説明

穿孔装置

【課題】先端に穿孔刃を有するパンチ部材を上下往復動する際に、軸受孔内に紙粉が進入して摩耗を促進することのない穿孔装置を提供する。
【解決手段】穿孔刃の刃先端面を断面円形状で、円周方向に波状の凹凸部を形成する形状に構成し、上部フレームには、ロッド軸の少なくとも下端部を軸受け支持する軸受部材と、被穿孔シートの上紙面を規制する上ガイド面とを設け、上記軸受部材は、上記ロッド軸を嵌合支持するスリーブ形状の軸受面と、この軸受面に連なり軸受内径より大径の凹陥状開口部とを設ける。上記凹陥状開口部は上記軸受面の下方で上記上ガイド面の上方位置に配置し、上記パンチ部材の上死点は、最上端に位置する刃先端面が上記軸受面より下方に位置し、最下端に位置する刃先端面が上記上ガイド面より上方に位置するように設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば複写機、印刷機、プリンタなどの画像形成装置から搬出されるシートにパンチ穴を穿孔する穿孔装置に係わり、穿孔時の騒音を防止する穿孔機構の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、紙などのシートにファイリング用のパンチ穴を穿孔する穿孔装置は事務機器として数枚のシートにパンチ部材を手動で押下して穿孔するものと、印刷機、複写機などから搬出されたシートに自動的に穿孔するものが知られている。前者はシートを挟んでフレーム部材に円柱状のパンチ部材を上下動自在に配置し、これを操作レバーで押し下げてシートを貫通させる装置として広く知られている。一方後者は順次搬出されるシートを所定の処理位置にセットし、これにパンチ部材を駆動モータで押下して穴あけする装置として種々の装置に組み込まれて使用されている。そしてこれらの装置ではシートに所定間隔で2個所、3個所若しくは4個所に同時に穿孔処理し、これらの穴数および間隔は統一した規格に設定されている。
【0003】
そこで従来、画像形成装置から搬出されたシートに自動的に穿孔する装置としては例えば特許文献1に開示されている構造が知られている。同文献にはシートを上部ガイドプレートと下部ガイドプレートとの間を移送するシートにパンチ部材でパンチ孔を穿孔するパンチ構造が開示されている。このため図12に示すように上部ガイドプレート100にロッド形状のパンチ部材101を軸受部材102で上下動可能に支持し、この軸受部材102に支持されたパンチ部材101を駆動モータに連結した駆動回転軸に偏心カム106を設け、このカムでパンチ部材101を上下動させている。また上部ガイドプレート100にシートをセットする間隔を隔てて下部ガイドプレート103を対向配置し、この下部ガイドプレートに刃受孔(ダイ)107を形成している。
【0004】
このような構造で上記偏心カム106はパンチ部材101を上下動する際の上死点は同図に示すように刃先101aが軸受孔内部に没入する位置に設定されている。これはパンチ動作時に刃先に付着した紙片(穿孔屑)を刃先から分離して落下させる為である。
【特許文献1】特開2003−170394号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のようにパンチ部材を所定ストロークで上下動させてシート類に穿孔する場合、従来は先端に穿孔刃を有するパンチ部材のロッド軸部を軸受部材で上下動可能に支持している。このとき従来は上部フレームにスリーブ状の軸受孔を有する軸受部材を取付け、この軸受に沿ってパンチ部材が上下動するように構成している。
【0006】
このような軸受構造で、従来はパンチ部材の刃先端縁が軸受孔内に没入するポジションを上死点に設定している。このように刃先端縁を完全に軸受孔内に没入させることによって刃先に付着した紙片(穿孔屑)を軸受孔の下端縁で掻き落とすように作用させている。
【0007】
ところがパンチ刃の刃先端縁を軸受孔の内部と外部との間で往復動させると当然に紙粉が軸受け内部に進入する。この紙粉の影響で軸受孔内部の摩耗が進化し、耐久性を劣らせる原因となっている。
【0008】
上述の紙粉による軸受係合部の摩耗は、特にパンチ部材をラジアル方向に回転させながらスラスト方向に上下動する穿孔機構を採用すると軸受孔ないに進入した紙粉はスパイラル状に旋回しながら内部に進入することとなり、この旋回運動による摩耗は著しい劣化をもたらす。
【0009】
そこで本発明者は、穿孔時に刃先に付着した紙粉その他の塵埃が軸受孔内部に進入しないように穿孔刃の上死点位置を設定し、同時にパンチ部材に付着して軸受孔内部に進入する紙粉を掻き落とす紙粉の落下空間を形成するとの着想に至った。
【0010】
本発明は先端に穿孔刃を有するパンチ部材を上下往復動する際に、軸受孔内に紙粉が進入して摩耗を促進することのない穿孔装置の提供をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため本発明は以下の構成を採用する。ロッド軸の先端に穿孔刃を有するパンチ部材と、上記穿孔刃に適合する刃受孔と、上記ロッド軸を穿孔方向に往復動可能に支持する上部フレームと、上記刃受孔を備え上記上部フレームとの間に被穿孔シートのセット間隙を形成して対向配置された下部フレームと、上記パンチ部材を上死点と下死点との間で往復動する駆動手段とを備える。上記穿孔刃の刃先端面は、断面円形状で、円周方向に波状の凹凸部を形成する形状に構成し、上記上部フレームには、上記ロッド軸の少なくとも下端部を軸受け支持する軸受部材と、被穿孔シートの上紙面を規制する上ガイド面とを設け、上記軸受部材は、上記ロッド軸を嵌合支持するスリーブ形状の軸受面と、この軸受面に連なり軸受内径より大径の凹陥状開口部と、を設ける。上記凹陥状開口部は上記軸受面の下方で上記上ガイド面の上方位置に配置し、上記パンチ部材の上死点は、最上端に位置する刃先端面が上記軸受面より下方に位置し、最下端に位置する刃先端面が上記上ガイド面より上方に位置するように設定する。
【0012】
前記スリーブ形状の軸受面と前記凹陥状開口部とは、前記穿孔刃に付着した紙粉を軸受面の下端エッジで掻き落として凹陥状開口部から落下させるように連結する。
【0013】
前記上ガイド面は、穿孔不能シートの穿孔処理部が前記パンチ部材に追随して前記凹陥状開口部に没入しないように該凹陥状開口部の下方に配置する。
【0014】
前記駆動手段は、前記パンチ部材に穿孔方向のスラスト力と、穿孔方向と直交するラジアル方向の回転力を伝達し、前記パンチ部材はラジアル方向に回転しながらスラスト方向に往復動してシートに穿孔する。
【0015】
前記駆動手段は、駆動モータと、上記駆動モータの回転を前記パンチ部材の回転運動に伝達する伝動手段と、このパンチ部材の回転運動を穿孔方向運動に変換するカム手段と、から構成し、前記パンチ部材は被穿孔シートに回転しながら穿孔する。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、先端に穿孔刃を有するパンチ部材を軸受部材で上下動可能に支持する際に、この軸受孔の下側に軸受内径より大径の凹陥状開口部を形成し、パンチ部材の上死点を最上端に位置する刃先端が軸受面より下方に位置し、最下端に位置する刃先端が被穿孔シートの上紙面を規制する上ガイド面より上方に位置するように設定したものであるから、次の効果を奏する。
【0017】
パンチ部材とこれを支持する軸受部材とは上死点位置で刃先端縁が軸受孔内部に進入することがないから、従来は穿孔時に刃先端縁に付着した紙粉が軸受孔内部に導かれることがない。
【0018】
またパンチ部材に静電気等の影響で付着した紙粉は軸受孔の下端縁(孔エッジ部)とこれに連続する凹陥状開口部によって掻き落とされる。またこの凹陥状開口部は被穿孔シートの上紙面を規制する上ガイド面の上方に配置されているから穿孔不能となったシートはこの上ガイド面で規制され開口部に押し込まれることがない。これによって穿孔不能に原因するシートジャムを逓減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下図示の好適な実施の形態に基づいて本発明を詳述する。図1は本発明に係わる穿孔装置の全体構成を示す説明図であり、図2はその要部の断面図である。図3(a)はパンチ部材の軸受支持部の構造説明図であり、同図(b)はその一部を拡大した説明図である。
【0020】
[穿孔装置]
まず本発明に係わる穿孔装置Aの全体構成について説明する。図1に示すように穿孔装置Aは、被穿孔シートSをセットする下部フレーム(刃受孔プレート)35と、この下部フレーム35との間に少許の間隙Sdを形成して配置された上部フレーム(ベースフレーム)30と、この上部フレーム30に取り付けられたパンチ部材40と、下部フレーム35に設けられた刃受孔(ダイ;以下同様)38と、から構成されている。そしてこの上部フレーム30にはパンチ部材40を上下方向(穿孔方向)に昇降する駆動手段(後述の駆動モータM)と、この駆動モータMの駆動をパンチ部材40に伝達する伝動部材(後述のラック歯車51)と、伝動部材51の運動をパンチ部材40の穿孔運動に変換するカム手段(後述の円筒カム44)とから構成されている。各構成について詳述する。
【0021】
上記上部フレーム30と下部フレーム35は被穿孔シートSの幅サイズに応じた長さ寸法に形成され、下部フレーム上に搬送されるシートに上部フレーム30に設けられたパンチ部材40で所定数のパンチ穴を形成する。この為、上記パンチ部材40は通常の円柱形状に構成され、その先端に穿孔刃41が設けてある。このパンチ部材40は上部フレーム30に所定の規格(ファイル穴規格)に応じた間隔で、2穴、3穴、4穴など装置仕様に応じて複数配置される。図示のものは4個所に第1パンチ部材40a、第2パンチ部材40b、第3パンチ部材40c、第4パンチ部材40dが配置され、シートに2穴、4穴のパンチ穴を選択的に穿孔するようになっている。
【0022】
[パンチ部材の構成]
上記各パンチ部材40a〜40dは、同一構造で構成されているので以下その1つについて図2乃至図5に基づいて説明する。図2に示すようにパンチ部材40は、ロッド軸(以下「パンチ軸」という)42と、その先端に設けられた穿孔刃41で構成されている。このパンチ軸42は穿孔方向(図2(a)上下方向)に所定長さの棒状部材で構成され、図示のパンチ軸42には受動歯車46と円筒カム(カム手段;以下同様)44が一体的に取付けられている。この受動歯車46及び円筒カム44については後述する。そこでこのパンチ部材40の穿孔刃41の形状(刃先形状)と、軸受支持構造について説明する。
【0023】
穿孔刃41の刃先端面は図4(a)に示すような外径d1の円環形状に形成されている。そして円周方向に波状の凹凸部を形成する形状で構成されている。この凹凸形状を同図(b)及び(c)に示す。同図(a)のように断面円環形状の穿孔刃41は、同図(b)のように山形状部41x1,41x2と谷形状部41y1,41y2に凹凸端面が形成されている。そして同図(a)に示す0度、90度、180度、270度の端面形状を展開すると同図(c)のように波形形状となる。このように円周方向に凹凸面を形成したのは穿孔負荷を軽減する為である。特に図示の刃先形状は山形状部41x1と41x2との間に位相差(段差)αを形成している。これは山形状部を2個所以上に形成する場合に41x1と41x2との間に段差αを形成して穿孔負荷を更に軽減している。谷形状部についても同様に41y1と41y2との間に位相差(段差)αが形成してある(図4(b)(c)参照)。
【0024】
次にパンチ部材40の軸受構造について説明する。パンチ部材40はパンチ軸42を上部フレーム30に軸受け支持され、図2(a)上下方向に所定ストロークStで往復動する。このため前述の上部フレーム30は図2(a)に示すように断面コ字状のチャンネル部材で構成され、上下に対向する上ガイド31と下ガイド32に摺動自在に軸受け支持されている。
【0025】
図示の軸受構造は上ガイド31に嵌合孔31aが形成してあり、この嵌合孔31aにロッド軸上部42aが嵌合され、ロッド軸42は上下動可能に支持されている。このロッド軸42は少なくともそのロッド軸下部(下端部)42bが軸受部材60に支持されている。この軸受部材60について説明すると、図3(a)(b)に拡大断面図を示すように、軸受部材60は軸受面60aを有するスリーブ状軸受孔60bが形成されている。この軸受面60aの内径は穿孔刃41の外径d1と実質的に等しい径に構成されている。
【0026】
軸受部材60は例えば焼結金属で構成され、場合に応じて潤滑油を含浸し、その軸受長さ(スラスト方向長さ)はパンチ軸42が傾斜しない嵌合条件に設定されている。そしてこの軸受面60aの下端エッジ60eは穿孔刃41の外周面に緊密に嵌合するように形成されている。そこで軸受孔内にパンチ部材40を嵌合して上下動すると穿孔刃41の外周面に付着した異物は下端エッジ60eで掻き落とされるように配慮されている。
【0027】
上記の様に構成されたスリーブ状の軸受面60aの下端部には形状的に連続して凹陥状開口部61が形成してある。つまりスリーブ状の軸受面60aの下端部には段差を形成して軸受内径d1′より大径の凹陥状開口部61が設けてある。この凹陥状開口部61の内径d2は軸受内径d1′より大きく(d2>d1)設定してある。従って穿孔刃41の外周に付着した紙粉などの異物は軸受面60aの下端エッジ60eで掻き剥され、凹陥状開口部61から落下し、軸受面60a内に進入することがない。
【0028】
そこで本発明は後述する駆動手段(駆動モータM、ラック歯車51、円筒カム44)で軸受面60aに支持されたパンチ部材40を上死点puと下死点pdとの間で、ストロークStで往復動する。このとき上死点puと下死点pdを次のように設定してある。まず上死点puは図3(b)に示すように穿孔刃41の最上端に位置する刃先端面(図3(b)の形態では谷形状部)41y1(41y2)が軸受面60aより下方に位置するように設定する。図示の例では軸受面60aより距離t1だけ下側に刃先端面41y1(41y2)が位置するようになっている。また最下端に位置する刃先端面(図3(b)の形態では山形状部)41x1(41x2)は図3(b)に示す上ガイド面62より上方に位置するように設定されている。図示の例では上ガイド面62より距離t2だけ上側に刃先端面41x1(41x2)が位置するように設定されている。
【0029】
尚、上ガイド面62は被穿孔シートSの上面を規制(ガイド)するように軸受部材60又は上部フレーム30に設けられている。図示のものは軸受部材60に上ガイド面62を配置する場合を示す。
【0030】
上述のように構成されたパンチ部材40の穿孔動作を図6及び図7に基づいて説明する。図6(a)はパンチ部材40が上死点puに位置する状態を示している。この状態で穿孔刃41はシートの搬送経路(上部フレーム30と下部フレーム35の間)から上方に待機し、搬送経路にシートを給排送可能となる。図6(b)はパンチ部材40がシートを穿孔する状態を示し、穿孔刃41は上死点puから下死点pdに移動する途中の状態である。このとき穿孔刃41は図示矢示方向に回転しながら下死点側に下降する。図7(c)はパンチ部材40が下死点pdに位置する状態を示し、シートには穿孔が施されている。このとき穿孔刃41の刃先には屑紙片66が付着している場合がある。そこで図7(d)はパンチ部材40が下死点pdから上死点puに移行する途中の状態を示し、穿孔が施されたシートが上ガイド面62でパンチ部材40から分離され、穿孔刃41は先と反対方向に回転(図示矢示方向)しながら上死点方向に上昇する。このとき刃先に付着した屑紙片66はパンチ部材の回転方向の反転による衝撃で確実に振り落とされる。また穿孔刃41の外周に付着した紙粉66zは下端エッジ60eで掻き剥がされ、凹陥状開口部61から落下される。従って紙粉66zが軸受面60a内部に侵入することが少ない。
【0031】
上記パンチ部材40の駆動手段について説明する。上記パンチ軸42は、炭素鋼などの金属材料で円筒軸形状に形成され、円筒カム44と受動歯車46が一体に形成されている。この円筒カム44にはその外周に逆V字形状のカム溝45が形成され、後述するカムピン33cと嵌合する。この円筒カム44は図2(b)に示すように、上カム部材44Aと下カム部材44Bに上下分割して構成され、上カム部材44Aには上カム面45aが、下カム部材44Bには下カム面45bが形成されている。そしてこの上カム面45aと下カム面45bとで逆V字状のカム溝45が形成されている。
【0032】
このように逆V字形状のカム溝45を形成する上下カム部材44A、44Bを上下分割形成したのはカム溝45を形成する上カム面45aと下カム面45bのいずれか一方を軸方向(図2上下方向)に移動可能にするためである。このように分割形成された上下カム部材44A、44Bはパンチ軸42に嵌合することによって逆V字形状のカム溝45を次のように形成している。図2(b)に示すように下カム部材44Bは中央に中空孔44bxが形成され、この中空孔44bxにパンチ軸42が貫挿され、回転止めピン44byで両者が一体的に結合されている。
【0033】
一方、上カム部材44Aにも中空孔44axが設けられ、この中空孔44axにパンチ軸42が貫挿されている。この上カム部材44Aはパンチ軸42に沿って上下動自在に嵌合されている。つまり図2(b)に示すように下カム部材44Bには嵌合凹溝44buが設けられ、この嵌合凹溝44buに上カム部材44Aの嵌合凸部44auが嵌合されている。従って上カム部材44Aと下カム部材44Bはパンチ軸42に嵌合され、その一方(図示のものは下カム部材44B)がパンチ軸42に一体的に固定され、他方(図示のものは上カム部材44A)がパンチ軸42に沿って上下動自在に嵌合支持されている。
【0034】
上記上カム部材44Aには上記パンチ軸42に沿って常時下方に付勢するバネ手段47が設けられている。図示のバネ手段47は円盤形状の板バネで形成され、その中央にはパンチ軸42を貫挿する中孔が形成されている。この板バネ47はパンチ軸42に貫挿され、このパンチ軸42にワッシャ48aを介してEリング48bで固定されている。そして板バネ47の下面は上記上カム部材44Aの上端面44azを常時下方に押圧付勢している。
【0035】
上述の円筒カム44には後述する駆動モータMから回転力が付与され、その回転運動を上記カム溝45で穿孔方向に運動変換するように構成されている。このため上記下カム部材44Bの外周にはカム溝45と異なる位置に受動歯車46が一体形成されている。この受動歯車46には後述するラック歯車(伝動部材)51が歯合され、このラック歯車51が駆動モータMで往復動してパンチ部材40を上下動するように構成されている(駆動機構については後述する)。
【0036】
次に上述のカム溝45のカム形状について図5に従って説明する。穿孔装置Aは、パンチ部材40を2孔穴開け用の第1パンチ部材40a,第4パンチ部材40dと、更に4孔穴開け用の第2パンチ部材40b,第3パンチ部材40cの合計4つのパンチ部材で構成する場合を示している。そこで各パンチ部材40a〜40dの円筒カム44には穿孔方向に(図5(a)上下方向)に対し所定角度(θ)傾斜した傾斜カム面45θが設けられ、第1,第4カム溝45ak、45dkには1個所、第2,第3カム溝45bk、45ckには2個所に傾斜カム面45θが形成されている(図3(b)参照)。そして第1,第4カム溝45ak、45dkの傾斜カム面45θと第2,第3カム溝45bk、45ckの1つの傾斜カム面45θはそれぞれ円筒カム44の同一角度位置(第1角度位置)に配置され、この第1角度位置で被穿孔シートSに4孔開けする。また円筒カム44の第2角度位置で被穿孔シートSに2孔開けするように構成されている。
【0037】
この第2角度位置では第1,第4カム溝45ak、45dkは円筒カム44の外周方向に水平な直線溝で形成されている。従って上部フレーム30に固定されたカムピン33cと係合している第1乃至第4カム溝45ak〜45dkは上記第1角度位置では第1乃至第4パンチ部材40a〜40dが被穿孔シートSに4穴穿孔し、上記第2角度位置では第2、第3パンチ部材40b、40cが被穿孔シートSに2穴穿孔することとなる。
【0038】
また第2,第3カム溝45bk、45ckの他の傾斜カム面45θは円筒カム44の上記第1角度位置と異なる角度位置(第2角度位置)で同一角度位置に形成され、この第2角度位置ではシートに2孔開けする。
【0039】
また上記各円筒カム44は所定角度ずつ位相差を有するように上部フレーム30に取り付けられ、同時孔開けする際に各パンチ部材40a〜40dの孔開けタイミングを異ならせている。つまり図1に示すように4孔開けの時、各パンチ部材40a〜40dは、第1パンチ部材40a、第2パンチ部材40b、第3パンチ部材40c、第4パンチ部材40dの順に時間差(カム溝の変移差)を持って孔開けタイミングをズラしている。2孔開けの時も同様に第2パンチ部材40b、第3パンチ部材40cの順に位相差を持たせている。
【0040】
[円筒カムの作用]
上述のように構成されている円筒カム(カム手段)44は、逆V字形状のカム溝45を構成する上カム面45aと下カム面45bのいずれか一方が穿孔方向に少許のスパンで上下動自在に構成され、その可動側カム面(上述の上カム面45a)にバネ手段47が設けられている。そしてこの上カム面45aと下カム面45bとの間にカムピン33cを嵌合し、このカムピン33cを上部フレーム30に固定する。
【0041】
そこで下カム部材44Bに形成した受動歯車46に回転力をラック歯車51で付与する。例えばラック歯車51が図1左側に移動するとき、パンチ部材40は同図反時計方向に回転する。このとき図8(a)に示す上死点puから下死点側に変位する位置p1でカムピン33cがカム溝45の下カム面45bに当接する(図8(b)の状態)。その後、カムピン33cは下カム面45bに沿って上カム面45aに案内されて下死点方向に移動(図8(c)、図9(d)の状態)する。そして下死点pd(図9(e)の状態)に到達し、この下死点pdから若干オーバランして停止位置p3(図9(f)の状態)で停止する。
【0042】
上述の動作でシートに穿孔した後は、前記駆動モータMを逆回転させてラック歯車51を図1右側に移動(復帰動)する。するとパンチ部材40は、停止位置p3から下死点pdに戻り、次いで上死点側に図示p2位置、p1位置、そして上死点puに戻ることとなる。このときパンチ部材40は最初に下死点側に降下した後、方向を反転して上死点側に上昇移動することとなる。このときパンチ部材40には下死点方向の運動から上死点方向の運動に反転する方向変換の負荷と、穿孔刃41の刃先を穿孔済シートから引き剥がす負荷が作用する。ところが本発明のパンチ部材40には前述の板バネ47が作用しているため、バネ力が上カム面45aに作用し、このバネ力で板バネ(バネ手段)47は撓み、このバネの撓みで上カム部材44Aに作用する衝撃は緩和され、衝撃音が低減される。この衝撃音の低減と同時に板バネ47のバネ力は、その直後にパンチ部材40を上死点puに変位させる復元力として作用する。
【0043】
次にフレーム構造について説明する。前述の上部フレーム30は図2(a)に示すように断面コ字状のチャンネル部材で構成され、上下に対向する上ガイド31と下ガイド32に嵌合孔31a、32aが設けられている。パンチ部材40はこの嵌合孔31aにロッド軸上部42aが、嵌合孔32aに軸受部材60が取り付けられ、その軸受部材60の軸受孔60bにロッド軸下部42bが嵌合支持されている。従ってパンチ部材40は上部フレーム30に図2(a)上下方向(穿孔方向)に摺動自在に支持されている。
【0044】
また、上記下部フレーム35には穿孔刃41に適合する刃受孔(ダイ)38が設けられている。上記下部フレーム35は上部フレーム30に少許の間隙Sdを形成して固定ネジ39で一体に取り付けてあり、この上部フレーム30,下部フレーム35でユニット化されている。そして上部フレーム30には上述のカム溝45と係合するカムフォロア部材33が固定してある。図示のカムフォロア部材33は、台座部33aとガイド軸部33bとカムピン33cとを備え、前記嵌合孔31a、32aと所定の位置関係となるように上部フレーム30に形成した取付け孔に嵌合し台座部33aをビスなどで固定する。そしてガイド軸部33bは後述するスライド部材50をガイドし、カムピン33cは上記カム溝45と係合するピン形状に構成されている。従ってパンチ部材40は上部フレーム30に上下摺動自在に支持され、これに設けたカムピン33cにカム溝45が係合保持される。このカムピン33cがカムフォロア部材を構成している。
【0045】
また、上記パンチ部材40には受動歯車46が一体に取り付けられている。この受動歯車46は後述する駆動モータMに伝動部材(ラック歯車)51を介して連結される。このように構成されたパンチ部材40は、穿孔刃41及びロッド軸上下部42a、42bを例えばSUS系鋼材のような研磨性の良い素材で構成する。この他鉄系金属或いはセラミックなどで形成しても良い。また、円筒カム44と受動歯車46とはPOM(ジュラコン樹脂)などの合成樹脂で成形することが加工性、静音性などから好ましいが、特にその材質を限定するものではない。そしてパンチ部材40の穿孔刃41と円筒カム44と受動歯車46とを一体化する。この一体化はこれらの三者を一体的に回転させる為であり、成型時にインサート成形によって一体化するか或いは固定ビス、接着剤などで固定する。
【0046】
次に上部フレーム30にはスライド部材50が図1左右方向に移動自在に組み込まれる。このスライド部材50にはラック歯車51が形成され、このラック歯車51は上述のように上部フレーム30に複数(図示のものは4個所)配置されたパンチ部材40a〜40dの各受動歯車46と噛合するようになっている。そしてスライド部材50は前述のカムフォロア部材33のガイド軸部33bと下ガイド32の間で上下方向を摺動自在に案内され、また上部フレーム30の背面と各受動歯車46との間で前後方向を案内(図2(a)参照)され図1左右方向に移動自在に支持されている。これによって各パンチ部材40a〜40dの受動歯車46とスライド部材50のラック歯車51とが噛合され、スライド部材50の移動量に応じて各パンチ部材40a〜40dは所定の角度関係(後述の位相差)でそれぞれ回転されることとなる。
【0047】
上記スライド部材50には駆動モータMが次のように連結されている。前記上部フレーム30にはブラケット53で駆動モータMが取り付けてあり、その回転軸は減速歯車を介して駆動歯車G1に連結されている。そしてこの駆動歯車G1がスライド部材50のラック歯車51に歯合してある。従って駆動モータMの正逆転でスライド部材50は図1左右方向に移動することとなる。尚図示54はモータの回転軸に設けたエンコーダであり、Seはこれを検出するエンコードセンサである。また、上記スライド部材50にはその位置を検出するポジションセンサSnが配置されている。
【0048】
以上説明した装置構成において、紙などの被穿孔シートSに2穴、若しくは4穴の孔開けを施す穿孔動作は次のように行う。穿孔装置Aには図示しない制御手段が例えば制御CPUで設けられている。そこでこの制御CPU(制御手段)の動作を図10のフローチャートに基づいて説明する。
【0049】
装置電源が投入され、装置が起動する(St100)と制御手段は例えば後処理装置から2穴孔開けであるか4穴孔開けであるか孔開けモードの選択信号(St101)を受ける。この指示信号で制御手段は前記スライド部材50をホームポジション(スタート位置)に移動する(St102)。このとき、制御手段は駆動モータMを上記ホームポジションから所定量オーバランさせた後、その回転方向を逆転する。するとスライド部材50はバックラッシュなくホームポジションに位置付けられる。制御手段はこの状態で駆動モータMを停止し、被穿孔シートSの搬送セットを待つ。
【0050】
次いで被穿孔シートSが所定のセット位置に準備されるとそのセット終了信号(St103)で制御手段は駆動モータMを回転駆動しスライド部材50を図1左方向に移動する(St104)。スライド部材50が左方向に移動すると、これに一体形成されているラック歯車51が受動歯車46を反時計方向に回転させる。するとパンチ部材40は図8(a)の状態から図9(f)の状態に徐々に反時計方向に回転しながら穿孔方向(スラスト方向)に移動する。この過程で被穿孔シートSには4穴又は2穴のパンチ孔が穿孔される(St105)。
【0051】
次いで制御手段は孔開け動作が終了したか否かをポジションセンサSnで判断する(St106)。このとき例えば予め設定したジャム時間が経過(St107)してもセンサが上記動作終了位置を検出しないときにはジャムと判断し、駆動モータMを逆回転させる(St108)。この駆動モータMの逆回転でスライド部材50とパンチ部材40はホームポジションにバックし、これをポジションセンサSnで検知する(St109)。そこで制御手段がジャム信号を発し、例えば後処理装置のコントロールパネルに「ジャム」表示を行わせる。これと同時に装置電源をOFFする(St110)。
【0052】
駆動モータMの逆回転でスライド部材50及びパンチ部材40がホームポジションに移動しないときには装置故障と見なしエラー信号を発し、コントロールパネルに「装置故障」を表示する(St111)。シートへの穿孔が正常に実行されると制御手段は、例えば後処理装置Cに穿孔終了信号を発し、後処理装置Cはシートを所定のセット位置から外部に搬出する。このシートの搬出と前後して制御手段は駆動モータMを逆回転させてスライド部材50をホームポジションに復帰させる。この状態で次のシートがセット位置に準備されるのを待つ。
【0053】
パンチ部材40がホームポジションから穿孔位置に移動する過程で穿孔刃41はスラスト方向への移動と同時にラジアル方向に回転し図8(a)(b)(c)及び図9(d)(e)(f)の順に捻り運動で被穿孔シートSにパンチ孔を穿孔する。この為穿孔刃41の被穿孔シートSに及ぼす剪断力は穿孔刃41を単純にスラスト方向に移動する場合に比べ数倍に増大する。例えば本実施形態においては剪断力を2倍に増大させることが出来、結果として駆動モータMの負荷トルクを半減させることが可能となった。逆に穿孔速度を2倍にしても駆動モータMに及ぶ負荷が増大することがなく伝動機構の簡素化とパンチ動作の高速化が可能となった。
【0054】
従って、図8に示すようにラック歯車51を有するスライド部材50の移動に伴ってパンチ部材40は上死点puから傾斜カム面45θに沿って反時計方向に回転しながら穿孔開始点p1に移動してシートに接し穿孔を開始する。そして同方向に回転しながらシートを貫通し穿孔終了点p2に移動し、次いで下死点pdに移動する。次にスライド部材50が更に移動するとパンチ部材40は下死点pdから上死点pu方向に移動(上昇)する。このときパンチ部材40は傾斜カム面45θに沿って反時計方向に回転しながら上記穿孔終了点p2に戻り、更に穿孔開始点p1に戻り、最後に上死点puに復帰する。
【0055】
次に次シートの穿孔時には上記スライド部材50は反対方向に移動するため、パンチ部材40は時計方向に回転しながら同様の動作を繰り返す。つまり順次穿孔するシートの奇数枚目の穿孔時にはパンチ部材40は例えば時計方向に回転しながら上死点puから下死点pdに移動し、その後同方向に回転しながら下死点pdから上死点puに移動する。そして偶数枚目のシートの穿孔時にはパンチ部材40は逆方向、時計方向に回転しながら上死点puから下死点pdに、また下死点pdから上死点puに移動復帰することとなる。
【0056】
そこで穿孔刃41の先端に屑紙片66が詰まっても穿孔時の回転で振り飛ばされるか或いは次シート穿孔時の反対方向の回転で振り飛ばされることとなる。このように穿孔刃41に付着した屑紙片66は正逆方向の回転力を受けて遠心力で刃先から分離し、四方八方に分散して下部フレーム35の下部に配置した屑ボックス68に略々均等に堆積収納される。
【0057】
[画像形成ユニットの構成]
図11に画像形成ユニットの構成を示す。画像形成装置Bの印字部3には静電ドラム10が設けられ、この静電ドラム10の周囲には印字ヘッド9、現像器11、転写チャージャ12などが配置されている。そして印字ヘッド9は例えばレーザ発光器などで構成され、静電ドラム10上に静電潜像を形成し、この潜像に現像器11でトナーインクを付着し、転写チャージャ12でシートに印刷する。この印刷シートは定着器13で定着され排紙経路17に搬出される。排紙部4にはケーシング1に形成した排紙口14と排紙ローラ15が配置されている。尚図示16は循環経路であり、排紙経路17からの印刷シートをスッチバック経路で表裏反転した後再びレジストローラ7に送り、印刷シートの裏面に画像形成する。このように片面若しくは両面に画像形成された印刷シートは排紙口14から排紙ローラ15で搬出される。
【0058】
尚図示20はスキャナユニットであり、上記印字ヘッド9で印刷する原稿画像を光学的に読み取る。その構造は一般的に知られているように原稿シートを載置セットするプラテン23と、このプラテン23に沿って原稿画像をスキャンするキャリッジ21と、このキャリッジ21からの光学像を光電変換する光学読取手段(例えばCCDディバイス)22とから構成されている。また図示のものは原稿シートを自動的にプラテンに給送する原稿送り装置25がプラテン23上に装備してある。
【0059】
そこで上記の排紙口14には後処理装置Cが連設してある。この後処理装置Cはシート搬送経路26と、この搬送経路26に配置したパンチユニット27と排紙スタッカ28とから構成されている。シート搬送経路26にはパンチユニット27の上流側に整合手段26aが設けられ、シート後端を整合する。またシート搬送経路26には正逆転ローラ26bが配置され、搬入口26cからのシートを整合手段26aに突き当て整合し、同時にこの正逆転ローラ26bはパンチユニット27からシートを排紙スタッカ28に搬出する。図示Siはシート検知センサである。尚パンチユニット27は先に説明した図1に示す装置で構成されている。
【0060】
このように構成された後処理装置Cは画像形成装置Bから印刷済のシートを搬入口26cから受け取り、シート後端をシート検知センサSiで検知し、シート後端が整合手段26aを通過したタイミングで正逆転ローラ26bを逆転(図示反時計方向)する。するとシートはスイッチバックされシート後端が整合手段26aに突き当て整合される。この整合後に正逆転ローラ26bは停止し、シートをその位置に保持する。この状態でパンチユニット27は駆動モータMを駆動して前述の穿孔動作を実行する。穿孔動作の実行後は前述のポジションセンサSnからのエンド信号で正逆転ローラ26bを図示時計方向に回転しパンチ穴を施されたシートを排紙スタッカ28に搬出する。尚この後処理装置Cには、図示しないがステープルユニット、スタンプユニットなどが装置仕様に応じて組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係わる穿孔装置の全体構成を示す説明図。
【図2】図1の装置における要部説明図であり、(a)は側面断面図を示し、(b)はパンチ部材の断面構成図を示す。
【図3】図1の装置におけるパンチ穿孔部の拡大説明図であり、(a)は穿孔部の全体を、(b)は穿孔部の拡大図を示す。
【図4】図1の装置におけるパンチ部材の説明図であり、(a)はその断面図、(b)は刃先形状の説明図、(c)は刃先形状の展開説明図。
【図5】図1の装置におけるパンチ部材の説明図であり、(a)はその斜視図、(b)は傾斜カムの形状説明図。
【図6】図1の装置におけるパンチ動作の説明図であり、(a)は穿孔刃が上死点位置のときの状態説明図、(b)は穿孔刃で穿孔が開始されたときの状態説明図である。
【図7】図1の装置におけるパンチ動作の説明図であり、(c)は穿孔刃が下死点位置のときの状態説明図、(d)は穿孔刃で上死点に復帰する直前の状態説明図。
【図8】(a)乃至(c)図1の装置に於ける穿孔状態を示す動作状態説明図。
【図9】(d)乃至(f)図1の装置に於ける穿孔状態を示す動作状態説明図。
【図10】本発明に係わる穿孔装置の制御動作を示すフローチャート。
【図11】(a)本発明に係わる画像形成装置及び後処理装置の全体構成を示す説明図であり、(b)後処理装置の要部拡大図。
【図12】従来のパンチ部材の駆動機構を示す説明図。
【符号の説明】
【0062】
A 穿孔装置
S 被穿孔シート
St ストローク
d1 外径
d1′ 軸受内径
d2 開口部の内径
M 駆動モータ(駆動手段)
pu 上死点
pd 下死点
30 上部フレーム(ベースフレーム)
31 上ガイド
32 下ガイド
35 下部フレーム(刃受孔プレート)
40 パンチ部材
40a 第1パンチ部材
40b 第2パンチ部材
40c 第3パンチ部材
40d 第4パンチ部材
41 穿孔刃
41x1 山形状部
41x2 山形状部
41y1 谷形状部
41y2 谷形状部
42 ロッド軸(パンチ軸)
44 円筒カム(カム手段)
45 カム溝
46 受動歯車
60 軸受部材
60a 軸受面
60b 軸受孔
60e 下端エッジ
61 開口部
62 上ガイド面
66 屑紙片
66z 紙粉
68 屑ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッド軸の先端に穿孔刃を有するパンチ部材と、
上記穿孔刃に適合する刃受孔と、
上記ロッド軸を穿孔方向に往復動可能に支持する上部フレームと、
上記刃受孔を備え上記上部フレームとの間に被穿孔シートのセット間隙を形成して対向配置された下部フレームと、
上記パンチ部材を上死点と下死点との間で往復動する駆動手段と、
を備え、
上記穿孔刃の刃先端面は、断面円形状で、円周方向に波状の凹凸部を形成する形状に構成され、
上記上部フレームには、
上記ロッド軸の少なくとも下端部を軸受け支持する軸受部材と、
被穿孔シートの上紙面を規制する上ガイド面と、
が設けられ、
上記軸受部材は、
上記ロッド軸を嵌合支持するスリーブ形状の軸受面と、
この軸受面に連なり軸受内径より大径の凹陥状開口部と、
が設けられ、
上記凹陥状開口部は上記軸受面の下方で上記上ガイド面の上方位置に配置され、
上記パンチ部材の上死点は、
最上端に位置する刃先端面が上記軸受面より下方に位置し、最下端に位置する刃先端面が上記上ガイド面より上方に位置するように設定されていることを特徴とする穿孔装置。
【請求項2】
前記スリーブ形状の軸受面と前記凹陥状開口部とは、前記穿孔刃に付着した紙粉を軸受面
の下端エッジで掻き落として凹陥状開口部から落下させるように連結されていることを特徴とする請求項1に記載の穿孔装置。
【請求項3】
前記上ガイド面は、穿孔不能シートの穿孔処理部が前記パンチ部材に追随して前記凹陥状開口部に没入しないように該凹陥状開口部の下方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の穿孔装置。
【請求項4】
前記駆動手段は、前記パンチ部材に穿孔方向のスラスト力と、穿孔方向と直交するラジアル方向の回転力を伝達し、
前記パンチ部材はラジアル方向に回転しながらスラスト方向に往復動してシートに穿孔することを特徴とする請求項1に記載の穿孔装置。
【請求項5】
前記駆動手段は、
駆動モータと、
上記駆動モータの回転を前記パンチ部材の回転運動に伝達する伝動手段と、
このパンチ部材の回転運動を穿孔方向運動に変換するカム手段と、
から構成され、
前記パンチ部材は被穿孔シートに回転しながら穿孔することを特徴とする請求項2に記載の穿孔装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−125554(P2010−125554A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302545(P2008−302545)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(595165047)株式会社セーコウ (38)
【Fターム(参考)】