063】
自動車の空気処理システムによって流れる空気からすす粒子を除去する空気清浄システムと組み合わせたすすセンサユニット21の一の実施例が図11に図示されている。その実施例では、粒子帯電部801は、濾過部802の上流に設けられている、延在した(曲がりくねった)低圧UV光源81(本実施例では3つ)を有する。濾過部802は本実施例の場合、静電的に増大した繊維質フィルタ82である。これらのUV光源81は、空気処理ユニットを通過する空気流中に存在するすべての粒子を、260nm未満の波長を有するUV光で照射する。それにより、光電的に誘起された正の電荷がすす粒子に与えられる。すす粒子上に生成された電荷の大きさは粒子の大きさに依存し、かつ粒子が受けたUV光の発光強度とUV照射領域内での粒子の滞留時間との積に比例する。(曲がりくねった)平板状UV光源81は、各UV源の周囲にある多孔性導電性ガーゼ83を設けることによって、空気流への直接曝露から遮断されている。そのようにすることで、UV光源の外側表面が蓄積される粒子によってすぐに汚染されるのを防ぐ。ガーゼ83は接地されていることが好ましい。電子の光電子放出を抑制するため、前記表面がUV光源81によって放出されるUV光で照射されるとき、ガーゼ83の表面は非金属材料の薄いコーティングによって被覆されているのが好ましい。
【0064】
静電的に増大したフィルタ82は、2つの多孔性金属ガーゼ電極84a、84bの間に挟まれている、ひだのある繊維質フィルタとして実装される。前記電極間で、電位差Vfiltが作られる。その結果生じる、この繊維質フィルタの厚さ方向の静電場は、外部印加された電場である。その静電場は空気中に浮遊する荷電粒子に対するフィルタの濾過効率を大きく増加させる一方で、このフィルタに生じた圧力低下を比較的低いレベルに維持することが可能である。静電的に増大したフィルタ82は、ある効率で空気から荷電粒子を除去する。その効率は、粒子の電荷の増加、フィルタにわたる電場強度の増加、及びフィルタを通る空気流速度の減少とともに増加する。静電的に増大したフィルタ82に付随する高電圧ガーゼ84aは、フィルタ上流でUV光源81と向かい合っていることが好ましい。よって、静電的に増大したフィルタ82とUV光源を取り囲む接地されたガーゼ83との間、及び静電的に増大したフィルタ82と、UV光源81の上流に位置する多孔性の第2接地ガーゼ85との間に電場が発生する。この電場は空気中に浮遊するすす粒子の光電的帯電を増大させる。その理由は、電場によって空気中から光電子放出された電子及び負の小さなイオンを迅速に除去することが可能になるからである。高電圧ガーゼ84aは、地電位に対して正である高電圧Vfiltと接続することが好ましい。これは、繊維質フィルタの深さ方向に存在する電場は、分極したフィルタ繊維の上流面上に正に帯電した粒子の堆積を促進させるようにフィルタを分極させるという利点を有する。ガーゼ84bは接地されているか、又は地電位に対して負である電位と接続することが好ましい。
【0065】
すすセンサ21は静電的に増大したフィルタ82下流に位置しており、したがって、前記の静電的に増大したフィルタを通過したそれらのすす粒子のみを検知する。
【0066】
図12に図示されている別の実施例では、図11で図示された静電的に増大したフィルタの代わりに、繊維質エレクトレットフィルタ92が、光電的に帯電したすす粒子及び他の荷電粒子の捕獲に用いられる。前記の図11で説明された実施例と類似するこの実施例において、2つの差異は、エレクトレットフィルタが2つの多孔性ガーゼ電極間で挟まれていないことである。したがって外部印加された電場は印加できない。その代わり、エレクトレットフィルタ内部には、エレクトレットフィルタの繊維上での双極性電荷分布によって発生する局所電場が存在する。図13に図示されたさらに別な実施例では、フィルタは、1組の積層平行板又はガーゼを有する粒子沈殿フィルタ100である。地電位(板101aから板101n+1)及び高電圧(板101bから板101n)と交互に接続するこれらの板の間では、板表面上に空気中に浮遊する帯電粒子が堆積するのを促進する静電場が発生する。
【0067】
図14に図示された別な実施例では、粒子の帯電は、浮遊する粒子を含む空気を、高電圧Vcorが印加される少なくとも1つの針状電極112又は少なくとも1つの細いワイヤ電極(図示していない)からのコロナ放電によって生成される単極性イオン111に曝露することによる電場/拡散帯電を介して実現される。コロナ放電された単極性イオン流は、前記少なくとも1つの針状電極又は細いワイヤ電極から、針状電極又は細いワイヤ電極近傍に設けられている(好適には接地された)少なくとも1つの対向電極壁へ向かって放出される。対向電極表面の一部は、空気が自動車の空気処理システムによって流れるダクトの内壁によって形成されて良い。少なくとも1つの絶縁性誘電素子1013は、針状電極112とガーゼ85との間(図15)、又は針状電極112とフィルタ82との間(図14)に設けられていることが好ましい。絶縁素子が、針状電極から針状電極のフィルタ下流へ向かう空気流における制約のない流路を部分的に妨害するように設けられている。絶縁性誘電素子1013は、針状電極から放出されたイオンを介して迅速に帯電する。その結果、針状電極から、空気が自動車の空気処理システムによって流れるダクト壁へ放出されるイオンの偏向を誘起する高い静電電位が生じる。前記のダクト壁は、地電位と接続することで、実質的にすべての放出イオンが空気流の流れ線を交差することを保証ことが好ましい。荷電粒子の捕獲は、静電的に増大するフィルタ82の手段により、針状電極112又は細いワイヤ電極下流で起こる。粒子帯電部801内部のコロナ放電、及び/又はUV放射によって生成されるオゾンガスから空気を清浄にする目的で、少量の活性化した炭素が、静電的に増大したフィルタ82内部、及び/又はガーゼ電極84の表面上に存在することが好ましい。
【0068】
あるいはその代わりに、別個の活性化炭素フィルタが、針状電極112又は細いワイヤ電極下流に設置されて良い。活性化炭素フィルタにわたる圧力減少を最小限にするため、活性化炭素フィルタは、空気を動かすための、実質的にまっすぐな流れのチャネルを特徴とする波状フィルタとして実装されるのが好ましい(図示していない)。前記の流れのチャネルの内壁は活性化炭素材料を有する。
【0069】
図15に図示された別な実施例では、少なくとも1つの針状電極112又は少なくとも1つの細いワイヤ電極(図示していない)からのコロナ放電手段による、全粒子の電場/拡散帯電は、前述のような接地されたガーゼ83に囲まれたUV光源81の手段による、すす粒子の光電的帯電とともに用いられる。この実施例でのコロナ放電は、正の単極性イオンを放出するように作られている。少なくとも複数のUFPs、特にすす粒子上で得られる正の電場/拡散電荷は、正の光電的帯電によってさらに増大する。これまでの実施例のように、活性化炭素は、静電的に増大したフィルタ82内部、及び/又はガーゼ電極84、及び/又は、コロナ放電によって生成されたオゾンガスから空気を清浄にする別個の炭素フィルタ内に存在するのが好ましい。
【0070】
上述の実施例は本発明を限定するというよりは、むしろ本発明を図示するもので、当業者は、特許請求の範囲における請求項で定義される本発明の技術的範囲から離れることなく、本発明に関する多くの代替的実施例を設計することが可能であることに留意すべきである。ある方法が、相互に異なる従属請求項において再掲されているという事実だけでは、これらの方法の組み合わせが利点を有しないということを示唆しない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施例に従った、空気ダクト内部に空気処理システムを有する筐体中の空気汚染センサシステムの概略図を図示している。
【図2】本発明の実施例に従った、空気ダクト内部に空気処理システムを有する筐体中の空気汚染センサシステムの概略図を図示している。
【図3】本発明の実施例に従った、空気ダクト内部に空気処理システムを有する筐体中の空気汚染センサシステムの概略図を図示している。
【図4】本発明の実施例に従った、空気ダクト内部に空気処理システムを有する筐体中の空気汚染センサシステムの概略図を図示している。
【図5】本発明の実施例に従った、空気ダクト内部に空気処理システムを有する筐体中の空気汚染センサシステムの概略図を図示している。
【図6】本発明の実施例に従った、すす粒子センサユニットの概略図を図示している。
【図7】本発明の実施例に従った、すす粒子センサユニットの概略図を図示している。
【図8】本発明の実施例に従った、すす粒子センサユニットの概略図を図示している。
【図9】本発明の実施例に従った、すす粒子センサユニットの概略図を図示している。
【図10】本発明の実施例に従った、すす粒子センサユニットの概略図を図示している。
【図11】本発明の実施例に従った、空気処理システム、特に空気清浄ユニットの概略図を図示している。
【図12】本発明の実施例に従った、空気処理システム、特に空気清浄ユニットの概略図を図示している。
【図13】本発明の実施例に従った、空気処理システム、特に空気清浄ユニットの概略図を図示している。
【図14】本発明の実施例に従った、空気処理システム、特に空気清浄ユニットの概略図を図示している。
【図15】本発明の実施例に従った、空気処理システム、特に空気清浄ユニットの概略図を図示している。
【技術分野】
【0001】
本発明は大気汚染センサシステムに関する。本発明はさらに、そのような大気汚染センサシステムに設置可能なセンサユニット及び空気処理システムにも関する。
【背景技術】
【0002】
空気中に浮遊する、燃焼に関係する超微粒子(UFPs)は蓄積されやすく、かつ肺組織内で濃縮されやすいため、人体に重大な健康被害を与えることが過去10年の間で次第に明らかになってきた。
【0003】
このことは、燃焼しなかった元素の炭素を有する、又は主として燃焼しなかった元素の炭素から構成される、これらのUFPsについて特に当てはまる。そのようなUFPsはすす粒子として一般に知られている。すす粒子は一般的には5nmから500nmの直径を有し、通常は発癌性の多環式芳香族炭化水素(PAHs)及び他の揮発性有機化合物(VOCs)によって少なくとも部分的に覆われている。すす粒子は、たとえば自動車のモーターのような燃焼発生源の排出ガスから大気へ放出され、かつ不完全燃焼の結果として生成される。特に、ディーゼルモーターは多量のすす粒子及び他のUFPsを大気へ放出することで悪名が高い。
【0004】
産業用の燃焼発生源及び他の固定燃焼発生源の近くは別として、西側世界では、燃焼に関係するUFPs、以降では簡単にすす粒子と呼ぶ、の濃度は一般に、主となる交通手段が自動車であるような場所又はその近くで最高となる。特に換気及び/又は風速が限られているような条件下での、トンネル、交差点、及び/又は車などが列をなしているようなところでは、局所的に非常に高濃度のUFPsに直面するだろう。しかし、ビル、休養用の簡易宿泊施設、簡易住居、家、船舶、飛行機、宇宙船(の部屋)、並びに、自動車の運転室、休養用の簡易宿泊施設、簡易住居、家、ビル、船舶、飛行機、及び宇宙船内部の部屋でも、健康被害を及ぼすほど高濃度のすす粒子に直面するだろう。
【0005】
特に自動車の運転者及び乗員はすぐに高濃度のすす粒子及び他の排出汚染物質に曝される。その理由は、自動車の空気処理システム(それはたとえば、加熱、換気及び空調システム、又は基本的な加熱/換気システムのいずれかであって良い)が連続的に、他の自動車の排気口から放出される排出気体及び粒子によって汚染されている外気を自動車の運転室内に送り込むからである。従って、快適な温度及び湿度のレベルを保ちながら自動車の乗員の大気汚染物質への曝露を最小にするため、空気清浄ユニットの手段によって空気中に浮遊する様々な汚染物質の外気を、少なくとも部分的には清浄にし、外気に関する条件、とりわけ湿度、温度及び汚染レベルに応じて自動車の空気処理システムの設定を自動的に制御することが可能であることが望ましい。
【0006】
特許文献1で説明されているように、自動車の空気処理システムの動作モードは、空気処理システムに付随する車内の空気の吸気口と外気の吸気口との間に設けられている切り換え調節弁素子を回転させ、かつその回転を制御する電気制御によって制御されて良い。切り換え調節弁素子は、入力モード動作では車内の空気吸気口を十分に閉じ、かつ外気吸気口を十分に開く一方で、再循環モード動作では車内の空気吸気口を十分に開き、かつ外気吸気口を十分に閉じる。混合動作モードでは、制御された量の再循環する車内の空気及び制御された量の外気が同時に空気処理システムに流入できるように、切り換え調節弁素子は、車内の空気吸気口と外気吸気口の両方が部分的に開いている、一連の中間位置をとって良い。
【特許文献1】米国特許第5775415号明細書
【特許文献2】米国特許第4574004号明細書
【特許文献3】米国特許第4837440号明細書
【特許文献4】米国特許第5431714号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、空気処理システムを有する筐体の空気汚染センサシステムの提供である。その大気汚染センサシステムは、すす粒子による前記筐体内部の空気の汚染に関する情報を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のため、請求項1で定義されるような空気汚染センサシステムが供される。
【0009】
空気汚染センサシステムのすす粒子センサを利用することで、筐体内部において、すす粒子、又は煙粒子のようなすす状粒子による汚染に関する特定の情報が得られる。空気中に浮遊するすす粒子を吸入することは、一般的な排出気体を吸入するよりも、より人体に有害であるため、空気中に浮遊するすす粒子の濃度を、空気汚染レベルへの重要な因子と考えることが重要である。この点では、空気汚染センサシステムがすす粒子センサを有する一方で、空気処理システムは、大気が筐体内部に放出される前に、すす粒子及びすす状粒子を大気から除去するのに特に適するような特性を有して良い。
【0010】
請求項2で定義される実施例は、すす粒子に対する空気清浄ユニットの性能を評価することが可能であるという利点を供する。少なくとも筐体内部に汚染源が存在しない場合には、たとえば筐体内部の空気汚染レベルと筐体外部の汚染レベルとの差異は大抵の場合、空気処理システムにおける空気清浄ユニットの効率によって直接決定される。
【0011】
請求項3で定義された本発明の実施例は、空気ダクトを介して筐体に流入しないすす粒子及びすす状粒子の汚染源の寄与を考慮できるという利点を供する。例には、たとえばたばこを吸う乗員、香を楽しむこと、開いている窓を介して筐体へ入り込むすす粒子のような筐体内部の燃焼型汚染源の存在、覆いのない状態で燃やされている火の存在及び電気を使用しない調理用コンロの存在が含まれる。
【0012】
請求項4で定義された実施例は、空気ダクトを介して筐体へ入り込むすす粒子の濃度、及び筐体内部であって空気ダクトから離れた場所に存在するすす粒子の濃度の両方を、互いに独立に検出できるという利点を供し、空気ダクトを介して筐体へ入り込むすす粒子の濃度、及び、筐体内部にいる人が実際に吸入する、空気ダクトから離れた筐体内部に存在するすす粒子の濃度の両方に関する情報を供することが可能である。この実施例は、筐体内部の空気汚染源の存在を明確に検出するのに特に有用である。
【0013】
請求項5で定義された本発明の実施例は、検出されたすす粒子、たとえばすす粒子の濃度の関数として、空気清浄ユニットの動作を自動的に変化させることを可能にするという利点を供する。筐体内部及び/又は前記空気清浄ユニット下流の汚染レベルが、たとえばある閾値を超えて増大する場合、汚染情報信号は、筐体内部の人が吸入する、空気中のすす粒子濃度が受容可能なレベルに戻るように、空気清浄ユニットを制御してすす粒子に対する清浄動作を改善することが可能である。
【0014】
請求項6で定義された本発明の実施例は、空気ダクトを介する空気流を制御するという利点を供する。空気清浄効率は、単位時間に空気処理システムによって置換される空気の量に依存するだろう。その理由は、このような空気の量が空気清浄ユニットを介する気流の速度を決定するからである。
【0015】
請求項7で定義された本発明の実施例は、空気中に浮遊するすす粒子の帯電が、すす粒子帯電部の下流に設けられている濾過部におけるすす粒子の濾過効率を著しく増大させることのできる有効な手段であることを見いだす効果を供する。
【0016】
上述の実施例、又はその態様は組み合わせて良いということは認められるべきである。
【0017】
発明のさらに別な目的は、すす粒子を適切に検出するセンサユニットを供することである。
【0018】
この目的のため、空気中に浮遊するすす粒子を検出する、請求項8で定義されるセンサユニットが供される。
【0019】
空気中に浮遊するすす粒子で正味の(正の)電荷の発生させることによって、適切でかつ信頼性の高いこれらの空気中に浮遊するすす粒子の検出が可能となることが分かった。空気流から、すす粒子及びすす状粒子を検出及び/又は剥離するためには、紫外光の照射が、光電的帯電機構を介してすす粒子及びすす状粒子を帯電させる有効な手段であることが分かっている。
【0020】
本発明の好適実施例では、すす粒子沈殿部は2つの電極表面を有し、その電極表面間では高電場を発生させることが可能である。そのような沈殿部は、適切でかつ信頼性の高い、すす粒子の検出を可能にすることが分かっている。請求項9で定義された本発明の実施例は、空気がすす粒子沈殿部内部の流導管を通過するとき、平行板が引き起こす、すす粒子沈殿部全体での空気圧力の減少は、無視できる程度であるという利点を供する。
【0021】
請求項10で定義された本発明の実施例は、すす粒子を検出する他の適切な手段を有する。センサユニットを通過する空気から帯電したすす粒子を捕獲するために、(高感度の電流計を介して地電位と接続する)ファラデー箱内部の繊維質ほこりフィルタを使用する利点は、電圧によって誘起される容量性電流の存在を回避する沈殿部に電圧差を設ける必要がないため、沈殿部に付随するファラデー箱内部に帯電した空気中に浮遊するすす粒子が堆積することに起因して生じる小さな電流の正確な測定がかなり容易に実現できるようになるところにある。
【0022】
請求項11で定義された本発明の実施例は、制御された空気流をすすセンサを縦に通り抜けるように引き込む熱的煙突効果を誘起するために、紫外光源によって発生した熱を用いることができるという利点を供する。煙突効果を有効にするため、センサユニットは縦に設けられ、かつ沈殿部は発光部より実質的に上方に設けられることが好ましい。センサ内部にあるランプから発生する熱もまた、すす粒子から水分を脱離するので有利である。その水分は脱離されなければ光電子放出過程を抑制してしまう恐れがある。結局のところ、煙突効果によってすすセンサを介して空気を引き込むためのポンプ又はファンが必要なくなるので、煙突効果はコストの点から見ても有利である。
【0023】
本発明のさらに他の目的は、空気流から空気中に浮遊するUFPsを除去する能力を有する空気処理ユニットを供することである。
【0024】
この目的のため、請求項12で定義されるような空気処理ユニットが供される。
【0025】
すす粒子を帯電させることは、空気流からすす粒子の少なくとも一部を除去することを促進及び改善する上で非常に有効な手段を供することが分かった。
【0026】
請求項13で定義された本発明の実施例は、濾過部においてすす粒子を除去するためにこれらの粒子を帯電させるための有効な手段の利点を供する。請求項14で定義された本発明の実施例は、異なる種類のUFPsの帯電に有効である。
【0027】
請求項で定義された本発明の実施例は、たとえば石英でできた紫外ランプから発生するオゾン気体がセンサユニットから出るのを防ぐという利点を供する。
【0028】
請求項16から20で定義された本発明の実施例は、有効に空気からすす粒子を除去する能力を有する、制御可能な濾過部を供する。
【0029】
上述の実施例、又はその態様は組み合わせて良いということは認められるべきである。
【0030】
本発明の好適実施例を概略的に図示している、添付図を参照しながらさらに詳細に本発明を説明する。本発明がこれら特定の好適実施例に決して限定されないことは理解されるべきである。
【実施例】
【0031】
本発明は、図1から図5に図示されている、筐体Eに組み込まれた空気汚染システム1について開示している。筐体Eは空気ダクト2内部に空気処理システムHを有し、該空気ダクト2は、前記筐体E内部の空気と前記筐体E外部の空気とのやり取りを可能にする。空気ダクト2は、空気Iを受ける吸気口、及び前記筐体E内部に存在する処理された空気Rを放出する排気口を有する。
【0032】
筐体Eは、自動車の運転室、休養用の簡易宿泊施設、簡易住居、家、ビル、船舶、飛行機、宇宙船、及び、前記の自動車の運転室、休養用の簡易宿泊施設、簡易住居、家、ビル、船舶、飛行機、宇宙船内部の個々の区画すなわち部屋を含む如何なる種類の住宅/居住施設であって良い。以降では、自動車の運転室筐体を具体例として、より詳細に説明するが、他に上述した筐体のすべてについて、同様の説明が完全に当てはまることに留意すべきである。さらに、空気処理システムHが加熱手段及び/又は冷却手段を有しても良いし、又有さなくても良いことにも留意すべきである。HVACシステム(よって形式的には加熱手段及び冷却手段を有する)として実施される空気処理システムについて言及するとしても、加熱手段及び/又は冷却手段を有していない通常の空気処理システムとして実施される空気処理システムが除外されるわけではない。“HVAC”という語は、空気処理手段及び/又は空気冷却手段が必要であることを意味しない。“すす”又は“すす粒子”という語は、たとえば燃焼過程によって生じる煙粒子のようなすす状粒子をも有することを理解すべきである。
【0033】
空気処理システムHはたとえば、前記空気ダクト2を介して換気するHVAC換気装置11、及び/又は通過する空気を清浄にする空気清浄ユニット13を有して良い。空気汚染センサシステムは、たとえばHVAC制御ユニット12及び空気清浄制御ユニット14を含む制御電子機器を有して良い。HVAC制御ユニット12は、通気速度を調節し、かつHVACの動作モードを選択する。そのHVACの動作モードは、通常の吸気モード動作、再循環モード動作又は混合モード動作を有する。
【0034】
約5nmから500nmの範囲の直径を有するすす粒子の検出が可能なすす粒子センサ21が少なくとも1つ供される。すす粒子を検出すると、センサ21は汚染情報信号Pを供する。
【0035】
空気清浄ユニット13及び/又はセンサ21からの出力信号の評価は、それぞれ空気清浄評価ユニット23及び空気汚染評価ユニット22によって繰り返し行われる。空気汚染表示ユニット24は、筐体Eの内部にいる人たちに汚染情報を供するために存在することが好ましい。
【0036】
図1は、自動車のHVACシステム内部にある、空気清浄ユニットを有してない、単一のすすセンサ21を有する実施例を図示している。換気装置11の上流にある粗いプレフィルタ(図示されていない)が空気から大きな残骸を除去するために存在して良い。センサ21から得られる、すす粒子による空気汚染情報信号Pは、空気汚染評価ユニット22によって評価され、空気汚染表示/警告ユニット24によって視覚化される。
【0037】
吸入モード動作では、外気のすす粒子汚染のみが記録され、この汚染も、まさに自動車の運転室Eに入り込む。通常の吸入モード動作の間、喫煙行動、又は運転室の窓が開いていることを検出することができない(窓が開いていることを電子的に検出することはもちろん可能である)。運転室に入り込むすす粒子の測定汚染レベルが所与の閾値を超える場合、連続して大量の汚染物質が運転室Eへ流入するのを避けるため、空気汚染評価ユニット22は、HVAC制御装置22の動作モードを通常の吸入モード動作から再循環モード動作へ切り換える。再循環によって空気ダクト2及び運転室内部Eの様々な壁に粒子が堆積するため、徐々にすす粒子の濃度が減少する。再循環は、限られた期間でのみ続けられ(運転室内部の二酸化炭素濃度及び/又は水蒸気濃度を安全でかつ快適な限界内に保持するため)、その後空気処理システムHを吸入モード動作に戻すことによって、外部の空気Iは、少なくとも最小期間の間に自動車の運転室Eへ再度流入可能となる。その後、外気中のすす粒子汚染が高すぎる場合には、空気処理システムを再度再循環モード動作に切り換えることが可能である。
【0038】
図1の実施例では、通常の吸入モード動作の際に、開いている窓を介する、煙又はすす状汚染物質の侵入を検出することができない。もちろん、窓が開いていることは電子的に検出可能であって、かつそのような情報は常に、特に外気の汚染が吸入モード動作から再循環モード動作への変化を引き起こすほど十分に高いときに、自動車の乗員への警告として伝えられることが可能である。再循環モード動作でかつ窓が閉じられている場合、時間経過とともに、記録される粒子汚染が増大するときに喫煙行動は検出される。その理由は運転室の再循環によって煙粒子がセンサ21と接触するからである(純粋なすす粒子よりも少量であるにもかかわらず、たばこの煙粒子もまた、十分な短波長を有するUV光照射によって起こる光電的帯電を介して帯電可能である)。このことを、空気汚染表示/警告ユニット24の警告信号として、煙が検出され、かつ直面している空気汚染は人体の健康を脅かすものであると自動車乗員へ知らせることが可能である。同時に、運転室Eから煙粒子をできるだけ迅速に除去するため、少なくとも最小設定期間、煙が検出されるのを期として、運転室を介する通気速度を増大させる一方でシステムは吸入モード動作へ戻る。その期間後、検出された(外気の)すす粒子の汚染レベルが依然として、再度少なくとも一時的に再循環モード動作への切り換えを引き起こすほど高いレベルにあるか否か、そして前述した一連の事象が繰り返されて良いのか否かを察知する。図1の実施例では、外気からの粒子汚染物質への曝露に対する個人の防護は限られた程度しか実現されていない。
【0039】
図2は、空気ダクト2内ではなく、筐体E内に設けられている粒子センサ21を有する実施例を図示している。空気清浄ユニットは存在しない。図1の実施例とは対照的に、筐体E内にいる人が吸入する空気のすす粒子汚染レベルが直接的に感知される。通常の吸入モード動作中では、特に煙及び/又は開いている窓から導入される、筐体内部のすす又はすす状粒子での存在を検出することはできず、筐体E内における実際のすす粒子汚染レベルのみが記録され、かつこれは空気汚染表示ユニット24によって可視化可能である。記録されたすす粒子汚染レベルが、設定された閾値すす汚染レベルを超える場合、トリガ信号が制御ユニット12へ送られ、その制御ユニット12は、設定された最長期間を限度として、再循環モード動作に切り替わる。窓が閉じられていて、かつ煙が存在しない場合、この手段によって記録されたすす粒子汚染レベルは徐々に減少する。記録されたすす粒子汚染レベルが第2設定汚染レベルを下回るとき、そのシステムは通常吸入モード動作に戻る。あるいはその代わりに、再循環モード動作が持続する第1設定最長期間の後、少なくとも設定最小期間だけ吸入モード動作に戻る。運転室内での喫煙行動の場合、再循環モード動作の間では、記録されたすす状汚染レベルは顕著に増大せず、これが設定された再循環期間の間で記録されるときには、筐体から煙を除去するため、好適にはより速い通気速度で、少なくとも設定最小期間だけ吸入モード動作に切り替わる。一般に運転室内部でのたばこの煙によって、自動車内部のすす状粒子汚染レベルは、自動車外部に存在するすす粒子汚染レベルよりも高くなることに留意すべきである。記録された喫煙行動を、実際に記録された、自動車の乗員が曝されているすす粒子汚染レベル、及びその記録された粒子汚染レベルの人体の健康への相対的な危険性とともに、警告メッセージとして知らせることが可能である。
【0040】
又この実施例は、微粒子状汚染物質への曝露から人体の健康を保護するのにも有効であるが、有効性には限界があり、せいぜい喫煙行動が行われておらず、かつ窓が閉じられているときに有効な程度である。喫煙行動は、図1の実施例よりもすぐに検出される。しかし依然として喫煙行動は、窓が開いていることが他の電子検出手段から既知であるという条件下での再循環モード動作の間において明確に記録できるにすぎない。
【0041】
図3は、空気ダクト内及び運転室E内の両方にすす粒子センサ21を有するより好適な実施例を図示している。両すすセンサ21からの電子出力情報信号Pは、両信号を相互に比較する空気汚染評価/比較ユニット22へ送られる。空気汚染評価/比較ユニット22から、適切な電子フィードバック信号をHVAC制御装置ユニット12へ送ること、及び電子情報信号を空気汚染表示器ユニット24へ送ることが可能である。煙が発生しない場合、両センサ21の読み取りは、如何なるHVAC動作モードにおいても実質的に同一で、かつ運転室の窓が開いているか閉じているのか無関係である。しかし、窓が開いているか閉じているのかは、再循環モード動作中に記録された空気汚染レベルには影響を与えうる。またここで、窓が開いていることは、独立した電子手段によって感知され、自動車の乗員への警告メッセージとして伝えられることが可能である。通常吸入動作モード中では、(実質的に)空気ダクト2内のセンサ21による測定よりも高い、運転室E内のセンサ21による測定を介することで、喫煙行動が明らかになる。これは、空気汚染表示器ユニット24への警告として伝えられることが可能である。運転室のセンサ読み取りが、空気ダクト2内のセンサ読み取りよりも高い限り、空気ダクト2内のセンサ21によって実際に記録された外部のすす状粒子汚染レベルに関係なく、通常吸入モード動作が維持されて良い。喫煙行動が起こっておらず(センサ21の読み取りは両方とも同一である)、かつ空気ダクト2内のセンサ21によって記録されたすす汚染レベルが、ある設定汚染レベルを超えるときにのみ、再循環モード動作への切り替えが生じる。設定最大期間を最長として、又はセンサ21の読み取りが設定汚染レベル未満にまで落ち、その後少なくとも設定最小期間だけ通常吸入モード動作が選択されるまで、再循環が起こる。また再循環モード動作によって、ダクト2を介して、自動車運転室への(非常に)限られた量の外気の導入が可能となることに留意すべきである。
【0042】
図3の実施例は、人体の健康を保護する上で、改善された実施例を供する。その主たる理由は、図1及び図2で図示された実施例と比較して、たばこの煙、又は燃焼及び/若しくは煙の発生を含む他の行為に対して、より広範囲の検出が可能となったことである。
【0043】
図4に図示された実施例は、受動空気洗浄ユニット13を別にすれば図1から図3に図示された実施例のそれぞれと類似している。空気清浄ユニットは、たとえば繊維質の(エレクトレット)フィルタ、及び場合によっては空気から汚染気体を除去する付加的な濾過手段を有して良い。空気清浄ユニット13は、図1から図3を参照しながら説明した、再循環モード動作中に、すす粒子汚染レベルを含む全体の粒子汚染レベルをより迅速に減少させることを可能にする。
【0044】
図5に図示された本発明の実施例は、粒子帯電部と一緒になっている静電的に増大した粒子フィルタを有する空気清浄ユニット13が供されため、より好適な実施例である。静電的に増大した粒子フィルタは、空気からの粒子の除去が実際に起こる濾過領域内で意図的に印加された電場の存在によってそれらのフィルタの粒子濾過効率が増大するという一般的特性を有する。この意図的に印加された電場はまた、電場誘起漏れ電流をフィルタ内部に発生させる恐れがある。そして、そのような漏れ電流を少なくとも部分的に小さくするために一般的に行われている方法は、相互に異なる電位を有するように設定されている材料同士が(物理的に)接続しなければならない場所に、導電性材料を存在させないことである。電子フィードバック信号は、空気汚染評価ユニット22から空気清浄制御装置14へ伝達されることが可能である。そしてたとえば、空気清浄ユニットを通過する空気の相対湿度を考慮しながら、静電的に増大した粒子フィルタ内部に発生する全ての漏れ電流を記録することによって、フィルタの寿命に到達したか否かを知覚することが可能である。また、フィルタの寿命が終わったという情報は、自動車乗員へのメッセージとして伝えられることが可能である。空気清浄は、そのほとんどが空気清浄ユニット13の内部で起こる。通常吸入モード動作はほとんどの期間で維持可能なため、より健康的な大気環境が可能となる。
【0045】
図6から図10は、本発明の実施例に従ったすす粒子センサユニット21の概略図を示している。空気中のすす粒子を測定するという一般的な目的のためのすす粒子センサのデザインルールは従来技術から既知である(特許文献2、特許文献3及び特許文献4参照のこと)。本願用にこれらのデザインルールを特別に設計することは好都合である。
【0046】
一の好適実施例に従うと、このすす粒子センサ21は、以降で図6から図10を参照しながらより詳述するように、吸入部、主として紫外(UV)光源213を有する発光部201、及び粒子沈殿部202を有する。その吸入部は任意で粗粒子プレフィルタ211と共に供され、そのプレフィルタは、空気中に浮遊する1μmより大きい粒径を有する比較的大きな粒子を、前記吸入部を通過する流入空気流から除去する機能を有する。紫外光源213から放出される放射線は、すすセンサ中を移動する空気中のすす粒子の光電的帯電を誘起するように機能する。粒子沈殿部202内では、帯電したすす粒子は、高感度電流計を介して地電位と接続する高感度電流計を介して地電位と接続する電極表面上に静電的に沈殿する、又は所謂導電性ファラデー箱内部に入っている濾過ユニットの手段によって、空気から濾過される(各々の場合において、空気中に浮遊する帯電したすす粒子の量に比例する大きさの電流が発生する)。
【0047】
より正確には、自動車の運転室の空気中のすすを検出する、本発明の本実施例では、図6に図示されているようなすす粒子センサユニット21が有利に用いられる。前記センサ21は、吸入部、発光部及び粒子沈殿部を有する。
【0048】
吸入部は、荷電粒子及び非荷電粒子を有する冷たい流入空気流を受けるための吸入ポート210を有することが好ましい。その吸入ポートは、粗粒子プレフィルタ211、及び任意で、流入する空気流からの荷電粒子及びイオンを捕獲する静電エアゾルフィルタ212を有することが好ましい。プレフィルタ211は、空気中に浮遊する、約1μmより大きな粒径を有する、大きなほこり粒子の少なくとも一部が発光部へ入り込める前に、そのようなほこり粒子を流入空気流から機械的に除去することを可能にする。そうすることによって、すすの蓄積によるすすセンサ21内部がすぐに汚れてしまうのを防ぐ(前記の空気中に浮遊する大きなほこり粒子は大抵の場合、空気中に浮遊する粒子の質量のほとんどを有する。)。すす粒子は一般に、前記の空気中に浮遊する粒子よりもはるかに小さく、したがってすす粒子は、前記粗粒子プレフィルタによっては、発光部に入り込む空気から実質的に除去されない。
【0049】
発光部201は、たとえば、平板状低圧UVランプのような、260nm未満の波長を有する放射線を放出するUVランプ213を有する。消毒殺菌目的で一般に使用されるような通常の低圧UVランプは、水銀蒸気を有するガス充填物とともに供される。これらのUVランプはピーク波長253.7nmの光を放出し、そしてUVランプが(合成された)石英ランプとして実施される場合には、付加的ピーク波長184.9nmの光を放出する。あるいはその代わりに、UVランプはUVエキシマランプであって良く、その発光波長は、波長170nmから260nmの間で調節可能で、エキシマランプ内部の充填ガスの性質及び組成に依存する。
【0050】
発光部201は、UVランプ213と、センサ筐体における外部筐体215の内部(反射性)壁との間に流導管214をさらに有する。その際、その流導管を通り抜ける空気流が発生する。PAH材料のコーティングによって少なくとも部分的に被覆されているすす粒子が260nm未満の波長ピークを有するUV光で照射されるとき、このことは通常すべてのすす粒子について当てはまる、そのすす粒子は、1個以上の電子の光電子放出を起こす。これにより、これらのすす粒子は正に帯電する。UVランプ213の周囲に多孔性の保護用導電性ガーゼ(protective conducting gauze)216を設けることによって、ランプが、すすセンサを通り抜ける空気流に直接曝露されるのを防ぐ。それによって、ランプ表面が空気からUFPが堆積することによって徐々に汚染されるのを防ぐ。この汚染を防止しなければ、ある時間経過することによってランプからの出力は減少する。
【0051】
それに加えて、小さな静電場が流導管214にわたって存在するように、U0=約5−10[V]の小さな直流又は交流電圧をガーゼ216に印加し、かつセンサ筐体215の内部導電性壁を接地することは好都合である。この電場は、空気から、光電子放出された電子及び負イオンの迅速な除去を促進する一方で、流導管214を通り抜ける、正に帯電したすす粒子の遷移にはほとんど影響を及ぼさない(電子及びイオンの電気泳動移動度がかなり大きいため)。帯電した(及び残りの帯電していない)すす粒子は引き続いてセンサ21の沈殿部202へ入り込む。
【0052】
粒子沈殿部202は第2流導管217を有する。第2流導管217は、2つの平行電極表面218及び219の間に存在する(図6−図9)(これらの電極間では、内側電極218と接続する高電圧供給部222が高電場を発生させ、その電場によって、帯電したすす粒子すべてのうちの少なくとも一部が、高感度電流計221を介して地電位と接続する電極219上に蓄積される。)
又は、第2流導管217は所謂ファラデー箱61内部に設けられた繊維質ほこりフィルタ62を貫通(図10)し、それによって帯電したすす粒子すべてのうちの少なくとも一部を、前記ファラデー箱内部のほこりフィルタの繊維上に堆積させる。前記ファラデー箱は、高感度電流計を介して地電位に接続する。すべての場合で、単位時間あたりに蓄積された電荷は、前記電流計221での電流として計測される。計測された電流は、校正因子を介して、空気中に浮遊するすす粒子の量に比例する。センサ筐体215に対して、電極219は、絶縁素子224の手段によって、電気的に隔離されている。
【0053】
すすセンサ21を通り抜ける空気流は、通常わずか数[l/min]に制限され、換気装置又はポンプ(図示していない)によって作り出すことが可能である。換気装置又はポンプは、すすセンサの空気出口220と接続していることが好ましい。この出口は被覆キャップ223の下に設けられ、ランプで加熱された排出空気を受ける。本出願では、すすセンサ21を縦方向に通り抜ける、制御された空気流を引き込む熱的煙突効果を誘起するためにUVランプ213から発生した熱を利用することは好都合である。空気流はまた、センサ内部にある1つ以上の空気流の障害物(図示していない)の手段によっても制御可能で、それは有限の圧力低下をもたらす(たとえば、様々な流導管内の障害物、又はファラデー箱61内にある繊維質ほこりフィルタ62によって生じる圧力低下、並びに/又は粗粒子プレフィルタ211によって、及び/若しくはすすセンサ吸入部内の静電エアゾルフィルタ212によって生じる圧力低下を介してもたらされる)。
【0054】
煙突効果を有効にするため、センサユニットは垂直に設けられ、かつ沈殿部は発光部より実質的に上方に設けられることが好ましい。センサ内部にあるランプから発生する熱もまた、すす粒子から、脱離されなければ光電子放出過程を抑制してしまう恐れがある水分を脱離するので有利である。結局のところ、煙突効果によってすすセンサを介して空気を引き込むためのポンプ又はファンが必要なくなるので、煙突効果はコストの点から見ても有利である。すすセンサ上流に設けられている、集積された空気清浄ユニットを通り抜ける全空気流は、最大で10[m3/min]に達することが可能で、すすセンサユニットを通り抜ける空気流よりも何桁も大きいことに留意することは重要である。
【0055】
図6−図10のすすセンサ21は、空気排出口の形状が修正されている同心円筒形状の荷電粒子沈降分離装置(図8)、前記の修正された空気排出口の形状を有する平行板荷電粒子沈降分離装置(図9)又はファラデー箱型の粒子フィルタを有する荷電粒子沈降分離装置(図10)を図示している。
【0056】
すす粒子センサの有利な実施例が図7に図示されている。付加的な白色の拡散反射性材料、たとえば、UV反射性の白色粉末31、又は、Al2O3、MgO、SiO2、ピロリン酸塩カルシウム又はBaSO4粉末/色素粒子を有する色素/結合剤コーティング層が、センサ筐体215の内側導電性壁と、UVランプ213と向かい合っているUV透過ガラス又は石英窓32との間に設けられている。このようにすることで、UV光の吸収が減少してUV光の反射が増大し、流導管214内部でUV強度が高くなることで、より効率的な光電子過程が実現する。そのようなより効率的な光電子過程によって、空気流がより高速にセンサを通り抜けることが可能となり、よってセンサ応答時間も高速になることが可能となる。センサ発光部内の流導管を通過する空気流に対してUV透過窓32が直接曝露されないように、UVランプ213と向かい合っているUV透過窓32の面上に多孔性の保護用導電性ガーゼ216もまた供される。多孔性の保護用導電性ガーゼ216が供されることによって、窓32上に空気中に浮遊する汚染が徐々に蓄積されるのを防ぐ、又は少なくともその蓄積を遅らせる。小さな静電場がセンサ発光部内の流導管にわたって存在するように、約5−10[V]の小さな直流又は交流電圧差U0が、UVランプの周囲に供されるガーゼ216とUV透過窓32上に供されるガーゼとの間に設定される。この電場は、空気から、光電子放出された電子及び負イオンの迅速な除去を促進する一方で、流導管214を通り抜ける、正に帯電したすす粒子の遷移にはほとんど影響を及ぼさない(電子及びイオンの電気泳動移動度がかなり大きいため)。
【0057】
図6−図10のガーゼ216の表面は、非金属材料の薄いコーティングによって被覆されていることが好ましい。前記コーティングは、前記のガーゼ216表面が前記UVランプ213から放出されるUV光で照射されるときに前記表面からの光電子放出電子を抑制するのに十分なほどに厚く、前記コーティングにわたって有限の伝導率が得られるほど十分に薄い。ガーゼ216表面からの光電子放出電子は抑制されるのが望ましい。なぜなら、そのような放出された電子は、少なくとも複数の光帯電した空気中に浮遊するすす粒子を中性化する能力を有するからである。それによって、流導管214を通過する間のすす粒子の全帯電効率は減少する。
【0058】
同一の理由により、UVランプ213と向かい合っている他の金属表面もまた、前記他の金属表面がUV光照射に対して曝露されるときに電子が光電子放出されるのを防止するために非金属材料の薄いコーティングによって被覆されることが好ましい。
【0059】
図8は、沈殿部202内に、図6及び図7で図示されたものと同一の、同心円筒形状の荷電粒子沈降分離装置217、218、219、及びすすセンサ21のキャップの下に設けられる、それぞれ異なる形状を有する空気排出口420とともにすすセンサ21が備えられている実施例を図示している。図9は、図7で図示された実施例と類似する別な実施例を図示している。図9で図示された実施例では、沈殿部202は、流導管517の周囲に、2つの電極518、519を有する平行板荷電粒子沈降分離装置を有する。図10は、沈殿部202がファラデー箱61、及び該ファラデー箱内部に多孔性粒子フィルタ62を有する実施例を図示している。
【0060】
空気処理システム又は空気清浄サブシステム、これらもまた以降で図11−図15を参照しながら詳述される、は、自動車の空気処理システムによって流れる空気中に浮遊する粒子で、特に空気中に浮遊するすす粒子を静電的に帯電させる粒子帯電部801、及び空気から荷電粒子を除去する濾過部802を有する。
【0061】
自動車の空気処理システムによって流れる空気中に浮遊するすす粒子を静電的に帯電する粒子帯電部801は、紫外線を利用する光電的粒子帯電手段、又は浮遊するすす粒子を含む空気を正又は負に帯電した小さなイオン流に曝露する電場/拡散帯電手段を有する。もちろん両手段を組み合わせても良い。
【0062】
自動車の空気処理システムによって流れる空気から荷電粒子の少なくとも一部を除去するために供されている濾過部802は、すす粒子を捕獲するため、大きな双極性の電荷が高分子ファイバ上で恒久的に存在するエレクトレットフィルタ、又は電位が印加される2つの多孔質導電性ガーゼの間に挟まれている繊維質フィルタ材料として実装される、静電的に増大したフィルタのいずれかを有する。また、平行板型フィルタを使用しても良い。
【0063】
自動車の空気処理システムによって流れる空気からすす粒子を除去する空気清浄システムと組み合わせたすすセンサユニット21の一の実施例が図11に図示されている。その実施例では、粒子帯電部801は、濾過部802の上流に設けられている、延在した(曲がりくねった)低圧UV光源81(本実施例では3つ)を有する。濾過部802は本実施例の場合、静電的に増大した繊維質フィルタ82である。これらのUV光源81は、空気処理ユニットを通過する空気流中に存在するすべての粒子を、260nm未満の波長を有するUV光で照射する。それにより、光電的に誘起された正の電荷がすす粒子に与えられる。すす粒子上に生成された電荷の大きさは粒子の大きさに依存し、かつ粒子が受けたUV光の発光強度とUV照射領域内での粒子の滞留時間との積に比例する。(曲がりくねった)平板状UV光源81は、各UV源の周囲にある多孔性導電性ガーゼ83を設けることによって、空気流への直接曝露から遮断されている。そのようにすることで、UV光源の外側表面が蓄積される粒子によってすぐに汚染されるのを防ぐ。ガーゼ83は接地されていることが好ましい。電子の光電子放出を抑制するため、前記表面がUV光源81によって放出されるUV光で照射されるとき、ガーゼ83の表面は非金属材料の薄いコーティングによって被覆されているのが好ましい。
【0064】
静電的に増大したフィルタ82は、2つの多孔性金属ガーゼ電極84a、84bの間に挟まれている、ひだのある繊維質フィルタとして実装される。前記電極間で、電位差Vfiltが作られる。その結果生じる、この繊維質フィルタの厚さ方向の静電場は、外部印加された電場である。その静電場は空気中に浮遊する荷電粒子に対するフィルタの濾過効率を大きく増加させる一方で、このフィルタに生じた圧力低下を比較的低いレベルに維持することが可能である。静電的に増大したフィルタ82は、ある効率で空気から荷電粒子を除去する。その効率は、粒子の電荷の増加、フィルタにわたる電場強度の増加、及びフィルタを通る空気流速度の減少とともに増加する。静電的に増大したフィルタ82に付随する高電圧ガーゼ84aは、フィルタ上流でUV光源81と向かい合っていることが好ましい。よって、静電的に増大したフィルタ82とUV光源を取り囲む接地されたガーゼ83との間、及び静電的に増大したフィルタ82と、UV光源81の上流に位置する多孔性の第2接地ガーゼ85との間に電場が発生する。この電場は空気中に浮遊するすす粒子の光電的帯電を増大させる。その理由は、電場によって空気中から光電子放出された電子及び負の小さなイオンを迅速に除去することが可能になるからである。高電圧ガーゼ84aは、地電位に対して正である高電圧Vfiltと接続することが好ましい。これは、繊維質フィルタの深さ方向に存在する電場は、分極したフィルタ繊維の上流面上に正に帯電した粒子の堆積を促進させるようにフィルタを分極させるという利点を有する。ガーゼ84bは接地されているか、又は地電位に対して負である電位と接続することが好ましい。
【0065】
すすセンサ21は静電的に増大したフィルタ82下流に位置しており、したがって、前記の静電的に増大したフィルタを通過したそれらのすす粒子のみを検知する。
【0066】
図12に図示されている別の実施例では、図11で図示された静電的に増大したフィルタの代わりに、繊維質エレクトレットフィルタ92が、光電的に帯電したすす粒子及び他の荷電粒子の捕獲に用いられる。前記の図11で説明された実施例と類似するこの実施例において、2つの差異は、エレクトレットフィルタが2つの多孔性ガーゼ電極間で挟まれていないことである。したがって外部印加された電場は印加できない。その代わり、エレクトレットフィルタ内部には、エレクトレットフィルタの繊維上での双極性電荷分布によって発生する局所電場が存在する。図13に図示されたさらに別な実施例では、フィルタは、1組の積層平行板又はガーゼを有する粒子沈殿フィルタ100である。地電位(板101aから板101n+1)及び高電圧(板101bから板101n)と交互に接続するこれらの板の間では、板表面上に空気中に浮遊する帯電粒子が堆積するのを促進する静電場が発生する。
【0067】
図14に図示された別な実施例では、粒子の帯電は、浮遊する粒子を含む空気を、高電圧Vcorが印加される少なくとも1つの針状電極112又は少なくとも1つの細いワイヤ電極(図示していない)からのコロナ放電によって生成される単極性イオン111に曝露することによる電場/拡散帯電を介して実現される。コロナ放電された単極性イオン流は、前記少なくとも1つの針状電極又は細いワイヤ電極から、針状電極又は細いワイヤ電極近傍に設けられている(好適には接地された)少なくとも1つの対向電極壁へ向かって放出される。対向電極表面の一部は、空気が自動車の空気処理システムによって流れるダクトの内壁によって形成されて良い。少なくとも1つの絶縁性誘電素子1013は、針状電極112とガーゼ85との間(図15)、又は針状電極112とフィルタ82との間(図14)に設けられていることが好ましい。絶縁素子が、針状電極から針状電極のフィルタ下流へ向かう空気流における制約のない流路を部分的に妨害するように設けられている。絶縁性誘電素子1013は、針状電極から放出されたイオンを介して迅速に帯電する。その結果、針状電極から、空気が自動車の空気処理システムによって流れるダクト壁へ放出されるイオンの偏向を誘起する高い静電電位が生じる。前記のダクト壁は、地電位と接続することで、実質的にすべての放出イオンが空気流の流れ線を交差することを保証ことが好ましい。荷電粒子の捕獲は、静電的に増大するフィルタ82の手段により、針状電極112又は細いワイヤ電極下流で起こる。粒子帯電部801内部のコロナ放電、及び/又はUV放射によって生成されるオゾンガスから空気を清浄にする目的で、少量の活性化した炭素が、静電的に増大したフィルタ82内部、及び/又はガーゼ電極84の表面上に存在することが好ましい。
【0068】
あるいはその代わりに、別個の活性化炭素フィルタが、針状電極112又は細いワイヤ電極下流に設置されて良い。活性化炭素フィルタにわたる圧力減少を最小限にするため、活性化炭素フィルタは、空気を動かすための、実質的にまっすぐな流れのチャネルを特徴とする波状フィルタとして実装されるのが好ましい(図示していない)。前記の流れのチャネルの内壁は活性化炭素材料を有する。
【0069】
図15に図示された別な実施例では、少なくとも1つの針状電極112又は少なくとも1つの細いワイヤ電極(図示していない)からのコロナ放電手段による、全粒子の電場/拡散帯電は、前述のような接地されたガーゼ83に囲まれたUV光源81の手段による、すす粒子の光電的帯電とともに用いられる。この実施例でのコロナ放電は、正の単極性イオンを放出するように作られている。少なくとも複数のUFPs、特にすす粒子上で得られる正の電場/拡散電荷は、正の光電的帯電によってさらに増大する。これまでの実施例のように、活性化炭素は、静電的に増大したフィルタ82内部、及び/又はガーゼ電極84、及び/又は、コロナ放電によって生成されたオゾンガスから空気を清浄にする別個の炭素フィルタ内に存在するのが好ましい。
【0070】
上述の実施例は本発明を限定するというよりは、むしろ本発明を図示するもので、当業者は、特許請求の範囲における請求項で定義される本発明の技術的範囲から離れることなく、本発明に関する多くの代替的実施例を設計することが可能であることに留意すべきである。ある方法が、相互に異なる従属請求項において再掲されているという事実だけでは、これらの方法の組み合わせが利点を有しないということを示唆しない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施例に従った、空気ダクト内部に空気処理システムを有する筐体中の空気汚染センサシステムの概略図を図示している。
【図2】本発明の実施例に従った、空気ダクト内部に空気処理システムを有する筐体中の空気汚染センサシステムの概略図を図示している。
【図3】本発明の実施例に従った、空気ダクト内部に空気処理システムを有する筐体中の空気汚染センサシステムの概略図を図示している。
【図4】本発明の実施例に従った、空気ダクト内部に空気処理システムを有する筐体中の空気汚染センサシステムの概略図を図示している。
【図5】本発明の実施例に従った、空気ダクト内部に空気処理システムを有する筐体中の空気汚染センサシステムの概略図を図示している。
【図6】本発明の実施例に従った、すす粒子センサユニットの概略図を図示している。
【図7】本発明の実施例に従った、すす粒子センサユニットの概略図を図示している。
【図8】本発明の実施例に従った、すす粒子センサユニットの概略図を図示している。
【図9】本発明の実施例に従った、すす粒子センサユニットの概略図を図示している。
【図10】本発明の実施例に従った、すす粒子センサユニットの概略図を図示している。
【図11】本発明の実施例に従った、空気処理システム、特に空気清浄ユニットの概略図を図示している。
【図12】本発明の実施例に従った、空気処理システム、特に空気清浄ユニットの概略図を図示している。
【図13】本発明の実施例に従った、空気処理システム、特に空気清浄ユニットの概略図を図示している。
【図14】本発明の実施例に従った、空気処理システム、特に空気清浄ユニットの概略図を図示している。
【図15】本発明の実施例に従った、空気処理システム、特に空気清浄ユニットの概略図を図示している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのすす粒子センサを有する、筐体に組み込まれる空気汚染センサシステムであって、
該筐体は空気処理システムを空気ダクト内部に有し、
該空気ダクトは、
前記筐体内部の空気と前記筐体外部の空気とのやり取りを可能にし、
空気を受ける空気吸入口、及び処理された空気を前記筐体内部へ放出する空気排気口を有し、
前記少なくとも1つのすす粒子センサは、
前記筐体内部の約5−500nm範囲の粒径を有するすす粒子を検知し、かつ、
前記すす粒子の検知に応答して汚染情報信号を供する、
能力を有する、
ことを特徴とする、空気汚染センサシステム。
【請求項2】
前記空気処理システムが前記空気ダクト内部に空気清浄ユニットをさらに有し、かつ、
前記すす粒子センサは前記空気清浄ユニット下流で前記すす粒子を検知するように備えられている、
ことを特徴とする、請求項1に記載の空気汚染センサシステム。
【請求項3】
前記すす粒子センサが前記筐体内部でかつ前記空気ダクト外部に備えられていることを特徴とする、請求項1に記載の空気汚染センサシステム。
【請求項4】
前記空気ダクト内部、又は前記の空気ダクトの排気口からすぐ下流に存在する前記処理された空気中の前記すす粒子を検知する能力を有する第2すす粒子センサユニットを少なくとも有する、請求項3に記載の空気汚染センサシステム。
【請求項5】
前記空気処理システムが電気制御可能な空気清浄ユニットを有する、請求項1に記載の空気汚染センサシステムであって、前記汚染情報信号を前記空気清浄ユニットへ供することで、前記空気清浄ユニットを制御する能力を有する空気汚染センサシステム。
【請求項6】
前記空気処理システムが、前記空気ダクトの前記吸気口と前記排気口との間で空気を動かす能力を有する制御可能なポンプ又は換気装置ユニットを有する、請求項1に記載の空気汚染センサシステムであって、前記汚染情報信号を前記空気清浄ユニットへ供することで、前記の空気の動きを制御する能力を有する空気汚染センサシステム。
【請求項7】
前記空気処理システムが、空気中に浮遊するすす粒子を少なくとも部分的に除去する能力を有する空気清浄ユニットを有し、
前記すす粒子センサユニットは前記空気清浄ユニットの下流に設けられ、
前記空気清浄ユニットは:
前記空気ダクトを通過する前記の空気中に浮遊するすす粒子の少なくとも一部を帯電させる能力を有する帯電部;及び、
前記帯電部下流に設けられていて、前記帯電部から受け取られる前記の空気中に浮遊するすす粒子の少なくとも一部を除去する能力を有する濾過部;
を有し、
前記すす粒子センサは、前記濾過部から受け取られる前記空気流のうちの少なくとも小さい容積が超微粒子センサによって受け取られるように備えられている、
ことを特徴とする、請求項1に記載の空気汚染センサシステム
【請求項8】
空気中に浮遊する、約5−500nm範囲の粒径を有するすす粒子を検知するために供される、請求項1に記載のシステム内に設置可能なセンサユニットであって:
空気中に浮遊する荷電すす粒子及び非荷電すす粒子を有する入力流入空気流を受け取る能力を有する吸入部;
すす粒子を有する入力流入空気流を受け取り、かつ波長260nm未満の放射線を有する紫外光で前記すす粒子の少なくとも一部を正に帯電させる能力を有する発光部;及び、
前記の空気中に浮遊する荷電すす粒子及び非荷電すす粒子を受け取り、静電的な粒子沈殿手順又は粒子濾過手順を実行することで前記荷電すす粒子の少なくとも一部を捕獲し、かつ、前記の空気中に浮遊するすす粒子が少なくとも部分的に剥離された出力空気流を供給する能力を有するすす粒子沈殿部;
を有するセンサユニット。
【請求項9】
前記電極が、同心円柱形状又は平行板状のすす粒子沈降分離装置を形成することを特徴とする、請求項8に記載のセンサユニット。
【請求項10】
前記すす粒子沈殿部が、電流計を介して地電位と接続するファラデー箱内に設けられた繊維質ほこりフィルタを貫通する第2流導管を有することを特徴とする、請求項8に記載のセンサユニット。
【請求項11】
請求項8に記載のセンサユニットであって、
前記発光部が、紫外光源とのセンサ筐体内壁との間に設けられている第1流導管を有し、
前記すす粒子沈殿部は、高電場を供するように備えられている2つの電極表面間に設けられている第2流導管を有する、
ことを特徴とし、
前記第2流導管が前記第1流導管よりも実質的に上になるように、縦方向に位置設定されることによって、熱煙突効果を生じさせる能力を有するセンサユニット。
【請求項12】
請求項1に記載のシステム内に設置可能な、空気清浄ユニットを有する空気処理システムであって:
前記すす粒子の少なくとも一部を帯電させる能力を有するすす粒子帯電部;及び、
前記帯電部から得られる前記空気流から、前記帯電したすす粒子の少なくとも一部を除去する能力を有する濾過部;
を有する空気処理システム。
【請求項13】
前記すす粒子帯電部が、前記濾過部の上流に設けられている紫外光源を1つ以上有し、かつ、
該紫外光源は、260nm未満の波長を有する波長スペクトルを有する放射線を放出する能力を有する、
ことを特徴とする、請求項12に記載の空気処理システム。
【請求項14】
前記すす粒子帯電部が、少なくとも1つの細いワイヤ電極又は針状電極をさらに有し、該細いワイヤ電極又は針状電極は、前記空気ダクトを通過する前記空気流を、高電圧で、前記細いワイヤ電極又は前記針状電極からのコロナ放電によって生成される単極的に帯電したイオン流に曝露する能力有する、
ことを特徴とする、請求項13に記載の空気処理システム。
【請求項15】
前記濾過部が、オゾンガスから前記空気流を清浄にする能力を有する活性化炭素を有することを特徴とする、請求項12に記載の空気処理システム。
【請求項16】
前記濾過部が、前記すす粒子帯電部の下流に設けられている静電的に増大した粒子フィルタを有することを特徴とする、請求項12に記載の空気処理システム。
【請求項17】
前記の静電的に増大した粒子フィルタがひだのある非導電性繊維質フィルタで、
該非導電性繊維質フィルタは、2つの導電性多孔質層の間に挟まれ、
該導電性多孔質層間では、電位差が作られることによって、前記非導電性繊維質フィルタにわたって外部印加された電場を生成することが可能となる、
ことを特徴とする、請求項16に記載の空気処理システム。
【請求項18】
前記帯電部と向かい合っている前記導電性多孔質層が高電位と接続し、かつ、
前記帯電部の外側を向いている前記導電性ガーゼ電極は地電位と接続する、
ことを特徴とする、請求項17に記載の空気処理システム。
【請求項19】
前記静電的に増大した粒子フィルタが繊維質エレクトレットフィルタであることを特徴とする、請求項12に記載の空気処理システム。
【請求項20】
前記の静電的に増大した粒子フィルタが平行板型沈殿フィルタである、請求項16に記載の空気処理システムであって、前記沈殿フィルタの交互に並ぶ板が高電位及び地電位と接続するように備えられている空気処理システム。
【請求項1】
少なくとも1つのすす粒子センサを有する、筐体に組み込まれる空気汚染センサシステムであって、
該筐体は空気処理システムを空気ダクト内部に有し、
該空気ダクトは、
前記筐体内部の空気と前記筐体外部の空気とのやり取りを可能にし、
空気を受ける空気吸入口、及び処理された空気を前記筐体内部へ放出する空気排気口を有し、
前記少なくとも1つのすす粒子センサは、
前記筐体内部の約5−500nm範囲の粒径を有するすす粒子を検知し、かつ、
前記すす粒子の検知に応答して汚染情報信号を供する、
能力を有する、
ことを特徴とする、空気汚染センサシステム。
【請求項2】
前記空気処理システムが前記空気ダクト内部に空気清浄ユニットをさらに有し、かつ、
前記すす粒子センサは前記空気清浄ユニット下流で前記すす粒子を検知するように備えられている、
ことを特徴とする、請求項1に記載の空気汚染センサシステム。
【請求項3】
前記すす粒子センサが前記筐体内部でかつ前記空気ダクト外部に備えられていることを特徴とする、請求項1に記載の空気汚染センサシステム。
【請求項4】
前記空気ダクト内部、又は前記の空気ダクトの排気口からすぐ下流に存在する前記処理された空気中の前記すす粒子を検知する能力を有する第2すす粒子センサユニットを少なくとも有する、請求項3に記載の空気汚染センサシステム。
【請求項5】
前記空気処理システムが電気制御可能な空気清浄ユニットを有する、請求項1に記載の空気汚染センサシステムであって、前記汚染情報信号を前記空気清浄ユニットへ供することで、前記空気清浄ユニットを制御する能力を有する空気汚染センサシステム。
【請求項6】
前記空気処理システムが、前記空気ダクトの前記吸気口と前記排気口との間で空気を動かす能力を有する制御可能なポンプ又は換気装置ユニットを有する、請求項1に記載の空気汚染センサシステムであって、前記汚染情報信号を前記空気清浄ユニットへ供することで、前記の空気の動きを制御する能力を有する空気汚染センサシステム。
【請求項7】
前記空気処理システムが、空気中に浮遊するすす粒子を少なくとも部分的に除去する能力を有する空気清浄ユニットを有し、
前記すす粒子センサユニットは前記空気清浄ユニットの下流に設けられ、
前記空気清浄ユニットは:
前記空気ダクトを通過する前記の空気中に浮遊するすす粒子の少なくとも一部を帯電させる能力を有する帯電部;及び、
前記帯電部下流に設けられていて、前記帯電部から受け取られる前記の空気中に浮遊するすす粒子の少なくとも一部を除去する能力を有する濾過部;
を有し、
前記すす粒子センサは、前記濾過部から受け取られる前記空気流のうちの少なくとも小さい容積が超微粒子センサによって受け取られるように備えられている、
ことを特徴とする、請求項1に記載の空気汚染センサシステム
【請求項8】
空気中に浮遊する、約5−500nm範囲の粒径を有するすす粒子を検知するために供される、請求項1に記載のシステム内に設置可能なセンサユニットであって:
空気中に浮遊する荷電すす粒子及び非荷電すす粒子を有する入力流入空気流を受け取る能力を有する吸入部;
すす粒子を有する入力流入空気流を受け取り、かつ波長260nm未満の放射線を有する紫外光で前記すす粒子の少なくとも一部を正に帯電させる能力を有する発光部;及び、
前記の空気中に浮遊する荷電すす粒子及び非荷電すす粒子を受け取り、静電的な粒子沈殿手順又は粒子濾過手順を実行することで前記荷電すす粒子の少なくとも一部を捕獲し、かつ、前記の空気中に浮遊するすす粒子が少なくとも部分的に剥離された出力空気流を供給する能力を有するすす粒子沈殿部;
を有するセンサユニット。
【請求項9】
前記電極が、同心円柱形状又は平行板状のすす粒子沈降分離装置を形成することを特徴とする、請求項8に記載のセンサユニット。
【請求項10】
前記すす粒子沈殿部が、電流計を介して地電位と接続するファラデー箱内に設けられた繊維質ほこりフィルタを貫通する第2流導管を有することを特徴とする、請求項8に記載のセンサユニット。
【請求項11】
請求項8に記載のセンサユニットであって、
前記発光部が、紫外光源とのセンサ筐体内壁との間に設けられている第1流導管を有し、
前記すす粒子沈殿部は、高電場を供するように備えられている2つの電極表面間に設けられている第2流導管を有する、
ことを特徴とし、
前記第2流導管が前記第1流導管よりも実質的に上になるように、縦方向に位置設定されることによって、熱煙突効果を生じさせる能力を有するセンサユニット。
【請求項12】
請求項1に記載のシステム内に設置可能な、空気清浄ユニットを有する空気処理システムであって:
前記すす粒子の少なくとも一部を帯電させる能力を有するすす粒子帯電部;及び、
前記帯電部から得られる前記空気流から、前記帯電したすす粒子の少なくとも一部を除去する能力を有する濾過部;
を有する空気処理システム。
【請求項13】
前記すす粒子帯電部が、前記濾過部の上流に設けられている紫外光源を1つ以上有し、かつ、
該紫外光源は、260nm未満の波長を有する波長スペクトルを有する放射線を放出する能力を有する、
ことを特徴とする、請求項12に記載の空気処理システム。
【請求項14】
前記すす粒子帯電部が、少なくとも1つの細いワイヤ電極又は針状電極をさらに有し、該細いワイヤ電極又は針状電極は、前記空気ダクトを通過する前記空気流を、高電圧で、前記細いワイヤ電極又は前記針状電極からのコロナ放電によって生成される単極的に帯電したイオン流に曝露する能力有する、
ことを特徴とする、請求項13に記載の空気処理システム。
【請求項15】
前記濾過部が、オゾンガスから前記空気流を清浄にする能力を有する活性化炭素を有することを特徴とする、請求項12に記載の空気処理システム。
【請求項16】
前記濾過部が、前記すす粒子帯電部の下流に設けられている静電的に増大した粒子フィルタを有することを特徴とする、請求項12に記載の空気処理システム。
【請求項17】
前記の静電的に増大した粒子フィルタがひだのある非導電性繊維質フィルタで、
該非導電性繊維質フィルタは、2つの導電性多孔質層の間に挟まれ、
該導電性多孔質層間では、電位差が作られることによって、前記非導電性繊維質フィルタにわたって外部印加された電場を生成することが可能となる、
ことを特徴とする、請求項16に記載の空気処理システム。
【請求項18】
前記帯電部と向かい合っている前記導電性多孔質層が高電位と接続し、かつ、
前記帯電部の外側を向いている前記導電性ガーゼ電極は地電位と接続する、
ことを特徴とする、請求項17に記載の空気処理システム。
【請求項19】
前記静電的に増大した粒子フィルタが繊維質エレクトレットフィルタであることを特徴とする、請求項12に記載の空気処理システム。
【請求項20】
前記の静電的に増大した粒子フィルタが平行板型沈殿フィルタである、請求項16に記載の空気処理システムであって、前記沈殿フィルタの交互に並ぶ板が高電位及び地電位と接続するように備えられている空気処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2008−510135(P2008−510135A)
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525437(P2007−525437)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【国際出願番号】PCT/IB2005/052650
【国際公開番号】WO2006/016345
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【国際出願番号】PCT/IB2005/052650
【国際公開番号】WO2006/016345
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
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