説明

突き当てコネクタ

【課題】突き当て端子間の接触圧が低下することを防止でき、異物の介在で突き当て端子相互の導通接続が阻害されず、接続性を長期に渡って良好に維持でき、しかも、ばね部を外力から守り、且つ、端子同士が確実に嵌合される突き当てコネクタを得る。
【解決手段】一対のコネクタハウジング20,30は、それぞれの端子収容孔21,31をハウジング中心軸と直交する方向に位置をずらした位置からハウジング中心軸方向と直交する方向にスライドさせることで接続が完了すると共に、それぞれのコネクタハウジングに収容されている突き当て端子10の先端同士が摺り合わされて、先端を突き当てた状態になり、また、突き当て端子10は、相手の突き当て端子10と先端が摺り合わされる際に、先端位置決め片13が相手の保護壁14にガイドされながら相手の突き当て端子10と係合して、相手の突き当て端子10に対して軸方向への離反を規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嵌合接続する一対のコネクタハウジング内に、相手端子への突き当てによって相手端子と導通状態となる突き当て端子が装備される突き当てコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
突き当てコネクタは、嵌合接続する一対のコネクタハウジングと、これらの一対のコネクタハウジングに装備される突き当て端子と、を備える。
【0003】
図37及び図38は、突き当てコネクタで使用される突き当て端子の従来例を示したものである。
【0004】
ここに示した突き当て端子100は、下記特許文献1に開示された突き当てコネクタで使用されるもので、端子本体110と、突き当て板部120と、ばね部130と、を備えている。
【0005】
端子本体110は、略角筒状の先端筒部111と、該先端筒部111の後端から延出した電線圧着部112とを、金属板のプレス成形により一体形成している。この端子本体110は、不図示のコネクタハウジングの端子収容孔に挿入され、前記端子収容孔内の樹脂製のランスとの係合により抜け止めされて、前記端子収容孔内に保持される。
【0006】
突き当て板部120は、相手の突き当て端子との接続のために端子本体110の先端に突出して配置される。この突き当て板部120は、コネクタハウジング相互の嵌合接続時に、相手のコネクタハウジング内の突き当て端子の先端に当接して、電気的な接続を果たす部位である。
【0007】
ばね部130は、突き当て板部120を相手の突き当て端子との突き当てにより弾性変位可能に端子本体110に支承する波板状の構造である。このばね部130は、金属板のプレス成形によって突き当て板部120と一体に形成される。
【0008】
ばね部130は、突き当て板部120が先端筒部111の先端から突出した状態となるように、先端筒部111に組み付けられる。
【0009】
上記特許文献1に開示された突き当てコネクタの各コネクタハウジングでは、端子収容孔に装着された突き当て端子100は、ランスによる係止によって、突き当て板部120が前記端子収容孔の先方に所定長突出した規定位置に位置決めされる。
【0010】
上記特許文献1に開示された突き当てコネクタでは、一対のコネクタハウジングを、それぞれの先端面をそれぞれの端子収容孔の位置を揃えて対向させた状態で突き当てる操作で、嵌合接続させる。一対のコネクタハウジングの嵌合接続により、それぞれのコネクタハウジングに装着されている突き当て端子100の突き当て板部120同士が突き当たって、対向する突き当て端子100同士が導通接続状態になる。
【0011】
互いに突き当たった突き当て端子100に作用する軸方向の荷重は、突き当て端子100を係止している樹脂製のランスや、コネクタハウジング相互を連結しているハウジングロック部が支える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特表平10−504676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところが、特許文献1に開示の突き当てコネクタでは、突き当たった突き当て端子100間に作用する軸方向の荷重を、樹脂製のランスや、コネクタハウジング相互を連結しているハウジングロック部が支えている。
【0014】
そのため、樹脂の経年変化等で前記樹脂製のランスやハウジングロック部に樹脂クリープが発生すると、突き当て端子100,100間における接触圧が低下するおそれがあった。
つまり、図39に示すように、従来の突き当て端子100の場合、コネクタ150,152を嵌合させた際に、軸方向の矢印W3方向に発生するばねの接触荷重をランス140及びハウジングロック部(図示せず)が直接受け止める構造になっている。その結果、矢印W3方向に力を受け続けたランス140及びハウジングロック部が樹脂クリープにより荷重を受け続けた矢印W3方向に変形するおそれがあった。
樹脂クリープが発生すると、ランス140及びハウジングロック部の変形により、本来は突き当て部からW1の距離の位置で係止保持されるべき突き当て端子100が突き当て部からW2の距離の位置で係止保持されてしまう。このように係止位置の距離がW1からW2にずれると、突き当て端子100のばね部の変位量として正規の変位量を維持することができず、設定した接触荷重を得られなくなるおそれがあった。
【0015】
また、一対のコネクタハウジングに装着されている突き当て端子100は、一対のコネクタハウジング相互を軸方向に突き当てる操作のみで突き当て状態にするため、突き当て操作前の段階で突き当て端子100の突き当て板部120の表面に、酸化膜や塵埃等の異物が付着している場合には、突き当てにより、それらの異物が突き当たった突き当て板部120、120間に挟持されてしまい、異物の介在によって突き当て端子相互の電気的な接続性が阻害されるおそれがあった。
【0016】
更に、突き当て板部120が端子側面において露出するため、外力などにより突き当て板部120が側方から押されると、ばね部130が変形し、接触信頼性を低下させた。また、突き当て板部120が先端筒部111の先端から大きく突出した状態では、端子嵌合時の端子同士間の位置決めが不安定となり、端子同士が確実に嵌合せず、接続信頼性低下のおそれがあった。
【0017】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、嵌合接続される一対のコネクタハウジング内において突き当て端子を係止しているランス等の樹脂クリープによって突き当たった突き当て端子間における接触圧が低下することを防止することができ、また、突き当たる突き当て端子間に異物が介在して突き当て端子相互の導通接続が阻害されることがなく、突き当て端子相互の接続性を長期に渡って良好に維持することができ、しかも、ばね部を外力から守り、且つ、端子同士が確実に嵌合される突き当てコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の前述した目的は、下記(1)〜(4)の構成により達成される。
(1)ランスにて端子収容孔に保持され、ばね部を介して同形状の相手端子に圧接させることで導通状態になる突き当て板部が先端に装備された突き当て端子と、
前記ランスを有した前記端子収容孔をそれぞれに備え該端子収容孔をハウジング中心軸と直交する方向にずらすと共に該ハウジング中心軸方向に所定の離間距離で対向するスライド開始位置から該ハウジング中心軸方向と直交する方向にスライド操作して互いの前記端子収容孔を一致させることで、前記突き当て端子の先端同士を摺り合わせて互いに嵌合接続される一対のコネクタハウジングと、
前記突き当て端子に形成され、相手の前記突き当て端子と先端が摺り合わされる際に該相手の突き当て端子と係合して該相手の突き当て端子に対し軸方向への離反を規制する先端位置決め片と、
端子本体から前記先端位置決め片に向かって突出し前記突き当て板部の両側方を覆う保護壁と、を備えることを特徴とする突き当てコネクタ。
【0019】
(2)前記一対のコネクタハウジングにおける前記スライド開始位置は、それぞれのコネクタハウジングのハウジング中心軸が一致し、且つ、前記ハウジング中心軸回りに所定角度位相をずらした位置であり、
前記スライド操作が、前記ハウジング中心軸回りの回動操作であることを特徴とする上記(1)に記載の突き当てコネクタ。
【0020】
(3)前記一対のコネクタハウジングにおける前記スライド開始位置は、それぞれのコネクタハウジングのハウジング中心軸が前記ハウジング中心軸と直交する方向にずれた位置であり、前記スライド操作が、前記ハウジング中心軸と直交する方向への平行移動操作であることを特徴とする上記(1)に記載の突き当てコネクタ。
【0021】
(4)前記一対のコネクタハウジングの先端部には、それぞれのコネクタハウジングが前記スライド開始位置に位置決めされた時に、相手コネクタハウジングに突き当たると共に、前記スライド操作時には相手コネクタハウジングの突き当て面上を摺接して、コネクタハウジング相互の前記ハウジング中心軸方向への変位を規制する端子保護突起を備えたことを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の突き当てコネクタ。
【0022】
上記(1)の構成によれば、一対のコネクタハウジングは、スライド開始位置からハウジング中心軸方向と直交する方向にスライド操作することで、コネクタハウジング相互の嵌合接続が完了する。そして、コネクタハウジング相互の嵌合接続が完了する際における突き当て端子相互の突き当て接続は、突き当て端子の先端同士が摺り合わされる摺動動作となるため、それぞれの突き当て端子には軸方向に大きな衝突力が作用しない。更に、突き当てられた状態の突き当て端子相互は、互いの先端位置決め片による係合により、相手の突き当て端子に対して軸方向への離反が規制され、ランスに対して軸方向の荷重が作用することを抑止する。
【0023】
そのため、各コネクタハウジングのランス等に樹脂クリープが発生することを抑止することができ、突き当て端子間における接触圧がランス等の樹脂クリープによって低下することを防止することができる。
【0024】
また、それぞれのコネクタハウジングに収容された突き当て端子相互が突き当たる際には、突き当て端子の先端同士が摺り合わされるため、突き当て操作前の段階で突き当て端子の突き当て板部の表面に付着している酸化膜や塵埃等の異物を擦り落とすことができる。そのため、突き当たる突き当て端子間に異物が介在して突き当て端子相互の導通接続が阻害されることもない。
従って、突き当て端子相互の接続性を長期に渡って良好に維持することができる。
【0025】
更に、先端位置決め片が、保護壁によってガイドされながら相手の先端位置決め片と突き当て板部との間にスムースに入り込むことができる。また、保護壁が突き当て板部の両側方を覆うので、運搬時等に突き当て板部に負荷がかかり、ばね部が変形することを防ぐことができる。更に、突き当て端子同士の嵌合完了後、保護壁にて突き当て板部の動きを規制し、突き当てコネクタの振動による接点摺動を防ぐことができる。
【0026】
上記(2)の構成によれば、一対のコネクタハウジングは、スライド開始位置に位置決めした後、それぞれのコネクタハウジングをハウジング中心軸回りに回動操作するだけで、コネクタハウジング相互の接続、及び突き当て端子相互の接続を完了させることができる。従って、突き当て端子相互を接続する際の操作性を向上させることができる。
【0027】
上記(3)の構成によれば、一対のコネクタハウジングは、スライド開始位置に位置決めした後、それぞれのコネクタハウジングをハウジング中心軸と直交する方向に平行移動させるだけで、コネクタハウジング相互の接続、及び突き当て端子相互の接続を完了させることができる。従って、突き当て端子相互を接続する際の操作性を向上させることができる。
【0028】
上記(4)の構成によれば、一対のコネクタハウジング相互を嵌合接続する際には、それぞれのコネクタハウジングの先端部に装備された端子保護突起により、突き合されたコネクタハウジング相互の先端部間の離間距離が維持される。そのため、端子保護突起の突出長を適宜に選定しておくことで、突き当て時に突き当て端子に過大な衝突力が作用することを回避することができ、突き当て端子が突き当て時の衝撃により変形することを防止することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明による突き当てコネクタによれば、一対のコネクタハウジング相互の嵌合接続が完了する際における突き当て端子相互の突き当て接続は、突き当て端子の先端同士が摺り合わされる摺動動作となるため、それぞれの突き当て端子には軸方向に大きな衝突力が作用しない。更に、突き当てられた状態の突き当て端子相互は、互いの先端位置決め片による係合により、相手の突き当て端子に対して軸方向への離反が規制され、ランスに対して軸方向の荷重が作用することを抑止する。
【0030】
そのため、各コネクタハウジングのランス等に樹脂クリープが発生することを抑止することができ、突き当て端子間における接触圧がランス等の樹脂クリープによって低下することを防止することができる。
【0031】
また、それぞれのコネクタハウジングに収容された突き当て端子相互が突き当たる際には、突き当て端子の先端同士が摺り合わされるため、突き当て操作前の段階で突き当て端子の突き当て板部の表面に付着している酸化膜や塵埃等の異物を擦り落とすことができる。そのため、突き当たる突き当て端子間に異物が介在して突き当て端子相互の導通接続が阻害されることもない。
従って、突き当て端子相互の接続性を長期に渡って良好に維持することができる。
【0032】
また、突き当て板部を相手端子に圧接させるためのばね部を外力から守り、変形による接触信頼性低下を防止する効果があると共に、端子嵌合時に保護壁が先端位置決め片のガイドとなるので、端子同士が確実に嵌合され、接続信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る突き当てコネクタの第1実施形態の分解斜視図である。
【図2】図1に示した突き当てコネクタの組立時の操作を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態の一対のコネクタハウジングに装着される突き当て端子の斜視図である。
【図4】図3に示した突き当て端子の側面図である。
【図5】突き当て端子の分解斜視図である。
【図6】(a)は端子本体の側面図、(b)は端子本体の断面図である。
【図7】(a)は保護壁を備えた突き当て端子同士の平面図、(b)は保護壁を備えていない比較例に係る端子本体の平面図である。
【図8】(a)は第1実施形態の一対のコネクタハウジング相互をスライド開始位置に位置合わせする途中の側面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図9】(a)は第1実施形態の一対のコネクタハウジング相互がスライド開始位置に位置合わせされた状態の側面図、(b)は(a)のB−B断面図である。
【図10】(a)図9(a)のC−C断面図、(b)は図10(a)のD部拡大図である。
【図11】第1実施形態の一対のコネクタハウジング相互がスライド開始位置に位置合わせされた状態における突き当て端子相互の位置関係を示す縦断面図である。
【図12】図11のE部の拡大図である。
【図13】(a)は第1実施形態の一対のコネクタハウジングがスライド開始位置からハウジング中心軸回りに回動操作されている途中の状態を示す側面図、(b)は(a)のF−F断面図である。
【図14】(a)は図13(a)のG−G断面図、(b)は図14(a)のH部の拡大図である。
【図15】第1実施形態の一対のコネクタハウジング相互がスライド開始位置からハウジング中心軸回りに回動操作途中の状態における突き当て端子相互の位置関係を示す縦断面図である。
【図16】図15のI部の拡大図である。
【図17】(a)は第1実施形態の一対のコネクタハウジング相互が嵌合接続を完了した状態の側面図、(b)は(a)のJ−J断面図である。
【図18】(a)は図17(a)のK−K断面図、(b)は図18(a)のL部の拡大図である。
【図19】第1実施形態の一対のコネクタハウジング相互が嵌合接続完了した状態における突き当て端子相互の位置関係を示す縦断面図である。
【図20】図19のM部の拡大図である。
【図21】本発明に係る突き当てコネクタの第2実施形態の分解斜視図である。
【図22】図21に示した突き当てコネクタにおいて、一対のコネクタハウジ嵌合接続が完了した状態の斜視図である。
【図23】(a)は第2実施形態の一対のコネクタハウジングがスライド開始位置からハウジング中心軸と直交する方向にスライド操作されている途中の嵌合状態を示す背面図、(b)は(a)の嵌合状態における突き当て端子相互の位置関係を示す要部横断面図である。
【図24】(a)は第2実施形態の一対のコネクタハウジングのスライド操作が図23の状態から更に進んだ状態を示す背面図、(b)は(a)の嵌合状態における突き当て端子相互の位置関係を示す要部横断面図である。
【図25】(a)は第2実施形態の一対のコネクタハウジングのスライド操作が完了直前の状態を示す背面図、(b)は(a)の嵌合状態における突き当て端子相互の位置関係を示す要部横断面図である。
【図26】図25に示した一対のコネクタハウジングの嵌合状態において、突き当て端子相互の位置関係を示す縦断面図である。
【図27】図26のN部の拡大図である。
【図28】(a)は第2実施形態の一対のコネクタハウジングの嵌合接続が完了した状態の背面図、(b)は(a)の嵌合完了状態における突き当て端子相互の位置関係を示す要部横断面図である。
【図29】第2実施形態の一対のコネクタハウジングの嵌合接続が完了した状態における突き当て端子相互の突き当て状態を示す縦断面図である。
【図30】図29のP部の拡大図である。
【図31】本発明に係る突き当てコネクタの第3実施形態の分解斜視図である。
【図32】図31に示した一方のコネクタハウジングの先端側から視た斜視図である。
【図33】図31に示した一対のコネクタハウジングの嵌合途中の状態を示す斜視図である。
【図34】(a)は第3の実施形態の一対のコネクタハウジングがスライド開始位置に位置決めされた状態の側面図、(b)は(a)に示した嵌合状態における突き当て端子相互の位置関係を示す縦断面図、(c)は(b)のQ部の拡大図である。
【図35】(a)は第3の実施形態の一対のコネクタハウジングがスライド開始位置からハウジング中心軸の回りに回動操作途中の状態の側面図、(b)は(a)に示した嵌合状態における突き当て端子相互の位置関係を示す縦断面図、(c)は(b)のR部の拡大図である。
【図36】(a)は第3の実施形態の一対のコネクタハウジングが嵌合接続完了した状態の側面図、(b)は(a)に示した嵌合状態における突き当て端子相互の位置関係を示す縦断面図、(c)は(b)のS部の拡大図である。
【図37】従来の突き当てコネクタに装備される突き当て端子の縦断面図である。
【図38】図37に示した突き当て端子の斜視図である。
【図39】従来の突き当てコネクタの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明に係る突き当てコネクタの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
[第1実施形態]
図1〜図4は本発明に係る突き当てコネクタの第1実施形態の構成を示したもので、図1は第1実施形態の突き当てコネクタの分解斜視図、図2は図1に示した突き当てコネクタの組立時の操作を示す斜視図、図3は第1実施形態の一対のコネクタハウジングに装着される突き当て端子の斜視図、図4は図3に示した突き当て端子の側面図、図5は突き当て端子の分解斜視図、図6(a)は端子本体の側面図、(b)は端子本体の断面図、図7(a)は保護壁を備えた突き当て端子同士の平面図、(b)は保護壁を備えていない比較例に係る端子本体の平面図である。
【0036】
また、図8〜図20は第1実施形態に示したハウジング相互の嵌合接続時の状態を示したもので、図8(a)は第1実施形態の一対のコネクタハウジング相互をスライド開始位置に位置合わせする途中の側面図、図8(b)は図8(a)のA−A断面図、図9(a)は第1実施形態の一対のコネクタハウジング相互がスライド開始位置に位置合わせされた状態の側面図、図9(b)は図9(a)のB−B断面図、図10(a)は図9(a)のC−C断面図、図10(b)は図10(a)のD部拡大図である。
【0037】
また、図11は第1実施形態の一対のコネクタハウジング相互がスライド開始位置に位置合わせされた状態における突き当て端子相互の位置関係を示す縦断面図、図12は図11のE部の拡大図、図13(a)は第1実施形態の一対のコネクタハウジングがスライド開始位置からハウジング中心軸回りに回動操作されている途中の状態を示す側面図、図13(b)は図13(a)のF−F断面図、図14(a)は図13(a)のG−G断面図、図14(b)は図14(a)のH部の拡大図である。
【0038】
また、図15は第1実施形態の一対のコネクタハウジング相互がスライド開始位置からハウジング中心軸回りに回動操作途中の状態における突き当て端子相互の位置関係を示す縦断面図、図16は図15のI部の拡大図、図17(a)は第1実施形態の一対のコネクタハウジング相互が嵌合接続を完了した状態の側面図、図17(b)は図17(a)のJ−J断面図、図18(a)は図17(a)のK−K断面図、図18(b)は図18(a)のL部の拡大図、図19は第1実施形態の一対のコネクタハウジング相互が嵌合接続完了した状態における突き当て端子相互の位置関係を示す縦断面図、図20は図19のM部の拡大図である。
【0039】
この第1実施形態の突き当てコネクタ1は、突き当て端子10と、この突き当て端子10を収容保持した一対のコネクタハウジング20,30とから構成される。
【0040】
突き当て端子10は、図3及び図4に示すように、端子本体11と、突き当て板部12と、先端位置決め片13と、保護壁14と、を備える。
【0041】
端子本体11は、略角筒状の先端筒部111と、該先端筒部111の後端から延出した電線圧着部112とを、金属板のプレス成形により一体形成している。この端子本体11は、コネクタハウジング20,30の端子収容孔21,31に挿入され、端子収容孔21,31内のランス22,32との係合により抜け止めされて、前記端子収容孔21,31内に保持される。
【0042】
突き当て板部12は、先端面に接触部16を有し、端子本体11の先端筒部111の先端に突出して装備され、相手端子に圧接させることで相手端子と導通状態になる。この突き当て板部12は、該突き当て板部12に一体形成されるばね部15を介して、端子本体11に支承される。突き当て板部12を端子本体11に支承するばね部15は、突き当て板部12から延出する波形状のばねである。ばね部15は、後端部17が端子本体11の先端筒部111に設けた係合孔18で係止されて、突き当て板部12を突き当て方向に沿って弾性変位可能に支持する。
【0043】
先端位置決め片13は、先端筒部111の底壁部111aの先端から延出して設けられた舌状片である。この先端位置決め片13は、底壁部111aの先端から端子相互の突き当て方向(図4の矢印X1方向)に沿って先方に延出した延出板部13aと、この延出板部13aの先端から突き当て方向と直交する垂直上方(図4の矢印Y1方向)に立ち上がる位置決め片部13bと、を備える。
【0044】
端子本体11の先端からは、先端位置決め片に向かって保護壁14が突出する。この保護壁14は、突き当て板部12の両側方を覆う。突き当て端子10は、突き当て端子10同士の嵌合時に相互の先端位置決め片13が、先端位置決め片13と突き当て板部12との間に入り込む。本実施形態においては、相互の先端位置決め片13は、ハウジング中心軸C1,C2を中心とした円周上を相互に接近移動して、先端位置決め片13と突き当て板部12との間に入り込む。
【0045】
この際、それぞれの先端位置決め片13は、相手側の保護壁14に接触し、ガイドされながら入り込む。このガイド作用は、必ずしも生じなくてもよいが、何らかの理由で先端位置決め片13同士の相対位置に誤差が生じている場合には、このガイド作用によって位置ずれが是正され、相互の先端位置決め片13が、先端位置決め片13と突き当て板部12との間にスムースに入り込む。このように、保護壁14は、突き当て端子10同士を確実に嵌合を行い、接触信頼性を向上させる働きがある。
【0046】
また、図6に示すように、保護壁14は、突き当て板部12の両側方を覆うので、運搬時等に突き当て板部12に負荷がかかり、ばね部15が変形することを防ぐ。これにより、接触信頼性が低下するのを防ぐ効果もある。更に、突き当て端子10同士の嵌合完了後、保護壁14にて突き当て板部12の横方向(図7のZ1方向)の動きを規制できる。このため、保護壁14は、図7(b)に示した保護壁14を有しない構成に比べ、突き当てコネクタ1の振動による横方向の接点摺動を防ぐ働きがある。これにより、嵌合後コネクタの振動による端子接点部同士の摺動による接点部抵抗の上昇を抑制できる。
【0047】
先端位置決め片13の位置決め片部13bは、図4に示すように、先端筒部111の先端との突き当て板部12との間に、隙間S1を形成している。この隙間S1の両側方は、保護壁14によって挟まれている。隙間S1に進入する相手端子の先端位置決め片13は、上記のように、保護壁14によってガイドされながらこの隙間S1に進入する。なお、図6に示したように、突き当て板部12は位置決め片部13bに圧接した状態を維持するように、ばね部15による付勢力が作用している。
【0048】
換言すると、位置決め片部13bは、先端筒部111に組み付けられる突き当て板部12の先端側(図4の矢印X1側)への移動(ばね部15の付勢による突き当て板部12の移動)を規制する。更に、位置決め片部13bは、後述の図20に示すように、相手の突き当て端子10の位置決め片部13bが後述するコネクタハウジング相互の回動操作によって位置決め片部13bと突き当て板部12との間に割り込ませられること、相手端子の位置決め片部13bと係合状態になり、相手の突き当て端子10に対して軸方向への離反を規制する。
【0049】
更に詳しく説明すると、後述するコネクタハウジング相互の回動操作によって相手の突き当て端子10の先端位置決め片部13bが、自体の位置決め片部13bと突き当て板部12との間に割り込ませられる際には、互いの突き当て端子10の先端位置決め片部13b及び突き当て板部12が摺り合わされて、対応する突き当て端子10相互が先端を突き当てた状態(接続状態)になる。
【0050】
一対のコネクタハウジング20,30は、突き当て端子10が挿入される端子収容孔21,31と、ランス22,32(図15参照)と、ガイド機構を構成するガイド突起23及びガイド溝33と、ロック機構を構成するロックアーム24及びロック溝34と、を備える。
【0051】
コネクタハウジング20は、所謂雌型ハウジングである。このコネクタハウジング20は、図1に示すように、先端側に、雄型ハウジングであるコネクタハウジング30の前端側外周に回動可能に嵌合する円筒状のフード部25を有している。
【0052】
端子収容孔21,31は、各コネクタハウジング20,30に、それぞれのハウジング中心軸C1,C2を中心とする円周上に、所定の間隔で複数配置されている。
【0053】
各コネクタハウジング20,30に装備されるランス22,32は、図15及び図16に示すように、それぞれのコネクタハウジング20,30の端子収容孔21,31に挿入された突き当て端子10を、先端位置決め片13及び突き当て板部12がそれぞれの端子収容孔21,31の先方に所定長突出する規定位置で係止する。
【0054】
ガイド機構を構成するガイド突起23は、図1に示すように、コネクタハウジング20のフード部25の内周に突設された円柱状の突起である。ガイド突起23は、図10に示すように、フード部25の内周の対向する2位置に装備されている。
【0055】
ガイド機構を構成するガイド溝33は、コネクタハウジング30の外周囲に形成された溝で、コネクタハウジング20,30の嵌合接続時に、ガイド突起23を案内することで、コネクタハウジング20,30相互の嵌合動作を規制する。
【0056】
ガイド溝33は、図1に示すように、ハウジング中心軸C2に沿って延設された軸方向溝33aと、軸方向溝33aの終端から周方向に延びて形成された周方向溝33bとから構成されている。
【0057】
軸方向溝33aは、コネクタハウジング30の先端側から所定の長さでハウジング中心軸C2に沿って形成されており、嵌合するガイド突起23の移動を、ハウジング中心軸C2に沿う方向に規制する。軸方向溝33aは、図10に示すように、フード部25におけるガイド突起23の配置に対応してコネクタハウジング20の外周の対向する2位置に装備されている。軸方向溝33aの終端は、コネクタハウジング20,30相互を周方向に相対回転させるスライド開始位置PSとなる。ガイド突起23がスライド開始位置PSに到達すると、図11に示すように、フード部25の先端25aが、コネクタハウジング30の外周に形成された段差部35aに当接して、ハウジング相互の軸方向の嵌合が更に深まることが規制される。
【0058】
また、ガイド突起23がスライド開始位置PSに到達すると、図12に示すように、コネクタハウジング20に収容されている突き当て端子10の位置決め片部13bは、コネクタハウジング30に収容されている突き当て端子10の位置決め片部13bの内側に位置するように、それぞれのハウジングの先端部の軸方向の位置が、ハウジング中心軸C1,C2方向に所定の離間距離で対向する位置に位置決めされる。
【0059】
ガイド突起23が軸方向溝33a上を移動するとき、及びスライド開始位置PSに到達したとき、図8及び図9に示すように、それぞれのハウジングに装備された端子収容孔21,31は、ハウジング中心軸C1,C2と直交する周方向に位置をずらした配置になっている。このときの端子収容孔21,31間の周方向の位置ずれ量は、図9(b)に示す角度θ1である。
【0060】
即ち、本実施形態の場合、一対のコネクタハウジング20,30におけるスライド開始位置PSは、それぞれのコネクタハウジングのハウジング中心軸C1,C2が一致し、且つ、ハウジング中心軸C1,C2回りに所定角度θ1だけ位相をずらした位置である。
【0061】
周方向溝33bは、図2に示すように、スライド開始位置PSに位置決めされたコネクタハウジング20,30相互を矢印R1,R2に示すように、互いに逆向きに相対回動させるとき、ガイド突起23の周方向への移動を許容する。
【0062】
以上に説明したガイド突起23とガイド溝33とから構成されるガイド機構を備えたことで、一対のコネクタハウジング20,30は、スライド開始位置PSから、ハウジング中心軸C1、C2方向と直交する周方向にスライド操作(回動操作)して、互いの端子収容孔21,31の位置を一致させることで、コネクタハウジング相互の接続が完了する。
【0063】
また、スライド開始位置PSからの回動操作によって、図17に示すように、互いの端子収容孔21,31の位置が一致する際には、それぞれのコネクタハウジングに収容されている突き当て端子10の先端同士が摺り合わされて、対応する突き当て端子10相互が先端を突き当てた状態になる。
【0064】
更に、詳しく説明すると、突き当て端子10は、相手の突き当て端子10と先端が摺り合わされる際に、図20に示すように、先端位置決め片13の位置決め片部13bが相手の突き当て端子10の位置決め片部13bと突き当て板部12との間に割り込む。この割り込みにより、突き当て端子10の先端部同士が係合して、相手の突き当て端子10に対して軸方向への離反を規制する。
【0065】
ロック機構を構成するロックアーム24は、図1に示すように、コネクタハウジング20のフード部25に装備されている。このロックアーム24は、図1に示すように、フード部25の周壁の一部をアーム状に周囲から切り離したアーム部24aと、アーム部24aの自由端側で内径側に隆起して形成された係止突起24bとを備えている。
【0066】
ロック機構を構成するロック溝34は、図1に示すように、ロックアーム24を係合するために、コネクタハウジング30の外周に設けられている。ロック溝34は、図1に示すように、案内用溝部34aと、案内用溝部34aの周方向の終端に設けられた係止溝34bと、案内用溝部34aと係止溝34bとの間を区画する節度用隆起部34cと、を備えている。
【0067】
案内用溝部34aは、ガイド突起23がガイド溝33上をスライド開始位置PSまで移動する際、及びガイド突起23がスライド開始位置PSから周方向溝33bに沿って移動する際に、係止突起24bの移動を許容する凹所である。
【0068】
係止溝34bは、ガイド突起23が周方向溝33bの終端に到着して、ハウジング相互の端子収容孔21,31の位置が揃ったときに、係止突起24bと係合して係止突起24bの周方向の移動を規制する凹所である。
【0069】
節度用隆起部34cは、係止突起24bが係止溝34bに係合する前に、係止突起24bが乗り越える隆起部である。節度用隆起部34cは、係止突起24bが節度用隆起部34cを乗り越える際の抵抗力により、節度感を付与して、コネクタハウジング20,30の接続が完了することを触感的に作業者に知らせる。
【0070】
次に、以上に説明した突き当てコネクタ1において、コネクタハウジング20,30を嵌合接続する際の一連の操作を、図面に基づいて説明する。
【0071】
まず、図1に示すように、コネクタハウジング20,30相互のハウジング中心軸C1,C2を一致させると共に、コネクタハウジング20上のガイド突起23の位置を、コネクタハウジング30上の軸方向溝33aの位置に合わせて、コネクタハウジング20とコネクタハウジング30とを対向させる。
【0072】
次いで、コネクタハウジング20,30相互を嵌合させて、図8に示すように、ガイド突起23を軸方向溝33a内に押し進める。このとき、コネクタハウジング20上の端子収容孔21とコネクタハウジング30上の端子収容孔31とは、図8(b)に示すように、周方向に位置をずらした配置になっている。
【0073】
更にコネクタハウジング20とコネクタハウジング30との軸方向の嵌合を深めると、図9に示すように、ガイド突起23がスライド開始位置PSに到達する。ガイド突起23がスライド開始位置PSに到達したとき、ロックアーム24の係止突起24bは、図10に示すように、ロック溝34の案内用溝部34aに位置している。また、ガイド突起23がスライド開始位置PSに到達したとき、それぞれのコネクタハウジング20,30内の突き当て対象となっている突き当て端子10相互は、図11及び図12に示すように、一方の突き当て端子10の位置決め片部13bが、他方の突き当て端子10の位置決め片部13bの内側に進入可能な軸方向位置に、位置決めされる。
【0074】
次いで、図13に示すように、ガイド突起23がスライド開始位置PSから周方向溝33b内を周方向に移動するように、コネクタハウジング20とコネクタハウジング30とを回動操作する。ガイド突起23が周方向溝33bの終端に近づくに従って、図13(b)に示すように、ハウジング相互の端子収容孔21,31の位相のずれ角θが縮まる。また、図14に示すように、ロックアーム24の係止突起24bは、ロック溝34の案内用溝部34a内を節度用隆起部34cに向かって移動する。また、それぞれのコネクタハウジング20,30内の突き当て対象となっている突き当て端子10相互は、図15及び図16に示すように、周方向の位置ずれが縮小していく。
【0075】
コネクタハウジング20,30の相対回動が更に進み、図17(a)に示すようにガイド突起23が周方向溝33bの終端に到達すると、図17(b)に示すように、ハウジング相互の端子収容孔21,31の位置が一致して、ハウジング相互の嵌合接続が完了した状態になる。また、このとき、ロックアーム24の係止突起24bは、図18に示すように、節度用隆起部34cを乗り越えて係止溝34bに係合して、周方向の移動が規制されるロック状態になる。また、このとき、それぞれのコネクタハウジング20,30内の突き当て対象となっている突き当て端子10相互は、図19及び図20に示すように、一方の突き当て端子10の位置決め片部13bが、他方の突き当て端子10の位置決め片部13bと突き当て板部12との間に割り込んで、それぞれの突き当て端子10の突き当て板部12が、相手の突き当て端子10の先端位置決め片13に突き当たった状態となり、突き当て端子10相互の突き当て接続も完了する。
【0076】
以上に説明した第1実施形態の突き当てコネクタ1の場合、一対のコネクタハウジング20,30は、スライド開始位置PSからハウジング中心軸C1,C2方向と直交する周方向に回動操作(スライド操作)することで、コネクタハウジング相互の嵌合接続が完了する。
【0077】
そして、コネクタハウジング相互の嵌合接続が完了する際における突き当て端子10相互の突き当て接続は、突き当て端子10の先端同士が摺り合わされる摺動動作となるため、それぞれの突き当て端子10には軸方向に大きな衝突力が作用しない。更に、突き当てられた状態の突き当て端子10相互は、互いの先端位置決め片13による係合により、相手の突き当て端子10に対して軸方向への離反が規制され、ランス22,32に対して軸方向の荷重が作用することを抑止する。
【0078】
そのため、各コネクタハウジングのランス22,32等に樹脂クリープが発生することを抑止することができ、突き当て端子10間における接触圧がランス22,32等の樹脂クリープによって低下することを防止することができる。
【0079】
また、それぞれのコネクタハウジングに収容された突き当て端子10相互が突き当たる際には、突き当て端子10の先端同士が摺り合わされるため、突き当て操作前の段階で突き当て端子10の突き当て板部12の表面に付着している酸化膜や塵埃等の異物を擦り落とすことができる。そのため、突き当たる突き当て端子10間に異物が介在して突き当て端子10相互の導通接続が阻害されることもない。
従って、突き当て端子10相互の接続性を長期に渡って良好に維持することができる。
【0080】
また、本実施形態の突き当てコネクタ1の場合、一対のコネクタハウジング20,30は、スライド開始位置PSに位置決めした後、それぞれのコネクタハウジングをハウジング中心軸C1,C2回りに回動操作するだけで、コネクタハウジング相互の接続、及び突き当て端子10相互の接続を完了させることができる。従って、突き当て端子10相互を接続する際の操作性を向上させることができる。
【0081】
更に、突き当て板部12を相手端子に圧接させるためのばね部15を外力から守り、変形による接触信頼性低下を防止する効果があると共に、端子嵌合時に保護壁14が先端位置決め片13のガイドとなるので、端子同士が確実に嵌合され、接続信頼性が向上する。これに加え、嵌合後コネクタの振動による端子接点部同士の摺動による接点部抵抗の上昇を抑制することができる。
【0082】
[第2実施形態]
図21〜図30は本発明に係る突き当てコネクタの第2実施形態の構成を示したもので、図21は第2実施形態の突き当てコネクタの分解斜視図、図22は図21に示した突き当てコネクタにおいて、一対のコネクタハウジングの嵌合接続が完了した状態の斜視図、図23(a)は第2実施形態の一対のコネクタハウジングがスライド開始位置からハウジング中心軸と直交する方向にスライド操作されている途中の嵌合状態を示す背面図、図23(b)は図23(a)の嵌合状態における突き当て端子相互の位置関係を示す要部横断面図、図24(a)は第2実施形態の一対のコネクタハウジングのスライド操作が図23の状態から更に進んだ状態を示す背面図、図24(b)は図24(a)の嵌合状態における突き当て端子相互の位置関係を示す要部横断面図である。
【0083】
また、図25(a)は第2実施形態の一対のコネクタハウジングのスライド操作が完了直前の状態を示す背面図、図25(b)は図25(a)の嵌合状態における突き当て端子相互の位置関係を示す要部横断面図、図26は図25に示した一対のコネクタハウジングの嵌合状態において、突き当て端子相互の位置関係を示す縦断面図、図27は図26のN部の拡大図、図28(a)は第2実施形態の一対のコネクタハウジングの嵌合接続が完了した状態の背面図、図28(b)は図28(a)の嵌合完了状態における突き当て端子相互の位置関係を示す要部横断面図、図29は第2実施形態の一対のコネクタハウジングの嵌合接続が完了した状態における突き当て端子相互の突き当て状態を示す縦断面図、図30は図29のP部の拡大図である。
【0084】
図21〜図30に示す第2実施形態の突き当てコネクタ1Aにおいて、第1実施形態の突き当てコネクタ1における構成と共通の構成、または第1実施形態の突き当てコネクタ1の構成に相応する構成については、第1実施形態と共通の符号を付して、説明を簡略化する。
【0085】
この第2実施形態の突き当てコネクタ1Aの場合、嵌合接続させる一対のコネクタハウジング20,30の内、一方のコネクタハウジング30は図21に示すように略直方体状の外郭形状を成している。コネクタハウジング30の両側面には、コネクタハウジング20への嵌合接続が完了したときに、コネクタハウジング20に係合するロック突起37が突設されている。
【0086】
また、コネクタハウジング30が嵌合接続される他方のコネクタハウジング20は、先端側に延出したフード部25が、コネクタハウジング30が嵌合装着される直方体状の収容空間26を提供している。収容空間26は、コネクタハウジング20のハウジング中心軸C1と直交する上方側を開放した空間である。
【0087】
また、収容空間26を画成しているフード部25の両側壁には、コネクタハウジング20に対するコネクタハウジング30の嵌合接続が完了したときにロック突起37が係合するロック孔27が設けられている。
【0088】
コネクタハウジング20,30に装備された端子収容孔21,31に、図3及び図4に示した突き当て端子10が装着される点は、第1実施形態と共通である。
【0089】
第2実施形態の突き当てコネクタ1Aの場合、一対のコネクタハウジング20,30におけるスライド開始位置PSは、それぞれのコネクタハウジングのハウジング中心軸C1,C2がハウジング中心軸C1,C2と直交する方向(図21の矢印Y2方向)にずれた位置である。
【0090】
スライド開始位置PSは、具体的には、ハウジング中心軸C1,C2と直交する方向においてはハウジング図23(b)に示す収容空間26の上端縁であり、ハウジング中心軸C1,C2の軸方向においては、図26に示すように、それぞれのハウジングの先端が突き当たる位置である。
【0091】
また、一対のコネクタハウジング20,30を嵌合接続する際のスライド操作が、図23に矢印Y3で示すように、ハウジング中心軸C1,C2と直交する方向への平行移動操作である。
【0092】
図23に示したスライド開始位置PSから、収容空間26内にコネクタハウジング30を押し込むスライド操作を行うと、スライド操作の進行に伴い、図24及び図25に示すように、ハウジング相互の嵌合が深まる。
【0093】
ハウジング相互のスライド開始位置PSからのスライド操作時には、図26及び図27に示すように、それぞれのハウジングに収容された突き当て端子10の先端の位置決め片部13bがスライド操作により互いに係合可能なように、それぞれの突き当て端子10の軸方向の位置が位置決めされている。
【0094】
スライド操作の終端では、図28に示すように、コネクタハウジング30の下面30aが、フード部25の内底面25bに突き当たることで、それ以上のコネクタハウジング30の押し込みが規制される。この時、コネクタハウジング20,30に配置された端子収容孔21,31の位置が一致すると共に、図28(b)に示すように、コネクタハウジング30の両側のロック突起37がコネクタハウジング20のロック孔27に係合して、ハウジング相互の接続状態がロックされる。
【0095】
第2実施形態の突き当てコネクタ1Aの場合も、コネクタハウジング20,30の嵌合接続が完了した状態では、図29及び図30に示すように、それぞれのハウジングに収容された突き当て端子10は、先端の位置決め片部13bを相手の突き当て端子10の位置決め片部13bと突き当て板部12との間に割り込ませた突き当て状態となる。
【0096】
以上に説明した第2実施形態の突き当てコネクタ1Aの場合、一対のコネクタハウジング20,30は、スライド開始位置PSに位置決めした後、それぞれのコネクタハウジングをハウジング中心軸C1,C2と直交する方向に平行移動させるだけで、コネクタハウジング相互の接続、及び突き当て端子10相互の接続を完了させることができる。従って、突き当て端子10相互を接続する際の操作性を向上させることができる。
【0097】
[第3の実施形態]
図31〜図36は本発明に係る突き当てコネクタの第3実施形態の構成を示したもので、図31は本発明に係る突き当てコネクタの第3実施形態の分解斜視図、図32は図31に示した一方のコネクタハウジングの先端側から視た斜視図、図33は図31に示した一対のコネクタハウジングの嵌合途中の状態を示す斜視図、図34(a)は第3実施形態の一対のコネクタハウジングがスライド開始位置に位置決めされた状態の側面図、図34(b)は図34(a)に示した嵌合状態における突き当て端子相互の位置関係を示す縦断面図、図34(c)は図34(b)のQ部の拡大図、図35(a)は第3実施形態の一対のコネクタハウジングがスライド開始位置からハウジング中心軸の回りに回動操作途中の状態の側面図、図35(b)は図35(a)に示した嵌合状態における突き当て端子相互の位置関係を示す縦断面図、図35(c)は図35(b)のR部の拡大図、図36(a)は第3の実施形態の一対のコネクタハウジングが嵌合接続完了した状態の側面図、図36(b)は図36(a)に示した嵌合状態における突き当て端子相互の位置関係を示す縦断面図、図36(c)は図36(b)のS部の拡大図である。
【0098】
この第3実施形態の突き当てコネクタ1Bは、第1実施形態の突き当てコネクタ1の一部を改良したものである。
【0099】
改良した点は、図31及び図32に示すように、一対のコネクタハウジング20,30の先端部に、端子保護突起28,38を備えた点である。
【0100】
端子保護突起28,38は、図34に示すように、それぞれのコネクタハウジングがスライド開始位置PSに位置決めされた時に、相手コネクタハウジングの突き当て面(先端面)20b,30bに突き当たる。また、端子保護突起28,38は、スライド操作時には、相手コネクタハウジングの突き当て面20b,30b上を摺接して、コネクタハウジング相互のハウジング中心軸C1,C2方向への変位を規制する。
【0101】
第3実施形態の突き当てコネクタ1Bは、端子保護突起28,38を追加した点以外は、第1実施形態と共通の構成であり、共通の構成については、同符号を付して説明を省略する。
【0102】
以上に説明した第3実施形態の突き当てコネクタ1Bの場合、一対のコネクタハウジング20,30相互を嵌合接続する際には、図33及び図34に示すようにスライド開始位置PSからハウジング相互を相対回動させて、図35及び図36に示すように、それぞれのハウジングの周方向に位置ずれしている端子収容孔21,31の位置を一致させることで、それぞれのハウジングの突き当て端子10を突き当て接続させる。このようにスライド開始位置PSからハウジング相互を相対回動させるスライド操作時には、それぞれのコネクタハウジングの先端部に装備された端子保護突起28,38により、突き合されたコネクタハウジング相互の先端部間の離間距離が維持される。そのため、端子保護突起28,38の突出長を適宜に選定しておくことで、突き当て時に突き当て端子10に過大な衝突力が作用することを回避することができ、突き当て端子10が突き当て時の衝撃により変形することを防止することができる。
【0103】
なお、本発明の突き当てコネクタは、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形、改良等が可能である。
【符号の説明】
【0104】
1,1A,1B 突き当てコネクタ
10 突き当て端子
11 端子本体
12 突き当て板部
13 先端位置決め片
13b 位置決め片部
14 保護壁
15 ばね部
20,30 コネクタハウジング
21,31 端子収容孔
22,32 ランス
23 ガイド突起
33 ガイド溝
C1,C2 ハウジング中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランスにて端子収容孔に保持され、ばね部を介して同形状の相手端子に圧接させることで導通状態になる突き当て板部が先端に装備された突き当て端子と、
前記ランスを有した前記端子収容孔をそれぞれに備え該端子収容孔をハウジング中心軸と直交する方向にずらすと共に該ハウジング中心軸方向に所定の離間距離で対向するスライド開始位置から該ハウジング中心軸方向と直交する方向にスライド操作して互いの前記端子収容孔を一致させることで、前記突き当て端子の先端同士を摺り合わせて互いに嵌合接続される一対のコネクタハウジングと、
前記突き当て端子に形成され、相手の前記突き当て端子と先端が摺り合わされる際に該相手の突き当て端子と係合して該相手の突き当て端子に対し軸方向への離反を規制する先端位置決め片と、
端子本体から前記先端位置決め片に向かって突出し前記突き当て板部の両側方を覆う保護壁と、を備えることを特徴とする突き当てコネクタ。
【請求項2】
前記一対のコネクタハウジングにおける前記スライド開始位置は、それぞれのコネクタハウジングのハウジング中心軸が一致し、且つ、前記ハウジング中心軸回りに所定角度位相をずらした位置であり、
前記スライド操作が、前記ハウジング中心軸回りの回動操作であることを特徴とする請求項1に記載の突き当てコネクタ。
【請求項3】
前記一対のコネクタハウジングにおける前記スライド開始位置は、それぞれのコネクタハウジングのハウジング中心軸が前記ハウジング中心軸と直交する方向にずれた位置であり、前記スライド操作が、前記ハウジング中心軸と直交する方向への平行移動操作であることを特徴とする請求項1に記載の突き当てコネクタ。
【請求項4】
前記一対のコネクタハウジングの先端部には、それぞれのコネクタハウジングが前記スライド開始位置に位置決めされた時に、相手コネクタハウジングに突き当たると共に、前記スライド操作時には相手コネクタハウジングの突き当て面上を摺接して、コネクタハウジング相互の前記ハウジング中心軸方向への変位を規制する端子保護突起を備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の突き当てコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公開番号】特開2012−226831(P2012−226831A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90408(P2011−90408)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】