説明

空気調和機

【課題】室内機の送風機の羽根に切り欠きを設けたことにより、騒音は防止できるものの、風量が低下する。そのため、熱交換器にフィンピッチが狭い部分があると、この部分において通気抵抗が大きくなるため、風量が小さくなり過ぎるという問題が生じる。また、熱交換器以外でも、送風機の長手方向に関して通気抵抗の異なるような部品を配置した場合には、同様の問題が生じる。そこで、風量低減を抑制できる室内機を提供する。
【解決手段】送風機は、2以上の羽根をそれぞれ有すると共に同一回転軸上に設けられた複数の羽根車21を有しており、複数の羽根車21は、羽根の切り欠き数が互いに異なる羽根車21Aと羽根車21Bを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の羽根車を有する送風機を備えた室内機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、空気調和機の室内機には、同一回転軸上に配置された複数の羽根車を有する例えばクロスフローファンなどの送風機が用いられている。通常、羽根車を構成する複数の羽根の外周側または/および内周側の翼端には、空気流による騒音を低減するために、切り欠きが形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、室内機は、送風機によって発生する空気流の流路に熱交換器を備えている。送風機によって室内から吸い込まれた空気は、熱交換器を通って冷媒と熱交換された後、室内に吹き出される。熱交換器としては、並列配置された多数枚のフィンと、この多数枚のフィンを貫通する複数のヘアピン管を有するものが用いられる。熱交換器を製造する際、ヘアピン管が挿通される孔が形成された多数枚のフィンを一定間隔並列させてヘアピン管を挿通した後、ヘアピン管に拡管治具を挿通することでヘアピン管を拡管してフィンとヘアピン管とを固着させ、その後、拡管治具を引き抜いている。この拡管治具の挿入と引き抜きに伴って、多数枚のフィンのうち、ヘアピン管の湾曲部側のフィンピッチは、他の部分のフィンピッチよりも狭くなる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−124899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
送風機の羽根に切り欠きを設けたことにより、騒音は防止できるものの、風量が低下する。そのため、上述したように熱交換器にフィンピッチが狭い部分があると、この部分において通気抵抗が大きくなるため、風量が小さくなり過ぎるという問題が生じる。
また、熱交換器以外でも、送風機の長手方向に関して通気抵抗の異なるような部品を配置した場合には、同様の問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、風量低減を抑制できる室内機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る室内機は、送風機と、前記送風機によって発生する空気流の流路に配置された熱交換器とを備え、前記送風機が、2以上の羽根をそれぞれ有すると共に同一回転軸上に設けられた複数の羽根車を有しており、前記複数の羽根車は、羽根の切り欠き数が互いに異なる複数種類の羽根車を含んでいることを特徴とする。
【0008】
この室内機では、送風機の長手方向について、複数の羽根車のうちで羽根の切り欠き数が少ない羽根車の部分の風量が、その他の羽根車の部分の風量より大きくなる。そのため、送風機の長手方向に関して空気流の通気抵抗が異なる場合に、通気抵抗に応じて切り欠き数を変えることにより、風量の低下を抑制できる。
【0009】
なお、「羽根車に設けられた羽根の切り欠き数」とは、羽根車の有する全ての羽根の外周側翼端および内周側翼端に形成された切り欠きの総数である。
また、「1つの羽根車に設けられた羽根の切り欠き数が、他の羽根車に設けられた羽根の切り欠き数より少ない」とは、「他の羽根車」が複数の場合には、複数の羽根車の全ての羽根車よりも「1つの羽根車」の切り欠き数が少ないことを意味する。
また、切り欠き数が少ないとは、切り欠き数がゼロの場合を含む。
【0010】
第2の発明に係る室内機は、第1の発明において、前記空気流の流路には、前記送風機の長手方向の一部に対応した範囲に配置された流路抵抗部があって、前記流路抵抗部に対応した範囲に配置された羽根車の羽根の切り欠き数が、他の羽根車の羽根の切り欠き数より少ないことを特徴とする。
【0011】
この室内機では、流路抵抗部に対応した範囲に配置された羽根車の羽根の切り欠き数が少ないため、風量が低下するのを抑制できる。また、この羽根車以外の羽根車は、切り欠きの数が多いため、全体として、空気流による騒音を低減することができる。
【0012】
第3の発明に係る室内機は、第2の発明において、前記熱交換器が、複数のフィンを貫通するヘアピン管を有するものであって、前記流路抵抗部が、前記複数のフィンにおいて前記ヘアピン管の湾曲部に隣接する部分であることを特徴とする。
【0013】
この室内機では、複数のフィンのうちヘアピン管の湾曲部に隣接する部分においてフィンピッチが狭い場合でも、この部分に対応した範囲に配置された羽根車の羽根の切り欠きの数が少ないため、風量が低下するのを抑制できる。
【0014】
第4の発明に係る室内機は、第3の発明において、前記羽根の切り欠き数が少ない羽根車が、前記フィンと対向しない部分を有していることを特徴とする。
【0015】
この室内機では、切り欠きの少ない羽根を有する羽根車の一部が、熱交換器のフィンよりも外側に配置されているので、複数のフィンのうちヘアピン管の湾曲部に隣接する部分においてフィンピッチが狭い場合でも、風量が低下するのを効果的に抑制することができる。
【0016】
第5の発明に係る室内機は、第2の発明において、前記空気流の流路において前記送風機の長手方向に並べて配置された複数のフィルタを備え、前記流路抵抗部が、前記複数のフィルタのうち前記送風機との距離が最も近いフィルタであることを特徴とする。
【0017】
この室内機では、複数のフィルタのうち送風機との距離が最も近く、最も通気抵抗の大きいフィルタに対応する範囲に配置された羽根車の羽根の切り欠きの数が少ないため、風量が低下するのを抑制できる。
【0018】
第6の発明に係る室内機は、第2の発明において、前記空気流の流路には、前記送風機の長手方向の一部に対応した範囲に配置された電装品箱が設けられており、前記流路抵抗部が、前記電装品箱であることを特徴とする。
【0019】
この室内機では、電装品箱に対応する範囲に配置された羽根車の羽根の切り欠きの数が少ないため、風量が低下するのを抑制できる。
【0020】
第7の発明に係る室内機は、第2の発明において、前記熱交換器が、主熱交換器と、前記主熱交換器に積層され、前記送風機の長手方向の一部に対応した範囲に配置された補助熱交換器とを有し、前記流路抵抗部が、前記補助熱交換器であることを特徴とする。
【0021】
この室内機では、補助熱交換器に対応する範囲に配置された羽根車の羽根の切り欠きの数が少ないため、風量が低下するのを抑制できる。
【0022】
第8の発明に係る室内機は、第2の発明において、前記空気流の流路に設けられたフィルタを備え、前記フィルタには、前記送風機の長手方向の一部に対応した範囲に配置された補助フィルタが積層されており、前記流路抵抗部が、前記補助フィルタであることを特徴とする。
【0023】
この室内機では、補助フィルタに対応する範囲に配置された羽根車の羽根の切り欠きの数が少ないため、風量が低下するのを抑制できる。
【0024】
第9の発明に係る室内機は、第2の発明において、前記空気流の流路には、前記送風機の長手方向の一部に対応した範囲に配置された付加機能部が設けられており、前記流路抵抗部が、前記付加機能部であることを特徴とする。
【0025】
この室内機では、付加機能部に対応する範囲に配置された羽根車の羽根の切り欠きの数が少ないため、風量が低下するのを抑制できる。
【0026】
第10の発明に係る室内機は、第2の発明において、前記送風機に供給される空気を吸い込む吸込口を有するケーシングを備え、前記流路抵抗部が、前記送風機の長手方向について前記吸込口の外側に設けられた壁部であることを特徴とする。
【0027】
この室内機では、吸込口の前記長手方向外側の壁部に対応する範囲に配置された羽根車の羽根の切り欠きの数が少ないため、風量が低下するのを抑制できる。
【0028】
第11の発明に係る室内機は、第2の発明において、前記空気流の流路に設けられたフィルタと、前記送風機の長手方向の一部に対応した範囲に配置され、前記フィルタを移動させる駆動機構とを備え、前記流路抵抗部が、前記駆動機構であることを特徴とする。
【0029】
この室内機では、駆動機構に対応する範囲に配置された羽根車の羽根の切り欠きの数が少ないため、風量が低下するのを抑制できる。
【0030】
第12の発明に係る室内機は、第1の発明において、前記複数の羽根車が、前記送風機の長手方向中央部に配置された中央羽根車を含んでおり、前記中央羽根車の羽根の切り欠き数が、それより外側に配置された羽根車の羽根の切り欠き数より少ないことを特徴とする。
【0031】
この室内機では、空気流の流路を構成する部材が、送風機の長手方向中央部においてたわみ変形して、このたわみ部分で空気流が流れにくくなったり流速が低下する場合でも、送風機の長手方向中央部に配置された中央羽根車の羽根の切り欠きの数が少ないため、風量が低下するのを抑制できる。
【発明の効果】
【0032】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0033】
第1の発明では、送風機の長手方向について、複数の羽根車のうちで羽根の切り欠き数が少ない羽根車の部分の風量が、その他の羽根車の部分の風量より大きくなる。そのため、送風機の長手方向に関して空気流の通気抵抗が異なる場合に、通気抵抗に応じて切り欠き数を変えることにより、風量の低下を抑制できる。
【0034】
第2の発明では、流路抵抗部に対応した範囲に配置された羽根車の羽根の切り欠き数が少ないため、風量が低下するのを抑制できる。また、この羽根車以外の羽根車は、切り欠きの数が多いため、全体として、空気流による騒音を低減することができる。
【0035】
第3の発明では、複数のフィンのうちヘアピン管の湾曲部に隣接する部分においてフィンピッチが狭い場合でも、この部分に対応した範囲に配置された羽根車の羽根の切り欠きの数が少ないため、風量が低下するのを抑制できる。
【0036】
第4の発明では、切り欠きの少ない羽根を有する羽根車の一部が、熱交換器のフィンよりも外側に配置されているので、複数のフィンのうちヘアピン管の湾曲部に隣接する部分においてフィンピッチが狭い場合でも、風量が低下するのを効果的に抑制することができる。
【0037】
第5の発明では、複数のフィルタのうち送風機との距離が最も近く、最も通気抵抗の大きいフィルタに対応する範囲に配置された羽根車の羽根の切り欠きの数が少ないため、風量が低下するのを抑制できる。
【0038】
第6の発明では、電装品箱に対応する範囲に配置された羽根車の羽根の切り欠きの数が少ないため、風量が低下するのを抑制できる。
【0039】
第7の発明では、補助熱交換器に対応する範囲に配置された羽根車の羽根の切り欠きの数が少ないため、風量が低下するのを抑制できる。
【0040】
第8の発明では、補助フィルタに対応する範囲に配置された羽根車の羽根の切り欠きの数が少ないため、風量が低下するのを抑制できる。
【0041】
第9の発明では、付加機能部に対応する範囲に配置された羽根車の羽根の切り欠きの数が少ないため、風量が低下するのを抑制できる。
【0042】
第10の発明では、吸込口の前記長手方向外側の壁部に対応する範囲に配置された羽根車の羽根の切り欠きの数が少ないため、風量が低下するのを抑制できる。
【0043】
第11の発明では、駆動機構に対応する範囲に配置された羽根車の羽根の切り欠きの数が少ないため、風量が低下するのを抑制できる。
【0044】
第12の発明では、空気流の流路を構成する部材が、送風機の長手方向中央部においてたわみ変形して、このたわみ部分で空気流が流れにくくなったり流速が低下する場合でも、送風機の長手方向中央部に配置された中央羽根車の羽根の切り欠きの数が少ないため、風量が低下するのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1実施形態に係る室内機の斜視図である。
【図2】図1に示すA‐A線に沿う断面図である。
【図3】図1に示す室内機から開閉パネルを取り外した状態を示す正面図である。
【図4】図1に示す室内機の部分分解斜視図である。
【図5】図1に示す室内機の部分分解斜視図である。
【図6】(a)は熱交換器と送風機の上視図であり、(b)は(a)の正面図である。
【図7】熱交換器と送風機を模式的に示した正面図である。
【図8】送風機の部分拡大斜視図である。
【図9】送風機の断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る室内機の送風機と補助フィルタの位置関係を示す図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る室内機の送風機と電装品箱の位置関係を示す図である。
【図12】本発明の第4実施形態に係る室内機の断面図である。
【図13】本発明の第5実施形態に係る室内機の断面図である。
【図14】図13に示す室内機の送風機と補助熱交換器の位置関係を示す図である。
【図15】本発明の第6実施形態に係る室内機の正面図である。
【図16】本発明の第7実施形態に係る室内機の断面図である。
【図17】本発明の第8実施形態に係る室内機の斜視図である。
【図18】図17に示すB‐B線に沿う断面図である。
【図19】図17に示すフィルタユニットの斜視図である。
【図20】図17に示す室内機のフィルタと回転ブラシと圧縮ロッドとの位置関係を示す図である。
【図21】図17に示す室内機のフィルタのラック部とピニオンとの噛合状態を示す斜視図である。
【図22】図17に示す室内機の送風機と駆動機構との位置関係を示す図である。
【図23】本発明の第9実施形態に係る室内機の断面図である。
【図24】図23に示す室内機の部分斜視図である。
【図25】図23に示す室内機の送風機と付加機能ユニットとの位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係る床置き室内機1(以下、単に「室内機1」と称する)について説明する。
室内機1は、図示しない室外機と共に空気調和機を構成しており、室内の冷暖房を行う。図1に示すように、本実施形態の室内機1は、全体として直方体形状を有しており、室内の床面から浮かした状態で壁面に据え付けられる。本実施形態においては、室内機1の床面からの高さH(図1参照)は2cm程度である。なお、以下の説明において、室内機1が取り付けられる壁から突出する方向を「前方」と称し、その反対の方向を「後方」と称する。また、図1に示す左右方向および上下方向を単に「左右方向」、「上下方向」と称する。
【0047】
図2に示すように、室内機1は、ケーシング2と、ケーシング2内に収容された送風機20、熱交換器30、電装品箱10などの内部機器を備えている。この室内機1においては、送風機20の駆動により、ケーシング2の下壁に形成された主吸込口2aから床面近傍にある空気を吸い込みつつ、ケーシング2の前壁に形成された補助吸込口2b、2cからも空気を吸い込む。そして、吸い込んだ空気を熱交換器30において加熱または冷却した後、ケーシング2の上壁に形成された吹出口2dから吹き出す。
【0048】
ケーシング2は、本体フレーム3(図4参照)と、本体フレーム3の前方に配置される吹出口カバー4(図5参照)、輻射パネル5(図5参照)、および開閉パネル6(図5参照)を有する。本体フレーム3は、前方が開口した略矩形状の箱体であって、上述の各種内部機器を支持して、壁面に取り付けられる。
【0049】
図3に示すように、吹出口カバー4は、本体フレーム3の上端部の前方に配置されている。吹出口カバー4の上面には、左右方向に長い矩形状の開口である吹出口2dが形成されている。この吹出口カバー4の下方に輻射パネル5が配置されている。
【0050】
開閉パネル6は、輻射パネル5の下方に配置されており、本体フレーム3に取り付けられた前面グリル7に対して着脱可能である。図3に示すように、開閉パネル6を取り外すことにより、フィルタ11、12の着脱を行うことができる。また、輻射パネル5と開閉パネル6との間には、左右方向(水平方向)に長いスリット状の開口である補助吸込口2bが形成されている。開閉パネル6の上端近傍には、左右方向に長いスリット状の開口である補助吸込口2cが形成されている。また、前面グリル7の下端部には、左右方向に長い開口である主吸込口2aが形成されている。主吸込口2aは、開閉パネル6の下端と本体フレーム3との間に位置している。主吸込口2a、補助吸込口2b、2cおよび吹出口2dの左右方向長さほぼ同じである。なお、補助吸込口2b、2cは設けられていなくもよい。
【0051】
送風機20は、ケーシング2の高さ方向中央部分のやや上方に配置されている。送風機20は、クロスフローファンで構成されており、その軸方向が左右方向に沿うように配置されている。送風機20は、下前方から空気を吸い込んで、上後方に吹き出すようになっている。送風機20の詳細な構成については後述する。
【0052】
送風機20の上方には、吹出口ユニット8が配置されており、この吹出口ユニット8は吹出口カバー4で覆われている。送風機20から吹き出された空気は、吹出口ユニット8と本体フレーム3との間に形成された流路を通って、吹出口カバー4に設けられた吹出口2dに導かれる。吹出口ユニット8は、吹出口2dの近傍に配置される水平フラップ8aを備えている。水平フラップ8aは、吹出口2dから吹き出される空気流の上下方向の風向きを変更すると共に、吹出口2dの開閉を行う。
【0053】
熱交換器30は、送風機20の前方と下方とを取り囲むようにV字状に配置された前面熱交換器30aと背面熱交換器30bで構成されている。前面熱交換器30aは、ケーシング2の前面と平行であって、送風機20の前方に配置されており、その上半分が送風機20と対向している。背面熱交換器30bは、前面熱交換器30aの下端部近傍から背面に近付くにつれて上方に傾斜しており、送風機20の下方に配置されている。熱交換器の詳細な構成については後述する。
【0054】
輻射パネル5は、ケーシング2の前面部の一部を構成している。輻射パネル5は、冷媒が流れるパネル配管5aを有しており、このパネル配管5aを流れる冷媒の熱が、室内に輻射されることで、輻射暖房が行われる。
【0055】
前面グリル7は、前面熱交換器30aの上下方向略中央部分から、本体フレーム3の下端までを覆うように、本体フレーム3に取り付けられている。前面グリル7は、フィルタ保持部7aを有している。フィルタ保持部7aには、左右2枚の上部フィルタ11と左右2枚の下部フィルタ12が保持される。なお、上部フィルタ11は、その下側部分だけがフィルタ保持部7aに保持されており、上側部分は輻射パネル5に保持されている。
【0056】
上部フィルタ11および下部フィルタ12は、枠体13と、この枠体13の内側に張られたネットからなるフィルタ本体14とを有している。下部フィルタ12の枠体13の中央部には、補助フィルタ保持部13aが設けられている。なお、フィルタ本体14が、本発明のフィルタを構成している。
【0057】
補助フィルタ保持部13aには、補助フィルタ15が保持されている。補助フィルタ15は、フィルタ本体14の後方に配置され、フィルタ本体14で捕捉しきれない花粉や塵などの空気中の微粒子を捕捉する。補助フィルタ15としては、静電フィルタや光触媒フィルタなどが用いられる。補助フィルタ15は、左右方向長さがフィルタ本体14よりも短く、フィルタ本体14の左右方向略中央部に配置されている。
【0058】
電装品箱10は、主吸込口2aから背面熱交換器30bに至る流路に設置されており、回路基板などを収容している。電装品箱10は、左右方向に関して、送風機20の略右半分に対応する範囲に配置されている。
【0059】
次に、熱交換器の詳細について説明する。
図4および図6に示すように、熱交換器30の右側には、室外機から送られてきた冷媒を熱交換器30及び輻射パネル5に供給するための配管42が配置されている。また、熱交換器30の左端部には、本体フレーム3に取り付けるための取付部43が設けられている。また、熱交換器30の右端部には、ファンモータ44を支持するモータカバー45が取り付けられており、熱交換器30の右端部は、モータカバー45を介して本体フレーム3に取り付けられる。
【0060】
図7に示すように、熱交換器30(前面熱交換器30aおよび背面熱交換器30b)は、左右方向に並列配置された多数枚のフィン31と、多数枚のフィン31を貫通する複数のヘアピン管32と、隣接するヘアピン管32同士を連結する連結管33とを有している。
【0061】
多数枚のフィン31は、左右方向に並列して配置されている。各フィン31には、ヘアピン管32が貫通する複数の貫通孔(図示省略)が形成されており、この貫通孔の周縁部にはフィンカラー(図示省略)が立設されている。多数枚のフィン31は、送風機20と対向している。詳細には、多数枚のフィン31のうち最も左端のフィン31は、送風機20の左端部よりも右側に位置している。
【0062】
ヘアピン管32は、平行に延びる2本の直線部32aと湾曲部32bで構成されている。ヘアピン管32は、直線部32aが左右方向に延在し、且つ、湾曲部32bが直線部32aの左側に配置されている。直線部32aは、多数枚のフィン31を貫通しており、湾曲部32bは、最も左側のフィン31の左側に位置している。図6(b)に示すように、湾曲部32bは、湾曲部カバー46によって覆われている。また、図2に示すように、本実施形態では、前面熱交換器30aは12本のヘアピン管32を有し、背面熱交換器30bは6本のヘアピン管32を有している。
【0063】
連結管33はU字状に形成されており、その両端部が隣接するヘアピン管32の右端部において接続される。したがって、複数のヘアピン管32は連結管33を介して連通しており、両端のヘアピン管32は熱交換器30の右側に配置された配管42に接続されている。
【0064】
前面熱交換器30aおよび背面熱交換器30bの製造手順としては、まず、等間隔に並列配置した多数枚のフィン31の貫通孔に、ヘアピン管32の直線部32aを挿通する。次に、直線部32aよりも若干径の大きい拡管治具を、直線部32aに押し込んで直線部32aを拡管することで、直線部32aとフィン31とを固着させる。その後、拡管治具をヘアピン管32から引き抜く。この拡管治具の挿入と引き抜きに伴って、多数枚のフィン31のうち、湾曲部32b側の複数枚のフィン31のフィンピッチは、他の部分のフィンピッチよりも狭くなっている。
【0065】
次に、送風機20の詳細について説明する。
図4に示すように、送風機20の右側には、送風機20を駆動するためのファンモータ44が配置される。ファンモータ44は、モータカバー45を介して本体フレーム3に取り付けられる。また、送風機20の右端部(詳細には、後述するエンドプレート24と、右端の羽根車21Bの一部)は、モータカバー45に形成された半円形状の凹部45aと、本体フレーム3の右側部分に形成された半円形状の凹部3aの間に配置される。また、送風機20の左端部(詳細には、後述するエンドプレート25と、左端の羽根車21Aの一部)は、熱交換器30の取付部43に形成された半円形状の凹部43aと、本体フレーム3の左側部分に形成された半円形状の凹部3bの間に配置される。
【0066】
図4および図8に示すように、送風機20は、同一回転軸上に配置された複数の羽根車21と、隣接する羽根車21の間に配置される複数の環状プレート23と、複数の羽根車21の左右両端に配置される円形状のエンドプレート25、24とを備えている。図9に示すように、右側のエンドプレート24の中央部には、ファンモータ44の回転軸が挿入される円筒状のボス部24aが右方向に突出して設けられている。左側のエンドプレート25の中央部には、本体フレーム3に形成された軸受部3c(図4参照)に支持される軸部25aが左方向に突出して設けられている。
【0067】
図8に示すように、羽根車21は、環状プレート23の側面に周方向に並んで配置される複数の羽根22で構成される。各羽根22は、所定の翼角をもち、回転軸方向(左右方向)に平行に延在している。また、図9に示すように、左端の羽根車21Aと、羽根車21A以外の複数の羽根車21Bとは、羽根22の形状が異なっている。なお、図9では、上下両端の羽根22のみを表示しており、他の羽根22は省略している。
【0068】
図9に示すように、羽根車21Bの各羽根22Bの外周側翼端には、複数の略三角形状の切り欠き26が形成されている。隣接する切り欠き26の間は、左右方向に延在する平滑部27で構成されている。羽根22Bに複数の切り欠き26を設けることにより、空気流による騒音の低減を図っている。各羽根22Bの内周側翼端は、左右方向に延在している。
【0069】
また、左端の羽根車21Aの各羽根22Aの外周側翼端には、略三角形状の切り欠き28が1つだけ形成されている。切り欠き28以外の部分は、左右方向に延在する平滑部29で構成されている。また、各羽根22Aの内周側翼端は左右方向に延在している。羽根車21Aは、切り欠きの数が羽根車21Bよりも少ないため、空気流による騒音が羽根車21Bより大きくなるものの、風量は羽根車21Bよりも大きくなる。
【0070】
上述したように、複数のフィン31のうちヘアピン管32の湾曲部32b近傍部分においてフィンピッチが狭くなっている。羽根車21Aは、熱交換器30の上述したフィンピッチの狭い部分と対向している。フィンピッチが狭い部分は、通気抵抗が大きくなるが、この部分に対向する羽根車21として、切り欠きの少ない羽根車21Aを配置しているため、全ての羽根車21を羽根車21Bで構成した場合に比べて、風量の低下を抑制することができる。また、羽根車21A以外の羽根車21Bは、切り欠きの数が多いため、全体として、空気流による騒音を低減することができる。
【0071】
また、この室内機1では、羽根車21Aの左端部が、熱交換器30における左端のフィン31よりも外側に配置されているので、熱交換器30の左側部分のフィンピッチが狭くても、風量が低下するのを効果的に抑制することができる。
【0072】
なお、本実施形態では、熱交換器30は、V字状に形成されているが、熱交換器全体が、ケーシング2の前面と略平行に配置された板状であってもよい。
【0073】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る室内機について説明する。但し、第1実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を用いて適宜その説明を省略する。
上述した第1実施形態は、複数のフィン31のうちヘアピン管32の湾曲部32bに隣接する部分が流路抵抗となって風量が低下するのを防止するための構成であるが、以下の第2〜第9実施形態は、これ以外の流路抵抗部による風量低下を防止するための構成である。
本実施形態の室内機は、送風機120の構成が第1実施形態と異なっており、その他の構成は第1実施形態と同じである。
【0074】
図10に示すように、本実施形態の送風機120は、補助フィルタ15に対応する範囲に配置された羽根車21Aの構成が、第1実施形態の羽根車21Aと同じであって、他の羽根車21Bの構成が、第1実施形態の羽根車21Bと同じである。つまり、補助フィルタ15に対応する範囲に配置された羽根車21Aの羽根の切り欠き数は、他の羽根車21Bの羽根の切り欠き数よりも少なくなっている。
【0075】
空気流の流路において、補助フィルタ15が配置された範囲は、通気抵抗が大きくなるが、本実施形態では、補助フィルタ15に対応する範囲に配置された羽根車21Aの羽根の切り欠きの数が少ないため、風量が低下するのを抑制できる。
【0076】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る室内機について説明する。但し、第1実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を用いて適宜その説明を省略する。
本実施形態の室内機は、送風機220の構成が第1実施形態と異なっており、その他の構成は第1実施形態と同じである。
【0077】
図11に示すように、本実施形態の送風機220は、電装品箱10に対応する範囲に配置された羽根車21Aの構成が、第1実施形態の羽根車21Aと同じであって、他の羽根車21Bの構成が、第1実施形態の羽根車21Bと同じである。つまり、電装品箱10に対応する範囲に配置された羽根車21Aの羽根の切り欠き数は、他の羽根車21Bの羽根の切り欠き数よりも少なくなっている。
【0078】
空気流の流路において、電装品箱10が配置された範囲は、通気抵抗が大きくなるが、本実施形態では、電装品箱10に対応する範囲に配置された羽根車21Aの羽根の切り欠きの数が少ないため、風量が低下するのを抑制できる。
【0079】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る室内機について説明する。但し、第1実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を用いて適宜その説明を省略する。
本実施形態の室内機は、送風機320の構成が第1実施形態と異なっており、その他の構成は第1実施形態と同じである。
【0080】
図12に示すように、本体フレーム3は、送風機320の後側において流路を構成する円弧状の壁部17を有する。壁部17を円弧状に形成する加工工程において、壁部17の左右方向略中央部17aは、前方に膨らむようにたわみ変形する場合がある。また、吹出口ユニット8は、送風機320の外周面に沿って配置される舌部18を有する。舌部18を送風機320の外周面に沿う円弧状に形成する加工工程において、舌部18の左右方向略中央部18aは、送風機320から離れるようにたわみ変形する場合がある。なお、図12は、壁部17および舌部18のたわみ量を誇張して表示している。
【0081】
送風機320は、左右方向中央部に配置された中央羽根車の構成が、第1実施形態の羽根車21Aと同じであって、他の羽根車の構成が、第1実施形態の羽根車21Bと同じである。つまり、中央羽根車の羽根の切り欠き数が、他の羽根車の羽根の切り欠き数よりも少なくなっている。なお、中央羽根車の数は1つであっても複数であってもよい。また、中央羽根車の左右両側に、中央羽根車よりも切り欠き数の多い羽根車が配置されていれば、中央羽根車の中心位置(中央羽根車が複数の場合は中央の羽根車の位置)は、送風機20の左右方向の中心と一致していなくてもよい。
【0082】
壁部17の中央部17a付近は空気流が流れにくくなる。また、舌部18の中央部18aは送風機320から離れているため、送風機320における中央部18aに対向する部分から吹き出される空気流の流速が低下する。本実施形態では、壁部17の中央部17aおよび舌部18の中央部18aに対応する範囲に配置された中央羽根車の羽根の切り欠きの数が少ないため、風量が低下するのを抑制できる。
【0083】
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態に係る室内機について説明する。但し、第1実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を用いて適宜その説明を省略する。
本実施形態の室内機は、送風機420と熱交換器430の構成が第1実施形態と異なっており、その他の構成は第1実施形態と同じである。
【0084】
図13および図14に示すように、本実施形態の熱交換器430は、前面熱交換器30aおよび背面熱交換器30bに加えて、補助熱交換器430cを有する。補助熱交換器430cは、背面熱交換器30bの右側略半分の後方に配置されている。補助熱交換器430cは、左右方向長さが背面熱交換器30bと同じであって、その幅(略上下方向長さ)は背面熱交換器30bよりも短い。
【0085】
送風機420は、補助熱交換器430cに対応する範囲に配置された羽根車21Aの構成が、第1実施形態の羽根車21Aと同じであって、他の羽根車21Bの構成が、第1実施形態の羽根車21Bと同じである。つまり、補助熱交換器430cに対応する範囲に配置された羽根車21Aの羽根の切り欠き数は、他の羽根車21Bの羽根の切り欠き数よりも少なくなっている。
【0086】
空気流の流路において、補助熱交換器430cが配置された範囲は、通気抵抗が大きくなるが、本実施形態では、補助熱交換器430cに対応する範囲に配置された羽根車21Aの羽根の切り欠きの数が少ないため、風量が低下するのを抑制できる。
【0087】
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態に係る室内機について説明する。但し、第1実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を用いて適宜その説明を省略する。
本実施形態の室内機は、送風機520とケーシング502の構成が第1実施形態と異なっており、その他の構成は第1実施形態と同じである。
【0088】
第1実施形態と同じく、室内機501の右側にモータ44や配管42が配置されていることから、送風機520や熱交換器530は左寄りに配置されている(図4参照)。第1実施形態のケーシング2では、主吸込口2aが左寄りに形成されていたのに対して、図15に示すように、本実施形態のケーシング502では、シンメトリーにするために主吸込口502aが左右方向中央部に形成されている。主吸込口502aの左端の位置は、主吸込口2aの左端よりも中央側にあり、主吸込口502aの右端の位置は、主吸込口2aの右端の位置と同じである。
【0089】
送風機520は、主吸込口502aの左側に設けられた壁部507bに対応する範囲に配置された羽根車21Aの羽根の構成が、第1実施形態の羽根車21Aと同じであって、他の羽根車21Bの構成が、第1実施形態の羽根車21Bと同じである。つまり、壁部507bに対応する範囲に配置された羽根車21Aの羽根の切り欠き数は、他の羽根車21Bの羽根の切り欠き数よりも少なくなっている。
【0090】
空気流の流路において、主吸込口502aの壁部507bがある範囲は、通気抵抗が大きくなるが、本実施形態では、壁部507bに対応する範囲に配置された羽根車21Aの羽根の切り欠きの数が少ないため、風量が低下するのを抑制できる。
【0091】
<第7実施形態>
次に、本発明の第7実施形態に係る室内機について説明する。但し、第1実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を用いて適宜その説明を省略する。
本実施形態の室内機は、送風機620と下部フィルタの構成が第1実施形態と異なっており、その他の構成は第1実施形態と同じである。
【0092】
図16に示すように、本実施形態では、左側の下部フィルタ612Lと右側の下部フィルタ612Rの形状が互いに異なっている。左側の下部フィルタ612Lは、上下方向略中央部で屈曲しており、屈曲部より下側の部分が直線状に形成されている。一方、右側の下部フィルタ612Rは、第1実施形態の下部フィルタ12と同じく、下側略半分が円弧状に形成されている。そのため、左側の下部フィルタ612Lは、右側の下部フィルタ612Rに比べて送風機620までの距離が近くなっている。また、左側の下部フィルタ612Lは、右側の下部フィルタ612Rよりも、通気抵抗が大きくなっている。
【0093】
送風機620は、左側の下部フィルタ612Lに対応する範囲に配置された羽根車の構成が、第1実施形態の羽根車21Aと同じであって、他の羽根車の構成が、第1実施形態の羽根車21Bと同じである。つまり、左側の下部フィルタ612Lに対応する範囲に配置された羽根車の羽根の切り欠き数は、他の羽根車の羽根の切り欠き数よりも少なくなっている。
【0094】
空気流の流路において、左側の下部フィルタ612Lが配置された範囲は、通気抵抗が大きくなるが、本実施形態では、下部フィルタ612Lに対応する範囲に配置された羽根車の羽根の切り欠きの数が少ないため、風量が低下するのを抑制できる。
【0095】
<第8実施形態>
次に、本発明の第8実施形態に係る室内機701について説明する。
図17に示すように、本実施形態の室内機701は、横長の直方体状であって、室内の壁面に取り付けられる。以下の説明において、室内機701が取り付けられる壁から突出する方向を「前方」と称し、その反対の方向を「後方」と称する。また、図17に示す左右方向および上下方向を単に「左右方向」、「上下方向」と称する。
【0096】
図18に示すように、室内機701は、ケーシング702と、ケーシング702内に収容された送風機703、熱交換器705、フィルタユニット710、清掃ユニット740などの内部機器を備えている。この室内機701においては、送風機703の駆動により、ケーシング702の上面に形成された天面吸込口702a(図17参照)および前面吸込口702bから吸い込まれた空気を、熱交換器705において加熱または冷却した後、ケーシング702の下面に形成された吹出口702cから吹き出す。
【0097】
フィルタユニット710は、天面吸込口702aおよび前面吸込口702bと熱交換器705との間に配置されている。フィルタユニット710は、左右方向に並んで配置される2つのフィルタ720と、フィルタ720を移動可能に収納する枠ユニット730と、枠ユニット730の内部においてフィルタ720を所定の移動方向に移動させる駆動機構711とを有する。図19に示すように、2つのフィルタ720の間には、カバー部材714が配置されている。
【0098】
図20に示すように、フィルタ720は、枠体721と、その枠体721の内側に張られたフィルタ本体722とを有している。図21に示すように、枠体721の幅方向の両端部には、後述する駆動機構711のピニオン713に噛み合うラック部721aが形成されている。
【0099】
図18に示すように、枠ユニット730には、その内部に収容されるフィルタ720の移動経路(通常ガイド経路730a、折返しガイド経路730b、および、退避ガイド経路730c)が形成されている。ここでは、通常ガイド経路730aが天面吸込口702aおよび前面吸込口702b側に設けられると共に、退避ガイド経路730cが熱交換器705側に設けられる。そして、折返しガイド経路730bは、枠ユニット730の下部において、上記した通常ガイド経路730aと退避ガイド経路730cとを連結している。空調運転時には、フィルタ720は、通常ガイド経路730aに配置され、後述する清掃ユニット740によるフィルタ720の自動清掃時には、フィルタ720は、通常ガイド経路730aと退避ガイド経路730cとの間を移動する。
【0100】
枠ユニット730は、通常ガイド経路730aを形成するガイド部材731と、折返しガイド経路730bを形成するアンダーカバー732と、退避ガイド経路730cを形成するがイド部材733と、ガイド部材731とガイド部材733の間に配置される区画部材734とを有している。アンダーカバー732と区画部材734との間には、後述する駆動機構711のピニオン713が配置される。アンダーカバー732は、後述する清掃ユニット740の回転ブラシ741が、折返しガイド経路730bを通過するフィルタ720に接触するように開口している。また、4つのガイド部材731のうち中央の2つのガイド部材731は、カバー部材714の左右方向両端部によって構成されている。
【0101】
駆動機構711は、フィルタ720の自動清掃時に、フィルタ720の全領域が後述する清掃ユニット740の回転ブラシ741に接触するように、フィルタ720を上記した通常ガイド経路730aと退避ガイド経路730cとの間を移動させる。
駆動機構711は、モータ712(図19参照)と、モータ712によって回転駆動されるピニオン713(図18および図20参照)とを有している。図20に示すように、ピニオン713は、フィルタ720の左右両端部に配置される。モータ712は、フィルタ720ごとに設けられており、右側のモータ712は、カバー部材714の右端からはみ出して配置されている(図19参照)。
【0102】
清掃ユニット740は、フィルタ720に付着した塵埃を除去するために設けられており、図18に示すように、左右方向に延びた回転ブラシ741と、回転ブラシ741についた埃を掻き出すための櫛部材742と、この櫛部材742の前方に近接して設けられた圧縮ロッド743と、圧縮ロッド743と櫛部材742との間で圧縮された埃を収納するダストボックス744と、回転ブラシ741および圧縮ロッド743を回転駆動させるモータ745とを有する。
【0103】
回転ブラシ741は、両端部が回転可能に軸支されており、図20に示すように、その両端部と中央部とを除く部分にブラシ毛741aが設けられている。また、回転ブラシ741の中央部には、モータ745によって回転駆動される駆動ギア741bが取り付けられている。なお、回転ブラシ741の回転方向と、フィルタ720を移動させるピニオン713の回転方向とは反対方向である。
【0104】
圧縮ロッド743は、回転ブラシ741の下方に配置され、両端部が回転可能に軸支されている。圧縮ロッド743の中央部には、駆動ギア741bと噛み合う従動ギア743aが取り付けられている。
【0105】
空調運転が終了すると、フィルタユニット710の駆動機構711のモータ712を駆動してピニオン713を回転させると共に、清掃ユニット740のモータ745を駆動して回転ブラシ741および圧縮ロッド743を回転させる。これにより、フィルタ720が、通常ガイド経路730aから折返しガイド経路730bを経て退避ガイド経路730cに移動する。フィルタ720が折り返しガイド経路を通過する際、フィルタ本体722に付着した塵埃が回転ブラシ741によって取り除かれる。
【0106】
送風機703は、クロスフローファンで構成されており、上前方から空気を吸い込んで、下後方に吹き出すようになっている。図22に示すように、送風機703は、同一回転軸上に配置された複数の羽根車704を有する。複数の羽根車704のうち、カバー部材714、モータ(駆動機構)712、およびモータ745に対応する範囲に配置された羽根車704Aは、第1実施形態の羽根車21Aと同じ構成であり、他の羽根車704Bは、第1実施形態の羽根車21Bと同じ構成である。つまり、カバー部材714およびモータ712、745に対応する範囲に配置された羽根車704Aの羽根の切り欠き数は、他の羽根車704Bの羽根の切り欠き数よりも少なくなっている。
【0107】
空気流の流路において、カバー部材714およびモータ712、745に対応する範囲は、通気抵抗が大きくなるが、本実施形態では、この範囲に配置された羽根車704Aの羽根の切り欠きの数が少ないため、風量が低下するのを抑制できる。
【0108】
<第9実施形態>
次に、本発明の第9実施形態に係る室内機801について説明する。
図23に示すように、本実施形態の室内機801は、第8実施形態の室内機と同じく、横長の直方体状であって、室内の壁面に取り付けられる。なお、図23はハッチングを省略して表示している。
【0109】
図23に示すように、室内機801は、ケーシング802と、ケーシング802内に収容された送風機803、熱交換器805、付加機能ユニット(付加機能部)806などの内部機器を備えている。この室内機801においては、送風機803の駆動により、ケーシング802の上面に形成された吸込口802aから吸い込まれた空気を、熱交換器805において加熱または冷却した後、ケーシング802の下面に形成された吹出口802bから吹き出す。
【0110】
付加機能ユニット806は、吸込口802aに対向して配置されたフィルタ(図示省略)と熱交換器805との間に配置されている。付加機能ユニット806は、空気清浄機能を有する空気清浄ユニットであり、ストリーマ放電を生じさせることによって付加機能ユニット806を通過する空気を清浄化できる。付加機能ユニット806の内部には、ストリーマ放電を生じさせるための放電電極および対向電極やフィルターなどが収納される。図24に示すように、付加機能ユニット806は、空気流の流路の右側略半分の範囲に配置されている。
【0111】
送風機803は、クロスフローファンで構成されており、上前方から空気を吸い込んで、下後方に吹き出すようになっている。図25に示すように、送風機803は、同一回転軸上に配置された複数の羽根車804を有する。複数の羽根車804のうち、付加機能ユニット806に対応する範囲に配置された羽根車804Aは、第1実施形態の羽根車21Aと同じ構成であり、他の羽根車804Bは、第1実施形態の羽根車21Bと同じ構成である。つまり、付加機能ユニット806に対応する範囲に配置された羽根車804Aの羽根の切り欠き数は、他の羽根車804Bの羽根の切り欠き数よりも少なくなっている。
【0112】
空気流の流路において、付加機能ユニット806に対応する範囲は、通気抵抗が大きくなるが、本実施形態では、この範囲に配置された羽根車804Aの羽根の切り欠きの数が少ないため、風量が低下するのを抑制できる。
【0113】
なお、本実施形態では、付加機能ユニット806は、ストリーマ放電による空気清浄機能を有する空気清浄ユニットであるが、他の原理による空気清浄機能を有するものであってもよい。他の原理による空気清浄機能とは、例えば、通過する塵埃を帯電させることによって集塵する集塵機能などがある。また、空気清浄機能ではなく他の機能を付加するための付加機能ユニットであってもよい。
【0114】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0115】
上記実施形態では、羽根22の切り欠き26、28の形状は略三角形状であるが、この形状に限定されるものではなく、台形状、円弧状、四角形状などであってもよい。
【0116】
上記実施形態では、切り欠き数の少ない羽根車21Aは、各羽根22Aに1つの切り欠き28が形成されているが、切り欠きが全く形成されていなくてもよい。また、各羽根22Aに複数の切り欠きが形成されていてもよい。
【0117】
上記実施形態では、1つの羽根車を構成する複数の羽根は全て同じ形状であるが、異なっていてもよい。例えば、1つまたは複数の切り欠きを有する羽根と、切り欠きを有しない羽根とが交互に配置されていてもよい。但し、切り欠き数の少ない羽根車の切り欠きの総数は、切り欠き数の多い羽根車の切り欠きの総数未満とする。
【0118】
上記実施形態では、複数の羽根車21B(または複数の羽根車21A)は全て同じ形状であるが、異なっていてもよい。例えば、羽根車ごとに各羽根の切り欠きの数が異なっていてもよい。
【0119】
上記実施形態では、羽根22の外周側翼端に切り欠き26、28が形成されているが、羽根22の内周側翼端に切り欠きが形成されていてもよい。また、外周側翼端と内周側翼端の両方に複数の切り欠きが形成されていてもよい。
【0120】
上記実施形態では、本発明の送風機20としてクロスフローファンを用いた場合を例に挙げて説明したが、送風機20はこれに限定されない。送風機20は、同一回転軸上に配置された複数の羽根車を有するものであればよく、例えばシロッコファンやターボファンなどであってもよい。
【0121】
本発明の流路抵抗部は、上記実施形態で述べたものに限定されない。例えば、第8実施形態では、カバー部材714とモータ712、745が、本発明の流路抵抗部を構成しているが、カバー部材714のみが本発明の流路抵抗部を構成していてもよい。つまり、切り欠き数の少ない羽根車704Aは、カバー部材714に対応する範囲にのみ配置されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明を利用すれば、室内機において風量低減を抑制することができる。
【符号の説明】
【0123】
1、701、801 室内機
2、502、702、802 ケーシング
10 電装品箱
11、12、612L、612R、720 フィルタ
14 フィルタ本体
15 補助フィルタ
20、120、220、320、420、520、620、703、803 送風機
21(21A、21B)、704(704A、704B)、804(804A、804B) 羽根車
22(22A、22B) 羽根
26、28 切り欠き
30、430、705、805 熱交換器、
30a 前面熱交換器(主熱交換器)
30b 背面面熱交換器(主熱交換器)
31 フィン
32 ヘアピン管
32a 直線部
32b 湾曲部
430c 補助熱交換器
502a 主吸込口(吸込口)
507b 壁部
710 フィルタユニット
711 駆動機構
712 モータ
714 カバー部材
740 清掃ユニット
745 モータ
806 付加機能ユニット(付加機能部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機と、
前記送風機によって発生する空気流の流路に配置された熱交換器とを備え、
前記送風機が、2以上の羽根をそれぞれ有すると共に同一回転軸上に設けられた複数の羽根車を有しており、
前記複数の羽根車は、羽根の切り欠き数が互いに異なる複数種類の羽根車を含んでいることを特徴とする室内機。
【請求項2】
前記空気流の流路には、前記送風機の長手方向の一部に対応した範囲に配置された流路抵抗部があって、
前記流路抵抗部に対応した範囲に配置された羽根車の羽根の切り欠き数が、他の羽根車の羽根の切り欠き数より少ないことを特徴とする請求項1に記載の室内機。
【請求項3】
前記熱交換器が、複数のフィンを貫通するヘアピン管を有するものであって、
前記流路抵抗部が、前記複数のフィンにおいて前記ヘアピン管の湾曲部に隣接する部分であることを特徴とする請求項2に記載の室内機。
【請求項4】
前記羽根の切り欠き数が少ない羽根車が、前記フィンと対向しない部分を有していることを特徴とする請求項3に記載の室内機。
【請求項5】
前記空気流の流路において前記送風機の長手方向に並べて配置された複数のフィルタを備え、
前記流路抵抗部が、前記複数のフィルタのうち前記送風機との距離が最も近いフィルタであることを特徴とする請求項2に記載の室内機。
【請求項6】
前記空気流の流路には、前記送風機の長手方向の一部に対応した範囲に配置された電装品箱が設けられており、
前記流路抵抗部が、前記電装品箱であることを特徴とする請求項2に記載の室内機。
【請求項7】
前記熱交換器が、
主熱交換器と、
前記主熱交換器に積層され、前記送風機の長手方向の一部に対応した範囲に配置された補助熱交換器とを有し、
前記流路抵抗部が、前記補助熱交換器であることを特徴とする請求項2に記載の室内機。
【請求項8】
前記空気流の流路に設けられたフィルタを備え、
前記フィルタには、前記送風機の長手方向の一部に対応した範囲に配置された補助フィルタが積層されており、
前記流路抵抗部が、前記補助フィルタであることを特徴とする請求項2に記載の室内機。
【請求項9】
前記空気流の流路には、前記送風機の長手方向の一部に対応した範囲に配置された付加機能部が設けられており、
前記流路抵抗部が、前記付加機能部であることを特徴とする請求項2に記載の室内機。
【請求項10】
前記送風機に供給される空気を吸い込む吸込口を有するケーシングを備え、
前記流路抵抗部が、前記送風機の長手方向について前記吸込口の外側に設けられた壁部であることを特徴とする請求項2に記載の室内機。
【請求項11】
前記空気流の流路に設けられたフィルタと、
前記送風機の長手方向の一部に対応した範囲に配置され、前記フィルタを移動させる駆動機構とを備え、
前記流路抵抗部が、前記駆動機構であることを特徴とする請求項2に記載の室内機。
【請求項12】
前記複数の羽根車が、前記送風機の長手方向中央部に配置された中央羽根車を含んでおり、
前記中央羽根車の羽根の切り欠き数が、それより外側に配置された羽根車の羽根の切り欠き数より少ないことを特徴とする請求項1に記載の室内機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−112640(P2012−112640A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238820(P2011−238820)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】