穿孔刃物用の水処理パッド
【課題】速やかに且つ強力に固定可能な穿孔刃物用の水処理パッドを提供する。
【解決手段】本発明は、回転する穿孔刃物を用いて被加工対象物の穿孔を行う際に使用される水処理パッドであって、前記穿孔刃物を包囲するように設置され、側面に排水口を有する略筒形状のパッド本体と、前記パッド本体の内部に前記穿孔刃物を包囲するように着脱自在に固定され、その内部の流体を加速させて外部に放出する筒状のディフューザー・リングと、を備え、前記ディフューザー・リングは、前記穿孔面と接触する端面に、その横断面が前記穿孔刃物の回転方向に傾斜する翼形状を有する凸状のブレードが整列配置されており、隣接するブレード間の距離とブレードの高さとで定義される面について、ディフューザー・リング内面側の面積(S1)と、ディフューザー・リング外面側の面積(S2)とがS1<S2の関係となるようになっている水処理パッドである。
【解決手段】本発明は、回転する穿孔刃物を用いて被加工対象物の穿孔を行う際に使用される水処理パッドであって、前記穿孔刃物を包囲するように設置され、側面に排水口を有する略筒形状のパッド本体と、前記パッド本体の内部に前記穿孔刃物を包囲するように着脱自在に固定され、その内部の流体を加速させて外部に放出する筒状のディフューザー・リングと、を備え、前記ディフューザー・リングは、前記穿孔面と接触する端面に、その横断面が前記穿孔刃物の回転方向に傾斜する翼形状を有する凸状のブレードが整列配置されており、隣接するブレード間の距離とブレードの高さとで定義される面について、ディフューザー・リング内面側の面積(S1)と、ディフューザー・リング外面側の面積(S2)とがS1<S2の関係となるようになっている水処理パッドである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物、石材、岩盤、鉄鋼構造物等の被削物にコアドリル、ハンマードリル等の穿孔刃物で穿孔する際に用いられる水処理パッド(以下、単にパッドと称することがある)に関する。特には、その内部を負圧化して穿孔面へ固定する際、迅速且つ強固に固定ができるものに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物等を穿孔するための装置として、コアドリル、ハンマードリル等の穿孔刃物が知られている。これら穿孔刃物による穿孔においては、回転状態の穿孔刃物をコンクリート構造物等の所定の穿孔位置に押しつけ、これを下降移動させることで穴が形成される。この穿孔作業においては、コンクリート構造物の破片や粉塵が生じることから、これらの飛散を防止するため、穿孔位置に水を供給しながら作業を行うのが一般的である。尚、この水の供給は穿孔刃物の冷却のためにも有用である。そして、このように水を供給しながらの穿孔作業では、水処理パッドが用いられている。
【0003】
図14で示すように、水処理パッド100は略筒形状(円筒形状)をしており、穿孔位置を包囲するようにコンクリート構造物等の穿孔面に設置されるものである。また、水処理パッドは、パッド本体101の側面に排水口102(ドレン)を有し、内部の水を排出可能とする。この水処理パッド100を用いて穿孔を行う場合は、穿孔刃物内の中空部を通して穿孔位置に給水し、供給した水をドレン102から排出しながら穿孔を行う。このようにすることで穿孔時に生じた破片や粉塵が水と共に穿孔位置から排出され、破片等の飛散が防止できる。また、この排水の際には、効率的な排水のためにバキューム式のクリーナー(以下、クリーナーと略する)を接続し、その吸引力により強制的に排水を行うことが多い。
【0004】
水処理パッドを用いる穿孔作業には、回転する穿孔刃物の振動によるパッドのズレ、及び、それによる切削水の漏れを防止するためにパッドの固定が必要である。パッドの固定方法としては、図15のような固定具による固定方法がある。このパッド固定具は、樹脂、ばね等の弾性体やネジを利用して、パッドを部分的に被穿孔対象物の穿孔面に押圧して固定するものである。そして、パッドのサイズや穿孔位置に応じて、その設置位置及び設置数を調整して使用される。
【0005】
固定具によるパッドの固定は、原理的には簡易なものであり、一般的に広く用いられるものである。しかし、水処理パッドには統一された規格がなく、そのサイズはメーカー等により様々である。そのため、パッド毎に最適な仕様の固定具を用意する必要があり、利便性には欠く所がある。また、固定具の設置に際しては、パッドの重心等を考慮して最適な設置位置があるが、例えば、壁際の位置に穿孔を行いたい場合等、穿孔位置によってはその最適な設置位置が選択できないこともある。
【0006】
そこで、水処理パッドの固定方法としては、上記のような外部的な器具を用いる方法の他、パッド内部を負圧にして穿孔面に吸着させる方法も用いられている。上記の通り、穿孔作業の際には、供給した切削水及び切削屑排出のためにクリーナーを用いるのが一般的であり、クリーナーによる吸引は、パッド内部を少なからず負圧にすることから、これによる固定も可能である。
【0007】
この点、水処理パットとしては、上記の図14のような内部構造が一重の円筒形状のものの他、排水効率の向上の観点から、その改良として二重構造のパッドが知られている(特許文献1)。この水処理パッドは、図16のように、排水口101とパッド本体の開口部201との間の円周上に内壁202が形成されており、これにより、パッド本体の内面と内壁202との間で形成される圧力空間を介して水を吸引・排出するものである。ここで、圧力空間の内部は、外気との連通が制限されていることから、クリーナーの吸引による負圧化が容易となり、排水効率を向上させることができる。また、この二重構造の水処理パッドの更なる改良として、特許文献2記載のようなものもある。
【特許文献1】特開2003−127131号公報
【特許文献2】特開2008−68328号公報
【0008】
また、本願出願人は、上記二重構造のパッドに対して、更に排水効率が優れたものについて発明、出願している。この水処理パッドでは、一重構造のパッド本体に、所定の内壁板を排水口付近に設置して、部分的に二重構造として圧力空間を小さなものとし、クリーナーの吸引力を有効活用している。そして、このパッドにおいても内部の負圧化による固定が可能となっている。
【特許文献3】特開2008−162121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の水処理パッドにおいては、排水効率の向上がその主題事項とされているためか、パッド内部の負圧化の観点からは不十分なものであった。特に、コアドリルによる穿孔が進行して被加工対象物を貫通するような場合、貫通孔からのエアの流入によりパッド内部の負圧が維持できなくなり、パッドの固定ができなくなることがあった。また、パッドの固定は穿孔作業開始から速やかになされるべきであるが、パッド内部の負圧化に時間がかかり、固定の迅速性にも改善が要求されていた。
【0010】
本発明は、以上のような背景のもとになされたものであり、コアドリル等の回転する穿孔刃物を用いる際に使用する水処理パッドであって、その固定を速やかに且つ強力にすることができるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する本発明は、切削水を供給しつつ回転する穿孔刃物を用いて被加工対象物の穿孔を行う際に、前記被加工対象物の穿孔面に設置される水処理パッドであって、前記穿孔刃物を包囲するように設置され、側面に排水口を有する略筒形状のパッド本体と、
前記パッド本体の内部に前記穿孔刃物を包囲するように着脱自在に固定され、その内部の流体を加速させて外部に放出する筒状のディフューザー・リングと、を備え、前記ディフューザー・リングは、前記穿孔面と接触する端面に、その横断面が前記穿孔刃物の回転方向に傾斜する翼形状を有する凸状のブレードが整列配置されており、隣接するブレード間の距離とブレードの高さとで定義される面について、ディフューザー・リング内面側の面積(S1)と、ディフューザー・リング外面側の面積(S2)とがS1<S2の関係となるようになっている水処理パッドである。
【0012】
本発明では、パッド内部の負圧化を促進するための部材として、パッドの内で、穿孔刃物の内外の流体を加速させて排出口へ放出するディフューザー・リングを備えるものである。このディフューザー・リングによる内部流体の加速・放出は、ディフューザー・リングの内部を急速に負圧化させる作用を有し、パッド本体はディフューザー・リングを介して固定される。
【0013】
ここで、ディフューザー・リングの構成・作用について以下に説明する。図1は、本発明で適用されるディフューザー・リングの一例を示すものである。このディフューザー・リングは、穿孔刃物を包囲可能な径の筒体であるが、その下端面において凹凸を有する。図2は、ディフューザー・リングの下端面の上面図であるが、前記凹凸の凸部は、横断面が翼形状の傾斜を有するブレードを形成する。ブレードの傾斜は、穿孔刃物の回転方向に沿うようになっている。そして、ブレード形状についてみると、隣接するブレード間の開口部の幅(T1、T2)において、ディフューザー・リング内面側の開口(T1)よりも外面側の開口(T2)の方が幅広であり、前記の内面側の開口の面積(S1)よりも外面側の開口の面積(S2)の方が大きくなるようにしている。
【0014】
このようなディフューザー・リングを適用したときの、パッド内部の負圧化の機構について図3、4を用いて説明する。図3は、ディフューザー・リングの中心部にコアドリルを配して穿孔を行ったときに生じる流体の状態を示す。この図3において、穿孔のためにコアドリルを回転させると、コアドリル内部においては切削水・エアの流れがA1の方向に生じる。また、回転するコアドリル周囲においても、パッド本体に接続されたクリーナーの吸気とドリルの回転によりA3の方向にエアの流れが生じる。そして、コアドリルのような先端に鋸歯状のビット(凹凸)が形成された穿孔刃物においては、回転することでドリル内部の切削水・エア・粉塵からなる流体A1が、ドリル先端のビット間からA2のベクトル方向へ押し出され、ドリル周囲の流体A3と合流するようになっている。更に、コアドリル周囲に回転流体がA3方向に発生しているので、その周囲に配されたディフューザー・リングのブレードの開口から、パッド本体の排水口へ向けて流体が放出され(A4)、最終的には回転流体A5を生じさせる。
【0015】
以上の過程における、各流体の速度は、図4に示すように増速されている。即ち、速度V0のコアドリル周囲の回転流体(図3の流体A3)は、ディフューザー・リングのブレードに沿って放出される。このとき、ブレードの傾斜構造による整流作用と、ブレードの出入口の開口の面積差(入口側<出口側)の双方の作用により、流体はブレードに沿って、速度V0→V1→V2と増速される。そして、この速度V2で放出された流体(図3の流体A4)は、他のブレードで同様に増速された流体とのベクトル合成により、更に増速されて速度V3となる。これらのブレード及びベクトル合成による増速効果により、ディフューザー・リング周囲の回転流体(図3の流体A5)は速度Vにまで増速される。
【0016】
以上のような流体の速度差(V−V0)により、ディフューザー・リングの内外には圧力差(P−P0)が生じ、その内部が負圧化される。その結果、ディフューザー・リングを固定するパッド本体が、穿孔面に対し強固に固定されることとなる。このディフューザー・リングの内部の負圧化は、その流体の増速効果の素早さ故に速やかになされることから、穿孔開始直後からのパッドの固定を可能とする。
【0017】
また、ディフューザー・リングの内部で流体が発生しさえすれば、最終的にリング外周に増速された回転流体が生じることから、穿孔刃物の回転位置がパッドの中心以外の偏芯位置にあっても、そこで生じた回転流体及びクリーナーの吸気により生じる流体によりディフューザー・リングの内部を負圧化できる。更に、従来の水処理パッドでは、穿孔により穿孔刃物が被加工対象物を貫通すると、貫通孔からのエア流入により負圧が低下し固定が困難となるが、本発明では、そのようなこともない。ディフューザー・リングによる内部流体加速の効果は、貫通孔からのエアによっても得られ、これによりパッドの固定を継続することができるからである。
【0018】
以上の作用を考慮したディフューザー・リングの好ましい態様についてより詳細に説明する。本発明に係る水処理パッドには、ディフューザー・リングから吸引した流体を加速させ、最終的に排出口から放出するようになっていることから、ディフューザー・リングのブレードが形成する空間(入口)と排出口(出口)との関係を調整することによりパッドに接続されるクリーナーの負荷を軽減することができる。本発明者等によると、全てのブレードにおけるディフューザー・リング内面側の有効吸引面積(s1)の和(s1A)と、パッド本体側面に設けられた排水口の内径面積(So)との関係について、s1A/S0=1/20〜1/10とすることが好ましい。ディフューザー・リング内面側の有効吸引面積(s1)とは、図5のように、ブレードのディフューザー・リング内面側の端部の流体の進行方向における接線liと、接線liを隣のブレードのディフューザー・リング内面側端部に平行移動させたときの線(li’)との間隔を示すものである。このようにすることで、パッドに接続されるクリーナーの負荷を適切な範囲(定格吸引圧の1/2程度)とすることができる。
【0019】
また、ディフューザー・リング外面側に関し、ブレードのディフューザー・リング外面側の端部の流体の吐出方向における接線loと、接線loを隣のブレードへ接するように平行移動させたときの線(lo’)との間隔を有効吐出面積(s2)と定義したとき、有効吸引面積(s1)との関係は、s1/s2=2/9〜1/3とするのが好ましい。
【0020】
以上のS1、S2、S0、s1、s2の関係を元にブレード形状を設計することができる。即ち、有効吸引面積(s1)の和(s1A)と排水口の面積(So)との関係を定めることによりs1を設定し、これとs2との関係からs2を設定することができる。そして、ブレードの個数や形状・寸法は、前記設定値を維持させS1<S2となるような範囲で設計することができる。
【0021】
ブレードの高さについては、S1<S2の関係を維持する限り、これを均一なものとして良い。また、ブレードの高さを流体の流れ方向に沿って漸増させても良い。ブレードの高さを変化させることでS1/S2の面積比を調整することができる。好ましくは、図6のように、隣接するブレードにより形成される溝部の底面が、縦断面で翼形状を有するようにする。このように溝部分の縦断面を上方に傾斜する翼形状を付与することで、溝の下部(穿孔面表面付近)に速度V5で流体が放出される一方、溝表面には整流効果により増速された速度V6の流体が放出される。これら流体の速度差(V6−V5)は、ダウンフォース(f1)を生じさせることから、これまで述べた内部負圧化に加えて、より強固にパッドを固定することができる。尚、このような場合、ディフューザー・リング内面側の溝の高さ(H1)と、ディフューザー・リング外面側の高さ(H2)との関係は、H1/H2が1/3以下となるようにするのが好ましい。
【0022】
以上説明したディフューザー・リングは、下部端面にブレードと筒状体部分とを一体成形したものであっても良く、ブレードが形成されたリング部分と筒状体部分を別々に製造し、両者を接合しても良い。また、その材質は特に限定されるものではなく、パッド本体と同様の樹脂製でも金属製でも良い。
【0023】
一方、ディフューザー・リングを接続するパッド本体については、基本的に従来の水処理パット同様のものが適用できる。また、パッド本体は、横断面形状において排水口の設置位置で隆起部分を有するものが一般的である。隆起部分を有することで、排水口付近に切削水を溜めることができ、効率的な排水が可能となる。
【0024】
パッド本体の内部構造としては、これも特に限定を要するものではなく、従来の一重構造のものの他、二重構造のパッド本体も適用できる。また、上記のように(特許文献3)、本願出願人は、一重構造のパッド本体と、その内部に円弧状の内壁板を取付けた水処理パッドを開発しているが、本発明におけるディフューザー・リングは、この内壁板を備える水処理パッドにも有効である。
【0025】
この内壁板とは、パッド本体内に着脱自在に取付けられ、取付け時にその両端部がパッド本体内面に接することで横断面が円弧形状となるような板状の部材である。この内壁板とパッド本体内面とが形成する圧力空間と、排水口及びディフューザー・リングの内部空間とは連通しており、この部分的な圧力空間によりクリーナーの吸引力の向上が期待される。内壁板により形成される圧力空間は、二重構造のパッドで形成される圧力空間に比べると、部分的であり小さいものとなる。これにより、クリーナーによる効率的な排水を可能とすることができる。
【0026】
内壁板の取付け構造としては、内壁板を着脱自在にするものであって、内壁板の両端とパッド本体内面との間に円弧形状の空間を形成できるものであれば、特に、限定されるものではない。例えば、パッド本体側面又は上面にネジ孔を適宜の箇所に形成し、円弧形状の内壁板の両端部又は上部をネジ止めするようなものでも良い。また、より簡便な内壁板の取付け構造として、パッド本体の上部裏面に内壁板を嵌合する嵌合溝を供える円形のガイドを形成し、これに内壁板を嵌合して固定しても良い。
【0027】
尚、内壁板の材質については、特に限定されない。通常、樹脂製、金属製のものが適用できる。また、内壁板はパッド本体に取付け時に円弧状となっていれば良いのであって、取付け前の形状は、円弧状に成形されたものでも平板でも良い。樹脂、金属等の弾性材料からなる平板を用いることで、弾性によりその両端部がパッド内面に当接して円弧状の圧力空間を形成できる。
【0028】
また、本発明においては、圧力空間をより小さなものとするために、内壁板に加えて遮蔽版を用いても良い。遮蔽版とは、圧力空間の横断面形状の部分形状に略等しい板体であって、上下方向(コアドリルの移動方向)で排水口の設置部分と内壁板の下端部との間に設けられるものである。遮蔽板を取付けることで、その上部は圧力空間から除外され、圧力空間を小さくすることができる。この遮蔽版は、上記した排水口付近が隆起した形状を有するパッド本体に特に有効であり、また、壁面穿孔の際にも有用である。
【0029】
更に、本発明においては、ディフューザー・リングの内壁面に上下位置可変に装着可能であり、穿孔刃物の外径の1.01〜1.2倍の径の開口を有する円形プレートを少なくとも1枚備えても良い。この円形プレートは、ディフューザー・リングの蓋に該当するものであるが、この円形プレートにより、負圧化されたディフューザー・リング内部の負圧状態の維持を容易とすることができる。また、天井面の穿孔作業のように、切削水が自由落下するような場合、作業者が廃水を浴びるのを防止することもできる。
【0030】
尚、パッド本体の下端縁には、弾性材料からなる環状シール部材を備えるものが好ましい。穿孔面は凹凸があることが多いことから、水処理パッドを穿孔面に密着させ、切削水の漏水を防止できる。この環状シール部材の材質としては、具体的には単泡スポンジゴムが好ましい。クリーナー使用時に縮小し、穿孔面との密着性、空間の縮小を図ることができるからである。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように、本発明によれば、水処理パッドの固定を作業開始から速やかに行うことができる。パッドの固定は、効率的な内部の負圧化により、良好な状態で維持される。また、本発明においては、内壁板等の適宜の部材を適用することで、作業姿勢によらず切削水の効率的な排出を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明に係るコアドリル用の水処理パッドの好適な実施形態につき図面を参照しつつ説明する。
【0033】
図7は、水処理パッドの各部材を示すものである。本実施形態に係る水処理パッド1は、排水口11を備えるパッド本体10、パッド本体10の下端部に取り付けられるスポンジゴムからなる環状シール部材20、パッド本体10の内部に取り付けられる樹脂製のディフューザー・リング30、内壁板40、遮蔽板50を備える。パッド本体10は排水口11の取付け位置において隆起部分を有する形状となっている。また、この水処理パッドは、ディフューザー・リング30の上面の蓋体となる円形プレート60を備える。また、本実施形態においては、排水口11に、回転可能に接続された略L字形状のソケット80が接続される。ソケット80は、作業姿勢や穿孔方向(床面(下面)穿孔、天井面(上面)穿孔)に応じて切削水の排出方向を調整するものである。図8は、各部材を組み付けた水処理パッド1の外観である。
【0034】
図9は、ディフューザー・リング30の詳細を説明するための外観図である。ディフューザー・リング30は、パッド本体10の上部開口と同一の開口を有する筒状体である。上述したとおり、その下端部には、穿孔刃物の回転方向に傾斜したブレード31が、整列して形成されている。尚、ディフューザー・リング30のパッド本体への固定は、リング上部に嵌合溝32を設け、これとパッド本体に形成された嵌合爪12とを嵌合することで固定されている。
【0035】
本実施形態におけるディフューザー・リング30は、ブレードを24個配置しており、その有効吸入面積(s1)の合計(s1A)を96mm2としている。このs1Aの値は、排出口の内径面積(1134mm2)に対してs1A/S0=1/11.8となっている。また、有効吸入面積(s1)と有効吐出面積(s2)との比を、s1/s2=1/3.5としている。
【0036】
また、内壁板40は、予め断面円弧状に形成された板材である。内壁板40のパッド本体10への固定は、内壁板40の両端部に係合溝42を形成し、パッド本体に嵌合爪(図示せず)を形成して両者を係合することで固定されている。固定後の内壁板40の下端部には、穿孔面との間で隙間が形成されるようになっており、排水口(圧力空間)とディフューザー・リング30の内部空間とが連通するようになっている。
【0037】
尚、上記したように、内壁板については、本実施形態のように断面円弧形状に成形されたものの他、弾性材料からなる平板からなる内壁板40’も適用できる。この場合、図10のように、パッド本体の上部裏面に円周状の嵌合溝を有するガイド12を形成し、ガイド12に沿って内壁板40’を位置決めして嵌合溝で固定する。このとき内壁板40’の両端部は弾性によりパッド本体10の内壁に当接し圧力空間を形成する。
【0038】
遮蔽板50は、図7のようにパッド本体10の隆起部分に沿った、台形形状の板材である。この遮蔽板50は、両端部の係止突起51をパッド本体に形成した係止溝(図示せず)に係止して固定される。遮蔽板50は、これを設置することで、設置領域の圧力空間の体積を制限し、クリーナーによる排水効率を確保することができる。
【0039】
次に、本実施形態に係る水処理パッド1を用いて穿孔作業の工程について説明する。一般的な作業姿勢として床面を穿孔する際においては、穿孔位置の位置決めを行い、穿孔位置が中心となるように予め組み付けられた、水処理パッド位置を設置する。そして、排水口11にバキューム式クリーナー(図示せず)を接続する。設置の際、上部からパッド1を押圧することで、下端のシール部材20が縮み、クリーナーによる吸込み高さを低い状態とする。水処理パッド1の設置・固定後、上部開口部からコアドリルCを穿孔位置に位置決めし、駆動モーター(図示せず)を始動して穿孔を開始する。穿孔作業中、コアドリルCの内部から切削水を供給する。
【0040】
水処理パッド1及びコアドリルCを設置した状態の横断面を図11に示す。駆動モーター始動しつつ切削水供給開始し、同時にクリーナーによる排気を開始すると、ディフューザー・リング30の内部では、コアドリルCと円形プレートとの隙間からのエアとコアドリル内の切削水とからなる流体が生じる。この流体は、図3で説明したように、ディフューザー・リング30のブレードにより加速された回転流体(A5)を形成する。そして、これによりディフューザー・リング30の内部は負圧化し、穿孔面に対して強固に吸着する。
【0041】
また、ディフューザー・リング30から排出された流体(切削水、切り屑、エア)は、排水口付近の圧力空間に直ちに導入され、クリーナーにより系外へ排出される。このように、切削水は効率的に吸引・排出され、穿孔作業終了後、パッド1の内部に切削水を残すことはほぼない。この状態は、穿孔作業終了まで継続されるものである。
【0042】
尚、本実施形態に係る水処理パッド1は、各構成部品が着脱可能であることから、穿孔作業後は、パッド1を取外し、ディフューザー・リング30、内壁板40等を取外すことで内部の清掃を行うことができる。このとき、切削残物が排水口付近にあっても、パッド本体の構造も簡易であるため容易に除去できる。
【0043】
本発明に係る水処理パッド1は、作業姿勢に係らず有用である。ディフューザー・リングによる内部負圧化の効果は、パッドの設置方向に無関係に作用するからである。従って、以上説明した床面穿孔の他、壁面穿孔、天井面穿孔にも特段の支障もなく使用できる。例えば、図12は、天井面の穿孔作業における水処理パッドの断面である。ここで、円形プレート60は、ディフューザー・リングの内部を上下移動可能に設置することができ、天井面穿孔においては、円形プレート60を穿孔面に接近させてディフューザー・リングのブレード付近に設置することで、切削水を漏らすことなく速やかにクリーナーで排出することができる。
【0044】
また、既に述べているように、本実施形態に係る水処理パッド1は、コアドリルCが、ディフューザー・リング(パッド)の中心位置になくとも効果を有する。即ち、図13のように、コアドリルCが、ディフューザー・リング開口領域で偏芯位置にある場合でも、効果的に内部の負圧化、パッドの固定を行うことができる。これは、例えば、壁面際の穿孔等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る水処理パッドが備えるディフューザー・リングの外観を示す図。
【図2】ディフューザー・リングの下端面の形状を説明する図。
【図3】ディフューザー・リングを適用して穿孔したときの流体の発生を説明する図。
【図4】発生した流体の増速効果を説明する図。
【図5】ディフューザー・リングの有効吸入面積(s1)及び有効吐出面積(s2)を説明する図。
【図6】ディフューザー・リングのブレードの縦断面形状を示す図。
【図7】本実施形態にかかる水処理パットの構成部品を説明する図
【図8】各構成部品を組み込んだときの水処理パッドの外観図。
【図9】本実施形態で使用したディフューザー・リングの外観図。
【図10】内壁板の取付け状態を説明する図。
【図11】穿孔作業時の水処理パッドの断面図。
【図12】天井面の穿孔作業時の水処理パッドの断面図。
【図13】水処理パッド内にコアドリルを偏芯して設置したときの外観図。
【図14】従来の水処理パッドの外観及び断面図。
【図15】従来の水処理パッドの固定具の例を示す図。
【図16】2重構造を有する従来の水処理パッドの断面図。
【符号の説明】
【0046】
1、100、200 水処理パッド
10 パッド本体
11 排水口
20 円形シール部材
30 ディフューザー・リング
40 内壁板
50 遮蔽板
60 上部円形プレート
80 ソケット
C コアドリル
W 切断対象物
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物、石材、岩盤、鉄鋼構造物等の被削物にコアドリル、ハンマードリル等の穿孔刃物で穿孔する際に用いられる水処理パッド(以下、単にパッドと称することがある)に関する。特には、その内部を負圧化して穿孔面へ固定する際、迅速且つ強固に固定ができるものに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物等を穿孔するための装置として、コアドリル、ハンマードリル等の穿孔刃物が知られている。これら穿孔刃物による穿孔においては、回転状態の穿孔刃物をコンクリート構造物等の所定の穿孔位置に押しつけ、これを下降移動させることで穴が形成される。この穿孔作業においては、コンクリート構造物の破片や粉塵が生じることから、これらの飛散を防止するため、穿孔位置に水を供給しながら作業を行うのが一般的である。尚、この水の供給は穿孔刃物の冷却のためにも有用である。そして、このように水を供給しながらの穿孔作業では、水処理パッドが用いられている。
【0003】
図14で示すように、水処理パッド100は略筒形状(円筒形状)をしており、穿孔位置を包囲するようにコンクリート構造物等の穿孔面に設置されるものである。また、水処理パッドは、パッド本体101の側面に排水口102(ドレン)を有し、内部の水を排出可能とする。この水処理パッド100を用いて穿孔を行う場合は、穿孔刃物内の中空部を通して穿孔位置に給水し、供給した水をドレン102から排出しながら穿孔を行う。このようにすることで穿孔時に生じた破片や粉塵が水と共に穿孔位置から排出され、破片等の飛散が防止できる。また、この排水の際には、効率的な排水のためにバキューム式のクリーナー(以下、クリーナーと略する)を接続し、その吸引力により強制的に排水を行うことが多い。
【0004】
水処理パッドを用いる穿孔作業には、回転する穿孔刃物の振動によるパッドのズレ、及び、それによる切削水の漏れを防止するためにパッドの固定が必要である。パッドの固定方法としては、図15のような固定具による固定方法がある。このパッド固定具は、樹脂、ばね等の弾性体やネジを利用して、パッドを部分的に被穿孔対象物の穿孔面に押圧して固定するものである。そして、パッドのサイズや穿孔位置に応じて、その設置位置及び設置数を調整して使用される。
【0005】
固定具によるパッドの固定は、原理的には簡易なものであり、一般的に広く用いられるものである。しかし、水処理パッドには統一された規格がなく、そのサイズはメーカー等により様々である。そのため、パッド毎に最適な仕様の固定具を用意する必要があり、利便性には欠く所がある。また、固定具の設置に際しては、パッドの重心等を考慮して最適な設置位置があるが、例えば、壁際の位置に穿孔を行いたい場合等、穿孔位置によってはその最適な設置位置が選択できないこともある。
【0006】
そこで、水処理パッドの固定方法としては、上記のような外部的な器具を用いる方法の他、パッド内部を負圧にして穿孔面に吸着させる方法も用いられている。上記の通り、穿孔作業の際には、供給した切削水及び切削屑排出のためにクリーナーを用いるのが一般的であり、クリーナーによる吸引は、パッド内部を少なからず負圧にすることから、これによる固定も可能である。
【0007】
この点、水処理パットとしては、上記の図14のような内部構造が一重の円筒形状のものの他、排水効率の向上の観点から、その改良として二重構造のパッドが知られている(特許文献1)。この水処理パッドは、図16のように、排水口101とパッド本体の開口部201との間の円周上に内壁202が形成されており、これにより、パッド本体の内面と内壁202との間で形成される圧力空間を介して水を吸引・排出するものである。ここで、圧力空間の内部は、外気との連通が制限されていることから、クリーナーの吸引による負圧化が容易となり、排水効率を向上させることができる。また、この二重構造の水処理パッドの更なる改良として、特許文献2記載のようなものもある。
【特許文献1】特開2003−127131号公報
【特許文献2】特開2008−68328号公報
【0008】
また、本願出願人は、上記二重構造のパッドに対して、更に排水効率が優れたものについて発明、出願している。この水処理パッドでは、一重構造のパッド本体に、所定の内壁板を排水口付近に設置して、部分的に二重構造として圧力空間を小さなものとし、クリーナーの吸引力を有効活用している。そして、このパッドにおいても内部の負圧化による固定が可能となっている。
【特許文献3】特開2008−162121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の水処理パッドにおいては、排水効率の向上がその主題事項とされているためか、パッド内部の負圧化の観点からは不十分なものであった。特に、コアドリルによる穿孔が進行して被加工対象物を貫通するような場合、貫通孔からのエアの流入によりパッド内部の負圧が維持できなくなり、パッドの固定ができなくなることがあった。また、パッドの固定は穿孔作業開始から速やかになされるべきであるが、パッド内部の負圧化に時間がかかり、固定の迅速性にも改善が要求されていた。
【0010】
本発明は、以上のような背景のもとになされたものであり、コアドリル等の回転する穿孔刃物を用いる際に使用する水処理パッドであって、その固定を速やかに且つ強力にすることができるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する本発明は、切削水を供給しつつ回転する穿孔刃物を用いて被加工対象物の穿孔を行う際に、前記被加工対象物の穿孔面に設置される水処理パッドであって、前記穿孔刃物を包囲するように設置され、側面に排水口を有する略筒形状のパッド本体と、
前記パッド本体の内部に前記穿孔刃物を包囲するように着脱自在に固定され、その内部の流体を加速させて外部に放出する筒状のディフューザー・リングと、を備え、前記ディフューザー・リングは、前記穿孔面と接触する端面に、その横断面が前記穿孔刃物の回転方向に傾斜する翼形状を有する凸状のブレードが整列配置されており、隣接するブレード間の距離とブレードの高さとで定義される面について、ディフューザー・リング内面側の面積(S1)と、ディフューザー・リング外面側の面積(S2)とがS1<S2の関係となるようになっている水処理パッドである。
【0012】
本発明では、パッド内部の負圧化を促進するための部材として、パッドの内で、穿孔刃物の内外の流体を加速させて排出口へ放出するディフューザー・リングを備えるものである。このディフューザー・リングによる内部流体の加速・放出は、ディフューザー・リングの内部を急速に負圧化させる作用を有し、パッド本体はディフューザー・リングを介して固定される。
【0013】
ここで、ディフューザー・リングの構成・作用について以下に説明する。図1は、本発明で適用されるディフューザー・リングの一例を示すものである。このディフューザー・リングは、穿孔刃物を包囲可能な径の筒体であるが、その下端面において凹凸を有する。図2は、ディフューザー・リングの下端面の上面図であるが、前記凹凸の凸部は、横断面が翼形状の傾斜を有するブレードを形成する。ブレードの傾斜は、穿孔刃物の回転方向に沿うようになっている。そして、ブレード形状についてみると、隣接するブレード間の開口部の幅(T1、T2)において、ディフューザー・リング内面側の開口(T1)よりも外面側の開口(T2)の方が幅広であり、前記の内面側の開口の面積(S1)よりも外面側の開口の面積(S2)の方が大きくなるようにしている。
【0014】
このようなディフューザー・リングを適用したときの、パッド内部の負圧化の機構について図3、4を用いて説明する。図3は、ディフューザー・リングの中心部にコアドリルを配して穿孔を行ったときに生じる流体の状態を示す。この図3において、穿孔のためにコアドリルを回転させると、コアドリル内部においては切削水・エアの流れがA1の方向に生じる。また、回転するコアドリル周囲においても、パッド本体に接続されたクリーナーの吸気とドリルの回転によりA3の方向にエアの流れが生じる。そして、コアドリルのような先端に鋸歯状のビット(凹凸)が形成された穿孔刃物においては、回転することでドリル内部の切削水・エア・粉塵からなる流体A1が、ドリル先端のビット間からA2のベクトル方向へ押し出され、ドリル周囲の流体A3と合流するようになっている。更に、コアドリル周囲に回転流体がA3方向に発生しているので、その周囲に配されたディフューザー・リングのブレードの開口から、パッド本体の排水口へ向けて流体が放出され(A4)、最終的には回転流体A5を生じさせる。
【0015】
以上の過程における、各流体の速度は、図4に示すように増速されている。即ち、速度V0のコアドリル周囲の回転流体(図3の流体A3)は、ディフューザー・リングのブレードに沿って放出される。このとき、ブレードの傾斜構造による整流作用と、ブレードの出入口の開口の面積差(入口側<出口側)の双方の作用により、流体はブレードに沿って、速度V0→V1→V2と増速される。そして、この速度V2で放出された流体(図3の流体A4)は、他のブレードで同様に増速された流体とのベクトル合成により、更に増速されて速度V3となる。これらのブレード及びベクトル合成による増速効果により、ディフューザー・リング周囲の回転流体(図3の流体A5)は速度Vにまで増速される。
【0016】
以上のような流体の速度差(V−V0)により、ディフューザー・リングの内外には圧力差(P−P0)が生じ、その内部が負圧化される。その結果、ディフューザー・リングを固定するパッド本体が、穿孔面に対し強固に固定されることとなる。このディフューザー・リングの内部の負圧化は、その流体の増速効果の素早さ故に速やかになされることから、穿孔開始直後からのパッドの固定を可能とする。
【0017】
また、ディフューザー・リングの内部で流体が発生しさえすれば、最終的にリング外周に増速された回転流体が生じることから、穿孔刃物の回転位置がパッドの中心以外の偏芯位置にあっても、そこで生じた回転流体及びクリーナーの吸気により生じる流体によりディフューザー・リングの内部を負圧化できる。更に、従来の水処理パッドでは、穿孔により穿孔刃物が被加工対象物を貫通すると、貫通孔からのエア流入により負圧が低下し固定が困難となるが、本発明では、そのようなこともない。ディフューザー・リングによる内部流体加速の効果は、貫通孔からのエアによっても得られ、これによりパッドの固定を継続することができるからである。
【0018】
以上の作用を考慮したディフューザー・リングの好ましい態様についてより詳細に説明する。本発明に係る水処理パッドには、ディフューザー・リングから吸引した流体を加速させ、最終的に排出口から放出するようになっていることから、ディフューザー・リングのブレードが形成する空間(入口)と排出口(出口)との関係を調整することによりパッドに接続されるクリーナーの負荷を軽減することができる。本発明者等によると、全てのブレードにおけるディフューザー・リング内面側の有効吸引面積(s1)の和(s1A)と、パッド本体側面に設けられた排水口の内径面積(So)との関係について、s1A/S0=1/20〜1/10とすることが好ましい。ディフューザー・リング内面側の有効吸引面積(s1)とは、図5のように、ブレードのディフューザー・リング内面側の端部の流体の進行方向における接線liと、接線liを隣のブレードのディフューザー・リング内面側端部に平行移動させたときの線(li’)との間隔を示すものである。このようにすることで、パッドに接続されるクリーナーの負荷を適切な範囲(定格吸引圧の1/2程度)とすることができる。
【0019】
また、ディフューザー・リング外面側に関し、ブレードのディフューザー・リング外面側の端部の流体の吐出方向における接線loと、接線loを隣のブレードへ接するように平行移動させたときの線(lo’)との間隔を有効吐出面積(s2)と定義したとき、有効吸引面積(s1)との関係は、s1/s2=2/9〜1/3とするのが好ましい。
【0020】
以上のS1、S2、S0、s1、s2の関係を元にブレード形状を設計することができる。即ち、有効吸引面積(s1)の和(s1A)と排水口の面積(So)との関係を定めることによりs1を設定し、これとs2との関係からs2を設定することができる。そして、ブレードの個数や形状・寸法は、前記設定値を維持させS1<S2となるような範囲で設計することができる。
【0021】
ブレードの高さについては、S1<S2の関係を維持する限り、これを均一なものとして良い。また、ブレードの高さを流体の流れ方向に沿って漸増させても良い。ブレードの高さを変化させることでS1/S2の面積比を調整することができる。好ましくは、図6のように、隣接するブレードにより形成される溝部の底面が、縦断面で翼形状を有するようにする。このように溝部分の縦断面を上方に傾斜する翼形状を付与することで、溝の下部(穿孔面表面付近)に速度V5で流体が放出される一方、溝表面には整流効果により増速された速度V6の流体が放出される。これら流体の速度差(V6−V5)は、ダウンフォース(f1)を生じさせることから、これまで述べた内部負圧化に加えて、より強固にパッドを固定することができる。尚、このような場合、ディフューザー・リング内面側の溝の高さ(H1)と、ディフューザー・リング外面側の高さ(H2)との関係は、H1/H2が1/3以下となるようにするのが好ましい。
【0022】
以上説明したディフューザー・リングは、下部端面にブレードと筒状体部分とを一体成形したものであっても良く、ブレードが形成されたリング部分と筒状体部分を別々に製造し、両者を接合しても良い。また、その材質は特に限定されるものではなく、パッド本体と同様の樹脂製でも金属製でも良い。
【0023】
一方、ディフューザー・リングを接続するパッド本体については、基本的に従来の水処理パット同様のものが適用できる。また、パッド本体は、横断面形状において排水口の設置位置で隆起部分を有するものが一般的である。隆起部分を有することで、排水口付近に切削水を溜めることができ、効率的な排水が可能となる。
【0024】
パッド本体の内部構造としては、これも特に限定を要するものではなく、従来の一重構造のものの他、二重構造のパッド本体も適用できる。また、上記のように(特許文献3)、本願出願人は、一重構造のパッド本体と、その内部に円弧状の内壁板を取付けた水処理パッドを開発しているが、本発明におけるディフューザー・リングは、この内壁板を備える水処理パッドにも有効である。
【0025】
この内壁板とは、パッド本体内に着脱自在に取付けられ、取付け時にその両端部がパッド本体内面に接することで横断面が円弧形状となるような板状の部材である。この内壁板とパッド本体内面とが形成する圧力空間と、排水口及びディフューザー・リングの内部空間とは連通しており、この部分的な圧力空間によりクリーナーの吸引力の向上が期待される。内壁板により形成される圧力空間は、二重構造のパッドで形成される圧力空間に比べると、部分的であり小さいものとなる。これにより、クリーナーによる効率的な排水を可能とすることができる。
【0026】
内壁板の取付け構造としては、内壁板を着脱自在にするものであって、内壁板の両端とパッド本体内面との間に円弧形状の空間を形成できるものであれば、特に、限定されるものではない。例えば、パッド本体側面又は上面にネジ孔を適宜の箇所に形成し、円弧形状の内壁板の両端部又は上部をネジ止めするようなものでも良い。また、より簡便な内壁板の取付け構造として、パッド本体の上部裏面に内壁板を嵌合する嵌合溝を供える円形のガイドを形成し、これに内壁板を嵌合して固定しても良い。
【0027】
尚、内壁板の材質については、特に限定されない。通常、樹脂製、金属製のものが適用できる。また、内壁板はパッド本体に取付け時に円弧状となっていれば良いのであって、取付け前の形状は、円弧状に成形されたものでも平板でも良い。樹脂、金属等の弾性材料からなる平板を用いることで、弾性によりその両端部がパッド内面に当接して円弧状の圧力空間を形成できる。
【0028】
また、本発明においては、圧力空間をより小さなものとするために、内壁板に加えて遮蔽版を用いても良い。遮蔽版とは、圧力空間の横断面形状の部分形状に略等しい板体であって、上下方向(コアドリルの移動方向)で排水口の設置部分と内壁板の下端部との間に設けられるものである。遮蔽板を取付けることで、その上部は圧力空間から除外され、圧力空間を小さくすることができる。この遮蔽版は、上記した排水口付近が隆起した形状を有するパッド本体に特に有効であり、また、壁面穿孔の際にも有用である。
【0029】
更に、本発明においては、ディフューザー・リングの内壁面に上下位置可変に装着可能であり、穿孔刃物の外径の1.01〜1.2倍の径の開口を有する円形プレートを少なくとも1枚備えても良い。この円形プレートは、ディフューザー・リングの蓋に該当するものであるが、この円形プレートにより、負圧化されたディフューザー・リング内部の負圧状態の維持を容易とすることができる。また、天井面の穿孔作業のように、切削水が自由落下するような場合、作業者が廃水を浴びるのを防止することもできる。
【0030】
尚、パッド本体の下端縁には、弾性材料からなる環状シール部材を備えるものが好ましい。穿孔面は凹凸があることが多いことから、水処理パッドを穿孔面に密着させ、切削水の漏水を防止できる。この環状シール部材の材質としては、具体的には単泡スポンジゴムが好ましい。クリーナー使用時に縮小し、穿孔面との密着性、空間の縮小を図ることができるからである。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように、本発明によれば、水処理パッドの固定を作業開始から速やかに行うことができる。パッドの固定は、効率的な内部の負圧化により、良好な状態で維持される。また、本発明においては、内壁板等の適宜の部材を適用することで、作業姿勢によらず切削水の効率的な排出を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明に係るコアドリル用の水処理パッドの好適な実施形態につき図面を参照しつつ説明する。
【0033】
図7は、水処理パッドの各部材を示すものである。本実施形態に係る水処理パッド1は、排水口11を備えるパッド本体10、パッド本体10の下端部に取り付けられるスポンジゴムからなる環状シール部材20、パッド本体10の内部に取り付けられる樹脂製のディフューザー・リング30、内壁板40、遮蔽板50を備える。パッド本体10は排水口11の取付け位置において隆起部分を有する形状となっている。また、この水処理パッドは、ディフューザー・リング30の上面の蓋体となる円形プレート60を備える。また、本実施形態においては、排水口11に、回転可能に接続された略L字形状のソケット80が接続される。ソケット80は、作業姿勢や穿孔方向(床面(下面)穿孔、天井面(上面)穿孔)に応じて切削水の排出方向を調整するものである。図8は、各部材を組み付けた水処理パッド1の外観である。
【0034】
図9は、ディフューザー・リング30の詳細を説明するための外観図である。ディフューザー・リング30は、パッド本体10の上部開口と同一の開口を有する筒状体である。上述したとおり、その下端部には、穿孔刃物の回転方向に傾斜したブレード31が、整列して形成されている。尚、ディフューザー・リング30のパッド本体への固定は、リング上部に嵌合溝32を設け、これとパッド本体に形成された嵌合爪12とを嵌合することで固定されている。
【0035】
本実施形態におけるディフューザー・リング30は、ブレードを24個配置しており、その有効吸入面積(s1)の合計(s1A)を96mm2としている。このs1Aの値は、排出口の内径面積(1134mm2)に対してs1A/S0=1/11.8となっている。また、有効吸入面積(s1)と有効吐出面積(s2)との比を、s1/s2=1/3.5としている。
【0036】
また、内壁板40は、予め断面円弧状に形成された板材である。内壁板40のパッド本体10への固定は、内壁板40の両端部に係合溝42を形成し、パッド本体に嵌合爪(図示せず)を形成して両者を係合することで固定されている。固定後の内壁板40の下端部には、穿孔面との間で隙間が形成されるようになっており、排水口(圧力空間)とディフューザー・リング30の内部空間とが連通するようになっている。
【0037】
尚、上記したように、内壁板については、本実施形態のように断面円弧形状に成形されたものの他、弾性材料からなる平板からなる内壁板40’も適用できる。この場合、図10のように、パッド本体の上部裏面に円周状の嵌合溝を有するガイド12を形成し、ガイド12に沿って内壁板40’を位置決めして嵌合溝で固定する。このとき内壁板40’の両端部は弾性によりパッド本体10の内壁に当接し圧力空間を形成する。
【0038】
遮蔽板50は、図7のようにパッド本体10の隆起部分に沿った、台形形状の板材である。この遮蔽板50は、両端部の係止突起51をパッド本体に形成した係止溝(図示せず)に係止して固定される。遮蔽板50は、これを設置することで、設置領域の圧力空間の体積を制限し、クリーナーによる排水効率を確保することができる。
【0039】
次に、本実施形態に係る水処理パッド1を用いて穿孔作業の工程について説明する。一般的な作業姿勢として床面を穿孔する際においては、穿孔位置の位置決めを行い、穿孔位置が中心となるように予め組み付けられた、水処理パッド位置を設置する。そして、排水口11にバキューム式クリーナー(図示せず)を接続する。設置の際、上部からパッド1を押圧することで、下端のシール部材20が縮み、クリーナーによる吸込み高さを低い状態とする。水処理パッド1の設置・固定後、上部開口部からコアドリルCを穿孔位置に位置決めし、駆動モーター(図示せず)を始動して穿孔を開始する。穿孔作業中、コアドリルCの内部から切削水を供給する。
【0040】
水処理パッド1及びコアドリルCを設置した状態の横断面を図11に示す。駆動モーター始動しつつ切削水供給開始し、同時にクリーナーによる排気を開始すると、ディフューザー・リング30の内部では、コアドリルCと円形プレートとの隙間からのエアとコアドリル内の切削水とからなる流体が生じる。この流体は、図3で説明したように、ディフューザー・リング30のブレードにより加速された回転流体(A5)を形成する。そして、これによりディフューザー・リング30の内部は負圧化し、穿孔面に対して強固に吸着する。
【0041】
また、ディフューザー・リング30から排出された流体(切削水、切り屑、エア)は、排水口付近の圧力空間に直ちに導入され、クリーナーにより系外へ排出される。このように、切削水は効率的に吸引・排出され、穿孔作業終了後、パッド1の内部に切削水を残すことはほぼない。この状態は、穿孔作業終了まで継続されるものである。
【0042】
尚、本実施形態に係る水処理パッド1は、各構成部品が着脱可能であることから、穿孔作業後は、パッド1を取外し、ディフューザー・リング30、内壁板40等を取外すことで内部の清掃を行うことができる。このとき、切削残物が排水口付近にあっても、パッド本体の構造も簡易であるため容易に除去できる。
【0043】
本発明に係る水処理パッド1は、作業姿勢に係らず有用である。ディフューザー・リングによる内部負圧化の効果は、パッドの設置方向に無関係に作用するからである。従って、以上説明した床面穿孔の他、壁面穿孔、天井面穿孔にも特段の支障もなく使用できる。例えば、図12は、天井面の穿孔作業における水処理パッドの断面である。ここで、円形プレート60は、ディフューザー・リングの内部を上下移動可能に設置することができ、天井面穿孔においては、円形プレート60を穿孔面に接近させてディフューザー・リングのブレード付近に設置することで、切削水を漏らすことなく速やかにクリーナーで排出することができる。
【0044】
また、既に述べているように、本実施形態に係る水処理パッド1は、コアドリルCが、ディフューザー・リング(パッド)の中心位置になくとも効果を有する。即ち、図13のように、コアドリルCが、ディフューザー・リング開口領域で偏芯位置にある場合でも、効果的に内部の負圧化、パッドの固定を行うことができる。これは、例えば、壁面際の穿孔等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る水処理パッドが備えるディフューザー・リングの外観を示す図。
【図2】ディフューザー・リングの下端面の形状を説明する図。
【図3】ディフューザー・リングを適用して穿孔したときの流体の発生を説明する図。
【図4】発生した流体の増速効果を説明する図。
【図5】ディフューザー・リングの有効吸入面積(s1)及び有効吐出面積(s2)を説明する図。
【図6】ディフューザー・リングのブレードの縦断面形状を示す図。
【図7】本実施形態にかかる水処理パットの構成部品を説明する図
【図8】各構成部品を組み込んだときの水処理パッドの外観図。
【図9】本実施形態で使用したディフューザー・リングの外観図。
【図10】内壁板の取付け状態を説明する図。
【図11】穿孔作業時の水処理パッドの断面図。
【図12】天井面の穿孔作業時の水処理パッドの断面図。
【図13】水処理パッド内にコアドリルを偏芯して設置したときの外観図。
【図14】従来の水処理パッドの外観及び断面図。
【図15】従来の水処理パッドの固定具の例を示す図。
【図16】2重構造を有する従来の水処理パッドの断面図。
【符号の説明】
【0046】
1、100、200 水処理パッド
10 パッド本体
11 排水口
20 円形シール部材
30 ディフューザー・リング
40 内壁板
50 遮蔽板
60 上部円形プレート
80 ソケット
C コアドリル
W 切断対象物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削水を供給しつつ回転する穿孔刃物を用いて被加工対象物の穿孔を行う際に、前記被加工対象物の穿孔面に設置される水処理パッドであって、
前記穿孔刃物を包囲するように設置され、側面に排水口を有する略筒形状のパッド本体と、
前記パッド本体の内部に前記穿孔刃物を包囲するように着脱自在に固定され、その内部の流体を加速させて外部に放出する筒状のディフューザー・リングと、を備え、
前記ディフューザー・リングは、前記穿孔面と接触する端面に、その横断面が前記穿孔刃物の回転方向に傾斜する翼形状を有する凸状のブレードが整列配置されており、
隣接するブレード間の距離とブレードの高さとで定義される面について、ディフューザー・リング内面側の面積(S1)と、ディフューザー・リング外面側の面積(S2)とがS1<S2の関係となるようになっている水処理パッド。
【請求項2】
全てのブレードについてのディフューザー・リング内面側の有効吸引面積(s1)の和(s1A)が、パッド本体の排水口の内径面積(So)に対し、s1A/S0=1/20〜1/10となっている請求項1記載の水処理パッド。
【請求項3】
隣接するブレードにより形成される溝部の底面が、縦断面で翼形状を有する請求項1又は請求項2記載の水処理パッド。
【請求項4】
更に、パッド本体内に着脱自在に取付けられ、取付け時にその両端部がパッド本体内面に接することで横断面が円弧形状となるような内壁板を備え、
前記内壁板と前記パッド本体内面とが形成する圧力空間と、排水口及びディフューザー・リングの内部空間とが連通している請求項1〜請求項3のいずれかに記載の水処理パッド。
【請求項5】
更に、上下方向で排水口と内壁板の下端部との間に設けられ、圧力空間の形状に略等しい形状を有する遮蔽板を備える請求項4記載の水処理パッド。
【請求項6】
更に、ディフューザー・リングの内壁面に上下位置可変に装着可能であり、穿孔刃物の外径の1.01〜1.2倍の径の開口を有する円形プレートを少なくとも1枚備える請求項1〜請求項5のいずれかに記載の水処理パッド。
【請求項7】
パッド本体の下端縁に、弾性材料からなる環状シール部材を備える請求項1〜請求項6のいずれかに記載の水処理パッド。
【請求項1】
切削水を供給しつつ回転する穿孔刃物を用いて被加工対象物の穿孔を行う際に、前記被加工対象物の穿孔面に設置される水処理パッドであって、
前記穿孔刃物を包囲するように設置され、側面に排水口を有する略筒形状のパッド本体と、
前記パッド本体の内部に前記穿孔刃物を包囲するように着脱自在に固定され、その内部の流体を加速させて外部に放出する筒状のディフューザー・リングと、を備え、
前記ディフューザー・リングは、前記穿孔面と接触する端面に、その横断面が前記穿孔刃物の回転方向に傾斜する翼形状を有する凸状のブレードが整列配置されており、
隣接するブレード間の距離とブレードの高さとで定義される面について、ディフューザー・リング内面側の面積(S1)と、ディフューザー・リング外面側の面積(S2)とがS1<S2の関係となるようになっている水処理パッド。
【請求項2】
全てのブレードについてのディフューザー・リング内面側の有効吸引面積(s1)の和(s1A)が、パッド本体の排水口の内径面積(So)に対し、s1A/S0=1/20〜1/10となっている請求項1記載の水処理パッド。
【請求項3】
隣接するブレードにより形成される溝部の底面が、縦断面で翼形状を有する請求項1又は請求項2記載の水処理パッド。
【請求項4】
更に、パッド本体内に着脱自在に取付けられ、取付け時にその両端部がパッド本体内面に接することで横断面が円弧形状となるような内壁板を備え、
前記内壁板と前記パッド本体内面とが形成する圧力空間と、排水口及びディフューザー・リングの内部空間とが連通している請求項1〜請求項3のいずれかに記載の水処理パッド。
【請求項5】
更に、上下方向で排水口と内壁板の下端部との間に設けられ、圧力空間の形状に略等しい形状を有する遮蔽板を備える請求項4記載の水処理パッド。
【請求項6】
更に、ディフューザー・リングの内壁面に上下位置可変に装着可能であり、穿孔刃物の外径の1.01〜1.2倍の径の開口を有する円形プレートを少なくとも1枚備える請求項1〜請求項5のいずれかに記載の水処理パッド。
【請求項7】
パッド本体の下端縁に、弾性材料からなる環状シール部材を備える請求項1〜請求項6のいずれかに記載の水処理パッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16】
【図14】
【公開番号】特開2010−30090(P2010−30090A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−193214(P2008−193214)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(593110580)株式会社シブヤ (18)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(593110580)株式会社シブヤ (18)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]