説明

空調システム

【課題】ある階の複数のドラフトチャンバによる同時運転率が予め定めたx%を超えた場合にも、空気調和機を過剰な設備とすることなしに超えた分の給気を可能とした空調システムを提供する。
【解決手段】複数の階に排気ダクト7が接続された複数のドラフトチャンバ6を備えると共に、中途部にVAV17及び圧力検出器18を設けた給気ダクト16を介してドラフトチャンバ6が配置された部屋5に給気を行なうための空気調和機10を備え、ドラフトチャンバ6の昇降扉の開度に対応してVAV17の開度を制御し、圧力検出器18で検出した圧力により空気調和機10の送風機14のインバータ制御を行い得るようにした空調システムにおいて、複数の階の給気ダクト16が夫々互いに連通するように、給気ダクト16の空気調和機10と圧力検出器18との間に、上方から下方へ延在するヘッダダクト25を接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
化学系の実験、或は研究等においては、発生する有害ガスによる人体への影響を避けるためにドラフトチャンバが使用される。而して、ドラフトチャンバは、図7に示すごとく矩形箱状のチャンバ本体1の内部に形成された作業空間2の前面開放口を、昇降扉3により任意の開度に調整し得るようにした装置であり、昇降扉3の前面開放口から作業空間2内へ吸入される空気Aの面風速を、昇降扉3の開度の如何に拘らず、一定風速(例えば約0.5m/s)となるようにしている。なお、昇降扉3は、完全に閉止しても内部の作業空間2が目視し得るよう、例えばガラス板やアクリル板等の透明な材料が使用される。図中、4は排気管である。
【0003】
斯かるドラフトチャンバを備えた空調システムの一例は図6に示されている。而して、図6中、5は研究所等における建屋の各階に設けた部屋であり、各階の部屋5には図7に示す構造の複数基のドラフトチャンバ6が配置されている。各ドラフトチャンバ6の頂部には排気管4(図7参照)を介して排気ダクト7が接続されており、排気ダクト7は部屋5を通って外部へ延在している。排気ダクト7の室外側の先端部には排風機8が接続されていると共に、排気ダクト7における排風機8の吸込み側に近接した位置には、ドラフトチャンバ6を駆動したら所定の開度に開くダンパ9が設けられている。
【0004】
排風機8を設置した側とは部屋5を挟んで反対側には、各階ごとに空気調和機10が設置されている。而して、空気調和機10はハウジング11内に空気流れ方向D上流側から下流側へ向けてコイル12、加湿用配管13、送風機14を備えていると共に、ハウジング11には外気取入れダクト15が接続されており、外気取入れダクト15から導入されてコイル12により冷却又は加熱された空気は送風機14から給気ダクト16を介して対応する部屋5に給気されるようになっている。
【0005】
又、給気ダクト16の中途部には、VAV(可変風量ユニット:Variable air volume control unit)17が設けられていると共に、VAV17よりも空気流れ方向D上流側に位置するよう圧力検出器18が設けられており、圧力検出器18で検出した圧力信号P1は送風機14のインバータ19に与え得るようになっている。而して、送風機14はインバータ制御を行なわれて回転数が調整されることにより、部屋5へ給気される給気流量を制御し得るようになっている。
【0006】
各ドラフトチャンバ6には昇降扉3(図7参照)の開度を検出するために、ポテンショメータ等の開度検出器20が取付けられており、開度信号Oは演算制御装置21に与えられるようになっている。又、演算制御装置21からはVAV17へ開度指令Vを与え得るようになっている。
【0007】
各部屋5の外部における排風機8設置側には、排風機22が配置されており、排風機22には、中途部にCAV(定風量ユニット:Constant air volume control unit)23を備えると共に反対側端部を部屋5に接続された排気ダクト24が接続されている。
【0008】
何れかの階のある部屋5のドラフトチャンバ6の全てを運転しない場合は、その部屋5に対応する全ての排風機8は停止しているが、居住人員に見合う通常の換気が行われるため、人が入っている部屋5の排風機22は駆動され、入っている部屋5ごとに一定流量の換気が行なわれる。又、排風機22が駆動される場合は、その駆動信号を基に演算制御装置21からVAV17へ開度指令Vが与えられ、VAV17は一定の開度となっている。このため、空気調和機10においては、外気取入れダクト15から導入された空気はコイル12により加熱若しくは冷却され、必要な場合は加湿用配管13からの水により加湿され、送風機14により給気ダクト16を経て部屋5へ給気されている。
【0009】
何れかの階の部屋5において、ドラフトチャンバ6のどれか一台の運転を開始すると、運転されたドラフトチャンバ6に対応する排気ダクト7のダンパ9が所定開度に開くと共に、当該ドラフトチャンバ6に対応する排風機8が駆動されてドラフトチャンバ6からの排気が開始される。
【0010】
又、運転されたドラフトチャンバ6における昇降扉3の開度が開度検出器20により検出されてその開度信号Oが演算制御装置21に与えられ、演算制御装置21では、ドラフトチャンバ6の前面開放口から作業空間2へ導入される空気が所定の一定風速(例えば0.5m/s)となるために必要なVAV17の開度が求められ、開度指令VはVAV17に与えられる。
【0011】
このため、VAV17の開度がドラフトチャンバ6が運転されていない場合よりも大きくなり、その分給気ダクト16内の圧力は低下するが、この圧力は圧力検出器18により検出されて圧力信号P1としてインバータ19に与えられ、給気ダクト16内の圧力が所定の圧力となるよう、インバータ制御により送風機14の回転数が増加し、所定の部屋5への給気流量が増える。
【0012】
一方、駆動を開始された排風機8により吸引されて部屋5内からドラフトチャンバ6の前面開放口を通り一定風速で作業空間2へ導入された空気は、対応する排気ダクト7を通り排風機8により排気され、又、部屋5内の空気の一部は、ドラフトチャンバ6が駆動されていない場合と同じ流量だけ、排風機22により外部へ換気される。
【0013】
この運転中に運転されているドラフトチャンバ6の昇降扉3が昇降すると、開度検出器20により昇降扉3の開度が検出されて開度信号Oは演算制御装置21へ与えられ、演算制御装置21では、ドラフトチャンバ6の前面開放口から作業空間2へ導入される空気が所定の一定風速となるために必要なVAV17の開度が求められ、求められた開度指令VはVAV17に与えられる。このため、VAV17の開度が所定の開度に調整される。
【0014】
又、圧力検出器18により検出された給気ダクト16内の空気の圧力信号P1はインバータ19へ与えられ、給気ダクト16内の圧力が所定の圧力となるよう、インバータ制御により送風機14の回転数は所定の回転数に制御される。このため、昇降扉3の開口の大きさの如何に拘らず、送風機14からは、運転されているドラフトチャンバ6の前面開放口から作業空間2へ導入される空気が所定の一定風速となるために必要な流量の空気が部屋5へ給気される。
【0015】
2台目のドラフトチャンバ6の運転を開始すると、前述したと同様にして、対応する排風機8が駆動されると共に、開度検出器20により昇降扉3の開度が検出されて開度信号Oは演算制御装置21へ与えられて加算され、演算制御装置21では、加算された開度からドラフトチャンバ6の前面開放口より作業空間2へ導入される空気が所定の一定風速となるために必要なVAV17の開度が求められ、開度指令VはVAV17に与えられる。このため、VAV17は更に開いた所定の開度に調整される。
【0016】
又、同様に、圧力検出器18により検出された給気ダクト16内の空気の圧力信号P1はインバータ19へ与えられ、給気ダクト16内の圧力が所定の圧力となるよう、インバータ制御により送風機14の回転数は所定の回転数に制御される。このため、昇降扉3の開口の大きさの如何に拘らず、送風機14からは、運転されているドラフトチャンバ6の前面開放口から作業空間2へ導入される空気が所定の一定風速となるために必要な流量の空気が部屋5へ給気される。
【0017】
なお、開度検出器20で検出した開度信号Oが大きくなればVAV17の開度は大きくなり、開度信号Oが小さくなればVAV17の開度は小さくなり、又、VAV17の開度が大きくなると、圧力信号P1が低下するがこの場合は、給気ダクト16内の圧力が所定の圧力となるよう送風機14の回転数が増加して給気流量が増加し、VAV17の開度が小さくなると、圧力信号P1が上昇するが、この場合は、給気ダクト16内の圧力が所定の圧力となるよう送風機14の回転数が減少して給気流量が減少する。これらの点は、図6の場合も以下に示す本発明の図示例の場合も同様である。
【0018】
ドラフトチャンバ給排気システムとしては特許文献1がある。而して、特許文献1では一つの室内に複数のドラフトチャンバを設置した際に、室内用の空気調和装置の給、排気量と無関係に給気量と排気量のバランスが得られるようにするものである。
【特許文献1】特開2003−19439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
図6に示す空調システムにおいては、ドラフトチャンバ6は通常一部屋に複数台設置されており、その総排気流量に見合う給気流量を確保する必要がある。しかし、一部屋にある全てのドラフトチャンバ6が駆動された場合の最大排気流量を考慮すると、空気調和機10を大型化しなければならならず、過剰な設備となるため、従来は「同時運転率」という概念を導入している。ここで、「同時運転率」とは、同一の部屋5にある複数のドラフトチャンバ6のうち何台が同時に運転される可能性があるかという割合のことである。
【0020】
すなわち、ドラフトチャンバ6の同時運転率をx%(例えば50%)とすると、一部屋にある全ての台数のドラフトチャンバ6における合計の排気流量のx%の給気流量と、部屋の通常の換気流量に対応する外気導入流量との合計の給気流量を確保するための空気調和機10を設置することになる。従って、一部屋にあるドラフトチャンバ6の台数をn台、一台当たりのドラフトチャンバ6の最大排気流量をQemax、居住人員に見合う通常の換気流量をQoutとすると、空気調和機10からの最大給気流量Qcmaxは[数1]で表される。すなわち、最大給気流量Qcmaxは、全台数の排風機8による最大の排気流量と排風機22による一定の排気流量を加算した量に等しい。
[数1]
Qcmax=(x/100)×n×Qemax+Qout
【0021】
図6に示す空調システムにおいては、同時運転率x%の場合、上限である最大給気流量Qcmaxの給気が可能であるが、同時運転率x%を越えた場合には、給気流量は増加させることはできず、ドラフトチャンバ6からは本来必要とされる排気流量を確保することができない。
【0022】
すなわち、同時運転率x%を超えてドラフトチャンバ6の運転が行なわれると、空気調和機10からの給気流量が不足するため、ドラフトチャンバ6内の有害ガスが部屋5内に漏洩する。又、ドラフトチャンバ6のうちどのドラフトチャンバから有害ガスが漏洩しているのかは分からないので、研究者は不安を抱く虞がある。
【0023】
更に、ドラフトチャンバ6からの排気により部屋5内が負圧となるため、部屋5の入口のドアが開き難くなり、一方、外気により給気流量を確保するために部屋5の窓を開けると、空調されていない外気が部屋5内へ侵入するため、暑すぎたり寒すぎたりして具合が悪い。
【0024】
又更に、同時運転率x%に対し安全率を考慮し、給気流量に余裕のある空気調和機10を選定すると、空気調和機10は大型化して広い設置スペースが必要となり、このため、スペースの有効利用上不利であり且つ価格も高価となる。更に又、コイル12へ供給する熱源や電気容量も大型化が必要となるため、一層価格が高価となる。
【0025】
更に又、図6に示すように、空調システムが多層階に亘って設置されている場合には、ドラフトチャンバ6は他の階の運転状況に拘らず夫々の階で勝手に運転されたり、ドラフトチャンバ6の移設等による台数の増減により、空気調和機10からの給気流量に余裕のある階と不足する階が出てくる。
【0026】
又、特許文献1に示すドラフトチャンバ給排気システムは同時運転率の概念を導入してはいないため、一つの室にある全台数のドラフトチャンバを同時に運転した場合にも給気流量を充足させるには外気調和機が大型化して過剰な設備となり、又、広い設置スペースが必要になるためスペースの有効利用を図ることも困難である。
【0027】
本発明は、上記実情に鑑み、ある階の複数のドラフトチャンバによる同時運転率が予め定めたx%を超えた場合にも、空気調和機を過剰な設備とすることなしに超えた分の給気を可能とした空調システムを提供することを目的としてなしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明の請求項1の空調システムは、複数の階に、排気手段が接続された複数のドラフトチャンバを設置すると共に、ドラフトチャンバを設置した階に対応して、空気流れ方向上流側から下流側に向けて圧力検出手段及び給気流量制御手段を配した複数の給気流路と、該給気流路を介して前記ドラフトチャンバが配置された階の部屋に給気を行なうための複数の空気調和機を設け、前記ドラフトチャンバの扉の開度に対応して前記給気流量制御手段を制御し、前記圧力検出手段で検出した圧力により空気調和機の送気手段からの給気流量の制御を行うようにした空調システムにおいて、前記給気流路が夫々互いに連通するように、給気流路の空気調和機と圧力検出手段との間にヘッダ手段を接続したものである。
【0029】
本発明の請求項2の空調システムは、同一の階に設けた複数の部屋に夫々排気手段が接続されたドラフトチャンバが配置されると共に、前記同一の階において夫々給気流路を介して互いに連通する複数の空気調和機を備え、前記給気流路のうち複数の部屋を通る給気流路には、圧力検出手段が設けられると共に、各部屋に対応して、給気流量制御手段を有する室給気手段が接続され、前記複数の空気調和機からの空気を給気流路及び室給気手段を介して各部屋に対して給気し得るよう構成され、前記ドラフトチャンバの扉の開度に対応して前記給気流量制御手段を制御し、前記圧力検出手段で検出した圧力により空気調和機の送気手段からの給気流量の制御を行うよう構成したものである。
【0030】
本発明の請求項3の空調システムにおいては、各ドラフトチャンバには夫々他のドラフトチャンバとは別個に独立して排気手段が接続されており、請求項4の空調システムにおいては、各ドラフトチャンバには夫々互いに連通する排気手段が接続されており、請求項5の空調システムにおいては、一つの部屋には複数のドラフトチャンバが配置されており、請求項6の空調システムにおいては、各空気調和機からの空気は、給気手段を介してドラフトチャンバが配置された部屋以外の空間にも給気し得るよう構成されており、請求項7の空調システムにおいては、同一の階にある複数の空気調和機は、前記給気流路及び前記室給気手段を介して同一の階に給気を行なうための給気ヘッダに連通された前記ヘッダ手段を介して他の階の空気調和機と連通されており、請求項8の空調システムにおいては、ドラフトチャンバが配置された部屋には居住人員に見合う換気を行うための換気手段が設けられており、請求項9の空調システムにおいては、ドラフトチャンバに導入される空気は常に一定風速となるよう、ドラフトチャンバの扉の開度を基に給気流量制御手段を制御すると共に、圧力検出手段の圧力を基に空気調和機の送気手段の制御を行い得るよう構成されている。
【発明の効果】
【0031】
本発明の請求項1〜9の空調システムによれば、下記のごとき種々の優れた効果を奏し得る。
I)予め定めた同時運転率x%(例えば50%)を超えてドラフトチャンバの運転が行なわれた場合でも、建屋全体又はある階の空気調和機による給気流量に余裕があれば、ドラフトチャンバの同時運転率が100%の部屋にも給気を行なうことができるため、当該階又は部屋のドラフトチャンバから有害ガスが漏洩することを防止することができて安全性が向上し、従って、研究者も安心して作業を行なうことができる。
II)ある階又は同一の階のある部屋のドラフトチャンバに対する給気流量が不足する場合でも、他の階若しくは同一の階の他の空気調和機から給気を補給することができ、従って、各空気調和機の能力を増強しなくても、ドラフトチャンバの同時運転率を超えて給気することができるため、空気調和機からの給気流量に余裕のある階若しくは部屋と不足する階若しくは部屋が出てくることがなく、設備の信頼性が向上する。
III)空気調和機は能力を増強する必要がないため、空気調和機は大型化せずに余分な設置スペースを取らず、従って、スペースの有効利用を図ることができ、且つ、価格も安価となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1は本発明を実施する形態の第一例であって、図中、図6と同一の符号を付したものは同一のものを示し、基本的な構成は図に示す従来のものと同様である。而して、本図示例の特徴とするところは、建屋における全階層の給気ダクト16が夫々互いに連通するように、給気ダクト16の空気調和機10と圧力検出器18との間に、ドラフトチャンバ6が設置された部屋5の最下階から最上階まで延在する縦型のヘッダダクト25を配置し、接続した点である。この場合、空気調和機10自体は図6に示すものと同一の能力のものであるが、各階ごとに設けるVAV17は、各階のドラフトチャンバ6の同時運転率が100%の場合の最大排気流量に見合う給気を行なうことができるよう、大きな容量のものとする。
【0033】
次に、上記した実施の形態の作動を説明する。
ある階の部屋5における全台数のドラフトチャンバ6が運転されない場合は、居住人員に見合う通常の換気のために排風機22が駆動され、各部屋5ごとに一定流量の換気が行なわれる点は図6に示す空調システムと同様である。又、ドラフトチャンバ6が運転された場合にも、排風機22により各部屋5ごとに一定流量の換気が行なわれる点も図6に示す空調システムと同様である。
【0034】
本図示例においては、ドラフトチャンバ6の運転時には、ドラフトチャンバ6の同時運転率や昇降扉3の開口の大きさのの如何に拘らず、ドラフトチャンバ6の前面開放口から作業空間2へ導入される空気は一定風速(例えば0.5m/s)となるよう制御が行なわれる。又、ドラフトチャンバ6の運転に伴う排風機8の駆動、排気ダクト7のダンパ9の拡開、VAV17の開度制御やインバータ19による送風機14の回転数の制御は、図6に示す空調システムと同様にして行なわれる。
【0035】
而して、運転されているドラフトチャンバ6から作業空間2へ吸引された空気は排気ダクト7を経て排風機8により排気される。この際、部屋5内の空気は、排風機22により排気ダクト24を経て換気される。排風機22により換気される換気流量はドラフトチャンバ6の運転台数に拘らず一定である。
【0036】
又、空気調和機10においては、外気取入れダクト15から導入されてコイル12により加熱若しくは冷却され、必要な場合には加湿用配管13からの水により加湿された空気は、送風機14により給気ダクト16、ヘッダダクト25、給気ダクト16を経て部屋5へ給気される。部屋5へ給気される給気流量は、駆動されている排風機8による排気流量と排風機22による換気流量の合計の流量である。
【0037】
而して、同時運転率が予め定められたx%よりも低い状態でドラフトチャンバ6の運転が行なわれている場合は、送風機14により部屋5に給気される給気流量は実際の同時運転率に対応した流量となり、[数1]で示す給気流量よりも低い流量となる。この運転の際、使用されているドラフトチャンバ6においては、開度検出器20により昇降扉3の開度が検出され、開度信号Oは演算制御装置21へ与えられ、演算制御装置21では、加算された開度信号を基にドラフトチャンバ6の前面開放口から作業空間2へ導入される空気が所定の一定風速となるために必要なVAV17の開度が求められ、開度指令VはVAV17に与えられる。このため、VAV17の開度は大きくなって所定の開度に調整される。
【0038】
又、VAV17の開度が大きくなると、給気ダクト16内の圧力は低下するが、その圧力は圧力検出器18により検出され、圧力信号P1としてインバータ19へ与えられ、給気ダクト16内の圧力が予め定めた所定の圧力となるよう、送風機14は所定の回転数に上昇するよう制御が行なわれる。
【0039】
ある階でのドラフトチャンバ6の同時運転率が予め定めたx%になると、そのときの各ドラフトチャンバ6の昇降扉3の開度が開度検出器20により検出されて開度信号Oが当該階の演算制御装置21に与えられ、演算制御装置21では、加算された開度信号を基にドラフトチャンバ6の前面開放口から作業空間2へ導入される空気が所定の一定風速となるために必要なVAV17の開度が求められ、開度指令VはVAV17に与えられる。このため、VAV17の開度は更に開いて所定の開度に調整される。
【0040】
又、VAV17が開くことにより、給気ダクト16内の圧力は低下するが、その圧力は圧力検出器18により検出されてインバータ19へ与えられ、インバータ制御により送風機14の回転数は最高の回転数に制御される。このため、当該階の送風機14は最大吐出流量となる。外気取入れダクト15からハウジング11内へ導入された外気を加熱若しくは冷却するコイル12も最大運転の状態となる。
【0041】
ある階でのドラフトチャンバ6の同時運転率が予め定めたx%以上のxo%になると、当該階のドラフトチャンバ6に対して給気流量が不足した状態となり、且つ当該階のVAV17は当該階の演算制御装置21からの指令により、不足する給気流量に対応して更に開く。又、近接する他の階においてもヘッダダクト25を介し給気ダクト16内の圧力が低下する。
【0042】
このため、圧力が低下した階の給気ダクト16の圧力は圧力検出器18により検出されて圧力の低下した階のインバータ19へ与えられ、インバータ制御により送風機14の回転数は同時運転率差であるΔx(=xo−x)に対応した分だけ増加し、当該圧力が低下した階の給気ダクト16の圧力が所定の圧力に保持されるように制御が行なわれる。従って、圧力が低下した階の送風機14からの給気流量が増加してドラフトチャンバ6に対する給気流量が不足する階の部屋5に給気が補給される。この場合、圧力が低下した階のVAV17の開度は不変であるため、当該階のドラフトチャンバ6への給気流量が増加することはない。
【0043】
ドラフトチャンバ6に対する給気流量が不足している階の部屋5へ他の階の送風機14からの給気流量が補給されてもなおも当該階の給気流量が不足している場合は、前述と同様にして次の階の空気調和機10から給気流量の不足分が補給されることになる。
【0044】
本図示例においては、一つの階の部屋5で予め定めた同時運転率x%(例えば50%)を超えて、仮に同時運転率100%でドラフトチャンバ6の運転が行なわれた場合でも、全ての階の空気調和機10による建屋全体の給気流量に余裕があれば、ドラフトチャンバ6の同時運転率が100%の部屋5にも給気を行なうことができるため、当該階のドラフトチャンバ6から有害ガスが漏洩することを防止することができ、安全性が向上する。従って、研究者も安心して作業を行なうことができる。
【0045】
又、各階の給気ダクト16が互いに連通するよう、各階の給気ダクト16に空気調和機10と圧力検出器18との間においてヘッダダクト25を設けているため、ある階のドラフトチャンバ6に対する給気流量が不足する場合でも、他の階の空気調和機10から給気を補給することができる。従って、各空気調和機10の能力を増強しなくても、建屋全体でのドラフトチャンバ0の同時運転率x%(例えば50%)に対応する給気流量を給気することができるため、空気調和機10からの給気流量に余裕のある階と不足する階が出てくることがなく、設備の信頼性が向上する。
【0046】
更に、空気調和機10は能力を増強する必要がないため、空気調和機10は大型化せずに余分な設置スペースを取らず、従って、スペースの有効利用を図ることができ、且つ、価格も安価となる。
【0047】
図2、図3は本発明の実施の形態の第二例で、本図示例においても建屋における全階層の給気ダクト16が夫々互いに連通するように、給気ダクト16の空気調和機10と圧力検出器18との間に、ドラフトチャンバ6が設置された部屋5の最下階から最上階まで延在する縦型のヘッダダクト25が配置され、接続されている。この場合も、空気調和機10自体は図6に示すものと同一の容量のものであるが、VAV17は、各階のドラフトチャンバ6の同時運転率100%の場合の最大排気流量に見合う給気を行なうことができるよう、大きな容量のものとする。
【0048】
又、ドラフトチャンバ6は、図3に示すようチャンバ本体1の上面に設けられている排気管4内にアクチュエータ(図示せず)により開閉し得るようにしたダンパ26を備えており、ダンパ26は開度検出器20により検出した昇降扉3の開度に対応して開閉し得るようになっている。而して、昇降扉3の開度が大きい場合にはダンパ26の開度も大きく開くようになっている。
【0049】
又、本図示例では建屋全体の全てのドラフトチャンバ6からの空気を一台の排風機27により排気し得るようになっている。すなわち、各階のドラフトチャンバ6の排気管4には、各階で外部へ延在する一本の排気ダクト28が接続されており、各排気ダクト28は一本の排気ダクト29に接続されており、排気ダクト29の先端には排風機27が接続されている。排気ダクト29の排風機27吸込み側近傍には圧力検出器30が接続されており、圧力検出器30により検出した圧力は圧力信号P2として排風機27のインバータ31へ与え得るようになっている。
【0050】
各階の部屋5内の空気をドラフトチャンバ6を通さずに行なう換気も一台の排風機32により行い得るようになっている。すなわち、各階の部屋5に連通するよう接続されると共に、中途部にCAV23を備えた排気ダクト24は、一本の排気ダクト33に接続されており、排気ダクト33の先端部には、排風機32が接続されている。
なお、図2中、図1に示す符号と同一のものには同一の符号が付してある。
【0051】
本図示例においては、建屋の全ての階のドラフトチャンバ6が運転されない場合でも、何れかの階の部屋5に研究者が入り、これからドラフトチャンバ6の運転を開始するような場合は、居住人員に見合う通常の換気のために排風機32が駆動され、当該階の部屋5は一定流量の換気が行なわれる。すなわち、一つでも使用される可能性のある部屋5がある場合には、他の階の部屋5では無人で使用されていない状態であっても、排風機32は駆動され、換気が行なわれる。
【0052】
ドラフトチャンバ6の運転時には、ドラフトチャンバ6の同時運転率や昇降扉3の開口の大きさのの如何に拘らず、ドラフトチャンバ6の前面開放口から作業空間2へ導入される空気は一定速度(例えば0.5m/s)となるよう制御が行なわれる。又、VAV17の開度制御やインバータ19による送風機14の回転数の制御は、図1に示す空調システムと同様にして行なわれる。
【0053】
更に、建屋の各階に設けてある全てのドラフトチャンバ6のうち一台でも運転される場合には、当該ドラフトチャンバ6の運転開始指令により排風機27が駆動されると共に、開度検出器20により検出された昇降扉3の開度により当該ドラフトチャンバ6のダンパ26が所定の開度に開く。例えば、昇降扉3の開度が大きい場合はダンパ26の開度も大きくなり、昇降扉3の開度が小さい場合は、ダンパ26の開度は小さくなる。
【0054】
而して、排風機27ではドラフトチャンバ6の運転台数、各ドラフトチャンバ6の昇降扉3の開度により合計の排気流量が異なるが、圧力検出器30で検出した排気ダクト29内の圧力は圧力信号P2としてインバータ31に与えられ、排風機27はインバータ制御されることにより、各ドラフトチャンバ6からの排気流量は、各ドラフトチャンバ6の前面開放口から作業空間2に導入される空気が一定速度となるよう制御が行なわれる。又、ドラフトチャンバ6の運転台数が増えたり、ドラフトチャンバ6の昇降扉3の開口が大きくなった場合には、それに対応して排風機27の回転数は増加する。
【0055】
更に、ドラフトチャンバ6の同時運転率が予め定められたx%よりも低い状態で運転されている場合は、送風機14により部屋5に給気される給気流量は実際の同時運転率に対応した流量となり、[数1]で示す給気流量よりも低い流量となる。
【0056】
この運転の際、使用されているドラフトチャンバ6においては、開度検出器20により昇降扉3の開度が検出されて開度信号Oは演算制御装置21へ与えられ、演算制御装置21では、加算された開度信号を基にドラフトチャンバ6の前面開放口から作業空間2へ導入される空気が所定の一定風速となるために必要なVAV17の開度が求められ、開度指令VはVAV17に与えられる。このため、VAV17の開度が所定の開度に調整される。又、給気ダクト16内の圧力は圧力信号P1としてインバータ19へ与えられ、給気ダクト16内の圧力が所定の圧力となるよう、送風機14はインバータ制御により所定の回転数に制御される。
【0057】
ある階でのドラフトチャンバ6の同時運転率が予め定めたx%になると、そのときの各ドラフトチャンバ6の昇降扉3の開度が開度検出器20により検出されて開度信号Oが当該階の演算制御装置21に与えられ、演算制御装置21では、加算された開度信号を基にドラフトチャンバ6の前面開放口から作業空間2へ導入される空気が所定の一定風速となるために必要なVAV17の開度が求められ、開度指令VはVAV17に与えられる。このため、VAV17の開度は大きい所定の開度に調整される。
【0058】
又、VAV17が開くことにより、給気ダクト16内の圧力は低下するが、その圧力は圧力検出器18により検出されてインバータ19へ与えられ、インバータ制御により送風機14の回転数は最高の回転数に制御される。このため、当該階の送風機14は最大吐出流量となる。外気取入れダクト15からハウジング11内へ導入された外気を加熱若しくは冷却するコイル12も最大運転の状態となる。
【0059】
ある階でのドラフトチャンバ6の同時運転率が予め定めたx%以上のxo%になると、前述の図示例と同様、当該階のドラフトチャンバ6に対して給気流量が不足した状態となり、演算制御装置21からの指令により対応するVAV17が更に開く。又、近接する他の階において給気ダクト16及びヘッダダクト25内の圧力が低下する。
【0060】
このため、圧力が低下した階の給気ダクト16の圧力は圧力検出器18により検出されて圧力の低下した階のインバータ19へ与えられ、インバータ制御により送風機14の回転数は同時運転率差であるΔx(=xo−x)だけ増加した回転数だけ増加するように制御される。その結果、圧力が低下した階の送風機14からの給気流量が増加してドラフトチャンバ6に対する給気流量が不足する階の部屋5に給気が補給される。この場合、圧力が低下した階のVAV17の開度は変化しないため、当該階のドラフトチャンバ6への給気流量が増加することはない。
【0061】
ドラフトチャンバ6に対する給気流量が不足している階の部屋5へ他の階の送風機14からの給気流量が補給されてもなおも当該階の給気流量が不足している場合は、前述と同様にして次の階の空気調和機10から給気流量の不足分が補給されることになる。
而して、本図示例においても前述の図示例と同様の作用効果を奏することができる。
【0062】
図4、図5は本発明の実施の形態の第三例である。前記各図示例では、ある階において当該階の空気調和機10から当該階の部屋5への給気流量が不足する場合は、他の階の空気調和機10からの空気を給気量が不足する部屋5へ補給するようにしている。
【0063】
しかし、本図示例では、一つの階に設置した複数の部屋5に例えば夫々図3や図7に示すドラフトチャンバ6を配置した場合に、ある部屋5に給気を行なう空気調和機10からの給気流量が不足する際に、同じ階に設けた他の空気調和機10から給気が不足する部屋5に空気を補給するようにしている。
【0064】
すなわち、本図示例では例えば一つの階は複数の部屋5に区分けされており、各部屋5には二台ずつドラフトチャンバ6が配置されている。各部屋5のドラフトチャンバ6の排気側に接続された排気ダクト34は合流して建屋外まで延在しており、排気ダクト34の建屋外先端には排風機35が接続されている。排気ダクト34は一本に繋いでその先端に一台の排風機35を設けるようにしても良い。
【0065】
ドラフトチャンバ6が設置された最下階から最上階まで建屋の四隅には、図1、図2に示すヘッダダクト25と同様の縦向きに延在するヘッダダクト36が設けられており、ヘッダダクト36には、各階ごとに給気ダクト37が接続され、給気ダクト37の端部には空気分配チャンバ38が接続されている。又、各階の四隅には図1等に示すと同様、外気取入れダクト39及び図示してないがコイル、加湿用配管、送風機を備えた空気調和機40が配置されており、空気調和機40の送風機から送出された空気は給気ダクト41から空気分配チャンバ38へ送給されるようになっている。
【0066】
同一階の空気分配チャンバ38のうち廊下42を挟んで対向配置された二台の空気分配チャンバ38は、廊下42を通って設置された給気ダクト43により接続されていると共に、複数の部屋5を挟んで対向配置された二台の空気分配チャンバ38は、複数の部屋5を通って設置された給気ダクト44により接続されており、しかも、各空気分配チャンバ38には、空気調和機40からの空気の一部を廊下42側の空間に給気するための給気ダクト45が接続されている。
【0067】
又、給気ダクト44には、各部屋5ごとに中途部にVAV46を備えた給気ダクト47が接続され、空気調和機40からの空気を各部屋5へ給気し得るようになっている。更に、図示してないが各部屋5には、居住人員に見合う通常の一定流量の換気を行なうことができるよう、中途部にCAVを備えた排気ダクトを介して排風機が接続されている。
【0068】
更に又、図4に示す階の上又は下の階には、図4に示すと同様の空調システムが配置され且つ図4、図5に示すヘッダダクト36には、上又は下の階の給気ダクト37が接続されている。又、図4においては給気ダクト43,44はヘッダダクト36,25と同一の機能を有する。図中、48は空気分配チャンバ38に近接して給気ダクト44に設けられた圧力検出器である。
【0069】
本図示例においても、ドラフトチャンバ6の運転時には、ドラフトチャンバ6の同時運転率や昇降扉3の開口の大きさのの如何に拘らず、ドラフトチャンバ6の前面開放口から作業空間2へ導入される空気は一定速度(例えば0.5m/s)となるよう制御が行なわれる。この制御は、ドラフトチャンバ6の昇降扉3(図3、図7参照)の開度を基にVAV46の開度を制御し、圧力検出器48により検出した空気調和機40の出側の圧力により空気調和機40の送風機をインバータ制御することにより行なう。
【0070】
例えば、ドラフトチャンバ6の同時運転率が増加したり、昇降扉3の開度が大きくなった場合は、VAV46の開度は大きくなり、その結果、圧力検出器48で検出される給気ダクト44内の圧力は低下するため、この圧力を所定の圧力に保持するためにインバータ制御により空気調和機40の送風機の回転数が上昇することにより、ドラフトチャンバ6の前面開放口から作業空間2(図3、図7参照)へ導入される空気は一定速度に制御される。
【0071】
又、ドラフトチャンバ6の同時運転率が減少したり、昇降扉3の開度が小さくなった場合は、VAV46の開度は小さくなり、その結果、圧力検出器48で検出される給気ダクト44内の圧力は上昇するため、この圧力を所定の圧力に保持するためにインバータ制御により空気調和機40の送風機の回転数が減少することにより、ドラフトチャンバ6の前面開放口から作業空間2(図3、図7参照)へ導入される空気は一定速度に制御される。廊下42側へ供給された給気は、ドラフトチャンバ6が運転されている部屋5を通して、ドラフトチャンバ6を経て排気されるか、或は換気系統から換気される。
【0072】
図4に示す一つの階の複数の部屋5に設置されたドラフトチャンバ6が運転された場合、同時運転率が予め定めたx%になるまでは、当該ドラフトチャンバ6に近接している系統の空気調和機40からの空気が当該ドラフトチャンバ6が設置されている部屋5に給気される。このとき、各ドラフトチャンバ6の昇降扉3の開度が開度検出器により検出されて開度信号が当該部屋5の演算制御装置に与えられ、演算制御装置では、加算された開度信号を基にドラフトチャンバ6の前面開放口から作業空間へ導入される空気が所定の一定風速となるために必要なVAV46の開度が求められ、開度指令はVAV46に与えられる。このため、VAV46は開いて所定の開度に調整される。
【0073】
又、例えば、VAV46が開くことにより、給気ダクト47,44内の圧力は低下するが、その圧力は圧力検出器により検出されてインバータへ与えられ、インバータ制御により当該空気調和機40の送風機の回転数は所定の回転数に増加するよう制御され、ドラフトチャンバ6の前面開放口から作業空間へ導入される空気は一定風速となるよう、所定の給気流量の空気が部屋5へ給気される。
【0074】
同時運転率が予め定めた所定の同時運転率x%の場合は、空気調和機40の送風機の回転数は最高の回転数に制御され、当該送風機は最大吐出流量となる。外気取入れダクト39から空気調和機40のハウジング内へ導入された外気を加熱若しくは冷却するコイルも最大運転の状態となる。このため、空気取入れダクト15からハウジング11内へ導入された外気を加熱若しくは冷却するコイル12も最大運転の状態となる。
【0075】
図4に示す階のある部屋5でのドラフトチャンバ6の同時運転率が予め定めたx%以上になると、給気不足となるドラフトチャンバ6の設置された部屋5の給気ダクト47の圧力が更に低下して図1、図2の図示例と同様にして当該給気ダクト47に設けられているVAV46の開度が大きくなるため、同一階に設けられている他の空気調和機40からの空気が給気ダクト44,47を経て給気不足となった部屋5に給気される。
【0076】
図4に示す階のある部屋5と、当該階の上又は下の階の部屋5との間で、ドラフトチャンバに給気不足が生じた場合は図1、図2の場合と同様にして給気流量が増加する。
【0077】
従って、本図示例においても、ドラフトチャンバ6から有害ガスが漏洩することを防止することができ、安全性が向上し、従って、研究者も安心して作業を行なうことができる。
【0078】
又、給気不足となる虞のあるドラフトチャンバ6には、同一階の他の空気調和機40から給気することができるため、同一階の他の空気調和機40の能力を増強しなくても、ドラフトチャンバ6の同時運転率が予め定めたx%(例えば50%)以上の場合でも必要な空気流量を給気することができ、従って、空気調和機40からの給気流量に余裕のある部屋5と不足する部屋5が出てくることがなく、設備の信頼性が向上する。
【0079】
又、空気調和機10は能力を増強する必要がないため、空気調和機10は大型化せずに余分な設置スペースを取らず、従って、スペースの有効利用を図ることができ、且つ、価格も安価となる。
【0080】
なお、本発明の空調システムは、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の空調システムの実施の形態の第一例の概念図である。
【図2】本発明の空調システムの実施の形態の第二例の概念図である。
【図3】図2の空調システムに用いるドラフトチャンバの斜視図である。
【図4】本発明の空調システムの実施の形態の第三例の概念図である。
【図5】図4に示す空調システムの空気調和機の部分の斜視図である。
【図6】従来の空調システムの一例の概念図である。
【図7】図6及び図1の空調システムに用いるドラフトチャンバの斜視図である。
【符号の説明】
【0082】
3 昇降扉(扉)
5 部屋
6 ドラフトチャンバ
7 排気ダクト(排気手段)
8 排風機(排気手段)
10 空気調和機
14 送風機(送気手段)
16 給気ダクト(給気流路)
17 VAV(給気流量制御手段)
18 圧力検出器(圧力検出手段)
22 排風機(換気手段)
23 CAV(換気手段)
24 排気ダクト(換気手段)
25 ヘッダダクト(ヘッダ手段)
27 排風機(換気手段)
28 排気ダクト(排気手段)
29 排気ダクト(排気手段)
32 排風機(換気手段)
33 排気ダクト(換気手段)
34 排気ダクト(排気手段)
35 排風機(排気手段)
36 ヘッダダクト(ヘッダ手段)
37 給気ダクト(給気手段)
38 空気分配チャンバ(給気ヘッダ)
40 空気調和機
41 給気ダクト
42 廊下(空間)
43 給気ダクト(給気流路)
44 給気ダクト(給気流路)
45 給気ダクト(給気手段)
46 VAV(給気流量制御手段)
47 給気ダクト(室給気手段)
48 圧力検出器(圧力検出手段)
D 空気流れ方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の階に、排気手段が接続された複数のドラフトチャンバを設置すると共に、ドラフトチャンバを設置した階に対応して、空気流れ方向上流側から下流側に向けて圧力検出手段及び給気流量制御手段を配した複数の給気流路と、該給気流路を介して前記ドラフトチャンバが配置された階の部屋に給気を行なうための複数の空気調和機を設け、前記ドラフトチャンバの扉の開度に対応して前記給気流量制御手段を制御し、前記圧力検出手段で検出した圧力により空気調和機の送気手段からの給気流量の制御を行うようにした空調システムにおいて、前記給気流路が夫々互いに連通するように、給気流路の空気調和機と圧力検出手段との間にヘッダ手段を接続したことを特徴とする空調システム。
【請求項2】
同一の階に設けた複数の部屋に夫々排気手段が接続されたドラフトチャンバが配置されると共に、前記同一の階において夫々給気流路を介して互いに連通する複数の空気調和機を備え、前記給気流路のうち複数の部屋を通る給気流路には、圧力検出手段が設けられると共に、各部屋に対応して、給気流量制御手段を有する室給気手段が接続され、前記複数の空気調和機からの空気を給気流路及び室給気手段を介して各部屋に対して給気し得るよう構成され、前記ドラフトチャンバの扉の開度に対応して前記給気流量制御手段を制御し、前記圧力検出手段で検出した圧力により空気調和機の送気手段からの給気流量の制御を行うよう構成したことを特徴とする空調システム。
【請求項3】
各ドラフトチャンバには夫々他のドラフトチャンバとは別個に独立して排気手段が接続されている請求項1又は2に記載の空調システム。
【請求項4】
各ドラフトチャンバには夫々互いに連通する排気手段が接続されている請求項1又は2に記載の空調システム。
【請求項5】
一つの部屋には複数のドラフトチャンバが配置されている請求項2乃至4の何れかに記載の空調システム。
【請求項6】
各空気調和機からの空気は、給気手段を介してドラフトチャンバが配置された部屋以外の空間にも給気し得るよう構成した請求項1乃至5の何れかに記載の空調システム。
【請求項7】
同一の階にある複数の空気調和機は、前記給気流路及び前記室給気手段を介して同一の階に給気を行なうための給気ヘッダに連通された前記ヘッダ手段を介して他の階の空気調和機と連通されている請求項2乃至の6の何れかに記載の空調システム。
【請求項8】
ドラフトチャンバが配置された部屋には居住人員に見合う換気を行うための換気手段を設けた請求項1乃至7の何れかに記載の空調システム。
【請求項9】
前記ドラフトチャンバに導入される空気は常に一定風速となるよう、ドラフトチャンバの扉の開度を基に給気流量制御手段を制御すると共に、圧力検出手段の圧力を基に空気調和機の送気手段の制御を行い得るよう構成した請求項1乃至8の何れかに記載の空調システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−85626(P2007−85626A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−274006(P2005−274006)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(000001834)三機工業株式会社 (316)
【Fターム(参考)】