説明

空気溶解水発生装置

【課題】簡単な構成で水中に多量の空気を溶解させると同時に、その中に多量の微細な気泡を包含させた高性能水を発生させることができる空気溶解水発生装置を提供する。
【解決手段】空気34と水12とを混合して泡沫水13を発生させる泡沫水発生部4と、この泡沫水発生部4の下流側に設けられ泡沫水13を濡れ壁材11に接触させて水12に空気34を溶解させる第1の空気溶解部10と、
この第1の空気溶解部15の下流側に設けられ泡沫水13を粒状体又は繊維体又は多孔体、あるいはこれらのうちの2種類又は3種類の組合せに接触させて水に空気を溶解させる第2の空気溶解部15とを有することを特徴とする空気溶解水発生装置1による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡単な構成で水中に多量の空気を溶解させると同時に、その中に高密度に微細気泡を包含させた高性能水を発生させることができ、また、硬水を軟水化し、さらに、水中の塩素イオンを失活又は吸着除去することができる空気溶解水発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工業製品の部品・製品から食器、衣類、車、人体、ペット等の洗浄は必須の作業である一方、洗浄のための洗剤や有機溶剤は環境汚染の原因となったり、作業者の健康を害するおそれがあった。
また、特に工業製品の部品・製品の洗浄の分野においては、クロロフルオロカーボン(いわゆるフロン)を用いた脱脂洗浄が盛んに行われていたが、オゾン層破壊の現状が世界的に認知され、環境破壊への危惧から、フッ素系の有機溶剤やハロゲンを含まない有機溶剤(炭化水素系、アルコール系)が開発され使用されるようになったが、これらはコストが高い上、依然として作業者の健康に悪影響を及ぼす可能性があった。
このような事情に対処するため、近年、洗剤や有機溶剤の使用量を大幅に削減することができる微細気泡(いわゆるマイクロバブル)を用いた洗浄方法が注目されており、空気等の微細気泡を発生させるための発明がいくつか開示されている。このような微細気泡による洗浄方法は、安全性や環境保護の観点から特に人体の洗浄において注目されており、この分野でも既にいくつか発明が開示されている。
【0003】
例えば特許文献1には、「浴槽装置」という名称で、入浴時の垢落とし等の手間を簡略化することができる浴槽装置に関する発明が開示されている。
このような特許文献1に記載の発明は、浴槽に供給する水を軟水化するための軟水器と、微細気泡発生装置とを備えたことを特徴とするものであり、洗浄水の海面活性作用を高め、肌への接触感覚を柔らかなものにすると同時に、肌にしっとり感を与えることができるという効果を有する。
【0004】
また、特許文献2には、「気泡発生方法および気泡発生装置」という名称で、微小気泡を高密度に含有する液体を提供するための気泡発生方法およびその装置に関する発明が開示されている。
特許文献2に記載の発明は、気液混合水を固体の表面に接触するように保持し、この固体を振動させて気液混合水に衝撃を与えることで気泡を微小化することを特徴とするものであり、微細な気泡を発生させることができるという効果を有する。
【0005】
【特許文献1】特開2001−178648号公報
【特許文献2】特開2005−138022号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の従来技術である特許文献1に開示される発明においては、軟水と微細気泡による洗浄効果は浴槽内においてのみ期待することが可能である。 つまり、特許文献1に記載の発明は、軟水化され微細気泡を含有した液体を発生させて吐出するための装置ではないので、高い洗浄力を有する気液混合水をシャワー等の洗浄設備に用いる場合には、別途ポンプ等で浴槽から汲み出す必要があり煩雑であった。
【0007】
また、特許文献2に記載の発明においては、微細な気泡を発生させることが可能であるものの、微細な気泡を発生させるためには気泡を含有させた液体を保持する保持容器に打撃を与え続ける必要があり、液体の保持部分が劣化し易く破損し易いという課題があった。
また、特許文献2に記載の発明においては、液体に打撃を与えるための振動設備を設ける必要があり、装置自体が複雑となり、しかも高価になる可能性があった。
【0008】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、簡単な構成で水中に多量の空気を溶解させると同時に、その中に高密度に微細気泡を包含させた高性能水を発生させることができ、また、硬水を軟水化し、さらに、水中の塩素イオンを失活又は吸着除去することができる空気溶解水発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明である空気溶解水発生装置は、容器と、この容器内において空気と水とを混合して泡沫水を発生させる泡沫水発生部と、この泡沫水発生部の下流側に設けられ泡沫水を濡れ壁材に接触させて水に空気を溶解させる第1の空気溶解部と、この第1の空気溶解部の下流側に設けられ泡沫水を粒状体又は繊維体又は多孔体、あるいはこれらのうちの2種類又は3種類の組合せに接触させて水に空気を溶解させる第2の空気溶解部とを有することを特徴とするものである。
上記構成の発明において、泡沫水発生部は空気と水とを混合して泡沫水を発生させるという作用を有する。
また、第1の空気溶解部は、泡沫水を濡れ壁材の表面に接触させることにより空気と水との接触面積を増大させて、水への空気の溶解を促進するという作用を有する。
さらに、第2の空気溶解部は、泡沫水を粒状体又は繊維体又は多孔体、あるいはこれらのうちの2種類又は3種類の組合せに接触させることで、再度空気と水との接触面積を増大させて、水への空気の溶解を促進するという作用を有する。
【0010】
請求項2記載の発明である空気溶解水発生装置は、容器と、この容器内において空気と水とを混合して泡沫水を発生させる泡沫水発生部と、この泡沫水発生部の下流側に設けられ泡沫水を濡れ壁材に接触させて水に空気を溶解させる第1の空気溶解部と、この第1の空気溶解部の下流側に設けられ泡沫水を粒状体又は繊維体又は多孔体、あるいはこれらのうちの2種類又は3種類の組み合わせに接触させて水に空気を溶解させる第2の空気溶解部と、この第2の空気溶解部の下流側に設けられ泡沫水を粒状体又は繊維体又は多孔体、あるいはこれらのうちの2種類又は3種類の組合せに接触させて水に空気を溶解させる第3の空気溶解部とを有することを特徴とするものである。
上記構成の発明において、泡沫水発生部は空気と水とを混合して泡沫水を発生させるという作用を有する。
また、第1の空気溶解部は、泡沫水を濡れ壁材の表面に接触させることにより空気と水との接触面積を増大させて、水への空気の溶解を促進するという作用を有する。
さらに、第2の空気溶解部は、泡沫水を粒状体又は繊維体又は多孔体、あるいはこれらのうちの2種類又は3種類の組合せに接触させることで、再度空気と水との接触面積を増大させて、水への空気の溶解を促進するという作用を有する。
そして、第3の空気溶解部において、泡沫水を粒状体又は繊維体又は多孔体、あるいはこれらのうちの2種類又は3種類の組合せに接触させることで、さらに空気と水との接触面積を増大させて、水への空気の溶解を促進するという作用を有する。
【0011】
請求項3記載の発明である空気溶解水発生装置は、請求項1記載の空気溶解水発生装置であって、第2の空気溶解部の粒状体又は繊維体又は多孔体、あるいはこれらのうちの2種類又は3種類を組み合わせたものは、イオン交換樹脂又は合成ゼオライト又はイオン吸着材の少なくともいずれか1つ、又は/及び、アスコルビン酸又は活性炭の少なくともいずれか1つから成ることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1記載の発明の作用と同じ作用に加え、イオン交換樹脂又は合成ゼオライト又はイオン吸着材の少なくともいずれか1つは、水中のマグネシウムイオンおよびカルシウムイオンを除去して水を軟水化するという作用を有する。
また、アスコルビン酸は、水中の塩素イオンと化合して水素イオンを失活させるという作用を、また、活性炭は、水中の塩素イオンを吸着除去するという作用をそれぞれ有する。
【0012】
請求項4記載の発明である空気溶解水発生装置は、請求項2に記載の空気溶解水発生装置であって、第2の空気溶解部の粒状体又は繊維体又は多孔体、あるいはこれらのうちの2種類又は3種類を組み合わせたものは、下記の(1)又は(2)のいずれか一方から成り、第3の空気溶解部の粒状体又は繊維体又は多孔体、あるいはこれらのうちの2種類又は3種類を組み合わせたものは、下記の(1)又は(2)のうち、第2の空気溶解部において選択されない他方から成ることを特徴とするものである。
(1)イオン交換樹脂又は合成ゼオライト又はイオン吸着材の少なくともいずれか1つ
(2)アスコルビン酸又は活性炭の少なくともいずれか1つ
上記構成の発明は、請求項2に記載の発明の作用と同じ作用を有する。
また、第2の空気溶解部又は第3の空気溶解部において、イオン交換樹脂又は合成ゼオライト又はイオン吸着材の少なくともいずれか1つは、水中のマグネシウムイオンおよびカルシウムイオンを除去して水を軟水化するという作用を有する。
さらに、第2の空気溶解部又は第3の空気溶解部において、アスコルビン酸又は活性炭の少なくともいずれか1つは、水中の塩素イオンを失活させるという作用を、又は、水中の塩素イオンを吸着するという作用を、あるいは、この両方の作用を同時に有する。
【0013】
請求項5記載の発明である空気溶解水発生装置は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の空気溶解水発生装置であって、濡れ壁材は、凸面体又は網体であることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の発明の作用と同じ作用に加え、泡沫水と固体の接触面積を増大させると同時に、泡沫水の流路の撹乱を妨げるという作用を有する。
【0014】
請求項6記載の発明である空気溶解水発生装置は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の空気溶解水発生装置であって、濡れ壁材の表面は、親水性を有することを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の発明の作用と同じ作用に加え、濡れ壁材の表面が親水性を有することで、濡れ壁材の表面において泡沫水を広がらせるという作用を有する。
【0015】
請求項7記載の発明である空気溶解水発生装置は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の空気溶解水発生装置であって、第1の空気溶解部を設けることなく、この第1の空気溶解部に代えて、第2の空気溶解部を泡沫水発生部の下流側に設けることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、泡沫水発生部において発生した泡沫水が第2の空気溶解部を構成する、粒状体又は繊維体又は多孔体、あるいはこれらのうちの2種類又は3種類の組合せに接触することで、空気と水との接触面積を増大させて、水への空気の溶解が促進されるという作用を有する。
【0016】
請求項8記載の発明である空気溶解水発生装置は、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の空気溶解水発生装置であって、容器は密閉容器であることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1乃至請求項7のそれぞれの発明の作用に加え、容器を密閉容器にすることで、容器内に水を供給した場合に水に接触する空気の圧力を高めるという作用を有し、この作用により水への空気の溶解を促進できるという作用を有する。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明の請求項1に記載の気体溶解水発生装置によれば、空気と水との接触面積が増大することで水に効率よく空気を溶解させることができるという効果を有する。さらに、請求項1に記載の気体溶解水発生装置によれば、水中に高密度に微細気泡を包含する気液溶解水を発生させることができるという効果を有する。
また、上述のような気液溶解水中の微細気泡は、油分を吸着除去するという効果を有する。このため、工業製品の部品・製品から食器、衣類、車、人体、ペット等の洗浄作業において洗剤を用いることなしに高い洗浄効果が発揮される。
また、請求項1に記載の気体溶解水発生装置によれば、水中に多量の空気を溶解させることができるので、水中の好気性微生物の活動を促進すると同時に、嫌気性微生物の活動を抑制するという効果が期待できる。この結果、家庭用又は業務用排水から悪臭が発生するのを防止することができるという効果を期待できる。
さらに、請求項1に記載の発明によれば、上述のような効果を有するため、水耕栽培あるいは土壌中において植物を栽培する際に、植物の根に十分な酸素や窒素を供給しながら老廃物をスムースに除去するという効果が期待できる。この結果、作物の生育を促進することができるという効果が発揮される。
また、請求項1に記載の発明によれば、水中又は海水中に多量の空気を溶解させることができると同時に、空気を微細気泡として高密度に水中に包含させることができるので、甲殻類、魚類、藻類、貝類等の水産物の養殖に用いた場合に、被養殖対象の成育を促進することができるという効果も期待できる。
【0018】
本発明の請求項2記載の気体溶解水発生装置は、第3の空気溶解部を備えることで、請求項1に記載の発明に比べて、水への空気の溶解を一層促進すると同時に、水中に包含される微細気泡を一層高密度にすることができるという効果を有する。
この結果、請求項1に記載の発明のそれぞれの効果を一層促進することができる。
【0019】
本発明の請求項3記載の空気溶解水発生装置によれば、水中に微細気泡を高密度に有包含させた気液溶解水を発生させることができるという効果を有する。また、上述のような気液溶解水中の微細気泡は、油分を吸着除去するという効果を有するため、洗剤等を用いることなく被洗浄対象を洗浄できるという効果が期待できる。
また、気液溶解水中のカルシウムイオンやマグネシウムイオンを除去して軟水化することにより、特に、工業製品の部品・製品から食器、衣類、車、人体、ペット等の洗浄作業において洗剤を用いる場合に、洗剤の固着を防止して発泡を促進するという効果を有する。この結果、被洗浄対象の洗浄効果を高めることができるという効果を有する。
また、空気溶解水中の塩素イオンを失活又は吸着させることで、特に、被洗浄対象が人体やペットである場合に、皮膚への刺激を低減して炎症や肌荒れの発生を防止することができるという効果を有する。
【0020】
本発明の請求項4記載の気体溶解水発生装置によれば、請求項3に記載の発明のそれぞれの効果と同じ効果に加え、これらの効果を一層促進することができる。
【0021】
本発明の請求項5記載の気体溶解水発生装置によれば、第1の気体溶解部における濡れ壁材を凸面体又は網体とすることで、その表面を流動する泡沫水との接触面積が広がり、空気の溶解効率を高めることができるという効果を有する。
この結果、請求項1乃至請求項4に記載のそれぞれの効果を促進させることができる。
【0022】
本発明の請求項6記載の気体溶解水発生装置によれば、濡れ壁材の表面が親水性を有することにより、濡れ壁部材の表面に泡沫水を広げさせることができる。
この結果、濡れ壁部材の表面を泡沫水が流動する際の水と空気の接触面積が増えて、水に溶解する酸素の量を増加させることができるという効果を有する。
従って、請求項1乃至請求項5に記載のそれぞれの効果を促進させることができる。
【0023】
本発明の請求項7記載の気体溶解水発生装置によれば、請求項1乃至請求項4に記載のそれぞれの発明の効果において、第1の空気溶解部による効果は発揮されないものの、請求項1乃至請求項4に記載のそれぞれの気体溶解水発生装置を小型化できるという効果を有する。
【0024】
本発明の請求項8記載の気体溶解水発生装置によれば、請求項1乃至請求項7に記載のそれぞれの効果に加えて、容器を密閉容器とすることでこの容器に水を供給した際に、容器内の空気の圧力を高めることができるという効果を有する。
この結果、水への空気の溶解がさらに促進されて、微細気泡を高密度に含有した空気溶解水を短時間で製造することができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の最良の実施の形態に係る空気溶解水発生装置について図1及び図2を参照しながら説明する。
【0026】
図1は本発明の実施の形態に係る空気溶解水発生装置を示す断面図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る空気溶解水発生装置1は、容器2の内部が仕切壁29〜31により仕切られ、泡沫水発生部4の下流側に第1の空気溶解部10が、その下流側に軟水化部15及び塩素失活部21が直列状に連結され、給水口33から吐出口26に向う流路が形成されたものである。
より具体的には、容器2の外壁と仕切壁29により形成される空間内に収容部2aが設けられ、この上部に合成樹脂製又はゴム製の弾性体32を介して給水口33が形成されており、この給水口33には、容器2の内側に給水配管3が挿入されている。
そして、容器2の内側に配置される給水配管3の端部には泡沫水発生部4が設けられている。
この泡沫水発生部4は、外筒5の内側の同心上に、外筒5よりも直径が小さい内筒6が収容され、外筒5の内周面と内筒6の外周面との間に給気用の間隙7が形成されている。
また、内筒6の下方開口部は、メッシュ8又は、平面上に多数の貫通孔が設けられた被覆材で被覆されており、メッシュ8の網目又は被覆材の貫通孔を、水12が透過可能に構成されている。
このような泡沫水発生部4によれば、給水配管3から外筒5内へ導出される水12が、内筒6内を通過する際に間隙7から吸引される空気34を包含し、さらに、空気34を包含した水12がメッシュ8を通過することで泡沫水13が形成される仕組みになっている。
なお、上述のような泡沫水発生部4に代えて、気液混合用のアスピレータをこの部分に設けた場合でも同様の効果が期待できる。
【0027】
さらに、泡沫水発生部4の下流側には、濡れ壁材11を備えた第1の空気溶解部10が設けられている。
このように、泡沫水発生部4の下流側に濡れ壁材11を設けることで、泡沫水13が濡れ壁材11の表面を通過する際に、泡沫水13が濡れ壁材11の上面11a上に広がり、このとき、泡沫水13における水12と空気34の接触面積が増大して、水12中への空気34の溶解が促進されるのである。
よって、泡沫水13を流動させるだけで、空気34を水12に効率よく溶解させることができ、この結果、泡沫水13中に空気34が過度に溶解した気体溶解水14を発生させることができるという効果を有する。
【0028】
ここで、第1の空気溶解部10に設けられる濡れ壁材11の形状について図2を参照しながら詳細に説明する。
図2(a)〜(g)はそれぞれ、本実施の形態に係る濡れ壁材を示す概念図である。なお、図1に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
本実施の形態に係る空気溶解水発生装置1においては、空気34と水12の接触面積を広げることにより、水12への空気34の溶解を促進している。このような効果は、いわゆる濡れ壁効果として知られており、この濡れ壁効果が本実施の形態に係る空気溶解水発生装置1において十分に発揮されるためには、泡沫水13が濡れ壁材11の上面を、静かに流れることが望ましい。
よって、第1の空気溶解部10に設けられる濡れ壁材11は、泡沫水13の流路を必要以上に撹乱することがないように、かつ、空気34とあるいは泡沫水13に包含される空気34と水12の接触面積が広くなるように、濡れ壁材11を凸面体状とし、さらに濡れ壁材11の突部を泡沫水13の流れの上流側に向けている。
【0029】
また、濡れ壁材11の形状は、図1及び図2(a)に示すような半球状以外にも、例えば、図2(b)に示す濡れ壁材35のように凸状部が略流線形あるいは略紡錘形をなす曲面により構成されるものや、図2(c)に示す濡れ壁材36のように凸状部が円錐又は多角錐状であってもよい。また、濡れ壁材11は、図2(d)に示す濡れ壁材37のように、凸状体の表面に泡沫水13が流れる方向と略平行に、又は、泡沫水13が流れる方向と交わる方向にそれぞれ複数の溝部や段部を設けてもよい。
この場合、濡れ壁材37の表面積が広くなるということはすなわち、その上面を流れる水12と空気34の接触面積が広がることであり、この結果、空気34の水12への溶解を促進することができるという効果が期待できる。
さらに、濡れ壁材11は、図2(e)〜(h)に示す濡れ壁材38〜41のように、その水平断面が泡沫水13の流れの上流側及び下流側に向うにつれて縮径する形状でもよい。
このとき、濡れ壁材11と濡れ壁材38、濡れ壁材35と濡れ壁材39、濡れ壁材36と濡れ壁材40、濡れ壁材37と濡れ壁材41のそれぞれの表面積を比較した場合、後者は前者の2倍の表面積を有しているため、水12に対する空気34の溶解量を増加させることができるという効果が期待できる。
また、濡れ壁材11は図2で説明した形状以外にも、網目状でも良い。
この場合も、泡沫水13との接触面積が広くなるので、高い空気溶解効果が期待できる。
【0030】
再び図1の説明に戻るが、第1の空気溶解部10において泡沫水13を濡れ壁材11の表面11a上に十分に広がらせるためには、上面11aが親水性を有していることが望ましい。
一般に、物体の表面における親水性は、その表面の濡れ性によって示されることが知られており、より具体的には、濡れ性とは、気体中で固体の表面に液体を載置した場合の、固体と液体の界面張力, 固体と気体の界面張力, 気体と液体の界面張力の三つの張力がつり合った時の接触角θで表わされるものであり、特にθ≧90°を満たす場合、液体が固体の表面に広がり易い。
このため、本実施の形態に係る濡れ壁材11は、その上面11aと水12の接触角θが、θ≧90°を満たすものであることが望ましい。
【0031】
このように、本実施の形態に係る空気溶解水発生装置1においては、泡沫水発生部4において生成された泡沫水13を濡れ壁材11に接触させることで水12と空気34の接触面積を増大させることができ、水12中に効率良く空気34を溶解させた気体溶解水14を発生させることができるという効果が発揮されるのである。
なお、容器2の上部には、外部の空気34を収容部2a内に導くための給気口9が設けられており、この給気口9から収容部2a内に導入された空気34が間隙7から泡沫水発生部4の内部に供給されて水12と混合されるよう構成されている。
また、給気口9の開口部にはバルブ47が設けられており、給気口9を開閉可能にしている。なお、バルブ47の作用及び効果については後述する。
【0032】
次に、第1の空気溶解部10において生じた気体溶解水14は、仕切壁30と仕切壁29により形成される空間を介して、仕切壁30と仕切壁31により形成される空間に導かれ、この空間に収容される軟水化部15の内部を透過する際に、水12中のマグネシウムイオンやカルシウムイオンが除去されて軟水化される。
本実施の形態に係る軟水化部15は、図1に示すように、仕切壁30と仕切壁31により形成される空間内に、イオン交換樹脂からなる多数の粒状体19が収容されたカートリッジ16が設けられたものである。
そしてこのカートリッジ16の上面には、気体溶解水14をカートリッジ16の内側に導入するための流入口17が複数形成され、さらにカートリッジ16の下面には、カートリッジ16内において軟水化された軟水20を導出するための排出口18が複数設けられている。
よって、上述のような軟水化部15に気体溶解水14を透過させた場合に、気体溶解水14と粒状体19が接触し、このとき、気体溶解水14中のマグネシウムイオンやカルシウムイオンが他の陽イオンに置換される。この結果、水12が軟水20になるのである。
【0033】
また、第1の空気溶解部10から導出される気体溶解水14は、特に図示しないが微細気泡を高密度に包含して白濁している。
このため、上述のような気体溶解水14が粒状体19に接触することで、気体溶解水14中の空気34からなる気泡が押し延ばされて空気34と溶解水14の接触面積が増大し、空気34を更に溶解水14に効率よく溶解させることができるという効果が発揮される。
よって、軟水20中に溶存する空気34量を、気体溶解水14に溶解する空気34量よりも多くすることができるという優れた効果が発揮されるのである。
【0034】
また、粒状体19を濡れ壁材として作用させるためには、粒状体19の表面が親水性を有することが望ましく、より具体的には、粒状体19は、その表面に液体を載置した場合の接触角θが、θ≧90°を満たすものであることが望ましい。
なお、本実施の形態に係る空気溶解水発生装置1においては、水12中のマグネシウムイオンやカルシウムイオンを除去するための軟水化物質、すなわち粒状体19にイオン交換樹脂を採用しているが、粒状体19は必ずしもイオン交換樹脂である必要はなく、硬水を軟水化させる作用を有するものであればどのようなものでもよく、例えば、合成ゼオライトやイオン吸着材を単体で用いてもよく、あるいは、イオン交換樹脂、合成ゼオライト、イオン吸着材のうちの2種類又は3種類を組み合わせて用いてもよい。
特に、給水配管3から供給される水12が軟水である場合には、粒状体19が硬水を軟水化する作用を有する必要はなく、水12中に効率良く空気34を溶解させるために、単に濡れ性の高い材料で粒状体19を構成してもよい。
また、カートリッジ16においては、その内部に収容される物質の表面積が広いほど、空気34の溶解効果が高まるので、カートリッジ16に収容される物質の形態を、粒状体19以外の、例えば、繊維状や多孔体としてもよい。あるいは、粒状体19、繊維体、多孔体のうちの2種類又は3種類を組み合わせた形態としてもよい。
【0035】
さらに、本実施の形態に係る空気溶解水発生装置1においては、容器2の上面にカートリッジ16を取り出して交換するための取出口42が設けられ、この取出口42には第1の蓋体2bが枢軸部2cを基軸に回動可能に覆設されている。
そして、本実施の形態に係る空気溶解水発生装置1では、空気溶解水発生装置1を使用しない場合に、容器2の底部に余剰水を外部に排出するための排水口48a,48bが設けられており、さらに、この排水口48a,48bを開閉可能にするためのバルブ49が取設されている。
このように、給気口9にバルブ47を設け、さらに排水口48a, 48bにバルブ49を設けて、初めに空気を封入した後、給気口9のバルブ47及び排水口48a,48bのバルブ49を閉止して、さらに、吐出口26を閉止して、容器2を密閉可能とした場合には、容器2内に給水口33から水12が流入することで容器2内の空気34の圧力が高まり、水12への空気34の溶解効果を促進することができる。図1には、図示されていないが、吐出口26の下流側にも開閉可能なバルブを設けることが望ましい。また、第1の蓋体2bや第2の蓋体2eと取出口42,46との間には容器2を密閉可能とするためにゴム製のパッキンや金属製のシールリングなどの封止部材を設けることが望ましい。さらに、弾性体32も封止機能を備えたものであることが望ましい。
以上のことから、本実施の形態に係る空気溶解水発生装置1における第1の空気溶解部10や、軟水化部15、又は塩素失活部21における水12への空気34の溶解効果を一層促進することができるという効果を有する。
この結果、空気溶解水発生装置1により空気34が過溶解しかつ、微細気泡を高濃度に包含する高性能水25を短時間で発生させることができるという優れた効果が期待できる。
なお、本実施の形態においては、排水口48a,48bに共通のバルブ49を設けるように図示しているが、もちろん個別にバルブを設けてもよいことは言うまでもない。
【0036】
続いて、軟水化部15の下流側に接続される塩素失活部21について詳細に説明する。
図1に示すように、容器2の外壁と仕切壁31により形成される空間には塩素失活部21が設けられている。
本実施の形態に係る塩素失活部21は、軟水化部15の下流側にアスコルビン酸(ビタミンC)からなる多数の粒状体43が収容されたカートリッジ22が設けられたものである。
本実施の形態に係るカートリッジ22bは、外筒45と内筒44を有する2重円筒状であり、内筒44の外壁と外筒45の内壁により形成される空間にはアスコルビン酸(ビタミンC)からなる多数の粒状体43が収容されている。
また、カートリッジ22の下面には、軟水20を粒状体43が収容される空間に導入するための第1の流入口23aが設けられ、また、カートリッジ22の上面には粒状体43が収容される空間からアスコルビン酸が溶出した20、すなわち高性能水25を吐出口26側に導出するための排出口24aが設けられている。
さらに、カートリッジ22には、内筒44の上下開口部が開放されて、第2の流入口23bと排出口24bを形成しており、軟水化部15において発生した軟水20の一部が、粒状体43と接触することなく吐出口26側へと導出されるよう構成されている。
【0037】
通常、水道水には殺菌等の目的で塩素が添加されているのであるが、この塩素は、水12内において塩素イオンとして存在しており、特に、肌に触れると皮膚を刺激して、炎症や肌荒れの原因になることが知られている。
このため、給水配管3から送給される水12が塩素を含む場合でかつ、本実施の形態に係る空気溶解水発生装置1により作製した高性能水25を人の体の洗浄に用いる場合には、水12中の塩素イオンを失活させるか、除去することが望ましい。
そこで、本実施の形態に係る空気溶解水発生装置1では、軟水化部15の下流側に塩素失活部21を設け、水12中にアスコルビン酸を溶出させ、塩素イオンとアスコルビン酸を化合させて失活させている。
この場合、軟水20にアスコルビン酸を溶出させるために、全ての軟水20を粒状体43に接触させる必要はないので、空気溶解水発生装置1から導出される高性能水25の吐出力の低下を防止する目的も兼ねて、軟水20の一部を粒状体43に接触させることなく塩素失活部21の下流側に導出しているのである。
【0038】
なお、水12中の塩素イオンの作用を低減するには、水12中から塩素イオンを除去しても良く、この場合、水12中の塩素イオンを吸着除去するための物質として粒状の活性炭用いてもよい。
この場合、水12中の塩素イオンは活性炭と接触しなければ除去することができないので、粒状の活性炭を充填するカートリッジは、上述のカートリッジ16と同様の構造にする必要がある。
さらに、より高精度に水12中の塩素イオンを除去する必要がある場合には、カートリッジ16と同様の構造を有するカートリッジ内に、アスコルビン酸と活性炭の両方を収納し、その中に軟水20を透過させればよい。
このように塩素失活部21に軟水20を透過させることで、塩素イオンを失活させることができるという効果が発揮される。
【0039】
また、軟水化部15から導出される軟水20も、特に図示しないが微細気泡を高密度に包含して白濁している。
このため、上述のような軟水20が粒状体43に接触することで、軟水20中の空気34からなる気泡が押し延ばされて空気34と軟水20の接触面積が増大し、空気34を更に軟水20に効率よく溶解させることができるという効果が発揮される。
よって、高性能水25中に溶存する空気34の量を、軟水20に溶解する空気34の量よりも多くすることができるという優れた効果が発揮されるのである。
【0040】
また、粒状体43を濡れ壁材として作用させるためには、粒状体43の表面が親水性を有することが望ましく、より具体的には、粒状体43は、その表面に液体を載置した場合の接触角θが、θ≧90°を満たすものであることが望ましい。
なお、本実施の形態に係る空気溶解水発生装置1においては、水12中の塩素イオンを失活あるいは吸着除去するための物質として、アスコルビン酸又は活性炭のうちの少なくとも1つを採用しているが、粒状体43は必ずしも上述のような物質である必要はなく、塩素イオンの作用を低減させるのであればどのようなものでもよい。
特に、給水配管3から供給される水12に塩素が含まれない場合には、粒状体43が水12中の塩素イオンを失活あるいは吸着除去する物質である必要はなく、水12中に効率良く空気34を溶解させるために、単に濡れ性の高い材料で粒状体43を構成してもよい。
また、カートリッジ22においては、その内部に収容される物質の表面積が広いほど、空気34の溶解効果が高まるので、カートリッジ22に収容される物質の形態を、粒状体43以外の、例えば、繊維状や多孔体としてもよい。あるいは、粒状体19、繊維体、多孔体のうちの2種類又は3種類を組み合わせた形態としてもよい。
【0041】
なお、本実施の形態に係る空気溶解水発生装置1においては、軟水化部15の下流側に塩素失活部21を設けているが、これらは必ずしもこの順序で配置する必要はなく、軟水化部15と塩素失活部21の配置を置き換えても良い。
また、本実施の形態に係る空気溶解水発生装置1においては、容器2の上面にカートリッジ22を取り出して交換するための取出口46が設けられており、この取出口46には第2の蓋体2eが枢軸部2fを基軸に回動可能に覆設されている。
なお、第1の蓋体2bと第2の蓋体2eを一体に構成し、このような蓋体に取出口42や吐出口26、さらに、吐出口26を設けてもよい。この場合、容器2の構造をシンプルにすることができるという効果を有する。
そして、本実施の形態に係る空気溶解水発生装置1においては、第2の蓋体2eに、塩素失活部21から導出される高性能水25を空気溶解水発生装置1の外部に導出するための吐出口26が設けられており、この吐出口26に連結される接続部27を介して導出配管28に高性能水25が吐出される仕組みになっている。
【0042】
よって、上述のような本実施の形態に係る空気溶解水発生装置1によれば、まず、泡沫水発生部4において泡沫水13を発生させた後、この泡沫水13を第1の空気溶解部10において濡れ壁材11の上面を流動させて気体溶解水14とし、次いで、この気体溶解水14を、軟水化部15において多数の粒状体19が収容されたカートリッジ16内を透過させ、さらに、塩素失活部21において、再度多数の粒状体43を収容したカートリッジ22内を透過させることにより、水12中に多量の空気34を溶解させると同時、水12が白濁する程度に高密度に微細気泡を包含させた高性能水25を発生させることができるという効果を有する。
【0043】
このような高性能水25を用いた場合、微細気泡による油脂分除去効果により工業製品の部品・製品から食器、衣類、車、人体、ペットを洗剤を用いることなく洗浄することができるという効果を有する。この結果、生活排水による環境への負荷を軽減できるという優れた効果が発揮される。特に、高性能水25を人の体を洗浄する洗浄水として用いた場合には、微細気泡による肌へのマッサージ効果が期待でき、よって、美容効果が発揮される。
また、空気溶解水発生装置1により作製される高性能水25には多量の空気34が溶存しているため、水中の好気性微生物の活動を促進する一方で、嫌気性微生物の活動を抑制するという効果、すなわち、悪臭のもとである硫化水素等の物質が発生するのを防止するという効果を有する。このため、家庭用又は業務用排水を一時的に貯留する設備に、本実施の形態に係る空気溶解水発生装置1により作製した高性能水25を送給することで、悪臭が発生するのを防止することができるという効果が期待できる。
さらに、高性能水25中に多量の空気34が溶存しているということは、すなわち、本実施の形態に係る高性能水25中には、植物細胞の呼吸や有用成分の生成に必要な、酸素や窒素等が多く溶解しているということであり、このような高性能水25を、水耕栽培あるいは土壌を用いて植物を栽培する際に散水することで、植物の根に十分な酸素や窒素を供給しながら老廃物をスムースに除去するという効果が期待できる。この結果、作物の生育を促進することができるという効果が期待できる。
また、本実施の形態に係る空気溶解水発生装置1において、軟水化部15及び塩素失活部21における粒状体19,43を、単に濡れ性が高い材料によって構成した場合には、海水中に多量の空気34を溶解させることも可能である。
この結果、甲殻類、魚類、藻類、貝類等の水産物の養殖に本実施の形態に係る高性能水25用いた場合に、被養殖対象に十分な酸素を供給できるのでその成育を促進することができるという効果が期待できる。
【0044】
さらに、本実施の形態に係る空気溶解水発生装置1により、上述のような高性能水25を軟水化した場合には、被洗浄対象を洗剤を用いて洗浄する際に、泡立ちが良好になり洗浄効果を一層高めることができる。
また、軟水化された高性能水25を人の体やペットの洗浄水に用いた場合、水中のマグネシウムイオンやカルシウムイオンにより洗剤成分が、例えば、人体の毛穴に固着する心配がないので、洗浄後の肌のトラブルを防止することができる。
そして、特に上述のような高性能水25において、水12中に含まれる塩素イオンを失活又は吸着除去した場合には、塩素が肌に触れることで生じる炎症や肌荒れを防止することができるので、洗浄後の肌を健やかに保つことができるという効果を有する。
このほかに、軟水化され、塩素イオンが失活又は吸着除去され、さらに多量の空気が溶存し、しかも、微細気泡を高密度に包含して白濁した高性能水25は、加工食品を製造する際の洗浄水や仕込み用の水としても使用可能であり、この場合、加工食品の食味を向上させることができるという効果を有する。
【0045】
次に、本実施の形態に係る空気溶解水発生装置1の変形例1について説明する。
図1に示す空気溶解水発生装置1では、泡沫水発生部4の下流側に、軟水化部15と塩素失活部21を別々に設けているが、軟水化部15と塩素失活部21を一体化したカートリッジ(以下、カートリッジPと呼ぶ。)を設けて、気体溶解水14の軟水化と、塩素イオンの失活化、及び水12への空気34の溶解を同時に行うことができる変形例1に係る空気溶解水発生装置としてもよい。
このような、変形例1に係るカートリッジP内に充填される収容物の様態は、以下の表1に1)〜7)として示す構成からいずれか1を選択したものであることが望ましい。これは、第1の空気溶解部10において発生した気体溶解水14に、空気34をさらに溶解させながら微細気泡を高密度に包含させるためには、カートリッジPに収容される物質を濡れ壁材として作用させる必要があり、このためにはカートリッジPに収容される物質の表面積が大きいことが望ましいためである。
【0046】
【表1】

【0047】
また、変形例1に係る空気溶解水発生装置において給水配管3から供給される水12が硬水の場合で、かつ、この水12を軟水化する必要がある場合は、例えば、高性能水25を洗浄水として用いる場合には、カートリッジPに収容される物質は、下記表2においてイ)〜ト)で示す構成のうちのいずれか1であることが望ましい。
【0048】
【表2】

【0049】
さらに、給水配管3から供給される水12に塩素イオンが含まれる場合で、かつ、この塩素イオンを失活又は吸着除去する必要がある場合には、例えば、高性能水25を人の体やペットを洗うための洗浄水として用いる場合には、上記表1及び表2に示す構成に、下記表3においてi)〜iii)で示す構成のうちのいずれか1の構成を加えることが望ましい。
【0050】
【表3】

【0051】
また、カートリッジPに収容される物質に濡れ壁効果を発揮させるためには、カートリッジPに収容される物質の表面が親水性を有することが望ましく、より具体的には、カートリッジPに収容される物質の表面に水12を載置した場合の接触角θが、θ≧90°を満たすことが望ましい。
【0052】
なお、上述の変形例1に係る空気溶解水発生装置においては、泡沫水発生部4の下流側に第1の空気溶解部10を設けることなく、上述のカートリッジPを設けても良い。
図3は本実施の形態に係る空気溶解水発生装置の変形例2を示す断面図である。なお、図1又は図2に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図3に示すように、変形例2に係る空気溶解水発生装置50は、蓋体55を有する容器2内に泡沫水発生部4と、上述の変形例1に係るカートリッジPが直列状に設けられたものである。
さらに、カートリッジPは、泡沫水発生部4において生じた泡沫水13をカートリッジPの内部へと導入させるための流入口51及び、カートリッジP内の泡沫水13を吐出口26側に導出させるための排出口52を備えており、変形例1に係る空気溶解水発生装置50において給水配管3から吐出口26へと向う流路が形成されている。
また、容器2はその上部に取出口54を備え、カートリッジPの取出しと交換ができるよう構成されている。
さらに、カートリッジPの内部には、収容物53が収容されており、この収容物53の形態をその表面積が広くなるよう構成することで(変形例1に係る表1を参照)、泡沫水13が収容物53の表面に接触する際に、水12への空気34の溶解を促進することができるという効果が発揮される。
また、カートリッジPに収容される収容物53は、必要に応じて変形例1において記載したような構成(変形例1に係る表2及び表3を参照)を備えることで、水12の軟水化、又は、水12からの塩素イオンの失活や除去、あるいはこの両方の効果を有するよう構成してもよい。
図3に示すような変形例2に係る空気溶解水発生装置50によれば、図1に示す空気溶解水発生装置1や、上述のような変形例1に係る空気溶解水発生装置と比較して、空気34の水12への溶解効率が低下するものの、装置を小型化することができるという優れた効果が期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係る空気溶解水発生装置は、簡単な構成で水中に多量の空気を溶解させると同時に、その中に多量の微細な気泡を包含させた高性能水を発生させることができ、また、硬水を軟水化し、さらに、水中の塩素イオンを失活又は吸着除去することができるものであり、洗浄設備、入浴設備、排水処理設備、作物の栽培設備、魚介類の養殖設備において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態に係る空気溶解水発生装置を示す断面図である。
【図2】(a)〜(g)はそれぞれ、本実施の形態に係る濡れ壁材を示す概念図である。
【図3】本実施の形態に係る空気溶解水発生装置の変形例2を示す断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1…空気溶解水発生装置 2…容器 2a…収容部 2b…第1の蓋体 2c…枢軸部 2d…排気口 2e…第2の蓋体 2f…枢軸部 3…給水配管 4…泡沫水発生部 5…外筒 6…内筒 7…間隙 8…メッシュ 9…給気口 10…第1の空気溶解部 11…濡れ壁材 12…水 11a…上面 13…泡沫水 14…気体溶解水 15…軟水化部 16…カートリッジ 17…流入口 18…排出口 19…粒状体(濡れ壁材) 20…軟水 21…塩素失活部 22…カートリッジ 23a…第1の流入口 23b…第2の流入口 24a…第1の排出口 24b…第2の排出口 25…高性能水 26…吐出口 27…接続部 28…導出配管 29〜31…仕切壁 32…弾性体 33…給水口 34…空気 35〜41…濡れ壁材 42…取出口 43…粒状体(濡れ壁材) 44…内筒 45…外筒 46…取出口 47…バルブ 48,48a,48b…排水口 49…バルブ 50…空気溶解水発生装置 51…流入口 52…排出口 53…収容物(濡れ壁材) 54…取出し口 55…蓋体 P…カートリッジ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器と、この容器内において空気と水とを混合して泡沫水を発生させる泡沫水発生部と、
この泡沫水発生部の下流側に設けられ前記泡沫水を濡れ壁材に接触させて水に空気を溶解させる第1の空気溶解部と、
この第1の空気溶解部の下流側に設けられ前記泡沫水を粒状体又は繊維体又は多孔体、あるいはこれらのうちの2種類又は3種類の組合せに接触させて水に空気を溶解させる第2の空気溶解部とを有することを特徴とする空気溶解水発生装置。
【請求項2】
容器と、この容器内において空気と水とを混合して泡沫水を発生させる泡沫水発生部と、
この泡沫水発生部の下流側に設けられ前記泡沫水を濡れ壁材に接触させて水に空気を溶解させる第1の空気溶解部と、
この第1の空気溶解部の下流側に設けられ前記泡沫水を粒状体又は繊維体又は多孔体、あるいはこれらのうちの2種類又は3種類の組み合わせに接触させて水に空気を溶解させる第2の空気溶解部と、
この第2の空気溶解部の下流側に設けられ前記泡沫水を粒状体又は繊維体又は多孔体、あるいはこれらのうちの2種類又は3種類の組合せに接触させて水に空気を溶解させる第3の空気溶解部とを有することを特徴とする空気溶解水発生装置。
【請求項3】
前記第2の空気溶解部の粒状体又は繊維体又は多孔体、あるいはこれらのうちの2種類又は3種類を組み合わせたものは、イオン交換樹脂又は合成ゼオライト又はイオン吸着材の少なくともいずれか1つ、又は/及び、アスコルビン酸又は活性炭の少なくともいずれか1つから成ることを特徴とする請求項1記載の空気溶解水発生装置。
【請求項4】
前記第2の空気溶解部の前記粒状体又は繊維体又は多孔体、あるいはこれらのうちの2種類又は3種類を組み合わせたものは、下記の(1)又は(2)のいずれか一方から成り、前記第3の空気溶解部の前記粒状体又は繊維体又は多孔体、あるいはこれらのうちの2種類又は3種類を組み合わせたものは、下記の(1)又は(2)のうち、前記第2の空気溶解部において選択されない他方から成ることを特徴とする請求項2に記載の空気溶解水発生装置。
(1)イオン交換樹脂又は合成ゼオライト又はイオン吸着材の少なくともいずれか1つ
(2)アスコルビン酸又は活性炭の少なくともいずれか1つ
【請求項5】
前記濡れ壁材は、凸面体又は網体であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の空気溶解水発生装置。
【請求項6】
前記濡れ壁材の表面は、親水性を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の空気溶解水発生装置。
【請求項7】
前記第1の空気溶解部を設けることなく、この第1の空気溶解部に代えて、前記第2の空気溶解部を前記泡沫水発生部の下流側に設けることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の空気溶解水発生装置。
【請求項8】
前記容器は密閉容器であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の空気溶解水発生装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−149201(P2008−149201A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−336440(P2006−336440)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【出願人】(596123947)株式会社ミトモ (2)
【Fターム(参考)】