説明

空気消費量を低減させる中空本体の製造方法および装置

本発明は、輪郭を有するブロー成形金型(2a)内において熱可塑性プラスチックからなる加熱されたパリソンから成形される中空本体(7)特に耐熱性中空本体の製造方法および装置に関するものであり、中空本体(7)は、第1の媒体貯槽(32)内に貯蔵され且つ圧力p1の媒体をパリソン内に導入すること(予備ブロー成形工程)により、およびほぼ同時に延伸棒(6)により中空本体を延伸し、および第2の媒体貯槽(31)内に貯蔵され且つp1より高い圧力p2の媒体を中空本体内に導入すること(仕上ブロー成形工程)により成形され、および中空本体(7)は、第3の媒体貯槽内(33)内に貯蔵されている第3の媒体により冷却され(洗浄工程)、この場合、予備吹込媒体の圧力は2−20バール(2×10―20×10パスカル)であり、仕上吹込媒体の圧力は15−45バール(15×10―45×10パスカル)であり、および冷却媒体の圧力は30−45バール(30×10―45×10パスカル)である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輪郭を有するブロー成形金型内において熱可塑性プラスチックからなる加熱されたパリソンから成形される中空本体特に耐熱性中空本体の製造方法に関するものである。本発明は、さらに、このような方法がそれにより実行可能な装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品工業において、特に飲料工業においても、かなり前から、食品ないしは飲料を熱可塑性プラスチックからなる中空本体特にPETボトル内に充填する方向に移行してきている。飲料の保存性を延長させるために、例えば高温充填のような種々の方法が行われている。高温で充填されるべき飲料を例えばPETボトルのようなプラスチック容器内に充填したい場合、この容器に高い耐熱性が必要とされる。
【0003】
既知の耐熱性中空本体の製造方法および装置においては、パリソンがある圧力の媒体により予備ブロー成形され(予備ブロー成形工程)、および第2のステップにおいて、より高い圧力の媒体により仕上ブロー成形される(仕上ブロー成形工程)。仕上ブロー成形圧力は、プラスチック・ブランクがブロー成形金型の内壁に圧着されるような高さである。この圧力は、金型の輪郭を、成形されるボトルに理想的に転送するために、ある時間保持される。製造されるべき中空本体が耐熱性中空本体(いわゆる高温充填ボトル)である場合、金型壁が加熱され、輪郭を型出しするために、成形されるボトルがこの金型壁に圧着される。この加熱された内壁にボトルを保持することは、プラスチックを一部結晶化させる理由からであり、これにより、高い熱安定性および形状安定性を達成することができる。しかしながら、プラスチックの結晶化が強すぎた場合、プラスチックの好ましくない変色いわゆる乳白色化が発生する。金型から取り出すときのボトルの十分な形状安定性を確保し且つ上記の変色を阻止するために、高温充填が可能なプラスチック・ボトルの製造工程においては、プラスチック・ボトルを冷却することがきわめて重要である。冷却は例えばボトルの内部において行うことが可能である。このために、種々の媒体が使用可能である。圧縮空気による冷却が広く行われている。冷却空気ないしは洗浄空気はしばしば中空延伸棒を介してボトルに供給される。空気循環による十分な冷却を保証するためには、ボトル内壁から熱を搬出する空気流れを発生させるために、例えば弁が開放される。このとき、たいていの場合、いわゆる洗浄空気は空気供給源からボトルおよび消音器を介して大気中に流出する。この冷却工程後に、ボトル内に存在し且つなお残留圧力を有する残留媒体が排出される。たいていの場合、これは消音器を介して行われる。この方法の欠点は、特に冷却過程ないしは洗浄過程に基づく空気消費量がきわめて高いことである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
その空気消費量が既知の工程の空気消費量よりも著しく低減される、中空本体特に耐熱性中空本体の製造工程を提供することが本発明の課題である。さらに、本発明による工程に従って作業する装置を提供することが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
方法に関するこの課題を解決するために、請求項1に記載の方法ステップが実行される。この方法ステップにより、はじめに、第1の媒体貯槽内に圧力p1で貯蔵されている媒体、この場合好ましくは圧縮空気が、ブロー成形金型内に存在するパリソン内に導入され且つパリソンを変形させる(予備ブロー成形工程)。圧縮空気のほかに他の媒体が使用されてもよいことは当然である。この場合、蒸気状媒体または液状媒体のような他の物質状態のみならず、他の組成もまた考えられる。空気のほかに、例えば窒素または酸素またはこれらからなる種々の混合物のような種々のガスが使用されてもよい。蒸気状媒体として例えば水蒸気が使用されてもよい。しかしながら、例えば水のような種々の液状媒体により成形工程を実行することもまた考えられる。本方法は特定のプラスチック・プリフォームの使用に限定されず、したがって、例えばPETパリソン、PVCパリソン等にも使用可能である。
【0006】
少なくとも1つの媒体貯槽は種々のタイプで形成可能である。例えば球形貯槽、角形貯槽またはリング状貯槽が考えられる。上記以外の他の貯槽形状もまた可能であり且つそれらが除外されないことは明らかである。
【0007】
予備吹込媒体の圧力p1は2−20バール(2×10−20×10パスカル)であり、この場合、好ましい実施形態においては、圧力が3−10バール(3×10−10×10パスカル)である。ブロー成形工程のこの工程においては、パリソンを縦方向に延ばすために、延伸棒がパリソンの開口からパリソンの底部の方向に移動することにより、パリソンの延伸もまた開始される。延伸棒は、ブロー成形工程の種々の要求に対応するために、中実に形成されるのみならず、切込みが設けられていても、または完全に中空に形成されていてもよい。
【0008】
中空本体が予備ブロー成形されたのちに、再度圧力p2の媒体が導入され、この場合、p2はp1より高い。これにより、中空本体はそのブロー成形が完了し且つブロー成形金型内壁に圧着される(仕上ブロー成形工程)。一方で、仕上吹込媒体は異なる物質状態を有する異なる媒体であってもよい。仕上ブロー成形においては予備ブロー成形と同じ媒体が使用されることが好ましく、好ましい実施形態においては、これは圧縮空気である。仕上吹込媒体の圧力p2は15−45バール(15×10−45×10パスカル)であり、20−30バール(20×10−30×10パスカル)の圧力が好ましい。特に好ましい変更態様においては、23−26バール(23×10−26×10パスカル)の仕上吹込媒体が使用される。
【0009】
耐熱性中空本体の製造においては、製造されるべき容器の部分結晶化したがって安定化を達成するために、ブロー成形金型内壁が加熱される。仕上ブロー成形のステップにより加熱されたブロー成形金型内壁に圧着された中空本体を冷却し且つこれにより型外しにおける好ましくない逆収縮硬化を回避するために、他のステップにおいて、圧力p3の洗浄/冷却媒体が貯槽から中空本体内に導入される。冷却媒体の導入は、製造されるべき容器の上端に装着された吹込ノズルを介して行われても、または中空延伸棒を介して行われてもよい。中空延伸棒は下側に開放されていてもよく、このとき、中空延伸棒は、容器の底部がきわめて適切に冷却可能であるという利点を有している。ブロー成形工程に基づき、例えば首部領域ないしは胴部領域内よりも底部領域内により多くの材料が存在するので、このことは特に重要である。しかしながら、より多くの材料とは、中空本体の型外しにおいて形状安定性を保証するために、搬出されなければならないより多くの蓄積熱もまた意味している。冷却空気が中空延伸棒を介して中空本体内に導入される場合、好ましい実施形態においては、容器内壁の特定の領域をきわめて適切に冷却可能にするために、下側に向けられた開口に追加して、側部にもいくつかの穴が存在する。冷却媒体は異なる組成および異なる状態であってもよい。好ましい実施形態においては、冷却媒体は予備ブロー成形および仕上ブロー成形と同じ媒体である。この場合、圧力p3は30−45バール(30×10−45×10パスカル)、好ましくは37−45バール(37×10−45×10パスカル)である。冷却/洗浄媒体貯槽は他の貯槽と同じタイプに形成されていることが好ましい。
【0010】
洗浄空気圧力p3は仕上ブロー成形空気の圧力p2より大きいので、洗浄空気は、この工程においては、ボトルを冷却するのみならず、製造されるべき中空本体の輪郭を完全に型付けする(型付け工程)という課題もまた有している。製造されるべき中空本体の輪郭の完全な型付けが仕上ブロー成形工程内のみにおいてはもはや完了されないことにより、仕上ブロー成形工程の工程時間は、ほぼ輪郭の型付けのために実行されるであろう部分だけ短縮可能である。工程のこの部分においては、媒体貯槽即ち冷却媒体貯槽と中空本体との接続配管が開放されるだけでよい。この時点においてボトル内にかかっているp2と、p3との差圧に基づき、洗浄/冷却空気媒体貯槽と中空本体との接続配管の開放後に冷却媒体は中空本体内に流入するが、中空本体内の圧力が洗浄/冷却媒体貯槽内の圧力に等しくなるまでの間だけ流入すればよい。冷却媒体の中空本体内へのこの制限された流入に基づき、中空本体の冷却は工程のこの時点においてはまだ終了されていない。中空本体内の圧力が冷却/洗浄媒体貯槽内の圧力に等しくなったとき、ボトルの輪郭の所定の型付けおよび容器壁における結晶化を支援するために、この状態がある時間保持される。
【0011】
この型付け工程ののちに、ボトルと、洗浄空気の圧力より低い圧力を有する媒体貯槽との接続が形成されることによりボトルの冷却が継続して行われ、一方、ボトルと洗浄/冷却空気媒体貯槽との接続は開放されたままである。これにより、洗浄空気は、ボトルを介して、より低い圧力を有する媒体貯槽内に流入し、且つボトルは空気運動により内部から冷却される。この場合、冷却空気は熱を受け取り且つ熱をより低い圧力を有する媒体貯槽に搬送する。即ち、既知の工程とは異なり、本発明による工程においては、ボトルの洗浄は周囲の方向に行われず、他の媒体貯槽の方向に行われる。この他の貯槽内には既に過圧がかかっているので、周囲の方向への洗浄に比較して洗浄空気流量は減少する。これは洗浄時間の延長により補償される。仕上ブロー成形における工程時間が短縮されるので、洗浄時間の延長にもかかわらず、ブロー成形工程の全体が延長される必要はない。
【0012】
即ち、その方向に洗浄される媒体貯槽にはボトルを介して洗浄/冷却空気媒体貯槽から空気が供給されるので、固有のプロセス空気供給源はもはや必要ではない。本発明による工程における洗浄空気は最も高い圧力を有する媒体であるので、ブロー成形工程の他のいずれの媒体貯槽の方向にも洗浄可能である。しかしながら、それぞれの媒体貯槽内にかかっている圧力は異なるので、異なる圧力差およびこの結果としての異なる圧力均衡時間に基づき、洗浄/冷却時間は適合且つ調節されなければならない。
【0013】
冷却工程の終了時に上記の洗浄空気流れが再び停止され且つなおボトル内に存在する残留圧縮空気が排出され、これにより、ボトル内にはほぼ周囲条件が支配している。この残留空気の排出は周囲の方向に対してのみならず他の媒体貯槽の方向にも実行可能である。
【0014】
従属請求項により、本発明による方法を変更形態として形成する可能性が存在する。
少なくとも1つの媒体は圧縮空気であることが好ましい。好ましい実施形態においては、媒体のタイプはいかなるプロセス・ステップにおいても変更されない。これにより、このときに好ましくない混合が行われることなく、異なる貯槽間において媒体を往復搬送することが可能である。圧力がほぼ一定のレベルに保持されるだけでよい。
【0015】
この有利な変更形態においては、媒体貯槽内の圧力をできるだけ一定に保持するために、媒体貯槽に例えば均圧タンクのような均圧装置が設けられる。異なる圧力レベルを有する媒体貯槽間の接続が形成されるので、これは特に目的に適うものであり、この場合、貯槽内の目標圧力はできるだけ変化しないようにすべきである。種々の均圧装置が考えられるが、全て、媒体貯槽内の圧力変化が目標値の10%を超えないように設計されているべきである。
【0016】
しかしながら、均圧装置の代わりに、ブロー成形ステーションの手前に圧力を制御する絞り弁を挿入することもまた考えられ、この圧力は、この場合、最終的にそれぞれのプロセス・ステップに対して必要とされるよりも常にやや高く供給されなければならない。
【0017】
本発明の他の有利な変更形態においては、冷却工程後になおボトル内に存在する媒体が、周囲の方向に圧抜きされず、存在する媒体貯槽の1つ内に供給される。これにより、例えば制御空気媒体貯槽に供給されてもよいであろう。好ましい変更態様においては、媒体貯槽は既に存在するものではなく、他の第4の媒体貯槽好ましくは低圧媒体貯槽である。このような低圧媒体貯槽は、例えば、それを介して例えば圧縮空気ピストルに圧縮空気が供給される、例えば工場の圧縮空気網であってもよい。このような供給により、吹込媒体のリサイクル率がさらに改善される。
【0018】
装置に関して、本発明に基づく課題は請求項9の特徴により解決される。
請求項9に記載のように、本発明による装置は、ブロー成形過程の間にパリソンないしはボトルがその中に存在する、輪郭を有するブロー成形金型と、それによりパリソンがその縦軸に沿って延伸される延伸棒と、およびその中にブロー成形過程のプロセス媒体が存在する少なくとも3つの媒体貯槽とを含む。この場合、予備吹込媒体の圧力は2−20バール(2×10−20×10パスカル)好ましくは3−10バール(3×10−10×10パスカル)である。仕上吹込媒体の圧力は15−45バール(15×10−45×10パスカル)好ましくは23−26バール(23×10−26×10パスカル)であり、および洗浄媒体の圧力は30−45バール(30×10−45×10パスカル)好ましくは37−40バール(37×10−40×10パスカル)である。
【0019】
従属請求項は装置の他の有利な変更態様を示す。機械は回転式延伸ブロー成形機であることが好ましい。しかしながら、この方法は、他の延伸ブロー成形機または例えば押出ブロー成形機のような他の機械タイプに使用することもまた考えられる。
【0020】
好ましい変更態様においては、少なくとも1つのステップ内におけるプロセス媒体として圧縮空気が使用される。各プロセス・ステップにおいて圧縮空気が使用されることが好ましい。しかしながら、方法に関して既に記載のように、異なる物質状態の任意の媒体を使用することもまた考えられる。好ましい変更態様においては、プロセス空気を定置部分から機械の回転部分へ供給する、機械への中央空気供給装置が存在する。
【0021】
媒体貯槽は種々のタイプおよび方法で形成されていてもよい。例えば球形媒体貯槽または角形媒体貯槽が考えられる。好ましい実施形態においては、貯槽はほぼリングを形成するチャネルであり、リングは閉鎖された2つの半円から形成されている。この場合、半円はほぼ四角形に対応する断面を有している。
【0022】
他の好ましい変更態様により、チャネル内の圧力をほぼ一定に保持するために、リング・チャネルに均圧装置が接続されている。圧力が一定であることは、製造されるべき製品の品質に対してきわめて重要である。
【0023】
好ましい変更態様により、洗浄/冷却空気は中空延伸棒を介して中空本体内に供給される。この場合、延伸棒内には、下側端部のみならず側部にもまた穴が設けられていることが好ましく、これらの穴を介して冷却空気が適切にボトル内壁の所定の位置に流出可能である。
【0024】
他の好ましい変更形態により、機械は、予備吹込および仕上吹込用媒体、中空本体の冷却用媒体および機械の制御用媒体および延伸棒の(上方および下方)制御用媒体を受け入れる6つのリング・チャネル貯槽を有している。
【0025】
以下に、本発明の実施例を図面により説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1に示す装置は、飲料工業用の、ボトルの形のPETからなる耐熱性中空本体7を製造するように構成されている。装置は本質的にある数のブロー成形ステーション2を含み、ブロー成形ステーション2内において、中空本体7がブロー成形金型2a内に埋め込まれ且つ過圧が加えられ、これにより中空本体7はボトルに成形される。装置は、さらに、ブロー成形ステーション2ごとにそれぞれ主吹込空気配管5aを含み、主吹込空気配管5aは洗浄/冷却空気媒体貯槽33に接続されている。ブロー成形車の内部に均圧タンク38が存在し、均圧タンクの役目は、媒体貯槽31−36の圧力レベルをできるだけ一定に保持することである。媒体貯槽31−36は、図1の装置においては、リング・チャネルとして形成されている。
【0027】
図2−4により、本発明の具体的な実施形態のプロセス経過を以下に説明する。中央プロセス媒体供給装置5が存在し、中央プロセス媒体供給装置5は、使用圧力のプロセス媒体を定置部分から回転分配装置70を介して機械の回転部分に供給する。ここで、各部分工程に対して圧縮空気が使用され、圧縮空気の圧力は機械の回転部分への供給において40バール(40×10パスカル)である。この空気は、洗浄/冷却空気媒体貯槽33内に、これが充満されるまで供給される。中央プロセス媒体供給装置5から仕上吹込媒体貯槽31への接続配管5bが存在し、接続配管5bは自動逆止弁57により制御される。機械の運転中に仕上吹込媒体貯槽31内の圧力がその目標値から約10%低下したとき、自動逆止弁57が開放し、且つ仕上吹込媒体貯槽31に接続配管5bを介してプロセス媒体供給装置5から空気が供給され、仕上吹込媒体貯槽31内の圧力が再びたかだか目標値以下10%の圧力が存在するまでの間供給される。このケースは、例えば機械の始動時に、媒体貯槽31−36内に過圧がまだ形成されていないときに発生する。これにより、仕上吹込媒体貯槽31には、仕上運転の前に予め、プロセス空気が供給される。自動逆止弁58、59a、59bおよび接続配管5g、5hおよび5iを介して、仕上吹込媒体貯槽31から、制御空気媒体貯槽34、「延伸棒上方」媒体貯槽35および「延伸棒下方」媒体貯槽36に圧縮空気が供給される。自動逆止弁58は、この場合、約10バール(10×10パスカル)の値に設定され、これにより制御空気媒体貯槽内にこの圧力を設定可能である。「延伸棒上方」媒体貯槽35および「延伸棒下方」媒体貯槽36は約6バール(6×10パスカル)の圧力のプロセス空気で充満されている。したがって、自動逆止弁59aおよび59bは約6バール(6×10パスカル)に設定されるだけでよい。
【0028】
予備ブロー成形のためのプロセス空気を提供する予備吹込媒体貯槽32にもまた、自動逆止弁56および接続配管5eを介して圧縮空気が供給される。予備ブロー成形圧力は約5バール(5×10パスカル)の値であるので、自動逆止弁56もまたほぼこの圧力に設定されている。
【0029】
図2はさらにブロー成形ステーション2を示す。ブロー成形ステーション2は、弁ブロック50、吹込ノズル60、ブロー成形金型2aおよび中空延伸棒6からなっている。一方、弁ブロック50は、プロセス空気の流入ないしは流出を制御する弁51−55からなっている。吹込ノズル60は中空本体7の上部に装着され且つ接続配管5dおよび5kを介して弁ブロック50と接続されている。機械の運転時に閉鎖された金型2aと、およびブロー成形されるべき中空本体7との中に挿入される中空延伸棒6は、主吹込空気配管5aを介して洗浄/冷却空気媒体貯槽33と接続されている。
【0030】
媒体貯槽31−36の全てが充満されているとき、中空本体7の本来の製造プロセスが開始可能である。
はじめに、ブロー成形されるべき中空本体7が金型2a内に挿入され、次に金型2aが閉鎖される。吹込ノズル60が中空本体7の上部に装着されたのち、中空本体7を縦方向に延伸させるために、中空延伸棒6が中空本体7内に上から挿入可能である。その直後に弁ブロック50内の弁51が開放され(図3、点81参照)、これにより、約5バール(5×10パスカル)の予備吹込空気を、接続配管5fおよび5dを介して吹込ノズル60の供給通路61内に、したがって中空本体7内に導くことが可能である。このとき、中空本体7は、ブロー成形金型壁の方向へ、半径方向にも延伸される。予備ブロー成形が終了したとき、弁51が再び閉鎖され且つ仕上吹込弁52が開放される(図3、点82参照)。これにより、約30バール(30×10パスカル)の圧力の仕上吹込空気が、仕上吹込媒体貯槽31から、接続配管5c、5dおよび吹込ノズル60の空気通路61を介して中空本体7内に流入する。ここでほぼ仕上げられた中空本体7内に圧力が形成されたとき、仕上ブロー成形工程が終了し、且つ仕上吹込弁52が再び閉鎖される。この工程時点において、中空本体は確かにその最終外側形状を既にほぼ達成しているが、その輪郭はなお完全には型付けされていない。このために、型付け工程が行われ、型付け工程は、洗浄/冷却空気弁53の開放(図3、点83参照)により開始される。これにより、約40バール(40×10パスカル)の圧力の低温洗浄空気が、洗浄/冷却空気媒体貯槽33から、接続配管5aおよび中空延伸棒6を介して中空本体7内に流入する。中空本体7内に圧力が形成された(図3、点83a参照)のち、中空本体7を完全に型付けするために、中空本体7はさらに少しの時間このレベルに保持される。洗浄空気のボトル内壁に対する温度差により、洗浄空気は多少加熱され且つボトル内壁はより低温となる。しかしながら、この時点において既に中空本体7をブロー成形金型2aから取り出そうとする場合、中空本体7は、なお含んでいる残留熱のためにきわめて不安定であろう。この理由から、中空本体7はさらに冷却されなければならない。このために、洗浄/冷却空気弁53がなお開放されたまま、仕上吹込弁52が改めて開放される(図3、点83b参照)。これにより、中空本体7内に存在するやや加熱された洗浄空気が、吹込ノズル60内の空気通路61および接続配管5dおよび5cを介して仕上吹込媒体貯槽31内に逆流可能である。この状態もまた、一方で中空本体7を冷却するために中空本体7内に必要な空気循環を発生させるために、他方で仕上吹込媒体貯槽31にプロセス空気を供給するために、少しの時間保持され、これにより、次のブロー成形ステップのために十分な圧縮空気が供給される。このプロセス・ステップにおいて、均圧により、中空本体7内に約30バール(30×10パスカル)の圧力が設定される(図3、点83c参照)。同時に空気リサイクル工程としても働くこの冷却/洗浄工程が終了したとき、仕上吹込弁52および洗浄/冷却空気弁53が閉鎖され、一方同時に圧抜き弁55が開放され(図3、点84参照)、これにより、中空本体7内に存在するプロセス空気が、吹込ノズル60の空気通路62、接続配管5kおよび接続配管5lを介して消音器65内に流入可能である(圧抜き工程)。これにより、圧抜き弁55の開放後においては中空本体7内にほぼ周囲条件が支配している。
【0031】
しかしながら、洗浄/冷却工程ないしはリサイクリング工程後の圧抜きが、消音器65の方向ではなく、作業空気媒体貯槽37の方向に行われてもよい。このために、仕上吹込弁52および洗浄/冷却空気弁53が閉鎖されるのと同時に作業空気弁54が開放され(図3、点84参照)、これにより、中空本体7内の約30バール(30×10パスカル)の圧力の空気が、吹込ノズル60内の空気通路62および接続配管5kおよび5mを介して、作業空気媒体貯槽37内に流入可能である。作業空気媒体貯槽37から、接続配管5nおよび回転分配装置70を介して、空気を機械の回転部分から定置部分内に導入することが可能であり、これにより、機械の周辺内において行われる他のプロセスにプロセス空気を供給することが可能である。図示の実施形態においては、作業空気媒体貯槽37は機械の回転部分内に存在する。しかしながら、作業空気媒体貯槽37を定置部分または機械の外側に設置することもまた可能である。この場合には、空気は、圧抜き工程において、接続配管5mないしは5nを介して直接機械の回転分配装置70内に、したがって定置部分内に導かれるであろう。
【0032】
上記のようにプロセス空気が直ちに消音器65を介して圧抜きされないで、プロセス空気が作業空気媒体貯槽37を介して機械から導かれる場合、圧抜きは作業空気媒体貯槽37内に予めかかっている圧力レベルに至るまで行われるにすぎない。中空本体7内に存在する残留空気は回収されることなく、吹込ノズル60内の空気通路62、接続配管5kおよび5lを介して、および消音器65を介して大気中に導かれる。このために、中空本体7内の圧力と作業空気媒体貯槽37内の圧力とが同じになったのちに、作業空気弁54が閉鎖され且つ圧抜き弁55が開放される。
【0033】
プロセス空気流量を増大し、したがって機械の処理能力も向上させるために、弁ブロック50内の弁は異なって形成されていてもよい。断面が拡大されることにより1つの弁を通過する最大可能空気流量が上昇されても、または1つの切換点に複数の弁が設けられてもよい。即ち、例えば、圧抜きにおいて、1つの圧抜き弁55の代わりに、2つの圧抜き弁55および55′が使用されてもよい。
【0034】
図3および図4は、機械位置(°)に関する吹込圧力(バール)を表わした工程線図と、および機械位置(°)に関する弁51−55′の切換線図とを示す。
工程の開始(機械位置0°)においては、予備吹込弁51、仕上吹込弁52および洗浄/冷却空気弁53は閉鎖され、圧抜き弁55および55′は開放されている。ある時間tののちに、予備吹込弁51の開放により予備ブロー成形過程がスタートされる(機械位置54°)。これにより、約5バール(5×10パスカル)の予備吹込空気が予備吹込媒体貯槽32から中空本体7内に搬送される。ほぼ同時に、圧抜き弁55および55′もまた閉鎖される。予備ブロー成形過程が終了したのち、予備吹込弁51が再び閉鎖され且つ仕上吹込弁52が開放される(機械位置64°)。仕上吹込弁52の閉鎖後に洗浄/冷却空気弁53が開放される(機械位置100°)。
【0035】
中空本体7の型付けが完了したとき、仕上吹込弁52が再度開放され(図3、点83b参照)、これにより、ここで、圧縮空気が、洗浄/冷却空気媒体貯槽33から、ブロー成形ステーション2を介して仕上吹込媒体貯槽31内に流入可能である(機械位置197°)。即ち、工程のこの時点においては、仕上吹込弁52および洗浄/冷却空気弁53は開放されている。仕上ブロー成形されたボトルが十分に冷却されたとき、仕上吹込弁52および洗浄/冷却空気弁53が閉鎖され、並びに圧抜き弁55および55′が開放され(図3、点84参照)、これにより、ボトル内に存在する約30バール(30×10パスカル)の圧縮空気は、圧抜き弁55、55′および消音器65を介して周囲に放出され、したがって、中空本体7内にはほぼ周囲条件が支配している(機械位置292°)。さらにブロー成形されるべき新たな中空本体7が再びブロー成形金型2a内に挿入されるまでの残りの工程時間(機械位置回転の68°)は、ブロー成形が完了したボトルの圧抜きおよびブロー成形金型2aの開放のために必要とされる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は回転式延伸ブロー成形機のブロー成形ホイールの略平面図を示す。
【図2】図2はブロー成形ステーションおよびプロセス媒体供給装置の略側面図を示す。
【図3】図3は本発明による耐熱性中空本体の製造方法の工程線図を示す。
【図4】図4は本発明による製造工程における弁切換点の線図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輪郭を有するブロー成形金型(2a)内において熱可塑性プラスチックからなる加熱されたパリソンから成形される中空本体(7)特に耐熱性中空本体の製造方法において、
次のステップ、即ち、
a)中空本体(7)を延伸し、および第1の媒体貯槽(32)内に貯蔵され且つ圧力p1の媒体をパリソン内に導入するステップ(予備ブロー成形工程)と、
b)第2の媒体貯槽(31)内に貯蔵され且つp1より高い圧力p2の第2の媒体を中空本体(7)内に導入するステップ(仕上ブロー成形工程)と、
c)第3の媒体貯槽(33)内に貯蔵され且つp2より高い圧力p3の第3の媒体を供給することにより中空本体(7)を内部から冷却するステップ(冷却工程)、および圧力差による結果として中空本体(7)を完全に型付けするステップ(型付け工程)と、
d)中空本体(7)を介して、第3の媒体貯槽(33)と、より低い圧力の媒体貯槽(31、32、34、35、36)との間の接続を形成し、およびこの結果として中空本体(7)の内部を冷却するステップ(洗浄工程)と、
e)この接続を切り離し、および中空本体(7)内にほぼ周囲圧力がかかるように中空本体(7)から媒体を排出するステップ(圧抜き工程)と、
を少なくとも有する、中空本体の製造方法。
【請求項2】
媒体が圧縮空気であることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項3】
媒体貯槽(31−36)内の圧力をほぼ一定に保持するために、少なくとも1つの媒体貯槽(31−36)に少なくとも1つの均圧装置(38)が設けられていることを特徴とする請求項1または2の方法。
【請求項4】
中空本体(7)からの媒体の排出が、中空本体(7)内にほぼ周囲圧力がかかるように、第4の媒体貯槽(37)内に行われることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの方法。
【請求項5】
第4の媒体貯槽が低圧媒体貯槽(37)により形成されることを特徴とする請求項4の方法。
【請求項6】
特徴d)に記載のより低い圧力の媒体貯槽(31、32、34、35、36)が、第1または第2の媒体貯槽(32、31)またはそれらの組み合わせにより形成されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかの方法。
【請求項7】
特徴d)に記載のより低い圧力の媒体貯槽(31、32、34、35、36)が、第4の媒体貯槽(37)または第5の媒体貯槽またはそれらの組み合わせにより形成されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかの方法。
【請求項8】
特徴c)に記載の冷却媒体の供給が中空延伸棒(6)を介して行われることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかの方法。
【請求項9】
中空本体(7)特に耐熱性中空本体(7)の製造装置であって、
中空本体(7)が、輪郭を有するブロー成形金型(2a)内において、熱可塑性プラスチックからなる加熱されたパリソンから、第1の媒体貯槽(32)内に貯蔵され且つ圧力p1の媒体をパリソン(7)内に導入すること(予備ブロー成形工程)により、およびほぼ同時に延伸棒(6)によって中空本体(7)を延伸し、および第2の媒体貯槽(31)内に貯蔵され且つp1より高い圧力p2の第2の媒体を中空本体(7)内に導入すること(仕上ブロー成形工程)により成形され、および、中空本体(7)が、第3の媒体貯槽(33)内に貯蔵されている第3の媒体によって冷却される(洗浄工程)ように構成した、中空本体(7)の製造装置において、
予備吹込媒体の圧力が2−20バール(2×10―20×10パスカル)であり、仕上吹込媒体の圧力が15−45バール(15×10―45×10パスカル)であり、および冷却媒体の圧力が30−45バール(30×10―45×10パスカル)であることを特徴とする中空本体の製造装置。
【請求項10】
装置が回転式延伸ブロー成形機(1)であることを特徴とする請求項9の装置。
【請求項11】
少なくとも1つの媒体が圧縮空気であることを特徴とする請求項9または10の装置。
【請求項12】
機械への中央空気供給装置が存在することを特徴とする請求項9ないし11のいずれかの装置。
【請求項13】
中央空気供給装置に40バール(40×10パスカル)の圧力がかかっていることを特徴とする請求項12の装置。
【請求項14】
媒体貯槽(31−37)がリング・チャネルであることを特徴とする請求項9ないし13のいずれかの装置。
【請求項15】
リング・チャネル(31−37)が、それぞれ閉鎖された2つの半円形チャネルからなることを特徴とする請求項14の装置。
【請求項16】
媒体貯槽(31−37)内の圧力をほぼ一定に保持するために、少なくとも1つの媒体貯槽(31−37)に少なくとも1つの均圧装置(38)が設けられていることを特徴とする請求項9ないし15のいずれかの装置。
【請求項17】
冷却空気が中空延伸棒(6)を介して中空本体(7)内に供給されることを特徴とする請求項9ないし16のいずれかの装置。
【請求項18】
延伸棒(6)が下側のみならず側部にも穴を有し、供給されたプロセス媒体がこれらの穴から流出可能であることを特徴とする請求項17の装置。
【請求項19】
成形されるべき中空本体(7)上に吹込ノズル(60)が装着され、吹込ノズル(60)は、その上方に存在する弁ブロック(50)に連絡する少なくとも1つの接続通路(61、62)を有することを特徴とする請求項9ないし18のいずれかの装置。
【請求項20】
弁ブロック(50)が、中空本体(7)からの媒体流れおよび中空本体(7)への媒体流れを制御する少なくとも1つの弁(51−55)を有することを特徴とする請求項19の装置。
【請求項21】
6つの媒体貯槽(31−36)、即ち予備吹込媒体を貯蔵するための媒体貯槽(32)、仕上吹込媒体を貯蔵するための媒体貯槽(31)、冷却媒体を貯蔵するための媒体貯槽(33)および制御媒体を貯蔵するための媒体貯槽(34)並びに延伸棒の(上方および下方)運動を制御するための媒体を貯蔵するための媒体貯槽(35−36)が設けられていることを特徴とする請求項9ないし20のいずれかの装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−530314(P2007−530314A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504285(P2007−504285)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002399
【国際公開番号】WO2005/092594
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(591034383)クロネス・アクチェンゲゼルシャフト (35)
【氏名又は名称原語表記】KRONES AG
【Fターム(参考)】